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#クロムキャバリア #トリアイナ

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#クロムキャバリア
#トリアイナ


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●トロイエ級強襲揚陸艦一番艦『トロイエ』内パイロット控室にて
「それで契約通りに休暇のバカンスを満喫してた俺らに呼び出しが掛かるったァ、今度はどう言った尻拭いをされるんだ?」
「さぁな。だが、Aクラスの非常呼集が掛かるほどだ。よほど緊迫した事態だろう」
「奇遇だね。アタシもそうじゃないかって考えてたところさ」
 本来であれば夏の休暇を満喫中であった、トリアイナの隣国ヘキサから派遣された傭兵で編成されているトリアイナ海軍内の海兵隊部隊『キュクロプス隊』に、緊急の招集命令が下された。待機残留人員との交代で休暇を満喫していた隊員らは、思い思いの愚痴を零しながらトリアイナ海軍所属のトロイエ級強襲揚陸艦へ乗り込み、次なる戦場へと出港したばかりだ。不満そうに口を尖らせているルフス、彼の愚痴を聞き流しながら本を読んでいるウィリディス、小隊の紅一点で退屈しのぎに手近なパイプにぶら下がり懸垂をしているカエルラの元へ、各小隊長クラスの作戦会議を終えたアルブムが戻ってきたのは程なくしてであった。

「おっ、帰ってきたぜ。隊長、今度はどこでドンパチするんだ?」
「聞いて驚くなよ? トリアイナ領海内の洋上プラント『エンデカ』だ」
「プラントだって? それじゃ今度は、プラントを不法制圧したテロリスト退治かい?」「その逆だ。プラントそのもので問題が起きた」
「しかし、トリアイナの洋上プラントは高度なAIによって無人化されている筈ですし、反乱が起きたとしてもそれは……」
「そうだ。オブリビオンマシンだ。プラントでオブリビオンマシンが生産されたようだが、今回はプラントそのものがオブリビオンマシンとなる事態にまで発展した。俺たちにその破壊命令が下された」
 思いも寄らない事態であるのは確かであり、ルフスが興味を示したかヒュウと口笛を吹いてみせた。

「それとだ。本国からの要請で、『奴ら』の最終試験を当作戦で行うことも決定された。俺たちの任務は二つ。ポイント海域に迫りつつある嵐のどさくさに紛れ、オブリビオンマシン化したプラントの破壊。それともし、奴らが反抗したり逃げ出そうとしたら、俺たちが始末をするという物だ」
「奴らと言えば、この前の作戦で諜報部の連中がトリアイナの目を掻い潜って、表向きは死んだことにしておいて、亡命に近い形でスカウトした奴らかい」
「そうなる。こうして各国に赴いて傭兵として雇われている中、優秀な人材のスカウトをするのも任務の一つでもある。例えそれが、オブリビオンマシンの元パイロットだとしてもだ」
 彼らが乗っているのは、今現在先行しているこのトロイエ級強襲揚陸艦の同型艦だ。トリアイナへは補充人員と既存機体に改修を加えた試作機の試験運用として伝えてある。その後方からキュクロプス隊が出発し、傭兵国家ヘキサの一員になるかどうかを見定めを行うこととなるのだ。

「そんじゃま。他の小隊が先走らないよう見張らねぇといけぇな」
「はっ。命令違反を重ねてきたアンタからそんな言葉が出るだなんてね」
「二人共、無駄口はそこまでだ。作戦開始の時刻まで30分だ。各自準備を怠るなよ?」


●グリモアベースにて
「ついに、と言いますか。クロムキャバリアの人々の糧であり支えとなっているプラントがオブリビオンマシンと化してしまう事態が発生してしまいました」
 いつもは冷静なシグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)の顔に驚きの色が隠せないのも無理はない。今までは低い確率でオブリビオンマシンを作り出す程度であったプラントその物が、オブリビオンへと変貌してしまったのだ。そうなればプラント全体が汚染されたと言っても過言ではなく、作り出すキャバリアは全てオブリビオンマシンとなってしまうのだ。

「ですが、幸いだったと言いますか。私が予知しましたプラントは陸と海を隔てた洋上プラントであり、また機械によって無人化されているのもあって人への被害は今の所確認されていません。ですが、そのまま放置してしまえば、行く行くどうなるかは誰にも予想できないのも確かです」
 シグルドの説明によれば、今回確認されたオブリビオンマシン・プラントはトリアイナ領海内にある洋上プラントの内のひとつである。今となっては旧型機となった輸出用量産型キャバリアを生産するだけの物であったが、トリアイナ重役らの見識ではプラントの老朽化によって起きたものであると結論付けている。よって今回、海軍の海兵隊戦力を以って秘密裏にプラントを破壊することと決定されたのである。タイミングよく気象台が嵐が来ることも観測されており、民衆に向けては強烈な嵐によってプラントが自壊したと説明するものだろうとシグルドは語った。

「パイロットが乗っていない無人の自律稼働機とは言え、強大な力を有するオブリビオンマシンに変わりありません。このまま彼らだけで自体の収束を図ろうとすれば、良くて苦戦、悪ければ全滅の可能性もあります。そこで我々猟兵が介入するべきと判断し、皆様にお声がけした次第であります」
 だが、人的資源に乏しいトリアイナはプラントの無人化を推し進めていたらしく、周辺海域内には太陽光発電で稼働する警戒用の水上ドローンが無数に存在している。それらに探知されれば、その情報はプラント内の警戒システムに自動送信されて、AI制御による砲台兵器郡の迎撃防衛網が構成されるであろう。そうなればプラントに上陸するのが困難になり、ある程度の被害を覚悟せねばならなくなる。

「そのような自体を避けるべく、探知される前に破壊するか突破するか、もしくは何らかの方法にてハッキングするなりして突破すれば問題ないでしょう。そうすれば、オブリビオンマシン・プラントを防衛する自律制御型キャバリアを相手に有利に戦うことが可能となります」
 それらを駆逐した後はプラント内部に侵入し、次々と生産され続けるオブリビオンマシンごとオブリビオンマシン・プラントその物を破壊するだけである。内部はキャバリアがゆうに入れるほどのスペースがあり、この中で戦えば強まる嵐の影響は受けないだろう。

「それでは、皆様を作戦準備中のトリアイナ軍港へとお導きします。初めてのケースでもあり戸惑う事もあるかもしれませんが、ご武運をお祈りします」


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 毎日毎日が猛暑日続きで、心も身体も参る日々を送っています。
 最近紙パック式の麦茶を作ってはマイボトルに入れて職場での水分補給をしていますが、やはり汗だくになる暑い日には麦茶が一番ですね。

●シナリオ概要
 クロムキャバリアにおける生産拠点であるプラントが、何故か丸ごとオブリビオン化してしまいました。オブリビオン化したプラントそれ自体は何の戦闘能力も持ちませんが、あらゆる資源の代わりにひたすら無数の自律型オブリビオンマシンを生産し続けるようになっており、放置すればあっと言う間に『自律稼働可能なオブリビオンマシンの群れ』が出来上がってしまいます。
 オブリビオン化して暴走するプラントと、そこから無限に吐き出される自律型オブリビオンマシン、全てを破壊することとなります。

●戦場の情報
 第一章目は冒険フレームとなります。
 トリアイナ軍港から出港した強襲揚陸艦に乗り込み、オブリビオン化した洋上プラント海域周辺からのスタートです。
 洋上プラント周辺には警戒用の水上ドローンが配備されており、それらの目を掻い潜っていく事となります。これらはこの章内では猟兵らにダメージを与えるような事はしませんが、プラント防衛を行うオブリビオンマシン化した防衛システムに情報を送信しようとしてきます。

 第二章目は『集団戦』フレームとなります。
 洋上プラント上陸を阻止するオブリビオンマシンとの戦闘となります。
 前の章にて、どれだけ敵方に察知されたかで迎撃体制を万全に整えているかそうでないかが左右されます。

 第三章目も『集団戦』フレームとなります。
 洋上プラント内部で、次々と生産される量産型オブリビオンマシンとの戦闘。並びにプラントを破壊する章となります。
 二章と三章共に、状況が進展した際に逐次情報の開示を行いますので、こちらもご了承ください。

 また今回のレンタルキャバリアは『ピースメーカー海兵隊仕様』となります。
 強襲性を高める為、機体の軽量化によって機動性と運動性が強化され、盾は取り回しを考慮した小型な物でシールド先端部による打撃が可能です。
 武器のハンディマシンガンも取り回しの良いカービンモデルになっている他、携行型長距離支援砲『バントライン』やバックパック換装式の低圧ショルダーキャノンなども選択可能です。

 それでは、猛暑の熱波にも負けない皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『危険因子を探知しまシタ_』

POW   :    ドローンを破壊しながら通過する

SPD   :    捕まる前に高速で通過する

WIZ   :    ドローンのシステムへ介入を試みる

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 嵐の前触れか。気分も重くなる曇天は、まるで生きているかのように渦巻きながら息を吹き付けるかのように風が強まり、鈍色の海は大きく波打ちうねり狂いつつある。
 トリアイナ海軍所属の強襲揚陸艦後部より発進した数機のキャバリアを乗せた揚陸ホバー艇……通称CLACは吹き付ける横殴りの強風に煽られながらも、波の影響を受けずに水平線からせり出すように突き出ている洋上プラントに向け進んでいく。
 先行するのは、目立つ赤色の塗装と隊長機と思われるツインアンテナが特徴的な試作型カスタムモデルのピースメーカー。他はその簡易量産モデルと言った顔ぶれである。それらから若干距離を取るように離れつつも追従してくるのは、トリアイナ海軍の海兵隊部隊である『キュクロプス隊』の海兵隊仕様ピースメーカーであった。その様子を赤いピースメーカーに乗っているパイロットが、モニター越しに肩をすくめながら鼻で笑った。

(ふん……。元オブリビオンマシン乗りの宿命かね? そっちからなびいて来ておいて、ここに来て手のひら返しもいいところだよ)
 オブリビオンマシンにより操られて正気を失う。クロムキャバリアに渦巻く終わりなき戦火と戦乱の根本的な問題であるが、猟兵の活躍により今までは破滅的な最期を遂げる筈だったパイロットが生還する例が増え始めてきたが、その後の処遇については千差万別である。
 ある者はオブリビオンマシンからの呪縛から解き放たれた理解を得て、元の要職に復帰できた。またある者は、オブリビオンマシンからの呪縛が解かれても、周囲からは穢れや畏れによる偏見により疎ましく思われている。前者はまさに周囲の理解を得られた幸運的な結果に過ぎず、オブリビオンマシンへの恐怖と怖れから後者の末路を辿るものが多数的とも言えよう。それに加え、彼女自身もかつては裏社会に身を置いていた経験からか、軍人崩れや訳ありそうな身を崩した輩らが裏社会に足を踏み入れたり野盗を組織してきた者らを幾度なく目の当たりにしてきた。

(そう言うあたしは運が良いのやら、悪いのやらね……)
 ふと思い出すのは、昨日の出来事のように鮮烈に記憶へ刻まれたあの時だ。長らく苦楽を共にしていた戦友との突然訪れた別れ。状況的に今まで好き放題生きてきたツケを清算する時が来たかと思った矢先、目の前に垂れてきた希望という名の蜘蛛の糸。戦友への弔いは後を追うことではなく生き抜くことだと諭された彼女は、こうしてチャンスを掴み取った。交換条件として出したのは、手下たちの身の保障と安全の確約であった。流石に全員とはならなかったが、今こうして再び荒海の上に舞い戻ってきたのだ。

「……ご。姐御。そろそろ作戦区域に入りやす」
「…了解。けど、姐御呼ばわりは止しておくれ。ここでは隊長だ」
「し、失礼しやした。マリーたいちょ……」
「誰だい、そいつは? あたしの名はアクィラさ」
 マリーという名の女はあの日、あの時に死んだ。今ここに居るのは過去も名も捨てた一人の女キャバリアパイロット、アクィラ・ルーベルに過ぎない。

「野郎ども、遠足気分はここまでだ。ここからが正念場だ。無人ボート、ブイ、小型潜航型。いろんな姿形をした警戒用の水上ドローンが不規則に配置していることだろうさ。ソイツを発見したらやり過ごせれるか見定め、無理そうなら破壊しな。こんな風にね!」
 部下に見本を見せつけるように、アクィラは自身のキャバリアが携行するライフルを前方の水面に撃ってみせた。大きく波しぶきが立ち上がる中、軽い爆発が立て続けに起こったのを見た部下たちがどよめいたのも無理がない。彼女が撃ち抜いた物は、波に揺られて揉まれながらもこちら側を観測していた小型潜航艇型水上ドローンであった。機械油と残骸が浮かび上がりながらその上をホバー艇が通り過ぎると、それらは四方八方へと広がり波に呑まれて消えていく。

「コイツで洋上プラントの警備システムが異常を探知しただろうが、完全に補足されるよりはマシさね。だが、ちんたらしてたら歓迎の準備は万端になってるだろうさ。そうなる前に、一気に突っ込むよ!!」
シル・ウィンディア
偵察用ドローンの海って感じだね

問題は、わたしもブルー・リーゼも、ハッキングとは無縁なんだよね…。
うーん、できることは…

先行偵察兼露払い、かな?

それじゃ、ブルー・リーゼ、いきまーすっ!!

高度を上げずに、水面を推力移動と空中機動でまっすぐ飛んでいくね
機動しつつも、水面を注意してみていくよ
波間にキラッと光るとか、機械って何らかの反応があると思うしね

船の進路上に出てきそうなドローンは、ランチャー(連射モード)で撃ち抜いていくね

ドローンの群れがあったのなら…
高速詠唱で素早く詠唱を終わらせてからの
エレメンタル・ブラスト!
纏めて、ふっ飛ばしていくよーっ!!

さぁ、あとは…
鬼が出るか、蛇が出るか、だね。



「それじゃ、ブルー・リーゼ、いきまーすっ!!」
 洋上プラント『エンデカ』よりも数十海里離れた海域に停泊する数隻の強襲揚陸艦。そのカタパルトから元気の良い声と共に一筋の白銀の光が射出され、青白い残光の軌跡がうねりを上げて濁った海を照らし出した。シル・ウィンディア(青き閃光の精霊術士・f03964)は改修が施された愛機『ブルー・リーゼMk-Ⅱ』のコクピット内から荒海の上を疾走る揚陸ホバー挺を上空から見下ろしつつ、それらを基準として上を掠める程度にまで高度を徐々に落としていった。

「ブルー・リーゼのセンサーに小さい反応がいくつも出てる。まさに、偵察用ドローンの海って感じだね」
 魔力を元とし、一般的な電子索敵とは異なる技術で作られたブルー・リーゼのセンサーが、コクピット全体を介してシルの五感と六感にそれらの存在を否応にも感じさせてくる。シルが発艦前に船員らか聞いた話だと、これら洋上ドローンは何者かの接近を洋上プラントの警備システムに通告させるシステムであるという。具体的には特定の周波数帯のやり取りを介して、それが無人プラントで生産された物資を定期的に回収して積み込むトリアイナ船舶か、それともお宝目当てに襲撃してくる賊かを識別している。
 つまりはキャバリアにも使われているありふれた敵味方識別装置による警戒網であるのだが、それが今やオブリビオンマシン化したプラントに警備システム全体が掌握されているとあれば話は別である。今やこちら識別電波は敵性反応となっているのはもちろん、プラント内で生産されているのと同じオブリビオンマシン以外の物らは全て敵とみなされるのは想像に難くはない。

(問題は、わたしもブルー・リーゼも、ハッキングとは無縁なんだよね…。うーん、できることは……先行偵察兼露払い、かな?)
 猟兵足り得る能力、ひいてはその力の所以であるUCによるハッキング行為を使えば、いとも簡単に洋上ドローンの目を封じて誤魔化すことは容易いであろう。しかしながら、シルとブルー・リーゼMk-Ⅱにはそのような芸当をする力も機能も備わっていない。だが、搦め手が使えなくとも、彼女たちにも出来ることはいくらでもある。単純に洋上ドローンの目を潰す、つまりは探知される前に破壊してしまうことだ。そんな訳で、シルはブルー・リーゼの加速性と機動性を活かして、今や先行隊のピースメーカー部隊よりも先に躍り出たのであった。

「ボート型やブイ型は簡単に分かるとして、水中に潜ってるドローンはちょっと分からないかな……?」
 嵐が接近しているせいか、徐々に波が高まってくる。その上を漂う物らを視認するのは兎も角、生きているようにうねる波の間に潜んでいる潜水艦さながらな水中型となれば、相手のカメラアイによる反射光で探るとしても困難極まりないものである。とは言え、それば映像がもたらす視認によって頼るものに限るもので、シルはブルー・リーゼから発する魔力由来のソナーで確かにそれらの存在をどの辺に潜んでいるかを確かに感じ取っている。
 とは言え、埋設された地雷を探知機で見つけ出て一つ一つ掘り出すように各個撃破していけば、到底時間がかかってしまう。そうなれば、こうして先行隊の前に出た意味がなくなってしまう。そう考えたシルは、最も強い反応を感じれた方角にブルー・リーゼの魔力砲を展開させた。

「纏めて、ふっ飛ばしていくよーっ!!」
 こんなこともあろうかと、事前にチャージしていた魔力の塊が、魔力砲『エレメンタル・ブラスト』が放たれる。膨大な魔力の奔流は海を切り裂きながら、その中に潜んでいた水中ドローン諸共蒸発させる。発射を終えて海が再び元の姿に戻ると、ブルー・リーゼから感じていた嫌な反応はすっかりと消失していていた。シルが後方を映すモニターに視線を送ると、先程追い抜いたはずの先行隊を乗せた揚陸ホバー挺の一団が近づいてきているのに気づく。どうやら、このブルー・リーゼが発した魔力砲によって経路が啓開されたと判断してか、こちらに進路を取ったようだ。

「さぁ、あとは…鬼が出るか、蛇が出るか、だね」
 シルは前方を改めて見ると、徐々にだが目指している洋上プラントに接近している。地雷原さながらの厳重な警戒網を突破できたとなれば、後はまばらに点在しているか。それかまた同じ様に警戒網を敷かれているのかのどちらかであろう。今の所は洋上プラントから侵入者を迎撃する前兆が見受けられないが、ここで止まっていてはそれも時間の問題だろう。志し同じく洋上プラントを目指している者たちを再び導こうと、シルは再びブルー・リーゼMk-Ⅱのバーニアから発する魔力光の残滓を、空に漂う夜光虫かのように散らせながら機体を疾走らせたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

二條・心春
大変な状況みたいなので力になれればと思って来ましたが、初めてのキャバリアでこの嵐の中、大丈夫でしょうか……?

私はキャバリアをレンタルさせてもらいましょう。機動力重視みたいなので持ち物はシールドとマシンガンでいいかな。
私の腕ではドローンの目をかいくぐるなんてできないし、全て壊してたら弾切れになりますよね……。
アプリ「eyes of truth」で隠れたドローンを探して警備の薄いところを見つけたら、ここはダンタリオンさんの力を借りましょう。虚像をばらまいてドローンを混乱させて、その隙に突破です。
出遅れた方がいたら私と一緒に来てもらいましょうか。では……ピースメーカーさん、行きましょう!



「大変な状況みたいなので力になれればと思って来ましたが、初めてのキャバリアでこの嵐の中、大丈夫でしょうか……?」
 初のクロムキャバリアであった二條・心春(UDC召喚士・f11004)が不安の色を隠せないのも無理のない話である。陸の上ならまだしも海の上、それも嵐の前触れで波が徐々にうねりが強まる中だ。とはいえ、転送されて今に至るまでの間に船内に設けられたシミュレーターで、事前に基礎的な訓練を済ませている。そして彼女は今、欠員が生じているキュクロプス隊のキャバリア小隊に随伴する形で揚陸ホバー挺に相乗りしている次第でもある。

「そう肩肘を張るな。初めてにしてはシミュレーターでいい結果を出せたんだ。時期に慣れてくるさ」
 小隊無線チャンネルで緊張する心春をほぐそうと、彼女の面倒を買って出た小隊員の声がコクピット内に響いた。借り受けたキャバリア、ピースメーカーは特筆する点がない特長がないのが特徴という性能であるが、裏を返せば大きな欠点が無く全体的にバランスが取れていることでもある。なおかつ原型機の性能向上型な海兵隊仕様として再設計された本機は、軽量化したことで機動性が向上されている。消耗率が著しく高いパイロットとその補充という問題もあって、簡単な基礎的訓練を踏まえれば満足に動かせるようになる基礎設計であるが、あとは実践を通して身体で覚え慣れるしかないと言ったである。

「そう……ですか? ありがとうございます」
 プロの戦争屋でもあるヘキサの傭兵に筋が良いと褒められたものの、心春は自信がまだ得られないのもあって気弱な返事をしてしまう。彼女が杞憂とすることは、警戒用ドローンの破壊に銃弾を消費して、その後に控えているオブリビオンマシンとの戦闘にまで十分な弾薬を温存できるのかという点である。如何に熟練のパイロットとはいえ、この荒れ模様の海では照準がままならない。念の為にと予備弾薬はキャバリアと共に積載されているが、オブリビオンマシン化したプラントでどれ程のオブリビオンマシンが作り出されているかは未知数である。ともなれば可能な限り温存すべきであるが、プラント周辺を監視しているドローンに補足されてその情報があちらに送られて続けられれば、こちらがプラントに辿り着いた頃にはプラント本体の警備システムが迎撃の態勢を万全に整えさせることになる。そうなれば、ここで温存していた弾薬を浪費してしまうことになるのは明白となるのが悩みの種だ。
 幸いにも、ドローンの破壊は専らキュクロプス隊のキャバリアが行っている。時折軽快な射撃音が聞こえる中、自分にも何か出来ることがないかと考えた心春はあることに気づく。慌てながらコクピット内に持ち込んだ荷物から取り出したのは、タブレット端末である。勿論ただの端末ではない。UDC霊の具現化に使うタブレット端末で、メモリー内には電子化されたUDC霊が出番を待ち続けている。心春が波と風に煽られるホバー挺に揺らせられながらも、慣れた操作で画面操作して『eyes of truth』と記載されたアプリを起動させた。

「この幻を、見破れますか?」
 タブレット端末から体を仮面で覆った魔人型UDC霊『ダンタリオン』が機外に召喚されて、霧のように霧散すると風に乗って周辺海域へと散っていく。そうしていく内に、ダンタリオンはドローンのセンサーを次々と惑わしていく。確かにキャバリアを載せた揚陸ホバーを捉えているはずであるのに、カメラが映し出すのは白波立つ海面のみ。確かに拾っているはずの異音がかき消され、捉えているのは吹き抜ける風の音のみ。はたまた、それらとリンクしているプラント側の警備システムにも、ジャックされたドローンを経由して破壊されたドローンが未だ健在していると偽りの情報を与えていく。
 これで他の小隊を乗せた揚陸ホバー挺も捕捉されることは無いはずだ。ピースメーカーで周囲を確認していると、モノアイが洋上に浮かぶ何かを捉えた。

「あれは……?」
 カメラアイの倍率を上げると、それはボート型のドローンであった。恐らく、あれもダンタリオンによって無効化されているものだろう。そして心春は、ふと先程の筋が良いと褒められたことを思い出すと、キャバリアが手にしているマシンガンを構えて照準を合わせた。外れたとしても、ドローンはダンタリオンによってあるはずのない幻覚を与えられている。それならば、いい練習用の的になると考えた次第である。

(シミュレーターでも、隠れて姿を現すターゲットを撃って破壊する課題がありましたし……その通りにやれば)
 波に揺られうねりに姿を隠しては現れるボートをロックオンすると、心春は大きく深呼吸して操縦桿に設けられた引き金を引き、ハンディマシンガンから数発の発射される。視認での観測できるよう何割かの割合で装填された曳光弾が弧を描きながらボート型ドローンへ吸い寄せられ、確かに目標が破壊されたと判断したコンピューターがロックオンシグナルを解除された。

「当たった……の?」
 残骸を確認しようにも彼女を乗せた揚陸ホバー挺は目標を過ぎ去ってしまう。だが、確かな手応えをその手で感じた心春の中で徐々にだが自信が芽生え始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノエル・カンナビス
エイストラの統合センサーにはECM・ECCM機能もありますし、
パッシブ系の探知機群だけでもピケットは発見できますから、
見つけ次第ECMで通信妨害を掛けて、スナイパー/ライフルで
破壊していけますが……。

音信不通の事故がだんだん近づいてきたら、誰かが侵攻して
来ているのは丸判りですね。それで警戒されないわけもなく。

ま、良いです。
迎撃準備があろうとなかろうと問答無用で撃破すれば仕舞い。
バイブロジェットで低高度を飛びながらドローンを始末して
行きましょう。……強引な。



 オブリビオンマシンと化した洋上プラント。内部ではオブリビオンマシンが生産され、AI制御の警備システムをも乗っ取った悪魔の意思を得た伏魔殿が目前となりつつある。今まではプラントをオブリビオンマシンによって狂わされた小国家の人間により不法占拠され、奪還を果たすことで人々の生活の糧を取り戻していた。だが、それが突如としてオブリビオンマシンとして汚染された今、破滅を孕んだ悪魔の工場と化した。
 不幸中の幸いか、オブリビオンマシン化したプラントは数ある洋上プラントのひとつであり、そして何より周囲は海に囲まれ隔絶されている。内部で生産されている量産型キャバリアは輸出用の陸上機とのことではあるが、何かの拍子で海中用装備を生産されてしまえば無人型オブリビオンマシンは海を渡り各国へ散らばっていくのは自明の理である。故にトリアイナ役員会議ですぐさま破壊遺棄処理が下された訳でもある。そうして派遣されたのが、トリアイナ隣国の同盟関係を結んでいる傭兵国家ヘキサより派遣編成された『キュクロプス隊』である。彼らは以前に同国内の廃港を拠点とした海賊討伐で猟兵と共に作戦を遂行しただけもあってか、今回も特にトラブルが発生することなく互いに連携しながら当作戦を次の段階へと移行しつつあった。
 大部分が揚陸ホバー挺に搭乗する中、海面を低空飛行しながら波間で見え隠れする水上ドローンを手にしたライフルで狙い撃ちする白と黒のツートンカラーで塗装されたクロムキャバリアが居た。

「迎撃準備があろうとなかろうと、問答無用で撃破すれば仕舞い」
 そのコクピット内では、レプリカントのノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)がクロムキャバリア・エイストラの機器やセンサーとリンクしながら、表情をひとつも崩さず淡々とした様でモニターを注視していた。エイストラの統合センサーにはECM・ECCM機能が備わっており、無線通信によってプラントと端末を結び合っている警戒用ドローンの通信機能を阻害させていた。とは言え、プラントには人ひとりもおらず無人化されているが、コンピュータも馬鹿ではなく何か異常があったと察知するであろう。ひとつならまだしも、ふたつみっつ、数十となってしまえば異常発生したと判断されるであろう。
 今こうして洋上プラントを目前としても何らかの兆候が現れていないのも、ひとえに言えば侵攻の速度を緩めることない電撃的な強襲の成果と見て良いかもしれない。

(ですが、既に防衛線を構築済みで、私たちが射程内に入るのを待ち伏せしているかもしれませんね)
 想定される最悪の事態を電脳の空いたメモリー領域でシミュレートしつつ、ノエルは再びトリガーを引き絞ると、狙い撃たれた水上ドローンが水柱を立てさせながら残骸が海没する。そして次なるターゲットを索敵しようとした時、暗雲に包まれつつあるプラントの外壁で突然何かがピカリと光ったのを、彼女は見逃さなかった。

「やはり来ましたか」
 想定内と特に驚きの色を示さず、ノエルはエイストラに急制動をかけさせる。EPバイブロジェットブースターが生み出す衝撃派で海面を震わせ、細かい水沫を作り出しながらフェイントをかけるようその場から横に進路を変えさせた。その矢先、先程まで彼女が進路を取っていた海面に何かが撃ち込まれ、大きく激しい飛沫が舞い上げられた。

「ま、良いです。遅かれ早かれこうなる筈でしたから。鬼が出るか蛇が出るか、参りましょう」
 この先にも警戒用ドローンがあるかもしれないが、砲撃を行った警備装置の存在からして無視するのが賢明な判断かもしれない。ノエルは機体の飛行制動を之字運動。右へ行ったり左に向かったりなジグザグ航行に切り替えると、エイストラのツインアイを海面から洋上プラントへと向けて索敵を行うのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『HT908T『ファイアー・ワーカー』』

POW   :    デンジャー・アイ
【一時的に出力を過剰供給すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【頭部搭載型追尾式レーザーキャノン砲】で攻撃する。
SPD   :    スクラム・ブラスト・プロトコル
【敵に飽和砲撃戦を仕掛ける同型機】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[敵に飽和砲撃戦を仕掛ける同型機]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ   :    ダガーミサイル
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【飛翔剣型炸裂弾頭弾】で包囲攻撃する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 水上ドローンがひしめき合う海域を突破した猟兵、キュクロプス隊を乗せた揚陸ホバー挺は洋上プラント『エンデカ』の間近まで迫った。海洋プラットフォーム型プラントであるエンデカの建造は優に100年を越えている老プラントである。以前は大勢の人間が住み込んで維持管理を行っていたが、海運貿易を主たる産業であるトリアイナが戦争需要により貿易量が増大するに連れ人的資源に劣る当小国家では、艦船数隻分にも及ぶ人材削減が急務の課題となった。そこで打ち出されたのがプラントの完全無人化であり、それを可能としたのがキャバリア技術であった。有人型であればコクピットスペースを設ける以上サイズや設計に制限があったが、AI制御による無人機であればそれらの問題点を解消できるからだ。
 そうして生物に住まう様々な細菌や微生物のような環境が構成された。まるで機械の虫と形容できる作業用ロボットが日夜洋上プラントの外殻を往来し、海水や潮風によって腐食しかけた箇所を日夜補修して回っている。それらの原型となったのが、プラントの襲撃者を撃ち払う名目で導入されたHT908T『ファイアー・ワーカー』であった。非人型、もしくは非生物型といったキャバリア工学ならではの高度な汎用性及び柔軟性に姿を取っている本機はパイロットを必用としていない。故に成人男性二人分な最小サイズにまで小型化された姿は、スペースに限りが有り複雑に入り組んでいる海洋プラットフォームならではの地形に理があった。ただ無人機という性質からか電子戦防御能力に穴があった。それをプラント警備システムとリンクし合うことで解消していたが、今回はそれが裏目となってオブリビオンマシン化したプラントによりハッキングを受けてシステムそのものが書き換えられているのであろう。先程の砲撃もそれらからによるものであり、先行するアクィラ隊の後方よりルフスの観測機器が強化されたピースメーカーがその姿を捉えていた。

「おーおー、蟻塚を突いたように出てくる出てくる」
「だが、水上ドローンからの警報は受けきっていないようだな」
 ルフス機から送られてくる映像に、小隊長であるアルブムは冷静にそう判断した。事前に知らされた配備されているファイアー・ワーカーの総数と比べると圧倒的に少ない。まだ出て切っていないか、それとも特異な構造で海洋プラントの骨組みに身を潜めて待ち構えているか。どちらにしても、これらの防衛戦を突破してプラント内に入り込まなければ格好の的になり続けるのは確かなことである。

「ウィリディス、カエルラ」
「ああ、分かってるよ隊長。プラントの外壁ごと撃ち払えってんだろ?」
「プラントに傷をつけず奪取するのが常識ですが、破壊できる機会なんてそうそうないですからね」
「はは、珍しいじゃねぇかウィリディス。お前がそんな事を言うなんてよ」
 そんなやり取りを小隊無線で繰り広げつつ、ウィリディス機がバックパックに取り付けられた低圧式ショルダーキャノンで、カエルラ機は携えた携行型長距離支援砲『バントライン』で砲撃を敢行する。
 着弾した砲弾が炸裂しプラントの外壁ごとファイアー・ワーカーを吹き飛ばす様を、先陣を切るアクィラが高笑いした。

「ははは、いいねぇ。派手になってきたじゃないさね。来るぞ、来るぞ、嵐が来るよ!! 吹き飛ばされないよう、お前たちも気をしっかり保ちな!」
 風が強まり雨が強く打ち付けてくる。更には砲撃の雨の応酬も加わり、一団は洋上プラントのドッグを目指すのであった。
ノエル・カンナビス
ま、こんなモノですか。

警備体制が整うといっても、休暇中の兵員を呼び戻したり、
防衛線を構築して重火器を据え付けたりするわけでなし。
単純に、生産済みでウロウロしている自動兵器に交戦命令を
出すだけであれば、警戒度が上がろうと下がろうと一緒です。

しかし、ファイアー・ワーカーでしたか……。
生産効率が高いので、数だけはやたら揃うんですよね。
面倒ですので、真ん中に突っ込みましょう。

先制攻撃/指定UC。

全方位・全域を隙間なく覆いつくすような制圧兵器でもなければ、
エイストラを捉える事は出来ません。
固まっている敵を優先的に、範囲攻撃/鎧無視攻撃/キャノンで
吹き飛ばしてしまいましょう。入り用でしたら2回攻撃も。



(ま、こんなモノですか)
 先程の先制攻撃を回避したノエルは、エイストラのメインカメラが捉えたサブモニターに映し出される砲撃地点を流し見た。拡大された映像は嵐の前兆による帯電した霧雨の影響か不鮮明な所があったが、昆虫のような生理的嫌悪感を抱かれる特徴的なフレームと長く伸びたコード状の首の上で輝くレンズによって、あれがHT908T『ファイアー・ワーカー』であると即座に判断した。

「しかし、ファイアー・ワーカーでしたか……。生産効率が高いので、数だけはやたら揃うんですよね」
 ノエルが示す通り、人型キャバリアならではの部品数の多さを極力排除し、生産性も兼ね備えさせたのはアレである。その結果として汎用性は失われたものの、コクピットスペースを排除したことによりジェネレーター出力をアンダーフレームとオーバーフレームを接続した人型キャバリアに匹敵するまでに有している。先程撃った頭部そのものと言っていいレーザーキャノン砲の威力が、単純極まりない格安兵器でない事を何よりも雄弁に物語っている。
 そして何より恐ろしいのは数である。先程のは一機のファイアー・ワーカーによるものであったが、ひとつがターゲットを捕捉すると周囲の機体にデータを送信して同じ標的を狙い始める。そうなれば飽和攻撃によって嬲り殺しになるだけだ。戦いとは数で優劣が決まるとよく言ったものである。

「ですが、全方位・全域を隙間なく覆いつくすような制圧兵器でもなければ、エイストラを捉える事は出来ません。単純に、生産済みでウロウロしている自動兵器に交戦命令を
出すだけであれば、警戒度が上がろうと下がろうと一緒です」
 だが、洋上という陸地とは異なる隔絶された世界であるためか、プラント外からの援軍は無きに等しく防衛線も限りある兵力のみであれば話は別である。そして何よりも、集まり始めてひとつの集団となりつつあるファイアー・ワーカーは格好の的でもあった。

「見敵必殺、サーチ・アンド・デストロイ。さっきのお返しです」
 エイストラの反撃態勢は先程の攻撃による回避行動中に済ませている。集団の中心部、初弾を撃ってきたファイアー・ワーカーに照準を絞り、ノエルは自機の肩部に設置されたBS-Sプラズマキャノンからチャージ完了済みの大口径の粒子ビーム砲を放った。同時に相手からの応酬に備え、呼吸をずらした社交ダンスを踊るかのような回避行動を取る。
 それによって粒子ビームの射線は横に伸びるように軌道を描き、貫通力は減衰するもののその熱量でファイアー・ワーカーを蒸発までとはいかないが機能停止に陥るまでの損傷を与える。出鼻をくじかれ、残存するファイアー・ワーカーが飽和砲撃戦で反撃するが、数が減ってしまえば予想通りの回避は容易いもので、時折回避行動を先読みしての砲撃もあったが、これらも彼女からすれば子供だましに等しい攻撃である。

「ラグのお時間です。利子も併せてどうぞ」
 強まる雨がBS-Sプラズマキャノンを激しく打ち付けて砲身の冷却が気化熱の作用で通常よりも早く進み、次弾の発射態勢が整うと今度はファイアー・ワーカーが出てくる『穴』にノエルは照準を定める。薙ぎ払うように射たれた初撃とは異なり、今度は貫通力を高めた大口径の粒子ビーム砲である。真っ直ぐに伸びた光の奔流は巣穴から出てこようとするファイアー・ワーカーを纏めて蒸発させ、オブリビオンマシンとなったプラントをも貫いたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シル・ウィンディア
うわぁ、わらわら出てきたぁ~。
さて、それじゃわたしも負けないで頑張るっ!!

敵UCは、弾道を見切り、瞬間思考力で回避とオーラ防御を判断して行うよ。
回避時は、残像を駆使して攪乱しつつ回避だね。

回避しつつ、連射モードのランチャーとツインキャノン、ホーミングビームの一斉発射の範囲攻撃でまとめて撃ち抜くよ。

射撃を続けつつ、好きを見て、一気に接近してからの
ビームセイバーでばっさばっさ斬っていくよ

敵の射撃は、回避したら敵にあたるような位置取りを心掛けつつ行動して
高速詠唱でのエレメンタル・シューターを撃ち放つよっ!!

さぁ、魔力弾の弾幕の嵐、潜り抜けられるかな?

…さて、この後は何が出てくるやら、ね?



「うわぁ、わらわら出てきたぁ~」
 洋上プラントのドッグを目指すキャバリアを乗せた揚陸ホバー挺の援護をすべく、シルはブルー・リーゼをプラント上空に向かわせる。眼下のプラント表面で蠢くのはすべてファイアー・ワーカーである。巨大なレンズを取り付けられた頭を上げ、巣を襲いに来たスズメバチを群となって威嚇するミツバチのようにシルを見上げている。そうしてファイアー・ワーカーの身体から一斉に何かが射出され、それをセンサーで感知したブルー・リーゼは警戒アラートをけたたましく鳴らした。

「それじゃ、わたしも負けないで頑張るっ!!」
 そんな物に動じる素振りを微塵とも見せず、シルはモニターから幾何学的模様の軌道を描きながらこちらに向かってくるダガーミサイルに対して回避行動を取り始めた。スラスターを吹かして逃げるブルー・リーゼとそれを追うダガーミサイル。獲物を追い込むようにダガーミサイルはブルー・リーゼを包囲しようとしたが、その隙間を掻い潜りながらプラントへと下降していく。後方より爆発音がしたが、おそらくはミサイル同士が接触して自爆したのであろう。ミサイルとしては小型であるが、炸裂弾頭弾を搭載しているためか爆煙は大きく広がる。だが、爆発を免れた残存ミサイルが執拗に先端が鋭い切っ先状の弾頭をブルー・リーゼに突き刺そうと、依然と執拗に追尾をしてくる。

「うーん、連射モードのランチャーとツインキャノン。ホーミングビームで迎撃したとしても、また撃たれたら同じだし……それならっ!!」
 シルは自らの身体から機体へと流れる魔力を通して、チャージ済みで既に発射態勢を整えられていたエレメンタル・シューターを発射する。火地風水の四大属性を有する複合魔力弾はミサイルへと向けられることなくプラントへと放たれた。今追尾中のミサイルは、ファイアー・ワーカーらが一発ずつ撃ち放ったものであれば、再び発射する可能性がある。そうであれば、先に発射装置を破壊すべきと彼女は判断を下したからである。
 各属性を示すように綺羅びやかに四色が混ざり合いながら光る魔力弾が、群れとなり固まっているファイアー・ワーカーをプラントの外壁ごと爆撃した。そして、別のファイアー・ワーカーの群れへ突っ込む形で機体を加速させる。勿論、ファイアー・ワーカーもブルー・リーゼーの強襲を捉え、再び迎撃体制を取って挟み撃ちの構えを取る。

「いっくよっ! ブルー・リーゼ!!」
 一際多くの魔力を愛機に送りながら、シルはチキンレースなさがらに速度を緩めることなく落下させていく。ブルー・リーゼのツインアイがファイアー・ワーカーからの飛翔体発射を捉え、彼女がそれを魔力を通して察知すると急制動をかけて軌道をずらした。ダガーミサイルも彼女たちを追尾するはずであったが、そのまま直進してファイアー・ワーカーが再び放ったものとぶつかり合って大きな爆発が起こった。

「やったぁ! 成功だよ!!」
 ミサイルの追尾が間に合わなかったり、同士撃ちさながらの自爆とも見られるが、シルはある仕掛けを残していた。ブルー・リーゼの形をした魔力の熱源体である。人の目では到底見れないが、電子機器のセンサーでのみ観測できるという謂わば質量を持った残像をファイアー・ワーカーのAIへブルー・リーゼそのものと誤認させたという次第である。
 勿論、それがただの熱源体であるとファイアー・ワーカーも気づくはずであったが、ギリギリにまで接近したブルー・リーゼとその速度によって処理が追いつかなかったのもある。ファイアー・ワーカーの大きな群れをふたつ消滅させたのを成功したことにシルは喜びの声を上げたが、まだ洋上プラントの上部にはまばらにファイアー・ワーカーが点在している。そして、まだ揚陸ホバー挺も洋上プラントのドッグへ到達しきっていない状態を踏まえ、BXビームセイバー『エトワール』から星の輝きの如く光る光刃を展開させてファイアー・ワーカーを切り抜いて各個撃破へとシルは行動に移った。

「…さて、この後は何が出てくるやら、ね?」
 再び上昇したブルー・リーゼの下には、外壁が吹き飛んだプラントの新たな進入路となった大穴が覗かせている。果たしてオブリビオン化したプラントの内部はどうなっているのか。得体のしれない怪物の体内に潜り込む前に、今は突入の援護が先決であろう。何処から再び出てきたファイアー・ワーカーに向けて、シルは連射モードに切り替えたBSビームランチャー『ブラースク改』を撃ち放って駆逐するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

二條・心春
ついに戦闘ですね。まだ不安はありますが、ここで足手まといにはなるわけにはいきません。頑張ります!

ミサイルの包囲攻撃は危険ですね……。ですが、自滅する可能性もあるしむしろ懐に入れば攻撃は受けにくいんじゃないかな。
まずは距離を取って【領域強化】の力を籠めた銃弾をハンディマシンガンでばらまきましょう。出し惜しみはしませんよ。当たればラッキーですが、敵に接近する道を作るのが本当の目的です。
場が整ったら強化した領域を通って一気に接近です。攻撃は強化された機動力と私の「第六感」で回避します。部隊の皆さんの援護射撃もあるし、何とかなるはずです。近づいたらシールドの打撃攻撃でまとめて吹き飛ばしちゃいましょう!



 洋上プラントの上部で激しい応酬が繰り広げられている一方、支援砲撃と猟兵による陽動により下部の守りは薄かった。その機に乗じて、先頭を務めるアクィラ隊を始めキュクロプス隊を乗せた揚陸ホバー挺も洋上プラント内部への主な進入路であるドッグへ辿り着いた。だが監視センサーがそれらを探知したのか、複雑に入り組んだ鉄骨やパイプをファイアー・ワーカーは器用にマニピュレーターで伝いながら、侵入者の迎撃をせんと何処からともなく湧いて出てくる。
 隊は停泊する揚陸ホバー挺を死守する班とプラント内部に侵入する班に二つへ別れ、彼らと行動を共にしていた心春は侵入班に同行していた。

「ついに戦闘ですね。まだ不安はありますが、ここで足手まといにはなるわけにはいきません。頑張ります!」
 先程までとは違う本当の実戦であったが、心春は自信に満ちた胸が躍る中で僅かに残る不安感を振り切るようにトリガーを引き絞った。その火力とは裏腹に生産性を重視されてか、装甲の薄いファイアー・ワーカーが一発当たるごとに大きく仰け反り、数発も命中すれば程なくして機能停止に至る。その屍を乗り越え、やられた仲間への復讐心ややらなければ自分がやられるといった恐怖心という人間ならではの感情を一切持たないAIが、侵入者を排除する命令のみに従って立ち塞がろうとするのだからきりがない。しかしながら、外部からの侵入者に対してプラントを防衛するというプログラムのせいか、ファイアー・ワーカーには最も火力の高い頭部搭載型の追尾式レーザーキャノンを使用する素振りが見られない。ちょっとした中型船舶でも長距離砲撃で沈没に至らしめる火力故、プラントに取り付いた敵に使用すればプラントを破壊してしまう恐れがあるのでプログラムが制約をかけているのであろう。

「野郎ども、遅れを取るんじゃないよ!」
 洋上では先行してドッグに一番乗りしていた紅いピースメーカーを隊長機とするアクィラ隊も、どんどんと湧いて出てくるファイアー・ワーカーの群れに行く手を阻まれて膠着状態となりつるある。このまま悪戯に消耗が続けば、洋上プラント内部で生産されているオブリビオンマシンとの戦闘に影響が出るのは明白であろう。だが、心春はその現状打破をする一手を打つ準備を整えつつある。UCによって粒子を纏ったハンディマシンガンの銃弾でやられたファイアー・ワーカーの残骸や流れ弾が命中した構造物を『領域』と化し、自身と今彼女が乗っているピースメーカーの性能をブーストするという物だ。

「ここまで接近すれば、後は加速するだけです!」
 心春はバックパックのスラスターを点火させて吶喊した。瞬間的な加速によって生みだされるGによって体全体が押しつぶされそうな錯覚を覚えたが、転がっているファイアー・ワーカーの残骸を越えると幾分身体が軽くなる。時間も遅く流れているかのように感じるまでに思考力も強化した彼女は、ピースメーカーの左腕に取り付けられている先端が尖ってスパイク状になったシールドをファイアー・ワーカーを薙ぎ払うかのように振り払った。通常であればあらゆる部品がイカれてしまう行為であるが、UCによって強化されたピースメーカーは性能とコストを両立させた量産型キャバリアの粋を越え、超技術の結晶であるスーパーロボットや最精鋭機のクロムキャバリアに匹敵する強度を有していた。

「もう一発ですっ!」
 ファイアー・ワーカーの防衛線に楔を打つ込んだ心春が、再びシールドの打撃攻撃で数機のファイアー・ワーカーを纏めて吹き飛ばす。態勢をを整え直そうとファイアー・ワーカーのターゲットが心春が乗るピースメーカーへ一斉に向けられたが時すでに遅し。彼女に続けと言わんばかりに援護射撃の火線、ダガーミサイルの攻撃が止まったのを機と見て白兵戦に持ち込もうと海の荒くれ者である元海賊と海兵隊らが突撃を行ってくる。膠着状態であったドッグからプラントへ続く経路であったが、心春の勇気ある決断によって大きく切り拓かれようとしていたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイン・トゥーガン
アドリブ歓迎

おっと、出番だね
さてっと、此処まで働きもせずに運んでもらった手前、こっから先は報酬分の仕事はしないとねぇ
アマランサス・マリーネ、出るよ!

プラントへの強襲や占拠ならともかく破壊だなんて、古巣でもやらなかったねぇ!
侵入の際に肩部の中型ミサイルを5発使ったよ、残り1発かい?作戦失敗時のプラント破壊用の特別製さね(画面に映る放射能マーク)
ファイアー・ワーカー、数だけが取り柄らしくワラワラと出てくるねぇ
右手のビームアサルトライフル、左手の散弾バズーカ、サブアームのサブマシンガン2丁で、足を止めずに前へ前へと進む障害を排除していくよ
貰った内部地図データで飽和攻撃で圧殺されないルートを選定してね



「さてっと、此処まで働きもせずに運んでもらった手前、こっから先は報酬分の仕事はしないとねぇ。アマランサス・マリーネ、出るよ!」
 洋上プラントの周辺海域が嵐に呑まれる中、重く黒い雲の下で光が迸った。グリモアによる転送で生じる光の中から現れたのは、真紅のキャバリア『アマランサス・マリーネ』とそれに搭乗するルイン・トゥーガン(B級戦犯指定逃亡者・f29918)であった。
 上空よりの降下で強い横殴りの風で機体とコクピットが揺さぶられる中、制動用のスラスターで微調整をしつつ着陸ポイントを見定める。センサーには多数のキャバリア反応が察知された。

「うじゃうじゃと鬱陶しいねぇ。まずは景気づけに挨拶と行こうじゃないか」
 肩部のミサイルコンテナから中型ミサイルが数発放たれ、新たな侵入者を感知していたファイアー・ワーカーの群れを吹き飛ばし、プラントの外殻に穴を開けた。爆煙が収まらぬ中、それを隠れ蓑として彼女は着陸した。しかし、そこの空間にはまたファイアー・ワーカーが多数居た。周囲の設備を見る限り、奴らが洋上プラントへ違法的に侵入しようとする者の反応が出るまで待機しているエリアであろう。
 それらを確認するや否やルインは再び中型ミサイルを放ち、爆発によって切り開かれた進路を確保すると、一気に加速してプラント内部に侵入する。

「しかし、プラントへの強襲や占拠ならともかく破壊だなんて、古巣でもやらなかったねぇ! 念には念に『コイツ』も持ってきたが、使う事態にならないといいんだがねっと」
 ミサイルコンテナに残る中型ミサイルは一発のみ。火器管制を司るコンソールにはその残数の他に、ハザードシンボルのひとつである放射能を意味する記号が横に表示されていた。
 彼女が言うように、敵に物資や施設を利用されないための破壊工作である焦土作戦を行うにしても、この世界ではプラントを破壊することは忌避されている。自動的に資源や生活必需品が生産され続ける技術は暴走衛星『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』による世界的な爆撃による混乱で失伝されており、もはや人々は100年以上も前に建設されたプラントを補修して維持していくしかない。風の噂では、諸国ではプラント技術のリバースエンジニアリングも試みる運動もあるとは聞くが、ブラックボックス化された部分が多数を占めるので解析や復元が成功したという試しは未だない。故にプラントが奪われたら取り返すのがクロムキャバリアにおける暗黙の了解であり、それを破れば国を滅ぼした大罪人以上の罵りを歴史の汚点として永生語り続けられていくこととなるだろう。
 ルインがかつて在籍していた元ズィガ帝国の不正規戦の他に帝国の威光を陰ながら支え続けてきて暗部も担っていた特務隊と言えども、工作活動は元より破壊活動を行うことはまずなかった。それとよく似た派遣された任地で起きたあらゆる出来事に関して決して口外しないこと契約条件のひとつであるヘキサ傭兵部隊の中でも特殊な任務を遂行する部隊が駆り出されたということは、プラント自体がオブリビオンマシンと化したことが世に広まれば微妙な均衡で成り立っている仮初の平和がもろくも崩れ去ることでの社会不安や治安の混乱と言った影響を避けられないのもあってのことだろう。

「ひとつ、ふたつ、みっつ……。はは、カカシ相手じゃアタシの相手は務まらないよ!」
 だからこそ、彼女は心の内のどこかで状況を楽しんでいた。どんな汚れ仕事であろうがまず無かった『プラント破壊』という罪の味を。帝国のために汚れ仕事を続けてきた挙げ句に全ての責任を押し付けられて戦犯となり、既に身も心も堕ちた身だ。それならとことん行くところまで行ってやろうと、時折と通路の隙間から出てくるファイアー・ワーカーを、アマランサス・マリーネの右手で持つビームアサルトライフル、左手で担いでいる散弾バズーカ、サブアームに設置させている二挺のサブマシンガンという重装備で各個撃破をしていく。
 残骸が表示されるメインモニターの傍らにあるサブモニターでは、事前に受け取ったプラント内部地図データが表示されている。ルインはファイアーファーカーを的確に破壊することで弾の消費を抑えつつ、生産エリアに続くルートを現在地と頭の中で照らし合わせ策定しながら機体を疾走らせるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

チロル・ツークシュピッツェ
おー、此処までド派手にドンパチしてるならもう隠密行動は不要だねぇー
というわけで、艦載機のウォッグに同乗してたけど、プラントを射程内に収める位置の海上で降りて艦の姿になるよぉ~

此方ツークシュピッツェ級水陸両用双胴戦闘空母五番艦チロル、これより参戦するよぉ~♥
いやぁ、異世界で百年近く幽霊船やってたのにこっちに戻ってきたら撃沈されてから半年経ってないのは驚きだよねぇ
ともあれ、敵ファイアー・ワーカーの射程外から主砲及び副砲、ミサイル発射管、攻撃開始ぃ~♥
ウォッグ隊は艦砲着弾後にプラントに上陸、上陸地点を確保。その後、ジェネムⅡ隊はゾーリに搭乗してウォッグ隊が確保した地点からプラント制圧を始めるよーに



「おー、此処までド派手にドンパチしてるならもう隠密行動は不要だねぇー」
 嵐によって荒れる黒い海からモノアイの光が浮かび上がる。向けられる先は既に半壊しつつある洋上プラントで、その表面を絶え間なく移動している虫のようなものがファイアーワーカーであろう。
 ここまでを水陸両用キャバリア『ウォッグ』による潜航で進んできたチロル・ツークシュピッツェ(メスガキガレオノイド・f34507)が、周囲に警備装置らしきものが無いことを確認すると機体を浮上させた。波風に揉まるウォッグのハッチを開くと、そこから白い軍服姿のチロルが現れ、激しい雨が彼女を打ち付ける。

「えぇ~? 超ド級の嵐って聞いたのにこの程度だなんて、ざぁ~こ♥」
 だが、幼き小さい身体の彼女は人が立っていられるのがやっとの嵐の中でも悠然しており、にかっと笑いながらコクピットから這い上がり……そして、海の中へと落ちた。

「此方ツークシュピッツェ級水陸両用双胴戦闘空母五番艦チロル、これより参戦するよぉ~♥」
 一見すると単に滑り落ちたように見えるが、ガレオノイドである彼女は本来の姿に戻るべく海へと戻ったのだ。着水する直前の彼女から放たれた眩い光が洋上プラントを照らし出し、その表面で蠢くファイアーワーカーが一斉に凝視する。洋上プラントから数キロほど沖合いで唐突に起きた発光体は光を弱めながら徐々にその姿を見せる。全長100メートル、かの小国家で懲罰部隊旗艦の懲罰艦として運用され、公式記録では撃沈されたはずの水陸両用双胴型戦闘空母ツークシュピッツェ級五番艦『チロル』が再びクロムキャバリアの海へ帰還した瞬間であった。
 時空の歪みによるイタズラで彼女は遠い異郷の地、ブルーアルカディアに突如現れた異様なる幽霊船として流離っていた。彼女は発見され、飛空艇に改修されることでガレオノイドとして覚醒し、世界を股にかける艦として再び抜錨したのだ。

「いやぁ、異世界で百年近く幽霊船やってたのに、こっちに戻ってきたら撃沈されてから半年経ってないのは驚きだよねぇ」
 ブルーアルカディアでは100年余り滞在していたが、こちらでは半年程度しか経っていないという何とも言えない感情を覚える中、本来の姿となったチロルは艦のクルーに号令を下した。

「はぁ~い、クソザコでダッサぁい懲罰大隊のみなさ~ん♥ アタシを撃沈させられたざぁ~こ部隊でも今度はアタシを護ってみせてよぉ~♥」
 恨み半分罵り半分な言葉と共に、彼女の中でキャバリア部隊が艦長から煽られながら出撃の準備に追われていた。同じく100年ものの歳月を共に送ってきた機体その物はガレオノイドの力で劣化が抑えられているが、パイロットやクルーは既にこの世には居ない。いや、チロルの『一部』となったと言ってもいいのだろう。撃沈の際に脱出することも許されず、艦と運命を共にした懲罰部隊の魂は今も幽霊船のクルーとして束縛されている。
 その時、チロル艦体に小さな衝撃が走って揺れた。ファイアー・ワーカーによるダガーミサイルが着弾したのだが、元々キャバリア程度の目標を想定した炸裂弾は艦に小さなキズを負わせる程度である。だが、それを許すチロルではない。

「アッハハハ! ざぁこ、ざぁこ♥ ムシケラ♥ ハッキングに弱い♥ この程度でアタシを沈めれると思ってるの?w」
 倍返しと言わんばかりに、対艦戦闘用の主砲が、副砲が、ミサイル発射管などなどが洋上プラントへと一斉射撃される。充電が間に合っていればレーザーキャノン砲でメスガキ戦闘空母を再びわからせれたものの、それが許されないまでの飽和攻撃にファイアー・ワーカーらは洋上プラント外殻ごと吹き飛ばされて海へと落ちていく。
 チロルのガレオン化と共に密かに発進していたウォッグ隊は、後続のキャバリアを二機まで搭載可能なサブフライトシステムに搭乗したジェネムⅡ隊への上陸地点を確保していたが、降り落ちてくる残骸、チロルの容赦ない流れ弾が彼らに襲いかかってくる。どちらが敵か味方か分からぬ混沌とした海原を懲罰大隊の亡霊は命からがらに渡り切り、オブリビオンマシン化したプラントの中枢に向け進軍したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 集団戦 『CAV-06『ザカリアス』』

POW   :    RS対キャバリアバズーカ
単純で重い【ロケットランチャーから放たれたロケット弾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    RSマシンガン
【自機が装備するRSマシンガン】を向けた対象に、【銃弾の掃射】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    局地戦仕様
自身の【オーバーフレームもしくはアンダーフレーム】を【今いる戦場に最適なフレーム】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 幾多に渡る洋上プラントの防衛装置をくぐり抜け、猟兵とキュクロプス隊。そしてアクィラ隊はプラント中枢部へと侵入に成功した。あとはオブリビオンマシン化したプラントの機能停止、ならびに表向きは今も外で激しく吹き荒ぶ嵐によって老朽化したプラントが全損したというシナリオ通りに破壊処理するだけである。
 だが、彼らの前に更なる敵が立ち塞がった。

「まったく、切りがないね」
 アクィラが駆る赤きピースメーカーが、この洋上プラントで対外貿易の輸出用に生産されている量産型キャバリア、CAV-06『ザカリアス』の胴体をBXプラズマブレードで両断する。パイロットが搭乗するコクピットも切り裂かれた機体はこれで機能停止するはずであるが、上半身のみとなったザカリアスは手にしたRSマシンガンをアクィラのピースメーカーに向けて発砲した。通常であれば考えられないことであるが、オブリビオンマシン化したプラントで生産されたオブリビオンマシンであれば話は別であろう。
 先程相手にしていたHT908T『ファイアー・ワーカー』のようにプログラミングされた人工知能が搭載されているかのように、有人型であるはずのザカリアスも同等の機能が新たに付与されていたのだ。基礎設計が30年以上余りにも前であるが、安価かつ堅牢さ、拡張性の高さから、現在もマイナーチェンジを重ねられている名機『ザカリアス』。果たしてオブリビオンマシン化したプラントによって新たな機能が拡張されたのか、それとも活動するに辺り生体ユニットとも云えるパイロットを必要としていたはずのオブリビオンマシンが新たな進化を遂げたのか。それを確かめようにも、今は任務を達成してこの悪魔の胎から生還することが彼女と部下たちにとって優先事項だ。
 既に何人かの部下が同様な手でやられていたのを目の当たりにしたアクィラは、咄嗟に機体をバーニアの制動で翻しながら自身のパーソナルマークが描かれたシールドで銃弾を防ぐと、何者のかの手によって半壊してなおも活動を続けるザカリアスが銃撃された。破壊されたザカリアスに向けかけていたRSキャバリアライフルの銃口を向け直すと、そこには見覚えのある機体番号がシールドに描かれた海兵隊仕様のピースメーカー一個小隊が居た。

「ようやく追いついたか」
 隊それぞれに割り当てられた無線チャンネルを通して、彼女のピースメーカーと同様に通信アンテナが強化された小隊長用の指揮官機と思わしき機体から無線が送られる。

「あたしらが血路を切り開いたってのに、随分と呑気なもんだねぇ?」
「オブリビオンマシン化したのがキャバリアだけならまだしも、プラントそのものがオブリビオンマシン化したらばな」
 聞けば、通路の隔壁が急に降りてきたり資材運搬用のエレベータが停止するなどして、各小隊は分断されているとのこと。なにせオブリビオンマシン化したプラントの内部である。プラントそのものがオブリビオンマシン化したキャバリアのように意思を持って、侵入者の排除に取り掛かってきてもおかしくはない。現にアクィラ隊も同様な手で分断されて、閉じられた隔壁が急に開いたと思えばザカリアスが強襲を仕掛けてきたりといった有様である。同行していた軽車両から弾薬の補給や負傷したアクィラ隊の隊員の収容といった束の間の小休止を終えると、巨砲を携えたピースメーカーが閉ざされている通路に向けて砲口を向けさせる。

「ま、閉じられちまっても、こじ開ければ良い話だがね……っと」
 アルブム小隊の一員、カエルラの機体が携行型長距離支援砲バントラインで閉ざされた扉を砲撃にて破壊した。その先に広がる通路の先にあろうプラントの機能を司るエリアに向け、合流したふたつの隊が進んでいく。
 果たしてこの先にはどんな地獄が待ち受けるのか……。
シル・ウィンディア
こんなところで、止まってられないよね。
それに、わたしには帰る場所があるんだっ!!
施設なんかに負けないからねっ!

ランチャーは最初から連射モード
ホーミングビームと連射モードのランチャーをメインに射撃戦だね
飛びにくいなら、推力移動での平面機動を中心に行っていくよ
残像も生み出せば、センサーはごまかせるはずだしね

ホーミングとランチャーを撃ちつつ、避けた敵には、ツインキャノンでの追撃を行うね
こっちの方が痛いよ?

多いなら…
蒼の雷光でまとめて攻撃
ツインキャノン・ホーミングビーム・ビームランチャーを一斉発射っ!
範囲攻撃でまとめてふっとばすよっ!!

残った敵は、機動戦に持ち込んで
セイバーで切断していくねっ!!



 オブリビオンマシン化した洋上プラントの事態収集を図るべく、侵攻する突入隊のキャバリアをを乗せた揚陸ホバー挺が無事に到着したのを見計らい、シルは自らが機乗するブルー・リーゼMk-Ⅱがプラント外殻に開けた大穴から内部へと侵入した。プラント内部はキャバリアが優に通れるほどの広さと大きさがあり、事前に渡された情報によれば各階からなる多層構造体である。

「狭い通路だけじゃなくて、吹き抜けになってる場所があればいいな。そうすれば一気に下まで降りれるよね」
 だが、彼女がブルー・リーゼMk-Ⅱを疾走らせると、急に背後の通路を遮断する隔壁が降りて侵入してきた経路を塞いだ。

 ──キィィィィィィン……。
 同時に、この先から何かが接近してくるのをブルー・リーゼMk-Ⅱのセンサーが捉えた。閉じ込められたことに注意を逸らされてたシルが機体のメインカメラを前へ振り返させると、火花を散らさせながら通路の角より数機キャバリアがこちらに向かってくる。

「あれは……このプラントで作られている量産型キャバリア、CAV-06『ザカリアス』だよね。そうなれば、あれは……」
 まるで人が乗っているかのように、ザカリアスはアンダーフレームの脚部下に仕込まれたローラーダッシュでジグザグに機体を制動させている。通常であればこのプラントの防衛隊と言ったところであろうが、ここはオートメーション化によって無人化された絶海の孤島さながらの洋上プラントである。実際に対峙してもまことに信じがたいが、あれこそがオブリビオンマシン化したプラントが産み出した、エネルギーインゴットが尽きるまでパイロットなしでも自律稼働するオブリビオンマシンに他ならない。
 今やオブリビオンマシンとなった洋上プラントよりの指令を受け、侵入者の排除にあたるザカリアスがローラーダッシュで機体を疾走らせながら、手にしているRSマシンガンをシルが乗るブルー・リーゼMk-Ⅱへと一斉に射ち放った。

「こんなところで、止まってられないよね。それに、わたしには帰る場所があるんだっ!! 施設なんかに負けないからねっ!」
 身を隠す場所がない直線の通路において、シルはブルー・リーゼMk-Ⅱを推力移動での平面機動で機体を前傾させながら滑空させた。垂直に立っている状態であれば格好の的となってしまうが、可能な限り身を屈めさせ被弾面積を低くすることが現在に置いて最良の選択である。だが、それでも放たれたRSマシンガンの銃弾は機体の装甲にいくらか被弾して、更には実弾ならではの跳弾でも思いがけない箇所からブルー・リーゼMk-Ⅱに弾痕を刻んでいく。
 しかし、シルは臆することなく連射モードに切り替え済みであったBSビームランチャー『ブラースク改』にて応戦を行う。ビームコーティングも何も施されていないザカリアスの装甲を安々と貫き、オーバーフレームとアンダーフレームの接続部にあるであろうコクピットブロックは光の筋によって撃ち抜かれていく。だが、それでもなおザカリアスは活動を停止する素振りを見せていない。

「うそ!? コクピットを狙い撃ちしたはずなのに!」
 まるで心臓を撃ち抜かれてもゾンビのように活動し続けるオブリビオンマシンにシルが驚きの色を見せる中、形勢不利が判断したザカリアスがローラーを逆回転させる。勢いよく後退しながら、肩部に背負っているミサイルコンテナを開かせ、ミサイル弾頭をブルー・リーゼMk-Ⅱへと一斉に撃ち放つ。爆発のショックで通路全体が揺れ、爆煙が通路を満たしていく。視界が不明な中、ザカリアスはセンサーを熱源探知に切り替えてブルー・リーゼMk-Ⅱを捉えようとする。
 ブルー・リーゼMk-Ⅱ、シルはいまだ健在である。爆煙に身を潜めている彼女とその乗機を熱源センサーが補足し、再びRSマシンガンが火を吹いた。銃身が焼け付くと言わんばかりに放たれる銃撃の中、ザカリアスのセンサーは捕捉しているブルー・リーゼへの射撃が弾切れを持って終える。だが、それと入れ替わるように爆煙を切り裂くように魔力によるビームの奔流が迸り、動向を伺っていたザカリアスの胴体を丸々撃ち抜いた。

「残念でした。それは魔力で作ったブルー・リーゼの残像だよ!」
 シルは賭けに出ていた。ザカリアスには人間が乗っておらず、謂わば自動制御化されたキャバリアである。となれば、機械的にセンサーが捉える情報を盲信するのではないのかと、ブルー・リーゼMk-Ⅱの魔力による質量を持った残像ともいうべきセンサー騙しを行ってみたのであった。結果はこの通りで、視界が爆煙で遮られている中で熱源センサーを頼りとさせていたザカリアスの目をまんまと騙してみせたのだ。

「今度はこっちの番なんだからっ!」
 シルは攻勢に転じ、魔力による推進器でブルー・リーゼMk-Ⅱを一気に加速させ、爆煙の中から姿を現した。撃ち尽くしたRSマシンガンを投げ捨て、ザカリアスが徒手空拳でそれに応じる。しかし、放たれた鉄拳を展開されたBXビームセイバー『エトワール』の光刃が切り上げ、その勢いのままにザカリアスを一刀の元で切り抜いて両断させる。エネルギーインゴットの炉心に誘爆して爆散するザカリアスを背に、シルは警戒を厳にさせながら次なるエリアへとブルー・リーゼMk-Ⅱを疾走らせたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

チロル・ツークシュピッツェ
さぁ~て、中がどうなってるか知らないけど退路は確保しないとねぇ
というわけでぇ、トリアイナ海軍の強襲揚陸艦を護衛するよぉ
プラントに取り付いてる揚陸ホバー艇は、まぁ可能ならかなぁ?
ツークシュピッツェ級は双胴艦、右側が空母で左側が戦艦って構造だから戦艦側をプラントに向けておくねぇ
ちなみに水陸両用だからホバー艦だねぇ

艦隊警護にはウォッグとゼーウォッグの部隊をあてて、ジェネムⅡ隊は全機プラント攻略にあててるよぉ
ジェネムⅡもビームライフルとビームサーベル標準装備してて現行主力量産機として十分な性能もあるし、懲罰隊も腕は悪くないんだよねぇ
ただ、なんかUDCとかの人には見た目でやられ役扱いされるんだよねぇ?



 オブリビオンマシン化した洋上プラント『エンデカ』。
 その外部の防衛機能は先程の戦闘により沈黙したが、プラント内部で生産されていたオブリビオンマシン・ザカリアスによって新たな火蓋が切られた。より激しさを増していく戦闘に呼応するように、エンデカ周辺海域を横断する嵐もまた激しさを増していた。そんな中、プラント外部の防衛装置を無力化した一報を受けたトロイエ級強襲揚陸艦一番艦『トロイエ』、ならびに同型艦で二番艦である『テウセル』がエンデカに向けて抜錨した。目的はプラントの制圧、ならびにその破壊を担っている部隊と猟兵の回収である。

「報告お~しまいっ! さぁ~て、中がどうなってるか知らないけど退路は確保しないとねぇ」
 その一報を入電させたのは、チロルであった。キャバリア母艦のツークシュピッツェ級水陸両用双胴戦闘空母五番艦チロル。ホバー式キャバリア母艦の双胴型戦闘空母であるが純然たる空母とはいい難く、右側が空母で左側が戦艦という謂わば両者の特性を兼ね備えた航空戦艦でもある。武装化された輸送艦でもあるトロイエ級よりも戦闘に特化している為か、その収容能力には限度があり、とてもではないがプラント突入部隊をすべて乗せれるほどではない。
 彼女の配下であり下僕でもある懲罰大隊と引き換えにすれば可能でもあろう。しかし、生前(?)の彼女を沈没に至らしめさせた遠因でもあって散々しごいておいてなんであるが、遠い異郷の地で共に100年余り滞在していただけであって愛着が湧いている。それに船そのもので船長でもある彼女にとって、あれでも愛するクルーに他ならない。態度と言動は辛辣そのものであるが、裏返せばそれも彼女なりの愛情表現なのかもしれない。

「プラントに侵入した、ざぁ~こでアタシ自慢のジェネムⅡ隊のみんな~。首尾はど~おぉ?」
 退屈まぎれに各部隊の隊長機に状況の有無を問うと、その返信が帰ってくる。邪悪なる意思を持った洋上プラントによって分断されたキュクロプス隊とアクィラ隊に合流し、共同戦線を展開しているというものであった。
 多少なりの経年劣化はしていようとも、ジェネムⅡはチロルの故郷に置いては現行主力量産型キャバリアである。それに懲罰隊も数々の戦場に投入されていただけあって、死線を潜り続けてきただけであってか練度は非常に高い。多少なりの被害や損耗が報告に上がってくるが、それは彼女の想定内に収まっている微々たる範囲内であった。
 そんな報告を受ける中、突如として艦全体が大きく揺れた。暴風による風や波の揺れではない。何かが着弾した衝撃である。幸いにも装甲が脆弱な空母部分ではなく、艦隊戦を前提とした強固な装甲を有し、念の為にとプラント側に向けている戦艦部分である。

「ちっ。敵の攻撃を許したざぁ~こなウォッグ隊、ゼーウォッグ隊。異常を報告しなさぁ~い」
 荒れ狂う海でチロルの周辺を警護するウォッグ隊。ならびに空母部分の甲板上で固定砲台代わりとなっているゼーウォッグ隊に、チロルは確認の一報を送った。暫し間を置いて艦が断続的に揺れる中、どうやらプラント上部の破壊された外壁より姿を見せている敵性キャバリアのザカリアスによるものであった。対キャバリア用バズーカを携えながらチロルを狙って砲撃し、暴風雨の影響も相まって艦の防空を担うゼーウォッグによる砲火も軌道を大きく逸れているとのこと。

「ああ、もう本当にざぁ~こなんだから! またアタシを沈める気なの!? 終わったらたぁっぷりとオシオキしなきゃ駄目ねぇ?」
 ひぃっと恐れ慄く懲罰隊を他所に、チロルは戦艦部分の副砲砲塔を旋回させてザカリアスの砲撃地点に照準を合わせ、砲撃を開始させた。彼女としてはこの怒りをぶつけるべく主砲を撃ち放ちたいところであるが、突入した部隊に及ぼしかねない被害を考慮すれば流石の彼女でも思いとどまるものである。
 副砲と言えども対キャバリア用としては致命的なダメージを及ぼす口径の砲弾が、チロルを砲撃していたザカリアスの部隊を直撃した。更に出てくるであろう敵機に警戒しながら、チロルは自らの戦体に傷を負わせた懲罰隊に対しどんなオシオキをするか思案しながらも次なる砲撃を姿を見せたザカリアスに向けて与えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノエル・カンナビス
中に入っちゃったんですか。
嵐でも壊れそうなプラント程度、外から粉砕しますのに。

……ま、オブリビオンマシンの群れが逃げ出しても困ります。
地道に掃討しましょうか。

マシンガンやロケットの攻撃でしたら、オーラ防御(と称する
ガーディアン装甲の近接防御衝撃波)で届かなくなります。
特にロケット弾は信管叩かれて自爆しますから無用の長物に。

索敵/見切り/咄嗟の一撃/カウンター/衝撃波/範囲攻撃/
吹き飛ばし/オーラ防御って感じですね。

こちらからは操縦/ダッシュ/推力移動/空中機動/軽業/貫通攻撃/
ライフル、ないし範囲攻撃/キャノンの、鎧無視攻撃/2回攻撃と
いう辺りの正攻法でお相手を致しましょう。



「……今、揺れましたか?」
 プラント外殻の激戦を潜り抜け、内部に侵入したノエルがプラント全体に走った若干の揺れを、エイストラのセンサーを通して感じ取った。外で吹き荒れる嵐は既に暴風の域に達しているが、老朽化が著しいとは言え洋上にそびえ立つこの巨大構造体がその程度で倒壊するかは正直疑念の余地がある。
 おそらくは工兵隊による破壊工作の内のどれかであろうと結論付けて、所々が隔壁によって閉ざされている通路を進んでいく。行き止まりかと思えば、突如として隔壁が開けられたり、かと思えば閉じるなど、何かによって導かれているかのようでもあった。

「見え透いたお誘いですね。ですが、今は敢えて乗っておくのがベストな選択です」
 無理に逆らえば、閉じ込められてしまう可能性は無きにしもあらず。どうせ同じ罠であれば、進んで行けるのに乗っておくのも方便であろう。警戒をしながらノエルが進んでいくと、急に開けた空間に出た。慌ただしく動き続けている機械やコンベアから察するに、ここがこのプラントのファクトリーエリアなのだろう。
 しかしながら、そんな重要区画に破壊を目的としたモノをわざわざ導くであろうか?
その疑念はすぐに氷解した。エイストラのセンサーが無数のキャバリア反応を探知した。動き出したそれらはロールアウト済みのザカリアスで、数の有利を生かして侵入者を迎撃すべく、プラントにおけるごく限られた開けた空間であるファクトリーエリアへとオブリビオンマシン化したプラントが誘導させたのだ。

「やはり、一気に叩き潰すという思惑でしたか。……ま、オブリビオンマシンの群れが逃げ出しても困ります。地道に掃討しましょうか」
 やはり今までの動線は罠であったと、ノエルは深くため息をつく。だが、相手はそんな暇も与えまいと、数の有利を生かしたRS対キャバリアバズーカによる飽和攻撃をエイストラに向けて敢行する。例え来た道である通路に逃れようとも、守りを捨てて吶喊しようとも榴弾の炸裂がそれを許さない。

「確かにそちらの作戦勝ちでありますが、こちらは何んらかの対策を講じていないとお思いで?」
 確かに着弾した。ザカリアスのセンサーはそれを観測していた。だが、実際には爆轟に呑まれたはずのエイストラの損傷は皆無も同然である。無傷のままでスラスターを吹かして接近しようとする敵機に対し、ザカリアスが再びRS対キャバリアバズーカを撃ち放つ。ノエルは回避動作を行うこともなく一直線に突き進み、銃弾よりは低速とは言え高速で飛翔するバズーカの弾頭は再びエイストラへと着弾する。
 ここですべてのカラクリが明らかとなった。エイストラに備わっているEPガーディアン装甲。防御機能として高硬度衝撃波の放射するという特殊なパネルで表層を覆ったナノクラスタ装甲が、着弾と同時にその衝撃を感知し起爆する爆破反応装甲とは別に着弾予想によって衝撃波を放射するというものである。これによってバズーカ弾頭が着弾する前に信管が押しつぶされて、直撃したかのように少し手前で起爆しているという仕掛けだ。とは言え、爆風は作用反作用の法則によって相殺されている物の、弾殻の破片だけは減衰させるだけがやっとでエイストラの装甲にはそれらの破片が生々しく突き刺さっている。だが致命傷とはいい難く、この程度の生傷はよくあることであるとして腕部に内蔵されたBX-Aビームブレイドを展開し、ノエルはエイストラをザカリアスの軍勢を割るように乱戦へともつれ込ませた。

「背後には死守すべき生産施設。そして、バズーカを携えては接近戦の足かせとなりましょう。E・A、ディスチャージ」
 ビームダガーを大型化した光の刃がザカリアスの胸部を貫かせる。無人化されたオブリビオンマシンとして製造されたザカリアスはこの程度の損傷で機能を停止させるはずがないと考えだしたノエルは、UCによってBX-Aビームブレイドにある特性を付与させた。
 切り裂かれた装甲からは青白い電流が眩く迸り、ザカリアス内部の回路をショートさせると倒れ込んだ。活動を再開させる素振りがない所をみると、効果は抜群といったところである。だが、活動を停止させているだけであって、コレ自体がオブリビオンマシンである事実は変わらない。部品が海流に乗って何処かに流れ着き、長きこと生産されて広く普及しているザカリアスであればジャンクパーツとして再活用され、何も知らずに市場に流される可能性は否定できない。とあれば、今はこれらを無効化し、その残骸を集めてこれらを製造している工場諸共に跡形もなく破壊し尽くすのが最良の選択だろう。
 一機、また一機とノエルは着実にザカリアスを無効化し、ファクトリーエリアの前面に展開されていた十数機あったはずのオブリビオンマシンは数分の内に殲滅されたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

二條・心春
これで最後ですね……!隊の皆さんも消耗しているようですし、今こそ私が頑張らないといけません。全力でいきますよ!

無人機とはこんなに厄介なものなんですね……。ここは私が敵を引きつけましょう。【超第六感】を使って攻撃の予兆を感じ取って、マシンガンの掃射を回避します。この機体の機動力ならやれるはずです。
回避するだけでは数に任せていずれ捕まってしまうでしょうから、私はハンディマシンガンで反撃して武器の破壊を狙いますよ。引きつけている間に皆さんに攻撃してもらいましょう。私の機体では一撃で破壊するのは難しいでしょうから。
こんなキャバリアを量産するこのプラントは危険です。ここで破壊させてもらいますよ!



「これで最後ですね……! 隊の皆さんも消耗しているようですし、今こそ私が頑張らないといけません。全力でいきますよ!」
 オブリビオンマシン・プラントによる幾多の妨害があったものの、ひとつ、またひとつと猟兵と傭兵、そして元海賊による混成部隊がファクトリーエリアに侵入していく。プラント外部で行われたHT908T『ファイアー・ワーカー』との攻防にも劣らない激戦が繰り広げられ、戦線は膠着状態となっている。
 状況的には性能差では最新鋭機であるこちらに分があるのは確かだが、戦闘において有効な攻撃を行うためには相手の三倍の兵力が必要ともされている。攻撃三倍の法則、もしくは三対一の法則とも呼ばれるこれは、まさに戦いとは数であるという理(ことわり)であるが、それは攻撃側の兵力が劣勢である場合でも戦史において勝利した事例も少なくない。ましてや文字通り、一騎当千の戦力である『猟兵』の力はその法則性を無視して凌駕する存在に他ならない。
 今まで同行をしていたキュクロプス隊小隊の静止を振り切り、心春が搭乗するピースメーカーが前に出た。目の前には既に破壊された工場施設の一部とその残骸を盾にして、次々と製造される武器弾薬、そして増援となる生産されたばかりのザカリアスが消耗戦を展開させている。手をこまねいては徐々にこちらが不利となっていくしかない状況で、心春にとっては先程に行われたドッグ施設の制圧のように『切っ掛け』となる楔を打ち込むのが猟兵たる彼女が導き出した答えであった。

「目に見えない大切なもの……私はそれを、信じています」
 加速によって生じるGの中、心春は心穏やかに神経を研ぎ澄ます。感じるのはオブリビオンマシン特有の邪悪なる意思で、無数との言えるそれらは鋭い刃物の切っ先を彼女の目の前に向けられるかのように、展開しているUCの超第六感を通して感じ取った。そして、それを元に予測した心春は補助スラスターで機体の軌道を変えると、入れ違い様に無数の銃弾が先程居た場所へと十字砲火を与えた。ザカリアスは突発的に軌道を変えた心春が駆るピースメーカーに射線を修正して銃撃を与えようとしたが、再び彼女は敵意を感じ取ってギリギリのところで回避してみせる。だが、徐々に距離が狭まっていくと躱しきれない銃弾が生じるようになっており、それらは装甲を掠め、コクピットブロックを覆い隠しているシールドに着弾した激しい音が機体を通して衝撃が伝わってくる。
 だが、その程度で止まってはならないと、心春はスラスターの向きを変動させて大きく機体を跳躍させた。虚を突かれたザカリアスらは銃口を上へと向けたが、心春のピースメーカーが携えているハンディマシンガンが頭上より銃弾を撃ち放つ。反動を利用して横薙ぎに放たれた銃弾はザカリアスのセンサーが集約された頭部、武器を構えた腕、武器そのものなどを撃ち抜いていき、その隙を逃さまいと防戦に徹していたプラント制圧混成部隊が攻勢へと転じた。

「いい腕じゃないか。ここは俺たちに任せろ。お前は奥の……」
「はい。キャバリアを製造している機械の破壊ですね。お任せください!」
 今まで同行していたキュクロプス隊の小隊長からの通信が届き、心春は言葉に甘えてここは彼らに任せようとファクトリーエリアの中枢へと進撃した。時折姿を見せるザカリアスを振り切り、またはBXプラズマブレードで切り抜いていくと、巨大な機械設備がその姿を現した。彼女の超第六感はそこからおぞましい何かを感じ取って確信した。あれこそが、オブリビオンマシンを産み出し続けている生産ラインであると。

「こんなキャバリアを量産するこのプラントは危険です。ここで破壊させてもらいますよ!」
 これさえ破壊すれば、ザカリアスは生産されなくなる。となれば、後はその残存勢力の駆逐し、オブリビオンマシン化したプラントの破壊に専念できる。ハンディマシンガンに残された残弾を生産ラインの機械にと撃ち込み切ると、それを投げ捨てシールドの裏側に取り付けていたあるものを取り出して、心春その先端を銃弾を撃ち込んだ先にと向けさせた。それは使い捨て型の対キャバリア用ロケットランチャーで、棍棒状の弾頭が大型のため大抵のキャバリアを一発で撃墜可能という代物だ。ただし、生産性の向上や搭載する炸薬の量を増すために自動追尾機能は有しておらず、そのため命中率は低くキャバリアのような機動力に富んだ目標へ命中させるのはかなりの技量が求められるベテランパイロット向けの兵装でもある。だが、あくまでもそれは機動性ある目標に対してであり、目の前の生産設備を破壊するにあたっては特に問題はないものである。
 マニピュレーターが筒状の発射筒に設けられた発射ボタンを押しつぶすと、弾頭末尾にある安定翼を内蔵させたロケットブースターの推進薬が点火され、激しい煙を撒き散らしながら弾頭が発射された。煙を引きながら予めハンディマシンガンによって障害物を排除し拓かれた進入路へと吸い込まれるように入っていき、着弾したのか爆煙が吹き出した。更には何かに誘爆したのか至るところで爆轟が生じ、不測の事態に備えて心春が緊急離脱をしたと同時に大きな爆発が起こった。彼女が乗るピースメーカーのサブモニターに映し出される生産ラインは炎に包まれて炎上し、オブリビオンマシンの生産ラインはその機能を喪ったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルイン・トゥーガン
アドリブ歓迎

おっと、アンタらが海兵隊かい
侵入経路が違ったから今まで敵としか会わなかったから危うく撃っちまうとこだったね
しかし、古巣でもそうだったが何処も海兵隊は損な役回りだねぇ?
さて、機体性能はこっちのが上だし、仕方ないね
アンタらに無駄に被害が出ると報酬額に影響が出るさね、アタシが先行して道を切り開くよ

強襲型らしくスラスター吹かして突っ込むよ
バズーカは弾切れで捨てて、代わりにビームソード抜くよ
ビームアサルトライフルとサブマシンガン撃ちまくって、接近したらビームソードで斬り捨てるよ
基本敵の銃撃は避けるか先に撃破するかだよ、避けられないのは敵機を盾にしてやるさね
残骸だって使い道次第さね!



「隊長。ファクトリーエリアの鎮圧とライン破壊が完了したそうだ。工兵隊がプラントの爆破解体準備に取り掛かってるらしいから、任務を達成した班から撤収に取りかかれだってさ」
「了解した。それならば、こちらも急がないとな」
 ルフス機が傍受した部隊通信の一報を受け、アルブム機が自らの小隊と合流した先行班のアクィラ機に前進を促した。彼らが目指しているのはプラントの心臓部であるメインシャフトで、海底奥深くまで突き刺さったパイプラインを通して様々な資源が採掘され、ファクトリーエリアにて精製並びに加工が行われている。通常のプラント制圧であれば現技術でも復元可能なファクトリーエリアまでであるが、今回はプラントそのものがオブリビオンマシンと化した為にその機能を徹底的にまで破壊せねばならない。
 幸いにもキャバリア製造を担うファクトリーエリアにて行われた派手な陽動作戦が功を奏したのか、メインシャフトに至るまでの経路にはザカリアスがそれほど配置されておらず目標まであと僅かと進んでいる。だが、強化型センサーを搭載し斥候を務めるルフスのピースメーカーが前方に動体反応を感知したとの報告が上がると、部隊に緊張が走り手にした武器を構えて警戒する。

「ここは先鋒を務め続けていたあたしに任せな」
 新たな居場所での信用と信頼を勝ち取るには行動で示すとばかりに、アクィラ機は前へと出た。確認された反応は前方のエリアからで、紅いパーソナルカラーのピースメーカーがRSキャバリアライフルを構えながら侵入する。内部は破壊されたザカリアスの残骸、そしてその中央には見覚えのある機体……かつて彼女の愛機であったアマランサスの派生機である強襲型のアマランサス・マリーネが同じく侵入者へ銃口を向けていた。

「おっと、アンタらが海兵隊かい? 侵入経路が違ったから今まで敵としか会わなかったから危うく撃っちまうとこだったね」
 この機体に乗っているルインが先に共通チャンネルを通しながら銃口を下げ、敵意がない事を示すとアクィラも銃口を下げさせた。

「ああ、そうさね。まさか見慣れた機体に先を越されてたとは思ってもいなかったさ。しかし、これだけの数をひとりでのしてしまうとは、たいした腕の持ち主のようだねぇ?」
「はっ、褒めてもなにも出やしないと。しかし、古巣でもそうだったが何処も海兵隊は損な役回りだねぇ?」
「なんだ。敵かと思えばご同輩だったか……ん?」
 一難去ってまた一難。ルフス機のセンサーが新たな反応を感知した。方向は彼らが辿ってきた経路からであった。

「隊長。どうやら俺たちを挟み撃ちにする手筈だったみたいだぜ」
「道理で静かだった訳かい。盛大に歓迎してやろうかい」
「待ちな。アンタらに無駄に被害が出ると報酬額に影響が出るさね。アタシが殿を努めて退路を確保するよ。機体性能はこっちのが上だし、仕方ないね」
 その前にと、ルインは肩部に設置されたミサイルコンテナのひとつをパージさせると、サブアームでそれを掴み上げてウィリディス機へと押し付けるように渡した。

「ここの破壊用に持ってきた『とっておき』さ。あたしの代わりに仕掛けておいてくれよ?」
「ああ、了解した。猟兵のご厚意に預かってこの場を任せ、俺たちは任務遂行させるぞ」 アルブム機が指示を送る中、何かに感づいた小隊員の三人は秘匿チャンネルで通信を送る。

(なぁ、その反応って……アレだよな?)
(確かにアレ、だな)
(いいじゃないか。もしバレても隊長の始末書と胃薬の数が増えるだけさ)
 よもや核を預けられたとは露知らず張り切るアルブムを他所に、三人は敢えて口に出さずにメインシャフトへ通じる経路へと進んでいく。だが、アクィラ機はその場に留まっていた。

「どうしたのさ。アンタも殿を務めるのかい?」
「そんなところさね。ところであんた、いい腕をしてるならあたしとひとつ勝負してみないかい?」
「勝負?」
「撃破スコアの競い合いさ。負けたら勝った方にいい酒を驕るでどうだい」
「……はん、いいねぇ。面白い、乗った!」
 境遇は違えど似た者同士のふたりは意気投合し、敵を迎え討つべく散解すると同時にザカリアスの軍勢がローラーから火花を散らしながら侵入する。互いにスラスターを吹かしながら方や散弾バズーカで纏めて薙ぎ払い、方やRSキャバリアライフルで的確に動力炉を次々と撃ち抜いていく。爆煙で視界が遮られる密室内に新たなザカリアスの一団が侵入したが、両者ともにメイン兵装を撃ち切ると長物を投げ捨てて白兵戦に挑んでいく。

「やるねぇ!」
「あんたもね!」
「お生憎様、こっちは手が多いんだ。勝ちは貰っていくよ!」
「はっ、そんな豆鉄砲でスコアが稼げるのかい?」
 ビームソードを突きつけ無力化させたザカリアスを盾に、アマランサス・マリーネの増設されたサブアームから二丁サブマシンガンを十字砲火させて乱射させる。一方、アクィラの高機動型ピースメーカーはその機動性を生かし、プラズマブレードでザカリアスを斬り伏せていく。だが、サブマシンガンが弾切れとなるとルインも白兵戦を主軸に切り替えた。

「これで!」
「ラスト!」
 紅い二機のキャバリアは互いに交差しあって、最後のザカリアスを斬り抜く。両者はモニターに表示されている撃破確認の数字を見やったが、奇しくも同じ数字であったのに思わず笑い合う。

「どうやら同点で引き分けようだね」
「そうさね。ま、先にやった数も合わせればアタシの勝ちだけどな?」
「それなら、あたしも先にやった数を合わせればこっちの勝ちさ」
 そのようなやり取りをしていると、ウィリディス機のショルダーキャノンとカエルラ機のバントライン砲でメインシャフトを破壊し、爆薬とルインから預かった起爆用タイマーを作動させた『アレ』を設置し終えたアルブム小隊が戻り、五機のキャバリアはその場からドッグまで撤収した。
 嵐の勢いが未だ衰えない中で、猟兵や負傷者を含めて当作戦にあたった人員を収容し終えた艦が洋上プラント『エンデカ』の周辺海域から離脱すると、オブリビオンマシンと化した洋上プラントに一瞬だが稲妻のような閃光が走り、爆音が雷のような轟音が周囲に鳴り響く。生じた衝撃波によって艦は大きく揺れたものの、秘密裏にオブリビオンプラントの処理というブラックオプスの任務を遂行させたキュクロプス隊とアクィラ隊を乗せてトリアイナ軍港へと帰還したのであった。


 翌日、トリアイナの港町はとあるニュースで持ちきりだった。長きに渡りトリアイナの経済発展を支えてきた洋上プラント『エンデカ』が昨夜の嵐によって全壊したというものだ。原因は明らかとなっていないが、当局の発表によれば老朽化により脆くなった施設の電気火災。並びにそれを起因として生産されていたキャバリアや武器弾薬に引火しての事故だと強調されて何度も報じられた。だが、海の向こうのどこかの小国家で戦乱が起きたという新たなニュースが流れると人々の関心はそちらに向かい、エンデカの悲劇は大衆の記憶から次第に風化していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年10月12日


挿絵イラスト