アポカリプス・ランページ⑩〜もしもの自分『IF』(作者 タイツマッソ
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●迷い込んだ研究者たちⅡ
 ヒューストン宇宙センター跡地。ここには数多くの狂気に侵された研究者たちがおぞましい研究に没頭している。だが、狂気に陥ったあまりに、迷ったり逃げ出したりした研究者たちもいた。その一部は、厳重封鎖されているこの場所に、狂気の執念で踏み入ってしまっていた。だが彼らは知らなかった。ここに潜む狂気は、彼らを侵していた狂気とはまったく別格の物だったと言う事を。

 たった一人残った研究者はその惨状を見ているしかなかった。気のいい奴らだった、真面目な研究者だった。それが、今や、こんな……。

「おのれ忌まわしきプリンセス・エメラルドめ!だが俺達のコロニーをやらせはしねえ!みんな踏ん張れ!あの戦士たちが駆け付けるまでもたせるんだ!!」

 太り気味だった研究者は自分をどこかの宇宙で圧制の帝国へ立ち向かうコロニーの艦長と思い込んでいるようで、目に見えない脅威と何か戦っている。

「あの時、研究なんて選ばずに君と共に拠点で戦う選択をしたから今の僕があるんだな……後悔なんてしていないさ。君と共に、こうして緩やかに死ぬことができるんだ……」

 日本人研究者は傷も負っていないのに倒れて誰かに話しかけている。かつて、彼は仲間より謎の存在に従う研究を選びここに来たと漏らしていた。もしかしたらその時、別の選択を選んだ狂気の夢を見ているのかもしれない。

「ヒャッハー!新鮮な天使核の魔物よー!解体して取り出して新しい素材にするのよイヤッハーー!」

 やぼったい女研究者はすっかりキャラが変わり、いもしない怪物をありもしないチェーンソーで解体しようとしているように見える。

 彼はやっと知った。噂に聞いていた、『狂気に落す宝石』が目の前にあるこれなのだと。しかも目の前にあるこれは、恐らく志向性がある。自分をもしもの自分、例えば『自分が全く違う世界に生まれていたら』、『自分があの時別の選択をしていたら』。それを幻覚として見せ、そして自分がそうだったと思い込む狂気に落してしまうのだ。その内容が自分が思った物なのか、宝石が多元な宇宙のどこかの可能性を垣間見たものを映し出しているのかはわからないが。

 壊さなければと思った。でないと自分が危ない。ああ、でもそのためには見なければいけない。懸命に見ない様にしても、どうしても--。

 あれ、なにをこわそうとしてたんだっけ……そもそもわたし、だれだっけ……たしかわたしは、ふんぎりがつかなくて、にげおくれて、オブリビオンストームにまきこまれて……ああ、そうか、わたしは、オブリビオンに、なってしまったのか……じゃあ、だれかを、おそわなきゃ……ころさな、きゃ。

●もしも、自分が
「さて、とりあえずのあそこでの目的は果たしたけど、まだまだ数はあるし、この先もっと進む為にもガンガン敵の脅威は減らしていかないとね!」

 九十九・サイレン(再誕の18不思議・f28205)は進むアポカリプス・ランページの中、猟兵を集めて説明を開始した。

「もう知ってる人も多そうな、ヒューストン宇宙センター跡。ここには深淵が如く輝いて、見る者を狂わせる宝石「宇宙の幼生」ってのがいくつも厳重保管されてるんだ。これが超宇宙の恐怖って奴を強化させるみたいだから、今のうちにできるだけ破壊しておきたい訳だね!まあ、もう大分破壊されてるんだけど、念には念を、ってことで。厳重保管っていっても、普通にその場所まではすぐに飛ばせる。宝石自体も戦闘力があるとか、守っているオブリビオンがいるとかそう言う事も無い……ていうか、多分できないんだろうね。ある意味オブリビオンとってはアレ、致命的だろうし。

 ていうのも、さっき言った通り、その宝石は見るだけでその対象を狂気に陥れるんだ。しかもボクが予知したのは今回の茂どうやら志向性があるみたいで、どうやら見ると、自分をもしもの別の自分だと思い込んでしまい、その自分になりきってその世界の幻覚を見せてしまうんだって。もしも、っていうのは例えば『自分が別の世界に生まれていたら』、とか『自分があの時別の選択をしていたら』とか、他にも色々あるとは思う。そうなっちゃったらもう宝石の破壊どころじゃなくなって、そのもしもの狂気に取り込まれてそれしか考えられなくなっちゃう。だから皆にはなんとか狂気に耐える対策をして挑んで貰いたいかな。
 策は無限だけど、あえて例を挙げるなら、まずは真っ当な耐える策。宝石から放たれる狂気に対して耐える対抗をしたり、こんなもしもは自分じゃない、ってはっきり拒絶するとか。尤もかなり強力な狂気だから否定するならばそれはもう強く、はっきりと受け止めて意識しないといけないだろうけど、
 後はあえてもしもの自分を受け入れつつ、それに乗っかって宝石を破壊する事。指向性があるって事はその狂気に自分から乗っかったりUCを合わせたりすれば、ある程度そのもしもの自分の方向性・やろうとする事・意識を設定できるかもしれないんだ。だからこれを利用して、なんとか理由とか理屈とかつけて宝石を破壊する。これに関しては破壊さえしてくれれば、その後狂気のままもしもの自分になってても、有効打になるとボクは判断するよ!あ、宝石さえ壊せば、個人差の時間差はあるかもだけど皆元の正気に戻る筈だよ!
 ちなみに、くれぐれも自分にとってそう思ったり見えるだけで、狂気だけじゃ自分の身体や周りの環境、敵が現れたりとかの変化はしないから注意してね!

 それじゃ、自分が今の自分じゃなくなる体験をしちゃうかもしれないけど、それでもきっと皆なら大丈夫。自分を見失うかもしれない、もしもの可能性を見てしまうかもしれない。でも、きっと今に戻ってくれるって信じてるよ」

 皆を心配する素振りを見せつつも、サイレンは猟兵たちを宇宙の宝石の保管場所へと送り出すのだった。


タイツマッソ
 こんにちは、MSのタイツマッソです。はい、モチベの為に更に趣味に走りました。
 今回は『冒険』です。宝石の魅せる志向性の狂気『自分をもしもの自分だと思い込み、その世界に浸る』に耐える、もしくはそれを利用して宝石を破壊してください。

 プレイングボーナスは『「宇宙の幼生」を見たことによる狂気に耐える』ですが、志向性である事を踏まえ、『狂気に落ちても、それを利用して宝石を破壊する』でも同じくプレイングボーナスとします。

 もしもの自分は例示したものは以下の2つ。

 ①『自分を別の世界に生まれた存在だと思い込む』
 冒頭の研究者らはどこかで見た世界でしたが、同じようにどこかで見たような世界だったり、全然違うオリジナルの世界、戦乱などない平和な世界でも構いません。それが本当に自分に在り得た可能性なのか、ただの自分の空想が映し出されたのか、は超宇宙の恐怖による狂気なのではっきりとはしません。

 ②『自分が、過去に別の選択をした自分だと思い込む』
 過去において選択をしたならば、それとは別の選択をしていたら、という自分を投影され思い込みます。これは自分で考えられる範囲でも、考えられない範囲でも構いません。なにせ超宇宙の恐怖が見せる狂気の幻覚なので、その辺りの理屈は滅茶苦茶になりますから。

 ①②以外のもしもも考えられたなら採用できるかもしれません。
 いずれにしても狂気に堕ちれば宝石の破壊という目的を忘れてしまうので、もしもの自分になりきってもなんらかの理由づけや対策で宝石を破壊するようにするのが、狂気の利用となります。

 基本合わせ出ない限りは1人ずつ重点を絞ってリプレイ返却すると予定です。また、それぞれの猟兵の担当宝石区画は強固な壁で仕切られており、周囲への破壊は互いに影響しません。

 また、過去に類似の著作依頼『アポカリプス・ランページ⑩〜汝、怪物なりや?』ではキャラ崩壊やキャラに踏み込んだ描写もかなりの重度で起こったため、キャラ崩壊OK、アドリブOKかはそちらを参照の上で慎重に記載をお願いします。
 また冒頭の研究者らが襲ってくる、とかもありませんのでご安心ください。

 プレイング受付はオープニング公開後から開始。
 9月9日から10日までの受付・返却を目指し、プレイング状況次第では延長します。

 それではプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『宇宙の幼生』

POW強靭な気合いで狂気に耐える。
SPDなるべく宝石を見ないようにしつつ破壊を試みる。
WIZ魔術や薬を使い、狂気を抑える。
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


リーヴァルディ・カーライル


はぁ。世界の危機だとかオブリビオンだとか、
少し前まで普通の学生だった私には荷が重いよ…

そもそも殺し合いなんて急に言われても恐いし痛いし苦しいし、
平和に暮らしているUDCアースの一般人にできるわけ無いじゃない!

今回の任務だって戦闘とか無いから受けたけど、危険な事には変わり無いのよね?

…どうせこの世界も他の凄い猟兵さん達が何とかしてくれるだろうし、
手早く終わらせて家に帰ろ。この世界、何だか全体的に埃っぽいし…

あ、そうだ。この依頼の報酬で新作のバッグ、買いに行かないとね



…なんて、そんな訳ないのにね

事前にUCを発動して「狂気避けの呪詛」を付与
強化した●狂気耐性で宝石の狂気を受け流し、大鎌で破壊するわ


●IF:UDCアース生まれの普通の女の子出身の猟兵

「はぁ。世界の危機だとかオブリビオンだとか、少し前まで普通の学生だった私には荷が重いよ…」

 リーヴァルディ・カーライル(■■■■■の■■■・f01841)ははあ、とため息をつき今の自分のいる状況を考えて深いため息をついた。というのも……。

「そもそも殺し合いなんて急に言われても恐いし痛いし苦しいし、平和に暮らしているUDCアースの一般人にできるわけ無いじゃない!」

 彼女は一応平和な近代世界、UDCアースで学生として過ごしていた。普通にそれなりの家庭に生まれ、それなりの学校生活を過ごし、それなりの恋愛などしているそんな時、ふとしたきっかけで猟兵に目覚めてしまったばかりに、今こんな荒廃した世界で世界をかけた大戦争の真っただ中にいる、と思うとまたため息がこぼれた。

「今回の任務だって戦闘とか無いから受けたけど、危険な事には変わり無いのよね?…どうせこの世界も他の凄い猟兵さん達が何とかしてくれるだろうし、
手早く終わらせて家に帰ろ。この世界、何だか全体的に埃っぽいし…」

 リーヴァルディはいかにも現代っ子という感じの感想を漏らす。だってしょうがない。私は元々普通の人生を過ごしていた。だからこういう気持ちでも仕方ないでしょ?自分よりももっとこの戦いに賭けていたり、オブリビオンに恨みを持っていた理、そういうやる気のある人が多いならその人たちに任せて、私は楽なこういう仕事を済ませて早く家に帰ろう。家ではお母さんが夕食を作って待っている。埃をシャワーで流して、そして母さんたちと一緒に仲良くご飯を食べる。その後は学校の女友達たちとメールをして過ごす。例え猟兵になっても日常は揺るがさない、そんな人生でいいじゃないか。

「あ、そうだ。この依頼の報酬で新作のバッグ、買いに行かないとね」

 ああ、そうだ。私は普通の女の子。だからこんな俗っぽい目的でもいいじゃない。あのブランドにしようかな、それともそれとも……ああ、何気ない日常を謳歌する、とても人並みに幸せで、日常を平和に過ごす私……。





「…なんて、そんな訳ないのにね」





 ぱりん、と割れる音が二重に響く。リーヴァルディがその手に持った大鎌『過去を刻むもの』で宝石を容赦なく両断し、同時に自分をとりまいていた全ての幻想が破壊された二重の音だった。
 そう、全ては宝石の見えた狂気の『IF』。リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)にそんな幸せな家庭などありはしないし、友達との平和な日常などありはしなかった。生まれた世界は太陽無き残酷の世界。手に持つ大鎌は歴戦の武器、見に纏うは戦装束。屠った敵の数など数え切れない。
 だが彼女はそのもしもに完全に呑まれてはいなかった。事前に【吸血鬼狩りの業・千変の型(カーライル)】を発動。記憶や魂が傷付くのを防ぐ精神系防御術式『狂気避けの呪詛』の力を増幅しておくことで、自身の記憶や魂だけは狂気から守っていたのだ。

 だから、最初から狂気を退けることもできた。見もしないで、斬り捨てる事も。だがそれでも彼女は見た。空想かそれとも在り得た自分の可能性の1つか。それを観客のように冷静に見やっていたのだ。

「本当に……在り得ない、もしもね」

 なぜ彼女がそれを見たのか。その心中は誰にも知れない。
大成功 🔵🔵🔵

ニクロム・チタノ

ボクはどうしてここにいてどうしてこんな姿になってしまったのか、一体どうすれば良かったのか
この宝石がボクに別の可能性を魅せてくれるなら狂気に身を任せても良いかも知れない
あの時選択を間違えなかったら
そうボクはあの時負けなかった、正しい選択をした
ボクの真の名紅明日香の名を以てチタノヤタテを降臨させる、帰って来たチタノがボクはまだ反抗者なんだ
ならばやる事は一つ、ボクに課された責務を全うする
重力槍展開あの宝石を破壊するよ、発射

ああ、宝石が破壊されてまた元のヘドロ怪人に戻ってしまった・・・
でも希望が見えた気がします、いつかまた元の反抗者に戻れるなら・・・


●IF:もしもあの時負けていなかったら

「ボクはどうしてここにいてどうしてこんな姿になってしまったのか、一体どうすれば良かったのか……」

 ニクロム・チタノ(反抗を忘れた悪堕ちヘドロ・f32208)はよろよろと宝石の元へと歩んでいた。先日に同じような狂気の宝石の破壊に赴き、自分の真実を見せつけられた。治療は施された物の、その傷はまだ心に残っているようで、もしもを見せる宝石の話を聞き、任に赴いていた。

「この宝石がボクに別の可能性を魅せてくれるなら狂気に身を任せても良いかも知れない。あの時選択を間違えなかったら……」

 もしもであるならばその方向性はある程度定めることができる。ニクロムは定めるあの時のもしもを。だが、それだけではもしもに呑まれるだけ。宝石にとっては罠である方向性、いうなれば設定も付加する。そして彼女の眼が宝石を捉えた。

「ああ……あの時……」



 それはヒーローズアースで悪堕ち魔法少女と相対し、妖刀で斬り込んだ所を敵の白羽取りマシーンで受け止められた瞬間。

「どうですか? 私の秘密兵器は!」
「なるほど……確かに効果的だけど、今の妖刀は反抗の加護で切れ味も威力も上がっているのさ」
「では、これならどうでしょう?」

 ——正史ではここでニクロムが刀を押し込もうとしたところで手を離され、空ぶった刀が地面を叩いた隙を狙われて捕縛。彼女の今後の運命が狂う実験を施されてしまうことになる、のだが。

(いや、敵の狙いを読むんだ……こうだ!)

 敵がマシーンの手を離す意図を読んだニクロムは、押し込まずに刀の軌道を変える動きをする。抑えられたままならば意味をなさないその動きは、離された事で意味を成した。刀は隙を晒したマシンアームを切り裂き、更に敵の魔法少女の身体も切り裂く。

「が!?なんで……!」
「君の狙いを読んだのさ。イチかバチかだったけど」
「くっ!」

 傷を負った魔法少女はニクロムから逃げるように離脱していく。もっとも、その先で待つ別の猟兵たちに仕留められるだけだろうが。

「ふう、危なかった……」

 ニクロムは思いのほか安堵する自分にささやかな疑問を抱いた。まるで、自分の全てが懸かった一瞬のようだったじゃないか、と。



「……あれ、なんでかな……こんな事を特に関係ないこんなところで思い出すなんて」

 ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は倉庫の中で頭を抑えていた。任務達成の前に妙な事を思い出したな、と頭を振る。そうだ、今ここはアポカリプスヘル。世界をかけたアポカリプス・ランページの真っ最中。なんであんな昔の事を思い出していたんだろう、と。

「確か、宇宙の幼生という、狂気を与える宝石を壊せばいいんだっけ……だから気合を入れてきたのに、拍子抜けだなあ」

 そうだ、自分は宝石を破壊すると言う任務を受けてここに来たんだった。そしてそれはもう目の前に在る。そう、こうして『見ている』。だが、『何も起こらない』。狂気というからどんなものか拍子抜けだ。まさか、今■さに狂■されている■じゃある■いし。

「でも念には念をだ。確実に破壊しておこう。ボクの名、紅明日香の名を以てチタノヤタテを降臨させる。【其の真名を以て反抗せよ(ヤタテ)】」

 彼女の身に彼女を加護する反抗竜チタノヤタテの力が宿る。いつもの事だ。いつもボクを守ってくれる加護だ。なんてことのないいつもの発動だ。


 なのに、なんでボクは、泣いているんだろう。
 『帰ってきた』
 ずっとチタノはボクといっしょだったのに。
 『ボクはまだ反抗者なんだ』
 ずっとボクは反抗者だった。なんだ、この気持ち、訳が分からない。

「まさか、これが狂気……だめだ、このままじゃ、だめだ、壊そう、壊そう……重力槍、展開」

 頭上に重力の槍が展開される。放たれれば宝石は破壊される。何の問題も無い。何の問題も無い……筈。

(なんで……撃ちたくない……今を終わらせたくない……何を、考えてるの?だって、チタノは、ぼくと、ずっと、いっしょに、いた、いた、いた、いたいたいた……い、た?)

 なのにこの歓喜と、そしてそれを終わらせたくないこの寂しさは、なんなんだ。訳がわからない。わからない、わからない、わからない、わからない!!

「ぼ、ボクは反抗者だ!抗う者だ!宝石、お前が、お前がこんな狂気をボクに押し付けているなら、破壊する!!壊してやる!!あ、あああああああ!!」

 だから彼女はせめて『抗った』。反抗者として、宝石を壊したくない、という狂気にしか思えない心に抗った。その姿に、かの竜が何を想ったかは、わからない。

 わかるのは、宝石は過たず破壊され、この『もしも』が終わりを告げたことだけだった。



「ああ……戻ってしまった……」

 重力により砕け散った宝石の欠片の前で膝をつきながら、ニクロム・チタノ(反抗を忘れた悪堕ちヘドロ・f32208)は何もない虚空を見上げていた。
 今の自分は変わらない。砕けた宝石の欠片に移る顔は、変わらず人間ではない青い肌、開いた口からはヘドロの涎が流れ出し、肌には消せない屈辱の文字が記されている。あのもしもの自分とは、とても似つかない姿だった。やはりもしもなどなかった、と彼女はまた暗いヘドロの如き心に堕ち、笑い声を漏らすのか、ように見えた。

「でも希望が見えた気がします」

 いや、違う。彼女の眼は違った。今はもう無い。だが、彼女はあの時確かに感じたのだ。反抗竜チタノが自分の本当の名においてこの体に降りた事を。つまり、完全に加護が失われた訳ではない可能性。勿論、もしもによる狂気が見せた幻かもしれない。けれど確かに、宝石は重力槍によって破壊されていた。それはかつて使い続けた彼女だからこそわかる証左。

「いつかまた元の反抗者に戻れるなら・・・」

 最近止まらなかった笑いをひっこめ、涎の出ていた口を引き締めた表情で彼女はまた歩き出す。あの時、確かに自分は反抗の心を取り戻した。そしてチタノも確かにここにいた。狂気なしで戻るにはその道行は果てしないものになるかもしれない。けれど、可能性があるのなら彼女は抗いたい、そう思った。今自分にあるヘドロに満ちた未来に、抗いたいと。足を止めずに、歩き出す。
大成功 🔵🔵🔵

秋月・充嘉


イフの自分っすか。
面白そうっすねぇ。とはいえ、何も考えずに突っ込むのもあれだし。
よし、【指定ユーベルコード】でウルフを召喚して、軽く説明して遠くにいるよう指示してから宝石に近づくっす。


もしも自分が、とあるオブリビオンの部下になっていたら

…俺はたしか主人のあの人に抱かれてたような?ああ、この宝石を持ち帰るよう言われてたっけ。
持ち帰れたらご褒美くれるし頑張らないと。
あ、でも、壊すようなことをしたらお仕置きしてくれるんすよねぇ。
俺にとってはどっちもご褒美だし、激しいのがいいから壊しちゃおっと。
主のお仕置き(ご褒美)、楽しみっすねぇ。

あれ、俺の主って誰だっけ?
そもそも誰の部下にもなってないような…?


●IF:もしも自分がオブリビオンの部下だったら

「イフの自分っすか。面白そうっすねぇ」

 秋月・充嘉(キマイラメカニカ・f01160)は狂気に堕ちるかもしれない案件だと把握はしていても、気楽にマイペースにそう呟きながら宝石の元へと足を進めていた。

「とはいえ、何も考えずに突っ込むのもあれだし……【助けて!狼お兄さん(オオカミオニイサンヨビダシ)】」

 だがそれは慢心とは違う。不測の事態に備え、大剣を担いだ狼獣人、通称ウルフ(仮)さん、を召喚した。

「かくかくしかじか、って訳で、俺がもしもに嵌っちまって宝石を壊さないみたいだったら宝石を破壊、だめなら宝石見ないで俺になんか刺激を与えて欲しいっす」
「へーへー、良いっスよ~」

 軽く状況を説明し、ある程度の指示をするとウルフは快諾し離れた所に移動。宝石ではなく、充嘉だけが見える位置で待機する。

「それじゃあ、俺のイフを見せてもらうっすかね」

 そうして彼は宝石を、その中に見える宇宙をその眼に捉えるのだった。



「……あれ?俺はたしか主人のあの人に抱かれてたような?ああ、この宝石を持ち帰るよう言われてたっけ……やれやれ、オブリビオンのお方は人使いが荒いっすね」

 秋月・充嘉(■■■■■■■■・f01160)は宝石を前にして、記憶が混ざったような妙な感覚に頭を振った。自分はあるオブリビオンの部下、つまりはオブリビオン(っすよね、多分)。確かフィールド・オブ・ナインというお偉方が動き出し、フルスロットルというのが世界を完全に終わらせる準備を進めている、らしい。オブリビオンである自分たちはそれをサポートする為に各地で猟兵たちの妨害を進めている。そして上司に告げられたのは確か、宝石の……はか……。

「いやいや、何言ってるんっすか。大事に持ち帰る事っすよ。持ち帰れたらご褒美くれるし頑張らないと。誰にも壊させないように……猟兵にも壊させないように……邪魔するなら容赦なくぶっ倒すっす……ふふ、ふふふ、ご褒美楽しみっすねえ……」

 怪しく充嘉が笑い、宝石を大事に抱えて運び出そうとする。もしもの狂気は思わぬ効果を呼び、今後の宝石破壊を更に困難にしてしまう--。

「げふっ!!」

 その瞬間、充嘉の頭に何かが当たった衝撃が走る。音のした方を見れば、そこにはこぶし大ほどの壁の欠片。

「一体誰っすか!猟兵ならただじゃ…………あれ?……あ、そうだ。壊すようなことをしたらお仕置きしてくれるんすよねぇ」

 その衝撃で更に思い出した。彼の主人は激しい気質でありやらかし等許さない。故に、もし壊したりでもした日にはそれはもう激しいお仕置きをされるに違いない。普通ならそれで絶対に壊さない様にしようと思う物だが。

「俺にとってはどっちもご褒美だし……どうせなら激しいのがいいっすよねえ……」

 顔を若干赤らめた充嘉。そっちの嗜好があるらしく、そんな都合のいい事を思い出したならば、彼にとって選択肢は1つだった。

「よし、うっかり壊しちゃった事にしてお仕置き(ご褒美)受けよっす」

 そう短絡的に考えて、あっさりと宝石を両手で握りしめると、その腕力を以て粉々に破壊する。オブリビオン(多分)っすからね。深く考えなくても仕方ないっすよね。

「主のお仕置き(ご褒美)、楽しみっすねぇ」



「…………あれ、俺の主って誰だっけ?そもそも誰の部下にもなってないような…?」

 正気に戻れば、手からは粉々になって落ちていく宝石の欠片。そして遠くを見れば、安堵したような顔でこちらを見ているウルフ(仮)さんの姿。

「あ、そっか……俺、壊す為の設定も呑まれそうになって……狼お兄さん、フォローありがとっす!」

 彼は志向性を利用し、自分が宝石を壊したくなる設定・方向性も用意はしていた。だがそれも狂気によって忘れてしまいそうになり、それをウルフ(仮)が咄嗟に近くの壁を砕き、それを充嘉の頭に投擲。イチかバチかではあったがそれが功を奏し、方向を修正することができた。

「え?この後一杯オゴりで許す?はあ……仕方ないっすねえ。高くないとこでお願いするっすよ?」

 軽くコヅきあいながら、充嘉とウルフ(仮)さんは宝石破壊を為した報告へと帰還を始めるのだった。
成功 🔵🔵🔴

夕闇霧・空音
【アドリブOK】
…私はダモクレス…資源略奪部隊長「ソラネ」…
人間からグラビティを得るために…
(両腕にガトリングを持って、人間を狩り続ける)

(そこにやってきたのは8人の敵…奴らの名前は…ケル…
その中にソラネの妹がいる…)
アマネ…我々の敵になったこと…許さない…!
(胸の傷が痛む、この怒りは一体どこからこみ上げてくるのか…)

激しい戦いが続く中で…
「なんで私と天音が戦わなければ…行けないの…?」
自分は天音のことをとても愛しているはずなのに…?

「そもそも私は人間なのに!
こんな姉妹同士での戦いなんて認められない!」
必死で天音に対しての思いをぶちまけてとにかく狂気を吹き飛ばす!

天音ぇ!!愛してるぅ!!


●IF:もしも地球を侵略する機械兵の1人だったら。

「…私はダモクレス…資源略奪部隊長「ソラネ」…人間からグラビティを得るために……あれ?なんで私はわざわざそんな作戦目的の確認を…?」

 両腕をガトリングで武装した機械仕掛けの兵、ソラネは作戦開始前に疑問を漏らした。彼女は地球を攻める機械兵ダモクレスの1人。今はその大規模侵攻作戦の為、それに必要なエネルギーを搾取する為に人間をホテルで虐殺しようと踏み込むまさに1歩手前だった。何故意味の無い事をしたのか、何かのバグが発生したのかもしれない、後で報告しなければ、と記録に刻み作戦行動を開始する。

「!?」

 だがそれを邪魔する者達がいた。次々と増えて、最終的には8人。その者達はケル■■■。人間たちを守る邪魔者たち。そしてその中にソラネにとって見過ごせない者がいた。

「……!! アマネ?」
「ううん。私は■■天音……もう『アマネ』じゃない……」
「アマネ…我々の敵になったこと…許さない…!」

 妹でありながら地球側につき、あえて性能を劣化させた裏切者。それがわざわざ自分を邪魔しに来たことに機械の自分は怒りを覚える。

(胸の傷が痛む、この怒りは一体どこからこみ上げてくるのか…)

 だが不可解でもあった。本当にこの怒りは、裏切られた怒りなのだろうか。何か、もっと違う、何かだったような……。


 ソラネと8人の戦いは熾烈を極めた。性能・純粋な力はソラネの方が上だ。だがそれを8人は連携、支援、作戦、数で補ってきた。ソラネの翼は欠け、損傷も致命的な物に達していく。だが、傷が出来る程追い詰められるほど、そしてアマネと交戦する程彼女には違和感が増していった。

(なんで私と天音が戦わなければ…行けないの…?)

 ダモクレスとしての自分は『当然だ』という。アマネは裏切った。だから殺さなければ。殺して人々を殺し作戦を達成せねばという。だが、違うという自分がいる。

(自分は天音のことをとても愛しているはずなのに…?……そうだ、愛している、愛している!違う、この私は、私じゃない……!)

 愛がもしもに亀裂を入れる。そのもしもにもあったのかもしれないが、それは機械としての全に呑まれてしまった。だが、自分は違う。自分はそれとは違うのだと。

 気づけば戦いはもう自分の完全な劣勢となっていた。相手の斧の一撃で膝をつくソラネ。そこに炎を纏わせた刀を向け、突っ込んでくるアマネ。そんな彼女の姿に、ついに違和感は限界を迎えた。

「そもそも私は人間なのに!こんな姉妹同士での戦いなんて認められない!」
「え……?」

 突然のソラ音の妙な言葉に、アマネの刀がその軌道をずらしてしまった。刀は本来刺さる筈だった場所を避け、空を切る。満身創痍の7人がまずい、と青ざめる。それは絶対的な隙。例え死にかけでもアマネに一撃を入れるだけならできてしまう。案の定、ソラ音は残ったガトリングの腕を向ける。

 ただしそれは、アマネではなかった。ホテルのロビーの天井にかかったシャンデリア。その中に紛れて輝く、狂気を放つ宝石の姿。

「私は天音が大好きだ!!これがどこかであったもしもでも、空想の中のもしもでも、こんなもしもは私が認めない!砕けろ!狂気の宝石!!天音ぇ!!愛してるぅ!!」

 ガトリング……いや、そう変形したユーベルチタニウム製サイボーグアームから発射された弾が宝石を過たず粉砕する。狂気は消える。本来が戻ってくる。そんな中、突然自分への愛を叫ばれて呆然としている天音が目に入った。

(ああ、そうだ……もしこれがどこかであったもしもなら、私が新しいもしもを作ってやる。例えここで覚める夢だとしても、そんな可能性を作ってやる)

「……許して貰えるとは思っていない。でも……貴方と一緒に、これからいてはいけないかしら……」

 新しいIF。妹に殺されるはずだった自分が、助かり妹と歩き出す……例え先に続かないとしても、彼女の愛は、そのIFをここに少しでも作りたかった。



「……任務完了、ね」

 夕闇霧・空音(凶風・f00424)は砕け散った宝石の欠片を見下ろし、武装を解除した。

「ああ、本当に、変な世界を見せられたわ……早く帰って天音に……」

 この話をしようか、それとも胸に秘めておこうか。それを思案しつつ、空音は去り際にちらと宝石の欠片を見やった。

(ごめんね、もしもの天音……でも私の世界はここなの……だから、さようなら……)

 例えもしもだとしても、妹に別れを告げるのはつらかった。それでも彼女は歩き出す。彼女の知る妹が待つ場所へ。
大成功 🔵🔵🔵

ナイ・デス
12年前、ソラと出会わなかったら……?
確かに、あなたを破壊(浄化)しない私にするには、そこを変えるしかないですよね
でも、ダメですよ
それだけは……地獄に落ちても、忘れない

私は、聖者
世界に選ばれた、世界を守る猟兵
そして――勇者の、パートナーです

普通の人間として生まれたもしもをみても
今も月に1回は神隠しに遭う『神隠し体質』ではないもしもをみても
もしもの私は、勇者に憧れる少女と出会う
聖者の力をみた少女に、勇者のパートナーに選ばれる
どれほどの狂気だろうと、そこは変えられない
だから

私はあなたを、破壊(浄化)します

それが良いことだと、私は思うから
『生まれながらの光』

さて。他のみんなも、助けにいきましょうか


●仮定排除:聖者は必ず勇者と出会う

「12年前、ソラと出会わなかったら……?確かに、あなたを破壊(浄化)しない私にするには、そこを変えるしかないですよね」

 全身から放つ生まれながらの光で宇宙の幼生の狂気を浄化しようとしたナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)に突きつけられたもしも。それは彼が彼であるという構成を崩すものだった。
 彼は神隠し体質で世界を移動し続ける漂流者。本体も無く在る異質のヤドリガミ。そんな彼はある少女に出会い、相棒と呼べる関係となりここまで一緒に戦ってきた。そんな彼にとって、もしも彼女に出会わなかったらというもしもはまさに生命線。この自分が自分ではいられなくなるかもしれない、とさえ思った。

「でも、ダメですよ。それだけは……地獄に落ちても、忘れない」

 でもそれは思うだけ。そうなるという確信は微塵も無い。

「私は、聖者。世界に選ばれた、世界を守る猟兵。そして――勇者の、パートナーです」

 それだけは確かな、自分と彼女を繋ぐ不変の運命。



 例え自分がヤドリガミではなく普通の人間として生まれたともしもを見ても。
 町中で曲がり角でぶつかったり、転校してきた彼女に出会ったり、図書館で勇者の小説を読みふける少女と出会ったり、必ず彼女と出会う。


 今も月に1回は神隠しに遭う『神隠し体質』ではないもしもをみても。
 世界を渡る技術を手にした彼女がやってきて、今は見知らぬ本体と出会う。


 宝石の見せる『もしも』はどんなものもどうしても、必ず彼女と繋がった。彼女がいない自分は確かにあり得ない。だが最早彼の運命はどんな世界を眺めたとしても、彼女と出会う以外には絶対無い。

「もしもの私は、勇者に憧れる少女と出会う。聖者の力をみた少女に、勇者のパートナーに選ばれる。どれほどの狂気だろうと、そこは変えられない」

 強固な意志は運命を自ら定める。恋の言葉にもこんなものがある。『例え自分はいくら生まれ変わっても、必ず彼女を愛する』。ナイが同じ感情を抱いているかはわからない。だが、彼もまた彼女に出会わない自分を認めないし受けいれることはない。

「だから、あなたを救います」




 彼が握るは力を失った、内在する宇宙の存在を失った、と見える白く染まった宇宙の幼生。浄化により狂気の失われた白い石。

 新しくそれを握りしめ、彼は再び他の猟兵らを含めた全てを救いに行く。聖者たる自分の在り方を為す為に。
成功 🔵🔵🔴

ミリアリア・アーデルハイム
邪神関係は、私もUDCアースでのお仕事でいくらか心得があります。混ぜ混ぜされる感じのあれですね!

徐ろに5円玉に紐を結び、目の前でゆらゆらしながら、
【忘却されし昔日の魔法】を自分に。

次にあなたが「宇宙の幼生」を見たとき、それが「襲い来ようとするでっかいゴキブ○」に見え〜る〜、と昔懐かし催眠術をかけますよ。
大丈夫、私は出来る子です!

こっちですね。動かない物を破壊するだけなんて簡・・・に゛ゃっ!?
なんか出た〜!!イヤぁっ、こっち来ないで〜!ひゃっ!?

魔法攻撃めったやたら乱射

やった・・・の?
まだ居っ雖後??b縺?鋸蠑√@縺ヲ荳九&縺??懊?ゅ≧繧上?繧薙▲?


●特攻速攻:少女に舞い降りた1つの地獄

「邪神関係は、私もUDCアースでのお仕事でいくらか心得があります。混ぜ混ぜされる感じのあれですね!」

 ミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)は気合を入れてそう言うと、五円玉に紐を結び、自分の前でゆらゆらと揺らしそれを見詰める。そして

「万物の基(もとい)成す奇(くす)しき力よ 我が願いの前に位相を定めよ。定めるは『惑わし』。【忘却されし昔日の魔術(エルダリーエンチャントマジック)】!」

 放ったのは光の剣。それは宝石に向かう、のではなく、Uターンをするとミリアリアの持つ五円玉へと命中した。だが、破壊はされずただ魔法の効果が付与されるだけ。そしてそれは彼女が任意で設定できる。

「次にあなたが「宇宙の幼生」を見たとき、それが「襲い来ようとするでっかいゴキブ○」に見え〜る〜。見え~る~」

 まさに古典的だが、これこそがレトロマジックと呼ばれる彼女が使った魔法の様式。これにより彼女は自分で自分に催眠術をかけたのだ。

「そしてあなたはこの事を一旦忘れる~。いち、にー、さーん!」

 念の為先入観を排除する為に、そう付け加えて彼女は暗示を終わる。五円玉を懐に仕舞い、彼女がすっと目を開ける。

「大丈夫、私は出来る子です!宝石を壊すだけなんて楽勝です!こっちですね。動かない物を破壊するだけなんて簡…」

 任務の一部だけを認識し、その方向を見やるミリアリア。そこにあったのは、ガラスケースと、その中にいる……黒い何か。

「に゛ゃっ!?なんか出た〜!!」

 嫌悪感しかないその姿。名前さえ語りたくないそれ。邪神だとかポーシュボス化としかそういう問題ではなく、語りたくも見たくも無いそれ。それが今まさに羽を広げてミリアリアへと……。

「イヤぁっ、こっち来ないで〜!ひゃっ!?」

 本能的に彼女は速攻で連続魔法を放った。それはもう一瞬見たかの速攻。これこそが彼女の策。宇宙の幼生の狂気とは、その中に内在する宇宙を直視してしまう事で起こる狂気。ならばその宇宙を認識せず、別の存在として視覚も脳も、記憶の上でもそう思ってしまえば狂気が働くことはない。耐えるでもなく受け入れるでもない、新しい対策だった。
 放たれた魔法は宇宙の幼生を打ち砕き、粉砕する。彼女は見事に宝石の破壊を成し遂げた。

「やった・・・の?あれ、でも、ま、だ……」

 彼女はあの何かを倒したと思い、辺りを見回した。見回して、しまった。

 彼女は宇宙の幼生という宝石を見た時、それと認識すると設定した。では、その宝石が飛び散った欠片。それもまた、効果は失ったとはいえ認識の上では宇宙の幼生とならないか。

 そうなれば、その欠片たちは、彼女にどう見えてしまうだろうか。


「居っ雖後??b縺?鋸蠑√@縺ヲ荳九&縺??懊?ゅ≧繧上?繧薙▲?!!??」



 スーパー戦車かな?という意味不明の言語が彼女の喉から発せられる。彼女が何を見たのか、この後彼女がどうなったのか、それはあえて語るまい。におわせた何かかもしれないし、暗示が解けて宇宙の幼生が発した僅かな狂気で言語がおかしくなったのかもしれない。

 ただ言えることは1つ。彼女に、1つの地獄が舞い降りた。それだけである。
大成功 🔵🔵🔵

神代・凶津
(全身にビッシリ結界霊符を貼った鬼面の巫女がワッサワッサと宇宙センター跡を闊歩している)
これだけの結界霊符を貼って結界術を展開して狂気耐性を引き上げれば何とかなんだろ。
退魔師が狂気に呑まれてもしもの自分ごっこなんてやるわけにはいかねえしなッ!
「……すごい最近聞いた気がするんですが。はぁ、またすぐこんな格好するとは思いませんでした。」
仕方ねえじゃん。実際有用なのは前回で証明されたしな。
「それはそうですが…またミノムシ…。」

相棒が結界の調整に集中。俺の攻撃が当たる直前に結界を消去。狂気が届く前に俺の攻撃で宝石を砕くッ!
タイミングは前回砕いた時に見切ったッ!
くらえ、大火炎大息吹ッ!


【アドリブ歓迎】


●徹底拒絶:帰ってきたミノ虫の金曜日

 宇宙センター跡をもっこもこした何かが歩いていた。そう、それは帰って来た者。以前より更にもっこもこさせ、気合を入れた鬼面をつけてのし歩く者。おお、一体どんなもしもで成り果てた猟兵だろうかーー。

「もうそのパターンいいんだよ!! こっちもそりゃそうだが、退魔師が狂気に呑まれてもしもの自分ごっこなんてやるわけにはいかねえしなッ!」
(……すごい最近聞いた気がするんですが。はぁ、またすぐこんな格好するとは思いませんでした。)
「仕方ねえじゃん。実際有用なのは前回で証明されたしな」
(それはそうですが…またミノムシ…)

 神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)とその身体である相棒、桜は全身を結界術符で完全ガードして宝石へと進んでいた。彼らは以前にも同じ案件に挑んでおり、その時も同じくこのミノムシ結界術符装備で挑んだ。結果、ギリギリではあったが狂気を退けて破壊に成功したのだった。なのでそれを更に強化、万全にして挑んできたのだが……。

「流石にこれだけ増やすと、ひきずるわ熱いわ動きにくいわ、すっげえな……」
(帰ったらすぐにお風呂入らなきゃ……)

 前回がギリギリだったので今回は更に結界術符を増やした。その結果更にもっこもこという桜としてはとてもつらい姿になり、更にいろんな問題も増えるという状態になった。だが、狂気に堕ちるよりは全然マシだ、とここまでなんとかやってきたのだ。
 そんなうちに、ガラスケースの前にまでたどり着く凶津。

「よし、着いたぜ。いいな相棒。手順は前と同じだ。術符も増やしたし恐れる事はねえ」
(うん…私達なら、やれる…)
「その意気だ……じゃあ、行くぜ」
「(いち、に……さん!)」

 凶津が宝石を見て、その中の宇宙を認識する。そして同時に桜の意識がその視界の途中に結界術を多重展開する。強力な狂気が視線を介して放たれるが、それを結界がいくつも犠牲になって食い止める。そしてそのわずかな時間に凶津が攻撃準備を整える。

「よし、撃つぜ相棒!」
(うん、お願い!)
「おう!オラァッ!くらいなッ!!【大火炎大息吹】」

 桜がすぐに張り直す間に準備を整えた凶津がその鬼面から火炎を放つ。そのままなら結界にぶつかってしまうが、桜が絶妙な寸前のタイミングで結界を消し、炎は狂気とすれ違う。狂気が凶津に辿りつく、その前に炎が宝石を包んで破壊する。それはまさに以前と同じだったが、経験した分、更にスムーズにお互い冷静に行う事が出来た。そして余裕があったが故に、凶津の目の前まで来た狂気も寸前で桜のギリギリ張った結界が消し去ることができ、まさにスコアを更新したかのような結果だった。

「ふう……間に合ってたろうとはいえ、ありがとな相棒」
(少しでも先には進まないと、ね…)
「は、違えねえな」

 もっこもこで帰る道行を考えないようにしつつ、2人は再びの破壊の成果を確かに噛みしめるのだった。
 
大成功 🔵🔵🔵

黒沼・藍亜
んー、例えば「エージェントにならず普通の人生を送る自分」とか?

……いや無理でしょ。
結局このUDCがボクの中にいる限り、
ボク側の精神的原因での不登校から始まり、
「きらいきらいだいきらい」の不完全発現という「怪現象」、
娘を心配した両親は偽霊能者に騙され借金を負い、
挙句邪神教団に捕まり儀式の贄にされかけボクの中にはUDC、
両親は庇って殺され……、ってのを嫌でも思い出すんだし

第一、その「日常」を壊した当人が「幸せな日常が続くif」に浸るなんて
……そんなの、例え神様が許そうと、わたし自身が赦す訳がない

写真入りペンダント(狂気耐性)を強く握ったまま
UCを使用、幼生も幻も全部纏めて自壊させてやるっすよ


●仮定否定:もしもなんて、赦さない

 宇宙の幼生を見た黒沼・藍亜(人間のUDCエージェント・f26067)に突きつけられたもしも。それは、普通の日常だった。両親と共に過ごすなんでもない日々。怪しい奴らなど来ず、両親がそれに耳を貸すこともなく、自分が普通に育った何気も無い日常。あれから自分の年齢になるまで普通に続いた日常が彼女の目の前に確かにあった。

「……いや無理でしょ」

 だがそれを、彼女は自らの身体から出てくる黒い風で打ち壊した。そして滲み出るのは、黒き「沼」。『昏く暗い黒い沼』という彼女と共に在るUDC。それ自身かはわからないが、それは彼女の中にずっと前からあった、と今は認識している。

「ボク側の精神的原因での不登校から始まり、「きらいきらいだいきらい」の不完全発現という「怪現象」」

 楽しかった学園生活、というもしもを黒き風が粉砕する。

「娘を心配した両親は偽霊能者に騙され借金を負い」

 両親と幸せに過ごす日常、というもしもを黒き沼が包み隠す。

「挙句邪神教団に捕まり儀式の贄にされかけボクの中にはUDC、両親は庇って殺され……、ってのを嫌でも思い出すんだし」

 つきつけられる平和なもしもを、彼女からにじみ出る黒きものが全て壊し、浸食し、やがて全てを黒に覆う。

「第一、その「日常」を壊した当人が「幸せな日常が続くif」に浸るなんて……そんなの、例え神様が許そうと、わたし自身が赦す訳がない」

 写真入りペンダントを握りしめる。それはまさに今あったもしもへ続く筈だった、日常の残滓。自身の罪の象徴であり、繰り返さぬ為の戒め。それがある限り彼女の魂は認めない。あの日常を、そこにいた両親を、全てを捨てて、自分だけで狂気と幻想の日常に浸る。それはまさに罪の繰り返し。両親を、二度も殺す新たな罪。そんなことは許さない。全てを壊した自分だけ幸せになるなんて、そんな事は--。


「【たとえかみさまがゆるしても】」
【「ワタシハワタシヲユルサナイ」】


 自己否定のこもった黒き風の嵐が周囲を包む。浸食し尽くした黒き世界のもしもも、どこかに混ざっていたであろう宇宙の幼生も全てを自身に自壊させる事で破壊し尽くす。その黒い風が荒れ狂う様は、まるでオブリビオンストームのようだった。ある一族が生み出した、螺旋と渦巻、死の渦。自壊を促すそれは、まさに別種の死の渦だった。



 宇宙の幼生も、もしもの世界も、全てが消え去った後の場所で彼女は佇む。

「終点、でしたっけ……?私の終点は、ここじゃないんっすよ……」

 彼女は進む。もしもに浸らず、もしもなど赦さず、ただただペンダントをきつく握りしめ、彼女は進んだ。その先に何を見据えているのか、それはきっと彼女にしかわからない。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年09月21日
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴