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アポカリプス・ランページ②~スイング・デス・パレード

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #ヴォーテックス一族 #ブラッドルビー・ヴォーテックス #アポカリプス・ランページ②

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●夢の国
「さて、猟兵どもをご招待だ。アタイ直々にもてなしてやろうじゃないか」
 肉塊女帝ブラッドルビー・ヴォーテックスが太い指をバチンと鳴らすと、軽快なミュージックが流れ出す。
 ふわりと浮いたブランコが回転を始めれば、ブランコに乗った人間もふわりと浮く。
 もちろん、ブラッドルビーに合わせたブランコもいくつかあり、彼女もまた回転を始める――もっとも大人しく座っているわけでもなく、鎖を掴み立っているのだが。
「くるくるくるくるグ~ルグル! なんだい、なっちゃいないねぇ! もっとロックなビートを打ちだしな!」
 軽快な明るいミュージックがロックのものへと変わり、回転ブランコの速度が上がった。心を壊された奴隷たちから引きつった声が漏れ始めた瞬間、ブラッドルビーが一喝した。
「射出する時に鳴きなぁ! 打ちあがる花火のようにねぇ!」
 支柱に繋がる鎖が離されれば、遠心に任せてブランコが鋭く飛んでいく。ブラッドルビーは舌打ちをした。
「なんだい、元気がないねぇ。粋が良いヤツはいないのかい?!」


「アポカリプスヘルでは、オブリビオン・ストームをもたらして文明社会を破壊した『フィールド・オブ・ナイン』が、六体まで復活したようね」
 グリモアベースへと集る猟兵たちを迎え、ポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)が早速説明をしていく。
「皆さんに向かっていただきたいのは、カルフォルニア南部に位置する旧アナハイム。そこには人間牧場の本拠地、『ブラッドルビーランド』があるの。ここを支配するのはヴォーテックス一族のひとり、肉塊女帝ブラッドルビー・ヴォーテックスよ」
 ブラッドルビーはこの地に存在した遊園地を改造し、豪華絢爛な夢の国を作り上げている。
「ブラッドルビーの醜悪な言葉を予知として捉えた方もいるでしょう。ここには心を壊された奴隷たちがたくさんいるの」
 奴隷故に彼女の意のまま。
 肉の盾となったり肉の弾となったり。
「生きている彼らを武具にして、ブラッドルビーは迎え撃ってくるみたい。皆さんの目的はブラッドルビーの撃破なわけだけど、なるべく奴隷たちを殺さずに撃破することを目標としましょう」
 犠牲を厭わずに敵を攻撃することも可能だ。だがなるべく殺さずに、ブラッドルビー撃破後に救出できるようにしたいとポノが言った。
「ブラッドルビーは回転ブランコに乗って、かつ移動しながら猟兵たちを攻撃してくるわ」
 回転ブランコの支柱は壊すことが出来ず、失った奴隷の補充は召喚により行われる。
 巨体故、時に鎖を複数一掴みにし奴隷にした人間たちを一気に引き寄せ集める。
 そして集めた奴隷や手元に置いている奴隷で肉の壁を作り自身を覆う。
「皆さんがブランコに乗らずに戦う手もあるだろうけど、その時は奴隷ごとブランコが射出されるわね。体が弱っている奴隷はひとたまりもないだろうから、その辺りは気を付けて頂戴」
 猟兵もブランコに飛び乗り、なるべく近距離を保ちつつ戦うのが良いかもしれない。
 もっと良い手があるかもしれないから、その辺りは猟兵任せとなるだろうとポノは言う。
「何にせよ、人間牧場を赦す訳にはいかないわ。……例え心が壊れてしまっていたとしても、生を繋ぎ、命ある未来を繋げば、少しずつ回復して立ち直っていくかもしれない。どんな道が待ち構えているのかは分からないけれど……生きる権利が、命を守る選択肢があるんだってことを救うことで教えてあげて欲しいの」
 どうか気を付けて。
 そう言ってポノは猟兵たちを送り出すのだった。


ねこあじ
 絶叫マシン系に乗ると生まれたての小鹿の脚になるねこあじです(歩けなくなる)。
 一回だけ乗ったこともあるんですが、回転ブランコとか怖……。
 ブラッドルビー・ヴォーテックス(わりと身軽に動く)との戦いになります。
 敵は長短ある巨大な回転ブランコに立ち乗りしているので、そこが戦場になります。
 あちこちのブランコには奴隷たちも乗っています。
 奴隷の扱いや主な攻撃方法はオープニングの通りです。

 プレイングボーナスは『奴隷を傷つけないように戦う』こととなります。

 なるべく頑張りますが、採用・不採用が出るかもしれません。
 それではよろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『ブラッドルビー・ヴォーテックス・奴隷使』

POW   :    アタイこそが最高の女帝!
【奴隷にした人間達 】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[奴隷にした人間達 ]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    行きな、アタイの椅子ども!
自身の【移動速度 】を代償に、1〜12体の【戦闘用の肉体改造を施した椅子担ぎ奴隷】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    肉の壁になりな!
全身を【奴隷の壁 】で覆い、自身が敵から受けた【敵意】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:桜木バンビ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】
うーん醜い
見た目もやり口も汚い相手だネ
憤慨するソヨゴにそうだネと相槌を打ちつつ
OK奴隷の諸君はできる限り助けるとも

PhantomPain装備
電脳ゴーグルとスコープを連動
奴隷たちを外してブラッドルビーの腕を狙うように調整する

ブランコに乗りながらの狙撃なんて初めてだネ
UC展開
どんな姿勢でも僕が落ちないように固定
場合によっては触手を利用して他のブランコに飛び移る
両手は狙撃に集中

相手の意識を僕に向けさせるために弾数は撃つ
致命傷は必要ない
奴隷を使った攻撃や防御を阻害する

人を盾にしようなんて考える奴は負けることになっているのさ

もし奴隷を投げつけられたら触手でキャッチ&リリース
余計な犠牲は無用だネ


城島・冬青
【橙翠】

この回転ブランコ趣味悪っ
あのおばさんもふんぞり返ってやな感じ!
花髑髏で細切れにしてやりますよーだ!!
勿論、奴隷の人達も助けますとも!

ブラッドルビー近くの空中ブランコに飛び乗り攻撃をしかける
アヤネさんがブラッドルビーの意識をひきつけてくれるので
技能の目立たないとダッシュで素早く敵の死角へと回り込み斬りつける
おばさんは的が大きいので当たりやすいですね!
不意打ちを警戒されている時はUCのカラス君で攻撃してもらう
攻撃は刀や銃だけじゃないですからね

奴隷弾丸はカラス君でキャッチするけど
傷付けない程度まで威力を落とした衝撃波を放ち速度を緩めてから
受け止めて下へ降ろす
アヤネさんの触手は本当に便利だなぁ



 肉塊女帝ブラッドルビー・ヴォーテックスが支配する、旧アナハイム。かつてその地にあった遊園地は改造され、人の血肉や内臓を模した、ブラッドルビーにとって豪華絢爛となる「夢の国」と成り果てていた。
 ここは彼女の造り上げた人間牧場の本拠地――敵は遊具のうちの一つ、回転空中ブランコで奴隷遊びをしながら猟兵たちを迎え撃つ。
 思いっきり顔を顰めて城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)が唸った。
「この回転ブランコ趣味悪っ! あのおばさんもふんぞり返ってやな感じ!」
「おや! 活きの良い小娘が来たじゃないか! ちょっと死ぬまで遊んでいきな!!」
 ブラッドルビーが吠えればアヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)が「うーん」と呟く。
「醜い」
 きっぱり。
「見た目もやり口も汚い相手だネ」
 血管を模した鎖が切られ、遠心の掛かった腰かけとそこに乗った奴隷が放たれた。
 即座に冬青が抜刀した花髑髏を振れば緩く厚い衝撃波が発生し、投げられた奴隷の速度を落とす。
「カラスくん!」
 クラーニオ・コルヴォが奴隷をキャッチしてゆっくり地面へと降ろした。
「行きます! 花髑髏で細切れにしてやりますよーだ!!」
 ぐるぐると回転するブラッドルビーが近くまで来た瞬間を狙って冬青がブランコに飛び乗った。
 二重螺旋のウロボロスを起動したアヤネもブランコへと飛び乗る。自身が一陣の風にさらわれたかのような錯覚。流れていく景色は速く、Gが掛かったブランコ上は意外と安定していた。
 それでもちょっとした衝撃で空中へと投げ出されるのは目に見えている。異界の触手をブランコに絡めて身を固定したアヤネのPhantom Painによる射撃。牽制も兼ねた連射は電脳ゴーグルを駆使したもの。規則的な放射を描くブランコ――乗る奴隷たちを避け、ブラッドルビーへと弾幕が張られる。
 ガガガガガガッ!!
 耳を劈く銃音に絶えず続く排莢が二拍遅れの軌道を描き流れていく。
 冬青の駆けは突風の如く。ブランコからブランコへと飛び乗ってブラッドルビーへと近付いていった。
「うっとおしいねぇ。奴隷たち、肉の壁になりな!」
 太脚に纏わりつかせていた奴隷を引っ張り上げるブラッドルビー。
 アサルトライフルの銃口が僅かに移動し、アヤネは敵の太腕を狙撃した。
「人を盾にしようなんて考える奴は負けることになっているのさ」
 敵の手を離れて投げだされた奴隷をウロボロスが拘束するように包みこむ。
「チッ!」
 思うほど肉壁を『収穫』できなかったブラッドルビーが舌打ち。その一瞬の隙を冬青は見逃さなかった。
 逆行する方角に向けてブランコを踏み切れば直ぐにブラッドルビーの巨体が迫ってくる。
 常に回るこの戦場において、全ての動きは刹那的だ。
 ブラッドルビーの肉へ花髑髏を叩き込む冬青。
「おばさんは的が大きいので当たりやすいですね!」
 幹のような腕を刀軸にしてくるんと回れば、交差し過ぎていく双方。敵の穢れた血飛沫が遠くの地上へと叩きつけられた。
「アヤネさん!」
 異界の触手に包みこまれた奴隷が地面へと降ろされる。
「OK! 奴隷の諸君はできる限り助けるとも。だからソヨゴは思いっきり攻撃して」
 例えブラッドルビーが奴隷に向かって腕を伸ばそうとしても、アヤネの銃撃が阻害する。
 猟兵たちの中には奴隷の救出へほぼ専念する者もいた。
 数多の刹那が交差する戦場にて、それぞれがそれぞれの範囲で出来ることをやる。
 勢いある二人の切りこみに仲間が続いていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

…このおばさん、ダメ
許さない
まつりんの手を繋ぎ気合い入れて
ブランコに飛び乗り奴隷の方々に声を掛ける

わたし達は貴方達を助けにきた
安心して?意識をしっかり
猟兵と奴隷の方々全員へ【あたたかな光】

遠心力&怪力でのブランコ漕ぎでの
ヒット&アウェイ戦法
おばさんに近接すれば短刀の灯る陽光で斬り付け、反撃前に逃げ足で遠くへブランコる早業を
致命傷は至らなくとも、存在が鬱陶しいと思われたら僥倖

ふふ、1~2方向からの攻撃など軽く躱す

挑発し、投げる数を増やすよう誘導
ん!
投げられた方々はぎゅっと怪力でしっかり受け止め、鎖を破壊し解放してく

おばさん、消えて
間合いを詰めて怪力で傷口をえぐる


木元・祭莉
アンちゃん(f16565)と!

おばちゃん、でっかいねー!
肝っ玉も大きかったらよかったのになー。

さ、行くよアンちゃん!
ブランコの間をひょいひょいジャンプ。
回転と逆方向に移動していくよー。

ドレイさんたちのお口には、ジンジャークッキーをぽーい。
元気出しなよ、すぐ助けるからねー♪

おばちゃんのトコまで来たら、すれ違いざま。
背中にたまこいん(コケコッコーメダル)をぺたり!
おばちゃんの相手は、アンちゃんとメカたまたちに任せてっと。

吹っ飛ぶドレイさんたちを空中で次々キャッチ。
そのまま安全地帯まで運んで、寝かせて、お顔を拭いてあげる。

ん、少しは元気出た?
もうだいじょぶだよー、すぐ終わるからね、こんな戦い!



「おやまあ! 次から次へとわらわらと! 虫のように現れるね、お前達は!!」
 回転空中ブランコを乗り回すブラッドルビーが吠える。
「さすが人なる身、本質はコイツらと同じ奴隷なのさ」
 彼女の荒声は人を精神的に叩き潰すもの。ブランコに腰掛ける、心の壊れてしまった奴隷たちがぴくりと動いた気がした。
 そこへ一際明るく、元気な木元・祭莉(マイペースぶらざー・f16554)の声が飛びこんでくる。
「おばちゃん、でっかいねー! 肝っ玉も大きかったらよかったのになー」
「……このおばさん、ダメ。許さない」
 兄の手を一瞬強く握る木元・杏(シャー・オブ・グローリー・f16565)。
 ここは敵の本拠地、人間牧場。またの名をブラッドルビーランド。旧アナハイム。
 オブリビオン・ストームに壊される前のアポカリプスヘルで、きっと楽しそうな人々の声が絶えなかったであろう遊園地。だが今はブラッドルビー基準の豪華絢爛な夢の国と化している。
 悪趣味な音楽のなか空中を回転するブランコを見上げる杏の金の瞳は、陽射しを受けて猛るような輝きに。
 繋いだ手を、ぶんっ、と祭莉が一度大きく振った。
「さ、行くよアンちゃん!」
「ん」

 過酷な環境に置かれ続けた奴隷たちの心は壊れてしまっている。
 ブランコのベルトに固定された体には力が入っていない。
 ブラッドルビーに攻撃を仕掛けていく猟兵たちと二手に分かれるように、ブランコに飛び乗った双子は奴隷たちへ意識を向けた。
「――光よ、皆を守って」
 白銀の光が杏から放たれる。それはあたたかな光。例えるならば奴隷たちを貫き続けている数多の虐げの槍を排除するもの。死の淵へ掛けている手を掬ってひっくり返す――生きてるよ、と自身の鼓動を認識させた。
 枯渇しゆく人をオーラで満たして回復する。
「わたし達は貴方達を助けにきた。安心して?」
 杏の呼びかけに、虚ろな奴隷の瞳が少しだけ揺らいだ。
「そう、意識をしっかり――貴方達は生きてる」
 回転と逆方向に祭莉がジャンプする。
 止まってはジャンプし、止まってはジャンプ。血管を模した鎖を掴んで、そこに座る奴隷の目を覗きこんだ。何も映さない瞳に祭莉が映りこむ。
「ドレイさん」
 力なく開いた口に入れるのはハロウィンモチーフのジンジャークッキー。
「元気出しなよ、すぐ助けるからねー♪」
 たんっ、と踏み切った次の跳躍は少し大きく。逆行する方角に向かえばブラッドルビーの巨体が迫ってくる。
 常に回るこの戦場において全ての動きは刹那的。擦れ違いざまにコケコッコーメダルをぺたりと貼りつければ、なんとなーく祭莉が常に感じている視線が逸れて、ブラッドルビーへと向けられた。殺意マシマシだ。
「チッ」
 どこからか向けられた殺意、メカたまこの来襲と纏わりつくような攻撃に、敵は忌々そうに舌打ちをした。
 あたたかな光を展開したままの杏がブランコからブランコへと飛び移る。
 外側に向けて常にGが掛かった戦場は意外と安定した場だった。
 鎖を掴み力を加えた杏の乗るブランコがぐっと前へ出た。乱れが生じたブランコの向かう先にはブラッドルビー。
 暖陽の彩なる短刀が敵の厚い肉へと切りこまれる。
 蝶や蜂を思わせる杏の一撃一撃を受け、ブラッドルビーが鬱陶し気に腕を振った。
「行きな、アタイの椅子ども!」
 召喚された椅子担ぎ奴隷たちが放たれると同時に、待ってましたとばかりに杏がその手を伸ばす。肉体改造を施された――恐らくはどこかの場から無理矢理戦場に召喚された奴隷たちの胴には椅子に繋がれた鎖。
 片腕で奴隷を受け止め、もう一方の手で灯る陽光を振るえば隷属の鎖が断ち切られる。
「まつりん!」
「うん! だいじょうぶ、こっちもキャッチだよ~」
 救出に専念する仲間の猟兵と共に動いていた祭莉がすでに奴隷を受け止めている。
 ほ、と安堵の息をついて一度飛び退いた杏が助けた奴隷を地面に寝かせる。
「こっちこっち」
 と言いながら祭莉が安全地帯となる後方へと奴隷を運ぶ。
 祭莉よりも背の高いその人は、祭莉よりも体重が軽かった。
 杏のあたたかな光が彼らの体を回復させていく――少しずつ、瞳に意思なき生が映りこんでいく。
 祭莉は屋台風荷車から手拭のおしぼりを取り出して、助け出した奴隷たちの顔を拭った。
「ん、少しは元気出た?」
 一人一人違う、その顔かたち。瞳の色。肌の色。髪の色。
 一括りに奴隷と呼ばれる人たちは、一人一人が『誰か』だった。
「もうだいじょぶだよー、すぐ終わるからね、こんな戦い!」
 少女の光と少年の声が心に浸透し始めたのかもしれない。
 祭莉があてる柔らかな布に新たに湿り気が加わった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
わーすごーい
ブランコがぐるんぐるんだぁ…

接近戦、不得意だけどがんばりますかぁ

ブランコに飛び乗り
【ダンス】の体感でバランスを取りつつ
万一振り落とされた時の事も考えて
★靴に風魔法を付与して空中歩行の準備

【催眠術】を上乗せした【歌唱】を響かせ
奴隷達の、そしてブラッドルビーさんの動きを鈍らせつつ
★杖に【破魔】効果のある光魔法の【属性攻撃】を纏わせ
伸縮自在な特性を活かして物理的にブラッドルビーさんを殴りにいきます

僕は力も無いし、単純な殴打力としては全然かもだけど
破魔は少なからず効くと思うから

奴隷達を召喚されたら対抗して【指定UC】
僕の技は悪だけを討つ【浄化】の光
何人壁にしようとも…奴隷達には効かないよ


ベリル・モルガナイト
私は。盾の。騎士
私が。振るうは。無辜の。民を。守護する。力
なればこそ。そのため。ならば。如何なることも。惜しみません

許しがたい。悪
ですが。それでも。優先すべきは。彼らの。命
それが。例え。不利になる。行い。なれど
彼らを。守ることが。私の。力と。なります

ブランコに。乗り。愚直に。一直線に。敵の。下へ
【オーラ防御】と。【盾受け】で。身を。固め。奴隷の。方には。攻撃せず。ひたすら。耐えます
私の。力は。彼らに。振るう。ための。ものでは。ありません
懐に。潜り。込めば。引かぬ。覚悟で。近接戦を
盾で。攻撃を。受け止めながら。【シールドバッシュ】を。叩き込み。続けましょう


陽向・理玖
あー…胸糞悪ぃ
肉は十分足りてんだろおばさん
自前で何とかしやがれ

絶対助ける
覚悟決め

龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
同時にUC
残像纏いダッシュとジャンプも駆使し加速
一気に距離詰めグラップル
拳で殴る
肉分厚ッ

ブランコ足場にヒット&アウェイ
時に飛んだりし多角的に攻め
意識自分に引き付ける様
常に距離詰め
なかなか悪趣味なブランコじゃねぇか
つかあんたの方沈んでんだけど

奴隷は空へ飛んで躱し
時に受け止め地上へ

暗殺と戦闘知識用い
急所や弱点攻める
狙い読まれぬ様
普通に殴る等フェイント交え
肉厚くても
目はむき出しじゃん
指で刺突
関節はどうだよ
重ってぇだろ?その体
膝もつのか?
ローキックで膝部位破壊
空から蹴りの乱れ撃ち


レテイシャ・マグナカルタ
●設定
シティでの活動や人間牧場襲撃を繰り貸して出た手配書で
もしかしたら姿を知られているかもしれない

●行動
ふざけやがって!
怒りの余り魔力が蒼い電流の様に体表を駆け巡り、怒髪天を突くかのよう
一歩一歩踏みしめるごとに遊園地のアスファルトに放射状のヒビが入る
UCの応用でブランコから射出される奴隷達は空も飛びながらどこかにぶつかる前にキャッチする
胸に抱きしめもう大丈夫だと、今は声尾を変えても無駄だとわかっても言い柔らかな地面に寝かせる
女帝の元から奴隷が居なくなるor少なくなるまで繰り返し全員を必ずキャッチする
弱体化すれば殴り飛ばすが無限に奴隷が出てくる場合でも助ける事は続ける



「わーすごーい……ブランコがぐるんぐるんだぁ……」
 回転空中ブランコを目にした栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の声。彼らの存在に気付いたのか敵の殺気が向かって来る。
「次から次へとゴミムシどもが。あ~いやだいやだ、何匹いるんだい」
 ブラッドルビーが濁り切った声で猟兵たちに向かって吠えた。
「あー……胸糞悪ぃ」
 吐き捨てるように呟いた陽向・理玖(夏疾風・f22773)が龍珠を弾き握り締めてドラゴンドライバーにセットすればその身は群青に包まれた。
「フォームチェンジ! ライジングドラグーン!!」
 流れるロックな音楽を裂くように、高らかに声を渡らせれば七色に輝く眩き龍が放たれた――否、オーラを纏う理玖の飛翔だ。
「肉は十分足りてんだろおばさん、自前で何とかしやがれ!」
 血管を模した回転空中ブランコの鎖を掻い潜り、一気に接敵した理玖がブラッドルビーの分厚い腕肉を掴み上げ、引き寄せるとともに殴りつける。
 常ならば相手が吹っ飛ぶような強打をブラッドルビーはその肉へと吸収させて衝撃を逃す。肉が波にたわむ。
 ブランコが回り続けているこの戦場において全ての動きは刹那的だともいえる。交差は一瞬、理玖の彼我の距離を埋めるように接敵するのはベリル・モルガナイト(宝石の守護騎士・f09325)であった。
 回転方向とは逆方向へと跳躍すればすぐに迫りくる敵の巨体。
「私は。盾の。騎士。私が。振るうは。無辜の。民を。守護する。力」
 ブランコに飛び乗って、ブラッドルビーよりも高度を取ったベリルが叩きつけるように煌宝の盾から魔導障壁を展開した。
「なればこそ。そのため。ならば。如何なることも。惜しみません」
 守ると決めた存在は数多。盾を掲げ、喰らい尽くようなディフェンス。
「うっとおしいねぇ! アタイの前から退きな!!!」
 ブラッドルビーの張り手が魔導障壁に叩きこまれる。
「っ」
 巻き起こった突風に澪が息を呑む。外側へとGが掛かる回転空中ブランコの戦場にて、ブランコに飛び乗っていた澪が体幹と向心力を駆使して踏ん張る。軸脚を交互に変えて衝撃を打ち消し、風を宿すVenti Alaの翼がはためいて次のステップへ。
 澪の天使のような声は詩と音を紡ぐ。
 命掬いあげる歌唱にはほんの少しの揺らぎを交えて。
 ブラッドルビーの動きを鈍く、奴隷たちが見る絶望の淵を遠ざける。
 光と破魔の力を纏わせたStaff of Mariaが、ブラッドルビーへ流星のような軌跡を描く一撃。
(「僕は力も無いし、単純な殴打力としては全然かもだけど、この力は少なからず効くと思うから」)
 接敵する澪と理玖、敵を眼前に捉え続けようとするベリル。三人の動きにブラッドルビーは唸る。
「集るんじゃないよ!」
 ブラッドルビーの分厚い手が鎖を複数掴み、ブランコに乗る奴隷たちを引き寄せる。
 ベルトで固定され、力なく揺れる奴隷たちからは声すら漏れることがない。
 虚ろな瞳は何も映しておらず、されるがままだ。
 零れ落ちた奴隷を救出に専念する猟兵が助け出そうとしているが、奴隷の数は多い。
 絶対助けると決めていた理玖が放り出された奴隷を受け止め、地上へと送り届ける。
 瞬間、怒りに染まった声が響き渡った。
「ふざけやがって!」
 そこには身体から放出するように蒼雷の魔力を纏うレテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)がいた。怒髪天を衝くかのような一歩に、波状のヒビがアスファルトに刻まれる。
 人間牧場の真の本拠地ともいえるブラッドルビーランド――旧アナハイム。オブリビオン・ストームが発生する前は、恐らくは人々の楽しい声が絶えなかった遊園地。……今やこびりついた恐怖と死がこの地を侵している。
「奴隷たちはオレたちに任せな!」
 仲間へと告げたレテイシャがドラゴニアンの翼を広げて飛翔する。
 放たれる奴隷たちを受け止めて救出に動く猟兵たちへと合流した。
 胸に抱いて後方へと連れていく――レテイシャよりも背の高い奴隷は、レテイシャよりも軽く、そして時に霞のような存在の者もいた。
 子供は軽すぎて最早軽さなどを感じる域ではない。死の淵に手を掛けているその子を抱きしめて、ひと時の体温を分け与えたレテイシャが草地の柔らかな地面へと子供を横たえた。
 召喚された奴隷たちがブランコに座っている。
 ブラッドルビーがその身に纏わせる奴隷たちがいる。
 この世界のオブリビオンにとって人々は奴隷であるのだろう。一括りにされる前、心が壊れる前は『誰か』だった。
「もう大丈夫だ」
 レテイシャがそう声を掛ける。言葉や声が心にいる誰かに届くように。
 物理的に投げ出された生命を受け止めて、癒しを施す猟兵たちの元へと送り届ける――その機動力を維持すべく、何度も踵を返すようにレテイシャは飛んだ。
 召喚される奴隷たちの数を見た澪が清らかな翼を広げる。
 全ての者に光あれ。
 想いこめた歌が、悪だけを討つ浄化の光が場に満ちていく。
「何人壁にしようとも……奴隷たちには効かないよ」
 清らかな音が、絶望故に無垢なものと化した奴隷の心へと浸透する。
 導く澪の歌声、救うと決めたレテイシャの翼が奴隷たちを受け止める。

 回転するブランコに掛かった遠心力。そのGを利用し、片腕を軸に蹴りを放つ理玖。
 敵の膝を狙った蹴撃――即座に身を捻り、敵肉を踏み切った理玖が更なる一撃を放つ。
「女の身体を這いあがるんじゃないよ!」
 五メートルはあるだろうブラッドルビーの体に一撃を入れ、それを軸に瞬時の滞空を得て攻撃を行う理玖が顔面に辿り着いたが「お」と声を上げた。
「肉厚くても目はむき出しじゃん」
 拳を開いて、彼の指が敵の片目を突いた。これには予想外だったのだろう、ブラッドルビーが潰されるウシガエルのような声を上げた。
「許しがたい。悪」
 ベリルの意識はただ眼前に向けて。敵挙動をモルガナイトの瞳に捉え続けて、煌気を放てば分厚い肉を叩く魔力の障壁。
「ですが。それでも。優先すべきは。彼らの。命」
 彼女のシールドバッシュがブラッドルビーの動きを阻害する。時に、敵の奴隷収穫の如き動きは叩き落された。
「彼らを。守ることが。私の。力と。なります」
 守ると決めたベリルの一撃が、助けると決めた理玖の一撃が、敵を骸の海へと近付ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

柊・はとり
観念しろ殺人鬼、探偵だ
勿論生きてる人間を殺したりはしないぜ
ブランコに乗り応戦
飛び移る必要があれば多少空中浮遊

これ以上の被害者を生まない為
どうか俺に力を
UC【第六の殺人】
この女に虐げ殺された者達の怨念を呼び覚ます

奇想天外な殺人装置が
まさに今目の前に存在するな
まずはトリックで回転を鈍らせる
支柱の下に鎖で編んだハンモックを作り
奴隷が乗るブランコの鎖を切断し召集妨害
ゆっくり落ちれば衝撃も少ない筈だ

安心してくれ
俺達がこの世界に生きる者の力を見せる

そしてブラッドルビーの乗ったブランコだけを
死ぬほどぶん回す
物理法則を無視して回す
これが被害者達の恨みだとよ
逃げたらロックじゃないぜ
最後まで乗っといてくれるよな?


ノイン・フィーバー
活きがよいのがお望みデ? よろしい。 肉付きのヨい獲物が居ますヨ! サメの皆さーン!

というわけで開幕UC。
「知っていますカ? この手の作品中で偉そうナ支配階層の方ハ、ワリと餌枠なのですヨ!!」

1.ディフェンダーサメ(なにそれ)の皆さんは鎖を予め噛んで貰う
2.ノインの射撃やアタッカーサメ(なにそれ)の皆さんでブラッドルビーの腕や鎖を狙って奴隷の鎖を離させようと試みる
3.ルビーが手を離した隙に、Dサメ達に引きずってドレイをルビーから引き離してもらう

引きずられるのが辛い? そこは必要経費という事デ

あとはアタッカーサメにルビーの四肢に噛みついて貰いながら射撃
他メンバーがいれば援護射撃

連携等おまかせ!


ガーネット・グレイローズ
(奇怪で悪趣味な遊具を眺めて)…理解できんな。
それにしてもあの女、なんというサイズなんだ。
だが、見た目に似合わず身軽だな。
ブランコに飛び乗り、《空中戦》の要領でバランスを
保ちながら戦おう。とはいえ、奴隷たちが
壁になってブラッドルビーを攻撃できないな。
【仮初の死】を発動、奴隷たちを柩の中に収容して強制的に眠らせるぞ。
衰弱した奴隷も、多少は体力を回復するはずだ。
「すまんな。貴様用のサイズは用意できなかった」
軽く挑発をかまし、奴が逆上して攻撃してきたなら
ブレイドウイングによる《ジャストガード》。
素早く《カウンター》で反撃、《功夫》と《仙術》、
そしてエーテルを応用した打撃を叩き込む《鎧無視攻撃》だ!


レイ・オブライト
騒々しい場所だ
やれ醜悪だのと親玉と夢を語り合う気はない
解放した奴隷の方がよほど面白い話を聞かせてくれるだろうからな。単純に、興味がねえのさ
第一に死人が出ないように
ブランコ間を飛び移りながら格闘主体で戦う
その度、降り立ったブランコの鎖を引き千切り『怪力』ブランコの数自体を徐々に減らしていく
千切った後は『念動力』で制御する自前の『枷』の鎖で奴隷のみキャッチ、安全に着地させ避難を
敵が飛び移る足場そのものが減れば追い詰めやすい
【Haze】
肉壁である戦闘用奴隷の戦意を殴りつけるような『覇気』で怯ませ、その隙に潜り抜けて親玉に攻撃を届かせたい
誤射? ありえねえな
ただ一発、この拳で殴り飛ばすだけだ

※諸々歓迎



 造り物の血肉や内臓を模した遊園地の遊具。ブラッドルビーが猟兵を迎え撃つための戦場として陣取ったのは回転空中ブランコ。支柱は薄汚れた骨を模し、鎖は血管を模し、遠心に任せて回るは大小様々なブランコたち。
 メタル調のロック音楽は耳障りな吠え声混じり。
「騒々しい場所だ」
 レイ・オブライト(steel・f25854)が呟く。
 ブラッドルビーランドを駆け巡る遊具を目にしたガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は眉を顰め、理解できんなと率直な感想を述べた。
 回転ブランコには力なく奴隷たちが拘束されている。ガーネットが何やら目を眇めた。
「来たね、猟兵ども。ちょいと遊んで死んでいきな。アンタら、活きが良さそうだしねぇ」
 ブラッドルビーの口上に、ハッと呼気を吐き捨てる柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)。
「観念しろ殺人鬼、探偵だ」
「おや、活きがよいのがお望みデ?」
 ノイン・フィーバー(テレビ顔のメカ野郎・f03434)がテレビ画面に電球マークを表示する。
「よろしい。肉付きのヨい獲物が居ますヨ! サメの皆さーン!」
 外付けしたDVDデッキが起動すれば、ノコギリや刀、チェンソーを生やしたサメたちが召喚され空を泳ぎ始めた。
「いいだろう、フカヒレにしてあげようじゃないか」
 言いながらもサメたちの生えた武器に嫌そうな表情になるブラッドルビー。
「ノイン、奴隷たちは任せてくれ」
「ハイ、よろしくお願いしますネ、ガーネットサン」

(「既に助け出され後方へ連れて行った奴隷は除き――」)
 回転するブランコに乗った猟兵たち――ガーネットが戦場に残る奴隷たちに向けて夜を呼ぶ。発動した仮初めの夜が次々と奴隷たちを黒い棺へと収容していき、遠心が掛かって伸びきった鎖が重そうに音を立てた。
「衰弱した奴隷も、棺の中では、多少だが体力を回復するはずだ」
「凄いな。だがこれで被害は防げる」
 一番最低なBADENDのルートは遮断された。
 はとりが言い、続き呼びかける。
「これ以上の被害者を生まないため、どうか俺に力を」
 そこにいるんだろう? と掛けた声は亡き奴隷たちを呼び覚ますもの。
「奇想天外な殺人装置がまさに、今、目の前に存在するな」
 ブランコもとい棺をぶん回す支柱へトリックを仕掛けはじめるはとり。
「チッ、奴隷が尽きたかい。ならば補充しようじゃないか」
 敵が言った瞬間、そうはさせるかと接敵するのはレイだった。
 回転方向とは逆方向へと跳べば迫って来るブラッドルビーの巨体。拳が敵を迎え撃ち、そのままブラッドルビーの懐へと飛びこんだレイが身を捻り抉るような蹴りを叩きこむ。
「ギッ!?」
 ぶん回されるブランコから飛び移ったブラッドルビー。彼女が乗っていたブランコの鎖をレイが引きちぎって放る。同じく、サメたちもその身に鎖を巻き付かせて固定し、チェーンソーやノコギリで切り離していった。
 ノインのアームドフォート・typeGが敵を追い、機銃が弾幕を張る。
 銃弾が当たり脆くなった鎖を、敵を追うレイが通り様に再びちぎった。
 その際に落ちた棺ははとりのトリックが編んだ鎖ハンモックの上に。救出に専念する猟兵が棺を抱え、後方へと向かう。
「……なんてこった。ゴミムシがゴミムシを閉じ込めちまうとは!」
 挑発めいた言葉。ブラッドルビーが勢い任せに複数の鎖をひっつかみ、回転棺をぶん回そうとする。
 だが、トリックで回転の鈍った支柱は都度おかしな動きを見せて、敵の太い手から鎖を逃した。まるで意志あるかのような動きだった。それを証明するかのようにはとりは言う。
「安心してくれ。俺達がこの世界に生きる者の力を見せる」
 救われなかった命が、今ある命を救うことで、救われる。普段ならばそれは為すすべもなく無に還りやすい、残酷な世界でのありえないはずの到達点だった。
 今日救われた命はきっとたくさんの人に支えられたもの。
 レイとノインのサメたちがブランコを断ち切り、徐々に足場を失っていくブラッドルビー。
「畜生が。行きな、アタイの椅子ども!」
 新たな椅子担ぎ奴隷を召喚すれば、サメが柔らかく奴隷をくわえ、レイが受け止めるように抱える。
 抱えた奴隷を通し覇気が放たれて間断なくレイの弾丸の如き拳がブラッドルビーを撃ち抜いた。
 雷気混じりの一撃が敵の肉を灼く。
 彼にやれ醜悪だのと親玉と夢を語り合う気は毛頭なかった。単純に興味がないのだ。
(「解放した奴隷の方がよほど面白い話を聞かせてくれるだろうからな」)
 レイは腕の中にいる『誰か』を見遣る。
「レイ、その人を棺の中へ」
「ああ」
 例外なく奴隷は棺に収容され、忌々し気な唸り声を上げる敵へガーネットは言う。
「すまんな。貴様用のサイズは用意できなかった」
「この! お前さえいなければ……っ!」
 飛びかかってきた敵を、自身のマントを掴み避けるガーネット。一瞬屈めた体勢から思いっきりマントを払えばエッジが硬質化して相手の厚肉に斬撃が刻まれる。
 振るう腕を鞭のようにしならせ、続く拳による強打。
 素早い連撃にブラッドルビーの肉が波打った。
 その大きな隙を見逃さず、レイの追撃が二打、三打と叩きこまれ敵の千鳥足の如き後退が次のブランコへと渡る。
「細切れに噛みちぎってみましょうカ。知っていますカ? この手の作品中で偉そうナ支配階層の方ハ、ワリと餌枠なのですヨ!!」
 ノインの言葉にサメたちがブラッドルビーの四肢に噛み付く。
 重ねられた猟兵たちの攻撃と侵食する力に敵の肉は脆くなっていたのだろう。肉と血飛沫が、遠く地面に叩きつけられた。
 ブランコも棺も少なくなった回転空中ブランコの挙動がいよいよおかしくなる。幾層かが次々と回転を止め、動くのは一層。ブラッドルビーが乗るブランコだけがぎゅんと動いた。
「ぎっ、ぎぃあぁぁぁぁ!?」
 物理法則すら無視した動きは時に遠心と向心を逆にし、敵のぶよりとした肉があちこちに波打つ。
「これが被害者達の恨みだとよ。逃げたらロックじゃないぜ」
 最後まで乗っといてくれるよな?
 はとりの言葉を聞いているのか、いないのか。
 ブラッドルビーの斬り刻まれ、噛みちぎられ、鈍くなった体は最早ままならない。かきまぜられて脆くなった肉が滅茶苦茶な加速に耐え切れなくなり弾けた。
 肉塊女帝ブラッドルビー・ヴォーテックスが名の如くただの肉塊となった瞬間だった。


 ブラッドルビーの支配は終わり、奴隷にされていた奴隷たちが解放される。
 奴隷の世話をしたり回復につとめる猟兵たちの駆け回る姿が旧アナハイムの地で確認された。
 少しずつ、少しずつ、心を取り戻していってほしい。
 思い出してほしい。
 奴隷と呼ばれていた彼らは、いつかの『誰か』なのだから。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月06日


挿絵イラスト