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スシを率いるスナイパー

#アポカリプスヘル #マイ宿敵

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#マイ宿敵


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●予知:小さな教会の大きな神父。
「神父様、おはようございます!」「ああ、おはよう」
「今日も晴れ渡っていますね、神父様」「ええ、心地よい陽射しですとも」
「神父様! 洗った容器、備蓄庫に運んでおいたよ!」「ありがとう。あとで補充しておこう」

 その小さな拠点(ベース)は、山間部にある地方都市の端に建っている教会だ。
 都市がオブリビオン・ストームによって破壊された折、偶然にも軌道から逸れていたために無事に残っていたのだ。
 今は、住む場所を奪われた人々が身を寄せ合い、細々と生活を営んでいた。
 若い男女は奪還者(ブリンガー)として廃墟をめぐり、あるいは他の拠点と交流して食料や生活物資を持ち帰る。
 老人や子どもは留守を守り、枯れた土地を耕したり、繕い物をしたりして暮らしを支える。
 決して豊かとはいえないまでも、誰も餓えることなく笑い合って生きていた。
 この拠点の中心にいるのは、一人の神父であった。

「ああ。今日も無事に朝を迎えられました……。神よ、感謝を捧げます」

 重低音の凄味のある声を発する、禿頭の巨漢―――グスタフ神父。
 悪鬼のような凶相で微笑み、人を縊り殺せるような剛腕を組んで神像に祈りを捧げている。
 威圧的な風貌とは裏腹に、虫も殺せぬほど穏やかで争いを好まない心優しい人物だ。
 一見手強いゴッドハンドに見えるグスタフが拠点に常駐していることは、拠点に安心を与え略奪者(レイダー)を尻込みさせていた。
 今日、この時までは。

「た、大変だ、神父様! 何が、何か変なものが、襲ってきた!」
「変なもの? それは、っ、悲鳴が!」

 慌てて教会を出たグスタフの目に映ったのは、皿に載って高速で動き回るスシの群れ。
 全高5mはある巨大なマグロ・スシが、拠点の人々を襲っていた。
 スシたちは老人を踏み潰し、子どもをネタとシャリの間に捕らえていく。
 明らかに統率の取れた、レイダーの動きだ。

「マグロ、マグロマグロ」「トーロ、トロトロトロ」「スーッシッシッシ」
「や、やめろぉぉぉ!」

 スシに襲われている子どもたちを救うために駆けだしたグスタフ。
 その足が、はるか遠く、山から飛来した銃弾を受けて、消し飛ぶ。
 苦悶の悲鳴を堪えながら地面に転がるグスタフに、スシが大きくネタを開いて近づいて行った。

●招集:冗談のような悪夢を防げ。
「とんでもないことになっているであります」

 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)がプロジェクターで説明した予知の情報は、あまりにもひどいものだった。
 穏やかに暮らす人々をレイダーが襲撃する。
 そのレイダーがスシの形をしたオブリビオンという訳だが、油断することはできない。
 巨体でありながら縦横無尽に飛び回り、あげくビームまで放つというのだから。

「今ならばマグロ・スシたちが拠点に近づくより先に、現地に到着できマース!
 皆様には、教会にいるグスタフ神父やお爺さんお婆さんチルドレンと交流して、
 襲撃時に教会の中に隠れてもらえるようお伝えくだサーイ」

 オブリビオン・ストームが猛威を振るうアポカリプスヘルにおいて、まともな教えを信仰して、子どもたちを養う人は多くない。
 グスタフは見かけは怖いが仁徳のある男だ。ここで失うのは惜しい。

「転移して少しするとマグロ・スシの襲撃がありマース!
 山の上からオフロード仕様の皿に載って飛翔しながらやってきマース!
 これを撃破してもらいたいのデスガ……懸念事項がありマース」

 スライドに写される予知された映像、足が吹き飛ばされたグスタフの姿だ。

「ワタシの予知の範囲外から、狙撃するスナイパーがいるようデース!
 おそらく、マグロ・スシ団を率いているボスでありマショー!
 狙撃に警戒しつつマグロ・スシを殲滅した後、ボスを逃さないよう追撃を仕掛けてくだサーイ!」

 スナイパーの情報はほとんどない。
 だが、山に囲まれたこの立地であれば、射線から位置を割り出すことはできるだろう。
 マグロ・スシを片付けた後、移動手段を用意して接近すれば、撃破することは難しくないはずだ。

「非戦闘員を襲う卑劣なレイダーズ、1体残らず殲滅をお願いしマース!」

 それと、このマグロ・スシは機械で出来ているため、可食困難であるとバルタンは言い添えて、参加する猟兵たちをテレポートさせるためにゲートを展開した。


リバーソン
 こんにちは。リバーソンです。
 マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。

 今回の舞台はアポカリプスヘル。
 教会を拠点とした小さなグループを護ることが目的となります。
 そのために襲撃してくるオブリビオンを撃破してください。

 第一章:拠点付近。旅人やブリンガーとして拠点に合流して、交流してください。
  気質が善良な拠点の人々は、よほどの無法を働かない限り友好的です。
  教会の中に留まるよう指示したり、屋外にいる人を集めたりして、襲撃に備えてください。

 第二章:敵はマグロ・スシの集団ですが、猟兵を無視して教会に向かうことは行いません。
  安心して迎撃に出てください。
  また、断続的にスナイパーによる狙撃が行われます。ご注意ください。
  プレイングボーナスは、『狙撃に警戒する、あるいは対策を用意する』です。

 第三章:遠隔攻撃を行うスナイパーへ接近する戦闘となります。
  山中に身を隠して、かなり距離が離れているところから狙撃してくる相手です。
  その正体は、不明です。
  移動手段を用意して、スナイパーを攻撃可能な距離まで近づいてください。
  移動せずとも遠くにいるスナイパーを攻撃できる手段があれば、そちらを活用していただいても構いません。
  プレイングボーナスは、『スナイパーに接近して攻撃する』あるいは『スナイパーに遠距離から攻撃する』です。

 登場人物:グスタフ神父。凶悪な外見と優しい心を持つ人間の男性。
  神を敬い、か弱い人々に救いの手を差し伸べる善人。
  グスタフの拠点には、他所に分けられるほど大量の塩が備蓄されている。

 今回はオープニング公開後の断章はありません。
 皆様、よろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『伝統文化を守れ』

POW   :    伝承者の生活を支える為の支援を行う

SPD   :    伝承者の技術を体得して文化の継承を行う

WIZ   :    伝承者の技術を文献などに残す事で文化の継承を行う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ラブリー・ラビットクロー
ここは子供達が多いんだ?
そっか
じゃーみんなにいー物見せてあげるぞ
だから教会に集まれー!

バラバラとテーブルの上にビー玉を取り出して皆で作戦会議だ
キラキラ光ってきれーでしょ?
お空を透かして見ればもっときれーだのん
ところでスシが攻めてくるの
ホント?
バルたんテキトー言ってないなんな?みんなはどー思う?
そーか
スシは食べ物か
ぐふタスは?
そーかスシは居るんか
じゃースシは居るんだな
らぶね
セカイが平和になったらスシ食べて見るのもいーかもなんって思った
らぶのユメリストに追加したぞ
そしたらみんなのユメってなんなんな?
よかったららぶとマザーに聞かせて?
【カメラを起動しました】
これマザー
らぶの友達
ポンコツだけど仲間だぞ


鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎

ひとまず皆さんの避難を優先させないとね
この場をオブリビオンが襲撃する可能性があるという情報を聞いた事を話しつつ教会内に避難してもらうように話をしてみよう

【落ち着き】を持って現地の方々に【心配り】する事を忘れずに対応
避難に時間の掛かりそうな方がいれば率先してお手伝いさせて頂こう
また、怪我をされている人とかいたりしないかな?
【医療】の知識も持ち合わせているし、治療も可能だ
『生まれながらの光』で怪我をした人などがいれば治療しよう

子供達に接する場合も頭ごなしに指示するではなく
目線を合わせて誠意をもって話をしよう
こちらがちゃんと誠意を見せれば応えてくれると信じよう
危険は俺達がなんとかするね


ルクス・アルブス
【勇者パーティ】

よくわからない相手ですが、借金取りでないことが解っているだけでもいいですか。

さ、師匠、マグロ食べ放題のためにも、
ここは大人しく気に入られに行きましょう!

って、師匠!? 何言い出すんですか!
ごはんチャンスをフイにした上に、また出禁増やしたいんですか!?

最近しっかり食べられてなかったんですから、
たまにはちゃんと食べないと、いいかげんえぐれますよ?

わたしたちは水遁の術で胸だけ浮いてる忍者と違うんですから!

あ、いえいえ。浮き袋いいなーって思っただけですよ。
非常食でお呼びしたわけではないですから!

え?いえその、勇者ですよ?
お笑いの営業ではないですが……気にってもらえたならよしとしますか。


フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「ほほう、スシとな!
それも回ってないやつ!
食べ放題とあれば行くしかあるまい!」(グリモア猟兵の言葉を最後まで聞いていなかったらしい

さあ、行くぞルクス、サージェ。
新鮮なスシをゲットするのだ!
我は魔法を使うと腹が減るゆえ、食にはうるさいぞ!

そして向かった拠点に居た神父を見て……

「うむ、我の明晰な頭脳が今回の事件の黒幕を推理したぞ!
グスタフ神父、お前が黒幕だ!」(びしぃっ

証拠はこの顔。
どんなに善人のふりをしても、我は騙されんぞ!
絶対、人殺してる顔だよな、これ。

「って、ルクス、なにをするーっ、もがもが」

まあ、ここで騒ぎを起こしてスシが食えなくなるのも困るしな。
おとなしくしておこう。


サージェ・ライト
【勇者パーティー】
お呼びとあらば参じましょう。
私はクノイチ、世に潜み……すぎてパーティーの一員って忘れてたとかそんなことないもんっ!

いやー、久しぶりに声がかかって何事かと
最近、☆的な理由(メタい)でメイドさんばっかりでしたからねー

で、このクノイチを呼び出したからにはよほどの大事……え、スシ?
スシっていった?

まぁぺたん魔女の魔力切れは深刻なエラーになりかねませんし
食料は多い方が……はい?そこの勇者なんて言いました?

そもそも胸だけ浮いてるとか忍べてなさすぎでしょ?!
私忍べてますから! ……え?できてますよね?ね?

というか、揺れるからって狙わないでー?!(子供たちに追いかけ回される



●希望を伴う者たち。

 ラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)と
 鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は、肩を並べて拠点に足を踏み入れた。
 二人を出迎えたのは、洗濯や畑の世話をしている老人たちだった。
 小柄なラブリーと誠実そうな顔立ちのひりょ、威圧感を与えない二人だったからか、か弱い住民たちは快く受け入れた。

「あらまあ、ブリンガーさんかしら? いらっしゃい」「あんまりおもてなしもできないけれど、ゆっくりしていってね」

 敷地を覆う塀の内側では、数十人の子どもたちが元気に走り回っている。
 遊具こそないが、鬼ごっこやかけっこなど、できる遊びに不服はなさそうだ。

「そっか。ここは子供達が多いんだ?」
「そうなのよ。お父さんやお母さんが働きに行っていたり……いなくなってしまったりして、ね」
「神父様がね。廃墟になった町を駆けまわって、みんなを助けてくれたのよ」
「本当に。神父様がいなかったら、どうなっていたことか……」

 しみじみと語る老人たちの話を聞き、ひりょは誠意をもって事情を説明する。

「おじいさん、おばあさん。俺たちがここに来たのは、レイダーがここを襲撃するかもしれないって情報を聞いたからなんだ」
「ええっ!?」「そんな……!」「どうして、ここには、何もないのに……」
「大丈夫、落ち着いて。まだ襲撃まで時間はあるから。
 それに、危険は俺達がなんとかするしね。そのために来たんだ」

 落ち着いた態度で動揺する老人たちに配慮するひりょ。
 その穏やかな声を聴き、頼もしい様子を見て、老人たちも落ち着きを取り戻す。

「わかったわ。ありがとう、ブリンガーさん」「それじゃあ、避難しないと……子どもたちも集めないと」
「うん。まずは皆さんの避難を優先させないとね」
「おっけ。じゃー、みんなにいー物見せてあげるぞ。だから教会に集まれー!」

 ラブリーが声を上げながら、きれいなビー玉を取り出す。
 表で遊びまわっていた子どもたちは、キラキラと光り輝く綺麗なビー玉に注目する。

「キラキラ光ってきれーでしょ? お空を透かして見ればもっときれーだのん」
「すっげー! きれーなビー玉だ!」「みせて、おねえちゃん!」
「いーぞ、こっちだー!」
「わぁー!」「まってー!」

 ラブリーが子どもたちを引き付けれて、勢いよく教会の中に入っていく。
 一方でひりょはゆっくりと、老人たちを支えていく。
 足腰を弱めている者に肩を貸し、怪我をしている者には聖なる光を当てて、素早く治療する。

「ああ、楽になったよ……ありがとうよ、兄さん」
「お安い御用さ。ほら、俺の肩に手を置いて。そうそう」

 感謝の言葉を告げる老人たちに笑顔を向けながら、外にいた人員を教会に収容することに成功した。

「さ、ひりょ。ぐふタス。作戦会議な?」
「うん」
「ありがとうございます。知らせていただけなかったら、どうなっていたことか……」

 ひりょとラブリーは子どもたちの世話を老人たちに任せ、この拠点の代表であるグスタフ神父を含めて作戦会議を始めようとする。
 事情を説明されたグスタフは緊張した様子で額の汗をぬぐっていた。

 ラブリーはテーブルの上にビー玉を転がす。
 その正体は、様々な世界と繋がる投影型の小型端末である。
 グリモア猟兵から提供された情報を空中に浮かべて、対策を練ろうとする。
 その時であった。

「話は聞かせてもらった!

 バン! と教会の扉を勢いよく開かれた。
 もうオブリビオンが来たのかと警戒するひりょとラブリーだったが、視線の先にいるのは猟兵だった。

「我の明晰な頭脳が今回の事件の黒幕を推理したぞ!」

 堂々と現れたのは、フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)だ。
 後ろに続くルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)、
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)と共に、この拠点を救うために駆けつけた猟兵たち。
 彼女たちこそ、世に名高い勇者パーティである。

 ビシィ! とグスタフに指を突き付けて、フィアは高らかに宣言する。

「グスタフ神父、お前が黒幕だ! 証拠はその顔!
 どんなに善人のふりをしても、我は騙されんぞ!
 あれ絶対、人殺してる顔だよな、もがもがっ!」
「わーわー! 師匠、何言い出すつもりなんですか!
 ごはんチャンスをフイにした上に、また出禁増やしたいんですか!?」
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に潜み……。
 潜すぎてパーティーの一員って忘れてたとかそんなことないもんっ!」

 世に名高い勇者パーティである。
 物音に驚いた拠点の人々も集まって来た。
 不安気に、あるいは興味津々に、物陰からルクス、フィア、サージェの賑やかな会話を眺めている。

「えーと……貴女方も、助けに来てくださったブリンガーの方、なのでしょうか?」

 先程とは異なる意味の汗を流しつつ、グスタフが声をかける。
 突然黒幕呼ばわりされたことはさておくようだ。

「はい! よくわからない相手ですが、借金取りでないことが解っているだけでも大丈夫です!
 さ、師匠! マグロ食べ放題のためにも、ここは大人しく気に入られに行きましょう!」
「うむ、スシ! それも回ってないやつ! 食べ放題とあれば行くしかあるまい! なので来た!
 よかろう、ならば協力してやろう! ここで騒ぎを起こしてスシが食えなくなるのも困るしな」
「いやー、久しぶりに声がかかって何事かと。最近のパーティメンバーはメイドさんばっかりでしたからねー。
 このクノイチを呼び出したからにはよほどの大事……え、スシ? スシって言った?」

 予知によると襲撃してくるオブリビオンはスシだが、正確には機械で作られたスシ型オブリビオンである。
 よほどのフードファイターか、機械を食べれる種族でなければ食べるのは難しいのだが……。
 勇者パーティの三人は聞きそびれていたようだ。
 ついでに言うと勢いよく回転もする。
 スシ、スシ、と楽しそうに語る三人を見て、住民たちの警戒心は和らいだ。
 何人かの子どもが、顔を伸ばしてやり取りを見つめて、笑っている。

「スシかー。ところでスシが攻めてくるの、ホント?」
「そうらしいよ、ラブリーさん」
「そーか、バルたんテキトー言ってないなんな? みんなはどー思う?」

 ラブリーはルクス、フィア、サージェにも問いかける。

「うむ! 我らは新鮮なスシをゲットするのだ! そのためにここに来たと言えよう!
 我は魔法を使うと腹が減るゆえ、食にはうるさいぞ!」
「そうですよ師匠、最近しっかり食べられてなかったんですから。
 たまにはちゃんと食べないと、いいかげんえぐれますよ?
 わたしたちは水遁の術で胸だけ浮いてる忍者と違うんですから」
「まぁ、ぺたん魔女の魔力切れは深刻なエラーになりかねませんし。
 食料は多い方が……はい? そこの勇者なんて言いました?」
「あ、いえいえ。浮き袋いいなーって思っただけですよ。
 非常食でお呼びしたわけではないですから!」
「この忍者になんてことを! いいですか、そもそも胸だけ浮いてるとか忍べてなさすぎでしょ?!
 私忍べてますから! ……え? できてますよね? ね? 誰か何か言ってよ、ねぇ! あ、ひりょさんこんにちは!」

 世に名高い勇者パーティである。(三回目)
 姦しく騒ぐ三人の答えも聞き、ラブリーはグスタフにも問いかける。

「ぐふタスは? どー思う? スシは食べ物か?」
「スシですか。見たことはありませんが、食べ物としてなら聞いたことはあります。
 何でも、新鮮な魚をスライスして、ライスに載せて食べる料理だとか」

「そーか、スシは居るんか。じゃースシは居るんだな」

 らぶね、と。ラブリーが語る。
 ひりょとグスタフは、静かに耳を傾ける。漫才をしていた勇者パーティも静かになる。

「セカイが平和になったらスシ食べて見るのもいーかもなんって思った。
 らぶのユメリストに追加したぞ」

 ラブリーはビッグマザーを取り出して、起動する。
 オフライン非通信端末『ビッグマザー』。ラブリーの友達で、仲間だ。

「みんなのユメってなんなんな? よかったら、らぶとマザーに聞かせて?」
「【カメラを起動しました】」

「……私の夢は、子どもたちが健やかに。元気に過ごせる世界が戻ってくることです」

 グスタフは笑顔を浮かべる。

「いつか。命の危険を、食事の心配をしなくてもよい世界が戻ってくれば良いな、と」
「いい夢だと思いますよ、グスタフさん」
「ね。らぶもいーって思った。そしたら食べよ、スシ」

 グスタフの語る夢に、ひりょとラブリーは笑いかける。

「夢かー。わたしの夢。うん……」
「夢か……。……。……モゲロ」
「ぎゃー!? ナンデ追っかけてくるの! 狙わないでー?!」

 自分の夢を思い描くルクスとフィア。
 そしてニンジャだニンジャ! と興奮した子どもたちに見つかり、追いかけ回されるサージェにも、きっと夢はあるのだろう。
 レイダーの襲撃を前にしているというのに、もうこの場に怯えて振るえる人はいなくなっていた。
 猟兵たちのおかげで誰もが笑顔を浮かべており、緊迫感など消し飛んでしまっていた。
 作戦会議こそ進まなかったが、ほどよく緊張が解れ、明るい空気が流れている。

「らぶね。みんなの夢、守りたいな。守るね?」
「うん。守ろう」
「【がんばってください】」

 ラブリーとひりょは、この場所を守ろうという決意を固めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『マグロ・スシ』

POW   :    スシ皿・チャクラム
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【スシ皿・チャクラム】で包囲攻撃する。
SPD   :    変幻自在・ムラサキビーム
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【回転】を利用して【スシ皿】から【変幻自在の醤油ビーム】を放つ。
WIZ   :    呪われしマグロ・スシ
【殺戮捕食・上トロ形態】に変形し、自身の【捕食した有機物・無機物】を代償に、自身の【戦闘力】を強化する。

イラスト:タタラ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章。

 教会を見下ろす山の上に現れる無数の陰。
 教会を標的と定めたヴォーテックス一族の命令を受けた略奪者(レイダー)たちだ。
 皿に載ったマグロ・スシたちが今か今かと、静かに呻き声を上げている。
 ここから一気呵成に滑り降り、文字通り飛びながら襲撃を仕掛けるために。

「スシ、スシ、スシ」「トーロ、トロトロトロ」「マグロ、マッグーロ、マグマグロ」
「……」

 人外の鳴き声を上げる略奪者の集団を率いるのは、巨大なライフルを担いだ人型のオブリビオン。
 指揮官仕様のネギトロ・軍艦スシに腰を下ろし、人狩りの任務を遂行するためにマグロ・スシたちの陣形を整えさせていた。
 騒々しい部下たちとは違い、静かに標的を指し示す。

「標的、確認。襲撃開始」
「マグロォー!」「トロォーッ!」「スッシッシーッ!」

 ボスの命を受けたマグロ・スシの軍勢が、一斉に飛び上がる。
 意気揚々と回転しながら、あるいはスシ皿・チャクラムを纏わせながら、高速機動で山を滑走していくスシたち。
 それを見送り、スシを率いるスナイパーは無言でライフルを構えた。

 淡々と、任務を遂行するために。スコープの奥に見える教会に照準を合わせた。
城田・紗希
なるほど、寿司が襲ってくるんだね!(全て理解した、って顔)
……寿司が襲ってくる、ってどういう事?(1厘も理解してなかった)

まぁ意思疎通が無理でも、意識があるなら戦える!という訳でデュエル!!
暗黙のルールで、場外乱闘とか場外からの支援は禁止されてるから、たぶん会場全体が弾除けになるはず!
という訳で、漁師と猟師を召喚!装備魔法「伝説の銛」「使い慣れた猟銃」を発動!
プレイヤーにダイレクトアタックだー!
次の相手はどいつだー!!

……なんで寿司とデュエルしてるの?(自分で発動して忘れてる)



●デュエリストブレイド開幕の宣言をしろ!

「デュエル!」

 突如、山の斜面を滑り降りるマグロ・スシの前に、カードの雨が降り注いだ。
 戦場全体がデュエリストブレイド会場と同じ環境に変化する。
 戸惑うスシたちであったが、数体は状況を把握し、皿を止める。

「なるほど、寿司が襲ってくるんだね」

 スシの前に立ちふさがったのは、一人の猟兵。
 鎌倉生まれ(らしい)の修行者(という噂の)、城田・紗希(人間の探索者・f01927)だ。
 彼女はすべてを理解したような顔で、

「……寿司が襲ってくる、ってどういう事?」

 何も理解していなかった。
 だが頭で理解していなくとも、スシの襲撃を防ぐためにデュエリストブレイド会場を展開していた。

「まぁ意思疎通が無理でも、意識があるなら戦える! という訳でデュエル!!」

 デッキを取り出し、構える紗希。
 それを見て、狼狽する多数のスシとは異なる、有数のデュエリストブレイドであるスシたちが前に出る。

「スシ。スシスシ(よかろう。私が相手になってやろう)」
「何言ってるかわからないけど、私のターンドロー!」

 合意の上でデュエリストブレイドが開始された。
 こうなっては、暗黙のルールにより場外乱闘も場外からの支援も禁止される。
 スナイパーの狙撃はデュエリストブレイド会場を覆うオーラに妨げられ、紗希に届くことはない。

 おずおずと迂回して立ち去るスシの群れを他所に、紗希とデュエリストブレイド・マグロ・スシの戦いは佳境を迎える。

「マグロ! マグロマグロ!(ターンエンド! はっはっは、私の『デストロイエンペラーサーモン』の攻撃力は4800!)
 トーロトロトロ?(これを上回るモンスターを出せるかな?)」
「フッ。マグロの分際でサーモンデッキとは見下げ果てたスシめ!
 これで決める! 私は『漁師』と『猟師』を連続召喚!
 そして、装備魔法『伝説の銛』と『使い慣れた猟銃』を発動させる!」
「マッ!?(なんだと!?)」
「強いモンスターを倒す必要なんかないね! プレイヤーにダイレクトアタックだー!」

 紗希の漁師と猟師が、サーモンを無視してマグロを穿つ。
 銛に貫かれ猟銃に撃たれたデュエリストブレイド・マグロ・スシは、静かに活動を停止する。
 負けたのだ。

「私の勝ちだー! さあ、次の相手はどいつだー!!」
「スッシッシ(フッ。奴は我らデュエリストブレイド・マグロ・スシの中でも最弱。試金石に過ぎぬ)」
「マッグマグマグ(おもしれぇ。俺のアンバージャックデッキで叩き潰してやるぜ)」
「トロ(お前それハマチじゃねぇか)」

 ほとんどのマグロ・スシは取り逃がしたものの、数少ない知性派であるマグロ・スシを封じ込めることに成功した紗希。
 紗希のデュエルは、これからも続くだろう。全てのデュエリストブレイド・マグロ・スシを討ち果たすまで!

「……なんで寿司とデュエルしてるの?」

 それは誰にも答えられない。

成功 🔵​🔵​🔴​

ダンテ・ホーンテッド
【彷徨い兄弟】
は?寿司…?!
ここはZ級映画の世界か何かか?

一昨日ジークムントとツッコミ入れながら視聴した
「シャークギャングVS宇宙スシ職人」思い出すなー。
低予算か内容はチープで演出はアレで役者も棒演技で逆に笑えたが。

ってあぶねーな!狙撃手が遠くからマジで狙ってるのかよ…
だがまずは狙撃に警戒しつつスシ集団をどうにかしないとな。
集団戦なら得意だぜ!
UCを使い電撃で狙撃を防御しスシを一網打尽にするが
やべー電撃の色が赤がマグロ、緑がワサビに見えてきた…

狙撃の矛先がジークムントに向かうが
体にはえる黒い宝石を盾状にして左腕で防ぐ。
右利きなので戦闘不能を免れるが左腕を負傷。

狙撃手マジ許さん。ぜってー倒す。


ジークムント・ホーンテッド
【彷徨い兄弟】
兄さんと観た「シャークギャングVS宇宙スシ職人」も
レビュー通り酷くて逆に笑えたけど
荒廃した世紀末の世界に人を襲うスシ集団…情報過多過ぎない?

援護は任せて!狙撃手の攻撃は僕のチャクラムで防ぐから
兄さんはスシを倒すのに集中して。

皿をチャクラムみたいに飛ばす…その発想も面白いけど
僕と精霊のチャクラムとスシのチャクラムどっちが強いかな?

2つのチャクラムが激しくぶつかり合うが結果はジークムントの勝ち。
スシは一刀両断される。

狙撃手はジークムントがダンテより厄介と判断し狙いだすが
ジークムントに向けた一撃はダンテに防がれる。

兄さんその左腕…僕の為に…
スシ集団を片付けてからUCで治療するからね…



●雷風のホーンテッド兄弟

 マグロ・スシの群勢が、山を飛び降りてくる。
 気をよくしているのか、回転しながら醤油ビームを空に向けて威嚇放射するスシまでいる様子だ。

「は……? 寿司……?! ここはZ級映画の世界か何かか?」
「一昨日観た映画を思い出すね、兄さん」

 その様子を、ダンテ・ホーンテッド(黒い幻雷と紫水晶・f23827)と
 ジークムント・ホーンテッド(車椅子の女無天色疾風は吹きすさび・f34164)の、
 彷徨い兄弟が見上げていた。

 身体中に様々な種類の黒い宝石を生やしたファントムアメジスト型クリスタリアンと、
 温厚で女性のような服装をした特製車椅子に座るブラックタールの兄弟は、
 山の中腹にてオブリビオンの襲撃を待ち構えていた。
 ライダースジャケットを羽織るダンテと紺色のセーラーワンピースに身を包んだジークムントは、眼前の脅威に臆することなく談笑を続ける。

「あー、『シャークギャング VS 宇宙スシ職人』なー。
 低予算かつ内容はチープで、演出はアレで役者も棒演技で逆に笑えたが」
「レビュー通り酷くて逆に笑えたけど。
 ……荒廃した世紀末の世界に人を襲うスシ集団……情報過多過ぎない?」

 ジークムントの言葉に頷き同意するダンテ。
 異形のオブリビオンたちは、眼前に立ちふさがる猟兵の兄弟に気づき、向かって来る。
 スシたちが攻撃態勢を取るのと同時に、山頂に控えるスナイパーがダンテに銃弾を放つ。

「ってあぶねーな! 狙撃手が遠くからマジで狙ってるのかよ!」

 ダンテは慌てて飛び退り、直撃を避ける。
 地面を抉る弾痕を見て、ダンテは直撃すればただでは済まないと判断する。

「だが、まずは狙撃に警戒しつつスシ集団をどうにかしないとな。集団戦なら得意だぜ!」
「援護は任せて! 狙撃手の攻撃は僕のチャクラムで防ぐから、兄さんはスシを倒すのに集中して」
「おう!」

 ダンテは、自身の誇る膨大な魔力を放出して、電を作り出す。
 身体に生える黒い宝石から、戦場全体に敵味方を識別する赤と緑の雷を放つ。

「雷鳴よ靂よ……我が赤と緑で鮮烈に塗り潰せ!!」

 《雷撃石色の霹靂(トルマリントネール)》。
 荒れ狂う電撃の嵐が、飛翔するスシたちを貫いていく。
 スシたちは、機械型オブリビオンである。
 通電対策は当然してあるが、ダンテの電撃を防げるほどの防御力は有しておらず、次々に機能を停止し、爆発していく。

 死に際に放つ苦し紛れの醤油ビームは、霹靂に防がれダンテに届くことはなかった。
 しかし、醬油ビームを露払いにしたのか、雷の合間を縫ってスナイパーの狙撃がダンテに向けて放たれる。
 回避は間に合わない。

「僕のチャクラムと風の精霊達から逃れられる?」

 それを防いだのは、ジークムントの風のチャクラムだ。
 精霊達の魔力が込められたチャクラムは、幾何学模様を描き複雑に飛翔して、ダンテの周りを護っていた。
 10本、20本とチャクラムが重なり、弾道を逸らしてダンテの身を守る。

 《孔雀石色の装飾模様(ピーコック・アズキュプコラ)》。
 殺戮捕食・上トロ形態に変形して、電撃を強行突破してきた残り僅かなスシたちも、
 ジークムントの放つ800本を超えるチャクラムの群れに阻まれ、その皿ごと一刀両断されていった。

「よーし、一網打尽だぜ! ……やべー。電撃の色が、赤がマグロ、緑がワサビに見えてきた」
「こっちに向かってきたスシは、これで全滅だね」

 マグロ・スシを壊滅し、一瞬だけ気を緩めた瞬間。
 ダンテを護ることに意識を集中させてチャクラムを展開していたジークムントに、スナイパーの弾丸が飛来した。

「えっ」
「あぶねぇジーク!」

 間一髪、左腕を伸ばしたダンテがその狙撃を弾く。
 咄嗟に腕の表面に生える黒い宝石を盾のように変化させて硬質化させたが、衝撃を受け止めきれず妙な向きに曲がっている。

「兄さん!」
「無事か、ジーク! よし、無事だな! ならよし!
 狙撃手マジ許さん! ぜってー倒すぞ!」

 空元気に振舞い狙撃に警戒するダンテを見て、ジークムントはこみ上がる感情を抑え、つぶやく。

「僕の為に……。兄さん、落ち着いたら、すぐに治療するからね……」
「ん? ……ああ、頼りにしてるぜ!」

 改めて決意を固め、狙撃に再来に注意を払いつつ、ダンテとジークムントは山を登り始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

…やはりスシの大群って、なかなかシュールだよなぁ…
今回は食べれない奴ららしいから遠慮する必要はなさそうだ

ただ、話によればこいつらを率いているスナイパーがいるらしいって事
大立ち回りをしている間に狙撃される恐れは十分あるよね、要警戒だ

UC『絶対死守の誓い』を発動し教会を守るように迎撃する
ここから先へは行かせない!
俺の周囲は闇の波動でこちらへ危害を加えようとする存在には牙をむく
それがスシであろうと狙撃手の銃弾であろうと
闇の波動でダメージを与えたスシを【破魔】付与した刀による【貫通攻撃】で一刀両断する

光の波動で万一戦闘や狙撃で負傷した人が居ても回復出来るから、皆で戦い抜こう!


ラブリー・ラビットクロー
来たぞマザー
スシが廻る前に作戦開始だ
【六翼を展開します】
スシは廻らないほーがいーって本で読んだ事あるぞ
らぶがほんとーのスシのニギリ方を見せてやるなんな

ラビットギアに載せてたワイヤーを持って空を飛んだらスシのお皿に取り付くぞ
新鮮なスシみっけ
ぐるぐる巻きにして回転さえ止めればビームも怖くねーのん
ついでにらぶがいー事したげる
これね
アウトローサインのスプレー缶
ユメかわオスシに早変わりなんな!
【10時方向より発火炎を確認。姿勢を低くしましょう】
スナイパー?
それならこのままスシを盾しちゃえ
スシが壊れたら別のお皿へ出発だ
まだまだワイヤーあるし
まだまだスプレーもあるぞ
らぶがみんなのユメを空一杯に描いてあげる



●光闇と嵐刃。

 これまでの猟兵たちに多くの数を削られながら、残存するマグロ・スシたちは教会を目指していた。
 ボスの命令を遂行するために、愚直に突き進むスシたち。
 教会の目前としたスシたちの前に、立ちふさがる人影があった。

「来たぞマザー。スシが廻る前に作戦開始だ」
「【六翼を展開します】」
「……やはりスシの大群って、なかなかシュールだよなぁ……」

 ラブリーとビッグマザー、そしてひりょは教会の前で待ち構えていた。
 ラブリーは背中から翼状の偽神兵器を生やし、ひりょは仕込み杖と精霊の加護を付与した護符を手にしていた。

「今回は食べれない奴ららしいから遠慮する必要はなさそうだ」
「スシは廻らないほーがいーって本で読んだ事あるぞ。
 らぶがほんとーのスシのニギリ方を見せてやるなんな」
「【寿司の握り方を検索しますか?】」
「いらない」

 拠点を守る最後の砦として、ラブリー、マザー、ひりょは行動を開始する。
 誰よりも先に動いたのは、ラブリーだ。

「新鮮なスシみっけ」

 ラブリーは自身の所有する一人乗り小型戦車、ラビットギアに載せていたワイヤーを持って、飛び上がる。
 背中から生える偽神兵器【天使の六翼】は服の繊維と融合するため、衣類を破ることはない。
 神々しい翼を巨大化させて広げながら、飛翔するスシたちにワイヤーを投げつけていく。
 ラブリーの半径102m以内に取り込まれたスシたちは、逃亡することもできずに捕らわれていく。

「これが、巻きスシだー」

 ぐるぐるとワイヤーを巻かれたスシは次々に絡まって、密着させられ、回転を停止させられる。
 変幻自在の醤油ビームはスシの回転を使用してスシ皿から放たれるものだ。
 回転を止められては、放つことはできない。

「ついでに、らぶがいー事したげる。これね」
「マ、マグロッ!?」「トロォ!?」

 ラブリーが取り出したのは、アウトローサインのスプレー缶だ。
 何ということでしょう。マグロ・スシは見事なユメかわオスシに早変わりしました。
 身動きを取れず、抵抗することもできないスシたちの上で、ラブリーは機嫌よくペイントをしていく。

「かわいーでしょ?」

 一方で、ひりょもまた戦っていた。

「ここから先へは行かせない! 光と闇の疑似精霊、力を貸してくれ!」

 光と闇の疑似精霊に力を借りた波動が周囲に広がっていく。
 ひりょの周囲112m半径の中にいる対象に、闇の波動によるダメージか、
 光の波動による治癒を与え続けることができる、《絶対死守の誓い》の力だ。

「マ、グロォ……!」「トロォ……!」

 闇の疑似精霊の放つ波動は、ひりょやひりょが味方だと思っている人へ危害を加えようとする存在に牙を向く。
 ラブリーに拘束された空を飛ぶスシたちはじわじわと損耗していき、
 殺戮捕食・上トロ形態と化して地上を進んでいたスシは闇の波動で勢いが弱まっていった。
 動きが鈍ったスシたちを、ひりょは仕込み杖タイプの携帯型破魔刀によって破壊していく。
 ラブリーとひりょの攻撃範囲をギリギリに見極めた、見事な対空・対地攻撃の連携であった。

「よし。十分やれるな。
 ただ、話によればこいつらを率いているスナイパーがいるらしいし……」

 そうひりょが呟いた時。山頂からスナイパーが狙撃を行った。
 標的は、ラブリーだ。

「【10時方向より発火炎を確認。姿勢を低くしましょう】」
「スナイパー?」

 マザーの警告から間もなくして、飛来する弾丸が迫る。
 闇の波動に阻まれながらも、まっすぐにラブリーに向かって行く。
 だが、波動に阻まれた僅かな間を利用して、ラブリーはワイヤーを引いて、スシの陰に隠れる。
 引っ張られたスシはスナイパーの銃弾の直撃を受け、機能を停止する。

「スシが壊れたか。なら別のお皿へ出発だ」

 両手いっぱいのワイヤーとスプレーを持って、軽やかに空中を飛ぶラブリー。
 次の狙撃に備えて、次なるスシを巻き上げる。
 その様子を見て、ひりょは安心の息を吐く。

「ふう。
 大立ち回りをしている間に狙撃されるかもって警戒していてよかった。
 銃撃を防ぎきれなくても、勢いは抑えられる」

 空を駆けるスシは、ラブリーがワイヤーとスプレーで無力化し、破壊する。
 地上を走るスシは、ひりょが破魔の力を付与した刀によって貫き、一刀両断する。
 スナイパーの狙撃も、闇の波動で威力を削減されて、スシの盾とひりょの刀に受け払わられる。
 盤石の態勢だ。
 もはや、襲撃を仕掛けてきたスシたちは為すすべなく、全滅するしかなかった。

「怪我をしたら教えて! すぐに回復できるから!」
「大丈夫ー! らぶは無傷なん!」

 教会の中から姿を見せないものの、子どもたちの歓声が上がる。
 猟兵たちの活躍によって、レイダーの襲撃は未然に防ぐことができたのだ。
 残る敵は、ただ一騎。

「ここはもう大丈夫そうだ。あとは狙撃手だけか。皆で戦い抜こう!」
「おっけー。らぶがみんなのユメを空一杯に描いてあげる」

 スシを率いるスナイパーとの、決戦が始まる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『🌗『落陽の奪還者』クラリーベル』

POW   :    世界を切り裂く暗黒の弾丸
【アンチマテリアルライフルの銃口】を向けた対象に、【オブリビオン・ストームの弾丸】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    「標的確認。排除」
【射程距離圏内にいる敵の所在を確認すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞬時】に【アンチマテリアルライフル】で攻撃する。
WIZ   :    其は、魔弾の如し
レベル分の1秒で【命中率が高い】【アンチマテリアルライフル】を発射できる。

イラスト:鑼木ユラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠バルタン・ノーヴェです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章。

「…………」

 レイダーたちを統率していたスナイパーは、スコープの向こうにいる猟兵たちを静かに見つめている。
 引き連れて来たマグロ・スシは全て破壊され、座っているネギトロ・軍艦スシは移動用のため何の戦闘力も有していない。
 事ここに至っては、命令を完遂することは叶わないだろう。

「…………」

 にもかかわらず、スナイパーは攻撃の構えを解こうとしない。
 自棄を起こしている訳でも、一人でも多く道連れにと気負っている訳でもない。
 部下が壊滅したことに対する感情もなく、撤退するという保身も考えず、
 この期に及んでなお、ただ命令を遂行するために、障害となる猟兵たちを排除しようとしている。

「標的確認。排除」

 人狩りに従事する冷酷な殺戮人形クラリーベルは、淡々と攻撃を開始した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ※第三章の状況確認です。
  遠隔攻撃を行うスナイパー、クラリーベルとの戦闘となります。
  山中に身を隠して、かなり距離が離れているところから狙撃してくる相手です。

  移動手段を用意して、スナイパーを攻撃可能な距離まで近づいてください。
  移動せずとも遠くにいるスナイパーを攻撃できる手段があれば、そちらを活用していただいても構いません。

  プレイングボーナスは『スナイパーに接近して攻撃する』あるいは『スナイパーに遠距離から攻撃する』です。

  皆様、よろしくお願いいたします。
城田・紗希
貴様が犯人かー!(ブチギレウィザード)
なんか餓鬼が先導してくれるから、それを頼りにここまで来たよ!
それはそれとして、あの寿司、どれも食べられないじゃない!!(食べようとした)

食べられない寿司なんて寿司じゃなーい!
私に食用の寿司をよこせー!!

斬撃は勘で回避しつつ、紅時雨で斬りつけるよ!
ゼロ秒射撃の連射だろうと、銃口が向いた方向を頼りに、あと本能で避けるよ!
これが!私の!寿司の恨みだー!!


ラブリー・ラビットクロー
さっきかららぶ達の事バンバンと
遠くから自分ばっかりズル過ぎなん
きっとそーやって今までヒトを虐めて来たんだな
行くぞマザー
あいつがやって来た事後悔させてやるんだ
【スコープの反射光と熱反応から対象の潜伏場所を割出しました。ルート案内を開始します】

敵の近くまではラビットギアで行こう
でも近くまで来たらマシンから降りて忍び足
ついでにラビットブレスでモクモク煙幕出して視えなくしちゃえ

視えない所から襲われるのって恐いでしょ?
でも許してやんねーのん
ラビットファングをぎゅんぎゅん鳴らして脅しちゃう
でもそれは囮
本当のらぶはバットで後ろから襲撃だ

ごめんなさいが聞こえねーのん!
【目的地に到着しました。お疲れ様でした】


鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

どうやら狙撃者は猟兵に狙いを定めてくれたみたいだな
ここからは俺達猟兵が攻める番だ

【迷彩】を自身に施し【目立たない】ようにし敵の潜伏する山中へ侵入
救急箱の中から包帯を取り出し、包帯で式神とする媒体を作成
【式神使い】の力で媒体を操り周囲を【索敵】
式神の役割は索敵もだけど、敵にわざと攻撃させてその位置を特定する意味合いもある

位置を特定したら【忍び足】で近付き一気に接近戦へ
ただ初撃はもらうかもしれない
だが撃たれる事がわかっていれば対処は出来る
【オーラ防御】で身を固めつつ【ダッシュ】で間合いを詰める
ダメージ受けてもUC『黄昏の翼』で負傷した分を力に変えつつ自己回復!
刀で一刀両断する!


ダンテ・ホーンテッド
【彷徨い兄弟】


ジークムントを狙ってきやがったから
スナイパーに一撃は仕返ししねーと気が収まらねえ!

怒りながらもUCで帯電し
山を登りながら狙撃手の弾を回避しつつ方向と場所を割り当てる。

狙撃の方向を頼りに進むと遠くだがスナイパーを目視。

筆箱から弾丸のような形と大きさの充電済みの黒い宝石を取り出して手を銃のようにして構えて
UCを使い琥珀色の電気を帯びた黒い宝石の弾丸を撃ちながら距離を縮める。

銃撃を避けたり物影に隠れたり電撃で防御しながらスナイパーに接近。

至近距離の銃撃をギリギリ電撃で受け流して
スナイパーの頬と鳩尾に電撃を込めた拳で容赦なくぶん殴り
怯んだ隙に黒い宝石の弾丸をぶち込む。


ジークムント・ホーンテッド
【彷徨い兄弟】


ダンテの左腕をUCで治癒した後にスナイパーを討つべく
気遣われながらも共に山を登る。

銃撃がくる方向や風の精霊達が風や空気の流れから収集した情報を元にスナイパーが目視出来るところまで接近。

ダンテがジークムントに当たらないようにしながらも
回避したり物影でやり過ごしたり電撃で防御するものの、
真正面からスナイパーに接近するので銃撃が掠って負傷するので
風の精霊の加護を纏いダンテを追ってその都度UCで破れた服ごと治癒する。

ダンテに追いついた時には激昂しながらスナイパーを電撃を込めた拳で殴ってる所だった。

ほんと昔から兄さんは僕に危害を加える者にはいつも容赦しないなぁ…
と思いながら傍観する。



● VS スナイパー、フェイズ1

「あの寿司、どれも食べられないじゃない!!」

 城田紗希はブチギレした。
 必ずや、邪悪なオブリビオンをぶっとばすと決意した。
 紗希は倒したマグロ・スシを食べようとした。
 だが、マグロ・スシは機械なので食べられなかった。
 元凶であるクラリーベルに怒りの矛先が向かうのは当然のことだった。

「食べられない寿司なんて寿司じゃなーい!
 私に食用の寿司をよこせー!!」
「「「オー!」」」

 紗希に同調しているのは、どこからともなく現れた102体の餓鬼である。
 寿司を食べられなかった恨み、食べられる寿司を用意されていなかった怒りが、餓鬼を呼び集めたのだ。
 どういうこと?

「よくもジークを狙ってきやがったな!
 あのスナイパーに一撃は仕返ししねーと気が収まらねえ!」
「ほんと昔から兄さんは僕に危害を加える者にはいつも容赦しないなぁ……」

 ダンテとジークムントのホーンテッド兄弟もまた、スナイパーを討つ用意をしていた。
 ジークムントが風の精霊たちの力を借りて、癒しの魔力によってキラキラした涼しく心地よい風を発生させている。
 ジークムントから88m以内にいる味方は、その《翡翠色の癒し風(ジェイド・ヴェール)》に触れることで、負傷を回復できるのだ。
 先程ダンテが受けた腕の傷も、すでに完治していた。

「どうやら狙撃者は猟兵に狙いを定めてくれたみたいだな。
 ここからは俺達猟兵が攻める番だ」
「さっきかららぶ達の事バンバンと、遠くから自分ばっかりズル過ぎなん。
 きっとそーやって今までヒトを虐めて来たんだな」

 ひりょとラブリーも、山を登り合流を果たした。
 二人とも、卑劣な狙撃手に対する憤りを抱え戦意は十分に満ちていた。

 配下のオブリビオンが壊滅して、残る敵は一人。
 教会の警護に人員を割く必要がなくなったことで、ボスに全戦力を集中させることができる。
 五人の猟兵たちは作戦を話し合った後、息を合わせて動き出した。

● VS スナイパー、フェイズ2

 まずまっすぐ山に向けて駆けだしたのは、紗希と餓鬼の集団だ。

「寿司ー!!」「スーシッ! スーシッ!」「寿司よこせー!」

 小細工なしに山を登ってくる餓鬼の集団を、クラリーベルは冷徹に撃ち抜いていく。
 一秒未満で発射される命中率が高いアンチマテリアルライフルは、次から次へと餓鬼を吹き飛ばしていく。
 そして、その魔弾が紗希にも放たれた。

「知るかー! 当たるかー!」

 紗希は、第六感で狙撃を回避するという力技で押し通っていく。
 時折、近くにいる餓鬼が犠牲になるのは、コラテラルダメージというものだろう。

 正面から突撃する紗希は、見事な陽動の役目を果たしていた。
 雄叫びを上げる餓鬼たちに紛れ、ダンテとジークムントも山を登っている。
 ダンテは、ジークムントが風の精霊たちから得た風や空気の流れと、
 吹き飛んでいく餓鬼の向きからクラリーベルのいる方角と場所を割り出していく。

「ふーん。なるほどな。スナイパーの奴、撃ってすぐ移動してやがる」
「それなら、作戦を少し変えて、移動している方に回り込めばいいのかな?」
「ああ。ひりょとラブリーに連絡してくれ。
 俺たちは予定通り、このまま紗希や餓鬼たちと一緒に行こう」
「うん、わかった」

 餓鬼たちに守られて狙撃をやり過ごしながら、ジークムントはひりょとラブリーに情報を伝達する。
 文明の利器、スマートフォンを用いて。

● VS スナイパー、フェイズ3

「【スコープの反射光と熱反応から対象の潜伏場所を割出しました。ルート案内を開始します】」
「行くぞマザー。あいつがやって来た事後悔させてやるんだ」

 ラブリーは一人乗り小型戦車『ラビットギア』に乗り、勢いよく山の斜面を駆け出した。
 ジークムントからの連絡を受け、『ビッグマザー』の《サポートアプリ【ふぁんとみぃ】(ファントムステップ)》を起動してナビゲートを受けている。
 ビッグマザーのバッテリー残量を代償にするものの、ビッグマザーの指示に従うことで適切な行動を可能とする。
 ビッグマザーの案内によって、ラブリーは道の無い荒れ果てた山道を警戒に走り抜けることができるのだ。

「そろそろ、気づかれるかも。降りていこ」

 的確なナビゲートを受けて回り込んだことで、ラブリーはクラリーベルを先回りすることはできた。
 しかし紗希と餓鬼たちが騒いでいるとはいえ、車両のエンジン音は決して小さいものではない。
 物陰にラビットギアを駐車させて、残りの距離を静かに歩き、クラリーベルが近づいてくる稜線の機先を制する。

「よし、着いたのん」

 ラブリーは、火炎放射器『ラビットブレス』を取り出した。
 中身を交換することで火炎以外にも様々な物を放射することができる優れた代物だ。
 煙幕もまた、その一つ。
 モクモクとした煙幕がラブリーの手によって噴出させる。
 クラリーベルは突然発生した煙に行く手を阻まれ、移動を遮られることとなった。

 ひりょは、情報提供を受けた後はラビットギアに乗らず、ラブリーと別行動を取っていた。
 目立たないように迷彩を施して、気づかれないように静かに山を上っていた。
 同時に、救急箱の中か包帯を取り出して式神を作成し、ジークムントから聞いた情報を基に索敵を行っている。

「式神が見つかっても、撃ち落とされれば敵の位置がわかる。損はないね」

 幸い、式神は撃ち落とされることなくクラリーベルを発見した。
 ラブリーの出している煙幕に逃げ道を閉ざされ、紗希たちに追いつかれようとしていた。
 そして、クラリーベルがネギトロ・軍艦スシに座り、射撃姿勢のまま移動を可能にしていることを、ひりょは知った。

「まだ、スシがあったのか……。でも、絡繰りがわかったのなら、対処はできる」

 ひりょはスマートフォンを持っていないが、式神がある。
 ラブリー、紗希、ダンテとジークムントに情報を伝え、作戦の決行を促した。
 紗希は、まだ寿司が残っていることに怒りを増幅させていた。

● VS スナイパー、フェイズ4

「よし、スナイパー発見っと!
 遠距離も遠近法もちぃとコツがいるんだよな……」

 紗希と餓鬼たちを狙撃しているクラリーベルを発見して、ダンテは棺桶型の筆箱から黒い宝石を取り出す。
 ダンテの身体を覆うように生えている、魔力を多く含んだ様々な種類の宝石だ。
 その中でも弾丸のような形状と大きさ石を選び、手を銃のようにして構えて石を持つ。

「こいつはすでに充電済みだぜ!」

 ダンテ自身の帯電と、黒い宝石の欠片への充電が為されている時に使える、ダンテのユーベルコード。
 《琥珀糖色の弾丸(アンバーシュガーパラベラムバレット)》だ。
 琥珀色の電撃を込めた宝石の弾丸が、クラリーベルに向けて放たれる。

 クラリーベルはダンテの攻撃を認識した瞬間、瞬時にアンチマテリアルライフルを向けて弾丸を放った。
 二人の弾丸が、空中でぶつかり合い大きく音を立て、どちらとも砕け散った。
 ダンテとクラリーベルの弾丸は、互いに拮抗した威力を有していた。

「ハッ。いいぜ、こっちに集中してくれるなら! 存分に撃ち合おうか!」

 ダンテは二発、三発と《琥珀糖色の弾丸》を続けて放つ。
 クラリーベルが迎撃のために、ダンテに向けて発砲することを強いられる。
 そうした応酬の最中、狙撃を受けなくなった紗希と餓鬼たちは勢いを増して駆け上る。
 その中には、クラリーベルに撃ち抜かれたはずの餓鬼もいた。

「うぅ……お寿司……」
「大丈夫、安心して。兄さんも、君たちも、僕が治療するからね」
「……治った! あざっす!」

 風の聖霊の加護を纏ったジークムントが、狙撃を受けた餓鬼たちをすぐに治療を施していたのだ。
 致命傷を癒された餓鬼たちはすぐに立ち上がり、ジークムントに謝意を向けてから再行動して群れに戻っていく。
 そう。この段階に至って、誰も脱落していないのである。

 クラリーベルがダンテに攻撃をしている間に、ついに紗希と餓鬼たちがクラリーベルを視界に収めた。

「貴様が犯人かー!」
「……!」

 焔が燃えるように赤い瞳を滾らせて、紗希は愛刀『紅時雨』を抜き放ち、斬りかかる。
 クラリーベルはネギトロ・軍艦スシから飛び降りて、斬撃を避ける。
 ネギトロ・軍艦スシは、紅時雨によって両断された。

「これもか! これも食べられない寿司か! 寿司じゃないこんなものー!!」

 紗希の怒りは頂点に達していた。
 伴う餓鬼たちの怨みゲージも限界を超えていた。
 雪崩れ込む餓鬼の群れと、その中にいるダンテとジークムントのホーンテッド兄弟。
 多勢に無勢と判断したのか、クラリーベルは猟兵たちを振り切るためにラブリーの張った煙幕の中へと飛び込んでいく。
 それが、作戦通りであると気づかずに。

● VS スナイパー、フェイズ5

 前後不覚となり、足元しか見えない煙の中を、アンチマテリアルライフルを抱えたクラリーベルが小走りに抜けていく。
 おっかなびっくりな有様を、『ガスマスク』を装備して待ち伏せていたラブリーが見つめていた。
 クラリーベルが目の前を通り過ぎた瞬間、ラブリーはラビットファングを勢いよく起動する。
 『ラビットファングアンドハッピーチェーンソーエッジ』。
 すなわちチェーンソー剣である。

「視えない所から襲われるのって恐いでしょ?」

 突然鳴り響いた爆音に向き直るクラリーベルだが、煙幕の中にいるためラブリーの姿を見ることができない。
 一方で、ラブリーにはクラリーベルがアンチマテリアルライフルを構える様子が良く見えていた。
 一拍の間の後、クラリーベルは苦し紛れの奥の手を放つ。
 見えずとも、そこにいるなら当たるだろうと射角を向けて、
 《世界を切り裂く暗黒の弾丸(オブリビオン・ストームの弾丸)》がラビットファングの音がする方向へ放たれた。

「でも許してやんねーのん」
「っ!?」

 それは、囮だった。
 遠隔操作で起動されたラビットファングの上を弾丸が通り過ぎていく。
 ラブリーが無防備なクラリーベルの背中めがけて、手にしたバットをぶん回す。
 クリーンヒット。
 ラブリーの一撃を受けて、クラリーベルは無様に地面を転がり煙幕の外に押し出される。

「……損傷、確認……。……っ!?」

 アンチマテリアルライフルを杖にして立ち上がろうとするクラリーベルの前に、翼を象った黒色と白色のオーラを全身に覆ったひりょが立っていた。
 クラリーベルが煙幕に入った隙をつき、その翼の飛行能力で一気に距離を詰めていたのだ。

「今まで、みんなを好き勝手撃ってくれたな」

 ひりょが纏っている《黄昏の翼(タソガレノツバサ)》は、自身や仲間たちが敵から受けた負傷に比例して戦闘力を増強させ、生命力吸収能力を得る。
 高みから一方的に撃ち続けたクラリーベルの攻撃で吹き飛んでいた餓鬼たちの犠牲が、ひりょの全身を覆い力を与えている。
 犠牲になった餓鬼たちは今、紗希やダンテと共に取り囲んでいるが。

 ひりょとクラリーベルは、瞳に映った自分の顔が見えるほどの至近距離にいた。
 クラリーベルが素早くアンチマテリアルライフルを向けて、魔弾を発射する。
 それをひりょはオーラで防ぎ、アンチマテリアルライフルを一刀両断する。

「これで、終わりだ」

 正面から、ひりょはスナイパーの生命線を切り裂いた。

● VS スナイパー、フェイズ Finish

 そして。

「寿司をよこせー! 回らない寿司だよ! ちゃんと食べれる美味しい寿司ー!」
「逃げるんじゃねぇ! 一方的に撃ちやがって、この! 容赦しねぇからな!」
「ごめんなさいが聞こえねーのん! ちゃんと謝るのん!」
「【目的地に到着しました。お疲れ様でした】」

 武器を失ったスナイパーに抵抗する術はなく。
 往生際が悪く逃げ出そうとするクラリーベルを餓鬼たちが取り押さえ、ここまでのフラストレーションを発散するべく猟兵たちの手によって蹂躙されていた。
 ゴスゴス、ガスガス、ドスドス。
 そのような擬音を聞きながら、ひりょとジームクントは乾いた笑みを浮かべて傍観していた。

「まあ……気持ちはわからないでもない。お、ナイススイング」
「あはは……。あ、今の兄さんの拳、いいところに入った」

 治療系ユーベルコードの行使により、負傷はおろか破れた衣類まで回復している。
 誰一人、何一つの犠牲を出すことなく、猟兵たちは拠点を守り切ったのだ。

「これが! 私の! 寿司の恨みだー!!」

 紗希の悲痛な恨み節と共にとどめの一撃が下され、拠点を狙ったレイダーは全滅した。
 山の麓に見える小さな教会を守った実感を抱きながら、猟兵たちは帰還していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月01日


挿絵イラスト