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アカプルコの戦い〜狂気の救い主討伐戦〜

#アポカリプスヘル #クライスト・ヴォーテックス #ヴォーテックス一族

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#アポカリプスヘル
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#クライスト・ヴォーテックス
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#ヴォーテックス一族


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「皆さん、この度はお集まりくださり、誠にありがとうございます。私はグリモア猟兵の土御門泰花(つちみかど・やすか)と申します。」

 集まってくれた猟兵たちを前に、泰花は上品に一礼した。

「さて、今回は皆さんも既にご存知でいらっしゃいましょう『オブリビオン教団』の教祖、クライスト・ヴォーテックスを討伐する依頼です。最終的に、この狂気の救い主たるクライスト・ヴォーテックスを撃破していただきます。」

 それから泰花は虚空にクライスト・ヴォーテックスやその信者たちの姿、そして本拠地となっている「白の城塞」の風景を映し出した。
 信者たちは皆一様に白い装束に身を包み、白い城塞の中もひたすらに白い。
 どこまでも白い城塞は、戦車も悠々と入れる程に広大で、プールや南国の花木も見受けられ、まるでマフィアの豪邸をさらに巨大化させた様なありさまだ。

「皆さんがアポカリプスヘルへ到着なさいますと、『白の城塞』へ立ち入る前にまずは太陽の照りつける屋外にて、白い装束に身を包んだ信者たちとの戦いとなりましょう。ご注意いただきたいのは、彼等が纏う白い装束には近接攻撃を弾いてしまう特殊な効果があることです。信者たちも特製の銃器で武装しておりますゆえ、遠距離攻撃に持ち込むことをお勧め致します。」

 とはいえ防護を無視して無理矢理近接をねじ込む方法を思いついたなら、それによる攻撃を試みても構いません……と、泰花は補足した。

「信者たちの集団を蹴散らせて『白の城塞』へ立ち入れたとしても、まだ信者たちは他にもいます。すぐにクライスト・ヴォーテックスの元へは辿り着けないでしょう。彼等もまた近接攻撃を弾く白い装束を纏っておりますゆえ、やはり遠距離攻撃を推奨致します。」

 ただ、彼等は「容赦なき死を与える者を『死の笛(シルバト・デ・ラ・ムエルテ)』……笛の音と共に死を告げる者として畏敬の念を抱く」という信仰を抱いているため、猟兵たちの華麗な戦いぶりを見せつけられれば、思わず見入って反撃の手が緩むかもしれないそうだ。
 それから泰花は映し出していた光景を消すと、改めて猟兵たちへと向き直った。

「『白の城塞』の中の信者たちをも撃破できましたなら、敷地内に潜んでいるクライスト・ヴォーテックスとの交戦となりましょう。己の歪んだ信仰をもって、容赦の無い暴力で挑んで参るものと推測致します。くれぐれも油断のなき様に、撃破に挑んでくださいね。……では、皆さんどうぞよろしくお願い致します。ご武運を。」

 泰花は手にした紫色のグリモアから転送陣を展開し、猟兵たちをただちに現地へと見送っていくのだった。


月影左京
 こんにちは、または初めまして。新米マスターの月影左京です。

 今回は、アポカリプスヘルでのお話です。……そうです、クライスト・ヴォーテックスの討伐戦です。
 アポカリプスヘルでの戦争の前にクライスト・ヴォーテックスの完全撃破に成功すれば、それに応じて戦争の難度も変わってくる事でしょう。
 是非、「白の城塞」の中で待ち構えるクライスト・ヴォーテックスを仕留めてください。

 今回のシナリオは、純粋に戦闘の続くものとなります。

●第1章 「人狩りの少年」(集団戦)
 彼等は年端も行かない少年たちですが、立派に「オブリビオン教団」の一員です。遠距離攻撃や範囲攻撃を得意とするようです。

●第2章「彫塑略奪者『セメントアタッカー』」(集団戦)
 特殊なセメントを噴射する遠距離攻撃が得意なようです。
 そのセメントは直接人体に害は無いものの、触れてしまうと瞬く間に固められてしまいます。

●第3章「狂人教祖『クライスト・ヴォーテックス』」(ボス戦)
 「オブリビオン教団」の教祖にして、狂った信仰をもって情け容赦の無い攻撃をしてきます。
 「白の城塞」の中の「白一色の大広間」で交戦することとなります。

 単身での参戦も、団体(グループ等)での参戦も、歓迎です。
 また、途中参加も歓迎です。お気兼ねなく、どのタイミングからでもご参加いただければ幸いです。
 私もリプレイ執筆を頑張ります!
 皆さんからの雄々しいプレイングをお待ちしております。
 よろしくお願い致します。
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第1章 集団戦 『人狩りの少年』

POW   :    隠し針
【袖口】から【毒針】を放ち、【麻痺毒】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    鉄鎖捕縛術
【鉄鎖術】が命中した対象を爆破し、更に互いを【首輪付きの鎖】で繋ぐ。
WIZ   :    模倣罠
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【捕獲罠】を作った場合のみ極めて精巧になる。

イラスト:六華院零

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ケイ・エルビス
アドリブ連携歓迎
SPD

「こういうヤツはいつ見ても吐き気がするぜ。
教団はオレ達猟兵が必ず潰してやる」

少年を利用して戦わせる教祖への怒りを露に
自分の胸をドン!と拳で叩きUC発動

特に「ダッシュ、追跡、ジャンプ、フェイント」技能強化
以降活用

アサルトライフルやブラスターで猟兵を援護射撃したり
敵を戦闘経験と野生の勘で狙撃しながら時間稼ぎ

仕掛けてくる敵を見定め
フェイントかけた猛ダッシュで接近
鉄鎖術発動後
オーラ防御展開しながら早業で受け止め爆破相殺

首輪付きの鎖で繋がれればカウンターで
怪力のグラップルで掴んで引き寄せ
地面に叩きつけた後首輪を怒りと気合で破壊
他の少年に離れした動きを見せつけプレッシャーを与える



「こういうヤツはいつ見ても吐き気がするぜ……。」

苦々しく吐き捨てたのは最初に転送されてきたケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)。普段は爽やかな好青年なのだろうが、今は義憤に駆られた熱血漢のような印象だ。

「こんな教団はオレ達猟兵が必ず潰してやる!ぶっ飛ばすぜ。 レッツ・ゴー!」

年端も行かぬ少年たちを利用して戦わせる教祖への怒りを隠すこと無く、ケイは自らの胸を拳で叩くと即座に【ハンズ・アップ(ハンズ・アップ)】を発動させた。

「ふぅん……お兄さん、その程度でボクたちの邪魔ができると思うの?」

少年たちはあくまでも冷ややかにケイを見つめる。そして手にしていた銃器では無い方の武器――首輪の付いた鎖を振るった。
この鎖による鉄鎖術が命中すれば、爆破された上に身体を拘束されてしまう。そうなれば至近距離から逃れることは困難となり、近接攻撃で足掻こうにも白い装束の効果で無効化されてしまうのだ。

しかし、ケイには勿論勝算があった。
彼が習熟している技能のうち、特にダッシュ及び追跡、ジャンプ、フェイントを重点的に強化した事により、本来の力以上の技能を発揮できる状態になっているのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​


※マスターより
大変申し訳ありません。執筆途中で送信してしまいました為、続きをこれより先に掲載致します。
不手際を謹んでお詫び申し上げます。




ケイは、自身が装備するアサルトライフルやブラスターといった遠距離攻撃向けの武装をフル活用しながら、敵の攻撃は技能にて躱し、続く猟兵が到着するまでの時間を稼ぐ。
これには、少年たちも苦戦を強いられた様子だ。
少年たちも殆どはなかなか倒れないものの幾人かは力尽き、ケイもまた全力を投じているが為に余裕があまり無いもののさしたる被害を受けていない。

「お兄さん程度の猟兵が、こんな人間離れしたことをやってのけるなんて……。」

忌々しく呟く少年たちとの戦いは、まだ始まったばかりだ。
フカヒレ・フォルネウス
WIZ アドリブ連携歓迎です

フッ。ヴォーテックス一族。
なかなかのワルと聞き及んでいますよ。
では、魔界の悪魔とワル比べと行きましょう!

まずは子どもの姿の尖兵ですか。
見た目を利用するとは、見事なワルですね。
ですが、僕の方がもっとワルです!
宣言しましょう。一歩も動くことなく、無力化させていただくと!

酒煙鮫を召喚してアルコールの濃霧を……え? 未成年者への飲酒? はい、やめます。
気を取り直して、焔白鮫を呼び出します。
こっちならコンプライアンス的に大丈夫でしょう!
出でよ炎の鮫嵐! 火炎のブレスで焼き払いなさい!

これだけ暑い屋外、炎はさぞや辛いでしょう。
悪魔のように笑いながら、殲滅するといたしましょう。



「フッ。ヴォーテックス一族。なかなかのワルと聞き及んでいますよ。」

 次いで現れたのは、フカヒレ・フォルネウス(鮫の悪魔の四天王・f31596)。彼は少年たちを前に、ニヤリと笑った。子どもを利用するとはなかなかのワルだ。しかし、由緒正しい「四天王」の一族の跡取り息子だった彼にとっては、まだ生易しい。

「では、魔界の悪魔とワル比べと行きましょう!」

 フカヒレがこれまでに経験したり行ったりしてきたワルには、それなりに自信がある。だから、ワル比べなら勝利を掴むめると確信に近いものを抱いていた。
 しかし、少年たちはその宣言が冗談でからかっているようにしか聞こえなかったか、面白そうに笑いあっていた。

「クスクス……お兄さん、ボクたちより強いかな?ワルもいいけど、カッコよく強いのがいいよね!」
「シルバト・デ・ラ・ムエルテ!」
「ならば宣言しましょう。一歩も動くことなく、無力化させていただくと!」

 少年たちとフカヒレはほぼ同時に動き出した。手早く捕縛罠を模造しようとする彼等に、フカヒレは刹那逡巡し、【焔白鮫(ブレイズシャーク・ファイアストーム)】を呼んだ。

「鮫の熱を侮らないことです。出でよ炎の鮫嵐!火炎のブレスで焼き払いなさい!」

 フカヒレに命じられると、焔白鮫は94個の火炎玉を口から次々と吐き出し、少年たちへ勢いよく放った。
 より精巧な捕縛罠を作ってフカヒレを陥れようとしていた少年たちは、予想以上の殺傷力を持ったその炎のブレスから逃げ回るも、執拗に追い立てられて散り散りにされていく。
 むしろ彼らこそ、模倣罠の作成は中断せざるを得ない状況に陥らされていた。

「あっちぃ!?」
「うわっ!燃える、燃える!?」

 そのうち、ひとり、またひとりと少年たちが焼かれ、倒れていく。
 辛うじてまだ生きている少年たちも、灼熱の太陽の下でさらに暴力的な熱波に包まれてはたまったものではない。
 少年たちが屈辱に顔をしかめてフカヒレを睨むのを、彼は悪魔の如き表情で笑いながら流し、容赦なく少年たちを火で炙って着実にその数を減らしていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベリル・モルガナイト
世界の。荒廃を。前にして。私欲を。満たす。者の。何が。救い主か
私は。盾
世界を。守る。盾の。騎士
その。蛮行と。狂気から。世界と。人々を。守り。抜きましょう

その装束は。厄介ですが。分かっている。のなら。やりようは。あります
荒れ果てた。大地ならば。気兼ねも。ないというもの
周囲の。大地を。宝石の。盾へと。変換
一部は。自身の。周囲を。囲い。銃撃を。防ぎ。残った。盾は。その質量を。利用した。遠距離武器として。少年たちへと。叩きつけて。いきます
宝石の。盾に。加え。【オーラ防御】と。【盾受け】で。身を。固め。耐えながら。敵を。減らして。いきます
動かなければ。敵を。嵌める。罠も。力を。発揮できない。でしょう?



 続いて少年たちへと立ち向かったのは、ベリル・モルガナイト(宝石の守護騎士・f09325)。名が示す通りの淡赤紫色に輝く瞳は、静かな義憤を宿している。

「世界の。荒廃を。前にして。私欲を。満たす。者の。何が。救い主か」

 呟くような声には騎士たる決意が滲む。己は盾――世界を護る盾たる騎士。「オブリビオン教団」の蛮行と狂気から、世界と人々を護り抜く。

「あ、また来たね。」
「ふぅん……だけど、今度こそ!ボクたちも負けないからな!」
「シルバト・デ・ラ・ムエルテ!」

 少年たちは、既にその数を幾らか減らしている。しかし残っている彼等は強がっているのか歪な信仰に支えられているのか、ベリルへも猛然と戦意を向けてきた。

 しかしベリルが動揺することは無い。落ち着き払った様子で周囲の大地を宝石の盾へと変換させた。それは【其れは誉れ堅き薄紅の城塞(モルガナイト・シタデル)】。

「ここに。立つは。幾度。砕けようとも。立ち上がる。煌めきの。守護」

 少年たちが纏う白い装束は厄介だ。されど、既に事前説明で聞いているのだからやりようは幾らでもある。
 少年たちがベリルを確実に仕留めるために捕獲罠を作っている間に、彼女が生み出した宝石の盾は彼等へと迫る。
 慌てた誰かが特製の銃器で咄嗟に撃ち抜いても、ベリルの身体もまた、宝石の堅牢な盾に護られていて通用しない。
 しかもベリルはユーベルコードのみに頼らず、オーラによる防御も展開し、盾受けをも活用して少年たちの反撃をことごとく弾いていた。

「うっそだろ!?こんな……うわっ!?」

 負けず嫌いな少年が睨みつけてくる。だが、遠距離攻撃の手段ともなった宝石の盾は、そんな彼へも容赦なく叩きつけられる。

「動かなければ。敵を。嵌める。罠も。力を。発揮できない。でしょう?」

 ベリルの顔を覆う割れた仮面からは、憂いを帯びた表情が覗く。それは、目の前の少年たちへの哀れみか、「ある別れ」に由来するものか。
 そんなどちらともつかぬ眼差しで、ベリルは淡々と少年たちの数を減らしていった。

 少年たちの集団も、だいぶ人数が減ってきた。残る少年たちからは、仲間を撃つ猟兵たちへの憤怒が滾っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐藤・和鏡子
惨殺のユーベルコードを起動して出力を上げてから救急箱に内蔵された荷電粒子砲で攻撃します。(レーザー射撃・範囲攻撃)
近づかれたら敵を掴んで他の敵めがけてフルパワーで放り投げるなどして対抗します。
これなら敵の体も弾丸として再利用できるから一石二鳥ですから。
あの白い衣を来ていても触ることは出来るみたいですし。
敵しかいないなら無差別攻撃でも問題ありませんから。
麻痺毒はユーベルコードの耐久力や毒耐性で無効化させます。
理性が無いから痛みも恐怖も感じない、説得も泣き落としも無意味、逃げても動く物を自動で狙うから無駄。
人間には出来ない、機械にしか出来ない戦い方をお見せしますね。



 残り少なくなった少年たちを前に、今度は可憐な看護師、佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)が降り立った。その様は戦場には似つかわしくないほどに温和に見え、残された少年たちの多くは勝機を感じ取った様子だ。
 ――が、そんなものはただの油断でしかなく。

「排除サブルーチン起動。危険です。退避してください。」

 丁寧なのにどこか機械的な口調で警告を発した途端、和鏡子はガラリと纏う雰囲気を変えた。【惨殺(キルムーブ)】、これが彼女の攻撃力と耐久力を一瞬にして超絶なまでに高めたのだ。

 雰囲気の変化に少年たちが気づいた時には、既に手遅れだった。
 和鏡子は救急箱に内蔵された荷電粒子砲を容赦なく少年たちへ浴びせていく。広範囲をレーザーで薙ぎ払うその攻撃は、少年たちが何とか放つ麻痺毒の隠し針さえも焼き焦がし、無効化してしまった。仮に和鏡子へ届いたとしても、超絶な耐久力と毒耐性でやはり無効化されたに違いない。

 奇跡的に、少年たちの1人がレーザー射撃を掻い潜って和鏡子へと迫った。されど、和鏡子は穏やかな笑みを湛えて動じない。

(理性が無いから痛みも恐怖も感じない、説得も泣き落としも無意味、逃げても動く物を自動で狙うから無駄……)

 人間には出来ない、機械にしか出来ない戦い方を、和鏡子は躊躇いなく披露した。
 肉迫してきた少年を、外見からはおよそ想像もつかぬ怪力で掴みあげ、他の少年たちへ目掛けて放り投げる。
 これもまた立派な遠距離攻撃だ。だから白い装束を着ていてもしっかり通用する。

 放り投げられた少年も、何とか逃げ回りながら抵抗を試みていた少年たちも、ぶつかり合って倒れていく……和鏡子の読み通り、一石二鳥だった。
 彼女が戦闘行動に入る前に、予め他の猟兵たちの戦いぶりを分析し、白い装束に触れることは可能だという点に気づいていたのが奏功したと言えよう。

 和鏡子の荷電粒子砲と、放り投げとで、少年たちはまともに抵抗することも叶わず、遂にすべてがその姿を消したのだった。

 ――さぁ、急いで白の城塞の中へ行かねば。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『彫塑略奪者『セメントアタッカー』』

POW   :    特殊セメント噴射器
【噴射器銃口】から【特殊液状セメント】を放ち、【ドロドロに塗り固めること】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    特殊セメント噴射器
【噴射器銃口】から【特殊液状セメント】を放ち、【ドロドロに塗り固めること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    特殊セメント噴射器
【噴射器銃口】から【特殊液状セメント】を放ち、【ドロドロに塗り固めること】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:Moi

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フカヒレ・フォルネウス
WIZ アドリブ連携歓迎

ほほう。セメント攻撃ですか。
直接殺さず固めて嬲ろうとはなかなかワルですねぇ。
よろしい、相手になってあげましょう。

ブレスを吐き続ける酒煙鮫を抱えて走ります。今回はビジュアル的にも問題はないでしょう。
追ってくるなら流れる濃霧に酩酊することでしょう。
流石のセメントも、霧を固めることはできますまい?
走って、敵の周りをぐるりと包囲しました。
そう、アルコールのブレスの包囲網ですよ。
逃げ場を失った集団目がけて、酒煙鮫に全力でブレスを吐かせます。

ぐでんぐでんに酔っぱらった連中を、一人ひとり礎嚼銃で撃っていきます。
戦闘力を損なった相手を始末するこの雰囲気。
フッ。これがワルというモノです。



 白の城塞へ駆け込んだ猟兵たちを待ち構えていたのは、先ほどの少年たちと同じく白い装束に身を包んだ連中だった。
 奴等は全員成人女性の姿で、各々手にしているのは何やら大型の銃器……に見える、セメント噴射器だ。

「シルバト・デ・ラ・ムエルテ♡」
「うふふ、来た来た……。」

 彼女たちは含み笑いながら、まずはフカヒレへ狙いを定めたようだ。
 セメント噴射器の先が一斉にフカヒレの方へ向けられる。

「ほほう、セメント攻撃ですか。直接殺さず固めて嬲ろうとはなかなかワルですねぇ……よろしい、相手になってあげましょう」

 しかしフカヒレは全然動じていない。むしろ感心したかのような言葉を紡ぎ、自身も応戦体勢に入った。

「鮫の酒でも浴びて、大人しく横になることです」

 【酒煙鮫(リカースモークシャーク・ドランカード)】。これが今回フカヒレが選んだ手だ。初めに相対した少年たちと違い、彼女たちは成人しているからこのユーベルコードも気兼ねなく使えるというもの。
 フカヒレは召喚した酒煙鮫を抱えて地を蹴った。酒煙鮫はフカヒレの腕の中で、濃厚な酒気を帯びたブレスを吐き散らかしている。
 ちなみにこの酒気を帯びたブレスは、鮫の体内で濃厚な果実酒を発酵させることで作り出しているらしい。ブレスを吸う程度ならまだしも、まともに飲めばそれだけで身を滅ぼしかねないとか何とか。

 彼女たちが発する、迫り来る特殊なセメントは幾らかフカヒレの足を捕らえそうになるが、濃厚な酒気のブレスを浴びてまともに照準が合わないものばかり。

「はぁ、良い気持ち♪……じゃなくて!」
「この、姑息な……!」

 特殊なセメントと言えども吐息を固めることは叶わず。ぐるりと彼女たちの周りを駆け巡ったフカヒレがかえりみれば、彼女たちの少なくない人数は酩酊状態に陥り、何とか難を逃れた仲間に揺り起こされようとしている。
 しかし、揺り起こそうとしていた人をも酒気の濃い霧は酔わせていった。
 フカヒレが作り出したアルコールのブレスによる包囲網……そこへ、さらにフカヒレは酒煙鮫をけしかけた。
 主の指示通り、全力で敵勢へ向けて酒気の濃いブレスを吐き出す酒煙鮫。

「ふわぁ、しるばと……で、ら……うぅん」
「あぁ、くらくらするぅ……」

 フカヒレは、計画通りに事が進んだことにニヤリと笑って、礎嚼銃ソ・シャークを手にした。

「戦闘力を損なった相手を始末するこの雰囲気。……フッ。これがワルというモノです!」

 一撃、また一撃。フカヒレは着実に敵を撃ち抜き、その数を減らしていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベリル・モルガナイト
信仰も。それを。捧げる。神も。それは。人の。自由。というもの
そこに。救いを。見出す。ことを。私が。否定。することは。できません
ですが。その。信仰を。以て。他者を。仇為す。というのならば
守りましょう。その。害意から。人々を
私は。盾の騎士。なのですから

先程の。戦いで。盾が。有効なのは。分かりました
ならば。引き続き。対処は。変わらず
城塞内の。壁や。床を。盾に。変換し。操作して。叩きつけましょう

噴射器に。私自身が。狙われないよう。動きながら。盾で。彼女たちを。狙います
常に。銃口と。私の。間に。盾が。存在するよう。操作します
セメントは。盾で。受け止め。重量の。増した。盾を。お返し。しますわ


佐藤・和鏡子
学習のユーベルコードで敵のセメントを捕食してコピーしたセメントを撃ち込み、逆に動きを封じてから荷電粒子砲で攻撃を仕掛けます。
捕食し切れない分は消防斧を盾代わりにして防ぎます。(武器受け)
さすがに敵も自分の技を使われるとは思わないでしょうから。
そんなに石像が好きなら自分自身が石像になったらいかがでしょうか?



「信仰も。それを。捧げる。神も。それは。人の。自由。というもの」

 ベリルは、眼前のセメントアタッカーを見据え、そう呟いた。自身がパラディンであるがゆえもあり、そこに救いを見出すことを否定することはできないと考えているのだ。
 ……とはいえ。

「その。信仰を。以て。他者を。仇為す。というのならば
守りましょう。その。害意から。人々を
私は。盾の騎士。なのですから」

 ベリルは敵へ宣言すると、間髪入れずに【其れは誉れ堅き薄紅の城塞(モルガナイト・シタデル)】を発動させた。

「ここに。立つは。幾度。砕けようとも。立ち上がる。煌めきの。守護」

 先の少年たちとの戦いで、白い装束に対して盾が有効であることが判った。ならば、此度も同じ要領でいけばいい……そう判断してのことだ。

「何よ。こんなモノ、セメントで……!?」

 生き残っていた彼女たちがフンと鼻先で笑い、噴射器を構えるが遅かった。
 ベリルのユーベルコードで戦場となっているその場の床やら壁やら何やらあらゆる無機物が、モルガナイトの宝石を思わせる盾へと変わっていたのだ。当然、ある者たちは足場を奪われて体勢を崩すなどして、攻撃どころではなくなっている。

「……シルバト・デ・ラ・ムエルテ!」
「こっちのセメントは、何だって固めちゃうんだから!」

 それでも、彼女たちセメントアタッカーは食い下がってベリルへと噴射口を向ける。
 しかしそのほとんどは、発射前に輝く盾が飛来して叩き落とされる。
 何とかセメントを発射できても、巧みに位置を変え、射線上に必ず盾があるように操作するベリル自身へは届かない。むしろ、特殊なセメントを浴びてより重たく固くなった盾が、反撃してくるのだ。

「……っ、このっ!」
「あらー…… そんなに石像が好きなら、自分自身が石像になったらいかがでしょうか?」

 次々と生まれては飛来する宝石の盾に苦戦する彼女たちを見て、和鏡子はおっとりと、しかしセメントアタッカーたちには戦慄すべき発言を零した。

「この救急箱にはこんな機能もあるんですよ」

 にこやかに語るように、和鏡子は【学習(ラーニング)】を発動させた。救急箱で敢えてセメントを受けることで捕食し、敵の特殊なセメントによる攻撃をコピーする。そして、何度でもそのセメントを、本来の使用者である彼女たちへと放ち始めた。

「なっ……!?」
「う、嘘っ……どういう事!?」

 よもや、自身たち以外に同じセメントを扱える者がいるなどとは考えていなかったのか、ベリルの攻撃の合間を縫って飛んでくる和鏡子からの特殊なセメントに、セメントアタッカーたちはさらに慌てふためいた。
 どうにか冷静さを保ち反撃に転じてくる者へは、救急箱から取り出した大きな武器「消防斧」で受け、いなす。無論それだけではなく、ベリルの盾に阻まれるセメントも多く、和鏡子が被弾することは無かった。

 こうしてベリルと和鏡子は、共闘しあいながら確実に敵勢を劣勢に立たせていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メイスン・ドットハック(サポート)
『めんどーじゃけど引き籠る為に』

アメジストのクリスタリアンで、熟練の電脳魔術師
攻撃手段は電脳魔術・もしくは電脳魔術や現代技術を使ったトラップ
電脳魔術はミサイルや機銃、大型兵器も精製可能
トラップは地雷、機雷、ワイヤートラップなど様々
またハッキング技術も長けており、機械コンピュータはもちろん、電脳魔術を応用することにより、空間に直接ハッキングを仕掛け、情報を収集することもできる
正々堂々よりかは、搦手で弱点を的確に攻撃するタイプ
心理誘導をしたり、囮を使ってなどもする
仲間との連携は歓迎です

喋り口調は広島弁
「じゃけん→じゃけー」「じゃけえのう→じゃけーのー」と語尾を伸ばすのが特徴的



「いやはや、めんどーじゃのー」

 気の抜けたような声を発しながら新たに転送されてきたのはメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)。先の猟兵と同じく、アメジストのクリスタリアンだ。

「じゃけー、引き籠る為に……やるしかないかのー。」

 気だるげに、ため息混じりにメイスンは呟くと、既に交戦中の猟兵たちの行動を読み、ハッキングの要領で瞬時に解析を完了させた。流石は熟練の電脳魔術師と言えよう。

 セメントアタッカーたちはこの劣勢においてもなお、自身の信仰による「シルバト・デ・ラ・ムエルテ」の誇りを忘れないらしく、足掻いている。だが、それに対しては既に他の者たちが正攻法で攻防を繰り広げているから……メイスンは、己が最も得意とする搦手で残存勢力を一掃しようと考えた。

「それじゃそれに有利な物を出すとしようかのー」

 「それ」はつまり、彼女たちセメントアタッカーが持つ特殊セメント噴射器。どの能力を用いるユーベルコードで攻撃しても、たったひとつの同じことしかできない……特殊セメントを発射するだけの、ごく単純な物。
 ゆえに、メイスンが【彼を知り己を知れば百戦して殆うからず(ブレイク・メイカー)】を発動させて呼び出した電脳兵器は、噴射口を潰してそもそもセメントを扱えなくする機銃だった。

 迷彩と残像を駆使して移動することでセメントアタッカーたちの狙いを撹乱し、その間にやはり空間をハッキングして敵勢の行動パターンを解析、情報収集。
 盾とする為に抉られ破壊された地形をも利用して立ち回り、瞬間思考力をもってメイスンは的確に噴射口へと攻撃を叩き込む。
 ジャムったような噴射口を思わず彼女たちが見れば、吹出口を失ったセメントが暴発し、覗き込んだ本人を石像へと変えていった。
次々と自身の身を、または互いの身をセメントで塗り固めて倒れていくセメントアタッカーたち。

「……さて、ようやく静かになったかのー?」

 メイスンがひと息つく頃には、最早生存者は猟兵たちしかいなかった。
 しかしメイスンたちが引き篭るにはまだ早い――この城塞の最奥で待ち構えている「狂気の救い主」、クライスト・ヴォーテックスを討ち取る戦いが、この先に残っているのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『狂人教祖『クライスト・ヴォーテックス』』

POW   :    この俺が「聖書(バイブル)」だ
【クライスト・マシンガンの連射】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    ロンギヌスが槍だと、誰が決めた?
【痛みを感じないかの如き狂信的突撃】で敵の間合いに踏み込み、【ハンマーを利用したアクロバット】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ   :    知ってたか? テキーラはこう使うんだ
レベル×1個の【テキーラと火薬を混ぜた純白】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。

イラスト:鹿人

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フカヒレ・フォルネウス
WIZ アドリブ連携歓迎

お初にお目にかかります、ミスター・クライスト。
僕は鮫の悪魔の四天王、フカヒレ。そう、悪魔です。
神を信じる貴方に、真のワルという者を教授しに来たのですよ。
慄くといい! そして、救いを乞うがいい!

大広間といっても、室内では手狭ですねぇ。
ええ、これから狭くなるのです。
出撃せよ、《巡航鮫隊》!
95体の大型鮫、それに5体ずつ搭載された475体の小型鮫。
資源が乏しいというこの世界で、圧倒的な物量の差というものを存分に堪能してもらいましょう!

テキーラで多少燃やそうが、この数を防ぐことはできますまい?
さあ……存分に声を上げてください。
栄えあるヴォーテックス一族の、教祖の哀れな悲鳴をね!


飛・千雨
SPD アドリブ連携歓迎です

クライスト。その悪行、人伝てに聞き及んでおります。
戦いは好みませんが、彼を早期に討ち果たさなければならないとのこと。
良いでしょう。この力、如何様にでもお使いください。

偽神宝貝による不意打ちや暗殺を得手としております。
兀突骨刀による強打、祝飛刀によるかく乱、朶思泉銃による薬物注入。
状況に合わせて、適切な振る舞いをお見せしましょう。

偽神宝貝を活性化させれば、効果・威力・射程が3倍に増幅します。
ただ、頭に血が上ってしまい、少々柄が悪くなって……
「このド腐れ野郎っ! 地獄に落ちろボケナスがぁ!」
……という具合に、お見苦しいところをお見せしますが……。
宜しくお願い致します。



「……遂に来たか、ネズミ共!」

 白の城塞の最奥。白一色の大広間にて膝まづいて祈りを捧げていたクライスト・ヴォーテックスは、猟兵たちの気配に気づくと悠然と立ち上がった。
 その雰囲気はまるでマフィアのドンのよう。しかし彼の身なりはどこか聖職者を思わせる装いだ。

「これまでに俺達の抗争を散々引っ掻き回した挙句、貴重な信徒たちを犠牲にしてきた咎、俺がここですべて断罪してやる!『フィールド・オブ・ナイン』の名のもとにな!」

 だが、彼の威圧に負けるような猟兵たちではない。

「お初にお目にかかります、ミスター・クライスト。僕は鮫の悪魔の四天王、フカヒレ……そう、悪魔です。神を信じる貴方に、真のワルというものを教授しに来たのですよ」
「クライスト。その悪行、人伝てに聞き及んでおります」

 慇懃無礼に名乗りを上げたフカヒレに続き、対照的に優雅な声音で言葉を紡いだのは羽衣人の飛・千雨(偽神宝貝の使い手・f32933)。
 殺る気満々のフカヒレに対して戦うことをあまり好まない千雨だが、この度ばかりはクライストを討つ為に己の力を如何様にも用いるつもりのようだ。

「大広間といっても、室内では手狭ですねぇ……ええ、これから狭くなるのです」
「ケッ、ネズミ共の墓場にしてやるには十分過ぎるほど広いだろうが!」

 クライストは即座に純白の炎を場に撒き散らした。テキーラと火薬の混じりあったその炎の数はざっと見積っても180以上。
 されどフカヒレはニタリと口角を上げた。

「テキーラで多少燃やそうが、この数を防ぐことはできますまい?…… 出撃せよ、《巡航鮫隊》!」

 フカヒレの元から、大型小型の鮫の群れが一斉にクライストへと押し寄せていく。
 その数、大型鮫は95匹、それに搭載される小型鮫の数は総て合わせて475匹。これが、フカヒレの【巡航鮫隊(シャークルーザー・リミテッド)】だ。
 確かに幾らかは炎に灼かれ、炭になっていくが、それでも物量ではフカヒレのほうが圧倒的。
 流石の大広間も、これ程の大群が展開してしまえば手狭に感じられるというものだ。
 さらにそこへ、今度は千雨が追撃をかける。

「……神器変形」

 その短い詠唱で、彼女の装備する3つの「偽神宝貝」の効果、威力、そして射程が3倍に増強された。【偽神宝貝・活性化(バーストモード)】の発動だ。
 兀突骨刀による強打、祝飛刀によるかく乱、朶思泉銃による薬物注入……フカヒレの放った鮫たちの隙を埋めるように、千雨は臨機応変な援護を放つ。

「小癪な!」

 クライストは、炎が通じないと知るや否や、今度は千雨へ狙いを変えて猪突猛進の勢いで迫ってきた。最早痛覚など機能していないかのように、狂信的な突撃で鮫も宝貝も構わず迫ってくる。
 されど、身軽に宙を舞い、ふわりと避けてしまう千雨を捕らえるには至らず。

「このド腐れ野郎っ!地獄に落ちろボケナスがぁ!」
「!?」

 豹変した彼女の言動に、思わずクライストも怯んだ。その一瞬の隙をフカヒレも千雨も見逃さない。
 数多の鮫の群れが、凶悪な性能を有する偽神宝貝が、クライストの身体を蝕み、傷つけていく。

「慄くといい!そして、救いを乞うがいい!さあ……存分に声を上げてください。栄えあるヴォーテックス一族の、教祖の哀れな悲鳴をね!」

 フカヒレの挑発的なひと言の通り、クライストは呻き、叫び、痛みに悶える。

(……あらやだ。頭に血が上って少々お見苦しいところを見せてしまいました。)

 その光景を前に、千雨ははたと我に返る。それでも、彼女が攻撃の手を休めることは無い。
 鮫と偽神宝貝の織り成す連携は、絶えることなくクライストの心身を弱らせていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

佐藤・和鏡子
こちらのルールはただ一つ。
『救急車の行く手を阻む者には死あるのみ』
轢殺のユーベルコードを使って突っ込みます。
クライスト・マシンガンは救急車の車体で防いでそのまま全速力で轢きます。
私の運転技術なら室内でも問題なく運転できますし、室内で車を運転してはいけない、なんてルールはどこにも書いてないですから。
救急車は攻防一体の武器。
救急車なら車体で敵の攻撃を受けてそのまま轢き殺せますし、敵が1人でも集団でも対応できますから。
そちらのルールとこちらのルール、どちらが強いか勝負です。


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風

手がいりそうなので、四人総意できた。さて、わしなのは理由あってのことだが。
マシンガンの連射は、極力第六感の見切りで回避、間に合わない場合は結界で防御するが。

まあのう、ルールをわしに言われても。
四天霊障を伝いて攻撃できる三人はおるし、なにより自立行動できる陰海月と霹靂もおるのだ。
うん、『わし』はルール、破っとらんぞ?

ああ、表出がわしな理由?UCに対応する人がわしだからの。
それに、相手の油断を誘う意図もあるにはあった。


陰海月「ぷきゅ!」
霹靂「クエッ!」
ヤル気満々、二匹は友だち。分類:武器。



「ケッ……忌々しい。『フィールド・オブ・ナイン』よ!俺がオブリビオン教団を作ってまで崇め、信仰を築いてやったんだ!今こそ俺に力を貸す、恩返し時だろうが!さっさと蘇れ!」

 その身に無数の噛み傷や裂傷を刻みながら、それでもクライストの闘志は絶えない。
 獰猛な獣の如き光をその目に宿し、クライストは自らの得物「クライスト・マシンガン」を構えた。

「この俺が『聖書』(バイブル)だ!ネズミ共……この俺の戒め(ルール)を破ったらどうなるか、分かってるだろうなぁ!?」

 宣言するなり、マシンガンが火を噴く。 だが、それはどの猟兵にも当たることがなかった。

「はーい!救急車が通りますー!救急車通過します!!」

 刹那の差で、和鏡子が【轢殺(ロードキル)】を発動させていたのだ。和鏡子はマシンガンの弾幕を車体で防いでしまうと、得物ごとクライストを轢いた。クライストのいた場所は、無惨なまでに破壊されて瓦礫と化した。
 和鏡子がクライストに課す「ルール」は至って簡単―― 救急車の行く手を阻む者には死あるのみ。それだけだ。

「ぐ……ぬぅっ!」

 重量のある救急車に轢かれて歪んでしまったマシンガンを杖にして、なおもクライストは立ち上がる。そして再び、今度は救急車の車体を貫通せんとばかりに容赦なく弾丸を振り撒いた。一撃でも和鏡子に当てられれば、己が優位に立てる「ルール」を課して行動を制限できるのだから。
 しかし和鏡子の救急車運転技術は高い。大広間とはいえ鮫の群れが押し寄せている室内でさえ、的確にクライストだけを轢いていく。

(そちらのルールとこちらのルール、どちらが強いか勝負です)

 そんな和鏡子に気を取られているクライストへ、今度は別方向から少々気の抜けるような鳴き声と共に体当たりがあった。

「ぷきゅっ!」
「クエッ!」

 それは、新たに援護の為ここへ転送されてきた馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)が連れる2体。ひとつは陰海月……つまりクラゲ、もうひとつは霹靂(かむとけ)……つまりヒポグリフだ。
 2体は仲が良いらしく、さらにヤル気も十分らしく、ちょこまかとクライストの周りを動き回っては攻撃を仕掛けていく。クライストは自身にまとわりつく2体目掛けて容赦なく弾幕を張った。その幾らかは確かに当たりはしたが。

「うるせぇな、ちょこまかと……!『動くな』!」
「ぷきゅっ!ぷきゅっ!」
「クエクエッ!」

 その「ルール」を聞いて、陰海月と霹靂は動きを止めて抗議するように鳴いた。その鳴き声はけたたましく、心理的ダメージという意味では立派に攻撃だろう。
 さらにその後ろから、豪快で古風な物言いの声が響く。

「まあ……陰海月や霹靂にルールを言われても、あくまでもわしの武器だからのう」

 苛立つクライストがその声の主を特定し、マシンガンの先を向けるも、義透は泰然としていた。
 今回、義透の人格として表出しているのは第三の人格「侵す者」。武の天才だ。
 されど、義透は「四天霊障」という武装を用意してきている。要するに、やろうと思えば自身に宿る人格4名総出で事に当たることができるのだ。クライスト討伐には手が多いほうが良いと判断しての対応だった。

「おのれ……どいつもこいつも、俺を愚弄しやがって……!!」
「それはまあ、それだけのことをしてきておるからのう、お主」

 マシンガンの連射を、義透は第六感を研ぎ澄ませて見切り、回避していく。回避が間に合いそうに無いものは、早業で展開した結界で弾いた。

「おい、俺は『動くな』とルールを課したはずだぞ!」
「そうだが……『わし』はルール、破っとらんぞ?」

 ややこしいが、要はクライストがルールを課したのはあくまでも武器である陰海月と霹靂である。だからそもそも義透には効力が無く、「侵す者」たる義透は何のルールも課されて居ないという訳だ。これに気づいたクライストは、苦々しい表情を浮かべる。

「さて…… わしの一撃、受けきれるか!」

 義透は陰海月も霹靂も、残る他の人格の力も含めた全武装をもってクライストへ襲いかかった。第三の人格である「侵す者」が司るユーベルコード【それは火のように(シンリャクスルコトヒノゴトク)】による、単純ながらものすごい重量を備えた一撃だ。それはクライストを捕え、倒れ伏す場をも含めて破砕した。先程の和鏡子が運転する救急車による轢殺に匹敵する威力だ。

「ぐっ……この、ネズミ共、め……っ!」

 しかし、まだクライストはよろめきながらも立ち上がる。彼を支えるのは、執念か意地か。それでもあと一撃喰らえば……彼もその野望も散るだろう。

 ――狂気の救い主討伐は目の前だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リリスフィア・スターライト
出遅れたけれど私も狂人教祖の討伐に加勢させてもらうね

相手は苛烈な攻撃手段が多いようだしここは連携で挑むね
三位一体で近接戦闘が得意な強気な人格のリリスと
後方支援が得意な優しい人格のフィアを呼び出すね
私自身は戦えないから邪魔にならないよう後方で2人を指揮するよ
フィアに狂人教祖からの攻撃を防いでもらっている間に
リリスが魔剣で狂人教祖を攻撃してもらうね
私自身は狂人教祖が次のどんな攻撃で仕掛けて来るのか
観察してフィアに的確に防御させて隙が出来た所をリリスに突入させるよ

「ルールもハンマーもテキーラも全て打ち砕いてみせるね」(本人)
「やるのはあたし達だけれどね」(リリス)
「はい、頑張りましょうね」(フィア)



 満身創痍ながらもクライストは猟兵たちへ対峙し続ける。
 あと一撃喰らえば、というのは本人もよく分かっているところだろう。ゆえに攻撃はより苛烈さを増していた。

 そこへまたひとり、新たな猟兵が増援として転送されてきた。

「出遅れたけれど、私も狂人教祖の討伐に加勢させてもらうね」

 そう宣言するのはリリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)。
 彼女は既にクライストの手をすべて分析しており、多重人格者ならではの「連携戦」で臨もうとしていた。

「2人とも頼んだよ!」

 その声に答えるのは2人。

「OK任せなさい!」
「援護しますね」」

 強気な剣士のリリスと、穏やかな支援役のフィア。そして、司令はリリスフィア自身。これが【三位一体(トリニティ・スフィア)】、彼女の行おうとしている「連携戦」のユーベルコードだ。

「……チッ。」

 クライストは、彼女たち3人を見て、露骨に舌打ちをした。テキーラと火薬の混じりあった白き炎を瞬く間に拡げ、乱暴に放つ。
 されど、リリスにもフィアにも、当然リリスフィア自身にも、それはなんの脅威にもならなかった。

「ルールもハンマーもテキーラも全て打ち砕いてみせるね」
「やるのはあたし達だけれどね」
「はい、頑張りましょうね」

 リリスフィア本人が宣戦布告するのを、リリスは少し笑って応え、フィアは穏やかに肯定した。
 そしてリリスフィア本人が敵の動きを観察して指示を飛ばし、フィアが防炎の行動をとればリリスが軽やかにクライストの急所へ向けて飛び込み剣を振るう。
 とはいえ、クライストもさすがに首領とあってか、火事場の馬鹿力を発揮しているのか、想像以上に機敏な動きを見せてなかなかトドメを刺させようとしない。

「……せめて、此奴らだけでも『フィールド・オブ・ナイン』の贄にしてやる!!」

 素早く身を翻し、クライストは支援役のフィアへ肉迫した。3人のうちの要になっているのが彼女であり、倒してしまえばリリスフィア本人へ手出しをするのも容易くなる。そうすれば、攻撃役のリリスをいなすのも簡単な話だと察知したのだろう。
 だが、それはリリスフィア自身も百も承知。

「フィア」
「ええ、分かっています」

 クライストが差し向ける炎の群れを、フィアは優れた防御力を活かして次々と消し去っていく。

「リリス、今だよ!」
「OK!」

 フィアが創り出した、クライストの僅かな隙。それをリリスフィアは見逃さず、即座にリリスへ告げた。阿吽の呼吸でリリスはクライストの間合いへ飛び込み、その眼球を狙って真っ直ぐに切っ先を突き刺した。
 そしてその一撃は……深々とクライストの目を潰し、脳まで届いていた。
 あれほどに燃えていた白い炎は瞬く間に消え失せ、クライストは膝から崩れ落ち、無様な骸を晒す。最早、彼が何かを語ることは無かった。

「……撃破、完了だね。みんなお疲れ様だよ」
「ん、お疲れさん!」
「はい、お疲れ様でした」

 リリスフィアは、リリスとフィア、そして先んじて戦っていた猟兵たちををねぎらいながら安堵の息をついた。
 猟兵たちも、ようやく終結した戦いにそれぞれほっとしている様子だ。

 これで、今後アポカリプスヘルで戦争が起きても、猟兵たちは多かれ少なかれ有利を得ることができそうだ――その戦争は、もうまもなくではあるが。
 それでも、とりあえずひと息つくだけの時間はできた。猟兵たちはひと時の休暇を過ごしに、帰還していくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年08月31日


挿絵イラスト