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【旅団】夏休みだよ!全員遭難!!

#キマイラフューチャー #【Q】 #旅団

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※ これは旅団シナリオです。旅団「Glasses cafe」の団員だけが採用される、EXPとWPが貰えない超ショートシナリオです



「という事で無人島に遭難する事にしました」
 大神・狼煙(餓狼・f06108)の発言に、何言ってんだコイツ珈琲の飲み過ぎで頭がカフェインブレイクしたのか?って顔する常連客だったが。
「海水浴ならみんな普通に行ってるだろうなーと思いまして……」
 などと取り出したのは無人島の案内マニュアル。白い砂浜に青い海と空、その後ろには生い茂る森林……まさに手付かずの自然がそこに。
「ここで遭難したつもりでキャンプするのもいいかなー、と」
 で、なんで遭難を前提にしてるかってーと。
「普通に行ったら普通に遊んで終わっちゃうじゃないですか!!」
 猟兵達は思った。これがネタに染まった眼鏡の成れの果てか、と。
「だからって不便すぎて何もできないと意味ないので、必要な機材は私が持ち込みますね」
 ちょっと何言ってるか分からない人の為に例を挙げると、テントの持ち込みは許されないが、簡易的な小屋を建てようとすると、森の中に立派な木と一緒に野性のチェーンソーが生えている、みたいな怪奇現象が起こるらしい。
 つまり、できている物を持ち込む事はできないが、現地で作るための道具は用意されるってことらしい。
「というわけで、荷物は水着だけというフリーハンドスタイルでご参加ください」
 なお、食料も現地調達……と、思いきや、店長がBBQセットだけ持ってくるらしい。追加分は釣るしかないんじゃないかな!


久澄零太
夏休みなんてなかった!!

むしろこれからデスマーチが始まる久澄です

癒されるシナリオが……書きたいです……

なお、店長はほっとくと参加した人の水着姿をカメラに納めたり魚釣ったりしてるようです
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第1章 冒険 『ライブ!ライブ!ライブ!』

POW   :    肉体美、パワフルさを駆使したパフォーマンス!

SPD   :    器用さ、テクニカルさを駆使したパフォーマンス!

WIZ   :    知的さ、インテリジェンスを駆使したパフォーマンス!

👑1
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

濱城・優茂
リゾラバと思ったら遭難やった。
入道雲見つけたら「あの中絶対ラピ●タあんで!」って叫んでおきつつ僕は家づくりやな。無人島なら任せとき!豪勢にUCも使って宮大工と井戸職人と瓦職人と海女さんの先祖の霊呼び出すで。
宮大工のおっちゃんは僕と一緒に野生のハンマー使こて崩れない家づくりを。『おう』
井戸職人のおっちゃんは地下水の調査や!ろ過と井戸作りの為の資材は多分生えてくるやろ。『うす』
瓦職人のあんちゃんは屋根を石で飾ってや。え?鬼瓦?野生ハンマーでどうにかならん?『あいよ』
海女のおばちゃんは食料調達頼んだで!『じぇじぇっ』
さーて仕上げに白旗に「SOS島」とでも書いてぶっさしておこか。あくまで遭難やからな。


ノイン・フィーバー
恰好:白黒横ストライプ水着

最初:砂浜に身体を埋めて、首を傾げて砂浜に古いTVが漂着してる感じになっておく。昆布を頭にのっけて偽装は完璧
見つかったら気持ち悪い動きで地面から這い出してサバイバル開始

中盤:
喉が渇いたのでこの辺に生ってる缶ジュースの実をごくごく
これグラスカフェだー!?(画面割れる)

なんかやりたいこと:
森の奥。薄暗い場所で、カッコーンカッコーンと斧を振り薪を割る白装束の女。
その顔は長い髪に隠れ、血走った眼だけが見える。
時折声にならぬ叫びをあげ、木霊する。

「あ、薪できましタ? ありがとうございまス」

UCの『彼女』とアイテム枠の「たこサメ」サンも一緒にエンジョイ
あとどこかで爆発したい


アリス・トゥジュルクラルテ
水着コンの、水着で、行く、です!
遭難は、ちょっと、よく、わかる、ない、です、けど、せっかく、自然が、たくさん、ある、所に、行く、なら、楽しむ、です!

魚は、ロクローくんが、採る、して、くれる、から…食べる、ない、ように、たまに、様子を、見る、です。
食材は、ある、みたい、です、けど、新鮮な、果物も、食べる、したい、です、よね。
虫も、平気、なので、森で、果物、探す、です。
飛べる、ので、皆で、食べる、できる、ように、高い、所も、いっぱい、採る、です!

寝る、時は、葉っぱを、敷布団に、して、星空、見ながら、寝る、です!
ちょっと、ロマンティック…狼煙さん?
恥ずかしい、から、水着の、写真は、だめ、です!


アスカ・ユークレース
遭難前提でも普通に遊んで帰りそうな気はしますが。それはそれとして大自然の中で過ごすのは気持ちいいのです(漂流物の枝と何故か落ちてたサバイバルナイフで作った即席の銛で素潜りの小休憩、海に浮かんでリラックス中)
さてもう少し獲ったら浜に戻り…え?
あそこに見えるのは……鮫?!
鮫出るのこの辺?!聞いてないわよ、しかもこっちに来てるっぽい?!逃げようにももう近くまで来てるし……ええい、ままよ!!(銛を構えて鼻先を狙う、応戦の構え)


数分後
……あの、誰かこれ捌ける人います……?(獲物+鮫引きずりつつ浜へ)

アドリブ絡み歓迎


地鉛・要
取り合えず狼煙は何もしなくても爆破漁に巻き込まれるんだろうな……取り合えず魚はそれで確保できるかな
爆発しなかったら、爆発させればいいだ

取り合えず自生しているチェーンソーをバラせばガソリンとエンジンで火元の確保して……無理なら狼煙(のメガネ)で原始的に火を付けるか、属性攻撃を使うかしよう
小屋は誰かに任せる
森に蔦とかが十分な量が有ればハンモックを作るのもありだな

腹ごなしがすんだら島探索へGO!謎の洞窟に地底に住む謎のUMAとか居ると楽しいんだが……居ないだろうな
まあ、オブリビオンは居ないだろうし自然以外には脅威は無いと思うけど……何も無ければUCでハプニングでも起きそうな属性でも同行者に付ようかな


ニーグラート・ジズ
め し を よ こ せ 。

バーベキューは全部味見係だよ!お肉お肉お肉お肉!魚も出たものから全部たべ(骨が口の中に突き刺さる)ア゛ァ゛ァ゛ーーーーーーッッッ!!!!!!!

やられてしまいました。まさか食い物に反逆されるとは……気分転換におーよごっと!
みんなのところに乱入して、ざばーん!と波立てたり、泳いでるお魚をキャッチ(物理)したりして遊ぶかな。カメラ向けられたらピースしとこーっと。

無人島開拓は…………任せた!



「ほぎゃぁああああああァアアアアア!?」
 全てはここから始まった……ノイン・フィーバー(テレビ顔のメカ野郎・f03434)を理不尽な爆発が襲う!!
「ちょ、待ってや店長!?島まではグリモアで転移って話じゃ……」
「うるせぇとにかく爆ぜるんだよぉ!!」
「なんでやぁあああ!?」
 濱城・優茂(サバイバルおじさん・f32495)が割と真っ当なツッコミを入れた気もしたが、そんなものに価値はないのが今回の案件である!!
「かくして我々は荒れ果てた海に放り出されていったのであったーうわー」
「その割には準備万端ね……?」
 一部の猟兵がノイン爆弾で空の旅に出かける一方、地鉛・要(夢幻の果てにして底・f02609)はダイバー装備を整えて背中から海へ落ちていく。海の中から目的地へ向かう彼を苦笑で見送り、髪をまとめたアスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)もまた、両手を重ね、綺麗なフォームで水しぶきを上げた。
「アリスも、行く、です!」
 と、気合を入れるアリス・トゥジュルクラルテ(白鳥兎の博愛者・f27150)だったが。
「ロクロー、くん?」
 相棒のワニが動かない。淡水生物だから、海に入りたくないんだろうな……。
「……お昼、お肉、ですよ?」
 だっぱーん!大型爬虫類が派手な水柱を上げて海の中へ!あいつ結構分かりやすい性格してるな……。
「ひゃっはー!無人島ランチだー!!」
 ラストを飾るのはニーグラート・ジズ(黒龍とハイエルフの娘・f23326)。隠そうともしない食欲と共に海へ……!


「リゾラバと思ったら遭難やった」
 ざざーん……寄せては返す波打ち際。浜に打ち上げられて青空を見上げていた優茂がぽつり。
「あの中絶対ラピ タあんで!」
 入道雲を見た途端にこのセリフである。彼は疲れているのかもしれない……。
「いや待ってぇな!?ここはネタに乗るところ違うん!?」
 著作権の問題で深入りできないんですよねー。
「んなアホな!?」
 開いた口が塞がらない優茂だが、気を取り直して。
「なんにせよ、まずは拠点確保やな。無人島なら任しとき!」
 っていうから、頼りになるのかと思いきや。
「と言うわけで皆さま、よろしゅう!!」
「「「「よしきた」」」」
 UCで呼び出した先祖にぶん投げた!?
「宮大工のおっちゃんは僕と一緒に野生のハンマー使うて崩れない家づくりを」
『おう』
「井戸職人のおっちゃんは地下水の調査や!ろ過と井戸作りの為の資材は多分生えてくるやろ」
『うす』
「瓦職人のあんちゃんは屋根を石で飾ってや。え?鬼瓦?野生ハンマーでどうにかならん?」
『あいよ』
「海女のおばちゃんは食料調達頼んだで!」
『じぇじぇっ』
「さーて仕上げに白旗に『SOS島』とでも書いてぶっさしておこか。あくまで遭難やからな」
 などと雰囲気を楽しむ優茂の陰で、海女さんがこそり。
「ちなみに、『じぇじぇ』は『びっくりした』って意味で相槌じゃないから、皆は用法用量を守って正しくじぇじぇじぇってね」
 ご先祖様の気遣いによって子孫のおっさんだけが何も知らないのである……。
「……あの、ちょっとえぇ?」
 どした?
「僕の行動指針、今ので終わってもうて、嫌な予感がするんやけど……?」
 やだなぁ、ほぼセリフしか書いてないから犠牲者……もとい、道連れにするだけだよ☆
「ほらぁあああ!?」
 オラ!散策の時間だァ!!
「ちょ、僕には家を建てる使命があるんやけど!?」


「男二人で浜辺歩いてどないすんねん……」
「仕方ないでしょう、他に暇な人いないんですもの」
「僕も暇やないで!?」
 店長に捕まった優茂が浜辺を歩く事五分、粗大ごみが打ち上げられていた。
「なんやこれ……壊れたテレビやん。海にこんなもん捨てる奴おるんやな~……」
 全く最近の若い者は……などと中年っぽい事をぼやき始めた瞬間。

 ぶつっ。

「……ん?」
 変な音がしたなーってよく見たら画面がついている。
「コンセントもあらへんのに、なんでついてるんや……?」
 電波はさすがに拾えないのか、砂嵐吹き荒れる画面のまま、小さく震え始めたテレビは白手袋の腕を生やし、コマ送りに首、胸、腹、脚を生やして……。
「って、フィーバー君やん!?」
「ドーモ、ワタシ、デス☆」
 白黒ボーダーのダイバースーツの為、どっかの囚人みたいな恰好したノインが生えてきた。
「吹き飛んだら漂着がお約束かな、ト」
「自分首まで埋まってたらゴミにしか見えへんやん!?」
「イッツァパントマーイム……!あ、動かずに石像に見せかけるパントマイムは実在しますヨ。ワタシテレビですけどネ!!」

▼ノインが仲間になった!

「あれ、今回RPG風デス?」
「ノリで骸骨にテロップ入れてもらっただけです」
「店の骸骨(スタッフ)来てるん!?」
 優茂が周りを見回していると。
「天使……?」
「いいえ、アレはトリスさんです」
「なんデスカその小学校英語みたいな会話……って、ワタシがツッコミになりましタ!?」
 馬鹿ナ!?ワタシはボケ役のはず……!?とアイデンティティの危機に崩れ落ちるノインを他所に、狼煙が手を振ると羽を生やした光の塊が降りてくる。
「狼煙さん、無事、だったです、ね!」
「は~ホンマにトリスちゃんやったんや……でもなんで光ってたん?」
「きゅ?アリス、光る、ない、ですよ?」
 両手いっぱいに果実を抱えたアリスが首を傾げると、そのほっぺを狼煙がふにふに。
「ご覧ください、これが輝くお肌……若さの力です……」
「そんなメンタルに刺さる言い方やめてぇな……」
「きゅぅ!くすぐったい、です!!」
 アリスが耳をパタパタさせていると、ノインがフリップをスッ。
※アリスさんの肌が真っ白過ぎて日光を照り返していただけです。猟兵の強靭な肉体美による発光が起こっているわけではありません。
「……この注意書き、いりますカネ?」
 ノインはフリップをぽーいしてスタッフに回収してもらいつつ。
「ちなみにどんなものが獲れましたカ?」
「ぴぃ!マンゴー、バナナ、パイナップル……色々、ある、です!」
「色々ありますネェ……やや!?」
 木を見上げたノインがある一点を示して。
「ご覧くだサイ……缶ジュースの実ガ!!」
「きゅっ!?」
「いやおかしいやろ!?」
 ツッコミは入るが生ってるんだから仕方がない。木の実を模した黄緑の缶には何も書かれておらず、中身は分からないがとりあえずモギッ。
「ちょうど喉が渇いておりマシ……ぶふーっ!?」
 ジュースを口にした瞬間、盛大に噴き出し。
「これグラスカフェだー!?」
「えー?なんで酸味と苦味が入り乱れたスペシャルブレンドってだけでうちのコーヒーだと言えるんですか?」
「じー……」
 苦笑する狼煙を、アリスがじっと見つめて。
「なんで、飲む、ないのに、味、知ってる、です?」
「あっ」
「フッ、事件解決デスネ!」
「え、これ事件やったん……?」
 探偵衣装のノインとスーツ姿のアリス、二人でドヤーン……するのだった。


「爆破漁の時間だオラァ!」
「待ってそのネタもうやりましたし爆破漁は禁止されぎやぁあああ!?」
 浜辺で合流した途端に要が狼煙を海に向かってシューッ!超☆スプラッシュ!!
「狼煙さん!?」
 派手な水柱は上がったけど爆発はしない狼煙を眺め、要が首を捻る。
「しまった、腹マイトしてから投げるべきだったか……」
 撃沈した狼煙の回収に向けてアリスが飛び立つ傍ら、要は木を薄く削り燃料を染み込ませると、解体した野生のチェーンソー(意味深)、そのエンジン部分のイグニッションを利用。着火すると乾燥した枯れ枝をくべて焚火を作る。その周りに石を積み上げて金網を乗せると。
「狼煙!魚は獲れたか!?」
「兎なら獲れました」
「きゅぅ!?アリス、美味しい、ないですよ!?」
 海から引き上げてくれたアリスを抱きかかえて、戦果アピールする狼煙にアリスが首を振った。
「……あの、誰かこれ捌ける人います……?」
 その代わりというわけではないが、アスカが魚を獲ってきてくれたようなのだが。
『なんかB級映画みたいなの出てきたー!?』
「きゅ?B級……?」
 小首を傾げるアリスを横目に狼煙と要が絶叫。遡る事七分ほど前の事……。


「遭難前提でも普通に遊んで帰りそうな気はしますが。それはそれとして大自然の中で過ごすのは気持ちいいのです」
 島に辿り着いたアスカは流木の中から手頃なものを選び、黒曜石を割ったら出てきたサバイバルナイフを、生い茂る蔦を引っ張ったら出てきたロープで括り。
「……いやさすがに用意の仕方がおかしくないかしら!?」
 ツッコまざるを得ない事態はあったものの、無事に銛を獲得。海に繰り出すのだった。
(銛とボウガンじゃ得物としての形態は全然違うけど……)
 狙いすまし、自らの腕を弓として銛と言う名の矢を放つ。
(要領は一緒ね!!)
 射程こそ違うが必要なセンスはかなり近い。的確に魚のエラを穿ち、腰に下げた網に獲物を詰め込んでいく。こうして海の中でもずっしりとした重量を感じるようになった頃。
「さて、もう少し獲ったら浜に戻りましょうか……」
 プカプカ……海の上で仰向けに浮かび、波に揺られていたアスカの視界の端、黒い旗のような物が見えた。
「あそこに見えるのは……鮫!?」
 しかもそれは、まっすぐアスカに向かってきているではないか。既に狙いを定めているらしいそれは音もなく波を割り、凄まじい速度で距離を詰めてくる。
「鮫出るのこの辺!?聞いてないわよ、しかもこっちに来てるっぽい!?」
 ここでよい子の為に説明しよう!鮫は数キロ先からでも血の匂いを嗅ぎつける為、そもそも銛で漁なんかしたらその魚の血の匂いに釣られて、本来は回遊していない海域まで突っ込んでくるから絶対に銛漁なんてしちゃいけないぞ!
「そういう説明なんでここに来る前にしてくれなかったんですか!?」
 私は観測者……ただ見て、記録する事しかできないのです……。
「これだから地の文は!!」
 などと叫んだ所で時すでに遅し。海上に突き出した背びれが迫る!
「逃げようにももう近くまで来てるし……ええい、ままよ!!」
 銛を構えて大きく息を吸う。腹をくくれば逆に頭は冷えてくるもので、冷静に考えれば敵はオブリビオンですらない魚なのだ。
(確か鼻先に感覚器官が集中してて嗅覚が鋭い分、そこを押さえられると動かなくなるって何かで聞いたような……)
 ならば。
(狙うは一点。その鼻っ柱に叩き込んであげる……!)
 鮫が大口を開いた瞬間、高い位置に逃げた鼻先に銛をぶち当てて、怯んで頭を振るった隙に鰓の隙間に銛を突き刺し、首を貫通させて逆側の鰓を穿ち……。


「で、仕留めたのがこちら」
「むー?」
 ひょこ、アスカの後ろから顔を出したニーグラートの顔が、ぱぁあああ……。
「ご飯だぁあああああ!!この大きさなら食べ応えも……」
「たこサメさん!?」
『……え?』
 ノインの叫びに、その場の全員が固まった。
「おぉ、何ということでショウ。遠洋まで遊びに行くと聞いて送り出したらこんな姿デ……」
「え、嘘、知り合いなの!?ていうかたこサメ!?」
「えぇ」
 すっと、ノインが片手で後ろ半身を示すと尾の先端から真っ赤に裂けて、八つの触手に早変わり。下半身に脚を獲得したたこサメさんは立ち上がり、胸鰭を腰に当てて(?)ドヤッ。
「これこのように体の半分がタコになりましテ……」
「新手のモンスターかよ!つうか生きてるじゃねぇか!?」
 要のツッコミにたこサメは脚を器用に使って銛を抜き取るとアスカへ返しつつ。
「で、それが何で私に突っ込んできたの?」
「遊んで欲しかったんじゃないですかネェ……」
 困惑顔のアスカにしみじみと呟くノインだが、ふとアスカが足に違和感を覚えると。
「えっ」
 にゅる……ぬち……触手に絡みつかれてますねー。
「えぇええええ!?」
 ヌルヌルと這い上がる脚が足首からふくらはぎを伝い太腿まで至ると、ぶぅん!
「いーやー!?」
 アスカを振り回して遊び始めたたこサメさんを眺め。
「まぁ、水着だから捲れるスカートもありませんシ、猟兵の肉体強度なら問題ないデショウ」
「そっかー、じゃあ飯だな」
「め し を よ こ せ 」
 巨大な鮫が食べられないと判明し、精神的にも空腹が限界を迎えたニーグラートを中心にお肉を焼き始める一同……。
「ちょ、先に私を助けなさいよー!?」
「さーめー♪」
「あなた鳴くの!?ていうか鮫に鳴き声ってあるの!?」


「バーベキューは全部味見係だよ!お肉お肉お肉お肉!」
 まだ焼けていないにも拘らず、ニーグラートは表面の色が変わった傍から持って行ってしまう。
「きゅ!?お肉、焼けてないと、お腹壊す、するですよ!?」
「私のお腹は頑丈だからへーきへーき!」
 あわあわするアリスもどこ吹く風。バクバクと食ってしまうニーグラートを横目に、アスカがこそり。
「あの人が食べ物に関して駄目だったところ見た事ないんですが……実際、どうなんですか?」
「あの勢いに当てられて、誰かが生焼け肉とってもいいように牛肉を使ってますから大丈夫ですよ」
「へー、そうなんで……牛!?」
 アスカはグリルの肉と店長の顔を二度見した。店の経済状況からして、高い肉は手に入らないはずだ。それが、比較的高くつくはずの牛肉とはこれいかに?
「あの……大丈夫なんですか?」
「大丈夫ですよ?」
「……」
 コリコリコリコリ……焼きもろこしを延々食べ続ける要は知っている。狼煙が『大丈夫』と言う時は本当に大丈夫であるが、同時に何か裏があるということを。
「ほなみんなー、そろそろお魚も焼くでー」
 と、魚の頭と鱗を落とした優茂が網焼きを始めた瞬間、シュバッ!
「魚も出たものから全部たべ……」

 ドグッチァ!!

「ア゛ァ゛ァ゛ーーーーーーッッッ!!!!!!!」
 思いっきり噛みついたりしたせいで、骨が口蓋と舌の両方に突き刺さるという新手の拷問めいた一撃を文字通り『食らって』しまったニーグラート。そのまま砂にぶっ倒れて口を押さえ、びくんびくん。
「やられてしまいました。まさか食い物に反逆されるとは……」
「食事はゆっくりといういい教訓ですね……」
 ぱしゃり。虚ろ目で口を押えたまま涙するニーグラートの姿をカメラに納めると、狼煙は再びグリルで肉を焼きつつ。
「あー……こういうの焼いとるとお酒が欲しくなるなぁ……」
 ホタテにバターを乗せて殻ごと焼きつつ、溶けてきたら醤油を垂らす優茂に、スッと店主が取り出したのは、冷えたビール。
「あるんかい!!え、でもええの?」
「今日は遭難してるわけですからね、飲まないとやってられませんからね」
「ほかほか、じゃあ遠慮なく」
 カシュッ、ぐぃー。一気に飲み干す優茂の姿を写真に残した狼煙だが、何故かカメラを降ろさず……。
「カーッ!……って、これノンアルやん!?」
「まぁね!!」
 ドッキリ(?)に引っかかった顔もしっかりカメラに納めておく。
「きゅ?飲み物、冷やせる場所、あるです?」
「実はクーラーボックスがありましてね。獲ってきた果物を冷やしてから食べますか?」
 ぱしゃり。会話の途中で流れるように写真に。
「きゅ!?恥ずかしい、から、水着の、写真は、だめ、です!」
 などと顔を真っ赤にして抗議するものの、両手は果物で塞がっており隠すことができないアリス。パーカーこそ羽織っているが、少ない布面積にフリルをあしらい、リボンで彩りを添えたビキニは体のラインを際立たせるように紐が結ばれており、ほっそりした彼女の色気を際立たせる。胸元に刻まれた聖印は色白の肌に赤く映え、視線を微かな谷間へと誘導する一枚が残されてしまう。
「あうぅうう……」
 頭から湯気が出るほど真っ赤になったアリスが果物を冷やしに行く傍ら、アスカは苦笑する。
「相変わらずですね……」
「何が?」
「ふぇっ!?」
 と言いつつシャッターは切る。白いセパレート水着だったアスカだが、軍服をイメージしたそれは金細工やネクタイで彩られており、軍帽とワンセット。スーツを思わせる質感を持つそれにミノカサゴのような色鮮やかなパレオを、首裏を通して両端を肩から垂らしお堅い印象を与えるが、丈の短いボトムに腹部を見せるノースリーブは彼女の持つ躍動感を顕し、パレオもまたドレスのような華やかさを抱かせる……のだが、食事中に不意打ちに撮られ、口に串を含んで頬を膨らませて、目を丸くした瞬間が写真になっており、やや幼さを残す一枚に……。
「ちょ、ちょっと店長!?」
「ハハハいい写真じゃないですかー」
「お前フリーダムだな……」
「まぁね!」
 パシャッ。
「……え、俺も?」
 撮影から数秒経ってから要は自分も写真を撮られたと気づく。改めて自分の体を見下ろせば、黒を基調にして青と白のラインが走ったシンプルなダイバースーツ。髪が長い分、泳いだ際の水滴が乾き切らずに潮風で水が顔にかかる髪をかきあげた一瞬が切り取られたところで、決して面白みはないはずだが。
「さてはお前、何か企んでるな?」
「何もありませんよー……ちょっと広告用に猟兵の水着姿の写真を譲ってくれれば食材を提供するってスポンサーが言ってただけで」
「思いっきり黒幕と絡んでるじゃねぇか!!」
「大丈夫ですよ、後日御礼の品として皆さんにお中元送るって言ってましたから」
「何一つ大丈夫な要素がねぇ!?」


「謎の洞窟に地底に住む謎のUMAとか居ると楽しいんだが……居ないだろうな」
 何故か真っ赤に染まったハンマーを担いだ要が、暗くなってきた森の中を探索すると。

 ――カッコーン……カッコーン……

「まあ、オブリビオンは居ないだろうし自然以外には脅威は無いと思うけど……」
 森の奥から何か聞こえてくる。が、もしそれが敵なら狼煙が予知しているはず。
「ってことは、大したもんじゃないはずだが……」
 とは言いつつ、警戒しながら森の中を進んでいくと。

 ――カッコーン……カッコーン……

「アレか」
 森の中の開けた空間。切り倒された樹木を解体し、切り株を土台にして延々木を割る人影があった。全身白装束で美しさすら感じるが、足元まで伸ばされた黒髪に顔は隠され、その間隙から覗く瞳ばかりが血走って夕暮れ時の森の中、怪しくぎらついている。
「……」
 ふと、動きを止めたそれ(体格からして女らしい)は突如声ならぬ異音を天に響かせて、周囲の木々から鳥が一斉に飛び立つ。木々のざわめきの中、カシャン……カシャン……今度は無機質な金属音が要の背後から迫り……。
「あ、薪できましタ?ありがとうございまス」
「お前の知り合いかよ!!」
 中の人こと謎の女性に木を割ってもらっていたノインの登場に、要は盛大にズッコケたという。


「筒よーし導火線よーし、点火!!」
 優茂が火を灯して全力ダッシュで距離を取った数秒後、紙製の箱に到達した炎は火薬を焼き払い……。
「打ち上げ程の派手さはないけど、これもいいわね……」
 色とりどりの炎を噴き上げる花火を眺め、目を細めるアスカの傍ら、貴重な成人枠と言うことで点火を任され走りっぱなしの優茂がぜぇはぁ。
「おかしない?成人なら男性陣全員二十歳は越えとるよね!?」
「俺はこっちがあるからな」
 と、要が構えたのは巨大な大筒。それを砂浜にどっかと降ろし、火をつけると何故か海に向かってダイブ。
「あっ」
「みんなで海いくのー?」
 何かを察したアスカも波打ち際へ駆けていき、その後をニーグラートが追いかけて。
「ロクローくん、どこいく、です!?」
 ぼんやり光る白鰐が海へすたこらさっさした背中にアリスが飛び乗ったところで導火線が燃え尽きて……ッドン!!
「ンンッ……フィィイイイイヴァアアアアア……」
 逃げ損ねた優茂に突風と巻き上げた砂を叩きつけ、風切り音と共に喋る花火玉が空へ飛んでいき。
「タイムでござ……あ、ダメですねコレセリフが間に合わな」

 ッバァン!!

「き、綺麗ねー?」
 夜空を彩るノイン花火を眺めて、アスカが苦笑。その顔が盛大に海水に濡れる。
「ひゃっはー!油断したらびしょ濡れだー!!」
「やったわねー!?」
 後をついてきたニーグラートから思いっきり水をかけられて、笑いながら負けじと水を投げ返すアスカ。不意に、ニーグラートが動きを止めた瞬間に一瞬のフラッシュ。
「うん、いい画になりますね」
「え、店長また撮ってます!?」
「写真にはサインで応えるものだよ?」
 などとニーグラートはしっかりピースしてたりする。花火に夜の波打ち際、騒々しくすらあるはしゃぎ声と共に夜は更けていき……。
「はふぅ……楽しい、だった、です」
 遊び疲れて、巨大な葉っぱを敷布団代わりにアリスは砂浜に寝転がる。優茂組(?)が建てた小屋はあるものの、せっかくだから夜空を眺めて眠りたかったのだ。
「ちょっと、ロマンティック……」
「いい夜空でしょう?」
「狼煙さん?」
 アリスの隣で横になり、狼煙は星々の煌きを示して。
「この星空は、実は町中の昼間でも広がっているんです。それが、こうして照明のない夜にだけ見えるようになるって考えると、ちょっと不思議な気持ちになりません?」
「そう、ですね……」
 すぐ横から、彼の声がする。日も沈み、涼しくなってきたというのに体が火照る。手を伸ばせば届く……けれど。
(なんだか、お星さまみたい、です)
 届きそうで、届かない。そのもどかしい距離間に、アリスはちょっとだけ頬を膨らませてから目蓋を降ろすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月07日


挿絵イラスト