5
生徒と迷宮とお宝と

#アルダワ魔法学園

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アルダワ魔法学園


0




●迷宮の宝は死への誘い
「みんな注目ー! アルダワ魔法学園で事件だよー!」

 快活な少女の声が、グリモアベースに響き渡った。
 少女……エルフのシンフォニア、エスペラ・アルベールはそのエメラルドグリーンのポニーテールをなびかせながら、猟兵達へと視線を向ける。
 人懐っこそうな笑顔を浮かべていた表情を少し引き締め、自身が予知した事件について説明をするべく口を開く。

「アルダワ魔法学園に幾つもある地下迷宮の内の一つで、オブリビオンがフロアボスの座についちゃったみたいなんだ」

 その迷宮では、既にオブリビオンの影響で内部の構造に変化が生じているらしい。
 無論このまま放って置く理由はないが、今回は急がねばならない理由が他にもある。

「なんでも、オブリビオンの影響で変化が起きた迷宮の奥に、すっごいお宝がある! なーんて噂が広がったみたいで、生徒達が次々と探索に向かっちゃってるんだよ」

 やる気がありすぎるのも困り物だねぇ。と、溜息一つ。
 学園を通じて探索禁止の告知は出しているものの、腕に自信がある学生は余計に探究心を刺激され、とても止めきれる状態ではないようだ。
 いかに生徒達が腕自慢だろうとも、強大なオブリビオンには歯が立たない。
 もしも猟兵より先に敵に遭遇してしまえば、その命を散らす以外の道はないだろう。

「というわけで! みんなはまず、生徒達よりも先に、速攻で迷宮を攻略しちゃって!」

 みんなにだったら、そんな難しいことじゃないよ、とエスペラは告げる。
 単純に力技で迫る障害を強引に突破するもよし、速度に自慢があるならば罠が作動するより速く駆け抜けショートカットすることも可能かもしれない。
 あるいは先行している生徒達の進路を予測することで、先回りしたり、既に障害が攻略されたルートを楽に進むこともできるだろう。
 そうして生徒達より先に迷宮を走破してしまえば、犠牲者を出すことなくオブリビオンと戦うことができるはずだ。

「迷宮の構造は、基本的にちょっと入り組んだ洞窟っぽい感じだね。ただ明かりは十分確保されてるみたいだから、その辺りは気にしなくてよさそうっ。罠は落とし穴だったり、行く道を塞ぐように壁がせり上がってきたり、進むのを邪魔してこっちを消耗させようとしてくるものが多そうかな?」

 んー、と、自分が見た物を思い出すように迷宮の特徴を挙げ連ねる。

「あ、生徒の情報も必要かな? みんなの競争相手になりそうなぐらい進んでいるグループは、少しぐらい罠があっても解除したり、気合で回避したりして強引に進行してるみたいだよ」

 先に言った通り、これらの情報も合わせれば迷宮の走破自体はそれほどの難易度ではないだろう。
 猟兵が自分達より先に進んでいると分かれば、生徒達はその時点で引き上げるはずだ。
 だけど、とエスペラは言葉を続ける。

「迷宮を走破した後は、オブリビオンとの戦いになるわけだけど……迷宮の内部にはフロアボス以外にもオブリビオンは存在している。きっと、ボスより先にそいつらとも戦うことになるだろうから、十分気をつけてね」

 そう言うと、少女はふにゃっとした笑顔を浮かべ、猟兵達を送り出す言葉を紡ぐ。

「それじゃあ、みんなで頑張って生徒さん達を守ろー! ボクも応援してるよっ!」


芳乃桜花
 猟兵の皆さん始めまして!
 この度MSを務めさせて頂きます、芳乃 桜花(よしの おうか)と申します。
 これから第六猟兵における、皆様の冒険を彩るお手伝いができれば幸いです。

 今回のシナリオはダンジョン攻略となります。
 エスペラが言うように、力技でもよし、速度を活かしてもよし、知恵を絞ってもよしと、取れる選択肢は皆様の想像力次第でいくらでも。

 どうか皆様の手で、少し無謀なれども未来ある勇敢な生徒たちを守ってあげてください!
48




第1章 冒険 『冒険競争』

POW   :    力技で迷宮を攻略する

SPD   :    速度を活かして迷宮をショートカットする

WIZ   :    競争相手の生徒達の行動を読んで出し抜き先行する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

早見・葵
【力技で迷宮を攻略する】

学生達の行動や速さを意識するよりも襲う敵を倒してしまえばいい
剣を持って突き進む

途中でイェーガーと出会うなら共闘を申し込む
「目的は同じのようです。よかったら一緒に行きませんか? 」
迷宮に不釣り合いなドレスを纏った少女はさらに進む

敵が居たならば、ドラゴニアン・チェインで縛りつつ、撃破を狙う
ヒット&アウェイでダメージを蓄積しないように注意して
倒すのが難しい場合は、後退して学生を守りつつ撤退する

倒した後は、学生達に食料を恵んで、もうここには何もない、と伝えて帰らせよう


雛菊・璃奈
現段階までの迷宮のマッピング情報と迷宮探査に入ってる生徒の情報を確認…。
想定侵攻速度から既に踏破済みと思われるエリアは攻略されたルートを進んで途中まで時間を短縮…。
差を詰めた後はルートから先回りできそうなルートを選んで追い越しにかかる…。
フォックスファイアを周囲に展開しておいて、急な敵の奇襲や手の届かないところのトラップの破壊等に使用…。
薙刀を杖みたいにして先の床等にも気をつけながら進むよ…。
場合によってはフォックスファイアで強引に壁を破壊してトラップを塞ぐとか、注意しつつもできるだけ急いで進むよ…。
…もし、途中で生徒さんと遭遇したら誘惑活用しつつ戻る様説得か会話で足止め…。



アルダワ魔法学園に広がる迷宮には、難敵と言うほどでなくとも様々な災魔が存在している。
 小物といえども学園の生徒たちにとっては油断できないその存在は、一人の騎士によって、呆気なく吹き散らされていた。

「学生達の行動を意識するより、敵を倒して行ったほうが速いです」

 バスタードソードを手にし、立ち塞がる災魔を蹴散らしながら突き進む女性の名は、早見・葵(竜の姫騎士・f00471)。
 確かにその進行速度は、学生達のそれに比べて遥かに速い。猟兵と学生とでは単純に殲滅速度の差が大きい。
 迷宮には少々不釣り合いなドレスを翻しながら、順調に葵が歩みを進めていると、迷宮の分岐点において一人の少女を見つける。

「学生、いえ、他のイェーガーですね」
「あなたも、猟兵……?」

どことなくぼんやりとした雰囲気を纏わせた少女、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は、葵の姿を見て小さく首を傾げる。

「目的は同じのようです。よかったら一緒に行きませんか?」

 猟兵同士、共闘を申し出る葵に璃奈は数瞬思考を巡らせ、小さく頷いて応えた。

「良かった。でしたら早速進みましょう!」
「あ、待って……」

 嬉しそうに迷宮の進行を再開しようとする葵を引き止め、璃奈は葵が進もうとしてたのとは逆方向を指し示す。
 言葉少ない璃奈の意図を掴みきれず、首を傾げる葵へと、あまり多く喋ることに慣れていないか、少しずつ確かめるように言葉を紡ぎ出していった。

「現段階までの、迷宮のマッピング情報と迷宮探査に入ってる生徒の情報を確認した……。
 既に攻略されたルートを進んで行けば、途中までは時間が短縮できる……」
「なるほど、確かに。こちらがそのルートなのですね」

 意図を掴みきった葵の問いに、璃奈が頷いて答える。
 ならば、と、葵は指し示された道へと、剣を構えながら璃奈の前へと歩み出た。

「敵は私が、璃奈は道順をお願いします」
「うん……罠の確認も、しておく……」

 フォックスファイア、複数の狐火を周囲に漂わせ、準備を整えた璃奈を確認し、葵は強く頷いて歩を進めだす。

 迷宮の走破方針は真逆、されど、それが合わさり噛み合えば、その速度は個々で進む時とは比較にならない。
 二人は順調に迷宮を進み、学生達との距離を詰めていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白石・明日香
細かいことは考えず力業で強引に罠とかは破壊しながら強行突破で行くぜ!
ただ、破壊する罠は通り道で邪魔な奴限定で。敵が出てきたら一閃して薙ぎ払いながら迷宮の奥に向かって進む。あ、敵はさっさと時間かけずに倒すか。そのためには隙あり、不意打ち何でもやる。生徒に被害が出ないならそれに越したことないしな。
「邪魔をするな。オレが用があるのは奥にいる奴なんでな」



迷宮の地面が突然口を開けた。
 それを落下直前に飛び越えれば、天井からロープが飛び出し、侵入者である少女を吊り上げてしまおうと追い迫る。
 その役目を果たさせることなく斬り捨て、先へ進もうとする少女の目の前で通路がせり上がった壁によって塞がれた。

「……はっ!」

 剣刃一閃。
 少女の振るった刃が、壁を見事に切断する。
 派手な音を立てて崩れ行く壁を見ながら、少女、白石・明日香(ダンピールの剣豪・f00254)は小さく息を吐いた。

「この道は罠が多いな、ま、細かいことは考えず強行突破あるのみだぜ!」

 その言葉通り、明日香は一切の回り道をせず迷宮を直進し続けている。
 そうして進む道の中には、罠の多さに生徒達が回り道せざるを得なかった物も多く、当然それらの罠は明日香を狙い牙を剥く。
 そんな自らの進行を邪魔する罠を、真っ向から力技で破壊する様を目撃した災魔の何匹かは、戦う前から戦意喪失し迷宮の奥へと撤退していった。
 邪魔とならないであろう相手には目もくれず、彼女の力を目にしながら、尚も立ちふさがろうとする災魔へと刃を向ける。

「邪魔をするな。オレが用があるのは奥にいる奴なんでな」

 明日香の歩みを止められる存在は、この場にいない。

成功 🔵​🔵​🔴​

トゥリース・リグル
SPDを活かしてショートカットする方向で行動。
罠はスカイステッパーを使って回避し、効率的に移動。
ただし、生徒たちが先に進んでいる気配を感じたら多少遠回りでもそっちに移動、追い抜くことで生徒たちに帰ってもらう。

「大人の言うことは、素直に聞くものだよ」(追い抜く際に)

オブリビオンとの戦闘では錬成ヤドリガミでダガーを精製しつつ、シーブスギャンビットで速攻の撃破を心掛ける。
もし手に余るようだと判断したらコートを脱いでシーブスギャンビットの効果UPを狙う。
もし他に戦闘に長けた仲間がいるならサポートに徹する。



迷宮の罠を破壊しながら進む者がいるなら、華麗にかわしながら進む者もいる。
 トゥリース・リグル(刃を為すモノ・f00464)がその一人だ。
 壁や天井から放たれるロープや矢を回避し、落とし穴も空を飛ぶかのようにノンストップでクリアする。
 今にも閉じようとしている壁をスライディングでくぐり抜け……迷宮を作った主が見れば、頭を抱えるような状況だろう。
 そのまま迷宮を走り続けたところで、ふと気配を感じ足を止めた。

(これは、他の猟兵? ううん、生徒たちだね)

 奥へと進み続けていた足を、気配の方へと向ける。
 最奥へと向かっているグループと接触するにはまだ早いはず、ならば別の生徒が残っているのか。
 迷宮を走破してしまえばこちらも帰ることに違いないだろうが、その間に迷宮の災魔から傷を負わないとも限らない。
 早めに帰還させようとする判断は間違っていないだろう。

 と、気配の下へたどり着けばその考えが正しかったことを悟る。
 二人組の生徒は、一匹の災魔との戦いを繰り広げているところであった。戦況はほぼ互角か。

「横から、失礼します」

 戦況を判断すると同時に、トゥリースは素早くダガーによる一撃を与えて災魔を葬り去る。これが彼女のユーベルコード、シーブスギャンビットだ。
 突然の出来事に呆気に取られる生徒たちを一瞥し、

「大人の言うことは、素直に聞くものだよ」

 そうとだけ告げて、再び迷宮の深部へと駆け出す。
 助けられた生徒たちは、猟兵との実力差を感じ素直に帰還するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヤパ・トラジマ
お宝があると聞いちゃ行きたなるよなぁ
気持ちは解かるんやけど、若い命と引き換えに出来るよな宝はあらへん
しっかり助けたらんと

罠が発動、解除されとる道を急いで追えば、先行グループに追い付けるやろ
追い付いたら追い越して、地獄の炎で道塞いでまおか

まいど! 稼ぎはどないや、生徒諸君?
残念やけど、こっから先は怖ぁいバケモンが出るでな、通行止めやで


もし生徒らがオブリビオンに出くわしとったら
誘導弾で敵の気ぃ引きつつ間に割って入るわな

ほれほれ。お前さんの相手はこっちやで!
其処のバケモン貰い受けるさかい、宝物は俺らに譲っとくれ
来た道引き返せば帰れるやろ?

そら。邪魔する敵さんは全部、ブレイズフレイムで燃やしてまおなぁ



「お宝があると聞いちゃ行きたなる、気持ちは解かるんやけどなぁ」

 それでも、若い命と引き換えに出来るような宝はない。
 飄々とした口調とは別に、生徒たちを助けると固く誓う男、ヤパ・トラジマ(クリスタリアンのブレイズキャリバー・f00199)は順調に迷宮を駆け抜ける。
 他の猟兵達が災魔を退治し、罠を解除、ある程度の道順を解析した結果もあり、彼は先行している生徒たちに、今にも追いつけるところまで近づけていた。

「おっ、早速発見や」

 前方に三人組のグループを確認した。
 グリモア猟兵の言っていた通りのメンバーだと判断し、加速してその前に躍り出る。

「まいど! 稼ぎはどないや、生徒諸君?」
「え、誰……あ、猟兵!?」

 一瞬呆気に取られ、すぐさま何者かを看破した生徒にニッと笑いかけ、言葉を続ける。

「残念やけど、こっから先は怖ぁいバケモンが出るでな、通行止めやで」
「う、で、でも……」

 せっかくここまで来たのに、とでも言いたげな目で首を縦に振ろうとしない。
 気持ちは解かるわぁ。などと思いつつ、生徒たちに背を向けて迷宮の奥を見つめる。

「命あってこそや。其処のバケモン貰い受けるさかい、宝物は俺らに譲っとくれ」
「え、バケモンって」

 最後まで言い終わる前に、周囲の空気が変化した。
 
 それは、本。
 魔王時代の知識を集積し、その身を魔物へと変貌させた書物たち。
 それまでの災魔とは比較にならないほどの力を持った大勢の魔物たちが、主を守らんと、迷宮の奥から牙を剥き現れる。

 慌てて逃げ出す生徒たちを見送り、ヤパは地獄の炎を燃え上がらせて立ち塞がった。

「ほれほれ。お前さんの相手はこっちやで!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『書物の魔物』

POW   :    魔書の記述
予め【状況に適したページを開き魔力を蓄える】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ページカッター
レベル分の1秒で【刃に変えた自分のページ】を発射できる。
WIZ   :    ビブリオマジック
レベル×5本の【毒】属性の【インク魔法弾】を放つ。

イラスト:kokuzu

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

トゥリース・リグル
基本戦略は、スカイステッパーを使って集団の上空を取り続け、錬成カミヤドリでダガーを複数精製し、床にいるエネミー軍団を薙ぎ払う。
自分自身は瞬きの刃で上空を保ったまま攻撃する。
やむなく着地する際はなるべくエネミーのいないところを選ぶ。
どうしてもエネミーがいる場合はシーブスギャンビットで攻撃する。
猟兵と連携する際は、仲間の背後を取りそうなエネミーを優先して攻撃する。


白石・明日香
ユーベルコードを攻撃力重視で使い一気に片をつける。相手の隙を突いて複数の敵を一度に攻撃するように立ち回る。その為に敵の動きを観察して包囲されないようにする。
誰かしらいたら、協力して立ち向かう。
「ようやく着いたのか?なら、ここからが本番だぜ!」



迷宮の奥から現れた無数の本。
 その開かれたページは一枚一枚が生きているかのように本体から離れ、自在に重なり合って鳥とも竜とも言えぬ異形の姿を取り、立ち塞がる者たちを威圧する。

「一気に片をつけてやるぜ!」

 そんな全てを飲み込まんと迫る書物の魔物に対して、真っ先に仕掛けたのは明日香であった。
 彼女の振るう刃は、魔力を蓄え攻撃に備えていた魔物の身体を、一刀の下に両断する。
 炎・水・風の3つの魔力を自らに付与し力を高めるユーベルコード、トリニティ・エンハンスによって高められた明日香の攻撃力は、書物の魔物の防御力を大きく上回っているようだった。
 複数の魔物を一度に吹き飛ばすほどの力を見せる少女であったが、それでも敵の数は多い。包囲されぬよう意識はするが、死角に入った魔物の動きにはどうしても反応が遅れてしまう。
 このままだと、いずれは囲まれてしまうか、そんな考えがよぎった直後。

「大丈夫ですか、援護します」

 トゥリースが放った複数のダガーが、明日香の背後から襲いかからんとしていた魔物に突き刺さり葬り去る。
 錬成カミヤドリ、ヤドリガミとしての自分の本体を複製し、自在に操るそのユーベルコードによって、明日香の背後を守るようにダガーが配置された。

「ようやく着いたのか? なら、ここからが本番だぜ!」

 少々口悪く、それでいて援護に対して確かな信頼を感じさせながら明日香も奮起し、背中をトゥリースに預けて、自身はさらなる攻勢へと出る。
 明日香の攻撃から逃れた魔物は自らのページを刃へと変化させ、背後のトゥリースを狙い放つが、彼女は高く跳び上がりそれを回避。上空から更にダガーを放ち、魔物を次々と討ち取っていった。
 放たれるページの刃は身軽なトゥリースを捉えることができず。魔力を蓄え自身を強化する個体は、それ以上の強化を施した明日香を止めることができない。
 二人の少女は、確実に魔物の数を削り取っていく。
 未だ書物の魔物の数は多く、それでいて、魔物側の優位を感じている個体はいなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

雛菊・璃奈
フォックスファイア中心に攻撃…。
炎弾を周囲に展開。
敵のビブリオマジックやページカッターを相殺しつつ、炎弾を連射して攻撃…本の魔物だし、炎でよく燃えそうだよね…。
1~2発は攻撃に使わずに、隙をついて攻撃してくる敵の牽制に使用…。

近接戦を仕掛けて来る様なら、手持ちの妖刀で叩き斬ってあげるよ…。

「ん…残らず燃やしてあげる…」

一緒にいる猟兵がいたら、前衛タイプなら炎弾で支援する旨を伝え、後衛タイプなら支援して貰うか一緒に手数で押し切るよ…。



劣勢を感じた書物の魔物達は、即座に次の行動へと移った。
 ビブリオマジック、インク魔法弾による毒攻撃を猟兵達へと降り注がせようとする。
 毒を受けてしまえば、いかに猟兵といえども苦戦は免れないだろう、前線のメンバーに緊張が走り、

 直後飛来した狐火が魔法弾を相殺していく。

「ん…残らず燃やしてあげる……」

 璃奈の放ったフォックスファイアだ。10を超える狐火を操り、迫る魔法弾を正確に迎撃する。
 ならばと魔物達は璃奈から狙おうとするも、手元に残してある2個の狐火による牽制が効き、近づくことができない。
 なにせ相手は紙である。オブリビオンであるからしてただの火でそう簡単に燃えたりはしないだろうが、ユーベルコードによる狐火がただの火などではないことは明白。
 それでも数体の魔物が決死の覚悟で接近するも、狐火を避けてでは攻撃方向が限定され過ぎる。璃奈は一切の動揺も見せずに、手にした妖刀で接近した魔物たちを叩き斬った。
 次は誰からか。ぼんやりとした表情の中にそんな気配を感じ、既に半数以下となった魔物達は少しずつ後退していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アスティリア・モノノフィシー
「そういう事でしたら…」
私もユーベルコードで火の攻撃力をあげて斬りかかります。

ページカッターの攻撃には特に注意して躱せるようにしたいですね。

「そんなに破るのがお好きなら、私も手伝ってあげましょうか?」
まあ属性的に破れるだけとは限りませんが…

本は大事なものですが、それよりも大事なもの、人を守らなければならないですから。心を鬼にして戦います。



「そういうことでしたら……」

 一連の攻防を見て、アスティリア・モノノフィシー(人間のマジックナイト・f00280)が駆ける。
 三種の魔力、その中でも炎の魔力を強く高め、手にした剣に火の力を付加して魔物達へと斬りかかった。
 さらなる火攻めに、書物の魔物達は慌てて避ける。果敢にも魔力を蓄え、攻撃を耐えようとした一体は無残に散った。
 先程までページの刃を放っていた、後方に位置する集団の様子に注意を払いつつ、少女は剣を構え直して、真っ直ぐに相手を見据える。
 本は大事なものだ、アスティリアは思う。そこに記された人々の想い、知識は尊い物であると。
 しかし、今はそれよりも大事なもの、人を守らなければならない。そのためならば彼女は。

「そんなに破るのがお好きなら、私も手伝ってあげましょうか?」

 心を鬼にして、戦うことができる。
 
「生憎、破れるだけとは限りませんが……」

 火の力を宿した剣閃によって燃え落ちていく魔物を見ながら、少女はそう呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヤパ・トラジマ
ははぁ。敵さん本やったんか
見た目に違わず炎が苦手、みたいやし
俺さん相性良さそやな!

先に来とったお仲間さん達の邪魔にならんよに注意しつつ
残りも全部、ブレイズフレイムで燃やしてまお

魔書の記述を使おとしとるヤツがおったら
発動前に攻撃を
残念ながら、そゆのん待ってもらえるんは作り話の中だけやで

遠距離攻撃は炎で打ち落としたいとこ
本のインクの匂いは好きやけど、毒のインクは嫌な匂いしそやね
ページカッターめっちゃ使たら、ページのうなったりするんかなぁ…
気にはなるが、無駄な時間は使わん主義や
タイムイズマネー! さっさと倒されてくれ!!

逃げるよなら、炎で囲って逃げ道を塞ぐ
1匹だって逃がさんよ
さ、飛んで火に入っとくれ



炎が支配する戦場において、しめたものだと笑みを浮かべたのはヤパである。
 彼はブレイズキャリバー、体内に地獄の炎を持つ戦士なのだ。

「見た目に違わず炎が苦手、みたいやし―――」

 自身の身体を切り裂きながら噴出した紅蓮の炎が、複数の魔物を焼き払う。

「俺さん相性良さそやな!」

 手応えあり。そう確信し、彼は更に踏み込み、魔力を蓄えようとしていた魔物へと攻撃を加えていった。
 技を放つ間もなく滅んでいく魔物へ、ヤパはニヤリと笑みを浮かべて口を開く。

「残念ながら、そゆのん待ってもらえるんは作り話の中だけやで」

離れていた魔物達がページの刃を放つも、それらは地獄の炎によって迎撃され効果がない。
 ……ページカッターめっちゃ使たら、ページのうなったりするんかなぁ……
 ふと、このまま迎撃だけし続けたらどうなるかという興味が湧くが、無駄な時間を使う状況ではないと首を振る。

「タイムイズマネー! さっさと倒されてくれ!!」

 地獄の炎が吹き荒れる。
 踊り狂う炎は、逃げ惑う魔物を喰らい尽くし、その紅蓮の身を更に燃え上がらせて暴れまわる。

 数秒後、そこには魔物の姿は一匹たりともなく。
 全ての相手が討伐されたことが示されていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『錬金術ドラゴン』

POW   :    無敵の黄金
全身を【黄金に輝く石像】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    ドラゴンブレス
【炎・氷・雷・毒などのブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    アルケミックスラッシュ
【爪による斬撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に錬金術の魔法陣を刻み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:V-7

👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【それ】は、迷宮の奥深くにて、ただ静かに佇んでいた。
自らを生み出した術と同じ錬金術によって、ひたすらに自らの力を高めながら。
それが己のすべきこと。
ただただ力を蓄え、今の姿をも超える存在と化す日を目指す。
その日こそが、自身の領土をこの迷宮より外へと広げる時であると。

迷宮への侵入者には気づいていた。
だがその大半は取るに足らない存在。
幾重にも張り巡らされたトラップと、災魔達によって十二分に防げる程度の者だったはずである。

そのはずが、遅れてやってきた別の侵入者達により呆気なく覆された。
自らが作り変えた迷宮を、手下を蹂躙され、【それ】は怒りに満ちた咆哮をあげる。

「―――――――!!!」

未だ姿は変わらず。
されど、蓄えられた力は強大。
猟兵達へと、憤怒の牙を剥き襲いかかるのは、

黄金に輝く、一体のドラゴン。
白石・明日香
「とうとうお出ましか。切り捨てる!」
敵のブレスに注意しながら距離を詰めて戦闘。
敵の挙動を観察して攻撃してきそうなら、一気に距離を詰めて
剣刃一閃!ただし、その際は
敵の爪には警戒してその攻撃範囲には入らないようにする。
他の人がいる場合は協力して立ち向かう。その場合は徹底的に距離を詰め味方に攻撃がいかないようにする。オレを無視するなら、好都合。そのまま攻撃して、無視したことを後悔させてやる!


雛菊・璃奈
ん…ドラゴン…人造とはいえ、今までの相手とは違いそう、だね…。

ドラゴンブレスは射程範囲が決まってるから、射程範囲を見極めつつ、敵の範囲外から攻撃するよ…。
アルケミックスラッシュは近接技だから敵の射程外からなら、それ程脅威にはならない…。
ただ、魔法陣は残しておくと厄介だから、敵への攻撃と一緒に魔法陣も削り取る様に『unlimited curse blades』で斉射を行って破壊を試みるよ…。

…固そうだし、そのままだと、致命傷を与えるには火力が足りない、かな…。
敵の目や関節部、翼膜等、装甲の薄そうなところに当る様、斉射の際は狙ってみるよ…。
特に敵のブレスの時は口内を狙えるし、チャンスかな…。





「とうとうお出ましか。切り捨てる!」

 常人ならば竦み上がってしまうであろう、怒りの咆哮を受けて尚、明日香は躊躇しない。巨体の懐まで一挙に駆け抜けると、手にした刀を呼気と共に振るい放つ。
 美しき剣閃がドラゴンの身体を斬り裂かんとした瞬間、その全身が光り輝いた。

「―――なっ!」

 黄金に輝いたドラゴンの身体は、明日香の刀を弾き返し、傷一つ付いている様子はない。
 その強度に驚愕したのは、後方から魔力で生み出した魔剣・妖刀の現身を放ち援護していた、璃奈も同様だ。あらゆる攻撃に対して無敵となるその輝きは、猟兵といえども容易には破れるモノでないようだ。

「ん……ドラゴン……人造とはいえ、今までの相手とは違いそう、だね……」

 苦々しげに呟き、璃奈は再び魔剣を生み出しながら、数歩後ろへ下がる。
 この距離ならばドラゴンの爪は届かない、明日香の方も徹底的に距離を詰めることで、爪を振るわれることがない位置をキープしていた。ならば次に来る攻撃は、必然一つのみ。

『―――!』

 目障りな侵入者を全てを焼き尽くさんと、ドラゴンが息を吸い込む。喉の奥に紅蓮の光が灯り、必殺の一撃が放たれるであろうことが見て取れた。
 だが、二人の猟兵が狙っていたのは奇しくも同じ、このタイミング。

「はぁっ!」
「そこ……」

 ブレスの準備に入ると同時に、ドラゴンからは輝きが失われていた。その瞬間を見逃さず、明日香は腕を、璃奈は開かれた口内を狙い攻撃を放つ。剣刃一閃が鱗ごと腕を半ばまで斬り裂き、unlimited curse bladesにより生み出された、何十という数の刃が守りの無い口に突き刺さった。
 どちらも致命的な一撃には惜しくも届いていない、それでもその衝撃にドラゴンは仰け反り、ブレスの方向は逸れて天井を炎が舐め、戦場から離れた場所を一部溶解させたのみに終わる。

「この巨体相手じゃ浅いか!」
「でも、効いていないわけじゃない……」

 敵は強大、されども闘志に揺らぎは無く。
 二人の少女は再び刃を構える。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アララギ・イチイ
遅刻したわぁ
というわけで、ボス戦に飛び入り参加よぉ

敵はボスだから出し惜しみは無しで行くわぁ
敵の攻撃を警戒、特に首の向きに注意してブレスに狙わねない様に移動を続けるわぁ
移動時は【残像】発動、【戦闘知識】で敵の攻撃を予測回避、左右での回避行動が難しくなったら飛行能力(インナー付与能力、及び【空中戦】スキル)で飛行移動だわぁ

攻撃は召喚・剣豪悪鬼を使用
着物の袖から連射式投擲砲を引っ張り出して【2回攻撃・範囲攻撃・マヒ攻撃】のスキル併用で大口径化した砲弾の連射で攻撃ぃ
魔方陣を展開したら、その敵の周囲にも砲弾を降らせて地形ごと破壊するわぁ
投擲砲が弾切れしたらハンドバルカンの掃射に切り替えよぉ





 ブレスの熱が辺りに広がる中、動きを見せようとするドラゴンへと、幾つもの小型砲弾が飛来し怯ませる。

「ちょっと遅刻したわぁ。出し惜しみは無しでいくわよぉ」

 3mはあろうかという幻影の悪鬼と共に投擲砲を放つ、アララギ・イチイ(ドラゴニアンの女子・f05751)による物だ。
 新手の相手を認識するやいなや、ブレスの狙いを付けんと視線を向けるが、直後アララギの姿がかき消え、別方向から砲弾が撃ち込まれる。
 残像を生み出す技術と、空中飛行の力を組み合わせることによって、相手に狙いを付けさせず一方的に攻撃を加えることに成功していた。
 しかし、

「流石にタフねぇ」

 それでもドラゴンは倒れない、黄金の輝きによって砲弾を防ぎつつ、怒気の籠もった瞳で猟兵達を仕留めるチャンスを狙っている。
 武器をハンドバルカンに持ち替えて斉射を続けながら、アララギは不敵な笑みを浮かべ、攻撃を防ぎ続けるドラゴンを視線で射抜く。

「もっと楽しませてもらわないと、ねぇ」

 戦闘狂の少女にとっては、無敵の輝きもそれほどの驚異とは感じていないようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
先程と同様、距離を保ちつつ戦闘。

フォックスファイアの狐火の内、4個を敵の顔面付近へ…。残りは頭上で一つの火球に合体させて圧縮…破壊力と貫通力を高めるよ…。

敵の顔面に飛ばした4個は、入れ替わり立ち替わりで顔面付近で視線を塞ぎ、苛立ちを煽る様に浮遊。
敵の視界を遮る事で命中率を低下させて味方の支援を行うと同時に、苛立ちを煽って攻撃を誘発するよ…。
…無敵の身体もストレスには意味無いでしょ…?
苛立ちから顔面の狐火を爪かブレスで振り払おうとしたらチャンス…。

待機させてた手元の火球を、さっきの戦闘で傷つけた腕か口を目掛けて攻撃…。傷を抉る様に仕掛けるよ…。攻撃の瞬間なら無敵になれないよね…。





 善戦を続ける猟兵達だが、無敵の輝きを攻略しなければ決定打が与えられない。
 そう判断した璃奈はフォックスファイアによって狐火を生み出し、その内4つをドラゴンの視界を塞ぐように配置する。

『―――!?』

 無敵になっているからといって、戦闘中に視界を奪われたままで平気なはずもない。慌てた様子で身を捩り、その全身から輝きが失われていく。
 それでも尚、執拗に視界を塞ごうとする狐火に焦れ、傷ついた腕で爪を振るい、煩わしい火を吹き散らさんとした。

「攻撃の瞬間なら無敵になれないよね……」

 その瞬間、一条の閃光が腕の傷を抉り貫いた。たまらずドラゴンが叫ぶように吠え、戦闘が開始してから初めて膝をつく。戦闘を行っている猟兵達から歓声が上がった。
 全ては璃奈の狙い通り、無敵の輝きを破るための作戦は見事に成功である。

「無敵の身体もストレスには意味無いでしょ……?」

 もしも、少女が上手く感情を表すことができたのならば、ニヤリとでも笑っていたかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アスティリア・モノノフィシー
学園の生徒さん達が見たら噂どおりのお宝とか伝説のなんとかって言いそうなドラゴンですね。
早い所始末しなくては。

「油断なんてしませんよ」
どちらかと言えば強そうな相手にロングボウを握る手に汗が滲むくらい緊張です。

あちらこちらに錬金術の魔法陣が描かれないよう立ち位置に注意し、黄金の石像となって動きが止まる時は私も千里眼撃ちの準備です。
なるべく距離を取りつつ、相手が動く直前に矢を放ちます。

相手の後ろに立っても油断せず、ロングボウで攻撃。

「ドラゴン退治、なんて言ったらママ吃驚するだろうなぁ」
報告出来るように今は集中集中っと!





(学園の生徒さん達が見たら噂どおりの、って言いそうなドラゴンですね。早い所始末しなくては)

 ピカピカ黄金に輝くドラゴンは、確かに見方によってはもの凄いお宝と言っても間違えではないだろう。アスティリアがそんなどこかずれたことを考えているのは、強敵相手の緊張を少しでもほぐそうとしているのかもしれない。
 ロングボウを握る手に滲む汗を軽く拭い、再び立ち上がったドラゴンへと強い視線を向ける。

「油断なんてしませんよ」

自分に言い聞かせ、鼓舞するかのように呟き、その爪での一撃を受けないよう移動し続けながら矢を放つ。
 続けざまに来る遠距離攻撃を煩わしく思ったか、何度目になるのか黄金の輝きを放ち、ドラゴンは身を護る。それと同時にアスティリアは距離を取った。
 ドラゴンが再び動き出すまでの間に、彼女は集中を高めていく。

 自らの意識を、想いを、心の全てを矢の先端に。

「―――っ!」

 意識の開放と同時に、矢が放たれる。その鋭さは今までの比ではない。風を、空気を斬り裂き飛んでいくその先端は、ドラゴンの輝きが失われた瞬間を見事穿つことに成功した。

「ドラゴン退治、なんて言ったらママ吃驚するだろうなぁ」

 二度続けば必然、三度目ならば疑う余地はない。【それ】は悟る。
 最早、黄金の輝きは完全に見切られている、無敵などという評価は、間違っていた、と。

成功 🔵​🔵​🔴​

カーニンヒェン・ボーゲン
我が身は一介のジジイに過ぎませぬが、未来を担う若者達の、
糧の一つとなれるのならば、喜んでこの身を捧げましょうぞ。

戦術は至ってシンプル。
己が全てのもと【剣刃一閃】で斬り合うまでです。
無敵となろうと、理不尽なまでの暴虐を行おうと、
今、此処に存在する限り、付け入る隙は必ずあるはず。
ならばその時まで、私がこの場を繋ぎましょう。
果たして私の刃ごときで、どこまでもつものやら…。
到底分かりやしませぬが、下等と見下した者に
自らが蹂躙されかねぬのだと危機を抱かせる程度には、貢献したいものですな。
(クツクツと喉の奥で嗤い)
矮小なれど、私も貴殿を害する力を有するモノであるのです…
いやぁ、実に愉しいではありませんか。


ジェット・ラトリオック
遅れてきた以上、働きはしっかりと果たさないとな。
既に「覚悟」は決まっている。失敗は許されない。

まずは潜伏。相手に標的にされないよう、隠れて背後へと立ち回る。
味方の攻撃に気を取られ、隙を見せた瞬間に、
【呪物:精霊の苗床】を発動。
高速移動で一気に敵真上まで飛び上がり、
「怪力」「二回攻撃」「傷口をえぐる」も駆使し、上空から触手を叩きつける。

ブレスに対しては、
事前に敵の頭の向きにも注意しつつ、兎に角速さで回避。
最悪は「気合」「毒耐性」で耐える。


アララギ・イチイ
頑丈ねぇ
でも壊し甲斐があるってものだわぁ

前回の状況と変わらず、飛行状態で移動よぉ
私の動きに慣れてくる頃合いだろうからぁ、【ダッシュ】のスキルで緩急織り交ぜてのランダム回避運動を心がけるわぁ

ハンドバルカンで敵の頭部付近を掃射しつつ、再び無敵状態になるのを待つわぁ
無敵状態になったら、急接近して敵の頭部に着地ぃ
そのままダンスでも踊ろうかしらぁ?
もちろんそんな無礼な輩は即排除するだろうからぁ、ちょっとでも動作を確認したら、頭部に一撃・禍爪を叩き込むわぁ、衝撃が逃げない様に相手の顎の下にはシールドビットを展開させて【盾受け】も加えてねぇ

攻撃後は即離脱よぉ
無敵の解除方法を教えてくれた先駆者に感謝よぉ


白石・明日香
「そろそろ決めないとな・・・覚悟してもらうぜ!」
トリニティ・エンハンスを攻撃重視で発動させて戦闘。
引き続き爪の間合いに入らないように注意しながら
敵の無敵の黄金が解けた瞬間を狙って攻撃。
ブレスは絶好の隙だからそれの発動の瞬間は逃さずに攻撃する。
周囲に味方がいる場合は協力して戦闘、自身は敵の間合いに注意しながら積極的に前に出て敵の気を引き付けておく。
「今度こそ終わらせてやるよ」
敵を引き付けておく。


ヤパ・トラジマ
うへぇ、ぴっかぴか…
黄金化した腕の一本でも持ち帰りゃ、高く売れたりするかね? なんつって

無敵化は既に攻略済みやろか
頼もしい限りや

爪の斬撃は、魔方陣対策の為に避けんと往なしとこか
もし魔方陣が刻まれたなら、その都度、地面を焼いて魔方陣を破壊
周囲におる遠距離攻撃型のお仲間が狙われとったら、攻撃を引き付けたいとこ
でっかいと動きが鈍いよなぁ
こない近くにおっても、捕まる気ぃせんわ
なんて、やっすい挑発にゃ乗ってくれんかね

無敵中は体勢を整えるのんに専念して
ブレスの兆候が見られりゃ、吐くより先に炎捩じ込んだろ
オトコノコとしては炎対決とかしてみたいとこやけど
負けたら格好悪いかぁ…

つっても、負ける気ぃはあらへんよ!





『―――――!!!!』

 今までと比べても一際大きな咆哮を上げ、ドラゴンは傷つき穿たれた腕とは逆の爪を振り下ろす。
 足元にいた猟兵を狙ったそれは、飛び込んできたカーニンヒェン・ボーゲン(或いは一介のジジイ・f05393)の振るう刃と激突し、周囲に衝撃を撒き散らすに留まった。技の鋭さにおいて両者は互いに譲らず、しかし、質量が違う。カーニンヒェンの足場が崩れ、彼の身体が沈み込む。無茶だ、と誰かが叫んだ。

「未来を担う若者達の、糧の一つとなれるのならば、喜んでこの身を捧げましょうぞ」

 元よりそれが自らの役割だと、誰かを生かすために自らを礎とせんという覚悟の下、真っ向からドラゴンと斬り結ぶ。
 そんな戦いを見て、ドラゴンの背後に潜伏していたジェット・ラトリオック(黒玉の蛸・f01121)が高く跳び上がる。纏っていた触手状の精霊を、ドラゴンの身体を支える腕、それまでの戦闘で傷ついたそこに叩きつけ、その怪力により強引に下がらせた。
 そのままカーニンヒェンの隣に降り立ち、鉄兜に隠された漆黒の瞳で彼を見る。

「おお、素晴らしい剛力ですな」
「……覚悟は」
「ふむ?」
「覚悟ができているのは、お前だけでは、ない」

 それだけ告げ、ジェットはドラゴンへと駆け出した。
 カーニンヒェンは数瞬、投げられた少ない言葉へ呆気に取られた表情を浮かべ、その後、クツクツと喉の奥で嗤いをこぼす。

「これはこれは、実に頼もしい」

 どこか嬉しそうに呟き、刀を構え直して自身も再びドラゴンへと向かい、走り出す。

「頑丈ねぇ、でも壊し甲斐があるってものだわぁ」

 アララギは飛行状態のまま、ドラゴンの頭部へとハンドバルカンの掃射を続けていた。速度に緩急をつけてのランダムな回避運動によって、狙いをつけさせず、放たれれる弾丸はその頭部の表皮を少しずつ、されど確実に削り取っていく。
 先程までならば、既に黄金の輝きを使い一時凌ぎに徹していただろう、だが、最早あの輝きは無敵ではないと理解させられた今、ドラゴンはブレスで迎撃をしようと喉の奥を赤く灯らせた。

「無敵化は既に攻略済み、頼もしい限りや」
「そろそろ決めないとな……覚悟してもらうぜ!」

 だが、その動作を狙いすましていた猟兵も存在する。懐に潜り込み、爪の届かない位置をキープし続けてきた明日香が、傷ついた腕を今度こそ両断する。直後、ヤパの鉱石の身に刻まれた虎縞模様、そこから吹き出した、血のような深紅の炎がドラゴンの口内を焼かんと暴れまわった。

『―――!』
「燃え尽きるまで、逃がさんよ」

 止むことのない弾丸の雨、口内の炎は消えず、懐へ目を向ければ、明日香と合流したジェットとカーニンヒェンが、さらなる攻撃を加えようとしている。
 もはや、残された腕の爪だけで防ぎきれる物ではない。ドラゴンは初めて「恐怖」から、黄金の輝きを放つ。

 猟兵達の攻撃が止まる。既にこの輝きは絶対の驚異で無くなっているとはいえ、真正面から叩き壊す術が無いことに変わりない。それぞれ体勢を整えることに専念し、その輝きが消える瞬間を狙い刃を研ぎ澄ます。
 ドラゴンもその様子を知覚できていた、できてしまっていた。この輝きが失われた瞬間、待ち構えている猟兵達によってこの身が討たれてしまうであろう未来が見えてしまう。
 なれば、今できることはこの輝きを少しでも長く維持することだ、輝きを解除しない限り、勝てはしないが負けもしない。猟兵とて無限に気を張れるわけではない、根比べ―――

 何かが、頭に乗った。

「あら、いい眺めねぇ」

 アララギだ。光輝くドラゴンの頭部へと降り立ち、その視界に収まる場所へと移動する。何をする気か、ドラゴンだけでなく猟兵の一部も見守る中、少女は動く。

「みんなー、ノッてるかしらぁ?」

 軽いステップを踏み、くるりとターン。光り輝くドラゴンの頭部をステージに、見事なダンスを舞って魅せた。
 一瞬の静寂が場を支配する。が、直後ダンスステージ……否、ドラゴンの身体が震えだす。

『――――!!』

 怒りに満ちた、迷宮を蹂躙された時以上の感情を乗せて吼える。気持ちはわかる。と一部の猟兵は頷いた。自身の頭で好き放題されて、怒るな、という方が無理な話。
 だが、それはアララギの狙いにまんまと乗ってしまうということに他ならない。

「私の爪って、ちょっとだけ鋭いのよぉ」

 輝きの消えた瞬間を逃さずに、ドラゴンお株を奪わん爪の一撃を頭部に叩きこむ、一撃・禍爪。顎下に展開したシールドビットで、衝撃を余さず伝えるオマケ付きだ、たまらずふらつくドラゴンへ、他の猟兵達が一斉に攻撃を仕掛ける。

「オトコノコとしては炎対決とかしてみたいとこやったけど、な!」
「……」

 ヤパの炎がアララギが退避したドラゴンの頭部を焼き、ジェットは無言のまま、触手によって、その頭を地面へ叩き落とす。

「クク、若さというのは良いですなぁ」
「これで、トドメだぁ!」

 待ち構えていた明日香とカーニンヒェン、二人の剣閃が同時に走り―――その首を、見事に斬り落とした。





 迷宮の外、退避した生徒達は、心配そうに迷宮の入り口を見つめていた。
 何度か聞こえた咆哮、その声だけで、自分達がどれだけ無謀な相手に挑もうとしていたかを理解させられた。猟兵達に諌められていなければ、今頃はこの声の主によって無残にも殺されていただろう。
 学園の中では腕自慢だった生徒達だが、その実力はオブリビオンと戦うにはまだまだ足りないことを自覚する、それでも剣を置くことではなく、より強くなるため努力しようと考えているのは前向きだと言えるか。

 声が聞こえなくなってから、暫く経つ。
 猟兵達はどうなったのか、もしや迷宮の主によってやられてしまったのか。だとすれば、それは―――

 一人の生徒が声を上げる。
 彼の指差す方向を見れば、そこには迷宮から出てくる、幾つもの人影。

 猟兵達の帰還に、生徒達は歓声を上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2018年12月18日


挿絵イラスト