炸裂!お前が大輪の花!!
天頂へ向かうほど深くなる青。
白く強烈な真夏の日差しは引き立て役、言わんばかりに空を翔けるは花火客。
叩き咲いたのは、真っ赤なハイビスカスと真っ黄色なヒマワリが詰まった花火玉。
宙を跳ねる者を彩り、見上げる観覧者をも魅了する。
瞬間に眩しく一枚。最高のショットは逃しません!
遠くなるほど静かになる紺。
月よりも近く、夜を飾るのは色彩豊かな妖怪の火。
流れ落ちる光の上を歩き、次に割ったのは仄かに光る飴の詰まった花火玉。
ふわふわ落下傘を受け取ろうと手を伸ばす観客への、ちょっとしたサプライズ。
動画もおまかせ! 君が主役の舞台を、その手の中に。
「――おや、笛の付いた玉ですね。大将、あれは何でしたっけ?」
「あぁ、あれかい。……"おまかせ"だよ」
「えっ」
ヒュ~~~、ドッカーーーン!!!!!
爆弾魔な花火師による、特製の一発!!
大きな菊花火の向こうで落ちてゆく影は、玉皮じゃなくて参加者だぁー!!?
しかしまぁ明日には無事、黒焦げで浜辺に転がっていることだろう。
何故ならば、この花火は妖怪親分達の用意した、大怪我をしない特別製。
そしてそれに挑む妖怪達もまた――。
●
「アナタが思うより頑丈です、って事らしいですわ!」
調子を付けながら歌うように語るのは納花・ピンチン(ブギーモンスターの勇者・f31878)
埒外たる猟兵はなお、体の出来が違うので問題はナイとのことだ。
「水着コンテストが行われたビーチにて昼と夜、妖怪花火を楽しむお誘いが来ました! こちらは参加者が一緒に打ち上がってスイカ割りの要領で、玉を次々と割っていく仕様なんですって! 空と海をバックに画になること間違いなし! ご一緒しませんこと?」
一名または数名が、火の付いていない花火・小~大玉十発ほどと共に打ち上げられる。それを音楽や演出に合わせて次々とタイミングよく叩き割って咲かせてゆくという、参加型花火とのことだ。時間にして僅か一分未満の空中舞台だ。
「炸裂した花火の星は上を歩くことが出来るという、不思議な品なんですよ! まぁこの会場では、次の花火玉へ向かう為に、走る方が多いかしら?」
またこちらの花火は参加者の希望に合わせ、星の中身を自在に変えられるそうだ。
昼ならば、青い空に映えるビビットカラーなリボンや風船で模様を描く型物花火。
夜ならば、小さな蛍火を雪のように降らせ、割れる音を静かな音楽にして幻想的に。
「とびっきり映え映えで、バズりそうな一幕にしちゃいましょ!」
ちなみに会場では撮影係として、小さなてるてる坊主の妖怪・カメラ小僧が、地上や空中に待機している。後で写真やデータを貰えるし、見つければカメラ目線なカットもキメられることだろう。
「もちろん、本格的なものを花火師さんに"おまかせ"も出来るんですよ。大将さんは妖怪・小玉鼠さんと仰って――」
先程の予兆を見た幾人かの猟兵が、静かに首を振るのが見えた気がする。
なお、今回は戦闘の無い日常のお出掛け。ユーベルコードの使用は――。
「あら、華やかに使うにはピッタリだと思いますわよ?」
周りの皆様のご迷惑にならない範囲で、バッチリOKである!
「ほな! 水着の子も水着やない子も、みんなで夏の花火、楽しんでいきましょか!」
弾ける跳ねるのは花火か君か。
キラキラの空と海が出迎える。
小風
小風(こかぜ)です。
32作目はカクリヨファンタズムにて猟兵達の夏休み2021です。
よろしくお願いします。
こちらは第1章の【日常】だけで構成されるシナリオです。
呼びかければピンチンが応答します。ソロ参加や演舞のお供にどうぞ。
また、プレイング期間を設けています。送信の際はMSページも御確認下さい。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み2021』
|
POW : 妖怪花火で空へGO!
SPD : 妖怪花火の上で空中散歩
WIZ : 静かに花火を楽しもう
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
藍沢・織姫
花火大会!せっかくの夏休みですし、楽しんでいきましょう。
(画像は無いけど水着は露出度の高すぎない、可愛い柄のもの着用)
って、自分が花火と一緒に飛んでるー!?
そして花火の上を歩く…へえ、これは綺麗。
考えてみれば、カクリヨでは戦争でも無茶苦茶な事をやりまくった事ですし、細かい事は気にせずとにかく楽しんで行きましょう(感覚麻痺)
ナイルナイン・ナイ
「キィキィ、ウニャー!」≪うははは、なにこれおもしろー!≫
と、テンション爆上げで花火の星を駆けていく黒い子猫。
蝙蝠のような羽もついていて飛べるけど、星の上を渡る方が面白いので、次の花火玉目掛けて走ってます。
技能レベルをUCで上げた早業で花火玉を次々と割って、地上の皆を驚かせるぞー!
あ、ただ割るだけでなく、上空の皆に叩き投げて渡したりとかも出来たらやろうかと。
バトラーズ・ブラックの闇はきっと夜空で見えにくいだろうし、もっと驚いてくれるかも!(妖怪花火を楽しむ及び観客を楽しませる事、を主催者側からの命令として嬉々として受諾)
日は沈み、辺りは暗闇に包まれる刻限。
それでもビーチには屋台の明かりが灯り、空を見上げる者の波は絶えない。
カクリヨファンタズムの祭りは夜だって楽しい。
今年の一度限りの夏を遊び尽くそうと、これから披露されるそれを目いっぱい楽しもうと、待ちかねる者達の表情は期待に満ち、賑やかな喧騒も音楽のようだ。
「花火大会! せっかくの夏休みですし、楽しんでいきましょう」
そんな妖怪や猟兵達から少し離れた打ち上げ場にて、観客とは違う楽しみ方に挑むのは藍沢・織姫(紺碧の歌姫・f03959)
露出は控え目、その分可愛らしい柄の映える水着が、今宵の舞台衣装だ。
「キィ、ニャッ!」
参加の手続き中、不思議な鳴き声と共に肩に乗って来た蝙蝠猫は、猟兵にして召喚獣のナイルナイン・ナイ(尻尾があったりなかったり・f33914)
齢六歳である彼。どうやら申請方法が心配になり、事前に見に来たようだが。
『おや、あんたら一緒の参加かい? それならちょいと、玉数オマケしてやろうかね』
藍色天使の翼と黒い蝙蝠羽、合わせの装いだと思ったのだろう。
さらさらと書き進めてしまうテキトウな花火師に驚き、顔を見合わせる織姫とナイ。
しかしこれもまた面白いと思ったのか、どちらともなく笑い出す。
「それでは、その通りに。蝙蝠猫ちゃん、一緒にみんな楽ませちゃおう!」
「キキィ、ニャー! (わかった、よろしく!)」
大小の手でハイタッチを交わす両者。
案内された一際大きな打上筒に入り込むと、ドキドキのカウントダウンが始まった。
●
ヒュルルルルル……、ドドン!!!
夜空の演舞、開始の合図。
二つの大きな花を模った花火が二輪、空を駆ける橋となる。
「すごい、花火と一緒に飛んじゃった!? そして上を歩けるなんて……へえ、これは綺麗」
ビーチの灯りと観客は遥か彼方。まるで足元にも天の川があるよう。
眩しく光り儚く消えてゆく火薬玉の星をそっと踏み、しばしその景色を楽しむ織姫。
「キィキィ、ウニャー! (うははは、なにこれおもしろー!)」
こちらは隣、ナイの花火。
飛べる身ではあるが星の上を渡るのが面白いと、遠くまで伸びる光の軌跡をどこまでも渡ってゆく。
――シュッ!
両者の目の前へ、次の花火玉が飛んで来た。
差し出されるように現れたそれを叩き割ると、破裂し飛び出す星に照らされたその向こうにまた次の花火玉が。
花火師大将の"おまかせ"メニューもとい、試練の始まりだ!
矢継ぎ早に飛ぶ花火玉を追いかけ、星を足場に上へ上へと空を駆けあがる織姫。
右に左に、こちらを振り回すように上がる花火玉はナイがカバーする。
打ち上げ花火は最高点で開くものが美しい。
時に跳躍し、時に割る順番を見極めながら、闇夜に大輪を咲かせてゆく天使と子猫。
広大な夜空を流れ星のように駆け回る軽やかで緊張感のあるその様は、地上で見上げる者達にスポーツ観戦のような心地をも与えた。
ザザザッ!!!
次に来たのは小玉の花火。
しかし先程までとは様子が違う。
高さはバラバラ、範囲も広い。
しかも、それが同時に最高点に到達したのだ。
「えぇっ!? これは割り切れないよー!!?」
「ニャニャン! キー!! (だいじょうぶ! まかせて!!)」
そう鳴いたナイの周囲の夜空がより深くなり、小さな闇の蝙蝠が出現する。
ユーベルコード、バトラーズ・ブラック。
皆を楽しませようという織姫との約束を命令の承諾とし、発動条件を満たしたのだ。
目にも止まらぬ早業で、真っ黒な闇蝙蝠が小玉花火を叩き割ってゆく。
バッ、バババババッ!!!
途端、眼下に広がるは色彩豊かな千輪菊の花火。
咲き乱れるは夢幻か、光の花園が闇夜を裂いて出現する。
シュルッ……!
その中を特大の大玉が、一筋の銀の光を伸ばして上ってゆく。
それを柔らかな肉球で下から支えると、ぐいっと力を込めて更に弾き上げるナイ。
「ニャッ、キー! (いったよ、織姫!)」
「ありがとう、ナイ君! よーし、無茶苦茶楽しい妖怪花火の――フィナーレだ!!」
織姫が星から飛び降りながら振るうは、全長二メートルの鉄塊剣「einherjar」
英霊の力を模した大剣がまるで夜の宴を祝すよう、豪快に尺玉を叩き割る。
――――ドドオォォォン!!!
地まで響くような轟音と共に、幾重もの色を重ねた特大花火が花開く。
昼のように明るく、流星を詰め込んで放ったような巨大な大輪。
しばしひとつの音しか聞こえず、寸の間の静寂。
そして歓声と拍手が、波打ち際より天まで届いた。
消えゆく星を渡り、カメラ小僧なてるてる坊主に空中で回収されビーチへ帰るふたり。
とっても綺麗でしたよ、と手渡された写真には。
夜空を明るく彩らんと駆ける、流れ星の勇姿が映っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
イネス・オルティス
水着2021に巨獣槍を持って参加
(水着は細長の一枚布を巻いただけのもの)
さすがカクリヨファンタズム、また奇妙な事考えたわね
ま、空中戦の練習にいいかもね
打ち上げられたら、野生の勘でひょいひょい動いて割っていきましょう
細かい奴はなぎ払いして連続で割るのもいいわね
……!? ちょっとそっとじゃ割れなさそうな超巨大玉
それなら【巨獣撃】よ、割れろっ!
恥ずかしさ耐性のあるイネスは、周りの視線を気にしません
そのビキニアーマー姿の存在感で、無意識に誘惑してしまう事がありますが
イネスにそのつもりはありません
カクリヨファンタズムの妖怪花火は、昼間にだって上がる。
見上げても眩しくないよう、太陽を避けた方角の打ち上げ場。
そこへまた、一人の猟兵が挑まんと歩を進める。
「さすがカクリヨファンタズム、また奇妙な事考えたわね」
ま、空中戦の練習にいいかもね、と愛用の巨獣槍をくるりと軽やかに回しているのはイネス・オルティス(隠れ里の女戦士・f06902)
衣装は今年の新作水着2021。
優雅な魚の尾びれのようになびく長い両端を手に、上品なワインレッドの布を大胆にクロスさせながらリボンのように胴体を締めたそれ。
――つまり、細長い一枚布を、巻いただけである!
『ひゃあ!? アンタ、その水着で飛ぶのかい?』
顔を上げた花火師もびっくりするは当然。
しかしイネスはそんな視線もなんのその。
堂々と頷くと、さっさと参加手続きを済ませてしまった。
彼女はビキニアーマーを伝統とする隠れ里一族の戦士。
いつもの鎧も大体こんな感じであるので、恥ずかしくなどない!
むしろ巻き方次第で形が変わる水着なので、今が一番露出が少ないかもしれないのだ。
参加者ごと打ち上げる大砲のような巨大筒に乗り込むイネス。
けたたましい笛の音と共に、真昼の演舞が始まった!
●
イネスと共に飛ばされた尺玉が、上空で打ち割られる。
クラッカーのように弾け飛ぶは、陽の光を受けてキラキラと輝くオーロラテープ。
咲くように開いたそれは、美しい花弁を伸ばしながら、誇るように大輪を成してゆく。
すかさず、次の種が空中へ植えられる。
予測済みと言わんばかりに、消えゆく七色の花弁を蹴って跳ぶバーバリアン。
穂先の巨大な牙が尺玉を齧れば、水泡のように飛び出すは、淡く光る色とりどりのシャボン玉。
さらに続けて割られれば、ふわふわと空中を泳ぎ出す様々な魚のバルーン。
空に展開されるアクアリウム。
野生の勘を以って花火を追い跳ぶイネスは、さながら勇ましく泳ぐ赤い金魚のよう。
遠く地上からも見て取れるその真っ赤な舞踏は、顔を赤らめていた観客をもしばし見惚れさせた。
イネスが泳ぎ、小さな花火玉の群れを薙ぎ払ったその向こう。
仕上げだとばかりにお出まししたのは、なんとも巨大な焦茶の尺玉……いや、むしろくす玉!!
よくここまで飛ばしたなと思わずにはいられないそれは、今にも自分の重さで地上へ落ちそうである。
「……!? ちょっとそっとじゃ割れなさそうな超巨大玉ね。それなら――獣の一撃、くらいなさいっ!」
すぐさま槍を振り上げるように回転させると、放つはユーベルコード・巨獣撃(ビーストクラッシャー)
穂先に使われた牙の持ち主が蘇ったかのような巨大な獣のオーラが槍に宿り、超巨大花火玉を更に空へ打ち上げ、粉々に叩き割る。
――シャン!! ジャラジャジャラ……!
響く金属音と手応えにイネスが見上げれば、割れたくす玉から溢れ出すのは金銀財宝、宝石の雨霰。
まるで海賊の宝箱をぶちまけたかのような光景だ。
拍手と歓声がこだまするその中を、祝福するように見送られながら。
金魚の女王は優雅な尾を引いて、地の海へと舞い戻る。
大成功
🔵🔵🔵
リリ・リーボウィッツ
せっかくだから、ピンチンちゃんをお誘いしましょう。
それとネーベル(相棒の黒猫)も連れていきましょうか。可愛い小動物がいるほうがハエるでしょうから。実は「ハエる」という言葉の意味はよく判りませんけど。
ネーベルを抱いて、ピンチンちゃんと一緒にドーン!
空に上がった後は、両手で抱えたネーベルをリズミカルに揺らしつつ(ネーベルはすっげー迷惑そう)、念動力でナイフを飛ばして花火玉の半分を割っていきまーす。(残りの半分はピンチンにお任せ)
地上にいる人にも軌跡が判りやすいよう、ナイフにはスパーク花火を取り付けておきますね。
たのしー!
ネーベルも楽しんでますか?(顔を覗き込む)
あんまり楽しそうじゃないですね……。
賑やかな花火大会も時が進み、そろそろこの夏祭りともお別れの刻限。
太陽が地平線の向こうに隠れても、すぐに暗くなるわけではない。
夕方と夜の真ん中。
光と闇は均衡を保ち、砂浜に落ちていた影を淡く溶けて見えなくさせる。
空に打ち寄せていた光の波は長く穏やかになり、天のビーチを金色に染める。
ゴールデンアワー。
一日に僅か数十分だけ現れる魔法の舞台が、彼らの為に用意された。
「せっかくだから、ご一緒しましょう、ピンチンちゃん」
案内役の猟兵に話しかけるのはリリ・リーボウィッツ(CROWBAR CAT・f24245)
その腕の中で胴体を長く長く伸ばしているのは相棒の黒猫・ネーベル。
「この仔も一緒です。可愛い小動物がいるほうがハエるでしょうから」
「まあ!? もちろん、いいですわよ! いっちょバエバエですわ!」
キャッキャとはしゃぐ両者。
だが実はリリ、"ハエる"という言葉の意味をよく判っていない。
更に言うとピンチンも、ここまで何人も猟兵を連れて来たのによく分かっていない。
非常に意気投合している。
そう、大体合ってれば良いのである!
「…………」
実は賢いオウガの分身であるネーベルに呆れられながら。
夏祭り最後の花火と共に打ち上げられる。
●
暗いと明るいの、そのあいだ。
遠くシルエットと化してゆく三名。
彩るのは弾けて広がる、仄かに光る星屑を詰め込んだかのような花火の星。
夜空の前、一足お先に手が届きそうな星空を連れて来た。
「あら? この花火星、アメちゃんですわね?」
地に落ち消える前なら取って食べられます!
参加者と観客へのお土産も兼ねた花火であった。
「たのしー! ネーベルも楽しんでますか? ……あんまり楽しそうじゃないですね」
淡い星の軌跡をステップに、抱っこして一緒にダンスするように回るリリ。
一方、覗き込んだ黒猫の表情は、勝手にリズミカルに揺らされているからか、伏せ気味の目もつり上がって、すっげー迷惑そうである。
しかし、星のアメが降る向こう、登って来た尺玉をリリが華麗なナイフ捌きでひとつ割ったところで……その眼が変わった。
パックリ割れた玉皮から飛び出して来たのは、ピチピチと元気に跳ね回り光るトビウオのマシュマロ。
海と空の間を、羽を広げて活き活きと飛翔し始めた。
「ニャニャーーーン!!!」
「あ! ネーベル!? ……手伝ってくれるんですか?」
リリの両手からするりと脱出。ダッシュで魚を追いかける黒猫が、道中邪魔な花火玉を猫パンチでパワフルに割ってゆく。
弾き出たペンギンの花火と、今度はトビウオを巡っての追いかけっこが始まった。
「よーし! 負けていられないですね! ピンチンちゃん、そちら半分は任せます!」
「はいですわ! ほな、いきましょか!」
残った花火を全部使おうとしているのか、次々と休みなく飛んで来る尺玉を素早く割ってゆく猟兵。
徐々に紫色のグラデーションへと変化してゆく空。
その中を飛び回る、小さなミツバチのような幾つもの光。
リリがナイフに仕掛けた、スパーク花火の灯りだ。
ユーベルコード・ホーミングぶっこみまくりハリケーン。
念動力で飛び回る十二匹のミツバチ、もとい投げナイフ。
小さな影のつぼみを次々と同時に、見事なスターマインへと開花させてゆく。
様々な色形へと変化してゆく花畑は、観客の心を躍らせ、楽しく目を惹き付けた。
ヒュルルルルル……!
「おっと! これは大物ですね。ネーベル、ピンチンちゃん、いきますよ!」
「ニャン!」
「ほいさ!」
大尺玉、そして逃げるトビウオを仕留めようと、三名が一斉に玉皮へ一撃を入れる!
…………ドドドドドーーーーーン!!!!!
大太鼓のような、腹まで響く爆音が轟く。
天頂から地平線まで開いた特大の光の花は眩しく美しく、太陽の化身のよう。
全ての音が、耳を奪われたかのように聴こえない。
ド迫力の花火を背に、濃い青色の空、ブルーアワーの中へと消えてゆく大トリ達。
今度こそ、夜が来た。
遅れて響く、拍手と歓声。喝采と高揚感。
そしてじんわり広がる、ちょっぴりの寂しさ。
これにて、今年の夏祭りは仕舞いとなった。
大成功
🔵🔵🔵