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バラバラな一繋ぎの事件、その顛末

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●とある怒りの二本立てプラス1
 キマイラフューチャーでは、今、とある出来事が問題となっていた。
 一つは、正体不明の怪人の投稿した動画の大ブーム。
 一つは、不思議なインクを使ったボディペイントブーム。
 音楽を放っておいても、と思うかもしれないが、怪人が人気を取るのは全くよくない。
 ボディペイントに至っては、時間経過で固まってしまい、
「うわぁーん僕の毛並みがァー!」
 とこのように、動画を撮影していたみんなが困ったことになっている。
「あーとれないあーっ……あ、いいねたくさんありがとー!」
 ……困ったことになっている!

●そんなこんなで
 グリモアベースの片隅に、少女はいる。
 いつもの場所、背もたれの無い椅子に腰掛け、猟兵達を見つめる肆陸・ミサキ(狩られるモノ・f00415)だ。
 ふと、これまたいつものように集まってきた彼らにミサキは笑いかけ、そして、
「やぁ、遅かったね。僕、待ちくたびれちゃったよ」
 と言って迎える。
 ぴょん、と椅子から飛び降り、いいかな? と説明を始めるミサキは笑った。
「いいかな、みんな。現場はキマイラフューチャー、解決すべき問題は二つ……もしくは三つだ」
 なんともあやふやな言葉だが、予知といっても完全ではないのだから仕方ない。
「僕がわかるのは二つ。一つは怪人による音楽ブームの訪れだ。自分で歌ったり演奏したりで再生数を稼いでるんだって。ちなみに音ズレはしてないよ?
 今のは訪れと音ズレをふふっ、かけてるんだけれど、く、ふふふ……ああごめんごめん笑いは堪えてね」
 誰も笑っていないがおいておいて。
「二つ目は、不思議なインクの話。正直、音楽ブームには同じく音楽で返すしかないけれど、こちらは違う。出所を追えば、犯人の怪人にたどり着けるはずなんだ。たぶん」
 恐らく両方とも同じオブリビオンによる犯行だと、ミサキはそういう。
 そしてそれを食い止めるために、音楽ブームを猟兵の手で塗り替え、不思議なインクの出所を探しだし、オブリビオンを倒してしまう。
「まあ、オブリビオンにたどり着くまでは、少しアトラクション見たいな気分かもね? 少しは楽しんでも、バチは当たらないんじゃないかなぁ、うん」
 そうだといいなと、少女は頷く。
 そうしてグリモアを出して、世界を繋いでいつものように言うのだ。
「じゃ、みんな。世界、救っちゃおうね」


ぴょんぴょん跳び鯉丸
 遊びましょう、そんな依頼。
 かと思いきやそんなことないです、ちゃんとしっかり事件です。
 とはいえ説明の必要もないのも事実、事件を解決しながらボスの足取りを追いましょう、そういうことです。
 また、一章と二章は冒険、三章がボス戦なので、クリアに必要な🔵数に気を付けてくださいね。
 それではレッツ……なんだろうタイム。
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第1章 冒険 『到来、音楽観賞ブーム!?』

POW   :    派手なロックで場を支配しよう!

SPD   :    ポップで明るく楽しく、ノリノリでいこう!

WIZ   :    クラシックで美しく聞き惚れさせよう!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

カタリアンナ・バソリー
※移動は腰かけた椅子をテレキネシスで浮かせて行うほか、
大体の事は超能力で行い、身体をあまり動かしません。

音楽ですか…馴染みがあるのはクラシックくらいですから、
必然的にWIZで挑戦することになりますわね。

2つ3つの楽器を並べ、少し離れたところに椅子を下ろしたら準備は完了。
念動力で楽器の弦を弾いたり、鍵盤を叩いたりして、手を触れずに演奏しますわ。
音楽に合わせて右手を軽く動かして、指揮者の様に振舞います。
得意なわけではありませんが、自分で演奏するのも楽しいものですわね。


音楽は心を潤し、日々の生活を豊かにしてくれますわ。
仮初のブームだったとしても…ほんの少しくらいは、根付いてくれるといいですわね。


フルール・トゥインクル
音楽と不思議なインクなのですか
インクですと私、びしょ塗れになったら飛べなくなりそうなのです
でも先に音楽です!

こう見えても楽器弾けるのですよ?
桜のハープで森をイメージするようなクラシックの音楽をメドレー風味で奏ででいくのです
出来そうだったら片手間にちょっとだけ雰囲気に合った花や樹を生やしてみたりして夢中にさせちゃうのです

一通り演奏したら「ありがとうございましたです」ってペコっと一礼して……あ、帽子が落ちたのですぅ!?
最後に恥ずかしいところを見せちゃってもちゃんと胸は張りますですよ、恥ずかしいですけど!



「音楽、ですか」
 カタリアンナ・バソリー(サイキックプリンセス・f12516)は思案していた。
 依頼でやって来たは良いものの、はて、何を奏でましょうか、と。
 提示されたのは、ロック、ポップ、クラシックの三種類だ。
「……クラシック、くらいですか」
 唯一、馴染みがある音楽を選択すべきだろうと、そう思う。
 腰かけていた椅子に、浅く座り直して、三つの楽器に向き直る。
 ヴァイオリン、ティンパニ、ピアノ。最低限、クラシックらしく魅せる楽器達だ。
「……」
 左手を軽く、右手を高く上げる。
 それに会わせ、ヴァイオリンは弓を当てて浮かび、ティンパニのスティックは面の上で震え、ピアノの鍵盤はその時を待っていて、その横に小さなハープがある。
「……おや?」
 ハープ……?
 カタリアンナは首を傾げた。
 用意したかしら……。
 香る匂いは桜のものだ。ハープの頂点から咲く桜の枝花から漂っているのだろうと思う。
 ……やっぱり、用意していない。
 そう思っていると、ハープの前に座る人影がある。
 フェアリーの、フルール・トゥインクル(導きの翠・f06876)だ。
 視線に気づき、ふわりと笑うと握りこぶしを作る。
「ーーええ、それでは、始めますわね?」
 問題ないのであれば、奏でるだけだ。
 まずは、ヴァイオリンへと合図を送る。
 ゆっくりと、弓を引く。念力で弦を押さえ、震える音色は抑揚の抑えた曲調だ。
 それに合わせて、フルールはハープのラインに指を滑らせる。
 同じ弦を扱う楽器でも、その音色は全然違う。
 だからこそ、重ねた波は耳に優しく、鮮烈に響くのだ。
 そこに、ピアノの音が混ざる。
 カタリアンナはそこで、ヴァイオリンの譜を少し減らし、ハープとピアノでの音をメインに据えて、一際強いところへティンパニの鼓動を鳴らす。
「……ふふ」
 落ち着いた音色に反して、フルールは心が弾む。
 その感情へ連れられる様に、辺りには花が咲いていった。
 落ち着いた色合いを選んだ、たくさんの花だ。
 それらが曲調に合わせて、踊る様に宙を舞う。
「心の潤い、生活の糧となりえるもの。それが音楽ですわ」
 指揮のように指を振り、奏でるカタリアンナは思う。
 これが、仮初めではなく、この世界に根付いてくれればいいのに、と。
 そうして終わりの一音。
「ありがとうございましあっ」
 ぺこりと一礼したフルールの頭から帽子が落ちた。
 慌てて拾おうと、落ちていくそれを二度、三度。
 遊ぶように手を掠めていく帽子を四度目でキャッチして、彼女ははにかんで笑い、もう一度。
「ありがとうございました!」
 言い直して演奏を終えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

橘・焔
○心情
ミサキちゃん、ギャグのセンスはイマイチ…と(メモ
一見平和そうなこの世界でも闇の根は着実に根付いてる…か

…で、何をどうすんのさコレ?

【SPD】※アドリブ・合わせ歓迎
この世界は芸能とか動画配信とかが発達してるだっけ?
歌には自信がないので他の猟兵達が作った(歌った)のに便乗して「踊ってみた」的な?
…少し仕込みをして

小柄な体躯を存分に活かし、ニュージャックスウィングのリズムに合わせて軽快なムーブ
無論、こんな服装だから見えそうで見えないチラチラ感満載
あっ、今何か見えt…
「…残念、それはペイントだ」
大事な部分はハート型のボディペイントで見えないようにしっかりガード

「…こんなんで何か引っかかるかな?」



「……こんなんで何かひっかかるのかなぁ?」
 ぺたぺたと、仕込みに勤しむ橘・焔(転生のオデュッセイア・f01608)は、目的の見えない事件に首を傾げていた。
 謎の音楽に、謎のインク事件。
 ミサキが伝えた情報はわかるが、理解は出来ない。
「……というか、ミサキちゃん、ギャグセンス皆無だったかぁ」
 音ズレの訪れはさすがに無いだろ。
 思うが、本人のあのウケっぷりは突っ込むのも心苦しい。
「うん、こんなものか」
 と、その間にも細工は終わる。
 ボディペイントだ。
 これから、焔はリズムに乗せて踊る。そうすると、オーバーオールだけの姿では、激しい動きで危ないボーダーラインを越えてしまうかもしれないのだ。
 決して、次に控えているインク事件を先取りしているわけではない。
「チラリズムガード、だ」
 はて、さて。
 歌の適性は少ないと、焔は自負している。
 故に、魅せるならばその体を使うと思い当たるのは当然の事だ。
 そして、するならば。
 ニュージャックスウィングのスタイルが好ましいだろうと思う。
「さて……?」
 どうせなら、同じ猟兵が演奏したものをバックにしたい。
 先程みたクラシックは、今からやろうとする軽快な、テンポの速い動きには合わないだろう。
 だから探して、そして見つけた。
「……これだな」
 動画の向こうに、彼がいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイ・クロッシュ
POW…ロックを奏でる……よ。
と言うか……私の楽器は……その選択しか……無いと……思うかな。

私は…ギターとベース……JBDはキーボード……WDはドラムを……準備をして……行くよ。

曲は……地の底から迸る……様な……猛り狂った……様な激しい曲。衣装は……少しファンタジー系の……ものに。(参照参考) 私の力強い歌声と……楽器達の音が……響いて……心地よかったら……嬉しい。

ラストには……錬成カミヤドリで……ギターを左右に展開させて……ステレオ音響に。更なる……振動で……心も揺さぶるよ。

曲が終わったら……1人と2体で……お礼。と……ありがとう……だよ。の言葉を……送るよ。



 彼は、三人でいた。
 ベースに繋いだバンドを肩に掛け、手に持つレイ・クロッシュ(紅と漆黒と白と・f10130)だ。
 左右に白と黒、二色のクマキグルミを待機させている。
 キーボードの前に白が立ち、ドラムの前に黒が座っている状態だ。
「……」
 カンッ、カンッ、とドラムスティックが掲げられ、打ち合わされてリズムを取る。
 タイミングの合わせ、それが四度。
「ーー!」
 レイの歌い出しと共に、重低音のメロディーが起こる。
 幻想を思わせる衣装、左右にファンシーさを感じる着ぐるみ。
 そんな、ギャップを叩きつけられる様な見た目と演奏の乖離はしかし、見るものからして不快ではない。
 響く。
 腹がズシンと、重くなる音だ。
 マイクに向かうレイの声が、ラストに近づくに連れて激しさを増し、気づけば両隣にギターを浮かばせていた。
 響く。
 いくつもの音の波長が重なり、ハーモニーを際立たせて魅了する。
 そうして、弾き終わりの余韻。
 長く伸びる弦の震えを指で滑らせ、一息を吐いてカメラに向かう。
 先程までの激しさを、静かな表情で隠し、
「……ありがとう、だよ」
 一礼をして終わりとした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『固まるペインティングで大騒ぎ!』

POW   :    ボディペインティングを試してみる

SPD   :    ペンキの出どころを足で探す

WIZ   :    ペンキに新たな魔力を加えてみる

👑11
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「ひゃわわー!」
 悲鳴が轟いていた。
 ……悲鳴?
 とりあえず響いていた。
 それは、謎のインクにまみれたキマイラ達の愉快な声だ。
 なんだか、それは、被害なのか、よく、わからないが。
 裏にオブリビオンの気配がするゆえに、探らねばならない。
カタリアンナ・バソリー
※アドリプ歓迎です。

今回もWIZでの判定ですわ。

ですが、ボディペイント…?キマイラフューチャーには毛皮の方が多いのですから、
塗るより染めた方が綺麗に仕上がるのではないかしら…。

問題のペンキの傍に椅子を下ろしますわ。
傍に浮遊させた杭の先端で指に傷をつけて、流れた血を小分けにしたペンキに垂らして。
ユーベルコード”チェンジバット”の応用で、ペンキと混ざった血を小型蝙蝠に変化させますわ。
後は蝙蝠の動きを見て、何か変わった事がないか見守るだけですわね。

ああ、それと。ペンキの混じった蝙蝠は私に戻さずに処分しますわ。
どんな影響があるか分かりませんものね。



「ボディペイント……?」
 件のペンキがたっぷり詰まった缶がある。
 その隣、座った椅子をふわりと浮かせてカタリアンナは居た。
 チラリと見るのは、ペンキを使って遊んでは悲喜交々の反応を見せるキマイラ達だ。
 色鮮やか……鮮やか?
「ともかくとして」
 鮮やかではないが色は多く、とにかくカラフルだ。
「……毛皮の方が多いのですから、塗るより染めた方が綺麗に仕上がるのではないかしら」
 なにせカピカピだ。
 粘着性のある液体にまみれたキマイラ達の毛はくっつき、固まり、ごわっとした触り心地の悪いものに仕上がっている。
「ええ、まあ、害としては可愛いものでしょう」
 かといって放置するかと言えばそうでもない。
 調べてみよう。
 と、ペンキをいくつかの小皿に移す。
 そして、その上に指をかざした。
 指の先端を、浮かせた杭で傷つけ、滲んで零れる赤色をそれぞれに混ぜ合わせる。
 すると出来上がるのは、ペンキを孕んだ小型の蝙蝠だ。
 それらはいつものように宙を羽ばたき、そしてしばらくのあと。
「……なるほど」
 完全に固まったそれは墜ち、砕けるようにして散った。

成功 🔵​🔵​🔴​

シエナ・リーレイ
テフラ(f03212)と同行【POW】

沢山かけた方が勝ちで良いの?とシエナはテフラ君に確認します。

唐突にテフラ君とペンキのかけあう勝負をする事になったシエナ
彼が用意してくれた『しえな』の名前入りスク水に着換えたら勝負開始です

こうなったら奥の手だよ!とシエナは応援を呼び出します。

最初は互角ですが相手は一応男の子、ペンキに塗れるにつれてシエナは劣勢になるかもしれません
意外と負けず嫌いな彼女は密かに物陰に呼んでいたお友達に援護を要請して逆転を狙うでしょう

あれれ?動けないよ?とシエナは困惑します

勝負を続ける内に全身ペンキ塗れなシエナは動けなくなってしまいます
どんなポーズで固まるか神のみが知る事でしょう


テフラ・カルデラ
シエナさん【f04107】と同行

ボディペインティングが気になったので…彫像の真似とかできそうですし是非やりたいですぅ!
あわよくばこの騒ぎにボスが現れるといいですぅ…一応目的は忘れてませんよ?

どうせペンキまみれになるのですからスク水(女子用)で参戦!
刷毛で塗るのは面倒くさいので…自らバケツをひっくり返してペンキを浴びつつもシエナさんにもぶちまけちゃいます♪
なんだかんだ楽しんでいたら身体が強張ってってきて…え?これ固まっちゃうんですか?よく見たら周りのキマイラさんたちも固まっている!?
突然だから咄嗟に取ったポーズ…あっ、これ割と恥ずかしい!?ポーズ変えたい!!
でももう完全に固まって…動けな…あっ…




 スクール水着というものを知っているだろうか。
 キマイラフューチャーからしても昔。人が人として在った頃の、水泳用の着衣のことだ。
「たくさんペンキをかけた方が勝ち……? そうシエナはテフラ君に聞きます」
 確認の声をあげたシエナ・リーレイ(年代物の呪殺人形・f04107)は、件のスクール水着を着てそこに居た。胸にはひらがな三つで【しえな】と書かれている。
「そうですよ? そうですよ!」
 返事は同じくスクール水着姿のテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)からだ。
 ちなみに用意したのも彼で、というか彼はスクール水着……女子用のそれを着用するのは大丈夫なのだろうか。
「しゅみ?」
「しゅみだね!」
「しゅみかぁ……」
 周りで遊んでいるキマイラ達が、二人の姿にそんな感想を抱いていた。
「……や、目的! 目的は忘れていませんよーぅ?」
 その通りだ。
 騒動の元であるボスを見つける、誘き出す、そういう本質を忘れてはいない。
 いないが、それとこれとが両立出来るなら両立させようとするのもまた、普通の思考だろう。
「彫像の真似とか、出来そうですぅ……!」
 ただ、彼の趣向は、少し普通ではないのかも知れなかった。


 ともあれ開戦の時は来た。
「ではどーん!」
 先手はテフラだ。
 ペンキの缶をひっくり返し、自分自身にぶちまける。
 その過程で、シエナにもそれを引っ掻けーー勝敗とはなんだったのかーーとにかく楽しそうにカラフルを撒き散らしていく。
 反撃に出るシエナだが、男の子の元気溢れる動きに、次第に押され始める。
「これは、少々まずい。と、シエナは察しました」
 負けられない戦いがそこにある。
 かはわからないが。
 負けず嫌いな彼女はとっておきの作戦を実行する。
 ユーベルコードによる軍勢の召喚だ。
 その数……とにかくたくさん。
「それ、総攻撃です。シエナは勇壮な感じで指揮しますね?」
「うわわ、数が多くて……!」
 四方八方からペンキが飛び散る。
 それから身を守るようにテフラは両手を翳し、やりましたねーと反撃に出ようとして、
「あれ……?」
 動かない体に気づいた。
 視界の端に映るキマイラ達も、謎の動きで固まっていて。
「もしかしてこれどうしようもなーーあっ、すごい変な格好! ポーズ変更を要求しますぅ! あ、うごけな、うごーー」
 二人はしばらく、指揮するものとヤラレルものに別れた格好で、固まっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カタリアンナ・バソリー
SPDで判定を。


(蝙蝠が砕け散った跡と、固まったキマイラたちを交互に見て)
なるほど。このペンキは乾燥すると、強い力で固まってしまう性質があるのですわね。
問題はキマイラたちを固めた後。怪人の目的ですが…
音楽とペンキ人形、何の関連があるのかしら?
(しばらく、固まった人達はほったらかしで思案)

ともかく、ペンキの出どころを探してみますわ。
あそこに沢山いるキマイラたちの中に、きっとこの場にペンキを持ち込んだ者もいるはず。
固まったおかげで移動もしていないはずですわ。

…助けてほしい?
では、このやすりで全身くまなく…ふふふ。冗談ですわ。
(ペンキ剥がし材の入った缶を念動力で持ち上げ、ざばーとかけてやる)



「ーー」
 浮かせた椅子に掛けた腰を、深めに座り直す。
 両肘を膝について、手を組み、そこに顎を乗せたカタリアンナは、静かに沈む。
 深い思考、その奥へ。
(……なるほど)
 ぼんやりと、視界に二つのものを納める。
 まず考えるのは、ペンキの性質だ。
 時間経過による乾燥で固まり、一度そうなると簡単に剥がせない程に強力になる。
 それは砕けた蝙蝠の跡に、固まったキマイラと猟兵二人を見れば一目瞭然だ。
 だが、わからない。
「音楽とペンキ……関係性は一体……?」
 繋がる糸が見つからないのだ。
 いや、もしかしたら、関係無いということが答えなのかーー
「タスケテぇー!」
「ーーああ、そうですわ、そうでした、ええ」
 犯人を捕まえればそれははっきりするだろう。
 そして、そのための手がかりは、すぐそこにいる。
「助けてほしいですか?」
 ブンブンと頷く……いや固まって頷けないがそんな気持ちの視線を返され、カタリアンナはにっこり笑って。
「ではこの荒い目のヤスリでくまなく削り落として」
「ヒェッ」
「冗談です、ふふ」
 ペンキ剥がしの液体を、頭から注ぎ落とした。
 そうして、
「では、教えてくださいませ。このペンキ、どこで?」
 本格的な捜査を開始した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪華・グレイシア
【SPD】

楽しそうなのはいいですけど、私はちょっと遠慮したいでしょうか……
直接触りたりして、汚れたくはないですし
足で地道に探していきましょうかね

まずは遊んでるキマイラさんたちから話を聞いて【情報収集】
友達がペイント遊びに興味があるらしくて、どこでそのインク貰えるのかなーって皆で聞いて回ってるんです
よければ教えてもらえませんか?

話を聞いて回って、出所の辺りがつくようならそこへ
情報不足ならキマイラさんたちの遊んでいる場所を見て回りますよ

雪姫も召喚して、一緒に情報探しですっ

怪しい人を見かけたら、【目立たない】よう身を隠しながら、【忍び足】で【追跡】です



 楽しそうだけど触りたくはない。
 戯れを続けるキマイラ達を見ながら、雪華・グレイシア(アイシングファントムドール・f02682)はそう心中で思う。
 ……汚れたくは無いですしね。
 曖昧な笑みを浮かべて頬を掻きつつ、しかしただ見ているだけの時間は終わりだ。
「すみません、ちょっといいですか?」
 愛想のいい笑みで、固まる前の元気なキマイラ達に声を掛ける。
 固まってしまってからでは、質問どころではなくなってしまうだろう。だから、最優先すべきは本題だ。
「なんだいおにーさ……おねーさ、おにいさん!」
「楽しいところごめんなさい。えぇと、実は友達がですね、ペイント遊びに興味を持っているらしくて。そのインク、どこで買えるのかなーって」
 出所さえ掴めば自ずと犯人の尻尾をつかめるはずだと、そう思う。
「それならね、それならね、配ってる人に聞くといいよ!」
 幸いなことに、コイツは当たりだ。
 存外、解決は早いのかもしれない、と。
「ええっとあの人は……あれ、あの人って誰だったっけ、あれ、あれぇー?」
 思ったのだが、なにやらそう簡単ではなさそうだった。
 ただ忘れた能天気、というわけでもなさそうで、そこには何かしらの理由が見え隠れしている。
「……けど、尻尾は掴んだかな」
 その後、幾つかの話を聞き、雪華は発生源の中心へと足を進めていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『キリ』

POW   :    縁切断(物理)
【手刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    縁消去(物理)
【何らかプラス】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【狛犬のような自動砲台】から、高命中力の【その感情を抱いた時の記憶を消す光線】を飛ばす。
WIZ   :    ただの八つ当たり
【なんかムカついた】から【強烈なビンタ】を放ち、【あまりの理不尽さからくる動揺】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠カスミ・アナスタシアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「たのしかった?」
 たどり着いた先は、広場だった。
 公園の様な広場、その中心に、そいつはいる。
 猟兵を迎え、首を傾げながら問いかけた。
「歌とか、楽器とか。ペンキで遊ぶとか」
 たのしかったか、と。
 問いかける声音は、どこか怒りを含んでいる。
「どっちでもいいや。どうせ、今からその縁も感情も、切るから」
 そうして、そのオブリビオンは、猟兵へ襲い掛かった。
 
カタリアンナ・バソリー
POWで判定を。

ええ、思いがけない合奏ができて楽しかったですわ。
ペンキで固まったキマイラたちも、見世物としてはまあまあでした。
最後はあなたが遊んでくださるのでしょう?良い声で鳴いてくださいね。

杭を地面に突き立てるなどして相手の進路を制限。
手刀による攻撃を、自身の周囲に血染めの硝子綱を張り巡らせて、手刀を受けとめます。

硝子ですもの。たやすく断ち、砕かれてしまうでしょうね。
でもそれが良いのですわ。
砕けた硝子の破片を念動力で相手に飛ばし、怯んだ隙にユーベルコードを使用。
棺に閉じ込めてから串刺しにします。
ふふふ、どんな悲鳴を聞かせてくれるのかしら?
楽しみですわね。


雪華・グレイシア
怪盗衣装に着替えて現場へとやってくるよ

さぁ? ボクはそこまで……歌は、嫌いじゃないけどね

なんにしろ
キミのそれはボクが一番嫌いなものだ、容赦はしないよ
もう誰にも、ボクからは奪わせはしない

ボクが呼び出すのは霜の巨人
彼を前に出して相手をしてもらおう
近づけば凍らせるし、斬られたところで痛くもない
そのまま巨体を活かして押さえ込んでしまおうか

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】



 楽しかったのか。
 と。
 投げ掛けられる問いに、雪華はフッと息を吐き出した。
 アイマスクから覗く青い瞳を細め、シルクハットの唾を指で摘まんで視線を隠す。
「ボクはそこまで、かな。歌は嫌いじゃないけど」
「けど?」
 否定から入る言葉に、続く言葉にキリと名の付けられたオブリビオンが首を傾げた。
 それから、一息の間があって。
「キミのそれは、ボクが一番嫌いなものだ」
 唾を弾き、冷えきった瞳で睨み付けた雪華は、巨人を召喚した。
『ーー!』
 それは声ではない、音の咆哮で空気を震わせ、キリへと向かう。
「冷たいのね」
 空気を凍らせ、煙の様に吹き上げさせて行く巨人の動きは速い。
 広げた白氷の掌がキリへ被さり、瞬間砕ける。
「じゃあ、それも切ってやるわ。縁も体も、不要物にしてあげる」
「やってみなよ。誰にも、もう二度と、ボクから奪わせはしないーー!」
 手刀だ。
 揃えた五指を伸ばし、鋭く振り払って巨人の手を切断で破壊する。
 バラバラと溢れる氷は、雪華のデメリットにはなり得ないが、しかしダメージを与えるにも至らない。
「……私は楽しかったですわ」
 そこに、別の返答が聞こえた。
 同時にキリの頭上から、丸く長い棒が落下する。
「っ!」
 杭だ。光を反射しない、それ自体が鈍く色を映す銀色の杭。
 キリは直下する串刺しをバックステップで回避し、着地と同時にさらに跳ぶ。
 行く先、杭の持ち主であるカタリアンナの元へと、だ。
「たのしかった?」
「ええ、思いがけない合奏も出来ましたし、ペンキで固まったキマイラたちも、見世物としては及第点でした」
 クスッと笑う、カタリアンナの首を目掛けた切り裂きの指が迫る。
 その軌道状に、彼女はガラス細工の様な網を張り、一瞬の停滞を得て間合いから逃れた。
「ふふ」
 だが彼女の狙いは、受けることではない。
 切断によって砕けた無数の硝子片、それを念力で捉え、射出することによる攻撃。
「楽しみです」
 でもない。
 眼前にばら蒔かれる鋭い破片の群れ、それによって生じるキリの動揺、その隙を突いたユーベルコードで捕らえることこそ本命。
 上空から、両の扉が空いた棺が落ちる。
「あなたは、どんな悲鳴をーー」
 だがその扉が閉まるのを、キリは拒んだ。
 縦に、大きく、手刀の切断が真っ二つにする。
「楽しい、楽しい、楽しい。なら、それを消し去ってやる」
 からんと落ちた音の中、一人立つキリはそう言って、
「だから、言っただろう」
 巨人の頂点に立つ雪華の見下ろしを受けた。
 先ほど砕かれた片腕の破片を、囲むように散りばめさせて、彼はトンっと倒すように頭を蹴る。
「奪わせないんだ、何もね」
 逃げ場を無くし、巨大な棺桶に見立てられた空間の中、分かたれた棺が念動力によってキリを捕まえた。
「さようなら、ね」
 霜の巨人、その外周から、キリをもろとも串刺す杭が打ち込まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

響・夜姫
徐に【スナイパー】で【先制攻撃/誘導弾/2回攻撃】。
なんだ!とか言ってくれるのを期待。
「通りがかりの猟兵だよ」とか返したい。
自分で何かを作る、とか。向いてないし。
「動画を見るのと、カラオケで歌うのは、嫌いじゃないけど。絵心が無いし楽器もできないから」
今の今まで、静観してたのだー。

……ガンアクション動画とかなら、参加できるかな?
そんなわけで、えーと。【一斉発射】、ふぁいやー。
狛犬の自動砲台には、自動砲台で対抗。サバーニャ、ごー。撃ち落とせ。
「これぞ全手動みれなりおりふれくしょーん」

退屈から救いに来たとか、そんな感じで。




 ガラリ。
 氷の崩れる音がする。
 積み重なった攻撃に埋もれたキリが、無理矢理に体を起こした音だ。
 見目麗しい、繊細な姿だったキリも今は、鮮血と泥に塗れたカラーリングで荒く息を吐いている。
 そこへ、
「どん」
 と、銃撃が飛ぶ。
 響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)によるスナイプ攻撃だ。
 それを、キリは手刀の一撃で切り払いにいく。
 振り返り様の払いは、夜姫の攻撃を一度は阻止する。が、放たれたのは二つあった。
 誘導のかかった一撃が、空中を不規則な光を残してキリの背後へ回り、その背中を打つ。
「いったぁい! なんなんだよ、もう……!」
「通りすがりの猟兵……まあ覚えなくて良し」
 上手くいった。
 その充足感を得つつ、背部の十字架砲、その六門を夜姫は展開する。
 同じように、キリは召喚した狛犬ーーのようななにかーーの口を砲台に、夜姫へ向けた。
 ……見るのとか、歌うのは、嫌いじゃなかったけれど。
 緊張感のある一瞬。
 夜姫は思い返す。
 みんながなにか行動しているのを、ただ静観していた自分の事を。
「絵も、演奏も、出来ないけど。ガンアクションなら、参加出来たかな」
 どうだろうか、と。
 思った後、撃ち合いの光がぶつかり合った。

成功 🔵​🔵​🔴​

シエナ・リーレイ
【絡み、アドリブ歓迎】

楽しかったよ!とシエナは嬉しそうに語ります。

猟兵達に当たり散らしながらも寂しそうにも見える少女
そんな少女をシエナが放置できるわけがなくお友達となる為に彼女に迫ります


手刀だけは危ないのでユーベルで受け流しますが、それ以外の攻撃は只管にお友達を求める存在であるシエナには逆効果

思い出を消す?また楽しい思い出を作れるね!
ムカついたからビンタした?好きなだけしていいからお友達になろうよ!

拒絶される度にシエナの抱く狂気と少女への親愛の感情が強まり
それが極まった暁には手刀をものともせず少女に組み付き
【お友達作りの儀式】で亡き者にすると亡骸を【友達作りのおまじない】でお友達にするでしょう



「はっ、はっ」
 キリは疲れていた。
 撃ち合いの結果は相打ちで、衝撃で吹き飛ばされたオブリビオンは、足を引き摺りながらその場から離れようとしている。
 遠くへ、もっと、奴等の居ないところへ。
「たのしかった?」
 ところが。
「楽しかったよ!」
 その背を追う姿がある。
「あなた、わたしのお友達になりましょう! シエナはそう、候補に持ちかけます!」
 赤い瞳を輝かせたシエナの姿が。
 逃げる背中へ駆け寄っていく。
「楽しかったんなら、消えろよ……!」
 その姿へ、キリは呼び出した砲台から砲撃を放つ。
 楽しいと関連付いた記憶を消し去る力をだ。
 そうして光に包まれ、シエナの記憶領域から、活動の記憶は失われる。
「ーーそれじゃあ、また楽しい記憶、作ろうね」
 だが笑顔だった。
 取り戻せない記憶はこぼれ落ちて、喪失は確かにあったのに。
 何より、キリを友達に迎えるという目的は消えず、ますます強まっていた。
 だから行く。
 笑顔を浮かべ、手を伸ばし、引いた腕に彫刻刀を握って。
「なんだ」
 迫る。
「なんだ、こいつ」
 得体の知れないナニカが来る。
「こっちに来るなーーッ!?」
 その、ゾワリと沸き上がる恐怖から逃れる為に、キリは背を向けるが、そこは壁だ。
 街が一望できる展望台、その腰壁。
「大丈夫」
 追い詰められ、肩を掴まれ振り返らされた先に、ソイツがいる。
「すぐに楽になるから、動かないでね。と、シエナはお友達候補にお願いします」
 柔らかな微笑みで構えられた彫刻刀が、光をチラリと反射させていて。
「ーー諦めたよ」
 逃げられない。
 察したキリは軽く腕を上げ、
「どうせ負けるなら、お前らなんかに殺られてあげない!」
 背後、壁へと手を叩き込んだ。
 支えが崩れ、浮遊する感覚に体を預けて、自死する道を辿る。
 驚きに目を開くシエナの顔に、ざまあみろと笑って、来るべき死の衝撃をキリは待った。

 ドン。

 と。

 感触が前にあって。

「え」
「動いちゃダメって言ったのに。と、シエナは少し、膨れます」
 追いかけて落ちるシエナが、追い付いていた。
 胸に深く就き立つ彫刻刀と、にっこりする顔を交互に見て、キリの記憶はグシャリという音を最期にして消えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月05日


挿絵イラスト