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紋章の祭壇:青蜂の紋章

#ダークセイヴァー #第五の貴族 #マイ宿敵

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#ダークセイヴァー
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#第五の貴族
#マイ宿敵


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「君たちは、ダークセイヴァーで第五の貴族と呼ばれる者たちと戦ったことは、あるかね?」
 グリモアベースに集まった猟兵たちへ向け、いきなり問いかけた外道。
『もちろん!』『いや、実際に戦ったことは』……などの反応に、外道はウサギの着ぐるみ頷き、
「うむ……初めての者もいるだろうから、まずは説明といこう。
 第五の貴族というのは、ダークセイヴァーの地下空間を牛耳る特別な吸血鬼たちのことだ。
 紋章と呼ばれる寄生生物を操り、植え付けた者の能力を上げる力を持っている。
 第五の貴族は必ずと言っていいほど、その身に紋章を植え付けていて……時には、一度殺しても別の姿へと変貌することもある。
 奴らと戦う上で、その紋章を何とかすることは必須だろう。
 ……そう考えていた時に視えたのが、今回の予知なのだ。」
 外道が着ぐるみの手でグリモアを掲げると、壁に映ったのは暗い森の中。
 少し開けた場は石床になっており……その上は、おびただしい人の死体が積まれていた。

「ここは、紋章を生み出す祭壇となっている。
 この死体は、紋章の材料というわけだ……数多の人間に、人狼や聖者、時には異端の神を隠し味に加えて作るという。
 なかなかに非効率な手段だが、紋章にはそれだけの価値があるのは対峙したものなら解るだろう。
 身体能力を引き上げる……いや、死を遠ざける力とでも言おうか。
 医者としては非常に興味深いが、それは置いておくことにしよう。
 ……あれを見たまえ。」
 着ぐるみの手が指さす先では、少年のような吸血鬼が虚ろな目をした人間たちを引き連れて、石床の中央へと歩みを進めていた。
 額に浮かぶ紋章は、青い蜂の形……少年が指を鳴らすと紋章が光を放ち、積まれていた死体から蠢く触手が伸び出した。
「……どうやら、今回の紋章作りは失敗したようだな。
 もっとも、あれはあれで元より強化された兵士となるようだがね。
 さて、君たちにはあの少年吸血鬼を倒してもらいたい。
 彼は額に紋章を持っている……あれは青蜂の紋章と呼ばれ、配下を操る力を強化するものだ。
 あの少年も、自身の持つ魅了の力で配下となっている人間を使い潰しながら戦うタイプのようだな……だが、配下は無尽蔵ではない。
 こちらを妨害しようとする配下を乗り越え、紋章を潰せば倒せるだろう。
 ……ただ、一つ問題がある。」
 外道がゲートを開くが……何故か森の中ではなく、寂れた村の外れだった。
 時折、ギャァギャァ……と不気味なカラスの鳴き声が響いている。
「森の中で紋章を生み出していることは解ったのだが、その場所が特定できなかったのだ。
 だが……奴らが人間を調達するのに、カラスを使っているということが解っている。
 君たちはカラスをうまく見つけ、追いかけてくれたまえ。
 きっと、紋章の祭壇へと誘ってくれるはずだ。
 では、健闘を祈る。」


ヨグ
 ヨグです、第五の貴族の持つ紋章の謎に迫る物語となります。
 今回の話に出てくる青蜂の紋章は、以前に自分の書いた以下のリプレイでも登場します。

『舞台は整った』第3章
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=30561
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第1章 冒険 『カラスの大群を追跡せよ。』

POW   :    全力疾走で追う。

SPD   :    発信器などを使って追う。

WIZ   :    地図を使ってカラスが向かうルートを予測する。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミリアリア・アーデルハイム
舐められたものですね
猟兵を撒こうなどと
第五の貴族がどれ程の能力を持っていようと
永劫炉の使徒として、生命に仇為す者を見逃す訳には参りません

UCにて羽先黒き鷹を創造(選択:敏捷)

嚆矢、気付かれぬよう鴉を追って下さい
私は貴方の後を追います
鴉に気付かれても交戦は致さぬように
攻撃を躱し、暫く潜んでいると良いでしょう

そこから先は私が箒で追うとします
万里鏡とマントの能力を使えば場所を特定出来るはず
・・・この名に羞ぬ働きを見せねばなりませんからね



「……舐められたものですね、猟兵を撒こうなどと。」
 薄暗い森の中、遠くにカラスの鳴き声を聞きながら呟く、ミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)
 森の奥を覗けども、見えるのは木の幹と背の低い茂みだけ……。
「ですが……第五の貴族がどれ程の能力を持っていようと、生命に仇為す者を見逃す訳には参りません。」
 言葉と共にミリアリアが手を差し出すと、瞬きの間に手の上に鷹が現れた。
 空いた手で鷹の頭を軽く撫でると、気持ちよさげに鷹が身を委ねる様に笑みを浮かべ、
「嚆矢、気付かれぬようカラスを追って下さい。私は貴方の後を追います。……カラスに気付かれても交戦は致さぬように。攻撃を躱し、暫く潜んでいると良いでしょう。」
 嚆矢と呼ばれた鷹はミリアリアの言葉に頷き、先が黒い翼を広げて飛び立った。
 周囲に浮かべた氷の欠片に映し出された嚆矢がカラスを追いかけ始めたのを見て、
「見つけましたね……行きますよ。」
 取り出した棕櫚の箒に跨がってミリアリアも空を飛び、少し距離を取って追いかけた。

「だいぶ飛んできましたが……おや?」
 マントで姿を消しながら箒で飛びつつ、氷の破片に映し出された森の光景へと目を向けていると……先ほど通り過ぎた木と、同じ特徴を持った木が見えた。
 先を飛んでいたカラスがいったん枝に留まり、次に羽ばたいた途端……ミリアリアの視界からカラスと嚆矢の姿が消えてしまう。
「……なるほど、空間を歪めて隠してあったんですね。であれば、」
 消えた場所に浮かび上がると、周囲には微弱な魔力の痕跡が感じ取れる。
 手をかざし、周囲の氷の破片に映る光景へと意識を向けると……隠されていた空間へと入り込んだ、嚆矢の姿を捉えた。
「視えた。」
 かざした手で魔力を打ち払えば、カラスの入り込んだ空間へと周囲の光景が変わっていた。
「永劫炉の使徒として、名に羞ぬ働きを見せねばなりませんからね。この程度で後れを取るわけにはいきません。」
 箒の上でそう呟きながら、ミリアリアは今もカラスを追う嚆矢の後を追っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

純・ハイト(サポート)
勝つ事を考えて、自身を含めて全てを駒として考えて手段を択ばずに、使える物全て使って任務に参加して戦う。
エレメンタル・ファンタジアはトラウマはあるが、トラウマよりも敵は全て殲滅と考えているために問題無しに使える。
主にユーベルコードの力で軍隊を操り戦闘を指揮して戦うが、他のユーベルコードが有利に動くならそっちを優先して使う。



「……しばらく追ってますが、まだ着かないですか。」
 目の前を飛ぶカラスから離れぬよう、飛びながら追いかける純・ハイト(数の召喚と大魔法を使うフェアリー・f05649)。
「やれやれ、どれだけ奥に」
「ガァ! ガァ!」
「む?」
 純の思考がカラスの鳴き声で中断された瞬間……前を飛んでいたはずのカラスの姿が、抜け落ちた数枚の羽根を残して忽然と消えていた。
「……どこへいったのでしょう。」
 まだ宙を舞う羽根を1枚つかみ取ると、周囲に魔力が満ちていく。
 神経に作用し、感覚を狂わされ……まっすぐに進んだつもりが、横に逸れていくようで、
「くっ……これは、魔力を感じ取れない人間であれば、何も感じずに騙されるでしょうが……。」
 様々な魔術を操る純にとっては、自身の肌の下を這い回る魔力の流れが、なんとも気色が悪い。
 しかし、その魔力は明確な意図を持って森の奥へと誘うように流れている。
「……乗るしかないでしょう。」
 ならばと身を任せ、純は森の奥へと進んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミルディア・ディスティン(サポート)
「サポート?請われれば頑張るのにゃ!」
 UDCでメカニックして生計を立ててるのにゃ。
 『俺が傭兵で出撃して少し足しにしてるがな?』
 ※自己催眠でお人好しで好戦的な男性人格に切り替わりますがデータは変わりません。

 ユーベルコードはシナリオで必要としたものをどれでも使用します。
 痛いことに対する忌避感はかなり低く、また痛みに性的興奮を覚えるタイプなので、命に関わらなければ積極的に行動します。
 公序良俗は理解しており、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。むしろ積極的に助ける方です。
 記載の無い箇所はお任せします。よろしくおねがいします。


陽環・柳火(サポート)
 東方妖怪のグールドライバー×戦巫女、21歳の女です。
 普段の口調は「チンピラ(俺、てめぇ、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )」

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
冒険等では割と力業を好みますが、護符衣装を分解して作った護符などを操作したりなどの小技も使えます。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「にゃあ……いつまでこうやって進めばいいのにゃあ……。」
 暗い森の中、奥へ奥へと誘う魔力に身を任せて進むミルディア・ディスティン(人間のシャーマン・f04581)の足が止まっていた。
「大体、カラスはどこへいったのにゃ。カラスを追えって話だったにゃん。」
「まぁな……けどよ、見失っちまったもんは仕方ねえだろ。」
 一緒に歩いていた陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)も、ため息をつきつつも同意しながら振り返っていた。
 それもそのはず、2人は体感でそれだけの距離を歩いている。
「……とはいえ、いくら何でもおかしいんだよな。」
「そうだにゃ……1時間? 2時間? それくらいは歩いて……。」
 ふと、ミルディアが手にしたタブレット状の電子デバイスに目を落すと……この森に入ってから、まだ10分と経っていない時刻が映っていた。
「壊れたのかにゃあ? んー、でも他はおかしくないんだけどにゃ。」
「ちっ……つまり、時間の感覚も狂わしてきてるんじゃねえか、この森に満ちてる魔力は。」
「何でそんなことするんだにゃあ?」
「わかんねぇ……が、」
 舌打ちをした陽環が自身の護符衣装から1枚の護符を抜き取り、一つ印を結ぶと護符は燃え上がり、空中へと溶けていった。
 途端に周囲の魔力が打ち払われ、同時に2人は身体を操る魔力の糸が切れるのを感じた。
「これに身を任せてたら、俺たちは疲れきったまま敵の前に行くことになっただろうぜ。」
 重かった肩を回してさらにぴょんとひと跳びしてみれば、ミルディアの身体はほとんど疲れていなかった。
「あー、楽になったにゃ。にゃはは、あたしたちはほとんど疲れてないんだにゃあ。気分だけだにゃ。」
「そういうことだろうぜ。ったく、めんどくせぇ事だけはしっかり考えつきやがるな、敵さんはよ。」
「にゃはは、本当だにゃあ。まぁでも、」
 暗い森の道の先に、少し開けたようになり……周囲に篝火が揺れている。
「儀式の場所は見つけたにゃ。」
「ああ、生意気そうな吸血鬼の餓鬼の面、ぶん殴ってやろうぜ。」
 2人は一気に駆け出していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『マージナル・ビースト』

POW   :    黒の剛腕
単純で重い【岩をも砕く強靭な剛腕】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    冷たき炎
【強靭な顎を開き吐き出す、凍える炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【冷たき】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    血に猛る獣
攻撃が命中した対象に【濃厚な血の匂い】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と群がる仲間のビースト】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 暗い森の中、石畳の儀式場にたどり着いた猟兵たち。
 周囲に揺れる篝火に照らされた儀式場には人骨が幾重にも転がり、それらは血を幾重にも塗り重ねたようにどす黒く染まっていた。
「グルルゥゥ……。」
 途端に響く獣の唸り声は、篝火の外から響いていた。
 暗い森の中へと目をこらせば、人の服であったモノを纏った獣が儀式場を取り囲んでいる。
「グルァアアアア!」
 叫び声と共に猟兵たちへと殺到する獣たちの身体には、うねうねと蠢く触手がいくつも生えていた。
 その触手は、グリモア猟兵が見せた紋章の失敗作に生えたモノで……。
陽環・柳火
「おうおう、いい趣味してんじゃねえか。特等の地獄に叩き込みたくなるくらいによ」
そんな訳でビースト達自身には恨みはないが、倒させてもらうぜ

『烈火乱れ咲き』で火【属性攻撃】【弾幕】を張り、相手を牽制し攻撃を受けないようにする
あとは護符装束の護符を飛ばして【破魔】で触手や紋章を攻撃し、弱ったところを刀の【クイックドロウ】居合い斬りで倒しにかかる

「利用されてばっかの人生にしちまってすまねえな。来世はもっといい人生になるように祈るぜ」
魔力が切れてきたら【屍塊転燃】で倒した敵の屍肉を【大食らい】し、自分の力に変える
「だから、今だけはあのクソガキをブッ飛ばすのに力を貸してくれ」


ミリアリア・アーデルハイム
この方たちはもう助けられないのでしょうね・・・
せめて送って差し上げましょう

屏氷万里鏡を巡らせて姿を映し、フェイントや残像としつつ
箒による飛行で高所に逃れますが、触手となると少々躱し辛そうですね

できれば先制を取りたいものです
【忘却されし昔日の魔術】で感電属性を付与した「ライトニング・ボルト」
浄化・破魔の呪と祈りを込めた誘導弾とし全力魔法

これで動きが鈍くなれば、幾分は避けやすくなるでしょう。
出来そこなった紋章の弱点属性などが分かればこの後の戦いで役立ちそうですが、何か手掛かりになりそうなものがあるでしょうか。

(瞑目し)この先にある祭壇を破壊し悲劇を繰り返させぬことが、私に出来るせめてもの供養です。



「グルルゥ……。」
「おうおう、いい趣味してんじゃねえか。特等の地獄に叩き込みたくなるくらいによ。」
 儀式場の周囲に現れた獣たちの唸り声に目をやり、不敵な笑みと共に陽環は自身の護符衣装から一部の護符を切り離し、周囲へと浮かび上がらせる。
 同時に1枚の符を取り出して宙に舞わすと、燃え上がった符から飛び散った火花が炎弾となって獣たちへと降り注いだ。
「ったく、てめぇらを変えちまった奴の顔がみてぇぜ。」
「この方たちはもう、助けてあげられないのでしょうね。」
 悲痛な眼差しでそう呟いたミリアリアは、炎に少し怯んだ獣たちの元へ歩み出る。
 あまりにも無防備なその姿に、獣たちは身体に生えた触手を蠢かせながら、爪を振り上げて跳びかかった。
「ならば……、」
「グ、アッ!?」
 しかし、ミリアリアを捉えた爪は空を切る……代わりに飛び散ったのは、その姿を映していた氷の破片。
「せめて、送って差し上げましょう。」
 上から掛けられた声に獣が目を向ければ、棕櫚の箒で浮いたミリアリアと共に周囲に浮かぶ数多の光の剣。
 獣たちを指し示した指から光の剣へと雷が走り、白く帯電した剣が獣たちへと降り注ぐ。
「万物の基成す奇しき力よ、我が願いの前に位相を定めよ!」
「ガハッ!?」
 浄化の力を持つ雷に貫かれ、獣の動きが鈍る。
 同時に飛んできた破魔の護符に張り付かれた触手の動きも止まり、
「……利用されてばっかの人生にしちまってすまねえな。」
 その隙に獣の懐に飛び込んだ陽環が手にしているのは一振りの刀。
 駆け抜けると同時に煌めきが二筋走り……見事な居合い斬りに獣の腕が斬り飛ばされ、胴が両断されていった。
「来世はもっといい人生になるように祈るぜ。そして、」
 切断した獣の腕をつかみ取り、一口囓り取る。
 咀嚼し呑み込む陽環の身に妖力が満ち、着ている一部の欠けた護符衣装が元の姿へと戻っていった。
「今だけは、あのクソガキをブッ飛ばすのに力を貸してくれ。」
「……何事かと思いました、そういう力なんですね。」
「ひひっ、あんたも妖怪を見るのは初めてじゃねえだろ?」
 ミリアリアの少し驚いたような声に、にいっと笑って返す陽環。
 上空から次弾の光の剣を撃ち放ちなった時には驚きは消え、思考は別の方向へと巡っていった。
「自らの血肉に出来るのなら……出来そこなった紋章の弱点などが分かればいいのですが。」
「ははっ、さすがにそれは難しいねぇ。」
 ミリアリアの問いに、獣を斬り裂きながら陽環は笑い返す。
「俺は取り込むだけで同化してるんじゃねぇからさ。あんたも、食べた肉の考えてることは解らないだろ?」
「……言われてみればそうですね。」
「まぁ、けどよ……こいつらは触手が生えてるだけで、特に強化されてる感じとかはないんだよな。」
「なるほど……そうですか。」
 周囲の獣の大半を倒し、静かになった儀式場に佇む祭壇が目に留まる。
 瞑目したミリアリアの意志に従い、1本の光の剣が祭壇を貫いた。
「この悲劇を繰り返させぬことが、私に出来るせめてもの供養です。」
「ああ……人間を殺して作る紋章なんか、あって良いはずがねぇからな。」
 そう陽環が呟いた時、儀式場の周囲に動く獣の気配が湧き出てくる。
「グルルゥゥ……。」
「ちっ、まだ居やがる。」
「せめて、苦しませずに終わらせましょう。」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナイツ・ディン(サポート)
「蹴散らしてやるぜ!」
ナイツは「」、一人称俺、冷静でありつつ好奇心旺盛
ディロ(竜槍/紅竜)は『』、一人称我、不遜な暴れん坊
ローア(竜槍/蒼竜)も『』、一人称私、丁寧な保護者

槍を担いでダッシュで寄って薙ぎ払い、見切りや第六感を駆使して盾受けでダメージを避ける。
目立たないを併用し、ダッシュ、敵を盾にするを使って撹乱もしていく。
小さいから埋もれるとやばいからな。基本的には高めに飛んで戦っていこう。
UCは適宜使っていくぞ。
「小さいからって舐めてると痛い目見るぞ?俺は強いからな。」
援護よりも押せ押せ、アタッカー気質。変身系UCを使った場合は激痛耐性、火炎耐性、、氷結耐性でゴリ押すことも多い。


木元・祭莉(サポート)
「おおー、いっぱいいるねー♪」

グラップラー×サウンドソルジャー、13歳の人狼少年です。
前衛肉弾派で、積極的に行動します。
まだまだ未熟なアホの子です。

いつも深く考えず、楽しそうにテンション高く対応します。
どどーん、ばばーん、ひゅいーんなど、擬態語を多用します。

ユーベルコードは、補助的に使うことが多いです。
状況に応じて、グラップルでの接近戦、衝撃波でのなぎ払い、浮遊とジャンプ・ダッシュを組み合わせた空中戦のどれかで戦います。

多少の怪我は耐性で耐え、肉を切らせて骨を断つ、がモットー。
いつも笑顔で、後先考えず。でもちょっとビビリ。

あとはおまかせで。よろしくおねがいします!



「グルルゥ……。」
「おおー、いっぱいいるねー♪」
 儀式場の周囲に現れた人型の獣たちを見渡し、楽しげに言い放つのは木元・祭莉(マイペースぶらざー・f16554)。
 腕まくりをして腕をぐるぐる回し、
「おいらの腕の見せ所だね♪」
「……まて、早まるな。」
 前に飛び出ようとした木元の前にふわりと現れ、手にした赤い槍で制したフェアリーのナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)。
「相手は数が多い、一人で突っ込むのは危険だ。」
「えー、おいらなら大丈夫だよ?」
 木元が唇を尖らす様子に、ナイツは笑みを浮かべ、
「ははっ、俺も戦うなという気はない。協力しよう、という話だ。」
「なーんだ、だったら問題ないね☆」
「ああ、行くぞ!」
「おー!」
 2人は獣たちへと駆け出していった。

「グルァアアア!」
 勢いよく駆けてくる木元へと、獣たちは爪を振り上げて襲い掛かってきた。
「ひゅいーん! あはは、ほらこっちこっちー!」
 対する木元は笑ながら、獣たちの爪を避けながら逃げ回っていた。
 だんだんと獣たちが集まり、一番近くにいた獣の爪が木元を捉えるが……赤い槍に弾き飛ばされた。
「……グルゥ?」
「いい感じにまとまったな。」
 ふわりと浮かんで槍を持つ小さなナイツへと、獣たちは爪を伸ばす。
 岩をも砕く勢いで振られた爪だったが、何か固い壁に突き刺さっていた。
「簡単に握りつぶせると思ったか?」
 ナイツの声に上を見上げれば、燃えさかる巨大な紅竜の姿。
 爪の刺さった固い壁は竜の脚で……獣たちの爪を焼き尽くしていた。
「グアアア!?」
「さぁ……焼き尽くしてやろうぞ!」
 意識を手放し、怒り狂う炎竜と化したナイツによって、獣たちは焼き払われていく。
 敵わぬと逃れようとする獣たちだが、
「逃がす訳ないよね☆ わおーん!」
「グガッ!?」
 回り込んだ木元の咆哮にたじろぎ、怯んだ隙に一気に距離を詰められていた。
 獣たちは冷たい炎を吐きつけようと口を開くが、
「どどーん!」
「グアアア!」
 そのまま振られた木元の拳から放たれた衝撃波に、獣たちは後ろに吹き飛ばされ……燃え盛る竜の吐息に焼かれていった。
「へへ、うまくいったね!」
 笑顔と共に親指を立てる木元に、紅竜と化したナイツはニヤリと笑みを返していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです



「グルルゥ……。」
「皆様の境遇には、同情を禁じ得ません。」
 理性を失った、元々人間であった獣たち……そんな彼らを前に、響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)は一つ祈りを捧げていた。
「私からできる事は少ないですが、」
「グルァアアアア!」
 しっかりと見据えて言い放つリズへと、唸り声と共に襲い来る獣たち。
 そこへ突如吹き付けたさわやかな香りと共に、その視界が白く染まり……周囲を白薔薇の花びらに取り巻かれていた。
「……せめて、苦しまずに。」
 獣たちの血の臭いは掻き消され、薔薇の香りへと置き換わっていく。
 どさりと倒れる音と共に白薔薇の嵐は消え、そこには倒れた獣たちの姿があった。

「皆様の次の生が、良いものとなりますよう……。」
「……へぇ、獣たちが騒ぐから様子を見に来てみれば。」
 リズが倒れた獣たちへと祈りを捧げていると、背後から幼い少年の声が響いた。
 振り返れば、そこにいるのは人間を引き連れた少年の姿……その口元に八重歯が伸び、彼が吸血鬼であることを示していた。
「なかなかやってくれるね。」
「……あなたが、彼らを生みだした第五の貴族、ですか。」
「はは、そうだよ。僕がやったのさ。」
 キッと見つめるリズの前で、少年はケラケラと笑っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『護られる少年吸血鬼』

POW   :    この血は僕のものさ
自身の【配下の血 】を代償に、1〜12体の【血で出来た人型の魔物】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
SPD   :    彼らは僕のものさ
【ただの人間である配下 】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、ただの人間である配下 から何度でも発動できる。
WIZ   :    死んでも僕のものさ
【念力によって放たれる、配下の屍 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に配下の屍の欠片が飛び散り】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠影山・弘美です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「しかし君たち、なかなかやってくれたね。」
 従えた人間と共に現れた少年が見渡す儀式場は、猟兵たちの手によってすっかり壊されていた。
 儀式台は崩され、積み上がっていた人骨は焼き払われ……それを見た少年はそれでも笑いながら、猟兵たちへと向き直った。
「紋章を作るのに人間がいっぱい必要なのに、また集め直しになっちゃうね。」
 後ろに侍らせている人間たちへと視線を向けずにその手を振ると、近くにいた人間の首が一つ転がる。
 少年が手についた血をペロリと舐めると、吹き出す血が人型の魔物へと姿を変えていった。
「じゃあ君たちには、命をもって詫びてもらおうかな。」
 少年の左手の甲には、蜂を模した紋章が青く輝いている。
 それが輝きを増すと共に、虚ろな目をした周囲の人間たちの額に埋め込まれた肉芽が蠢いていた……。
風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。


陽環・柳火
「詫びだぁ? テメェに詫びることなんざ、ひとつもねえよ」
この吸血鬼は気に入らねえ。命を弄んでヘラヘラしている所とかな
UCで神霊体となり、薙刀で飛んでくる屍を【破魔】の籠った衝撃波を飛ばして浄化しながら叩き落とす。地形に散らばっても敵のパワーアップに繋がらないように。
あとは攻撃の隙を見て薙刀で斬りかかる。仲間が紋章を攻撃するつもりなら、その隙を作るし、そうでなければ自分が火【属性攻撃】を込めて紋章を焼きにかかる

あとは、相手を地に這いつくばらせるなり、首を落とすなりして頭を地面につけさせたのなら
「テメェが、命に、詫びろ! 奪って弄んできた命達に!」
って言い放ちたい



「……言うに事欠いて詫びだぁ?」
 少年の言い草にカチンときた陽環は、勢いのまま薙刀を振り上げていた。
 ブンと威嚇するように振るい、少年へと刃を向けて言い放つ。
「テメェに詫びることなんざ、ひとつもねえよ。」
「その通りだ。全く……第五の貴族というからどんな者が現れるかと思えば、辺境の小領主の小倅か。」
 威勢の良い陽環の横で淡々と話すダンピール、風雷堂・顕吉(ヴァンパイアハンター・f03119)の言葉に、楽しげに笑っていた少年の表情が凍っていた。
「……混ざり物の分際で、僕の事を知っているのかい?」
「あぁ、軽く耳にした程度だがな。魅了の力を操る血族。その中でも力はなく、最も幼く……名前も与えられぬ者。」
「なら話が早いや、」
 静かに怒りを込めて、少年が蜂を模した青い紋章の刻まれた左手を上げると、首を失った死体が宙に浮かんでいく。
 ふわりと浮かんだそれは四肢がもがれ、血をまき散らしながら対峙する2人へと飛んできた。
「君らに魅了はきかないのは解ってる。でもね、今の僕には紋章があるんだ……僕の力が弱いままだと思わない方が良い。」

「はっ、そんなの知ったこっちゃねえぜ!」
 トンと跳び上がり、空中でくるりと回って神霊体と化した陽環。
 そのまま振るわれた薙刀からは衝撃波が走り、飛んできた死体は斬り捨てられていった。
「命を弄んでヘラヘラしてるテメェが気に食わねぇ! だからここで叩っ切ってやるよ!」
「ふん、出来るかな? こいつらもいるし、何度でもぶつけて……。」
 少年が左手を振り上げると、まき散らされた血から人型の魔物が起き上がる。
 しかし、少年は斬り捨てられて地面に転がる死体へと視線を移し、
「なん、で?」
「俺が浄化してやった。テメェの力が及ばないようにな!」
「邪な魔力を退けるか、なかなかやる。」
 風雷堂がサングラスに手を掛け投げ捨てると、その下から現れたのは吸血鬼の証たる真紅の瞳。
 そのまま刀を引き抜き構える様に、少年は吸血鬼としての格の違いを見せつけられたようにたじろぐが、
「ふ、ふん、所詮混ざり物さ。純血の僕の方が強いに決まってる!」
「血の濃さなど、些細なことだ。」
 襲い来る魔物へと踏み込んだ風雷堂の一振りで、魔物たちは血の飛沫となって床に飛び散っていた。
 そのまま距離を詰め、
「周りを操り、意のままに従わせる力に頼りすぎたな。」
「ひっ!?」
 振り上げられた風雷堂の刀から悲鳴と共に逃げようと背を向けた少年だったが、片方の足が衝撃波に斬り飛ばされて転がった。
「く、あぁ!?」
「逃がすかよ、テメェだけは許さねぇ。」
「名も無き吸血鬼。お前はここまでだ。」
「くっ!?」
 転がりながらも刀から防御するように少年の腕が上がるが、振り下ろされた刃からは逃れることは出来ず……少年の両手はあっさりと斬り飛ばされていった。
 さらに上から陽環が跳びかかり、地面に縫い付けるように薙刀を少年の腹に突き刺さしながら頭を踏みつける。
「ぐ……くぅう……!」
「痛えか、おい……だがな、テメェに殺された人の痛みはこんなもんじゃなかったろうぜ。」
 呻く少年の頭を踏みつけ、地面へとさらに擦りつけながら言い放つ。
「テメェが、命に、詫びろ! 奪って弄んできた命たちに!」
「くっ、ふふ……。」
「あっはっは!。」
 しかし、別の場所から少年の笑い声が聞こえると共に、足下の少年が崩れて塵と化していた。
 見れば、少年に付き従っていた虚ろな目をした人間が、斬り飛ばされた少年の左手を手にし……突如その身体から吹き出した血が左手を包み、すぐに少年の姿を取った。
「テメェ……本体はそっちってことかよ。」
「あぁそうさ。……僕ももう、後戻りできないんだ。」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

水鏡・怜悧(サポート)
詠唱:改変・省略可
人格:アノン
NG:エロ・恋愛
「楽しめそうだ」「美味そうだな」「ヒャハハハハ」
行動優先順は1.NPC含む他者の救助、2.攻撃。ホントは敵を喰う方を優先してェんだけど、ロキが煩せェからな。
UDCを纏って獣人風の格好で戦うぜ。速度と勘を生かして攻撃を避けつつ、接近して爪で切り裂くか噛みついて喰うのが得意だ。UC使った遠距離攻撃もするが、銃はちょっと苦手だ。牽制に使ったりはするけどな。
技術的なヤツとか、善悪論とかは苦手だし、興味もねェ。楽しく殺して喰えれば満足だ。喜怒哀楽は激しい方だが人として生きた経験は短けェからな。価値観とか常識は知らねェよ。まァヤバイときはロキが止めるだろ。


リカルド・マスケラス(サポート)
『正義のヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
得意なのはサポートで、NPCに憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能

接近戦で戦う場合は鎖鎌の【薙ぎ払い】と鎖分銅の【ロープワーク】による【2回攻撃】がメイン。
遠距離戦では宇宙バイク内臓のビーム砲で【薙ぎ払い】
その他状況によって【属性攻撃】や【破魔】等使用。

猟兵や戦闘力のあるNPCには【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる。



「んー、つまりあれっすね。君は自分のために……より正確に言うなら自分の能力の底上げのために、紋章を作ったって事っすか?」
「……あぁ、そうさ。」
 ふわりと浮かんだ狐の面、リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)の問いに、吸血鬼の少年は忌々しげに答えていた。
 ゆらゆらと少年を守るように立つ、虚ろな目をした人間たちを一瞥し、
「従わせるのは簡単さ。でも、」
「それ以上のことをさせられないってことっすね、まだ。」
「けっ、つまりテメェは人攫いくらいしかできねぇって事じゃねェか。」
 嘲るように嗤う水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)の言葉に、少年は奥歯を噛みしめていた。
 そんな様子の少年を、水鏡の人格の1人であるアノンは鼻で笑い、
「もっと強くなれば他の奴らを見返せるってか。ヒャハハ、弱虫の考えそうなことだなァ?」
「うるさい……うるさい、うるさい!」
 地団駄を踏みながら少年が叫ぶと、周囲にいた人間たちのいくつかの首が落ちていく。
 吹き出した血は人型の魔物となって起き上がり、残った死骸も周囲に浮き上がる。
「これは僕の力だ! お前らに嗤われるいわれはない!」
 2人を指さした右手の青い紋章が輝き、死骸がちぎれながら降り注いできた。

「はは……出来ればあの人たちも助けたかったっすけどね。」
「ありゃァ無理だぜ、魂が抜かれてやがる。」
「やっぱり、そうっすよねー。」
「……でもよォ。」
 軽口を叩くリカルドを、黒いUDCに全身を包まれて獣人と化した水鏡がつかみ取る。
 空いた手は銃型の魔導兵器へと換えて、飛んでくる死骸を撃ち落としていた。
「お前が操るのも、楽なんじゃねェ?」
「あっはっは、考える事は同じだったっすね!」
 水鏡に投げ飛ばされたリカルドは的確に撃ち落とされた死骸の間を縫って飛び、まだ傷ついてない人間の顔に取り憑く。
 その目に光が宿った時、周囲にいた血の魔物が襲いかかってきた。
「ちっ、ただの仮面ごときに!」
「へへっ、その仮面の力をみるといいっすよ!」
 取り憑いた人間の身体を自身の物のように操り、自身の顔を一度手で覆ったリカルド。
 その手を広げると現れる見開いた目……それを『見た』魔物たちは固まり、やがて力を失って溶けて血へと変わっていった。
「な……。」
「久々に使ったっすよ。さぁ、後は君だけっす。」
「くっ……。」
 リカルドと対峙した少年が少し後退った時、
「ヒャハハハハ! 久しぶりにありつけたぜェ!」
 リカルドの背後からは水鏡の楽しげな笑い声と咀嚼音が響いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミリアリア・アーデルハイム
成る程、あの紋章が彼の力の源という訳ですね。
彼はここの領主の一族だったのでしょうか?
どういう経緯でこのような仕儀となったかは分かりませんが、多くの命を殺めてきた以上、もう「敵」でしかありえません。

真の姿を現します。
【真の姿】背中から8枚の布状腕。眼は金色のリボンで隠れ、髪が伸びてよく見ると目の様にも見える琥珀色の宝珠が散りばめられる。

屏氷万里鏡に己が身を映し、自分を取り巻くように【氷塵蒼焔花】を舞わせます。召喚された人形の魔物とその原料とされている配下を浄化の祈りを込めた蒼焔花で燃やし、クロウラー式掃除機のローラちゃんに食べてもらいましょう。

蒼焔花の一部を誘導弾として少年吸血鬼に向かわせ、気を取られる隙に残像、フェイント、目立たないからの先制攻撃。
ルーンソードを操って紋章のある腕を斬り、蒼焔で灼こうと試みます。(部位破壊)

祭壇を破壊した今、残る『青蜂の紋章』はあなただけです。
悲劇の連鎖を断ち切り、此処で終わりにいたしましょう。



「成る程、その紋章があなたの力の源という訳ですね。」
「……それを知って何になる。」
 ミリアリアの見下ろした先にあるのは、少年の右手の甲に青く輝く蜂の紋章。
 その手をゆらりと持ち上げパチンと指を鳴らすと、隣に控えていた残り二人の配下の首が飛んだ。
「僕にはもう、これしか残ってない。この血は、この地は僕のものだ。」

「……この地を治める気があるのなら、その人たちからすべて搾り取るのは違いますよ。」
 吹き出す血から人型の魔物を生み出す少年の目は、先ほどからミリアリアしか見ていない。
 自身についてきた人間には一瞥もしていない……そこに興味は欠片もなく、命を奪うことすらも全く意に介していない。
「あなたにどのような経緯があるのか、私にはわかりません。」
 言葉の途中でミリアリアの頭の後ろに結んであるリボンがほどけ、髪が解かれて後ろに広がる。
 ……いや、ミリアリアの髪は元々それほど長くはないし、髪の中から琥珀色の宝珠が目のように覗くこともなかったはずだ。
「しかし、多くの命をまるで息をするかのように殺めてきた以上、もう『敵』でしかありえません。」
 意志を持つようにほどけたリボンがミリアリアの目を覆い……同時に、その背からは布状の腕が8枚広がる。
 それらが少年へとさし伸ばされるとともに、二人の間に氷花が浮かび上がった。
「よって、排除させていただきます。」
「させない……いけ、お前たち!」
 無防備に立つミリアリアへと素早く駆け寄り、手刀を突き刺す血の魔物たち。
 しかし、その手が突き出された時にはミリアリアの姿はなく、辺りを氷の欠片が舞っていた。
「な、に?」
「それくらいの準備はしているものですよ。」
 先ほどのは、氷の欠片に映し出された虚像。
 その横にいたミリアリアから放たれた氷花が血の魔物たちの体に刺さり、蒼炯の炎を上げて燃え上がった。
「う、あ……。」
「さぁ、次はあなたです。」

「う、うわあああああ!」
 目の前で配下が全て燃やされ、すでに手元に何も持たない少年は、氷花を向けたミリアリアから背を向けて逃げ出した。
 しかし、正面に走る銀色の閃き……刀身に刻まれたルーン文字を見て取った瞬間、少年の右手が手首から切断されて宙に浮かぶ。
「あ……う、そ……?」
「祭壇を破壊した今、残る『青蜂の紋章』はあなただけです。」
「あ、あぁ……。」
 ルーンソードを手にしたミリアリアの背から伸びた腕の一つが少年の右手をつかみ、布状の手の中で蒼焔に包まれていた。
 へたり込みながらその様子を絶望の眼差しで見上げていた少年へと、ミリアリアはただ静かに顔を向けて言い放つ。
「悲劇の連鎖を断ち切り、此処で終わりにいたしましょう。」
「ああああああああ!?」
 伸ばされた腕に包まれ、蒼焔に包まれて……少年の叫び声はすぐに止み、後には塵だけが残されていた。
「さようなら。……それにしても、」
 ぽつりとつぶやくミリアリアの手の一つの中で、青く輝く蜂の姿をした紋章だけが残り……それも黒く変わり、塵へと変わって風に溶けていった。
「この世界は恐ろしいですね……いつか、この世界の闇を払うことはできるでしょうか?」
 その呟きは風に溶け、答えるものは誰もいなかった。
 しかし、自分たち猟兵の手によって、この地は平和に近づいている……そう信じて、猟兵たちはこの地を去っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年09月25日


挿絵イラスト