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ロール・プレイング・ウォー!

#キマイラフューチャー #猟書家の侵攻 #猟書家 #ミズ・ルチレイテッド #バーチャルキャラクター

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#ミズ・ルチレイテッド
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#バーチャルキャラクター


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●来襲の宇宙船団
 骸の海に浮かぶ三十六の世界のうちの一つ、キマイラフューチャー。
 猟兵たちの活躍によりオブリビオン・フォーミュラが討たれたこの地では、急激に減少していったオブリビオンの発生率も合わさって、皆が平和を謳歌していた。
「キャー、エイ様ー、こっち向いてー!」
「ヤバイ今絶対目が合った……ラビっち私見てたって……!」
 市街地に設けられた野外ライブ会場では、今日もバーチャルキャラクターたちが見事なパフォーマンスを披露し、観客たちはその技に歓声といいねで応えるのだ。
 ……だが。

「ん、なんだあの黒い……水晶? こんな演出あったっけ?」
「マネージャーがようやくドン・フリーダム役の奴見つけて、サプライズとか……?」
 突如空に現れる黒い水晶のような宇宙船。
 ステージの上で歌い踊っていたアイドルたちが怪訝な顔でそれを見上げ、興奮しきっていたファンたちも、演者の動揺した様子に疑問の表情を浮かべる。
 そして、人々の反応も意に介さず船の上部に現れるのは一人のクリスタリアンだ。
「コホン……素晴らしい! 美しいルックスに見事なパフォーマンス、君たちのような逸材は銀河中を探してもそう見つからないだろう!」
「えっと、どうも……?」
 どこか芝居がかった賞賛と共に鳴らされる拍手を、ステージ上のアイドルたちが戸惑いながらも受け止める。
 多少マナーのなっていないファンと会ったことくらいはあるが、ライブ会場に大きな船で乗り着けてくるのは流石に初めてで、思わず素の返答を返してしまうのも無理はない。
 観客に至ってはもはや完全に置いてけぼりでキョトン顔であったり、クリスタリアンを新メンバーと判断して写真を撮っていたりと呑気なものだ。
 突然の乱入者で独特の緊張が走ったこの空間も、徐々にその緊迫感が緩んでいき。

「うむ、君たちならば――我が『宇宙船団ルチレイテッド』でも活躍できるだろう! それでは勇者怪人よ、回収作業に移るぞ!」
 オウガ・フォーミュラに与する『悪の組織連合』。その内の一つの名前が出たと同時に、宇宙船から現れたオブリビオン。
 目の前の相手が、平和になったはずの世界を侵略する猟書家の一人と気づいたキマイラフューチャーの住民たちの悲鳴が、辺りを包み込むのであった。

●形から入るタイプ
「よくぞ来たわね勇者たちよ……古の魔王の復活を聞き、駆けつけてくれた貴方たちの勇気に感謝するわ……!」
 此処は猟兵たちの集うグリモアベース。
 今日も今日とて予知を聞く為に集まった猟兵の前で妙な小芝居を始めたのは、グリモア猟兵のアリエル・ポラリス(焼きついた想いの名は・f20265)だ。
「……まあ、今回骸の海から出てきたのは魔王じゃないんだけどね。こういうのを『ロールプレイ』というのよ!」
 役割を演じるという意味を持つその言葉は、現代のサブカルチャーに通ずるものなら知っている事も多いだろう。
 テレビゲームであったり、ボードゲームのような遊戯の一環として用いられるものだ。
「自分とは別の人になりきって冒険したりするのよ! とても楽しい……のだけども」

 勿論、いきなりこんな話が始まったのには訳がある。
 平和を取り戻した筈のキマイラフューチャー、そこを襲うオブリビオンの予知に関連するのだ。
「現れるのは猟書家の『ミズ・ルチレイテッド』。真面目そうな性格に反し、キマイラフューチャーのノリに合わせてロールプレイをしてくる強敵よ!」
 ごくり、と唾をのむ音が聞こえる。
 此処に集った猟兵の多くは、キマイラフューチャーがどのような場所かを知っている。
 いいねとコンコンコンにより生活は保障され、他に類を見ない独特なノリを獲得したあの世界に合わせられるとなれば、並大抵の順応力ではない。
「勇者怪人と名付けた配下と共に現れる彼女の目的はバーチャルキャラクター。歌や踊りが得意な彼らを宇宙パワーで洗脳し、その彼らにさらに洗脳ソングを広めさせようとしているわ!」
 そんなことが成功すれば、キマイラフューチャーは瞬く間にルチレイテッドの宇宙怪人で溢れかえってしまう事だろう。
 絶対に成功させてはならない、恐るべき計画であった。

「幸い、今から向かえば予知されたシーンの直後、バーチャルキャラクターさんたちが攫われるその現場に介入できるわ!」
 そこまでの説明を受けて、ふと猟兵たちの頭に疑問符が浮かぶ。
 敵がロールプレイをしてても、自分たちが付き合う義理はないのでは、と。
 そんな問いをぶつけられたアリエルは、手に持ったグリモアで道を開きながらも微笑み答えるのだ。

「いいえ、ロールプレイは必要よ――ヒーローっぽい方が、現地の人たちも盛り上がるもの!」


北辰
 そういやキマイラフューチャーってこういう所だったな。
 僕が感じた思いをみんなにも感じていただきたい。北辰です。

 キマイラフューチャーの猟書家シナリオをお届けします。
 ボス敵フラグメントの二章構成であり、全章通してプレイングボーナスが設定されております。
 プレイングボーナス(全章共通)……バーチャルキャラクターに応援される(ちなみに戦力はゼロです)。

●状況
 バーチャルキャラクターたちによるライブが行われていたステージに乗りこんできたオブリビオン、OP冒頭の直後に皆様が現れます。
 ルチレイテッドはクリスタルシップから放たれるスーパービームにより宇宙怪人を作りますが、猟兵がいる間はそちらを警戒してビームの発射を取りやめています。

 一般人はアイドル観客問わず、逃げずに猟兵へ歓声を送ります。
 ヒーローたる猟兵の邪魔にならぬよう戦闘区域からは離れようとしてくれますが、それはそうと現地に留まりキャーキャー言ってます。
 目の前にヒーローがいるので仕方ないのです。

●1章
 勇者怪人こと『破壊の化身』との戦いです。
 基本的に純粋な戦闘となりますが、宇宙怪人となっていることにより、武器がフォースセイバーとなっております。
 間合いが少々変則的になっておりますのでお気を付けください。

●2章
 前章の間に魔王の間っぽい柱とか魔法陣(意味はない)でステージを飾りスタンバイしていた『ミズ・ルチレイテッド』との戦いです。
 此方は選択肢に書かれている通りのユーベルコードを使用して戦います。
 「魔王め覚悟!」とか「父さんの仇……!」とか言えばその場のノリで合わせてくれます。
 それだけで隙ができたりはしませんがオーディエンスは盛り上がります。

●プレイング受付
 原則としてOP公開後は常に受け付けております。
 各章初めに断章を挿入しますが、その前にプレイングを送信したという理由での不受理はありません。

 それでは、愉快な世界とそこに染まっちゃいそうな猟書家との戦い。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『『破壊の化身』』

POW   :    破壊の一撃
単純で重い【剣 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    隼返し
【神速の斬撃 】を向けた対象に、【神速の追撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    勇帝の制約
自身の【魔法適正ゼロという弱点 】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠八木・裕希子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●『たたかう』
 剣を振る。
 剣を振る。
 剣を振る。

 『破壊の化身』、勇者怪人と名付けられたこのオブリビオンの来歴は、実のところルチレイテッドも把握してはいないのだ。
 骸の海から出てきたところをこれ幸いと宇宙怪人に仕立てた彼女は、自分のロールプレイの良い材料だと配下に引き連れてきた。

 剣を振れば柱が折れる。
 剣を振れば床は割れる。
 剣を振れば――。

 黙々と剣を振るっていたオブリビオンがふと手を止める。
 かりそめの主たるルチレイテッドが見据えるその先を同様に振り返れば、招かれざる待ち人がそこに。
 かつての彼がそうであったように、怯える人々を背に現れた猟兵たちへと、彼は手にした光の剣を振りかざした。
空桐・清導
POWで挑む
アドリブも大歓迎だ

そこまでだ!宇宙船団ルチレイテッド!!
太陽を背に、マントを靡かせながら高いところに立っている
オレはブレイザイン!
貴様らを討つヒーローの名だ!
[ジャンプ]し、蹴りを放ってステージに溢れる勇者怪人をなぎ払う

せっかくだ、一曲頼むぜアイドル達。
ウィンクしてからマスクを纏い、UCを発動

フォースセイバーの一撃を避け、
創造した炎剣の[斬撃波]で周囲をぶった切る
勇者の名を騙る怪人ども!
[勇気]の何たるか、オレが教えてやる!
拳に炎のガントレットを纏う
超必殺!ブレイヴ・インパクト!
巨大な火炎旋風を放ち、まとめて怪人を吹き飛ばす

ちょいと遅れたが言わせてもらおう
ヒーローは!ここに居る!!



●ヒーロー見参!
「そこまでだ! 宇宙船団ルチレイテッド!!」
 騒々しい戦場の中に凛と響くその声は、勇者怪人の頭上から響いた。
 声の出所を見上げる怪人は、その顔を僅かにしかめる。
 背後に太陽を背負った何者かの顔は、逆光の影に飲まれ判別ができないのだ。

 だが、オブリビオンが相手を知るのに視覚情報に頼る必要もない。
「ああっ、あのたなびく赤いマントは!」
「来てくれたんだわ、彼が!」
 この世界で誰かを救った者は、行動に発達した情報網も相まってその名と顔を広く知られていく。
 少年と青年の境といった年頃、力強い眼差しの持ち主の名は空桐・清導(ブレイザイン・f28542)。
 けれど、民衆が歓喜を込めて叫ぶ名はそれではない。
「とうっ!」
「……速い!」
 跳躍した清導は、その強靭な脚力に重力の力を加えて敵との距離を瞬時に詰める。
 咄嗟に盾で受け止める勇者怪人は、がりがりと地面を削りながら後退させられようやくその勢いを受け止めた。
「オレはブレイザイン! 貴様らを討つヒーローの名だ!」
 あいさつ代わりの先制攻撃を放ったのち、盾を足場にバク転のように距離を取り名乗りを上げるブレイザイン。
 それはまさしく民衆が待ち望んだ救い手――猟兵の姿であった。

「せっかくだ、一曲頼むぜアイドル達」
「は、はいっ」
 ちらと後方を見やり、民衆が安全な距離にいることを確認したのちにウインクを一つ。
 景気づけにと頼んだ勇ましい歌が流れる中、ブレイザインの『顔』ともいえる頭部装甲を装着する。
 もちろん、勇者怪人がそれを黙って見ている義理は無い。
 振るわれるのは伝説の剣ならざる念動力の刃、故に一定の形を持たないそれが、鞭のようにしなり猟兵へと襲いかかる。
「おっと、それを食らう気はないさ!」
「避けても、無駄だ……」
 ブレイザインが再びの跳躍でそれを躱すなら、地を砕いたその剣はそのまま蛇のごとき軌道で再度猟兵の命を狙うのだ。

 しかし、特異な武器を有するのはこちらも同じ。
 ブレイザインの肩から噴き出した灼熱の炎が剣となり、それを振るえば斬撃はそのまま飛翔しフォースセイバーを打ち払う。
「勇者の名を騙る怪人め! 勇気の何たるか、オレが教えてやる!」
 そのまま炎剣を後方に放り投げたブレイザインが、その身を縮こませるように『溜め』の体勢を取る。
「――ッ!?」
 剣となっていた炎が爆ぜると同時、爆発を蹴るように空中から一気に突進する。
 同時に拳に纏った炎のガントレットを振り抜きながら叫ぶブレイザインの速度は、オブリビオンの反応速度を大きく越えたものだった。

「超必殺! ブレイヴ・インパクト!」
 拳が振れるその瞬間、旋風となり解放される炎に飲まれた怪人が吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。
 なによりもまず、それが必要だったのだ。
 ブレイザインにとって、敵を吹き飛ばし民衆から引き離すことこそ、最も優先されるべき事項。
 何故なら彼は――。
「ちょいと遅れたが言わせてもらおう……ヒーローは! ここに居る!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

フローライト・ルチレイテッド
アドリブ連携歓迎でーす。

どこかで見た船が見えたので邪魔にしきましたよっと。
観客側から離れた位置へふわふわ降下し、【真っ赤な夜】の音量アップ。
音割れしない程度の【大声】で【存在感】を示して周囲を【鼓舞】しつつ、
前説を始めましょう。

祈りを捧げよ、いつか平和に届くように!
【Dress】でキラキラ光りつつ、ステージを【野生の勘】と【地形の利用】で上手に使って立ち回ります。
防御は【オーラ防御】でバリアを張って。

そして【情熱】を乗せ、【楽器演奏、歌唱、浄化、精神攻撃、催眠術、パフォーマンス】を駆使し、指定UCを発動。

かつてあなたの内にあったであろう思いを、
かつてあなたを支えていたであろう願いを込めて。



●英雄への祈り
 猟兵とオブリビオンの戦闘を見守る人々の声援が戦場にこだまする。
 ひとつひとつは無力でか細い声であろうとも、そこに込められた英雄たちへの真摯な願いは本物だ。
「……チッ」
 そんな声が、勇者怪人と名付けられた破壊の化身にはどうにも煩わしくて仕方がない。
 何故、この声たちはそこまで自分の心をかき乱すのか。
 その答えも知らぬままに勇者怪人が剣を振りかぶり……ふと耳に聞こえてくる別の音に気付くのだ。
 電子変換で増幅されたギターの音、決して耳障りな音へと変じぬよう施された繊細な調整こそ、その主の技量の証明。
「どこかで見た船が見えたので邪魔にしきましたよっと」
 ふわりと、重力を感じさせない所作で降り立つ少年の体躯。
 戦場には似つかわしくないほどの笑みを浮かべたフローライト・ルチレイテッド(重なり合う音の色・f02666)を迎えるキマイラたちの歓声こそ、彼が猟兵たる何よりの証拠であった。

 さて、とフローライトが周囲を見やる。
 彼が降り立ったのは、勇者怪人を観客と挟み込むような位置。
 このままオブリビオンが此方へ向かえば、スムーズに民衆の安全が確保できる算段だ。
 そもそも、一般人にはさっさと逃げ帰ってもらうのが手っ取り早い?
 そういう事を言う奴は、キマイラフューチャーという世界の流儀を分かっていない連中だ。
「うわっ、アレKじゃん! ファンです、頑張ってー!」
 こんな声援を追い払うなんていう、勿体ないことをするわけがない!
「祈りを捧げよ、いつか平和に届くように!」
 宣言と共に、一段と大きくなる歓声を煌めくバーチャルレイヤーで受け止めて。
 戦闘準備は整ったと言わんばかりに右手の拳を突きつけたフローライトへと、勇者怪人は襲い来る。

 初撃はバリアでガードして、危なげなく攻撃を捌けそうだと手ごたえを確かめるフローライトだが、突如その背筋を冷たいものが這う。
 二撃目、フォースセイバーを振り下ろす怪人の間合いから素早く飛び下がれば、その剣は予想を超える威力を持って地を砕くではないか。
「(魔法で不利になるたびに強くなるのか……!)」
 定石としては、相手が強化されきる前に速攻でケリをつけること。
 しかし、それはフローライトの戦いではない。
「争い続くこの世を嘆き悲しみ 人々は平和と愛を望み祈った」
「……?」
 スピーカーを通して流れる祈りの歌。
 攻撃ではない、怪人の身体は何のダメージも負わず、だからこそ不自然なユーベルコード。
「教えて闇に浮かぶ希望はどんな色をしているの?」
 感情と情熱を乗せられた歌は軽やかに響き場を支配するが、それだけ。
 いくら周りが感動し、声を上げようと、洗脳に従い民衆を捕獲せんとする怪人には届かない。

「いつか叶うといいと願った――あなたを支えていた願い」
「ッ!?」
 だからこそ、怪人は身の異変に動揺する。
 盾が重い、剣の軌道がぶれる。
 まるで自分の内側に敵が生まれたかのように、オブリビオンの身体がいう事を効かなくなるのだ。
 致命傷ではない、しかし確実に戦闘に支障をきたす影響に混乱する怪人を、フローライトが真っすぐに見つめる。
 こうなるだろうと思ったから歌った。
 届かぬはずが無いと思ったから歌ったのだ。
「かつて僕らと同じはずだったあなたなら、聞こえるでしょう?」
 民衆の祈りを背負った英雄ならば。
 期待を確信に変えた歌は、まだ終わらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

来たはいいものの、私ってダークヒーローと言うのもきつい位ダークの割合が高いんですけど……私が悪役側にならないといいですけど。

(UC『制約:狂食者』を使用。ちょっとでもそれっぽく見えるように勇者の攻撃を「継戦能力」と強力な再生力で受け切りながら、大剣と尻尾に「吸血」「生命力吸収」「怪力」「捕食」「呪詛」の力を纏わせて近距離戦)

悪とは立場の違う別の正義、と言いますけど今のあなたの行動はどの正義にも結び付くとは思えませんね。

(そんなセリフを「精神攻撃」の力を乗せながら「悪のカリスマ」を出すように戦いながら話す。)

(どう伝わるか分からないですけど、お前が言える?感が残る気が……)



●ダークヒーロー、あるいは勘違い系愛されヒーロー
 わあ、と音に身体が叩かれるような感覚。
 キマイラフューチャーの人々は実に逞しく、オブリビオンの襲撃の中にあっても新たな猟兵が現れるたびに歓喜の歓声をあげるのだ。
 彼女もまた、グリモアの転移と同時にそんな歓迎を受けた一人。
 そんな彼女は――。
「来たはいいものの、私ってダークヒーローと言うのもきつい位ダークの割合が高いんですけど……私が悪役側にならないといいですけど」
 この観衆を怖がらせてしまわないといいのだけど、と。
 神咲・七十(まだ迷子中の狂食者・f21248)は、どこか戸惑うような調子でそうぼやくのだ。

「おや、また随分と物騒な御仁ですね。私の勇者怪人の方が正義の味方らしいのでは?」
 すっかり観客気分……配下の援護もしないので猟兵からも後回しにされているルチレイテッドがそう呟く通り、七十の容姿は異形のソレと言ってよいものだった。
 柔らかい金糸に透き通るような肌、鮮烈な印象を与える赤い瞳はダンピールらしい美しいものであるが、構える獲物が物騒だ。
 ユーベルコードに呼応して変形する大剣からは茨のような紋様が彼女の身体へと伸びて、オブリビオンからすれば、それは彼女を縛る呪いであることは一目瞭然だ。
 戦いに詳しくない民衆にも見た目の変化は容易に見て分かるのだから、七十がヒーローらしからぬ力の持ち主であることはすぐにわかるはずだ。
「見た目などどうでもいいでしょう、大切なのはあなた達を倒すために来たということだけ……」
「頑張れ、応援してるぞー!」
「負けないでお姉さーん!」
「……あら?」
 七十自身、自分に正義の味方というのが似合わないであろう事は承知の上。
 が、此処で計算が狂うのは、現地民たちは大変ノリノリで七十を応援しだしているというこの現実であった。

 この理由として、一つには七十自身の容姿の美しさがある。
 防御不可の呪いを帯びて、大剣や尻尾を変形させるその姿は確かに恐ろしいものが有るのだが、ある種『様になる』姿であったのも事実。
 そして、それ以上に。
「見ろよ、勇者怪人の攻撃を避けようともしない……あの人は、俺たちに余波が飛ばないように守ってくれているんだ!」
「(違いますそういうユーベルコードなんです……と、わざわざ言う必要はないんでしょうけど)」
 膂力とタフネスを持って勇者怪人と至近距離で斬り結ぶ七十。
 ユーベルコードの制約の為にそうするしかないのだが、その姿は傍から見ればヒーローらしい民衆を守る姿に見えない事も無かった。
 好意的な解釈をしてくれる民衆に水を差す意味も無いのでそのまま勘違いさせている七十が、ほんの少しばかりばつの悪そうな顔で勇者怪人へと大剣の振り下ろしを浴びせる。

 だが、この状況は一つの真実ではあるのだ。
 再生力に任せて血に塗れながらも戦う七十の姿は正道ではないだろうが、そこには民衆を守るという正義もまた存在する。
 人が清廉潔白である必要などなく、そこに正義が混ざるのであればそれでいい。
「――ですが、今のあなたの行動はどの正義にも結び付くとは思えませんね」
「……ッ!」
 斬り結び、体力差から動きが鈍り始めたかつての勇者が猟兵の言葉に動揺し、七十はそれを見逃さない。
 その隙に大剣を差し込む彼女の表情は……どこか眉が下がったものだった。

「これ、私が言うと説得力が……」

大成功 🔵​🔵​🔵​

椎宮・司
いやあ……なんであんなのが宿敵なんだろうな、あたい
我ながら不思議に思うところだが、っと
ま、こういうノリも嫌いじゃあない
何にせよ、祭りは乗ったもん勝ちサ!

てなわけでへたくそながら、あたいも演技といこう

いつもの着物に野太刀と幽玄の和傘
和傘で姿を隠しながら、すっと舞台に入って前口上だ
「いかに輝こうともこの世に仇成す悪ならば……」
「ここで斬り捨てるが世の求め」
「あなた様にその覚悟はおありですの?」
と和傘を肩に抱えて姿を現わせば、まあ様にはなるかね?

っていうか調子狂うなこの口調
いや、頑張れあたい
今のあたいはお淑やかな剣小姫だ

動きも少し大仰にしようかね?

勇者怪人との距離を詰めつつ
攻撃は和傘で受け止め
そのままするりと受け流せしつつ
体を一回転
その勢いで野太刀を抜き放ち

たまにゃお淑やかに叩っ斬るとしよう
すっと頭上に掲げた野太刀を見せるように構えてUC
「これが今のわたくしの最高の一撃。さあご覧あそばせ!」
…ダメだ、こんな喋り方続けたら絶対頭おかしくなる…(汗)



●剣小姫、登壇
 勇者怪人は強力なオブリビオンにさらに改造を施した強者ではあるが、複数の猟兵を相手にしては分が悪い。
 その身体には少なくない傷が刻まれ、肩で息をし始めた配下に対して、後ろで見ているルチレイテッドは声援を送るのだ。
「おお ゆうしゃかいじんよ まけそうになるとは なさけない」
 それはどう考えてもエールではなかったし、どこかレトロゲームのようなとぎれとぎれの棒読みであった。
 あるいは、最悪配下が負けても自分が出ればいいという猟書家の自負か。
 どちらにしてもルチレイテッドはロールプレイをこれでもかと満喫しており。
「いやあ……なんであんなのが宿敵なんだろうな、あたい」
 我ながら不思議に思う。
 そんな事もぼやきながら、椎宮・司(裏長屋の剣小町・f05659)は己が宿敵を遠い目で眺めていた。
 とはいっても、司もこのようなノリが嫌いではない。
 郷に入っては郷に従え、演技の自信はからきしであるが、祭りに乗らない手はないと彼女は両手に獲物を手に取るのだ。

「いかに輝こうともこの世に仇成す悪ならば……」
「む、何者だっ!」
 はしたなく叫びはしない、それでも張りのある女の声が戦場に通り、洗脳のせいかあんまり長台詞の言えない勇者怪人に代わり猟書家が反応する。
「ここで斬り捨てるが世の求め」
 その姿は、誰にも見えない。
 大きく開いた赤い和傘ばかりが目に入り、その背後にいるだろう司の姿は覆い隠されてしまうのだ。
 ルチレイテッドはその正体を見極めんと目を細め、勇者怪人は真面目に警戒し、訓練されたキマイラフューチャーの民は猟兵の見せ場に押し黙る。
「――あなた様にその覚悟はおありですの?」
 和傘を畳み、肩にかける。
 ただそれだけの動作だが、するりとよどみなくやりのけてみせた司の登場は実に見事なもので、ため込んでいたかのような民衆の歓声は爆発する。
 ただ者ではない、警戒する勇者怪人と柔らかく微笑んだ司の視線が交差する。
 それが、戦いの狼煙であった。

「シッ――!」
「あら、強引な太刀筋ですわね?」
 双方共に剣の間合い、瞬時に距離を詰めた勇者怪人の剛剣を和傘で受け止めた司が、手元を傾けて地へと受け流してみせる。
 そのまま一回転した勢いで抜き放つ野太刀がきらりと光を反射すれば、司はそれを上段に構えた。
 地面すら砕くオブリビオンの一撃は脅威であるし、他の猟兵が削った体力が回復すればさらに早くなるだろう。
 加えて、ルチレイテッドが与えたフォースセイバーという定まった形のない武器を考えれば、受け流しを延々と続けることもリスキーだ。
 『他にも理由はあるのだが』、狙うならば短期決戦。
 紫の瞳がキッと細められれば、淑やかな女の声が猟兵のそれへと変わる。
「これが今のわたくしの最高の一撃。さあご覧あそばせ!」
 敢えて攻撃の宣言をすることで高められる司の剣技は、まさしくユーベルコードと呼ぶにふさわしい剣技の極致。
 勇者怪人が声に反応して盾を掲げるも、渾身の力で振り下ろされる太刀を阻むことは叶わず――。

 脳天を叩き割られ、溶けるように骸の海へと還っていくオブリビオンを見下ろす司が、その視線をルチレイテッドへと移す。
 気は抜けない、ようやく猟書家との勝負の土俵に上がった事を考えれば、此処からが本番だ。
 それを実感しているのだろうか、司の表情は険しく、油断なく刺すような視線をルチレイテッドへとぶつけていた。
 猟書家もまた、配下を倒されてなお焦ることは無く、強者としての威厳を持って猟兵へと笑みを返す。
 ごくりと、猟兵とオブリビオンの衝突を見守る民衆が息を飲む中で。
「(……ダメだ、こんな喋り方続けたら絶対頭おかしくなる……!)」
 短期決戦を望むまでに追い詰められた司の胸中を、誰も知る由は無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ミズ・ルチレイテッド』

POW   :    インクルージョン・ウェポン
【掌から生成したルチルの弾丸】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    クロックパルス・イベイジョン
【水晶振動子を利用し、完璧なタイミングで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    クリスタライズド・バレット
【10秒間の集中】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【透明化させたルチル弾】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠椎宮・司です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ロール・プレイ・リスタート!
 かちんかちんと、硬質なものを打ち付ける音が周囲に響く。
 勇者怪人こと破壊の化身を下した猟兵たちがその方向を向けば、にこやかな表情で拍手を送る猟書家……ミズ・ルチレイテッドの姿がそこにはあった。
「いや失敬、クリスタリアンともなると、勝者を讃える拍手も不格好になってしまうね?」
 言葉とは裏腹に悪びれた様子のないルチレイテッドの周囲は、配下との戦闘の間に様変わりしていた。

 舞台にはいくつものとげとげしい柱が立てられ、地面には何やら禍々しい紋様が描かれる。
 無論、歴戦の猟兵から見れば、その意図は一目瞭然。
「勇者怪人は実によい仕事をしてくれたね。彼の稼いでくれた時間で……諸君を迎え撃つ準備は整った!」
 ――雰囲気づくりである。
 柱も、魔法陣っぽい紋様も、何もかも何の意味もないただのアクセサリ。
 世界侵略するんだし魔王っぽいステージにしようという、何とも言い難い思惑により、ルチレイテッドの牙城は完成した。

 実情を知れば気が抜けてしまいそうな舞台に立ち、わざとらしい高笑いを上げる猟書家に対して、しかし猟兵は油断なく戦闘の体勢を取る。
 何故なら、彼らは知っているのだから。
 この世界においては、こういう手合いに限ってやたら強いのだということを――!
空桐・清導
POWで挑む
アドリブも大歓迎だ

「ようやく会えたな、ミズ・ルチレイテッド!」
空間に光の渦を発生させ、ヴァイスリッター・アインを抜き放つ
「アンタの目的、世界侵略は断たせてもらう!」
UCを発動させて黄金のオーラを纏い、光焔を剣に収束させる
迫るルチルの弾丸を[オーラで防御]し、剣で弾きながら懐に入る
アインを振るい、攻撃を仕掛ける
腕を向けてきたらサンライザーを[零距離射撃]して相殺
「この程度では、ヒーローは倒れない!
キマイラ達の命を背負ってるんだからな!」
UCを[限界突破]
黄金に輝く剣を構える
「この一刀にて決着をつけてる!
金剛必殺!アンブレイカブル・フューチャー!」
剣を全力で振るい、一刀両断する!


神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

……演出過多なのにその衣装なので、いまいち悪役っぽくないですよね、貴女。

まぁ、先程は受け入れて貰えましたが、私もヒーローぽくはないですけどね。

(UC『万花変生』を使用。木の巨人を呼び出し、ルチレイテッドのルチル弾を防いで貰い)

その騙し討ちっぽい透明攻撃は悪役っぽいですが……う〜ん、ではヒーローっぽい演出としてこの巨人との共闘とかやってみましょうか。

(巨人の攻撃とその隙を埋めるような、大剣と尻尾の近距離戦で戦い)

……巨人さん合図したら隠して。

(隷属化の力を付与した攻撃を巨人で周りの視界を遮ったタイミングで打ち込み隷属化しようとするのと、決着の時のどうなった?演出っぽい状態に)



●ヒーローらしく/ヒーローならずとも
「くっくっく、ふっふっふっふ……あーっはっはっは!」
「おお、これは……」
 とうとう動き出した猟書家ミズ・ルチレイテッド。
 とりあえず柱に囲まれた魔法陣の中心で高笑いをしてみせる彼女に一番近い位置に居たのは、黒剣を携えた七十であった。
 わざとらしい高笑いをしながらもオブリビオンの視線はこちらを捉え続け、隙らしい隙は無い。
 律儀に悪役っぽい三段笑いをしている点も含めて、根は堅実なたちなのだろうか。
 マニッシュな燕尾服のような服装も合わせて、魔王というよりはプリンセスに付く執事を名乗った方がそれらしくも見えるだろう。
「……演出過多なのにその衣装なので、いまいち悪役っぽくないですよね、貴女」
「なんだとっ!?」
 ボソッとした呟きに瞬時に反応するその姿は、妙に人間臭さがあり平和的。
 なんとなく気が抜けてしまう、周りで見守るキマイラたちも含めてそんな空気が漂い出したその矢先、場の流れを破壊する凛々しい声が周りへ響き渡った。

「ようやく会えたな、ミズ・ルチレイテッド!」
 ヒーローネーム、ブレイザイン。
 光の渦を介して虚空から剣を抜き放つ彼は、そのまま切っ先をルチレイテッドへと向ける。
「アンタの目的、世界侵略は断たせてもらう!」
「……そうですね、こんな雰囲気でも危険なオブリビオン。此処で倒させてもらいましょう」
 ブレイザインの一言で、緩みかけた場の空気が一気に引き締まる。
 キマイラフューチャーに合わせてロールプレイをするルチレイテッドは、見方を変えれば狡猾な柔軟さを持った強敵だ。
「……このまま油断していて欲しかったのですが。やはり、そう簡単な相手ではありませんね」
 改めて戦闘の体勢を取る猟兵に対して、ルチレイテッドがそれまでと異なる……演技のない口調でぽつりと呟き。
 きわめて自然な、客人を迎えるように差し出された右の手。
 そこに現れた金紅石の弾丸が、開戦を告げる合図であった。

「ではまず小手調べだ猟兵! この金色の弾丸をどう凌ぐっ!?」
 クリスタリアンであるルチレイテッドの髪色と同じ色の鉱石、その弾丸が雨あられと撃ちだされ、二人へと襲い来る。
 その弾幕を前に飛び出したのはブレイザイン。
 根本的に仲間を盾にするような気質ではない彼は、むしろ自分がすべての弾を受けきるのだと言わんばかりに、スーパーヒーローとしてのオーラを身に纏う。
 特に強く、炎の如き光の奔流で包まれた剣を振るえば、猟書家の弾丸などたちまちに叩き落されてしまうのだ。
 とはいえ敵も強大なオブリビオン、正面から押し通らせるほど甘い相手ではない。
「ぐっ、この……!」
「ふぅむ、これは防ぐか。とはいえ、そこから踏み込む余裕はないようだが……」
 オブリビオンの弾丸は届かず、猟兵の足は進まない。
 どちらの有利とも言えぬ拮抗の中で、ルチレイテッドが視線を向けるのはブレイザインの後方に待機する七十だ。
 適材適所とばかりに前衛を仲間に任せている彼女だが、一度戦いに参戦したなら、ようやく拮抗状態であるこの状況は覆されかねない。
 ブレイザインを留めるルチルの弾幕はそのままに、オブリビオンの目がすぅと細められる。
 集中より放たれる不可視の弾丸は、金色に煌めくこの弾幕と組み合わせてこそ真価を発揮するものだ。
 狙うは、前線に出る炎剣の猟兵。
 一撃で致命傷とはならずとも、剣に比べればオーラの薄い身体に当てればダメージは免れない。
 戦いの有利を手繰り寄せるべく、ルチレイテッドはそっと透明な弾丸をブレイザインへと放ち、凶弾はまっすぐに猟兵の胸を狙い撃つ。
 それは、主の望み通りにまっすぐにブレイザインへと飛翔し、そして。
「……なんと」
「――まぁ、先程は受け入れて貰えましたが、私もヒーローぽくはないですけどね」
 だから、悪役らしい騙し討ちもわかるのだと。
 いつの間にか仲間のすぐ後ろにまで進んでいた七十の大剣に、その弾丸は食い止められる事となる。

 してやられた、というのがルチレイテッドの率直な思考だった。
 七十の読みもさることながら、ブレイザインが思いのほか前衛として優秀だったのだ。
 炎と光に身を包み、大きく剣を振り戦う彼は実に華々しく派手で、七十ほどの体躯であればその陰に隠してしまう。
 ミスというには酷な不可抗力に近いものだが、だからこそ自分を強者の側に置くオブリビオンの心には、僅かな敗北感が芽生える。
 そしてそれは、確かな存在となって均衡を崩すのだ。
「お待たせしました、ここからは私と巨人さんも出ますよ」
「よしっ、勝負を決めるぞ!」
 七十のユーベルコードによって呼び出される木で象られた巨人。
 それが拳を振るえば、ルチレイテッドは弾幕をその対応に向けざるを得なくなるものの、巨人そのものに届く弾丸は七十の剣により叩き落されてしまう。
 そして、巨人へとルチルの弾丸を向けるのならば、それはブレイザインを押しとどめていた力の減衰と同義となる。
「待たせたな、ルチレイテッド!」
「くっ……! 止まりなさい!」
 僅かな余力を弾丸に込めて撃ちだすオブリビオンではあるが、当然その程度で猟兵の突撃は止まらない。
 ルチレイテッドへと肉薄するブレイザインは、そのままの勢いで剣を振りかぶり、限界を超えて光り輝く必殺剣の名を叫ぶ。
「この程度では、ヒーローは倒れない! キマイラ達の命を背負ってるんだからな! ――金剛必殺! アンブレイカブル・フューチャー!」
 事ここに至り、ルチレイテッドも無傷での回避を諦める。
 巨人と七十に向けていた弾幕も含めたユーベルコードで炎剣の威力を抑えようと迎え撃ち……。

 猟兵とオブリビオンの戦いを見守っていたキマイラたちの顔を、ユーベルコードの余波である熱風が打つ。
 戦場を隠すように動いた七十の巨人により、彼らへの影響は皆無と言っていいが、だからこそその決着が分からない。
 猟兵は無事なのか? オブリビオンはどうなった?
 やがて、役目を終えた巨人の身体を作る木が枯れ、彼らの視野に両者の姿が映る。
「……流石に、一気に負かすには至りませんか」
「だけど! このまま押し切ってやるさ!」
 二人の猟兵は健在。
 所々に小さな擦り傷はあれど、おおよそ無傷と言っていい状態だ。
「――がはっ、やってくれる……!」
 そして、猟書家もまた五体満足で地に立っている。
 だが、その頬には。
 猟兵たちの攻撃が確かに通じる証である、小さくないひび割れが確かに刻まれていたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フローライト・ルチレイテッド
アドリブ連携歓迎でーす。

お姉さん、例によって悪いことしてるから邪魔しに来ましたよ!悪い事はいけないんですからね!(※無関係の同姓

【真っ赤な夜】の音量を最大に。周辺にばりばり響かせる気満々で行きましょう。
ステージから【パフォーマンス】と【存在感】で皆を【誘惑】し【鼓舞】しながらゴーです。

平和への願いと【情熱】を乗せて行きましょう。

争いによって滅び去ったこの世界を、争いでもう一度滅ぼさせたりはしません!
祈りを捧げるだけの時間は終わった!ここからは!
ぼくらの力で、この世界に平和を齎すんだ!
さあ、平和の歌よ、三千世界の果ての果てまで響き渡れ!

UC【Resounding sky-響き合う空へ-】を発動。周囲1kmへの無差別配信と、多方面への配信を開始。

キラキラ光って真の姿を開放し、MCで会場と会場以外を煽りながら、溢れる【情熱】を込め、【楽器演奏、歌唱、誘惑、鼓舞】を駆使して指定UCを発動。
平和への意志で世界を塗り替えます。

あちらの集中は大音量の演奏と歌で妨害しつつ、【地形の利用】で立ち回り



●ピースメイカー
「侮ったつもりはありませんが、やはり手ごわい。もう少し気を引き締めて……うん?」
 猟兵から受けた傷を庇いながら自分を律するルチレイテッド。
 その時、彼女の耳に唐突に届いたのは、周りのキマイラたちの歓声も上回る音量の音楽だった。
 辺りの電子広告のBGMではないし、そもそもそんなものはとっくに戦いの余波で壊れた後だ。
 なにより、この戦いを意識するように音量を上げたこの曲の主は。
「……君たち以外には居ないだろう、猟兵!」
「お姉さん、例によって悪いことしてるから邪魔しに来ましたよ!悪い事はいけないんですからね!」
 一息に跳躍し、オブリビオンの前に現れる。
 フローライトのような、猟兵以外にはあり得ない。

「どことなく見覚えがある……その口ぶり、別の私にでもあったかな?」
 フローライトの姿を認識した途端に、猟書家のルチル弾が彼を狙う。
 透明化したそれを、しかし指摘された通りこれが初めての交戦ではないフローライトが空気を裂く僅かな音を頼りにして躱していく。
 当然、猟書家のユーベルコードを完璧に避けるのは至難の業。
 どうにか避けてはいるものの、フローライトの身体を掠めて飛翔する弾丸は、彼の身体に赤い線を増やしていくのだ。
 いつまでもこうしてはいられないが……それはフローライトの体力面という話ではない。
「これ以上怪我を増やすと、お客さんが心配しますからね!」
「く、より音量が……!」
 猟兵の叫びと同時に、彼の従えるスピーカーから流れるギターの音が格段に大きくなる。
 これはオブリビオンとの戦いであると同時に、フローライトのパフォーマンスなのだ。
 込められるのは平和への願いであり、必要な事は観客たちがそれを信じられる事。
 それを齎す事こそが、猟兵の使命であるのなら。

「争いによって滅び去ったこの世界を、争いでもう一度滅ぼさせたりはしません! さあ、平和の歌よ、三千世界の果ての果てまで響き渡れ!」
「この振動……下か!」
 ぐらりと揺れ、猟書家の作った悪の舞台が崩れていく。
 オブリビオンの警戒とは裏腹に攻撃の性質を持たないユーベルコードは、しかしフローライトの戦いにおいてはこの上ない劇的な効果を発揮するものである。
「祈りを捧げるだけの時間は終わった!」
 ・・・・・
 此処に立つフローライトが叫べば、戦いを見守るキマイラたちは歓声を持ってその声に同調する。
 背中の翼は一回り大きくなり、髪も長く艶やかに伸びた真の姿を見せる猟兵を、皆がその目に焼き付ける。
「ここからは!」
 ・・・・・
 画面の中のフローライトが呼びかける。
 ユーベルコードによって生み出されたステージはフローライトとミズ・ルチレイテッドを乗せて飛翔し始め、周囲のあらゆる者へその映像を届けてゆく。
「ぼくらの力で、この世界に平和を齎すんだ!」
「長々とした口上、見逃す義理は……っ、私の、ユーベルコードが……!?」
 このキマイラフューチャーそのものが揺れるような幾人もの大歓声。
 オブリビオンとしては看過しがたいその流れを打ち砕かんとするルチルの弾丸は、しかしフローライトに届く前に消滅してしまう。
 フローライトの歌と周囲の歓声で、猟書家自身の集中が削がれている面もあるだろう。
 だが、それ以上に。

「違う……私の力自体が、この世界に拒まれている!?」
 フローライトのユーベルコードは世界を塗り替える力。
 猟兵と言えど人一人の力でそれを成し遂げることは困難でも、今の彼には背中を押す歓声がついている。
「ええ、ここからは――平和な世界と、それを願う僕たちが相手ですよ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

椎宮・司
よし演技やめ!
素で行ってもなんとかなる!

初めましてだな宿敵!
演技しながら大魔王(キンブレ)の後釜でも狙ってたかい?
綺麗な顔してやることがエグいねえ

つれない顔しないでおくれよ
あたいの心の臓に埋め込まれたモノ…お前さんのカケラだ
人外を生み出す実験、その実験体があたいサ
何の因果か、お前さんの力がお前さんを滅ぼすってことサ

さ、やりあうとしよう!

刀を抜いて突撃
ルチルの弾丸は被弾覚悟で
かわし切るよりは致命傷になりそうな弾丸を刀で弾きながら
距離を詰める
「接近戦だ。そっちも嫌いじゃないだろう?」
バチバチやりあうとするかね!

さすがに手強い
でもこの一撃で片をつけるとしようか!
【剣小町の極み】、冥土の土産に持っていきな!

ここでお前さんの野望も終わりだよ
お別れだ、ミズ・ルチレイテッド

終わったか
…ま、無いと思うけども
どこかにルチレイテッドの力とかカケラとか残っているようなら処分しないとなあ
悪用されても困るし、在ることであたいに悪影響が出ても困るし
何より飛ぶ鳥跡を濁さずってのがカッコいいだろう?
宿敵ならなおさらサ



●金紅石が砕けた日
「よし演技やめ! 素で行ってもなんとかなる!」
 それは、彼女の行っていた剣姫の“ロールプレイ”の終了を告げる声。
 彼女の言う通り、窮屈な演技に縛られずとも、素の態度で戦えばよいという判断。
 そもそも、既に猟兵たちの戦いで荒れてしまった戦場に、当初の舞台じみた雰囲気など残っていない。
「……貴女は」
 なにより、魔王役のミズ・ルチレイテッドに演技を続ける様子が無い。
 追い詰められた彼女の表情を作るのは、猟兵への警戒と、司へ感じる奇妙な『親近感』への疑問だ。
「おや、分かるもんかね? 初めましてだな――宿敵!」
 口角を吊り上げて問う司の発した宿敵という言葉に、ルチレイテッドの瞳が細められる。
 ルチレイテッドの記憶の中に、このような女と出会った経験はない。
 彼女の言葉が真実として、その因縁の心当たりはオブリビオンになる前も、オブリビオンになった後にもない。
 ならば、ルチレイテッドすら知らないその空白は。
「“本来の私の死後”、ですか」
「つれない顔しないでおくれよ。人外を生み出す実験、その実験体があたいサ。そして、人間を作り変える為にあたいの心の臓に埋め込まれたモノが……お前さんのカケラだ」
「なるほど。それは確かに、見ず知らずの宿敵の出来上がりですね……あいむゆあまざーとでも言いましょうか?」
「うそだー、なんて言うほどの可愛げはないからね。気持ちだけ受け取っとくサ」
 猟兵とオブリビオンがどこか響きの癖が重なる軽口を叩き合い、その腕を上げる。
 片方は腰の野太刀に手を添えて。
 片方は手のひらから金紅石の弾丸を溢れさせ。
「つまり、何の因果か、お前さんの力がお前さんを滅ぼすってことサ」
「名も知らぬ眷属を殺める。洗脳ソングの題材に出来そうですね?」
 そして、宿敵同士の宣言が。
 戦いの火ぶたを切って落とす名乗りであった。

 刀を抜いて走る司へ、ルチルの弾丸が襲い来る。
 勿論、司とて考えなしにその攻撃を受ける気など無いが、此処で彼女にとっての想定外の事態が発生する。
「おいこら! お前さん、他の連中の時はそんなに乱射してなかったろう!」
「いつの世もオリジナルは偉大という事ですね。この弾丸、割とスペックの融通が利くので」
 予想以上に弾幕の勢いが激しいのだ。
 融通、という言葉通り、これは威力や命中率を犠牲にしてのものではあるが、刀を握り戦う司にとって、殆ど面制圧と呼んでいいこの勢いは中々に辛いものが有る。
「ああもう、舐めるんじゃないよ!」
 しかし、司とて歴戦の猟兵だ。
 躱しきれないなら割り切ってしまえと、致命傷になりうる弾丸だけを獲物で弾きながら前進を開始する。

「接近戦だ。そっちも嫌いじゃないだろう?」
「ええ、できないとは言いませんとも!」
 懐に潜り込んだ司の叫びに、ルチレイテッドが手刀で応える。
 ユーベルコードこそ遠距離戦を主体とするが、オブリビオンとして強化されたクリスタリアンの身体を持ってすれば、格闘技一つが鉄槌で打ち据えるような物。
 無論、武器を持っている分攻撃がかち合えば勝つのは司の側であるが、それを承知しているルチレイテッドは攻め手を緩めない。
 右こぶしのストレート、こめかみを狙うハイキック。
 首を傾け直線の拳を躱し、上体を逸らしてキックから逃れる。
 いずれも司の命を脅かすには至らないが、回避のために体勢を崩されれば当然刀を振るうどころではない。
 そして、ルチレイテッドの側には、武器を振るう構えなどいらない。
「これで、終わりだ!」
 司の頬を掠めた拳が開かれる。
 そこに生成されたルチル弾は司の頭部へと照準を合わせて飛翔する。
 ルチレイテッドの言葉通り、刀での防御ができない後頭部へ飛ぶ弾丸は、まさに決着の一撃。
「嗚呼、この一撃で片をつけるとしようか!」
 それを受ける司もまた、肉薄したルチレイテッドへと渾身の一振りを振り下ろす。
 相討ち狙い、しかし司の頭蓋を砕くルチル弾がより早く届き……。
 バシィ!
「――え?」
 刀が猟書家を袈裟斬りにする寸前。
 何かに弾丸が受け止められる音を聞いたルチレイテッドの呟きは、鉱石を砕く音にかき消されたのだった。

 身体を両断され、地に伏せるルチレイテッド。
 その視線が両の足で立つ司を見やれば、彼女の傍に浮かぶ弾丸を受け止めた霊符が目に入る。
 それは、ルチレイテッドの知らない世界の力。
「ああ……“私”が埋め込まれていても、貴女は私じゃありませんものね……」
 そして、この世界での主か、あるいは本来の主か。
 小さな謝罪の呟きと共に、ルチレイテッドの身体が崩れ消えゆく。
 幾度も戻ってくる猟書家の、本当の幕引きがそこにはあった。
「お別れだ、ミズ・ルチレイテッド」
 それを見届けた司は、短い別れの後振り返る。
 そこには、猟兵の勝利に沸き立つキマイラたちの姿があり、皆喜びに震えている。
 だが、彼らを襲う脅威が完全に去ったわけではない。
 司の心臓にあるものがそうであるように、ルチレイテッドのカケラは未だ存在し、それから力を得る悪はまだ居るかもしれないのだ。
 悪用されるのは避けたいし、司自身に影響があるかもしれない。

 なにより、あの宿敵との決着は、この場でついたのだから。
「――飛ぶ鳥跡を濁さずってのがカッコいいだろう?」
 誰に聞かせるでもなく、薄い笑みを浮かべて。
 一つの因縁にケリをつけた女剣士は、悠々とキマイラの世界を後にするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年10月31日
宿敵 『ミズ・ルチレイテッド』 を撃破!


挿絵イラスト