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猟書家の侵略~Ex aequo!

#グリードオーシャン #猟書家 #猟書家の侵攻 #メガリス #深海人 #狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルス #アエテルニタス島 #アゲル

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 グリードオーシャンの島のひとつ、『アエテルニタス島』――。
 南国の小さな島には、海底から絶えず湧き出る空気の泡に包まれた海底都市が存在し、そこには海上で暮らす島民の祖と呼ばれる原住民たちが多く暮らしている。
 自称「メガリス研究家」たるクラゲ型深海人のアゲルが、此度、お宝探索に来たのは、そのうちの一つ、「バナナバナナ森林区」という多種多様な植物が生い茂る森だった。
「ここに『王笏』が隠したっていうメガリスがある筈なんだヨ……!」
 地図を手に、海底リンゴや海底ミカンの木の間を抜けるアゲル。
 注意深く見回って暫く、極めて優れたお宝センサーによって「フルーツに擬態したメガリス」を発見したアゲルは、瞳をキラキラと耀かせた。
「これが……なでなでするだけで願いを叶えてくれる……メガ……」
 玲瓏の輝きが、アゲルの透いた腕に光を移した――その時。
 凍えるほど冷たい海流を連れた「黒い巨影」が、少女に向かって驀進してきた。


「狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルスが、嘗ての七大海嘯『王笏』が隠したメガリスを執拗に狙っている」
 目的は、グリモアベースの侵略――。
 恐ろしい野望を抱くレディ・オーシャンに加担したのだと言を足した枢囹院・帷(麗し白薔薇・f00445)は、深海の処刑人と呼ばれるこの海獣が、偶然にも前回と同じ深海人を狙っていると言を足す。
「またも奴の牙に狙われるのは、メガリス研究家を名乗るトレジャーハンターのアゲル。ちょうどメガリスを発見したところを襲われ、メガリスが奪われてしまう」
 場所は、『アエテルニタス島』の深海域、バナナバナナ森林区。
 多種多様な海底樹が自生する森を探険したアゲルは、抜群の勘で「フルーツに擬態したメガリス」を発見するのだが、同時に幹部の襲撃に遭い、大事なお宝を奪われる。
「アトラティヌス・モササウルスは、嘗て七大海嘯の『王笏』だったカルロス・グリードと旧友であったと言われているから、このメガリスの事も知っていたのかもしれない」
 件のメガリスは、撫でられると力を溜める能力があるという。
 術者そのものに力は不要で、猟兵でないアゲルにも扱える呪われし秘宝は、だからこそ敵の手に渡ってはなるまい。
「この力がグリモアベース侵略に使われるのを阻止すべく、君達は急ぎ『アエテルニタス島』に向かって欲しい」
 森林区で探索中のアゲルと接触する。
 自身もフルーツを捥いだり食べたりして力をつける。
 彼女と面識を持っていれば、後の戦いでスムーズな避難や協力を要請する事が出来るし、アゲルが獲得したメガリスは、凶龍の討伐に役立つかもしれない。
 ここで彼女の探索を止めさえしなければ、アゲルは予知通りにメガリスを発見・回収してくれるので、敵の襲来後は、彼女とメガリスの保護に回ろう。
 帷は更に言を足して、
「アゲルがメガリスを発見すると、凶龍が戦闘を仕掛けてくるが、君達の身体は空気の泡に包まれているから、海中戦も不安は無い」
 アエテルニタス島の深海域は、貝や珊瑚でできた海中都市が広がっており、都市全体が空気の泡に包まれている。
 ここでは陸の生き物も呼吸に不安なく活動できるので、思い切り戦って欲しい。
 メガリスを狙う巨獣からアゲルを守れたなら、彼女は力を溜めたメガリスを使って戦ってもくれるので、共闘するのも手だろう。
 吐息ひとつ置いて説明を終えた帷は、ぱちんと弾指してグリモアを召喚し、
「星燈りで生育したフルーツは不思議な力があって、捥ぐと色が代わり、食べると色に因んだ力をくれる。戦闘前に食べておくといいよ」
 と、精鋭を送り出すのだった。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 こちらは、猟書家幹部「狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルス」の侵攻を食い止める「深海の死闘! 狂濤凶龍アトラティヌス!」シナリオ(難易度:普通)です。

●戦場の情報
 グリードオーシャン、UDCアースから落ちて来た孤島『アエテルニタス島』。
 第一章で海底のバナナバナナ森林区を探索し、第二章では同区が戦場となります。
 バナナバナナは「混んでいる」という意味で、現地になっているフルーツはバナナ以外にも沢山あります。

●シナリオ情報(二章構成です)
 第一章『不思議なフルーツを食べよう!』(日常)
 海底都市の或る場所には、捥ぐ人によって色が変わる不思議なフルーツが生い茂っており、原住民は色占いをしたり、カップルで相性占いをしたりしています。
 この中にメガリスが隠されているようですが、猟兵の皆さんはフルーツを捥いで食べてみましょう。実の形や色を指定して頂いても良し、指定がなければ当方で色を描写します(ステータスシートの誕生日をお借りします)。

 第二章『狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルス』(ボス戦)
 我、深海の王たらん!
 深海の処刑人たる超巨大モササウルスで、カルロス・グリードの旧友であったとも言われています。
 圧倒的機動力と殲滅力を誇り、深海島のメガリスを狙う深海人を襲います。

 深海域は空気の泡に包まれており、陸の生き物も息ができるので、戦闘に支障ありません(対策プレイングは不要です)。

●プレイングボーナス『深海人と協力する』(全章共通)
 このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
 深海人「アゲル」はクラゲのように肌膚が透き通った人型の女の子です。水陸で共生できるほか、浮遊能力で人や物を運ぶ事が出来ます。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や【グループ名】をお書き下さい。
 また、このシナリオに導入の文章はございません。オープニング公開後、すぐにプレイングをお送りいただけます。
 今月の満月までに完結数を増やすべく、早期完結を目指します。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 日常 『不思議なフルーツを食べよう!』

POW   :    色んなフルーツを沢山頬張る

SPD   :    素早くフルーツを頬張る

WIZ   :    厳選したフルーツを頬張る

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)。

アゲルさんと逢った場合は二度目なので軽く挨拶をします。
友人と言われたら少し驚きつつ同意を。えと…私でよければ。
あ。ロベルタさんのことを紹介します。私の相棒のような子…と。

捥ぐ人物で色が変わる果物…ですか。確かに不思議ですね。
背伸びをして一つ捥いでみようと思います。何色になるんでしょう?
(おまかせでよろしくお願いします)

変化した色で占いをして貰っても面白そうです。未来のこととかを。
結果が良くても悪くても問題はありません。
悪ければ気を付ければいいですし良ければより精進すればいいので。
ところで。アゲルさんとロベルタさんはどんな色になりました?


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)。
深海人さんに会うのはこれで二回目だねぃ~。よろしくねぃー!

「この果物って、採った人によって色が変わるんだ?」
面白そーだから採ってみようと背を伸ばす。…けど、高さが足りない。
台を用意して貰って採るよ。…足や剣は植物を痛めるだろーしね。
色の変化はどんなだろー?楽しみだじょ~。(お任せします)

墨ねーとアゲルさんが変化した色はなんだろ?
場合に寄ってはイジルよ。墨ねーだけに限るけどね。
僕?僕はこの色だね。…占いできるって聞いたからお願いしてみる。
結果は僕も墨ねーと同じで良くても悪くても問題はないよ。
だって占いは歩く道を示すキッカケとかなんとか…友達が言ってたし♪



 アエテルニタス島の深海域、バナナバナナ森林区――。
 此處は陽の光も届かぬ海底都市ながら、海底樹林に繞(たわわ)と実った果実が明々と虹色を輝かせており、宛ら遊色効果を示すオパールの如き幻想の景を広げている。
 これだけ明るいなら光源は不要かと、我が影を幾条にも分ける燦然の森に踏み入るは、浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)。
 蘇芳色の麗瞳は玲瓏と瞬く光の粒を映しながら周囲を見渡して、
「……前回、訪れた……珊瑚の墓地とは……また、様相の異なる区域ですね……」
「この森に『王笏』が隠したっていうメガリスがあるのかな?」
 佳人の隣、光の蕩揺を眺むロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)も、空色の佳瞳にキラキラと精彩を湛えながら言を足す。
 二人、迷わぬよう影を結んで森の中を歩けば、不圖(ふと)、大きく膨れたリュックを背負うクラゲの少女が視界に映ろう。
「……あ……アゲル、さん……」
「!! スミ、来てくれたんだネ! またキミに逢えて嬉しいヨ!」
 ぺこぺこと赤ベコのようにお辞儀する墨の先、ブンブンと手を振る深海人アゲル。
 ロベルタが瞳をぱちくりとさせていると、彼女は背の荷物を示しながら説明を足して、
「ボクはメガリス研究家のアゲル。スミはボクの命のオンジンでユージンなんだヨ!」
「……友人……えと……私で、よければ……」
 墨は秘宝探索の手助けをしてくれた友達で、海獣から守ってくれたヒーロー。
 とても尊敬しているのだと言う少女に驚きつつも言を受け取った墨は、今度はロベルタにアゲルを紹介する事にした。
「あ。紹介します……こちらは、ロベルタさん……私の相棒のような子……です……」
「深海人さんに会うのはこれで二回目だねぃ~。よろしくねぃー!」
 元気いっぱい、笑顔も満開に頬笑むロベルタ。
 心の壁を感じさせぬ彼女にはアゲルも直ぐに打ち解けて、道行きを同じくした三人は、ピカピカと光れるフルーツの森を暫し散策する事にした。
 まだ色の定まらぬ果実達は、己を採ってくれとばかり輝こう。
 近付くほど強まる光に惹き付けられたロベルタは、ほつりと呟いて、
「この果物って、採った人によって色が変わるんだ?」
「そうだヨ! 深海人は食べる前にこの色で占いをするんだ」
「……捥ぐ人物で……色が変わる、果物……ですか。確かに……不思議ですね……」
 これを聽いた墨も興味を惹かれたか、雪白の繊指はスッと果実へ……少うし背伸びして触れたひとつを捥ぎ、己の掌に包み込む。
「……何色、に……なるんでしょう……?」
 そっと胸元に寄せれば、真珠のように輝く粒を集めた葡萄は柔らかな緑色へ。
 マスカットのような瑞々しい翡翠色は、優しく、穩やかで――見詰めるほど先を見通す直観力と集中力を高めてくれるよう。
「触れるものに敏感なブドウは、繊細で傷付きやすいところもあるけど、時を経るごとに宝石のような粒を集めて熟成する……大器晩成型なんだヨ!」
 己が伝え聽く言葉を告ぐアゲルを隣に、翠緑の精彩を見守る墨。
 なんとも不思議な色の變化を見たロベルタは、悪戯に繊指を寄せて、
「墨ねーの美味しそう……ひとつ摘んでもいい?」
「……あ、あの……因みに……ロベルタさんは……どんな色に、なるでしょうか……」
 蓋し墨も上手なもの。
 ロベルタの好奇心を巧みに光の森へと移した佳人は、元気いっぱいに伸びる繊手の先、まだ光を移ろわせる林檎型の果実に星眸(まなざし)を結んだ。
「僕の色はどんなだろー? 楽しみだじょ~」
 肘をピンと伸ばし、爪先立ちするも、あと少し高さが足りない。
 然ればアゲルは手近な所にあった収穫用脚立を持ち出し、足場を用意する。
 そうして何とか七色の林檎を捥いだロベルタは、己の手に収まるやフレッシュな檸檬色へと變わる果実に、瞳を皿の樣に円くした。
「う! レモン色のリンゴって不思議……!」
「いつも前向きに、どんなピンチもパワーで乗り切る元気なレモンは、希望やチャレンジ精神に溢れながらも、実はとってもリアリストなんだって!」
 強烈な個性を放つ一方、どんな色とも親和性のあるイエロー。
 誰かと組む事で抜群の力を発揮するだろうとアゲルが説明すれば、ふむふむ頷きながら聽いていたロベルタは、斯く云う間にアゲルの掌に収まったマンゴーが、鈍色に落ち着くのに目を留める。
 最も驚いたのはアゲルだろう。
「! これ、旅先での注意を促す色だヨ……メガリス、見つからないのかな……」
 一際光量の多い日を選んで来た心算(つもり)だったが、計画を間違えたろうかと少女が戸惑えば、墨とロベルタはゆるく首を振って答えた。
「……結果が良くても、悪くても……問題は、ありません……。悪ければ、気を付ければいいですし……良ければ、より精進すれば……良いのですから……」
「…………ホント?」
「う! だって占いは歩く道を示すキッカケとかなんとか……って友達が言ってたし♪」
 占いに預言的な必然性は無し。
 より良い未来を歩む爲の導(しるべ)なのだと二人が言えば、その穩やかな佳聲に不安を取り除いたアゲルは、再び希望を灯りに、メガリス探索に出掛けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シェフィーネス・ダイアクロイト
アドリブ歓迎
水着は今年の水着

メガリス目当てで来てみたが
…純粋な力の増幅か
使い勝手が良い代物なだけに猶更、誰の手にも渡せんな
メガリスは私が戴く(最後に笑うのは私

事前準備は抜かり無く
海中都市の建物位置などメガリスの眼鏡で視認
アゲルに会いに森林区へ行き自己紹介
演技は得意

ほう、メガリスの研究を
興味深いな
今までどのようなメガリスに触れてきたのかお聞かせ願いたい

アゲルの得意分野の話題に持っていく
友好深める
この島以外のメガリスの情報も詳しく聞く
頃合い見て用心深くフルーツ選ぶ
実の形や色お任せ

(毒は、無さそうだな
たかが占い
気休めだ
恵む力については役に立ちそうだ)

相性占いも、と
生憎と私にそのような人はいないので



 繞(たわわ)に実った光の果実をひとつひとつ丁寧に見て回る深海人アゲル。
 硝子の如く透いた手が別なるひとつに伸びた、その時、冷艶なるカヴァリエ・バリトンが木立を抜けて届いた。
「探し物かな」
 占いを楽しむ手容(てつき)では無いと、眼鏡越しに注がれる怜悧な星眸。
 見れば銀髪の麗人、シェフィーネス・ダイアクロイト(孤高のアイオライト・f26369)が瑠璃色のピアスに玲瓏を彈きつつ、光の樹林を眩しそうに眺めながら歩き來た。
 海色の佳瞳に笑顔を結んだアゲルは、ほつりと零れた科白に得意げに答える。
「そうだヨ、ボクはメガリス研究家のアゲル! ここに秘宝があるって調べたんだ」
「ほう、メガリスの研究を……興味深いな」
 實の處、シェフィーネスの目当てもメガリスだ。
 聽けば、純粋に力を増幅させるメガリスにて、使い勝手は良かろうと所感を押し込めた彼は、それだけの代物なら猶更、誰の手にも渡せないと眼光を鋭利くする。
 蓋し佳脣より滑る科白は穩やかに会話を愉しんで、
「折角だ。今までどのようなメガリスに触れてきたのかお聞かせ願いたい」
「いいヨ! ボク、まだ一個しか手に入れてないんだけど、これが面白いんだー」
 自称「研究家」を名乗る少女の矜持から饒舌を引き出し、友好を深める。
 この島と、島周辺に伝わるメガリスの情報も、可能な限り詳細に聽き拾う。
 全ては己がメガリスを戴く爲にて、事前にバナナバナナ森林区の地形や、海底都市群の配置も『glasscope』で把握すれば、地の利を譲ることはあるまいと狡黠は冱えよう。
「……それで、二つ目のメガリスがこの森にあると」
 話の繋ぐべく指先は手近な光の果実へ、まだ色の定まらぬライムを捥ぐと、掌の上で二・三度、ポンポンと投げる裡、瑞々しく輝く緑が爽やかな馨を広げた。
(「……毒は、無さそうだな」)
 スッと通った鼻梁を寄せて香気を嗅ぐ麗人の隣、アゲルは原住民に伝わる言を添える。
「シャープに香れるライムは、際立った決断力と、冒険を恐れない心をくれるヨ!」
 其は気高さ故に、進む道や目標も高きを求める者の色。
 かの者には、戰いや爭いも厭わぬ毅然とした態度と胆力を與えん、と――。
 所詮は占いにて、示される導(しるべ)もたかが知れていようが、成程、濃い黄緑色を見るだに感覚が研ぎ澄まされていくような――気休めにも恵みを得た心地になる。
 先住民の知恵も少しは役に立つかと、宝石の樣に輝く果実を掌に包めば、傍らのアゲルは輕やかに聲を添えて、
「同じライムでも、紫色に輝かせる事が出来る人と相性が良いみたいだヨ?」
「……生憎と私にそのような人はいないので」
 友も家族も絆も不要。
 如何な事があろうとも、最後にメガリスを手に笑うのは私だと佳脣を引き結んだ男は、同じく秘宝を狙っているであろう海獣の到来を待つのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルス』

POW   :    海喰覇龍ド・ラ・ケートゥス
【驚異的な吸引力で周囲のものを吸い込み】【隕石をも喰らう牙で噛み砕く。捕食物を】【吸収し必要な物質に原子レベルで変換する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    狂濤雷葬ラ・ト・ヴァジュラ
【全身】から【半径300mに放射雷撃とそれに伴う電熱】を放ち、【遠距離の敵にはプラズマレーザーを放つ事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    冥海災渦デ・ジ・カリュブディス
【電撃と海流を乱し生み出す渦による巨大雷渦】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に残り、雷渦から電気を吸収し自身を強化】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:井渡

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「! あった、あったヨ! これがボクの探していたお宝!!」
 玲瓏と輝く光の森に、金絲雀の聲が踊る。
 繞(たわわ)に実る虹色のフルーツ群から、遂にマメ型の果実「ポーポー」に擬態したメガリスを発見したアゲルは、硝子の如く透いた手を伸ばし、そっと捥いだ。
 手に伝わる果実でない重みが、秘宝であると教えてくれよう。
「すごい……現地に伝わる噂の通りだったヨ……!」
 其は願いに應じて色を變化させ、望み通りの力を呉れる『王笏』のメガリス。
 手に持つ者が死を望めば泯滅(ほろび)を、生を望めば救済(すくい)を齎す、正しく呪われし秘宝だ。
 色を移ろわせる性質から、万彩を揺らす果樹園に隠されていたようだが、このメガリスの存在を知っていたのは、アゲルだけでは無い。
『メガリスを寄越せ! 王笏が秘めし秘宝を以て、我は今こそ深海の王となるッ!!』
「――ッ!?」
 カルロス・グリードの嘗ての知己、狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルス。
 凍えるほど冷たい深層流を連れてバナナバナナ森林区へと侵略した巨獣は、メガリスを見つけたばかりのアゲル目掛けて、大きな顎を迫り出すのだった。
佐那・千之助(サポート)
「手が要るか?」
入り用ならば、なんなりと。

ダークセイヴァー出身のダンピール
困った人を放っておけない
いつも人への敬意と好意を以て接する
よく言えばお人好し。たまに騙されていることは秘密。
可愛い動物や甘いものに懐柔されやすい

戦闘は前衛、盾役向き。治療も可能。
焔(他の属性は使えない)を黒剣に宿し斬り込んだり、遠くの敵でも焔を飛ばして燃やしたり。
負傷は吸血や生命力吸収で持ち堪える

平和主義なので戦わずに済む敵なら平和的解決
かわいい敵は抱いてもふりたい
想い人がいるので色仕掛けは効かない

物語に合わせて諸々お気軽に、どうぞご自由に。
よき手助けができれば嬉しいです。


ギャレット・ディマージオ(サポート)
●設定等
ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士です。
オブリビオンに滅ぼされた都市で自分だけが生き残った過去を悔い、人々を守ることを重視して行動します。

●戦闘において
「及ばずながら、手助けさせて貰おう」
「貴様の相手は、この私だ!」
「なんと強力なユーベルコードだ……! (解説) 直撃すれば一たまりも無いぞ!」

・牽制攻撃
・敵の攻撃から他の猟兵や一般人を守る
・敵の攻撃を回避してカウンター
・ついでに敵の強さを解説する
など、防御的・補助的な行動を得意とします。

メイン武器は「黒剣」です。

他は全てお任せします。
別の猟兵との交流や連携等も自由に行ってください。
どうぞよろしくお願いします。


寺内・美月(サポート)
アドリブ・連携歓迎
※エロ・グロ・ナンセンスの依頼はご遠慮願います。
・依頼された地域に亡霊司令官(顔アイコンの人物)と隷下部隊、美月の親衛隊から選抜亡霊歩兵を派遣。美月がグリモアベースから到着するまで(サポート参加では現地にいない状態)、現地での活動に必要な権限を付与
・隷下部隊として一個軍団(歩兵・戦車・砲兵・高射・航空・空挺のいずれか)に、出動しない軍団から一個師団程を増強し派遣
・ボスが召喚した敵に対して攻撃し、砲兵・高射・航空部隊の火力、戦車・空挺部隊の機動力、歩兵部隊の柔軟性を生かした戦闘を行う
・ボスが何も召喚しなければ、五人の選抜最精鋭亡霊歩兵を送り込み、5対1でボスと対峙する


七星・桜華(サポート)
『天魔流免許皆伝、更なる高みへと!』
『一か八かの勝負?必要無いね!私達の勝ちだね!』
『後は派手に騒ぐんだ!誰も倒れないようにね!』
とある隠れ里に伝わる『天魔流』の免許皆伝で派生流派も含めても免許皆伝は一人
残像を攻防の両方に使い、腰に挿している6振りの刀と扇子を使い戦闘する。
闘う姿は舞っているかの如く空中戦もできる。
第六感や野生の勘と言う直感も鋭く見切るまでも早い。
先手後手問わず。
殺気や覇気が残像にまで残る程濃密。
常に最善を最短で気づき勝ってきた。
防御を無視した内部破壊を息をするかの様に行う。
柔剛の技を扱い両立させる。
消耗の回復に生命力を吸収する。
優れた第六感で賭け事も強い。
意外と家事も万能。


フィオリナ・ソルレスティア(サポート)
◆性格
普段から冷静沈着で人当たりが良く優しいお姉さん。
実は猫と弟を溺愛する困ったさん。隠しているつもりが割とダダ洩れ
口調は「私~だわ」「私~かしら」『下の名前+さん付け』
胸にトラウマがあるため巨乳の敵には容赦しない。絶対に。

◆戦闘
オートフォーカスで敵をロックオンし、遠距離からの魔法系UCで戦う。
アイギスの盾で相手のUCを相殺したり、敵の弱点に応じた属性攻撃等を
得意とする。フィニッシュはバベルの光が多い。
TPOに応じて愛用の宇宙バイクで戦うことも。意外と乗りこなす。

◆非戦闘
動物と話す等、情報収集を中心にしつつも、ハッキングやシステム破壊等
荒業で対応することも



『メガリスを寄越せ! 王笏が秘めし秘宝を以て、我は今こそ深海の王となるッ!!』
 寒冷極まる深層流を連れて攻め寄るは、狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルス。
 戰艦の如き巨躯が一たび森林区に踏み入ったなら、万彩を広げる樹林が忽ち蹂躙されるところ、支援に應じた猟兵らが其を阻止すべく邀撃に出る。

「海中では向こうに分があるか。……随分と活きの佳い」
 警急にも泰然を崩さぬ、優艶のハイ・バリトン。
 佳聲の主たる佐那・千之助(火輪・f00454)は、美し二藍の双眸に邪影を捉えるや、瞬刻、漆黑の一振りを構え、その刀身に熾々と緋炎を蹴立てた。
 眩き赫耀に白皙を輝かせた麗人は、轟と吼ゆる炎に涼やかに命じよう。
「炎の華よ、闇にこそ――光閉ざされた海の底にこそ咲き優れ」
 鴇色の佳脣が紡ぎしは【千華乱墜】――鋭い螺旋を描きながら突き進んだ炎の渦動は、凶龍の吻に触れるや巨躯を焦熱に包み、邪の生命力を鹵掠(うば)わんとする。
 深層流と混ぜ合った赫炎は、堅牢な龍鱗に容赦なく嚙み付こう。
『……ぐッ……な、にを……ッ!』
「灼ける痛み、冷たい深海には無かろう」
 彼は焔以外の属性は操れぬが、然し焔こそ深海の王には染みるに違いない。
 而して明らかに推進力を半減させた邪影を見た麗人は、後衛に控える仲間らに肩越しに流眄を注ぐと、麗し微咲(えみ)を湛えた口角をそっと持ち上げた。
「――さぁ、狩りをしよう」

『この力、この痛みッ……猟兵か! 羅針盤戰爭の成り上がりめ!!』
 巨躯を一回轉して焔を払った凶龍が、肌膚の灼ける痛みに怒りながら大口を開ける。
 強靭な顎に巡らされた猛牙が剝き出た、正に刹那、光溢れる森が撫で付けられたように幹を傾けた。

「あれが、海喰覇龍ド・ラ・ケートゥス……なんと強力な吸引力だ! あの大きな咥内に引き寄せられれば、一たまりも無いぞ!」
 周囲に警戒を促すは、ギャレット・ディマージオ(人間の黒騎士・f02429)。
 繞(たわわ)に実った虹色の果実が、次々にもぎ取られては口に吸い込まれていくのを見た黑騎士は、深海人のアゲルなどは獲得したメガリスごと呑み込まれてしまうだろうと佳脣を引き結ぶと、爪先を前へ、盾の如く踏み出る。
「及ばずながら、手助けさせて貰おう。我が過去に報いる爲に」
 常闇の世界、遺失われた都市で唯一生き残った過去を持つギャレットである。
 いま在る命と、人々を育む都市を守りたいと凛然を萌した騎士は、意志を強くするほど心靜かに、漆黑に塗り込められた黑劍を構えた。
「深海の処刑人よ! 貴様の相手は、この私だ!」
『誰でも構わぬ! 全て吸い込み、我が牙に嚙み砕くのみぞ!!』
 大口を開けて吶喊する海獣をギリギリまで引き付け、潮頭を利用して身躱す。
 擦れ違いざま、手に握る黑劍は【黒刃鞭】(ブラック・ブレイド・ウィップ)――鞭剣形態に変形し、長く伸びた鋭刃を巨躯の側面へ斬り付けたッ!

『ゲェァァアアアッッ!! 空気の泡なくては息も出来ぬ者共が小賢しいッ!!』
 グンッと仰け反って痛撃に耐える猟書家、アトラティヌス・モササウルス。
 脇腹に疾る痛痒を怒りへと變じた凶龍は、尾鰭を叩いて電撃を放射すると、半径300m圏内に存在する敵全ての動きを封じんとした。

 時に、海獣の痛罵を聽き拾う影ひとつ。
 玲瓏と輝ける樹林の間に降り立った寺内・美月(霊軍統べし黒衣の帥・f02790)は、海底より絶え間なく湧き出でる空気の泡を冷然と眺めつつ、端整の脣を薄く開いた。
「慥かに海中では空気泡に頼るしかないが、息をするだけが精々とは思わない方がいい」
 年齢より幾許も落ち着いた声色と口跡。
 そして何より、一縷と動揺を見せぬ漆黑の麗瞳に邪影を映した美月は、間隙無き連撃に創痍と損耗を負った海獣の現在の機動力と泳力を見極めると、白磁の繊指をスッと前に、予測される「着彈点」を示した。
 透徹(すきとお)るテノールは凛乎と命じよう。
「前方に火力集中、敵の行動を封じ込め」
 發令、【完全管制制圧射撃】――ッ!
 云うや美月の背後に召喚された計104基の軽・重火器、火砲が、其々の射程に相應しい距離へと配置され、間もなく閃光火花を噴く。
「空気があれば火が使える」
 不断の一斉射撃に逃げ場は無し。
 凶龍は顔面から背骨にかけて無数の火彈を浴びると、生々しい叫喚を以て美月の鼓膜を震わせるのだった。

『ッッ、ぜッァアア嗚呼嗚呼ッ!!』
 龍の楯鱗に猛撃を受け、急旋回して後退する凶龍。
 樹林の頂を掠めるように泳いだ巨影は、嚇怒を露わに尾鰭を叩き付けると、我が電撃と深層流を掻き亂し、巨大な雷渦で周囲を覆い尽くした。

『我は深海の王ぞ! 猟兵風情に覇道を阻まれてなるものかァッ!』
 凶龍が怒り狂って大喝するが、敵が昂ぶるほど七星・桜華(深紅の天魔流免許皆伝・f00653)は怜悧に冷靜に、端整の脣より艶帯びたコントラルトを滑らせる。
 赫緋の麗瞳に首魁の後退を捉えた凄艶は、飄然と語尾を持ち上げて、
「そのまま逃げた方が良かったんじゃないかい?」
 と、失策を示すかのように微咲(えみ)を零すや、拇指球を強く踏み込んだ。
 グッと大地を摑んだ麗躯が、凄まじい闘氣を迸發(ほとばし)らせたのはこの時の事。
 桜華は戰意に應じて『戦神闘武紋』を励起させると、緋瞳を熾えるように赫く、朱く、練り上げた闘氣を両手に集めて形を成した。
「逃げないと――貫かれるよ?」
 音吐は變わらず艶々と。
 而して麗顔を照らす閃爍(かがやき)は烱々と、鋭い槍となり、【天魔投擲術・散】――合計510本の切先が一氣に巨大雷渦へと飛び込んだッ!
『な、ん……だと……ッ!』
 闘氣の槍は雷電も龍鱗も等しく屠ろう。
 轟然と飛び込んだ鋭鋩に雷渦を掻き消された凶龍は、間隙を許さず迫る第二の槍撃に、真紅の血を繁噴かせるのだった。

「ひぁぁああっ……すごい戰いだヨ……ッ!」
 凶龍に襲われるのも二度目なら、猟兵に守られるのも二度目なアゲルは、此度も熾烈な戰闘に驚かされっ放しだ。
 雑木林の蔭に身を隠した若き冒険家が、手に入れたメガリスを抱えて状況を見守る中、彼女を守らんと射線に立つ猟兵も、凶龍の侵略を禦ぐべく奮戰している。

 フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)もその内の一人。
 虹色に輝く果実が猛風に搖すられる中、真赭の艶髪に光を彈いた佳人は、ガーネットのように熾える麗瞳を烱々と、美し虹彩に邪影の細かな挙措を捉えた。
(「……あの目……まだメガリスを諦めていませんよね……!」)
 研ぎ澄まされた双眸には、かの邪の瞋恚も焦燥も映ろう。
 彼女は未だ野心の失せぬ邪眼を見るや、嚇怒の儘に放たれる巨大雷渦の潮先に正対し、目下、繊手に握れる『銀翼杖セラファイト』を翳した。
「今更そんな攻撃、当たらないわよ。防げ、アイギスの盾よ!」
 佳聲に命じられて展開するは、【アイギスの盾】(エスクード・デ・エイギス)――!
 術者フィオリナの麗姿を輝かせた燦然は、彼女の前に集められて堅牢の盾と成り、須臾に飛び込む電撃と海流の奔流を相殺した!
「冥海災渦デ・ジ・カリュブディス……幾度か見れば充分に合せられます」
『な、に……を……ッ!!』
 轟然と渦巻く衝撃の後に、緋髪を逆巻いた麗人が現れる。
 其處より覗く瞳は煌々と、決して猟書家の跋扈を許さぬという意志に輝いていた――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

神楽坂・神楽
我は今こそ深海の王となる、か。
なるほど、自らがまだ王たる力を持ち合わせていないことは認識しておるわけだ。
己が力量を客観視できるのは良いことじゃな。

だが、残念ながら敵の力を見極める目は持ち合わせておらぬようだ。
わしら猟兵の力、しかとその身で味わうがよいぞ。

UCを用いて敵の頭上に瞬間転移。《氣》を纏わせた拳や蹴りでまずは片目を潰してやろう。
周りのものを喰らい回復されてはかなわぬ。自らの時間の流れを加速し、敵が遠近感を掴めぬうちに倒させてもらおうぞ。

それほどの巨体となるのにどれだけのものを喰らってきたのか知らぬが、此度はおぬしの番と知るが良い。
わしの《刻印》で一片も残さず喰らってやろう。



『ッッ、羅針盤戰爭の成り上がり共めッ! この深海で誰に刃を向けているッ!!』
 雷渦の奔流を相殺され、忌々しげに大喝するアトラティヌス・モササウルス。
 凶龍が荒れ狂う程に周囲の空気泡が波打ち、一帯の樹林がザッと搖れて光を散らすが、その赫耀に花顔を照らしながら現れた神楽坂・神楽(武術指導員・f21330)は、劍呑を前にしても飄然を崩さず。
「ほう、“我は今こそ深海の王となる”……か」
 先に凶龍が豪語した科白を繰り返した佳脣は、美し口角に微咲(えみ)すら湛えると、瑞々しき容華(すがた)とは裏腹に、古風なコントラルトを滑らせた。
「なるほど、自らがまだ王たる力を持ち合わせていないことは認識しておるわけだ」
『何を……ッ!』
「ふむ、己が力量を客観視できるのは良いことじゃな」
『ッッ! 空気泡なくては息も儘ならぬ人間風情が、随分と生意気な口を利く……!!』
 矜持を傷付けられた巨邪が心火を燃やすが構わない。
 忌々しき言葉ごと彼女を飲み込まんと凶龍が大口を開ければ、凄まじい吸引力に周囲の木が次々と幹を傾けるが、佳人は搖れる前髪の奥、蘇芳色の麗瞳に烱々と光を湛えると、吃ッと睨めて云った。
「凡そ己の器を知らぬ者が多い中、身の程を知るなら殊勝……だが、惜しき哉、敵の力を見極める目は持ち合わせておらぬようだ」
『……それは、どういう……ッ』
 万物を吸い込む強顎ならば、音として届く神楽の佳聲がよく聽こえよう。
 轟然たる嵐の中で凛冽を増す佳人に凶眼を剝いた凶龍は、然し次の瞬間、彼女の科白が真上より振り落つ脅威に時間を止めた。
「わしら猟兵の力、聢とその身で味わうがよいぞ」
『……ッッ……!!』
 我が身に纏える十層の『氣』を操り、【時空操作】――敵の頭上に転移する。
 すかさず振り下ろした拳は、戰槌の如く巨眼を突くや鮮血を噴かせ、鮮やかな赤の血糊を漾わせると、片方の視界を完全に奪った。
「周りのものを喰らい回復されてはかなわぬ。遠近感が戻らぬうち、手早くいくぞ」
『ゲェァァアア嗚呼嗚呼アアア!!!』
 鼓膜を突き破らんばかり悲鳴が空気泡を震わせる中、神楽は更に時の流れを加速させ、今度は蹴撃――ッ! 大鎌の如き衝撃波に巨躯を折り曲げるッ!!
 彼女は禍々しき絶叫を間近に、両手に具せる『刻印』を赫々と励起させ、
「それほどの巨体となるのにどれだけのものを喰らってきたのか知らぬが、此度はおぬしの番と知るが良い」
 一片も残さず喰ろうて遣る――と。
 凄絶なる連撃が骨肉を屠った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シェフィーネス・ダイアクロイト
アドリブ◎
絡み×

(紫色…)心に留めて

今だけは貴様に其のメガリスを預けておく
死守しておけ

後で奪いに行くのは秘めて
アゲルの護衛も兼ねる
アゲルへ攻撃繰り出す敵の顎へ二丁拳銃で弾幕の様に制圧射撃
敵の意識を自分へ向ける
連撃し蜂の巣に

…そう容易くは堕ちんか
あのメガリスは貴様如きに扱える代物だとは思えんな

ライム効果(際立った決断力、冒険を恐れぬ心)使用
敵と一定の距離保つ
周囲の森林の障害物を利用しUC使用
射線上に標的を誘いこみ的確に傷口抉る
自分のオウガの蒼炎で作った呪殺弾で仕上げ

実を食さずとも何時も通りの私ならば此の程度、何ら障害に値しない
故に貴様の勝利は無い
The end.

貴様がもし願うなら、此れに何を望む



(「ふひゃぁぁあ……この風、この海流……とっとっ飛ばされそうだヨ……ッ」)
 脣を眞一文字に引き結び、木の幹に慥乎(しっか)と摑まって死闘を見守るアゲル。
 一度ならず二度までも凶龍に狙われた不運な少女は、然しそれ以上に幸運であったか、既に脅威に對抗し得る猟兵と邂逅(であ)っていた。
「今だけは貴様に其のメガリスを預けておく。決して彼奴に渡して呉れるなよ」
 死守しておけ、と肩越しに注がれる冷艶の聲。
 眼鏡の端から射られる菫青の瞳の鋭さに、少女は漸っと彼の正体を識ろう。
「あっあっ! あなたって……もしかして……!」
 幾度と手配書で見た、懸賞金18,900Gの大海賊。
 彼の男こそ、シェフィーネス・ダイアクロイト(孤高のアイオライト・f26369)――!
 演技をしていたから分からなかったが、アゲルの前に盾と踏み出た彼は、首魁を映すや怜悧に、犀利に、古風な小銃と冱銀の海賊銃の筒先を揃え、間もなく銃爪を引いた。
 忽ち爆ぜる閃光と銃聲が敵の目を惹き付けよう、
「魚と同じだ。光と音につられる」
『“深海の処刑人”を魚と貶めるかッ! メガリスも彈丸も、全て呑み込んでやる!!』
「あのメガリスか。王笏の使い古しとはいえ、貴様如きに扱える代物とは思えんな」
『なっ、に……をぉ……ッ!』
 冷然と敵の矜持を煽りつつ、牽制を敷いて距離を一定に保つ。
 事前に地形を調べていた彼なれば、周囲の樹木をこれ幸いと障害物に利用して、射線上に標的を誘い込み、最も精確に射撃できる間合いへと引き込んでいく。
 この時、眼路の端に過る光の果実が、先に手にした果実を思い出させよう。
(「……際立った決断力、冒険を恐れぬ心か。利用させて貰おう」)
 巨邪が怒れるほど己は冷靜沈着と、心眼は明鏡の如く。
 慥か少女は相性が良い人も語ったと、彼女が告げた色を心に留めたシェフィーネスは、極限まで高めた集中力で底上げした視力に標的を捉え、時間を穿つように銃を彈いた。
「容易くは堕ちん手合い――だが、如何せん口数が多い」
『痛ッッ! ……それは、如何云う……』
 雉も鳴かずば撃たれまいと、佳脣は囁(つつや)いたか。
 鋭く咆哮して龍鱗に沈んだ銃彈は、忽ち傷口から刺を生して【金葩の禍】(ロジック・クラック)――凶龍がこれまで話した言葉や叫喚に應じた激痛を染ませた――!
『くッ、おぉお雄雄ッッ……!』
 巨邪も万物を吸引して自己防衛を図るが、果して浸蝕する痛みと何方が勝ろう。
「……劣勢に追い遣られた貴様が、回復に回る事など想定済みだ。実を食さずとも何時も通りの私ならば此の程度、何ら障害に値しない。故に貴様の勝利は無い」
 The end. ――と滑る科白は、深海の潮流より冷たかろう。
 時に麗人は「もし願うなら」と望みを訊くべく視線を投げたが、其は歪に引き絞られた絶叫に押し流されるほどであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)。
今度は凍り付かせてみようと考えます。ロベルタさんと連携します。
リミッター解除後に限界突破した属性攻撃の【雪駆】を使用ですね。

今回は相手が向かってくるのを待ち迎え撃とうと思います。
私はただ水に浮かぶ木の葉のように『国綱』を握りじっとするのみ。
相手の動きや攻撃は見切りと野生の勘や第六感で対処しましょう。
大怪我を防止するために身体にオーラ防御は纏っておきます。
狙う部位は特に決めません。状況に応じて斬ろうと考えます。

ただアゲルさんの身に危険が及びそうな場合のみ私から攻めます。
彼女に傷は負わせません!


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)。

墨ねーがじっと待つなら僕はそのサポートだじぇ!
何時ものよーにパフォーマンスあげてから封印をとく。
次に限界突破して【雷神の大槌】発動するよ。
アゲルさんの方へ行かないように注意しながら墨ねーのサポを。



 畢竟。
 二度も猟書家に襲われる事となったアゲルは不運であったか――否。
 其は謂わば「冒険者の宿命」、少女がメガリスを追い求める限り、かの秘宝が持つ呪いや因縁に巻き込まれるだろうと、貪欲なる海を渡る者には知れたこと。
 そして、アゲルは幾許にも幸運であったろう。
 多くの冒険者が異形の猛牙に屠られてしまう處、彼女は二度も、かの脅威を排撃し得る猟兵に邂逅(であ)っていたのである。

 一人は、浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)。
 今夏の始め、深海より來る猟書家『狂濤凶龍アトラティヌス・モササウルス』を同島で撃破している彼女は、骸の海で嘗ての記憶を浄われた凶龍に對し、その機動性と殲滅力を聢と覚えており、この点に於いて戰の利を得ていた。
 劍呑が迫る中、佳人は靜かに櫻脣を開いて、
「……今度は……凍り付かせて……みよう、と……思います……」
 先の戰いでは紫電の一閃にて「舵」を奪った。
 此度は別なる弱点を攻めようと、白磁の繊手が向かうは、二尺二寸九分の大刀『粟田口国綱』――かの一振りなら、邪の楯鱗の固さや厚みある肉の斬れ味も憶えていよう。
 刀に触れるや闘志を萌した佳人は、切り揃えの前髪の奥から凛然の瞳を注ぎ、
「……ロベルタさん。……合わせて……頂けますか……」
「う! もっちろん! 墨ねーのサポは任せて!」
 莞爾と咲む少女こそ、危機を切り開くもう一人。
 ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)は元気よく頷いてポニーテールを搖らすと、何時もの樣にパフォーマンスを上げるべく、編み上げ靴の爪先をトントン、花緑青のリボンを躍らせた。
 彼女は凶龍との交戰は初めてだが、理不尽に異世界へと投げ出され、凄惨なデスゲームを踏破してきた少女に恐怖は無し。寧ろ生き生きとしていよう。
「墨ねーの雷も強烈だけど、僕のもすごいもんねー♪」
 漸う輕快に、埒外の異能を解放し始めるロベルタ。
 頼もしい相棒を傍らにした墨も愈々義氣凛然、月白のオーラを纏って防禦を高めると、ロベルタの青藍の麗瞳と視線を揃えて、前に――怒り猛る凶龍を見据えた。
「……私は、ただ……水に浮かぶ、木の葉のように……此處で待ち構えます……」
「りょーかい! それじゃ僕は、敵を墨ねーのところに案内するよ」
 水に浮かぶ木の葉は、己を搖らす波紋を待つ。
 その波紋を起こしてみせようと、青瞳に煌々と光を湛えたロベルタは、タンッと爪先を蹴るや躍進ッ! 銀糸の髪に艶を彈きながら、凶龍の眼路に躍り出た。
『ッッ!?』
「モサさんが、アゲルさんの方へ行かないように……僕が引き付ける!」
 赫耀を閃くは、【雷神の大槌】(ミョルニル・ハンマァー)――ッ!
 轟ッと海底を震わせたのは、本来は天に咆哮する雷鳴にて、一瞬、深海域を真昼の如く白ませたロベルタは、瞬きの裡に敵懐へ踏み込み、凶龍の腹部に雷撃を叩き付けたッ!!
「いっくじょー♪」
『ッッ、ずぁぁアア嗚呼嗚呼――ッ!!』
 軌道上500m、灼光の一条が龍鱗を裂いて痛撃を疾らせる。
 凶龍も巨大雷渦を放って痛撃を払いたいが、これほど間近に肉薄されれば其も敵わず、大きく開いた目玉をブルブル痙攣させるのみ。
「うん、こうかはばつぐんだじょ♪」
『……この……ッ、猟兵が……ッ!!』
 而して邪の視界に留まったのが少女の策戰。
 大きな尾鰭に海流を叩いて猛進した凶龍は、ロベルタを喰い殺さんと大口を開けるが、激痛を嚇怒に變えた邪は、墨の間合いに入ったとは気付かない。
 研ぎ澄まされた「勘」と「感」で推進速度と侵入角を見極めた墨は、輕やかに後退するロベルタと入れ違いに鼻緒を踏み込み、鯉口を切った。
 後は宜しくと花が咲えば、次いで馨れる花も「應」と頷こう。
「……野望も……嚇怒も……何もかも、凍てつけ……」
 冱々と閃めくは、【雪駆】(ユバシリ)――!
 凶龍が連れる深海流より凍てる冷気を纏った一刃が、ひやうと刃鳴するや大きく開いた口を捉え、凶顎から尾鰭まで一気に衝撃を疾走させる。
 肉体を傷付けぬ斬撃ゆえ、凶龍も当初は何が起きたか判然らなかったろう。
「……メガリスを、手に入れる爲に……アゲルさんを、傷付けさせは……しません!」
『貴様……ッ! ……な、にを……ッッ!』
 絶叫を絞らず、今際も知れず。
 刹那を殺す居合斬りに、邪悪な魂を別たれた巨躯は、ロベルタを追う裡に意識を失い、長大な躯を傾けて光輝く森林へ、倒れ込む瞬間に漆黒の狭霧と變じ――霧散した。
 ぶわ、と巻き起こる風に枝葉を搖らした樹林が、虹色の果実を晃々と煌めかせる。
 横溢れる光に白皙を輝かせた墨とロベルタは、ふぅ、と息を置いて視線を合わせると、交睫ひとつした後、樹林の翳蔭(かげ)に身を隠していたアゲルの元へ向かった。

「ありがとう、スミ! ロベルタ! ボク、死ぬかと思ったけど助かったヨ!!」
 邪の巨影が去り、二人の姿が見えた處で安堵の色を示したアゲルは、硝子のように透徹った手をフリフリ、すっかり安心して話し出す。
 猟書家の脅威を二度に渡って見たアゲルは、決意したように口を開いて、
「あのね、ボク、やっぱりメガリス研究家を続けようと思うんだヨ」
 故郷のアエテルニタス島を出て、秘宝探索の冒険に繰り出る――。
 貪欲の海、船に寄せる波濤は時に悪魔となり、数々の猛威が襲い掛かろうが、それでも旅に出ようというのは、如何な困難にも立ち向かう猟兵に「勇気」を貰ったからだ。
 而してアゲルは晴れやかに咲って、
「それにピンチの時には、つよーいお友達が助けてくれるって信じてるしネ!」
 と、二人に飛び切りの笑顔を注ぐのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月21日


挿絵イラスト