4
アポカリプス・ランページ④〜マッスルギャングの猛攻

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ④ #9/2シナリオ公開

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル
🔒
#アポカリプス・ランページ
🔒
#アポカリプス・ランページ④
#9/2シナリオ公開


0




●グリモアベース
「アポカリプス・ヘルでカタストロフの危機が迫っています。苛烈な戦いになりますが、ご協力お願いします」
 紡木原・慄(f32493)は、緊急招集に応じてくれた猟兵たちにアポカリプス・ヘルでの戦争の開戦を告げる。
 オブリビオン・ストームが吹き荒れ、人類存続の危機に立たされるアポカリプス・ヘル。
 荒廃した世界で力強く生きる人々が住む世界に、カタストロフの危機が迫っていた。
 カタストロフを目論むのは、『フィールド・オブ・ナイン』と呼称されるオブリビオン・フォーミュラの集団。総勢9体のうちの6体が復活し、カタストロフを引き起こすために動き出したことがわかったという。
「敵の計画は復活した6体のうちの1体、フルスロットル・ヴォーテックスを中心に進められているわ。よって、最終目標はフルスロットルを倒し、この戦いを終結させることです」
 フィールド・オブ・ナインは一体一体が強大な力を持ち、独自の作戦計画を持っている。戦いが長引けば取り逃した者たちによってそれぞれの計画が実行に移され、戦況がどんどん悪化していくことだろう。今回の戦争は早期の決着が求められる。

 慄は戦争の概要説明を終えると、今回の依頼の説明に移る。
「今回の依頼は、デス・バレーにあるヴォーテックス一族のコンピュータ研究所を制圧し、研究所に保存されている『禁断のコンピュータウイルス』を奪取すること。このウイルスを使えば、フィールド・オブ・ナインのうちの一体、『スーパー戦車』を弱体化させることができるはず……早期に戦いを終結させるために重要な仕事といえるわね」
 『スーパー戦車』は強力な兵器を持つ強敵。ウイルスを使用すればスーパー戦車に搭載された兵器を狂わせ、弱体化できる。そうすれば、少ない戦力で撃破が可能となり、早期の終戦に大きく近づくというわけだ。
「デスバレーの研究所は最新の装備を配備した機械要塞でもあるわ。『機械鎧』で戦闘能力が増強されたレイダー軍団が待ち構えているので、油断しないでくださいね」
 慄は依頼の説明を終えると、猟兵たちを送り出すのだった。

●死の谷の研究所
 カリフォルニア州・デスバレー。
 灼熱の太陽が照りつける乾燥した大地が広がるこの地に、ヴォーテックス一族のコンピューター研究所があった。

 技術開発部門を統括する博士は侵入者の迎撃に赴く若いレイダーたちに機械鎧『マッチョスーツ』を披露する。
「君らには、この機械鎧を着用して出撃してもらう」
 ずらりと並んだ機械鎧を見て引きつった笑みを浮かべるレイダーたち。
 彼らは丁重に断ろうとしたが、博士は持ち前の強引さで彼らにマッチョスーツを着せてしまう。
「この黒光りする体。鍛え上げられた上腕二頭筋。腹筋はシックスパックだぞ。ほら、胸板も鋼のようにたくましいではないか。これで君たちはモテモテ間違いなしだ!」
 まるで自分の肉体を誇るかのように機械鎧をプレゼンする博士。
 若いレイダーたちは「完全にお前の趣味だろ。そんならお前が着て戦えよ」と内心で思っていたが、その性能は申し分なかった。着心地もよくて快適だ。見た目にさえ目をつぶればの話だが。
「行ってこい! ゴリマッチョ部隊よ!」
 博士は、「たくましい肉体」を手に入れた若いレイダーたちを満面の笑みで送り出す。
 ちなみにこの機械鎧は一度着用すれば死ぬまで脱げない構造になっていた。
 レイダーたちはそのことを知らなかったのである。


刈井留羽
 こんにちは。刈井留羽です。お越しくださりありがとうございます。
 今回は一章完結の戦争シナリオとなります。

 舞台はデスバレーのコンピューター研究所。
 フラグメントの集団敵が特殊な機械鎧『マッチョスーツ』を着た状態で出現します。この機械鎧を着ると身体能力が飛躍的に向上し、敏捷性や防御力、素手での攻撃力が高まります。それに加えて敵は既存のユーベルコードも使用してくるので、その対処も必要となります。

 プレイングボーナスは、「敵の機械鎧を無力化すること」です。
 機械鎧は一度装着したら死ぬまで脱げません。動力部を破壊すると機能停止し、機械鎧はただの重りと化してしまいます。『マッチョスーツ』の形状は人体に忠実に作られているのでそれ故の弱点もあるのかもしれません。

 シナリオ公開後、すぐにプレイング受付開始。早期の完結を目指します。
 プレイング受付状況はタグをご参照ください。それでは皆様のプレイングを心よりお待ちしています!!
41




第1章 集団戦 『ダーティーギャング』

POW   :    お寝んねしな!
【鉄パイプや鎖】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    催涙スプレーの時間だぜぇ!
【催涙スプレー】から【目の痛くなる液体】を放ち、【目の痛み】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    おらおら、おとなしくしな!
【手錠】【スタンガン】【鎖】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。

イラスト:kamiya jun

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

パティ・チャン
■POW
近寄ったら負け、ですね。それは体躯の小さい妖精族の私には、ついて回ることですけどね。

【Raging Fire】発動!

目標!マッチョスーツの継ぎ目、可能なら[鎧砕き]して、中に潜り込んでギャングの中身を攻撃して、それが難しければ炎([属性攻撃])攻撃で、鎧を中身が火傷するほど高熱化させましょう

如何に近接攻撃のみとはいえ、流れ弾や瓦礫が飛んできても、私には致命傷
[迷彩、オーラ防御]で自分自身を防御することは怠りなく

(作戦が成功したら)
「小さい体躯が、モノをいいましたね。猟兵と、近衛騎士団所属・チャン一族の名において、抗います!」

※連携・アドリブ共に歓迎



 広大な乾燥地帯に築かれた研究施設。
 敵対勢力の攻撃に備えて窓が少なく、気密性が高い設計になっているこの施設は、空調のための換気口が至る所に設置され、換気ダクトも縦横に張り巡らされている。
(潜入成功! こういうときは小さいと便利よね……でも、この体躯では近寄ったら負け。見つからないようにしないと……)
 換気ダクトを通って研究施設に潜入したパティ・チャン(月下の妖精騎士・f12424)は、換気口から少し顔を出して広い通路を用心深く索敵する。
 隠密行動に長けた妖精族の体躯を誇らしく思いながらも、警戒は怠らない。小さい体の利点も弱点も熟知し、慎重に行動しているのだ。
 すると、ほどなくして大勢の足音が近づいてくる。
 黒光りするボディを揺らし、ノシノシと歩いてくるのは、一見してボディビルダーの風の男の集団。
 よく見ると皮膚は金属光沢を放っており、全身鎧であることがかろうじてわかる。人数は10人。
 男たちは歩きながら、両腕を左右に広げ第一関節を曲げて上腕二頭筋を誇示するようなポーズを繰り返している。『フロントダブルバイセップス』である。
(あれが機械鎧……奇抜なデザインね。でも、あのポーズは……)
 パティは静かに観察し、男たち(ダーティーギャング軍団)の声に耳を傾ける。
「なんかさ。マッチョスーツを着てると無闇にポーズ取りたくなるよな?」
「ああ、この鎧、動きやすいしな。これ着るとマッチョ連中が必死で体を鍛えてる理由がわかるぜ」
 ダーティーギャング軍団の面々も、うんうんとうなずき同意を示す。
(腕と脚の関節部は鎧の継ぎ目……そこに隙間があって、柔らかい素材でできているようね。それならば!!)
 目の前を通り過ぎていく男たちを見送ると、パティは換気口から密やかに飛び出し、ユーベルコード『Raging Fire(レイジング・ファイヤー)』を発動させる。
 泡が弾けるように次々とパティを模した「炎の妖精騎士」が虚空に召喚され、またたく間に「騎士団」が結成された。
(目標は両肘と両膝の裏の継ぎ目! 一斉攻撃でまとめて仕留めなさい!)
 パティの命令を受け、機械鎧の弱点に向かって4人ずつ小隊を組んだ妖精騎士団が一斉突撃。
 炎属性の力を纏ったレイピアが、関節の隙間に潜り込み、薄い装甲を貫いていく。
――ボンッ!!
 機械鎧の回路が突然ショートし、小さな爆発が同時多発的に起こる。
「何!?」
 ダーティギャング軍団はようやく異常に気づき振り返るも、時既に遅し。全員、機械鎧の制御を失い、膝から崩れ落ちていく。
 なんだ? こんなことでオレたちは負けるのか。何もしないままで。そんな馬鹿な。
「「「くそぉおおおおお!」」」
 悔しげに絶叫し、前のめりに倒れる間際、ギャングたちが苦し紛れに放ったチェーンは虚しく空を切り、妖精騎士団に当たることはなかった。
 作戦が見事に成功し、パティは小さく微笑むと、地面に倒れ伏す機械鎧のギャングたちを決然とした目で見下ろす。
「小さい体躯が、モノをいいましたね。猟兵と、近衛騎士団所属・チャン一族の名において、抗います!」
 そう、彼女はどんなに巨大な敵でも怯まずに立ち向かい、圧倒的な体格差を知略で覆して勝利を収める誇り高き騎士。自らの出自を堂々と名乗り、パティは研究施設の制圧に向け、進軍を開始するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風、四天霊障

知らぬということは、時として幸せなのですねー…。それならば、そのままの方がよいでしょう。
ま、やることはやりませんと。

隠密ですと私なんですよねー。あと、この投擲もね。
人体だと、どうしても関節部分が弱点になりますからねー。
関節部分に向かって、風属性つきで投擲しましてー。

さて、それに加えて。雷属性(四天刀鍵にて増幅)のついた【四悪霊・『怪』】にて攻撃しましょうかー。間合いは遠距離ですしー。
機械類に雷って、たしかご法度ですよねー?



「敵城への潜入は私が本職なんですよねー。今回は張り切らせてもらいますよー」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)を構成する四人の悪霊のうち、唯一の忍である『疾き者』は、デスバレーの研究施設に難なく潜入し、音もなく通路を駆けていた。
 忍は敵の本拠地に潜入して情報収集を行い、ときに要人の暗殺を請け負うこともある。
 まさに命がけの隠密行動をしてきた『忍』ならこの程度ことはお手の物だった。
(あそこに敵がいますねー)
 義透は通路の遥か先にマッチョスーツを装着したダーティーギャングの小隊をいち早く発見する。
 しかし、こちらに背を向けて移動していた小隊は後方を振り返ることなく左に折れ、視界から消えた。
(逃しませんよー)
 義透の判断は速かった。距離はまだかなり離れていたが、さらに加速し、疾風の如く走り追跡する。
 そして、通路を左に折れ、敵部隊は発見すると、風属性の力を纏わせた棒手裏剣『漆黒風』をシュバババと投擲する。乱れ撃たれた漆黒風は虚空を切り裂いて直進し、マッチョスーツの膝裏の関節部に次々に突き刺さると、風の刃が弾け、神経繊維のような細密な回路を切断。
「「「うおっ、何だ!?」」」
 驚愕の声を上げながら膝カックン状態で前のめりに崩れ落ちていく男たちに、義透は追いつくと、そのまま接近してとどめを刺す。
(人体だと、どうしても関節部分が弱点になりますからねー)
 黒光りする筋骨隆々のマッスルボディ。装着するだけでリアルなボディービルダーの容姿へと変貌を遂げる機械鎧を着たギャングたちを道中で見たとき、義透は機械鎧には人体と同等の弱点があると見抜いていたのだ。

(おや、これは何でしょう?)
 敵を着実に倒しながら施設の探索をしていた義透は、通路の床に描かれた「矢印」を発見する。
 油性ペンで描かれた線はまだ新しく、どう考えても「罠」だった。
(虎穴に入らずんば虎子を得ずですねー)
 義透はあえて罠に飛び込んでみることを決める。
 そして、たどり着いたのはレクリエーションルーム。
 研究員の運動不足解消のために設けられた広い部屋の中には、案の定、マッスルなギャングたちがわんさかと待ち構えていた。
「ギャハハハハッ!! 馬鹿め、罠にかかったな。てめぇーはオレ達がぶっ殺す!!」
 パリピっぽいノリのギャングが「フロントダブルバイセップス」のポーズをしながら、勝ち誇ったようなセリフを放つ。その仲間たちも「サイドチェスト」のポーズで側面の筋肉を誇示しながら、ニヤニヤ笑いをしている。
 義透は全く表情を変えない。いつもの鷹揚な笑顔である。
「まさに袋の鼠ですねー」
 義透は『四天刀鍵』を構え、もう一方の手でお馬鹿なギャングたちに牽制の漆黒風を投げつけながら、ユーベルコード「四悪霊・『怪』」を発動させる。
 そして、四天刀鍵で増幅された強力な雷属性の力を帯びた呪詛が、室内のギャングたちに容赦なく襲いかかる。
「うわっ、なんだこれは! ぎゃああああ!」
 マッチョスーツには一応雷対策は施されているものの、想定を超える高電圧・高電流を受ければひとたまりもない。
 神経繊維のように全身に張り巡らされた回路は焼損し、機能不全に陥ったマッチョスーツは金属塊同然となり、ギャング軍団はドタドタと倒れていく。
「くそっ、てめぇー、ぜってぇ、呪い殺してやる!」
 とどめを刺される間際、捨て台詞を吐く一人のギャング。相手が本物の悪霊だとは思ってもいなかったのだろう。
 これにはさすがの義透も、苦笑するしかなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
利用されているとは露知らず……って感じはあるが、同情する気はないな
手加減なく、きっちり片付けさせてもらう

身体能力が優れているってのは確かに厄介だが、とはいえ動きはあくまで人間のものでしかない
なら、落ち着いて戦えば十分に動きを見切る事は可能だ

捌の型【水鏡】の構えを取って、敵を迎え撃つ
敵が攻撃を仕掛ける為に接近してきた所に先手を取って刀を置くように動いてカウンター

その攻撃で機関部を壊せれば良いが、無理でも身体(腕や脚など)を切断してやればその分戦闘力は下がるし、体勢を崩す事もできる
その隙を使って、次の太刀を叩き込んで確実に鎧の機関部を破壊

鎧を壊した敵は一先ず無視、動ける敵を優先して攻撃だ



 研究施設に潜入した夜刀神・鏡介(f28122)は、通路に面して等間隔に並ぶドアから続々と出てくるマッチョなギャングたちを見据え、鉄刀の鯉口を切る。 
 広くて窓のない通路。左右には数字が刻まれたプレートが掲げられた部屋が並んでいる。彼が足を踏み入れたのは施設職員の個室が集中した区画のようだった。 
「オレらの拠点にカチコミたあ、いい度胸だなぁあ!!」
「生憎だが、ここから先は通すわけには行かねぇんだ!!」
「命知らずなオメェは、オレたちがすり潰してやんよ!!」
 眼前で喚いているのはこの区画の見張りとして立っていた三人のダーティーギャング。彼らは黒光りする筋肉鎧を誇示するようにポージングをしていた。
 ギャングたちが着用する『マッチョスーツ』は、身体能力や防御力を飛躍的に向上させる高性能な機械鎧だ。
 あの鎧は厄介だが、動きは人間の範疇を脱してはいない。落ち着いて戦えば遅れを取ることはないだろう。鏡介は続々と増え続ける敵軍にも落ち着いて構え、同時に背後の気配も探る。幸い、後ろから敵が来る様子はない。
(それなら一歩も引かずにただ敵を斬り伏せ、前に進めばいい。手加減なく、きっちり片付けさせてもらう!)
 覚悟を決めた鏡介は鉄の太刀を抜き放つと、ユーベルコード「捌の型【水鏡】」を発動させる。
「なんだオメェ、その構え、舐めてんのかぁ!」
 突如、様子が変わった鏡介に凄む中央の男。
 殺気を発せずにただ佇む敵対者を見たギャングたちは、本能的な不安に駆られていた。
 まるで水面を覗き込んでいるような奇妙な感覚。否応無しに喚起される警戒心。
 だが、マッチョスーツを着た彼らは自分たちを無敵の軍勢だと思い込んでいた。
「うらぁああああ!!」
 気合十分で先陣を切ったマッチョスーツの大男は猛然と突進すると、拳を振り上げ、頭上から渾身の拳撃を放つ。
(遅い!)
 鏡介は腰を落として瞬時に懐に潜り込み、下段から斬り上げる。
「ぐがっ!!」
 カウンターの斬撃が決まり、黒光りする筋肉装甲が右脇腹から左胸に向かって裂け、開いた傷口から火花が上がり、破壊された機関部で小さな爆発が起こる。
 瞬殺。機械鎧を壊された先鋒のギャングはその場に崩れ落ちる。
 残る二人はしばし逡巡し、慎重に鉄パイプを持って突っ込んでくる。
 だが、鏡介は二人目のギャングが放った鉄パイプの突きを軽やかに躱すと、攻撃直後の隙を見逃さずに上段から太刀を振り下ろす。狙いは鉄パイプとともに突き出された腕部だ。
 ズダンッ。重々しい音を立ててマッチョスーツごと切断される太い腕。さらに、鏡介は三人目のギャングが振り下ろした鉄パイプを紙一重で避けながら、カウンターで太腿を斬りつけた。
「うぎゃっ!!!」
 機械鎧の大腿筋から火花と血飛沫が上がり、体勢を崩すギャングの背中に太刀を突き立てて機関部を破壊。小さな爆発が起こる中、鏡介は間髪入れずに腕を切断した男を薙ぎ払い、動きを封じる。
 電光石火の早業で見張り役の三人を無力化した鏡介は、後方で呆然としているギャング軍団を静かに見据えた。
 すると、ハッと目が覚めたようにギャングの一人が声を上げる。
「お前ら、怯むんじゃねぇよ! 最強マッチョになったオレたちがあんな奴一人に負けるはずねぇだろうが!」
「うぉおおおお!!」
 鼓舞の声をきっかけにマッチョなギャング軍団の鬨の声が上がり、次々に飛びかかってくる。
 鏡介は敵の怒涛の攻撃を危なげなく迎撃し、一人残らず斬り伏せていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧崎・紫苑
いかに強固な鎧であろうと、人体を模した構造ならば【医術】に長けた俺にとって攻略は容易だ
医者を敵に回したことを、後悔させてやろう

接近阻止と牽制を兼ねて『メカニカル・フィスト』より麻酔ガス弾を発射
どれだけ優れた身体能力があろうと、呼吸を止めるわけにはいかないから効果はあるはずだ

敵が痺れている間に、俺は『メカニカル・チェーンソー』で連中のアキレス腱を狙って切断しよう
「どれだけ鍛えようと、人体には鍛えられない急所があるものだ

最後は立てなくなった敵をUCを使って殴り飛ばして行く
摘出する対象は敵の心臓だ
切開せずに相手の内臓を摘出できる技に防御など無意味だ
「外道は外道らしく、臓腑をブチ撒けて土に還るがいい!



「ヒャッハー!! 今まで女子供を攫って売っぱらうだけだったが、こいつさえあればやりたい放題できるぜ!」
「これがあればあんなことやこんなことも……ぐへへへっ」
「ギャハハハッ。この任務が終われば、ウハウハだぜぇええ!」  
 研究施設の広い通路。ダーティギャングの一団が下卑た笑いを撒き散らしながら、闊歩していた。
 彼らが身に纏っているのはボディービルダーを模した黒光りする機械鎧『マッチョスーツ』。身体能力を大幅に増強させる機械鎧を着たレイダーたちはよからぬことを考えているようだった。
 そんな邪悪な奴らの前に、一人の男が立ち塞がる。
「な、なんだ。お前は!」
 邪悪なギャングの一団の前に現れたのは、霧崎・紫苑(機械仕掛けの闇医者・f32327)だった。
 彼の解析能力を持つ赤色の義眼は、『世界を蝕む病巣』たちに冷たい視線を投げかけている。
「貴様らにはここで死んでもらう」
 言葉少なに要件を告げると、紫苑は左手のメカニカル・フィストを正面に突き出す。
 ギャングたちは謎の男の登場にしばし面食らっていたが、死ねと言われたら言い返す言葉は決まっていた。
「テメェが死ねやぁああああ!」
 威嚇するように叫び、突進してくるギャングの群れ。
 彼らは一斉に襲いかかり、速攻で敵対者を屠るつもりだった。
 だが、その前に紫苑のメカニカル・フィストの砲門が開き、一発のミサイルが発射される。
――ドンッ
 短い飛距離で地面に着弾するミサイル弾。炸裂した弾頭から飛散するガス。マッチョなギャングたちの動きが止まり、ガクンと膝をついた。ガスを吸い込んだ途端、体の感覚が鈍麻したのだ。
「まさか……これは……」
 なんとか声を発した一人のギャングの耳に、無情な言葉が届く。
「そうだ。麻酔ガスだ……」
 紫苑は短く言葉を発し、万能医療義手に仕込まれたメディカル・チェーンソーを起動させた。
 小型機械の駆動音。そして、チェーンソーの刃を眼前のギャングのアキレス腱に押し当てた。
「うぎゃあああ!」
 機械鎧ごとアキレス腱を切断され、男は悲鳴を上げた。
「どれだけ鍛えようと、人体には鍛えられない急所があるものだ」
 それは医術に長けた紫苑ならではの言葉。彼は表情一つ変えずに最小限の動作で一人二本ずつのアキレス腱を淡々と切断していく。
 単調な作業が終わると、紫苑の周囲には苦悶の表情を浮かべた憐れな「坐像」が並んでいた。
「た、助けてくれ……」
 患者から命乞いをするかのような声が上がる。
「『患部』のみ摘出してやろう……傷一つ残さずにな」
 それは医師の慈悲の言葉か。否、それは無慈悲な現実を伝える言葉に過ぎなかった。
 紫苑のユーベルコード『疑似心霊療法』が発動し、眼前の男の胸部に当てられた医療義手が音もなく機械鎧の内部へと吸い込まれ、高速で脈打つ心臓が引きずり出される。
 カチカチカチ。それは仲間の心臓を見た坐像たちが恐怖で体を震わせ、歯を鳴らす音。
「外道は外道らしく、臓腑をブチ撒けて土に還るがいい!」
 グシャリ。義手の中で心臓が握りつぶされると、幾つもの絶叫の声が上がる。
 そう、「患部」とはこの世界の病巣たる外道なレイダーの命そのもののことだ。
 そして、ダーティギャングたちは恐怖と絶望を思う存分味わいながら、この世界から「摘出」されていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

塩崎・曲人
マッチョスーツねぇ
略してマチョス!なんか似たような名前の食いもんがあった気がする。違うか

「それはそれとして、人体構造に忠実な着込みスーツって時点で弱点は丸わかりだわな」
人間が鍛えられない場所がそのまま装甲の薄い場所って訳だ

そうだなー、やっぱ遠慮とかいらねぇしここ狙うのが一番だよな
「ってぇことでくらえ金的ィ!!!」
機械鎧をただぶん殴るだけじゃ効果薄くても
猟兵のパワーで装甲薄々の股関節ぶっ叩いたらどうなるかなぁ?
【喧嘩殺法】は目潰し金的なんでもありのダーティ闘法なんでそこんとこ夜露死苦ぅ

ん?まだ動ける根性入ったのも居るのか
じゃあ次は目潰しだオラッ



「あんま舐めてっと、八つ裂きにしてやんぞ。オラァ!!」 
「この『マッチョスーツ』を着たオレらに勝てっと思ってんのかよ。コラァ!!」
 デスバレーの研究施設の通路でガラの悪い男たちが小競り合いをしていた。
 一方は、本物のボディービルダーと見間違うほどに精巧に造形された機械鎧を着たダーティーギャング数名。
 それに対するのは喧嘩上等のチンピラ猟兵、もとい塩崎・曲人(f00257)である。
 曲人は潜入した研究施設の通路で、『マッチョスーツ』を着用したガラの悪いギャング集団と遭遇した。
 しばしのにらみ合いを経て、この状況に至ったのである。
 だが、曲人は口喧嘩をしながらも相手の体を上から下まで抜け目なく観察し、口元を緩める。
「ふーん。マッチョスーツねぇ、略してマチョス! そういや、なんか似たような名前の食いもんがあった気がするな」
「それはナチョス……ってツッコませんじゃねぇ! コラァ!!」
 陽気に相手をおちょくる曲人。だが彼はすぐに話を切り上げ、軽快なバックステップで敵との距離を取る。
「そんじゃ、始めようぜ! アンタらのブサイクな顔も見飽きてきたしな!」
 背中から愛用の鉄パイプを取り出して構える曲人。ギャングたちはその装備を見て馬鹿笑いを始めた。
「ギャハハハ! 命知らずのクソガキがイキがってんじゃねぇよ、そんな得物で最強のオレらに勝てると思ってんのかよ!」
 ジャキンと鉄パイプを出して構えるマッチョなギャング軍団。
「おい、お前らが持ってんのも鉄パイプじゃねぇか!! グダグダ言ってねぇでかかって来いよ!」
「くそがぁああああ!!」
 沸点の低いマッスルギャングが突然逆上し、先陣を切って突進してくる。
「遅せぇよ!」
 敵の鉄パイプをひょいと避ける曲人。そのまま下段から鉄パイプをフルスイングする。
「くらえ金的ィ!!!」
 狙いはボディービルダー御用達の真っ黒なビキニパンツ。意表をついた攻撃に対応できず、膨らんだ『股関節』に鉄の棒が直撃した。
「うぎぃい!!」
 苦悶に満ちた悲鳴が上がり、前のめりにうずくまる沸点の低い男。
 そのまま曲人は鉄パイプを高く振り上げて、男の首筋を激しく殴打し気絶させる。
 金的攻撃からの鮮やかな痛打。倒れた男のそばでカランと音がして鉄パイプが転がる。
 ダーティな戦いぶりを悪びれもせず、曲人はせせら笑う。
「人体構造に忠実な着込みスーツって時点で弱点は丸わかりだわなぁ!」
「てめぇ、卑怯だぞ!!」
 敵の攻撃のえげつなさに、非難の声を発するギャング軍団。それでも曲人は涼しい顔をしていた。
「アンタらのほうが卑怯じゃねぇのか? タイマンもできねぇ、雑魚野郎が!」
 罵声を浴びせる曲人。それはド正論でもあった。それにまんまと乗せられたギャングが一人で突っ込んでくる。
「死ねや、ゴラァア!!」 
 曲人は足元の鉄パイプを蹴り上げ、そのまま空いている手でキャッチするとユーベルコード『喧嘩殺法』を発動させ、鉄パイプの二刀流で応戦する。
 下段攻撃のフェイントを交え、金的を警戒する相手の顔面に鉄パイプを叩きつけて殴り倒すと、曲人は後方の男たちに叫ぶ。
「オラァ! 次は誰が相手なんだ!」
「次はオレだ。クソがぁぁああ!」
 完全に場の空気を支配し、タイマン勝負に持ち込んだ曲人。こうなれば彼の独壇場だった。
 二本の鉄パイプを器用に振り回して容赦のない金的攻撃と顔面殴打を繰り出すチンピラ猟兵に翻弄され、マッチョなギャングたちは次々に倒されていく。
 そして、気づけば曲人の周囲には床に倒れ伏すギャングたちの姿があった。
「……クソ野郎……赦さんぞ」
「ん? まだ動ける根性の入った奴もいるのか、じゃあ、次は目潰しだ。オラァ!」
 足元に転がっていた催涙スプレーを拾い、根性の入ったギャングに吹きかける曲人。
「ぎゃぁああ!! 目がぁあ!」
 チンピラ猟兵は満足げに微笑み、とどめを刺すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイ・オブライト
まさに服に着られてるってか
なんでもいいが急いでるんでな。慣らしの時間はやらねえぞ

奴らも間合いを詰めてきたがるらしい。歓迎しようじゃあねえか
見たとこ機械感は薄いが、まあ人体に近くとも『属性攻撃(電気)』の通りは悪かない
広げる『覇気』伝いに殴打のように電流を叩きつけ、出鼻を挫く
精々麻痺に繋がり鎧で得た利を鈍らせられれば上等。その隙に一気に踏み込み
【一撃必殺】
頭をブチ抜く。いかに着込もうと脳味噌の硬度は変わらん筈だ
正面で打ち合っても急ごしらえの力に負ける気はしねえが『怪力・鎧無視攻撃』
動力部ってのはこれか?
見掛け通り何も入ってなさそうな軽さだな
一体目で構造を確かめれば後はとっとと掃除

※アドリブ歓迎



●実験室
 そこは何かの実験室のような場所だった。
 左右の壁際には所狭しと計器類やディスプレイが設置されていた。
 奥には黄緑色の液体が入った巨大な円筒形のガラス管が多数並び、その周囲には大量の機械部品が乱雑に置かれている。
 レイ・オブライト(f25854)はたまたま目に入った奇妙な部屋に不穏なものを感じ、思わず見入ってしまう。
(気になるが、寄り道してる場合ではないな……)
 先を急ぐために部屋から出ようとすると、通路の先から機械鎧『マッチョスーツ』を着たギャングの一団が、慌てて走ってくるのが見えた。
(この部屋にセンサーでもついていたのか……だが丁度いい!)
 ここで迎え撃つ。レイは即決すると実験室の奥へと走り、臨戦態勢を整える。
 続々と室内に入ってくるギャングの一団。彼らはレイを見つけると、その表情を怒りに歪める。

「テメェ、博士の実験室に何入ってんだよ!」
「おいおい、中のもの壊してねぇだろうな!」
「スーツのメンテができなくなったらどうすんだよ!」

 ギャングたちはなぜかボディービルのポージングをしていた。
 既にマッチョスーツの虜となり、博士の忠犬となる果てているのだろう。
 当然、次に彼らが取る行動は予想できた。
「死ねぇぇええ!!」
 侵入者を排除すべく猛然と突撃してくるマッチョな男たち。
 対するレイは「はっ!」と気合を入れ、全身に纏った覇気を膨れ上がらせると、体内に埋め込まれたヴォルテックス・エンジンで発生させた高密度の電気を、覇気に混ぜる。
 大気中に放電される電気。パチパチと弾けるような音。レイの周囲に電気を帯びたオーラが完成し、それを激しい拳の乱打とともに弾き飛ばす。
――ズバババババババッ
 電撃を帯びた覇気の砲弾が連射され、憤怒の表情で殴りかかろうとするギャングの一団に襲いかかる。
「ぐがっ!!」
 覇気の弾幕に触れた刹那、男たちは見えない壁にぶち当たったかのように後方に弾かれ、その動きを止めた――。 
 電気の大部分は空気中に放電され威力は衰えていたが、機械鎧に瞬間的に高電流を流し、神経線維のように張り巡らされた細密な回路を一時停止させたのだ。
 だが、機械鎧はまだ壊れてはいなかった。ギャングたちは尻もちをついていたが、鎧は機能を取り戻しつつあった。
 その前に頭をブチ抜く。レイは即座に動く。
 地面を蹴って間合いを一気に詰めると、渾身の拳を相手の頭部へと繰り出す。
 寸前でユーベルコード『一撃必殺』を発動。
――ドゴッ!!
 至近距離から迫撃砲を放ったような衝撃。
 機械鎧の装甲ごと頭蓋が粉砕され、脳漿を飛び散らせながら、マッチョギャングは後方に吹っ飛んでいく。
 さらに、間髪入れずレイの第二撃が反対の腕で放たれ、近くにいた男の頭部がブチ抜かれる。
 強烈な二発の拳撃。それをきっかけにレイの猛烈なラッシュが始まり、筋肉鎧を身にまとうギャングたちの頭部は悉く粉砕されていくのだった。

●心臓 
 レイは機械鎧の胸部を力づくで引き裂き、動力部と思われる部分を見つける。
 心臓を模した機械部品。そこから赤黒い液体が漏れ出していた。液体はオイルのようだが、人間の血液のような匂いも漂ってくる。
 動力部を無理やり引きちぎると、回線がショートして火花が散り、小さな爆発が起こる。
 咄嗟に飛び退いて事なきを得たが、レイは肝を冷やしていた。
「……危なかったな。これが動力部、心臓ってところか? それにしても何も入ってなさそうな軽さだな」
 機械鎧の「心臓」をまじまじと見つめレイはそうつぶやいたが、この部品は動力発生装置と、オイルを循環させるポンプの役割を担う重要な部品だった。
 
 薄くて頑丈な特殊合金の表皮と、バイオ技術で複製された人体由来の部品で構成される筋肉装甲。
 ナノ技術を駆使して作られた神経線維のように細密な回路。
 毛細血管より細いナノチューブで全身を循環させている、血液と混合された謎の可燃性オイル。
 もっと細かく分析すれば、様々なことがわかるだろう。

 しかし、機械鎧の構造を調べていたレイは、すぐに興味を失ったようにため息をつく。
 彼は科学者ではない。敵を倒すための情報収集が目的だったのだろう。
「これはもういらないな。ついでにこの部屋もぶっ壊しておくか……」
 グシャッ。レイは動力部を握りつぶし、実験室の備品をすべて破壊すると研究所制圧に向け、更に奥を目指すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…機械仕掛けの鎧である以上、見た目だけで判断するのは危険だけど、
どうやら、あの鎧は身体能力の強化に重点を置いているみたいね

「精霊石の耳飾り」に水の精霊を降霊して敵の水分を暗視する事で周囲の索敵を行い、
積み上げてきた戦闘知識から敵の攻撃を見切り最小限の早業で受け流してUCを発動

骨、筋肉、血液に心臓…その鎧、人体の構造を忠実に再現している?

…見事な物だけど、今回はその技術力が仇になったわね

吸血鬼化した血の魔力を溜め鎧の心臓部の血液を魔杭に変え内部から鎧を破壊し武器改造
魔杭から無数の血棘を射突して敵を乱れ撃ちする闇属性攻撃を行う

…これだけの技術力があるのに、どうして暑苦しい見た目だったのかしら?



 デスバレーの研究施設の制圧作戦は、潜入した猟兵たちによって制圧まで後一歩というところまできていた。
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、機械鎧のギャングたちを難なく倒しながら研究施設の奥へと歩を進め、大勢の敵が立てこもる講堂のような大部屋のドアを開ける。

 精霊石の耳飾りに降霊させた水の精霊による索敵。
 敵の体は水分を含んでいる。水の精霊の力を使って敵の水分を視れば、その動向は手に取るようにわかる。敵は20体程度。だが、余裕で倒せる数だ。リーヴァルディはそう判断したのだ。
「出てきなさい! 隠れているのはわかっているわ」
 敵地に踏み込んだリーヴァルディが声をかけると、室内にズラリと並んだ椅子の裏に隠れていた男たちが姿を現す。
「ヒャッハー!! テメェはオレたちが殺してやるぜぇええ! 野郎どもフクロにしちまいな!」
 リーダー格の男が号令をかけると、筋肉隆々の男を模した機械鎧を身にまとうギャングたちが一斉に動き出す。

 ガッ。先陣を切って襲いかかってきた敵の攻撃を、大鎌の柄であっさりと受け流すとリーヴァルディは微笑を浮かべる。
「単調ね。あなたたちの動きは見飽きたわ」
 ギャングたちは機械鎧で強化された身体能力を十分に使いこなせていなかった。
 力任せに拳を繰り出し、鉄パイプを振るうだけである。
 集団戦においても統率が取れているわけでなく、ただ隙を見て襲いかかってくるだけ。
 戦闘知識に長けた騎士であるリーヴァルディは敵の動きを見切り、複数人による猛攻も最小限の動きで受け流していく。

(筋肉、血液、心臓……あの悪趣味な鎧は人体を忠実に再現しているようね……)
 リーヴァルディはここまで来るまでに機械鎧を着た男たちと何度も戦い、悉く屠ってきた。
 胸部にあるのは心臓のような動力部。鎧の表皮を切り裂くと血の匂いのする赤黒いオイルが滲み出し、深く切り裂くと筋肉が断裂したような傷口が現れる。
 切断された回路から火花が散り、オイルに引火して小さな爆発が起こるのはロボットのようだが、その他は人体に忠実に見えた。
 それならば「骨」はどこにあるのか。骨は機械鎧を着ているギャングたちである。
 彼らはマッスルスーツを動かすための「骨格」に過ぎない。だが、彼らはそのことに気づいていないのだろう。 
 残虐なレイダーに同情の余地はないが、「憐れな骨」たちには死こそが唯一の救済なのかもしれなかった――。

 そして、敵を引きつけるように戦っていたリーヴァルディは憂いを帯びたまなざしを周囲の男たちに向けると、ユーベルコード『限定解放・血の魔棘』を発動する。
「人体そのものを鎧にするとは見事なものね。だけど、今回はその技術が仇となったようね」
 淡々とした口調で紡がれる言葉。
 だが次の瞬間、その瞳が残忍な色に染まり、吸血鬼の姿へと変貌したリーヴァルディは、血の魔力を機械鎧の心臓部に向けて放つ。
 
 機械鎧の心臓部には人間由来の血液成分を含むオイルが集まっていた。
 全身にオイルを循環させるポンプの役割りを担っているからだ。
 それならば『魔杭』に変えて自在に操れるはず。リーヴァルディはそう考えたのだ。

「ん?なんだ、体が……」
 血の魔力を浴びたギャングの軍勢が一斉に動きを止める。
 心臓部の血液が『魔杭』となり、機械鎧が機能を停止したのだ
 そして、『魔杭』は無数の血棘へと形を変え、機械鎧を身にまとう男たちの心臓へと乱れ撃たれる。
「「「ぎゃああああああ!!」」」」
 一斉に上がる断末魔の絶叫。ギャングたちは胸を押さえ、苦悶の表情を浮かべながら倒れていく。
 リーヴァルディは憐れな男たちが骸の海へと還っていくのを見届けると、わずかに首を傾げる。
「……これだけの技術力があるのに、どうして暑苦しい見た目だったのかしら?」

 機械鎧『マッチョスーツ』は技術開発部門を統括する博士の単なる趣味嗜好の産物だった。
 狂気の科学者は自らの願望を実現させるために倫理を逸脱し、悪趣味な鎧を作り上げたのである。
 そんな彼も猟兵たちによってもうすく滅ぼされることになる。それは因果応報と言わざるを得なかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月05日


挿絵イラスト