アポカリプス・ランページ②〜オペレーション・エメリー
●旧カリフォルニア州アナハイム 「ブラッドルビーランド」
「クライストの野郎、ザマあないねぇ!」
豪快に笑い飛ばす一人の女傑、名はブラッドルビー・ヴォーテックス。肉塊女帝の異名を持つ女である。
「聞くところによると挟み撃ちでやられたそうじゃあないか。映像記録はあるのかい?」
「どうぞ、ブラッドルビー様」
配下の一人が持ってきた映像媒体を再生するブラッドルビー。しかし、そこに映っていたものに唖然とする。
「……なんだいこりゃ。デカブツが映ってるじゃないか」
「人型機動兵器、ですね。情報によれば、最近この辺りで見かける『キャバリア』なる兵器です。他にも陸上戦艦やホバートラックなんかも確認されています」
「……前言撤回するわ。バッカじゃないのかいクライスト」
真顔に戻ったブラッドルビーは神妙に呟いた。
「あんなデカブツ相手に生身で挑むなんて死ににいくようなもんじゃないか。……待ちな、ちょっと一時停止!」
画面を見たブラッドルビーは慌てて部下に一時停止を命じさせる。硬直した画面をしばらく凝視していたブラッドルビーは、ひとつの疑問を口にした。
「こいつら、なんで『下がってる』?」
機動兵器の動きが不自然だったのだ。彼我のサイズ差から行って、接近されても問題ないはずだ。しかし機動兵器は「後退している」。まるで懐に入られることを恐れているかのようだった。
「彼らの作戦です。機動兵器側に攻撃を引き付け、その側面を別働隊が討つ。こちらを御覧ください」
配下が指し示す先には、側面攻撃を仕掛ける生身の猟兵たちがいる。そう、クライスト・ヴォーテックスは二正面作戦を強いられ、その上で敗れたのだ。
「そもそも、彼らの取った作戦は洋上から機動兵器で侵攻しつつ、内陸から別働隊がクライストシティに侵入。互いに注意を引き付けながら戦力を切り崩し、クライスト本人を引きずり出すというものでした」
「ははーん……なるほど。確かにここまでされちゃあクライストはともかく、アタイもタダじゃあすまないねぇ」
相手がただならぬ強敵であることに、ふーむ、とブラッドルビーは考え込む。陽動を行いつつ不意討ち、実に巧妙な作戦だ。しかも、映像記録で見る限り、戦術自体もかなり凝っている。正面切っての決戦は愚の骨頂だろう。
「奴ら、次はこっちに来るんだろう?」
「えぇ、クライストシティを拠点として、こちらに侵攻してくることが予想されます」
「まだアメリカ大陸全土はこっちの手の内にあるんだ、連中もクライストの時みたいな挟撃は使えない。だったら、こっちにはまだ勝機が残ってるね」
向こうが策を弄するならば、こちらも策を弄さねば勝てない。ならば、とブラッドルビーは顔を上げた。その表情は固く引き締められている。
「状況戦、これ一択だ。『夢の国』の設備を利用して連中を迎え撃つよ」
「準備を進めます」
ブラッドルビーの考えを汲んだ部下は、すぐさま猟兵たちを迎え撃つための準備作業を始める。「夢の国」の遊具の点検やトラップの設置などが急ピッチで進められ、ブラッドルビーの戦場が整えられていく。
「さぁ、かかって来な猟兵。アタイと、アタイの戦場が相手になるよ……ヴォーテックス一族、舐めんじゃないよ!」
●ブラッドルビーの戦場
「ミッションを説明しましょう」
グリモアを接続した電子端末の画面をプロジェクタースクリーン上に映し出しながら、ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)は集まった猟兵たちを前にブリーフィングを開始する。
「今回の作戦は旧カリフォルニア州アナハイム。目的は現地を支配するブラッドルビー・ヴォーテックスの撃破です」
スクリーン上にブラッドルビー・ヴォーテックスの写真と、彼女の保有するユーベルコードが映し出された。その姿を見た猟兵の中には、彼女の見た目や予兆で見た独善的な彼女の思想などに対する嫌悪感から眉をひそめる者もいる。
「彼女はアナハイムの巨大テーマパーク跡地を利用した遊園地『夢の国』を建造し、拠点としています。内蔵を模したデザインのメリーゴーランドや、血糊がペイントされたジェットコースターなど、結構グロテスクなデザインの遊具が揃っていまして、心臓の弱い方は現地に赴く際には注意が必要です。……まぁ皆さんなら大丈夫だと思いますが」
ジェイミィは画面を切り替える。参考データ、という表示と共に映し出されたのは、UDCアースのアナハイムに存在するテーマパークのガイドマップだ。
「彼女の本拠地がこの城を模した建造物です。パークのシンボルですな。で、この本拠地を含めてこの遊園地全体にジェットコースターのレールが張り巡らされています。彼女はこのジェットコースターに乗ってパーク内を巡回しながら戦闘行動を行います」
赤い線がマップ上にオーバーレイ表示される。網目のように張り巡らされているジェットコースターのレールは、あちこちでレールの合流や分岐、行き止まりや交差部分がある。一部のレールは他のアトラクションを貫通する形で配置されており、例えばメリーゴーランドの木馬がぶつかってきたり、屋内アトラクションのアニマトロニクスが攻撃してきたりと、
「コースターはかなりのスピードで動いており、捕捉は困難です。さらに、パークのあちこちにレーダーの類を妨害する強力な電磁波及び赤外線ジャマーが配置されており、ミサイル等の誘導兵器も無力化されています。ジャマーの数は多く、論理防壁も十重二十重に用意されているため、電子戦による攻略は現実的ではありません」
つまり、コースターに乗るブラッドルビーを地上から捕捉して攻撃することは困難である。また、レールを攻撃して破壊することも現実的ではない。分岐を利用する、乗り換えるなどの手段で彼女は逃げ続けることだろう。
「よって、対抗策としては、やむを得ませんがあちらの土俵に上がっての戦闘──即ち、我々もジェットコースターに乗り込んで戦うことになります。幸い、コースターの乗り場は多く、加えて一人乗りです。加速・減速・分岐の選択はコースター側から行えるようです」
戦場の構築に関してはブラッドルビーは一枚上手であった。これに関して、ジェイミィは突破口を探したものの、あまりにも隙が無かったのである。
「ブラッドルビーは状況戦を好むという未確認のプロファイリング情報があります。要は戦場を選ぶタイプです。一部のコースターに爆弾を仕掛けて相手を乗せるように仕向け、一定の速度以下で起爆させたり、レールの分岐点に細工を仕掛けて強制的に行き止まりに向かわせたりする……などの戦法で、こちらに損害を与えてくるでしょうね」
ジェイミィの口調からは、状況戦において完全に上を行かれてしまった悔しさが滲み出ている。これまで万全の状況を作った上で猟兵たちを送り出すことを心がけていたジェイミィにとっては、まさに一敗地に塗れた格好だ。
「最早、私に出来ることはありません。皆さんの戦術次第です。皆さんを完全に敵の土俵で戦わせてしまうのは心苦しいのですが……どうか、この作戦を成功に導いてください」
ブリーフィングを終え、ジェイミィはグリモアを操作する。現れたポータルの先は、ブラッドルビー・ヴォーテックスが支配する戦場だ。
──アポカリプス・ランページ、作戦名「オペレーション・エメリー」、開始。
バートレット
どうも、バートレットです。
今回はブラッドルビー・ヴォーテックスとの戦いです。グロテスクなテーマパーク内に張り巡らされたジェットコースターに乗って、彼女を撃破することが目標となります。
プレイングボーナスは以下のとおりです。
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プレイングボーナス……不気味な遊具を駆使して戦う。
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グリモア猟兵の説明にあった通り、ブラッドルビーはジェットコースターに乗って戦闘を繰り広げています。ブラッドルビーが乗るジェットコースターの速度は相応に速く、地上からの攻撃はまず当たりません。誘導兵器も無効化されています。このため、自分たちもジェットコースターに乗って戦うことで、初めてブラッドルビーとの戦いの土俵に上がることが可能です。
ただし、ブラッドルビーはユーベルコードでの攻撃に加えて、様々な罠や仕掛けをコースター上に張り巡らせています。一部のコースターには爆弾が仕掛けられていて、運悪く乗ってしまった場合は爆弾に設定された速度以下で走行した場合爆発してしまいます。また、レールの分岐点に細工を施し、強制的に行き止まりや水の中等に突っ込ませるという方法も取ってきます。
彼女が十重二十重に仕掛けてくる状況戦への対処を行うことで、追加ボーナスが得られます。地の利を乗り越えて、ブラッドルビーの撃破を目指してください。
OP公開後受付を開始し、受付状況はタグにてお知らせします。可能な限り全員の採用を目指しますが、キャパシティ次第では皆様のプレイングを採用しきれない可能性があること、予めご了承ください。また、その他諸注意はMSページをご確認ください。
それでは、皆様のアツいプレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『ブラッドルビー・ヴォーテックス・遊園使』
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POW : ブラッドルビー・メリーゴーランド
【肉と内臓で造られたメリーゴーランドの木馬】が命中した対象に対し、高威力高命中の【肉と内臓で造られたメリーゴーランド本体】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ブラッドルビー・コースター
【空飛ぶ血塗られたジェットコースター】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【轢き逃げ】で攻撃する。
WIZ : ブラッドルビー・マーチ
【手にしたマイク】から【ブラッドルビーの「夢の国」のテーマソング】を放ち、【精神ダメージと鼓膜破壊】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:桜木バンビ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
大豪傑・麗刃
なるほどジェットコースターに乗って戦うけど、しかし大量の罠が仕掛けられているわけだな。ならばその罠、逆に利用させていただくのだ。
ということで。
あえて可能な限り罠に全部ひっかかる!
爆発には巻き込まれ、行き止まりには突っ込み、水には落ちる!
そのたびに派手にやられてボロボロになる!スラップスティックに出演する喜劇役者のごとく!
……
な、なんだねその目は!
そなコトゆーコは麗ちゃんぶつじょ!!
そう。あえて罠にひっかかりネタキャラを演じる事で私はパワーアップするのだ。
かくして強化されたわたしは超高速でジェットコースターをあやつり(?)、二刀流構えて敵の攻撃もすべて斬り捨て、ついでに敵本体もずんばらりんと。
●戦闘力53万あっても世の理として勝てない存在を知っているか?
「なるほど」
大豪傑・麗刃(23歳児・f01156)はジェットコースター乗り場の前で腕組をして首肯する。
「ジェットコースターに乗って戦うけど、しかし大量の罠が仕掛けられているわけだな」
ブリーフィングを思い返す。悪辣を極めた数々の罠が、十重二十重に仕掛けられた策謀渦巻くジェットコースター。だが、麗刃は知っている。こういう手合いを攻略する方法を。
「ならばその罠、逆に利用させていただくのだ」
コースターに搭乗する麗刃。安全バーを下ろせば、早速コースターがレール上に解き放たれる。と、猟兵の気配を察知したブラッドルビーがやってきた。
「ようこそ、このアタイの戦場へ! さぁ、存分に楽しんでいきな! お代はアンタの命だよ!」
「良かろう、存分に楽しませてもらうのだ」
並走するブラッドルビーが声をかければ、麗刃は鷹揚に頷く。次の瞬間、早速第1のトラップが作動するの、だが。
「もちろん、トラップ込みで」
「あ……?」
煙が晴れた時、そこにいたのは爆風の影響でアフロヘアーと化した麗刃の姿があった。
「……今、アンタ爆発に思いっきり巻き込まれたねぇ?」
「うむ、めっちゃ熱かった」
言葉とは裏腹に涼しい顔の麗刃。
その後も、仕掛けられた罠に次から次へと引っかかる麗刃。ブラッドルビーから見ても気持ちのいいくらい綺麗に引っかかってくれるのだが、その全てが致死性の罠なのだ。水に落ちようが壁に衝突しようが、派手な演出こそあれど無事な麗刃を見て、ブラッドルビーはだんだん恐ろしくなってきた。
(そうか……くっ、ダメだ! こいつにだけは『絶対に勝てない』!)
ブラッドルビーが敗北感を抱いた理由はシンプルだ。
(ギャグ補正で全部台無しにする相手にどうやって勝てってんだい……!)
ある種の恐怖と畏怖に満ちた視線を麗刃に向ければ、麗刃はある種のキメ台詞をはいてみせる。
「……な、なんだねその目は!」
「全部に引っかかって全部に無事って、アンタ本当に人間かい!?」
「じ、じ、人外認定されるとは心外にも程があるのだ! そなコトゆーコは麗ちゃんぶつじょ!!」
そう、麗刃の恐ろしさはここからである。ウケ狙いとネタに満ちた行動は彼を大いに強化する。超高速でジェットコースターを操り、二刀流で敵の攻撃を全て受け流してみせる。そして交錯する一瞬、ブラッドルビーはついに手傷を負う。
「手応えあり──!」
「くっ、これだからギャグ漫画世界の住人は……!」
戦闘力53万の宇宙の帝王ですらギャグ漫画の住人には一切敵わなかったという故事がある。その故事をそのままなぞるかのような事態に直面し、ブラッドルビーは大いに調子を崩されたと言えよう。そして、それこそがブラッドルビーのケチの付き始めであった。
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
初めて乗る遊具がこれとか泣けてくるな
頑張ってくれよ、俺のメガリス
SPDで判定
ジェットコースターに乗り、加速していく【操縦】
常に風の【結界術】でコースターと俺を守り爆弾が爆発したとしても、俺は【気合い】と【覚悟】で耐える
行き止まりに誘導されれば逆に加速して、孔雀輪を使用して【空中浮遊】【ジャンプ】を行って別のレールに移る
敵が視認できるのなら俺の方も視認できるはずだし、周囲に張った結界に敵のコースターがぶつかれば分かる
ぶつかった瞬間に別のレールに移りつつ、義眼で敵を捕捉【視力】
義眼の橙の災い:爆破【爆撃】を【全力魔法】【咄嗟の一撃】で攻撃する
栗花落・澪
コースターは常に一定速度以上をキープ
妨害による減速も常に警戒しながら
【高速詠唱】で雷魔法の【属性攻撃】を放ち狙撃
事前に罠の位置把握のため【指定UC】
分身達をレールのあちこちに先回りさせ
罠の位置や種類、ルートを共有、把握
分身達にも解除や操作できそうなら逆手に取り
逆にルビーさんを罠にかけたいね
僕側の選択で間に合うものは自力対応
水に突っ込む場合は風魔法と組み合わせた【オーラ防御】で自分を保護
あ、丁度ルビーさん接近してきた?
髪や服掴んじゃえ
5㎝程度の分身達ならいけるいける(多分
敵のUCには全力の【歌唱】をぶつけて中和
【催眠術】の上乗せで気力を奪う
ある程度分身を乗り込ませたら
雷の【全力魔法】を一斉放出
夜刀神・鏡介
粗暴な性格かと思いきや、ちゃんと策略を練って待ち構えてくる辺りは案外慎重というか、仮にも支配者って感じか
最初から油断しちゃいないが、改めて気を引き締めて挑むとしよう
コースターに乗った上で神刀の封印を解除して、弐の型【朧月】の構え――反撃目的ではなく、レール上の仕掛けや分岐点を見極める為に発動
ルートを落ち着いて見極め、適切にルートや速度を切替えていく
攻撃系の罠や、飛んでくるジェットコースターに対しては斬撃波を放って破壊を試みる
斬撃波の射程圏内に収めたならば、まずはそちらで攻撃して妨害を試みつつ、更に加速して接近
十分近付いた所でブラッドルビーのコースターに飛び乗って、直接斬撃を食らわせよう
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎
ヒャッハー!
なるほど、状況はブラビ(ブラッドルビー)有利から始まると。
ご安心くだサイ、ワタシにプランあり!
地の利が向こうにあるならば、こちらは人の和を得ましょう!
あとは天運次第デース!
「カモン! バルタンズ!」「バルバルバルバル♪」
次から次へとジェットコースターを占拠していきマース!
爆弾で吹き飛んでも後続車に回収! 分岐されても脱出して後続車に合流!
小細工を数の暴力で突破していきマース!
メリーゴーランドが飛んで来たらカウンターでグレネードランチャーをお見舞いしマース!
バルタンズがブラビにとりつけば、総員が駆け付けるまで遅滞戦闘してもらい、寄って集ってフルボッコ、デース!
●地の利に対抗する人の和
「初めて乗る遊具がこれとか泣けてくるな」
ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は遊園地のジェットコースター初体験がこの血糊のついたグロテスクなものだと気づいてショックを受けていた。そんな彼を慰めるのは3人の猟兵だ。
「ま……まぁ、皆で一緒に乗れば楽しいかもしれないじゃないですか」
「というか、今回のはカウントしなくて良いだろう。普通の遊園地の初体験まで取っておくといいんじゃないか」
「その通りデース! 気にしちゃダメですヨー!」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)、そしてバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)にルイスを加えたメンバーは、同じコースターに乗り込む。バルタン曰く向こうが地の利を取るならば、こちらは人の和をとるべし、ということらしい。
「レール上に僕の分身を配置しました! ルートはこちらで把握します!」
「こちらは線路の上から罠の有無を確認しよう。──弐の型【朧月】」
澪と鏡介がそれぞれ適性ルートや罠の有無を確認、ルイスは彼らの指示に従い操縦を担当する。そして、バルタンはと言うと。
「こちらは撹乱担当デース! カモン、バルタンズ!」
「バルバルー! バルバルー!」
ミニ・バルタンズたちが次々とジェットコースターに乗り込み、ブラッドルビーのコースターめがけて突撃を開始したのである。
「ちっ……猟兵の下に行きたいと言うのに、なんだいこの人形共は……!」
ブラッドルビーのコースターがバルタンズのコースターの妨害を受けている最中、他のバルタンズも続々と集まってくる。なんとかバルタンズを振り払おうともがくブラッドルビーだが、バルタンズは数に加えてしぶといのが特徴であった。車両を自爆させてもそのまま後続車に回収され、衝突前に脱出して他のコースターに移る。
その一方で、猟兵たちが乗るコースターも着実にブラッドルビーの下へと進撃を続けていた。飛んでくる攻撃系の罠を鏡介が斬撃波を放って対応し、澪と分身がナビゲーションを務める。ルイスは操縦に徹しつつ、攻撃のための好機を待っていた。
やがて、バルタンズを振り切ることに成功したブラッドルビーが姿を表す。こちらには気づいていない。
「よし──今だ」
バルタンとルイスは頷くと、先制攻撃を浴びせる。バルタンはグレネードランチャーを構え、放つ。一方のルイスは魔眼を解放、橙の災い:爆破を発動した。榴弾と魔眼が引き起こした大爆発が不意に起き、大いに狼狽するブラッドルビー。
「ちっ……いつの間に!」
「今だ、鏡介、澪!」
ルイスが促すと、鏡介が斬撃波をブラッドルビーに飛ばして隙を作り、澪の分身たちが一気に群がる。バルタンズたちも追いついて集中攻撃を仕掛け始めた。
「っ、羽虫みたいに鬱陶しい連中だねえ!」
だが、分身やバルタンズが気を引いているのは一種のブラフであった。
「準備完了だ……散開して!」
澪の号令とともに散開する澪の分身とバルタンズ。そこに、澪が起こした雷の魔法がブラッドルビーに直撃する。感電し、痙攣するブラッドルビー。さらにダメ押しとばかりに、鏡介が刀を手に直接ブラッドルビーのコースターに乗り込む。
「では──、その命、頂戴する!」
「おのれ……おのれ猟兵──ッ」
斬撃を浴びせ、離脱。ルイスとバルタンが再び彼女の乗るコースターを爆破し、その間に離脱した。
「なるほど、これが人の和か」
「人数とチームワークの勝利デース。ナイス分身でした澪殿!」
「バルタンズも凄かった……え、お駄賃渡すと働いてくれるの!?」
「ともあれ……今度は普通のジェットコースターに乗りたいものだなぁ」
同乗する仲間たちと勝利の凱歌を上げつつ、ルイスは今回の経験を通して固く誓う。いつの日か、UDCアースやヒーローズアースの普通の遊園地で、普通のジェットコースターを思う存分、心ゆくまで楽しんでやろう、と。
大成功
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リーヴァルディ・カーライル
…あの肉の塊が超速度で通り過ぎて行くのは中々にシュールね。夢に出そう…
地の精霊を降霊した「精霊石の耳飾り」で周囲の金属を索敵してレールの配置を見切り、
コースターに乗って敵を追跡しつつ太陽光を「影精霊装」の闇に紛れるオーラで防御してUCを発動
…相手が地形を利用して罠を仕掛けているのなら、それはそれで利用すべきよ
…今からお前の王国に亀裂を刻んであげるわ
右眼のみの吸血鬼化を行い複数の罠に視線を乱れ撃ちして支配の呪詛を流し込み、
罠を操り敵の体勢を崩した隙に「黄金の楔」を怪力任せに投擲して武器改造を施し、
生命力を吸収する捕縛型拷問具に変形した後、再度UCを発動して敵を爆破する2回攻撃を行う
久遠寺・遥翔
奴の土俵ってのは気に食わないが…だからこそそこでぶっ潰すってのもそれはそれで面白い
一人用のコースターだとさすがにキャバリアは無理だな。生身で行くぜ。
高速機動戦闘は慣れてる。加速一択だ
どうせなら相手を追い抜くくらいに[ダッシュ]だ
[戦闘知識]を駆使してあらかじめ罠の位置はあたりをつけておく
さらに[第六感]でも予測を補正してしっかりと[見切り]
進路上の罠は確実に[焼却]していくぜ
分岐点の罠は一度UCで飛行して強引に元のルートに戻す
相手を追い抜いたらUC起動
軌道調整の為ワイヤーを相手のジェットコースターに打ち込みつつ
高速飛行で相手のコースターに飛び移りそのままイグニスで斬り落とすぜ
●王国の亀裂
「あの肉の塊が超速度で通り過ぎて行くのは中々にシュールね。夢に出そう……」
「同感だな……」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)と久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)は引きつった表情でブラッドルビーがコースターを高速で操っているのを見ていた。
「しかし、奴の土俵ってのは気に食わないが……だからこそそこでぶっ潰すってのもそれはそれで面白い」
「確かにね……今からあいつの王国に亀裂を刻んであげるわ」
2人は頷くと、それぞれコースターに乗り込んだ。遥翔が前、リーヴァルディが後ろの車両に乗り込む。リーヴァルディが精霊石の耳飾りに地の精霊を降臨させることで金属を探知、罠を探して遥翔に伝える。遥翔は、リーヴァルディのナビに従ってコースターを高速で操る。
その一方で、リーヴァルディは太陽光を防ぐべく、「影精霊装」のオーラを展開。リーヴァルディの周囲が闇で覆われる。
「……相手が地形を利用して罠を仕掛けているのなら、それはそれで利用すべきよ」
「罠を利用するのか? ……そしたら、片っ端から罠を焼くのはマズいか」
「いえ、進路上にある罠は焼いてちょうだい。むしろ……ブラッドルビーの進路上の罠を強制作動させるわ」
遥翔は自分たちの進行方向の罠を全て焼却、一方でリーヴァルディはブラッドルビーのコースターを見つけると、右眼のみの吸血鬼化を行い、ブラッドルビーの進路上にある複数の罠に視線を向け、呪詛を流し込む。これにより、罠はブラッドルビーの制御を離れ、リーヴァルディの思うがままとなった。
「今だ──!」
リーヴァルディは罠を作動、もしくは爆破させる。ブラッドルビーは突如罠が制御を離れたことに驚き、困惑した。
「罠の不調!? ……いいやそんなはずはないね。さっきまでここの罠はきちんと言うことを聞いていた……猟兵の仕業か!」
「御名答だ!」
急加速してブラッドルビーに追いついた遥翔。その姿は漆黒と黄金の焔で覆われている。焔黒騎士フレアライザーとしての姿に身を変じた遥翔は、そのまま自分のコースターから飛び上がるとブラッドルビーのコースターにワイヤーを撃ち込み、飛び移る。
「さぁて……年貢の納め時だぜ」
「ふん……こうなったらお前諸共……ッ!?」
「あら……私をお忘れ?」
ブラッドルビーは遥翔を道連れにすべく罠を作動させようとするが、それはリーヴァルディの一手によって阻まれた。「黄金の楔」が投擲され、生命力を吸収する拷問器具に変形してブラッドルビーを襲い始めたのだ。
「力が……でな……」
「今度こそ終わりだ、ブラッドルビー・ヴォーテックス!」
焔黒剣イグニスが振るわれ、ブラッドルビーは漆黒の炎にその身を焼かれる。かくして、焔黒騎士と吸血鬼狩りの吸血鬼は、ブラッドルビーの戦場に在りながら、ブラッドルビーを討つことに成功したのである。
大成功
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ビリー・ライジング
いつもは妹と一緒だが、たまには一人で頑張ってみるか。
「しかし悪趣味だ……妹と来なくて正解だったな」
【先制攻撃】として、こっそりUCで分身を創造。
先に分身を先行させて、残りは同時に搭乗。
【属性攻撃・オーラ防御】で属性魔法の盾を作り、爆発には【激痛耐性】。
水中は【水中戦】。行き止まりは【シールドバッシュ】で対処。
「そうか、そいつは良かったな! おめでたい奴だ!」
分身がいない時は【高速詠唱・全力魔法】で攻撃するが、
残っていれば【属性攻撃・範囲攻撃】も加えて、敵の逃げ場を無くす。
●ブラッドルビー、策に溺れる
「しかし悪趣味だ……妹と来なくて正解だったな」
ビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)は「夢の国」の状況を見て一人ごちる。彼の言葉通り、この「夢の国」はグロテスクな意匠の施された建築物やアトラクションばかりであった。生理的な嫌悪感すら覚えるこの遊園地すらも、ブラッドルビーの策のひとつなのだろうか。
「さて、まずは分身を作って、と」
3体の分身を作り、1体を先行してコースターに乗せる。残りの2人は本体と同行させて、後続のコースターに乗り込ませた。
「よし、向こうは分身の方に食いついたか!」
ブラッドルビーが分身を見つけると、巧みに誘導してメリーゴーランド行きの線路を選択させる。
「あのままだとぶつかる……よし、障壁展開!」
前方の分身、後方の本体がそれぞれ障壁を展開すれば、メリーゴーランドの突進は受け流される。以降も、罠は基本的に敢えて解除せず、防御で突破していく方策をとった。これは、先行していた猟兵が罠に敢えて引っかかっても無事だった際に、ブラッドルビーが全く有効な手を打てていなかったのが大いにヒントになった。
「罠にかかってなお無事であるという事態までは想定しきれていないんだ、ブラッドルビーの策は。だから、その裏をかいてやれば……ブラッドルビーの策は容易く崩壊する!」
事実、ブラッドルビーは焦っていた。
「罠に全て引っかかっているのに、そいつを持ち前の耐久策で全部切り抜けるってかい……! いや、しかし耐久ってのはどこかで終わりが来るものさ! 根比べに持ち込めば、あるいは……!」
「そうか、そいつは良かったな! おめでたい奴だ!」
「……ッ!?」
気がつけば、ブラッドルビーは挟まれていた。前方にはビリーの分身が、そして後方には……ビリー本人がいる。
「ちっ、そもそも分身だったのかい……!」
「年貢の納め時だ、ブラッドルビー。観念しろ!」
分身と本体から魔法攻撃が準備され、発動待機状態に入る。ブラッドルビーは一瞬で悟った。最早逃げ場はない、防御も無意味。この僅かな間隙は、自らに許された辞世の句の詠みどころであるのだと。
「……これまでか。まさかクライストに続いてアタイも殺られるとは、ざまぁないね……これも好き放題してきた報いってわけかい。いいさ、キツくなるのはこっからだよ、せいぜい骸の海でアンタらが足掻くのを見ていてやるかねェ……」
最期にそう嘯くと、言い残すことはもはやない、とブラッドルビーは目を閉じる。次の瞬間、ビリーが放った高出力の魔法攻撃が、ブラッドルビーのいた空間をまるごと焼き尽くした。後には塵一つ残らず、主を失ったブラッドルビーの部下たちも続々と投降する。
かくして、ブラッドルビーの夢の国は、主を失い、ここに潰えたのであった。
大成功
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