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赤キ雫ニ溺レル

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 グリモアベースの片隅のカウンター。
 いつも通りのその場所で、長い黒髪の毛先をくるくると弄びながら、彩・黒月(白雨・f12109)は目を閉じたまま、ぽつりと呟いた。
「見つけたんだよ……遂に見つけた」
 何の前触れもない発言に、猟兵たちの頭上には疑問符が浮かぶ。
「ああ、ごめん。予知の話さ」
 ようやく視線を猟兵たちへと向け、黒月は静かに椅子から立ち上がった。
「集まってくれてありがとう。私は黒月だ。早速だけど、予知の内容を伝えたい」
 黒月は挨拶を簡単に済ませ、本題へと入る。
「ダークセイヴァーの辺境の森に、ダークメンティアという大きな村がある――いや『あった』が正しいか……。君たちは知ってるかな?」
 カウンターを離れ、猟兵たちの前に立った黒月の問いに、猟兵たちは顔を見合わせる。
「私も先日の予知で知ったんだけどね。この村が、突然壊滅したんだ。この地を領地としているオブリビオンの手下が、聞くに堪えないような方法で村人を殺して回ったらしい……」
 予知で見た光景を思い出したせいか、蒼白になった頬をさすりながら黒月は続ける。
「そして、これは近い未来のことだが……ダークメンティア付近の村が、同じように襲われようとしている」
 ダークメンティアの北西には、小さな村が幾つも点在している。
 その村々が、すべて壊滅すると言うのだ。
 猟兵たちの表情が一層険しくなった。
「そう、君たちにはこの地のオブリビオンの討伐を依頼したいんだ」
 黒月はそう言うと、猟兵たちの前に大きな地図を広げた。
「実はつい先ほど、領主館の位置がわかった。……ここだ」
 黒月が地図の一点を指し示す。
 ダークメンティアから程近い場所だ。
「ここにオブリビオンが――残酷な銀髪のヴァンパイアがいる。奴の情報は容姿意外わかっていないし、この館についても不明だ」
 黒月は申し訳なさそうにそう言うと、猟兵たちの顔を見渡した。
「それでも行ってくれるかな?」
 猟兵たちは当たり前だと頷く。
 黒月はありがとうとお礼を言うと、嬉しそうに微笑んだ。
「ヴァンパイアの館だからね、罠もあれば見張りもいるだろう。もちろん君たちが強いことは十分承知してるけれど……くれぐれも無茶はしないでくれよ?」
 私は戦いが苦手だから尊敬するよ、と肩を竦めつつ、白い掌の上にグリモアキューブを呼び出す。
「さて、準備はいいかな?」
 彼女の黄金色に輝くキューブを見つめながら、猟兵たちは静かに頷いた。
「おーけー、じゃあ転送しちゃうぞー。健闘を祈る!」


霧雨りあ
 ダークセイヴァーからこんばんは、霧雨りあです。
 私の中では定番になりつつあるこの世界……。

 さて、最初は領主館への潜入アタックとなります。
 警備も罠もわんさかあるので、何とか無事に館へ潜入してください。
 何しろこの後、戦闘続きですからね!
 ちなみに協力プレイも大歓迎です。

 それでは、みなさまの冒険が良きものとなりますように。
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第1章 冒険 『領主の館に潜入せよ』

POW   :    壁や屋根を破壊し潜入する。警備員を一撃で倒して入り込む。

SPD   :    鍵をこじ開けたり窓から入るなどして侵入する。

WIZ   :    召使いや奴隷として入り込む。運び込まれる物資に紛れて入り込む。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シーザー・ゴールドマン
【POW】
「ふむ、話を聞いたのも何かの縁だ。
 不遜なるヴァンパイア退治に赴くとしようか」
戦術
『シドンの栄華』を発動。
オド(オーラ防御)を『維持の魔力』で強化して戦闘態勢に。
正面扉を『破壊の魔力』を込めた『衝撃波』で吹き飛ばして侵攻。
(他の猟兵が動きやすいように、と陽動的な意図あり)
警備員に対しては『ソドムの終焉』で射程範囲に入り次第破壊(メインUC以外の描写が不可の場合は『衝撃波』で)
近距離の敵に対してはオーラセイバーを振るいます。
防御は『第六感』『見切り』を活かしての回避または受け流しからの『カウンター』の一撃。
罠に関しては『第六感』『見切り』『世界知識』を活かして感知して『衝撃波』での破壊



 猟兵たちが転送されたのは薄暗い森の中だった。
 木々の間から、銀の格子で囲まれた巨大な建物が見える。あれが領主館だろう。
 猟兵たちは互いに頷き合うと、各々の方法で潜入を試みるのだった。


◆正門の先に待つ者
 猟兵たちが散開した後、森の出口に長身の男が佇んでいた。
「ふむ、話を聞いたのも何かの縁だ……不遜なるヴァンパイア退治に赴くとしようか」
 前髪の間から覗く金の瞳に、感情らしい感情も浮かべないまま、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)はそっと呟いた。
 音もなく森の外へ出ると、巨大な黒い正門の前まで堂々と歩いて行く。
 正門は固く閉ざされており、鍵穴などもないところを見ると、魔法の類で封印されているのだろう。
「美しい封印だが――私の前では無価値なものだな」
 口の端を僅かに上げたシーザーの全身が淡く輝く。
 ユーベルコード【シドンの栄華】の『維持の魔力』によって、自らの魔力を強化したのだ。
 彼は静かに右手を振るうと、不可視の空気の刃が生まれ、正門へと吸い込まれていった。
 耳をつんざくような轟音が空気を振動させ、正門は見事粉々に砕け散る。
 シーザーは当たり前の結果を見届けると、無言で正門があった場所を通過し――立ち止まった。
 彼の眼前には、無数の透明な薔薇が咲き誇り、鋭い棘を彼へと向けている。
 足元の小石を蹴ると、薔薇に触れた瞬間、小規模の爆発が起こった。
「陳腐な……」
 シーザーは鼻で笑いながら再び腕を振るい、花園を衝撃波で一掃した。
 またも無数の爆発が起こり、敷地内に轟音が響き渡る。
「……そろそろか」
 シーザーが呟くと同時に、正面の領主館から複数の人影が走り出て来た。騒動に気付いた警備兵だろう……それにしては行動が遅い気もするが。
 最後尾を走る長身のヴァンパイアが、他の者に指示を飛ばす。
「あいつを捕らえろ……いや、始末しろ!」
 始末という言葉に、シーザーは短くため息をつくと、『オーラセイバー』を出現させて警備兵と対峙した。
 警備兵は数十人の規模に膨れ上がっているが、これも全てシーザーの計算通りだ。
 わざと騒動を起こして警備兵を誘き出し、館内の警備を手薄にする――この陽動作戦は見事、成功を収めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィーナ・ステラガーデン
・行動【SPD】
そーねえ。じゃあ技能「視力」暗ければ「暗視」を使用しつつ
UCで領主館の警備とか罠とか侵入出来そうな場所を偵察してから
他猟兵に情報を伝えるわ!
その後安全そうな場所からこっそり進入しようと思うわ!
空から進入した方が安全そうなら杖にアイテム「魔力の篭ったルビー」を
装着して杖に乗っていくわ!
進入中は「聞き耳」「第六感」で警戒して「地形を利用」して隠れながら
こっそりいくわ!
邪魔なのがいたら「属性攻撃」で燃えてもらうわ!

・心情
ヴァンパイアを倒せばいいのよね?ちゃちゃっとやっちゃうわよ!
ああ、それにしてもお腹がすいたわ!
(村人の命がどうとか正義感とか結構どうでもいい)

アレンジ、アドリブ大歓迎


ディー・ジェイ
「悪いな、あとの警備は俺に任せて眠っててくれや」
(POWでGO)

映画のヴァンパイアハンターなら真正面からド派手に行くんだろうが、今日の俺は屋根裏から行きたい気分なんだ。

・まずは周囲の景色に溶け込むように隠れながら、監視の隙間を見つけて屋敷の壁へ張り付く。そこからワイヤーを駆使して外側から屋根まで一気に登るぜ。

・窓、もしくは天井に小さく穴をあけて警備員の位置を確認し、突入と同時にそいつに不意打ちを仕掛けられるポイントを把握後に侵入開始。
警備員はキッチリ仕留めるぞ、下手に生かして後々面倒事を起こしたくないんでな。
もし警備員の服が無傷なら、そいつの身ぐるみを剥がしておく。こいつは使えそうだ。


夜神・静流
「吸血鬼の館ですか……いっそ火でも放って館ごと灰にしてやりたいところですが……」
こっそり侵入するのが作戦ですし、今は派手な行為は避けておきましょうか。

忍び足・暗殺・ジャンプ・クライミング・目立たない・視力・暗視・聞き耳・第六感の技能を使用。
見張りの目を掻い潜りつつ、罠や侵入経路を探します。
正面から入るのは避けたいため、可能なら上の階の窓あたりから侵入できればと思いますが……

侵入が主目的ですが、どうしても戦闘が避けられない場合は早業・残像・衝撃波・先制攻撃技能を使用し、一ノ太刀・隼で素早く攻撃し、移動します。また、その場合は陽動に回って他の方の援護を。



◆屋根裏物語
 するすると滑るように駆ける影が、二つ。
 領主館の正面で轟く爆音を聞きつつ、ディー・ジェイ(Mr.Silence・f01341)と夜神・静流(退魔剣士の末裔・f05903)は、何故か屋根の上を走っていた。
「今日の俺は屋根裏から行きたい気分なんだ」
 ディーがそう言うと、隣で眉間に皺を寄せた静流がゆっくり首を横に振る。
「いっそ火でも放って、館ごと灰にしてやりたいところですが……」
 静流の言葉に、ディーは声を上げて笑いつつ、まぁまぁ落ち着けと彼女を宥めた。
 映画に出て来るヴァンパイアハンターの如く、真正面からド派手な登場……ではなく、ただ単に屋根裏から行きたい気分なだけだったディーと、館もろとも消し炭にしてしまいたいところをぐっと我慢して、こっそり侵入することを選んだ静流。
 彼らは偶然、屋根の上で出会ったので行動を共にしている。ここへ辿り着いた理由は全く違えど、目的は同じなのだから。
 そもそも。屋根に登るには、警備兵が闊歩する通路を通る必要がある。
 迷彩服に身を包んだディーは、周囲の景色に溶け込むように移動し、警備兵の隙を見て領主館の壁へ張り付くと、そこからワイヤーを駆使して一気に屋根まで上って来た。
 静流は第六感を頼りに通路までやって来ると、警備兵の姿を認めるや否や、その目を掻い潜り、壁をあっと言う間に登り切ってしまったのだ。

「よし、ここで良いだろう」
 ディーが小さな窓の隣にしゃがみ込む。静流も辺りを警戒しつつ、ディーの隣に膝をついて中をそっと覗いた。
 屋根裏部屋はかなり綺麗な部屋になっており、壁一面が書架となっていた。
 その書架の前に、黒いローブを着た人影が二つ。
「……あれは警備と言うより、オブリビオンの手下ですね」
「ああ、キッチリ仕留めるぞ。下手に生かして後々面倒ごとを起こしたくないんでな」
 二人は頷き合うと、静かに窓を開けて奇襲をかけた。

 ――時は少し遡る。
 ディーと静流が屋根へ登る際に辿り着いた通路の反対側に、ひとりの女性が立っていた。
「ヴァンパイアを倒せばいいのよね? ちゃちゃっとやっちゃうわよ!」
 仁王立ちで自信満々の笑みを浮かべたフィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)は、そう言いながら周りを見渡す。
 偵察用蝙蝠に誘導されるがままにここまでやってきたが……通路には警備兵が何人もいるため、通り抜けるのは難しそうだ。
「この通路は使えないってわけね……」
 この通路の情報を他の猟兵に伝えるために踵を返した彼女は、第六感による気配を感じて、ふと上を見上げた。
 屋根の上に影がふたつ。どうやら猟兵のようだ。
 彼らは屋根の上を西の方角へと走って行った。
「なるほどね。屋根の上からっていうのは考えたじゃない」
 フィーナはニヤリと笑って愛杖に『魔力の篭ったルビー』をはめ込むと、そのまま杖に跨る。彼女の体がふわっと浮かび、静かに屋根の上までのぼって行った。
 警備兵の視線に入らない場所まで来ると、先ほどの猟兵を追うために一気に加速する。
「行くわよ行くわよ!」
 猛スピードで屋根の上を飛び、あっと言う間に猟兵二名の後ろ姿を捉えた。
 彼らは何事か話していたようだが、窓からするりと中へと入って行くのが見えた。
「あそこから侵入するわけね。私も合流するわ!」
 フィーナは速度そのままに窓に突っ込み――。
「ふえ?」
 杖が窓枠に引っ掛かって、あらぬ体制のまま体が宙に放り出されたのだった。

 ディーと静流は音もなく窓から侵入すると、それぞれターゲットを不意打ちし、一瞬で沈黙させた。奇襲成功だ。
「よし、こいつの服は無傷だな。後で使えそうだから、身ぐるみ剥がしておくか」
 ディーが倒した相手の服に手をかけようとした、その時。
「きゃああああああ」
 上空から叫び声が降って来た。
 ぎょっとして上を向こうとした瞬間、脳天に固いものが直撃する。
「っ!!!!」
 頭を押さえて声にならない声を上げるディーと、慌てて駆け寄って来る静流の前に、叫び声の主フィーナが床に顔をぶつけた体制で沈黙していた。
「あなたは……」
 驚き、と言うよりは呆れ顔で、静流がそっとフィーナを助け起こす。
「あいたたた……」
 おでこをさすりながら起き上がったフィーナは、二人に何か言おうと口を開きかけたその瞬間。
 ぐきゅるるるる、とお腹が盛大に鳴った。
『……』
 涙目で起き上がったディーも、フィーナの肩に手を置いた静流も――そして無論本人も。
 何も言わずに各々立ち上がり、さてオブリビオンはどこかなと屋根裏を後にするのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

青葉・まどか
幾つもの村々を壊滅させるとか許すわけにいかないよね。
必ず、領主を倒すよ!

同じように館に来る猟兵達と協力するよ。

SPD重視
シーフとしては人知れず潜入したいね。ただ、敵の勢力圏だし慎重に行動。
館の罠や扉の鍵を出来るだけ無効にする。


『鍵開け、地形の利用、第六感、聞き耳、暗視、視力、早業、忍び足、破壊工作、罠使い、目立たない、逃げ足、クライミング』等の技能を活用。
【影の追跡者】を召喚、先行偵察させる情報収集。

出来るだけ戦闘は避けて領主の下に向いたいな。


デナイル・ヒステリカル
このままでは多くの命がオブリビオンの手によって失われる。
放置していい問題ではありませんね。

いまが千載一遇のチャンスということですか。
全力を尽くしましょう。

僕は装備しているパーカーの光偏光【迷彩】機能を使用して領主館の警備に気付かれないように潜入します。
高精度観測機能を備えた装備によって、自身の周辺を常に【情報収集】。罠に注意して進みましょう。
もし警備が近づいてきた場合は、視線や注意の向けられている方向を【見切り】、常に死角に動くように立ち回ります。


リーヴァルディ・カーライル
…ん。銀髪の吸血鬼…ね。
どんな相手か分からないのは厳しいけど、
これ以上の犠牲が出る前に予知できたのは行幸…。
今日、ここで吸血鬼を狩ってみせる…必ず。

事前に防具を改造し“忍び足の呪詛”を付与。
自身の存在感を小石のように薄くして気配を遮断する。
暗視と第六感を頼りに警備や罠の配置を確認しつつ先に進み、
敵に見つかりそうな場合は【見えざる鏡像】を発動する。

…逆に。ここまでやって気付く輩がいれば、
そいつはまず間違いなく吸血鬼の手下になっている…。

鍵がかかった扉等を周囲の安全を確認した後、
力を溜めた怪力で鍵をねじ切り侵入を続行する。

…さて。銀の髪…銀の髪…。

疑わしい相手の目星…小島さんに聞いたんですけど…。



◆廊下を滑る影々
 領主館の東側――目的不明の施設が立ち並び、複雑に入り組んだ区画。
 そんな区画のとある建物の影に、三人の猟兵が身を潜めていた。
「幾つもの村々を壊滅させるとか、許すわけにいかないよね」
 青葉・まどか(人間の探索者・f06729)がそう言うと、彼女の隣で周りの様子を伺っていたデナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)が頷く。
「そうですね、このままでは多くの命がオブリビオンの手によって失われる。放置していい問題ではありませんね」
 彼の視線の先には、曲がり角から出て来た警備兵がいる。
 その警備兵の動きを監視しつつ、
「いまが千載一遇のチャンスということですか。全力を尽くしましょう」
と言って口の端を上げた。
 その彼の後方で、黒いローブに身を包んだリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、自らの防具を改造し、技能による強化を施していた。
 リーヴァルディは手を動かしながら、今回の事件について考えを巡らせる。
(どんな相手か分からないのは厳しいけど、これ以上の犠牲が出る前に予知できたのは行幸……。今日、ここで吸血鬼を狩ってみせる……必ず)
 眼光鋭く。銀髪であること以外は姿もわからないオブリビオンを思い、殺気を迸らせる。
 その気配にまどかとデナイルが振り返った。
「どうしたの?」
「……ん。何でもない」
 まどかの問いに、顔を上げることなく返すと、彼女は立ち上がった。
「行きますか。僕は自分の装備の機能で見つからないように潜入するつもりですが、みなさんはどうします?」
 デナイルの問いに、まどかは考える素振りもなくサラっと答えた。
「私はユーベルコードで先行偵察してから、状況を見て潜入するつもり。シーフとしては人知れず潜入したいしね。今後のことを考えると、出来るだけ戦闘は避けたいかな」
 デナイルは成る程と頷き、続いてリーヴァルディの方を見た。
「私は気配を遮断して侵入する……見つかりそうになっても対応可能だ。問題ない」
 彼女は興味なさそうにそう呟くと、もう話すことはないと言わんばかりにその場を後にした。
 デナイルは特に気にした様子もなく、では僕たちも行きましょうかとカメレオンパーカーの迷彩機能を使って周囲に光偏向テクスチャを張ると、透明になった。
「あ、ちょっと待って」
 デナイルが一歩踏み出そうとした瞬間、まどかが待ったをかける。
 彼女はユーベルコードでシャドウチェイサーを召喚すると、曲がり角の先へ先行させた。
 そこには少し狭い通路があり、突き当りに大きな扉がある。先程デナイルが見ていた警備兵は、その扉から出て来たようだ。
 シャドウチェイサーに扉を調べさせたが、特に罠はない。
「その曲がり角の先に扉があるけど、罠はないね。ただ、いつ警備兵が出て来るかわからないから――」
 まどかが話し終わらないうちに、扉が軋みながら開いた。
 中から警備兵が出て来るかと身構えたが、そんなこともなく。
 どうやら、リーヴァルディが何らかの方法で姿を消して入って行ったようだ。
 まどかはシャドウチェイサーを戻すと、デナイルに大丈夫と伝える。
 そして自分も忍び足で、姿の見えない彼の後を追った。

 先行したリーヴァルディは、ユーベルコード【見えざる鏡像】で姿を消すと、曲がり角の先にあった扉を潜った。
 そこは真紅の絨毯が敷かれた長い廊下だった。ただ、最低限の灯りがあるだけで、先を見通すことは出来ない。
 リーヴァルディは暗視と第六感を頼りに、廊下を慎重に進んで行く。
 後ろで音がしたのを聞いて、先ほど外で一緒にいた二人が侵入したことに気付いたが、彼女には興味のないことだった。
 突き当りに大きな鍵の掛かった扉があった。扉の向こう側に警備兵の気配はなく、罠もなさそうだ。
 リーヴァルディは技能を駆使して、驚くことに片手一本で鍵をねじ切った。
 そのまま何の躊躇いもなく扉の向こうへと滑り込む。
 彼女の目的はヴァンパイアを倒すことのみ。
(さて、銀の髪……銀の髪……)
 たった一つの情報を頼りに、彼女は先へと進んで行った。

 リーヴァルディが扉の向こうへ消える頃、まどかとデナイルは真紅の絨毯の上に立っていた。
「暗闇ですね……まどかさん、見えますか?」
「大丈夫! 暗視でばっちり見えてるよ」
 まどかは技能によって、問題なく廊下を進んで行くが、ふと違和感を感じて立ち止まった。
「あれ、何か聞こえる……?」
 彼女が呟くと、何もないはずの壁に、にゅっと何かが出現した。
 どうやら隠し扉があったらしく、そこから警備兵と思われる人影が出て来る。
 まどかはクライミングの技能を駆使して即座に壁をよじ登ると、まるで忍者のように天井の角に張り付いた。
 デナイルは攻勢防御プログラムで周りの情報を即座に集め、同じような隠し扉を発見してその中へと体を滑り込ませる。
 二人は何とか警備兵をやり過ごした。
「……危なかったですね」
 デナイルが苦笑いしながら再び廊下に姿を現す。
 まどかもそうだねと言いながら、天井から廊下へと飛び降りた。
「まさか隠し扉があるなんて。領主へと繋がっているかも知れないし、少し調べてから行こ!」
 若干その場の勢いのようにも聞こえるが、それなりに妥当性もあるかと思いデナイルは頷いた。
 この後も度々警備兵と遭遇したが、何とか回避しながら二人は潜入調査を続けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

柚々・奈七音
アドリブ・絡みOK

村が、全て、壊滅する…?そんなこと、絶対あってはなりません。
わたしに何ができるかは解りませんが…なんとしてでも止めなくては、です。

えぇと…そうですね、召使いとして入り込んでみましょう。
召使いでしたら領主の顔を把握することができるかもしれません。運が良ければ罠の場所も解るかもしれませんね。
領主の痕跡を見つけたら【追跡】で追います。
情報を得ることが出来たら他の猟兵さんへの伝達も、何とかして出来たら、と。

もしばれそうになったら棒術で対抗します。
モップに偽装してこっそり持って行けばばれないでしょうか…?



 震える体を自分の両腕で抱きしめながら、柚々・奈七音(終焉を忌む者・f14778)は、領主館の裏側を歩いていた。
(村が、全て、壊滅する……? そんなこと、絶対あってはなりません)
 死を極端に恐れる彼女は、それでも滅びようとする村を助けずにはいられなかった。
(わたしに何ができるかは解りませんが……なんとしてでも止めなくては、です)
 決意を胸に、館への潜入方法を考えていると、裏庭の方から声が聞こえて来た。
 奈七音がそっと近づくと、女性が数人で会話をしている。話の内容からも、どうやら召使いのようだ。
(そうですね、私も召使いとして入り込んでみましょう)
 奈七音は意を決して召使いたちに声を掛けた。
「あの……わたし今日からこちらで働くことに……」
『ああ、あんたかい! あの子の代わりに呼ばれたっていう給仕係は』
「え、あの……」
 奈七音が何かを言う隙も与えず、召使いたちは彼女を館の中へと連れて行った。
(給仕係? 大丈夫でしょうか……)
 奈七音は不安に思いながらも、館の中へ潜入出来たことには素直に喜んだ。
 薄暗い廊下を、召使いたちの話(と言っても基本は噂話だ)を聞きながら進んで行く。もしかしたら領主の情報が聞けるかと思ったが、彼にまつわる噂はひとつもなかった。
 複雑に入り組んだ廊下を抜けると、かなり広い炊事場に辿り着いた。
 連れて来てくれた召使いは、頑張ってねと言って去って行った。
 炊事場の中では、長身のヴァンパイアが数人で料理をしている。
『お、新入りか?』
 その中の一人が奈七音に気付いてやって来て――。
『……おめぇ、代理の給仕係じゃねぇな』
 彼のひとことで、炊事場にいた数人のヴァンパイアが一斉にこちらを見た。
 奈七音は恐怖に息を飲んだが、こうなってしまっては仕方がない。
 こっそりモップに偽装して持ち込んだビスコッティ・ロッドをジャキンと構える。
『侵入者を殺せ!』
 誰かが叫ぶと、ヴァンパイアたちが武器を手に襲い掛かって来た。
 しかし奈七音も猟兵だ。ぶぅんという低い音を響かせて振るったロッドは、飛びかかって来たヴァンパイア二名をまとめて床に叩きつけた。
 このふわふわした少女、実は怪力の持ち主だ。
「すみません、でもあなたたちは倒させていただきます!」
 奈七音は他のヴァンパイアも討つべく、ロッドを構え直した。

 あっと言う間に炊事場のヴァンバイアを沈めた奈七音は、他の猟兵と合流するために、炊事場を後にするのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
【龍狼師団で連携】

予め炎魔法で右横腹を温める事で
奴隷印を浮き出させておく

大丈夫
万一があったとしても、大抵の拷問には慣れてるし
痛みじゃ僕は壊れないよ

他にも奴隷がいるなら確認しておきたい
そう言ったのは僕だから
夏輝君は気にしなくていいんだよ
それに…信じてるから

可能ならUC発動状態で予め少し飛んで
上空から警備兵達の動きを確認
罠の無い安全ルートを判断

縄で縛られたまま二人の横で俯き
怯えたように視線を泳がせたり肩を震わせながら
けれど時折怯えた目線で見張りをちらりと見上げて【誘惑】

二人の言いくるめが通用しなさそうなら
【催眠】効果のある【歌唱】で思考を惑わせ従わせる

※侵入後は酷い目に合うも無事に済むも自由に


堺・晃
【龍狼師団で連携】

僕と夏輝は召使いとして潜入
従うのは本意じゃないけど…猫被りなら得意だよ

元主人側の立場として
二人には求められる態度や立ち回りを指示

奴隷は、加虐心のある主人なら多少生意気な方が好まれるけど
違うなら逆らえば殺される
澪君は従う相手の性質をよく見極める事だね

僕らは絶対に逆らっちゃいけない
例え澪を傷つける命令が下っても、ね

召使い同士がどの程度互いを認知しているのかは知らないけど
前回の徴集で雇われた新人だと【言いくるめ】てみようか

「敷地内に迷い込んでいたので捕獲しました。
 檻にでも入れておきますか?」

次章で澪と別行動になりそうな場合、澪の影にUCを潜ませておくよ

※出される指示には全て従う


小林・夏輝
【龍狼師団で連携】

晃と一緒に召使いとして潜入
予め晃に出された指示に従う

澪は本物の元奴隷で、慣れてるって言うけど…
相手は残酷な性質だっていうし、やっぱり心配だから
安心させる声掛けだけはしておく

なにがあっても、絶対助けに行くからな

「裏庭の方は、その…この子がいた以外は、
 なにも異常ありませんでした。
 奴隷印があるようですので、ここから逃げ出したか、
 或いは他の地区から逃げてきたんだろうと思いますけど…
 一応確認していただけますか?」

澪の服を捲り上げ、右横腹の奴隷印を見張り達に見せることで
信用を得る作戦

互いに覚悟は出来てるから
どんな命令にも従うよ

※澪を檻に入れる、誰かに引き渡す指示が出た場合実行する



◆裏庭の花
 ダークセイヴァーの暗黒の空の下、健気に花が咲き誇る領主館の裏庭の中に、三人の猟兵が潜んでいた。
「いいかい二人とも。奴隷は加虐心のある主人なら、多少生意気な方が好まれるけど、違うなら殺される」
 堺・晃(元龍狼師団師団長・f10769)は優しく微笑んでそう言うと、右側の少女――いや、少女のような少年に視線を動かして続ける。
「澪君は、従う相手の性質をよく見極めることだね」
「うん、わかった」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)がこくりと頷くと、琥珀色のツインテールがさらりと揺れた。
 そんな澪を心配そうに見つめながら、左側の少年、小林・夏輝(お調子者の珍獣男子・f12219)は晃の指示を待つ。
 奴隷に扮した澪を、使用人に扮した晃と夏輝が警備兵に引き渡す――彼らが侵入するために考えた計画だ。
 晃は夏輝の方を見ると、少し眉尻を下げて、しかし瞳の奥には違う色を湛えて告げた。
「僕らは絶対に逆らっちゃいけないよ。例え……澪君を傷付ける命令が下っても、ね」
 夏輝は晃の言葉に表情を硬くしたが、そっと呟いた。
「では、澪君は準備を」
 晃がそう言うと、澪は服を捲し上げて掌を右の脇腹に当てて、炎魔法を最小出力で発動させた。熱で赤みを帯びた脇腹に、奴隷印が浮かび上がる。
 元奴隷であることを否応なく思い出させるその印を、澪は特に何の感慨も抱かず見つめた。
「澪……」
 夏輝が心配そうに声を掛けると、澪は花のような笑顔を彼に向ける。
「大丈夫。万が一何かあっても、大抵の拷問には慣れてるし。痛みじゃ僕は壊れないよ」
 澪は一度言葉を切ると、そっと自分の脇腹を撫でて言った。
「他にも奴隷がいるなら確認しておきたい、そう言ったのは僕だから。夏輝君は気にしなくて良いんだよ」
 それに……信じてるから。
 最後の一言に、夏輝はぐっと拳を握る。
「何があっても、絶対助けに行くからな!」
 夏輝がそう言うと、澪はありがとうと言って微笑んだ。

 縄で縛られた澪を連れて、晃と夏輝は石畳を歩いて行く。
 事前に澪がユーベルコードで姿を消して、上空から罠や見張りの位置を確認した安全ルートだ。
 程なくして大きな扉が見えて来たが、扉の前には屈強な兵士然としたヴァンパイアが立っていた。
『なんだテメーら』
「はい、私たちは前回の徴集で雇われた新人です」
 すぐにでも襲って来そうな相手に、晃は臆するでもなく、かと言って刺激を与えない態度でそう答えると、夏輝に目配せした。
 夏輝はゆっくり頷くと、澪を前に突き出す。
「裏庭の方は、その……この子がいた以外は何も異常ありませんでした。奴隷印があるようですので、ここから逃げ出したか……或いは、他の地区から逃げて来たんだろうと思いますけど……一応確認して頂けますか?」
 夏輝はそう言って澪の服を捲り上げると、脇腹の奴隷印を見せた。
『これはうちのじゃねぇな。どこか別の地区のだろ』
 奴隷印を見たヴァンパイアは、そう言いながら澪を繋ぐ縄を受け取った。
 澪は怯えて震えながら、嗜虐心を煽るような表情でヴァンパイアを見つめる――そう、誘惑の技能だ。
『……ははーん、こいつは上玉じゃねーか』
 澪の誘惑にまんまと掛かったヴァンパイアは、下卑た笑みを浮かべて澪の顎に手を掛ける。
「檻にでも入れておきますか?」
 良いタイミングで晃が問いかけると、ヴァンパイアは考える素振りをしてから晃の方を見て頷く。
『そうだな。こいつは後でじっくり可愛がってやろう。この先にある地下牢に淹れておけ』
 そう言って縄を夏輝に返した。
「わかりました」
 晃と夏輝は一礼すると、ヴァンパイアが開けた扉を潜ろうとして――。
『おい』
 後ろから声を掛けられた。
(ダメだったか……?)
 晃は何を言われても返せるように、一瞬である程度の会話パターンを考えたが、ヴァンパイアの一言は斜め上をいっていた。
『お前、何て名前だ?』
 どうやら澪に向かって声を掛けたらしい。
「……」
 澪は目を伏せて何も言わない。
『答えさせろ。おっと、顔は傷付けるなよ?』
 ヴァンパイアが晃と夏輝に向かって命令する――顔には勿論、笑みを浮かべて。
 晃は命令されることに苛立ちながらも、表には微塵も出さずに頷いた。
そして、夏輝に耳打ちする。
 夏輝は心中穏やかではなかったが、澪と互いに決めた覚悟からも、晃の言う通りにする。
(澪、ごめんな……)
 心の中で謝りつつ、無表情で澪の髪を掴んで持ち上げた。
「うっ……」
 澪が痛みに耐えるような表情をすると、ヴァンパイアがヒヒッと嗤った。
「さあ、答えなさい」
 晃が宙吊りになった澪の首を軽く締めて囁くと、澪は涙を浮かべて小さな声で名を告げた。
『澪ちゃんか。イイ名じゃないか。また後でな?』
 ヴァンパイアは上機嫌で、もう行って良いぞと手を振る。
 晃と夏輝は澪を立たせてから、再度一礼をしてその場を後にした。

 三人が地下牢に辿り着くと、そこには何十人という奴隷が檻の中に入れられていた。
 女も男も皆、満身創痍の状態で鎖に繋がれており、意識がある者はいないようだ。魔法か何かで眠らされているのだろう。
「酷い……」
 澪が呟く。
「ここでは領主の情報は得られそうにないですね」
 晃はそう言うと、二人を連れて別の通路を進むことにした。もう澪を檻に入れる必要もない。
「澪、さっきはごめんな」
 夏輝がそっと澪に謝ると、澪は首を横に振った。
「大丈夫だよ。全然痛くなかったから」
 澪はにこりと笑う。
 晃は後ろの二人のやり取りを聞きながら、先程の澪の表情を思い出して口の端を上げるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『オーバースト・フックス』

POW   :    ツヴァイ・クラールハイト
自身と自身の装備、【己の分身】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD   :    ブルート・イルズィオーン
【流し目】から【紅光】を放ち、【血まみれの臓物に縛られる幻覚】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    フェアエンデルング・シュヴェールト
【血をすすり形状を変える吸血牙の剣】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 各々潜入した猟兵たちは、最終的に同じ部屋へ辿り着いた。
 吹き抜けになった大広間――天井からは暗雲立ち込めるダークセイヴァーの空を臨めるその部屋には、邪悪な気配が立ち込めている。

「はっ! よくもまぁ、ここまで入って来れたもんだな?」
 大広間の東にある小さなスペースで優雅に読書をしていた金髪碧眼のヴァンパイア――オーバースト・フックスは、猟兵たちが入って来るとゆっくり立ち上がった。
「しかしその強運もここまでだ」
 オーバーストはそう言いながら、猟兵たちの方へと向かって歩いて来る。
 その姿が急にブレたかと思うと、一気に十数人まで分身した。
「俺に勝てると思うなよ?」
 どれが本体と言うこともないらしく、全員が同じように言葉を発する。
 すべて倒す必要があるようだ――猟兵たちはそれぞれの武器を手に、ヴァンパイアと対峙した。
 まだまだ増えるオーバーストに、彼らはどう挑むのだろうか。
シーザー・ゴールドマン
【POW】
おお、なかなか見事な分身だね。褒めてあげよう。
しかし、ここまで来たのは私達が強運なのではなく、君達が不運なのだよ。
少し暴れ過ぎたね。私達を呼び寄せてしまった。
戦術
オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢。
射程範囲に入った吸血鬼を全て同時に『ソドムの終焉』で破壊。
回避あるいは耐えて接近した吸血鬼にはオーラセイバーを振るって戦います。
攻撃面:先制攻撃、怪力、2回攻撃、鎧無視攻撃、フェイントなどを活用
防御面:見切り、第六感で回避あるいは受け流してからのカウンター
>透明化に対しては直感(第六感×見切り×戦闘知識)で対応
「見えはしていないよ。まあ、勘だね」


リーヴァルディ・カーライル
…ん。運だけで来たかどうか…。
吸血鬼、お前の生命をもって確かめるが良い。

事前に改造した防具の呪いを変更。
第六感を強化する“見切りの呪詛”を付与し、
更に両目に魔力を溜め暗視を強化。
敵の殺気を視覚化して攻撃を先読みする。

…そう。お前も透明になるのね。
確かに厄介だけど…私には無意味。

【吸血鬼狩りの業・封の型】で
生命力を吸収する大鎌をなぎ払いカウンターを行い敵を引き付けた後、
【限定解放・血の波涛】で傷口を抉る2回攻撃を行う。
紅光を受けた場合は呪詛耐性と気合いで耐える。

…なるほど。さっきから何を嫌らしい目付きをしていると思ったら…。

…今さらそんな幻、私に効くと思うな。

…数で私を止めることはできない。



◆紅と紫の攻防
 コツリと響く足音。
 深紅のスーツを身に纏った美貌の偉丈夫、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)と、漆黒のローブを纏った美しい紫の髪の少女、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、ゆっくりと広間の中央へと進んで行く。
 互いを気にしない絶妙な距離感で、彼らはオーバーストたちと対峙した。

「おお、なかなか見事な分身だね。褒めてあげよう」
 開口一番、シーザーの完全に馬鹿にしたセリフが大広間に響く。
 オーバーストの切れ長の目の端がぴくりと動くのを見て、シーザーは口の端を歪めた。
「しかし――ここまで来たのは私たちが強運なのではなく、君たちが不運なのだよ」
 シーザーは表情そのままに、ぴたりと足を止める。
「少し暴れ過ぎたね? 私たちを呼び寄せてしまった」
 唐突に辺りの空気が変わった。
 シーザーがオド(自身の魔力)を活性化させたことにより、その魔力に呼応して空気が振動しているのだ。
 少し離れた位置に立つリーヴァルディの、漆黒のローブがばさばさと揺れる。
 彼女は防具を再び改造し『見切りの呪詛』を付与しながら、
「……ん。運だけで来たかどうか――吸血鬼、お前の生命をもって確かめるがいい」
 と言うと、まるで氷のような冷たい瞳でオーバーストを見据えた。
 二人の気迫に、しかしオーバーストたちも笑顔で応える。
「なかなか馬鹿にしてくれるな? 侮ると痛い目見るぜ」
 金髪を掻き上げながらそう言うと、彼らは一斉に動き出した。

「さぁて、あんたがどれ程のものか、じっくり観察してやるよ」
 シーザーへと向かった数体のオーバーストは、身を低くしたかと思うと突然姿が掻き消える。
「ほう?」
 シーザーはわざと驚いた表情をすると、その場に立ち尽くした。
 そして――目を閉じる。数瞬後に右へ体を倒すと、そのまま長い左脚で何もない場所を回し蹴る。
 ガッという鈍い音と共に、オーバーストが一体、床に転がった。
「な……に……」
 顎を砕かれ口から血を溢れさせながら、彼は驚愕の目をシーザーに向ける。
「いや見えはしてないよ。まぁ……勘、だね」
 シーザーは慈悲にも似た笑みを湛え、他のオーバーストの攻撃を第六感で見切りながら、事も無げに言って退けた。
 しかし際限なく増えるオーバーストに、シーザーはふっと表情を消して呟く。
「……邪魔だな」
 抑揚のない音が口から零れるや否や、辺りが眩い光に包まれた。
 シーザーのユーベルコード【ソドムの終焉】によって、シーザーを中心に膨大な光の奔流が幾筋も撃ち出され、オーバーストたちを一瞬で消し去っていく。
「やれやれ、無駄な力を使ったか」
 シーザーはそう言いながら、右へと視線を移した。

 彼の視線の先では、リーヴァルディが大鎌『過去を刻むもの』を持って静かに佇んでいた。
「……そう。お前も透明になるのね。確かに厄介だけど……私には無意味」
 両目が仄かに光を帯び、紫の瞳が怪しく揺れる。暗視を魔力で強化することで、彼女にはオーバーストが『見えて』いた。
 彼女は大鎌を振るって、確実に一体ずつ仕留めていく。
 黒衣のフードが風圧で肩に落ち、透き通った紫の髪が躍った。
 しかし、その動きが一瞬止まり――眼前のオーバーストと視線が絡み合う。
「……なるほど。さっきから何をいやらしい目付きをしているかと思ったら……」
 リーヴァルディは目を細めると、吐き捨てるように言った。
「……今更そんな幻、私に効くと思うな」
 オーバーストのユーベルコードによって幻覚を見せられた彼女は、しかし数瞬後には再び鎌を振り上げると、自身のユーベルコードを発動させる。
「……限定解放。薙ぎ払え、血の波濤……!」
 一瞬リーヴァルディの姿がヴァンパイアのそれに変わり、彼女を中心に血色の波動が広がった。
 波動に触れたオーバーストたちが、一瞬で深紅の煙へと変わる。
「……数で私を止めることは出来ない」
 目を伏せて呟くリーヴァルディの前には、次なるオーバーストが立ちはだかる。

 シーザーとリーヴァルディは、淡々と彼らを狩っていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夜神・静流
祈り・封印を解く技能を使用し、真の姿を解放。
透明化に対しては見切り・聞き耳・第六感で音や気配、空気の流れを読んで対応。また、敵の攻撃に対しては武器受け・オーラ防御を使用。
残像・ダッシュ・早業・カウンター・範囲攻撃・属性攻撃・破魔技能を使用し、一気に多数を巻き込める位置まで移動して三ノ太刀・鳴神で範囲内の全ての敵を纏めて攻撃します。

「小物がどれだけ増えようと同じ事。纏めて消え去るがいい」
「我が身は五体全てが魔を討つ為の武器。そのような小細工は通用しない」

アドリブ・絡み等歓迎。


シエラ・アルバスティ
「お邪魔しまーす」

みんなが辿りついた形跡を【風の声】を使って調べながら大広間に辿りついた

「あ、ここ天井空いてるんだ。じゃあ早速」

【極光七刻星】をサクっと使用

「こんにちはー、この通り武器は捨てちゃったよ。そこの金髪碧眼のお兄さん、どう? 世間話でも」

槍が降って来てこのお兄さんを“全部視認”しておけばまとめて凍らせられそうだね
時間稼ぎ時間稼ぎ
攻撃は【風の声】で避ける、突き飛ばしたり足払いとかしたりして完全に逃げ体勢
一撃くらい気まぐれで【風ノ爪痕】でもカウンターで入れておこうかな

「ダークセイヴァーの住み心地はどう? 今後も安泰した生活かな?」

「私はこんな世界(故郷)、嫌いだけどね」


フィーナ・ステラガーデン
(おでこにばってん絆創膏ぺたん)
・心情的なもの
見つけたわよオブリビオン!
って何よこの腹立つイケメン顔の男。え?増えるの!?
あんた好きな子とか出来たらどうすんのよその体質!
1人で取り合いの戦争が始まるわよ!?
まあいいわ!やることは決まってるわ!全部ぶっ飛ばしてやるわ!

・行動
仲間と連携して動くわ!
私達は屋根裏から侵入したのよね。
吹き抜けから不意打ちが出来るなら
そこから「高速詠唱」「全力魔法」UC発動よ!
出来ないなら堂々と真正面から上の発言を言った上で
「オーラ防御」「ダッシュ」で距離を取りつつ
「属性攻撃」で火球を飛ばしながら
隙が出来れば「全力魔法」UCね!

(アレンジ、アドリブ、連携引き続き大歓迎)



◆宙を舞う者たち
 地上での壮絶な戦いが繰り広げられる中、天井に程近い横穴の中に彼女たちはいた。
「見つけたわよオブリビオン!」
 おでこにばってん絆創膏を貼ったフィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)は、眼下を眺めながら目尻を吊り上げる。
「凄い数ですね」
 その隣で夜神・静流(退魔剣士の末裔・f05903)がそっと囁いた。
 二人は屋根裏からの道すがら会話を挟んだため、互いの力量は多少なりとも把握出来ている。
「よし、計画通りいきましょ!」
 フィーナが静流に声をかけると、彼女はこくりと頷いた。
 静流は両手を胸の前で組むと、目を閉じてそっと月の神に祈る。
 真の姿の解放――静流の体が光に包まれ、髪が、瞳が、ざあっと変化していく。そして、光が消える頃には大きな白い翼が二枚。
「ほあ……」
 真横で口をぽかーんと開けて見つめるフィーナ。
 そんな彼女に、冷たい目が向けられる。
 優しい赤い瞳の穏やかな淑女は、冷徹な金の瞳の女神へと変貌した。
「……いきます」
 一言呟くと、静流は翼を広げて横穴から飛び出した。
 彼女は急降下すると、愛刀『十六夜』を構え無言で手近なオーバーストを両断する。そのまま返す刀で後ろの二体を纏めて葬り、一気に大広間を駆け抜けた。
「小物がどれだけ増えようと同じこと。纏めて消え去るが良い」
 冷たい月の声を発しながら、オーバーストの群れ目掛けて飛翔する静流。
 しかし、ようやく彼女の姿を捉えたオーバーストたちは一斉に姿を消した。
 静流の目がすっと細くなる。
「我が身は五体全てが魔を討つための武器。そのような小細工は通用しない」
 静かにそう告げると、彼女の全身を稲妻が走る。そして稲妻は十六夜の刀身を走り雷光が灯った。
 静流は静かに十六夜を横に構える。
「我が剣は雷。薙ぎ払え、三ノ太刀・鳴神!」
 気合い一閃。静流のユーベルコードは雷撃となって、辺りのオーバーストを一掃した。

「……はっ! 不意打ちするんだった!」
 静流のユーベルコードの風に煽られて我に返ったフィーナは、慌てて横穴から身を乗り出し高速詠唱に入る。
(あの辺り、群れてるわね)
 ざっと視線を走らせて狙いを定めると、最大火力でユーベルコードを解き放った。
「消し飛べえええええええええ!」
 彼女が振った杖から、重く大きな火球が大広間の片隅目掛けて飛んでいく。
 ちょうどオーバーストの分身が増えた辺りに直撃し、炎と爆風を撒き散らした。
 思わずガッツポーズを取るフィーナ。
 しかし――爆発に巻き込まれなかったオーバーストの一体が、フィーナ目掛けて剣を放った。剣はフィーナの足元に刺さると、非常に嫌な音を立てる。
「ちょっと!? 危ないじゃないのよ!」
 フィーナが叫ぶと、やっぱり足元は崩れた。それはもうあっさり。
「って、またあぁぁぁぁぁあ!?」
 哀れな悲鳴を上げながら落下するフィーナの横を、
「お邪魔しまーす」
 可愛らしい声が横切る。
 そして、ぶわっと風がフィーナを包み、床への激突は何とか免れた。
 激突は免れたが――。
「ぶへっ」
 本日二回目の床ちゅーをしたフィーナは、暫し沈黙した後、再び涙目で立ち上がる。
 目の前には、一体のオーバースト。どうやら剣を放った張本人らしい。
「何よこの腹立つイケメン顔の男。増えるとか何!? あんた好きな子とか出来たらどうすんのよその体質! 一人で取り合いの戦争がはじまるわよ!?」
 一気に捲し立てるが、対峙したオーバーストはやれやれというジェスチャー。火に油である。
「ぶっ飛ばしてやるわ……!」
 地の底から響く声で告げたフィーナは、先ほど助けてくれた誰かの存在を完全に忘れ、火球を飛ばしまくるのだった。

 そんなフィーナを助け――実際起き上がるまでを確認して満足げに頷くと、大広間の上空で滞空したままのシエラ・アルバスティ(自由に生きる疾風の白き狂犬・f10505)は、天井を見上げて呟いた。
「あ、ここ天井空いてるんだ。じゃあ早速」
 緑の瞳を細めると、全身を包む風が強くなり、巨大な精霊槍『シルフィード』を握る手に力がこもる。そのままシルフィードを上空へ向かって放つと、槍は一直線に空へと消えていった。
 彼女のユーベルコードは静かに、そして誰にも悟られることなく発動した。
 シエラは眼下の猟兵たちの位置を確認すると、オーバーストが群れていて、猟兵がいない場所へと急降下する。
 踵を鳴らして着地するや否や、オーバーストたちに向けて満面の笑みを浮かべて話し掛けた。
「こんにちはー、この通り武器は捨てちゃったよ。そこの金髪碧眼のお兄さん、どう? 世間話でも」
「ふざけんな、ガキ。慣れ合うわけないだろ?」
 そう叫びながら、オーバーストたちがシエラに殺到した。
 しかし彼女は慌てず騒がず、白い髪と尻尾を揺らしながらオーバーストの剣を避けていく。風の声を聞くことが出来る彼女には造作もないことだ。
「ダークセイヴァーの住み心地はどう? 今後も安泰した生活かな?」
 シエラはあくまで楽し気な表情のまま、右へ左へ攻撃を避けながら一方的な世間話を続けた。
「くそがこのガキ……! ふわふわ避けんじゃねぇ!」
 オーバーストの一人がシエラの耳を掴もうとしたその時。
 突然『シャリン』という澄んだ音がしかたと思うと、空から氷槍が降り注ぎ、オーバーストたちを貫いた。
 絶対零度が支配する世界――これがシエラのユーベルコード【極光七刻星】だ。
 出来た氷柱にそっと手を置いて、シエラはそっと目を伏せた。
「……私はこんな世界(故郷)、嫌いだけどね」
 呟いた声は凍てつき、誰にも届くことはなかった。

 雷と火と氷が渦を巻く中、三人の少女は増え続ける吸血鬼と再び対峙するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

デナイル・ヒステリカル
勝負ですか? 貴方の勝ちで構いませんよ。
実際、僕一人では負けてしまう可能性が高い。

しかしオブリビオンには、骸の海へ帰っていただきます。
勝ち負けではなく、それが猟兵としての僕の結論です。

UC:レギオンを召喚
増え続ける敵に対し、こちらも数で対抗します
他の猟兵の攻勢を支援する【援護射撃】と増えた敵を足止めする【範囲攻撃】を駆使しようと思います

僕自身も装備しているスマートガンを手に、【誘導弾】で戦いましょう
近距離に近付かれ無いように立ち回るつもりですが、
もし近付かれた場合は【見切り】による回避と、硬化プログラムを活用し、敵の攻撃から身を守ります

※アドリブ連携歓迎です


青葉・まどか
領主の護衛!手強そうだけど、こちらも引くわけには行きません!

フック付きワイヤーを【地形の利用】で活用してワイヤーアクション。【残像】【フェイント】から『シーブズ・ギャンビット』で攻撃。

は?増える?消える?なんてイカサマ!

【聞き耳】【第六感】【戦闘知識】を活用して、見えない敵の居場所を予測してナイフの【投擲】やフック付きワイヤーでの【範囲攻撃】を行う。

見える敵には【早業】の【2回攻撃】で【傷口をえぐる】。攻撃に対しては【視力】で【見切り】、【カウンター】を狙う。
「見えてさえいれば、なんて事ないね!」

増えるなら増えただけ倒す!ゼロになるまで倒せば問題なしです!


柚々・奈七音
アドリブ・絡み歓迎

分身するヴァンパイア、ですか…。元凶ではないようですけれど、こうも数が多いと厄介ですね。
仕方ありません。あまり使いたくはなかったのですが…。

みなさん、どうかわたしから離れて下さい。
【人狼咆哮】、開放します。
全力の【怪力】でロッドを使って薙ぎ倒して数を減らします!

敵のSPD技で動きを封じられたとしても、少しでも目を引き付けて数を減らす、陽動となれば…っ!
少し怖いですが、後のことは他の猟兵のみなさんを信じます…!


ディー・ジェイ
「うっは、分身なのか分裂なのかはわからんが…戦い方がダサいぜお貴族様よぉ!」

血塗れの臓物も気持ち悪いっちゃ気持ち悪いが、作戦に寄っちゃ死体の血を自分に塗りたくってる身からすると…なぁ?

・開幕早々に襲い掛かってきた分身体に向かって、全火力乗せのフルバーストを見舞ってやるぜ。複数体の処理も兼ねてるが、本命は敵の注意を俺に集中させるって点な。
範囲火力を容赦なくぶっ放す相手を放置するほど、やつも阿呆じゃないはずだ。

・透明化の不意打ちにも序盤で上げた土煙等で警戒はするが、攻撃を避けれなかった場合はそのまま防刃ベストで受け流したいところ。すれ違いざまに銃弾、もしくは火喰蛇を叩き込めたらグッド。



◆東を制する者
 東側の扉の前に、黒髪ツインテールの青葉・まどか(人間の探索者・f06729)と、茶髪眼鏡のデナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)は、それぞれの武器を手に立っていた。
 対峙したオーバーストはキザったらしい笑みを浮かべている。
「勝負ですか? 貴方の勝ちで構いませんよ」
 デナイルの一言に、怪訝な顔をするオーバースト。隣のまどかも思わず彼の顔を見る。
「実際、僕一人では負けてしまう可能性が高い。……僕一人ならね」
 ニヤリと笑って付け加えた一言に、まどかもふっと笑うと視線を戻した。
「しかしオブリビオンには、骸の海へ帰っていただきます。勝ち負けではなく、それが猟兵としての僕の結論です」
 淡々と述べる彼の言葉に、オーバーストの顔がみるみる赤くなる。
「黙って聞いてりゃ……あんたムカつくぜ!」
 彼は吐き捨てると、分身して一気に数を増やし、一斉に剣を抜いた。
「数が多い……!」
 笑みを消したまどかが、ギリっと歯がみする。
 そして――。

「うっは、分身なのか分裂なのかはわからんが……戦い方がダサいぜお貴族様よぉ!」
 声は頭上から降ってきた。
 静流&フィーナとは別の横穴から顔を出したガスマスクの傭兵、ディー・ジェイ(Mr.Silence・f01341)は、ひょいと身を躍らせてデナイルたちの前にズダンと着地する。
「残念だなぁ、おい?」
 目を細めて嘲るディーに、オーバーストたちの殺気に満ちた視線が集まった。
「……あんたが先だ。一瞬で切り裂いてやるさ」
 オーバーストの呟きに、ディーの笑みが深くなる。
 そして、オーバーストたちが地を蹴ろうとしたその瞬間。
「さぁ、踊りな!」
 ディーは西へ向かって走りながら、ユーベルコード【フルバースト・マキシマム】を発動させ、全武装による一斉射撃を彼らにお見舞いした。
 耳をつんざくような轟音が轟くと、辺りは煙幕で覆われる。さながら戦争の真っ只中だ。

「これは好機ですね」
 突然の戦況の変化にも冷静なまま、デナイルは静かにユーベルコード【疲れ知らずの僚属たち】でレギオンを召喚する。
 ディーの挑発にまんまと掛かったオーバーストたちだったが、こちらにもまだ数十体が残っていた。
 とは言え、数が減ったことに感謝しつつ、デナイルは対峙するオーバーストを遙かに凌駕する数のレギオンを操りながら呟いた。
「こちらも数で対抗しますよ」
 デナイルの声を合図に、まどかも飛び出す。
 彼女は、フック付きワイヤーを壁の出っ張りに引っ掛けて宙に舞うと、デナイルの放ったレギオンたちの死角から【シーブス・ギャンビット】で敵を確実に仕留めていく。
 面白い程の速度でオーバーストの数が減っていくが――またも戦況が変化する。
 突然オーバーストたちの姿が消えたのだ。
「増えた次は……消える? なんてイカサマ!」
 まどかは叫びつつ、しかし第六感と聞き耳を駆使してオーバーストの気配を察知して立ち回る。
 しかし、姿の見えない一体が、自分ではない方向へ走って行ったことに気付き、まどかは訝しんで立ち止まった。
 その先にいるのは――。
「デナイルさん、そっち行ったよ! 避けて!」
「おっと」
 デナイルは素早く『防性硬化プログラム』で腕を硬化させると、眼前にブゥンと振り下ろされた剣をギリギリで受け止めた。
 ギヂッという耳障りな音が耳朶を打つ。
 冷や汗の一つ、かいてもおかしくないこの状況だが、デナイルは表情を変えることなく『スマートガン』で返り撃ちにした。
「おととい来やがれ、ですよ?」
 目を見開いて倒れるオーバーストに、茶目っ気たっぷりの言葉を贈ると、そのままレギオンを引き連れてまどかの支援に当たる。
「助かりました、まどかさん」
「無事で良かったです!」
 まどかは笑顔でサムズアップすると、そのまま手近な敵を早業で斬りつけた。
「うーん、気配を感じながら戦うことは出来るんだけど……」
 若干疲労の色を浮かべるまどか。
 しかしここで、彼女は運の良さを発揮した。
 まどかの後ろにある大きな扉から、怯えた表情の少女がひょっこり現れたのだ。
「え、分身するヴァンパイア……ですか?」
 少女は戦場を見て驚愕しつつ、しかし気配から領主ではないと悟る。
「元凶ではないようですけれど……こうも数が多いと厄介ですね」
 困った顔で、律儀に開けた扉を後ろ手に閉めつつ、獣耳のふわふわした少女、柚々・奈七音(終焉を忌む者・f14778)は、近くでダガーを振り回すまどかに気付いた。
「あれは……おひとりで踊っている、わけではありませんね」
 どうやらヴァンパイアは分身するだけでなく、姿も消せるようだ。
 奈七音は表情を硬くすると、意を決して叫んだ。
「そこの方、どうか離れてください!」
 まどかは突然のことに、声を掛けられたのが自分かどうか迷いつつ、ちらっと振り返った。
 視線の先に立つ少女からは、ただならぬ気配。
(これはユーベルコードを放とうとしている……!)
 まどかは察すると、慌ててデナイルのいる場所までワイヤーアクションで移動した。

「ユーベルコード、解放します!」
 奈七音はそう叫ぶと、大きく息を吸い込み、彼女の姿からは想像もつかないような激しい咆哮を放った。
 音は衝撃波となって、まどかが相手にしていた透明のオーバーストたちを薙ぎ払う。
 半分以上は消し飛んだが、まだ十数体が残っていた。しかし、その姿は暴かれている。
「見えてさえいれば、なんて事ないね!」
 まどかはオーバーストに肉薄すると、体を器用に回転させながら素早く屠っていく。時折カウンターで斬り返し、ワイヤーアクションで逃げ回りながら、どんどん追い詰めていった。
「わたしも援護します!」
 奈七音は愛棒『ビスコッティ・ロッド』を構えると、手近なオーバーストを殴りつけた――いや、撲殺という表現が正しいかも知れない……彼女の怪力はオーバーストのみならず、床をも叩き割る。
「お前さん、やるじゃないか」
 突然の声に奈七音が振り返ると、いつの間に来たのか、背後にディーが立っていた。
「あっちは片付いた。あとはここだけだ」
 ディーはそう言って片目を瞑ると、突然目に見えない速さで右手を突き出した。右手の中にはライターが握られている。
 かちり、という小さな音と共に現れたのは、炎の蛇。
 蛇は一直線に飛翔すると、奈七音の背後に迫っていたオーバースト三体をまとめて火だるまにした。
「あ……」
 奈七音は口を押えて目を見開いたが、すぐに優しい笑顔でディーに感謝を述べた。

「これで東側は片付いたな」
 ディーの張った煙幕が消えて、辺りの状況がよく見えるようになった。
 激しい戦いの跡――ほとんどは奈七音の穿った穴だが――を残しつつも、連携プレイで勝利を収めた四人は、残るオーバーストを目に映す。
「さて、あと一息ですね」
「はい。全力でお手伝いさせていただきます」
 デナイルと奈七音がそういうと、四人は武器を再度構え、残ったオーバーストの元へと赴くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

栗花落・澪
【龍狼師団】で連携

雇うだけ雇って
召使い同士が互いを認識出来ない程管理されてない
その甘さが敗因だよ

僕は【空中戦】の機動力を活かした援護主体
★清鎌曼珠沙華を手に
【催眠歌唱】を用いたUCで動作を鈍らせながらの【範囲攻撃】
【破魔】を宿した光の【全力魔法】を掌から放つ等

WIZ攻撃は武器で受け止め
助けが来るまで催眠で時間稼ぎ
SPD攻撃は鎌の鏡面反射を利用し防御狙い

2人の攻撃が当たりにくい場合
【誘惑】で注意を引き
確実に当てさせることで体制を立て直す

※僕は物理の弱さから二人の弱点にもなりかねないから
万一人質になるようなことがあったら
怯えたフリで鎌を花弁状に戻した後
風魔法で鎌鼬のように舞い上げる事で隙を作り脱出


堺・晃
【龍狼師団】で連携

澪君、奴隷印は消えるまで
あいつに見せないようにね
なに言われるかわからないよ

夏輝、僕ら遠距離部隊の心得覚えてるね
深追いはせず機を伺うべし
今回は任せるけど無理はするな

★Mirror Dollに澪の姿を写し
罠を仕掛けておく
意図的でも無意識でも関係無い
敵が近付いた時点で人形の髪が伸び
巻き付くことで動きを封じる算段

僕自身も★ダガーを手に
連撃や上着を脱いでのUCで【暗殺】

折角間近で澪くんの苦痛顔見れるのに
人前で控えなきゃならない事多くてむしゃくしゃしてるんだ
だからお前
代わりに的になれよ

敵の耳元で囁き★アイアン・メイデン・スキュアを数体召喚
閉じ込めたり棘の発射で敵をまとめて【串刺し】に


小林・夏輝
【龍狼師団】で連携

中まで監視されなかったのは幸いだったな
コイツだけなら遠慮なく行けそう!

範囲攻撃可能な2人に殲滅は任せて
★カラクリバットでの直接攻撃で気を引く

ほらほら
俺に追い付いてみろよ!
UCとバットで適度に打撃を与えながら
得意の【ダッシュ】で動き回り
★改造腕時計のワイヤーを家具などに引っ掛け
収縮利用の高速移動【ロープワーク】で翻弄
隙を突いて敵の頭上から大きく振りかぶり物理で殴…
と見せかけて!

ガシャガシャ、ドーン!と
バットのグリップ部を開けて★R -L装着
顔面目掛けてロケランの【零距離射撃】
上記【クイックドロウ】での速攻

反動利用の【逃げ足】で一旦退き
【援護射撃】と物理攻撃の使い分け

※澪守護優先



◆花と棘と刃と
 大広間の北側、豪華な装飾が施された扉の前に、彼ら三人はいた。
「中まで監視されなかったのは幸いだったな。コイツだけなら遠慮なくいけそう!」
 爽やかな笑顔で、小林・夏輝(お調子者の珍獣男子・f12219)は後ろの二人に声を掛ける。
「雇うだけ雇って、召使い同士が互いを認識出来ない程管理されてない……その甘さが敗因だよ」
 長い睫毛に縁取られた大きな瞳をそっと伏せて、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が言葉を返す。
「僕の奴隷印だってそう。知らないなら、もう少し警戒すると思うんだけど……誘惑にもあっさり掛かったしね」
 ふうとため息をついて首を横に振る澪の肩に、堺・晃(元龍狼師団師団長・f10769)はそっと手を置いて言った。
「澪君、奴隷印は消えるまであいつに見せないようにね。なに言われるかわからないよ」
「あ、うん。わかったよ」
 澪はにこりと微笑んで頷く。
「――それから夏輝。僕ら遠距離部隊の心得は覚えてるね? 深追いはせず機を伺うべし。今回は任せるけど、無理はするな」
「任せて!」
 夏輝はにっと笑って返事をすると、『カラクリバット』を構えて正面を見据えた。
 同時に、数人のオーバーストがこちらへ向かって来る。彼らはその美しい顔に狂気じみた笑みを浮かべ、大きな声で告げた。
「お子様たちが、こんなとこで何やってんだ?」
「何って……そんなのあんたらを倒しに来たに決まってるじゃん?」
 夏輝は獰猛な笑みを口の端に乗せて、先手必勝と言わんばかりにオーバーストたちへと一息で肉薄する。
 予想以上に素早い動きに舌打ちしつつ、オーバーストは更に分身してその数を増やした。
「ほらほら、俺に追い着いてみろよ!」
 夏輝はバットでオーバーストを適度に殴りつつ、隙を見てユーベルコードを発動させる。
 出現したのは戦闘用のゲームキャラクターたち。彼らは夏輝の動きに合わせて戦場を走り回り敵を翻弄する。

 夏輝がオーバーストの意識を引いている間に、晃は自分の『Mirror Doll』を澪に触れさせ、その姿を写した。この人形は勿論トラップだ。敵が近付くと髪が伸び、巻き付いて動きを封じることが出来る。
「さあ、澪君は上空から援護を」
 晃は澪にそう言うと、自身はダガーを片手に立ち上がる。
「気を付けてね」
 澪は晃にそっと告げ、空へと舞い上がった。

 澪が右手を差し出すと、虚空に薄紅色の花弁が舞い、澪の手に収束して透き通った鎌となる。彼は愛鎌『清鎌曼珠沙華』を手に、美しい声で歌いながらユーベルコード【誘幻の楽園】を発動させた。
 美しい花びらが鋭い刃となって、眼下のオーバーストたちへと降り注ぐ。
 その中心へと自らも降り立ち、足元に広がる花畑から力を吸い上げながら、清鎌曼珠沙華で辺りを薙ぎ払った。非力な澪だが、強化された一振りはオーバーストたちに確実なダメージを与える。
「可愛い顔しやがって……!」
 澪の攻撃を躱したオーバーストが一体、澪に肉薄して後ろから羽交い絞めにした。
「うっ……」
 澪が苦しげに顔をしかめ身動ぎするが、オーバーストの力には到底敵わない。
「澪!」
 少し離れた場所で戦っていた夏輝が、澪に気付いて助けに来ようとするが――。
(大丈夫だよ)
 澪は目配せだけで夏輝を制す。そして怯えた表情をすると、オーバーストに懇願した。
「た、たすけてください……まだ、死にたくない」
「へぇ、命乞いでもするか? いいぜ、見ててやるから」
オーバーストの顔が厭らしく歪む。
(カンタンに油断するんだね……)
 澪はため息を殺しつつ、表情はそのままで清鎌曼珠沙華を花弁に戻した。
「よしよし、いい心掛けだ」
 武器を仕舞うイコール降参、と見なしたオーバーストは、そう言って腕から力を抜く。次の瞬間――。
 ザシュッという生々しい音と共に、オーバーストの両腕が鮮血を吹いた。
 澪は花弁となった清鎌曼珠沙華の刃を、風魔法で舞い上がらせてオーバーストへ向けたのだ。
「なっ――」
 突然の出来事に硬直したオーバーストを、後ろからワイヤーアクションを駆使して飛んできた夏輝は、バットで殴りつけた。
 鈍い音が響いたかと思えば、床に血溜まりを作ってオーバーストの体が沈む。
「澪、大丈夫か?」
「うん。夏輝君ありがとう」
 澪が微笑むと、夏輝は安堵の表情で良かったと返した。

 澪の無事を横目で確認し、晃は再び眼前のオーバーストへと視線を戻す。
 彼は相当イライラしていた。だが、傍から見ればいつもの冷静沈着な晃だ。
 上着を脱いで後ろへ放ると、ダガーを握り直して地を蹴った。
 迎え撃つオーバーストたちは、一斉に嗤いながら長剣を構る。
 しかし晃の姿は、そこになかった。
 何か言おうと口を開いた一体が、声を出すことなく床に沈む。
「な!?」
 他のオーバーストが目を見張る中、晃は文字通り『目にも止まらぬ早さ』で、戦場を舞う死神となる。
「くそが! こんなガキにやられて……」
 晃に向かってユーベルコードを放とうとした一体が、喉元にダガーを突きつけられて動きを止めた。
「折角間近で澪くんの苦痛顔見れるのに、人前で控えなきゃならない事多くてむしゃくしゃしてるんだ……だからお前、代わりに的になれよ」
 耳元でそんな言葉が聞こえた気がするが、彼が意味を理解することはなかった。
 晃は虚空から『アイアン・メイデン・スキュア』を召喚すると、彼を中へと放り込み、串刺しにする。
 更に数体召喚し、棘を飛ばして片っ端から屠っていく。

「こんな結末、許されるわけがない……」
 三体だけ残ったオーバースト。その中の一人が、切れ長の目を見開いて呟いた。
 ゆらりと一歩後ずさると、何かがコツリと足に当たる。その瞬間、琥珀色の糸が足に巻き付き、彼は身動きが取れなくなった。
 晃が事前に設置したMirror Dollだ。
 それを合図に、夏輝がワイヤーアクションで宙を駆けた。
 身動き取れなくなったオーバーストは無視して、隣で剣を構える二体へとバットを振り下ろし――。
「はっ! そんなの当たるかよ!」
 オーバーストが叫ぶと、夏輝は余裕の笑みを浮かべ、素早く『R-L』を装着。そのままトリガーを引くと、バットがぱかりと開き、ロケットランチャーが発射される。
「!?」
 オーバーストは避けようとしたが、『クイックドロウ』によって加速されたランチャーは、コンマ5秒で着弾する。
 轟音で空気が振動し、跡に残ったのは黒い灰のみだ。

 動きを封じられた最後のオーバーストは、もはや何かを語ることもなかった。いや、語れなかった、と言うべきか。
 彼が何かを発する前に、晃が静かに、胸へとダガーを突き立てたのだ。
 夏輝と澪が気付かない程静かに、オーバーストは灰となって消えた。


 この大広間の各地で戦っていた猟兵たちは、各々勝利を収めた。
 しかし、広間を覆う嫌な気配は消えない。
 豪華な装飾が施された扉の向こうから、絶え間なく黒い気配が流れ込んでいた。
 あの扉の先に、領主がいるのだろう。
 猟兵たちは最後の戦いに赴くため、武器を手に扉を開くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『残影卿・アシェリーラ』

POW   :    我が終生の敵手の力を見よ
【刀身に封じられた『太陽の炎』を纏った剣 】が命中した対象を燃やす。放たれた【吸血鬼を浄化する太陽の力を秘めた】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    我は既に死者である故に
【オブリビオンとして復活させた自分の分身 】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    我が闘争の果に
【オブリビオンとなる前からの戦闘経験により】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はランゼ・アルヴィンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 扉の先に待っていたのは、予知通り、銀髪のヴァンパイアだった。
 彼は猟兵たちの侵入を予期していたかのように、真紅の椅子の前に立っていた。
「オーバーストを倒したか……」
 冷たい声でそう言うと、猟兵たちへと視線を向ける。
 その目に殺気はない。しかし、危険な何かが宿っていると猟兵全員が感じていた。
「私はアシェリーラ。強者を求める者。弱者に興味はない」
 アシェリーラはそう言うと、巨大な剣を召喚して切っ先を猟兵へと向ける。
「私が倒したいのだろう、イェーガー。では……試してみるがいい。もし貴様らが弱者であれば――死ね」
 一気に殺気が膨れ上がり、アシェリーラの表情が歪んだ。
 狂気に満ちたその微笑みに、猟兵たちは武器を構える。

 さあ、この危険なオブリビオンを、猟兵たちは倒すことが出来るだろうか。
夜神・静流
「死ぬのは貴様だ。悪しき魔物は全て抹殺する」
引き続き真の姿を開放した状態で戦う。

技能は見切り・残像・ダッシュ・早業・カウンター・怪力・属性攻撃・なぎ払い・破魔・火炎耐性を使用。
焔を纏った剣による攻撃に対し、同じ性質を持つ技……二ノ太刀・紅によるカウンターを仕掛ける。

吸血鬼が浄化の炎など、笑えない冗談だ。
我が破邪の炎刃にて、所詮は付け焼刃に過ぎないという事を証明しよう。

「我が剣は焔。焼き払え――二ノ太刀・紅!」
「夜神の剣は魔を討つ為に、ただそれだけの為に磨き抜かれた刃。その重さを知るがいい」


ディー・ジェイ
「いい狂いっぷりだねぇ、暇な貴族様は自分を殺す強者をお望みかい?」

・まずは味方の攻撃準備、チャンスを稼ぐ為に先手で制圧射撃を開始。
腰撃ちしながら裏取りを狙うように移動し、構ってくれないならそのまま撃ち続け、防御を取りたくなるくらい嫌がらせをしまくるぜ。

・近接戦闘を仕掛けられた場合、それを回避しながら手袋に仕込んだ鋼糸を飛ばす。相手の脚に巻き付けて行動を妨害したら、貴族様は怒るかね?
糸は切られても問題ない。それを切ろうとするワンアクションを稼ぐことに意味があるからな。

ポイントマンはあくまで他の猟兵、俺はサポートだ。



「いい狂いっぷりだねぇ、暇な貴族様は自分を殺す強者をお望みかい?」
 おどけた口調で、ディー・ジェイ(Mr.Silence・f01341)はアシェリーラの前に進み出た。自然体で銃を右手に下げているが、全く隙が感じられない。
 アシェリーラが目を細めて口を開いた。
「お前は強者たるか?」
 静かに問われ、ディーは肩を竦める。
「どうだろうな? ま、試してみりゃわかるだろ」
 目を瞑って(と言ってもガスマスクで見えはしないが)首をコキコキ鳴らしたかと思うと、一瞬で銃を構えて制圧射撃を開始。弾丸を撒き散らす。
 しかしアシェリーラは避けるでもなく、その場に佇んだまま剣を静かに横へと薙いだ。
 その動作に嫌な感じを覚え、ディーは弾をばら撒きつつ右へと走る。
 次の瞬間、彼が立っていた場所に巨大な火柱が上がった。
「おいおい」
 思わず苦笑が漏れつつも腰撃ちの手は止めず、敵の背後へと回る隙を伺う。
 照準を合わせていない腰撃ちでは、弾の軌道は読みにくい。
 しかしアシェリーラは横目でディーを見つつ、剣で弾を叩き落していく。
「出鱈目な野郎だぜ」
 ディーの呟きが聞こえたのか、アシェリーラが突然動いた。
 一瞬で距離を詰め、ディーに大剣で斬りかかる。
「ふっ」
 アシェリーラの呼気がわかる程の距離で、しかしディーは笑みを浮かべてバックステップで避けつつ、愛用のサバイバルナイフ『BAR-G』でアシェリーラの剣の軌道を変えてやる。
 アシェリーラは軌道を修正することなく、そのまま体を回転させて斜め上から再度斬りつけて来る。
 ディーは今度は左へ転がりつつ、死角から手袋に仕込まれた『Silence,S2-log』を飛ばした。特殊繊維のワイヤーはアシェリーラの脚へと伸び、行動を妨害するために巻きつく。
「小癪な」
 アシェリーラは忌々しげに吐き捨てると、器用に大剣を突き立ててワイヤーを切った。
 その行動に、ディーの笑みが深くなる。
 彼が狙ったのは、この一瞬の隙だ。

「死ぬのは貴様だ。悪しき魔物は全て抹殺する」
 ディーの背後から、銀色に輝く髪をなびかせ、夜神・静流(退魔剣士の末裔・f05903)はアシェリーラへと斬りかかった。
 完全な不意打ちに、アシェリーラは静流の太刀を避けきれず、左腕から鮮血を迸らせる。
 静流は手を止めることなく、月の神の加護を受けた聖なる力を乗せて、愛刀『十六夜』を振るった。
 淡く輝く刀身が光の軌跡を引く中、アシェリーラは静かに大剣を持ち上げると十六夜を迎え撃つ。
 両者がぶつかり合い白い火花を散らすと同時に、アシェリーラの剣から炎が噴き上がった。
「くっ」
 静流は翼を広げて後方へ飛び退く。
 アシェリーラが剣を下ろすと、炎は掻き消えた。左腕の傷は、いつの間にか塞がっている。深手でない限り、魔力で治癒してしまうようだ。
「……この剣は吸血鬼殺しの剣。私が生前使っていたものだ」
 アシェリーラが静かに語る。
「そしてこの炎は――吸血鬼を殺す『浄化の炎』だ」
 紫色に揺らめく瞳を静流に向け、そっと微笑む――口元は邪悪な笑みに歪んでいた。
「吸血鬼が浄化の炎など、笑えない冗談だ。我が破邪の炎刃にて、所詮は付け焼刃に過ぎないということを証明しよう」
 静流は静かな怒りを込めた声でそう返すと、十六夜を構え直す。
 全身が淡く輝く静流に、アシェリーラは大剣の切っ先を向けた。
 僅かな沈黙の後、先に動いたのは静流だった。
「我が剣は焔。焼き払え――二ノ太刀・紅!」
 静流が吼えると十六夜の刀身が燃え上がった。
 白い羽を散らしながら、静流が地を蹴る。
「夜神の剣は魔を討つ為に、ただそれだけの為に磨き抜かれた刃。その重さを知るがいい!」
 静流の剣が振り下ろされ、アシェリーラの剣と交差した。
 互いの剣から炎が燃え上がり、二人が炎に包まれる。しかし火炎耐性がある静流は、気にせず聖なる炎を放ち続ける。
「くっ」
 アシェリーラは顔を歪めると、剣を思い切り横に払い十六夜を弾いた。
 静流は手を離すことなく踏み留まると、再度斬りかかる。
 しかし、アシェリーラは大きく後方へと飛び退いて静流の太刀を躱した。
「なかなかやるな」
 炎によるダメージは確実にあるはずだが、何故か微笑を浮かべて静流を賞賛する。
「気持ち悪いやつだな」
 そう言いながら、静流の横にディーが着地した。
 静流にバトンタッチした後は、いつでもアシストが出来るように高い位置から隙を伺っていたのだ。
「貴様らを殺してその血を飲めば、私は更に強くなれる」
 アシェリーラは狂気をはらんだ表情でそう言うと、再び剣を持ち上げた。

 戦いはまだ、始まったばかりだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

栗花落・澪
【龍狼師団】で連携

強い奴にしか興味が無い
それなら対象外ってことで
僕に隙見せてくれたら嬉しいんだけどなー

さっさと倒して奴隷達を解放するため
出来る限りの全力で挑む

【空中戦】の機動力で敵を飛び越えるように背後に回り込んだり
超低空飛行で足元を擦り抜けたりと翻弄しながら
【誘惑、催眠】の【歌唱】を常に響かせ
敵の機動力、思考能力の低下等を誘発するサポート主体

隙があれば【破魔】を宿した光の【全力魔法】や
★清鎌曼珠沙華での【なぎ払い】で
仕掛けては逃亡を繰り返す

攻撃予想?
それなら回避させなきゃいいんでしょ!
UCを正面から仕掛け
直撃したら更に敵の視界を塞ぐように一気に花弁を散らす

言ったでしょ
僕はあくまでサポートだよ


堺・晃
【龍狼師団】で連携

よかった
貴方の部下が余りに弱いので退屈していたんです
貴方ならいい玩具…ふふ、失礼
倒し甲斐がありそうだ

★ダガーで【暗殺】技術を駆使
澪と真逆に動き死角を狙う
天使ばかり追いかけていたら首が落ちますよ

接近した際敵の影にUCを仕込み
反撃が見えたら即後退

君にとっては僕らなんて煩わしい羽虫のようなものだろうけど
嘗めてると…死ぬよ
おいで、ルヴェール

UCを敵の背後で実体化
影のダガーで攻撃させ隙作り
澪と夏輝が連携している隙に
★アイアンメイデンを召還し
夏輝の退避と合わせて棘の【一斉発射、串刺し】

もう壊れちゃった?
まだ遊べるよね?
ほら澪君の代わりに
もっと僕を楽しませてよ!

…こほん。失礼、素が出ました


小林・夏輝
【龍狼師団】で連携

ついにボス戦だな
さっさと終わらせて全員解放してやろうぜ!

前半は二人の動きに合わせての
ロケットランチャーによる【援護射撃】と
UCで二人の隙を埋める為の攻撃

澪の歌、マジすげぇだろ
俺ら自慢の歌姫だかんな!

わざと敵に話しかけることで
狙いを分散、混乱させる狙い

増えるならまとめてぶちのめすまでっしょ!

SPD技には【クイックドロウ】の射撃と
爆炎で視界を遮り【ダッシュ】接近からの
バットフルスイングで対処

隙を見つけたら敵に★改造腕時計のワイヤーを引っ掛け
周りを駆け回る【ロープワーク】で縛り時間稼ぎ

澪のUC後敵の目前に急接近し
得意の【零距離射撃】

元陸上部の足嘗めんなよ
晃!あと頼む!(バク転退避)



「ついにボス戦だな。さっさと終わらせて全員解放してやろうぜ!」
「そうだね、奴隷たちを解放するために全力でいこう」
 小林・夏輝(お調子者の珍獣男子・f12219)の言葉に、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が頷く。
 彼らの後ろに控えた堺・晃(元龍狼師団師団長・f10769)は、いつものように指示を出すわけでもなく、今はただ無言でアシェリーラを見ていた。
 澪と夏輝は一度晃を振り返った後、頷き合って散開する。

 澪は透き通った美しい鎌『清鎌曼珠沙華』を片手に、白い翼を広げて空へと舞い上がった。
「強い奴にしか興味がないなら、対象外ってことで僕に隙を見せてくれたら嬉しいんだけどなー」
 嘯きながら、アシェリーラを眼下に見据えて大きく息を吸った。
 そして、その美しい歌声を部屋全体に響き渡らせる。
「澪の歌、マジすげぇだろ。俺ら自慢の歌姫だかんな!」
 夏輝はそう言いながら、アシェリーラに肉薄した。
 彼の隣には、ユーベルコードによって召喚されたゲームキャラクターが数体並び、同じ動作でアシェリーラに襲い掛かる。
 アシェリーラは、夏樹には見向きもしないで攻撃を躱すと、上空の澪目掛けて剣を振った。剣から放たれた斬撃は、衝撃波となって澪を襲う。
「させるかよ!」
 澪が持ち前の機動力で難なく衝撃波を避けるのを横目に、夏輝は振りかざしたバットに仕込まれたロケットランチャーを、アシェリーラに撃ち込む。
 アシェリーラが夏輝へ視線を向けると、迫り来るロケットランチャーを叩き斬った。
 そのまま剣を構え、ゆっくりと足を踏み出し――。
「なっ!?」
 夏樹が驚愕に目を見開く。アシェリーラが分身したのだ。
「てめぇもオーバーストと一緒かよ!」
「敗者と一緒にしてくれるな」
 夏輝の叫びに、アシェリーラが静かに答える。
 そのままアシェリーラの影は澪へと向かい、本人は夏輝に向かって床を蹴った。

「強者か、弱者か……貴様はどちらだ?」
 澪に向かったアシェリーラの影は、斬り掛かりながら問い掛ける。
「僕はサポートだから強者か弱者かって言われると……どうだろうね?」
 澪は斬撃をスルスルと躱しながら、にこりと微笑んで曖昧に答えた。
 そして超低空飛行でアシェリーラの足元をすり抜けると、後ろ手に光魔法を撃ち込む。
 しかしアシェリーラは、攻撃を予め予想していたかの様に避け、尚も衝撃波を繰り出して来る。
(予想してる……? それなら回避させなきゃいいんでしょ!)
 澪は衝撃波を避けつつ、真正面からユーベルコード【Orage de fleurs】を放つべく指先をアシェリーラに向けた。
 アシェリーラの口の端が吊り上がるのを見て、澪はにこりと微笑んだ。
「……香り高く舞い遊べ」
 口から零れた鈴のような声音と共に、指先から花びらが嵐となってアシェリーラへと襲い掛かる。
 花弁を衝撃波で吹き飛ばすべく、アシェリーラが剣を振ろうとした瞬間、花弁は上下左右に広がり視界を覆いつくした。
 アシェリーラは舌打ちして剣を素早く二回振り、クロスした斬撃で花弁の嵐の中心を吹き飛ばす。
 そのまま床を蹴って澪へと再度肉薄しようとし――。
「天使ばかり追いかけていたら首が落ちますよ?」
 ズブリという生々しい音が響き、アシェリーラの脇腹が鮮血に染まる。
 気配もなく背後に現れた晃が、ダガーで刺したのだ。
 どう見ても致命傷だが、アシェリーラは何事もなかったかのように身を引いてダガーから開放されると、魔力で傷を塞いだ。
「見事な暗殺技だな?」 
 余裕のある口調で晃を賞賛する。
「……良かった。貴方の部下が余りに弱いので退屈していたんです。貴方ならいい玩具……ふふ、失礼。倒し甲斐がありそうだ」
 ニヤッと邪悪な笑みを浮かべた晃は、再度ダガーを構えると『その時』を待った。

「強者か、弱者か……貴様はどちらだ?」
 アシェリーラ本体は、夏輝に問い掛けながら重い斬撃を繰り出す。
 夏輝は何も言わずにクイックドロウで連射をしながらバックステップで斬撃を避けた。
 連射によって爆炎が上がり、アシェリーラの視界を奪う。
 その隙に、夏輝は腕の『改造腕時計』からワイヤーを打ち出し、先端のフックを部屋の出っ張りに引っ掛けて宙を舞った。
 アシェリーラの死角に回り込んだ夏輝は、ロープワークで敵にワイヤーを巻きつける。
「ほう? それで私を封じたつもりか?」
 抑揚のない声で言うアシェリーラに、夏輝はニヤリと笑う。
 夏輝は遠心力を利用して、ワイヤーを巻きつけたアシェリーラを横へと投げ飛ばす。
 アシェリーラは勢い良く吹っ飛び、床に叩きつけられた。しかし大したダメージもなく、片手で身を起こす。
 顔を上げたそこには、アシェリーラの影が立っていた。
「……貴様ら、何か企んでいるな」
 アシェリーラ二人が呟くと同時に、澪の花びらが辺りを覆いつくした。
「同じ手は効かんぞ?」
 アシェリーラの影はそう言いながら本体を庇うように前に立つ。
「元陸上部の足なめんなよ」
 夏輝が叫びながら、爆発的な踏み込みと共に一瞬で距離を詰めると、アシェリーラの影に向かって零距離射撃をお見舞いした。
 その攻撃も予め予想していた影は、一瞬早く剣でなぎ払う。
 夏輝はバク転して避けると、後ろで控えていた晃に向かって叫んだ。
「晃、あと頼む!」
 夏輝の声を合図に、晃が『アイアン・メイデン・スキュア』を召喚し、アシェリーラ二人をその棘で一気に貫いた。
「ガッ!」
 アシェリーラの影は全身を貫かれ、口から大量の血を吐き出して動かなくなる。
 影の後ろにいたアシェリーラ本人も、多少棘を体に受けるも、拘束するワイヤーが千切れたことで後ろへと大きく退避した。
「もう壊れちゃった? まだ遊べるよね? ほら、澪君の代わりにもっと僕を楽しませてよ!」
 アシェリーラの影の耳元で、口を大きく歪めた晃が囁くが――。
「晃?」
 夏輝の声に舌打ちして、影から体を離す。
「あいつ、まだまだ元気じゃん」
「しぶといね」
 夏輝に言葉に、上空から舞い戻った澪がそっと頷いてアシェリーラを見やった。
 ヴァンパイアは笑みを浮かべて三人へと語りかける。
「貴様らも強者と認めてやる。その血は私を強くする――殺してやろう」
 晃たち三人は、再度武器を構えると、どう攻めるか思考を巡らせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

柚々・奈七音
アドリブ・絡み歓迎

あなたが元凶ですね…!
村を壊滅させない為にも、今ここで倒れていただきます!
わたしは強くはありませんが、殺される気はありません…もちろん、誰一人として殺させる気もありません、から…!

UC【ライオンライド】でライオンさんを召喚して戦います。
小回りが利かないかもしれませんが…他の猟兵さんの盾にはなれるかもしれません。陽動、というものでしょうか。
強者を求めると言うのでしたら…百獣の王が相手なら、いかがでしょうっ。
爪と牙で、容赦なくあなたを葬らせていただきますっ!


青葉・まどか
うわぁ、またヤバそうな奴が出てきたね!
でも、倒さないと犠牲になる人達がいるから頑張るよ!

独りで戦う訳じゃ無い、仲間との連携・フォローを心掛けます。

私自身、強くないから小細工を弄して敵の妨害を念頭に行動。

敵の攻撃はフック付きワイヤーを使い【敵を盾にする】を狙う。

『シーブス・ギャンビット』で攻撃の際、【武器落とし】【盗み攻撃】【早業】を駆使して相手から武器を奪ったり、落としたり出来ないか試す。

スマートフォンのフラッシュで【目潰し】を試みる。

フック付きワイヤーで【ロープワーク】【罠使い】【目立たない】を駆使して相手の転倒、移動阻害を試みる。

相手は百戦錬磨、やれる事は試して損は無いよね。


シーザー・ゴールドマン
【POW】
ふむ、強者を求める、ね。自分から探しに行けば良いものを。
無辜の人々を殺して回れば私達の様な存在を呼び寄せられるとでも思ったかね?
――ならば、望み通り殺してあげよう。
戦術
オド(オーラ防御×火炎耐性)を活性化して戦闘態勢。
オーラセイバーを振るって戦う。
ある程度剣を交えて実力を把握。
「我が終生の敵手の力を見よ」のタイミングを『第六感』『見切り』『戦闘知識』を活かして見切り、『カウンター』で『バベルの消失』の魔力を秘めたオーラセイバーの一撃を放ちます。
【真の姿ver1:特に変わらない。黄金の瞳が輝き、身に纏う真紅のオーラが濃ゆくなるくらい】


フィーナ・ステラガーデン
なんか物騒な剣持ってるわね!
(ヴァンパイアの血の濃いダンピールなので凄く嫌な気配を感じる)
正直近寄りたくないけど、そうも言ってられないようね!
やるわよ!

仲間と共に連携しつつ動くわ!
あんな剣持ってるってことはこいつ元々ヴァンパイアハンター的な奴だったのかしら?
魔法使いで吸血鬼の臭いがする私は確実に狙われるわよね
じゃあ私は一瞬の隙を作り出して仲間に攻撃を託すわ!
技能「勇気、覚悟、高速詠唱、全力魔法、第六感」を使って
反撃に集中ね!
斬りかかってきたタイミングでUCを発動して
出来れば剣を壊して、無理でも弾き上げたり大きな隙を作り出すチャンスを作り出すのよ!

(アレンジ、アドリブ、連携大歓迎)



「すっごく嫌な感じがするわ!」
 眉間に皺を刻んだフィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)は、両腕で自分を抱きながら素直な感想を述べた。
「とっても近寄りたくないし――なにより、あの物騒な剣! あれよ、あいつが凄く嫌!」
 ヴァンパイアの血を濃く受け継ぐ彼女は、アシェリーラの『吸血鬼殺しの剣』に心底怯えていた。
「うわぁ、またヤバそうな奴が出て来たね……」
 少し遅れて到着した青葉・まどか(玄鳥・f06729)と柚々・奈七音(終焉を忌む者・f14778)も、フィーナとは異なるにしろ、嫌な気配を感じていた。
「近寄りたくない、には賛成だけど。倒さないと犠牲になる人たちがいるから頑張るよ!」
 まどかの言葉に、フィーナと奈七音は無言で頷く。
 そして、先陣を切ろうとまどかが一歩踏み出した瞬間、フィーナがその手を掴んだ。
「わっとと。どうしたの、フィーナ?」
 思わず前のめりになって、まどかが怪訝な顔で振り返る。
「ごめんごめん! あのね、たぶんだけど――」
 フィーナは謝りつつ、まどかと奈七音にそっと耳打ちした。
 二人はフィーナの顔を見ると、心配そうに問い掛ける。
「でも、それではフィーナさんが危ないのでは……」
 奈七音の言葉に頷きながら、まどかも口を開く。
「私も危険だと思う。だけど……それしか方法がないとも思う」

 アシェリーラの剣は、吸血鬼を殺すための剣だ。
 吸血鬼の血を濃く受け継ぐ彼女は、確実に狙われるであろうと。
 それを承知の上で、自分が囮になると。
 フィーナはそう言ったのだ。
「ほら、私たちって単独だと勝ち目ないでしょ?」
 フィーナは相手の剣が弱点となり、まどかと奈七音では単独での立ち回りが厳しい。
「となれば――これしかないってわけ!」
 ゴリゴリ押していくフィーナに、まどかも奈七音も頷くしかなかった。
「わかりました……確かにわたしは強くありませんが、殺される気はありません……もちろん、誰一人として殺させない。だから、その上で私は盾となります」
「私も強くないけど、小細工は得意だからね。敵の妨害を念頭に行動するよ!」
 三人は短い時間ながら、しっかりと戦術を組み立てると、
「よし、行くわよ!」
 というフィーナの掛け声で動き出した。

「次なる相手は貴様か」
 アシェリーラの前に立ったフィーナは、砕けそうな脚に勇気と覚悟で活を入れ、何とか余裕の笑みを浮かべることに成功する。 
「そうよ! 私に掛かればアンタなんてどうってことないわ! その陳腐な剣は仕舞って、私と魔法で勝負なさい!」
「ふむ……貴様は吸血鬼に近しい者か」
 フィーナのセリフをスルーして、アシェリーラは目を細めて呟いた。
「ちょっと、私のセリフは無視なわけ!? ヴァンパイアらしく剣じゃなくて魔法で戦いなさいよ! せっかくここに来るまでに輸血パックでお腹を鎮めつつ魔力回復して来たのに!」
 しかしその中身はトマトジュースである――。
 フィーナの必死の叫びも虚しく、アシェリーラは淡々と独白めいた語りを続ける。
「貴様は恐怖しか感じぬであろう……吸血鬼殺しの剣だからな。何なら試してみるか?」
「だーかーらー! アンタなんて怖くないって言ってるでしょ!!!」
 フィーナは半ばヤケになって叫びつつ、全力で火炎魔法を叩きつけた。
 しかし――着弾地点にアシェリーラの姿はない。
 一瞬でジャンプして距離を詰めて来たアシェリーラに、第六感頼りのゼロ距離射撃をお見舞いするが、難なく避けられてしまう。
 フィーナが悔しげな表情をすると、アシェリーラが口の端を歪めて剣を振り被り――。
「そこよ!!」
 フィーナは高速詠唱でユーベルコード【高密度迎撃熱線】を発動させた。もちろん悔しそうな表情はフェイクだ。
 熱戦が一直線にアシェリーラを薙ぐ。
 狙いは吸血鬼殺しの剣だったが、僅かにずれてアシェリーラの脇腹を掠めた。
 しかしアシェリーラは一瞬動きを止めただけで、再び剣を振り降ろす。
「させない!」
 一瞬の硬直を見逃さず、後方からまどかのフック付きワイヤーがアシェリーラの剣に絡みついた。
 まどかはワイヤーを思いっきり引っ張るがビクともせず、逆にとんでもない力で上空へ向かって投げ飛ばされてしまった。
 空中で何とか体勢を立て直すと、そのまま上空からユーベルコード【シーブス・ギャンビット】をアシェリーラの剣に向かって叩きつける。
「これでどうだ!」
 アシェリーラは剣を上に構えて防ごうとするが、それを見越したまどかは『武器落とし』を試みる。
 ギャンという甲高い音と共に互いが弾き飛ばされ、まどかはフィーナの横に着地した。
 アシェリーラは少し離れた位置に着地したが、着地と同時に猛ダッシュで迫ってくる。
「お見通し!」
 まどかは叫びながらスマホフラッシュを炸裂――辺りが眩い光に包まれた。
 しかし、アシェリーラは止まらない。
「嘘でしょ!?」
 まどかはフィーナを掴むと、フック付きワイヤーのロープワークで後方へと大きく飛び退くが、アシェリーラは追い縋って来る。
 まずいまずいと心の中で叫びつつ、信頼を寄せるもう一人の登場を待った。

「お待たせしました!」
 ほんわかした声と共に、巨大な黄金のライオンがアシェリーラとまどかたちの間に割って入る。
「二人は傷付けさせません!」
 ライオンに跨った奈七音が、キッとアシェリーラを睨み付ける。
「強者を求めると言うのでしたら……百獣の王が相手ならいかがでしょうっ!」
 奈七音が叫ぶと、黄金のライオンが猛烈な咆哮をアシェリーラに向けた。
「ほう……珍しい」
 アシェリーラは愉しげに微笑むと、ライオンに跨る奈七音に向かって跳躍した。
 しかしライオンは彼以上に高く跳び上がると、アシェリーラの背後へと回り込む。
 チラリと後方に視線を向けるアシェリーラに、横からまどかのワイヤーが迫る。
 アシェリーラは叩き落とそうと剣を構えるが、後ろからライオンが、逆サイドからフィーナの火球が襲い来ることを予見して、分身を出現させた。
『あ、ずるい!』
 フィーナとまどかの声がハモるが、それもご愛嬌。
 アシェリーラ本体はライオンと対峙し、分身はフィーナとまどかへ向かって斬撃を放つ。
「もう一発!」
 フィーナは再びユーベルコードを高速で放つが、分身は空中で体勢を変えて避ける動作をし――。
「させるか!」
 まどかが早業でワイヤーを巻きつけて固定する。
 フィーナの【高密度迎撃熱線】は、空中で分身に見事直撃した。
 一瞬で灰と化し、分身はあっさり消滅する。
「なんだ、分身弱いのね!」
「私たちの連携が良かったんじゃないかな?」
 フィーナとまどかはそう言いながら、後方を見やる。

 後方では、奈七音がかなりの苦戦を強いられていた。
 素早いアシェリーラを、巨体のライオンはなかなか捉えることが出来ない。
「早い……!」
 奈七音が小さく叫ぶ。
 アシェリーラは右へ左へ移動しながら、衝撃波を放った。彼が狙うのは奈七音だ。
『これでも食らえ!』
 横から放たれたフィーナの火球が衝撃波を相殺し、まどかのダガーがアシェリーラへと襲い掛かる。
 アシェリーラは何の感情も浮かべないまま、吸血鬼殺しの剣で叩き落とした。

 再び距離を取って、互いが対峙する。
 その時――。

「ふむ……なかなか面白いものを見せてもらった」
 声は意外なところからやって来た。
 まどかが立つ位置は、ちょうど自分たちが入って来た扉の前だった。
 その扉の向こう側から、ダンディな声音が響く。
「次は私が相手をしよう」
 ギィッと扉が開くと、そこには深紅の紳士、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)が立っていた。

 アシェリーラと対峙したはシーザーは、不敵な笑みを絶やさないまま口を開いた。
「ふむ、強者を求める、ね」
 まるでため息のような短い吐息を吐きつつ、瞳を閉ざして語る。
「自分から探しに行けば良いものを――無辜の民を殺して回れば、私たちのような存在を呼び寄せられるとでも思ったかね?」
 薄らと開いた目には、金の光。
 ――ならば、望み通りに殺してあげよう。
 口に出さずとも語られた言の葉に、アシェリーラの目が細くなる。
「貴様は強者か? それとも――愚者か!」
 言いながら一気に距離を詰めるアシェリーラを、冷たい瞳で迎えるシーザー。
 既にオド(自らの魔力)を活性化させ、戦闘態勢に入っている。
 シーザーの魔力に圧倒され、フィーナたち三人はそっと後ろに下がった。この戦闘は荒れそうだ、と誰もが思った。

 アシェリーラの大剣が空を裂き、シーザーに迫り来る。
 シーザーはこれを『オーラセイバー』で迎え撃つ。
 ジャギっという耳障りな音が響き、ぶつかり合った剣から光の粉が舞う。
「ふむ……さすがに今までの奴らとは違うな?」
 シーザーは称賛を口にするが、感情の籠っていない視線がアシェリーラと絡んだ。
「貴様の血は、さぞや美味であろうな?」
 アシェリーラは、まるで聖人のような微笑を浮かべて嘯く。
「吸血鬼が吸血鬼殺しの剣とは――なかなかに酔狂だな」
 シーザーはふっと嗤うと、オーラセイバーを下から斬り上げた。
 アシェリーラは微笑んだままそれを躱し、一旦飛び退いて衝撃波を放つ。
 シーザーは僅かな動作で避けると、一息に距離を詰めて斬り掛かった。
「ふっ」
 アシェリーラは短く息を吐き、吸血鬼殺しの剣で受ける。
 シーザーのオーラセイバーがジジッとその姿を揺らした。
「……ほう」
 シーザーが僅かに驚嘆の声を漏らす。
「成程……では、少し楽しもうか」
 シーザーは、そう言うなりオーラセイバーを虚空へ還して、自然体で佇んだ。
 アシェリーラが斬り掛かろうと一歩踏み出すが、そこで硬直する。
 シーザーの金の瞳がその輝きを増し、身に纏う深紅のオーラが僅かに色味を変化させる。
 真の姿を一段階解放したシーザーは、その笑みを深くして再びオーラセイバーを召喚した。
「では、こちらから行こうか」
 シーザーはそう言って地を蹴ると、コンマ5秒で斬撃を放った。
 アシェリーラは小さく舌打ちして剣で体を庇いつつ、左手で魔力の弾丸を撃つ。
 魔弾は直進するように見せかけ、途中で大きく軌道を変えた。別々の位置からシーザーに襲い掛かる。
 シーザーは冷静に動きを読んで躱しつつ、アシェリーラへと雷撃を放った。
 剣で受けられない魔法攻撃に、アシェリーラは大きく上空へと跳ねる。そのまま剣に暗黒のオーラを纏わせてシーザーへと切っ先を向けて舞い降りた。
 シーザーはこの瞬間を待っていた――アシェリーラの剣戟を、避けることなく迎え入れる。
 アシェリーラの表情が、聖なる微笑みから悪魔の笑みに変わる瞬間。
「消えたまえ」
 シーザーの呟きと共に、ユーベルコード【バベルの消失】が発動し、強大な魔力の奔流が、僅か30cmという距離にいるアシェリーラを貫いた。
「ガハッ」
 アシェリーラは血の塊を口から零しつつ、後ろに飛び退く。
「君が望むままに、殺してあげよう」
 シーザーは清々しい笑顔で、両手を広げた。
 アシェリーラは視線を左右へ走らせると、一息にジャンプして姿を消した。
「移動したか……」

 後に残されたシーザーや他の猟兵たちは、アシェリーラの血痕を辿って部屋を移動するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。強者との闘いが望みみたいだけど…。
生憎、私はお前たちを狩る為にこの地に来ただけ。

防具を改造し“忍び足の呪詛”を再発動
存在感を薄く偽装(変装)して敵の行動や視線を見切り気配を遮断
第六感が殺気を感じたら気合いで大鎌を盾に武器で受けよう

【限定解放・血の教義】を二重発動(2回攻撃)
吸血鬼化した自身の生命力を吸収させて精霊を誘惑
大鎌に“闇”属性の“過去を世界の外側に排出する力”を溜める

…闇の精霊、私の呼びかけに応えて…。

暗視と【吸血鬼狩りの業】を頼りに敵の行動を予測し、
過去の存在の傷口を抉る“闇の炎”を宿した大鎌を、怪力任せになぎ払う

…ん。挨拶がまだだった。
私はリーヴァルディ。吸血鬼を狩る者よ。


デナイル・ヒステリカル
いいえ。骸の海へと帰るのはのは貴方です、オブリビオン。
終わった存在がこの世界に害を成すことを、僕は容認できません。

まずは他の猟兵と戦う残影卿の動きを【情報収集】する必要があります
銃の引き金を引き【誘導弾】で四方八方から弧を描く弾丸が攻めることにより、敵の回避パターン記録し集積しましょう
この射撃は他の猟兵への【援護射撃】としての狙いもあります

敵の動きを解析し終わったら本格的に反撃開始です
味方の攻撃に合わせて誘導弾を全弾射撃、逃げ場を狭めて行動を封じます
UCをチャージ、発砲
敵は避けられないのならば防ごうとするかも知れません
しかし僕の全てを込めた一発、そう簡単に防げるものではありませんよ



 暗い廊下を、デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)は進んで行く。
(僕の読みが正しければ、この先にいるはずですが……)
 単独での戦闘をするつもりはない。
 デナイルは、後ろからゆったり着いて来る少女を意識しつつ、離れないよう気をつけて歩みを進める。
 血痕は、この先の部屋へと続いている。いよいよかと気を引き締めて部屋へと踏み込もうとしたその時――。
 ジュっと目の前の壁が焦げた。彼がバーチャルキャラクターでなければ、冷や汗のひとつでも垂らしていたところだろう。
「……下がって」
 いつの間にか隣までやって来たリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が、デナイルを下がらせて先に部屋の中へと滑り込む。

「……殺す……イェーガーを……」
 先ほどまでとはまるで別人のようなアシェリーラが、部屋の中央で剣を片手に佇んでいた。
 受けたダメージを癒すでもなく、血を垂れ流したままリーヴァルディを睨みつける。
「……ん。強者との闘いが望みみたいだけど……。生憎、私はお前たちを狩る為にこの地に来ただけ」
 リーヴァルディは冷たく言い放つと、防具を改造して『忍び足の呪詛』を再び発動させる。彼女の気配がゼロに近付いた。
 そっと目を伏せ巨大な愛鎌を召喚すると、相手の出方を伺う。
 数瞬の後、アシェリーラが動いた。
「貴様の血を……よこせ!」
 飢えた瞳に暗い光を湛え、魔弾を撃ちつつリーヴァルディに迫り来る。
 リーヴァルディは『過去を刻むもの』を横に薙いで牽制しつつ、さっと横へと滑るように移動する。気配がない分、その素早い動きが見え辛い。
 アシェリーラは彼女の動きを捉えられないまま魔弾を空撃ちした。血を失っているせいか、幾分か動きが鈍っている。
「……そんな状態で、私に勝てるとでも思っているのか?」
 リーヴァルディは問い掛けながらも、攻撃の手を緩めない。
 しかし、突然アシェリーラの様子が変わった。
 死んでいた目に光が灯り、口の端が醜く吊り上る。
「貴様に勝てるか、だと? 笑わせるな! 私がイェーガーに負けるわけがない!」
「何を根拠に」
 アシェリーラの戯言を一言で潰して、彼が放った魔弾を打ち落とす。
 しかし、打ち落とす瞬間、魔弾が軌道を変えた。
 変則的に動く魔弾を、リーヴァルディは第六感で避けつつ、時には大鎌を盾に防ぐ。

 二人の戦闘を、部屋に入らずデナイルは見つめる。
(骸の海へと帰るのはのは貴方です、オブリビオン。終わった存在がこの世界に害を成すことを、僕は容認できません)
 ギリッと歯噛みしつつ、アシェリーラの動きをトレースして、情報収集に努める。
(魔弾は大して脅威ではない)
 そう心の中で呟くと、スマートガンの引き金を静かに引いた。
 リーヴァルディがアシェリーラから距離を取ったタイミングで、援護射撃として撃ち込まれた弾は『誘導弾』。四方八方から弧を描いて弾丸がアシェリーラに迫る。
(これで回避パターンが記録出来ます)

 デナイルの解析を邪魔されないように、リーヴァルディはスピードを乗せて鎌を振るう。アシェリーラも、一体どこから力を補っているのか、流した血の量に見合わないスピードでリーヴァルディの攻撃について来る。
「これで……貴様を倒して……血を……」
 うわ言のように何か呟いているが、リーヴァルディには興味のないことだった。
「さあ……そろそろ終わりにしましょう」
 そう言いながら、彼女はアシェリーラから距離を取る。
 デナイルの解析終了の合図を受けて、一気に片付けるためユーベルコードを発動させた。
「……限定解放。テンカウント。吸血鬼のオドと精霊のマナ。それを今、一つに……」
 リーヴァルディが一時的に吸血鬼となり、自身の生命力を餌にして闇の精霊に語り掛ける。
「……闇の精霊、私の呼び掛けに応えて……」
 彼女の大鎌が闇色に染まる。それは、過去を世界の外側へと排出する力――オブリビオンにとっては、恐怖そのものだ。
 アシェリーラが目を見開いて、吸血鬼殺しの剣を振りかざそうとした。
 しかし、それは強烈な射撃によって阻まれる。
 いつの間にか部屋の中へと入ったデナイルが、誘導弾を全弾射撃し、アシェリーラの行動を意のままに操る。
 アシェリーラは、浄化の炎をデナイルに向けようとするが、銃弾に踊らされて撃ち出すことが叶わないまま、リーヴァルディの直線状に立たされた。
「量より質なんて趣味ではないのですが……今回は例外としましょう」
 デナイルはそっと呟くと、ユーベルコードをチャージして――発砲。
 対単体決戦能力充填コード、ラスト・ワン・ショットは、デナイルのスマートガンから限界出力を越えた電流を纏った電子精霊の弾丸を撃ち出した。
 その弾丸を追うように、リーヴァルディが闇の炎を宿した大鎌を手に、アシェリーラに肉薄する。
 彼は動くことすら出来ないまま、電気の奔流と力任せの闇の一撃を食らい、その身を灰へと変えた。

「……ん。挨拶がまだだった。私はリーヴァルディ。吸血鬼を狩る者よ」
 抑揚のない声でリーヴァルディが呟き、部屋には静寂が訪れた。
「オブリビオンは骸の海へと帰るもの。あるべき世界の姿に、一歩近付きましたね」
 後ろでデナイルがそう言うと、リーヴァルディは小さくそうね、と呟いた。



 猟兵たちの活躍により、ダークメンティア周辺の村々が『今回は』壊滅の未来を辿ることはなかった。
 しかし、辺境の地にはまだまだ脅威が残っている。
 助かった村々も、明日にはまた、アシェリーラのような血に飢えた吸血鬼によって滅びに瀕する可能性はあるのだ――。

「……そうなったら、そうなった時。また、狩るだけ」

 猟兵たちは、静かにこの地を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月19日


挿絵イラスト