アポカリプス・ランページ⑩〜狂乱の宴にて続く不協和音
●狂気に侵され、崇める邪神は最推しに
ヒューストン宇宙センター跡地。ここではかつて宇宙への憧れからソラを解明しようと誰もが希望を胸に働いていた夢の跡地がここである。
「今日も推しが尊い……推しのために一刻も早く研究を進めねば」
「頑張った私にあのお方が笑いかけてくれたの……それだけで今日も頑張れるわ」
誰も彼も夢心地のよう研究員達は働いていた。だが、その動きはどこかぎこちない。そして、誤魔化しようがない黒々とした隈をしているのに目はギラギラと輝いている。
「すべては我らが神、ポーシュボス・フェノメノンのために!」
誰かが称える言葉を口にすれば全員が唱和した。神が求める超宇宙の恐怖のために。
●狂気は混沌となり伝播する
「はいはーい。今回は狂気を払う案件よ。我こそはって子はよろしくね?」
活き活きとした声音で安海・藤子(ダンピールの死霊術士・f02909)は猟兵達へ告げる。今回の戦場は救出の色合いが濃いらしい。
「みんなに言ってもらいたいのはシューストン宇宙センター跡地よ。まぁNASAっていえば大体わかる人が多いんじゃない? そこにいる狂気に囚われている研究者達を助け出してほしいの」
今回のオブリビオンフォーミュラの一角、ポーシュボス・フェノメノンがオブリビオンを超宇宙の恐怖を用いて変異強化させるための研究をしている。無理やりに従わされているにはいるが、その方法が問題なのだ。かの邪神は狂気によって支配した。
「今回担当する区画にいる研究者達は邪神を最も尊い存在。ずっと応援すると心に決めた存在と錯覚しているの。推しの願いを叶えるためにって寝る間も惜しんで働いてるわけ」
アドレナリンが過剰分泌されているような状態。いうなれば生きのいいゾンビのような風体の者もいるという話。命の危機に瀕している可能性もあり得るのだ。
「助け出す方法は一つ。狂気を払い、正気に戻す事よ。生半可な方法じゃ正気に戻せないから、遠慮せずにやっちゃってちょうだいな。今ならまだ助けられるんだし、ね」
そう告げるとグリモアを起動させる。ゲート越しにでも白衣の人物が動き回っているのがよく見えた気がした。
紫雨
9月の戦争シナリオ二本目。今回は狂気を取り除きに行きましょう、紫雨です。
狂気に囚われてる姿にどこか親近感を抱く程度には某TRPGで発狂したいとうめく程度には好きです。閑話休題。
ここの研究員たちはオープニングの通り、邪神を信仰し、命を捧げる勢いで働いています。プレイングボーナスは以下の通りです。
強い衝撃を与えたり、正しい事を伝えたり、と方法は様々。皆様の思う狂気の解除方法をお待ちしております。
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プレイングボーナス……研究員の狂気を取り除く。
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第1章 日常
『暁に弔う』
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POW : 墓穴を掘り墓標を立てる
SPD : 周辺の手入れをする
WIZ : 祈りをささげる
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アウレリア・ウィスタリア
強い衝撃と正しいこと
ボクはその両方を目指しましょう
【空想音盤:葛藤】
ボクの歌は狂気の歌
アナタたちに痛みと恐怖を与えましょう
私の歌は浄化の歌
アナタたちに癒しと安らぎを与えましょう
交互に狂気と浄化を研究員に与えましょう
混乱してきたら浄化を集中
命は誰かに捧げるものではありません
命は自分の夢、自分の道を進むために使うものです
誰かを応援したい気持ちはわかります
でもそれは、アナタたちの気持ちを受け取って正しく応えてくれる相手にするもの
命を葬るモノにすることではありません
誰かを応援しないと気が済まないのなら
ボクを応援してください
ボクはそれに応えて幸福なひとときを作ります
楽器を手に今度は皆で楽しく歌いましょう
「強い衝撃と正しいこと、ボクはその両方を目指しましょう」
狂気に囚われた研究者達を視界に捉えながら、アウレリア・ウィスタリア(憂愛ラピス・ラズリ・f00068)は静かに呟く。白と黒の翼を広げ、ゆっくりと息を吸い込んだ。
「奏でよう、白と黒の幻想を。狂気と浄化の二重奏を」
鈴のような軽やかな声音が歌を紡ぎだす。その音色に合わせ、黒き翼からは狂気を込められた波動が、白き翼からは癒しがこめられた波動が重なり合うようにこの場を満たした。波動を感じ取ったのだろう、歩き回っている研究者達が足を止める。
「なに、これ……あの方以外の声なんて、いらないのに」
「おいおい、どうしたんだ。なんでこんなこと……いやだ、誰か助けて」
狂気の波動に当てられた研究員達はその場に蹲った。歌声が脳髄に直接響き、揺さぶられる。崇拝しているのは正しいのか? この狂気と同じではないのか? と癒しの波動が静かに問いかけてきた。それについては否と誰も言えない。
「……私達は助けてほしいの。人としていきたいの」
「どこまで行っても救いのない一生なんて、嫌だ」
「命は誰かに捧げるものではありません。命は自分の夢、自分の道を進むために使うものです」
奥底に隠した願いを口にし始めたところで 狂気の波動を弱め、癒しの波動を強める。本来の姿を取り戻し始めた彼ら彼女らに対して少女は告げた。誰かに委ねる事をせず、自らの足で歩むと決めたアウレリアの言葉は自然と受け入れられた。
「今、ボク達はこの世界を救うために戦っています。良ければボク達、猟兵を応援してください」
助けは来ているのだと、その言葉に蹲ったままの人々は立ち上がる。手を差し伸べてくれる人達がここにいるのだと、そう知って、希望に満ちた表情を浮かべていた。
大成功
🔵🔵🔵
御形・菘
はっはっは、なるほど神を称える集団というワケか
お主たちの強い崇拝をディスる気は無いよ、ただ相手を間違ってしまったというだけだ!
つまり、それが妾ではなかったという可愛いミス!
全員をどこか広いフロアに集めよう、きっちり施錠して逃がさんようにな
右手を上げ、指を鳴らし、スピーカー! カモン!
室内に入らん分は屋外待機な?
はーっはっはっは! では上映会を始めるとしよう! 今回のために特別編集した妾のバトルクロニクルを!
自前で用意した巨大スクリーンで、マラソン爆音上映会だ!
見る者すべてを興奮と感動の渦に叩き込む妾の雄姿の数々で、どこぞの邪神信仰など勢いよくブッ飛ばしてくれよう!
また別の区画。ここは比較的広くまた各々の研究成果を披露するためのフロア。発表者席に当たる壇上に一人の女性が登ってくる。
「はっはっは、なるほど神を称える集団というワケか。お主たちの強い崇拝をディスる気は無いよ、ただ相手を間違ってしまったというだけだ!」
「誰だよ、今日は発表はない日だろ」
堂々と宣言する御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は更に続けた。壇下にはよくわからんが、聞いてやろうの精神で研究者達が集まっている。これから始まるのは彼らの崇拝する神に関してではない。
「つまり、それが妾ではなかったという可愛いミス!」
パチン、と指を鳴らすとどこからか超高性能爆音スピーカーに推進器と翼がついたものが100を超える数が現れた。そこから流れ出るのは彼女が厳選し、編集した映像。
「はーっはっはっは! では上映会を始めるとしよう! 今回のために特別編集した妾のバトルクロニクルを!」
迫力のある映像、臨場感をあげる効果音、誰もが燃える空間、その他にも要素は重なったのだろう。上から目線だった研究者達もその熱気に当てられ、いつしか拳を握りしめていた。
「ふふふ、これからは妾を信仰するが良い!」
「おー!! 我等の神は貴女様です!」
誰もが彼女の呼びかけに応え、叫ぶ。もうここには宇宙的恐怖に囚われている研究者達はどこにもいない。正しく崇拝すべき存在を見つけ出した者達だけがこの場にいる。
大成功
🔵🔵🔵
芙蓉・蒔ツ莉
ねこねここねここねここねここねこ
(世界はこねこで出来ている)
こねこねここねこねこねこここねこ
(地にはグングニャール、空にはネコノコミコン)
こねこねこねこねここねこねこねこ
(パパ猫は負けを知らず)
ねここねこねこねここねここねこね
(ママ猫に知らぬ物は無く)
ねこねここねこねここねこねこねこ
(騎士団猫と魔術師隊猫の忠義は堅く)
ねこねこねここねこここねここねこ
(そのネ皇国は栄えていた)
こねこねここねこねここねここねこ
(しかし機械に頼らなかったその国は)
ねここねこねここねここねここねこ
(この仔を残して亡霊と成り果てる)
ねこねここねここねここねここねこ
(この仔猫はこねこで出来ている)
「ネコと和解をするにゃ」
「ねこねここねここねここねここねこ」
(世界はこねこで出来ている)
穏やか……いや、一部熱狂的な喧騒で溢れている研究所。小さな影が可憐な鳴き声を響かせて歩いている。彼女の詠唱は独特のため、翻訳も一緒に掲載させていただきます。
「こねこねここねこねこねこここねこ」
(地にはグングニャール、空にはネコノコミコン)
彼女、芙蓉・蒔ツ莉(この銀仔猫は柔らかい・f19635)は淀みなく詠唱を続ける。呼応するように通路の壁や床の輪郭が朧気だ。
「こねこねこねこねここねこねこねこ」
(パパ猫は負けを知らず)
声の調子は変わらずに、かつて共にあった父の背を思い出す。勇ましき姿で勝つ姿を。彼女の歩む足取りは変わらない。
「ねここねこねこねここねここねこね」
(ママ猫に知らぬ物は無く)
かつて共にあった母の優しさを思い出す。温かな腕の中で聞いた知識の事を。徐々に朧気に変化し続ける無機物はどこか柔らかさを抱く姿へと変わる。
「ねこねここねこねここねこねこねこ」
(騎士団猫と魔術師隊猫の忠義は堅く)
彼女の深層風景がにじみ出ているのかと思うほど、研究所の中の様子が変わっているのだ。彼女と共に歩むものが増えたのか、足音が増えている。
「ねこねこねここねこここねここねこ」
(そのネ皇国は栄えていた)
その足音は硬質的な響きもあるが、全体的に柔らかい。音の感覚から四足歩行をしているのがわかるだろう。どこからか『にゃー』と鳴き声も聞こえてきた。
「こねこねここねこねここねここねこ」
(しかし機械に頼らなかったその国は)
先頭を歩む蒔ツ莉はある扉の前で立ち止まる。その扉も徐々にふわふわとしてコロコロとした可愛らしい姿へと変貌した。この変化をきっかけにようやっと研究者達に蒔ツ莉は認識される。
「な、なんだ、この猫の群れは!!」
「ねここねこねここねここねここねこ」
(この仔を残して亡霊と成り果てる)
だが、認識された時にはもう愛くるしい、姿の者達、仔猫の大群が室内へと突入していた。それだけではない、蒔ツ莉が室内へ入った瞬間、中にあった機械やファイルが瞬く間に姿を変えた。
「ねこねここねここねここねここねこ」
(この仔猫はこねこで出来ている)
そうして、詠唱が完了。誰もかれもが今も増え続けるこねこたちに埋もれた。誰もがもがくもそのもふもふに心がほぐされていく。眉間に皺が寄った者はとろけた笑みに変わり、眠そうにしていた者は深い眠りに落ちた。
「ネコと和解をするにゃ。誰もが争わない世界はここにあるにゃ」
彼女が術をとくまで仔猫は増え続ける。いつしかこの研究所には仔猫で埋もれてしまうが、仔猫達の姿が無くなる頃、健康的な生活を手に入れるだろう。こうして、一つの研究所は狂気から解き放たれた。
大成功
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