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アポカリプス・ランページ④〜にゃんとも無敵な機械鎧

#アポカリプスヘル #アポカリプス・ランページ #アポカリプス・ランページ④

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●それもまた生きる為だった
 死の谷『デス・バレー』。その名の通り、生も感じられない場所に不気味な施設はあった。
 どのようなウェポンすら狂わせる『禁断のコンピュータウイルス』が保存されているコンピュータ研究室。ヴォーテックス一族の機械要塞としても兼ね備えているこの施設には、研究物を守るよう厳重な警備が施されていた。言うまでもなくオブリビオンの巣窟だ。
「この鎧、ちょっと重いにゃ」
「そんな事ないにゃ。それはお前の鍛え方が甘いからにゃ」
「そうかにゃあ」
 猫型獣人のオブリビオン、ワイルドにゃんこ達が支給された機械鎧をがしゃりと装着する。独自の武術、にゃんこ真拳を鍛え抜いた彼らにとって体を覆う鎧は少々動きにくくなるものかと思われたが。
「見てにゃ、この拳。ゴツゴツで痛そうにゃ」
 ガントレットを付けた腕をぶん、と振るう。軽くパンチを放っただけであるにも関わらず風を斬り裂き、遠くにいるにゃんこにも風圧が行き届いた。
「何それ凄いにゃ! 超パワーアップにゃ!」
「これで百戦錬磨、最強だにゃ!」
 喜ぶにゃんこ達。実際に動いてみれば鎧も邪魔にならず、寧ろ機動力も上がっている事に気付く。
 そう、今までの自分よりもはるかに強くなっているのだ。
「でも」
 ぽつりと一匹のにゃんこが呟く。
「これ、もう二度と脱げないにゃ……」
「何言ってるのにゃ、脱げなくていいにゃ! 死ぬより生き延びる方が優先にゃ! 生き延びるには強さが必要にゃ!」
 そう豪語する別のにゃんこ。元より彼らの選択肢は一つしかなかった。――既にオブリビオン・ストームに巻き込まれた事を知ってか知らずか。しかし、彼らは強さを求めた。

●デス・バレー要塞~ブーステッド・アーミー
「アポカリプスヘルにて、ヴォーテックス一族が動き出しました」
 猟兵達へ向け、アザミ・アカシア(f05817)が早速説明を始める。
「ヴォーテックス一族は『フィールド・オブ・ナイン』を利用してカタストロフの発生を目論んでいます。時間はありません。早急に阻止しなければ」
 彼らに時間を与えてはならない。オブリビオン・ストームをもたらし文明社会を破壊したオブリビオン・フォーミュラ『フィールド・オブ・ナイン』は、既に6体まで復活している。
「では、俺から紹介する場所は死の谷『デス・バレー』にあるコンピュータ研究所です。そこには『禁断のコンピュータウイルス』が保存されており、施設を守るレイダー軍団が集っています。まずはここを制圧して下さい」
 施設へ侵入すれば、機械鎧によって強化されたレイダー軍団が襲い掛かってくるだろう。
「相手は武術に長けた猫型獣人です。装着した機械鎧によって大幅に戦闘力が上がっています。群れであるという事もあり、そう簡単に攻撃は通用しないでしょう」
 まさに無敵と呼ぶにも等しい、と。そうアザミは呟いたのだが。
「しかし、強力な装備にも弱点はあるという情報を入手しました。彼らの着る機械鎧は、一度装着すれば一生脱ぐ事はできないようです。つまり機械鎧さえ無力化すれば、ただの飾りです」
 機械鎧の背部にあるブースト機能を破壊すれば、機械鎧は機能を停止させ、戦闘力を大幅にダウンさせる事ができるだろう。有利に事を進めるには、まずはそこを狙うべきかもしれない。
「俺からの説明は以上です。アンタ達の準備が出来次第、出発します。時間はないですが、焦らず、しかし全力で向かう事。いいですね」
 そう言い終えると、アザミは機械の腕にグリモアを持たせた。


ののん
 お世話になります、ののんです。

 ●状況
 アポカリプスヘル『アポカリプス・ランページ』の戦争シナリオとなります。
 1章で完結します。

 ●戦場について
 ヴォーテックス一族の機械要塞兼コンピュータ研究所にて、猟兵に立ち塞がるオブリビオンとの戦闘シーンから始まります。
 機械鎧を纏ったレイダー軍団は戦闘力が大幅にパワーアップしております。
 が、機械鎧に付いたブースト機能を破壊してしまえばただの重り。相手の戦闘力はがっつりとダウンします。

 プレイングボーナスは以下の通りです。

 ====================
 プレイングボーナス……敵の機械鎧を無力化する。
 ====================

 ●プレイングについて
 受付は公開後~『#プレイング受付中』のタグがある間まで。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 申し訳ありませんがユーベルコードは基本的に【選択したもののみ】描写致します。

 以上、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 集団戦 『ワイルドにゃんこ』

POW   :    にゃんこ爆砕拳
単純で重い【肉球】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    にゃうザンドアーツ
自身の【瞳】が輝く間、【にゃんこ真拳】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    ワイルドハント
【敵の真の姿を模したビハインド】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。

イラスト:白狼印けい

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第四『不動なる者』盾&まとめ役な武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:黒曜山(剣形態)

オブリビオンとて、憐れよな。
しかし、我らは生きる者の味方なれば。剣をとり、相対しよう。

背面にあるというのか。普通なれば狙いにくいか。
だが、黒曜山で未来を写し、そこで確認した『ブースト機能がある場所』に指定UCにて斬撃を置く。不可視だからの、わからぬであろうよ。

攻撃は当たるとまずいでな、第六感による見切りで避け、間に合わぬ場合は結界術も使用して時間を稼ごう。

負けるわけにはいかぬのよ。我らの誓いなれば。



 世界の悪であるオブリビオンとて、全員が生前から悪であったという訳ではない。それぞれの世界の事情によって惜しくもオブリビオンとなってしまった者もいる事を、猟兵達は知っている。
 生き延びる事だけに執着したこの猫達も、運悪くそちらの道へ引き摺り込まれてしまったのだろう。
「オブリビオンとて、憐れよな」
 不動なる者、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)が呟く。しかし、だからと言って退く訳にもいかない。
 ここはオブリビオンの領域。自分達猟兵は敵対する者。武器を交えなければいけない者同士なのだから。
「やる気かにゃ、かかって来いにゃ!」
 相手はやる気満々だ。あの機械鎧を身に纏ったのだから、言葉を届けるのも手遅れなのだ。ならば、情けは無用だろう。
「では、参ろうか」
 不動なる者は漆黒の剣に手を掛ける。抜刀するその動作すら静寂。至って落ち着いた様子の彼とは裏腹に、機械鎧による強さを手に入れたにゃんこ達は、それを早く試したいとうずうずしていた。
「見た目で馬鹿にされるのは分かってるにゃ。だからこそ侮った奴を返り討ちにするのにゃ!」
 その言葉通り、構えるにゃんこからは計り知れない闘気を感じた。勿論、不動なる者は侮ってなどいない。
(「嗚呼、さぞかし多くの修行を積んできたのだろうな」)
 だからこそ油断などするものか。本気で向かわねば失礼と言うものであろう? 彼はそう思った。
「一撃で終わりにゃ!」
 機械鎧による超スピードを駆使してにゃんこが飛ぶ。そして、相手を叩き潰すかのように巨大な手を振り下ろす。
 不動なる者は目を見開き、自身の体を後ろへと蹴り上げた。にゃんこの手は地面を叩き割り、地割れを起こし、その破片を撒き散らす。結界術を展開していなければ刺さっていただろう。
 破片と衝撃波によって結界術もろとも体を押し出された。成る程確かに力は圧巻だ。しかし。
「わしの一撃は、既に終わっているのだ」
 黒曜山が輝く。

「『四天境地・山』。父の技を、ここに再現せん」

 ぴしり、と。にゃんこは攻撃を終えたその姿勢のまま動く事はなかった。
「にゃ、にゃっ……!? 重いにゃ! 動かないにゃ! どうしたのにゃ!」
 にゃんこには見えなかったであろう、過去から送り出した未来への斬撃。機械鎧の背部は大きく斬り裂かれており、その機能を停止させていた。
「お主の業、実に見事なり。しかし我らは生きる者の味方。……負けるわけにはいかぬのよ。我らの誓いなれば」
 動く術を失った相手を待つものは、もはや一つ。黒曜山が貫くのを待つばかり。

成功 🔵​🔵​🔴​

藤・美雨
ある意味哀れだねぇ
生き延びるために強力な武器を手に取る必要があるのは分かる
けれど自由じゃなくなるなんて、何より悲しいじゃないか
……倒すのも優しさ、かな

まずは鎧をどうにかしないとね
『お弁当』を飲んで刻印の封印を解除
両腕を殺戮捕食態に変えてにゃんこ達と戦うよ

鎧の様子はしっかり観察
ブースト機能は背後にあるんだね
背中を取れるように【ダッシュ】で走り回りつつチャンスを窺うよ
なるべく敵の正面には立たないようにしたいな
肉球、怖いからね

攻撃を回避した時が反撃チャンスかな
地形に足を取られないようジャンプしようか
そのまま一気に背中側まで回って【怪力】で拳を叩きつけよう
ブースト機能が壊れればもう一発
これで終わりだね



「猫が鎧着てる……」
 見たままの様子を言葉にした藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)。この過酷な世界で生き延びる為に手に入れた姿である事は理解できる。しかし、その鎧は二度と脱ぐ事ができないものだ。
「ある意味哀れだねぇ」
 生き延びた所で自由がなければ、その先には何が待っているのだろうか。……もしこの世界で武器が必要ではなくなったら、その時彼らは何を想うのだろうか。
 いや、そこまで考えた所で意味はないのかもしれない。彼らはオブリビオン。その存在に罪のある者。
「……倒すのも優しさ、かな」
 仕方ないもんね、と。血液という名の『お弁当』を口に流し込んだ。殺戮捕食態と化した腕が飲み切ったパックを握り締め、赤く染まった舌が口の中からちらりと見えた。

「拳なら負けないにゃ。シュッシュッ!」
 鋼鉄の拳を自慢するように、にゃんこがその場でパンチを見せ付ける。喋り方とは裏腹に、動きは確かに俊敏であった。あのパンチにブースト機能が加われば、計り知れない破壊力となるだろう。
「じゃ、私に付いて来られる?」
 美雨がにやりと笑う。腰を低くしたと思えば、勢いよく駆け出した。向かう先はにゃんこではなく、その周囲だ。
「に゛ゃっ!? 馬鹿にする気かにゃ! そんな目回し作戦には乗らないのにゃ!」
 ぐるりぐるりと駆け回る相手に狙いを定め、にゃんこは大きく開いた手のひらを振り上げながら飛び掛かる。その機動力は並の人間(猫)には到底出す事のできない、力のある超スピードであった。にゃんこの手のひらが叩き付けた地面を大きく破壊する。
「わぁ、怖い怖い。そんな硬い肉球には触りたくないな。やっぱ猫は柔らかくなきゃ!」
 幸か不幸か、力強いスピードのお陰で曲がる事は不得意のようだ。真正面を避けたのは正解だったのかもしれない。
「後ろ、見ーつけた」
 とん、と地面を蹴り上げ空中へと飛び上がる。軽い体がくるりと回る、曲がる、腕が伸びる。その姿はまるで闇から襲い掛かってきた黒猫のよう。
 禍々しい姿の片腕がにゃんこを背後から勢いよく殴る。背部のブースト機能の破裂音と共に地面へ叩き付けられた音が響く。そこへ、もう片方の腕が悍ましい刃を見せ付け襲い掛かった。

 『捕食』。この言葉以外、その光景を表現できる言葉はない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
哀れというかなんというか……なんだか少しだけ罪悪感覚えちゃいそうなのです……
いえ、気の毒ですけど相手はオブリビオンなのですし、こちらには退けない理由があるのでしっかりやるべきことをやらないとですね。

敵に見つからないように気を付けながら接近して、深淵の招来で周囲一帯を闇に閉ざしましょう。
その後は第六感と野生の勘で敵の行動を見切り、攻撃を躱しつつオラトリオを使って手当り次第に背中のブースト機能を音もなく暗殺の要領で破壊していきましょう。

ブースト機能は一通り破壊し終えましたか。後はトドメを刺すだけですね。

なるべく苦しまないように、全力魔法による範囲攻撃で一瞬で全員纏めて仕留めます。



 重そうな金属音を響かせるのんびりとした声。七那原・望(封印されし果実・f04836)は視覚こそ封じられているが、その対照的な音から様々な事を察する事ができる。
 この世界に生まれたからこその哀れな結末。少し罪悪感も覚えてしまいそうにも感じたが。
「いえ、気の毒ですけど相手はオブリビオンなのですし……」
 そう自分を説得するしかない。それに、こちらにも退けない理由はある。ここで戦う他、道はないのだ。

 腕をぐるぐる回しやる気満々のにゃんこ達から隠れるように柱の陰へ潜む望。静かに息を吐いてから、小さく詠唱を行う。
「……漆黒の帳垂れし我、深淵と共に歩む物也」
 唱えた直後、戦場に黒い霧が降り注ぐ。
「何にゃ? 暗いにゃ? 停電かにゃ?」
「違うにゃ、黒い煙にゃ! 火事にゃ! 奇襲だにゃ!」
 闇に飲まれて慌てるにゃんこ達。これではにゃんこ真拳は届かない。その対策として編み出した技を使う為、にゃんこは全身に力を込め始めた。
「格闘技だけだと思ったら大間違いにゃ。ぬぬぬ……任せるにゃビハインド!」
 にゃんこ達とは異なる気配を望は感じた。攻撃が来る。望は移動を開始した。
 元より闇を見ている望からすれば、光のない空間に足を踏み入れようが関係のない事。ただ相手の気配を察知すればいいだけ。小さな体を更に屈ませ標的へ接近する。
 途中、強い魔力を何処からか感じ取り、咄嗟に右へ避けた。魔法の衝撃波が目の前を横切る。身に覚えのある魔力に、望は眉間にしわを寄せる。
(「早く破壊しないと厄介ですね……」)
 攻撃を仕掛けたのが何者なのかは分からない。しかしその相手との戦いが長引くのは良くない事だと、彼女は自然と察した。エクルベージュ色の影、オラトリオからいくつもの刃を形成させ、にゃんこの背後を駆け抜けては機械鎧のブースト機能を瞬時に破壊していく。
「にゃ!? 急に動けなくなったにゃ、重たいにゃ!」
 再び慌てる声が所々から聞こえてくると同時に、第三の人物の気配も消えた気がした。攻撃をするなら今だと、望は足を止める。
「これでトドメです。なるべく苦しまないようにしますので」
 シンフォニアに魔力を注ぎ込み、全力で放つ。爆発するような強大な魔法が闇の中に閉じ込められたにゃんこ達を一瞬にして飲み込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン
機神搭乗
やれやれ…少し心苦しいが
既に奴らは死した存在でしたね
なら成仏させるとしましょう
「猫ちゃんを倒すのは悲しいけど仕方ないよねー」(しょんぼり鶏立体映像

【情報収集・視力・戦闘知識】
敵陣の動きや拳法の動きのパターンを分析把握
また機械鎧の構造と形と弱点をどう壊せば無力化できるかも把握

UC発動
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体と竜達に付与
光学迷彩と共に水の障壁を纏い匂いも隠蔽

竜達
【二回攻撃・切断・捕食】
基本三体で一猫を蹂躙
一体が背中のブースト機能を破壊し残りが飛び掛かり捕食
【念動力・弾幕・スナイパー・空中戦】
空を飛びながら背中を狙い念動光弾を乱射してブースト機能を破壊し複数の無力化を狙い後は破壊蹂躙



「生き延びる為に強くなる。過酷な世界なら誰もがやってる事ではあるんだけどなー」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が搭乗するキャバリア『メルクリウス』、通称メルシーがにゃんこ達を眺めては残念そうに呟く。
「何処で間違えちゃったんだろうね。それとも、それも関係なくオブリビオン・ストームのせいなのかな?」
「心苦しいのは同意しますが、既に奴らは死した存在ですからね」
 せめて成仏させてあげましょう、とカシムが冷静に言えば、メルシーはしょんぼりとしながらも言葉を返す。
「猫ちゃんを倒すのは悲しいけど仕方ないよねー」
 心を鬼にし、メルシーは武器を構え直した。
「機械相手も怖くないにゃ。すぐにぶっ壊してやるにゃ」
 機械鎧によってにゃんこ達が克服したものは多かった。鋼鉄のガントレットとブースト機能によって破壊力が増したのだ。これでもう硬いものを叩いても手が痛くならない。
「お前らの相手は僕だけじゃないですよ。さぁ喰らい尽くせ!」
 腕を広げ召喚したのは数多の竜。現れたかと思えば、す、と消えた。光学迷彩によって視認しにくい姿と化したようだ。
「見えにくいなんてずるいにゃ! それならこっちも数だにゃ!」
 ぐるぐる腕を回し、にゃんこは攻撃を仕掛ける。背部のブースト機能が音を立ててにゃんこを支援する。
「喰らえにゃ! にゃうザンドアーツ!」
「ぶげっ!!」
 ぎらりと瞳を輝かせ繰り出した連続パンチ。破壊力を増した拳から風圧が発生し、遠くを飛ぶ竜を数匹撃ち落とす。しかし響いた悲鳴は竜のものではない。隣にいたにゃんこだ。
「お前下手くそにゃ! 当たればいいってものじゃないにゃ!」
 連続攻撃はどうしても同士討ちになりやすいらしい。少々険悪になったにゃんこ達。竜も数匹が攻撃を喰らってしまうが、数なら断然こちらの方がまだ多い。
「喧嘩してる場合じゃないですよ」
 油断したにゃんこの背後に弾を撃ち込み、ブースト機能を破壊していくカシム。続いて竜も群れを作りにゃんこ達を捕食していく。
「仲の良さならメルシー達の圧勝だねー♪」
 メルシーは嬉しそうな声でそう言った。

成功 🔵​🔵​🔴​

吉備・狐珀
お猫様の魅力の一つであるもふもふを鎧で覆ってしまうとは!
生きていく為に強さは必要です。必要なのですけども!

UC『破邪顕正』使用
放たれると複数に別れ、どこまでも標的を追う御神矢で狙うは背後にあるというブースト機能。
肉球(攻撃でなければ触りたかった)の一撃で破壊された周囲の破片はウケの結界で防ぐだけでなく。
月代、ウカ、衝撃波で破片を跳ね返すのです。
破片を避けようとすれば隙が生まれますし、あわよくばブーストを破壊できるかもしれません。
ミケさんもレーザー射撃で破片を撃ち落としつつ、援護射撃をお願いしますね。

もふもふはその鎧にも勝る究極の武器なのですよ!
それを捨てる愚かな行為、反省なさい!



 吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)は激怒した。必ず、あの鋼鉄の鎧を破壊しなければならないと決意した。
「お猫様の魅力の一つであるもふもふを鎧で覆ってしまうとは!」
 機械鎧を身に纏った経緯は把握しており、それは確かに選ばざるを得なかった理由であった事は理解はできる。できるのだが、それはそれだ。
「生き延びる為にも、未来の為にも、もふもふは必要不可欠だったはずです! 一生脱げない鎧では……撫でる事もブラッシングする事もできないではないですか!」
 狐珀の主張ににゃんこ達は強い衝撃を受けた。そう、脱げない事によってできなくなる事がある事を彼らは忘れていたのである!
「この手じゃ顔を洗う事もできないにゃ……」
「ゴロゴロ日向ぼっこできないにゃ……」
 強さは欲しいものではあった。しかし強さ以外にも大事なものがあった事をにゃんこ達は思い出した。今、彼らの心に『後悔』という概念が芽生え始める。
「……いやいや! こんな言葉に惑わされちゃ駄目にゃ!」
 にゃんこ達は首を横に振る。事実を受け入れようとした所で後戻りはできないのだ。
「ゆ、許さないにゃ! 思いっきり壊してやるのにゃ!」
 にゃんこがブースト機能を最大限に利用した強力な一撃を放つ。大きく開いた平手がパァン、と地面を叩き付け破壊する。飛び散る破片を白狐ウケが結界で防ぐと同時に狐珀も仔竜月代と黒狐ウカに指示を出す。
「月代、ウカ、破片を跳ね返すのです。その間に私も攻撃します」
 二匹は勢いよく飛び出し、衝撃波を放ち破片をにゃんこへ返していく。慌てるにゃんこ達。機械鎧の背部のブースト機能も丸見えだ。
「みけさんは援護、お願いしますね」
 稲荷狐のみけさんがぴょんと狐珀の肩へ乗る。狐珀は弓を構えると、天へと向けて射出した。
「一二三四五六七八九十 布留部 由良由良止 布留部 霊の祓」
 破邪の矢は輝き、複数の光へと分散する。それぞれがにゃんこ達の背部を狙い、ブースト機能を貫いていく。
「うに゛ゃっ」
 力を失った機械鎧の重さに耐えきれず転び倒れていくにゃんこ達。こうなればじたばたしても動く事はできない。
「いいですか、もふもふはその鎧にも勝る究極の武器なのですよ! それを捨てる愚かな行為、反省なさい!」
 みけさんがもふもふとした複数の尻尾の先端から放ったのはレーザー光線。それと同時に月代とウカも衝撃波を放つ。強大な光、風、雷の力がにゃんこ達を包み込む。
「にゃああぁぁ!! も、もふもふ、とは……ッ!!」
 哀れ。断末魔と共ににゃんこ達の姿は消え去っていった。

 最強の機械鎧を手に入れたはずだったにゃんこ達は研究所からいなくなった。
 敗因はなんだったのだろうか。背部に剥き出しとなっていたブースト機能だろうか。不幸にもオブリビオンとなってしまった事だろうか。
 いや、それは違う。一番の原因は、もふもふな毛並みを自ら覆い隠した事だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月06日


挿絵イラスト