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禁忌の色は呪いの黄金

#UDCアース

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#UDCアース


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●ダスク・オブ・ジェネシス
 その町は田舎だった。世間一般で言うところの閑静でのどかな田舎町ではなく、寂れた過疎の町であった。
 かつて資源採掘の拠点として栄えたのはもう百年近く前のこと。年月を経る毎に人口は減り続け、近年中に消滅するのは確実と見られていた。この町に来る者はほとんどなく、出ていく人ももういない。
 それ故だろうか。魔術結社「創世の夕闇(D∴G∴)」がここに拠点を築いていることをUDC(アンダーグラウンド・ディフェンス・コープ)が察知した時には、すでに町全体がD∴G∴の支配下にあった。

 二月某日、深夜。D∴G∴が邪神遺物の保管庫として利用していると思わしき旧町立小学校へ、UDCの捜査官が潜入した。
 潜入から三十分後、捜査官との連絡が途絶。UDCの指揮官が特殊部隊を投入しての制圧策に踏み切ろうとした瞬間、異変は起きた。
 校庭に突如として強風が吹き荒れたかと思うと、校舎がピラミッド状の構造物へと変貌したのだ。
 その表面は闇夜でもわかる黄金に輝き、豪奢ながらも異様な光景を作り出している。
 いかなる超常の存在が、どのような目的でこれを作り上げたのか。
 ただ一つはっきりしているのは、この黄金ピラミッドは世界に仇なすものだろう、ということだった。

●金色の闇の中へ
 グリモアベースに集まった猟兵達の前に姿を現した神楽火・夢瑪(シャイニングナイト・f02079)は、ぺこりと一度お辞儀をするとポケットから取り出した眼鏡をかけた。
「こんにちは。今回みなさんに向かってもらいたいのはUDCアースです。邪神の仕業と思われる巨大建造物が出現したので、その中に突入して制圧してください」
 夢瑪が一同に示した写真には、市街地の真ん中にそびえ立つピラミッドが写っている。推定される大きさは底辺約二百メートル、高さ百四十メートル超。エジプトはギザの三大ピラミッドに匹敵する大きさだ。
「オブリビオンが何の目的でピラミッドを作ったのかはわかりません。どうせろくな使い道ではないと想いますが」
 グリモアによって転送された後は、現地に展開しているUDCの部隊と協力してピラミッドに侵入、内部のUDクリーチャーとオブリビオンを倒すことになる。
「夢瑪の予知では、ピラミッドの中には小型クリーチャー『パープルテンタクルズ』の群れが潜んでいます。このクリーチャーの触手には……その、ちょっと説明が面倒な性質がありまして」
 敵の能力を説明していく内に、夢瑪の頬に朱が差した。簡単にまとめると、パープルテンタクルズは人間を捕らえて常識外の悦楽を与える。逃れられなければ、いずれは体内にクリーチャーの卵を産みつけられてしまうのだ。
「まあ、そういうわけなので気をつけてください」
 こほん、と一度咳ばらいして、夢瑪は眼鏡の位置を直した。
「これが現れた町には数百人くらいの人しかいませんけど、そのほとんどがとある魔術結社の影響を受けています。ですので、邪神を倒したら速やかに脱出しないといけません」
 脱出後の合流地点は近くの山中にあるキャンプ場だ。無事に魔術結社員を振り切れれば、そこで休息を取ることができる。
「邪神との戦いは心にも負担をかけます。みなさんの回復のお手伝いができるといいんですけど」
 少し考えこむ素振りを見せた後、夢瑪は猟兵達を見回して微笑んだ。
「まあ、勝った後のことを考えるよりも勝つことを考えましょう。それではみなさん、準備はいいですか?」


中村一梟
 猟兵の皆様ごきげんよう、中村一梟でございます。
 今回の舞台はUDCアースです。ダンジョンアタックというか古代遺跡をテーマにした某アクション映画風のシナリオとなります。

●第1章
 集団戦となります。キモ系クリーチャー代表選手の触手軍団と戦っていただきます。サービスシーンは被弾OKと明記されない限り書きませんのでご了承ください。
 また「ピラミッド内部に侵入する方法」を募集いたします。侵入方法をプレイングに書いて頂いた方の中から1名様をリプレイの最初で描写しますので、何かアイデアがあれば記載してください。

●第2章
 ボス戦となります。情報は幕合で出しますので少々お待ちくださいませ。

●第3章
 キャンプ場で夢瑪やUDCの皆さんと合流した後、なぜかカレーを作って食べることになります。作る側食べる側どちらでもOKですので、ご友人ご家族とご一緒にどうぞ。
 また、このシーンでは例によってグリモア猟兵を同行させることができます。プレイングの冒頭に【神楽火・夢瑪を誘う】等と記載してください。
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第1章 集団戦 『パープルテンタクルズ』

POW   :    押し寄せる狂気の触手
【触手群】が命中した対象に対し、高威力高命中の【太い触手による刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    束縛する恍惚の触手
【身体部位に絡みつく触手】【脱力をもたらす触手】【恍惚を与える触手】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    増殖する触手の嬰児
レベル×5体の、小型の戦闘用【触手塊】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月守・咲凛
共闘アドリブ被弾OK。
「なんで触手ばっかり……」
自分の依頼運にボヤきつつ戦闘準備完了。

進入路の作成は
「手っ取り早いのはこれ、かなー?」
連結火線砲をジャキンと構えて装甲ユニットの武装をフルオープン
「どーこーにーしーよーうーかーなっ?」
閉じてるドア的な形の石壁を探して、そこにピンポイントで全弾発射します。

通路の狭さに武装の選択に悩みながらビームダガーを選びますが、そもそも飛び回れない場所ではあまり力を発揮できません。
触手に捕まったら、くすぐられているとしか認識しないので「くすぐるのズルいです!くすぐるのナシです!」と叫びますが力が入りません。笑い声を響かせ手足をバタバタさせて触手に呑まれていきます



 冬の夜空にそびえ立つ黄金四角錐。月光を反射して鈍く輝くそれを眺めて、月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)は首を傾げた。
「手っ取り早いのはこれ、かなー?」
 両手に構えた銃を金色の壁に向ける。
「どーこーにーしーよーうーかーなっ?」
 閉ざされた門を発見、ロックオン。
「武装ユニット全開放、撃ちます!」
 引き金を引くと同時に、咲凛が身にまとった装甲の各部が展開。ビームに続けて砲弾が、砲弾に続いてミサイルが黄金ピラミッドを揺らす。
 縛煙が吹き払われると、集中砲撃を受けた壁の一点にぽっかりと穴が空いていた。
 黒々としたそこを覗きこむと、意外に幅のある通路と、そこにひしめく毒々しい紫色をした触手の群れが見えた。
「なんで触手ばっかり……」
 ぼやきつつ内部へ突入し、咲凛はビームダガーを抜いて迫ってくる触手を切断。だが、本領たる空中戦に持ちこめない状況では長くは持たない。
「ひゃっ!?」
 咲凛の手足に触手が絡みつく。装甲から露出した肌を撫でられると、くすぐったさに似た感覚が広がっていく。
「くすぐるのズルいです! くすぐるのナシです!」
 笑い悶えながらも咲凛はダガーを振り回し、なんとか触手の数を減らしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メルヴァ・ローズリオ
アドリブ・他の猟兵さん達との協力大歓迎。被弾OK。ばっちこい。

ピラミッドには通気口があるって聞いたけど、流石に入れないかな?

触手か………予知でしか見たことないや。とりあえず引き千切ってみよう。再生とかしたら面白そう。

ダーインスレイヴで触手を叩き斬って潰していく。触手達の攻撃は剣で受け止めて、従属の蝙蝠達をデコイにしてうまく切り抜ける。

激痛耐性はあるけど、重たい一撃は喰らいたくないね。拘束は………なるべく捕まらないようにダッシュで避けるしかないかなぁ。呪詛とマヒ攻撃も織り交ぜたいけど、効果はあるのか?

私もそのちっちゃい触手欲しい、ということで貰う。UC【泡影ノ覚】でコピーして、使ってみる。



「触手か……予知でしか見たことないや。とりあえず引き千切ってみよう。再生とかしたら面白そう」
 メルヴァ・ローズリオ(強き意志を喰らう弱き捕食者・f12398)が無造作に手を伸ばす。だが、触手はするりとその指の間を抜け出し、代わりに彼女の体を強かに殴りつけた。
 小柄な体が壁に叩きつけられる。痛みに耐えて体勢を立て直した時には、小型の触手塊に囲まれていた。
 無数の触手がメルヴァに殺到する。蝙蝠を囮にしつつ走るが、振り切れない。
 何とも知れない粘液にまみれた触手が細い首に巻きついた。大きさからは想像もできない程の力で締め上げられる。
 遠ざかろうとする意識を必死に引き止めながら、メルヴァはか細い声でユーベルコード「泡影ノ覚(ホウエイノサトリ)」を発動させた。
「あなたの記憶も、心も、全部……私のもの」
 全身に絡みつくものと同じ触手塊が召喚され、メルヴァを縛めから解放する。彼女が荒く息を喘がせている間に、触手塊が互いを食らい合って次々と消滅していった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

花鶏・美珠
(最初から仮面をつけた人格…『アトリ』の状態で)

おーおー立派、アレでなければ採って換金してぇレベル!
んで、侵入方法?んー…初っ端から中にモブいんならどっかに
通気口とか外侵略用の出入り口とかあんじゃね?
部隊の連中と一緒にソレ探してそっから入るか力自慢なヤツに頼んで
ガツンと突破ってな♪

あー…コイツの子供作るとかガチで勘弁…つーわけで【先制攻撃】に
【早業】、当然【呪詛】も使って【呪殺群刃】で攻撃。
オマケで万が一の保険に【呪詛耐性】も使用しとくか。
動き封じれば少しはラクになんだろってな。ヤられる前に殺ってやらァ!

※アドリブ・絡み歓迎



「おーおー立派、アレでなければ採って換金してぇレベル!」
 中まで黄金が敷き詰められたピラミッドを見て、仮面を着けた花鶏・美珠(ミステリアスワンダラー・f13026)は声を上げた。今の彼女は「アトリ」、本来の「美珠」に代わって荒事をこなす人格だ。
「あー……コイツの子供作るとかガチで勘弁。ヤられる前に殺ってやらァ!」
 アトリが手にしたダガーを投げ放った。呪詛がこめられたそれは空中で数を増やし、十一本の刃が闇に舞う。
「避けれるもんなら避けてみなァ!」
 アトリの「呪殺群刃(キリングラプソディ)」に対して、パープルテンタクルズが反撃の触手を放つ。
「この……ッ!」
 身体部位に絡みつく触手が四肢を拘束。
「どこ触って……!」
 恍惚を与える触手が集中力を奪い、ダガーを操る念力を途切れさせる。
 そして脱力をもたらす触手がアトリの意識を奪い、ユーベルコードを封じた。代わりに表出したのは美珠の人格である。
「何これ!? やだ、気持ち悪い!! 嫌、いやああぁぁぁっ!!」
 灰色の瞳から涙が溢れ、美珠は悲痛な叫びを上げる。が、その声もすぐに途切れてしまった。

失敗 🔴​🔴​🔴​

苧環・つづら
(突入直後に、響いた悲鳴)
……迦河稚ちゃん、一切合切殲滅宜しく。

――“女性(にょしょう)の敵に情けなど皆無、膾斬りに致しましょう。”

勿論最初の膾切りは悲鳴の在り方と決まっております。
マヒ攻撃・鎧無視攻撃・衝撃波を載せて切り刻み、
其処に在る筈の悲鳴の主の手を掴み引き抜くと共に、
念には念を入れ、鎮魂花召喚で周囲諸共吹き飛ばして差し上げましょう程に。
……木っ端風情よ、微塵に還れ。

残像・見切り・フェイント・カウンター、全て用いて掠りもせぬ戦いを。
何よりつづら殿も大変立腹しておられる御様子なれば、容赦など致しますまい。



 黄金ピラミッドの内部に踏みこんだ苧環・つづら(残響にて紡ぐ円環・f06155)の耳に、遠く悲鳴が聞こえてきた。
「……迦河稚ちゃん、一切合切殲滅宜しく」
 呟いて、つづらは瞳を閉じた。同じ唇で応え、瞼を開くのはもう一人のつづら――迦河稚である。
「女性(にょしょう)の敵に情けなど皆無、膾斬りに致しましょう」
 手にした白刃に劣らぬ鋭い視線を怪異に向けて、迦河稚は悲鳴が聞こえてきたほうへと進む。その行く手を遮るように、パープルテンタクルズが触手の嬰児を召喚した。
 迦河稚が直刀を振るい、衝撃波を放って小型触手塊を吹き飛ばした。だが、触手の嬰児は次から次へと湧き出すように現れ、まとわりついてくる。
「……木っ端風情よ、微塵に還れ」
 迦河稚は苛立ちの混じった言葉を吐いて、剣を正眼に構えた。その刃が突如として無数の花弁へと変わり、闇の中を舞い踊る。
「……今一度、咲き誇る様を此処に」
 ユーベルコード「鎮魂花召喚(サモニング・レクイエム)」の波涛が怪異の群れを飲みこみ、砕き、押し流す。
 霊体の花びらが再び剣の姿に戻った時、触手の嬰児とその「親」たる触手の姿は通路から消えていた。迦河稚は他の触手に捕らえられているであろう仲間達を救出すべく、通路の奥へと進んでいく。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ノイ・グランガイオス
アドリブ可、被弾OK

ふわー、でっかいピラミッドやな。頭つっかえへんから助かるわぁ。
さて、まずは触手軍団の駆除かー。…見るからにキモくてかなわんなぁ。

とはいえ、手持ちに刃物がないから近接戦闘はしたないな……
レーザーファランクスで灼き払ったる!

「まとめて刻んでタコ焼きにして食っ……たら腹壊しそうやな……」

敵を【おびき寄せ】つつ触れさせへん距離から全身からのレーザーの槍衾で面制圧や!
討ち漏らしも熱線銃の【2回攻撃】や【踏みつけ】で駆除するで!

・被弾した場合
うっひゃ!? ちょ、ちょお待ちーやっ お触り禁止やっちゅーに!
【カウンター】【吹き飛ばし】で引きはがせたらええけど…



「ふわー、でっかいピラミッドやな。頭つっかえへんから助かるわぁ」
 邪神のピラミッドを見上げていたノイ・グランガイオス(ごっつウォーましん・f08595)は視線を転じ、壁面にぽっかりと口を開けた穴へとその身を滑りこませた。
「さて、まずは触手軍団の駆除かー」
 床、壁、天井にひしめくパープルテンタクルズと対峙するノイ。ずるずると粘着質の音をたててうごめく触手塊の姿は、生理的嫌悪感を催させるには十分にすぎた。
「……見るからにキモくてかなわんなぁ」
 げんなりした声を上げた瞬間、ユーベルコードによって召喚された小型触手塊が降ってきた。咄嗟に拳を繰り出すも、その腕に触手が絡みつく。
「うっひゃ!? ちょ、ちょお待ちーやっ! お触り禁止やっちゅーに!」
 体は鋼鉄でも心は乙女。おぞましい触手が装甲の表面を這い回る様に、ノイは上擦った声を上げた。
「こんにゃろ、まとめて刻んでタコ焼きにして食っ……たら腹壊しそうやな……」
 そもそもタコじゃないということはさておき。ノイは触手を引き剥がすと装甲を展開し、その下に備わった砲口を露わにした。
「全砲門解放! ってぇーっ!」
 ノイの全身が光を放つ。シャワーのように撃ち出されたビームが槍衾となり、群れなす触手を貫いていく。
「いっちょあがりや! よっしゃガンガン行くで!」
 放熱によって生じた水蒸気の白い尾を引きつつ、ノイは残った触手塊に向かって突き進んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シーザー・ゴールドマン
【POW】
「D∴G∴、黄金の夜明け系か。
 いや、邪神関連なら銀の黄昏系の方が相応しいかも知れないね」

猟兵によって開けられた穴より侵入

戦術
敵が射程範囲に入り次第、『ソドムの終焉』で全て焼き払う。
耐えて迫ってきた場合はオーラセイバーを振るって迎撃。
「触手と戯れる趣味はないのでね」

オーラセイバーでの攻撃面は
『2回攻撃、怪力、フェイント、見切り、第六感、カウンター』等を活用
防御面は基本的に『第六感、見切り』で回避または受け流し
『オーラ防御』で全身を覆っています。



 暗闇に覆われた黄金ピラミッドの内部を、一人の男が進んでいく。
「D∴G∴、黄金の夜明け系か。いや、邪神関連なら銀の黄昏系の方が相応しいかも知れないね」
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)の金色の目が不敵に光る。掲げた左手の掌の上で、集束していく魔力が渦を巻く。
「邪魔だな」
 呟いて、シーザーは手の中の魔力を解放した。「ソドムの終焉(デウス・ラディウス)」。魔力の渦が閃光へと姿を変え、黄金の壁を漂白した。背徳なるものを滅ぼす点の火がひしめく紫色の触手塊を飲みこみ、瞬く間に塵芥と化さしめる。
 ふっ、と短く息を吐いたシーザーの右手が翻り、オーラセイバーを顕した。
「触手と戯れる趣味はないのでね」
 ユーベルコードの射程外にいたパープルテンタクルズが伸ばしてきた触手を切り払い、返す刃で核を貫く。暗がりに鮮やかな光の軌跡が描かれ、群れなす怪異は雑草のように刈り取られていった。
「……あれは」
 シーザーは見た。通路の終点、精緻な浮き彫りが施された黄金石の扉がある。
 彼の視線に気づいたわけでもないだろうが、群がる触手塊がその扉の表面を覆いつくしていった。
「あそこがゴール、というわけか」
 口の端に笑みを刻み、シーザーは光の剣を手に最奥を閉ざすパープルテンタクルズへと向かっていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
【被弾OK】

うっわー、もう一押しってとこかい。
それならアタシも……って触手かよ!
こいつら割とすばしっこいんだよなぁ!
とにかく【サイキックブラスト】で散らしていくよ!
雰囲気出すために探検家スタイルに『変装』しとくけど、
下手すりゃ裾や襟の隙間から潜り込まれねぇか!?
そうなったならちょっとの被害は『覚悟』の上で、
自分もろとも触手どもを吹き飛ばして進むよ!
ちょっとのダメージなら『激痛耐性』と『電撃耐性』で
何とかできるからね!

え?服がボロボロ?見えそう?
言うなバカー!!



 数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)はサファリハットのつばを摘んで持ち上げ、壁に空いた大穴から黄金ピラミッドの内部を覗きこんだ。
 彼女が手にした金属製懐中電灯の明かりが左右に動き、猟兵達とUDCとの激戦の跡を照らし出す。
「うっわー、もう一押しってとこかい。それならアタシも……」
 表情を引き締め、多喜は回廊に踏みこんだ。ブーツの底が黄金の床を叩き、硬い音を立てる。
 何かが近づいてくる気配を感じ、多喜は明かりをそちらに向けた。
 ずるずると音を立てて這い寄ってくる、紫色をした触手の群れ。数十匹の蛇が絡み合っているような光景に、多喜は思わず声を上げる。
「って触手かよ! こいつら割とすばしっこいんだよなぁ!」
 その言葉通り、外見からは想像もできないような俊敏さでパープルテンタクルズが体を伸ばしてくる。多喜はその触手を、念動力を纏った両手で迎え撃った。
 稲妻が弾け、触手が焼け焦げて吐き気を催す臭気を上げた。どうやらこの攻撃は効果的らしいと彼女は続けて拳を振るう。
 そうして触手塊を薙ぎ倒しながら進んでいくと、急に目の前から怪異の姿が消えた。掌から放たれた電撃が暗闇へと吸いこまれる。
「全部倒したか……?」
 多喜は首を傾げながら一歩踏み出した。
 靴底が踏んだのは硬い床ではなく、柔らかくそして濡れた感触の何か。
「しま……っ!?」
 気づいた時にはもう遅かった。紫色の触手が足首に巻きつき、そのまま上を目指して昇ってくる。拘束しつつもどこか愛撫を思わせるその動きに、多喜の背に戦慄が走る。
「あたしは……そんな安い女じゃねえっつーの!」
 吠えて、多喜は自らの胸に両手を叩きつけた。念動力が電撃へと転化され、彼女の体を伝って触手を焼く。
「……な、なんとか……なったか?」
 耐性のある装備とはいえ、雷が肉体を通っていく時の痛みは小さいものではない。多喜は息を荒げつつ立ち上がり、回廊を奥へと進んでいった。
 電撃の余波で服が破れ、刺激の強い有様になっていることに彼女が気づくのは、数分後他の猟兵と合流してからのことである。
「え? 服がボロボロ? 見えそう? 言うなバカー!!」
 触手に襲われた時よりも大きな悲鳴が響いたとか響かなかったとか。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『イネブ・ヘジの狂える王』

POW   :    アーマーンの大顎
自身の身体部位ひとつを【罪深き魂を喰らう鰐】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    カイトスの三魔槍
【メンカルの血槍】【ディフダの怨槍】【カファルジドマの戒槍】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    ネクロポリスの狂嵐
【腐食の呪詛を含んだ極彩色の旋風】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・綺里枝です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●黄金玉座の狂王
 紫色の怪触手の残骸がぼろぼろと剥がれ落ちていく。
 そして、ピラミッド最奥の閉ざされていた黄金扉は猟兵達を招き入れるように、ゆっくりと開いていった。
 扉の向こう、最奥たるその広間は、ほぼ正確な正方形をしていた。回廊と同じく黄金の壁には古代の象形文字が刻まれている。それらのヒエログリフがいかなる文章を形作っているかは定かではなく、たとえ高度な専門知識を持っていたとしても読み解くのは特大の危険を伴うことが容易に想像できた。
 ここは古代より蘇りし邪神、オブリビオンの巣なのだから。

「侵入者よ」
 猟兵達に呼びかける声がある。見れば、広間の中央に設えられた華美な造りの椅子に一人の男が座していた。
 それは異相の男であった。浅黒い肌に漂白された絹糸のような髪、金糸が織りこまれた砂色の衣を身にまとっている。
「此処は我が揺籃の間である。我に奉仕せんとする者でなくば疾く去れ」
 青白の瞳は自らが失った過去を見つめていた。
「幾星霜の時が流れた。我が王国は既に砂塵の果てに消え、我が財も散逸した。されど、我が胸に未だ志は有り」
 男の言葉が、がらんとした広間の中に響く。陶酔と狂気がない交ぜになった声が猟兵達の精神を蝕み、首を絞められるような圧迫感を与えてくる。
 プレッシャーを降りきって、猟兵達は一歩踏み出した。それを見た男の唇が歪み、三日月を形作る。
「愚かな」
『イネブ・ヘジの狂える王』は手を翻した。左の手が鰐の頭へと変わり、魂を喰らう牙を打ち鳴らす。右手には凶々しい装飾が施された三色の槍。そして、玉座に座ったままの狂王の周囲には呪詛を宿した風が渦を巻く。
「汝らの魂を、我が復活と我らが神への贄としよう」
 嘲笑を浮かべ、オブリビオンとなって蘇った古代の王は猟兵達に向けてユーベルコードを解き放った。
ボーリャ・コータス
我らが神って、このオワタ王みたいな人の上に
まだ邪神とかいるのかしら。
そんなの呼ばれても面倒だし、このピラミッドもなんか邪魔だし
早々に現世から退去願おうかしら。

紫電疾駆で攻撃します。
全力魔法22、属性攻撃20、高速詠唱15で火力を上げつつ
第六感14、世界知識13、情報収集3で弱点をチェックして
2回攻撃3で追撃します。

あなたたちの時代、雷は神の怒りとか、そんなのじゃなかったかしら。
いまこの世界の人類は雷を操って生活を豊かにしている。
そして未来にはもっと発展した使い方をしてるでしょうね。
世界の歩み、止めさせないわ



(我らが神って、この人の上にまだ邪神とかいるのかしら)
 玄室の中に巻き起こった極彩色の嵐から距離を取りつつ、ボーリャ・コータス(極光の17番・f02027)は小さく首を傾げた。
(そんなの呼ばれても面倒だし、このピラミッドもなんか邪魔だし)
 内心で呟きつつ、両手を前に差し伸ばす。しなやかな指が踊るように動いた。
「早々に現世から退去願おうかしら。少し環境変数を変えて……プログラムコード改変、アクセス!」
 ボーリャの詠唱で、腐食しかけた空気が改変されていく。狂える王が呼んだ万色の呪いに対して、彼女が放つのは輝く白光。
「あなたたちの時代、雷は神の怒りとか、そんなのじゃなかったかしら。いまこの世界の人類は雷を操って生活を豊かにしている」
 九十五の稲妻が宙を駆ける。まだらの疾風と激突。呪詛を焼き払いながら貫通、オブリビオンに襲いかかった。
「そして未来にはもっと発展した使い方をしてるでしょうね」
 ユーベルコード「紫電疾駆」の直撃を受け、イネブ・ヘジの狂える王の玉座が燃え上がった。だが、そこにオブリビオンの姿はない。蘇った狂王は火の粉を払いつつ、冷えきった視線をボーリャに向けた。
「雷が何であるかと理屈を付けたところで、所詮は愚民の浅知恵。それでは世界は動かせぬ。世界を動かすのはただ、王たる者の意思のみ」
 自分こそが万物の中心と言ってのける傲慢さ。それこそが彼の狂気の源なのだろうか。
「世界の歩み、止めさせないわ」
「違うな。我が歩んだ後に世界がついて来るのだ」
 あらゆるものを見下し嗤う王に、ボーリャは真っ向から立ち塞がった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノイ・グランガイオス
まあ、ピラミッドやし王様やろうなと思ったわ。
「ウチらはピラミッドの侵入者やけど、あんたも世界の侵入者やからね?」
恨みはないけどここで倒させてもらうで。

ここはそこそこ十分な広さがあるし、ブースターを召喚して装備、
ハイマニューバ・カスタム! 槍を避けつつヒット・アンド・アウェイや!

「壁に傷ついたらゴメンやで!
ま、あんた倒したらピラミッド消えるんやろうし一緒か!」

まだまだ敵も底が見えへんし、最初は慎重に行くで!


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

まず『早着替え』でいつもの服装に戻る!恥ずかしい!

へっ、場違いすぎるんだよアンタは。
場所も時代もな!
おとなしくこのまま今までいたトコに還っときな!

電撃で先手が打ててるのはありがたいね、
アタシも乗っからせてもらうよ!
サイキックの電撃を放って槍を弾き返したり
避けたりしながら、周囲を走り回る。
こうして攻撃を『おびき寄せ』といて隙を窺うよ。

そうだね、槍がすべて手を離れた時が狙い目かね?
聖句を唱えて【黄泉送る檻】を発動するよ!

砂塵の果てに王国が逝ったならさ、
その志も連れてってやりな。
奉仕する奴らはそこにいるんだろ?
たまには自分から行ってやりなよ、気さくなところを見せてやんな!



「恥ずかしい! もう限界だ!」
 多喜が手近な物陰に飛びこんだ。次に姿を現した時にはもう、彼女はいつものライダースーツに着替えていた。
「いやー、大変やったなぁ。もう触手なんてこりごりや」
 言いつつ、触手に締めつけられた右腕を振るのはノイである。二人は自然と顔を見合わせると、黄金ピラミッドの最奥へと乗りこんでいく。
「まあ、ピラミッドやし王様やろうなと思ったわ。まだまだ敵も底が見えへんし、最初は慎重に行くで!」
「いいぜ、アタシも乗っからせてもらうよ!」
 駆け出す二人を一瞥して、狂える王は煩わしそうに手を振った。凝った血の色をした魔槍はそれ自体が一つの生物であるかのように飛翔。
「ブースター装着! 高機動モードでいくで!」
 通常の倍以上の推力を発揮させ、ノイはメンカルの血槍を回避する。体勢の流れたオブリビオンの死角を突いて、多喜が電撃を放った。
「へっ、場違いすぎるんだよアンタは。場所も時代もな! おとなしくこのまま今までいたトコに還っときな!」
 だが、狂王が振るったカファルジドマの戒槍はそれをかき消し、代わりにディフダの怨槍が放たれる。
「此処は我が揺籃にして再生の聖域なり。弁えておらぬのはそなただよ」
「確かにウチらはピラミッドの侵入者やけど、あんたも世界の侵入者やからね?」
 ツッコミを入れつつノイが割りこみ、鋼の腕で漆黒の槍を叩き落とす。
 カイトスの三魔槍のうち二本を避けられてなお、狂王の表情に焦りは見られない。彼はカファルジドマの戒槍を掲げ、傲然と断罪の言葉を告げた。
「我が王国の礎となれることを誉れと思うが良い」
「お断りだね!」
 狂王が紫紺の槍を投擲し、多喜が再び電撃を放つ。数手前を再現するような行動に、オブリビオンは嘲笑う息を吐いた。
「ashes to ashes,dust to dust,past to past...収束せよ、サイキネティック・プリズン!」
 もちろん、多喜は同じ手を打ったわけではない。彼女が聖句を唱えるや、超能力の雷電がその威力を増幅された。それは獲物を飲みこもうとする大蛇のように狂える王を取り囲み、輝きと灼熱をもって魔槍を粉砕する。
「砂塵の果てに王国が逝ったならさ、その志も連れてってやりな。奉仕する奴らはそこにいるんだろ?」
 多喜が右手を差し出し、握りこんだ。その指の動きに合わせて雷の檻が狭まっていく。
「たまには自分から行ってやりなよ、気さくなところを見せてやんな!」
「愚民が……賢しらな口を叩くな……ッ!」
 イネブ・ヘジの狂える王が稲妻を掴んだ。その体から膨大な魔力が放出され「黄泉送る檻」を押し返す。
 多喜のユーベルコードとオブリビオンの力が拮抗した瞬間、ノイがその砲口を向けて言った。
「壁に傷ついたらゴメンやで!」
 次の瞬間、熱エネルギーの奔流が狂王目掛けて叩きつけられる。溜めこんだの廃熱を攻撃に転用した「HM・カスタム」最大の一撃。
「ま、あんた倒したらピラミッド消えるんやろうし一緒か!」
 雷の檻もろともにオブリビオンを吹き飛ばし、玄室の壁に大穴を空ける。もうもうと立ちこめる白煙。その向こうに、片膝をついた狂王の姿が見えた。
「……貴き血を知らぬガラクタと蛮人が……! 死をもって贖わせてやるぞ……!」
 吐き出された魔力が黄金の床を蝕んでいく。顔を上げた狂王の顔は、怒りに醜く歪んでいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ノイ・グランガイオス
高機動モードは可能であれば継続

ガラクタって。言うてくれるやん。そっちは寝起きのボケ老人のくせに。
「おじーちゃんには宇宙技術のウォーマシンはハイテク過ぎたかいな?
なら、もっと分かりやすいモン見せたるわ!」
ブースターをふかしてジグザグ【ダッシュ】で王様に急接近!
逃げられんように長いマントを【踏みつけ】る。
「グラ~ン……」
拳骨を振り上げて、
「バッシュ!バッシュ!バッシュ!」
【2回攻撃】、どころか何べんでも、ボコボコにしばいたらぁ!


苧環・つづら
無粋を承知で言えば此処は日本だからピラミッド共々お呼びじゃないのよ。
それ以上にご立腹な子がいるから後は任せるわ。ね、迦河稚ちゃん?

――“あの悍ましき触手の主に相応しき傲慢ぶり……逃しませぬ。”

どうにも膾斬りすら生温い御仁にございますようで。……腕が鳴る。
なれば『先ず』は無粋に斬り合うて御覧にいれましょう程に。
破魔の力を載せた衝撃波を魂灯より放ち距離を詰め、
残像を生み相手の間合いを見切る。そして敢えて懐に見せる隙。
奴がわたくしの隙に喰らい付けば上々……だまし討ちの手が揃います故。
『次』にして全て、至近距離で放つ氷槍陣召喚。
この無粋な黄金の廟諸共、凍えし槍衾に穿たれれば宜しゅうございます。


花鶏・美珠
【真の姿】解放。現れる人格は仮面をつけず、しかし『美珠』でもない。
冷めた目をした無表情で口数の少ない何者か――

王…貴い……?

…否。所詮…ただの…残滓…

余裕があれば格好を直してから対峙。

攻撃は【ダッシュ】と【早業】を駆使しながらQuick Ravenで素早く【2回攻撃】。
何らかの理由で武器が使えなくなった場合は攻撃方法を【呪詛】に変更。

敵の攻撃には【亡者の残影】に【見切り】、必要に応じて【ジャンプ】も使い回避。
全て避けるのが困難な場合は最悪1本だけでも避けれるよう行動。
また、念のため【呪詛耐性】も使用。

仰せ…不要……馬鹿馬鹿しい


※人格が違う為、ユーベルコードの詠唱セリフは『…借用……来い』に変更



 イネブ・ヘジの狂える王との激闘が続く最奥の間に、新たな猟兵が姿を現した。
「無粋を承知で言えば此処は日本だからピラミッド共々お呼びじゃないのよ」
 静かな怒りを瞳に湛え、つづらが剣を抜く。だが、彼はそれを構えることはせず、微かな笑みを浮かべて狂王に告げた。
「アタシ以上にご立腹な子がいるから後は任せるわ。ね、迦河稚ちゃん?」
(あの悍ましき触手の主に相応しき傲慢ぶり……逃しませぬ)
 つづらから迦河稚へと主を変えた瞳が、怒りの色はそのままに温度を下げていく。
「……腕が鳴る」
 凍てついた言葉と共に迦河稚が疾駆。手にした刃から衝撃波を放った。オブリビオンの展開した魔力の壁がそれを阻む。迦河稚はさらに前進、魔力壁に魂燈の切っ先を突き立てて斬り崩す。
「そなたらが我に並び立つなど馬鹿げた考えでしかない」
 狂王の周囲に『ネクロポリスの狂嵐』が巻き起こり、迦河稚を飲みこむ。極彩色の旋風の中へ消える猟兵の影に、狂える王は嘲声を投げた。
「なぜならば、神の後裔たる貴き血を継ぐ我こそが最も優れし者であるからだ」
 呪詛の嵐が吹き荒れる中、その傲慢を真っ向から否定する声が上がった。
「王……貴い……? ……否。所詮……ただの……残滓……」
 そう言った彼女は、花鶏・美珠の姿をしていた。だが、彼女は「美珠」と「花鶏」のどちらでもなかった。その顔は仮面には覆われず、けれどもそれ自体が仮面であるかのように冷ややかな無表情。
 凪のように静かな殺気をまとった彼女は、乱れた衿元を整えながら呟いた。
「……借用……来い」
 遠き異邦の地で狂気の犠牲となった名もなき誰かの記憶が彼女の脳裏をよぎった。極彩色の嵐が人々を蹂躙し、三本の魔槍が血を啜る――。
「仰せ……不要……馬鹿馬鹿しい」
『亡者の残影(レヴァナントメモリー)』に導かれ、彼女は駆けた。飛来したメンカルの血槍を回避、腐食の呪詛に耐えながら旋風を突破。怨槍の切っ先を短剣で受け流し、斬りつけ、突き刺す。
「くっ……! 我が血を流させたことを後悔せよ! 貫け戒そ――!?」
 魔槍を放とうとした狂王の左腕をビームが貫いた。カファルジドマの戒槍は制御を失い、床に突き立つ。
「高機動モード再充電完了や! 今度こそいわしたる!」
 ブースターを吹かし、稲妻のような軌道を描いてノイが再び突撃してくる。鋼の両腕で呪いの旋風を引き裂き、踏みこんでくる彼女に狂王は怒れる瞳を向けた。
「どこまでも我に逆らうか、ガラクタめ!」
「またガラクタって! 言うてくれるやん! そっちは寝起きのボケ老人のくせに!」
 狂王の左腕が鰐の頭部へと姿を変え、ノイに襲いかかる。彼女も左腕で迎撃。魂を噛み砕くと言われる大顎をビームシールドが阻んだ。
「珍妙な術を使う……!」
「ビームシールドや! おじーちゃんには宇宙技術のウォーマシンはハイテク過ぎたかいな?」
 二人の猟兵との激突で左右の手を封じられた狂王は、再び『ネクロポリスの狂嵐』を放とうとし――。
「……吹雪すら臆す蹂躙を、此処に」
「ガハッ!?」
 その胸を凍てつく氷の槍が貫いた。苦鳴と共に血を吐く狂王の目が、迦河稚の姿を捉えて見開かれる。
「まさか――!?」
「あの程度でわたくしを倒せたと? 存外に甘い御方。この無粋な黄金の廟諸共、凍えし槍衾に穿たれれば宜しゅうございます」
『氷槍陣召喚(サモニング・ファランクス)』のさらに撃ちこまれた。魔槍が折れ、アーマーンの頭が沈黙する。
「ビームよりもっと分かりやすいモン見せたるわ!」
 氷槍によって磔となった狂える王に向けて、ノイが拳を振り上げた。
「グラ~ン……」
 それはまるで、驕れる者に下される審判の鉄槌。
「バッシュ! バッシュ! バッシュ!」
 鋼の拳が何度も叩きこまれ、氷の監獄ごとオブリビオンを砕く。
「……おのれ……愚民め……」
 最後まで己の傲慢を省みることなく、狂える王は砂となって散った。

●ピラミッドの最期と言えば
「はぁ、はぁ、はぁ……。うち、何回くらい殴った?」
 全力の殴打を何度も繰り出すのは流石に疲れたのか、ノイは軽く息を弾ませつつ尋ねた。
「どうかしら? 二十回までは数えてたけど」
「……三十八回、だと思います」
 戦いを終え、元の人格に戻ったつづらと美珠が答える。
「は~……頑丈やったな。けど、これで任務完了や!」
 清々した、という調子でノイが言う。その時、彼女達の耳に低く重い音が聞こえてきた。
「……このピラミッドってさ、王様倒したら消えるって思っとったんやけど」
「オブリビオンが作ったものならそうでしょうね」
「こういうのって映画やと最期は……」
「崩れるのがお約束……ですね」
 そんなことを話している間にも音は大きくなり、彼女達の予想が正しいことを裏付けるように床が震動し始める。
「やっぱそうやよな。……逃げろーっ!!」
 そうして、猟兵達は一目散に崩壊するピラミッドの中から脱出するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『カレー! カレー! カレー!』

POW   :    買い出しに行く又はたくさん食べるなど野性味溢れたカレー的行動

SPD   :    食材の下ごしらえ又は早食いなどの機敏で正確無比なカレー的行動

WIZ   :    スパイスの各調合又は深く味わうなどの知性に満ちたカレー的行動

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●勝利の色はカレーなる黄金
 崩壊する黄金ピラミッドから脱出した猟兵達は、予定通りUDCと合流。邪神が倒されたことに狂乱し、集まってくるD∴G∴団員の手から逃れ、ピラミッド出現地点から数キロ離れた山中へと辿り着いた。
 UDCが手を回しているとはいえキャンプ場では腰を落ち着けることくらいしかできないが、それでも連戦と逃走で消耗した心身を休められる場所ではあった。
 時刻は深夜。
 キャンプ場らしい荒削りな木製のテーブルに座った猟兵達の前に、一皿のカレーライスが置かれていた。
 ご存知、インドを発祥とし、イギリスを経て日本で独自の進化を遂げた国民食である。日本で最も人気のある食べ物の一つと言っても過言ではないだろう。
 であるから、元々軍用携帯食として開発されたレトルトパウチにカレーを封入するという商品を生み出したのが日本人であったというのも必然である。2017年にはレトルトカレーの販売額がカレールウのそれを上回り、レトルトカレーはもはや我々の生活に欠かせないものとなっている。
「――というわけで、カレーをご用意しました」
 そう言って、夢瑪は猟兵達に微笑みかける。
「他世界出身の方にはなじみの薄い料理かもしれませんが、UDCアースという世界の日本という国を体験していただければと思います」
 いつの間に調達していたのか、大鍋にはたっぷりのお湯が沸かされ、様々なメーカーのレトルトカレーが温められている。ご飯も長期保存用のものではあるが、全員がおかわりしてもいいくらいの数が用意されていた。
「では、どうぞ召し上がってください。それから、オブリビオンとの戦い、本当にお疲れ様でした」
数宮・多喜
【アドリブ改変・絡み大歓迎】

いよっしゃあカレーだカレー!
レトルトだってならほら、アレあるかなアレ!
夏季限定でいつも売られてる、激辛スパイス付きのアレ!
え?商品名?言ったら色々台無しだろまったく!

……やっぱ夏じゃないと無いかな。残念。
仕方ねぇ、マイスパイスの中からちょちょっとブレンドして刺激を追加だ。
とりあえずクミンとターメリック、ついでにハバネロっと。
うん、いい赤さだ!
それじゃいただきまーす!

……まさかこの特製スパイス、うっかり誰か使ったりしないだろうね?



「いよっしゃあカレーだカレー!」
 多喜は喜びもあらわに大鍋のところへと駆け寄ると、その中を覗きこんだ。
「レトルトだってならほら、アレあるかなアレ! 夏季限定でいつも売られてる――」
 こう見えて、彼女は根っからの辛党である。甘口や中辛など論外。辛口でさえ物足りない。そんな多喜を満足させうるのは激辛で知られる某レトルトカレーのみ。
 が。
「……やっぱ夏じゃないと無いかな。残念」
 肩を落としつつ、それでも大鍋の中から一番辛そうなやつを取り出して、多喜はレトルトの封を切ってカレーを白いご飯にかけた。
 肉と野菜、そして香辛料が複雑に入り混じった香りが上がり、食欲をそそる。湯気を立てる皿を手に着席すると、多喜はどこからともなくいくつかの小瓶を取り出した。
「とりあえずクミンとターメリック、ついでにハバネロっと」
 彼女が取り出したのは、こんなこともあろうかと持ち歩いているマイスパイスの数々だ。ちょちょっとブレンドして刺激を追加するだけ、とは本人の主張であるが、赤く染まっていくルーは辛味の苦手な者から見れば絶望的な光景だった。
「うん、いい赤さだ! それじゃいただきまーす!」
 一般的にカレーは赤くないのではないか。そんなツッコミをよそに多喜はスプーンを手に灼熱となったカレーを口に運ぶ。
 口内から喉を通り、胃の腑へと落ちていく熱さを感じながら、多喜は満足げな微笑みを浮かべた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノイ・グランガイオス
ウチは普通の辛口でええかなー。それよりも、ボリューム!
しっかりお肉はいってそうなレトルトを吟味するで。
おかわりどのくらいセーフ?

とりあえず、おかわりはあるだけ用意してもらうわ。
まだまだウチも成長せなあかんしな!
「やー。腹が減っては戦は出来ぬっちゅーけど、戦の後にも腹は減るってなあ?」
しかしごはんとカレーだけやとちょい寂しい気がするねんな……
どっかでカツとか調達できへん?



「ウチは普通の辛口でええかなー。それよりも、ボリューム!」
 そう言ってノイが選んだカレーは『特選和牛煮込みカレー特盛・辛口』であった。
 その名の通り、そこそこランクの高いお肉をサイコロ状にカットしたものが入った、内容量三百グラム超のたっぷりとしたカレーである。メーカー希望小売価格九百円(税別)とお値段もたっぷりしたものではあるが、昨今高まりつつある高級指向のムーブメントの中で「自分へのご褒美」枠の商品として密かな人気を獲得しつつある。
「なるほど、サイコーやな! おかわりどのくらいセーフ?」
 残念ながら『特選和牛煮込みカレー超大盛・辛口』はこのひとつきり。しかし他のカレーならまだおかわりOKだ。
「しゃーない、二杯目からは妥協するか。とりあえず、あるだけ用意しといて。まだまだウチも成長せなあかんしな!」
 どんだけ食べる気だ、というツッコミをよそにノイはスプーンを動かす。
「やー。腹が減っては戦は出来ぬっちゅーけど、戦の後にも腹は減るってなあ?」
 ものの数分で、合わせて八百グラムのカレーと肉とご飯が彼女の体内へと消えた。
 ふぅ、と息をつくノイの目の前に、新たなカレーライスが差し出される。今度は『某老舗洋食店監修・大満足カレー』というこれまたボリュームたっぷりのカレーだ。
 総重量一キロに迫ろうかという大皿を前にして、しかしノイは若干残念そうに呟く。
「しかしごはんとカレーだけやとちょい寂しい気がするねんな……どっかでカツとか調達できへん?」
 深夜でしかも山の中なので、それはちょっと無理だ。
「そっかー。それなら量でカバーするか! おかわり!」
 キャンプ地に戦慄が走る。彼らは、邪神よりももっと恐ろしい存在を目覚めさせてしまったのかもしれない……。

●金色の夢のあとに
 猟兵達が黄金ピラミッドと邪神を撃退し、無事に脱出した翌日。改めてUDCは件の町へと捜査班を派遣した。
 しかし、彼らは何も見つけられなかった。
 邪神の遺物の保管庫と目されていた小学校跡には埃ひとつ残されておらず、さらには町にいたはずの邪神崇拝者達の姿もなくなっていた。
 数百人の人間が何らの痕跡も残さず移動することなど、常識的にはありえない。だが、事実としてその町は一夜にしてゴーストタウンと化したのだ。
 まるで、朝日に夢が拭い去られてしまったかのように。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月22日


挿絵イラスト