線香花火、上から落とすか、下で避けるか?
●空に消えてった打ち上げ花火
水着コンテスト開催以降、日々打ちあがる妖怪花火。それは時に夜空を彩る花として、時に夏に遊ぶ大地として、カクリヨファンタズムの夏を彩って来た。
「やー、どかーんばかーんで、ええなぁ、バズるなぁ」
その盛り上がりに発起人たる新し親分バズリトレンディもご満悦。しかし一つ当たればまた次の刺激を求めてしまうのがバズらせ屋の性というもので。
「うーん、せやけど、なんかもう一つ捻りが欲しいねんな。こうずしーんでずどーんな」
悩む新し親分。だがその横で、あまり騒がしいのがお気に召さない方もいるようで。
「やかましいにゃ。王子さまは優しすぎて何でも褒めるし碎輝は単純だからこういうの好きかもしれんが、儂はもっとこうもののあはれを誘うような、線香花火のような一抹の切なさが……」
ぶつぶつ文句を言う東方親分山本五郎左衛門。その文句が耳に入った瞬間、バズリトレンディが脳裏に電流走ったかの如く顔を上げた。
「それや! 夏もぼちぼち後半戦、今求められているのは確かに線香花火や! これは流行る(確信)」
「あーはいはい好きにしろにゃ。儂はもう関わらん……」
「ん? 今好きにしろって言ったよね? ほな早速開催や! 『線香花火落ちろ! 落ちたな(確信)。体のどこかに当たってくれー!(安全に配慮して人体に無害な花火を使っております)』大会! あ、ちゃんとゼネラルプロデューサー山もっちゃんて書いとくから安心してや。権利と責任関係は明確にせなアカン(アカン)」
「やめろ! 儂の名前を出すんじゃにゃいにゃー!」
●空から落ちてきた線香花火
「みんなー! 花火大会しよー!」
開口一番、ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)on花園・ぺしぇが元気よくそう言った。
今流行の花火と言えばカクリヨファンタズムで打ちあがる妖怪花火だが、今回は少し違う花火を紹介するという。
「あのね、妖怪花火は地面の代わりにして歩けるんだけど、その上でさらに線香花火をしようってお話なの。でね、その線香花火っていうのがー……このくらい」
そういってむにっと自分の乳を一纏めに寄せるぺしぇ。……でかい。
「だから足元の花火に負けないくらいばちばちでド派手だよ! でもやっぱり線香花火だから最後には落ちちゃうの。だからー……頑張って避けてね!」
待てお前今なんつった。
「あのね、花火の下側にいる人は線香花火を頑張って避けなきゃいけないの。上の人は当てたら勝ち! 下の人は最後まで避け切ったら勝ち!」
大会ってそういう意味かよ。
「あんぜんにはいりょした花火らしいから、当たっても熱いけど怪我はしないんだって! 優勝したらー……なんか考えとくね! 欲しいものあったら言ってね!」
賞品部分はグリモア猟兵に丸投げされたらしい。
「参加する人はどっちか決めて参加してね。グループでチームになったり別れて対戦してもいいよ! 人数が欲しいならミルケンたちを呼んでね!」
ガチな競技というわけではなく、ビーチで行われるレクリエーション的なものに近い。楽しむのが第一ということだ。もちろん、大人げなく本気で勝ちに行くのもそれはそれで楽しいかもしれない。
「ちなみにこれ、運営はバズトレちゃんだけど企画は東方親分さんなんだって! 名前もおっきく書いてあるよ!」
風評被害にゃー! という声がどこからか聞こえる気もするが、それはきっと花火の音ということにしておこう。
「じゃあこれからみんなでビーチに行くからね。着いたら試合開始だよ! それじゃ、しゅっぱーつ!」
そう言ってミルケンは、参加者一同を真夏の夜のカクリヨファンタズムへと送り出すのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。線香花火だから儚いとは限らない。
今回は空に打ちあがる妖怪花火の上下に分かれ、ちょっとした対戦ゲームをしていただきます。攻撃側か防御側どちらか明記した上ご参加ください。能力値行動は特に気になさらず。
●攻撃側
妖怪花火の上を飛び回り、線香花火をしつつ下にいる人を狙って玉を落としてください。打ち上げ花火に線香花火の光を紛れ込ませたり、あえて目立って逃げる側を誘導するなどしてうまく避けられないようにしましょう。なお線香花火自体は不思議な妖怪パワーで当たっても熱いだけで殺傷能力はない(でも都合よく服とかは燃えるかも)ので、容赦なく当てていってください。
●防御側
上から降ってくる線香花火の玉を頑張って避けてください。下からも線香花火の様子は見えますので、そろそろ落ちてきそうな玉があったら離れましょう。武器、盾、UCでの防御はOKですが、体や頭に当たったらノーダメージでもミスとなります。つまり無敵城塞涙目。攻撃側への妨害は殺傷能力のない物に限りOKです。
両陣営ともUCは使ってもいいですが人にダメージが出たら反則負けなので使い方に注意。
対戦とは言いますがお祭り騒ぎ的なものなので、ルールは緩めだし必ずしもガチで勝ちに行く必要はありません。やられプレや結果まで込みの合わせプレイングも大歓迎。ソロ参加でも他の参加者様やモブ妖怪、声かけ頂ければグリモア猟兵とも対戦できます。
お声がけ頂ければぺしぇだけでなく鳴声担当のグリモア猟兵を誰でもお呼びいただけます。仲間でも敵でもお使いください。所属陣営は以下の通り。
攻撃側:ぺしぇ、ミルケン(本体)、メル、アレクサンドラ。
防御側:シャイニー、オーロラ、桃姫、アカリ。
勝った側の賞品については参加者同士で何かをかけてもいいですし、ねだれば何か出てくるかもしれません(いずれも描写のみ。アイテムとしての発行はしません)。
それでは、楽しんでいってくださいませ。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み2021』
|
POW : 妖怪花火で空へGO!
SPD : 妖怪花火の上で空中散歩
WIZ : 静かに花火を楽しもう
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カクリヨファンタズムのビーチにいくつもの花火が打ち上がる。それはただの花火ではなく、そのまま上に乗ることのできる妖怪花火だ。
その花火の上では巨大な線香花火を持った者達が下を見下ろし、下ではビーチに立つ者達が花火の向こう側すら見透かさんと油断なく空を見上げている。
花火越しに両者の目が合った瞬間、上の者達の線香花火の、人の頭部以上もある先端部に火が着き目映い火花を散らし始めた。
下の相手を撃ち抜くか、上から来る敵を凌ぎきるか。さあ、戦いの始まりだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・攻撃側で参加
・アド/絡◎
■行動
これはまた、変わったイベントですねぇ。
宜しくお願い致しますぅ。
折角ですし、桃姫さんに対戦相手をお願いしますねぇ。
私の手の内をよく知る相手だけに油断は出来ませんが、楽しんで参りましょう。
【酷郭】を発動、間違って傷つけない様『上空』の範囲に『裁域』を形成し『律』を流し込みますねぇ。
そうして、『線香花火』の落下するルートを操作し、『変化球』や『破裂』から『散弾』等の様々な形で降らせますぅ。
下から見ますと、避け辛い代わり綺麗なのではないかと思いますよぉ?
そして、何らかの賞で『食べ放題のチケット』を複数頂いたのですが。
打ち上げ、ということで桃姫さんも一緒に如何です?
夏の夜空に打ちあがる妖怪花火。今ここはバズリトレンディ運営、山本五郎左衛門企画(公称)の対戦型花火大会の会場となっていた。
攻守に分かれ行われるその試合には、運営が用意したプレイヤーキラー(数合わせ要員とも言う)としてグリモア猟兵も参加していた。
その中一人を対戦相手と定め、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は攻撃側として花火の上に乗る。
「これはまた、変わったイベントですねぇ。宜しくお願い致しますぅ」
彼女が対戦相手として指名したのは、ミルケンピーチのボディの一人、花園・桃姫だ。指名を受けた桃姫は金色ビキニから心持ち昨年度より豊満度合いが増した体を溢れさせ、防御側としてビーチに立っていた。
昨年の夏もグリードオーシャンでの祭りで同行した仲とあって、お互いの考えそうなことはそれなりに分かっている。
「私の手の内をよく知る相手だけに油断は出来ませんが、楽しんで参りましょう」
そう言いながら、るこるは花火に紛れ線香花火を点火、それを下にいる桃姫の頭上へと向けた。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その刑場の理をここに」
そしてその下方に【豊乳女神の加護・酷郭】を発動。空間を爆破する強力な技だが、あくまで対戦競技であるこの大会で人を傷つけるのはルール違反である。ならばどう使うつもりなのか。
「るこるさんは目立ちますので、居場所をちゃんと確認しないと……」
桃姫はそれを見極めるため、地上から花火の上にせり出す巨大な肉体をしっかりと観察していた。るこるの成長止まぬ超級の肉体は眩い花火に負けることなくその存在をしっかりとアピールしている。その激しく揺れるせりだしを見れば、るこるがどこにいるかは線香花火を見ずとも一目瞭然であった。
だがそれはそれとして、上空を見上げれば桃姫の目に入るのは足場となるため延々うち上がり続ける妖怪花火。途切れることなく大輪の打ち上げ花火が上がり続けているその光景は、単純に美しいものでもあり、しばし桃姫も見とれ気味であった。
特にあの細かい無数の星屑の如き花火など、今にも降り注いできそうで……
「あつっ!? あ、あついあついあつい!?」
本当に降って来た。だが打ち上げ妖怪花火は下の安全も考えこんな風に降ってくることはないはずである。これはつまり……
「桃姫さんは大きいから狙いやすいですねぇ」
るこるは花火のビーチの間、上空の空間を爆破し線香花火の玉そのものを爆散、散弾のように広範囲に降りかからせたのだ。さらに細かい爆破を重ねつつ降る軌道を操作、変化球の如く胸の下側を狙って当てたり、拡散弾の様に破片をさらに破裂させてより避け辛くしたりなど球数を重ねて桃姫を追い込んでいく。
弾が破裂し小さくなっている分一発当たりのポイントが減算されているのか多少当たっても即アウトにならないが、その分燃える玉に晒される時間は長くなる。
「や、あつ、あつーい!」
涙目で逃げ回る桃姫。その巨肉がぶるんぶるん揺れる様は上空のるこるからも良く見える。桃姫のさっきの発言が完全にブーメランである。
「下から見ますと、避け辛い代わり綺麗なのではないかと思いますよぉ?」
確かにその通り、大輪の花火の下に細かい火花が散り降り注ぐ様は普通の花火ではそう実現できない、まさに妖怪花火と猟兵ならではの美しさだ。とはいえその見物量は大量の線香花火の散弾をその肉体に浴びること。ぺしぇの様な天性の超能力者でもアカリの様なスポーツ少女でもない桃姫は、躱せないままその豊かすぎる肉に降り積もった花火の量が玉一つ分を超えあえなく敗北。るこるの勝利を告げる大輪の妖怪花火が足場より高い位置に一つ大きく上がるのであった。
そして試合終了後、花火から降りてきたるこると、火傷はない物の水着が焦げて紐が切れ、今にも零れそうな肉を涙目で抑え込んだ桃姫が並ぶ。今まで上下に分かれていた巨肉が合わさり、その質量は遠目から見ても花火以上に目立つ圧巻ぶりだ。
そしてるこるの手には数枚のチケットが握られている。
「何らかの賞で『食べ放題のチケット』を複数頂いたのですが。打ち上げ、ということで桃姫さんも一緒に如何です?」
商品関係は丸投げにされていたので、運営関係の誰かがどこかから急遽調達して着たものだろう。賞の名目は『重量級制覇』……なんてことはあるまいが。
ともあれ試合が終わればノーサイド、ということで、二人は連れ立ってその食べ放題へと早速向かう。果たして全てを食べ終えた後の二人の重量は妖怪花火が支え切れるほどに留まるのか……その答えは来年の夏までお預けかもしれない。
大成功
🔵🔵🔵
オルヒディ・アーデルハイド
●防御側
何も知らずに会場に迷い込んでしまう
上から降ってきた線香花火の玉にびっくり
モーラットの力を借りて妖獣の演舞で高速移動で回避
回避できない時は電撃を放射して線香花火の玉を撃破
寿命を削る思いで必死に逃げまどい会場を後にする
花火って命懸けだね
カクリヨファンタズム各地で妖怪花火は上がっている。その為、散歩など特に目的がなくても花火の上がる場所を通ってしまう者も多数いた。
オルヒディ・アーデルハイド(エンジェルのアリス適合者のクリスタルサモナー・f19667)もその一人。ただふらりと歩いていただけの彼は、何も知らずにこの花火大会会場に迷い込んできてしまったのだ。
そして彼の不運はこれが普通の花火大会ではなかったこと。祭りと戦いの熱狂の中では、戦場に現れた者は当人の意思など関係なく、皆戦士と見なされてしまうのだ。もちろんオルヒディも例外ではない。
「え、なに、なに? うわっ!?」
突然頭上に襲来してきたものに、驚きながら咄嗟に身をかわすオルヒディ。その眼前に落ちたのは、人の頭部ほどもある火の玉だ。
何事かと上を見上げると、打ちあがる大輪の花火の中から火花を放つ同じものが次々と降ってくる。しかも、それらは明らかに自分を狙って落ちてきている。これは一体何事か。
そのうち一つは既に自分の頭上、普通の手段では回避できないところまで来ている。
「雷よ、ボクに力を貸してね!」
とっさにオルヒディは【妖獣の演舞】の力で高速移動し、それを躱した。妖獣モーラットの力を借りた火花を散らす高速移動。その見事な動きは、しかし彼が『一流の戦士』であると上にいる者たちに知らしめてしまった。
より一層激しくなり彼を狙い落ちてくる火花散らす火球の群れ。
「えぇぇ、もう、なんなのこれ!?」
それをオルヒディは見事な動きで躱し続けていく。さらには回避困難と思われたものは減劇を発射し火球自体を爆破、その場で爆散させ砂浜の上に火と電光の眩い花を散らせた。
「よく分からないけど、とりあえず当たっちゃ駄目なような気はするし、このまま駆け抜けるよ!」
それからも、ビーチを眩く火花を散らせながら高速移動を繰り返しかけていくオルヒディ。その姿は花火の上からも輝いて見え、まるで砂上に大輪の花が描かれているようですらあった。それはまるで上下が逆転した花火大会。火花散らす火球が上から下へと落ち、オルヒディがそれを次々と眩く爆発させていく、打ち上げ花火ならぬ打ち下ろし花火とでも呼ぶべきものとなっていた。
「ねぇなんかさっきからボク狙いなの増えてきてない?」
愛らしき少年が愛らしき毛玉の力を借りて輝き走り抜ける。その美しさは上空で線香花火を落としている者たちさえも見とれさせ、いつしか爆破させるために火球を落としているような気分にすらさせていた。
最も下で避けているオルヒディ自身はそんなの知らないしそれどころではない。素早く、華麗に、火花を散らし、時に襲い来る火球を破壊し、炎の雨降るビーチを駆け抜けていく。もちろんなぜこうなるのか、なぜ自分が狙われているのか、そんなこと彼には分るはずもなかった。
そうして寿命を削る思いで逃げ惑い会場を後にし、やっと一息つくオルヒディ。
そんな彼に突然何かが手渡された。見ればそれは地上でやるタイプの花火の詰め合わせ。透明なビーチバッグに入ったかなり多めの奴だ。バッグの側面には『地上の花火賞』とか書いた紙が貼ってある。
勝ち抜いた者にはそれに相応しい褒章を。これもまた戦場のルールである。もちろんそれもオルヒディの知ったことではないのだが。そして花火で意図せず散々な目にあわされた彼に花火の賞品、これが喜ばれるかは彼のみぞ知るところだ。
「花火って命懸けだね」
それを手にしながら、オルヒディは今しがた自分が駆け抜けてきた花火会場と、そこにまだ降っている大量の火の玉を見るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ニクロム・チタノ
攻撃側で参加
アハハ面白そうなイベントですね、誰かボクに反抗してくれますか?嗚呼オーロラ先輩お久しぶりですね?お風呂でご一緒して以来ですか、せっかくなのでぜひお願いします
下をヨダレでコーティングして滑りやすくして悪臭の目眩まし、ヘドロを避けさせながら逃げ場を奪いつつ狙いを定める
臭いとヘドロのせいで逃げ場が失われていますよ?
ヘドロが少ない所に誘い込んでそこはヨダレがたっぷり、滑って転んだところに線香花火を投下
いや~久しぶりにいい汗かきました、オーロラ先輩また一緒にお風呂なんてどうですか?ヘドロ風呂は美容にいいですよ❤️
花火の打ちあがり続けるビーチ。そこにある種この場に似つかわしくない色をした者が現れた。
「アハハ面白そうなイベントですね、誰かボクに反抗してくれますか?」
笑いながらそう言うのはニクロム・チタノ(反抗を忘れた悪堕ちヘドロ・f32208)。青い肌の彼女は臭気を撒き散らしながら遊び相手を探すように辺りを見回すと、見知った顔を見つけ声をかけた。
「嗚呼オーロラ先輩お久しぶりですね? お風呂でご一緒して以来ですか、せっかくなのでぜひお願いします」
それだけ言うと相手の返事も待たず花火に上り、空へと上がっていくニクロム。別の依頼を紹介し、その際一緒に温泉にも入ったことのあるグリモア猟兵オーロラはそれ以来で見る彼女の変わり様に驚くが、猟兵の中には何かのきっかけで姿や性格の変わる者も稀にいる。本人であることは間違いないのだからと、オーロラは勝負を受け防御側として下で彼女の攻撃を待ち構えた。
「さて、どう落ちて来るかしら……」
グリモア猟兵として何度か彼女の戦いをバックアップしたことのあるオーロラは、彼女の能力から重力操作などで火球の落ちる速度を変えてくるかと予測を立てた。だが、その予想に反しオーロラの前に落ちてきたのは強烈な臭いを放つ液体であった。
「何、これ……!?」
強く臭うその液体の正体、それは上から大量に垂らされたニクロムの涎であった。大きく開いた口からだらだらと垂れる涎は砂浜を覆い、その強い匂いで集中力を削いでいく。さらには体からより強烈な腐臭を放つヘドロを飛ばし、視覚的にも物理的にも逃げ場を失くし妨害をかけてきた。
「臭いとヘドロのせいで逃げ場が失われていますよ?」
ニクロムの言う通り、異臭を放つものがビーチ中にまき散らされ、移動先を制限していく。例えば落とされる妨害用のものがボールなどもっと形のあるものなら、豚房流剣士オーロラのこと自慢の胸でいくらでも弾き返せる。だが涎やヘドロの様な形を持たないものでは胸で弾いても飛び散るばかり。しかも臭いという殴ることのできないものまでついてくるとあっては、いかに豚房の乳とは言えただ振り回すだけでは防ぎきることができない。
「やるわね……」
相手の得意技を封じる、絵面ははともかくとしてのその効果的な戦法に感心しつつもどうにか開いている場所を探して逃げ込むオーロラ。だが、そこに足を踏み入れた時、オーロラの体は大きくバランスを崩し横倒しになった。
「何!?」
そこにあったのは他より大量のニクロムの涎。あえてヘドロを少なくしたその場所に溜め込まれたまるで粘液のような涎を踏んでしまっては、いかに武術家のオーロラと言えども体幹を崩し転倒してしまうこともやむなしである。
一見すれば知性を感じさせない戦法だが、あえて隙を作っての誘い込みやヘドロの臭気に涎の臭いを紛れさせての隠蔽など、随所にち密な計算が仕込まれた戦法にオーロラは完全にはまってしまっていた。
だがそれに感心する間もなく、倒れるオーロラに降ってくる火花を散らす巨大な火球。それは巨大な二つの玉の下、オーロラの腹筋に見ごとにぶち当たり、三つ目の玉となってその体に乗るのであった。
勝負が終わり、花火から降りてくるニクロム。それを迎えるオーロラは涎途へ泥まみれだ。
「いや~久しぶりにいい汗かきました、オーロラ先輩また一緒にお風呂なんてどうですか? ヘドロ風呂は美容にいいですよ❤️」
変わらず笑いながら言うニクロム。その自分の知る彼女とあまりにもかけ離れた姿にオーロラは反応に迷うが、今は戦いの場ではないのだからとあまり深くも強くも出ないことにする。
「そうね、普通の泥パックならお願いしたいわね。猛毒風呂は修行の時に覚悟を決めてからにするわ」
「アハハ、そうですか」
そうして立ち去っていくニクロム。副賞の洗剤を渡すどころではないその変貌ぶりに言葉をなくしつつも、オーロラは会場の掃除に取り掛かるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ケイ・エルビス
アドリブ連携歓迎OK
所持の水着とシャツ姿
「体や頭に当たったらミスだな。
……オーケー、花火大会の始まりだ!」
オレは防御側
攻撃側はダチのメルちゃんにお願いしてやってもらおう
花火の下で線香花火をUCで
ダッシュジャンプフェイントの技能レベル強化
線香花火の様子を見ながら
その都度野生の勘や視力を活用して
ダッシュやスライディングで咄嗟に気合でかわす
「あぶねっ!?」
賞品は海の家で使えるチケットを希望
勝った方が貰ってグルメ雑誌でしか見た事ないゴージャスなかき氷を
仲良く一緒に食べながらお祭り騒ぎの猟兵や花火を楽しもうぜ♪
「かき氷うまっ!夏らしい想い出が増えて楽しかったぜ。
メルちゃん付き合ってくれてありがとな♪」
宴も酣、ラストスパートと言わんばかりに大量の花火が用意される中、最後の参加者たちがその傍らに集まり開始前の説明を受ける。
「体や頭に当たったらミスだな……オーケー、花火大会の始まりだ!」
その中の一人、ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)もラストステージの参加者だ。しっかりとルールを聞いて、男性用水着に前の開いたアロハという夏全開の格好でビーチに出るケイ。
そうして構える彼の眼前で、一際激しく花火が撃ちあがった。それに乗って空に上がっていくのは、彼が対戦相手に指名した知り合いでもあるグリモア猟兵メルだ。
「それでは遠慮なく、やらせていただきますわ❤」
宣言通り上空で線香花火に点火し、ケイに狙いを定めるメル。ケイもそれをしっかり身構え、待ち受ける態勢をとる。
やがて線香花火の先端が離れ、ケイ目がけて落ち始めると。
「ぶっ飛ばすぜ。 レッツ・ゴー!」
それを合図にケイは【ハンズ・アップ】を発動。移動に関わる技能を纏めて強化し、その直撃を躱した。
「あらあら。でももう最後だし、花火はいくらでもありましてよ❤」
初弾が避けられても諦めることなく、大盤振る舞いに大量の線香花火を纏めて落とすメル。まるで流星群の如くいくつもの花火が落ち、次々とケイを撃ち抜かんとビーチに向かって降り注いでいく。
「なんのっ!」
その火球を、ケイは落ちてくる順番を素早く見切り、直感的に向かうべき方向を判断してそちらへ避けて躱した。こちらはユーベルコードで強化された技能ではなく持ち前のもの。戦いと運び屋の日々で培われたそのセンスで、ぱちぱちと音と光を撒き散らしながら降る無数の玉の隙間をついてケイは火球を避け続ける。
「まぁ……もうそろそろ終わりですし、メルのおっきいのをどうぞ❤」
これで最後と、メルは残った線香花火全てを束ねて持ち、それ全てに火をつけた。線香花火は落ちないうちから先端同士をくっつけると合体して大きくなる。そしてそれはやりすぎると火事や大火傷を引き起こしかねず、基本的に注意書きなどで禁止されている。
元が大きい妖怪線香花火でそれをやればどうなるか。最早火球を通り越して隕石にも見せる程に大きくなった玉が、ケイ目がけて落下していった。
最後の猛攻というにはド派手すぎるそれ。こうなればもう残る力は気合いと根性のみ。ケイは巨大花火玉のギリギリまで全力で走り、それが頭の近くまで着た瞬間身をかがめ、砂浜に全力のスライディングをかけた。
「あぶねっ!?」
その瞬間、砂浜に着弾し砕け散る火球。火花を散らしながら飛び散ったその玉の残癌からほんの少し離れたところに、玉の欠片もついていないケイの体があった。
そしてそれと同時に大会の終了を告げる大輪の花火が撃ちあがった。
無事逃げきったケイに送られたのは、海の家で使えるチケット。さっそくそれでグルメ雑誌でしか見た事ないゴージャスなかき氷を注文。メルもちゃっかりご相伴にあずかっている。
「かき氷うまっ!夏らしい想い出が増えて楽しかったぜ。メルちゃん付き合ってくれてありがとな♪」
「こちらこそ、お誘いいただきありがとうございました」
にかっと笑うケイに変わらぬ笑顔を返すメル。海の家のある花火大会の終わったビーチでは、普通の花火や海遊びに元参加者や新しく集まってきた者たちが興じている所だ。それを眺め、後で自分も混ざろうかと考えるケイ。
大会は終わったが夏はまだ終わらない。2021年の夏は、まだまだ熱く続くのだ。
大成功
🔵🔵🔵