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蠱毒を喰らわば皿までも(作者 豚ー
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#アリスラビリンス  #猟書家の侵攻  #猟書家  #ディガンマ  #殺人鬼 


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 蠱毒という呪術がある。
 箱庭を作り、中に様々な生き物に放って殺し合いをさせる。殺し合えば殺し合う程にその怨嗟は高まり、末に生き残った者には凝縮された呪いが蓄積されていく。こうして出来た冒涜的なまでに濃厚な呪いを蟲毒と呼ぶのだ。

 だがこれには問題がある。賢い動物、例えば“人間”ばかりを素材とした場合、成功することがまずないのだ。“ヒト”自体が素材に向かないという訳ではない。むしろ感情を持つために得られる呪いの質は、蟲や動物とは比較にもならない禍々しい物となるのだが、下手に賢いと協力して殺し合おうとしないのだ。
「ですが全てが全て、成功しないというわけではありません。倫理を尊ぶ者を選ぶから駄目なのです」
 “ヒト”を殺させたいのならば、“人間”を殺したい者だけを集めればいい。たったそれだけの話だ。“人間”の中には“殺人鬼”という奇特な者たちがいる。彼らは潜在的に“殺人衝動”を持ち、少し背中を押してやるだけで簡単に良い素材となってくれるだろう。

 ああ、そしてこんなところに都合のいい殺人鬼たちだけが住まう街が一つ。この街を氷で囲って箱庭にしてやりましょう。囲って皆で殺し合わせましょう。殺させ濃厚な毒に昇華させて、それからそれから頭から喰らってさしあげましょう。

「嗚呼、とても美味しそう……。とてもとっても楽しみです……」
 彼女はまだ見ぬ未知の味覚に感悦し、紅く火照った唇を舐めた。

●箱庭の中の殺人鬼
「皆々様、ごきげんようですわ。突然お呼び立てして申し訳ございませんの」
 エリナ・アンブレラ(南蛮かぶれなかさおはけ・f34517)は深々と頭を下げる。

「アリスラビリンスにて、“猟書家の意思を継ぐ者”によって一つの街が氷に捕らわれる予知が紡がれましたの」
 殺人鬼だけが住まうその街に“猟書家の意思を継ぐ者”は目をつけ、大量のオブリビオンに襲わせるつもりらしい。だが襲撃してくるオブリビオンはとても弱い。程なく住人たちによって簡単に駆除されてしまうだろう。

「ですが当然、それだけで済むのでしたら今回の話はございませんわ」
 エリナは手に持つ唐傘で床を小突く。
「このオブリビオンには毒がありますの。倒せば倒すほど毒を浴びせられ、殺人鬼たちの持つ“殺人衝動”を高めてしまうのですわ」
 そして“殺人衝動”が臨界に達した時、街で始まるのは殺人鬼同士の殺し合いだ。
「さすがに最後の一人になるまで戦う、といったデスゲームみたいなことにはならないでしょうが、生き残った住民たちは皆が皆、完全に“殺人衝動”に飲み込まれ、果てにオウガと化してしまうのでしてよ」
 “猟書家の意思を継ぐ者”の狙いはそのオウガだ。極限までに高まった“殺人衝動”の持つオウガたちを喰らい、自らの血肉とすることでアリスラビリンスに再び戦乱を巻き起こすつもりなのだろう。

「まずは住人たちを護りつつオブリビオンたちを殲滅してくださいまし。オブリビオンの持つ毒は殺人鬼の“殺人衝動”にだけ作用しますので、“我々”が倒すならば或いは安全に駆除できるはずですわ」
 その後には“猟書家の意思を継ぐ者”との戦闘もあるだろう。だがまずは、住民たちの安全を確保することが最優先だ。
「街は殺人鬼たちの隠れ里でとても小さく、壁に囲まれることで大きく立ち回るのはとても難しいかもしれませんの」
 だがそれだけにオブリビオンの行動も単純なものになるには違いない。

「狭い空間で護りながら戦うというのはとても大変な事だとは存じますが、“猟書家の意思を継ぐ者”の好きにさせておくわけには行けませんの。どうぞよろしくお願いいたしますわ」
 エリナは再び深く頭を下げ、そしてゲートを開いた。





第2章 ボス戦 『雪の女王』

POW ●【戦場変更(雪原)】ホワイトワールド
【戦場を雪原(敵対者に状態異常付与:攻撃力】【、防御力の大幅低下、持続ダメージ効果)】【変更する。又、対象の生命力を徐々に奪う事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD ●【戦場変更(雪原)】クライオニクスブリザード
【戦場を雪原に変更する。又、指先】を向けた対象に、【UCを無力化し、生命力を急速に奪う吹雪】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ ●【戦場変更(雪原)】春の訪れない世界
【戦場を雪原に変更する、又、目を閉じる事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【除き、視認外の全対象を完全凍結させる冷気】で攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「なん……ということ……?」
 雪とともに村へ舞い降りた『女王』はその惨状を見て愕然とする。
 村には予め放っていた『マユラ』たちがたくさん死んでいた。
 いや、元から彼女らは使い捨てだったのだから死んでいること自体はいい。『マユラ』たちだけしか死んでいないことが問題なのだ。
「“殺人鬼”どもの死体はどこなの……?」
 “ヒト”の死体が一つもない。それは『女王』にとって予想外の光景だった。
 “殺人鬼”同士が“殺人衝動”に負けた末に起きたはずの殺し合い。その敗者たちがどこにも見当たらないのだ。まさかオウガがわざわざ弔ったわけでもあるまい。
 蟲毒は失敗したのではないか?
 いや、私の計画は完璧だったはず。ここまで殺したくなる舞台を整えたのだ。これで殺し合わなかったら何もかもが間違っていたことになる。
 仮説と否定を脳裏で繰り返しながら、『女王』は目的のオウガを見つけるべく、広場へと足を向けた。
牧杜・詞
あなたが今回の首謀者さん?

やっと会えたわね。
わたしの殺人衝動ちっとも高まらないんだけどなぜなのかしら?

なんて、あなたに聞いても無駄ね。あなたは『殺人鬼』を解ってないわ。
殺人鬼の衝動っていうのはね『誰でもいいから殺したい』んじゃないの。
『自分が殺したいもの』を『殺したい』のよ。

身内を殺したいなんて思うのは、わたしぐらい壊れていないとダメね。
だからこの村の人たちの衝動を高めても無駄だと思うわよ。

え?村人たちで援護?
そうね、なら村から逃げられないようにしてくれればいいわ。

わたしは『女王』を『殺したい』の。
せっかく高まってきたのだから、楽しませてもらいたいわ。

【鉄和泉】を抜いて【識の境界】を使います。



「あなたが今回の“首謀者”さん?」
 『女王』は霧雪の向こうから投げられる声を不快そうに舌打ちする。
「“猟兵”……。あなたがたですか、やってくれたのは」
 声の主、牧杜・詞(身魂乖離・f25693)が歩いてきた道には幾羽もの『マユラ』たちが散乱している。彼女が『女王』の計画を破綻させた一端を担っていたのは明らかだった。
「ええ。ええ、そうよ。やっと会えたわね。村人はみんな避難させたわ。体力のある人はこの場を取り囲んでいるみたいだけど……でも、あなたにはもう逃げ場もないもの。関係のない話だわ」
 空を切って【新月小鴨】の血を掃い、鞘に納める。
「飛んでいた“蛾”はみんなみんな殺してあげたわ。でも殺せば殺すほどに“殺人衝動”が高まると聞いていたのに、“殺人鬼(わたし)”の殺人衝動ちっとも高まらないんだけど……なぜなのかしら? ねえ、“猟書家もどき”さん?」
 “もどき”という単語に一瞬眉を顰めたが、『女王』は気丈に振る舞う。
「あはは、それはあなたがすでに“壊れている”からでしょう。あの毒は“殺人鬼”を“壊す”為の毒なのですから」
「そうね。確かにわたしは壊れているわ」
 だから“殺人衝動”になんか頼らなくたって、他人だって家族だって殺してみせた。
「でもダメ、あなたは解っていない。身内を殺したいなんて思うのは、わたしぐらい壊れていないとダメね」
 『女王』の見当違い。それは『マユラ』たちが帯びていた毒は“殺人鬼たちの持つ“殺人衝動”を高める”ものだということだ。
「“殺人鬼の衝動”っていうのはね、『誰でもいいから殺したい』んじゃないの。『自分が殺したいもの』を『殺したい』のよ」
 その毒によって村人たちは“殺人衝動”が高まった。だがしかし、それは襲撃者『マユラ』に対しての“殺意”が高まっただけに過ぎない。グリモア猟兵は『臨界に達した時、殺し合いが始まる』と警鐘していたが、そんなこと到底ありない話だったのだ。
「だからこの村の人たちの“衝動”を高めても無駄だと思うわよ」
 一体何をしたかったのかしら、と詞はくすくすと笑う。

「ところで今、わたしは『あなた』をとても『殺したい』の。嗚呼、高まってくるわ。せっかく高まってきたのだから、楽しませてもらいたいわ」
 にわかに彼女の“殺人衝動”が血潮を巡る。そしてそれは深緑に濡れた打刀、【鉄和泉】を抜くとともに一気に開放された。
 ――詞のユーベルコード【識の境界】。その顔は愉楽に歪んでいた。
「さあ“猟書家もどき”さん、次は何をしてくれるのかしら?」
「“猟兵”ぁぁあ!」
 度重なる挑発に『女王』は勢いよく片手を下すと、粉雪を散らしていた風を指先に束ねて鋭い風雪を無礼者に放つ。
 しかしその一槍を、詞は【鉄和泉】で受け流して逸らすと一気に詰め寄る。
「あなたは殺す相手のことを知らなさ過ぎだわ。次はよく勉強して出直すことね」
 そんなことしなくても、わたしはきれいに殺して見せるけど。ね、こんな風に。
 『女王』の肺下部に刃が深く突き刺さる。紛う方なき急所への一撃だ。
 緑の刃は血に濡れ、鈍く黄金に照らされていた。
大成功 🔵🔵🔵

馬県・義透
引き続き『不動なる者』にて

なるほど、首謀者であるか。残念であるが、目論みは崩れておるよ。
して、やることは変わらぬ。ただ、貴殿を倒す。それだけよ。

陰海月と霹靂が、空から攻撃しておるし。簡単には指先を示すことができぬよ。
で、わしはわしで【四悪霊・『塊』】にて攻撃しよう。
もともと、この呪詛塊は貴殿しか攻撃せぬし…逃げようとも、黒曜山が写す未来で位置がわかるからの。

わしらはな、貴殿のような者がを好かぬのだよ。


陰海月「ぷきゅ」
霹靂「クエッ」
まだまだ張り切ってる二匹。寒いかもしれないけれど、頑張る。


「なるほど、貴殿が首謀者であるか」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、建物の陰で先だっての傷を自らの氷で塞いでいる『女王』を屋根から見下す。
「はぁ、はぁ、かっ……はっ、はぁ……。“猟兵”、ですか……」
「残念であるが、貴殿の目論みは崩れておるよ」
 『女王』の放った従者どもは地に堕ち、空気に盛られた“殺人衝動”の毒も稀薄されつつある。誰がみても既に『女王』の“ヒト”同士を殺し合わせる計画は瓦解していた。
「くっく……くっ、まだ、だ。まだわからないわ」
 だが『女王』は傷を抑え、笑いながら立ち上がる。
「私の計画は完璧よ。今またここに『マユラ』たちが襲いに来るわ、そうすれば」
「いや、既に終わりである。或いは、貴様の云う通りだったとしてもだ」
 『女王』の戯言を否定する。
「して、やることは変わらぬ。ただ、貴殿を倒す。それだけよ」
「抜かせ! “猟兵”風情がっ!!」
 『女王』はみるみる怒りに顔を歪めると、義透を指し示す。その指先に風雪が集う。
「貴様も我が氷風に霞んで氷漬けになるがいい!」
「クエーーッ」
 不意を突き、霹靂が『女王』の背中に頭から突進する。その衝撃で指先の冷気は散ってしまった。
「っく、何を!」
 霹靂に向き直り、まずはこやつから払ってやらんとするが、
「ぷっきゅー!」
 陰海月がその長い触手で、霹靂への反撃を阻止する。
「く、くそっ! 邪魔を、するなっ!」
 あちらに向けば、こちらが阻止をする。『女王』に指先をうまく定めさせないとする二匹の見事な連係プレーだった。
「よくやってくれた、陰海月、霹靂」
 今度は義透が掌に深淵のように暗く禍々しい呪詛の『塊』が集める。
「貴殿への贈物だ、有難く受け取るがよい」
 義透は『塊』を投げた。
「はっ、そのような攻撃。簡単に避け……くそっ、やめ」
 避けられるわけはない。陰海月の触手に捕らわれ、解けようとも霹靂に阻まれている。
 そしてメキリと音を立てて『女王』の鳩尾に減り込み、『塊』は破裂した。
「がっふ……?!」
 四悪霊が丹念に圧縮せし呪詛塊だ。たかだか“猟書家と騙り気取っている小娘”如きに、まして自らは動かずただただ殺し合わせようと策のみを巡らせていた小悪党に、本物の呪物など耐えられるわけがなかった。

「逃げよったか」
 不利を悟った『女王』は吹雪に溶け、やがて姿を消した。
「だが……徒事よな。いくら逃げようと【黒曜山】が映す未来で位置がわかるからの」
 空には陰海月、霹靂の二匹も寒さに晒されながらも探してくれている。
 だが、それよりも、
「わしらはな、貴殿のような者がを好かぬのだよ」
 驕慢放縦、放辟邪侈。『女王』の態度は終始不快なものであった。
 決して貴殿を逃がしはせぬと、義透は街を囲む氷壁を見据えた。
大成功 🔵🔵🔵