アポカリプス・ランページ⑦~旧ロズウェルで殲滅戦を
●軍人宰相は盲目に驕る
「無能な兄妹共は、碌に嘘もつけないのか」
オールバックに軍帽をかぶり、軍服を着こんだ男は表情筋をぴくりとも動かさぬままで言った。
「異世界から来た猟兵? そんな奴、いる訳がなかろう。フィールド・オブ・ナインの復活? そんな事、できる訳がない。どちらも十中八九、奴らが私に差し向けた刺客と考えて間違いない」
それが真実であると彼が一ミリでも思い至っていたならば、後の運命を回避することが可能だったのか。
「まあ、見ていろ。……兄妹共が差し向けた刺客は、戦車軍団で完膚無きまでに粉砕してくれる。そして兄妹の争いを制した私が、世界の王として君臨するのだ!」
フィールド・オブ・ナインの復活は不可能だと。そう信じてやまぬ男は、盲目に己の勝利を信じてやまないのだった。
●いざ、機動陸軍基地へ
「よく来てくれた。アポカリプス・ランページの事は、既に知っての通りだと思うが……ヴォーテックス一族のうちの一人、「軍人宰相」ロンメル・ヴォーテックスへの道が開かれた。皆にしてもらいたいのは、奴の撃破、殲滅だ」
フェイト・ブラッドレイ(DOUBLE-DEAL・f10872)は、怜悧な青い光を右目に宿して淡々と述べた。
「ロンメルは特定の拠点を置かず、旧ロズウェル付近に「戦車軍団」を築いて動く拠点としている。予想される戦いは大量の戦車を乗り越え、戦車軍団の中心で指揮を執るロンメルとの交戦だ。……戦車からの砲撃、および軍人オブリビオンとの多重攻撃に対応しなければ、ロンメルに近づくことも不可能だろうと思われる」
だが、この戦車軍団たちに対応することが出来れば、戦いはぐっとこちらの有利になるだろうと男は言う。
「何せロンメルは猟兵たちの存在を信じていない。フィールド・オブ・ナインの復活もな。皆の事を見ても、せいぜいが自分以外のヴォーテックス一族からの刺客だとしか思わないだろう。つまりは皆を舐めきっているということだが……それも逆手に取れば、こちらに有利なカードとなるかもしれないな」
ロンメルの攻撃パターンは戦車軍団の力を増強するもの、戦車の搭載火器の威力や攻撃回数を増加させるもの、指揮する配下の数の多さに物を言わせるものだ。
「とはいえ、それらすべてを乗り越えていってもロンメルが丸腰で一切の攻撃・防御の手段を持たないなどとは考えないことだ。戦車からの攻撃、軍人オブリビオンの配下の潜伏には努々気をつけろ」
曰く、ロンメルは偉大な軍人の遺伝子から作られた人造人間とも、蘇った本人とも言われている――が。
「本当にかの軍人がこの終末世界に蘇ったのならば、一族からの忠告をここまで無下にはせんだろうよ。すべての情報には意味がある。猟兵をただの略奪者(レイダー)ごときと同様とみて侮ったことが、奴の大いなる誤算にして死因となる。それをわからせてやるがいい」
私には現地までの転移門を開くことしかできないが。そう男は言って、薄氷色に煌めくグリモアを光らせると現地への転移のための門が出現する。
「猟兵の実存とその実力というものを十分に見せつけてやるといい。……それでは、準備が出来たならば私に声をかけてくれ」
遊津
遊津です。アポカリプスヘル、戦争シナリオをお届けします。
当シナリオはボス戦一章のみの構成となっております。
「ロンメル・ヴォーテックスについて」
戦車軍団と軍人オブリビオンの配下を操る指揮官型の敵ですが、肉薄したとしても何もできなくなるわけではありません。攻撃手段はオープニングに書いてある通りです。
「戦車軍団と軍人オブリビオンについて」
ロンメルのユーベルコード扱いとなっています。ただしユーベルコードを封じるユーベルコードでは消滅しません。あくまで攻撃が無力化されるに留まります。
砲塔からの砲撃の他、銃撃や軍人的格闘術などを使って攻撃してきます。
当シナリオの受付は9/5(日)朝8:31~となります。時間帯によっては上記タグ及びマスターページに記載がないことがありますが、時間を過ぎていればプレイングを送っていただいて構いません。
マスターページに注意事項が記載されておりますので、必ず一読の上でプレイングを送信してください、よろしくお願いいたします。
それでは、みなさまからのプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『ロンメル・ヴォーテックス』
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POW : 軍人宰相の指揮
自身が操縦する【戦車軍団】の【反応速度】と【耐久力】を増強する。
SPD : アンブッシュ・タクティクス
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【ロンメル率いる戦車軍団の搭載火器】の威力と攻撃回数が3倍になる。
WIZ : 戦場の掟
敵より【指揮する配下の数が多い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
イラスト:秋原 実
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
叢雲・雨幻
こりゃぁ壮観な光景だ…かっこいいなぁ!
戦車は好きでね、一台位持って行っても…あ、ダメ?
【SPD】
「はーいそこまでー。未来の悪王様退治に、正義の味方到着…ってね。」
冗談交じりにそんな事を言い【挑発】するかね。
もし攻撃が開始されたら戦車隊を抜ける間は回避と妨害に専念するよ。
いくら相手の反応が上がろうと弾まで早くなるわけじゃないだろう。軌道を【見切り】、【早業】での回避。着弾で起こる砂煙に紛れて【目立たない】ように動いて翻弄してやるさ。
「これだけでかいと、踏みやすくて助かるよ」
そして抜ける際に戦車の影を踏んでUCで次々横転、破損させてやろう。
そのまま一気に【切り込み】、剣で華麗に王退治…って所かね。
●
「ヒュゥ!こりゃあ壮観な光景だ……かっこいいなぁ!」
一糸乱れぬ行軍を続ける戦車軍団を目にして、叢雲・雨幻(色褪せた根無し草・f29537)は肩を竦めながら口笛を吹いてみせる。
「戦車は好きでね、一台位持って行っても……あ、ダメ?」
おどけた調子でそう言いながら、雨幻は臆することもなくひょいひょいと戦車軍団へと近づいていく。先頭の戦車の前で大きく手を降ると、サングラスの下でにやりと笑う。
「はーいそこまでー。未来の悪王様退治に、正義の味方到着……ってね」
軍服の男――ロンメル・ヴォーテックスの視線は冷たかった。
「痴れ者が。送られてきた刺客が貴様のような愚物とは、兄妹たちは目も悪いようだな……疾く死に果てろ」
ガン、ガガガガガガン!!ダァン、ダン、ダン、ダン、ダァァン!!
ロンメルの左手がすいと動くと、雨幻へと向かって砲弾と銃弾の雨が降った。それらの軌道を見切り、着弾で起こる砂煙に紛れて身を隠しながら、雨幻はロンメルへ向かって駆けてゆく。
「ハハッ、愚物たぁよく言ってくれたもんさ、だが本当の痴れ者はどっちだろうねぇ?……いくら反応速度が上がろうと!弾速まで速くなるわけじゃあないだろう!」
尚も降りやまぬ砲弾の雨。しかしつまりそれは、戦車のすぐ側にいるならば砲塔の長さの分だけ当たりにくいということにもなる。姿見えぬ生身の配下たちからの銃弾だけに気を配り、戦車の横を走り抜ける傍ら、雨幻はサングラスの下で涙袋を押し上げて笑った。
「はっ、これだけでかいと“踏みやすくて”助かるよ」
――【操影術:向かい飛車】。雨幻が戦車の影を踏めば、戦車から影が放出される。駆け抜け様に次々と影を踏まれた戦車が自らの影によって大きく傷をつけられ破損する。砲塔を折られた戦車は弾を詰まらせて爆ぜ、キャタピラを大きく抉り取られた戦車はそのまま荒れ地に車体を滑らせて動けなくなる。機関室をやられた戦車は言うまでもなく銃手を欠いて沈黙した。そうでなくても多くの戦車が横転して即時砲撃は不可能となった。数多の戦車を破壊しながら駆けた雨幻は、そして遂にロンメルのもとに辿り着く!
「はぁい未来の悪王サマ。その右腕、左腕と釣り合わなくて重くないかい? 俺が軽くしてやろうか」
「な……にっ……」
ぞぶり、黒い刀身が軍服の男の肩に深々と食い込んだ。されどその刃が右腕を根元から切断せしめる前に、配下の軍人オブリビオンからと思しき銃弾が雨幻を襲う。
「無事でいらっしゃいますか、閣下!」
「遅いぞ、何をしている……!」
助けに来た部下に叱責の声を飛ばすロンメル。その時には雨幻の姿は何処かへと消えている。
「やれやれ……あの配下、厄介なもんだ。ま、これだけ戦車を使い物にならなくしてやったんだ。やれるだけのことはやったかな」
横転した戦車の影に隠れ、雨幻は撤退のための準備を進めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
木々水・サライ
なるほど、つまりは……戦車軍団VSチビ軍団が出来るということか!
奴さんは指揮する配下の数が多ければ強くなるらしいが、うーん、流石に俺はチビ共そんなに出せない。
仕方ないのでUC【願い叶えるチビサライ軍団】の創造するペンダントでチビ共が扱えるような兵器を作る。
そうだな、お前らだったら巨大ロケット花火とか巨大ヘビ花火で突撃するのが可愛いし可愛い(親バカ)
チビ共でロンメルの配下減らしてる間に俺が本人に突撃。
12本の刀で思いっきり傷口をえぐってやるさ。
ついでに部位破壊でもしてその腕と足も使えなくしてやるよ。
「らっらーい?」
「ん? ああ、配下倒したあとの戦車乗り回したいなら乗っていいぞ。俺に向けるなよ」
●
荒れ地を進軍していた戦車拠点は、先の猟兵の破壊工作によって止まったようだった。
これが仕掛けどころと木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)は岩陰に身を隠しながら思案する。
「なるほど、つまりは……戦車軍団VSチビ軍団が出来るということか!」
親バカは吠えた。早速ユーベルコード【願い叶えるチビサライ軍団(ウィッシュ・カム・トゥルー・モノクローム)】を使って己の小さな複製義体たちを呼び出す。ぽこぽこぽこじゃか、サライをそのまま幼くしたような小さな複製義体――チビサライたちが現れる。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……んー、奴さんは指揮する配下の数が多ければ多いほど力を増すって話だが……さすがに俺にはチビ共そんなに出せないからな……」
なお大人しく数えられていたチビサライたちは97人いた。97まで数えた。それでもロンメルの配下の数が未知数である以上、数で上回っているとは言えない。戦車に何人の配下を詰め込めるものか、どれだけの軍人オブリビオンが見えぬところに隠れているのか、そもそも戦車と中で戦車を動かしているヤツは別カウントなのか、サライにはそこのところもわからない。それでも拠点規模の軍勢を相手どって97人のチビサライで上回っているとはさすがに思えなかった。
「仕方ねぇ、ここはお前らが使える兵器を作ってやるか」
「「「さっらーい!!」」」
「巨大ロケット花火がいいかなー、どでかいヘビ花火で突撃するのもお前らだったら可愛いし可愛いなー」
「「「らいらーい!!!」」」
サライが蒼い宝石のついた銀色のペンダントを噛むと、チビサライたちはトンテンカンと字面は可愛いがその実凶悪な武器を作っていく。そんな光景も親バカのサライからしてみれば可愛いものだ。
「用意できたか?準備もできたな?」
「「「らいっ!」」」
手に手に凶悪な巨大花火を手にしたチビサライ軍団がぴょんこぴょんこと飛び跳ねる。
「よーし、GO!GO!GOGOGO!!」
「「「らいらーい!」」」
てちてちと戦車軍団に向かっていくチビサライ軍団たち。途中、一体のチビサライがサライを振り向いた。
「らっらーい?」
「ん?ああ。配下倒したあとの戦車乗り回したいなら乗っていいぞ。俺に向けるなよ」
「らーい!」
ヤクザも失禁する凶悪な笑みでそう言ったサライに、チビサライはぴょこんと跳ねて了承の意を示す。やがて、戦場は混沌に包まれた。
「なんだ、何だ何だ!!」
「らいらーい」
「敵襲ゥゥゥゥゥ!!」
花火は火薬である。つまり取り扱いを間違えば爆弾と同じ効果をもたらす。まさにその間違った使い方で、チビサライ軍団たちは戦車の中に巨大なロケット花火をぶちこみ、乗手を肉塊に変えて乗り込む。もちろん彼らに戦車を操る技量はないため、めちゃくちゃな動きにしかならないが、ある一定の秩序をもって意志を統一されていた軍団が内部から侵食された時の現場のパニックぶりたるや想像に難くない。
「どうしたのだ、戦車軍団、何をしている!状況を説明しろ!通信を開け!」
『さっらー♪』
「は!?」
大いに混乱するロンメル・ヴォーテックス。その前にサライが十二振りの刀を手にして現れた。
「よう軍人宰相さんよ、どうだよ俺のチビ軍団たちは!アンタたちの戦車軍団にも負けてやしないだろ?」
「貴様がこのふざけた状況を作り出したのか……忌々しい……!」
「はっ、何とでもいいやがれ。これでテメエも万全無事じゃあねえぜ?アンタらの戦車の一部は俺のチビ軍団たちが乗り替わってるんだからな!いつどこで砲弾が飛んでくるかわからねえ恐怖、テメエも味わうんだな!」
「おのれ……っ」
背後から軍人オブリビオンによる攻撃が仕掛けられる。それを目で見て躱して、サライは飛んだ。宙に十二色十二振りの刀をばらまき、それの落下より早く掴んでロンメルへと斬りつける。
「まずはその肩からだ、先の奴にやられたか? ……十分に傷口抉ってやっからよぉ、せいぜい泣き叫ぶんだな!」
「……が、っああああ!!!おのれ、おのれ貴様ぁッ!何をしている!やれ!こいつを撃ち殺せェッ!!」
「まずは……黒!」
黒、白、紅、蒼、翠、琥珀、灰、黄金、紫、そして水晶に玉髄に黒玉――十二色の刃を次々に放っては新たな刀を掴み、それでもって曲芸まがいにロンメルを斬りつけていくサライ。
切断には至らないまでも、肩から先の機銃と一体化した腕がぶらりと垂れ下がり、さらに膝を破壊されたロンメル。軍人オブリビオンが銃を撃とうにも、ロンメルに当たってしまうほどの肉薄した距離だ。彼らは何度も体術での攻撃を仕掛けるが、その度に十二の刃によって切り裂かれ、またチビサライの操る戦車の砲撃からロンメルを庇って殉死していた。
「おのれ……おのれ、おのれ、おのれぇっ……誰でもいい、こいつを殺せ……!」
「はっ、そいつが辞世の句ってやつか? こっちはまだまだてめぇをぶった斬る刃が残ってるんだぜ……!」
サライはそう言って、手にした黒鉄の刃をロンメルへと振り下ろすのだった――。
成功
🔵🔵🔴
浅間・墨
ロベルタさん(f22361)。
あちらが油断をしているならば最速で接敵します!
リミッター解除後に限界突破してから多重詠唱を行いますね。
継戦能力で速度と威力の維持をしつつ【地擦り一閃『伏雷』】を。
なるべく一息で戦車と軍隊の群れを斬り分けて本命さんのところへ。
『兼元』の一刀を使います。
ロベルタさんとの連携は今までのようにどちらかが補佐ではなくて。
お互いを補いつつ単純にならないように思い思い交互に攻めます。
隙を見つけた時に可能なら更に踏み込んで懐まで辿り着きます。
恐らく密着する位の距離ならば攻撃はし難い…はずなので。
弾丸や砲のなどの攻撃は速度維持で見切りや第六感や野生の勘で回避。
ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)。
身体のパフォーマンスを上げてから封印を解いて準備だよ。
で。限界突破して多重詠唱で【雷神の大槌】を発動っ!
墨ねーと一気に軍隊を蹴り飛ばして宰相ってところに行くじぇ。
うーん。やっぱり鉄は堅いじぇ~♪ヘコムくらいしかできない。
相手の攻撃は見切りとか野生の勘とか第六感で回避してみせる
宰相には墨ねーと交互連携して倒すじぇ♪
同時に攻撃すればどっちかに気を逸らせないといけないから大変かな?
同時と交互を繰り返して宰相の気を惹きながら戦おう~♪
真正面は墨ねーに任せて僕は背後とか頭上とかから攻めてみようかな~。
足払いもしてもよう~♪回避されても墨ねーの攻撃のサポートになる♪
●
「墨ねー、戦車軍団の統率が乱れたみたいなんだじぇ。多分他の猟兵がやってくれたかな~♪ ど? もういけそ?」
真柄の一刀を胸に抱き、切れ味を高めるための詠唱を続ける浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)へとロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)は問いかける。墨から返ってきたのは、否定の首振り。
「そっか、もうちょっとかかるんだねぃ~♪ んじゃあ僕もちょっとパフォーマンス、上げてこっかなー」
身体のパフォーマンスを上げるためのストレッチを始めるロベルタ。こちらも自らに科した封印を解き、多重詠唱を重ねている。
墨の剣技【地擦り一閃『伏雷』】は詠唱時間が長ければ長いほど無限に威力が上昇する技だ。とめどなく動き、蚊の鳴くような小さな声で呪(しゅ)を唱え続けていた墨の唇が、やがてきりりと引き結ばれる。
「準備……ました、行……しょう」
「おっけおっけ~♪」
近づいてくる二人の少女に、ロンメル・ヴォーテックスの左手が上がった。どういう意味かなど問わずともわかる、『撃て』『殺せ』『蜂の巣にしろ』――
二人は駆けた。墨の手の中にはすでに、鋼鉄の戦車さえ斬って捨てられる刃がある。
「ぁぁぁ……っ!!」
限界を超えた代償に、全身の筋肉が断絶したような痛みが襲う。それでも走る。びりびりと血管がちぎれていく音が聞こえる。それでも走る、目の前が白く霞んでいく――それでも、走る!戦車をその刃で両断してゆきながら、まっすぐ、ロンメルのところへ!
走る墨を止めようと、軍人オブリビオンが襲い掛かる。それを止めるのが、ロベルタの仕事だ。
「へっへ~、鉄の戦車はへこませるくらいしかできないけど、おじさんたちだったら余裕でぶっ飛ばせるんだぜぃ♪“Uccidi i nemici in orbita con l'aiuto del ruggito!,Uccidi i nemici in orbita con l'aiuto del ruggito!……Uccidi i nemici in orbita con l'aiuto del ruggito!”」
ロベルタの蹴り技【雷神の大槌(ミョルニル・ハンマァー)】も同様に詠唱時間に応じて威力が上昇するものだ。故に何度も詠唱を重ね、相手の銃撃を躱し、次々と蹴散らしていく。
そして彼女たちは、本命――ロンメルの元にたどり着く。
「女子供のたったふたりも止められなかったか……役立たず共が!」
「申し訳ございません、閣下……!」
「部下の人をそんな風に言うもんじゃないじぇ。……なんだっけ、そうそう!格が知れるってやつなんだじぇっ!」
墨の刃とロベルタの蹴りが同時にロンメルに襲い掛かる。それらを邪魔するのは遠距離から放たれる戦車からの砲弾と、軍人オブリビオンたちの攻撃だ。体術だけでなく、サバイバルナイフを手にしたものもいる。それらを次々に躱して、墨はロンメルの懐に潜り込んだ。軍人たちを一瞬ロベルタに任せ、墨は兼元の刃でロンメルの顔面向けて斬りかかる!
「ぐぁぁ……っ……!!」
片目を抉る手応えがあった。同時に肩をオブリビオンの手に掴まれ、引きはがされる。墨がその刃で軍人オブリビオンを切り捨てる間に、ロンメルに蹴打を仕掛けるのはロベルタだ。
同時攻撃と交互に攻撃を繰り返し、ロンメルの気を引きながら軍人オブリビオンを蹴散らしてゆく。ロベルタの足払いがロンメルの動きを止めたところを、墨が刃を胸へと立て、そのまま斬り払う。それでも相手はオブリビオンだ、なかなか死なない、死ねない、死んではくれない。
払っても払っても邪魔をしてくる軍人オブリビオン。けれど邪魔にとどめているのは二人の技量ゆえだ。彼らは二人を殺すつもりで襲い掛かっているのだから。
墨の刃と、ロベルタの蹴り。
二人は交互に、あるいは同時に、次々にロンメルへと猛攻を加えていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
麻生・竜星
風魔昴と共闘
絡み・アドリブ歓迎
彼女のことは「スー」と呼んでいる
俺達はどんな時でも未来へ進む
その進みを止めることは望まない
この世界にも「希望」を取り戻して見せる
まず防御として岩場等があれば隠れつつ
『地形利用』『オーラ防御』『火炎耐性』を最大限に
攻撃の回避は『見切り』『第六感』『地形利用』を最大限に
初期は昴を『かばう』ように『援護射撃』
必要がない場合は『衝撃波』『吹き飛ばし』『呪詛』『貫通攻撃』を使い『部位破壊』を狙う
昴からの合図で『全力魔法』で同時にUCを使用
「了解、スー。同時に行くぞ。OK?」
俺たちを見くびるな!骸の海に帰るがいい
風魔・昴
麻生竜星と共闘
絡み・アドリブ歓迎
彼のことは「竜」と呼んでいる
この世界での生きとし生ける者の場所をオブリビオンなんかに渡さない
猟兵の「力と絆」と「世界との絆」を甘く見ないでほしいわ
とにかく守りを少しでも剝がしていくわ
まず防御として岩場等があれば隠れながら
『結界術』『オーラ防御』『火炎耐性』を最大限に
攻撃の回避は『見切り』『第六感』『結界術』を最大限に
敵がUCの射程範囲に入るまでは『部位破壊』を狙い
『呪殺弾』『衝撃波』『斬撃波』『貫通攻撃』で攻撃
入ったらともに行動している竜星に連絡
彼の合図で『全力魔法』で同時にUCを使用
「予定距離に入ったわ」
「えぇ、足元をひっくり返してやりましょ?」
●
「前衛の戦車軍団がだいぶ削られたな。他の猟兵が上手くやってくれたみたいだ。そろそろ仕掛け時だな、スー」
「ええ。そうみたいね、竜」
麻生・竜星(銀月の力を受け継いで・f07360)と風魔・昴(父の心と星の力を受け継いで・f06477)は岩場に隠れながら戦車軍団の様子を伺っていた。
「この世界での生きとし生ける者の場所をオブリビオンなんかに渡さない……猟兵の「力と絆」を、「世界との絆」を甘く見ないでほしいわ」
「ああ。俺たちはどんな時でも未来へ進む。過去なんかに、その進みを止められることは望まない。……この世界にも、希望を取り戻してみせる!」
行こう、と言い出したのはどちらが先だっただろうか。二人は同時に岩陰から出ると、戦車軍団へと駆けてゆく。
――ダァン、ダァン、ドォン、ドン、ドォォォン……
彼らの姿を認めた戦車部隊が砲撃の雨を降らせてくる。昴が火炎への耐性を持つ加護の結界を張った。これで砲撃の砲弾はともかく、熱をやり過ごすことが出来るだろう。砲弾そのものに対しては竜星がオーラの加護を二人ぶん張り巡らせる。
戦車とて独立して動いているわけではない。乗り手が存在しなければ、戦車もまた動くことはできない。故に昴は乗り手を狙う。錫杖「†Bellatrix†」を翳し、呪殺の弾丸を撃ちだす。それらは砲塔から逆流し、あるいは小さな覗き窓から入り込んで中の乗り手を貫いてゆく。衝撃と斬撃によって砲塔が砕け、あるいは切り倒され、使い物にならなくなった戦車は沈黙し、あるいは爆発する。
最初は昴をかばいがちだった竜星も、その必要なしと判断したのか手近にあった戦車を手にした剣「φ月影φ」で切り伏せ、その斬撃の衝撃波で後方にあった戦車を吹き飛ばし、そして乗り手を呪いによって殺し、あるいはその胸を貫いてみせる。
そうして彼らは戦車の群れを越え、ロンメルへと肉薄する。彼を守る軍人オブリビオンがわらわらと湧いて出てくるが、二人の口元にはまだ笑みを浮かべる余裕があった。
「予定距離に入ったわ、竜」
「了解、スー。同時に行くぞ、OK?」
「えぇ、足元をひっくり返してやりましょ? ――“原初の星、原初の力!”」
「――“月光よ”!」
二人の周囲に魔力が集まってゆく。晴れた空だというのに星々と月の魔力が彼らの周囲を取り巻き、巨大な力が渦を巻く。
「……き、貴様ら、何をしている……やめろ、そのおかしな呪文を即刻やめさせろ!」
自信を害する気配を感じ取ったロンメルが部下に命じ、軍人オブリビオンが彼らの周りに現れるが、全力で編み上げられた星と月の魔力に阻まれて近寄ることが出来ない。
「ええい、何をしているッ!降格されたいのか!」
「申し訳ございません閣下!しかし、これ以上は近寄れず……!」
「――殺せ、殺せェッ!!」
目を剥きつばきを飛ばして叫ぶロンメル。そうしている間にも、詠唱は完成していく。
「“我は願う。正しき光となりて我に集い……輝き、弾けよ!”」
「“弾丸となり、乱れ飛べ”!!」
昼間だというのに無数の弾丸のごとき月光が舞い乱れ、オブリビオンたちを蹴散らし、星々の力を凝縮したまばゆく輝く光がその場に巨大な質量を持って落ちる。
「俺たちを……見くびるな!骸の海に還るがいい……!!」
光に焼かれるロンメルの耳を、竜星の叫ぶ声が劈いた――。
大成功
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マリア・ルート
異世界から着た猟兵、いるのよねこれが。
存分にその力見せつけてやりますか。
ロンメル軍を前にしたら臆せず『早業』から【指定UC】を使う(『範囲攻撃』)
まず全武器の半分ほどを戦車軍の足止めに使ってロンメルへの道を確保しつつ、残り半分は自分の身を守るように展開させて確保した道からロンメルに接近。護衛の軍人や周囲の戦車の攻撃は『野生の勘』で見切りつつ『オーラ防御』や展開した武器で防ぎ、頃合いを見て纏った武器を散開、護衛達を一気に蹴散らしていこうじゃない。
うまくロンメルに肉薄できたらルートブレイドで一閃。
残念だけど、あんたには王の器はないわ。
私の知ってる最高の王とは、到底覇道の在り方がかけ離れている!
●
「――ふふ」
ロンメル・ヴォーテックスの戦車軍団が次々と壊されていく。他の猟兵の活動によるものだろうそれを見て、マリア・ルート(紅の姫・f15057)は口角を上げて笑った。
「異世界から来た猟兵。いるのよね、これが。……さあ、存分にその力を見せつけてやりますか!」
マリアは【血見猛猟・百器野行(ワイルドハント・ウェポンズカーニバル)】を展開する。それはマリアの持つ幾多の武器を分裂させ、同時に自由自在に操ることのできるユーベルコード。殺すための剣が、剣が、刀が、銃剣が、大砲と斧を合体させた全く新しい武器が、弓矢が、大槌が、総勢五百三十。マリアはそれをおおまかに半分に分け、おのれを取り巻くように旋回させるともう半分で戦車を完全に沈めにかかる。
ダァン、ダン、ダン、ダン、ドォォォン……砲撃の雨降る中をマリアは駆ける、走る、疾駆する。加護の結界を周囲に展開しながら、軍人オブリビオンによって放たれた弾丸を磨き抜かれた野生の勘でもって躱していく。
「邪魔よっ!」
「が、ぁっ」
剣が軍人オブリビオンの首を刎ねた。マリアを取り巻く武器たちは、彼女の思うがままに自在に動いてオブリビオンたちを殺し、弑し、鏖してゆく。返り血がマリアの白い肌を赤く染める。
「貴様ッ……ええい、殺せ、殺せ、殺せ!たかが女一人に、何をしている――」
「たかが女の一人くらいも仕留められない軟弱者の集まりってことでしょ、あんたの部下は!」
「お……の、れぇぇぇっ……!!」
ロンメルが憤怒に血管を浮き上がらせて叫ぶ。その間にもマリアは、軍人オブリビオンをたちを二百六十五の武器で八つ裂きにしながら戦車の間を駆け抜け、駆け上り、そうしてロンメルの眼前へとたどり着いた!周囲を旋回する武器の中からたった一つのルートブレイドを掴み取り、引き抜いた勢いのままにそれを振るい、叫ぶ。
「残念だけど、あんたには王の器はないわ!私の知ってる最高の王とは、到底覇道の在り方がかけ離れている!」
「……がッ……」
ロンメルの最期の悲鳴は短かった。彼を助けに来るものは、もはや一人も残っては居らず。五百三十の武器に刻まれながら、各々に血を流していた、
返り血をたっぷりと浴び、マリアは首を落とした死体へと背を向ける。
戦争狂の軍人宰相の亡骸は血に塗れ、そしてそれに溶けるかのように消えていった――
――旧ロズウェルにて。
ここに、ロンメル・ヴォーテックスのひとりを殺すための戦争は、幕を下ろしたのである。
さあ、立ち止まってはいられない。
次の戦いが、猟兵たちを待っている。
大成功
🔵🔵🔵