アポカリプス・ランページ⑥〜バーニング・チェイス
「みんな、新たなフィールド・オブ・ナインへの道が繋がった! すぐに向かってくれ!」
グリモアベースにて。パンダ型ロボの猟兵ルンバが拡声器を手に持って叫んでいた。ついさっき、戦乱の地、アポカリプスヘルを支配するヴォーテックス一族の一人、火炎大王「デスファイア・ヴォーテックス」が本拠地へと道が繋がったというのだ。
「フィールド・オブ・ナインの名はデスファイア・ヴォーテックス。オブリビオン・フォーミュラである奴は並外れて強力なオブリビオンだが、己の強さに絶対の自信を持つがゆえに、付け入る隙がある。こちらが『ライディング・バトル』を挑めば、必ずそれに応じ、要塞からノコノコ出てくるはずだ」
ライディング・バトルとは、ざっくりに言うと乗り物に乗って戦う、アポカリプスヘルでは比較的有名な決闘スタイルだ。
それはいわゆる『レース』のようなお上品な競争ではない。互いにビーグルを激突させて相手を突き落とそうとしたり、ひき殺そうとしたり、乗り物ごと叩きつぶしたり、といった、どちらかといえば戦車や戦闘機での戦闘に近い野蛮な殺し合いである。
火炎大王デスファイア・ヴォーテックスは自身の本拠地である鋼鉄要塞の奥深くで猟兵を待ち構えているのだが、こちらがライディング・バトルを挑めば、地の理を捨てて決闘に応じるのだという。
「車はもちろん、バイクでも、馬でもドラゴンでも何でもいい。最悪猟兵の肩車でも。とにかく乗り物にさえ乗っていれば、ライディング・バトルは成立する。何か乗り物を持っている者は積極的にライディング・バトルを狙うといいだろう。奴自身も下半身が戦車と一体化して高い機動力と攻撃力を備えている。生身で対抗するには少々きつい相手だ」
戦車はキャタピラのせいか何となく遅いイメージがあるが、実際には70キロ近い最高速が出る。オブリビオン・フォーミュラの戦車であれば、通常の三倍どころではない速度が出てもおかしくはない。
「戦場は山岳地帯になるはずだ。乗り物の種類によっては戦い辛いかもしれないから注意してくれ。準備が出来た者から転移を始める。あの一族を仕留めなければ、アポカリプスヘルの荒野に平和はこない。どうかよろしく頼んだぞ」
大熊猫
こんにちは。大熊猫です。ご無沙汰しております。今回はオブリビオン・フォーミュラの一人、デスファイア・ヴォーテックスとの戦いです。
戦場は山岳地帯に建造されたトゲトゲだらけの要塞、鋼鉄要塞デスファイアとなりますが、猟兵達はライディング・バトルを挑むことで、デスファイアを山岳地帯まで引きずり出すことができます。ライディング・バトルを挑まない場合はデスファイア・ヴォーテックスは部下と罠が大量にいる要塞の中に引っ込んでしまう為、判定はめちゃ厳しくなります。
プレイングボーナス……乗り物に乗って戦う。
※猟兵が「これは乗り物だ」と主張すれば何でも乗り物扱いです。プレイングの方向性は真剣勝負でもトンチキでも構いません。
●文字数省略用記号
アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。
受付開始:オープニング公開時。
今回は戦争なのでスピード重視です。よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『デスファイア・ヴォーテックス・ライド』
|
POW : デスファイア・ニトロクラッシュ
【ニトロの爆発力】によりレベル×100km/hで飛翔し、【自身の火力】×【速度】に比例した激突ダメージを与える。
SPD : デスファイア・スピードラン
【下半身の戦車】を操縦中、自身と[下半身の戦車]は地形からの激突ダメージを受けず、攻撃時に敵のあらゆる防護を無視する。
WIZ : デスファイア・ノンブレーキ
自身が【速度を落とさず走り続けて】いる間、レベルm半径内の対象全てに【高熱の火炎】によるダメージか【心が燃えること】による治癒を与え続ける。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
メルティア・サーゲイト
◎
戦車に勝つなら戦車だろ! 【MODE MERKABAH】で勝負だぜ。主砲のレールカノンで遠距離から撃つぜ。
まあ、同じ戦車でも速度はそんなに出ないぜ。重装甲の重武装だからなァ。火炎放射器相手なら遠距離戦が堅実だろ……と、思っていると思わせといて直線になる位置で【MODE VANGUARD】起動! 追加ブースター全開で一気に接近するぜ!
「この瞬間を待っていたんだぜッ!」
【CODE GOD CHARGE】で体当たりして、そのまま全火力を一斉発射! ガトリングカノン2門と巡航ミサイル二基を叩き込むぜ!
「仲良く釜茹で地獄としゃれ込もうぜ!」
オマケで【CODE FATAL】もくれてやるぜ。
●一回戦 クロスカウンター
「おい、デスファイア・ヴォーテックス! 私とライディング・バトルで勝負しやがれ!」
デスファイアの要塞の前に堂々と姿を現し、デスファイアへと宣戦布告をしたのは、真紅に彩られた戦車に乗った女であった。名はメルティア・サーゲイト。乗っているド派手な戦車は、彼女の本体でもあるパワードスーツが変形したものだ。
「がっはっは! その声は女だな? いいぜ、その喧嘩、買った! その鉄クズをスクラップにしてツラを拝んでやるぜ! もしいい女なら命だけは助かるかもなァ?」
デスファイアは決闘を快諾すると、下品な笑みを浮かべた。見た目通り、デスファイアは典型的なレイダー気質の男のようだ。
「見た目通りのクズ野郎だな! ぶっ殺しがいがあるんだぜ!」
アポカリプスヘル流の挨拶を終えた二人は、要塞前の少し離れた位置でお互いの方を向き、決闘を開始した。
「行くぞオラァ!」
先に仕掛けたのはデスファイアだ。デスファイアは、両腕に装備している火炎放射器のスイッチを入れた。ぶんぶんと腕を旋回させ、周りの全てを薙ぎ払うように地獄の炎を撒き散らす!
「おっと、そいつをもらうのは御免だなァ!」
メルティアは戦車を最大速度で後退させ、火炎放射の間合いから逃れると、主砲のレールカノンで反撃した。電磁力で加速した砲弾はデスファイアの体に直撃したが、さすがにオブリビオン・フォーミュラと言うべきか、ほとんどダメージになっていない。
メルティアはその後もデスファイアと一定の距離を保ちつづけ、遠距離から主砲で攻撃を続けた。
「ちょろちょろ逃げ回りやがって……。そんなにオレの炎が怖いかぁ? カワイイじゃねえか!」
デスファイアは残忍な笑みを浮かべると、下半身の戦車から火を噴き、大空へと飛翔した。メルティアの戦車は21世紀の地球の科学力を遥かに超えた技術の産物だが、重武装ゆえ、最大速度はそれほどでもない。超音速で飛翔するデスファイアは、あっという間にメルティアの戦車に追いついた。
「喰らえ! デスファイア・ニトロクラッシュ!」
デスファイアは内燃機関のニトロを大爆発させ、上空からフルパワーで急降下した!
「この瞬間を待っていたんだぜッ!」
メルティアの目に火が灯る。メルティアはこの瞬間――奴がユーベルコードを使い、最大速度で一直線にこちらに突っ込んでくるのをずっと待っていたのだ。
「『CODE GOD CHARGE(コードゴッドチャージ)』! 仲良く釜茹で地獄としゃれ込もうぜ!」』
追加ブースターと言う名の両翼を装備した『MODE MERKABAH』は二門のガトリングカノンと二基の巡行ミサイルを一斉発射しながら、クロスカウンターの要領でデスファイアへと突っ込んだ!
「な、にぃいいいいいいいい!?」
次の瞬間、世界がひび割れたのかと錯覚するほどの凄まじい衝突音が鋼鉄要塞の上空に響いた。莫大な運動エネルギーをその身に受けた二人は物凄い勢いで反対方向へと吹き飛び、山岳地帯へと落下していく。相討ちの形だが、受けたダメージはデスファイアの方が遥かに大きかった。
「オマケでこいつもくれてやるぜ」
メルティアは自由落下しながら機体の残りのエネルギーを全て使い、次元圧縮弾をデスファイアにプレゼントした。
「この、雌豚がぁ……!」
重力の渦に飲み込まれたデスファイアは捨て台詞を吐きながら、山の向こうへと消えていった。
大成功
🔵🔵🔵
桐嶋・水之江
◎
ん?いま乗り物はなんでもって言ったわよね?
オーケー、じゃあ万能強襲揚陸艦ワダツミに乗ってライディングバトルよ
小回りは利かないけれどパワーとウエイトは十分
船体の大きさにものを言わせてどったんばったん体当りよ
え?大き過ぎてコースに収まらない?
なんで私がコースに合わせなきゃいけないのよ
コースが私に合わせるべきなのよ
というわけで拡散ハイパーメガビーム砲で目の前の障害物をぶっ壊して進みましょう
ふう、これで風通しが良くなったわね
後はミサイルとかCIWSとか二連装メガビーム砲でべしべし砲撃を加えるわ
レースじゃなくてバトルなんだもの
火力が高い方が勝つのよ
●レイダーVSマッドサイエンティスト
「はあ、はあ、酷え目にあったぜ……」
「遅かったわね。待ちくたびれたわ」
要塞に帰還したデスファイアを待ち構えていたのはぴっちりとしたライダースーツを纏ったミステリアスな美女だった。桐嶋・水之江である。
「お疲れのところ悪いけど、貴方にライディング・バトルを申し込むわ。まさか逃げたりはしないわよね?」
水之江はあえて悪女のように尊大に振舞い、デスファイアを挑発した。……素で悪女なのではないかと思った人は、怒らないから後で職員室に来なさい。
「今日はモテ期か? いいぜ、そのデートの誘い、受けてやる。さあ、車でもバイクでも奴隷でも、好きな乗り物を用意しな。何でもいい。男に二言はねえぜ」
「オーケー、じゃあ万能強襲揚陸艦ワダツミに乗ってライディングバトルよ」
水之江がパチンと指を鳴らすと、空を覆うような巨大な戦艦が空間の裂け目から出現した。空海宇宙用・万能強襲揚陸艦『ワダツミ』。水之江自身が開発した超巨大兵器である。デスファイアがあっけに取られていると、水之江はトラクタービームで艦内へと転移した。
「バカ野郎! そんなデケエ乗り物があるか! ライディングバトルってえのはな、ライダー同士の意地の……」
「ん? さっき乗り物はなんでもって言ってたわよね? 男に二言はないとも聞いたわ」
「グッ……!」
確かにそう言ったので、デスファイアは押し黙った。艦長席に着席した水之江は足を組み、満足そうに頷くと、戦いの開始を宣言した。
「さあ、決闘の時間よ。私を楽しませて頂戴」
「クソがッ……!」
空に浮かぶワダツミを見上げ、悪態を吐くデスファイア。なんだか正義(ブリンガー)と悪(レイダー)の戦いではなく、レイダー同士の縄張り争いのような雰囲気になってきたが、ともかく、二人の決闘が始まった。
「そら、そら、そら!」
水之江はワダツミの巨体を生かし、デスファイアに容赦のない体当たりをお見舞いした。乗り物どころか建造物レベルの質量を持つワダツミの悪質な反則タックルを食らったデスファイアは、ゴミのように吹っ飛んでいく。デスファイアはなおも勝負を捨てず、下半身の戦車の砲撃をワダツミへとぶち込むが、いかんせん大きさが違い過ぎる。ワダツミの装甲には小さな穴が空いたが、パイロットである水之江は全くの無傷だった。
「オレは、無敵なんだぁあああああ!」
デスファイアは全力で山岳地帯を走り、水之江から逃げ回りながらも己を奮い立たせ、心を燃やし、粘り続けた。
「チッ! しぶといわね! ならこれで終わらせてあげる!」
なかなかデスファイアを仕留められないことに苛立った水之江は、戦艦の主砲にエネルギーをチャージし始めた。眩いメガビームの粒子が、砲門に収束していく。
「オイ! ここでそんなもんぶっ放すつもりか! このロッキー山脈は世界自然遺産だぞ!?」
本気で言っているのか、水之江の良心に訴える作戦かは定かではないが、デスファイアは水之江の超広範囲攻撃の予兆に抗議の声を上げた。しかし。
「なんで私がコースに合わせなきゃいけないのよ。コースが私に合わせるべきなのよ」
水之江はデスファイアの言葉を一笑に付し、躊躇いなく主砲のスイッチを押した。
「ビーム拡散偏向率修正良し……水之江キャノン、発射!」
「ぐわーーーー!!」
ワダツミから放たれたぶっといビーム砲はデスファイアを呑み込み、デスファイアの後ろにあったロッキー山脈の岩肌を数百メートルに渡って抉り抜いた。
「ふう、これで風通しが良くなったわね。レースじゃなくてバトルなんだもの。火力が高い方が勝つのよ」
大成功
🔵🔵🔵
佐藤・和鏡子
◎愛車の救急車でライディング・バトルを挑みます。
車を使っての戦闘は私も得意分野ですし、こういったルール無用、最後まで生き残った奴が勝者、のデスレースは好きですから。
救急車で突っ込む轢殺のユーベルコードで積極的に敵めがけて突撃を仕掛けます。
デスファイア・ニトロクラッシュが来たらこちらも轢殺で突っ込んでカウンターを狙います。
『恐れをなして逃げるとでも思いましたか? 救急車の行く手を阻む者には死あるのみ。スクラップにしてあげますね』
●地獄行きの救急車
ピーポーピーポー。傷付いたデスファイアの元へとやってきたのは、一台の救急車であった。
「佐藤・和鏡子と申します。あなたにライディング・バトルを申しませて頂きます」
救急車から降りてきた佐藤・和鏡子は、微笑みを浮かべながらデスファイアに決闘を申し込んだ。
「救急車だと? そんなもんでオレにライディング・バトルを挑もうってのか? まあいいだろう。格の違いを見せつけてやる」
既に猟兵に二連敗しているデスファイアであったが、和鏡子の挑戦をあっさり承諾した。
(無敵! 最強! それがこのオレ、デスファイア! オレに敗北などあっちゃならねえ!)
(ちょっと楽しみですね。車を使っての戦闘は私も得意分野ですし、こういったルール無用、最後まで生き残った奴が勝者、のデスレースは好きですから)
いかにも優しい看護婦さんっぽい見た目に反し、和鏡子はなかなか交戦的な性格をしていた。ミレナリィドールとしての仕様書には『平和で心優しい中に年相応の少女らしさのある性格』と書かれていたのだが、年相応の少女らしさとは、悪党を轢き殺すことに喜びを感じることをも指していたのだろうか?
「行くぞ、オラァ!」
決闘が始まると同時に、デスファイアは和鏡子の救急車に向かって側面からショルダータックルを仕掛けた。
「はっ!」
だが、デスファイアのタックルが決まるよりも早く、和鏡子の救急車がデスファイアの肘をカチ上げ、脇腹を抉るようにサイドミラーが叩き込まれた。
「おぐっ!」
デスファイアが出遅れた理由は一つ。デスファイアが先制攻撃を決行するよりも、一瞬早く和鏡子が先制攻撃の準備をしていたからだ。両者は同じ考えだったのである。
「やりやがったな! これでも食らえ!」
今度はデスファイアは両腕の火炎放射器を起動し、飛び道具で和鏡子に攻撃を仕掛けた。
超高熱の炎が救急車の側面を炙り、サイドミラーがどろりと溶けた。
「ハッハー! 救急車に火炎放射器に武器は付いてねえだろ! どうだ!」
勝ち誇るデスファイア。しかし、次の瞬間、救急車の運転席の窓から飛んできた一条の光線が、デスファイアのモヒカンを焼き切った。
「なにい!?」
「救急箱内蔵型荷電粒子砲です」
ピチュピチュピチュン!
和鏡子は片手で器用に救急車を運転しながら、レーザーを乱射し、デスファイアを執拗に射撃した。デスファイアも負けじと火炎放射や戦車砲で和鏡子を攻撃するが、和鏡子はアクション映画の運び屋顔負けのドライビングテクニックを披露し、致命的なダメージを避け続けた。
「クソッ! 埒が空かねえ! こいつで決めてやるぜ!」
デスファイアは急加速し、和鏡子と距離を空けると、180度Uターンし、切り札のニトロを爆発させた!
『死ねえ!』
音を置き去りにするほどの超加速を得たデスファイアは、和鏡子を救急車ごとバラバラにせんと、己自身を砲弾と化した特攻を敢行する!
「恐れをなして逃げるとでも思いましたか? 救急車の行く手を阻む者には死あるのみ。スクラップにしてあげますね」
だが、和鏡子は天使の微笑を浮かべると、アクセルを全力で踏み、こちらも救急車そのものを武器とする特攻ユーベルコードを発動した!
『デスファイア・ニトロクラッシュ!』
『轢殺(ロードキル)!』
バキゴキグシャア! 大地が抉れ、クレーターが発生するほどの激突を制したのは、和鏡子の救急車の方だった。正面から叩き潰す為に真っすぐ直進したデスファイアに対し、タイヤで轢き殺す為に微妙に曲線を描いていた和鏡子の救急車の方が、激突のダメージが僅かに小さかったのだ。
「ぐああーー!」
デスファイアは絶叫しながら、木々を薙ぎ倒して飛んでいき、谷へと墜落していった。和鏡子はベコベコになった救急車の窓から谷を覗き込み、にっこり笑って言った。
「このライディング・バトルは私の勝ちですね!」
成功
🔵🔵🔴
陸郷・める
◎
7号「残るはテメエぐらいだ、他の奴らと同じとこに送ってやるぜェー!!
なあ、ところでめる、なんかアイツ妙な既視感がねえか?」
……もしかして、『キルドーザーズ』?
「あ、ソレだ」
じゃあ、いくよ…!(V.Eを戦車と連動、《リミッター解除・限界突破》、UC発動)
「ヒャッハー!!走行中は多脚での走りと履帯展開してのキャタピラ走行を上手く使い分けていくぜ。
遠くからはガトリング砲で弾幕を張り、オマケで胡椒入り特製グレネードを顔面にぶつけてやらァ。
そして向こうがこっちに突っ込んでくんならよォ、思い切り《ジャンプ》して縦方向に回避、そのまま上から《重量》のせた《踏みつけ》し、そのまま顔面を蹴り飛ばしてやらァ!」
●バディ
「テメエ、よくもオレの部下共を……!」
デスファイアが鋼鉄要塞に帰還した時、要塞は激しく炎上していた。さらに、要塞の周りには大量の部下の死体がゴミのように打ち捨てられていた。
「残るはテメエぐらいだ、他の奴らと同じとこに送ってやるぜェー!!」
「あなたを、倒す」
デスファイアが他の猟兵と戦っている間、鋼鉄要塞で雑魚相手に大暴れしていた陸郷・めると相棒の7号は、ずたぼろの状態で帰還を果たしたデスファイアに挑戦状を叩きつけた。
「なあ、ところでめる、なんかアイツ妙な既視感がねえか?」
「……もしかして、『キルドーザーズ』?
「あ、ソレだ」
二人はデスファイアにかつてヴォーテックス・シティで戦った、モヒカンのオブリビオンの面影を見ていた。下半身が機械であることや髪型など、雰囲気がよく似ているのだ。
「その戦車でオレとやろうってんだな! クソガキ! オレのモンに手を出したこと、たっぷり後悔させてやるぜ!」
戦車の中にいるめるの姿はデスファイアには見えていない。しかし、声でデスファイアはめるが子供だと判断したようだ。
「じゃあ、いくよ……!」
「ヒャッハー!!」
めるは自身のV.E(ヴォルテックエンジン)を戦車と直結させ、戦車に膨大な電流を流し込んだ。限界を超えたエネルギーを注ぎ込まれた6号戦車は猛烈なパワーで駆動し、無限軌道で山岳地帯を走破していく。
デスファイアから距離を取っためるは、ガトリング砲でデスファイアを攻撃した。
「こんな豆鉄砲が効くかよォ!」
しかしデスファイアは偽神兵器ガトリングの弾幕をものともせず、キャタピラで突進してきた。
「なら、こいつを食らいなァ!」
7号は特製グレネード弾をデスファイアの顔面にぶつけた。ぱん、とコミカルな音と立てて破裂した弾丸の内側から、大量の胡椒がブチまけられた。
「げほっごほっ! なんだこりゃあ! ふざけやがって! ぶっ殺してやる!」
デスファイアはニトロの爆風で胡椒を吹き飛ばすと、めるの戦車に向けて突撃してきた。
「死ねえ! デスファイア・ニトロクラッシュ!」
「おっと、そっちが突っ込んでくんならよォ、こうだ!」
めるの戦車は突然キャタピラ走行から多脚走行へと切り替わり、華麗なジャンプでデスファイアの突進を躱した。
「何ィ!」
「7号、アーム、よろしく……!」
「応よ! 戦車が愚鈍で砲撃しかないと思ったら大間違いだコラァ!」
デスファイアの頭上を取った6号戦車はそのまま戦車の全重量を載せ、デスファイアの顔面を踏み付け、六本の足で猛烈な空中連続キックを浴びせた。
「ぐおおおおー―! お、覚えてやがれ!」
脳震盪を起こし、生命の危機を感じたデスファイアはふらふらと上空へと逃げ去っていった。
「チ、しぶとい野郎だ」
「おつかれさま。だいぶ電気とたま使っちゃったし、後はほかの人にまかせよう」
成功
🔵🔵🔴
スピカ・ネビュラスター
◎
この魔星『アークツルス』はボクの一部だからね(ラスボス部位)
ちょっと下半身戦車なデスファイアには親近感を感じるね
魔星に乗って、『ライディング・バトル』を挑むよ!(空中浮遊5、空中戦5)
調子に乗って走り回ってるけど
これを喰らっても走り続けられるかな?
『トリニティグラビティ』で強力な重力を発生させるよ
どう? ノンブレーキでも、これなら走れないか、少なくとも速度は落ちるよね
そうすればキミのユーベルコードは力を失うはずだね
後は、三つの重力場で引き千切ってあげるよ!
それにしても、このワルさはデビルキングワールドならカリスマなんだけどなー(残念そう)
あ、今度向こうで、ヴォーテックスの真似してみようかな?
●悪魔と呼ばれた男VS真性の魔
「ハアハア……オレは最強なんだ……! 無敵のオレが負けるわけがねえ!」
デスファイア・ヴォーテックスは極悪人である。この暴力が支配する荒野で力の論理を振りかざし、金、地位、女……欲しいものを欲望の赴くままに奪ってきた。その結果、彼は人々から「鬼」や「悪魔」と罵られたことも少なくなかった。
だが、今彼の目の前に、そんなニックネームなどではない、『本物』が姿を現した。魔界の悪魔『ラスボス』種、スピカ・ネビュラスターだ。
「お前みたいなガキがこのオレとライディング・バトルで勝負? ハッ、オレも嘗められたもんだな」
悪態を吐きつつも、デスファイア・ヴォーテックスは、内心では挑戦者の姿に安堵していた。今度の相手はガキな上、まともなビーグルではなく、あのダイエットグッズみたいな玉に乗って戦うつもりらしい。楽勝過ぎる相手だ。
「いいだろう。その勝負、受けたぜ。このコインが合図だ」
デスファイアは一枚のコインを宙に投げた。二人はコインが地面に着くと同時に、相手に向かって突進した。
(この魔星『アークツルス』はボクの一部だからね。ちょっと下半身戦車なデスファイアには親近感を感じるね)
スピカはにこにこと笑顔を浮かべたまま、デスファイアの突進攻撃をふわりと躱すと、そのまま上空に飛び立ち、山岳地帯へと飛んでいった。
「ガハハ! オレから逃げられると思うなよ!」
デスファイアは凄まじい速度で山岳地帯を走破し、空を飛ぶスピカについてくる。さらにユーベルコード『スファイア・ノンブレーキ』の効果により、空間のあちこちが火を噴き、スピカを攻撃してきた。空中戦慣れしているスピカは高度を変えたり逆さに飛行したりと、器用に火炎を躱し切った。
「そろそろいいかな。『トリニティグラビティ』」
スピカは杖に籠めた魔力を解放し、『星』を召喚した。この星は小型だが、本物の天体だ。召喚された三連星はデスファイアを中心にぐるぐると旋回し始めた。
「な、なんだこりゃあ!? う、動けねえ!」
星には重力がある。召喚された三連星はデスファイアの周りを『公転』しながら互いに引き寄せ合うことで重力の檻を形成し、デスファイアの身動きを封じた。
「これでキミのユーベルコードは力を失うはずだね」
デスファイアを上から見下ろし、スピカはにこりと笑った。デスファイアのユーベルコード、『デスファイア・ノンブレーキ』はその名の通り、自身が走り続けることが発動条件となっている技だ。身動きができない今の状況では達磨も同然である。
「後は、三つの重力場で引き千切ってあげるよ!」
その瞬間、デスファイアは凍り付いた。にこやかに惨殺宣言をしたスピカの顔には自分と同等かそれ以上の「邪悪」が滲んでいたからだ。
「があああああっ!?」
重力の渦の中で乱回転しながら肉片に変わっていくデスファイアをにこにこと眺めながら、スピカは残念そうに呟いた。
「それにしても、このワルさはデビルキングワールドならカリスマなんだけどなー」
如何にもワルな容姿といい、傲慢さがにじみ出たマイクパフォーマンスといい、人間(?)にしておくには惜しい逸材だ。
「あ、今度向こうで、ヴォーテックスの真似してみようかな? ……あ、もう死んでるね」
デスファイアの死亡を確認したスピカは楽しそうにニタリと笑った。
ラスボス族は本性が邪悪であればあるほど、見た目はその本性からかけ離れていく。スピカの可憐な容姿に騙され、内に眠る真性の魔を見抜けなかった時点で、デスファイアの命運は尽きていたのだ。
かくして、猟兵達の活躍により、アポカリプスヘルを牛耳る巨悪の一人、デスファイア・ヴォーテックスは骸の海へと叩き墜とされたのであった。
大成功
🔵🔵🔵