●ゴリラ・アウェイクン
街の平穏をぶち破り、響く爆音。
その音源が、かつてヴィランの研究施設だったことなど、人々は知る由もない。
そんな禁忌のエリアから出現したものもまた、禁忌のモンスターであった。
半壊した建物の陰からのっそりと姿を現したのは……ゴリラ。破れた白衣をまとった、10メートル級の巨大ゴリラである。
「ハハッ、最高の素材は自分自身というわけだ……!」
巨大ゴリラ博士は、自分の性能を実験すべく、街の中心部へと進路をとった。ビル立ち並ぶ、人々の集まる場所へと。
そして、廃墟と化した研究施設から、現れるもう1つの人影。
「間に合わなかったか、クソッタレがッ! だが、『奴』の考えてる事なんざァお見通しだ。この『メラ・キメラ』様がバラバラにしてやっから覚悟してやがれ……!」
黒と黄のバトルスーツに身を包んだ、虎の獣人。
コウモリの翼を広げ、空へと向かったその正体は……ヒーローだ。
●猟兵ズ・ミッション
ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)は、ヒーローズアースにおける猟書家の暗躍を予知したと報告した。
「幹部猟書家『ドン・ガルシア』 が、放棄されていたヴィランの研究施設を再利用。巨大オブリビオンを誕生させ、街を破壊する作戦を開始したのでございます」
巨大オブリビオンの素体となったのは、『シュヴェルマー・ザ・プロフェッサー』。高い知性を有する、ゴリラ型のヴィランだ。
シュヴェルマーは、ドン・ガルシアによる強化改造……『スナーク化』が施され、巨大化&モンスター化。脅威度が、更にアップしているという。
「スナーク化シュヴェルマーは、胸を叩く行為……すなわちドラミングによって、内なる生命エネルギーを増幅。防御用のオーラを発生させるのでございます。このスキルを、ゴリラ・オーラ……略して『ゴリーラ』と呼称致します」
ゴリーラ。
ドンの目的は、巨大オブリビオンの破壊により、『スナーク』を恐怖の代名詞として、人々の心に焼き付けることにある。
しかし、悪あるところに正義の味方あり。
敵の動きを察知していたヒーローがいると、ヴェルタールは説明した。
「この青年『メラ・キメラ』氏は、元々ドン・ガルシアによって生み出されたバイオモンスター。しかし、正義の心に目覚め、ヒーローとして活躍しているのでございます」
コウモリの翼を持つ、虎の獣人だ。組み込まれたバイオ遺伝子により、全身から炎を発することも可能。
熱エネルギーを扱う能力者であるメラ・キメラは、同じようにシュヴェルマーの扱うゴリラ・オーラの弱点を見破る事ができるという。となれば、力を借りない手はないだろう。
「スナーク化シュヴェルマーを食い止めれば、首魁たるドン・ガルシア自らが姿を現します。自身も巨大化変身能力を発揮し、猟兵と街に恐怖をもたらすでしょう」
しかし、メラ・キメラにとって、ドンは生みの親。その能力や動きの癖も把握している。
それらを上手く突くことが出来れば、猟書家といえども、優位性を保つ事は不可能。
「ヒーロー殿の知識と正義の心をお借りして、ドン・ガルシアめの企みをズバババーンッと食い止めてくださいませ」
クワっ。
ヴェルタールの目が、赤き閃光を放った。炎の如く。
七尾マサムネ
当シナリオは猟書家シナリオです。
全2章で完結します。
●1章
巨大怪獣化した『シュヴェルマー・ザ・プロフェッサー』 と交戦します。
通常のユーベルコードに加え、ドラミングにより発生させるゴリラ・オーラ、すなわち『ゴリーラ』による防御を行います。
●2章
巨大変身した『ドン・ガルシア』 との決戦です。
●バイオモンスター・ヒーロー
ヒーロー名『メラ・キメラ』。
コウモリの翼を生やせる虎人で、炎を発する能力を持ちます。
多少口は悪いですが、人々を守り悪を砕く、立派なヒーローです。
戦闘能力こそ猟兵に劣るものの、ヒーロー活動の経験を生かして猟兵を助け、敵の弱点も教えてくれます。
●プレイングボーナス(全章共通)
バイオモンスターのヒーローと共に戦う。
もしくは猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗る(敵がスナークの名の元に恐怖を集める企みを妨害します)。
それでは、皆様のご参加、お待ちしております!
第1章 ボス戦
『シュヴェルマー・ザ・プロフェッサー』
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POW : バイオレンス・インジェクション
【自身が開発した薬を注射して筋骨隆々の巨体】に変形し、自身の【理性】を代償に、自身の【攻撃力と耐久力および攻撃範囲】を強化する。
SPD : デストラクティブ・サイクロン
【両腕を大きく広げ高速回転する事により竜巻】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 「行けィ!ワガハイの忠実なるシモベたちよ!」
【高い知能を持つ十一匹の猿の軍団】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
イラスト:くずもちルー
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠麻上・若尓戈」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「インテリ・ゴリパンチ!」
剛腕の一振りと共に、砕けるビル。
巨大シュヴェルマー・ザ・プロフェッサーのもたらす、破壊の始まりだ。
「せっかくの力を破壊にしか使えねえのか、デカゴリラ!」
一足先にビル内の避難を終え、飛翔してきたのは、メラ・キメラ。
スナーク化し、巨体を獲得したシュヴェルマーは、小さきヒーローを見下ろして、口もとをゆがめた。
「これは破壊ではない。儀式だ。世界に『スナーク』の名を刻む、崇高な儀式なのだよ」
「スーコー? 言葉の意味わかって使ってますかゴラァ!」
カッ!
両の掌から、炎の塊を放つメラ・キメラ。
「こんがり焼けちまえ、ダブルフレイム!」
「おっと効かんなァ?」
シュヴェルマーがドラミングを行うと、炎は一瞬でかき消される。スナーク化によって得られた、防御の力だ。
「ゲゲッ! テメエ、ウホウホして防御とか、個性生かし過ぎなんだよ!」
悪態をつきつつ、攻めあぐねるメラ・キメラ。
ピンチのヒーローを救うのは、誰か……そう、猟兵だ!
夜鳥・藍
UDCやヒーローズアースでは巨大化はお約束なんでしたっけ?
確かにわかりやすい行動ですけど……なぜだか腑に落ちないです。
ドラミングをさせないのが手っ取り早いですけど……申し訳ないですけどメラさんに陽動をお願いします。その間に私は目立たないように且つ念動力で自身を浮かし飛び、背後から敵の腕に神器鳴神の投擲攻撃を直接仕掛けましょう。もちろん、メラさんの攻撃を防ぎ終わった隙をついてドラミングの防御に邪魔されないようにします。命中さえすればそのまま竜王の召喚し雷撃による攻撃を続けます。
私自身も青月による直接攻撃をすることで、またメラさんにも攻撃を続けてもらうようにします。
夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は、ゴリラを見上げた。
人によって造られた街並みに、影を落とすほど巨大なオブリビオンを。
「UDCやこの世界では、巨大化はお約束なんでしたっけ? 確かにわかりやすい行動ですけど……なぜだか腑に落ちないです」
ユーベルコードで体のサイズを変化させるのとは、また違う原理。というか、常時発動型はずるいのではないか。
ぎろり。スナーク化シュヴェルマーの双眸が、藍をとらえた。怪物化らしからぬ理性の光を感じさせる。
「猟兵の妨害など想定済み。それゆえの強化よ」
ぶうん!
振るわれる剛腕。打撃された道路は砕け、衝撃でビルのガラスはたわみ、街路樹は根まで露わとなる。
「かわしたか。ならば、コレを試してみようではないか」
シュヴェルマーが、白衣のポケットから取り出したのは、注射器。相応にサイズアップしたその針を、自らの腕に突きさす。
すると、藍の眼前で、シュヴェルマーの筋肉が更に膨張した。瞳の理性を代償として。
「この筋力でドラミングすれば、例の『ゴリーラ』のパワーもさらに増す、というわけですか……」
「物理という真理の前に、ひれ伏すがよいィ!」
肥大化した両腕を振り上げるシュヴェルマー。
「メラさん……陽動、お願いできませんか?」
「申し訳なさそうな顔しやがって……フン、世界一の囮をやってやらァ!」
藍に答えると、翼を広げたメラ・キメラが、シュヴェルマーに飛びかかった。
「燃えろやぁ!」
「燃えんわァ!」
激しいドラミング。範囲も防御力も強化された『ゴリーラ』が、メラ・キメラの炎攻撃を弾く。
だがその間に、藍は、建物などの遮蔽物を利用しつつ、念動力でふわりと浮遊。
攻防の一瞬、敵のドラミングが中断されたわずかな隙を、藍は逃さなかった。
敵の背後、ビルの陰から飛び出した藍は、黒い三鈷剣を繰り出した。
狙いは、シュヴェルマーの腕。打撃やドラミングの起点となる、重要な部位だ。
「……刺されたか?」
「平然としていられるのも今だけです。竜王招来!」
藍の元に、顕現する竜王。雷を解き放ち、シュヴェルマーの全身を蹂躙する。
更に、雷の余波を浴びて威力を増した藍の青月、そしてメラ・キメラの炎の渦が、シュヴェルマーを押し返す!
「助かりましたメラさん」
フン、と、鼻を鳴らすメラ。
「いいか? 俺の技に合わせられる奴なんざ、ヒーローでもそうはいねぇ。そういう事だぞ!」
「はあ……」
どうやらメラは、藍を認めてくれた、らしい。
成功
🔵🔵🔴
火土金水・明
「私は猟兵組織『秘密結社スナーク』の一員、『魔法少女ブラックマルス』。」「相手が猿の軍団でしたら、たき火で溶かしたチーズで攻撃も考えたのですが、食べ物を粗末にはできませんので。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『シュヴェルマー・ザ・プロフェッサー』と猿の軍団達を纏めて攻撃します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。
メラ・キメラに、シュヴェルマーの剛腕パンチを振り下ろす。
「質量こそ真理……ムゥ? 手応えが、ない?」
打撃地点である道路から、拳を上げるシュヴェルマー。そこにメラの姿はない。
「猟兵が、余計な真似しやがって。今のくらい自分で避けられたっつの!」
ビルの上。
メラの抗議を受けるのは、彼を潰される運命から救い出した火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)だ。
「避ける労力が一回分浮いた、くらいに考えてください」
「ちきしょう、借りとは思わねえからな!」
メラと明のやりとりに、シュヴェルマーが割って入る。
「何ものだ?」
「私は猟兵組織『秘密結社スナーク』の一員、『魔法少女ブラックマルス』」
「スナーク!」
明の勇姿を見上げ、ざわめく民衆。
スナークは人々の味方である……明のもたらす認識を上書きするように、シュヴェルマーは顎をさすり、告げる。
「スナークの名を騙る愚か者がァ。ならば、来ませい! ワガハイのインテリジェンス・アーミー!」
「御意!」
シュヴェルマーが、自らの戦力を街に放つ。
文明社会を蹂躙せんとする、叡智持つ十一の猿達。
「相手が猿の軍団でしたら、たき火で溶かしたチーズで攻撃も考えたのですが、食べ物を粗末にはできませんので」
襲来する敵軍に向け、地上に降りる明。風を浴びながら、七色の杖をくるりと回す。
着地と共に、励起する魔力。周囲の道路や建物が、白く染まり始める。
そして、街は氷獄に変わった。いかなる守りも突破する氷の矢が、シュヴェルマーと猿軍団へと降り注ぐことによって。
「こちらにはワガハイのオーラがあると知れィ!」
ドラミングによって発生したオーラ防壁、すなわち『ゴリーラ』が、氷の矢を跳ね返す。
その総数、555本を正確に数えられたものは、この場にはいなかったであろう。あらかじめ知る明を除いては。
束となって襲い来る冷気の全てを防ぎ切ることは、シュヴェルマーにとっても容易ではない。
自分と猿軍団を守る為、ドラミングを継続し続ける事は、不可能であった。
「ぐホッ……!」
必死に動かす腕が悲鳴を上げ、遂には血を噴き出す。だがそれすらも、溢れたそばから氷気に触れた途端、一瞬で凍結してしまう。
「根比べは、私の勝ちのようですね」
「むうう、ワガハイのドラミングが、破られるだと……?」
明を見下ろしつつ、だらり、腕を降ろすシュヴェルマー。
その足元では、十一猿が氷像となって、街を彩るオブジェと化していたのである。
成功
🔵🔵🔴
スピネル・クローバルド(サポート)
『お姉ちゃんに任せておいてね♪』
妖狐のクレリック×アーチャーの女の子です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、兄弟姉妹には「優しい(私、~君、ね、よ、なの、なの?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は温厚で人に対して友好的な態度をとります。
滅多に怒る事はなく、穏やかです。
怖そうな敵にも、勇気を持って果敢に挑む一面もあります。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)は、たじろいでいた。
こちらを、10メートルの高さから見おろす、白衣の巨大ゴリラを前にして。
「猟兵とは、ヒーロー以上に多様なものだなァ、研究に値する」
可憐なるスピネルを観察する、巨大ゴリラ型オブリビオン……シュヴェルマー。
猟書家によって、恐怖をもたらす怪物『スナーク』へと改造されながらも、ゴリラらしからぬ知性は健在のようだ。
ビル並みの巨体を前にして、スピネルは、勇気を振り絞った。
「ヒーローさん、力を貸してくださいませんか?」
「ケ、こんなデカゴリラ、俺だけでもイケるけどよ」
荒々しき虎人ヒーロー『メラ・キメラ』は、スピネルに対しても荒々しいようだ。
「けどな、街が余計なダメージ喰らうのは気に食わねえ。行くぞ!」
スピネルの答えも聞かず、シュヴェルマーに飛びかかるメラ。その背中から生えたのは、コウモリの翼。彼がバイオモンスターである証拠だ。
闇雲に敵に攻撃を仕掛けた……わけではない。スピネルに援護を託し、自ら囮になったのだ。
そのことに気づくのに、スピネルは若干の時間を要したが、これはむしろメラの説明不足というやつであろう。意志疎通、大事。
「聖樹の大弓……私に力を」
弓を構え、矢をつがえるスピネル。その標的となるシュヴェルマーは、更なる変貌を遂げようとしていた。
「全く害虫というのは厄介だ。生命力ばかり無駄に特化している」
シュヴェルマーが、自分の腕に注射針を差した。注射器も、身体に合わせて巨大なものだ。
「さらば理性、ようこそパワー!」
シュヴェルマーの全身の筋肉が肥大化した。投与した薬剤が、パワーアップを促したのだ。
「ウガァアア!」
力の代償は、理性だ。空中を飛び回るメラを、獣のごとく両腕で追い立てる。得意のドラミングも忘れたかのように。
「今だ!」
メラが、スピネルに言葉を投げた。
その弓が、変形する。威力・性能の増大に伴って速力を失うが、メラのお陰でターゲットは釘付け状態。動く必要は、ない。ただ、射るだけだ。
「ウホぉぉぉッ!?」
シュヴェルマーの体に、スピネルの矢が次々と炸裂した。
距離は遠いが、問題は無い。連射速度も万全で、シュヴェルマーに回避も防御も許さない。
何より、破城弓形態と化した状態だ。いかに巨大ゴリラであろうとも、問題なく駆逐する!
「割と容赦ねぇのな……」
協力に感謝を。
微笑むスピネルに、さしものメラも、その実力を素直に認めるしかなかったようだ。
成功
🔵🔵🔴
シェーラ・ミレディ(サポート)
※OK:シリアス
※NG:エロ、ネタ、コメディ、心情系
※傭兵的なスポット参戦
称号通り、僕の身体を維持するための金儲けと、弱者をいたぶる醜い行いが許せぬ義侠心が行動指針だ。
美しいものは愛でるべきだが、恋愛には結びつかないなぁ。
性格ブスは醜い。見るに堪えん。
複数の精霊銃をジャグリングのように駆使する、彩色銃技という技(UC)を使って、敵を攻撃しようか。
敵からの攻撃は基本的に回避する。が、護衛対象がいるならかばうのも検討しよう。
……嗚呼、僕を傷付けたなら、代償は高くつくぞ!
街に、人々に、『スナークによる恐怖』をもたらさんとする巨大シュヴェルマー。
その暴虐を阻む剣として、新たに舞い降りたのは、シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)だった。
「ヴィランよ、その首にかけられた賞金があるならば、この僕が貰い受けよう」
「討伐対象のように扱われるのは好かぬなァ。そこのヒーロー同様、這いつくばらせてやるわ」
くいっ、とシュヴェルマーがあごで指し示した先には、戦いで疲弊したヒーロー……メラ・キメラの姿がある。
シェーラの動機が金儲けなのは、紛れも無い事実。しかし、圧倒的優位にあぐらをかいて、正義に燃えるヒーローを蹂躙する行為を見逃せぬのも、また事実なのだ。
「真に知性あるものなら、他者をいたぶる己の姿に疑問を抱くはずだろう? 所詮は外見通りの野獣に過ぎない、というわけだ」
「ムゥ、舌戦に付き合うつもりはない。人々に真に恐怖をもたらすのは言葉ではなく、暴力、圧倒的破壊なのであるからな!」
ごうん!
シュヴェルマーが、巨腕を道路に叩きつけた。衝撃で浮き上がる自動車達。そして、建物の陰から現れたのは、悠然と歩いてくる人影。
否、猿だ。十一の猿が、シュヴェルマーの兵力として現れたのだ。
「我がシモベ達よ! 力こそ真理、最高の叡智だと教授してやれィ!」
「御意!」
数を利用した連携が、シェーラを包囲する。
ただ無謀に飛びかかって来るだけではない。街灯や停車中のバイクなどを遮蔽物、あるいは足場として、シェーラの包囲。退路を断つ構えだ。
だが、シェーラは一歩も動かない。背後に負傷したメラ・キメラを庇っているから……理由はそれだけではない。
「動かず対処する自信があるとでも言いたいのかね?」
「わかっているじゃないか」
嘲笑したはずのシュヴェルマーが、シェーラによって嘲笑を返された。
そして構えたのは、二挺拳銃。
正答の報酬として、銃口から放たれたのは、精霊をまとった、魔法弾。
シェーラが引き金を引くたび、千変万化の華が咲く。ある猿は火に包まれ、またある猿は風に全身を引き裂かれる。
あるいは、水流に押し流され、逃げた先の地面の割れ目に呑みこまれる。
彩色銃技・華燭之典……精霊銃を華麗に持ち替え、間断なく撃ち出された精霊弾が、十一猿を駆逐するのには、一分とかからなかった。
「さあ、チェックメイトだ」
シェーラの言葉が、現実となる。
『羞花閉月』が、シュヴェルマーに防御の隙を与えず、銃創を刻むのだった。
成功
🔵🔵🔴
陽向・理玖
しっかし
キャバリア乗ってても10m級はさすがにでけぇわ
でも巨大化ゴリラって…
何番煎じだよ
ヒロアスじゃ大して珍しくもねぇな
とはいえ
負けらんねぇ
覚悟決め
頼むぜスタークドラゴン
で、えーと
弱点どこ?
メラ・キメラと協力
フェイントに衝撃波で目晦まし
残像纏いダッシュで間合い詰めグラップル
教えて貰った弱点見極め的確に殴る
なるほど
さすがだな
つか
森の賢者だっけ?
パワーアップはいいけど台無しだな
何も考えてねぇじゃん
そんな見え見えなのに当たるか
動き見切り
ヒット&アウェイ
足元見えてねぇんだよ
低めに攻撃当てつつ
ドラミングの防御掻い潜りさらに姿勢低くし足払いでなぎ払い
吹き飛ばしてダッシュで追いかけ追い打ちしUC
陽向・理玖(夏疾風・f22773)は、スナーク化シュヴェルマーへと、呆れの眼差しを向けた。
「10m級はさすがにでけぇわ」
そんな理玖自身、メラ・キメラや市民から見上げられる立場だ。『STALK DRAGON』に搭乗しているゆえに。
「けど巨大化ゴリラって、何番煎じだよ。ヒロアスじゃ大して珍しくもねぇな」
「それだけゴリラが強靭であり、汎用性に富む存在だという証明であるゥ!」
キャバリア内の理玖が半目になっている事を知る由もなく、シュヴェルマーは、誇らしげに胸を張った。
「それこそありがちな奴って事だろうが。とはいえ、負けらんねぇ。頼むぜスタークドラゴン」
覚悟を決める理玖の前、懐から取り出した注射器を、腕に刺すシュヴェルマー。注射器すら巨大化している。
「さァ、理性よ力に変われィ!」
激戦を経てボロボロになっていた白衣を引きちぎり、膨張する筋肉。
瞳からも理性の光が消え、純度百パーセントの巨大ゴリラの誕生だ。
「ゴリィィぃぃぃ!!」
「つか森の賢者だっけ? パワーアップはいいけど台無しだな」
衝撃をまとって繰り出される敵の剛腕を、しかし、理玖は、軽々とかわす。
「そんな見え見えなのに当たるか。で、えっと、メラ・キメラ? 弱点プリーズ」
「弱点だあ?」
そして始まるドラミング。発生する防御フィールド。ゴリーラ。
「エネルギー放出系能力ってのはな、広範囲に発動し続けるのは正直だりィ。必ず手ぇ抜いて力場の薄いとこがある。そこ狙え!」
「なるほどな、助かる」
衝撃波で相手の目をくらましながら、応える理玖。
交互に、攻撃を加える理玖とメラ。その間、シュヴェルマーはひたすらドラミング。
2人は、どちらからともなく二手に分かれた。
メラが正面から炎熱をぶつける間に、理玖は残像を伴った機体を走らせ、間合いを詰める。
「そこだ!」
メラの指示、すなわち、敵の背後。
実際、オーラの護りが薄い。だから、殴った。
手応え、あり。
「なるほど、さすがだな」
「グゥ……!」
ビルの壁面に手をつき、態勢を立て直すシュヴェルマー。その視界に、スタークドラゴンはいない。
「足元見えてねぇんだよ」
下段からの攻撃を喰らい、シュヴェルマーが後退する。
再び始まるドラミングの防御を掻い潜り、スタークドラゴンが、低い姿勢から足払いを仕掛ける。
よろめく巨体。
青き風となってその横を駆け抜けると、ゴリーラの消失した背後から、超速の打撃を浴びせる!
「ゴ……ハッ……!!」
白目を剥くシュヴェルマー。
筋肉の萎んだ巨体が、轟音と共に地に伏した。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ドン・ガルシア』
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POW : 巨怪君臨
【禁断の研究】に覚醒して【首のない巨人型バイオモンスター】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 捕食学習
自身の【変身したバイオモンスターの見えざる大口】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[変身したバイオモンスターの見えざる大口]から何度でも発動できる。
WIZ : 可愛い子供達
【かつて量産した強化人間やバイオモンスター】の霊を召喚する。これは【銃火器】や【ユーベルコード】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:tora
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「音取・金枝」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
街に響き渡る、雄叫び。
人々に恐怖を植え付けんとしたスナーク化シュヴェルマーが、骸の海に還っていく声だ。
1つの巨悪が消えた後。
新たに響いて来たのは、拍手だった。
「いやあ~猟兵の諸君、毎度鮮やかなお手並みだ。スカウトさせてはもらえんかね?」
現れたのは、マフィア風の出で立ちの男性。猟書家、ドン・ガルシア。
メラ・キメラの眼光が、殺意を帯びる。
「心にもねえことを口走るのは相変わらずだな、クソオヤジ!」
「おや、出来損ないのボウヤじゃないか」
ドンが、メラに笑顔を向けた。
久しぶりに会った、仲の良い息子に向けるような表情。
しかし、メラの虎顔は、憎悪で満ちている。反抗期というレベルではない。
「こんな体にしてくれやがった『恩』、今日こそ返すぜ!」
「そうかそうか。それならスナークの宣伝ついでに、『親子喧嘩』といこうか?」
めきめき、とドンの体が、不穏な音を立てる。
せっかくの高価な衣装が破られ、常人の姿が捨てられる。
シュヴェルマーに匹敵する巨体が、街に影を落とす。
「さあご覧あれ、これがスナークだ。惜しげもなく恐怖してくれたまえ市民諸君。そして猟兵諸君!」
「どんなカッコになろうが、テメエの癖なんざお見通しなんだよ! 手ぇ貸せ猟兵、このクソ野郎を地獄行きにしてぇならな!」
宣言する巨大ガルシアへ、そして猟兵へと、吠えるメラ。
ヒーローと猟兵、そして猟書家。
役者は揃い、決戦の幕が上がる!
編堵・希亜(サポート)
「……なに?」
「そうなんだ。」
「私は、私だよ。」
囚人服のようなものを着て、いつも黒猫のぬいぐるみを抱えた女の子。口数は少なく、人見知りで猜疑心は強いものの、猟兵としての仕事をこなすためなら、それなりに人と付き合っていける。
甘い物が大好きで、食べればすぐに機嫌がよくなる。嫌いなモノは、かつて自分のいたアリスラビリンスの世界と、それを連想させるもの。
戦闘では、自分ではあまり戦わず、自身に宿るオウガの『カイ』を戦わせたり、ぬいぐるみをバロックレギオンとして相手を押しつぶしたりする。
『カイ』は上等なドレスを着たラミアで、少し高飛車な話し方。宿主の身は守り、敵には容赦がない。『さぁ、敵はどこかしら!?』
巨人型バイオモンスターと化し、街に恐怖の象徴として君臨せんとする、猟書家『ドン・ガルシア』。
それに相対したのは、虎の頭とコウモリの翼持つバイオモンスターヒーロー、メラ・キメラ。
そして、つぎはぎだらけのぬいぐるみを抱えた、1人の少女……編堵・希亜(蛇に囚われた少女・f19313)だった。
「おいガキ、戦うつもりか? 葬式代は出せねえぞ!」
「そう、ですか」
荒い態度ながら身を案じるメラに、ぽつり、と返す希亜。
目の前のガルシアは、希亜の心を波立たせる。どこか、アリスラビリンスの雰囲気を思い出させる異形だったから。
「……カイ」
「ふふ……お呼びとあれば」
「!?」
メラが、飛びのく。希亜の体から現れた、ラミアの姿を目の当たりにして。
「おま、腕……って、そいつがお前の能力ってわけかよ」
「違う、カイ、です」
「カイよ」
ドレスを纏ったラミア……カイから蠱惑的なウインクを飛ばされたメラが、目を白黒させた。
「おおっと、おしゃべりは後にしてくれたまえ、今はショータイム中なのでね」
巨大ガルシアが、更なる変貌を遂げる。首なしの巨人が、更に全身の筋肉を肥大化させたのだ。
「あれ、何でしょう」
「アイツは怪物好きすぎて、自分の体まで改造しやがったイカれ野郎だ。覚えとかなくていいぞ!」
「わかりました」
メラとの共同戦線を展開する希亜に従い、カイが巨大ガルシアに攻撃を仕掛けた。
巨体そのものを武器として暴れ回るガルシアに対し、青白い炎を繰り出す。
「テメエも炎使いかよ!」
「私の方が上ね。炎は青いほど温度が高いって言うでしょう?」
「ケ、焼いた量が多い方が強ええんだよ!」
張り合うように、ガルシアを焼いていくカイとメラ。
「そのような炎だけでは、このバイオボディを凌駕することなどできはせんよ!」
「まァそうだろうな。おい蛇女!」
「あら、随分な呼び方じゃなくって?」
メラが、カイに何か呼び掛けている。しばしのやりとりの後、2人は攻撃を再開した。
「だからバカの一つ覚えでは……」
適当にあしらおうとしたガルシアに、炎の塊が激突した。
「何?」
「テメエの癖だよガルシア! 振り返る時、無意識に右側を向く! つまり!」
「左側がおろそかになるってことよね」
ぐい、とガルシアの体が、引っ張られる。カイの蛇身に巻き付かれたのだ。
メラの炎が、自由を奪われたガルシアに叩きつけられるのを見て、希亜が小さくうなずいた。
成功
🔵🔵🔴
琶咲・真琴(サポート)
灼滅者の両親を持つ9歳の男の娘
母親に憧れて女装している
膝上15cmのスカートは正義
普段の一人称はボク
二人称はあなた、呼び捨て
口調は敬語が基本
大切な人とや本音で話す時は素に戻り
一人称がオレになったり男口調になる
familia pupa(2体の男女の片翼人形)を
お祖父ちゃん、お祖母ちゃんと呼び
いつも連れ歩いている(目立つ場合は肩掛け鞄の中にいる
戦闘
指定したUCを状況に合わせて使う
例え依頼の成功の為でも
迷惑行為はせず、
公序良俗に反する行動はしない
アドリブ
連携大歓迎
ヒーローズアース。文明の象徴であるビル街を、巨人が蹂躙しようとしていた。
猟書家『ドン・ガルシア』。
バイオモンスター技術で自ら巨大化したヴィランが、『スナーク』による恐怖をもたらそうとしている光景だ。
それを見上げるのは、1人の男の娘……琶咲・真琴(1つの真実に惑う継承者・f08611)。
「おやおや、お嬢ちゃん。早く逃げないと潰されちゃうよ? それとも血だまりになってみんなを怖がらせてくれるのかなあ?」
ガルシアの、いかにも『悪い大人』らしい口調も、真琴をおののかせることはできなかった。
「あなたが悪いことするのなら、ボクがお仕置きします。お祖父ちゃん、お祖母ちゃん」
その通りだ、というように、かたわらの片翼人形familia pupaがうなずく。
うなずき返す真琴を見ていたのは、ガルシアに作られながら反旗を翻したバイオモンスター・ヒーロー『メラ・キメラ』だ。
「ヒーロー……いや猟兵! そんなぬいぐるみで何ができんだよ!」
ビームが出せる。
2体は真琴の意のまま、自在に飛び回る。巨大ガルシアにビームを浴びせ、あるいは接近して体術を繰り出す。
「そちらがそう来るなら、こちらはこう行こう。可愛い子ども達よ!」
巨大ガルシアの下方から、次々と影が産み落とされた。
揃いも揃って、異形の怪物。かつてガルシアが作り出したバイオモンスター、その霊体だ。
「死してなお劣らぬ性能を見せてやれ!」
ガルシアの号令一下、霊体が攻撃を開始した。銃火器をぶっぱなし、あるいは念動力など特殊パワーを振って、真琴達を殲滅せんとする。
しかもその攻撃対象には、周囲の市民達さえ含まれていた。
「ちきしょう、この数じゃ一般人を守り切れねえ……!」
「ならボクがなんとかします」
苛立つメラに、真琴が、落ち着いた口調で助け舟を出した。
虚空より現れたのは、ヒーロー。真琴の想い描いた救い主達だ。
もはや軍団と言える数を誇る彼らは、真琴達の代わりに、逃げ遅れた市民たちを救助にかかった。
「やるな! 後はガルシアをぶちのめすだけだ!」
メラが、コウモリの翼を広げ、敵陣を駆け抜けた。放った炎が、霊体を駆逐していく。
「ついてこい猟兵!」
familia pupaを伴った真琴が、メラに続く。
「ガルシア! てめえは右ばっか見て左がお留守なんだよ!」
メラの誘導によって生じた死角から、真琴が攻撃を仕掛ける。
左右から敵を挟撃する、2体の天使。
二条の光線が、ガルシアの強化細胞を、撃ち抜いた。
成功
🔵🔵🔴
アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPDの方がクリアしやすいと判断したら、そちらを使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使う形です。
主に銃撃UCやヴァリアブル~を使う雰囲気です。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
他人の事は気にしない素振りを見せますが、基本、不器用なので、どう接したらいいのかわからない感じです。
ですが、合せるところは合せたり、守ってあげたりしています。
特に女性は家族の事もあり、守ってあげたい意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。
虎人のヒーロー、メラ・キメラを屈服させ、街に恐怖をもたらさんとするドン・ガルシア巨人態。
その必殺の剛腕が、弾き飛ばされた。一機の白き巨人によって。
アス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)の駆る『アクアブループラチナⅡ』だ。
その機体は、ガルシアの半分ほどではあるが、出力自体はバイオモンスターに何ら劣るものではない。
「力を貸すぞ……」
颯爽と現れた白亜の機械騎士に、メラは、けっ、と苛立つような態度を見せた。
「猟兵ってのは、どいつもこいつもお人好しが過ぎんだよ! ヒーローか! 助かるわ!」
ツンデレを自白するようなメラの言動に、コクピットのアスは、ふ、と薄い笑みをこぼした。
もっとも内心では、このヒーローとどう接するべきかと、困惑していたのだが。
「2人ならば、この巨体に抗する事も、難しくはあるまい」
「なるほど、1足す1は3にも10にもなるタイプの思想かね? 面白い、強き心を打ち砕いてこそ、スナークの名は恐怖の代名詞として刻まれるのだ!」
両腕を掲げたガルシアが、巨体をいっそう膨れ上がらせる。首のない魔神が、アスとメラへと力を振るう。
「行くぜ猟兵!」
メラが先行した。コウモリの翼で大気を打ち、ガルシアに肉薄する。
そしてアスもまた、それに合わせる形で、挟撃を仕掛ける。
メラはいかにもとっつきにくいタイプだが、アスも器用な方ではない。
だが、戦いとなれば話は別だ。下手に言葉を介するよりも、お互いの挙動が、自然と連携を生んでいく。
「子どもの癖は、親として把握しておかないとねえ?」
「ぐ!」
炎を浴びせるメラを、ガルシアの腕がつかんだ。
その隙を逃すまいと、反対側から飛び込んだキャバリアもまた、もう一方の巨腕が食い止める。
「別々に攻撃してこちらを翻弄する算段だったのだろうが、性能差は埋められなかったようだねえ?」
「へっ、そうやってすぐつけあがるのがテメエの『良い』癖だぜ」
メラが、凶暴な笑みを浮かべる。
アクアブループラチナⅡは、脱力したように四肢をだらん、と提げている。
「まさか!?」
ガルシアの背後に、人影がある。機体から脱し、今まさにフルバーストを決めようとしているアスの姿が。
「隙は……逃さない!」
装甲、展開。
両足に内蔵された、無数の弾丸とミサイルが射出される。
つかんだメラ達を盾にする間もなく、巨人ガルシアは、火力の嵐の中へと呑みこまれて行ったのだった。
成功
🔵🔵🔴
夜鳥・藍
続けての巨大化は二番煎じでは?それに宣伝というけど先程と同じでは二番煎じで芸がないのでは?
さてこの方の隙というか癖はどういうものでしょうか?
メラさんに冷静に聞く事で彼もまた落ち着いてくださると良いのですが。
でも無駄におシャベりなさるような方の気もしますね。
聞く事が出来たらそれを目安に青月を構え雷公天絶陣を放ち、召喚された霊諸共雷で攻撃してしまいます。ユーベルコードならともかく銃火器相手なら雷の一撃で誤作動を起こせるでしょう。
私の方が目立つならメラさんには隙をついて貰えますし、逆でも構いませんし……。
さらに天絶陣の放った直後にそのまま青月で斬りこむのも考えます。
罠は二重三重に張るものですからね。
夜鳥・藍は、人々の目に、記憶にその恐怖を刻み付けんとするドン・ガルシアに、苦言を呈する。
「続けての巨大化は二番煎じでは? それに宣伝というけど先程と同じでは芸がないのでは?」
「フフ、記憶に残るには、シンプルなほど良いのだよ。加えて、同じものならば、『スナークからはどうやっても逃れられない』という呪縛をかける事も出来るだろう?」
ガルシアの弁に、そこまで単純なものでしょうか、と藍は疑問を呈したが、いずれにせよ敵は止める。
そのためにも、ヒーローの助力は欲しいところ。
だが、仇敵と言える相手を前にして、メラはいささか冷静さを欠いている様子。
「あの巨人を倒すには、どうするのが効率的でしょうか?」
「効率なんざどうでもいい、勝つ方法を教えたらあ!」
くわっ。
ガルシアへの怒りもそのままに、藍の方を向くメラ。
「奴には古傷がある。自分を改造した時に克服したつもりでいやがるが俺にはわかる、無意識にかばってやがるから動きが鈍くなる……!」
なるほど、と藍は思った。よく喋るガルシアに作られたゆえか、メラ自身も喋るのが好きなのだろうと。
けれど、それを言えば怒りを買う事は目に見えていたので、あえて封じる事にした。
「二番煎じと言うのなら、別の趣向も用意しよう。さあ行け可愛い子供達!」
巨大ガルシアが指を鳴らすと、地面から、バイオモンスター、その霊体が出現した。
様々な動物の特徴を備えた、種々雑多な怪物の群れ。その武装は案外シンプルな銃火器だ。
「さあ、ショータイムだ!」
ガルシアの合図と共に、爆音が響く。
それと同時に、藍も青月を掲げていた。無数の雷が、敵軍の武器と銃弾と、そして体に手を伸ばす。これぞ雷公天絶陣。
通電した銃火器類は無力化され、霊体達も、またたく間に昇天させられた。
咲く雷花。巨人ガルシアを凌駕する派手さで以て、戦場を支配する藍。
ゆえに、ガルシアの優先度が下がっていた。そう、自身の『子供』……メラの位置を察する事の。
ガルシアの右手から現れたメラが、炎塊を放り投げる。
「今だ、やれ!」
メラが炎と共に飛ばした声の先、青月で藍が切り込んだ。
本来、敵の巨体をもってすれば、2人同時攻撃だろうと、対応するのは難しい事ではない。
だが、藍を向く動作が、わずかながら遅延した。やはり古傷という奴のせいか、身体が意識についてこられなかったのだ。
その隙は、アドバンテージとして、十二分に機能した。
藍の斬撃は、ガルシアの強靭なる肉体を裂き、苦悶の声を上げさせたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
陽向・理玖
そんな奴でも親父って呼べんのか?
自分を変えた存在は全く記憶にないから
よく分からないのに胸がざわつく
けど
落とし前付けようって気持ちは分かるぜ
手伝うぜ
図体でかいだけのこけおどしだって証明してやる
龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
スタークドラゴンには乗ったまま
衝撃波飛ばし残像纏いダッシュで間合い詰めグラップル
拳で殴る
同時にUC
いくら大口だって
食うにはでかいだろ
助かったぜスタークドラゴン
見えなくてもオーラ防御で弾く事も出来るし
大体学習すんのがあんただけだと思うなよ
…あんたの動きはもう覚えた
攻撃見切りカウンター
拳の乱れ撃ち
俺が引き付けている間に
やれ!
メラ・キメラ
こんなくそ親父超えてやれ!
鼓舞し
陽向・理玖が、ドン・ガルシアに抗い続けるメラの隣に、肩を並べる。
「あんな奴でも親父って呼べんのか?」
「ケ、勢いだよ勢い! 今日ここで完璧に縁を切ってやる!」
減らず口を返すメラに、理玖は思わず苦笑。
理玖自身、自分を実験体として改造した存在の事は、記憶にない。だが、今こうして、胸の奥がざわついている。
「上手く言葉にできないけど、落とし前付けようって気持ちは分かる気がする。手伝うぜ」
「勝手にしろや! 俺以上の化け物に成り果てたアイツをぶちのめす!」
翼を大きく広げるメラ。
理玖もまた、弾いた龍珠を握り締め、ドラゴンドライバーにセット。
「ああ、図体でかいだけのこけおどしだって証明してやろうぜ。……変身ッ!」
全身を装甲に包んだ理玖が、愛機スタークドラゴンを前進させる。
敵の巨大な腕をかいくぐり、衝撃波をぶつける。
「機械如きが、我がバイオモンスター技術にかなうものかね!」
剛腕が、スタークドラゴンを打撃する。だがそれは、虚空をすり抜ける。残像だ。
腕を振り切った時には、理玖は反対側に回り込んでいる。
ガルシアの半分にも及ばない鋼の腕が、怪物の肉体を叩く。インパクトの瞬間、衝撃とは違う輝きがこぼれた事に、ガルシアは気づいていたであろうか。
「かゆいな! 今ので最大出力だというのかね?」
失われた頭部、しかし、そこに確かに存在する大口が、理玖達を飲み込まんとする。
だが、辺りに散ったのは、彼らの残骸などではなく、金属音と火花のみ。
不可視の大口を弾いたのは、キャバリアの5m級の巨躯と、そして張り巡らされたオーラフィールドだった。
「助かったぜスタークドラゴン。いくら大口だって食うにはでかいだろ」
「ぐぬう、ならばやはり頼るべきは双腕!」
風圧を伴い、振り下ろされる、モンスターの巨腕。
ビルをも破壊するその一撃は、しかし、ただ道路を叩くだけに終わった。
「大体学習すんのがあんただけだと思うなよ。……あんたの動きはもう覚えた」
「ふん、ブラフにすぎんね!」
だが、実際ガルシアの攻撃は、どれ一つスタークドラゴンに触れる事すら叶わない。
それどころか、カウンターの拳打の乱舞がガルシアを追いつめる。破れる強固な外皮、溢れる体液。
「今だ、やれ!」
メラ・キメラに、声を飛ばす理玖。
「こんなくそ親父超えてやれ!」
「言われねえでも!」
理玖の鼓舞を受けたメラが、ありったけの火力を拳に集中させ、創造主の胸に大穴を穿った。
「フハハ、これは改良の余地あり、だね……」
巨人が、萎む。
陽炎のように消えた巨人が残したのは、元の姿、ドン・ガルシア。
しかし、彼もまた存在を維持できず、四肢の先から消滅していく。
「今日はこれでおしまいだ。だが、人々がスナークを覚えている限り、恐怖は何度でも再来す……」
「さっさと退場しやがれ!」
轟、と。
メラの炎が、ガルシアの命の灯火を燃やし尽くす。
上がる歓声。ヒーローと猟兵の勝利を讃える、人々の声だ。
それに応え、腕を掲げたメラの背中には……わずかな哀愁が感じられたのだった。
成功
🔵🔵🔴