アポカリプス・ランページ⑮〜黒き炎が照らすモノは
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メンフィス灼熱草原――そう呼ばれるその場所は、かつてはミシシッピ川に面した大都市であった。
しかしそこには見る影も無く……黒き炎に覆われた死の草原と化していた。
黒き炎――それは己が心の弱さを映す鏡。
黒き炎――それは己が抱く恐怖の姿をとる幻影。
黒き炎――それは己が乗り越えるべき壁。
その草原に足を踏み入れる者を拒絶する黒き炎を乗り越え、その大地を踏破した者は存在しなかった。
――そう、今日この日までは。
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「皆、心の準備は良いか?」
その赤き髪をかき上げながら、巨漢のグリモア猟兵――テオ・イェラキ(雄々しき蛮族・f00426)はグリモアベースでそう語り掛ける。
テオによれば現在行なっている戦い――アポカリプス・ランページの次なる戦場であるメンフィス灼熱草原においては、猟兵たちの心持ちが重要となるらしい。
それはその地を覆う黒き炎が、見る者の知る「恐るべき敵の幻影」の姿とり、実体を伴って攻撃してくる為だ。
それが単なる敵であれば問題無い……だがあくまで幻影であるその存在に対し、恐怖と共に戦いを挑んだならば、その攻撃は全てすり抜けてしまうというのだ。
「皆には恐怖を乗り越えてもらわねばならん……だが皆であれば、きっと大丈夫だと信じている」
決して触れることの出来ぬ、しかし一方的にこちらへと攻撃をしてくるという幻影――しかし一度その恐怖を乗り越えたならば、その実体を伴う幻影を容易に打ち払うことが可能となる。
「皆の無事の帰還を信じている……皆、頑張ってくれ」
猟兵たちは戦場へと送り出される。
その表情に、恐怖と共に決意の色を浮かべながら。
きみはる
●ご挨拶
お世話になります、きみはるです。
出遅れましたがアポカリプス・ランページ、共に頑張って参りましょう。
●依頼について
敵は猟兵の「恐るべき敵の幻影」の姿を取ります。それに対する恐怖を乗り越えた時、初めて打ち倒すことが可能となります。
その為プレイングには幻影の内容、それに対する恐怖、そしていかにそれを乗り越えるのか、といった内容について記載をお願い致します。
もしも恐怖を乗り越えたならば、一撃で幻影を打ち払うことが出来ます。
●プレイング募集期間について
プレイング募集はタグにてご連絡させて頂きます。
なお、募集開始は9/9(木)8:31~とさせて頂きます。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『恐るべき幻影』
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POW : 今の自分の力を信じ、かつての恐怖を乗り越える。
SPD : 幻影はあくまで幻影と自分に言い聞かせる。
WIZ : 自らの恐怖を一度受け入れてから、冷静に対処する。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
グラディス・プロトワン
※アドリブ歓迎
滞りなく開発完了したエネルギー吸収機構を備えた人型ウォーマシン…もし存在したら俺の上位存在だ
試作型でしかない俺はいつかそれが現れるのを恐れていた
あらゆるエネルギーを吸収し、無駄なく自分の活動力に変換しながら戦い続ける兵器
恐怖の中の存在でしかなかったその矛先が俺に向けられる
俺に組み付き、ただの補給作業だとばかりにエネルギーを吸収するだろう
俺とは比べ物にならない変換効率に恐怖心が煽られ、反撃するがすり抜けてしまい焦りが募る
だが変換効率が良すぎるせいで吸収力が控えめな事に気付く
逆に俺は燃費が悪いせいで吸収力を重視した設計だ
この点については俺の方に分がある
そう考えれば恐怖心が薄らぐはずだ
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「滞りなく開発完了したエネルギー吸収機構を備えた人型ウォーマシン……か」
揺れ動く黒き炎がゆっくりと形作る様子を眺め、グラディス・プロトワン(黒の機甲騎士・f16655)はそう言葉を零す。
彼の眼前で形作られるは、己と瓜二つの黒き鎧を身に纏った騎士――古代帝国において製造された人型ウォーマシンの姿があった。
知らぬ者が見たならば、その差など分かりはしないであろう。
だがグラディスは感じていた――己と同じように眼前の幻影が、周囲からエネルギーを取り込み吸収しているということ。
それは存在しないはずの幻影。
己が弱気心が生み出した偶像。
眼前の機体を流れるエネルギーの淀み無さが、存在しないはずの己の上位互換である“完成品”という言葉をグラディスの脳裏に突きつける。
「俺の後継機など……」
既に滅びた帝国に開発された機体など存在しない。
確固たる事実を己自身に言い聞かせながらグラディスは剣を振るう。
本来であれば切り伏せた相手のエネルギーを抽出する両手剣――サイフォンソードが幻影をなで斬りにするも、しかし手ごたえは無かった。
完成品――プロトタイプである己にとって、それは自分自身の存在を否定するもの。
眼前の機体が存在することこそが、己が既に無価値なのだと……役目は終わったのだと、そう言われているような気がして。
歩み寄るその姿に反射的に拳を振るうも、しかし決して幻影を捉えることは無い。
組み伏せるように己が身体を押さえつける幻影の瞳が、怪しく赤く輝く。
エネルギーを吸われる感覚がより一層の恐怖を駆り立てる――だがその感情と共に一つの疑問が、グラディスの脳裏に浮かんだ。
(これは……変換効率が良すぎるせい、か?)
低下し続けるエネルギー残量が、しかし想定程に減るわけでも無いことに疑問を覚える。だがそれが高められたエネルギー効率故の結果であるならば、己ほどのエネルギー吸収能力が無いことにも理解が出来よう。
「ならばこの点については……俺の方に分がある」
完成とは――最強と同意義では無い。
そう心の底から理解できたその時……グラディスは己が感情と共に周囲から取り込むエネルギー吸収量が増加していく。
「さらばだ」
全身を赤く輝かせ拳を叩きこんだその時――黒き幻影は露と消えた。
大成功
🔵🔵🔵
栗原・獅子丸
恐るべき敵…俺にとって、恐るべき敵って何だろう…?
戦いは平気、強い敵は大変だけど平気。じゃあ、いったい?
あれって…?
兄、貴…?
ちがう、だって兄貴は、この世界にいない、いない、はず…!
だったらこれが、俺にとっての、恐るべき、敵?
やめ、くるな…言うな…!
兄貴の声で、俺のこと、いらないなんて言うな!!大嫌いなんて言葉、聞きたくない!!!
会いたいんだ…!俺は兄貴に会いたいんだ!会って言いたいこと沢山、沢山あるんだ!だから…!
だから俺は、ここにいる兄貴の幻を倒す!
ああ、怖いさ!嫌われたかも、もうどこにもいないかもって!
そういう不安や恐怖が目の前の幻になったっていうなら!
乗り越える。乗り越えてみせる!
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「恐るべき敵……俺にとって、恐るべき敵って何だろう……?」
そう疑問を口にしながら、栗原・獅子丸(片割れフランケン・f16684)は黒き炎が揺らめく草原へと足を踏み入れる。
フランケンシュタインたる己にとって、戦いなど恐怖を感じる原因足り得ない。
強敵とて、打ち勝つことに苦労はあれど同様だろう。
ならば……この灼熱草原はいったいどのような幻影を見せるというのだろうか?
「あれって……?」
恐怖の象徴を想像出来ないが故に、獅子丸は半ば楽観的に戦場に立つ。
しかしその身体を電流が走ったかのように、獅子丸は身動きが取れないでいた。
「兄、貴?」
吹き出ないはずの冷や汗が垂れるような……動かないはずの心臓が激しく脈打つかのような感覚。
混乱と共に脳内にあふれ出る情報の全てが、眼前の光景を否定する。
「ちがう、だって兄貴は、この世界にいない、いない、はず……!」
死んだはずの兄がこの場に存在するはずが無い。
ならばこの光景の意味することとは――眼前に立つ彼こそが、己が恐怖の象徴ということ。
彼こそが……恐るべき敵、ということだ。
「やめ、くるな……言うな……!」
眼前の幻影は微笑みと共に歩み寄る。
しかしその口から放たれるのは――罵倒、否定、拒絶。
その全ての言葉が、獅子丸の足を竦ませる。
「兄貴の声で、俺のこと、いらないなんて言うな!! 大嫌いなんて言葉、聞きたくない!!!」
咄嗟に膝をつき、耳をふさぎたくなる。
幻影が映す姿が彼の記憶にある兄と瓜二つであればあるほど、己が心がズタズタに切り付けられるかのように傷ついていくのを感じるのだ。
だが同時に――心の底から想う。
眼前の兄が幻想でしかないのだと……己を否定するはずが、無いのだと。
「会いたいんだ…! 俺は兄貴に会いたいんだ! 会って言いたいこと沢山、沢山あるんだ! だから!」
だから震える膝を殴り、歯を食いしばり立ち上がろう。
だから勇気を振り絞り一歩踏み出そう。
「だから俺は、ここにいる兄貴の幻を倒す! ああ、怖いさ! 嫌われたかも、もうどこにもいないかもって! そういう不安や恐怖が目の前の幻になったっていうなら!」
恐怖が無いとは言えない。
でもそのままに、見過ごすことも出来ない。
何故なら――愛する兄を、愚弄されるままに……弄ばれるがままになど、するわけにはいかないのだから。
だから出来る――出来ると、そう信じる。
「乗り越える。乗り越えてみせる!」
この恐怖を、乗り越えられるのだと。
大成功
🔵🔵🔵
マオ・ブロークン
……おそろしい、こと。たくさん、あるけれど……
今、直面して、いる、のは。この、世界の、終わり。
過酷で、満たされず、荒れ果てた……クソみたいな、世界。だけれど。
スケールの、大きな、風景。生きている、ひとたち。
あたしの、第二の、生が、根ざした。第二の、故郷だ。
大きな、嵐が。
ヴォーテックス、たちを、色んな、レイダー、たちを……
この、大地の、死を、象徴する。
巨大な、オブリビオン、ストームの、影が。襲って、くる。
……あたしは。
ただの、ひとでは、なくなった。
無力に、転がる、死体、でも、ない。
この足で、なんとか、立ち上がって。世界を、守る、ものだ。
大嵐、だろうと……吹き飛ばして、やる、まで!!
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「……おそろしい、こと。たくさん、あるけれど……」
黒き炎が広がる死の草原を見つめ、マオ・ブロークン(涙の海に沈む・f24917)は静かに涙を零す。
彼女にとって、思考が沈むことなど……何かに恐怖を覚えることなど、日常茶飯事。
故に何が恐怖の象徴として現れたとして、決して驚きはしないけれど……。
「今、直面して、いる、のは。この、世界の、終わり」
だがそれでも、今直面しているこの戦いにおいて――この世界の聞きにおいて、何が一番恐いかと言えば、世界の崩壊と言えよう。
「過酷で、満たされず、荒れ果てた……クソみたいな、世界。だけれど」
あの日のようなキラキラとした日常は無い。
甘いスイーツも。
キラキラとしたアクセサリーも。
あの日の淡い恋心も。
その全てが二度と手に入らない、何もかもが足りない――クソみたいな世界だけれど。
それでも今を生きる自分にとっては……この地で生き、多くの人間と関わりを持ってしまった今の自分にとっては――。
「あたしの、第二の、生が、根ざした。第二の、故郷だ」
もうこの荒廃した世界こそが――故郷なのだ。
このクソみたいな世界こそが――現実なのだ。
「……あたしは」
故に幻視するは――世界の破滅。
大きな砂嵐として現れるは――凶悪なレイダーたち。
大地の死を象徴するオブリビオンストームが視界すべてを覆いつくし、彼女の全身を蝕んでいく。
「あたしは……ただの、ひとでは、なくなった」
怖い。
唯々怖い。
もはや人間ではなくなった自分にとって……この世界こそが生きる場所。
この場所すら失ってしまったなら、動く屍となった自分を受け入れてくれる世界など何処にあるというのだろうか?
だからこそ、この世界の破滅が怖いのだ。
「でも……無力に、転がる、死体、でも、ない」
だが同時に、こうも思う。
自分は決して――無力では無いのだと。
「この足で、なんとか、立ち上がって。世界を、守る、ものだ」
だからこの恐怖だって乗り越えて見せる。
自分の居場所は……自分で守って見せる。
そう己が心を叱咤し、震える膝に力を入れ、マオはその手を突き出すのだ。
「大嵐、だろうと……吹き飛ばして、やる、まで!!」
覚悟と共に張り上げられる大声。
次の瞬間――辺りを閃光が覆った。
大成功
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