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アポカリプス・ランページ⑩〜腹が満ちては研究は出来ぬ

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ⑩

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「うおぉぉぉ、三日くらい喰ってないから研究が捗るぞ!」
「全くだ、研究に集中すれば空腹なんぞ忘れられる!」
「その通り! よし研究だ! ところで具体的には何を研究してるんだっけ俺ら?」
「オブリビオンを変異強化させる研究だろう! いかな調理法で上等なオブリビオンを作るか……それを突き詰めるのが我々の役目だ!」
「なるほどそうだったな! マンネリな定番の味わいヒャッハー系レイダーでも一つのスパイスで強力なオブリビオンに味変するように、超宇宙の恐怖が染みた熟成A5ランク五つ星レイダーを作り上げるのだ!」
「よしやるぞ、空腹など忘れてレッツクッキングだ!」
「ヒャッハー!」


「……忘れられてない……」
 ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)のボディの一人、花園・桃姫がそう呟く。
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。本日もアポカリプス・ランページの依頼です。今回はヒューストン宇宙センター跡へ行き、そこで行われている研究を止めていただきます」
 かつては宇宙開発の研究を行っていた場所だが、今では邪神『ポーシュボス』の支配下にあり、オブリビオンを「超宇宙の恐怖」によって変異強化させるおぞましい施設となっているという。
「研究を行っているのは奴隷にされた一般人の研究員ですが、彼らも邪神の狂気に中てられ不眠不休での研究を行っています」
 無理矢理やらされていたことも忘れ、今では自発的に命を削って研究に没頭してしまっているという。
「もちろん彼らを力尽くで止めるのは簡単ですが、あくまで彼らは邪神によって狂わされているだけであり、本来はアポカリプスヘル復興のための知識や技術を持つ人たちです。狂気のみを取り除けば戦後には復興のための強い味方となってくれるでしょう」
 今から戦後の話など気が早いかもしれないが、例えアポカリプス・ランページに完勝できたとしてもアポカリプスヘルが荒廃し切った世界であることは変わらないのだ。むしろそこから始まる復興の為に、彼らの様な人材は何としてでも守り抜きたい。
「それで、彼らを救出する方法ですけど、さっきも言った通り彼らは不眠不休で研究を続けています。もちろんご飯も食べてません。ですので、とにかく何か食べさせて心身を落ち着けてあげてください」
 彼らは肉体的にはただの一般人、不眠不休に耐えられるような体は本来していない。その疲労を自覚させ癒すことで、狂気によるハイテンションを解除することができるという。
「彼らも体は疲れ切っていますし、本能的には食事を求めているはずです。おいしそうなものを目の前に出されれば、なんだかんだと言い訳しつつ食いつくはずです。ええ、間違いありません!」
 やけに実感の籠っている言葉。まあ確かに空腹時に美味しそうなものを目の前に出されれば辛抱たまらんのが人情というものだろう。恐らく桃姫の経験から来る発言に違いない。命がかかっているか意志の弱い間食かの差はあるが。
「食材はアポカリプスヘルにあるようなものを使ってもいいですし、他の世界から持ち込みしても構いません。あまり大量に異世界の品を持ち込み過ぎるとオブリビオンストームが襲ってきてしまいますが、料理一品分くらいなら大丈夫かと」
 食糧事情はダークセイヴァー並に悪いアポカリプスヘルだ。何を作っても大体喜ばれるだろう。
「今回は私は行けません……行けませんが、どうか美味しい料理を! よろしくお願いします!」
 ミルケン……というか桃姫は心底残念そうにそう言いながら、猟兵をアポカリプスヘルへと送り出すのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。食べて寝れば大体幸せ。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス……研究員の狂気を取り除く』

 狂気にかられオブリビオン変異強化の研究をさせられている研究員を、美味しいご飯を食べさせることで狂気から解き放ってください。そんな暇はないと一応口では拒絶してきますが、体は正直なので匂いをかがせたり言い訳を用意してあげたり力尽くで口にねじ込んだりすればなんやかんや食べ始めます。
 基本的にアポカリプスヘル民なのでアポカリプスヘル系粗食以外になじみはありませんが、だからと言って食べないということはありません。スペースシップワールド系栄養オンリー食やキマイラフューチャー系見た目全振りフードでも普通に食べます。
 お腹いっぱいになれば後は勝手にその辺で眠りだすので、後は寝て起きたら狂気から解き放たれていることでしょう。施設の破壊自体はこのシナリオでは行いません。

 それでは、お腹いっぱいなプレイングをお待ちしています。
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第1章 日常 『美食こそ人生の歓び!』

POW   :    料理はとにかく量だ! 美味しい食べ物を沢山作る!

SPD   :    料理は早くて美味いが基本! 手際良く作る!

WIZ   :    料理はレシピが命! 材料を細かく計量して作る!

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニクロム・チタノ
アハハなるほど働き者ですね、あんまり働いているとヘドロの海に沈めますよ?
ボクがアポカリプスヘルの依頼で手に入れたトマトと野菜で美味しい料理を作ってあげますから
トマトサラダにトマトソースをかけたスパゲッティーああスパゲッティーはオヤツにいつも持ち歩いているので、後は昆虫食なんていかがですか?意外にトマトと合うんですよこれが
好き嫌いはダメですよちゃんと食べなきゃ~アハハ涙を流すほど美味しいですか?うれしいですね
まだまだお代わりはありますよ沢山食べて身体をしっかり休めましょうねアハッアハハハ



「ヒャア! もう我慢できねぇ、研究だ!」
「ヒャッハー! 新鮮なレポートだぁ~!」
 狂気と空腹によるハイテンションで研究を続ける研究員たち。このテンションでまともに研究が進むのかどうかは甚だ疑問だが、とにかく我を忘れて研究しているのは確かである。
「アハハなるほど働き者ですね、あんまり働いているとヘドロの海に沈めますよ?」
 そんな彼らにニクロム・チタノ(反抗を忘れた悪堕ちヘドロ・f32208)は笑いながら声をかける。だが突然の乱入者にも研究者たちは慌てない。
「ヒャッハー! ヘドロを混ぜればオブリビオンがなんか化学変化するかもしれないぜ!」
 どちらかというと慌てるほどの理性が残ってないだけかもしれないが、とにかくどう見ても話して聞く状態じゃない。だがそこに重ねるようにニクロムは彼らへのキラーワードを放った。
「ボクがアポカリプスヘルの依頼で手に入れたトマトと野菜で美味しい料理を作ってあげますから」
 トマト、野菜、美味しい料理。その言葉に研究員たちの手が一瞬止まる。その間にもニクロムは手際よく料理を進め、準備を整えていた。
「トマトサラダにトマトソースをかけたスパゲッティー。ああスパゲッティーはオヤツにいつも持ち歩いているので」
 パスタの湯で時間は七分、トマトも一度茹でてから潰して……などという面倒な過程は全部すっ飛ばし、【飢餓には耐え難く】、その力でわずか10秒で大量のスパゲッティとサラダを用意していく。
 あっという間に出来上がったスパゲッティが並べば、その香りが狂気に染まった研究員たちの意識を現実へと引き戻し、嫌がおうにも空腹を自覚させていく。
 そしてさっきまで研究に使っていた行動力が全て食欲に向いた時、研究員たちはそれを抑えることなどしなかった。
「ヒャッハー! 新鮮なスパゲッティだー!」
 なんかまだ狂気が取れていない気もするが、とりあえず食べたのだから成功と言えるだろう。凄まじい勢いでパスタを吸い込んでいく研究員たちに、ニクロムはさらなるおかわりを提案する。
「後は昆虫食なんていかがですか? 意外にトマトと合うんですよこれが」
 ニクロムの壮絶な食生活。だが、このアポカリプスヘルに置いて生物であればとりあえず食べられるかどうかの判定には大体の場合持ち込まれてしまう。
「ヒャッハー! 虫は毒素の生物濃縮が進んでるやつが多いから産地を選ばないとダメだぜぇ~?」
 その言葉にしかと頷きスパゲッティに昆虫を入れていくニクロム。研究員たちも大体は割と躊躇なくそれを食べていくのがアポカリプスヘルらしいところだろうか。
「好き嫌いはダメですよちゃんと食べなきゃ~。アハハ涙を流すほど美味しいですか? うれしいですね」
 一部の研究員の流すその涙は本当に喜びの涙か、あるいはたまたま虫食NG系の嗜好だったか。だがどういう理由だろうと一度食膳に上った者を残すなどアポカリプスヘルでは許されない。
「まだまだお代わりはありますよ。沢山食べて身体をしっかり休めましょうねアハッアハハハ」
 ニクロムは笑いながらスパゲッティにパスタとソースと昆虫を追加していく。やがて満腹となり研究員たちが眠るまで、徐々に虫比率が増えていく無限おかわりは続くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
ええ、空腹にはなかなか勝てませんよねぇ。
それでは、頑張ってみましょうかぁ。

研究員さん達の状況を考えますと、消化に良く栄養の取れる品が良さそうですぅ。
しっかりと煮込んだ「ポトフ」は如何でしょう?
鶏肉とソーセージ、様々な野菜類を採れますから、栄養満点ですぅ。
【豊饒現界】で[料理]を強化、持ち込めるギリギリの大鍋でしっかりと煮込み、必要な容器やスプーン等と共に『FTS』に入れて運びますねぇ。
現地では再度温めなおして仕上げると共に、香りを送って食べに来る様[誘惑]しましょう。
気に入って頂けると良いのですが。

桃姫さんも色々と大変そうでしたし、帰還後に食べ放題か何かにお誘いしても?


菫宮・理緒
お腹いっぱいにしてあげればいいってことだよね。

何日もろくに食べていないってことだから、いきなり固いの食べたらお腹壊しちゃうかもだし、
しっかり煮込んだ美味しいお鍋を作っちゃおう。

具は、お肉は肉団子にしてお野菜も小さめに切ってとろとろにしちゃおう。
そこに濃いめの出汁と……これが大事!

魔法のスパイス唐辛子~♪

お鍋的にも食欲的にも、辛めの香りは刺激が強くてそそっちゃうよね!
ま、まぁ、使いすぎると違う意味で眠りについちゃうかもだから、量は気をつけないとだけどね。

そしてお鍋と言えば、シメのおじや!
これが美味しいんだよね♪

あ、いちおう自分用に激辛も作ったから、チャレンジしたい人がいたら受け付ける、よー。


ウィーリィ・チゥシャン
腹空かせてる人がいる以上は放ってはおけないな。

まず空き腹にいきなり物を入れるのはよくないから手始めに汁物だな。
【医神の前菜】でいくつもの海鮮食材を煮込んだスープを作る。
(オブリビオンストームが起きない様に作るのは一品だけ)
スープの匂いで研究員達の嗅覚を刺激して食欲を呼び起こし、その熱で体力を回復させ、そして食材の滋養で体調を回復させる。

そうすれば他の人の持ち寄った食事も食べられるようになるから、後はお腹も心も満たされて眠るのを待つばかりだ。

料理は魔法!
元気も、笑顔も、作り出す!



 かくして始まった狂気の研究員強制食事会。第一弾は無事終了したが、異常を察したか研究所各所にいた研究員たちが次々と集まってくる。
「ヒャッハー! 誰だか知らねぇがここに来るとは命知らずだぜ!」
「俺たちに喧嘩売ろうってか? 自慢じゃねぇが俺ら生まれてこの方喧嘩なんかしたことねぇぜ!」
「戦車に乗ろうとしたらハッチを開けた時点で腰を痛めた俺をなめんじゃねぇぞコラぁ!」
 本当に自慢にならない。いやこのアポカリプスヘルでそこまで弱くて生きていけるのはある意味凄いことなのかもしれないが。
 ともあれその経歴を裏付けるかのように、ただでさえも虚弱なところに絶食が加わったことで彼らの体はテンションに反比例した枯れ木のようなものとなっていた。
「お腹いっぱいにしてあげればいいってことだよね」
「腹空かせてる人がいる以上は放ってはおけないな」
「ええ、空腹にはなかなか勝てませんよねぇ。それでは、頑張ってみましょうかぁ」
 そんな彼らの惨状を見て、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)、そして夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の意見は一致した。
 だが衰弱を極めた彼らの事、いかに栄養があってもそれを消化吸収する体力すらもう残っていないかもしれない。そうなれば相応しい料理もおのずと決まってくる。
「何日もろくに食べていないってことだから、いきなり固いの食べたらお腹壊しちゃうかもだし、しっかり煮込んだ美味しいお鍋を作っちゃおう」
「まず空き腹にいきなり物を入れるのはよくないから手始めに汁物だな」
「研究員さん達の状況を考えますと、消化に良く栄養の取れる品が良さそうですぅ」
 具材が柔らかくなるまでしっかり煮込んだスープ類。三人の方針はそれで揃った。
 だが、料理は共同では行わない。それぞれがベストと思う料理をそれぞれに作る。研究員たちの好みもあろうし、あえて揃えないことでの多様性を持たせるのはいい作戦と言えるだろう。それに誰の料理が一番人気か、などというちょっとしたゲーム看過うの勝負もできる。
 ともあれ、三人は自分の思う料理をそれぞれに作り始めた。
「研究員さん達の状況を考えますと、消化に良く栄養の取れる品が良さそうですぅ。
しっかりと煮込んだ「ポトフ」は如何でしょう? 鶏肉とソーセージ、様々な野菜類を採れますから、栄養満点ですぅ」
 まずるこるが作るのは、フランスの家庭料理であるポトフだ。自分で言った通りの具材を用意し、【豊乳女神の加護・豊饒現界】を使って持ち込める限界の大きさの鍋でしっかりと煮込んだものをすでに持ち込み済みである。それをゆっくりと温め直して香りを研究員の方に流せば、その家庭的な臭いが研究員たちの狂気を取り払っていく。
「こんなことしてる場合じゃなかったかも……」
「わーったよ母ちゃん、今帰るってば!」
 一部の研究員には『いつまで遊んでんだい! もう夕飯の時間だよ!』的な声が聞こえているようだが、それもまた家庭料理ならではだろう。
 一方で理緒が作っているのは、醤油出汁をベースにしたいかにもな和風鍋であった。
「具は、お肉は肉団子にしてお野菜も小さめに切ってとろとろにしちゃおう。
そこに濃いめの出汁と……」
 食べやすい肉団子に汁に溶ける程に煮込んだ野菜。家族の団欒に、ちょっと仲間内で集まって騒ぎたいときに、あるいは一人でぬくもりが欲しい時に。そんな様々なシーンに応えてくれるお手軽鍋。
 だが、そこに理緒特性のひと手間が加わる。
「これが大事! 魔法のスパイス唐辛子~♪」
 世界中で様々な目的を持って栽培されている唐辛子。適度な辛味は食欲を促進させるし、味をぴりっと締めてもくれる。
「お鍋的にも食欲的にも、辛めの香りは刺激が強くてそそっちゃうよね! ま、まぁ、使いすぎると違う意味で眠りについちゃうかもだから、量は気をつけないとだけどね」
 それはフリなのかという台詞だが、出来上がった鍋の優しくも一抹のスパイス効いた香りはまた別の研究員を引き寄せる。
「お、今日は鍋かぁ……」
「肉は俺のだ、お前白菜な!」
 奪い合い押し付け合いもまた鍋の味。そして最後にウィーリィは。
「元気にならなきゃ始まらないからな!」
 【医神の前菜】にて様々な海戦食材を煮込んだスープを作っていた。オブリビオンストーム対策に多数の品は作れないが、その分その一品に魂を込める。
 スープの匂いが食欲を呼び覚まし、その温かさが体に熱と体力を取り戻させ、食べる前から研究員たちに正気を呼び戻していく。
「海かぁ……何年見てないだろうな」
「水だけでも貴重だってのに、魚なんて……」
 料理につられ近寄って来た研究員がふらふらと手を伸ばし、その中身を口に入れた。
「……うまい!」
 食事の栄養が滋養をとりもどさせていく。それと時を同じくして、他の料理に群がった研究員たちもそれぞれに料理を食べ始めていた。
「あぁ……うまいなぁ……こんなん作ってくれる嫁さんほしい……」
「研究終わったら鍋パやろうぜ鍋パ」
 やはりそれぞれに、食事の楽しみお思い出しながら腹と心を満たしていく研究員たち。気に入って頂けると良いのですが、るこるのそんな懸念は完全に杞憂だったようだ。
「そしてお鍋と言えば、シメのおじや! これが美味しいんだよね♪」
 理緒が具材がなくなった鍋に米を入れ、ウィーリィの目論見通り回復した者たちが仲間たちの料理にまで手を出し食べ始めていく。
「桃姫さんも色々と大変そうでしたし、帰還後に食べ放題か何かにお誘いしても?」
「あ、いちおう自分用に激辛も作ったから、チャレンジしたい人がいたら受け付ける、よー」
 今回は現地に来れなかったグリモア猟兵にも何かを食べさせてやろうとるこるが思えばそこに理緒がチャレンジメニューをさっと出しても来る。
「料理は魔法! 元気も、笑顔も、作り出す!」
 そんな楽しい食事の中でそう言いながら後は眠るのを待つばかりと、ウィーリィはぐっと親指を立てるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ワルルーナ・ティアーメル
BAAAAN!(扉を蹴破る)

今誰か飯が食いたいと思ったか?思ったな!?
そういう事なら我の出番だ。誰って?通りすがりのラスボス魔王である!覚えとくがよい!

まず一人、近くの研究員相手に『第6の冠』の力を使うぞ
くくく、そら、貴様の食べたい物を想い浮かべるのだ
それを我が力でこの場に出してやろう!(※ただし出るのは食材である)

あ、今あからさまにがっかりしたな貴様

案ずるでない、ちゃんと料理人はおるぞ。ここにな!
UC【魔王軍招集:第6冠】を使用、配下の魔族料理人達を呼び出し、その腕(料理・宴会等の技能)を振るわせるぞ!後は全員にこれを繰り返しだ

さあ、好きなだけ食え、お代わりは貴様らが願う限り出せるからな!


備傘・剱
そうか、ここにも食に恵まれぬ子羊たちがいたか…
だが、忘れちゃいけない地産地消
ならば、答えは一つ!

ビガちゃん何分かクッキング~!
まずは、アポヘルで狩ってきた各種オブリビオンを用意いたします
そして、おもむろに技を発動いたします
今日、発動するのは、調理開始でございます

…調理過程はすっ飛ばしまして、出来上がったこの料理を研究員さん達の仕事の隙を窺って

ねじり込みます

あ、窒息の恐れが無い様、適度に柔らかく、口に入りやすい形状にしておくのが、本日のワンポイントアドバイスです
何処のご家庭にもある、ごく普通のオブリ肉で出来ますので、一度、お試しあれ❤

…と言うわけで、正気に戻ったな?

アドリブ、絡み、好きにしてくれ



 猟兵たちの活躍により、多くの研究員たちは腹を満たし安らかな眠りについていた。だが、頑なに食事をとるのを拒む者たちもまだわずかに残ってはいた。
「ヒャッハー! ここまで来たら例え研究が頓挫しようとも! 俺は不眠不休をやめねぇぜー!」
 なんかもう徹夜の果てにどこまで寝ないかチャレンジしだした学生の様なノリだが、とにかく意地でも食事をとらないことを決め込んだらしき最後の研究員たち。その目の前で、BAAAAN! と豪快な音を立てて扉が蹴破られた。
「今誰か飯が食いたいと思ったか? 思ったな!?」
 有無を言わさぬ勢いで飛び込んできたのは、ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)。ワルルーナは手近な研究員を一人掴み上げると、ドラゴンボディの上にある少女の上半身のところまで持ち上げぐっと顔を近づける。
「そういう事なら我の出番だ。誰って? 通りすがりのラスボス魔王である! 覚えとくがよい!」
 最早飯が食いたいのは確定事項とし、聞かれてもいないのに親切に自己紹介するワルルーナ。まあ確かに口でどう言っていようと疲弊しきって栄養失調になりかけているのは間違いないので、体が食事を欲しているのは確かである。
 そして破壊されて大変風通しの良くなった入口を、もう一人の男が悠々と通って中へと入って来た。
「そうか、ここにも食に恵まれぬ子羊たちがいたか……」
 男の名は備傘・剱(絶路・f01759)。遺跡の発掘を生業とする者であり、同時にその遺跡で酒場を営むガチの飲食店経営者である。
 飢えに苦しみながらも狂気に侵され自ら食事を求めることができない者がいるならば、それを助けてやるのが己の役目と彼はここにやってきたのだ。
 そうしている間にもワルルーナに持ち上げられている研究員は魔王直々の責めに晒されていた。
「くくく、そら、貴様の食べたい物を想い浮かべるのだ。それを我が力でこの場に出してやろう!」
 ワルルーナの命と共に研究員の脳裏に一つの料理が浮かぶ。そしてそれに応えるかのごとく出てきたのはニンジン、ジャガイモ、豚肉(なお全て生)。
「あ、今あからさまにがっかりしたな貴様! 案ずるでない、ちゃんと料理人はおるぞ。ここにな! さあ来るがよい、我が第6の軍勢よ! その(料理の)腕を振るい、尽く(満腹で)倒してしまうのだ!」
 容赦なく浴びせられる魔王の権能、【魔王軍招集:第6冠】。それによって呼び出された料理人たちに取り囲まれた研究員に最早黙秘することは許されない。
 そしてその料理人たちが出てきた食材を料理する間、もう一人の料理人も動く。
「中々やるじゃないか。だが、忘れちゃいけない地産地消。ならば、答えは一つ!」
 地産地消は大事である。とりわけアポカリプスヘルは異世界からあまり多くのものを持ち込むと、オブリビオンストームに目を付けられる可能性がある。そうされぬために劔が出した答えとは。
「ビガちゃん何分かクッキング~! まずは、アポヘルで狩ってきた各種オブリビオンを用意いたします。そして、おもむろに技を発動いたします。今日、発動するのは、調理開始でございます」
 なんか後半料理番組から出前のCMにシフトしている節はあるが、ともあれ【調理開始】はなされた。圧巻の早業から繰り出される高速調理で、可食系オブリビオンが次々と調理されていく。なお今回の食材はこの研究所内での現地調達だ。
「……調理過程はすっ飛ばしまして、出来上がったこの料理を研究員さん達の仕事の隙を窺って」
 まあトンデモ乱入者たちに圧倒され窺うまでもなく隙だらけなのだがそれはそれとして。
「ねじり込みます」
「もがー!」
 口にオブリ飯を捻じ込まれ手足をばたつかせる研究員。だが、これで喉に詰まらせるようなことをしてはプロ失格である。
「あ、窒息の恐れが無い様、適度に柔らかく、口に入りやすい形状にしておくのが、本日のワンポイントアドバイスです。何処のご家庭にもある、ごく普通のオブリ肉で出来ますので、一度、お試しあれ❤」
 大変にこやかな笑顔と共にエアカメラに向かって占める劔。その隣でワルルーナに捕まっていた研究員の前には、丁寧に調理されたカレーが出来上がっていた。
「さあ、好きなだけ食え、お代わりは貴様らが願う限り出せるからな!」
 大変高圧的に、だがとても親切に言う魔王ワルルーナ様。一人が満足したのを確認すればまた別の一人を掴み上げ、食べたいものの尋問から始めていく。
 最初にビビらされて後で優しくされるか、一見普通の料理風に始まりつつ最後はオブリ飯を強引にぶちこまれるか。どちらがマシかは分からないが、結果的にごねる研究員たちの腹も見る見るうちに満たされて行った。
 そして最後の一人の前の皿が空になる。
「……と言うわけで、正気に戻ったな?」
 その研究員に、劔が元の彼らしい調子で尋ねる。それに対し言葉による返事はなく、ただ彼は満足げな顔でそこに倒れ眠りに落ちていくだけであった。

 かくして、狂気に踊り生命の基本さえ忘れさせられた研究員たちは全て救われた。後は起きるころにはこの研究所も陥落し、彼らの狂気も消え失せていることだろう。
 お腹いっぱい食べて寝る。その当り前の、だがこの世界から忘れられた幸せを再び齎すために、猟兵は無法の荒野を今日も進むのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月09日


挿絵イラスト