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幽船の召喚獣とガレオンとの別れの思い出

#ブルーアルカディア #ノーウェル浮遊大陸諸島

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#ブルーアルカディア
#ノーウェル浮遊大陸諸島


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 飛空艇。
 それは、ブルーアルカディアの生活と切って離す事が出来ない物。
 天使核を動力として空を飛び、大陸同士を繋ぎ合わせ、人々の足となり、一部の船は敵を迎え撃つ。
 だからこそ。時にこの世界に住む人々は自らの船に愛着を持ち、我が子の様に愛情を注ぐこともあるだろう。そしてだからこそ。どのような理由であれ、船との永遠の離別が耐え難い痛みとなって心に突き刺さる事もある。そうでなくても、だ。身近にある船が無くなるという事に一抹の寂しさを覚える者達がいる。
「えへへ……だから、皆で思い出しましょう?」
 風が吹く草原の大きな岩の上。そこに、膝の上へ黒い木で出来た大きな杖を置いて座る、黒いフードを目深に被った少年は少しどもった声で笑う。
「僕が、あの頃の姿を皆さんに届けます。一つの船として終わりを迎える前の姿を。壊される前の姿を。忌まわしい雲海に沈む前の姿を」
 彼の者の名はセイル。今は無き船を幽霊船として呼び出す召喚獣「ゴーストシップ」のセイル。
「その為に……僕がいます。皆に思い出してもらって覚えてもらって……皆が例え忘れてしまっても……僕はずっとキミ達を忘れないから……えへへ」

「不気味に見えるかもしれないけど、悪い子じゃないのセイル君は」
 初めまして。という挨拶もそこそこに自ら見た予知を語り始めるピクシス・ペリペティア(ペリペティアの羅針盤・f34106)。彼女によれば、「ゴーストシップ」なる召喚獣であるセイルと言う少年が近々、船達の慰霊を行う為の祭りを開くのだという。
「船の慰霊と言うと不思議に思うかもしれないけど、この世界のガレオンはまさに生活の一部だから何かしら皆、思い入れがあるのよ。そういう訳で偶にセイル君の力を使った慰霊祭を行うのがこの辺りの習わしというか習慣なの!まあ、そういった力の影響なのか、船に関わるオブリビオン達に襲われやすいのも事実なのです」
 小規模な襲撃であれば警備に付く勇士達の力で撃退できるが、今回の襲撃は少々大規模に行われるという。そこで、猟兵達に白羽の矢が立ったという訳だ。
「そういう訳で、皆さんにはこれから警備のお仕事に就いてもらおうかと!あ、オブリビオンに襲われている方の救助はお願いするけど、避難までは大丈夫よ。遠くの安全な所から、オブリビオンと勇士の戦いを見るのもお祭りの一環みたいな物だから!お仕事が終わった後は、お祭りを楽しんで来てね!ガレオンの事なんてわかんないかもしれないけど、幽霊の船が空を飛んでる姿は見ているだけで結構綺麗だし……ほんの少し思いを寄せてくれると、この世界に生まれた一人として私も嬉しいかな?お願いね皆!」


風狼フー太
 そろそろお盆ですし、こういうお話はいかがでしょうか?どうも皆様、風狼フー太でございます。

 不思議な召喚獣の力によって、今は無き船達が幽霊船となってもう一度飛ぶお祭り。そこに毎度の様に襲撃を掛けてくるオブリビオンですが、今回はいつもより大規模な襲撃となってしまいました。
 そこで、皆様の活躍によってこれを撃退し無事にお祭りを進めようというのが今回のシナリオとなっております。一章が集団戦、二章がボス戦、三章が日常という構成で、日常のフラグメントがお祭りに参加するという流れです。
 なお、召喚獣「ゴーストシップ」のセイル君は内気で、人と話す事は苦手な方ですが話しかけられれば、何とか答えようとする生真面目さを持ち合わせた性格となっており、戦闘では後方から自身が呼び出した船に備えてある幽霊の大砲を使って攻撃を行います。皆様のプレイングに指定しない限り、断章以外のリプレイに登場する事はありません。

 それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『空賊エルフ』

POW   :    ペネトレイトショット
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【貫通】属性の【魔術装填弾】を、レベル×5mの直線上に放つ。
SPD   :    アサシネイトバレット
【敵の視覚を惑わす魔法の木の葉纏った歩法】で敵の間合いに踏み込み、【呪・影・闇・魔の弾丸】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ   :    ダブルトリガー
【天使核マスケットと天使核リボルバー】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 浮遊大陸のとある場所に、数十、数百という人々が集まっていた。
 幾ばかの人は開いた両手を、或いは手持ち無沙汰を何かで埋める為、木の棒と布で組まれたいつでも畳める簡素な屋台を訪れて時を過ごす。
 だがそういった人々は稀であり、大方のここを訪れた人々は空を見上げている。そこに浮かんでいるのは、透明な輪郭を持った幾つ物の飛空艇達。形状、大小、様々なそれぞれが、この空で生きて、そして死んでいった物達であり、運が良ければ見上げる誰かに話を聞けば名を、そしてその生きた証を聞く事が出来るであろう。
「……えへへ」
 その姿を見る少年の姿がある。召喚獣「ゴーストシップ」としてこの船々を呼び出したセイルと言う名の少年の姿は、人間その物という物は少しばかり苦手であるが、船を見上げて思い出話を咲かせる、或いはその話を聞いて思いを馳せる人々が好きである。
 永くこの姿で時を過ごした彼は思う。きっと、この世界の人々が空飛ぶ船の事を忘れることはないであろうと。そうである限り人々の為に、この力を振るおうと。
「……来た」
 何度も、このような経験を積めば慣れるという物だ。此方へと向かってくる黒い大きな塊に気が付いたセイルは立ち上がると、歌う様に船々へと指示を出す。それを合図に屋台の店主は店をたたみ、見物客達と共に遠くへと移動を始め、そして船達は両舷から大砲の砲身を覗かせて、黒い塊を今か今かと待ち構える。
 空に浮いていた船は、人や物を運ぶ為だけに生まれたわけではない。外敵から誰かを守る為、或いは敵を攻め立てる為に武装を積んだ船という物が存在する。その彼等の事も思い出してもらう為に。
「戦おう……皆」
 黒い大きな塊――巨大なオブリビオンと化したガレオン船から大地へと降り立つオブリビオン達。そのひと固まりへと砲撃を開始する幽霊船達。
 いわばこれは人々を慰める為、そして思い出してもらう為の戦いである。
ニノマエ・アラタ
忘れないための戦い、か。
俺にとっては船も空も遠いものだが、
それらを想う気持ち……ってのは、わからないでもない。
偶にはそんな戦いに手をかしてみるのも、悪くはない、か。

砲弾を抜けてくる敵に対し、炎の海でお出迎えだ。
対複数を意識して戦う。
銃の射程距離に気をつけ、間合いに踏み込まれるまでに
敵を敵として認識しておく必要があるだろう。
照準を何処に合わせてくるか、弾丸がどの軌跡を描くか、
瞬時に見切る。
……狙撃の感を呼び戻すつもりで。
延焼する炎で敵の足止めと、目くらまし効果を狙いながら攻撃。
なるべく長期戦は避け、スパっと終わらせたい。
敵もこちらも、お互い苦しむための戦いじゃない。
……そう思ってるから。



 雲の様な灰色の帽子と、鈍色に光る銃を構えたエルフ達。
 軍隊の様な規則性など無く、人々の集まる場所へと向けて進む彼女達に幽霊船の砲弾は雨あられと撃ち込まれる。その数と同じだけの土の柱が空へと向けて立ち上がり、巻き込まれて幾人かのエルフ達もまた空へと舞い上がる。
 そして空から落ちてくるそれを顧みる事無く、さらに進む彼女達の前に立ち塞がったのは、巨大な炎の壁であった。
「忘れないための戦い、か」
 業火剣乱――妖刀の一振りが生み出した炎。空気を熱するそれが熱風を放ち、その余波を受けてニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)の短く切った髪が少しだけ後ろへとたなびき、服が波打つ。
 彼にとって船も空は、遠い世界が生み出した馴染みのない物に過ぎない。だが誰かが、何かを思う心という物は理解できる。
 だからこそ彼は、此処にいる。
「……偶にはこんな戦いに手をかしてみるのも、悪くはない、か」
 言い終わると共に炎の向こう側から視線を感じ、妖刀の刃を上にして両手に構えるアラタ。ほんの少し炎が揺らいだと共に飛び出した四人のエルフは、燃え盛る木の葉でアラタを牽制する。
(敵4、四方から俺を囲む、短銃で狙いをつける)
 煩わしい木の葉を切り払うアラタが見た物は、短銃の射程の長さと言う利点を捨てて彼の懐へと踏み込み狙いを付けるエルフの姿。
 前後左右、四方を囲まれた上で放った銃弾。それを撃つまでの全てをアラタは見ていた。
 両足を狙う二発の弾丸を跳んで、頭を横にずらして一発を、心臓を狙う一発を切り払い、全て凌ぐと共に返す刀で四人のエルフを切り伏せる。
「……狙撃には心得がある。見ていれば何処を狙うか、ある程度わかる」
 振り払った刀の血の主は倒れたまま動かない。どうやら手早く済ませられた様だと安堵の息を付くアラタ。
 敵もこちらも、お互い苦しむ為の戦いじゃない。……少なくとも彼は、そう思っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アメリア・イアハッター
皆の夢を乗せて飛んでいた船が、再び空へ
とっても素敵なお祭りね!
皆と船との交流を邪魔する子は、追っ払っちゃおう!

わざわざ地面に降り立ってきてくれたところごめんだけど、もう一回空に行ってもらおうかな!
UC発動
敵だけを竜巻で包み込み、空へと打ち上げでそのままプカプカと浮かせておく
これなら、他の味方やセイル君も攻撃しやすいでしょう
セイル君、おっけーよ! 撃ち込んじゃって!

こちらや味方を狙う余裕がある敵を最優先で攻撃し、後はセイル君たちが撃ち漏らした敵を順々に倒していきましょう
空中戦はね、私のテリトリーなの!
浮いちゃったなら、後は近づいて叩き落すだけ!
相手より高く跳躍し、どんどん蹴り落としていこう!



 軽快な音楽と共に、黒いブーツが地面を叩く。トンと右足、タンと左足、リズムに合わせてクルっと一回転。
 アメリア・イアハッター(夢想空流・f01896)がダンスを刻む毎に、風が彼女の足元へ集まっていた。
「わざわざ地面に降り立ってきてくれたところごめんだけど、もう一回空に行ってもらおうかな!」
 軽くジャンプして、エルフ達の前に降り立ったアメリア。その足元から噴き出した風の塊は嵐となり、竜巻となり、彼女が望んだ者を空へと導く。
 左手で帽子を抑え、風を受けやすい様に空中で仰向けになり、背中で風を受けて空高く飛び上がったアメリア。眼下に広がるは、空に浮く大地と底の見えない空の下。そして、彼女の上に浮かんでいるのは真っ青な空と、輪郭だけが見える幽霊船。
(……触れられない、な)
 ふと、触れられそうだったから右手で幽霊船へと手を伸ばしてみるが、輪郭に触れても何も感じる事はない。
 この船はもう人を乗せることはなく、物を乗せることもない。目で見る事は出来ても、この船はもう死んでいるという事実にどうしても一抹の寂しさがある。
 それでも。
「皆の夢を乗せて飛んでいた船が、再び空へ。とっても素敵なお祭りね!セイル君、おっけーよ!撃ち込んじゃって!!」
「えっ!?……えへへ……それではお言葉に甘えて」
 突然声を掛けられ、ビクリと体を震わせたセイルが両手に持った杖の先を地面に刺すと、空に響き渡る火薬の弾ける音が、重い物が空気を高速で切り裂く音が、大砲の一斉射撃が竜巻に巻かれて宙へ浮かんだエルフ達へと襲い掛かる。
 運よくそれらを逃れたエルフもいたが、鷹の如く、上空から見つめるエメラルドの瞳がそれを逃す道理はない。
「空中戦はね、私のテリトリーなの!」
 獲物を見つけた猛禽類を思わせるアメリアの蹴りを見て放ったエルフの銃撃は、風を足場に、空を舞台にする彼女に当たる事はない。
 くるりと縦に一回転、避けると同時に地上へ向けた蹴りを受けて、先程まで空中にいたエルフは再び地上へと落下し、土煙を上げている。
「皆と船との交流を邪魔する子は、追っ払っちゃおう!」
 竜巻のダンスフロアを舞台にした彼女のダンスは、空にいるエルフが居なくなるまで、終わる事はない。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳴海・静音
海と空との違いはあれど、船ってのはやっぱいいもんだよなァ?
しかし船の供養にこういう方法がとれるってのはスゲェもんだな
…おもしれぇし、一つ協力するか

さーて、実は俺も似たような事が出来てなァ…っても今の俺だと呼べる船は自分の船だけなんだが
おら野郎共ッ!船乗りとして恥ずかしい真似はするんじゃねぇぞ!『亡霊の船出』ッ!
囮的に前へ行き、向かってくる奴らを片っ端から撃ち落としてやるぜ
それによォ、こと「操船」と「船上戦」で、野郎共に勝てる奴らはなかなかいないぜェ?
野郎共ォ!ある意味先達として、その力を見せてやれッ!

※協力・アドリブ歓迎
手下共の言動等はお好きにどうぞ



 空飛ぶ大地に、喧騒、怒号、金属同士のかち合い音に銃声が飛び交う。
 争うのは二つの勢力。一方は襲撃してきたエルフ達。その彼女達に襲い掛かっているもう一方は――。
「野郎共ォ!ある意味先達として、その力を見せてやれッ!」
「オォォォォ!!」
 甲高い声の怒号に野太い声の鬨が上がる。鳴海・静音(不思議の国の亡霊船長・f19460)に率いられていたのは、幽霊の海賊達であった。
 
 時は少し遡る。
「海と空との違いはあれど、船ってのはやっぱいいもんだよなァ?」
 世界の違いによる、或いは種族の違いによる船の供養という方法のスケールの違いに驚きながら、遥か上空に浮かんだ幽霊の飛空艇を見て、満面の笑みを浮かべる静音。
 幽霊の海賊達を率いる彼女にとって死した船に思いを寄せる者達をぞんざいに扱うわけにはいかない。それは世界が違うからと言って、違えることはない幽霊船長としての矜持。
 だからこそ、この祭りを邪魔する者達を許すわけにはいかない。
「さーて、実は俺も似たような事が出来てなァ…っても今の俺だと呼べる船は自分の船だけなんだが」
 そう言って静音が掲げた海賊旗、その先端に付いた宝玉が禍々しく光を放つ。それに惹かれて宙より現れたのは、かつて海を渡っていたであろう朽ちた海賊船。
 そして、それに乗っていた海賊達である。
「おら野郎共ッ!船乗りとして恥ずかしい真似はするんじゃねぇぞ!」

 時を戻し――方や未来を滅ぼす為に空に生きた空賊が、方や未来を守る為に海に生きた海賊が、己が欲望を満たす為にしのぎを削っていた。
 空賊エルフのマスケットやリボルバーが、幽霊海賊のカットラスやピストルが互いに互いを切り裂き、撃ち抜く大乱戦。
 その先頭に立つ静音を先に討ち取らんと、幾人達のエルフが銃を構えて彼女へと弾幕を浴びせる。
「しゃらくせぇ!!」
 致命的な場所へとの攻撃だけは避けながらエルフ達を切り払い、カットラスの呪いで命を奪い銃弾を受けてできた傷を癒した静音は手に持つ武器を高らかに空へと向ける。
「もうひと踏ん張りだ!気合を入れろォ!!」
 この船に、船長の奮闘に答えない船員はいない。先程よりも意気を上げ、幽霊の海賊達は少しづつエルフ達を押し返してゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マルチナ・ヴァンエイセン
ひょっとしたら、と思っていたんですけど。
幽霊船の中に私の姉妹達はいませんでした。
やっぱり『そういう事』なんでしょうか?

うーん、今は戦闘に集中します!
……とはいえ、今の私にできる事は限られています。
ちょっと前に無茶をしてしまって多くの機能が使えません。

まあ仕方ないですね。
アンテナを通じてなんとなく幽霊船とコンタクトを取り、支援砲撃のタイミング調整や命中精度上昇を狙います。
観測手と狙撃手の関係ですね!

砲撃で敵が乱れたら、飛び込んで爆沈投錨を使います!
ベルトを伸長させカバンをぶん回して暴れましょう。
敵攻撃は威力上昇に時間がかかるようですし、勢いで押し切った方が被害を抑えられるんじゃないかと思います。



 風に触られて首輪に付いた鐘がチリンと鳴り、何か、或いは誰かを探して頭の上に生えた猫の耳がピクピクと動く。
「……ひょっとしたら、と思っていたんですけど」
 空に浮かぶ幽霊飛空艇達を見上げて、ガレオノイドであるマルチナ・ヴァンエイセン(フライア級輓式汎用試作飛空艇・f33970)が探していたのは同じ型であるフライア級飛空艇の姿。
 その姿が無いという事は彼女の姉妹達は船としての役目を終えていないという事だ。理由は幾つか思い当たる。もしかすれば、空の底へと――。
「……うーん、今は戦闘に集中します!」
 分からない事を何時まで考えていてもしょうがない。最悪な事ばかりを考えていてもしょうがない。ブンブンと頭を横に振ると、肩でベルトを掛けているタイプのカバンを下ろし、自分の前に両手で構える。
 見渡す限り青々とした草が茂る草原。姿を隠せる様な場所は何処にもなく、敵の銃弾は詠唱によって威力を上げる。
 ならば多少なり危険でも速攻で沈めるのが一番だと判断したマルチナは、船体が変形したカバンで銃弾を防ぎつつ、首元の鐘をチリンと鳴らして、彼女達の前へと躍り出る。
「敵の位置を補足、着弾地点の報告!正確な情報があれば正確な射撃が撃てます!観測手と狙撃手の関係ですね!」
 彼女が見た物、聞いた物が、耳に付けたピアスから幽霊船へ、幽霊船から召喚主であるゴーストシップの少年へ。それを受けて徐々に正確に、そして効果的になる幽霊船の射撃に、遂にエルフ達の一角が崩れてゆく。
「いきますよー!」
 そこにカバンのベルトを両手で持って飛び込んだマルチナがグルングルンとカバンを、一回、二回、三回転。
 その度にカバンに叩きつけられたオブリビオンのエルフ達が、空へと舞い上がってゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

叢雲・雨幻(サポート)
堂々と正面から、と言うよりは掠め手で相手を惑わせて
攪乱しながら一網打尽にしていくような戦い方を好むよ。

使う武器は【黒雲】【黒霧【対】】の二刀流での高速戦闘が主。
使うUC次第では連結してダブルセイバーにしたり、
そもそも剣を主武器として使わず【武器受け】用として使いつつ、影を操る攻撃で戦ったりするよ。

主に戦い方の例を挙げるならば
【目立たない】様に物影を介して【忍び足】で動き回り敵の視線から外れたり、
【闇に紛れて】居場所を攪乱したり
攻撃すると見せかけた【フェイント】を使って騙したり、
【武器(で)受け】てから【カウンター】で仕留める等だね。
洗脳等で助けられる相手を攻撃する際は、ある程度手心を加えるかな



「これから斬るとはいえ、カワイ子ちゃん相手なら、オジサン張りきっちゃおうかねぇ!」
 何処か胡散臭い笑みを浮かべて、叢雲・雨幻(色褪せた根無し草・f29537)は体を揺らしながら歩き、エルフ達の前へと立つ。
 大胆、或いは傲慢とも言える程、無防備なそれに銃口を合わせる彼女達。誰かが指し示す訳でもなく、一糸乱れぬ爆発音と共に一斉に発射した銃弾は風を切って雨幻の元まで届き。
「それでは、御開帳ってなァ!」
 目に見えたのは、雨幻が腰に携えた二振りの刀を高速で抜くまでの事である。ほんの少しの間消えた両腕と共に甲高い音が幾つも鳴り響き、次に腕が見えた時、彼の両手には黒雲、黒霧と名付けた二振りの刀。そして彼の足元には二つに割れた銃弾の数々。
 それは誰の目から見ても、彼が銃弾を切り払ったと言う事を裏付ける物であった。
「曲芸じみてるが、大サービスだ。とくと見て行ってくんなァ!」
 ただ一度のまぐれではないと言う事を示す様に、続け様に放ったエルフ達の射撃も雨幻には届かない。
 三度、放った弾丸もまた切り払われて足元に散らばる銃弾の数も増え、此処にきてエルフ達も通常の弾丸では貫けないという事を悟る。雨幻に放たれる銃弾の数が減り、その代わりいくばかのエルフが眼前に銃を構え詠唱を始めたのだ。
 時間と共に威力の上がる銃弾を以て、彼の剣劇を潰す。その考えに間違いはない。
「でも、それはオジサンが許さないんだなぁ」
 雨幻の足元から伸びる見え居ない程の薄い影。それが、銃撃を行っていたエルフ達の一角を、下から顎へ殴りつけたのだ。
 突然、顔をのけぞらせて後ろに倒れたエルフ達。その彼女達が補っていた役割を果たす間もなく、飛び込んできた影が一つ。
「オジサンの間合いの外ン時ぁ……足元注意だぜ」
 始めの頃に見せていた顔はもう雨幻の顔にはなく、銃弾を斬る程の神速の剣技は既にエルフ達の首元へと迫っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
 サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
 嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!



「世界が変わろうと、祭りは民草にとって心を癒す物。このまま黙ってみている訳にはいきませんね!」
 草原を縦に裂く銃弾の雨を、炎を纏う火産霊丸が嘶きと共に草原を横に駆けて躱し、その背に跨る徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)は上半身を低く屈み、手綱から右手を放すと強く握り力を込める。
 一つの国を治める者として、家光の心に宿るは義憤の思い。目の前に並ぶエルフの軍勢を放っておく事、それ即ち世界の破壊の破壊を見過ごす事である以上に、ブルーアルカディアに住む無辜の民の安楽を乱すことに他ならない。
「多勢に無勢。であれば、僕も軍勢を呼ぶことしましょう」
 彼が今呼び出そうとしているのは、神話にある因幡の白兎にまつわる物。海を渡る為、兎が騙した動物達を呼び寄せるユーベルコード、名を神州因幡白兎殺。
 つまるところ、サメの軍勢の召喚である。
「神話の獣達よ。共に戦場を駆けましょう!」
 しかも空を飛び、胴の周りに回転する刃を身につけているサメである。
 こんなサメを騙そうとしていた兎は随分と度胸があるな等と言う話は置いておくとして。空飛ぶサメに向かってマスケットとリボルバーの弾丸の弾幕を張るエルフ達に、怯むことなく空からサメ達は襲い掛かり、その牙で、その刃で、犠牲者を増やし、それは最早サメ映画のワンシーンその物で。
 その中を、今が好機と腰に差した千子村正権現を右手に構えた家光は、火産霊丸の行く先を隊列の乱れたエルフ達へと向ける。
「悪しきオブリビオンの先兵達よ、成敗!」
 最早抵抗らしき抵抗もなく、サメと家光に蹂躙されるエルフ達。
 いかなる悪を許すわけにはいかない。家光の正義の心が、悪たるオブリビオンの野望の一つを打ち砕いた瞬間であった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ガレオンドラゴン』

POW   :    属性変換
【ドラゴンの牙】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【部位を持つ『属性ドラゴン』】に変身する。
SPD   :    ガレオンブレス
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【口】から【ブレス砲撃】を放つ。
WIZ   :    飛竜式艦載砲
【飛空艇部分の艦載砲】を向けた対象に、【砲撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達がオブリビオンのエルフ達を押し返してゆく度に、後方からその様子を見ていた祭りの参加者達から歓声が沸き起こり、最後の一人である彼女が骸の海へと還ったその瞬間、歓声は爆音となって青い空の下に鳴り響く。
 彼等がこの世界で生きる以上、屍人帝国とは何らかの関わりがある。それを断つ為、立ち向かう為、生きる為、飛空艇とは無くてはならない物。だからこそ、今まさに空に浮かぶ幽霊船達へと思いを寄せる者達が、屍人帝国の先兵達を打ち払った猟兵達に惜しみない賛美を送るのも当然の事であった。
 ならば彼らの想いに答える為にも、最後の務めを果たさなければならないだろう。今だオブリビオンのエルフ達を乗せたドラゴンと化したガレオンは健在である。
 目の前にいる命を憎み、滅ぼすべく雄叫びを上げるこの船を堕とし、全てを脅威を排除すれば、後は人と幽霊船との語らいを残すのみである。
鳴海・静音
よっしゃ、後は相手の本船か!
とはいえさすがにあのデカさ、しかも場所が空となると俺にァちっと分が悪ィな
普通の船なら俺達が直接乗り込んでやるんだが、それはさすがにできそうにねぇしなァ
仕方ねぇ、今回ばかりは他の奴らに花を持たせるとするか

相手は高速で動くんだろ?だったら動きを止めてやるぜ
『亡霊の錨綱』!相手の周りから射出してからめとっちまえ、船を止めるならやっぱ錨だろ?
…使い方が違う?硬いこと言うなよ。ついでに錨で砲弾とかもぶちぬいちまえ
んで、あとはさっきの自分の船で遊撃さ。さぁ、片付けちまおうぜ!

※協力・アドリブ歓迎
手下共の言動等はお好きにどうぞ


氷咲・雪菜(サポート)
 人間のサイキッカー×文豪、13歳の女です。
 普段の口調は「何となく丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 独り言は「何となく元気ない(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

氷や雪が好きな女の子で、好きな季節は冬。
性格は明るく、フレンドリーで良く人に話しかける。
困っている人は放ってはおけない。
戦闘は主にサイコキャノンを使って戦う。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 空飛ぶオブリビオンの飛空艇の横に備えつけられた大砲が、下にある大地に先を向けて炎を撃ち、火薬の爆発した推進力、そして重力を受けた鉄の砲弾が大地に大きく穴を開け、辺り一帯を土埃で包み込んでいた。
「口に砂が入っちまったぜ……さてと、後は相手の本船だけだが」
 突然の土煙に巻き込まれ、苦虫を嚙み潰した様な顔で口に入った土を唾と共に吐き出した土を鳴海・静音(不思議の国の亡霊船長・f19460)。
 忌々しく空を見上げるが、海に浮かぶ船ならまだしも、空に浮かぶ船へと乗り込むというのは、厳しいか。と、両腕を組む静音。
「流石に俺の船は海を往く物だからなァ、ちっと分が悪ィな」
「だったら私が。氷の騎士達よ!」
 悩む静音の隣にいた氷咲・雪菜(晴天の吹雪・f23461)が、ならばと両手を地面に付けて冷気を込めれば、彼女の前に出来上がったのは透き通った体を持つ氷の騎士達。
 太陽の光を透かし、体の中で乱反射し輝く騎士達は、氷の弓矢を引き絞ると上空へと狙いを付ける。
「放て!」
 雪菜の号令と共に、一斉に風を切り氷の矢は上空へ。
 しかし、いくつかはオブリビオンの竜の体を、船の体を貫いているが、高所にいるオブリビオンに矢が届く事は稀であり、何より自由に空を羽ばたく事が出来るオブリビオンにとって飛来する矢は避ける事が出来る物。
 まともに当たればダメージを与える事が出来るのは間違いないが、当たらない。その事実が雪菜の胸の中にもどかしい思いを生み出していると。
「成程なァ……錨を放て野郎共ォ!」
「アイアイサァー、キャプテン!」
 その思いを吹き飛ばす様な、威勢のいい少女の声と、それに呼応する景気の良い声。二つの声と共に、オブリビオンの上空に白い渦が現れる。
「ヨーソロォー!空に錨を下ろす何てのもおかしな話ですがな!」
「ガタガタ抜かすな、やれ!」
 見れば、静音の率いる幽霊の海賊達の手元にも同じような渦がある。その中に、この世の物ではない白く透き通ったロープに繋がれた錨を放り込む海賊達。
 それと共に、痛みを訴える悲鳴を上げるオブリビオン。先程、海賊達が渦の中に投げ入れた錨が、オブリビオンの上に浮かんだ渦から飛び出て襲い掛かったのである。
 船体にある大砲を錨が潰し重しとなり、実体のないはずのロープが翼に絡まり、動きを封じられて徐々に高度を下げてゆくオブリビオン。
「これで届くよな!」
「ありがとう!大丈夫、絶対に届かせる!」
 今度は外さない。意気込みと共に右手を上げた雪菜に合わせて、再び弓に矢を番える騎士達。氷の矢じりが、ドラゴンの船底を捉えて。
「撃て!」
 再び一斉に放った矢の狙いは、それる事無くオブリビオンの元へ。
 船底に、羽の皮膜に、船の上部にある気嚢にへと矢が突き刺さる度に、喉の奥底から憎しみの籠った悲鳴が響き渡るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニノマエ・アラタ
狙撃銃を手に相対する。
敵が体勢を崩すよう、翼の付け根や尻尾などに銃弾を撃ち込み、
思うとおりに飛べないようにする。
敵の飛行を乱し、最後に心臓部……実際には無いと思うが、
胸部中心に一撃必殺で弾丸を撃ち込む。

ドラゴンになって、乗組員を守りたかったんだろうか。
……この船は。
だとしても何かを少し間違えた。
だからオブリビオンになってしまった。
いくつもの後悔と無念を乗せているのだとしたら、
華々しく撃ち滅ぼし、還るべき場所へと還すのが俺の役目。
今度蘇るときは、人を守る船として。
人と共に在る船として。
この世界に戻れるように。

せめて、美しく散る姿を人々の心に残して逝ってくれれば。
……だから、この祭があるのか。



 乾いた破裂音と共に、上空を飛ぶ飛空艇と一体化した竜が苦痛の籠る怒りの咆哮を上げる。
 空の自由を奪う為、翼の付け根を狙ったニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)が両手に構えた軍用の狙撃銃は、銃口から煙を上げ狙い通りの場所を貫いていた。
「……ドラゴンになってでも、乗組員を守りたかったんだろうか」
 ふと、一筋の推測がアラタの頭の中を駆け巡る。
 この船は空の底に沈み、オブリビオンとなった存在のはず。
 この世界において飛空艇は無くてはならない物であり、例え飛べなくなったとしても空の底に捨てる等という事はない。
 であれば、あの船は何かしらの戦いで沈んで行ったのではないだろうか?であれば、乗っていた乗組員達はどうなったのであろうか?
 その無念とはいかほどの物であっただろうか?
「だとしても、か」
 怒り狂い、空から大地ごと呑み込もうと言わんばかりの竜の顎を避けるアラタは狙撃銃に銃弾を込める。猟兵がオブリビオンに掛けられる慈悲の数は知れているのだ。
 その背にいくつもの後悔と無念を乗せているのだとしたら、華々しく撃ち滅ぼし、還るべき場所へと還す。
 その思いを胸に、大地に食らいついた頭へ、狙撃銃の照準を合わせる。
 次に生まれ変わる時は人を乗せる船として、誰かを助けられる船として。と、願い引き金を引いた銃弾は彼の竜の頭を貫いた。
「ああ……だから、この祭があるのか」
 再び竜の口から怒号の咆哮が響く。
 きっとこの世界では忘れてはならないのだ。空飛ぶ船の事、その全てを。

成功 🔵​🔵​🔴​

二本木・アロ
秋の彼岸みてーなもんか?
警備うけたまーりましたー、【ブットバース】でっす。
空飛ぶのにドラゴン捕まえてたら遅くなっちまった。
ドラゴンフライっつーらしいけど、ま、似たよーなもんだろ。

で、あのデカいの倒せばイイんだよな。
基本的に近接戦闘しかできねーから、『シトゥトゥビ』の背に乗せて貰って、ガレオンドラゴンより上に飛んで貰うぜ。
コイツは動体視力も飛行速度も負けねーぞ。

ガレオンドラゴンの真上に来たら【ジャンプ】!
シトゥトゥビは牙で剥ぎ取られると困るからな、離脱させる。
あたしは敵に向かって飛び降りて【捨て身の一撃】だ!
【怪力】任せの灰燼拳でぶち抜いてやるぜ!
着地は……【落下耐性】でまあ、なんとかなんだろ。



「警備うけたまーりましたー、ブットバースでっす。空飛ぶのにドラゴン捕まえてたら遅くなっちまった」
 そう軽快に笑う二本木・アロ(ガードカツィナの娘・f02301)が背に跨っていたのは、人を一人乗せて空を飛ぶには十分な大きさを誇る巨大な蜻蛉。
 本人曰く「ドラゴンフライっつーらしいけど、ま、似たよーなもんだろ」との事だが、その間違いを指摘できる者はこの場所にはおらず、何よりその威容はドラゴンと言っても過言ではない。
「で、あのデカいの倒せばイイんだよな」
 アロが目の前を見れば、そこにいるのは巨大さが故の圧倒さを持つオブリビオン。だが、此方もそれに渡り合える相棒がいる。
 巨大蜻蛉、シトゥトゥビは、蜻蛉特有の目でアロを見て、アロもそれに返す。一人と一匹はそれを合図に、高速で移動しオブリビオンの前へと立つ。
「コイツの動体視力も飛行速度もあんたには負けねーぞ!」
 迎え撃つオブリビオンの牙や、翼や、尻尾。それ等をアロの言葉通り、シトゥトゥビは独特な薄い巨大羽は高速で瞬き風を創り出だすと、まっすぐ向かってきた所に開いた顎を急激に方向を変えて下に潜り込み、下に生えた翼が叩き落そうとした所を加速して抜け、背中まで来た所で襲い掛かってきた尻尾を急上昇して上に。 
「流石相棒!」
 背に乗っているアロが、一連の攻防の中で何もしなかった事もあり、オブリビオンの意識は完全にシトゥトゥビへと向いた。
 そしてシトゥトゥビがガレオンドラゴンの真上を取った瞬間、振り落とされぬ様掴んでいた手の力を弱めて、この世界にある重力の力に身を任せ始めるアロ。
「あたしは近接戦闘しかできねーから、こーするしかないのさ!」
 左手を握り、右手がそれを前で覆い、構える。全身を纏う太陽のカチナを模った紋が光りを放ち、その左手に込められた力の大きさを物語る。
 たった一人で船を破壊する事は出来ないというのは、人が持つ法則だ。
「ぶち抜いてやるぜ!」
 甲板に身体が衝突するよりも早く落下速度も加えて貫いたアロの左手が、堅い木の板にひびを大きく入れ、遂にそれは大穴へ。
 響き渡る苦痛の咆哮が、何よりもそのダメージの大きさを物語っている。
「やりぃ!……さて後は」
 その攻撃の衝撃で再び空中へと投げ出されたアロ。
 下を見れば、とりあえず地面があり、空の底に投げ出される心配はない事に、とりあえず一息を入れる。
「……ま、何とかなるか!」
 この戦場に来た時と同じように軽快に笑うアロ。その羅刹を、一匹の蜻蛉が猛スピードで追いかけるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エウトティア・ナトゥア(サポート)
※アドリブ・連携歓迎

負け描写、引き立て役OK

キャラを一言で言えば、なんちゃって部族じゃよ。
精霊と祖霊を信仰する部族の巫女をしておる。
自然が好きなお転婆娘じゃ。
あとお肉が大好きじゃよ

活発で単純な性格で事の善悪にはあまり興味はないのう。
自分とその周囲の安寧の為、オブリビオンが害になるから戦っておる。

専ら【巨狼マニトゥ】に騎乗していて、移動や回避・近接戦闘等は狼任せじゃよ。

ボス戦時は、動物や精霊を召喚しての行動(実は未熟ゆえ精霊や動物たちにフォローされている)で数で対抗しつつ、自身は後方で弓矢や術で援護するスタイルじゃ。



「世界が変わり大地が浮こうと、やはり土や草花が変わる事はないのう」
 巨大な狼、マニトゥの背から降りて、足元の土を右手で掬うエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)。湿り気の残る土の手触りと匂いは、故郷の物と同じく命を育む物だ。
「ならばこの世界もわしが愛し、守る大地に違いあるまい。何より、迷える魂を導くのも巫女の役目じゃろう」
 そう言って上を見上げるエウトティア。見上げたそこにいるのは、空に浮かぶ竜と飛空艇が融合したオブリビオン。
 慰霊の祭りに惹かれてやってきたこの過去の存在も、元は何かしらの船であったのであろう。であれば、それをあるべき場所へと還すのも自分の役目と、再びマニトゥの背に乗るエウトティア。
「土の精霊よ。わしの声に応えてくれ」
 力強い四つ脚が大地を蹴って風を切り、一人と一匹の存在に気が付いたオブリビオンの空からの砲撃を躱す。その間に、手に持った土の中にいる精霊に声を掛けていたエウトティア。
 その手にはいつの間にか、一本の矢が握られていた。
 無機質な土は木に代わり、矢に代わり。その周りには小さく、しかし力強く幾つ物白い花を咲かせる蔦が絡まっている。
「主がそんなに高く飛んでいるのが悪いのじゃぞ」
 砲撃の回避は相棒に任せ、愛用の手製の短弓を構えて、先程の矢を番える。弦を引き絞り、狙うは空に浮かぶ歪な過去の存在。
「手向けの一矢じゃ。受け取るがよい」
 言い放って、空に放った矢はその形に反して遠く、真っすぐに。
 そして、その行いに思う所があったのか。或いは、今までの猟兵の活躍があってこそか。
 矢に貫かれたオブリビオンは力を失い、空飛ぶ大地に轟音と土煙と共に、その体を堕としたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『飛空艇供養』

POW   :    飛空艇達の活躍を思い、祈りを捧げる

SPD   :    飛空艇達の歩んだ道のりを思い、祈りを捧げる

WIZ   :    飛空艇達と乗組員の絆を思い、祈りを捧げる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 地に倒れ伏し、完全に動かなくなったオブリビオンを見た祭りの参加者達が、興奮のまま思い思いの歓喜と感謝の声をもって勇士たる猟兵達を迎える。
 此処に集まる人々の殆どは、程度の差は有れどオブリビオンの手によって痛手を負い、中には愛する人や船を失った者もいる。それ等、恐怖の象徴を勇士達の手によって討ち果たすという事は彼等にとって希望であり、慰めでもあるのだ。
 すぐさま巨大な龍と船の合わさったオブリビオンの解体が行われ、天使核を含めた使える部品や素材へと変換されてゆく、その最中。
「……えへへ……彼等がもたらした悲しみ。それを憎む気持ち……そういう物を忘れろなんて、僕は言いません」
 召喚獣ゴーストシップ。過去に失われた船達の姿を幽体として現世へと蘇らせる力を持つ少年、セイルの声が響く。
「だから懐かしむ気持ち……思い出を懐かしく気持ちが色褪せない様に……僕達を見てください」
 祭りの初めの時と同じように、空を見上げれば空が狭く感じるほどに、幾つもの、大小様々な幽霊の飛空艇が飛び交っている。様々な意味で、この世の物とは思えない光景。
「祈ってください……懐かしんでください。喜んで、時には悲しみに泣いてください。貴方の知っている船を色んな人に聞かせましょう?……そうすれば、きっとこの船達は何時までも、ずっと、誰かの思い出の中で生きていけます、から」
 時は太陽の沈む夕暮れ時。光と闇が交わる時間帯は、船達を想い、再び静かに、だが賑わいを見せる事だろう。
西瓜・パルディナ
「違う世界での供養が出来るなら協力させて貰うよ」
              この事件に対してこう感じ参加します。

⚫マスター様にお任せ
連携&アドリブOKだよ

今回は大変だったね…

「飛空艇達と乗組員の絆を思い、祈りを捧げる(WIZ)」に挑戦します。

            
◼️ユーベルコード「生まれながらの光」を使い、祈りとアートの技術を工夫して飛行艇乗りと乗務員の魂と絆が安らかに眠れるように供養に協力するよ。
 

最大の目的は、この行動を成功させることです。
 

その為なら、ある程度の怪我や些細な失敗はやむを得ないものとします。

ともかく悲しみを癒す時間はかなり掛かりそうだね。

最後に出来れば供養灯を
立て魂が迷わないようにお祈りをするよ。

聖者らしく最後はオーバーロードを活用し魂が迷わず浄化できるように力を使います。





  


ニノマエ・アラタ
自分は想い出を持たない。
だから、誰かの想いを映し出す鏡のようなものだ。
……たぶん。
誰かに酒を一杯奢りながら聞かせてもらおう。
なに、酒代は話の対価のようなものだ。
酔う目的じゃない、軽く一杯。
屋台だってそのへんを心得て用意しているはずだ。
このへんでよく好まれている酒をたずね、
酒の肴も頼みながら。
……重い話であろうとも、気兼ねなく語ってもらえたらと。
俺はただ頷き、相槌をうち。
飛空艇を弔う手伝いをする。
祭りのざわめきと、行きかう人々の想いが交差する場所で。
幽霊船を見上げる。
帰りにはセイルに一言告げて。
いい祭になったな、と。



 ある勇士は言う。
「俺の友人が乗った船が、屍人帝国との戦いで雲の下に沈んだんだ。……此処にその船がいないという事は、いずれ戦う事になるという事なんだろうな」
 ある老婆は言う。
「島と島を繋ぐ連絡船が、大分前に解体されちゃってねぇ。此処に来ればもう一度会えるって聞いていたんだよぉ。来てよかったよ」
 ある少女は言う。
「お空に浮かんでいる船、透明で綺麗なの!私も強くなって船乗りになりたいなぁ」
 日が落ちて空が赤灼けに染まる頃。三者三様、十人十色の人の想いが。後悔が、懐旧が、憧憬が、その他の思いが人々の口から紡がれてゆく。それらの話を西瓜・パルディナ(人間の聖者・f19082)は先程の喧噪で傷を負った人々を癒しながら、ニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)は祭りの参加者達が集まる屋台の中で聞いていた。

「この祭りは、いつもこんな感じなのですか?」
「そうだねぇ。とはいっても、今回は特に派手だった気がするね」
 パルディナのユーベルコードで腕に負った傷を治して貰っていた青年は、彼女に対する感謝の笑顔と共に彼女の問いに答えていた。
「いつもセイル君のお祭りには参加してるけど、ここまで酷い怪我をしちゃう事は無かったし」
 この祭りが開催する度、警護に当たる勇士がいるのは確かだ。それでも、この様に怪我人が出る時があったのだろう。青年は特に自身の怪我を気にすることなく、空を見上げている。
 これだけ危険だというのにどうして参加しているのか?そんな声になっていない筈のパルディナの疑問に応える様に、青年は言う。
「僕は、飛空艇の整備士でね。まだ半人前だけど、それでも此処に浮かんでいる船の幾つかに手を入れた事がある」
 怪我をしていない腕を上げ、幾つか目についた船を指を差して自分が関わった事がある船に指を差す青年はそのまま話を続けてゆく。
「壊れた船を直すのが専門だけどさ。もう直せないから、老朽化が激しいから……人を乗せる事が出来ないからという理由で解体した船もある。その船がもう一度、空を飛んでいる姿を見るのは、なんか嬉しいんだ」
「……そうですか」
 怪我の治療が終わり、横目で見る青年の顔は懐かしさと寂しさが同居している様な顔をしている。
 きっと、これはこの世界に生きている人にかわからない感情なのだろうか。それとも、他の世界で似たような事をしている人ならばわかる物なのだろうか。
 答えは出なかったが、パルディナの両手は自然と祈りの形を取っていた。
(皆さんの悲しみが早く癒えますように……)
 誰に言う訳でもない祈祷を心の中で呟くパルディナ。その彼女に倣い、青年もまた自らが信じる祈りを捧げる。
 祭りに来る者達は、きっと。自分の中にある想いを誰かと分かち合いたくて、この祭りに参加しているのだろう。

「悪いな兄ちゃん!守ってもらったアンタ達に奢らせちまうなんて!」
「気にするな。俺がそうしたいからそうしているだけだ」
 酒と喧嘩は祭りの醍醐味。戦いが終わったからこそ、飲んで騒げも出来るという物。
 ゆっくり暗くなる空の下、屋台の一つを訪れたアラタは、この辺りでよく飲まれているという酒とつまみをその場にいる者達全員分を頼み、彼等に振舞っている。
 その対価、と言う訳ではないが、上機嫌になれば自然と口数も多くなるという物。話を聞きたい。と、アラタが言えば、彼等は喜んでその口を次々と開いていた。
「しかしまあ、辛気臭い話ばかりで悪いなぁ」
 幾つかの話が飛び交った頃、一人の勇士がそう口にする。この祭りに来て、酒を飲んでいる者と言うのはこの空の世界で戦う勇士達が多く、自然と彼等と船にまつわる話は戦いの話が多く、その別れの話も良い物よりも苦い経験という物が多い。
 せっかく奢ってもらったというのにこんな話ばかりでは。と、ばつの悪そうな顔をする勇士にアラタは首を横に振る。
「気にしないで、好きな様に話してほしい。俺は、ただこの祭りを成功させる為にきて、この世界をもっと知りたいと、話を聞いてるだけだ」
 きっと自分には思い出が無く、誰かの思い出の鏡にしか成れないだろう、と。そんな事を心の何処かで思っているアラタへ、グラスが手渡される。
「……これは?」
「何、深い意味はないさ。俺達は強い奴を歓迎するってだけだ。一つ乾杯と行こうじゃないか」
 そうは言うが、奢ってもらった礼の意味合いもあるのだろう。有無を言わさずグラスに酒を注いだ勇士達は思い思いの言葉を声高らかに叫び始める。
「この祭りの立役者である兄ちゃんに!」
「俺達の新しい出会いに!」
「失っちまった俺達の相棒に!」
 乾杯!という言葉と共に、グラスの酒を呷る勇士達。
 きっと、これが彼らなりの弔い方なのだろう。ならばそれに倣うべきか。と、片手でグラスを持つと、それをほんの少し掲げるアラタ。
「……乾杯」
 今日は晴れて雲が無い。やがて日が落ちて星が顔を覗かせるだろう。その下で今日は、彼等は彼らなりの弔いを続けるのであろう。

 そして、この祭りの中心にあるべき人物は一人、人々の喧噪から離れた場所で彼等の姿を見ていた。
「……えへへ」
 少し堅い笑顔は、単に笑う事が少し苦手なだけで。他にも、人よりも船の方がほんの少し好きなだけで。
 それでも、誰かが自分の力で喜んでもらえる事は、とても好きだから、いつも彼は彼等の外からその風景を眺めていた。
「セイル」
「ふは、ひゃ、ひゃい!?」
 ただ、今日はそんな彼に一人の客人がいた。
「いい祭りになったな」
 後ろから声を掛けたアラタは空を見上げている。幾千の星の下を幾ばかの幽霊船達が、自由気ままに空を駆ける。
「……は、はい」
 対して幽船の召喚獣は挙動不審に。それでも、何処か嬉しそうに。
 召喚獣セイルが行う祭りは、今回も何事もなく過ぎてゆくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年10月17日


挿絵イラスト