5
うさぎと罠塗れの地下迷宮

#アルダワ魔法学園

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アルダワ魔法学園


0




「はぁ……転校生っていう立場も、複雑な気分ね……」
 三対の翼を羽ばたかせ、ゆっくり高い位置に降りつつ、頭を抱えながら呟く、瑠璃凰花・未来(神避の熾天使・f13139)。
「ああ、ごめんなさい。突然の呼びかけに応じてくれて感謝するわ」
 丁寧に一礼をして感謝を告げる。
「また新たな予知を確認したわ。今回は、アルダワ魔法学園の世界のようね」
 顎に手を当て考える仕草を見せ。どう説明したものかと考えているようだ。
「あなた達には、オブリビオン……アルダワ魔法学園流に言うなら災魔かしらね。その討伐をお願いしたいの」
 依頼内容は至極簡単な内容のようだ。
「私が見た範囲では、かなりの数のうさぎっぽい生物……というか、人型のウサギさんかしらね、あれは。そんなのが見えたわ」
 人型の体型にウサギの耳をはやし、もふもふしてそうな尻尾もあるらしい。まさしく人型のうさぎだろう。
「そうね……ダンジョンには挑んでもらうのだけど、いくつか注意点があるわ」
 そう言って、指を1つ立てた。
「まず1つ。可能な限り同時には送るけれど、後から送る人は、前に送った人とは異なる構造のダンジョンに挑むと思って掛かること」
 どうやら、共に行動する分には同じ構造のダンジョンで挑めるようだが、別々になると構造も変わるらしい。かなり厄介な迷宮のようだ。
 頭を抱える未来。
「2つ、とてつもなく罠の数も多いみたいから、心して掛かること」
 普通のダンジョンと比較するとその罠の数はかなりになるようだ。この影響でアルダワ魔法学園の生徒にも被害が出てるとか出てないとか。
「スイッチを踏むと矢が飛んでくるありきたりなものから、別の区画へと飛ばす魔法的な罠もあるらしいわね。運が悪いと、災魔トラップなんかもあるみたい……」
 これには肩を竦ませる。
「幸い、災魔トラップで出てくる災魔はそこまで強くないみたいだから、対処は楽なはずよ。けれど、決して油断はしないことね。強くはないけれど、数が多いから、囲まれたらいくらあなた達でもひとたまりもないはずよ」
 準備は万全に、そう告げる。
「討伐対象となる災魔は、うさぎっぽい生物の親玉のような存在だと思うわ。そいつを倒せば、このこの依頼は達成となるわ。こんな楽しそうなところ、私が赴きたいところだけれどね」
 残念そうに言う未来。
「そう言えば、財宝なんかも隠されてるって話をアルダワ魔法学園の生徒さんから聞いたかしら。お金にもなるかもしれないし、困ってる人はそれ目的に向かってみるのもありかもしれないわね。それじゃ、皆の健闘を祈るわ」
 そう言って未来は、グリモアの力を展開して転送の魔法陣を生成した。


るっこい
 はいどうも、新人マスターのるっこいです。
 第3作目となります。
 今回は、『冒険、集団戦、ボス戦』の3部構成です。戦闘要素多め。

●第1章
 あらゆる罠が仕掛けてある区画をくぐり抜け、フロアボスの居るエリアへつながるルートを探してください。
 基本的に戦闘はないものとお考えください。ご希望があれば別途描写は致します。
 災魔トラップについては、判定結果次第です。ここに望んで突っ込む人なんて居ないと思いますけどこちらもご希望があれば。

●第2章
 フロアボスの居るルートを探しつつ、妨害工作を図る無数の罠うさぎとの戦闘となります。1章以上に、別の区画に飛ばす罠など、厄介な罠が多くなりますのでお気をつけくださいませ。
 とても狡猾な性格で、フロアボスとは無関係な場所にいることもあるようです。

●第3章
 罠うさぎの突然変異体、氷結系の力を得た雪うさぎとの戦闘となります。
 依然として罠は存在。だだっ広い1区画内での戦闘です。場所によっては既に床や壁が凍ってる場所もあるかもしれません。
 火属性を見下していて、自分の能力に自惚れているようです。おだてられるのに弱いとか。
 倒すと何らかの財宝を得られるかもしれません(※演出上のものであり実際に何かを得られるわけではありません)

●プレイングについて
 同行者の方がいる場合は1行目にお相手さんのお名前とID、もしくはグループ名をお書きください。お名前の場合はフルネームでなくて構いません。
 絡み歓迎、アドリブ歓迎、連携歓迎の方、字数に余裕があればお書きいただけると助かります。ステシでもOKです。とてもとても書きやすくなります。

 まだまだ不慣れな部分が多く拙い文章になってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。
 皆様の素敵なプレイング、お待ちしております。
42




第1章 冒険 『探せ、地下迷宮!』

POW   :    体力の続く限り、手当たり次第に探し回る等

SPD   :    技巧を凝らし、地図を作って効率よく探す等

WIZ   :    感覚を研ぎ澄ませ、知恵を絞って推理する等

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

茲乃摘・七曜
心情
罠だらけの迷宮ですか…油断しないように参りましょう

指針:Wiz
罠が多い構造から入口から遠い場所にボスのエリアに繋がるフロアへの道があると予測し行動
「さて、異常がないかしっかりと見極めてゆきましょう

行動
参考に被害に合った生徒の掛かった罠の種類を確認しておく
反響の福音をソナー代わりに使用し壁越しに不自然な構造物の有無を確認
・矢の射出機や落とし穴の開口装置等
・不自然に綺麗な場所(転移トラップの隠蔽箇所)
「探索した場所はわかりやすいようにマークを付けておきましょう

踏破の為に地図を作製し転移させられた場合は次の紙を使用
「無限に広いわけではないでしょうから着実に進みましょう
※地図を組み合わせ全貌を探る


アリス・セカンドカラー
罠はかかってから対処するもの( ・`д・´)
大丈夫大丈夫、リジュネレーションがあるから即死さえしなけりゃすぐ治るし平気平気☆
危うい所だったけどただの致命傷で済んだわ( ・`д・´)
我々の業界ではご褒美よ♪
監禁系なら念動力由来の怪力で壁とか破壊して脱出よー。

ま、本当にヤバそうなのはサイキックヴァンパイアで武器受けしてエナジードレインで対処。ま、どんな罠にせよなんらかのエネルギーを利用されてるだろうからそれを吸収しちゃえば無害無害。


ボゴ・ソート
※絡み・アドリブ・連携歓迎

【SPD】
罠があるんだろ?
ならシーフの俺も仲間に入れてくれよ。

シーフとしての経験や五感をフル活用しつつ、ユーベルコード[超音波]で音の届く範囲の地形を把握しながら進むよ。
得た情報は片っ端から他の猟兵さんに渡そう。
効率の良いルートを割り出すとかして、俺より有効に使ってくれる人がいるはずさ。

目的地へ向かう上で邪魔になる罠があればシーフの誇りにかけて解除したいけど、失敗して発動させちゃったらその時は素直に「ごめんね」するよ。

お互い助け合って怪我なく進みたいもんだね。


マロン・チェスナット
絡み歓迎、アドリブ歓迎、連携歓迎

【SPD】
罠といってもスイッチなら踏まなきゃいいんだよ
翡翠月歩で空中を蹴ってジャンプしていく

翡翠月歩で飛べる距離もしくは分岐に達したら
そこで地図作成してマッピング
「1歩、2歩、3歩・・・」
「こことここはつながっているのかな」
「ここに謎の空間が出来てるな」

技能の野生の勘、罠使い、第六感、視力を駆使して
視力による偽装等の違和感や野生の勘や第六感の直感
罠使いとしてどこに仕掛けるか思考し罠の場所を見切る

フロアボスの居るエリアはわからないので野生の勘を頼りに進む
「こっちかな」

部屋があったら技能の聞き耳を使って中の様子を窺う
災魔がいそうなら戦闘は出来だけ回避して避ける



 ゴトン、ゴトンと、あちこちから重い音が響き渡る。時折シューという空気の抜けるような音は、蒸気が吹き出される音か。
 蒸気機関が唸るその場所は、アルダワ魔法学園。そんな学園の一画にある、地下迷宮の入口に転送されてきた猟兵達。
(「罠だらけの迷宮ですか……油断しないように参りましょう」)
 そんな気持ちを抱くのは、茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)。全身を黒い衣装で包んでおり、鍔の広いその帽子は目元を隠し表情が見えない。
 だが、転送地点にも罠の類があるのではないかと警戒し、冷静に周囲を見ているあたり、かなり落ち着いた印象を漂わせている。

 直ぐに地下迷宮に挑むのではなく、罠の種類を知っておきたいと考えた七曜は、まず学園の方に赴き、生徒たちから話を聞くことにした。
「え、あそこに挑むの!? やめといたほうが良いよ、挑んで帰ってこれなかった人がたくさんいるって話だし、いくら転校生のあなたでも……」
「いやーあそこは酷かったね。突然床とか天井とか壁とかから矢とか石が飛んできたり、トラバサミが仕込んであったり……」
「あ、あそこは駄目だ、地雷があったり機雷が飛んできたり……生きて帰れたのが不思議なほどなんだ」
 探索の中断を促す者、素直に教えてくれるもの、迷宮のことを聞いただけで恐怖心に駆られ逃げるように去る者、様々な生徒が居たが、聞いて回った結果、本当に多種多様な罠が仕掛けられていることがわかった。
 ありきたりな投石、矢の罠や、落とし穴、転送の罠はもちろん、火柱や毒霧、地雷、機雷などの殺傷性の非常に高い罠まであるらしい。
 中には敵を召喚したり呼び寄せる罠などもあるらしく、気は抜けないだろう。
 困る罠としては、地形を変動させる罠なんかもあるらしい。

「――――と言う感じになります。心して掛からなければいけませんね」
 迷宮の状況を知った七曜は、入口で待っていた猟兵たちに淡々とそれを告げた。
「うわ、ホント、ヤバ気な罠多いのね。でも大丈夫、大抵の罠なら掛かってから対処すれば平気平気」
 と、本気で言っているのか、それとも軽く見ているのか、したり顔で返す少女。ミステリアスな雰囲気を醸し出す彼女は、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐海の笛吹きの魔少女・f05202)だ。
 甘くて柔らかく、ふわっとしたお菓子のような印象を受ける彼女は、どうやら罠を避ける気はなさそうである。
「そうならないよう、お互い助け合って怪我なく進みたいものだね」
 ボゴ・ソート(ウォーマシンのシーフ × 探索者・f11583)は、そんなアリスを心配しつつ告げる。外観だけで3m近いその巨体は、それだけでとてつもない存在感を漂わせているが、その服装や身につけているものの為か、馴れ馴れしい感じも相まってかなり軽い印象を受ける。
「そうだね。怪我がないのが一番」
 そう同意するのは、リスの体型を持つマロン・チェスナット(インフィニティポッシビリティ・f06620)。
 若干の談笑を交えつつ、共に転送された4人は、纏まって迷宮の入口へと踏み入れた。

 入口からいきなり罠に襲われては元も子もないので、警戒しながら七曜が先頭に立って進み、罠を警戒しつつ中ほどまで進む。
「さて、異常がないかしっかりと見極めてゆきましょう」
 見回してみると、そこは少し開けた空間のようで、前後左右に道が伸びているのが見える。転送された空間は数人が纏まって入れるスペースはあるものの、決して広いとは言えない。
 伸びる道も、然程道幅があるとは言えない。頑張れば二人で並んで歩けないこともない程度の道幅だが、一人で通ることを前提とし、反対側から来た人と少しすれ違いやすくしている、と言う程度のものなのだろう。
 さらに足元や天井にも視線を向け、何かないかを確認。
 だが、見える範囲には何もない。床は無数の穴が空いた、エキスパンドメタルと呼ばれる鉄の床のようだ。その床の先にも蒸気機関が動いている。
 前後左右の道に目を向けると、前方は真っ直ぐ、左右の道も前方と同じ方向に道が伸びているようだ。後ろは来た道であり、階段が上に向けて伸びている。
 閉ざされた狭い空間、というわけでもない上、蒸気機関が唸る音や蒸気が噴き出す音などが一体に響き渡ると言うのに、やけに静けさを感じられる空間。
 床の下からの罠にも警戒しなければと思いつつ、七曜は、まずその場で小型蒸気機関式拡声器であるAngels Bitを手にし、息を吸う。
「ーー~ー♪~~ーー♪♪」
 試す意味でも行ったこの行為は、ユーベルコード【反響の福音】。
 凛とした歌声が、拡声器によって拡張され大音量となって地下迷宮に響き渡る。
 何故響き渡るのか、理屈はわからないが、七曜に取っては寧ろ好都合だった。
 暫くそうした後、静かにやめる。
「こちらが良いかしらね?」
 歌いながら自身の声の反響具合を冷静に分析し、当たりをつけて指をさす。
 その方向は、前方方向。
 他の方向に比べ、よく響いて聞こえる方向を選んだのだ。
「うん、ボクもそう思う」
 野生の勘からだろう、なんとなくそんな気がしたマロンも同意する。
「わたしにまっかせなさーい」
 と言って、七曜の隣を通り過ぎ、警戒する素振りも見せず真っすぐ進んでいくアリス。
「あっつぅい……」
 そんなアリスを突然襲ったのは、蒸気。天井から吹き出してきたものだ。
 何処か幸せそうな顔をしながら身を引いた。
「だ、大丈夫かしら……?」
「大丈夫なんじゃね?」
「大丈夫そうには見えないけど……」
 心配する様子を見せる3人。
「危うい所だったけどただの致命傷で済んだわ」
 3人に向き直ってしたり顔でそう告げるアリス。全身火傷しているのは間違いないはずだが、何処をどう見ても、なんともない。
「我々の業界ではご褒美よ☆」
 そう告げるアリス。だが3人は、この言葉を聞いた瞬間思っただろう。『あ、この人だめなやつだ』と。アリスが行ったのは【リジュネレーション】。蒸気を受けると同時に、身を引きつつ、肉体の超再生能力を促進させ、更に痛みを快楽へ変換。同時に訓練された変態力を駆使して強化したのだ。
 しかしその回復力は実際頼れるものなので、そのまま彼女に先導してもらい、前方の道を進んでいく。
 時折聞こえてくるアリスの声に、本当に痛がっているのだろうかという不思議な気持ちに囚われつつ、また開けた場所に出てきた。
「それじゃ失礼して、今度は俺が」
 と言って前に出るボゴ。
 彼もまた、七曜と同じ手段を持って周辺地域の探索を行おうとしているのだ。
 ただし。
『――――』
 その声は、人の耳には聞こえないほどの音波。【超音波】だ。
 より高い振動数によって得られる情報は、七曜がしたそれよりもより正確か。最も、距離に関しては拡声器で拡張している分七曜のほうが優れてると言えるだろう。
 同時にマッピングも行い、その区画とひとつ先の区画がどうなってるのかも把握した。
「だいたい当たりのようだね。……けど、この部屋、かなりの数の罠があるように感じられるよ」
 作成した地図を見つつ、告げる。
「あら……なら、戻って別のルートにしましょうか?」
 その地図を一緒に見ながら、別ルートを提案する七曜。
「大丈夫大丈夫、リジュネレーションがあるから即死さえしなけりゃすぐ治るし平気平気☆」
 アリスはボゴの心配を他所にこのまま突き進むつもりのようだ。
「待って。それなら、ボクが先行するよ。罠と言っても、スイッチなら踏まなきゃいいんだよ」
 アリスを止めてそう返したのはマロン。
「マッピングもついでにしてくるから、その地図貸りていいかな?」
「ん、それじゃ頼むよ」
 そう言って、ボゴはマロンに地図を受け渡した。

 一旦来た道を戻って距離を測るマロン。
「ホップ、ステップ、ジャンプ!」
 3段ジャンプで距離を稼ぎ、一気に跳躍。【翡翠月歩】によって頂点でもう一回空を蹴って進行距離を稼ぎ、経験や勘を駆使して罠がないかを確認しつつ、開けた区画を超え、道の入口辺りに着地する。
「この先は……」
 視力の高さを生かして目を凝らし、先の様子をその場から伺う。
「もう少し進まないとダメそうか」
 だが、よくは見えないらしい。そう言って、今度は距離が稼げないのでその場からジャンプして空を蹴る。
 途中で分岐を確認しつつ、暫く真っ直ぐ進むと、また広い区画が見えてきた。部屋には入らず、入口辺りに着地して恐る恐る中を覗く。が、躊躇った。
「……なんか嫌な予感がする」
 何かを感じて、顔を出そうとした身を引いた。その場で、壁に耳を上げてみると、寝息が聞こえてくる。
「何か居る。ここは駄目だ。一旦戻ろう」
 と言って戻ろうとして、途中、分岐地点があったのを思い出し、そこまで戻って、別ルートを進んでみた。
「お、ここは……」
 再び入口に着地して、入口横の壁に耳を当て、中の様子を伺う。
 とても静まり返っていることくらいだ。
 顔を出し、覗いてみる。
「うん、まだ先がありそうだね」
 そこまで確認すると一度戻ることにした。

「おまたせ。だいたいこんな感じだったよ」
 と言って、受け取った地図を皆に見せつつ、ボゴに返す。
「災魔トラップ、ほんとにあるんだね……」
 マロンが身を引いた部屋。いくつもの寝息が聞こえた辺りを考え、グリモア猟兵が言っていた災魔トラップであることを思い出して困惑する一同。
「それじゃ、わたしについてきなさーい」
 やはりアリスは、その身を呈して3人より若干先を進んでいく。
「おっとと、これは流石にまずいわね」
 突然足を止めて何やらウネウネ蠢く靄のようなもの、サイキックヴァンパイアでアリスを襲う機雷から防いだ。
 いくつも発射される機雷。だが、その全てを受け、あるいは後ろの猟兵に被害が行かないよう受け流して対処しつつ、機雷が発射される方向へと進む。
 ある程度近づくと、靄のようなものを伸ばして機雷の発射口を捕まえさせた。
「奪い尽くしてあげる♪ なにもかも☆」
 告げられ、行使したのは【エナジードレイン】だ。
 それにより、機雷発射装置は妙な音を立てて止まった。
「ま、どんな罠にせよなんらかのエネルギーを利用されてるだろうからそれを吸収しちゃえば無害無害」
 言いながら再び進行方向に戻っていく。
 
 アリスの迷いない歩みは、進行上の罠はほぼすべて発動させる形で無力化させ、他の猟兵は全くの無傷で、マロンが見つけたという区画にたどり着く。
 入口までたどり着き、部屋に入らず、そこから様子を見る。
「あれ、次の階かしら?」
 もう一度【反響の福音】を駆使して地形を把握した七曜が、違和感を感じた方向を向いてみると、そこには、壁にポッカリと穴。下の階へ通じる道のようだ。
「おお、本当だ」
「あら、もう終わりなの?」
「結構あっけなかったね」
 それを見て、三者三様の反応を示す3人。
「見つけちゃったならしょうがないわね、行きましょう」
 そう言って、一人先行していくアリス。
「あ、待って!」
 と、またも何かを感じたマロンが引き止めるが。
「え……?」
 時すでに遅し。
 アリスが部屋に踏み入ったその瞬間、上から落ちてきた物と、下から生えてきた物、によって通路と入口が完全に隔てられた。鉄の塊のようだ。
 それに驚く様子もなく、アリスは冷静にその塊を叩く。
「これなら軽いわね。みんな、離れて」
 そう促して、暫く待つ。
「どうせなら、これでわたしを挟んでくれればよかったのに……」
 などと呟きつつ、手に力を込め。
「ふっ――――!」
 思いっきり鉄の塊に振りかぶると、鉄の塊に大穴が開いた。何という怪力。
「はい、開通っと。それじゃ、行こう?」
 と言って、またアリスが先頭となって、先へ進んでいく。
 その様子を見た3人は、畏怖の念を抱いたことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ダンジョン罠うさぎ』

POW   :    ニンジンもぐもぐ
戦闘中に食べた【人参】の量と質に応じて【可愛さをアピールし】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    ヴォーパルスラッシュ
【多くの者の首を斬り落としてきた一撃】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    えげつない多段トラップ
【動きを拘束する罠】が命中した対象に対し、高威力高命中の【性格の悪さがにじみ出ているような罠】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが階段を下ったその先は、さらなる迷宮が広がっていた。明かりは十分行き渡っているようで、視界に困ることはなさそうだ。
 だが、先程まで居た階とは何やら異なる雰囲気を漂わせている。
 時々カツンカツンと聞こえてくるのは、何かの足音か。
 この先にはおそらく、より凶悪な罠が、そして無数のうさぎたちが待ち受けてることだろう。
 うさぎたちの妨害を乗り越え、ボスフロアへとたどり着くことは出来るのだろうか。
ボゴ・ソート
※絡み・アドリブ・連携歓迎

目付きの悪いウサギに凶悪な罠か。

その凶悪な罠、逆に利用させてもらおうかな。
『帝国式レスリング』で沢山いる小さなウサギにタックルして捕まえて、罠のありそうな場所へと放り込む。
捕まえたついでにニンジンを盗んでおこう。
ここぞというタイミングで大きなウサギへ投げつけて注意をそらすんだ。

あとは飛んだり跳ねたりして大きなウサギの攻撃を避けながら、フック付きワイヤーを投げつけて行動の自由を少しずつ奪っていくよ。


アリス・セカンドカラー
かわいいおにゃのこが好きです、でも、女装の似合う可愛い男の娘はもーっと好きです♪
なお、私はケモもイケる( ・`д・´)

罠なら私も使えるわー、ハニートラップってやつだけどね♪
ラブフェロモンバーストと赤い魔糸とマインドジャックで身も心もメロメロにしてあげる☆

例え首を狩られてもリジュネレーションで再生できるから無問題☆
私を殺したければ白木の杭を心臓に打ち込みなさい。

罠はインビジブルテンタクルで空打ちを狙うわー、爆発系でもそのエネルギーをエナジードレインしちゃえばいいし♪


茲乃摘・七曜
心情
この先は未知の領域ですか…気を引き締めましょう

指針
上層の罠の内容を踏まえつつ探索し罠ウサギへの対処を主軸に行動
「まずは罠を増やしかねない災魔に対応してゆきましょう

行動
罠の対処は仲間に委ねられるなら任せる
※不可能ならAngels Bitsと歌唱を用いソナーのように探る
「見敵必殺ではありませんが着実に撃破し進んでいきましょう

戦闘
『流転』での捕縛と共に二挺拳銃での攻撃で撃破を狙う
近接攻撃にはロンググローブでの盾受けと見切りで対応
※最悪、激痛耐性でカウンター
「我慢比べと参りましょう

警戒
解除した罠が設置し直される等があればボス部屋に近い可能性を考慮
「進んでほしくないと場所を探していければいいのですが


マロン・チェスナット
絡み歓迎、アドリブ歓迎、連携歓迎

【SPD】
どれだけのダンジョン罠うさぎがいるのだろうね
罠を探すのは他の人に任せて
聞き耳を立てて敵が近づいてきてないか注意する

あまり音を立てると敵に気付かれるかもよ

足音が聞こえるね
こっちに近づいてきてるみたいだ
この場で待ち伏せする?
それとも迎え撃つ?
それともやり過ごす?
ボクとしては戦闘は避けたいところだけどね
避けられない戦いもあるよね

戦う時はみんなとはぐれない様に
罠を踏まない様に注意

たとえ一撃で首を斬り落とすような強力な攻撃でも
当たらなければなんともないね

うわぁ、うさぎがあえて罠を踏み発動させてくる
暴食のベルセルクを使って尻尾を変えて敵の人参を奪って食べて回復



 階段を下りきり、次の階に来た猟兵たち。

『ーー~ー♪~~ーー♪♪』
 この階層の罠はどれも危険だと判断し、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐海の笛吹きの魔少女・f05202)に先導はさせずに進む一行。
 罠の捜索は、茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)が、自身の周囲に浮くAngels Bitによる【反響の福音】を用いている。不思議と音が響くのは、上層階と変わらずのようだ。
 七曜の機転のおかげで、振り子の罠の間にも仕掛けられていた様々な罠の類のほとんどは回避し、奥地に進めているという状況だ。
 回避できないわなはアリスがウネウネ動く靄のようなものを用いて【インビジルテンタクル】を発動させ、空打ちさせることで回避する。
 この状況は、戦闘は避けたいと考えるマロンにはあまり嬉しくない状況だったが、これまで回避してきた罠の数を考えても、そうも言っていられない状況である。罠の数が尋常では無い。
「待って」
 そう言って、マロン・チェスナット(インフィニティポッシビリティ・f06620)は足を止めさせた。
 可愛らしい大きな耳をあちこちの方向に動かし、聞き耳を立てて音を探る。
「足音が聞こえるね……それも、結構な数だよ。こっちに近づいてきてるみたいだ」
 ちょうどそこは、広く開けた一角。少ないと言えなくはないが、罠の数も通路や今までの区画と比べると疎らな場所だ。そして、4方向から伸びる道。
 マロンの耳には、一つだけではない足音が多数聞こえた。
「この場で待ち伏せする? それとも迎え撃つ?」
 やり過ごす選択肢も考えたが、それは言わなかった。
 前後から聞こえてくる音は、逃げ場がないことを意味している。拡声器を使って歌声を響かせていれば、敵さんに居場所を教えてるようなものなので当たり前な状況とも言えるか。
「方向は?」
 聞き返すボゴ・ソート(ウォーマシンのシーフ × 探索者・f11583)。
「えっと……全方向だよ」
 その言葉に、猟兵たちは互いの顔を見合わせ頷く。
「なるほど、分かりやすくていいな」
「1人一箇所、待ち伏せには丁度よいですわね」
「罠の数は少なくはないです、気をつけましょう」
「あんまり気は進まないけど、避けられない戦いもあるよね」
 そう言って、事前に示し合わせたかのように、罠を回避しながら、それぞれが4方向に向かった。


 後方から来る罠うさぎの対処を選んだボゴは、通路から死角になる位置で隠れ、前傾姿勢で待機する。
『きゅふ?』
 罠うさぎには、対面にいる、背を向けて堂々と立つアリスの存在を見て訝しげに思うようで、その進行は、音を立てないよう慎重な行動だった。
 しかし、アリスにばかり気を取られてしまったことが運の尽き。
「そら、まず一匹」
『ぎゅ、ぎゅー!!!』
 脇からとてつもない勢いで【帝国式レスリング】を繰り出しつつ、現れたボゴに見事に捕まる仔うさぎ。抵抗して抜け出そうとするが、それも出来ず。
『きゅきゅー!』
 助け出そうとしてか、罠うさぎが飛びかかってくるが、罠の場所に気をつけつつ飛び退いて回避。
「そらよっと」
 同時に、捕まえた仔うさぎを、部屋の中の、罠がありそうな適当な場所に放り投げる。
『ぎゅー!』
 投げられた仔うさぎは、凶悪な罠のスイッチを推してしまい。そのまま天井に吹き飛んだ。
『ぎゅ、ぎゅー……』
 その様子を見た、罠うさぎ。明確な怒りの表情を見せ、手にしていた人参をかじると、そのまま手にしているナタを用いて襲いかかってきた。
「おうおう、怒りに任せて突っ込んでいいのか?」
 単調なその攻撃を前傾姿勢になりながら容易く回避してみせるボゴ。同時に、また仔ウサギを捕まえる。
「いいもの持ってるな?」
 仔ウサギが持っていた人参を奪い取ると、同時に、また部屋の一角に投げた。今度の罠は、天井から降り注ぐ無数の炎の矢。
 丸焼きになる仔ウサギ。香ばしい匂いがあたりに漂う。
『ぎゅっぎゅー!』
 それを見てか、罠うさぎはさらに怒った。仔ウサギたちに指示を出そうとするが。
「ほれ、くれてやるよ」
 奪い取った人参を罠うさぎに投げつける。どうやら、野生の本能には抗えないようで、投げられた人参に飛びつこうとする罠うさぎ。
「終わりだ」
 そんな隙だらけの罠うさぎに、フック付きワイヤーを投げつけた。
 狙い通り、フック付きワイヤーは罠うさぎを捕らえ、たちまちぐるぐる巻きにして拘束する。
『きゅー……』
 そうなってしまっては、さすがの罠うさぎも抵抗できない。
 罠うさぎに近づき、見下すボゴだが、別の足音が聞こえ、振り返る。
「……こいつは、骨が折れそうだな?」
 視線の先には、更に複数の、別の罠うさぎの姿が見えた。


 ボゴとは反対方向、前方方向を選んだアリス。
 アリスは、隠れることなく通路の入口ど真ん中に陣取っていた。
「私は逃げも隠れもしないわよ、身も心もメロメロにしてあげる」
 やってくる罠うさぎを見て怪しげな笑みを浮かべるアリス。
『きゅふふふ……』
 正面からやって来た罠うさぎは、堂々たるアリスの様子を見て、獰猛な笑みを浮かべる。
 手にした人参を食べ、ナタを構え直すと、そのまま飛びかかってきた。
 そしてそのまま、首に向けて振り下ろされるナタ。
 アリスは無抵抗に、その首を飛ばされた――――筈だった。
 何やら色目かしい声を上げるアリス。
『ぎゅっ!?』
 その状況を見て、驚きの表情を浮かべる罠うさぎ。
「首を狩られても、リジュネレーションで再生できるから無問題☆ 私を殺したければ、白木の杭を心臓に打ち込みなさい」
 そんなんじゃ私は殺せないとご丁寧に実演して見せ、更には倒し方まで告げたアリス。
 そんなアリスに恐怖を覚えたか、その場に硬直する罠うさぎ。
「あとね、罠なら私も使えるのよ。ハニートラップってやつだけどね♪」
 ウィンクして見せると、色目効かせつつ【一夜の経験値】で罠うさぎに迫る。漂う催淫効果のあるフェロモンの効果も相まってか、罠うさぎは既にメロメロ。【情欲の炎】というとてつもない熱意に、罠うさぎは身も焦がすほどだった。
「あら、まだたくさんいるのね?」
 一体を魅了しただけに飽き足らず、あとから来る別の罠うさぎの姿を見据えると仔ウサギには目もくれず、目につく罠うさぎに向け、【赤い魔糸】で幾つもの赤い色の魔糸を放った。
 罠うさぎ数体についた魔糸はたちまち罠兎を洗脳。していく。
「たまらないわぁ……♪ ――――私のペットにしてあげる♪」
 それでも全てではない罠うさぎに、アリスは立て続けに【マインドジャック】。放たれる見えない攻撃に、罠うさぎたちは為す術もなく脳に改変をもたらし、忽ち魅了していった。


 七曜は、右の道を取り、ボゴと同じ様に道からは死角となる位置で待ち伏せていた。
 その手には、Pride of fools、愚者の名を持つ2丁の拳銃。その周囲には、無数の浮遊する球体。Angels Bitとは異なるものなのは明白だった。
 向かいには同じ様に隠れるマロンの姿がある。罠うさぎとてバカではない。そんな様子を見れば、警戒して出てくるのは至極当然であり。
「意外と賢いのですね」
 左右を見ながら恐る恐る出てきた罠うさぎ。
 だが、それすらも見越していた七曜には関係のない話だった。警戒するならば人参などを投げるべきだったのだ。
「――――万物流転。有限が作り出す無限の円環…幽玄たる時間の監獄へようこそ」
 罠兎が顔を出すと同時、そう告げる七曜。
『ぎゅっ!?』
 浮遊する球体から無慈悲に放たれた、無数の杭。
 それは寸分の違いもなく正確に罠うさぎの周囲に放たれる。
『きゅふふふっ!』
 それを見た罠うさぎは何処撃ってんだよとでもい痛そうな笑い声を上げた。
 そのまま逃げれば良かったものを、笑ってしまったのが運の尽きか。
 七曜を象徴する杭は、円環を作り出したことで、互いが互いを結ぶ。複雑に構築されるされるそれは、回路の様。一度捕らえてしまえば抜け出すことは不可能な術式、【封印術式『流転』】が完成する。
 身動き一つ取れなくなってしまった罠うさぎ。
 そんな罠うさぎを救う目的か、仔うさぎたちが七曜に襲いかかるが、動物故の単調な体当たり。全て容易く見切り回避して見せつつ、苦悶の表情を浮かべたままの罠うさぎを、七曜は二丁拳銃による追撃で正確に急所を撃ち抜き、罠うさぎを葬った。
「個体の強さはそれほどでもない様ですね……けど、この数を相手するのは、些か厳しいでしょうか」
 罠うさぎを屠ったことで、連れとなる仔ウサギたちも一緒に黒い靄のようなものになり、天井へと消えていく。そんな、様子を意に介す様子もなく、葬った場所の更に先を見据える。そこには、無数とも言える数のうさぎの数。見える範囲には沢山過ぎるほどの仔ウサギが蠢いていた。


 残る左の道を取ったマロンは、他の3人の位置と罠の位置をそれぞれを把握しつつ、聞き耳を立てながら道の死角で待ち伏せていた。
 聞き耳を立てて待っていると、その足音が唐突に止まったのが聞こえる。他にもいくつかの足音は聞こえていたが、一番近かった足音が聞こえなくなったのだ。
「……?」
 訝しむが、そこで顔を覗かせてしまっては待ち伏せの意味はない。それこそ敵の狙いかもしれないと辛抱強く待つ。蒸気機関の隙間から向こう側が見えないかと思い、隙間に目をけると、そこには。
「あ……」
 同じくこちらを覗く、罠うさぎの姿が。
 束の間の沈黙。それは、突然破られた。
『ぎゅーっ!』
 そんな鳴き声を上げて飛び出してきた罠うさぎ。
 しかも、こちらの姿を的確に捕らえ、首目掛けナタを振るってきたのだ。
「わわっ!?」
 身の危険を悟ったマロンは慌てて飛び退き、危ういところでそれを回避。
『きゅふふふ……』
 不敵に笑う罠うさぎ。仔ウサギに支持を出すと、駆け出した仔うさぎたちが仕掛けられている罠と言う罠を発動させてきた。
「うわぁ、うさぎがあえて罠を踏み発動させてくる……」
 そんな率直な感想を述べつつ、事前に罠の位置を把握してたおかげもあって自信は容易く回避できた。
 が、その辺り一帯は小さな爆発があちこちで起こり安全とは言える状況ではなくなった。
 しかも、その爆発に巻き込まれて吹き飛ぶ仔ウサギ達。
 罠うさぎはそれを意に介す様子もなく、こちらに再びナタを持って突っ込んできた。
「当たらなければなんともないね」
 単調な攻撃を軽々回避すると、カウンターに可愛らしいリスの尻尾を蛇へと変化させ、【暴食のベルセルク】で襲う。
『ぎゅっ!?』
 それを見て獰猛な表情から一転、恐怖の表情へと一気に変わった。危ういところでそれを回避する罠うさぎ。
 うさぎにとって、蛇は天敵そのもの。まして、マロンの持つ尻尾の大きさがそのまま蛇になったとなれば、その大きさも大蛇級といえる。たったそれだけで攻勢は逆転。
 恐怖に怯え逃げ出す罠うさぎや仔うさぎたちを襲う形となった。
「……避けられる戦いなら、そのほうがいいかな」
 が、マロンは避けられるならそのほうがいい、そう考え、うさぎを追うことをやめにする。
 通路に逃げ帰っていく罠うさぎ。続いていた他のうさぎたちも、その様子を見たのか、散るように逃げ去ってしまった。


 全体の戦況で言うと、かなり優勢と言える状況だった。
 ペットを得たアリスが数に押される七曜の援護に周り、更にペットを増やし、あるいは闇に葬る事で拮抗しており、マロンは蛇をだしたままボゴの方に向かうことで、先ほどと同じ様にうさぎたちを散らせる。
 明らかに七曜の方向だけうさぎの数がおかしい、その事に気づいたボゴとマロンは、アリスと七曜の方向に向かい、うさぎを散らせる。
 そのことを指摘してみると、やはり二人も、おかしいと気づいたらしく、互いに頷きあって、その道を選び先に進むと、そこは、かなり開けたエリアだった――――

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

フォー・トラン
よう、きょうだい。良いチームワークだな。
先へ進むのならアタシも手を貸そう。

◆方針
沢山いる仔うさぎは放っておいて『ダンジョン罠うさぎ』を狙う。

◆行動
他の猟兵さんを追いかける("追跡")ようにして開けたエリアへ乱入、【合成魔法】で水の竜巻を作り出して『ダンジョン罠うさぎ』を仕掛けられた罠ごと吹き飛ばす。("全力魔法"、"吹き飛ばし")
『ダンジョン罠うさぎ』に一発食らわせた後で仔うさぎがまだ活動していたら、できるかぎり多くの仔うさぎを引きつけて、そのまま誘導しながら逃げる。("おびき寄せ"、"逃げ足")

応援してるぞ。あばよ。


佐藤・非正規雇用
どうやらヤツらにもボスがいるみたいだな。
この先のエリアも、気を引き締めて行こう!

罠があちこちにある以上、接近戦は避けたいところだな。
【ドラゴニアン・チェイン】で、向こうから近付けさせよう。
上手くいけば、相手が罠で自滅するかもしれないな。

なにっ!? 人参を食べて己を強化するだと!?
そんなことはさせるか!! 敵の人参を奪って
俺も【生命力吸収】だ!!
ついでに【撮影】の技能を駆使して、うさぎより
可愛さアピール!! 決まった!!!!



 他の猟兵たちが到達したそのフロアに少し遅れてやってきた一人の猟兵。
「どうやらヤツらにもボスがいるみたいだな」
 通路の曲がり角から、進んだ先のフロアに居る無数のそれらを見て、佐藤・非正規雇用(スクロール・f04277)は呟く。
 彼は、寂しさからか、ダークな金融に手を出してしまったことで、肉体と財産の大部分が闇に飲まれて黒騎士となったようだ。ならざるを得ない運命だったのかもしれない。
 その多勢に無勢な状況を打破すべく、罠に気をつけながら思案する。
(「何処に罠があるかわからないしな、接近戦は避けないと。なら、これだな……!」)
 そう思案し、己の手を振りかざす。その手から放たれるのは、何らかの靄のようなもの。
 龍の顔のような形をしているそれは、ドラゴンオーラだ。
 オーラは的確に1体に狙いを定め、近づいていく。罠うさぎはこちらに気づいていない様子なのか、見事そのオーラは命中。【ドラゴニアン・チェイン】の条件を満たしたことで、罠うさぎを爆破しつつ、靄が鎖のように変化し、佐藤と接続。
「お、うまく言ったか。そらっ!」
 そう言って、鎖を引くと、罠うさぎが一匹、連れ出される。
 途中、罠があったらしいのか、捕らえた罠うさぎはその罠の影響で周囲の罠うさぎも巻き込んで吹っ飛んだ。
「派手な花火だな」
 そう言いながら、更にうさぎを捕らえていく。
「そらそら、こっちに来いよ!」
 次々釣りのように引き寄せては罠に引っ掛けていく佐藤。
 他の罠うさぎたちもようやくその状況に気づき、数の暴力で迫ってくる。
「お、むしろ好都合……なにっ!?」
 接近戦を避けるべくその様な行動をとっていた佐藤だったが、突然目の色を変えた。
「人参を食べて己を強化するだと!?」
 その視線の先には、人参をムグムグしてる罠うさぎの姿が。なんか可愛らしい。
 そのうさぎだけではなく、他にもちらほら、人参を食べたり、あるいは食べようとしている罠うさぎたち。
「このやろー!」
 何故か苛立ちを見せる佐藤。そう言って、突然罠うさぎに迫ったかと思うと、かすめ取るようにその人参を奪い取る。
 そして、それをものすごい勢いで食べていく。同時に、何処に持っていたというのか、カメラを取り出して自分に向け、パシャリ。
「決まった!!」
 その写真は、うさぎよりも可愛さをアピールした自分だったようだ。
 何処に苛立ってるのだろうか。いや、可愛いものに弱いのかもしれない?
「はっ、こんなことしてる場合じゃ……」
 なんてやっていると。
「よう、きょうだい。先へ進むのならアタシも手を貸そう」
 一人の猟兵が、いつの間にかそこに居た。
 彼女は、フォー・トラン(精霊術士・f12608)。
 人型に狼の耳と尻尾を携えており、青い瞳に赤褐色に染まる肌、そして黒い髪は、それだけでかなり特徴的とも言える容姿を持つ人狼だ。
 先行する猟兵たちを追いかけるように、道を辿って来た彼女は、可愛さアピールしている佐藤を見つけやってきたのだ。
「巻き込まれないように気をつけろよ……!」
 そう言って、フォーは勘を頼りに罠を避け、足を止めて精神を集中。
 忠告しつつ繰り出したフォーの【合成魔法】が、猛威を奮った。
 水の竜巻が巻き起こり、辺り一帯を吹き飛ばし、あるいは洗い流した。
 これによって、無数の罠が作動。ある場所は爆発し仔ウサギや罠うさぎもろともふっとばし、ある場所は炎が吹き出しうさぎたちを丸焼きに。またある場所ではガスが吹き出し、炎に引火。大爆発を引き起こしたりと、何やらとてつもなくひどい状況になっている。
 猟兵たちはと言えば、そんな状態になることなど見てからに理解した直後から、全員で通路に退避。とにかく退避する。
「あぶねーことするな。キミの攻撃じゃなく罠に巻き込まれてたらどうするつもりだったんだ?」
 フォーの行動を指摘する佐藤。
「すまない、吹き飛ばせば作動しないと思ってた。甘い考えだったな」
 そう言いながら、先程のエリアを一瞥する。
 その視界の先には、大量の仔うさぎたち。どうやらフォーは、意図的に罠うさぎだけを吹き飛ばすようにしていたらしい。罠が暴発したのは完全に想定外だったようだが、それ以外は想定の範囲内と言った様子だ。
「応援してるぞ、あばよ」
 そう言って、佐藤たちがいる道とは異なる方向に伸びた道へ、逃げるように去っていった。
 どういうわけか、仔うさぎたちもフォーを追うように次々とその道に流ていく。
「……なんかよくわからんが、助かったのか?」
 ポツリと呟く佐藤。
 そこへ、先行する猟兵たちもやってきて。
「なんか知らんが、人狼の子がうさぎたちを連れてっちまったよ」
 簡潔に起きたことを告げると、何が起きたのか結局理解できず怪訝な表情をしていた。
 そんな中、一人の猟兵が声を上げる。
「ん? お、あれが次のエリアの階段か?」
 フォーが去っていったのとは逆の方向。その方向に見える、階段と思わしき影が。
 先行組の猟兵と共に罠に気をつけながら進んでいくと、確かにそこは階段だった。
「ついにボスに出会えるわけか。この先のエリアも、気を引き締めて行こう!」
 そう声をかけ、階段を下るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『雪うさぎリーダー』

POW   :    雪兎凍結地獄(コキュートス・セット)
【地形や装備をつるっつるに凍らせる事で】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD   :    雪兎軍団(マイアーミー・セット)
レベル×5体の、小型の戦闘用【雪うさぎ(消滅時に強い冷気を放出)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    召喚!雪兎王!(カモン・ユキウサキング)
【自分に似た姿の戦士】の霊を召喚する。これは【冷気】や【氷で作り上げた武器】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠中村・裕美です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 階段を降りた先で猟兵たちを待ち受けていた場所。
 そこは、とてつもなく広く開けた区画。
 一部が凍りついており、上階に比べるとかなり内部の室温も下がっているようで、薄ら寒さすらも感じるほどだった。 
『また新しい獲物ね! 飛んで氷に入る冬の虫! ようこそ、私の楽園へ!』
 声のした正面を向いてみると、何やら手を拱いてふんぞり返った様子のうさぎが。
 罠うさぎか。いや、違う。全身の身なりが青くなっているその姿は、全くの別人と言えるほどの容姿。
 罠うさぎを統率すると言われている親玉、雪うさぎが待ち受けていた。
ボゴ・ソート
おだてられるのに弱いって風の噂で聞いたよ~。
「なんて強いんだ! 流石うさぎっぽい生物の親玉なだけのことはある!」
みたいなことを言って相手が油断したところをガツンだ!

フック付きワイヤーを[投擲]して相手の近くにある物体や相手そのものにからませてからワイヤーを巻き上げれば、雪や氷の上でも[ロープワーク]と[クライミング]技術を応用することで何とか移動できるさ。
上手く相手に近付けたらダガーによる一撃、[シーブズ・ギャンビット]で攻撃する。

[冷気耐性]があるので相手の攻撃はあまり恐れず、積極的に前へ出ていきたいところだね。
凍りついて動けなくなる前に、雪うさぎへ一発食らわせることを目標に頑張るよ。



 階段を降りた先で猟兵たちを待ち受けていた場所。
 そこは、とてつもなく広く開けた区画。
 一部が凍りついており、上階に比べるとかなり内部の室温も下がっているようで、薄ら寒さすらも感じるほどだった。 
『また新しい獲物ね! 飛んで氷に入る冬の虫! ようこそ、私の楽園へ!』
 声のした正面を向いてみると、何やら手を拱いてふんぞり返った様子のうさぎが。
 罠うさぎか。いや、違う。全身の身なりが青くなっているその姿は、全くの別人と言えるほどの容姿。
 罠うさぎを統率すると言われている親玉、雪うさぎが待ち受けていた。
「は……?」
 そんな言葉を聞いたボゴ・ソート(ウォーマシンのシーフ × 探索者・f11583)は、呆然と立ち尽くした。
「いやそれを言うなら、“飛んで火に入る夏の虫”じゃないのかい?」
 どうやら、その言葉の間違いに呆気にとられたようで、思わず突っ込んでいた。
『ふん、火なんて私の氷に掛かればなんてことないわ』
 帰ってきた言葉は答えになっているのかなってないのか。最も、言葉が通じるのは間違いないようだ。
(「おだてられるのに弱いって風の噂で聞いたし、油断したところをガツンだな!」)
 そう考え、ダガーを構え、相手の出方を伺う。

『ふふ、どうやっていたぶってやろうかしらね?』
 手を口元に当てて怪しくほくそ笑む雪うさぎ。突然変異体であるにもかかわらずかなり人間味を帯びた行動を取る様子が伺える。
『そっちが来ないならこっちから行くわよ、行きなさい!』
 そう言って、手を前に出して号令すると、雪うさぎの周囲から、驚くべき数の仔雪うさぎが召喚された。
 その数は、数えるのも嫌になるほどだ。100体は優に超えていると言えるか。
「なんだと……!?」
 この数には流石に驚くボゴ。迫ってくる無数の召喚された雪うさぎに、大きく飛び退いて対処を試みる。
 冷静に1体1体の動きを見極め、攻撃されるより前に、最も近づいてくるのが早かった最初の1体をダガーで切り裂く。
 その一撃だけで消え失せる仔雪うさぎ。だが、置き土産と言わんばかりに、白い靄が見えるほどの強烈な冷気が辺りに放出される。
「冷たっ……!」
 それだけではボゴが凍りつくことはないが、ある程度寒さに強いボゴですらその口からそう言わせるほどにその冷気は強烈だった。
(「この数の冷気を受ければ……流石に耐えきるのは無理だね」)
 脳内で思考しつつ、次に迫ってくる雪うさぎにフック付きワイヤーを投擲。絡みつかせると、ワイヤーから逃れようと抵抗する仔雪うさぎを引き寄せるべく、ワイヤーを巻き上げる。
 その力を利用し、1体を倒したことで凍りついた床の上を滑るように移動。その間、近づいてきた仔雪うさぎをすばやく切りつけつつ、捕らえた仔雪うさぎに近づくと同時にダガーを振るう。
 1撃叩き込むだけで倒せるのはボゴにとっては助かる点ではあるが、その度放出される冷気に、徐々にボゴの体温は奪われていく。
「なんて強いんだ! 流石うさぎっぽい生物の親玉なだけのことはある!」
 そのタイミングでボゴは、わざとらしく大声を上げてそう告げる。
『そ、そうでしょ、そうよね! 分かる人はやっぱり分かるんだわ!』
 と、うっとりする1体の雪うさぎ。見た目こそ雪うさぎな仔雪うさぎだが、小さいがゆえに見分けはしやすい。
 その隙を狙って召喚者たる雪うさぎにフック付きワイヤーを投擲。
「捉えた……!」
 うまいことワイヤーが絡みつき、雪うさぎを捉える。
『な、何するんですの!?』
 そう言いながら絡まるワイヤーを解こうともがく雪うさぎ。
 先ほどと同じ要領で雪うさぎを引き寄せるように、雪うさぎに確実に近づいていく。
 やはり変わらず迫ってくる無数の仔雪うさぎだが、ボゴは躊躇いなく切り捨て、辺りを凍りつかせていく。
「ふっ……!」
 雪うさぎに迫る、その瞬間。【シーブズ・ギャンビット】によって目にも留まらぬ渾身の一撃を放つ。
『きゃあっ……!』
 悲鳴をあげる雪うさぎ。正面から斬りつけられ、ダメージを負った。
『やってくれたわね……』
 ボゴを睨みつける雪うさぎ。だが、彼女に迫る驚異は、それだけでは終わらなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・セカンドカラー
雪うさぎリーダーちゃん、いいわー、バッチリわたし好みよ☆
例え目の前にいても認識させないのが一流の暗殺者(笑)。念動力で認識を盗み・ハッキングして意識の死角を縫って接近し、早業で唇を盗み攻撃して深い深ーい口付けを☆
そのまま零距離射撃でワールドクリエイターを発動、ようこそ我が妄想世界へ♪
外からはナニが行われてるかわからない妄想世界の中で情熱の炎と赤い魔糸とマインドジャックも追加して感度3000倍のちゅっちゅぺろぺろよー☆
抵抗しなくなったらワンダフォーランドにお持ち帰りよ♪そう、私の中で人工未知霊体として永遠になるのよ。



 一方、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐海の笛吹きの魔少女・f05202)は、先行した猟兵の戦闘を利用し、雪うさぎから隠れるようにして移動、いつの間にやら雪うさぎの死角に隠れていた。
「雪うさぎリーダーちゃん、いいわー、バッチリわたし好みよ☆」
 雪うさぎに気づかれないようその様子を伺い、怪しく微笑む。
『はっ、誰!?』
 だが、うさぎ故に聴覚は鋭い。その声を聞き逃さなかった雪うさぎは、そう言いながら声の聞こえたほうを向く。
「例え目の前に居ても認識させないのが一流の暗殺者よ」
 笑いながらそういうアリスは、確かに雪うさぎの目の前に居た。
『おかしい、声が聞こえたはずなのに……』
 しかし、気づいていない様子なのか、そう呟く雪うさぎ。
 その時既に雪うさぎは、アリスの姿を見ることはできなくなっていた。いや、厳密には認識できなくなっている、というべきか。
 目に見えない力を利用し、雪うさぎの五感を改ざん。アリスという認識を盗み取っていたのだ。
 “盗んでいる”が故にそれは一時的なもの。だが、アリスはその隙を見逃さない。暗殺者らしく素早い身のこなしでゼロ距離まで踏み込む。
『え……?』
 雪うさぎが認識したその瞬間には、すでにアリスの顔が眼の前に。
『んぐ……んー!?』
 重ねられる唇。より人間味を増した雪うさぎだからこそだろうか。その熱烈かつ長く、深い口づけは、雪うさぎの思考力を低下させていく。
 同時に、アリスは念動力を放つ。それは、ただの念動力ではない。
「ようこそ我が妄想世界へ♪」
『え、ええー!?』
 【妄想具現化念動力】。それは、アリスが展開する妄想世界。完全にアリスの術中に落ちた雪うさぎは、混乱した様子で周囲を見回している。
「ふふ、お楽しみはこれからよ☆」
 そんな様子をあざ笑うかの様にほくそ笑むアリス。
『こ、このー……! カモン、ユキウサキング! あいつをやっちゃって!』
 ひどくご立腹の様子。唇を奪われたことに憤りを覚えているのか、それとも元いた場所とは違う場所に来てしまっているその状況に怒り心頭なのか。そう言って自信と瓜二つな武装した雪うさぎを召喚する。
 厳密には戦闘領域は一切変わってはいない。それは、アリスが展開する妄想世界に、雪うさぎの意識を引き込んだがゆえに起きる現象。
 もちろん外でも戦闘は続いているが、他者から見れば普通に戦ってるようにしか見えないだろう。

 アリスは不敵に笑いながら、フェロモンを放ちつつ、雪うさぎの側から一度離れる。それは、召喚された武装雪うさぎによる攻撃を回避するためだ。
 ゼロ距離から放たれたフェロモンは、雪うさぎの鼻孔をくすぐる。うっとりしてしまうようなその甘い香りは、瞬く間に雪うさぎの行動を鈍らせた。それは、その場を襲った召喚体も例外ではなく。
 雪うさぎが吸ったのは媚薬効果のあるフェロモンだ。そんなものを吸い込んでしまえば、忽ち身体が火照る。
『あ、ああ、だめぇ……こんな、こんなやつにぃ……』
 たったそれだけであるにも関わらず、甘い吐息を漏らす雪うさぎ。
「うふふ♪」
 そんな状態の雪うさぎへ、アリスは容赦なく連撃していたのだ。
『熱いぃ、熱いよぉ……』
 雪うさぎの体の火照りは、いつしか身を焦がす程の熱さを伴っており。
「かーわいぃ☆」
 もはや無抵抗といえる状態の雪うさぎを、そう言いながら肌に触れてみる。
『はぅっ……だめぇっ……』
 何倍にも膨れ上がった快感が雪うさぎを襲う。
 だが、まだ抵抗の意志は残っているのか、恍惚の表情になりながらも召喚体を見据える雪うさぎ。
『ゆ、ゆきうさ、きんぐぅ、なに、してるのぉ……!』
 声を掛けると、同じ状態に陥っていた武装雪うさぎは、氷の剣を生成し、それをアリスに振るう。
「あら、ダメよ抵抗しちゃ」
 その弱々しい攻撃を適当にあしらいつつ、更にアリスは無数の赤い色に染まる魔糸を放つ。
『あ、ああっ……!』
 抵抗虚しく、その攻撃は無慈悲に雪うさぎを襲う。
 当たればたちどころに雪うさぎの感覚は更に倍増され。
「これで終わりかしらね?」
 更にもう一つ、脳に直接干渉する念動力を放てば。
『あああっ……!』
 3000倍にも高められた感度が、雪うさぎの意志とは関係なしにその意識を飛ばすほどの快感となって襲う。
「あらあら、盛大ねぇ。触ったらどうなっちゃうのかしらね?」
 そう言って、その肌にそっと触れてみれば。
『んぅっ……!』
 再び襲いかかる、その感覚。
 アリスの手中に落ちるのも、既に時間の問題だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マロン・チェスナット
絡み歓迎、アドリブ歓迎、連携歓迎

【SPD】
極寒の地を故郷に持つマロンは寒さには強く
生活する術を持っている〔氷結耐性〕

突入する前にちょっと準備運動
冷えるから少し身体を温めてくるよ

準備運動が終わった後に蜜ぷにをベロリして体内を温める〔氷結耐性〕
準備してる間に何かあったのかな
様子が変だよ

この部屋にも罠が仕掛けてあるのだよね
迂闊に近づけばドカンだね
〔第六感〕を頼りに罠を回避

プレデター(グルメツール)たど崩れそうなので
暴食のベルセルクを発動して直接的に仔雪うさぎを食べていく

静電気を帯びていて攻撃する時に火花放電〔属性攻撃〕発生


お腹が冷えて痛くなってきたよ
尻尾を元に戻して抱き抱え暖を取る〔氷結耐性〕



(「ここに居ても肌寒さを感じる……室温、結構低そうだね」)
 そんな思考をしながら、率先して先行していく猟兵たちに先を任せる。
「突入する前にちょっと準備運動」
 そう言って、一旦その場に立ち止まり、準備運動を始めたのは、マロン・チェスナット(インフィニティポッシビリティ・f06620)。
 もともと極端に寒い地域を故郷に持つマロンには、その程度の寒さはどうということはないのだが、念を入れての行動だ。
 リズムよく身体を動かし、しっかりした下馴らしを済ませると、普段から持ち歩く蜜ぷにを取り出してひと舐め。
 甘い花の蜜で作られるスライム状の水菓子であるそれは、一度舐めれば。
「ん……もう一口くらい、いいよね」
 うっとりするほどの美味しさに、止まらなくなる。ましてや、大好物となればなおさらだろう。
「あ……」
 それは、気がつけば持ってきていた分は食べきってしまうほどのもの。
「……よし、行こう」
 十分身体も温まったことを確認し、止めていた歩みを再び進める。

「準備してる間に何かあったのかな?」
 何やら無数の足音が聞こえる。
「様子が変だよ」
 警戒しつつ、足を早め階段を下りきると、そこには、無数の仔雪うさぎ。
「うわ……」
 部屋一面と言うほど多くはない。が、少ないとも言えないその数。部屋自体がかなり大きいが故に埋まらない、というだけの話だ。
 仔雪うさぎたちの幾つかは、マロンの驚きの声を聞きつけ、襲いかかってきた。
 それに対応するべくプレデターを取り出そうとするが、冷静に仔雪うさぎを観察し、考えを改める。
「食べちゃうぞ」
 と言って、とてもふさふさしている大きなリスの尻尾を【暴食のベルセルク】によってサーペントに変化させ、襲いかかってきた仔雪うさぎを逆に襲った。
 マロンが取り出そうとしたプレデターとは、捕食者の意味を有する名を持つ食器のこと。
 使うことを諦めたのは、これで仔雪うさぎを捕食しようとしても、出来ないと判断したが故。その見た目は雪うさぎと言う名だけあり、見た目からして脆そうなのだ。
「うん、ひんやりおいしいね。アイスみたいだよ」
 一匹を喰らい、満足そうな表情を浮かべる。突然の蛇出現、そして喰らわれる姿を見ても、仔雪うさぎたちは躊躇いなく飛び込んでくる。
「上の階と違って積極的だね」
 流石に数が多いのか、処理しきれずかすり傷を受けるマロン。
「いつつ……流石に食べるだけじゃおっつかないね」
 食べることに加え蓄えた電気を火花のように放電させ仔雪うさぎを蹴散らす。それによって周辺の室温が下がるが、十分に事前準備したマロンには何の効果もなかった。
 サーペントを振るい次々と仔雪うさぎを食らい、あるいは倒しながら、部屋の区画を進む。仔雪うさぎが密集するその場所へ。
「おっと……」
 仔雪うさぎを食べ進んでいると、うさぎたちが居ない場所に当たる。
「そっか、この部屋にも罠が仕掛けてあるのだよね。迂闊に近づけばドカンだね」
 そこは仔雪うさぎが居ないエリア。見てからに怪しい場所だ。そうした危険な地域を回避しつつ、広い部屋を中央に向けて進んでいく。
「見つけた」
『誰っ!?』
 他の猟兵と戦っていた雪うさぎが警戒の色を見せながらマロンの方を向く。
 その辺りでは戦闘の影響なのか、床が凍っていたりとひどい惨状だ。
『次から次へと……! やっちゃって!』
 雪うさぎは躊躇いなくさらなる仔雪うさぎを召喚する。
「これは、ちょっときついかな?」
 更に増えた仔雪うさぎたち。これにはマロンも一旦退かざるを得ない。
「いや……」
 退くと見せかけ、仔雪うさぎを静電気によって蹴散らす。それによってできる冷気の靄。
『そんな見え見えの攻撃……っ!』
 その靄に身を潜ませ、どさくさに紛れて、サーペントに寄る一撃を狙った。
 その結果は、相打ち。
『っつぅ……』
「いてて……お腹が冷えて痛くなってきたよ」
 攻撃と同時に、冷気をモロに受けたマロン。
 雪うさぎには噛みつき攻撃によって治癒したが、それがなければ氷漬けになっていたことだろう。
 お腹を手で抑えつつ退きながら、仔雪うさぎを静電気によってのみ蹴散らす。
 マロンは、それによってできる靄に紛れ、隠れられる場所に意味を潜めると、一旦サーペントを尻尾に戻して抱きかかえ、暖を取るのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

リコリス・シュピーゲル
ずいぶん愛らしい姿をしてらっしゃるようですが、問答無用ですの

【死を謳う氷雨】でつめたーい勝負でも挑んでみましょうか
氷の弾丸は「スナイパー」の狙撃力で正確に、「2回攻撃」で手数も優位に立ちたいところです

あんまり冷えると私が危険かしらね
フラムが放つ炎の「属性攻撃」で相殺しつつ、「オーラ防御」で凌ぎましょう

相手の発する冷気を術式の上書きで「ハッキング」して、こちらの攻撃を強化出来たら面白い反応が見れるかしら

絡みアドリブ等大歓迎



「ずいぶん愛らしい姿をしてらっしゃるようですが、問答無用ですの」
『誰っ!?』
 言い放った声に、雪うさぎがこちらに振り向く。
 声の主は、リコリス・シュピーゲル(月華の誓い・f01271)だ。
 リコリスは既に、その手を振りかざし、【死を謳う氷雨】によって氷の弾丸を無数に生成、同時に放っていた。
『ユキウサキング!』
 雪うさぎは慌てて手を振りかざし、自身にそっくりな、フル武装された雪うさぎ王を召喚。
 迫る無数の氷の弾丸を同じく生成された氷剣で受ける。が、数が数なだけに防ぎきれず被弾する雪うさぎ王。
 幸い武装の大きさで本体たる雪うさぎ自身には被弾はないが、そのダメージは決して軽くはなさそうだ。
『私に氷属性で挑むなんていい度胸じゃない! 勝てると思ってるの?』
 嘲笑うように告げる雪うさぎ。
「随分自信家ですわね。でもいいんですの? まだ攻撃は終わってませんわよ?」
 しかしそこには、既に次の攻撃を備えていたリコリスの姿が。
 間髪入れずに放たれた追加の【死を謳う氷雨】を放つ。しかも、その狙いはより正確だ。
『ふふん、ユキウサキング、あなたはこの程度じゃないでしょ、行っちゃっていいのよ!』
 指示を受け、雪うさぎ王はリコリス目掛けて駆け出す。正確に放たれた氷の弾丸を防ぎ、あるいはその身に受けながらも、物ともせず突っ込んでくる。
「な、なんてタフな……!?」
 その上、うさぎ故かとても素早い。瞬く間に距離を縮められたリコリス。振るわれる氷剣。
「っ……!」
 驚愕してしまったことで回避に一歩遅れたが、飛び退くことで危ういながらも回避する。
 だが、同時に気づく。
「さ、寒いですわね……」
 思わず身を縮こませた。
 その一撃は、ただ氷剣を振るわれただけではなかった。雪うさぎ王自身もそうだが、氷剣も例外ではなく、冷気を発しているのだ。そしてそれは、氷剣が振るわれることで、まるで剣気の如くリコリスを襲ったのだ。
「あまり冷えると私が危険かしらね……」
 一撃を逃しても、雪うさぎ王は消えるわけではない。飛び退いたリコリスを追い迫ってくる。その様子を、本体たる雪うさぎとの距離が離れすぎないよう配慮しながら、冷静に分析する。
 もともとは諜報や暗殺業に勤しんでいた身。観察力に優れる故に、雪うさぎ王の攻撃それ自体は大した脅威ではなかった。
「フラム!」
 タイミングを図り、雪うさぎ王の攻撃に合わせて緋色に染まる翼竜に呼びかけた。
 氷剣を避けると同時に、フラムが放つ小さな炎によって冷気が迫るのを防ぐ。
 小さいながらもその火力は確かなもの。迫る冷気を留まらせるには十分の効果があった。
「これなら、いけますわね」
 呟きながら、雪うさぎの位置を再確認する。先刻の様子を見て、何かを思いついたらしい。
 予備動作を見て、再び似たような攻撃が来ると直感したリコリスは、今度は退くのではなく、前に出た。
 雪うさぎ王は戦士の霊だ。その様な陽動をしても意味はなさない。実際、それを証明するかのように、雪うさぎ王は距離を調整し、攻撃が当たる位置に合わせてきた。
「織り込み済みですわよ」
 しかし、まさにそれこそが狙い。その攻撃をすれすれで回避し入れ違いながら、雪うさぎ王が放つ冷気に手をかざす。その指先には、魔導式のハッキングツールが。冷気自体は、フラムが放つ炎によって抑制されているため、リコリスの手に触れることはない。
「これは、避けられないわよ!」
 雪うさぎ王が放つ冷気の全てを、自身の手中に収めると、それを使って再度【死を謳う氷雨】による弾丸を生成。
 雪うさぎに向けてそれを放った。
 その氷弾は、一つ一つが、先にはなったものよりも数ミリから数センチほど大きくなっており、その速度も大きく飛躍していた。
『な、なんですって!?』
 守ってくれるはずの雪うさぎ王はリコリスの背後。つまり、雪うさぎを守るものは一切ない状態。
『くっうぅ……!』
 避けるには間に合わず、迫るほぼ全ての一撃を、その身に受ける雪うさぎ。リコリスと戦うまでの間でもダメージは決して軽くなく、かなりの追い打ちになったことだろう。
 その一撃によるものか、リコリスの背後に居た雪うさぎ王は、無念にも霧散していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ホーリー・ライト
「雪に…氷ねぇ?わたしの熱を奪いきることはできるのかしら?」
とか煽りながらユーベルコード発動します
誘導弾、二回攻撃で紅炎を放ったりするか光速の体当たりをお見舞い
「ふははー!圧倒的エネルギーに焼かれるがいいのだわー!」

隙があったらダークネスの生命力吸収を速度に任せてぶつけに行きます

「ちょっと、色々召喚してる!?まってまって数多すぎるのではなくて!?」


アドリブ大歓迎です。


メルフローレ・カノン
(こっそり登場)
少々どころでなく出遅れましたが、
オブリビオン撃破のため、推参します。
目前の雪兎と相対すればいいのですね。

私の得物はメインがメイス、サブが剣です。
敵が冷気や氷を使うようですので、
[属性攻撃]で武器に火を纏わせて対抗します。
いざという時はこれで活動のための暖をとりましょう。
[怪力][力溜め]の上で[2回攻撃][なぎ払い][傷口をえぐる]で
攻撃していきます。
[気絶攻撃][マヒ攻撃]で敵の動きを止めるのも狙います。
「全力で行きますよ!」

敵の攻撃は[見切り][武器受け]でかわす他
耐える状況なら[オーラ防御]【無敵城塞】で耐えます。
ピンチの人は[かばう]ですね。
「ここは堪えてみせます!」


アリス・セカンドカラー
そろそろかしらね?
ダメージもいい感じに蓄積されて抵抗力も落ちてきたことでしょう。
念動力、医術、毒使い、マヒ攻撃で精製したマヒ毒を撃ち込んで動きを鈍らせようと試みつつ、怪力を乗せた念動力で押さえこもうと思うわ。
で、ワンダートイボックス♪をこれ見よがしに見せつけつつ近づき真なる夜の到来を発動するわ☆
外からは中でナニが行われてるかわからない夜の中で、禍々しい玩具で串刺しにして気持ちよくなるオクスリ(呪詛、毒使い)を零距離射撃して雪うさぎリーダーちゃんの大事な  を盗み攻撃よ❤️薄い本みたいな酷いことをいっぱいしてあげる♪
そして、今度こそワンダフォーランドにお持ち帰りよー♪


温水・千歳
絡みアドリブ連携歓迎
無口系鬼娘

【POW】
んん。凄く、寒い
ダンジョン内を全部凍らされたりしたら、多分困る
だから、倒す

可愛い顔してるけど、貴方はわるもの
オブリビオンはすべからく斬る、例外は無い

寒いので運動がてら武器を抜いて振り回す
そうして【羅刹旋風】を発動しつつ威圧する様にゆっくり接近

足元を凍らせてくるなら、凍ってても滑らなくしてしまえばいい
凍る地面を『怪力』で踏み砕き、蹴散らしながら間合いを詰める
ついでに砕いた破片とかをうさぎちゃんに蹴り込んで嫌がらせ
射程圏に入ったら手持ちの得物、大だんびらで叩き斬る

調子に乗った小動物には、立場をわからせる
小細工を弄するのは、弱者の行い…そういう事



『次から次へと……飛んで氷に入る冬の虫もいいところだわ!』
 随分気に入っているのか、まるでバカの一つ覚えのようにそう発言する雪うさぎ。
 相も変わらずふんぞり返っているが、その見た目はあちこち傷だらけで痛々しく、着ている服も見るも無残な姿だ。立っているのが不思議なほどと言えるか。
『ふん、何人来ても同じことよ! 私の手に掛かれば、皆氷漬けの氷像になっちゃうんだから!』
 そう言いながら振り返り、指をさすその先。
「雪に……氷ねぇ? わたしの熱を奪いきることはできるのかしら?」
「可愛い顔してるけど、貴方はわるもの。オブリビオンはすべからく斬る、例外は無い」
 そんな挑発をしながらそこに立つのは、ホーリー・ライト(ダイソン球・f10740)と温水・千歳(桜花・f13514)だ。
 その表情は、一切露出のない黒衣で全くといっていいほどわからないホーリー。対して千歳も、無表情でその考えが読めない。 
『い、言ってくれるわね! だったら証明してやるわ!』
 まんまと安い挑発に乗る雪うさぎに、ホーリーはタオキン粒子をその身に躊躇いなく纏い。
「ふははー! 圧倒的エネルギーに焼かれるがいいのだわー!」
 そんな事を言いながら、その手からタイミングをずらした恒星級のエネルギーを放った。
 千歳は大段平『犬吠埼白波兼安』を抜き、寒さに対策するかのように、武器を振り回し始めていた。
『ちょ、ちょちょ、そんなの聞いてないっ!?』
 ホーリーの動きを見て驚く雪うさぎ。言うだけのことはあり、そのエネルギーは文字通り圧倒的だった。
『くっ……皆、負けたら承知しないわよっ!』
 だが、黙ってみているわけではない。雪うさぎは声を張り上げ号令。すると、次々と仔雪うさぎが召喚され、ホーリーの放ったエネルギーへと向かっていく。
「ちょっと、色々召喚してる!?まってまって数多すぎるのではなくて!?」
 結果は、その圧倒的な恒星エネルギーを持ってしても残る、仔雪うさぎ。最も、その数はかなり疎らだ。
『ふふん、私の勝ちねっ! ……ってあら、ひとり足りない?』
 だが、雪うさぎの視界には、既にホーリーの姿はなく、武器を振り回し雪うさぎにゆっくり近づいていく千歳のみだ。
 仔雪うさぎたちは依然としてその場にいる千歳に向けて迫っていくが、氷を踏み砕き、蹴り飛ばすことで飛び道具として使い、仔雪うさぎを蹴散らしている。では、ホーリーは何処に行ったのか。
「残念、隙ありよ」
 タオキン粒子が生み出す超光速による移動で、雪うさぎの背後に回っていた。
 後ろから耳元で囁くように呟きながら、手にした漆黒の刃を超高速で振るう。
『っ……くぅ!』
 身体に奔る痛みに、悶絶する雪うさぎ。
『み、皆、何してんの、今がチャンスよ……!』
 苦しみながらも、そういう雪うさぎ。その指示を受け、仔雪うさぎたちが迫ってきた。
「な、なかなかにタフネスさんね……!」
 これにはホーリーも驚かざるを得ない。その場から逃れるべく、その場から移動しようとするが。
『ふふ、逃さない……!』
 悶絶しながらも、その手をがっちり捉えていた。その意外な力の強さに慌てながらも振りほどこうとするが、既に仔雪うさぎたちは眼の前まで迫っており。その一撃は避けられない、そう悟ったその時。
「ここは堪えてみせます!」
 ホーリーを仔雪うさぎたちの攻撃から守る人物が居た。
 こっそりこの場に来ていたメルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)だ。
「ひゃあ、冷たいっ……!」
 仔雪うさぎたちの猛攻を受けるメルフローレ。
『あ、こら、逃げ……あうっ!』
 少し大きめの氷が飛んできて雪うさぎにぶち当たる。
 その介あってホーリーは無傷でその場を抜け出すことが出来た。それを確認したメルフローレも自身が凍ってしまう前にその場を逃れる。多少体温が下がった以外にはほぼ無傷な様子だ。先んじて使用した【無敵城塞】の効果だろう。
「ダンジョン内を全部凍らされたりしたら、多分困る。だから、倒す」
 入れ替わる形で、今度は千歳が雪うさぎに襲いかかった。
『そんなの当たらないわよっ!』
 迫る千歳に、雪うさぎは軽く回避してみせる。
 が、千歳は躱されることを前提として動いているのか、眉一つ動かさない。
『な、何よっ! 少しは悔しがりなさいよ……って、いた、いたたっ!』
 文句を言う雪うさぎだが、それを意に介す様子もなく、凍りつく床を踏み抜いて氷を飛ばす。
 躱されるなら、躱すことの出来ない状況を作り出せばいい。
 鉄製の床すら踏み抜いてしまうのではないかというその怪力。それで氷を飛ばせば、その氷はただの蹴飛ばされた氷ではなく、火薬で打ち出された氷弾と何ら変わりがない。
 ましてや、凍った氷を踏み抜いて作ったものだ。大小様々な上、数も多い。例えるなら猛烈な風によって巻き上げられた砂埃を全身で浴びるようなものだろう。そして当然、そんなものを浴びれば。失明を避けようとする動物の本能には抗えず、目を瞑ってしまう雪うさぎ。その隙を逃さず、千歳はその刀を急所目掛け振るった。
『甘いわねっ!』
 しかし、その一撃は、雪うさぎには当たらなかった。代わりにあたったのは、仔雪うさぎ。とてつもない速度で滑り込んできたのだ。
「っ……!」
 流石の千歳でも、僅かに目を見開き驚きを隠せない様子。冷気から逃れる意味でも一旦その場を離れ、距離を取った。

 先に距離をおいていた2人。
 ホーリーは【Tachyon Lance】の使用を一旦解除しつつ、メルフローレと協力して仔雪うさぎたちを攻撃しながら切り抜けていた。
「助かったわ、ありがとう」
「いえいえ。お礼は後であの方にも」
 雪うさぎを見据えながらやり取りする二人。メルフローレの言うあの方とは、千歳のことだろう。雪うさぎと交戦している千歳を確認して頷くホーリー。
「少々どころでなく出遅れましたが、オブリビオン撃破のため、推参します。あの雪兎と相対すればいいのですね」
 改めて目標を再確認しながらメイスを構えるメルフローレ。
 その言葉にホーリーは頷き、ダークネスを構える。
「敵さんが氷を使うなら解かすまでです!」
 そう言ってメルフローレはメイスに炎を纏わせ、氷ついた床を溶かしながら残る疎らな仔雪うさぎを次々と叩いていく。ホーリーもダークネスを振るい、生命力を奪った。
 一撃当たるだけで冷気を撒き散らしながら消えていく仔雪うさぎたち。
 だが、いくら炎と言う熱で解かせると言っても、限度はあった。倒せば倒すほどに冷気は濃くなる。それに加え、氷は解ければ水になる。そうなれば、結果は目に見えていた。
「あの仔うさぎさん、早いです!?」
 ただ滑ってるだけとは思えない、そう思えるほどの驚愕的な速さ。ユーベルコードによるものも含まれているようだ。
 そのうさぎを目で追うと、そこには、ちょうど一撃を叩き込もうとしていた千歳がおり。
 仔雪うさぎが間に入り込んで、雪うさぎを守ったところだった。
「このちびうさぎたちをどうにかしないとダメそうね……」
「でも再召喚されてしまえば同じことでは……?」
 その状況を鑑みて考察する二人。そこに、千歳も加わってきた。
『逃さないわよっ!』
 考察する隙を与えないと言わんばかりに、追ってくる雪うさぎ。しかも、先程仔雪うさぎがそうしていたように、今度は自身が滑ることで3人に肉薄する。その手には氷剣が握られていた。
「させませんっ!」
 その一撃に率先して防ぎに入るメルフローレ。炎を宿したグラディウスで氷剣を受ける。
「全力で行きますよ!」
 受けると同時に、片手でメイスを振るった。
『ちょ、危なっ!』
 慌てて退く雪うさぎ。その隙にグラディウスを再び納刀しながら、メイスを両手持ちにして力を込め、更に連撃を仕掛けた。
 その横から、雪うさぎを再び無数の氷塊が襲う。
 武器を振り回しながらメルフローレの援護をする千歳の攻撃だ。
「はあっ!」
 一瞬溜めたその攻撃を、寸分違わず雪うさぎの頭目掛け振るう。
『ぐぅっ……!』
 悲鳴をあげる雪うさぎ。氷塊による援護が雪うさぎの行動を阻害したことで、その大ぶりの攻撃があたったのだ。
 そこに、更に千歳が【羅刹旋風】による一撃叩き込む。先程に比べればチャージ時間は少ないが、それでも十分と言える一撃だった。
「調子に乗った小動物には、立場をわからせる。小細工を弄するのは、弱者の行い……そういう事」
 これで終わり、そう悟った千歳は、そう告げた。
『こんな、ところで……終わって……っ!?』
 まだ足りないのか。抵抗を見せる雪うさぎだったが。突然、顔面蒼白になり、固まる雪うさぎ。
 その視線の先には。
「そろそろかしらね?」
『も、もういやぁっ!』
 アリスだ。彼女の姿を見るなり、一種の恐怖症になっているのか、逃げ出す雪うさぎ。
 しかし、アリスの操る念動力は、決して雪うさぎを逃さない。精製されたマヒ毒を打ち込まれた雪うさぎは、抵抗虚しく、その場に倒れ込む。それを念動力によって押さえ込みながら近づき、他の猟兵たちには見えない様に、これ見よがしにワンダートイボックス♪を見せる。
『ひぃっ!?』
 禍々しい形状のオーダーメイド玩具のようだが、それが何なのかはわからない。だが、雪うさぎは見せつけられただけで何故か恐怖を感じてしまうもののようで。
「うふふ……♪」
 怪しくほくそ笑むアリス。突然、彼女を中心に世界が闇に包まれた。
「さぁて、どうしてあげようかしらね……?」
『や、やだぁ、やめてぇっ!』
 泣き叫ぶ雪うさぎ。だがアリスは、容赦なく何かを雪うさぎに打ち込んだ。
『ひぅっ……』
 身体に刻まれたその感覚が、雪うさぎを襲う。
「それじゃ、いただきまーす❤」
『だ、ダメっ……あっ……ぐぅっ……!』
 突き刺さる禍々しい玩具。
「気持ちぃでしょう……?」
『あ、ああっ……』
 もはや、雪うさぎに抵抗の意志はなかった。

「これでもう、あなたは私のもの❤」
 闇が終わってみれば、そこには既に、雪うさぎの姿はなく。黒い靄が空に登っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月05日


挿絵イラスト