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獣舞闘会への招待状

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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「……ニャンコよ、ニャンコ。後、犬科と温泉付き」
 グリモアベースの片隅で何故かキラキラと何故か目を輝かせているエリス・シルフィード(金色の巫女・flO648)の笑顔を見て、猟兵達は目を瞬かせる。
 暫くして我に返ったか、エリスが軽くコホン、と咳払いを一つ。
「まあ、要するにアルダワ魔法学園で、あるオブリビオンが配下を率いて迷宮を上がって来ているのが判明したのよ。皆には、その撃退をお願いしたいって訳」
 尚、今から現場に向かえば一般学生を巻き込むこと無く手勢を引き連れたオブリビオン部隊を迎撃できる、とのことだ。
「その軍勢がね……ニャンコ! そう、ニャンコなのよ! ……まあ、水兵ニャンコなんだけど」
 心なしか、いつもより声音が弾んでいる様に感じるのは猟兵達の気のせいだろうか。
 ……恐らく、そうではないだろう。
「と言ってもオブリビオンから前払いのお魚貰って買収されちゃうような子達だからねえ……遠慮せず、叩きのめしちゃって良いわよ。あっ、それからニャンコを率いているオブリビオンは、デュラハンって名乗る獣人ね。……まあ、同情できる面を持つ相手だけれども、戦闘狂だから交渉は無理ね」
 差し詰め、獣人軍団VS猟兵のガチンコバトルと言った所か。
 ……実に分かりやすい構図である。
「あっ、でも此処で食い止め無いと学園生に被害が出るから、皆頑張ってね。戦いに勝てれば、温泉が待っているから」
 獣人軍団を倒せればアルダワ魔法学園名物アルダワ式・魔法蒸気温泉でゆっくり出来ると言うわけだ。
 戦いの疲れを癒すにはもってこいだろう。
「それじゃあ皆、宜しくね♪ 吉報を待っているわ」
 天使の様に愛らしい笑みを浮かべるエリスに見送られ、猟兵達はその場を後にした。


長野聖夜
 ――開催! 獣人舞戦会!
 いつも大変お世話になっております。
 長野聖夜です。
 と言うわけで今回皆さんにはアルダワ魔法学園に迷宮から逆侵攻を掛けてきた獣人軍団と戦って頂きます。
 尚、第1章、2章共に迷宮上層部が舞台となっており、あまり入り組んだ構造はしていないので、思う存分暴れてきて下さい。
 また、第3章は温泉が舞台となります。
 もし、気になる方がいらっしゃるのであれば、この第3章のみエリスをお誘い頂くことが可能です。
 お気軽に、お声掛け下さい。

 ――それでは、良き武闘会を。
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第1章 集団戦 『水兵にゃんこ』

POW   :    水兵にゃんこのボクの船~~クラッシュか?
自身が装備する【七曲りするシップ(船) 】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
SPD   :    ご主人様からもらった前払いのお魚なのにゃ
戦闘中に食べた【前払いの 魚】の量と質に応じて【魚の漢字に隠された言葉の特性を取り込み】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    手旗戦闘指令
【 手旗信号】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【対象の近くにいる仲間が指示通りの方法】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

阿紫花・スミコ
「にゃんこ、かわゆす・・・」
にやつく頬を叩きながら、黄金に輝くリボルバー~精霊銃「アヴェンジングフレイム」を抜き放つ。
ワイヤーギヤからフック付きワイヤーを天井や床に射出し、その巻き上げと蒸気の力で敵の攻撃を回避しつつ、炎の弾丸を撃ち込む。
(ダッシュ、ジャンプ、空中戦、フェイント、二回攻撃、援護射撃)

「か、かわいいからって、調子に乗るなよぉ!」

・・・かわいいけど。


彩瑠・姫桜
エリスさんの言う通り本当にニャンコなのね…っ
(にゃんこの大群に思わず目を輝かせ)
…べ、べつにニャンコの可愛らしさに魅了されたわけじゃ…っ(※魅了されてます)

でも敵だから、逆侵攻阻止するためにも倒さなくちゃ…ね
(自分に言い聞かせている)
(ついでにドラゴン形態なschwarzが正気に戻れと言わんばかりに前足ぺしぺししてる)
…わ、わかってるわよ、もふもふ水兵さんニャンコだからって容赦しないんだからっ
(Weißを槍形態にして手に構え)

【咎力封じ】使用
【第六感】【情報収集】で隙を見て
【拘束ロープ】を中心に放って動きを止めてから【串刺し】にするわ
苦しまないようにひと思いに、で行くわね

*共闘・アドリブ大歓迎


ミアス・ティンダロス
「ニャンコの軍勢、ですか?」
「分かりました。ならば、人狼としては負けられませんよね!」
「イヌ科の意地、よく見ておきなさい!」
野性の血のせいかな、ミアスは珍しく燃えてきた。
どうやら彼は気づいていないだろう、人間の方に近い人狼は別にイヌ科というわけじゃないことを。

ユーベルコードを高速詠唱し、蝙蝠のような羽をもつ馬と昆虫の交雑体に見える【星間の駿馬】を召喚して戦います。
できれば僕自身も地形を利用しながら、衝撃波で敵の行動を邪魔してみます。




「ニャンニャン、デュラハンさんの為に交通整理するニャン」
「そこにいる皆さん、どいて下さいにゃ。デュラハンさんの邪魔になるにゃ」
 ――ニャンニャン、ニャンニャン。
 セーラー服を身に纏い、せっせと交通整理と称して此方へと迫ってくる白猫の群れを見て、頬を緩ませっぱなしの阿紫花・スミコ。
「にゃんこ、かわゆす……」
 気を緩めると直ぐにでも綻んでしまいそうな頬を必死に抑えているが、キラキラと目を輝かせる事迄は止めることが出来ないままにスミコの隣に佇むは、彩瑠・姫桜。
「エリスさんの言う通り本当にニャンコなのね……っ」
「いや、本当にかわゆいね……キミも魅了されちゃっているね?」
 姫桜の呟きにスミコが笑顔を緩めぬままに問いかけると、姫桜が思わず顔を赤らめて目を逸らした。
「……べ、べつにニャンコの可愛らしさに魅了された訳じゃないんだからねっ……」
「ニャンコの軍勢も、ですが……何でしょうか、この負けたくない感」
 周囲から見れば明らかに魅了されているであろう姫桜の前足を、schwarzが叩いているのを見ながら、呟くのはミアス・ティンダロス。
 その頭から生えているケモミミ……犬耳がピクピクと動いている。
 まるでそれは、イヌ科だからネコ科に(色んな意味で)負けたくないと主張しているかの様で。
 因みに、schwarzは赤目に黒い毛並みで、猫のような外見のブラックドラゴンだ。
(……うん、間違いなく姫桜、魅了されているね、ボクと一緒だよね、これ)
「……ハッ! このままじゃいけない、いけない」
 内心で姫桜の心象を想像しながら、目前のセーラー服白猫軍団の愛らしさに同じく魅了されっぱなしのスミコがパンパン! と気合いを入れる様に自らの頬を叩きながら、黄金に輝くリボルバー~精霊銃「アヴェンジングフレイム」を抜き放ち、銃口を水兵にゃんこ軍団に向けた。
「相手がニャンコの軍勢ですから、人狼としては負けられませんよね!」
 呟き自らに活を入れ、見る見る内に全身に力を蓄えていくミアス。
 イヌ科としては、やはりネコ科に負けたくない。
 そう、自らの中に流れる野生の血が自分を滾らせている様で、ミアスは自らの中で闘志と言う名の炎を燃やす。
「イヌ科の意地、よく見ておきなさい!」
 こんな風にミアスが燃えるのは、とても珍しい。
 だが、彼の様に人間の方に近い人狼は、別にイヌ科というわけじゃないことに本人は気がつかない様だ。
 しかし、果たして水兵にゃんこ軍団に魅了されているスミコと姫桜が果たしてそれに気がつき突っ込めるかどうか。
 と、様々な思惑を孕みつつも水兵にゃんこ軍団との戦いは始まった。


「わ……分かっているわよ、もふもふ水兵にゃんこさんだからって容赦しないんだからねっ」
 足下で自分をぺしぺし叩き続けるschwarzに顔を赤らめて目を逸らしつつ、姫桜がWeißを槍形態へ。
 因みに此方は赤目に白い体を持つ、蛇のような外見のホワイトドラゴン。
 しゃ~、と口を開く様子を見る限り、どう考えても蛇である。
 敵が蛙だったら、びびって逃げ帰ってしまいそうだが、残念ながら敵は白にゃんこ。
 純白の槍を右手で上段に構えながら、手枷と猿轡を投げ放つ。
「ニャンニャン、デュラハンさんの為の交通整理。……ニャフゥ!?」
「ニャンニャン、お魚食べてパワーアッ……モガガガガ?!」
 殴りかかろうとしてきた水兵にゃんこがプニプニ前足に手枷を嵌められて身動きを取れ無くされ、ご主人様から前払いで貰っていたお魚を食べようとしていたニャンコの口に猿轡が噛まされる。
 目を白黒させるニャンコ達のその隙を見逃さず、平面ダッシュで戦場を駆け抜けながらスミコが精霊銃「アヴェンジングフレイム」の引金を引く。
 銃口から炎の魔力を帯びた弾丸が飛び出し、猿轡と手枷で身動きを取れ無くされていた水兵にゃんこ達を撃ち抜いた。
「モガモガモガモガ(熱い、熱いにゃ、燃えちゃうニャ……)!」
「ニャァァァァァァ、尻尾に火が付いたニャ~!」
 猿轡を噛まされたニャンコが炎に飲まれて悲鳴を上げ、直撃こそ避けたものの尻尾を炎で焼かれた水兵にゃんこが涙目になる。
「おのれ、よくも仲間達をニャ!」
「お前達には慈悲の心は無いのかニャ?! 私達はただ、交通整理をしようとしているだけニャのに!」
 うるうると目に涙を溜めて、切々と訴えかけてくる水兵にゃんこ軍団を華麗にスルーしたミアスの懐で、エルダーコアが黒く怪しく輝きだした。
 その力を得たミアスは上空に両手を振り上げて素早く術印を切って魔法陣を生み出しながら、一息に術式を編み上げる。
『漆黒(くろ)く、素早く、力強く――舞い降りなさい、翼の貴婦人さん!』
 天に掲げた両手によってミアスの上空に描き出された魔法陣から飛び出したのは、
蝙蝠のような羽をもつ馬と昆虫の交雑体にも見える、星間の駿馬の霊。
『ブルァァァァァァァァァァァ』
 禍々しく巨大な蝙蝠の様な翼を広げながら金切り声をあげたその霊が、普段は決して使わぬであろう足に生えたかぎ爪を振るい、目をウルウルさせているニャンコの軍勢を残虐に切り裂いていく。
「ジェームズにゃん! フローレンスにゃん! チャーリーにゃん……! よくも仲間達をニャァ!」
「……っていうか、名前付いてるんだね。後、そのウルウル目可愛くて、戦いにくいんだけど……」
 涙を流しながら仲間に呼びかけ、その怒りを背負って手旗信号で指示を出し、その指示に従って一斉に肉球パンチを放ってくるニャンコ水兵達に思わず突っ込みを入れながら、蒸気噴射でフック付きワイヤーを射出して天井に張り付かせ、空中を飛びながら突っ込みを入れつつ炎の弾丸を上空からシャワーの様にばらまくスミコ。
『キシャァァァァァァァ!』
 星間の瞬馬の霊が奇怪な叫び声を上げながら、巨大な翼を羽ばたかせて暴風を生み出す。
 突風が周囲の地形の一部を破壊して、その破片が矢の様に水兵にゃんこ達を貫き、更に上空からのスミコの銃弾のシャワーが水兵にゃんこ軍団に次々に着弾。
「ギニャァァァァ、燃える、燃えるニャ~!」
 焼け焦げて力尽きる水兵にゃんこもいれば、体中に破片が突き刺さり、更に銃弾によって体を焼かれながらも尚、突進してくる水兵にゃんこの群れもいる。
「ぬぉぉぉぉぉ、水兵にゃんこ軍団の意地、見せてやるにゃ~!」
「此処は俺たちに任せて先に行くにゃ~!」
 何やらやたら熱い台詞を交わしながら、突っ込んでくる水兵にゃんこの群れの一部を、空中に浮いていた拘束ロープが一纏めに縛り上げた。
「ニャ……ニャ二……?!」
「おのれ、拘束とは卑怯なり、にゃ……」
「す……凄く戦いにくいんだけれどこれ……!」
 時に愛らしく、時に雄々しく、猛々しく。
 そんな水兵にゃんこ達の可愛らしくも熱い心意気に困った様な、ソワソワした様子になるのは、拘束した張本人、姫桜。
 こらこら、と言う様に足の爪先をペシペシするschwarz。
「わ、分かっているわよっ!」
 叫び返しながら、Weißを縛り上げた水兵ニャンコ達へと突き出し纏めて串刺しに。
 白目を剥いて力尽きる、水兵にゃんこ達に物凄く後ろ引かれる思いを抱きながら、姫桜が再び拘束ロープを投擲。
「せ……せめて、苦しまない様に……!」
「ニャ……ニャァァァァァ!」
 まだまだ健在の水兵にゃんこ軍団だったが、姫桜に纏めて縛り上げられた者達が魂魂の叫びを上げる。
「お……俺たちの屍を踏み越えて先に行けニャァ!」
「アルバート……お前達の犠牲は無駄にしないのニャン!」
 後方から指揮を執っていた水兵にゃんこが旗を振ると、空中を、ロープを使って駆け回りながら銃弾のシャワーを浴びせてくるスミコとミアスの呼び出した星間の駿馬を狙って七曲りするシップの船体に取り付けられた大砲で一斉掃射。
「か、かわいいからって、調子に乗るなよぉ!」
 少し慌ててワイヤーギアを天井から外してクルクルと回転しながら落下しつつ精霊銃「アヴェンジングフレイム」の引金を引くスミコ。
 まるで、ワイヤーロープで吊られているかの如く、アクロバティックな立ち回りで空中を制して天井に着弾した砲弾を回避しながら撃ち出された炎の魔法を纏った銃弾が次々に水兵にゃんこ達を焼き尽くしていく。
 そんな風にやられていく姿も……でもかわいい。
「僕も行きますよ」
 星間の駿馬の方は、翼を羽ばたかせて風を呼び起こして弾丸を吹き飛ばしてその攻撃を回避してかぎ爪による反撃で水兵ニャンコ達を切り裂き、ミアス自身もアトラク=ナクアの糸を振るって、周囲の空間を切り裂く。
 魔法で編み上げられた糸に切り裂かれた空間が真空状態になり、ミアスはエルダーコアを輝かせてその鎌鼬を外へと飛ばす。
 それは音を切り裂く衝撃波となって水兵にゃんこ軍団の一部を切り刻み、彼等を次々に迎撃していく。
「も……もう……一気に行くわよ……!」
 ミアス達の苛烈な攻撃を辛うじて避けた水兵にゃんこ達に向けて思い切りよく踏み込み、Weißを使ってまだ動いている水兵にゃんこ達を貫こうとした、その時。
「そうはさせないニャン!」
 先程拘束ロープで縛り上げた水兵にゃんこの群れが一斉に姫桜と攻撃を仕掛けている水兵にゃんこの群れの間に割り込み、纏めて貫かれ、倒された。
「後を頼むにゃ……我等が戦友達よ……ニャン」
 やり遂げた男の様な顔をして力尽きた水兵にゃんこ達に深々と頷く、指揮官相当と思しき水兵にゃんこのいる群れの者達が敬礼を一つ。
「……僕達だけでは、少し手数が足りないみたいですね」
「そうみたいだね。でも……次で一気に蹴散らすよ」
「……えっ、ええ、そうね。……そ、それしか無いわよね」
 ミアスの呟きにスミコが返し、姫桜が小さく首を縦に振る。
 ……水兵にゃんこ軍団の残存勢力は初期の凡そ3分の1程だ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ウィリアム・バークリー
皆さん、お疲れ様です。ここからはぼくも支援に入ります。

トリニティ・エンハンスで風の属性を纏って、北の地で手に入れた氷の精霊の力を借り、「属性攻撃」(氷)の「全力魔法」を「衝撃波」を広げながら敵の群に解き放ちます。

誰かに買収されるなんて、猫として失格ですね。猫というのは誇り高く何者にも縛られない存在だからこそ、たまに見せる愛らしい姿がこの上なく愛おしいというのに。
オブリビオンに撫でられて喉を鳴らしているような猫は、猫失格!
よってぼくがここで鉄槌を下します!

「空中戦」で宙に舞い、「属性攻撃」(氷)「鎧無視攻撃」で、止めどない極寒の冷気を戦場に溢れさせます。
ほらほら、丸くなるコタツはありませんよ?


彩瑠・理恵
(既に六六六人集番外位・リエの人格)
おや、あそこに見えるのは姉さんね。
しかし、これはまた……ハハッ!殺しがいのある奴らね!特に断末魔がバリエーションに富んでいて素晴らしいわね!
理恵がなにか文句を言っているけど、戦いはボクの領分よ。大人しく内側で見学してるといいわ!
さぁ、この素晴らしき鏖殺領域へようこそ!三味線の材料になりたい奴からかかってくるといいわ!
ボクの殺人演舞のダンスの相手を楽しみなさい、お代はその命よ!
ハハハッ!慄け、猫共!今宵はお前が死ぬ時よ!
あはははっ!もっと、もっと、血を流しなさい、臓物をぶちまけるといいわ!その流した血が、消え逝く命がボクをもっと強く、更なる高みに誘うのよ!




 先の戦いで最後に残った3/1程の群れ。
 最初に戦っていた3人が周囲の水兵にゃんこ達を倒す間に新たに2人の人影が戦場に現れ、最後の群れへと突進していく。
「皆さん、お疲れ様です。ここからはぼくも支援に入ります」
 周囲の風の妖精達を自らに宿して運動性を強化すると同時に、先日異世界の北方の血で手に入れた氷の精霊達の力を借りるべく瞑想を始めるは、ウィリアム・バークリー。
「おや、あそこに見えるのは姉さんね」
 その戦場の最中、群れを躊躇しつつも串刺しにしている姉の姿を認めた、彩瑠・理恵がその口元に何処か、狂気を感じさせる鱶の笑み。
「くっ……新手だと?!……ニャン!」
『ニャンニャン!』
 最後の群れの指揮官と思しき水兵にゃんこの号令を受け、他の水兵にゃんこ達が一斉に報酬として前払いされていた魚を食べ始めた、丁度その時。
「アハハッ! これは殺し甲斐がありそうだね!」
 理恵が昏い笑みを隠すこと無く水兵にゃんこの群れに突進。
『六六六人集番外位・リエによる、殺人演舞を楽しむといいわ』
 絶叫と共に圧倒的なまでのどす黒い殺気が周囲を覆い、リエの速度を爆発的に撥ね上げる。
 身体能力を上げ、迎撃態勢を取り、その背に背負った魚型爆弾を一斉に投擲する水兵にゃんこ軍。
 だが、その時……。
「誰かに買収されるなんて、猫として失格ですね。猫というのは誇り高く何者にも縛られない存在だからこそ、たまに見せる愛らしい姿がこの上なく愛おしいというのに」
 瞑想しながら天と地を指差した両手で円軌道を描き出したウィリアムの哀れみとも思える呟きに過剰に反応する水兵にゃんこ達。
「にゃ……ニャニ?! 我等、デュラハンさんに率いられし聖戦士を、猫として失格ニャと……?!」
「そりゃそうですよ。オブリビオンに撫でられて喉を鳴らしているような猫は、猫失格! だから……」
 呟きと共に、完成する魔法円。
 そして……。
「よってぼくがここで鉄槌を下します!」
 叫びと共にウィリアムが法円の中央に両手を重ね合わせて突き出すと、無数の氷柱が矢となって一斉に解き放たれる。
 解き放たれたそれらが魚型爆弾とぶつかり合い、激しい音と共に爆散。
「今です、理恵さん!」
「さぁて、最初に死にたいのは誰かなぁ!?」
 自分の内側から何かを訴えかけるかの様に叫ぶ『それ』を無視してリエは、実体化した殺意の刃を叩き付ける。
 漆黒としか形容することの出来ないその刃が攻撃を防がれ、一瞬呆然とした水兵にゃんこ達の、首や心臓を初めとする致命傷となる部位を次々に切断した。
「ゴニャァァァァァァァ?!」
「ブ……ブラ……アニャァァァァァ!?」
「……オリバー?! デビッド!? ……オノレ、猟兵この恨み晴らさずに……グニャァァァァ!」
【実体化した殺意の刃】によって次々に切断され、恨み辛み、仲間への思いやり……様々な声をあげながらも次々に力尽きていく水兵にゃんこ達を見て、リエは高笑いを抑えきれない。
 自分の内側に閉じ込めた理恵が文句を言う様に叫ぶが、リエに止まるつもりは毛頭無かった。
 ただ自身で纏い周囲に展開しているどす黒い殺気によって生み出された領域の中で艶やかに笑う。
「アハハッ、この素晴らしき鏖殺領域へようこそ! 三味線の材料になりたい奴からかかってくるといいわ!」
「ぬぅ……総員心して掛かるにゃん!」
 最初の一打で浮き足立つ仲間達を叱咤激励しながら指揮官と思しき水兵にゃんこが号令を飛ばす。
 号令を受けた水兵にゃんこ達が七曲りするシップ(船)を複数機召喚し、そして念力を使って一斉にウィリアムに向かって飛ばすが、その時にはウィリアムは呪印を切って、空中へと浮かび上がり、ひらり、ひらりとそれらの攻撃を躱しながら続けざまに両手を上空へと掲げ、その指先で2つの魔法陣を同時に描き出している。
「ほらほら、丸くなるコタツはありませんよ?」
 ウィリアムの問いと共に、2つの魔法陣から風と氷の2大精霊が大量に呼び出され、周囲の空気と混ざり合う。
 氷と風の精霊のダンスによってこのフロア全体に吹き荒れた吹雪の猛襲が、容赦なく水兵にゃんこ達を凍てつかせていった。
「う……ウニャァ……!」
「くぅ……ニャンのこれしき……!」
「さ……寒すぎる、寒すぎるニャ……!」
「ひ……怯むにゃ! この程度で倒れたら我等水兵にゃんこの名折れにゃ……」
 冷気にやられ見る見るうちに動きを鈍らせる水兵ニャンコ達が、残酷な笑い声と共に放たれた実体化した殺意の刃が次々に斬り捨てられていく。
「これはまた……ハハッ!殺しがいのある奴らね!特に断末魔がバリエーションに富んでいて素晴らしいわね!」
 リエが残酷な子供の様に満面の笑みを浮かべながら高速で戦場を掻き乱し、そうしながら、実体化した殺意の刃を連発。
 乱発すればする程、自分の中でジリジリと何かが削れていく感触を感じるが、リエは意に介さない。
「む……無念にゃ……」
「あ……後は……」
「デュラハンさん……申し訳ない……にゃん……」
 血を流し、時には臓物をぶちまけ、そして其々に無念の思いを託して力尽きていく水兵にゃんこ達の『死』をリエは心おきなく楽しんでいる。
「ハハハッ!慄け、猫共!今宵はお前が死ぬ時よ!」
 その度に『理恵』が内側から囁きかけてくるかの様に思えるが、リエにとっては些事だ。
「あはははっ! もっと、もっと、血を流しなさい、臓物をぶちまけるといいわ! その流した血が、消え逝く命がボクをもっと強く、更なる高みに誘うのよ!」
 リエの寿命を削るその秘技と、ウィリアムの技、そして周囲で戦場を駆け抜け次々に水兵にゃんこ達を倒していく他の猟兵達の活躍もあり、戦いの勝敗はあっさりと決着が付いた。


「ブルーク、エリオット、ローレン! 誰か……誰かいないのか、にゃ……!」
 最後に残され既に全身に傷を帯びていた最後の群れの指揮官でもあった水兵にゃんこが仲間達に呼びかける。
 全身の体温を奪われその身は、凍てつき体中から既に力は抜けていた。
 報酬として与えられていた最後の魚も、既に凍り付き、とてもでは無いが食べられるものでは無い。
 そして……そんな水兵にゃんこの前に幽鬼の様に立つ、一人の少女。
 迷宮の闇よりも尚昏いと思わせる漆黒の髪を靡かせ、殺意に彩られた青い瞳を見て、自らの最期を思い、静かに目を瞑る。
「もし、あなた達がオブリビオンに買収などされなければ、この様なことにはならなかったでしょう」
 目の前に体現している死神の後ろから冷然と、そして静かに告げられたその言葉は、彼に自分達の選択が間違っていたのだと言うことを嫌と言う程に思い知らせるに足りた。
「そうだにゃ……我等は道を誤ったんだにゃ……」
「そうです。そんなことでは、猫失格でしょう。これはその報いです」
 呟きと共に後方の少年……ウィリアムの手から氷柱が数本撃ち出され、それが風によって強化され、高速で水兵にゃんこの身に突き刺さる。
 それにリエが笑みを浮かべたまま、ひゅっ、と右手で空を切った。
 横一文字に切り裂かれた空に【殺意の刃】が実体化し、それが最後の水兵にゃんこの首を掻き切る。
 自分の命が失われていくのを感じながら、彼は最後に口を動かした。
「我等の負けにゃん……だが我等の恨み……デュラハンさんが……必ず……」
 告げながら力尽きた水兵にゃんこにエリが殺意を迸らせたまま、笑みを浮かべた。
 好戦的な、その笑みを。
「大丈夫よ。そのデュラハンさんもボクが刈ってあげるわ」
 高らかに告げられたそれに静かに目を瞑り最後の水兵にゃんこがゆっくりとその生涯を終えた。

 ――しかし……彼の名前が猟兵達に知られることは、二度と無かった。

 かくて水兵ニャンコ達を全滅させた猟兵達は前へと進む。
 この先に待つ……デュラハンの所へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『獣の侵略者『デュラン』』

POW   :    内に潜む獣
【理性と記憶】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【一時的に自身を巨大な狼】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    達人の連撃
【腕を狙った飛ぶ斬撃】【足を狙った素早い銃撃】【胴を狙った重い蹴撃】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    鷹嵐
【相棒の鷹の鉤爪】が命中した対象に対し、高威力高命中の【暴風の魔術】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――先の迷宮の一つ下。
 水兵にゃんこ達との戦いを終え、階下へと降りた猟兵達はそこに佇む一つの影を見る。
「……許せぬ……許さない……」
 何処か地の底から響く様な唸り声を上げながら、その場に現れたまるで狼の様な顔を持ち、全身を憲法着で包み込み、その腰に三日月刀を、右手に銃を装備した、左肩に鷹を乗せた一人の獣人。
「……私は絶対に許さない。私をこんな姿にした者達を守り、そして我が配下を皆殺しにした貴様達を……!」
 鋭く細められたその瞳に宿るのは、深き憎悪と猛獣の如き戦意。
 全身から迸るその闘気が、彼の中に宿る狂気をより色濃く表していた。
「奴らの恨み、私の恨み……戦いで晴らさずにいられようか……! この場で貴様達を一人残らず打ち倒し……そして亡き部下達とあの者達への復讐を……!」
 激しい殺気とは裏腹に洗練された佇まいが只者では無い事を感じさせながら彼はその殺意を猟兵達へと向ける。
 さあ、猟兵達よ。
 デュラハンとの舞闘会の始まりだ。
 此処でかの者を倒せなければ、その澱んだ復讐心を抱えたままに地上へとその姿を晒し、自身の復讐心を満たすその時まで飽きること無く彼は暴虐の限りを尽くすだろう。
 それを止めることが出来るのは、君達猟兵だけだ。

 ――健闘を、祈る。
ウィリアム・バークリー
首無し騎士デュラハンが相手だと思ってたんですが、違いましたか。
まあ、討滅する事には違いありませんが。

風を得意にしてるのはあなただけだと思わないでくださいね。
トリニティ・エンハンス。風の加護をこの身に。
近接されたら、風と氷の「属性攻撃」を乗せたルーンスプラッシュで牽制して、「空中戦」で一旦敵の間合いから離れます。

やっぱり魔法遣いは後衛にいてこそですよね。
「属性魔法」の炎と氷を組み合わせ、「範囲攻撃」で少々の回避では対応出来ないように。

氷の「属性魔法」で、「衝撃波」を伴う「鎧無視攻撃」をぶつけます。耐えられますか?

終わり、ですか? まあ学園の存在意義として、この先も戦い続けないといけないんですが。


阿紫花・スミコ
「なんかボクらが悪者みたいになってきたな・・・にゃんこ恐るべし。」
ボヤキながら、腰のワイヤーギヤに手をかける。
「トップスピードでいくよ!」
迷宮の壁や天井、床にワイヤーフックをかけ、その巻取りと蒸気の力で戦場を駆けまわる。(スリーディメンジョンモビリティ)
敵の攻撃をよく観察し、回避に集中する。特に鷲の攻撃には要注意だ。
敵を翻弄させながら、隙を見て、黄金に輝くリボルバー(精霊銃)の炎の弾丸で攻撃する。
「君のスピードもなかなかだね!・・・でも、負けるわけにはいかないんだ!」
(属性攻撃、空中戦、援護射撃、フェイント、視力)


彩瑠・姫桜
理恵ってば暴れすぎよ
(妹の戦いの様子にちょっと頭を抱えたが、まぁいいわ、と)
…でも、これで、親玉と対峙できるわね

にゃんこさん達を手にかけた事を謝るなんてしないわよ
それが未熟な私の、敵への最低限の敵礼儀だと思うから

あなたが獣人になった経緯なんて知りたくもないけど
あなたの復讐心もその咎ごと串刺しにしてあげるわ、覚悟なさいっ!

敵の動きを観察し【情報収集】して
【第六感】も駆使し隙を狙って出来る限り接近するわね
間合いに入った所で【双竜演舞・串刺しの技】で【串刺し】をお見舞いするわね

前に出る際、必要なら敵からの仲間への攻撃は積極的に【かばう】し
攻撃は仲間と連携出来るように意識するわね

*共闘・アドリブ大歓迎


荒谷・つかさ
貴方に何があったかは知らないけれど。
好きに憎悪をぶちまけてなさい。私は貴方を狩るだけだから。
悪いけど、こっちも仕事なのよ。帰らないなら……殺し合うだけ。
そうでしょ?

強敵なのはわかってる。
なら、隙を晒すまでは牽制して耐え凌ぐわ。
相手が【内に潜む獣】を発動して動きを読みやすくなるか、味方の攻撃で大きな隙を晒すまでは牽制に専念。
零式・改二と刃噛剣の二刀流を「怪力」で自在に振り回し、適切に「武器受け」して攻撃を受け流す。
隙が出来たら【荒谷流重剣術奥義・稲妻彗星落とし】を発動。
「ジャンプ」で高さを稼ぎ、ブースターの「吹き飛ばし」で加速。
「鎧砕き」と「衝撃波」の乗った一撃を真っ向から叩きこんでやるわ。


彩瑠・理恵
(引き続き六六六人集番外位・リエの人格のまま)
あはっ、いい殺気と復讐心だわ。これを殺せば序列上がりそうね、まぁもうとっくの昔に序列は存在しないのだけれどね!
オブリビオンの過去になんて興味ないわ。ただオブリビオンなら殺していいっていうボクにとって都合のいい事実だけあればいいわ!

開幕【黒死鏖殺演舞】で最初から殺しにかかるわよ!
おっと、ボクの攻撃手段は殺意の刃だけじゃないわ。むしろ、それは余録よ。
ボクの殺人技芸は血液操作、特に血液の武器化だからね!六六六人集というかヴァンパイアみたいだけど、これは母親の遺伝かしらね?
高速で移動しながら鮮血の影業で杭生やしたり、鮮血槍で串刺しにして生き血を吸わせるわ!


ミアス・ティンダロス
ミアスなら、例え意味ないと知っていても説得を試みるだろう。
「復讐をするだけじゃ何も意味がありません!ただ悲しみが増えるだけなんです!」
「そう……僕たちは意味のないバカバカしい争いをやっているから、ニャンコ達がこんな風に散ったのです!」
「お願いします!もうやめてください!キミに何があったのか分かりませんけど、一緒に解決の方法を探せば、きっと……!」
説得が失敗したら、すぐ戦闘に集中するだろう。
真の姿を解放する。姿は特に変わらないが、胸元の黒曜石に白き炎が灯され、それを囲むように歪んだ五芒星が浮かび出す。
その後、ユーベルコードを【高速詠唱】し、吹雪を放て敵の行動を封じようとする。




「……理恵ってば暴れすぎよ」
 頭痛でも堪えるかの様に米神を解しながら、溜息をつくは、彩瑠・姫桜。
「うん、なんかボクらが悪者みたいになってきたな……にゃんこ恐るべし」
 その時の戦いの様子を傍目に見て思い出しつつ軽い戦慄を覚えたか、阿紫花・スミコが同意とばかりに頷いている。
 確かに彩瑠・理恵の暴走っぷりは、少々常軌を逸していたかも知れないが。
「まあ、オブリビオンに魚を報酬として貰って迷宮逆侵攻をした訳ですから、自業自得だと思いますが」
 理恵の援護をしていたウィリアム・バークリーが巧みにフォローしつつ姫桜とそして、目前で再び最前線に向かおうとしていた理恵を交互に見ながらふと思う。
(彼女の雰囲気は少しだけ誰かに似ている様な気がしましたが……姫桜さんでしたか)
 周囲に漂う風の精霊に呼び掛けて己が速度を強化しながら腰に佩いたルーンソード『スプラッシュ』の様子を確認。
「……貴様達、貴様達だけは必ず、この手で……!」
 その瞳に怒りを宿して睨みつけてくるデュラハンに届かない、何処かで分かっていつつも尚、居ても立ってもいられずに魂からの叫んだのはミアス・ティンダロス。
「復讐をするだけじゃ何も意味がありません!ただ悲しみが増えるだけなんです!」
 デュラハンは憎悪を滾らせた眼差しでミアスを睨み付けていた。
「何も知らぬとは言わせぬぞ……! 貴様達によって私の配下は殺され、そして貴様達が守ろうとしている者達によって私は……私は……!」
 復讐の炎に全身を焦がすデュラハンにそう……とミアスが悲しげに顔を俯ける。
「……僕達が意味のないバカバカしい争いをやっているから、ニャンコ達がこんな風に散ったのです!」
「綺麗事を……! 私がされた事が如何に残酷な事か、それを……!」
「それでも、お願いします! もうやめてください! キミに何があったのか分かりませんけど、一緒に解決の方法を探せば、きっと……!」
 ミアスの必死の呼びかけに、デュラハンは憤怒の形相をはっきりと表す。
「知らぬ事、それ自体が罪なのだ……! 私の怒りの根源も、そして理由も分からず私の配下を皆殺しにした貴様達を私が許せるはずも無い!」
「くっ……!」
 これ以上言い返すことが出来ぬと感じたか、悔しげに顔を俯かせ、耳を項垂れさせるミアスを珍しいものを眺める様な目で見ながら理恵……否リエが愉快そうに口元に残虐な笑みを浮かべた。
「あはっ、いい殺気と復讐心だわ。これを殺せば序列上がりそうね、まぁもうとっくの昔に序列は存在しないのだけれどね!」
「……貴方に何があったかは知らないけれど」
 デュラハンが深い憎悪に彩られた瘴気を周囲へと拡散しているのを涼しい表情で受け流しながら、零式・改二と、歯噛剣を構えるつかさ。
「好きに憎悪をぶちまけてなさい。私は貴方を狩るだけだから」
「貴様……!」
 尚深い憎悪の眼差しを正面から受けながら、悪いけれどとつかさが間を置いて。
「こっちも仕事なのよ。帰らないなら……殺し合うだけ。……そうでしょ?」
「……おのれ」
 憎悪に身を焦がされながらも尚、その思考自体は理解できるのであろう。
 双剣を構えるつかさと腰のワイヤーギアに手をかけるスミコの様子を見てゆっくりと納刀していた三日月刀を抜き放ち、拳銃の銃口をリエへと向ける。
「オブリビオンの過去になんて興味ないわ。ただオブリビオンなら殺していいっていうボクにとって都合のいい事実だけあればいいわ!」
 悪鬼の如き笑い声をあげるリエに思わず額に手をあて溜息をつく姫桜だったが、でも……と息をつく。
「これで、親玉と対峙できるのよね」
「ええ、そうですね。まあ、デュラハンさんって言ってたから、首なし騎士の事だとは思っていたのですが、違うというのが意外と言えば、意外ですが」
 まあ、倒すべき敵であることには変わらないんですけれどね、と頷くウィリアムにそうね、と頷き返す姫桜。
 それから、決然とした表情でデュラハンの殺意を真正面から受け止める。
「どう取り繕っても事実は変わらないから、にゃんこさん達を手にかけた事を謝るなんてしないわよ。……それが未熟な私の、敵への最低限の敵礼儀だと思うからね。だから……」
 改めて深呼吸を一つしてschwarzとWeißを槍形態へと変形させて二槍を構え。
「あなたが獣人になった経緯なんて知りたくもないけど、あなたの復讐心もその咎ごと串刺しにしてあげるわ、覚悟なさいっ!」
 そう、宣言した。


「見える……見えるぞ……!」
「うわっ、危なっ……! トップスピードで行くよ!」
 憎悪の交えられた声音と共にまるで縮地の様に一瞬で肉薄すると同時に、腕に向かって横一文字に斬り払いを放ってくるデュラハンの攻撃に、スミコが驚きの声音を上げながらワイヤーを天井に向かって射出、素早くそれを巻き取って宙へ浮かび上がってその攻撃を紙一重で躱す。
 一方でつかさの足を狙って放たれていた銃撃に、つかさもゴクリ、と生唾を一つ飲み込み、その銃弾を零式・改二で受け止めた。
 零式・改二を通じて、じん、とくる重みを感じ取り、つかさは素早く目を細めた。
(スミコには斬撃、私には銃撃……私達のミスマッチをついてきたわね……)
 更に恐ろしいのは……。
「……っ!」
 チリチリと首元に嫌な感覚を覚えた姫桜が周囲と敵の情報を収集し、咄嗟に左に飛ぶ。
 それと同時に先ほどまで自分の背後にあった柱に鷹の鍵爪が命中してそれを切り裂き、柱が音を立てて砕けた。
 パラパラと砕けた欠片による礫をschwarzを風車の様に回転させて受け流す間に接近していたリエの腹部に蹴打を放つ。
「そんなんでボクを倒せると思ったら大間違いよ!」
 リエが甲高い笑い声をあげながら自身にどす黒い殺気を纏い、その殺気を周囲全体へと展開、全てを鏖殺すべく結界を展開。
『六六六人集番外位・リエによる、殺人演舞を楽しむといいわ』
 そのままその身を高速移動させて追撃の蹴打を躱しながら、牽制も兼ねて殺意の刃を実体化。
 放たれた漆黒の刃をデュラハンが三日月刀で受け止める間にウィリアムが両手で2つの魔法陣を同時に形成する。
「やっぱり、後衛であればこその魔法使いですね」
 誰にともなく呟いたウィリアムが二つの魔法陣を重ね合わせたその時、赤と蒼、2つの『色』によって生み出された魔法陣が重なり合い法陣が煌めき始めた所で、ウィリアムは魔法の詠唱を完成させる最後の一言を告げた。
「……Freez Fire!」
 解き放たれた氷と炎の竜がデュラハンの周囲全体に広がり、その周囲を凍てつかせると同時に凄まじい爆発を起こす。
(……やはりやるしかありませんか……!)
 決然とした表情になったミアスの決意に応じる様に、その胸元で光り輝く黒曜石の様な媒介道具……『エルダーコア』から、白い炎が陽炎の様に揺らめく。
 灯されたその白き炎を囲む様に歪に歪んだ五芒星が浮き上がった。
『その小さな祈祷(ささやき)に耳を傾けてください、最も気高い翼をもつ者よ――今こそ、嵐(おもい)が吹き荒れるのです!』
 まるで詔を歌い上げるかの様に滑らかに詠唱を完成させると同時に、怪しく輝く五芒星に囲われた白き炎がまるでフラッシュの様に激しく明滅。
 それと同時にこの迷宮全体を覆う様な極寒の吹雪が吹き荒れ、爆発で足止めをされていたデュラハンを凍てつかせんと襲いかかるが、デュラハンの肩に戻っていた鷹がそれに敏感に反応、逆にミアスに向かって突進していく。
「やらせないわよ!」
 姫桜が咄嗟にミアスと鷹の射線に割り込み、二槍を持って鷹の鉤爪を捌いたその瞬間、デュラハンの指が不可思議な文様を描き出していた。
「……風よ!」
 全てを薙ぎ払わんばかりの暴風を発動させ、姫桜をズタズタに切り裂こうとした時……。
「そう簡単にやらせないわよ!」
 つかさが零式・改二を下段から振り上げてその指を切り裂こうとしたのでデュラハンが咄嗟に詠唱を中断。代わりに三日月刀を大上段から振り下ろしてきたのを、歯噛剣の背に付いたギザギザで受け止める。
 ズシン、と重い手応えがつかさにのしかかるその間に天井にワイヤーギアを引っ掛け飛び回っていたスミコが精霊銃、『アヴェンジング・フレイム』の引金を引いた。
「隙ありだね!」
 解き放たれた炎を帯びた弾丸がウィリアムとミアスによって生み出された凍傷を抉り、その身を更に炎で焼き尽くしていく。
「ぐ……ヌォォォォォォォォォ!」
「おっと、ボクの出番を取らないでおくれよ?」
 からかう様に笑いながらリエが具現化させた殺意の刃を解き放ち、ウィリアムによって負っていた爆裂傷を切り裂いた。
「がっ……?!」
「っと、ボクのそれは余録よ。本命はこっちなのよ」
 切り裂かれながらも銃口を此方に向け、精密射撃を放つデュラハン。
 それに肩を撃ち抜かれ、ビチャビチャ、と地面に自らの血が滴るのも構わず、リエはその肩から零れ落ちた血を手で掬い取り、そのままどす黒い血の色をした杭を作成し、デュラハンの胸元へと突き立てる。
 デュラハンはその杭にその身を撃ち抜かれながらも尚、リエの胴へ向けて強烈なかかと落としを放った。
 胸を強打され、服が衝撃で千切れ、蹴打を受けた部分に紫色の痣が浮かび上がる。
 肺の空気を全て持って行かれたか、流石にその場で動きを止めて咳き込むリエの腕を切り裂くべく続けざまに三日月刀を袈裟に振るうデュラハンだったが、それを邪魔する様に炎の銃弾がデュラハンの背後から飛んで彼の肩を撃ち抜き三日月刀の軌道を逸らさせた。
「後ろか!」
 即応したデュラハンが背を向けたまま銃を炎の銃弾が飛んできた方向へと向けて引金を引く。
「君のスピードもなかなかだね!……でも、負けるわけにはいかないんだ!」
 パッ、とワイヤーギアを切り離してその場に落下しながら宙返りを一つしてその攻撃を躱す。
 全てが当たればユーベルコードが封じられてしまうというユーベルコードだ。鷹の突進からの連撃もそうだが決して油断してはいけないだろう。
 スミコがワイヤーギアを再び射出、近くの柱へと張り付きその柱を蹴って次の足場を選びながら、左指を怪しく動かす。
 スミコの指に引かれて現れた巨大な棍棒を持ったからくり人形『ダグザ』が巨大な棍棒をデュラハンを抑えるべく振るった。
「小癪な……!」
 思わぬ奇襲にデュラハンが煩わしげにダグザの攻撃を打ち払ったその時、姫桜が二槍を構えて、突進した。
『あなたの咎ごと私の槍で串刺しにしてあげるわ!』
 叫びと共に漆黒の槍schwarzを超高速で振るって薙ぎ払い、烈風と共にデュラハンの動きを絡め取った後、純白の槍Weißを真っ直ぐに突き出す。
 突き出された先端がつかさの零式・改二の斬撃を受け、脆くなっているその部分を肉と骨を貫く確かな手応えを感じながら背中まで貫き通した。
「くっ……がぁぁぁぁ……!」
「……?! くっ……!」
 肉を切らせて骨を断つ、とはよく言ったものだ。
 その強烈な一撃でも揺らぐこと無く、逆に筋肉を張り詰めてWeißを引き抜こうとする姫桜の動きを阻害しながら大上段から三日月刀を振り下ろしてくる。
 Weißの槍形態を解除しつつ咄嗟に、schwarzでその攻撃を受け流そうとするが、間に合わない……そう思った時。
『その小さな祈祷(ささやき)に耳を傾けてください、最も気高い翼をもつ者よ――今こそ、嵐(おもい)が吹き荒れるのです!』
 歌う様に滑らかに術がミアスの口から紡がれると共に、その胸元にあったエルダーコアが宙に浮き、白い炎と怪しげな五芒星の魔法陣(チャンネル)から、再び極寒の吹雪が吹き荒れた。
 吹き荒れた吹雪が三日月刀の刃を凍てつかせ、その動きをより鈍らせていく。
 更に……。
「……Freeze Shot!」
『スプラッシュ』の先端でウィリアムが描き出した青い魔法陣から無数の氷柱が解き放たれてデュラハンの体を貫いた。
「がぁ! 貴様達……!」
「悪いね、ボク達は1人じゃ無いんだよ」
 殺意を込めた眼差しで睨付けてくるデュラハンにそう返して、氷柱に貫かれ仰け反るデュラハンの隙を見逃さず『アヴェンジングフレイム』から、特大の火炎弾を撃ち出すスミコ。
 着弾するや否や轟音と共に大爆発を起こしたそれに全身を焼かれるデュラハン。
 何とか踏みとどまりながらも、あまりにも目映い爆発に視界を思わず手で覆う。
 その隙を、つかさは見逃さなかった。
(今が……好機ね……!)
 一瞬その身を引き、トンっ……と、大地を蹴り、天空へとその身を翻すつかさ。
 視界を取り戻したデュラハンが自分の前から居なくなった相手が空中に飛んでいるのに気がつき、それを追うべく同じく大地を蹴ろうとしたその時、ずっとこの場を覆っていた爆発的な殺気が凝縮され、殺意の塊と化し娘がそれよりも早く高速で動き出している。
「アハハッ! ボクの事を忘れられたら困るのよね!」
 ジリジリと、自分の命が削り取られていくその感触と、ボタボタと自分の体から血が滴り落ちる感触を存分に味わいながら、疾風の如き速さで肉薄しつつ、自らの血をサイキックエナジーを使用してどす黒い血色の槍を作り出してデュラハンの瞳に向けて突き出す。
「ちっ……!」
 ミアスのユーベルコードと、ウィリアムの氷属性の魔法で右腕が鈍っているのに気がつき、やむなく銃を持つ左手で鮮血槍による一撃から急所を庇うデュラハン。
 鮮血槍が銃事その掌を貫いてその生き血を吸い取らせる。
「ボクの殺人技芸は血液操作、特に血液の武器化なのよね! 六六六人集というかヴァンパイアみたいだけど、これは母親の遺伝かしらね?」
「……理恵」
 ハァ、と疲れた様に溜息をつきながら、Weißを槍形態へと戻して握り直しながら複雑な表情を浮かべる姫桜。
 だが、既にデュラハンはかなりの重傷を負っている。
 あと一息と言ったところだろう。
 そう思い、姫桜が気を取り直して二槍を構え直した、正にその時。

 ――パリィン!

 まるで、硝子が砕け散ったかの様なそんな幻聴を、姫桜は確かに聞いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『アルダワ式・魔法蒸気温泉』

POW   :    熱い湯やサウナに長く漬かり疲労回復

SPD   :    たっぷりの泡で全身を洗ってピッカピカ

WIZ   :    魔力も込めたミストで身体の芯から疲れを追い出そう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ――その時、デュラハンはそれを存分に味わっていた。
 それは、自分の中から大切な何かが欠けていく音。
「が……ガァァァァァァ!」
 ――消える、きえる、キエル。
 自分の中の大切な『記憶』が消えていく。
 それは恐らく彼にとって最も大切な、記憶。
 けれども、例えそれを失ったとしても。
「私は……貴様達を……!」
「これだけの攻撃を食らって、まだ生きているの?!」
 スミコが思わず目を見開くが、同時にデュラハンの中に宿っていた光を見て、静かに首を横に振る。
 その目はもう、ただ復讐だけを映し出していて、それ以上のものは感じられない。
(……でも……だからこそ……!)
 上空へと飛び上がっていたつかさが零式・改二と、歯噛剣を大上段に構えたままに一気に滑空。
『重剣術奥義……この剣に、打ち砕けぬもの無し!』
 ――これで、決める。
 つかさの強い意志の籠められた双剣が、つかさの想いと共に振り下ろされた。
 ただ、重量級の双剣を力任せに振り下ろすだけの、その一撃。
 けれどもそれは……たった今、記憶を失うことで自らの体力を取り戻そうとしたデュラハンの全身を切り刻むに足りた。
 吸い込まれる様に両肩から脇腹に掛けて滑り込む双剣の刃。
 最後までつかさが振り抜き切り、その大地に刃が埋め込まれた、まさにその時。
「が、ガァァァァァ……!」
 デュラハンがただ憎しみだけを兼ね備えた怪物が絶叫をあげて地に沈んでいく。
 そして血に倒れ伏したまま動かないデュラハンを見て、そっと額の汗を拭きながら、ウィリアムがポツリ、と呟く。
「終わり、ですか? まあ学園の存在意義として、この先も戦い続けないといけないんですが」
 その呟きは、風に乗って流されて、消えた。

 ――こうして、デュラハンとの戦いは終わりを告げた。
 そうして地下迷宮から無事に出てきた猟兵達を、魔法学園の生徒達が笑顔で出迎えてくれる。
 君達は、無事に任務を完了させたのだ。
「皆さん。よろしければアルダワ魔法学園名物アルダワ式蒸気温泉に入っていって下さい」
 学生の呼びかけに応じて猟兵達が戦いの疲れを癒すべく温泉へと向かう。
 猟兵達よ、此度の戦いは終わった。

 ……今は、束の間の休息を楽しむと良い。
ウィリアム・バークリー
皆さん、激戦お疲れ様でした。
まずは生まれながらの光を照射しますので、傷や疲れを癒やしてください。

さて、温泉かぁ。下のフロアとのつながりがどうなっているのか気になるけど。
まあ、頑張ったぼくたちへのサービスだと思えば。
にゃんこ水兵の生き残りがいたら、一緒に入ってみたいですね。
戦いが終わればノーサイドです。

あ、ひょっとして混浴です?
水着持ってきてないんですが……。
はい、タオルで何とか隠します……。
女の子たちには「優しさ」を見せて、側へ寄らせてもらいます。
本当、大変な戦いでしたね。無事に討滅出来てよかったです。

姫桜さん、理恵さんもお疲れ様で。
これからもまたお会いしそうな予感がします。その時はよしなに。


彩瑠・理恵
姉さん(f04489)と一緒にお風呂です。

漸くリエが身体返してくれました……最後にトドメ刺し損ねたと拗ねてましたけど、本当に無茶してくれました。
身体があちこち痛いです。特に撃たれた肩と痣になった胸。

姉さんと一緒に入るのですか?久しぶりな気もしますし、そうでもないような気もしますね。
洗ってくれるなら嬉しいですね。お返しに私も姉さんのこと洗いますよ。洗いっこは流石に久しぶりですね。

そうですか?
姉さんだって、スタイルいいですよ。母さんそっくりで、母さんの若い頃の写真と生き写しじゃないですか。
姉さんは、本当に可愛いですね。大好きですよ(あわあわしてる姉にクスリと微笑み)
さ、髪洗ってあげますよ、姉さん。


荒谷・つかさ
温泉か……いいわね、私も入っていくわ。
そういえば蒸気温泉っていうのは初めて聞くけれど、どのような温泉なのかしら。
まあ、入ってみればわかるわよね。

さて、戦いは終わったけれど。
遅れて来たんだし、お湯に浸かりながらもう少し仕事もしていこうかしら。

皆から離れた場所で、湯に浸かって瞑想しながら【怨霊降霊・迷晴往生】を発動。
あの戦場で死んで私達にくっついて来ちゃった霊達を、一身に集めるわ。
恨み、怒り、憎しみ……そんなものを抱いたままの霊は何処にも行けなくなってしまう。
だから。

水に流せ、とまでは言わないけれど。
私の身体を通して湯に浸かり、共に安らぎましょう。
そうしたら、悪い物は置いて、天に昇れるはずだから。


彩瑠・姫桜
理恵(f11313)と

そういえば、姉妹でお風呂っていつぶりかしら
さっきの戦いでもだいぶ怪我したんじゃない?
私、洗ってあげるわよ?

それにつけても…理恵、スタイルいいわよね
特に胸とか…私、同じ位の歳の時そんななかった気がするけど
(思わずしみじみと呟くも、はた、と気がつき)
…って、べ、別に、羨ましいとかそんなのじゃないわよ?
あと、女の子同士だし変な意味なんかじゃないんだからねっ?!
(女の子同士でも姉妹でもこういう話はやっぱり照れてしまうのであわあわ)

か、可愛いくはないけど…でも、その、私も理恵のことは大好き、よ
(真っ赤になりつつもそう返し。髪を洗う、には素直に任せて)

*他の方との絡み・アドリブ大歓迎


ミアス・ティンダロス
「また、悲しい戦いになりましたね……」
ミアスはこうして呟いながら、自分と友達である星間の駿馬をたっぷりの泡で洗うだろう。
二人……一人と一匹がピカピカになったらお風呂に入る。ついさっきの戦闘が頭から離れず、悩みつつ長湯すると、のぼせてしまった。




「皆さん、激戦お疲れ様でした」
 戦いが終わり、迷宮から上がってきた所で、ウィリアム・バークリーが呟く。
「漸くリエが体を返してくれました……」
 最後にトドメ刺し損ねたと拗ねてましたけど、とぼやきながら体中の点検を行うは、彩瑠・理恵。
(本当に無茶してくれましたね……リエ)
 気のせいじゃ無い、体のあちこちがズキズキ痛む。
 特に……撃ち抜かれた肩と痣の出来ている胸の痛みは筆舌に尽くしがたい。
「一先ずお疲れ様ね、理恵も、ウィリアムも」
 彩瑠・姫桜が自分の体を点検する理恵の背を優しく撫でる様にしながら頷き掛けていたが、共に迷宮から上がってきたミアス・ティンダロスは何処か浮かない表情を浮かべている。
(温泉か……いいわね、私も入っていくわ)
 他にも少しやることがあるしね、と荒谷・つかさが内心で一人呟きつつ軽く肩を解していた。
「折角ですし、温泉に入る前に、少し傷を癒していきましょう」
 つかさ達の様子を見ながらウィリアムが頷き、胸元で両手を組んで術を詠唱。
「……Heal Right」
 ウィリアムが締め括る様に口にそう言葉を載せたその時、聖なる光が理恵達を包み込み、其々の体に出来た傷を癒す。
 最も……心の傷や、精神的な傷までは癒えないけれども。
「ありがとうございます」
「大分楽になったわね。……い、一応御礼は言っておくわ」
「姉さん、そんなに照れなくても……」
 ウィリアムの生まれながらの光に包み込まれて形容しがたい痛みが多少引いた理恵が素直に一礼し、微かに頬を赤らめ目を逸らす姫桜。
 そんな姫桜に理恵が穏やかに微笑みかけている。
(これでは……どちらが姉なのか分からないですね)
 徒然無くそんな考えがミアスの脳裏を過ぎるが、直ぐに先程まで戦っていた敵……デュラハンの事に思い当たり再び表情を曇らせてしまう。
(まあ、話し合いの通じる相手じゃ無かったけれども、ね……)
 戦いの初め、デュラハンを説得しようとしていたミアスの姿を思い起こし内心でそっと溜息を一つつくつかさ。
 肩に伸し掛かってくるそれが、殊更重く感じられ軽く頭を振った。
「応急処置も終わったし、温泉に行かない? その方が疲れも取れるわよ」
「あっ……はい、そうですね。それでは、行きましょうか」
 つかさの言葉にウィリアムが同意と頷き返し、姫桜達は迷宮入口を後にして、蒸気温泉へと足を運んだ。


(流石に今回の水兵にゃんこさん達の中に生き残りはいませんでしたか)
 微かに羞恥からだろうか、頬を赤らめてタオルを巻いて温泉に浸かったウィリアムが息を一つ。
(蒸気温泉って初めて聞いたけれど、こういう温泉の事だったのね)
 学園側で用意されていた浴衣に身を包んで温泉の様子を見たつかさが、ふむ、と一人納得した様に頷いていた。
 何の事は無い、アルダワ魔法学園名物アルダワ式蒸気温泉とは、蒸気に水を通して一定の成分を与え、サムライエンパイア等でよく見られる温泉と同じ効能を持つ温泉を人工的に作った通称、造成温泉と呼ばれるものの事だった様だ。
 チャプン、と足を付ければじんわりと湯の温かみが全身に染み渡り、なるほど、疲れた体を癒してくれる。
(さて、戦いは終わったけれど)
 全身を湯船に浸し、ゆっくりと肩や腕、足等を揉んで体を解しながらつかさはふぅ、と息を一つ。
 軽く回すが、やはり肩には鉛の様に重い何かが伸し掛かったままだ。
 それは、重量級の武器を人並み外れた怪力で振り回しただけでは決して感じない重みだろう。
(遅れて来たんだし、お湯に浸かりながらもう少し仕事もしていこうかしら)
「つかささん、どうかしましたか?」
 隣でお湯に浸かり、軽く小首を傾げて問いかける理恵に、つかさは軽く頭を振る。
 少しだけ怪訝に思う理恵だったが、その時。
「理恵、さっきの戦いで傷だらけになっちゃったでしょ? 折角だから洗ってあげるわよ」
「あっ、姉さんが洗ってくれるんですか? それは嬉しいですね。それなら私も姉さんの事洗いますよ。行きましょうか」
 姫桜の呼びかけに応じて理恵がそそくさと浴衣を身に纏ったまま、姫桜と共にお湯を出る。
 その様子を見送ってから、つかさはウィリアム達から見ることが出来ない、少し離れた所に陣取り、湯船に浸かったまま静かに瞑想を始めた。
(『無念を抱く迷える魂よ、我が元へ集え……お前たちの怒りも悲しみも、全て私が受け止め、晴らして見せよう!』)
 そう心の裡で自分達にくっついてきてしまった霊達に一斉に呼びかけて。
 それは……つかさなりの、供養の祈り。
 姫桜達が気付かぬその間に、霊達が自分の周囲に群れを成して集まってくるのを肌で感じる。
 肩に掛かっていた重みが、更に重さを増した。
(……やっぱりね)
 集まってくる霊達が訴えかけてくる恨み、怒り、憎しみ……様々な負の感情を感じ取りながら、つかさは思う。
 そんなものを抱いたままの霊は何処にも行けなくなってしまうと言うことを。
 それは自分達の所業であり、また過程はどうあれ、彼等の命を奪ってしまった事は自分達の罪だ。
 ――だから。
(水に流せ、とまでは言わないけれど……私の身体を通して湯に浸かり、共に安らぎましょう)
 霊達と共に湯浴みをしながらつかさはそう告げる。
 そうしたらきっと、悪い物は置いて、天に昇れる筈だから。
 そう信じて……つかさは静かに湯船に身を肩まで浸し、願いを籠めて天を仰いだ。


 ――丁度その頃。
「また、悲しい戦いになりましたね……」
 エルダーコアからその霊を呼び出すこともある自らの友である星間の駿馬の体をわしわしと洗いながらミアスは誰に聞こえることも無い小声で溜息を交えつつ小さく呟く。
「ギルァ?」
 状況がよく飲み込めていないのだろう。
 怪訝そうな鳴き声を上げる星間の駿馬に淡く微笑みながら、ミアスはゴシゴシと一所懸命に友を洗い続ける。
(可能であれば、話し合いで解決できれば良かったのですが……)
 あまりにも深い憎悪の前には、正論も意味を成さない。
 人は……いや、生物は。
 分かり合う事も出来る筈なのに、自らが抱く感情にその身を委ね、そして同じ過ちを繰り返す。
(或いは……)
 ただ、憎しみがその連鎖を生み出さないという正論を語る以外にも、良い手段は無かったのだろうか。
 師であるシャオが掲げていた理想……UDCとの共存という想いを受け継ぎ、けれどもその為の最良の手段も思い浮かばずその手に彼等をかけ続けてきたミアスの中には、そんな思いが常に影の様に自らの思考の隅に付き纏っていた。
「ぐるぅ」
「あっ……終わりましたね。それじゃあ、入りましょうか」
 星間の駿馬もミアス自身もピカピカになるまで汚れを洗い落とした所で湯船に浸かる。
 そうして湯船に浸かっていても、先のデュラハン達との戦いの記憶は、ミアスの脳裏で渦巻き続けていた。
(僕達は、やはり彼等に憎まれるのでしょうね……)
 それが焼け付く様な胸の痛みを感じさせ、ミアスは軽く頭を振る。
 そんなミアスの想いを具現化する様に、両肩に重石の様に重圧が伸し掛かっていた。
(……あれ……?)
 徒然無くそんな事を考えている間に、それまで肩に掛かっていた重石が取れる様な、そんな錯覚を覚える。
 それはつかさのユーベルコード、怨霊降霊・迷晴往生(レイヴ・レイド)がミアスの肩に載っていた霊達を呼び寄せたが故なのだが、今のミアスにそれを知る由は無い。
 ただ……肩が解れた、と感じながらもそもそも上手く折り合いを付ける方法を提案して交渉に成功すれば、デュラハン達とも戦わずにすんだのではないかと言う想いを、まるで自分の棘を足に刺すハリネズミの様に考え続ける。
 そうやって考え続ける間に……ミアスは温泉に上せてしまい、顔を真っ赤にして目をぐるぐる回してしまった。
 獣耳がだらしなく垂れ下り、更に星間の駿馬も一緒に上せて目を回してしまっている事等、知る由も無く。


「そう言えば姉さんと一緒に入るのって、何時ぶり位でしょうか? 久しぶりな気もしますし、そうでもないような気もしますね」
「そうね……私もそんな感じだわ」
 背中をゴシゴシと洗ってやりながら、理恵の問いに答える姫桜。
 まるで綿飴の様にワシャワシャと泡が立ち、その泡が湯船に浸かっているウィリアムの視線を遮ってくれる。
 別にやましい気持ちは無さそう(寧ろ混浴を恥ずかしがっている程)ではあるが、仮にあったとしてもこれでは此方をマジマジと眺めることなど出来ないだろう。
「でも、洗いっこは流石に久しぶりですよね」
「ええ……そうね」
 あどけない童子の様に笑う理恵に、姫桜が気恥ずかしくも嬉しそうな笑みを浮かべてコクり、と首を縦に振る。
 お湯を使って石鹸を洗い流し、鏡越しに理恵の姿を頭から足先まで眺めた姫桜が、ふと一点に目を留めて溜息を一つ。
「それにつけても……理恵、スタイルいいわよね」
「そうですか?」
「そうよ。……特に……」
 キョトンと青い瞳を瞬かせる理恵に息をついて返す姫桜。
 姫桜の瞳は理恵の2つの膨らみのある部分――因みにまだ紫色の痣が浮かんでいる――に釘付けになっていた。
「胸とか……私、同じ位の歳の時、そんな無かった気がするけど」
 4年前の自分の事を思い出しつつポツリと呟く姫桜。
 そこでふと、ある事に思い当たり一人で顔を真っ赤にして言い訳を始める。
「……って、べ、別に、羨ましいとかそんなのじゃないわよ? あと、女の子同士だし変な意味なんかじゃないんだからねっ?!」
 姫桜の様子に、指を唇の上に当てて小首を傾げる理恵。
 こうして自分の背中を洗い流しつつ慌てふためく姉の普段の姿をくっきりと脳裏に思い起こしてえ、っと、と言葉を紡いだ。
「姉さんだって、スタイルいいですよ。母さんそっくりで、母さんの若い頃の写真と生き写しじゃないですか」
「ちょ……ちょっと母さんと生き写しって……あの……り……理恵?!」
 先程から真っ赤にしていた顔をまるで茹で上がった蛸の様に真っ赤にし、頭から湯気が立ち上がらんばかりに顔を上気させ、アワアワしている姫桜に理恵がクスリ、と微笑みかける。
「姉さんは、本当に可愛いですね。大好きですよ」
「ちょっ……」
 等々限界が来たか、顔を上気させたまま姫桜が黙然と黙り込む。
 もしかして怒らせてしまったかしらと思いつつ理恵が優しく促した。
「さ、髪洗ってあげますよ、姉さん」
 促されるままに素直に交代し、母から遺伝した金の長髪……これも、母みたいな女性になりたくて伸ばしているものだ……を理恵に任せる姫桜。
 理恵が姫桜の髪を弄くり始めた所で、ポツリ、と小さく呟きを一つ。
「か、可愛いくはないけど……。でも、その……私も、理恵のことは大好き、よ」
 姫桜の呟きに理恵は嬉しそうにはにかみを浮かべ、姫桜の髪を優しく手櫛で梳いて洗い始めるのだった。


「それにしても、大変な戦いでしたね、姫桜さん、理恵さん」
 お互いの髪の洗いっこを終え、再び湯船に身を浸す姫桜達に、湯煙の向こうからウィリアムが話しかける。
「そうね。今回も大変な戦いだったわね」
「……あっ、そう言えば姉さんはウィリアムさんとは以前共闘していたんですよね」
 姫桜の同意に理恵が思い出した様に相槌を打つと、はい、とウィリアムがそれに応じる。
「それから……つかささんともです」
「そうね、そう言えばそうだったわね」
 霊達と共に湯船に浸かり、その情念を共に洗い去り一仕事終えたつかさがその声に気がつき姫桜達へと寄っていく。
 女性が3人で集まっているのを湯気の向こうで感じ取り、おずおずとウィリアムが問いかけた。
「あの……ぼくも、其方に寄っても良いですか?」
「えっ……?! ……そっ、それは、その……」
 顔を赤らめ目を逸らす姫桜にクスクスと微笑む理恵。
 浴衣を着ているのだから、裸の付き合いと言うことにはならないのだが。
「まあ、良いんじゃないかしら。別にやましい事するつもりは無さそうだし」
 つかさの呼びかけに、ありがとうございます、とウィリアムが返事を返し、おずおずと理恵達の輪に入ってくる。
 改めて浴衣で素肌を隠しながらもはっきりと浮き彫りになる姫桜達の姿を認め、ウィリアムが照れくさそうに顔を俯けた。
「どうして此方に来たいと聞いてきたのですか、ウィリアムさん」
「それは……その、改めて挨拶をしておきたかったからです」
 理恵の問いかけにウィリアムが返すと、つかさが興味が無さそうにお湯を肩から手に掛けて流し、姫桜がソワソワと落ち着き無く目を宙に彷徨わせる。
 その様子を見ながら、ウィリアムも緊張からか微かに高鳴る胸を押さえながら一つ頷いた。
「皆さんとは、これからもまたお会いしそうな予感がしますから。その時は、どうぞよしなに、と」
「……そ、そうね。その時は又宜しくお願いするわね」
「ええ、宜しく」
「宜しくお願いします」
 ウィリアムの告げたそれに、目を逸らして少々恥ずかしげに姫桜が、つかさが涼しげな表情で、そして理恵が微笑み、其々に返事を返す。
 その返事にウィリアムは自分の胸に温かいものが宿るのを感じながら……ふと、ある事に思い至り周囲を見回した。
「そう言えばミアスさんは……?」
「あら……先に上がったのかしら?」
 ウィリアムがキョロキョロするのに合わせてつかさ達も周囲を見回したその時。
 少し離れた湯気の向こうに、プカリ、と浮かび上がる一人と一頭を発見する。
「ちょ、ちょっとあれ、ミアスさんじゃ……!?」
「上せちゃったんですね」
 慌てふためく姉とは対照的に冷静に相槌を打つ理恵。
 しかし、数瞬して何が起きているのかに気がつき、慌ててミアスの方へと向かい、ミアスと既に消えかかっている星間の駿馬の霊を温泉から上がらせて介抱する。

 ――こうして、穏やかでありつつも、何処か賑やかな一時の休息はそっと終わりを告げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月12日
宿敵 『獣の侵略者『デュラン』』 を撃破!


挿絵イラスト