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紋章の祭壇:青蜘蛛の紋章

#ダークセイヴァー #第五の貴族

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#第五の貴族


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「いったた……なんなの、これ……。」
 石造りの部屋に無理矢理連れてこられた女性は、周囲に蠢く気配に身をすくめる。
 身を捩って蠢くモノから離れる女性の腹は少し大きく……どうやら妊娠しているようだった。
「……ぁー……。」
「ん……ぁー……。」
 蠢くモノは微かに声を上げながらのたうち……唐突に部屋へと入ってきた人物の持つ松明に照らされ、蠢くモノの姿が浮かび上がった。
「ひぃっ!?」
 黒い粘性の液体で象られた赤子のような姿に、女性は悲鳴を上げていた。
 赤子の形をしたモノは女性へと顔を向け、きゃっきゃと笑っている……その様は、女性の正気を削るには十分すぎるほどだった。
「やめ、来ないで!」
「ふっふふふ……大丈夫、貴女には危害は加えないわ。あの子たちは、ね。」
「……え?」
 優しげな声に顔を上げれば、松明を持つシスターと目が合った。
 しかし、その瞳に浮かぶのは……狂った科学者のような、実験体を見る目。
「貴女の身体……とても、良いわ。」
 ゆっくりと近づいてくるシスターの手には、何やら蠢く肉塊が乗っている。
 それはまるで……胎動する胎児のようで。
「その腹なら……丈夫な仔が生まれそうね。」
「い……いやああああああ!」
 女性は泣き叫びながら、粘性の赤子のいる部屋の中を逃げ回っていた。

「紋章を作り出してる第五の貴族が視えたんだけど……本当、この世界のオブリビオンって、気持ち悪い。」
 その光景に、吐き捨てるように希亜は呟いていた。
 それでもしっかりと指さす先を見れば……シスターの手の甲に、青い蜘蛛の紋章が浮かんでいるのが見える。
「あいつが今回倒してもらいたい、第五の貴族なんだけど……付けてるのは、青蜘蛛の紋章っていうみたい。
 生み出したモノの力を、増幅するとか……だから、当人はそんなに強くないよ。
 だけど、あいつは色んなものを身体から生み出してくるから、気をつけてね。」
 そう言って希亜がグリモアでもある首輪に手をかけると、次に映し出されたのは怯えた人々のいる、教会と思しき建物の中だった。
 見れば、人々はしきりに周囲を確認している。
「で、あの部屋が紋章を作ってる場所なんだけど……それがどこにあるか、ちょっと解らないんだ。
 この教会の中だと思うんだけど……なんか、急に隠し部屋から触手が出てきて、人を攫っていくみたいなんだよね。
 触手の出てくる所を辿れば、あの部屋があるはず……だからまず、それを探してね。
 あの人たちも、どこから触手が出てくるか解ってないけど、あの人たちがいるところは安全みたいなんだよね。
 だから、他の所かな。
 ……大変だと思うけど、頑張ってね。」
 そんな言葉と共に開かれたゲートは、建物の外へと繋がっていた。
 重そうな扉は抵抗なく開く……。


ヨグ
 ヨグです、第五の貴族のもつ紋章の謎に迫る物語となります。
 今回の話に出てくる青蜘蛛の紋章は、以前に自分の書いた以下のリプレイでも登場します。

『悪い子は、連れて行っちゃうよ?』2章、3章
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=31030
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第1章 冒険 『一筋の希望の光を絶やさないために』

POW   :    敵が現れそうな場所へ見当をつけて先回りし、待ち伏せして迎撃に備える

SPD   :    交流や説得により人々の信頼を勝ち取り、素早く避難誘導を行って人的被害を減らす

WIZ   :    術式を展開して、既に敵が何らかの仕込みをしていないか探り、発見したら無効化する。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ディ・アルカード
「たまにゃ、またあの空気を吸いに行くってのも、オツだよ。」

最近、敬愛する姐さんに言われた言葉
実際、こうして久々にこの世界の地を踏んで、思うのは一つ

「はぁ、ほんま相変わらずで…マジで嫌気が差すわ」

あの言葉は、最近平和ボケしとる
オレにカツを入れるタメやったんやろな
きっとそうや…そう、思っておこう

入口を探せって事やったな

住民達に幾ばくかの手持ちの食料を渡して
汚れて汚いボロの服を借り
地面に手をついて『魔術士』で作成した人型の使い魔(ゴーレム)に着せ
教会らしき建物の周囲を進ませる事で囮の代わりに
また、更に小型の飛行ゴーレムを無数に展開して
見逃さないように監視体制を強化します

どうなるか見させて貰うで



「『たまにゃ、またあの空気を吸いに行くってのも、オツだよ。』か。」
 最近知り合いから言われた言葉を反芻しつつ、ディ・アルカード(【D】・f34040)は教会の重い扉へと手を掛ける。
 ギィィ……と開けば、薄暗い礼拝堂の中央で肩を寄せ合い、震える人たちがこちらへと顔を向けた。
「あ、あんた……それ以上入ってくるな!」
「警告どうも。けど、オレは大丈夫や。」
 ディが着崩した白衣を翻し、一気に人々の元へと駆け寄ると、背後でビシャリと濡れた物が叩きつけられる音が響く。
 村人と思われる人々の居る場所から後ろを振り返れば、細長い物を叩きつけたように粘液の跡があった。
「あんたらを助けるために来たんや。だから話に聞いてはいたんやけどな……あれか、あんたらを閉じ込めとるんは。」
「あ、ああ、そうだったのか……少し前にも、あれに1人連れ去られちまった。」
「あの子は身重で……逃げ遅れて……。」
「……そか。」
 人々が信仰する神に祈りを捧げる場所に、それは唐突に現れたという。
 こんなことは今まで一度も無かったのに……。
「少しやけど、これ食って元気出してな。」
「すまない……助かる。」
 差し出した幾ばくかの食料を受け取る人々を見ながら、ディは考えを巡らせていた。
 ……第五の貴族はここを根城にしているらしいが、
「今までこれが外に漏れていなかったんは、あれが全員捕まえてたんやろな……ここじゃ、どこに居ても安全な場所なんてない。帰ってこなくても、それほど疑問に思わんやん?」
「……そのようだな。」
「まったく……ほんま相変わらずで、マジで嫌気が差すわ。」
 知り合いの言葉は、最近平和ぼけしろつオレにカツを入れるタメやったんやろな……。
 心に浮かぶ考えを呑み込み、ディは意識を切り替えて周囲を見渡し、
「どこから出てくるか、探して倒したる。」
 そう言って床に手をつくと、床材が盛り上がっていき……人型のゴーレムへと変わっていった。
 村人たちの服装を参考にした服を着たゴーレムたちを、周囲に歩かせて進ませる。
「さて……どうなるか、見させて貰うで?」
 ゴーレムたちが歩いて行く様を、さらに周囲に小型の飛行ゴーレムを展開した時……入り口近くの床に敷かれた、朽ちたカーペットを突き破って触手が伸び上がり、ゴーレムを掴み上げて引きずり込んでいった。
「床か……まぁ、妥当なとこやな。さて、どうやって入り込むかね?」

成功 🔵​🔵​🔴​

ジズルズィーク・ジグルリズリィ
まこと気の滅入る依頼ですが、全力で挑む所存です。憤懣、弥漫。ジズは、増長する悪を討伐するのです

とはいえ、秘密の捜索。ジズには不得手です。どこから出てくるのか探すなど、骨が折れるのです。なれば取れる手段は限られます。ジズは、己が身を捧げましょう。ジズは慣れておりますので
粘液濡れや破壊の痕跡、怪しげな箇所を聞き出し、協力を申し出るのです。あとは無抵抗の祈りを捧げ、天が聞き入れるのを待ちましょう。かような獲物、放置することもありますまい

妨害、望外。ジズは、予想外の方向から野望を食い止めます。この命に代えても、必ずや、です


シキ・ラジル(サポート)
あーあー、てすてす、マイクテスト…OK?

アタシはシキ・ラジル!
戦闘に救助、呼ばれたらなんでもがんばるよ!あっでも頭使うのは苦手だからごめんね!

戦い方
基本はWIZ型
サウンドウェポンを持って「パフォーマンス」しながら「衝撃波」「薙ぎ払い」で敵をぶっ飛ばしちゃう!
皆でボスに立ち向かう時は「鼓舞」と「援護射撃」でサポートするねっ

敵が多い時、人手が欲しいなら【アミィズ・マーチ】でミニシキちゃんたちがお手伝いするよ!「時間稼ぎ」に「一斉射撃」ちっちゃいけど数はいるからね!

性格傾向
やかましいくらいにハイテンションな音楽大好きっ子
キマフュ民なので楽しいことはなんでも首を突っ込む

☆アドリブ連携OK!


ベッジ・トラッシュ(サポート)
◆戦闘時
戦うのは怖い!
なのでボス戦ではだいたい逃げ回っている。
(味方の手助けになる行動や、囮になるなどの功績を得ることはあるがだいたい無意識)
「こ、ここ…怖いのではないゾ!ベッジさんは様子をうかがってイタのだ!!」

手の届かない相手にはパチンコで苦し紛れに絵の具弾を飛ばすこともある。

◆冒険時
基本的に好奇心が強く、巻き込まれ体質。

敵味方関係なく、言われたことには素直に従う。
怪しいような気がしても多少なら気にしない。
後先考えずに近づいて痛い目を見るタイプ。

◆他
口癖「ぎゃぴー?!」
お気に入りの帽子は絶対にとらない。
食べ物は目を離した隙に消えている系。
(口は存在しない)
性能に問題はないが濡れるのは嫌い。



「あっれー? なんか出てこないね?」
 先ほど触手が出てきた辺りを靴先でつついている、シキ・ラジル(揺蕩う雷歌・f11241)。
 朽ちかけたカーペットを剥がしてみれば、そこにあるのはレンガの床だった。
「えー? 本当にここから出てきたんだよね?」
「うん、そこから出てきたのは間違いないのだ!」
 隣で一緒に床を調べている、ベッジ・トラッシュ(深淵を覗く瞳・f18666)。
 開くであろう継ぎ目は見えるが……手を掛けるところが見当たらず、
「でも、ここからどうやって入れば良いのだ?」
「隠匿、隠蔽。秘密の捜索、ジズには不得手です。」
 巨大な鉄槌を背負いながら、同じく周囲の床を見ていたジズルズィーク・ジグルリズリィ(虚無恬淡・f10389)も、何かできないかと首をひねっていた。
 触手が這いずったであろう、べたりと粘液に濡れた床を視線で辿り、
「ふむ……疑問、質問。なぜジズたちがここに居るのに、触手は出てこないのでしょう?」
「触手も相手を見ているんじゃない? 戦える人は相手にしないとか!」
「うーん、一緒に居る人が多いから……ぎゃぴー!?」
「きゃっ!?」
 突然、何も言わずにシキとベッジを突き飛ばしたジズルズィーク。
 その時、足下の床が開き……現れた触手が、残っていたジズルズィークの体に巻き付いていた。
「……ジズは、己の身を捧げます。」
 祈りの姿勢を取ったまま抵抗することもなく吊り上げられるが、その声は平常のまま。
「妨害、望外。ジズは、予想外の方向から野望を食い止めます。この命に代えても、必ずや、です。」
「ちょ、ちょっと!?」
「そんなこと言ってる場合じゃないゾ!?」
 シキとベッジが見ている前で、ジズルズィークが鉄槌ごとずるりと引きずり込まれていくが……触手が床に潜り込む直前、
「逃がさないよ!」
「ここで逃がすわけにはいかないのだ!」
 シキのサウンドウエポンから放たれた音波に開かれた床が跳ね上がり、ベッジの投げつけた塗料の勢いで入り口が開かれた。
「いっちゃった……でも、これで奥にいけるね!」
「う、うん……すぐに出てこない、のだ?」
「大丈夫でしょ! さぁ行くよ!」
「あ、置いて行かないで欲しいゾ!?」
 入り口に飛び込んだシキを追って、ベッジも穴の中へと入っていった。

「ベタベタがこっちに続いてるのだ。」
「暗いなぁ……転んじゃったらどうするの!」
 地下は石造りの廊下となっており、さらに地下へと傾斜が続いている。
 さらに2人が進んでいくと、突き当たりに重そうな木の扉が立ち塞がっていた。
「ここがその部屋かな、きゃああ!?」
「な、なんなのだ!?」
 シキが扉に歩み寄った時、足が何か柔らかい物に引っかかった。
「……成功、良好。無事にここへたどり着きました。」
 それは、粘液まみれのジズルズィークだった。
 扉で鉄槌が引っかかり、そのまま廊下に残されたようだ。
「だ、大丈夫なのだ?」
「ええ、ジズは大丈夫です。……憤懣、弥漫。今度こそジズは、増長する悪を討伐するのです。」
「その前にベタベタ何とかしたら?」
「……大丈夫です。ジズは慣れてますので。」
 そんなやりとりをしていると、
「いやああああああ!」
 扉の中から、連れ去られたという女性の思わしき悲鳴が響いていた。
「確かに時間はなさそうね!」
「すぐ行くのだ!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『泥の赤子』

POW   :    まんまー まんまー まんまー まんまー
【生物を捕食せんと自在に伸びる何本もの手】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    どーじょ どーじょ どーじょじょじょ
【腐食性の猛毒をまとった伸縮する手】による素早い一撃を放つ。また、【ばらばらに分裂する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    ぱぱぱぱぱぱぱぱ ままままままままま
【体表に点在する口から吐いた瘴気を放つ汚泥】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を毒気を放つ汚染された泥地に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:炭水化物

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 扉を開けた猟兵たちの目に飛び込んできたのは、タールのような何かで出来た赤子のようなもの。
 それは姿を変えながら、自身の形を赤子に似せ……内側から別の赤子の部位が湧き出て、溶け込んでいく。
「まんまー……まんまー……。」
「きゃっきゃっ……あー、あー……。」
 赤子たちは笑いながら、1人の女性を取り囲んでいる。
「お願い……ねぇ、たすけて……!」
 そんな中で、女性は猟兵たちへ向けて必死に手を伸ばしていた。
ジズルズィーク・ジグルリズリィ
使命、救命。ジズは、その助けを聞き逃しません。いざ勝負です

鉄槌を振り回しながら戦いましょう。元より粘液塗れの体、脅威度も含めて注意を引きつけます。救出はお味方様にお願いするとして……少しでもダメージを与えられるよう派手に振る舞いましょう

当然受けるダメージも少なくないでしょうが、いなせるダメージはユーベルコードでお返しします。無垢と邪悪は紙一重、浄化するのですよ



「使命、救命。ジズは、その助けを聞き逃しません。」
 巨大な鉄槌を振り回し、赤子のような何かを後ろから殴り付けるジズルズィーク。
 ベチャリと重たい水を殴りつけたような音と共に砕け散るが、欠けたまま形取った赤子の顔は笑いをやめなかった。
「あー……まんまー、まんまー。」
「いざ勝負です。……それと、ジズはママでもご飯でもありません。」
 身体の残りや飛び散った粘液から手を伸ばしてくるのを、ジズルズィークは跳び退って避ける。
 それを見た周りの赤子たちもキャッキャと笑い、身体から手を伸ばしてきた。
「キャッキャ! おもちゃ!」
「増加、増殖。……そんな手は、没収です。」
「まんまー……?」
 対するジズルズィークがくるりと鉄槌を回して祈りの言葉を捧げると、赤子たちの伸ばした手が床へと落ちる。
 それらの手は床へと染みこむように入り込み、赤子たちは首をかしげ……自由にならない事に気がつき、怒りや悲しみが顔に浮かぶ。
「なん、でー……ああああ!」
「拘束、束縛。ジズは、悪い子にお仕置きします。」
 跳び上がって赤子の手を跳び越し、ジズルズィークは泣き叫ぶ赤子の顔へと鉄槌を叩きつける。
 タール状の液体はそのまま壁や床へと飛び散り、黒い塵となって消えていった。
「輪廻、転生。……来世では、幸せに。」
 泣き叫ぶ赤子たちへの祈りの言葉と共に鉄槌を振るい、ジズルズィークは叩き伏せ続けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キャロライン・メイ(サポート)
ダークセイヴァーの貧民街の生まれ。生きるため、悪事に手を染めてきた。ある日商人から一振りの剣を盗み出す。剣は呪われており、その邪悪な魔力によって、呪われし黒騎士へとその身を堕とす。その冷酷な様を人々はアイスドールと呼ぶ。

自身の半生に強いコンプレックスを持ち、心の中では常に自己を否定し続けている。死に場所を探しているかのような言動をとることがある。

ダーインスレイヴ~漆黒の魔剣による強力な一撃。
ライフドレイン~魔剣の血塗られた鉄鎖が無数の棘に変形し敵に突き刺さる。

「私は人形・・・人らしく思い悩むのもおこがましい。」

エロやグロに巻き込まれなければ、どんな展開でも大丈夫です。


阿紫花・スミコ(サポート)
アルダワ魔法学園の生徒。暗い過去を持ちつつも性格は明るい。自信家で挑発的な一面がある。力があれば何をしてもいいというようなダークセイバーの領主達を心底嫌っている。機械系に強く様々な世界の機械知識を広く持ち自作ガジェットの研究・開発を行っている。

からくり人形「ダグザ」:巨大な棍棒で敵を粉砕する。
精霊銃「アヴェンジングフレイム」:黄金に輝くリボルバー。弾丸には炎が宿る。
ワイヤーギア:射出したワイヤーを引っかけ、巻き取りと、蒸気噴出で推進力を得る。

「力があれば何をしてもいいって思ってるんだろう?…お前が奪われる立場でも同じことが言えるかな!」

(エロやグロに巻き込まれなければどんな展開でも大丈夫です)



「まったく……どれだけの人を犠牲にしたのだろうな。」
 泥で出来た赤子の形を取るモノたちを冷たく見下ろして呟く、キャロライン・メイ(アイスドール・f23360)。
「一つに纏められ、内に詰めた人の形を取るモノか。」
「そのようだね。当人の記憶も何も残っていない、かつての子供の姿ってところかな。」
 努めて明るく振る舞うが、返した言葉の底には怒りを広げる、阿紫花・スミコ(ガジェットガール・f02237)。
 もう手遅れとなった者たちの姿に頭を振り、黄金色のリボルバーを引き抜いて、
「……終わらせてあげようか。」
「ああ、それが彼らへの弔いとなろう。」
 同意したキャロラインが鉄鎖に絡まれた魔剣を引き抜いた時には、阿紫花はその姿を薄暗い部屋に溶け込ませていた。

「きゃっきゃ!」
「だぁ……まんまー、まんまー。」
「ひっ! なんなのこいつら……!」
 泥で出来た赤子の姿を取るモノたちは、ただ笑いながら1人の女性を弄んでいる。
 見たところ、彼女に対してはただその泥の身体を絡めるだけ……赤子が母親に遊んで貰いたがるように。
「お前たちに、その者を傷つける気が無いのは解る。……だが、」
「たす、けて!」
 キャロラインへと伸ばされた女性の手を掴みあげ、絡みつく泥の手を魔剣で切り裂く。
「だぁ……まんまー。」
「ままぁ……まままま。」
「この人は、お前たちの母ではない。」
 自由になった女性を背にし、追いすがるように伸ばされる無数の小さな泥の手を薙ぎ払う。
 その様に、泥の塊からは赤子の顔が浮かび上がってきた……それらは一様に、不満げに唇を尖らせて、
「させないさ!」
 口々に吐き出された汚泥へと、姿を現した阿紫花はリボルバーを撃ち放つ。
 黄金の銃身から放たれる弾丸は精霊の炎を纏い、周囲の汚泥を焼き払いながら赤子を構成する泥の身体へと突き刺さった。
「キミらの身体は残念ながら、赤子のように弱くはない。いずれキミたちは、この人を絞め殺してしまうだろう! だから、」
 弾丸が貫いた穴へと突き刺さる、鎖の絡みついた魔剣の刀身。
「お前たちには、ここで死んでもらう。」
「が、ぎ……ぁあああああ!?」
 冷たく言い放ったキャロラインの手の下で、途端に魔剣の鎖が棘となって突き刺さって広がり……赤子の形をした泥は飛び散り、悲鳴を残して塵へと姿を変えていった。
「ふぅ……上手くいったね、メイ。」
「ああ。」
「あ、あの……ありがとう、ございます。」
「はは、お礼は要らないさ。」
 女性のお礼へと笑みを返しながらも、阿紫花はリボルバーを構えて儀式場へと向き直る。
 その銃口の先には、床の石畳から染み出してくる泥の塊があった。
「……残念だけど、まだ終わってないからね。」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルナリリス・シュヴァリエ(サポート)
何かお困りですか? 私は旅の聖剣使いです
誰かの力になりたい、そんな思いから猟兵活動をしています
私で良ければ力になりましょう。

お人好しな性格で、並みいる敵を聖剣でなぎ払い、罠やトラブルは体当たりで乗り越えていく
そんな突撃隊長的なキャラクターです。

あとはお任せで、よろしくおねがいします。


四軒屋・綴(サポート)
※口調
・語尾に「ッ!」がつきます(重要)
・敵には『貴様ッ!』
・一般人には『貴方』
・『~なのだなッ!』
・身振り手振りを多用します

※台詞例
・「仲間の為ならえんやこらッ! だッ!!」(だんだん《!》が多くなります)
・「良い夜だな、ご令嬢"フロイライン"。」(ルビを《"○○"》の形で振ります)

※行動例
・「なるほどッ! 了解だッ!!」(素直)
・「流石だ○○さんッ!」(サムズアップ)
・「生憎だがな、貴様達は此処が『終点』だッ!!」(それっぽい台詞)

ヒーローであろうとする一方、自分のことをヒーローとは呼ばず、正義を名乗る敵には一層の憎悪を抱く、ヒーローの仮面を被った面倒な奴です。

被弾とか破損とか全然OKです



 床の石畳から沸き立つ汚泥、その内からこぽりと出た泡が割れると赤子の顔が浮かび上がる。
「……まん、まー……まんまー。」
「うそ……まだ出てくる。」
 無邪気な笑いを浮かべる赤子の顔に、先ほどまで同じ存在に絡まれていた女性は青ざめ、後退る。
「や、やめ……。」
「キャッキャ! まんまー!」
 その様を面白く感じたか、笑みを一層強めた赤子は汚泥の身体からいくつもの手を伸ばして掴みかかってきた。
「いやー!」
 思わず叫んだ女性が蹲った時、
「そうはさせんッ! とうッ!」
 突如横から、蒸気を吐きながら突進してきた四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)に、大半の手が弾き飛ばされていた。
「はぁっ!」
 そして、残った手の間をルナリリス・シュヴァリエ(サキュバスの剣姫・f25397)の聖剣が煌めき、薙ぎ払われた汚泥が女性を避けて飛び散っていった。
 一瞬の攻防の後、恐る恐る女性が顔を上げると、
「間に合ったようですね、ご無事で何よりです。」
「ここは俺たちに任せて貰おうッ!」
 可憐な笑みを浮かべながらも聖剣を手にしたルナリリスと、蒸気機関車を思わせる力強さで親指を立てる四軒屋の姿。
 共通するのは、この人たちであれば大丈夫……と安心できる出で立ち。
「お願い、します。」
「ヨシッ! では、俺たちは掃除といこうではないかッ!」
「ええ、やりましょう。人の成れの果ての姿であろうと、戻れないのであれば終わらせるのが慈悲というモノです!」
「だぁ……まんまー?」
 一気に駆け寄ってくる2人に赤子は一度首をかしげるような動きを見せ、その体を大量の手へと変えて掴みかかろうとしてきた。
「アストレア……貴女の力を貸してください!」
 祈りの声と共にルナリリスが聖剣アストライアを振りかぶると、聖なる光が刀身から放たれる。
 そのまま薙ぎ払い、聖なる光の奔流が伸ばされた手を呑み込んでいった。
「……だぁ?」
 そして、光を切り裂きながら現れた四軒屋が、赤子の姿を取る汚泥へと猛烈な勢いで突進した。
「貴様らは此処が『終点』だッ!!」
「ぁあああああああ!」
 断末魔の悲鳴と共に、汚泥は突進の勢いで弾き飛ばされて飛び散っていく。
 それらが塵と変わって空間に溶けていくのを見やり、四軒屋は勝利のポーズと共に言い放つ。
「悪は滅びたッ!」
「彼らの次の生に、祝福あれ……。」
 その後ろでルナリリスが聖なる祈りを捧げた時、儀式場に1人のシスターが姿を現した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『グレートマザー・イブ』

POW   :    単為出生・不完生命
いま戦っている対象に有効な【魔獣の核を選び、そこからすぐに自壊する獣】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD   :    試作魔導生物・原始魔人
レベル×1体の【過去に産み出した泥人形のような魔導生物】を召喚する。[過去に産み出した泥人形のような魔導生物]は【土】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
WIZ   :    自己還元
自身が【食べた魔導生物の核の魔力が体内に残って】いる間、レベルm半径内の対象全てに【火or水or風属性の魔力光線】によるダメージか【、魔力を自身の肉体に変換すること】による治癒を与え続ける。

イラスト:三日

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠水桐・或です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あらあら、あの子たち程度じゃ足止めにもならないのね。」
「ひっ!?」
 現れたシスターの声に、猟兵たちの影へと身を隠す女性。
 それを見やるシスターの顔はまるで……自分の手を逃れようとする実験動物を見るような、優しげな笑みを浮かべていた。
「その子を私に渡してくれば、あなた方は見逃しましょう……と言って退くような方々ではありませんね。」
 猟兵たちの見ている前でシスターは左手の蜘蛛を模した紋章を青く輝かせ、周囲に肉塊を浮かび上がらせた。
 肉塊は猟兵たちの見ている前で、新たな生物へと姿を変えていく。
「さぁ、あなたたち。紋章の材料を取り返しなさい。」
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
POW

女でありながら安倍晴明と同類の彼女に怒り『血統覚醒』
守護霊の憑依【ドーピング】で更に強化!
【属性攻撃・範囲攻撃・火炎耐性】で炎の雨を降らせたり
【オーラ防御】と各種耐性で身を守りながらの
突進【ダッシュ・怪力】で、召喚された魔獣を蹴散らす

これは貴女と同類の男に弄ばれた『母』達の力。
悪趣味な実験生物をいくら強化しても届かないわ

彼女を【念動力・マヒ攻撃】で金縛りにしつつ引き寄せ
【化術】で子供の姿に変えて【捕縛】の抱擁

きっと貴女は母の温もりを知らないの。
だから私が教えてあげる

暴れても【激痛耐性】で微笑を崩さず
【誘惑・催眠術・歌唱・全力魔法】の子守唄と共に
優しい愛撫で【慰め・生命力吸収】



 お腹の大きい女性の前に立ち、漆黒の瞳でシスターをキッと睨み付けたドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。
 背にした女性を守るように腕を広げ、怒りの言葉を放っていた。
「これから母になる者の胎内に、魔獣の核を植え付ける? ……貴女、それでも女なの?」
「ふふ、何を言うのかと思えば……。」
 そんな様子にも、シスターは涼しい顔で応じている。
 すでに言われ慣れているのか……あるいは、すでに壊れているのか。
「この世界に数多居る生き物である人間を、命を捧げる前に使ってあげているのですよ。」
「……貴女、本気で言ってるの?」
「ええ、もちろん。ここで使わずとも、いずれは紋章のためにその命を使うのですから。」
 そう話すシスターの目は、明らかに嘘をついていないと読める。
 その様に、ドゥルールはかつてサムライエンパイアで対峙した女性神……その胎内に魔軍将の力を持つ胎児を埋め込まれた者を思い出していた。
「許さない。あいつと……安倍晴明と同じ事なんてさせない!」
「ふふ、ならばどうだと」
 言いかけたシスターの言葉が止まる。
 いつの間にか、すぐ目の前にはヴァンパイアと化したドゥルールの真紅の瞳があった。
「早っ……あなたたち!」
「無駄よ、悪趣味な実験生物をいくら強化しても届かないわ。」
 号令と共にシスターの周囲に浮かんでいた肉塊が魔獣の形を取ろうとするが、ドゥルールがパチンと指を鳴らすと同時に降りしきるのは炎の雨。
 魔獣たちが炎にまかれて燃え尽きる様に、シスターはたまらず逃げようとするが……その足は金縛りにあったように動かなかった。
「くっ……これ、は……。」
「動けないでしょう? これは、貴女と同類の男に弄ばれた『母』達の力よ。」
 シスターが足下へと視線を移せば、様々な蟲を身体に宿した女性の霊が絡みついている。
「それで……私をどうするつも、り?」
 ふと、ドゥルールへと問いかけたシスターは違和感を覚えた。
 私はこんなに甲高い声だっただろうか……いや、それよりも、
「私が、縮んでいる?」
「ご名答。」
 そのまま抱き寄せるドゥルールの胸へと、子供と化したシスターの顔が埋まっていた。
「くっ、放しなさい!」
「それはできないわ。きっと、貴女は母の温もりを知らないの。だから、」
「ひっ!?」
 必死に振りほどこうとするが、子供の外見相応に弱々しい抵抗しかみせないシスターへとドゥルールは微笑みかけ、
「……私が教えてあげる。」
「いやあああああ!?」
 ……後には子守唄と共に、幼い嬌声が響いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘンペル・トリックボックス(サポート)
「ヘンペルと申します、しがない紳士です。お茶のついでにちょっとしたマジックでも……如何ですかな?」
【設定】
 UC偽身符で作られた、本物そっくりの式神です。
【イメージ】
 のらりくらりと現れる、紳士姿の胡散臭い奇術師です。胡散臭いの延長線上で、符術も使います。
【性格】
 常に礼儀正しい姿勢ではいますが、要所要所でしれっとボケを入れる剽軽モノ。放っておくと延々戯言を垂れ流します。
【行動理念】
 『誰かの笑顔のために』行動します。水面下で老体に鞭打って頑張るタイプです。
【好き/嫌い】
 笑顔、のんびり、甘いもの/作り笑い、不実、紳士的でない行動
【その他】
 ノリは良い方です。感覚で動かしていただいて結構です。


ジズルズィーク・ジグルリズリィ
せめて自分で戦えばまだ理解できるもの。依然、憮然。ジズは、毅然とあなたを打ち倒す所存です、命弄ぶものよ。

《私に七難八苦を与えたまえ》を発動し、懐へと飛び込みます。この際ダメージは我慢しましょう。それを可能にするのがこの技ですから。流石に女性のカバーはお味方にお任せしたいところですが。
狙うは本体、そしてその紋章です。どういった効能があるかは叩きのめして体に聞くとするのですよ。無限の命も、消えていい命もないのです。痛みとともにそれを知りなさい!



「くっ……私としたことが。」
「嬉戯、遊戯。いいように弄ばれていましたね。」
 どこか疲れたように肩で息をしているシスターに、静かに語りかけるジズルズィーク。
 その細い体躯から信じられないほどの力で軽々と持ち上げた巨大な鉄槌を肩に乗せ、
「それはそれとして……依然、憮然。ジズは、毅然とあなたを打ち倒す所存です、命弄ぶものよ。」
「……やってみなさい。ただし、」
 シスターが笑みを浮かべて左手の紋章を青く輝かせると、周囲の石畳の間からゴボゴボと泥水が湧き出してきた。
 それらが集まり、内から浮かび上がるのは……赤子の身体のパーツを無理矢理繋ぎ合わせたような、人の成れの果て。
「ひっ、また!?」
 ジズルズィークの後ろにいた女性が怯えるのも無理はない……先ほどまで自身を弄んでいたモノと同じ姿をした泥人形だからだ。
「いくらでも、私はこれを生み出せる。耐えられるかしら?」
「ふむ……困難、至難。叩きのめすのは出来るとしても、」
「お困りかな、お嬢さん。」
 湧き立つ泥に悩んでいたジズルズィークへと掛けられた、紳士的な声。
 女性のいる方に目を向ければ、その脇で帽子を外しながら優雅に一礼する、ヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)の姿があった。
「人を守りながら戦うというのは、誰しも大変なものです。ここはしがない紳士である私に、お任せを。」
「助かります。……では、いきましょう。」
「ご武運を。」
 ジズルズィークを見送るヘンペルと女性へ向けて、泥人形たちは手と触手を伸ばす。
「ひぃっ!?」
「……ご安心を、」
 悲鳴を上げる女性の前で、ヘンペルは手にした杖で一つ床を突く。
 その音が響き渡った瞬間、泥人形たちの伸ばす手が止まった。
「あなたには、指一つ触れさせません。紳士の目が黒いうちは。」
 最小限の動きで泥人形へと催眠術を掛けたヘンペルは無造作に近づき、杖から引き抜いた刃で斬り捨てていく。
 それらは声も上げずに泥の山へと変わり、積み上がっていった。

「……あ、しまった。」
 一方……ジズルズィークはあっさりと泥人形の伸ばす手に掴まれ、その体を持ち上げられていた。
 身体に巻かれた鎖で繋がった鉄槌もその手を離れ、石床に落ちていた。
「あはは、思ったよりあっさりね。その鉄槌は飾りかしら?」
 その手足を泥人形が掴み上げている中、シスターはジズルズィークの露出した褐色の腹へと目を落す。
「くっ……、」
「あなたの身体はとても頑丈そうね。ふふ、いい子供を作れそう。」
 ゆっくりと近づき、柔らかなジズルズィークの腹にシスターの手が伸びた時……先ほどまで弛緩していたジズルズィークが動く。
「……無私、不死。ジズの受難は、常しえに苛むのです。」
「なに!?」
 一瞬で床に落ちた鉄槌を鎖で引き戻して振り回し、吹き飛ばされた泥人形は壁に叩きつけられてただの泥へと変わっていた。
 人の限界を超えた力にジズルズィークの手足からは血が流れるが、それすらも気にせずに鉄槌を振り上げ、
「無限の命も、消えていい命もないのです。痛みとともにそれを知りなさい!」
「ぐはっ!?」
 逃げる間もなく、咄嗟にガードするように上げた手に浮かぶ紋章ごと、巨大な鉄槌が叩きつけられる。
 明らかに鉄槌よりも軽いシスターの身体は壁へと叩きつけられ、クレーターのようにめり込み……崩れた石壁にその体が下敷きになっていた。
「過大、過剰。ジズはやりすぎたでしょうか。」
「いやいや結構。それでこそだと思いますよ。」
 パチパチと手を叩くヘンペルの声に目を向けると、その姿が足下からパラパラと符へと変わっていた。
「その体は、」
「紳士の姿を保てるのはこれまでのようですな。それではお嬢さん、後はお任せしますよ。」
 そう言葉を残して優雅に一礼すると、ぱらりと落ちる1枚のヒトガタの符。
「模写、模造。主人の姿を模した式神でしたか。」
 符へと手を伸ばしたジズルズィークだが、背後から石の動く音が響くとその手が止まる。
 振り返れば、魔獣たちと共に石の中から身体を起こすシスターの姿があった。
「……まだ、終わりじゃないわ。」
「疑問、疑念。その紋章の効能は、生み出したモノの力を増幅すると聞きましたが。」
「ふ、ふっふふ……そうよ。」
 起き上がったシスターの身体をよく見れば、傷ついた部分は別の魔獣の部位へと置き換えているようだった。
「私の身体も、私の生み出したモノへと置き換えれば……。」
「……させません。生への冒涜は、許しません。」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

向・存(サポート)
もし手助けが必要でしたらお手伝いするのですよぉ~。
ユーベルコードの出し惜しみをするつもりはありませんけどぉ、だからと言って乱発すればいいってものでもないですよねぇ~。
使いどころに迷ったときはぁ、ご同輩に相談すればいいでしょうかぁ~?
けどぉ、非道なことをなされる方には手加減無用、全力で参らせていただきますねぇ~。
荒事以外のことなら楽しんじゃいますよぉ~。折角なら美味しそうなものとかあると嬉しいですよねぇ~。


神楽坂・神楽
あの紋章がある限り、あやつは無限に再生する可能性があるというわけか。
ならば、UCであやつの背後に転移するとともに加速し、左手に《氣》を集約した攻撃を放とうぞ。
紋章を破壊できずとも、せめてその手は吹き飛ばしてやろう。

紋章の力を奪うことができたならば、逃げられぬようにその四肢を破壊しよう。

おぬしは胎児を魔獣を生み出すための材料としておったようだな。
ならば、おぬしにも同じ運命を辿らせてやろう。

骸の海に還しなどはせぬ。
ゆっくり自らが消えることを味わいながら、わしの《刻印》の餌になるがよい。



「あの紋章がある限り、あやつは無限に再生する可能性があるというわけか……。」
 崩れた石壁の中から身を起こすシスター、その左手の甲にある紋章へと目を向ける、神楽坂・神楽(武術指導員・f21330)。
「まずは紋章を何とかせねばならんな。」
「そっか~……じゃあ~わたしぃは何をしたら良いですかねぇ~?」
 そして、その隣でおっとりとした声で問いかける、向・存(僵尸の悪霊・f34837)。
 ゆらゆらと揺れる向の耳元へと神楽坂は短く耳打ちし、
「……で、どうだ?」
「おぉ~、じゃあそれでいきますよぉ~。」
「よし、頼むぞ。」
 頷く向に一つ笑みを返し、神楽坂は深く息を吸って集中して自身の身体に氣を巡らせていく。
「……相談は済みましたか。」
 そんな2人へと目を向けたシスターがパチンと指を鳴らすと、周囲の肉塊は魔獣の姿へと変わり、さらに足下から泥水が湧き出してきた。
 泥は人の手の形を取り、駆け出す魔獣と共に2人へと掴みかかろうと腕を伸ばす。
「いずれにしろ、あなた方はここで終わりです。」

「あはは~、そう簡単にいきませんよぉ~?」
 ふらりと前に飛び出した向だが、跳びかかる魔獣の爪を手で捌き、伸びてくる泥の手を最小の動きであっさりと躱していく。
 のんびりとした動きはそのままに、のらりくらりと躱しながらシスターへと近づいていった。
「わたしぃを止めるにはぁ~、まだまだ力不足のようですねぇ~?」
「くっ……見た目で油断したのは確か、ですか。しかし、もう一人も」
 そう言ってシスターが向の後ろへと目を向けると、神楽坂の姿がない。
「どこへ……?」
「ここだ。」
「っ!?」
 突如後ろから掛けられた神楽坂の声に、反射的に身構えるシスター。
 しかし、驚きの中での構えは不十分……。
「ぐ、あああああああ!?」
 十分に氣を乗せた神楽坂の左手がシスターの左肘を捉え、千切り飛ばす。
「よっとぉ~!」
 魔獣たちの間をするりと駆け出した向が飛ばされた腕をつかみ取っていた。
 その手の中で紋章が青く脈動すると共に腕が塵へと変わり、魔獣たちもどろりと泥へと溶けていく。
「あははぁ~、上手くいったねぇ~。」
「ああ、助かったよ。……さて、」
「ぐぎっ!?」
 足下で呻くシスターの足を、神楽坂の足が踏み抜いた。
「おぬしは逃がさぬよ。」
「ふ……ふふ。ならば、どうする気です……。」
「……おぬしは胎児を魔獣を生み出すための材料としておったようだな。ならば、」
「あ……うぅ!?」
 残っていた腕を神楽坂が掴んだ時、シスターは自身の身体から力が抜けていくのを感じ取った。
「おぬしにも同じ運命を辿らせてやろう。」
「ふ、ふふ……敵に捕まった者の末路としては、これほどふさわしいモノはないですか。」
「骸の海に還しなどはせぬ。ゆっくり自らが消えることを味わいながら、わしの《刻印》の餌になるがよい。」
「ならば、忘れぬ事です……私は、消えます、が……別の、私、が……。」
 口の端に笑みを浮かべながら呟きを残し、シスターは塵へと変わり……そのまま石床へと溶けていった。
「終わったねぇ~、お疲れさまだよぉ~。」
「うむ、では帰るとするか。っと、そうだ。」
 儀式場の隅に隠れ、腰が抜けたように座っていた女性へと目を向けて、
「おぬしの手を貸してやってくれ。今のわしの手は血に濡れすぎた。」
「了解だよぉ~。さぁお姉さん~、もう安心だから帰ろうねぇ~?」

 こうして、猟兵たちの活躍によって、紋章を生み出す儀式場の一つが消えていった。
 救出された女性は残っていた村人たちと共に、笑顔で村へと帰っていった。
 いずれ生まれてくる命と共にささやかな祈りを捧げる場は守られ、人々の心の支えとなっていくだろう。
 だが、まだこの世界には第五の貴族と呼ばれる者たちが残っている。
 平和を取り戻すのはいつの日か……そう心に留めながら、猟兵たちは帰路へとついた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年09月09日


挿絵イラスト