知恵と謀略と騙し討ち(作者 沙雪海都
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#サムライエンパイア  #猟書家の侵攻  #猟書家  #真田神十郎  #剣豪  #上杉謙信 


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●朧げな顔は男か女か、いやしかし
 最近、人と顔を合わせたのは何時のことだったか。放浪の剣豪、時次は線を引いたように眼を細めながら考える。
「……はて、何奴か」
 男一人の旅路、供などいない。されど、不意に走り出した緊張感は、皮膚を斬り裂く殺意が如く。
 人里より離れた山野は襲撃に不足無し。しかし人の恨みを買った覚えがない時次は左手でぽりと顎先を掻きつつ、右手を鞘に収まる刀に伸ばす。
 闇の深まった黒鉄の鎧が時次の周りに集い始めていた。本来はつるりとした細身の鎧だが、彼の大戦にて討ち取られた魔軍将、上杉謙信を憑装することで刃の如き鋭利を手にしていた。
「さぁさぁ、見つけました、見つけましたよ。軍神を降ろした皆さんの力、存分に見せつけちゃってくださいっ」
 重厚な軍勢の後方から聞こえてきた軽々しい声色が、家臣団の頭、花螳螂。両に手にした忍者刀も、役立つ前に事が終わるなら万々歳。武力と地形の利に物を言わせて、時次を攻め潰しにかかっていた。

●サムライエンパイア・4thラウンド
「こういうのは夏休みの宿題みたいにさっさとやっつけてしまうのがいいんです!」
 魔の31日にはまだ1か月も残っている。やるなら今、と勉強机に向かってみるのもいいだろう。
 さて、ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が案内するのは、自由研究の題材にするにはやや難易度が高そうな、猟書家の模倣犯。全く以って迷惑な酔狂だった。
「というわけで、オブリビオンに狙われている剣豪の時次さんを助けに行きましょう!」
 当てのない放浪の果てにとんだ貧乏くじを引いてしまった男には、猟兵の助けが必要だ。狙われたその命。猶予はそう多くない。
「今分かっている情報ですが、相手は切支丹武者の集団と、彼らを統率する白桃流忍者・花螳螂になりますね。切支丹武者は『超・魔軍転生』という秘術によって、集団でありながら個の力も強化され、侮れない相手となっています。戦場は少し傾斜のある山中となっており、純粋な機動力では相手に分があるかもしれません!」
 時次も戦えないことはないが、多勢に無勢が過ぎる。守る戦いが重要になってくるかもしれない。
「花螳螂は憑装こそしていませんが、そもそもが強いのでやっぱり注意が必要ですね! 見た目に騙されてはいけません! 相手は大集団を従えているわけですから!」
 敢えて油断を誘うように振舞う様は紛う事無き知略家だ。懐に飛び込まれれば、如何に猟兵と言えどただでは済まない。
「切支丹武者の集団は、殲滅までは考えなくてもいいかもしれません! 花螳螂までの道を拓き、電光石火で討ち取る――そんなことができれば理想ですね! どうか、皆さんの力を貸してください!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 夏休みって言葉久々に使いました。

●フラグメント詳細
 第1章:集団戦『切支丹武者』
 なんか強くなってます。倒しきるのは厳しいかもしれません……が、やはりそれなりに数を減らすことは必要そうです。
 戦場は木々が林立する山の中です。時次さん多分まともな道歩いてないな? ってくらい道悪なくせに敵は割と順応してる辺り辛いっすね。あと斜面の上側に陣取るような動きも見せてくるようなので不利な状況を作らない工夫が必要そうです。

 第2章:ボス戦『白桃流忍者・花螳螂』
 新米感溢れる風貌ながらボスです。切支丹武者を突破した後は素早く討つべし。
 花螳螂が倒されると、残っていた切支丹武者は華麗な撤退戦を演じて逃げていくようです。掃討戦は見込めそうにないので、時次の命が助かったところで刃を収めておきましょう。
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第1章 集団戦 『切支丹武者』

POW ●騎馬突撃
自身の身長の2倍の【軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD ●後方支援
【切支丹女武者】の霊を召喚する。これは【鉄砲による援護射撃】や【一斉掃射】で攻撃する能力を持つ。
WIZ ●主の裁き
【ハルバード】を向けた対象に、【天からの雷】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着
武器:白雪林

どこでも後を継ぐ者はいるのですね。

さて…ここは陰海月にも手伝ってもらいまして。
四天流星にて錯誤呪詛発動。位置を誤認させます。
【四悪霊・『解』】使用。さて、万全ならまだしも、生命力と運気が低下したあなた方に、山は味方するでしょうか?
時次殿は相対的幸運ですしね。

霊を召喚されたら、衝撃波+破魔つきの鳴弦にて迎撃しますよ。

さらに木を楔として結界術を展開。
斜面上側にはいかせませんし、防御にも使います。


陰海月、四天流星ぷきゅぷきゅぽいぽい。
時次殿への護衛も兼ねている。ゆらゆら。


●矢引かず、弓は奏でるもの
 猟書家の侵攻が始まってから久しく時が経った。新たに発見され、また宿縁を持つものに討たれ増減こそ繰り返せど、事件そのものは数を増している。
 それもそのはず。討たれた猟書家の意志を継ぎ、新たな事件を引き起こすオブリビオンがいるからだ。
(……どこでも後を継ぐ者はいるのですね)
 サムライエンパイアの地に立つ馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)もまた、オブリビオンの動きを危惧する者の一人。猟書家あるところ、継ぐ者あり、というわけだ。
 転送位置は都合よく切支丹武者達の輪の中に放り込まれた格好で、時次も近くに控えている。糸目は飄々とした雰囲気を感じさせるが、薄ら開く瞳の奥では状況を的確に把握しているようだった。
「助太刀しますよ。貴方の命、決して奪わせやしません」
「かたじけない……!」
 義透と並ぶ陰海月はぷるぷるゆらゆらと今日も機嫌がいい様子。義透は鏢、四天流星を垂らすと、黒鉄の切支丹武者達へ向けた。
 ゆらり、ゆらり、陰海月と共鳴するように揺れ動く四天流星が放つ呪詛が広がっていく。ハルバードを手にした切支丹武者達は新たに現れた義透と陰海月を前にして新たな陣を組もうとしていたようだが、呪詛が影響して上手く位置取りができず、斜面をぞろぞろと右往左往する。
「これは真、奇術にて……!」
「まだまだです。こんなものではありませんよ、私の呪詛は」
 馬県義透、その本質は四悪霊。苦に苦を重ねたような黒ずんだ波動が円形に放たれ切支丹武者達に触れると、その足元が突如としてずりっと滑り落ちた。
 バランスを失った切支丹武者達は丸太のように横倒しに転がり、樹木の根元に体を打ちつける。これで天も地も失った切支丹武者達は、密集しながらも完全な孤立状態となった。
 仲間はどこだ、敵はどこだ。位置の錯誤が切支丹武者達を惑わせる。出鱈目に召喚された切支丹女武者の霊は主の命が標的と違えていることに困惑し、瞬間的に行動不能に陥っていた。
「陰海月、時次殿を守っているのですよ?」
 義透は周囲の木々を楔として結界を張り、射撃攻撃の緩和を図る。ある程度弱めれば後は陰海月の弾力が時次を守ると信じて任せ、弓持ち弦に指を触れた。
 びん、と鳴らした弦の音と、鉄砲の音が発せられたのは同時だった。結界に飛び込んだ鉄の弾は水中を行くかのように減速し、突き抜けた先で待ち構える、触手を目一杯に広げた陰海月の表面で跳ね返った。他方、鳴弦は破魔の力を広げ、切支丹女武者の霊を瞬く間に浄化する。どの隊も発砲はただ一度きり。その一度があるだけでも有難いと思わねばならぬほど、義透が放つ破魔は強力だった。
「オ、オオ……!」
 破魔は憑装すらも浄化する。切支丹武者の声か、それとも降ろされた上杉謙信の声か。どちらともわからぬ濁った声を上げながら、膝から崩れ落ちていく切支丹武者が一人、二人と。
「地の利を消せば、対等以上に戦えますね。このまま次の陣を崩しにいきましょう」
 黒鉄の壁はまだ厚く続く。義透は弓を握り込む手に力を籠めた。
大成功 🔵🔵🔵

葉隠・翠
【心情】むむむ…一人の武士を複数で狙うとはなんと卑劣な…そんな事はさせぬでござる!

【作戦】分身し、手裏剣の【投擲】やクナイや忍者刀による【暗殺】で数を減らすでござる!そしてある程度減らしたら緑光波手裏剣でいっきに複数人を減らすでござるよ!
敵の攻撃は【見切り】や【残像】で回避していくでござる!
さすがにそろそろ限界と感じるか敵に囲まれまずいと思ったら分身達に【挑発】させて囮にし、時次殿と共に逃げるでござる!


●怨念、因縁
「何やら邪魔者がいる様子……ほら、皆さん、本気出してくださーい!」
 花螳螂の発破を受けて切支丹武者達が軍馬を召喚し、騎馬隊を形成しようとするのと時同じく。
 名の如く、樹上、萌ゆる枝葉に隠れて戦場へ転送されてきた者が居た。
(むむむ……一人の武士を複数で狙うとはなんと卑劣な……。そんな事はさせぬでござる!)
 葉隠・翠(緑影・f22215)が見下ろす先には斜面にも関わらず一気進軍してくる馬群があった。馬上の切支丹武者達はハルバードを水平に保ち戦闘態勢。勢いに飲み込まれれば頭から足先まで綺麗にスライスされそうだ。
 時次は先に戦場へ赴いていた猟兵の庇護にあるが、その猟兵も切支丹武者達の新たな攻勢への防御はまだ築けていない。やがて起こるであろう戦線の崩壊を防ぐべく、翠は枝の太い根元を蹴って飛び出した。
「ニンニン! 忍者りょきゅっ……りょ・く・かげ、参上でござる!」
 名乗りはまだまだ慣れぬところ。勇ましく戦場に下りはしたが、同時に少々気恥ずかしさも覚える。だが、どこか可愛げのある翠の様子にも切支丹武者達は止まってくれない。
 切支丹武者達は馬を駆り、少し斜面を登っては、勢いつけて翠の元へ向かってくる。馬の重量も加味した破壊力は人間の体を肉も骨も丸ごと断ち切ってしまうことだろう。
「多勢には多勢でござる!」
 翠は重心を落として飛び出しの姿勢を作ると、四方八方に姿を複製し戦場を駆け巡った。真正面へ飛び込んでくる翠に切支丹武者達は馬上からハルバードを叩きつける。肉厚の刃は容易く頭を割っていったが、そのどれもが血の一滴も流さずに霧散する。
 一瞬の加速で残像を作り出した翠とその分身体。切支丹武者達が騎乗する馬の足元は数少ない死角だった。小柄な身をバッタのような跳躍力で跳ね上げてその足元から切支丹武者達の裏を取ると、兜と鎧の僅かな隙間に向けて忍者刀を叩きつけていった。
 食い込めば急所の一撃。しかし憑装による鎧の強化が紙一重のところで食い止める。そして逆に伸びてくる鎧の刃に翠は忍者刀を押し込む反動で飛び退き反撃を躱す。
「そう易々と倒れてはくれぬでござるか……ならば奥の手でござる!」
 元は掃討用にと考えていたが、なりふり構っていられない。
 翠と分身体が緑の波動を帯び、手の中に手裏剣が完成する。初めは手のひらに収まる程度の大きさだったそれはぐんぐん波動を吸い込んで巨大化し、やがて翠の身長を超えるほどの巨大手裏剣へと化した。
『切り裂け! 緑光波手裏剣! でござる!』
 刃の先端を握り込み、翠と分身体は全身を使って巨大手裏剣を投擲した。回転して残像が円盤状になった巨大手裏剣が切支丹武者達へと向かっていく。切支丹武者達は馬に方向転換の指示を出しながら同時に身を捻りハルバードを振るう。巨大手裏剣を受ける心算だ。
 黒鉄の刃と緑の刃が衝突し灼熱の火花を散らす。力は拮抗。後は翠の気迫が勝るか、切支丹武者達の怨念が勝るか。
「これは……通っても弾かれても余裕はなさそうでござる……時次殿! 仕切り直す準備だけは整えておいてほしいでござる!」
「承知致した」
 切支丹武者達が翠達を逃してくれればよいが、そんなうまい話はないだろう。それでも改めて陣を敷く意味で、翠は脱出の意向を示す。
 いくつかの巨大手裏剣がハルバードの刃を削り溶かそうとしていた。翠の気迫が実るかというところ。敵陣の一部だけでも切り裂けば、続く猟兵達の足掛かりにもなる。
「――今でござる!」
 切支丹武者達の持つハルバードが切断され、そのまま巨大手裏剣は切支丹武者達の胸の高さに滑り込んで上半身を刎ねた。それで馬群の一部が消滅したところに、翠は時次と共に駆け込んでいく。
 道中、翠は一瞬、ぞくりと寒気を覚える。殺気とも恐怖とも違う――己にまつわる「何か」が待つ。漠然とした予感に、翠はどことなく心地の悪さを感じていた。
成功 🔵🔵🔴

ソフィア・エーデルシュタイン
相手が多勢なら、わたくしも素直に幾つもの得物を用意いたしましょう
煌矢にて、敵を穿ち払いますわ

ただ狙うだけではいけませんわね
雷に狙われては、危険ですもの
そうですわね…わたくしの水晶のきょうだいを使って、
光を反射して目晦ましなどしてみましょうか
青玉髄の矢も光を返す位置から飛ぶようにしますわ
天からの光は、下から上へ向ける方が、良く届くはずでしょう?
ついでに矢に呪詛を籠めて、あちらの憑装を阻害でもできれば…なお良いですけれども

上手くいきそうなら…行かずとも、矢を集中させて突破口をこじ開ける
時次さんへの攻撃は、わたくしが庇いますわ
わたくしのきょうだいと共に、守って見せますとも
お気遣いは、無用でしてよ


●主とはその実、武者の傀儡であった
 数は力。それを示すのが切支丹武者なれば、猟兵の対抗策も自然、定まるというもの。
「相手が多勢なら、わたくしも素直に幾つもの得物を用意いたしましょう。時次さん、ここはわたくし達にお任せくださいませ。わたくしのきょうだいと共に、守ってみせますとも」
「む……いや、しかし、女子にまで守られるばかりで何もできぬというのは、剣豪の名折れ――」
「あら、お上手。ですが、お気遣いは無用でしてよ。それに、相手が相手……時次さんは何一つ恥じることなどありませんわ」
 世界の理の埒外にある者には、同じく埒外の者が対抗すべき。そのための猟兵である。そう言い含めながらソフィア・エーデルシュタイン(煌珠・f14358)は斜面に水晶髑髏を立たせ、時次と共に場所を移る。ソフィアが「きょうだい」と称する水晶の骨格標本は木漏れ日を浴びてぴかぴかと輝きを放っていた。
 切支丹武者の動きに警戒しながらソフィアは場を整えていた。数とは最も分かりやすい力だが、それを操る知恵がなければ烏合の衆に過ぎない。切支丹武者はある程度統率の取れた集団のようだが、ソフィアの策にはそれを崩すだけの知恵がある。
『届きなさい、穿ちなさい、貫きなさい』
 三種の命によりソフィアが生み出すのは氷の属性を持つ青玉髄の楔。総数350本の楔をソフィアはわざと水晶髑髏を置いた場所に設置した。
 切支丹武者達がソフィアと時次に迫る。がしゃんがしゃんと大合唱で鎧を鳴らし、群れる彼らはやがて水晶髑髏が返した光の帯の中に入り込んだ。視界にうるさい光だ。何事、と気を逸らした瞬間にソフィアは設置した青玉髄の楔を解き放った。
 青白い流星が斜面を雪崩るように降り注いで切支丹武者達の鎧を穿つ。憑装により強化された鎧だが、ソフィアもまた楔を呪詛にて強化していた。ごりっと鎧を砕く度に憑装の怨念がオォォと呻き、切支丹武者達もバランスを崩す。
 だが、その中にも根性を見せた者が数名。楔の飛んできた先にハルバードを突きつけていた。主の裁き、天より降る雷が大樹を切り裂きながらそこにある者へと突き刺さる。竹を割るように焼き裂かれた大樹が黒く焼け焦げながら倒れ行く傍で、水晶髑髏は体表を通して地面へと莫大な電撃を流し、無力化していた。
 咄嗟の判断だったのだろうが、切支丹武者達の反撃は無益に終わる。撃ち下ろされる楔はまだ尽きず、切支丹武者達が鎧の骸となるまで全身を穿ち、氷結させる。
 狙い澄ました集中砲火。黒鉄の壁に人一人通る穴を開けるには十分な威力だった。ソフィアは時次を庇いつつ、切支丹武者達の亡骸の脇を抜けていく。
「立派でしたわ、わたくしのきょうだい……今しばらく、お待ちになって。必ず、迎えに行きますから」

 バリバリと焼けた大樹が倒れきって水晶髑髏の存在が暴かれたのは、突破された切支丹武者の一部隊がぽつんと孤立した後のことだった。
大成功 🔵🔵🔵

ミリアリア・アーデルハイム
屏氷万里鏡と結界で時次さんを保護
自分はオーラ防御して箒に乗り、残像やジグザグ飛行(フェイント)で攻撃をかわそうとします

上空に出たら、切支丹武者の集団に向けUC
呪殺弾(誘導弾)を撒き、ランダムに出来るだけ沢山当てていきましょう
さてさて、目論見通り同士討ちを起こさせ、敵軍に混乱を招く事が出来るでしょうか?

時次様、この隙に敵首領の元へ参りましょう。
いざ!


●Kの悲劇――切支丹武者への天の裁き
 時次という一見冴えない男の前に、次から次へと女性の援軍が現れる。ライトノベル風味の展開も……まあ、ただの偶然なのだろう。
「間に合いました。時次様、御無事ですか?」
 ミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)が箒に乗って駆けつけ、時次の前で一旦すたっと降りる。
「うむ……皆の支援には痛み入る思い……」
「気にしないでください。それが私達の『役割』ですから。……さて」
 眼前には主君を守護する切支丹武者達の一団がある。
「こんなところまで来られてしまって……なるほど、猟兵というやつですか」
 花螳螂の声も聞こえてきて、この場が切支丹武者達との戦いにおける正念場であるとミリアリアは悟る。ここを乗り切ってしまえば、あとは花螳螂との直接対決。
「時次様、私が合図するまで決して動かぬようお願い致します。動かぬ限り、屏氷万里鏡と結界が時次様をお守りしますので」
 ミリアリアは無数の氷の欠片を時次の周囲に撒いて、それを起点に時次を包む結界面を作り上げた。時次を頭からすっぽり包む構造で、内部を移動できるのはせいぜい半歩。ここまでの戦いで時次も命あることが最重要と察し、小さく頷き承知する。
 ミリアリアは再び箒に乗り、今度は切支丹武者達を相手に攻勢に出る。ハルバードの威力は警戒すべきところだが、真に危険なのはそれが遠距離攻撃の起点であること。
 木々の間をすり抜けるジグザグ飛行を見せるミリアリアに対し、切支丹武者達も数の攻めで応戦する。突きつけられたハルバードの先に雷が幾本も落ちて木々を焼き、大地を抉る。ズドン、ズドンと爆弾が破裂したかのような落雷音に耳が痛む中、ミリアリアは残像を犠牲に上空へと飛び出していた。
 落雷により着火した大樹は赤橙に燃えている。自然の被害もできれば抑えておきたいところだったが全てが上手くは進まない。ミリアリアは心を痛めながらも、その報いは花螳螂に受けてもらうとして、地上の切支丹武者達を見下ろしていた。
「我は印す――其は総ての害意を惹きつける的也」
 ミリアリアを囲むように生み出された呪殺弾は誘導性能付き。樹木の陰となる切支丹武者達にも狙いを定めて一瞬の通り雨が如く撃ち出していった。
 片や一直線、片や弧を描き、誘導された呪殺弾が切支丹武者達を追っていく。だが切支丹武者達の鎧は強靭なれば、ゴンとその身に受けて耐える。
 ミリアリアは上空だ。周囲の木々は落雷の影響で焼け落ち空は広い。しっかりと狙いを定め、一斉にハルバードを突きつけ雷で撃ち落とす――はずだった。
 しかし天は裏切った。雷はどういうわけか切支丹武者達自身に落ちて中身を焼き焦がす。強化された鎧が電撃をよく通し、切支丹武者達に直接的なダメージを与えていた。
 何故落ちた――それは、ミリアリアが呪殺弾に籠めた不可視の的が切支丹武者達に付与されていたからだ。天はより明確な的へ向けて雷を落とした――それだけのこと。結局、主とは何なのか分からぬまま、切支丹武者達は自身の攻撃により焼かれ倒れる。
 切支丹武者達がその単純な原理に気付けるはずもなく、攻撃の手を緩めざるを得なかった。雷を落とそうとすれば、その身に降ってくるかもしれない、という脅迫が動きを鈍らせる。
「ここまでは目論見通り……時次様! 次に私が呪殺弾を放ったら、その瞬間に走ってください! 私が降りて守りますから、切支丹武者達が混乱している間に敵首領の元へ参りましょう!」
 叫び、ミリアリアは次弾装填、撃ち放つ。良くも悪くも木々が数を減らしたことで切支丹武者達を狙いやすく、僅かな誘導で呪殺弾を次々に命中させていった。
 時次が走り出す先にミリアリアは滑空して降り、守りに入る。行かせまいと切支丹武者達はハルバードを向けるが、やはり不可視の的というギミックには気づいていない様子。バリピシャンと自らが呼び起こした雷を受け、黒く煤けた煙を鎧の隙間から上げて倒れていった。
「万事順調! いざ!」
 動揺する切支丹武者達を尻目にミリアリアは最終布陣を突破していく。時が過ぎれば立ち直った切支丹武者達が背後を攻めてくることもあるやもしれぬが――その前に討つ、とミリアリアは意気込んでいた。
大成功 🔵🔵🔵


第2章 ボス戦 『白桃流忍者・花螳螂』

POW ●油断しましたね?
【間合いに入った敵に忍者刀】による素早い一撃を放つ。また、【 錘付きの鎧を脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD ●白桃流忍術・花吹雪
【印を結んだ両手】から【花吹雪】を放ち、【花粉による眠気】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ ●白桃流忍術・花螳螂召還
自身の身長の2倍の【ハナカマキリ】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は葉隠・翠です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●割と余裕の花螳螂?
「あーもうせっかくの憑装なのに、もったいないですね」
 憑装の力を十分に発揮することなく、切支丹武者達は花螳螂と猟兵の邂逅を許してしまった。加勢するにも削られた陣形を復旧させるには、他の集団との合流、連携などが必要で時間がかかりそうだ。
「もっと楽に終わってほしかったですけどねー。仕事は如何に楽にこなすかが大事と言いますし」
 切支丹武者も相手が時次一人なら時間もかからず殺していたことだろう。猟兵というイレギュラーが現れたことが花螳螂の計画の全てを狂わせる。
「はいはいではでは、私も戦いますよっと。いいですかー? 私はすごーく強いですよー?」
 ハッタリめいた花螳螂の宣告。それは真か偽りか。刃を交える猟兵達にその判断は託された。
馬県・義透
引き続き『静かなる者』にて

さて、首魁ですか。最後まで気を抜かずに。
時次殿には、結界術で防護を施しまして。
…相手、何となく『疾き者(のほほん唯一忍者)』に雰囲気似てるんですよね。

【四天境地・水】つきの矢を放ちまして。
避けられてもよいのです。地面が湖になりますので…貴女はともかく、ハナカマキリはどうでしょうね?
水中ですと、陰海月が泳いでますし。

それに…なにも『一人と一匹』だけではないのです。
私は矢を射かけ、さらに内部三人による四天霊障による追撃もありますよ。


陰海月、水中をゆらゆらすいすい。ぷきゅ。
そして霹靂(ヒポグリフ)、空に待機してて急降下してくる。クエッ。
二匹は友達。


●裏の裏側、覗いて笑え
 義透は自然と時次の前に出て、結界術による防護を張った。花螳螂は孤軍だが、切支丹武者という猛者を束ねる首魁。首を取るその瞬間まで気が抜けない相手であることは承知している。
(……何となく『疾き者』に雰囲気似てるんですよね)
 義透が思う四魂の一角は花螳螂と同じく忍者であり、重圧を感じさせない身の振り方も朧げに重なる。だからと手心を加えるわけではないが、縁の無い敵に面影を見るのは何とも奇妙な気分だった。
「まあ私も白桃流忍者を名乗っているわけですから、忍術の一つや二つ見せませんとね。では、いきますよ? 白桃流忍術・花螳螂、召還!」
 花螳螂は胸元で両手を組み合わせて忍術の発動印を生成、同時に垂直に跳び上がった。波打ち歪んだ地面からぼふんと桃色の煙が上がると、白桃の色艶を持つ巨大ハナカマキリが姿を現し、背に着地する花螳螂を乗せた。
「このハナカマキリは私と同じく強いですよー」
「……さて、これでも同じことが言えるでしょうか」
 ハナカマキリを召喚したことでやや得意げになっている花螳螂に向け、義透は霊力の矢を一本番えて撃ち出した。弦に弾かれて飛翔する矢はハナカマキリの正面へ。せいぜいその源が霊力であるだけの、大した変哲の無い一矢。花螳螂とてそれを馬鹿正直に食らってみせるのはおふざけが過ぎる。
 ハナカマキリは四つ足をバネのようにひずませて跳躍した。矢は明け渡された空間にひゅんと飛び、勢いを失って地に刺さる。
 刹那、水源がぼこんと湧き出て地上は水面へと変貌した。雪解け水の湖に着水したハナカマキリは激しい水飛沫を上げ、鎌をバタバタと振り回し慌てふためく。
「わっ、こら……暴れては、ダメ……!」
「はい、捕まえましたよ」
 義透は静かに二射目の矢を取る。激しく浮き沈みするハナカマキリに狙いを定めると、霊障の薄膜で包み込んで矢を解き放った。
 矢は紛れもなく水平に飛んだ。そしてそのまま飛沫の中へ突き刺さる――。
「――なーんて。その油断、命取りですよっ」
 数瞬前までは噴火のような白飛沫を上げていたハナカマキリが刹那の時を経て完全に立ち直り、水面を打ってまた跳躍。矢を紙一重で回避して水の檻から逃れていた。
「忍術がただの昆虫を召喚するわけがないでしょう。火でも水でもお手の物……丁度いい『踏み台』も用意して頂けたようですし」
 飛影の下には半球が映る。長く伸びるゼリー状の腕で必死に傘を擦っているあたり、水中で何やら一勝負あったことが伺える。
「『一人と一匹』、よくそれで私と対等に戦えると思いましたね!?」
「いえいえ、そんな大層なことは思っていませんよ……ですから」
 潜ませたるは何も水の中ばかりではない。中は中でも空の中。下を向いているばかりでは気付かない。
 クエェ、と一鳴きしたヒポグリフ、霹靂が仇を取りに急降下。裏をかき、その裏をかいた者が最後に笑うのだ。
 空を駆けての鋭い嘴の一撃がハナカマキリの頭を突いた。それは生命力を共有する花螳螂にも突き刺さる。殴打されたように頭が重くなり、眩暈を覚えて正真正銘、バランスを崩す。
「『四人と二匹』が正解、というところでしょう」
 三射目、こればかりは外すまい、と念を籠めた矢が宙に撃ち出された。角度、速度、共に良好。落下する花螳螂を狙い撃つ。
 左腕が花螳螂の意志に反して跳ねた。突き刺さる矢の勢いがそのまま腕を捩じ上げる。
「油断は命取り――いいことを教えて頂きましたので、貴女にも教えて差し上げたまでのこと。お礼は結構ですよ」
 ざぶん、と大きな水柱を上げて墜落した花螳螂へ、義透は寒気がするほどににこやかな笑みを向けていた。
成功 🔵🔵🔴

ミリアリア・アーデルハイム
屏氷万里鏡を使用
自分と時次さんに結界

【運命の刻は来たり】
あの、大変申し上げにくいのですが、
先程からあなたの部下の切支丹武者さん達がたくさん雷を落とされたので山火事が起きてまして、そろそろ煙と火の手が此方に上がって来ます。
あなた、巻き込まれますよ。

ああ、ハナカマキリを召喚されると思いますけど、やめた方が・・・
重さで地盤が陥没して諸共巻き込まれますし、最悪、暴れる蟷螂の下敷きに・・・

あああ、だから言ったのに!?
話聞かないからっ

(時次さんを見て)
そういえば悪い人なんでしたよね
じゃあ、追い討ちで魔法弾でも撃っときましょうか。

多分、次来る猟兵の方にもぼこぼこにされるでしょう
悪い事するからですよ!


●言葉尽くして運命を落とす
 静かに退いていく水の中からずぶ濡れの花螳螂が這い上がってくる。戻っていったその大地、先刻と同じかどうかはわからないが、とにかく歪であることに変わりはなかった。
「はぁ……はぁ……生命力を、持っていかれる前に……ハナカマキリを、消しておいて、正解でしたね……」
 やや青白い花螳螂の表情に苦労の様子が伺える。ハナカマキリと共にどっぷり水に浸かっていれば、倍の速度で生命力を失っていたところだ。
「あの……大変申し上げにくいのですが」
 花螳螂の一難がようやく去ったところで、おずおずと口を挟むのはミリアリアだった。透き通る氷片が光を反射する結界の中に時次と共に身を置いて、眉をハの字に曲げて申し訳なさそうに物申す。
「先程からあなたの部下の切支丹武者さん達がたくさん雷を落とされたので山火事が起きてまして、そろそろ煙と火の手が此方に上がって来ます。あなた、巻き込まれますよ」
 どこぞの恐怖系テレビ番組で見かけたような、厳めしい霊能力者の口調を真似るようにミリアリアは宣告した。事実、山の自然は深手を負っており、今なお広がる火の手がある。かと言ってまだ戦地にまでは届いていない現状、花螳螂が火に巻かれると断言するのは時期尚早に思われた。
 しかし、ミリアリアが口遊むのは運命の刻を強引に引き寄せる呪。つと流れゆく風が煙を運び、火の糧となって戦場に厄災を舞い込ませた。
 濡れ衣が防護服の役目を果たしたのはほんの数秒。熱され蒸発するまでに至った蒸気が花螳螂の皮膚をじわりと焼いていた。
 この未来、全て喚ぶからこその氷結界。ミリアリアと時次は断熱された空間で涼やかに過ごす。戦場と言うにミリアリアと花螳螂では優雅と劣悪の差が激しく、それはミリアリアの言の葉によって齎されるのだ。
「あっつぅっ!! どうして急に……!?」
「だから言ったのに……」
 燃え盛る炎から逃れようと飛び跳ねる花螳螂をミリアリアは憐れむが、それは因果が逆であることを知っている。逃れようとして逆に火柱が噴き出すほうへと花螳螂が向かってしまうのも、引き寄せられた結末だと――。
「ああ、ハナカマキリを召喚されると思いますけど、やめた方が……。重さで地盤が陥没して諸共巻き込まれますし、最悪、暴れる蟷螂の下敷きに……」
「えぇ? 何か――言いましたか!?」
 火を避けようとして火に飲まれる。上手くいかない現実に歯噛みする花螳螂はミリアリアの忠告を素直に聞くだけの余裕がない。
「もう一回……召還! 吹き飛ばしてやりますよ!」
 自分一人の手には負えぬ、と花螳螂は再びハナカマキリの力を借りようとする。そうすれば何が起こるか、ミリアリアが口に出したばかりだと言うのに。
 飛び乗るべく花螳螂は大地を蹴っていたが、足裏の感触に寒気を感じた。それは本能的に感じた恐怖だが、人は本能のままに逃げ出せるほど動物染みてはいない。
 ぼふぅん、とまた煙が昇り、ハナカマキリが再来した――が、花螳螂がその背に着地の瞬間、ぼごっと地盤が陥没しハナカマキリの巨体ごと花螳螂は土砂に飲み込まれた。
「ひぃぃぃ!?」
 恐怖に叫べるだけ人は恵まれている。飲まれるだけのハナカマキリは長い手足をばたつかせるより他は無く、それは崩れた地盤をミキサーにかけるように粉砕していく。
「ほんとに、暴れては……ふげぇ!!」
「あああ、だから言ったのに!? 話聞かないからっ」
 批判を浴びそうな程に出来過ぎた筋書きだった。暴れ回るハナカマキリを鎮めようと身を挺した花螳螂に、ハナカマキリは恩を仇で返すように圧し掛かって華奢な体躯を潰す。圧力に耐えきれず先に砕けたのが背負った地盤だったことが花螳螂にとって唯一の幸運。それでも肉や骨は盛大な悲鳴を上げていた。
 運命に転がされた花螳螂を下に見て、時次はミリアリアと顔を見合わせる。刀を振るでもなく、矢を射るでもなく、ただ言葉のままに現実が展開されていく様は、ミリアリアが猟兵と言う埒外であることを差し引いても驚愕に値する光景だった。
「このような……いや、敵故、しかし……」
 言葉の繋ぎ目が合っていないことからも、時次の動揺が伺える。と同時にミリアリアは時次という存在で思い出した。
「そういえば悪い人なんでしたよね。じゃあ、追い討ちで魔法弾でも撃っときましょうか」
 ミリアリアは結界に手を添えて、外へ魔力を送り出す。煙る世界を斬り裂くように抜けていった魔法弾の先で、ぎゃっ、とカエルみたいな悲鳴が聞こえた。
「多分、次来る猟兵の方にもぼこぼこにされるでしょう。悪い事するからですよ!」
 そしてミリアリアは最後にありったけ息を吸い込んで、山彦を轟かせんとするが如く、風下へ向けて叫ぶのだった。
大成功 🔵🔵🔵

ソフィア・エーデルシュタイン
楽で楽しい仕事ばかりであれば幸せなことなのでしょうね
ですがそう旨い話はありませんのよ

二体の死霊を呼び出し、攻撃を仕掛けますわ
勿論、たっぷりの呪詛を籠めて
ふたりとも、愛に飢えておりますの
存分に、愛して差し上げてくださいましね
二体を維持するためにも、わたくしはなるべく攻撃を回避することに専念いたします

時次さんも戦いに参加なさるのであれば、補佐を
冴え渡る剣の腕、お見せいただけるのならぜひにと思いますもの
女子供相手と油断なさる方ではありませんでしょう?
美しい肢体を持つ虫も、愛らしいお顔を持つ方も
敵であるならば、討ち果たすのみ
あるべき場所へ還すことが、わたくしの精一杯の愛ですわ
受け取ってくださいましね


●愛の意味を知る頃にはもう
 花螳螂は随分と斜面を下っていった。運命共同体のハナカマキリは牛馬に踏み躙られたように土砂に塗れて起き上がれない。
 そこへソフィアが時次と共に慎重に下りてくる。戦いの中で移動を重ねたことで、切支丹武者達の鎧の音はまた少し遠のいたか。
「楽で楽しい仕事ばかりであれば幸せなことなのでしょうね。ですがそう旨い話はありませんのよ」
 自らの楽ばかり選び取る者はやがて人の世から疎まれる。人は利己的な側面を持つからこそ、時に自ら苦労を掬い取りに行くのが世渡りの掟だ。
「……っ……そう、言われましても、ねぇ……」
 腹に覆いかぶさっていた土砂を払い除けながら、花螳螂はしかめっ面で立ち上がってくる。身軽そうだった装束も擦り切れて穴だらけ。左の籠手はべろりと剥けて、もう使い物にならなくなっていた。
「……ほら、まだ終わりじゃ、ないですよ……消耗しているのは、わかっています、が……ここが、踏ん張り時……」
 ハナカマキリは生命力を共有する相手だ。ハナカマキリが傷つけば花螳螂も傷つき、逆もまた然り。互いに傷つき合いながら、花螳螂は再三の鎌を向けさせようとハナカマキリを叱咤する。
 ハナカマキリは少しずつ土砂を落としながら、足を一本ずつ立ち上げてきた。消滅するのは花螳螂が望んだ時か、若しくは花螳螂が絶命する時――そこに在る限り、戦い続ける宿命だった。
「そういえば、それはあなたが呼んだものですわね……では、わたくしも同じように、お呼び致しましょう」
 ソフィアは胸の前で両手を組み合わせ、たっぷりの呪詛を籠めて死霊を寄せる。片や侍の世には珍しき甲冑の騎士。片や胴長、薄羽の生えた蛇竜だった。
 黒紫の霧をその身より放つ、禍々しき二体の死霊。花螳螂へ向けて歩み寄り、また宙を泳ぐ。
「ふたりとも、愛に飢えておりますの。存分に、愛して差し上げてくださいましね」
「そうは問屋が……卸しま、せんっ……!」
 花螳螂は頑なに抗う意志を見せる。確りと立ち上がったハナカマキリへ死霊達が殺到したのはその声に応じてか。足場は悪く、宙が早い。先に蛇竜が牙を剥き、ハナカマキリの足の一本へと噛みつきを見せた。
「ぅぐう……っ!」
 目一杯開いた顎がほとんど閉じぬ。吸着するように突き刺さった牙の一撃はそのまま花螳螂まで直通していた。
 しかし――花螳螂の視線は死霊達ではなくソフィアに向けられる。本質的にはハナカマキリも死霊も同じ。であれば討つべきは、その召喚主。
「背中は……任せ、ますよっ!」
 挟み打たれてはどうにもならない。花螳螂はハナカマキリが死霊達を食い止めることを願って走り出す。風切る音と冷気に時折痛みが混じる。奮闘は見ずとも分かっていた。
 花螳螂は知らないが、死霊達が存在している間はソフィアは攻撃行動を取れず、しかもハナカマキリと違い、ソフィアが傷を負うだけで消滅する。両の手に握られた忍者刀を前にソフィアは回避を選択するしかなく、それは足場の悪さを手負いの相手がようやく相殺して成り立つ薄氷の行為。
 転げ落ちた跡が残る大地を踏み壊して花螳螂が迫ってくる。一瞬の馬鹿力を発揮しようというのだ。忍者刀を振るう飛び込みに対しソフィアは左右後方の三択を迫られた。一目で見極めるのは難しく、体を振り動かし、刃が空を裂く度に余裕の色が消える。
「……む」
 ソフィアの行動は時次にとっては異変に見えた。猟兵の甚大な戦闘力を目の当たりにして、最早出る幕はないかと悟り始めていたところ。攻撃手段に窮するようにソフィアは刃を避け続けている。
 己がこの戦いに於いて存在意義を見出すならば、ここしかない――剣豪の勘がそう告げていた。相手はオブリビオンとは言え、純粋な斬り合いに於いては時次に一日の長がある。ソフィアと花螳螂の間に人一人割り込める空間ができる瞬間を見極め、花螳螂の正面へ真横から飛び込んで忍者刀に刃をぶつけた。
「……っ!?」
 花螳螂にとっては思わぬ敵の登場だった。時次が壁となり、ソフィアの姿が遠のいていく。
「何故か知らぬが、この場は任せよ」
「まあ。冴え渡る剣の腕、お見せいただけるのなら是非に」
 時次は刃を押し込んで小柄な花螳螂の体躯を弾く。反り返りそうになる体を筋肉が引き千切れる思いで耐え凌ぎ、花螳螂は両手を地に擦りながら片膝立ちで着地した。
「たかが、剣豪一人……どうとでも殺してやります……!」
「そうは問屋が……でしたわね?」
 言葉遊びを返しながら、ソフィアは死霊達の動きを変えて拮抗する状況を打開しに回る。ハナカマキリの生命力を削っていけば、必然、花螳螂の動きも鈍る。間接的に時次の補佐に入ることができるのだ。
 死霊騎士の斬撃がハナカマキリの鎌と打ち合う。それは忍者刀と太刀の打ち合いとは違う。その身をぶつけるハナカマキリは細かく消耗し、花螳螂に小刻みな痛みが飛んでいく。
 痛む頻度は明らかに上がっていた。堪える時間はそのまま隙となり、時次に先手で間合いに踏み込まれる。
 低い姿勢から真一文字に一閃。花螳螂の丸みを帯びた装具の下部が斬り裂かれ、同時にハナカマキリの右の鎌が斬り飛ばされた。
「ぁがあぁっ!?」
 二重の苦痛に襲われて花螳螂は体を折り曲げ喚く。
「美しい肢体を持つ虫も、愛らしいお顔を持つ方も、敵であるならば討ち果たすのみ。あるべき場所へ還すことが、わたくしの精一杯の愛ですわ。受け取ってくださいましね」
 還されてなるものか――と虚勢も張れない。それほどに花螳螂の体にはソフィアの愛が重く突き刺さっていた。
大成功 🔵🔵🔵

葉隠・翠
【心情】白桃流…我が流派、葉隠流が争っていた流派の一つで卑怯で狡猾な者達であると聞いたでござる…!なるほど、あの気の抜けるような言動はすべて演技…!おそらく只者ではないでござる!ここは油断せずいくでござるよ!

【作戦】攻撃は基本【見切り】と【残像】で回避するでござる!あえて忍者刀による攻撃を食らいに行きそこを【武器受け】で防御し、その隙をついて手裏剣を【投擲】し、怯んだ所をいずな落とし改を食らわせるでござる!「そちらがその気なら真っ向受けて立つでござる!」花蟷螂を召喚したらば拙者も忍神変化で受けて立つでござる!【絡み・アドリブOK】


●白桃と葉隠
 戦いの中で花螳螂が口にしていたことを翠は聞き逃さなかった。
 花螳螂は言ったのだ。自らを「白桃流忍者」と。
(白桃流……我が流派、葉隠流が争っていた流派の一つで、卑怯で狡猾な者達であると聞いたでござる……!)
 なるほど、それならここまでの戦いぶりも合点がいく。気の抜けるような言動に苦戦を演出する戦いぶり。それらが全て演技だとすれば、花螳螂、やはり只者ではない。
 何があろうと油断の無いように翠は誓う。とは言えこれまでの猟兵達の猛攻には然しもの花螳螂も本気の苦戦を強いられているようで、表情も険しい。
 生命力を共有する、とはメリットもデメリットもある。徹底的に足掻くためにも余計な消耗は抑えたい、と花螳螂は召喚していたハナカマキリを消し、己が身一つで翠に向かう。
「どういう……わけ、でしょうね……あなたとは、直接決着をつけなければ、いけないような……気が、しますよ……」
 相手が自分と同じ忍者だから――それ以上の何かを花螳螂は感じ取っていた。互いに期するものがある。それをより強く、先に行動に表したのは翠だった。花螳螂の間合いに敢えて踏み込む。接近戦は花螳螂の得意とするところ。賭けであった。
「こんなもの、もう、いりませんし……」
 花螳螂は破損した装束を次々脱ぎ捨てる。宙ぶらりんな状態では却って足手まといだ。すでに守る意味はない。攻めて攻めて攻め倒すだけ。速度を上げて忍者刀を薙いできた。
「その行動……油断と、みますよ……!」
 忍者刀の切れ味は加速する。鎧という枷、錘を脱ぎ捨てた花螳螂が放つ斬撃は翠の目と鼻の先に飛んできていた。
 風すら斬り裂く斬撃は、見切って躱したにも関わらず翠の緑の短髪を揺らす。刃は触れずとも、生み出す風渦は翠を捉えんとする予兆だ。つつ、と冷や汗が垂れる中、翠は目を見開いて次の攻撃を待つ。
 左右の連携、花螳螂は振り出した右の刃を引くと同時に左から突きを見せる。翠の眉間を狙う一撃だ。回避はもう間に合わないタイミング――そこが翠の待ち受けるところだと、花螳螂は気づいていただろうか。
 必死の応戦を見せた花螳螂の刺突に翠はダガーを立てて受ける。チィン、と赤橙の火花が散った。流れるような左右の連携が一瞬止まり、花螳螂は次の攻撃への姿勢を作らなければいけなくなった。
 1秒を争うこの戦い。相手の隙を突く1秒を生み出したのは翠の果敢な武器受けだ。反対の手で手裏剣を至近から見舞う。それはほとんど刃に等しく、花螳螂の虚を突いた。
「――っ!?」
 咄嗟の反応は守りの動きに向いていた。忍者刀を引いて手裏剣を弾く動作に翠は追撃のタックルをかます。しゃがみ込みながら花螳螂の足元へ体ごと突っ込んで両足の自由を奪うと、
『つかんで! 捻る! でござる!』
 捻り上げた推進力で一気に花螳螂を体ごと持ち上げ、跳び上がる。大地から引っこ抜かれた花螳螂は一瞬天地が不在になり、横転する景色に動揺する。
「ふぁ――」
「とどめでござる!」
 翠は両足を持ったまま鞭を打ちつけるように、花螳螂を頭から叩き落とした。首が鋭角に圧迫され、反動で押し出された舌が唇を割ってはみ出していた。
「えぐぅ……がぁ……ご、ごんなの……」
「どうでござるか!? 葉隠流忍術!」
「はが……ぐ……」
 ぷるぷると震えていた双眸はやがてぐりゅんと横転し、花螳螂の口が動かなくなる。
 断ち切られた因縁。立ち尽くす翠が決着を噛み締めるのは、切支丹武者達が撤退し、時次の無事が確実となった後だった。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年08月05日
宿敵 『白桃流忍者・花螳螂』を撃破!
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴