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【サポート優先】モノガタリを持たぬ本

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #猟書家 #ベスティア・ビブリエ #愉快な仲間

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#愉快な仲間


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「これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。」

●モノガタリを持たぬ本より
 アリスラビリンスで、欠かせない存在がいるのを知ってるかい?
 え? 知らない?
 またまたぁ〜。そんな意地悪なこと言わないでよ。
 そう、そうだよ。「愉快な仲間」たちのことさ。
 彼らは、一つ一つ【物語】を持っているんだよ。
 それぞれ持っている【物語】の量は異なるけれど。
 少なくとも、アリスラビリンスを楽しく彩る大切な【存在】である事は変わらない。
 でも、それが失われるようなことになったら?
 一体、この世界はどうなっちゃうんだろうね?

●グリモアベース
「皆様、お疲れ様です」
 ナノ・ナノン(ケットシーの聖者・f18907)は、猟兵たちに深々とお辞儀をすると、さっそく本題に入る。
「皆様は、【ものがたりを喰らう獣】のお話をご存知でしょうか?」
 この問いに、頷く者もいれば首を横に振る者もいる。
「かの獣は【ベスティア・ビブリエ】と名乗る幹部猟書家の1人です。この獣もまた、【超弩級の紛争】を実現すべく、アリスラビリンスで動き始めたようです」
 ベスティア・ビブリエは、本の姿で平和な「不思議の国」に紛れ込んでしまったという。
「ベスティアは【愉快な仲間】を次々と襲い、彼らが存在する為に必要不可欠な【記憶】や【物語】を食べて奪っています」
 中身を食べられると【愉快な仲間】は力を失い、ただの家具や食器、食べ物に成り果ててしまう。そうなれば、【不思議の国】に存在する【物語】が消え、世界の在り方が変わってしまうかもしれない。
「私の【予知】では、その先の世界を視ることは叶いませんでしたが……」
 酷い状況を招くであろう事は、猟兵たちにも理解できる。
「幸いにも、まだこの【事件】は起きていないのです。なので、これから向かえば阻止できるでしょう」
 そう言うと、ナノンはグリモアを宿した杖を掲げた。猟兵たちの足元に転送用の魔法陣が現れる。
「まずは、周辺で【愉快な仲間】たちを攫うオウガの集団を殲滅してください。その後、騒ぎを聞きつけた【ベスティア・ビブリエ】が姿を現すはずです」
 魔法陣の輝きが増す。
「危険なユーベルコードを持っていますが、【愉快な仲間】が一緒であれば、そちらを食べることに集中して隙ができるはずです。なので、ちょっと可愛そうではありますが……」
 ナノンは言葉を濁すが、猟兵たちは全てを理解したと頷く。
「それでは、皆様、行ってらっしゃいませ」
 猟兵たちは、【不思議の国】へと転送された。


柚子胡椒
 はじめまして、こんにちは。柚子胡椒と申します。
 猟書家シナリオ第2弾です。
 こちらは、サポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。

(第1章)
 幹部と同時に本から飛び出してきたオウガの群れとの戦いです。
 幹部のような「物語を喰らう力」はなく、普通に危害を与えてきます。
 へんてこな「愉快な仲間」を見つけると、主人であると幹部に捧げるために隙だらけの「吟味モード」になるため簡単に倒す事ができます。

(第2章)
 幹部の攻撃は全て、物理的なダメージは0ですが、かわりに「物語」「記憶」「時間」などを奪っていくため、動きを封じられたり、一時的にUCを失念させるなど、危険なものです。倒せば全部元通りになります。
「愉快な仲間」たちを優先的に狙い、食べている間は無防備になるので、そこを考慮していくと良いと思います。
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第1章 集団戦 『こどくの国のアリス』

POW   :    【あなたの夢を教えて】
無敵の【対象が望む夢】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    【わたしが叶えてあげる】
【強力な幻覚作用のあるごちそう】を給仕している間、戦場にいる強力な幻覚作用のあるごちそうを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    【ねえ、どうして抗うの?】
自身が【不快や憤り】を感じると、レベル×1体の【バロックレギオン】が召喚される。バロックレギオンは不快や憤りを与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リーズ・リヴィエール(サポート)
 時計ウサギの力持ち×ゴッドハンド、18歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、敵には「女性的(私、あなた、呼び捨て、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
エッチな描写もNGです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像やフェイントで目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ


マユラ・エリアル(サポート)
『さて、そうであるかもしれないし違うかもしれない』
『まあ、私は嘘同盟だからな。嘘だが。』
『さあ、スタイリッシュにキメようじゃないか!』

表情の変化に乏しく、感情を読み取り辛い女羅刹
真顔で変にジョークを言うので、それが真実か嘘なのか判断が付き辛い点が周囲を惑わせる
戦闘は冷静に、淡々と敵と対峙する。

戦闘
中・遠距離では氷系統の魔法を操り、近距離では右手の鉤爪で敵を切り裂く戦闘スタイル

日常
真面目な表情で変なものを探したり、楽しんだりする。表情の起伏が小さいので分かり辛いが全力で楽しむ性質

冒険
冷静に、己の知識を活かして物事に対処。
小粋なジョークを挟んで周囲を困惑させつつ、解決に向かう




 猟兵たちは、平和な「不思議の国」を訪れていた。
「愉快な仲間」が暮らす小さな村では、いつもと変わらない朝を迎えていた。
 しかし、これから幹部猟書家【ベスティア・ビブリエ】がオウガを引き連れて、この村を襲うという【予知】があったため、悲劇に見舞われる事になる。
 そう分かっていても、猟兵たちは彼らに避難指示が出せない。彼らの協力なしには敵を殲滅させることが難しいからだ。
「すいません。ほんの少しの間、あなたたちの記憶と思い出をお借りできませんか?」
 リーズ・リヴェエール(時計ウサギの力持ち・f24468)、水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)、マユラ・エリアル(氷刃の行方・f01439)は、ポットや大きな本、クローゼット、化粧台、ソファやベッドなど、多くの「愉快な仲間」たちに頭を下げた。
「愉快な仲間」たちは、初めは恐怖心から「うーん」と悩む様子だった。
「絶対に、取り戻してくれるんですよね? 私たちが私たちでなくなるのは、困るもの」
「まぁ、猟兵たちの頼みでもあるし、信じましょう」
 愉快な仲間たちはお互いの無事を祈り、リーズ、水心子、そしてマユラと握手を交わした。
 その代わり、記憶や物語が少なさそうな物たちには、隠れていてもらうこととなった。

 村の入り口には、先鋒の「こどくのアリス」と呼ばれるオウガたちが集合していた。
 彼女たちは、かつて【アリス】だった者達。
【自分の扉】にたどり着く前にオウガに喰われ、オウガになったとも言われている。
 生前、「愉快な仲間」たちと旅をしていた者もいただろう。しかし、もう彼女たちには、そうした「記憶」も「時間」もない。空っぽの存在だ。
「この村には、どれぐらいいるのかしら?」
 大きな袋を手にしたオウガは、手当たり次第ひっくり返す。ゴミ箱、物置、家に入れば家中引っ掻き回す。
 しかし、お目当ての物たちがいない。
「おかしいわ。どこに行ったのかしら?」
 オウガは首を傾げ、ふと家の外を見る。そこには大きな本やカップ、ソファにベッドと、見るからに沢山の物語を持っていそうな愉快な仲間たちの姿があった。
 オウガたちは無我夢中で愉快な仲間たちを襲いかかる。すぐ近くにリーズ、水心子、マユラが居ることにも気が付かずに……。

「本当に、彼らにしか興味を示さないんですね」
 リーズはそう言うと、オウガたちが無防備になる瞬間を待った。
【吟味モード】になっているオウガたちは、「これは、家族の記憶ね。こっちは、旅の記憶かしら?」「いいわ、これならきっとお気に召していただける」と、熱心に吟味している。
「悪いですが、彼らの思い出も記憶も、何一つ渡しませんよ」
 そんな敵の背後から、リーズは師匠から教わった武術を思い切り叩き込んでやる。
 覇気を纏った拳で急所を集中的に攻撃し、一人のオウガの足を掴む。そしてユーベルコード【びったんびったん】をお見舞いしてやる。
 掴んだオウガを振り回し、周囲のオウガをも巻き込んで、最後には地面への叩きつけて華麗にフィニッシュする。
 水心子は、クローゼットと化粧台を袋に詰め込もうとしていたオウガに的を絞る。
「こっちは、綺麗になりたいって想い、美しい者への憧れが沢山詰まっているわ」
 こちらのオウガも【吟味】し始め、無防備だ。
「正面切っての勝負が好みだが、今回は試合ではないからな」
【錬成カミヤドリ】を発動し、自身である太刀【水心子真峰】を複製すると乱舞させた。
 何事かと、オウガたちが慌て撹乱した隙に、死角から【水心子静柄】で斬り付けていく。
「【ねぇ、どうして抗うの?】」
 不意打ちに激昂したオウガたちは【バロックレギオン】を召喚し、攻撃に転じる。
 水心子は、残像やフェイントで華麗にかわし、頭上から斬りかかり真っ二つにする。その勢いのまま、周囲にいたオウガたちを殲滅していった。
 残りのオウガたちは、慌てて大きな袋に「愉快な仲間」たちを詰め込み、村の入り口に向かって走り出す。
 しかし、それらも想定済みだ。
「さあ、スタイリッシュにキメようじゃないか!」
 入り口の前には、獲物が来るのを待っていたマユラがいた。

『氷よ、全てを凍てつかせろ』

 マユラは無表情で【氷塊召喚(コール・アイスブロック)】を発動させる。
 降ってきて【氷の塊】はオウガたちを押し潰し、凍らせる。凍ったオウガは、マユラが1体1体、魔導爪で淡々に砕いていく。
「これで最後だ」
 マユラは凍り付いたオウガの首を刎ねると、袋に詰められて「愉快な仲間」たちを解放した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ミルディア・ディスティン(サポート)
「サポート?請われれば頑張るのにゃ!」
 UDCでメカニックして生計を立ててるのにゃ。
 『俺が傭兵で出撃して少し足しにしてるがな?』
 ※自己催眠でお人好しで好戦的な男性人格に切り替わりますがデータは変わりません。

 ユーベルコードはシナリオで必要としたものをどれでも使用します。
 痛いことに対する忌避感はかなり低く、また痛みに性的興奮を覚えるタイプなので、命に関わらなければ積極的に行動します。
 公序良俗は理解しており、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。むしろ積極的に助ける方です。
 記載の無い箇所はお任せします。よろしくおねがいします。




 アリスラビリンスの異変を聞きつけ、駆け付けたミルディア・ディスティン(人間のシャーマン・f04581)は、村の裏手にまわる。
 村の入り口は、他の猟兵たちが対処してくれている筈だ。
 敵がこの村を襲撃するなら、何もご丁寧に玄関からやってくるとは限らない。
「あたしはあたしで、やれることを全速全開でやるのみにゃ!」
 そう言って気合を入れていると、村の方から悲鳴が上がる。
 襲撃が始まったのだ。
 ミルディアは、自己催眠をかける。
「よし、やってやろうぜ!」
 好戦的な男性人格に切り替わり、駆け出した。

●こどくの国のアリス
「何故だろう。酷く心が渇いてしょうがない」
「何故だろう。目の前の【愉快な仲間】たちから、甘く温かい香りがして、渇きが酷くなるのは」
 そう言って彼女たちは、本能的に手を伸ばす。
「そうはさせん!」
 鋭い声に、オウガたちの動きが一瞬止まる。
「それを手にしても、その渇きは止まらないぞ!」
 ミルディアは、オウガたちから【愉快な仲間】を引き離す。
「大丈夫か?」
「は、はい。ありがとうございました」
 紅茶のポットは、ガタガタ震えながらも礼を述べた。
「ちょっと離れてな。コイツらは俺が屠る!」
 ミルディアは、【クランケヴァッフェ】を構えた。
 それが開戦の合図となる。
「……止まるかどうかは、やってみないと分からないでしょ?」
 オウガはミルディアを睨み付け、右手で空を切り裂いた。
「さぁ、【あなたの夢を教えて】!」
 すると、霧が立ち込めはじめ、瞬く間に村を覆い隠してしまう。
 やがて霧の隙間から見慣れた家の屋根が見え、そこから景色が広がっていく。
 ぐるりと見渡すと、そこには懐かしい街並みが浮き上がっていた。
「……ここは、あの街か?」
 そこはかつて、ミルディアが暮らしていた街。
「流石はかつてアリスだった存在。能力は健在ということか……」
 これが、想像から創造された偽物であることは分かっている。
 霧が立ち込める中、オウガたちは身を潜め、こちらの隙を狙っているのだろう。
「だが、偽物と分かっている以上、俺には何の意味もない。【サモニング・ガイスト】!」
 ミルディアは【古代の戦士】たちを召喚すると、霧の中に潜むオウガたちを狩るよう命令する。
 古代の戦士は槍を手に霧の中へと突き進み、オウガたちを次々と炎と槍で攻撃した。
 彼方此方で火の粉が舞い、オウガの断末魔と共に霧が薄れていく。
 最後のオウガが討ち取られると、霧と共に街並みも薄れ始めた。
「さよならだ」
 ミルディアは消え行く懐かしい街並みに、そっと別れを告げたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

夜鳥・藍(サポート)
生まれも育ちもサクラミラージュのクリスタリアン。誰かの願いで転生した元影朧、らしい。そのため影朧には同情しがち。
それなりの良家の出で言葉遣いは丁寧。だが両親とは違う種族で生まれたのを悩み高等部(高校短大相当)卒業を機に家を出ている。現在は帝都で占い師をしている。

もふもふ大好き。
実家ではいろいろ我慢してたのもあって、飼えなくとも一人暮らし&猟兵となったことで爆発しがち。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




 サクラミラージュでは、影朧は誰かの願いで転生できる。
 しかし、アリスラビリンスではそうはいかない。
 夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は、その事に少し同情してしまう。
 これから村を襲撃してくるというオウガは、話に聞けば元は【アリス】だったと言う。
「救いの道がないのなら……」
 せめて、骸の海へと還してあげるしかないだろう。
「それも、所詮は一時凌ぎかもしれない」
 骸の海に還った存在が、再びオブリビオンとなって世界に戻ってくる可能性があるからだ。
 それでも、今はそれしか方法がないのも事実。
「今は、私にできることをするしかないのよね?」
 夜鳥は意を決して、村へと向かった。

●こどくの国のアリス
「アレを手に入れたら、何故だか満たされるような気がする」
「アレを手に入れたら、失った何かが元に戻るような気がする」
 そう言って彼女たちは、本能的に手を伸ばす。
「させません!」
 その言葉に、オウガたちの動きが一瞬止まる。
「それを手にしても、あなた達が失ったものは元に戻りませんよ!」
 夜鳥は黒い三鈷剣【鳴神】でオウガたちに斬りかかり、【愉快な仲間】を引き離す。
「大丈夫ですか?」
「え、えぇ、ありがとう」
 古時計はガタガタ震えながらも、2人に礼を述べた。
「さぁ、時計さんは離れていてください。この者たちは、私たちが元の場所へ送り返します」
 夜鳥は、オウガたちにそう告げた。
 それが開戦の合図となる。
「やれるなら、やってみなさい!」
 オウガたちは口角を釣り上げると、【バロックレギオン】を召喚した。
 ガチャガチャと音を立てながら剣や斧を振り回すレギオンを、夜鳥がギリギリで交わしていく。
「この数を一気に叩くには、これが一番でしょう。『竜王招来!』」
 夜鳥の呼びかけに応えるよう、急に辺りが薄暗くなる。
 空いっぱいに雷雲が立ち込めると、嵐と共に威厳に満ちた竜王が姿を現す。
 竜王が雷鳴の如き鳴き声をあげれば、空気が激しく振動し、雷撃が天から雨のように降り注ぐ。
 レギオンとオウガたちには、成す術もない。
 雷に撃たれた者は、体から火花を散らせながら炭と化し、ひとり、またひとりと消滅していく。やがて役目を終えた竜王は、天をぐるりと一周すると静かに姿を消した。
 1人残された夜鳥は、両手を組んで静かに祈りを捧げる。
「いつの日か、あなた方救われる日がきますように……」
 自分の居場所を失った悲しき存在に、そう願わずにはいられなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ベスティア・ビブリエ』

POW   :    縺願�縺檎ゥコ縺�◆縺ョ縺ァ鬟溘∋縺セ縺励◆
攻撃が命中した対象に【埋まることの無いぽっかりと空いた心の穴】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【一秒毎に記憶を次々と失っていき、衰弱】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    譏疲�縺ゅk縺ィ縺薙m縺ォ
自身の【憑依しているが、使い捨てる本のページ】を代償に、【Lv×1体の幸せそうな物語の登場人物達】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【世界の『正』を『負』に捻じ曲げた幻想】で戦う。
WIZ   :    蟷ク縺帙↓證ョ繧峨@縺ヲ縺�∪縺励◆
いま戦っている対象に有効な【精神攻撃をする『物語』を演じられるもの達】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フィオレンツァ・トリルビィです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

大空・彼方(サポート)
《アドリブ、連携、苦戦描写、UC詠唱変更、その他何でも歓迎です》
「はじめまして。今回バックアップに回る舞姫です。未熟者ではありますがなんなりとご用命ください。」
UDC組織に所属する新人猟兵。戦闘経験は豊富。
一人称:私
口調:敬語で機械的
性格はクールでマイペース。そしてドがつく程の面倒くさがり。一見、常識人で冷静沈着に見えるが、どこか天然なところがある。獲物は日本刀。
前衛であれば未来視を用いて舞うように敵の攻撃を引き付けながら隙を伺う。
後衛では異界召喚により援護と回復役をこなす。
UCは指定した物をどれでも使用可能。基本的に情報を収集し、慎重に行動。命令や指示には忠実に従い他の猟兵をサポートします。


テケリリケテルリリ・テケリリテケリャア(サポート)
『テケリャア!!!』
バイオモンスターのラヴクラフト神拳伝承者 × 四天王
年齢 102歳 女
外見 243cm 黒い瞳 赤茶の髪 白い肌
特徴 特徴的な声 声が大きい 実は美形 虐殺を生き延びた 奴隷だった
口調 テケリャア(私、呼び捨て、言い捨て)
お腹が減ると ケテルャア(私、呼び捨て、言い捨て)
常に飢餓感に苦しんでいます
てけりゃあ叫んで捕食したり怪力任せに潰すのが得意です
不定形の化け物として描写してください
連携歓迎です



●ベスティア・ビブリエ
 こどくのアリスと呼ばれるオウガの1人が、大きな書物を持って現れる。
「なんだ? ヘンテコなやつらが来てるのか?」
 声はするが、オウガの口元は全く動いていない。
 オウガは猟兵たちの前に歩み出ると、本を大地に置く。
 本の表紙が自然と開き、ページがパラ、パラパラ、パラ……、とめくれる。
 そして、中から黒い獣がぬるりと這い出す。

 この獣こそ、書の魔物【ベスティア・ビブリエ】である。

●空腹の獣
「あれが、今回の討伐対象【ベスティア・ビブリエ】……」
 大きな袋を携えて駆けつけた大空・彼方(眠れる神の巫女・f33087)は、目の前の獣の眼を見て、一瞬身震いする。
「分かるよ。コイツは酷く空腹で、いくら喰っても満たされない獰猛な獣だ」
 一方で、テケリリケテルリリ・テケリリテケリャア(ロード・ケテル・f16871)、別称「テケル」は、どこか近親感なようなものを感じていた。
「あぁ、君たちが噂の猟兵とかいう?」
 ベスティアは猟兵たちを一瞥して、すぐに村の方へ視線を向けた。
 どうやら、猟兵たちには興味がないようだ。
「アイツのユーベルコードを喰らうと、まずいんでしたっけ?」
 大空はそう言うと、大きな袋を「よっこいしょ!」と肩から降ろした。
「というわけで、お願いします!」
 袋からガチャガチャと愉快な音を立てながら、沢山の【愉快な仲間】たちに出て来てもらう。
 テケルは「よくもまぁ、この短期間に集めたものだ」と、感心した。
 ベスティアはというと、「おぉ〜〜!」と感動した様子で【愉快な仲間】たちに手を伸ばし、すぐさま追いかけ始めた。
【愉快な仲間】たちは当然、必死に逃げ回り、時間を稼ぎ始めた。

『縺願縺檎ゥコ縺◆縺ョ縺ァ鬟溘∋縺セ縺励◆/蟷ク縺帙↓證ョ繧峨@縺ヲ縺∪縺励◆』

「はわわわ〜、なんか心が穴だらけになって感じがする〜」
「ヒィヒィ……、なんか怖いものが追いかけてくる〜!」
 事前の情報通りベスティアはユーベルコードを発動し、【愉快な仲間】たちの記憶、夢、時間を奪うのに夢中になっていた。
「よぉーし、今のうちに叩きましょう!」
「了解!」
 目の前で鬼ごっこを繰り広げるベスティア目掛けて、2人はユーベルコードを繰り出した。

【略式・落花の舞】『神は再び眠りに落ちるーーー。』
【フードファイト・ワイルドモード】『テケリャア!!!』

 大空は夜守で斬りかかり、テケルは、どこからともなく大きな肉を取り出して、モグモグ食べると力に変えた。
 テケルが背後からベスティアを怪力で押さえ込み、大空が夜守でベスティアの肩や腕を斬りつける。しかし、切断するまでには至らず……。
「ぎゃわわ! 痛い痛い!!」
 ベスティアは悲鳴を上げると【愉快な仲間】たちを諦め、村の中へと逃げ込んだ。
「逃しませんよ」
 大空とテケルは、ベスティアの後を追って村の中へと入っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カシム・ディーン(サポート)
口調
基本丁寧なですます口調

一人称

二人称
呼び捨て、君、あなた、お前(敵には


女好きの盗賊少年だが
サポート参加の場合では基本戦闘やそれ以外の補助をメインとした立ち回りに従事する

本当はもう少し楽しい事をしたいんですけどね

【情報収集】
戦う場所や敵について
その他有用な情報を集め仲間に伝え

戦闘
【属性攻撃・迷彩】で光属性を全身に纏い消
基本攻撃は【盗み攻撃】で敵の武装の強奪による無力化
敵集団には一度【溜め攻撃】で魔力を収束させウィザードミサイル

単体相手にはシーブズギャンビットで服を脱ぎつつ猛攻を仕掛ける

一人で行動はせずにメイン参加者と息を合わせて攻撃を行う

今日の僕は盗賊として少し頑張ってみるとしますよ




 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と相棒のキャバリア【メルクリウス】通称メルシーは、村の上空から【情報収集】をしていた。
「相手の大事なモノを盗むのは、ご主人サマの専売特許だぞ☆」
「そうそう、特に美女相手なら……、って何言わすんだ!」
 夫婦漫才を繰り広げる2人。
 その目の前でベスティア・ビブリエが村を徘徊している姿がレーダーに映る。
「流石に、このデカイ機体のままじゃ戦えないか。メルシー、お前は上空待機な」
「はーい♪」
 カシムはキャバリアから降りると、ベスティアの元へ走って行く。

 「はぁ〜、ビックリしたなぁ。さて、気を取り直して、どこかに美味しそうな物語はいないかな〜」
 ベスティアは村を徘徊しながら、クンクンと周囲の臭いを嗅ぎ回る。
「んんっ? コッチから沢山臭いがしてくるな」
 ザッザッザ……、と前脚だけで器用に走り出す。
「よしよし、こっちに来い来い」
 その様子を木の上からカシムが伺っている事には、気が付いていないようだ。
 先回りしていたカシムは、軽快な口調で【愉快な仲間】たちを誘い、敢えて一ヶ所に集まって貰ったのだ。
「たくさんの美女が一ヶ所に居れば、目移りして気が散るだろ?」
 カシムはニヤリと笑うと、【外典帝竜眼「碎輝」(ムゲンニセイチョウシツヅケルモノ)】の詠唱に入る。
 ベスティアも、『蟷ク縺帙↓證ョ繧峨@縺ヲ縺∪縺励◆』と唱え、金槌やノコギリを持った幽霊を召喚した。
 幽霊はそれぞれ恐怖の物語を演じ、【愉快な仲間】たちを追い回す。
 あっという間にその場は大混乱となり、【愉快な仲間】たちは悲鳴を上げながら逃げ惑う。

『万物の根源よ……帝竜眼よ……
 我が呼びかけに答え……我が力に応え……我が叫びに応え……
 無限に強くなり続ける可能性の竜の力を今此処に示せ……!!』

 長い詠唱を終えたカシムは「みんな伏せて!」と叫ぶと、カシムはベスティアに向けてドラゴンブレスを放った。
 雷属性のブレスは、枝分かれしながらベスティアの体を焼き切る。
「あばばばば……、し、シビレるぅ〜」
 ベスティアは自ら召喚した幽霊に抱えられると、そのまま姿を眩ました。
「逃すかよっ!」
 カシムは上空で待機していたメルシーを呼び、再び上空から偵察を試みるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ディルク・ドライツェーン(サポート)
実際の年齢より無邪気で子供っぽい言動です。
好奇心旺盛で素直なので、楽しい事などは積極的に行動し
友好的な相手には仲良く接します
戦闘以外の知識には乏しいですが、戦闘時は本能的に考えて戦います。
拳に【怪力】を乗せて戦うのが主ですが、敵が多い場合はオウガ刀で【なぎ払って】【吹き飛ばし】て戦います。
敵の攻撃には【野生の勘】で回避したり【激痛耐性】で耐えます
バディペットのアインや海竜のシュタインと連携して戦います。
仲間が危なければ【かばい】ます。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




 ディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)は狼のアイン共に、ベスティア・ビブリエを追っていた。
「どっかに、一緒に戦ってくれそうなヤツとかいないかな?」
 ディルクがキョロキョロと周囲を見渡していると、アインが突然草むらに飛び込む。そして再び姿を現した時、口に何かを咥えて戻って来た。
 見れば、可愛い猫のぬいぐるみの【愉快な仲間】だった。
「にゃ、にゃんですかー!」
「なぁなぁ、無理にとは言わないけど、ちょっと助けてくれないか?」
「……と、言いますと?」
 ディルクは、一連の騒動を猫のぬいぐるみに簡単に説明する。
「にゃるほど。仲間の大切な記憶が盗まれちゃったのですね。それにゃら」
 猫のぬいぐるみは、ディルクの申し出を快く受け入れると、アインの背に乗り走り出した。

「あぁ……、なんか邪魔が入って上手くいかないなぁ」
 しょんぼりした様子のベスティアは、木の根に腰を下ろしていた。
「何処かに物語や時間、記憶はないものかぁ」
 そう呟くベスティアの目の前を、今度は猫のぬいぐるみがトコトコと歩いて行く。
「……どうせ罠なんじゃないのぉ?」
 と言いながらも、体が勝手に猫のぬいぐるみへと引き寄せらていく。
「猫ちゃん、こっちおいで〜。『蟷ク縺帙↓證ョ繧峨@縺ヲ縺∪縺励◆』」
 今度は、網を持ったブリキの兵隊が恐怖の物語を演じ、猫のぬいぐるみを追い回す。
「にゃーー!」
 ブリキの兵隊が網を振るうと、待ってましたとディルクが飛び出し、己の拳で受け止めた。

『まだまだオレは戦えるぜっ!』

 直後、【鬼神の闘気(キシンノトウキ)】を発動させ、敵の【ユーベルコードの威力】に比例した戦闘力増強と生命力吸収能力を得た状態で、ブリキの兵隊をベスティア目掛けて殴り飛ばした。
「ヒィーー! やっぱり罠だったかぁ」
 ベスティアはそう叫ぶと、煙のように消えてしまう。
 度重なる猟兵たちとの戦いで警戒心を持ち始めているベスティアを、ここで取り逃すわけにはいかない。
「アイン、追うぞ!」
 アインが返事をする様に何回か吠えると、すぐさま駆け出す。
 ディルクも猫のぬいぐるみを連れて追うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
 スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
 普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


マヤ・ウェストウッド(サポート)
「アタシの助けが必要かい?」
◆口調
・一人称はアタシ、二人称はアンタ
・いかなる絶望的状況におちいろうとも希望と軽口をたたくことを忘れない。だけどちょっとキザすぎるのが玉にキズ
◆癖・習性
・獣人特有の鋭い野生の勘で、危機を察知できる
・紅茶中毒
◆行動傾向
・おとぼけな言動や態度とは裏腹に、困っている人を放っておけず、たとえ秩序や慣習に背こうとも、自身の正義を貫こうとする
・弱者の盾になることに存在意義を見出しており、戦場では最前線で豪放に戦う。その形相は、まさに地獄の番犬
・医学に心得があり、人体の構造を知悉している。言い換えれば、人を効率よく「壊す」方法の専門家でもある
・パンジャンドラムは淑女の嗜み


ヴィヴィ・ジーヴ(サポート)
キマイラの力持ち×精霊術士、15歳の女。
名前はヴィヴィ、一人称は自分の名前でビビ。表記はどちらでも。

服の下はフクロウ。
腕はハーピー(鳥の羽)、器用な作業は少しだけ苦手。
「あまりお手手は見ないでね、女の子の秘密よ。」

《力持ち》
素早いの、苦手。お目目くらくらする。一撃ドーン、が得意よ。

《精霊術士》
困った時は精霊さんに聞く!

《好き》
美味しいもの、食べる事、大好き!
あとね、ビビ、空中浮遊でふよふよするの好きよ。

◆ボス
ぼす。ビビに倒せるかな。心配。
一緒に行ける人がいたら、ビビ連携とるよ。囮もやる。
難しい事苦手なの。作戦、教えてくださいな。

空中を飛び急降下落下。怪力載せた鹿の足で着地、地面を割る、など。




 聞くところによると、今回の討伐対象であるベスティア・ビブリエは自らの物語を持たぬ本の魔物だという。
「本の魔物と聞いたら、放っておくことはできませんね」
 大の本好きである高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)は、そう言うと眼鏡を光らせた。
 とは言え、既に猟兵たちと戦い、【愉快な仲間】への警戒心が生まれつつある今、簡単にはいかなさそうである。
「でも、物語を欲しているというのなら……」
 もしかしたら『アレ』が役に立つかもしれないと、高階は愛用の本を一冊を持って転送用魔法陣へと飛び込んだ。

 自らの物語を持たず、その空白を埋めようと【愉快な仲間】を追い回した結果、酷い目に遭ったベスティアは、村からの脱出を目論んでいた。
「あーあ、今回は猟兵ってヤツらに邪魔されたけど、次はトモダチと一緒に来るとしよう」
 ベスティアは、本を持つ白い少女を地面に落書きしながら、ブツブツ言う。
 そこへーー。
「貴方も読書、いかがですか?」
 高階がそう声をかけると、ベスティアの前に一冊の本を置いた。
「誰かから物語を奪っても、所詮は他者の物。ならいっそう、沢山の物語を参考に、自分で自分の物語を綴ればいいんですよ」
 高階はそう言うと、グッと親指を立てて見せる。
「因みに私は趣味が読書でして、小説や詩集、特に好きなのはSF小説とミステリー小説な訳ですが……」
 ベスティアは案外、高階の言葉を「ふむふむ……」と真剣な様子で聞いている。
「つまり、あんたの中には物語がいっぱい詰まっていると?」
「え? いや、まぁ、そうかもしれませんが?」
 ーーなんか嫌な予感がする。一応、【叡智の分析】発動。
「じゃあ、あんたから手っ取り早く貰うとしよう。『譏疲縺ゅk縺ィ縺薙m縺ォ』!」
「あー……、やっぱり。そう来ましたか。しかし、あなたの『行動パターンは、全て把握済みです!』よ」
 高階は、【敵の行動パターンを分析する事で】対象の攻撃を予想し、回避する。
「あとはお願いします!」
 高階がそう叫ぶと、「任せな!」と威勢の良い声が返って来た。


「うーん、人体は得意なだけどね、相手が本となると……」
 輸血パックに入れた紅茶を飲みながら、マヤ・ウェストウッド(フューリアス・ヒーラー・f03710)はベスティアを眺めていた。
 医学に心得があり、人体の構造を知悉している事で、人を効率よく「壊す」ことができるマヤだが、今回は話が別だ。
「まぁ、まぁ。獣の部分は、人体と変わらないかもしれないし」
 それならやれる……。
 マヤは【宇宙バイク】に跨ると【メディカルテンタクルスA1】を手に、本と獣の姿をした「病魔」へ突撃した。

「あとはお願いします!」
「任せな!」
 マヤはそう叫ぶと、【メディカルテンタクルスA1】をベスティアに投げつけた。
「アンタには、諸々治療が必要だよ」
 投げた包帯はマヤの意思に反応し、ベスティアをグルグル巻きにする。
「ンムムーー!」
 ミイラのような姿で、ジタバタするベスティア。
 それに向かってマヤは【宇宙バイク】を走らせる。

『共に征こう、エマ!』

 スピードを上げ、【天人一如(エマニュエル)】を発動。
 そのまま、猛スピードでベスティアに体当たりを食らわせる。
「バァーーーーーン」と破裂するような大きな音が響き、ベスティアは空高く舞い上がる。
 体からは文字らしき物や紙切れが、紙吹雪のように勢いよく噴き出した。
 それらが雪のように舞い散る中、ベスティアはしばしの空中散歩を味わう。
「トドメを刺しな!」
 すかさずエマが叫ぶ。
 その声に応じるように、もう一人猟兵が魔法陣から飛び出した。


「ビビ、難しい事はよく分かんないよ。でも、大事な物を奪って行く獣はキライ」
 ヴィヴィ・ジーヴ(いつも誰かのお手伝い・f22502)はそう言うと、転送用魔法陣に飛び込んだ。

「トドメを刺しな!」
 エマの叫ぶ声に、ヴィヴィは【ガチキマイラ】を発動させた。
 ヴィヴィは可愛らしい顔が瞬く間に【ライオン】に変化させ、宙を舞うベスティアに噛み付いた。
 鋭く大きな牙は、ベスティアの体を噛み砕く。
「バキバキ、バキバキ!」
 硬いものが砕ける鈍い音が響く。そこから噴き出すのは血ではなく、黒いインクと文字……。
 ヴィヴィは鹿の足で着地すると、ベスティアをブンブンと振り回し、ポーンと投げ飛ばした。
 投げ飛ばした先には、大きな岩。
 ベスティアが激突すると岩は砕け、瓦礫となってベスティアを呑み込んだ。
「終わったかな?」
 ヴィヴィは元の可愛らしい顔に戻ると、ベスティアの方を見つめた。
 ベスティアはなんとか岩から這い出すと、ゴロリと横になった。
 もう、喋る気力も無いのだろう。荒い呼吸を繰り返している。
 体からは、尚もインクと文字が噴き出している。
 相手から奪った物語や記憶、時間を体に留めておく力も失われ、静かに消滅するのを待つ。
 噴き出した文字は、クルクルと螺旋を描きながら天へと昇って行き、やがて散り散りバラバラになって飛んでいく。
 きっと、元の持ち主へと返って行ったのだろう。
 猟兵たちが見つめる中、ベスティアの獣の体は消え、ボロボロの本だけが残る。
 猟兵の一人がそれに近づくと、静かに火を付けた。
 本は簡単に燃え始め、跡形もなく消えて無くなった。
 こうして、【モノガタリを持たぬ本】との戦いは、終止符を打ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年09月19日


挿絵イラスト