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花火と駄菓子と夏祭り!

#カクリヨファンタズム #お祭り2021 #夏休み

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「カクリヨファンタズムで花火大会のお誘いです。リムは猟兵に休暇を提案します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。ただし水着姿で。
「先日水着コンテストが開催されたカクリヨファンタズムですが、その会場となったビーチに妖怪親分の皆様が妖怪花火を用意したそうです」
 もちろんただの花火ではない。この妖怪花火には猟兵も乗って一緒に打ち上げられたり、花火で空中に生じる模様の上で空中散歩をすることもできるのだそうだ。大祓骸魂の脅威から幽世を救ってくれた猟兵達への、親分衆からのサービスといったところか。

「この花火大会の噂を聞きつけたご近所の妖怪の方々もやって来て、海の家や屋台を開いているそうです。あとなぜか駄菓子屋もあります」
 お祭り好きな妖怪達の手によって、ビーチはすっかり夏祭りの会場といった雰囲気になっており、屋台で買い物をしながら花火を眺めたり打ち上げられたり、ビーチで遊んだりできる。その屋台のラインナップの中になぜ駄菓子屋が紛れ込んでいるのかというと。
「妖怪駄菓子屋では先日、猟兵向けに開発された新作『駄菓子兵器』が完成したそうで、そのお披露目がしたくてたまらなかったそうです」
 カクリヨファンタズムの駄菓子屋は、実は有事の際の「武器庫」でもあり、ユーベルコードを増幅する「駄菓子兵器」を保有しているというのが、大祓百鬼夜行との戦いで明らかになった事実である。その駄菓子兵器の一部がこの度猟兵にも入手できるようになり、駄菓子屋さんはそのアピールと性能テストがしたいらしい。

「今ならビーチで駄菓子屋さんに注文すれば、駄菓子兵器のお試し品をタダで貰えます。試供品なので殺傷力も大して高くないので、興味があれば試し打ちなどいかがでしょう」
 チューブアイスソード、電撃わたあめ、煙幕きなこ棒、飴玉鉄砲、金平糖クラスター砲、チョコレー刀などなど、本当にこれで戦えるのか不安になるような独特のアイテムが目白押し。もし気になるのであればこの機に使い勝手を試してみるのもいいだろう。
「妖怪花火に乗って駄菓子兵器で空中模擬戦とか、意外と楽しいかもしれません」
 少なくとも今回を逃せばなかなかできない体験なのは間違いないだろう。とにかく年に1度のこのお祭り騒ぎを、思い思いの方法で目一杯楽しんでほしいとリミティアは言う。
 紹介を終えた彼女は手のひらにグリモアを浮かべると、花火大会の会場へ道を開いた。
「転送準備完了です。どうか充実した休暇をお過ごしください」



 こんにちは、戌です。
 夏だ! ということで今回はカクリヨファンタズムで夏休みシナリオのお誘いです。丁度同時期に駄菓子兵器が完成していたので、混ぜてみました。

 このシナリオは日常だけで構成される1章のみのシナリオです。
 水着コンテストの会場となったビーチで妖怪花火の打ち上げが行われており、周りでは妖怪達が海の家や屋台や駄菓子屋を開いています。
 妖怪花火と一緒にお空に打ち上げられてみるのもよし、屋台やビーチで遊ぶのもよし、駄菓子兵器を試してみるのもよし。自由に楽しんでいただければ幸いです。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW   :    妖怪花火で空へGO!

SPD   :    妖怪花火の上で空中散歩

WIZ   :    静かに花火を楽しもう

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

雛菊・璃奈
駄菓子兵器…美味しそうだね…。
食べれるのかな、コレ…。

「駄菓子!」
「でも斬れる!」
「武器?」

ラン達はチョコレー刀で居合を試したり、ミラ達は各々駄菓子武器を齧ったり舐めたり吸い付いたりとコロコロ転がりまわってたり…。

しかし、色々種類があるみたいだね…。
ん、なんだろう、コレ…チョコ霊刀(妖刀仕様)…凄くシックリくる…。
あずきカリバー…?幾人もの猛者の歯を砕いた呪われた氷菓子(あずきバー)……駄菓子…?

とりあえず、一通り駄菓子兵器で試した(遊んだ(?))後はみんなでかき氷持って食べながら花火を眺めたり…。

うん…この世界を守れて、この光景が見れて良かった…。



「駄菓子兵器……美味しそうだね……」
 妖怪花火が彩る賑やかなビーチで、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は店先にずらりと並んだ駄菓子を見ていた。チョコレートにきなこ棒に飴玉に金平糖――やたら巨大な以外は普通のお菓子に見えるそれは、カクリヨファンタズムが誇る駄菓子兵器だった。
「食べれるのかな、コレ……」
「駄菓子!」「でも斬れる!」「武器?」
 一緒について来たメイド人形のラン達は、璃奈とそろって首をかしげ。仔竜のミラ達は興味津々といった目で見ている。そんな彼女らに駄菓子屋の店主は「どうぞお食べ」と、試供品の駄菓子を配るのだった。

「しかし、色々種類があるみたいだね……」
 勧められた駄菓子兵器をひとつひとつ手に取ってみて、使い心地を確かめてみる璃奈。
 普段から仕込み刀を愛用しているラン達は、チョコレー刀で居合を試したり。ミラ達は各々駄菓子兵器を齧ったり舐めたり吸い付いたりと、コロコロ転がりまわっていた。
「よく斬れる!」「不思議!」「なんで?」
「きゅ~♪」
 武器としての性能もお菓子としての美味しさも、普通の品に引けを取らない。妖怪達の謎の技術力に感心するやら驚くやらの従者達を見つつ、璃奈は自分が得意とする得物――すなわち剣や刀の駄菓子兵器を物色していた。

「ん、なんだろう、コレ……チョコ霊刀……凄くシックリくる……」
 璃奈が手にとったのは刀身がチョコでできた「チョコレー刀」の妖刀仕様。軽く素振りをしてみれば、硬く溶けないチョコの刃から匂い立つような妖気が。魔剣の巫女である彼女がピンときたからには本物の霊刀なのだろうが――どうやって造られたかは謎である。
「お嬢ちゃんはそういうのが好きかい? だったらこのあずきカリバーもどうかね」
「あずきカリバー……?」
 駄菓子屋の主が勧めてきたのは、硬く、重く、でかい、まるで鉄塊のようなあずきバーだった。並みのアイスとは一線を画する強度は、切れ味よりもむしろ鈍器としての威力に活かされるだろう。杭でも打てそうな分厚い刀身が謎の威圧感を放っている。

「幾人もの猛者の歯を砕いた呪われた氷菓子さ……」
「……駄菓子……?」
 それは本当に駄菓子のカテゴリに入れて良いのかなという疑問が璃奈の脳裏をよぎったが、駄菓子"兵器"ならばこのくらい当然という事なのか。言葉巧みな店主の勧めもあり、つい色々と試してしまう。
「ここにあるのは試供品だからねぇ。好きなだけどうぞ」
「じゃあ、コレも……」
 とりあえず、刀剣を中心に一通り駄菓子兵器を試して、もとい遊んで(?)みる璃奈。
 一緒に遊んでいたメイドや仔竜も、それぞれお気に入りの駄菓子が見つかったらしい。ツッコミどころは多々あれど。個性豊かな駄菓子を見るのはなかなか楽しいものだった。

「面白かったね……」
「駄菓子!」「楽しい!」「満足!」「きゅぃ!」
 いろんな駄菓子兵器のお試しを味わって、駄菓子屋を後にした璃奈とメイドと仔竜達。魔剣の巫女の背中には、今日の記念にと渡されたチョコ霊刀とあずきカリバーがあった。
 彼女らが次に訪れたのはかき氷屋の屋台。駄菓子も良いが夏と言えばこれも欠かせないだろう――いちごにレモンに抹茶など、各々好きなシロップをかけて店先で味わう。
「た~まや~!」
「か~ぎや~!」
 そこからビーチを眺め、空を見上げれば、美しく打ち上がる花火とはしゃぐ妖怪達の姿が目に映る。大祓百鬼夜行の頃の危機的状況はどこへやら、妖怪達はすっかり元の日常に戻り、夏を謳歌している。

「うん……この世界を守れて、この光景が見れて良かった……」
 みんなでかき氷を食べながら花火を眺め、璃奈はぽつりと呟く。いつもと変わらぬ無表情のようだが、いつも一緒にいるメイドと仔竜には、彼女の喜びを感じることができた。
 不安定で混沌とした、けれども平和で穏やかなカクリヨファンタズム。この光景は紛れもなく璃奈たち猟兵が命をかけて守り抜いた、かけがえのないものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
…花火と一緒に打ち上げられるってどういう事かしら…?

雪花「とりあえず、字面だけ聞いたらすごいのー」

駄菓子(武器)を持って花火で空の上ってなかなか無い体験よね

雪花「あずきバーハンマーっていうのがあったの。カッチカチなの」

殺傷力高そうねぇ、それ…。

とりあえず、雪花を連れて参加。
空中で駄菓子武器の使い心地を試した後、空中で花火に腰掛け、雪花を膝に座らせて愛でながらお酒を一杯(雪花はジュース)。

空のビアガーデンといった感じで折角の空中&間近の花火を楽しませて貰うわ♪
思えば一緒に空に上がるってこんな間近で花火を見るコトなんて早々無いわね♪



「……花火と一緒に打ち上げられるってどういう事かしら……?」
「とりあえず、字面だけ聞いたらすごいのー」
 夜空に咲く大輪の花火を見上げるフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)とその眷属、雪花。地上から眺めるぶんには普通の花火と大差ないようだが、あの妖怪花火、なんと一緒に打ち上がったり上に乗ったりできると言うから驚きである。
「あなた達もどう? ひゃっほー!」
「新作の駄菓子兵器もあるよ、ふぇっふぇっふぇっ……」
 楽しそうな悲鳴を上げてお空に吹っ飛んでいく妖怪たちや、怪しげな笑みで手招きする駄菓子屋の店主。幽世のビーチで過ごす夏休みは一筋縄ではいかないのは明らかだった。

「駄菓子(武器)を持って花火で空の上ってなかなか無い体験よね」
 とりあえず雪花を連れてお祭り騒ぎに参加することにしたフレミアは、駄菓子屋さんで渡された駄菓子兵器を手にして妖怪花火に乗る。大砲のような筒からドーン! と大きな音と共に打ち出される花火玉、それと一緒に彼女らの体は大空にすっ飛んでいった。
「あずきバーハンマーっていうのがあったの。カッチカチなの」
「殺傷力高そうねぇ、それ……」
 打ち上げられてもなぜか体にダメージなどはない。大きく花開いた色鮮やかな火の玉の上で、雪花はぶんぶんと巨大な氷菓子を振り回していた。ただでさえ歯が欠けるほど固いあずきバーがより強固になることで、まさに兵器と呼ぶに相応しい鈍器と化している。

「槍みたいな駄菓子もないか見たけれど……チューブアイスランス? 変わってるわね」
 フレミアも駄菓子屋持たされた様々な兵器を空中で素振りし、使い心地を試してみる。
 見た目は変わった物ばかりだが、猟兵用に開発された駄菓子兵器は意外と扱いやすい。重さもバランスも丁度よく、持っている内に溶けて使い物にならなくなったりもしない。
「花火に当たっても溶けないのー」
 雪花もあずきバーハンマーを振り回して楽しそうにしている。試供品ということで威力は抑えめらしいが、これならオブリビオンとの戦いでも通用するだろう。これで倒される相手の気持ちまでは想像がつかないが。

「なかなか悪くなかったわね。こんなものかしらね」
 駄菓子武器の使い勝手を試した後、フレミアは近くに浮かんでいる妖怪花火に腰掛け、雪花にも座るようにぽんぽんと膝を叩く。まだ幼い雪女見習いの娘は「おねぇさまー♪」と笑顔で膝の上にちょこんと座った。
「あとは折角の空中&間近の花火を楽しませて貰うわ♪」
「♪~」
 用意してあったお酒とジュースをグラスに注ぎ、ふたりで乾杯。さながら空のビアガーデンといった感じで、下から打ち上げられてくる鮮やかな花火を眺めながら杯を傾ける。

「思えば一緒に空に上がるってこんな間近で花火を見るコトなんて早々無いわね♪」
 過去に見たことがあるものでも、アングルが変わればこんなに新鮮に映るものなのか。
 比喩でなく「手を伸ばせば触れられ」る距離から眺める妖怪花火は大迫力で、色鮮やかな火花が夜空をぱっと華やかに染める。
「すごく綺麗なのー……」
 目をまんまるくして見入っている雪花を見ると、フレミアは柔らかに微笑みながら彼女の頭をなでて膝の上で愛でつつ、自分もこの場でしか見られない光景を目に焼き付ける。
 主従ふたりで過ごしたこの夏の一コマは、きっと彼女らの大事な思い出になるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カビパン・カピパン
外は花火大会やらで盛り上がっているが、せっかくの休みである。
カレー屋を店仕舞いしカーテン閉めて真っ暗にして、お気に入りの鮫ぐるみをかぶって部屋の隅で体育座りで引き篭もろうと思った。外になんて出ない、誰とも会わないという固い意志。

と思っていたら、常連妖怪達がカレー屋に入り込んできた。
「うわっ、なんだこれは!?」とか妖怪達は驚きながらもカビパンを連れ出そうとする。

カビパンはその横暴行為に抵抗したが、数の暴力で流され、結局手を引かれながら外まで連れ出された。

ヤケクソになったカビパンは、あらゆる駄菓子兵器をぶち込まれた挙句に妖怪花火と共に打ち上げられ、次の日サメの死体として最後までカクリヨを騒がせた。



「あー疲れた。今日は店仕舞いよ」
 外は花火大会やらで盛り上がっているが、せっかくの休みである。カビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)は自身が営む「悩み聞くカレー屋」カクリヨ支店の店舗に鍵をかけ、カーテン閉めて真っ暗にした部屋に引き篭もろうと思っていた。
「外になんて出ない、誰とも会わないわ」
 飲食店にとってはこういうイベントはかきいれ時だろうに、そもそも何時だってタダの当店には関係ないわという固い意志が感じられる。お気に入りの鮫ぐるみをかぶって部屋の隅で体育座りする彼女の邪魔をする者は、誰もいないかと思われたが――。

「ちわーっす。あれ、店が暗い?」
 そこにどやどやとカレー屋に入り込んできたのは、この店の常連妖怪達。常連と言っても飯を注文するよりただ駄弁っている時間のほうが長いような連中だが、まあ顔なじみには違いない。せっかくの夏休みにわざわざこんな所(失礼)に来るような酔狂者である。
「うわっ、なんだこれは!?」
「なにやってんの店長?!」
 そんな彼らは部屋の隅っこでうずくまっている奇妙な着ぐるみを見つけて驚き、それがカビパンだという事に気付いて二度驚く。こんなに良いお祭り日和なのに引きこもっているなんて勿体なさすぎる。あと単純に夏場にその格好は熱中症にならないか心配になる。

「ほらほら、店長も一緒に花火大会いこうよ」
「駄菓子もあるよー、楽しいよー」
「えぇ……めんどくさい……」
 なんとか彼女を外に連れ出そうとする妖怪達。その横暴行為にカビパンは抵抗したが、数の暴力で流され、結局手を引かれながら外まで連れ出された。今は夜中なのでギラつく夏の日差しはないが、代わりに大輪の妖怪花火が彼女を照らす。
「うっ、眩しい……」
 このままでは強制的にあの花火に乗せられて打ち上げられそうな勢いだ。なんで自分がそんな目に合わなくちゃいけないのかと妖怪達のありがた迷惑に怒りがこみ上げてくる。

「こうなったら暴れてやるわ!」
「うわっ! 店長がキレた?!」
 とうとうヤケクソになった【ハリセンで叩かずにはいられない女】はハリセンを振り回して暴れだした。それを見た妖怪達は近くの駄菓子屋に駆け込み、試供品の駄菓子兵器を持ち出して応戦する。
「やれー! 負けるなー!」
「ごふっ!!!」
 やはり数の暴力は強かった。あらゆる駄菓子兵器をぶち込まれた挙句に妖怪花火と共に打ち上げられ、次の日サメの死体として最後までカクリヨを騒がせたのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パルピ・ペルポル
駄菓子屋にはお世話になったわねぇ。

せっかくだし駄菓子兵器のお試しさせてもらうかしら。
電撃わたあめは実際使ったからわかるけど、設置罠として使うとよい感じよ。
それ以外で職業柄気になるのはヨーグルとりもちかしらね。
これは粘着力を弱くしてある以外は正規品(?)と同じなのね、ふむ。
(蓋を開けて眺めてみたりちょっとすくってみたり匂いをかいでみたり)
あとは雨紡ぎの風糸を蜘蛛の巣状に編んで、そこに塗り塗り。
厚塗りしなければたれてこないかしら。匂いさえごまかせれば設置罠に使えるわね。
で、蜘蛛の巣に向かって金平糖クラスター砲を撃って遊んでみるわ。
金平糖がくっついて花火みたいでなんか綺麗だわ。



「駄菓子屋にはお世話になったわねぇ」
 大祓百鬼夜行との戦争でも駄菓子兵器を使用した経験のあるパルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)は、あの時の戦いを思い返しながら店先のラインナップを眺めていた。見覚えある品から初めて目にする品まで、いろんな駄菓子が並んでいる。
「せっかくだし駄菓子兵器のお試しさせてもらうかしら」
「ええ、好きなのを持ってってねぇ、妖精のお嬢ちゃん」
 店主を務める妖怪のお婆ちゃんが朗らかに笑い、これなんてどうだねと色んな駄菓子を勧めてくる。試供品ということでお代は取らないらしいので、好きなだけ試してみよう。

「電撃わたあめは実際使ったからわかるけど、設置罠として使うとよい感じよ」
 最初に手にとったのは、衝撃を与えると周囲に電撃を放つ、パチパチキャンディー入りの綿あめ。適当なサイズにちぎって通路に仕掛けておけば手頃なトラップとして使える。
 チョコの棍棒を振り回して暴れる鬼娘達をこれで撃退したのも今では懐かしく感じる。
「わっ、なにこれ! びっくり!」
 試供品をセットした所に妖怪が通りがかり、パチパチと綺麗な稲光がビーチを照らす。
 威力を下げていても驚かせ力はばっちり。設置場所によっては鑑賞用にも良さそうね、と考えるパルピだった。

「それ以外で職業柄気になるのはヨーグルとりもちかしらね」
 次にパルピが興味を持ったのは、命中した相手の動きを絡め取るというヨーグルト味の駄菓子兵器。シーフとしては直接攻撃する武器よりも、色々と小細工に使える物のほうが性に合っているのかもしれない。
「これは粘着力を弱くしてある以外は正規品と同じなのね、ふむ」
 蓋を開けて眺めてみたり、ちょっとすくってみたり匂いをかいでみたり。ちょっと酸味のある甘い香りからして、このまま食べてみても美味しそうだ。兵器としての性能と食品としての美味しさを、どうやって両立しているかは多分永遠の謎だが。

「そうね、こういう使い方はどうかしら」
 手持ちのアイテムから「雨紡ぎの風糸」を取り出し、蜘蛛の巣状に編み上げる。そこにヨーグルとちもちを塗り塗りすれば、本物の蜘蛛の巣さながらの捕縛トラップの完成だ。
「厚塗りしなければたれてこないかしら。匂いさえごまかせれば設置罠に使えるわね」
 正規品の粘着力はもっと強いらしいし、購入にも一考の余地があるクオリティにパルピも満足そうな顔。強いて言うなら使った後の始末がすこし手間になりそうな事くらいか。

「それじゃ、あとはこれで遊んでみましょ」
 最後にパルピが取り出したのは金平糖クラスター砲。フェアリー用としては大きなそれを【火事場のなんとやら】でひょいと持ち上げ、張ったばかり蜘蛛の巣に向かって撃つ。
 パァン! とクラッカーを大きくしたような音が鳴り響き、発射された巨大な金平糖の中から無数の小さな金平糖が弾けて飛び出し、パラパラと蜘蛛の巣に降りかかる。
「金平糖がくっついて花火みたいでなんか綺麗だわ」
「わー、おもしろーい!」
 夜空に咲いた妖怪花火も良いが、駄菓子でできたこちらの花火もなかなか良い雰囲気。
 それを見ていたビーチの妖怪達からも好評で、自分もやってみたいとか言い出す者も。結果的にここの駄菓子屋の売上がすこしアップしたらしいが、それはまた別のお話で――愉快な駄菓子を(色んな意味で)味わって、休暇を楽しんだパルピであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
【天魔】
トレイに乗せたまま、『ブルーサファイア』のカクテルを届けよう。
お待たせしました。こちら、当店自慢のブルーサファイアでございます。なんて、ワザと恭しい言い方をしながら手渡す。
微笑まれた表情に僅かに動揺。…全く、美人の微笑ってのは…どうしてこう…(頭ガシガシ)
俺もその場にエプロンを外して腰を落として、夜空に打ち上がる花火を眺めよう。どうだ?気分は?なんて尋ねながら。

…夢?さぁて。故郷のヴァンパイア共を駆逐しても化物や魔獣は居なくならねぇだろうし。そいつらを狩る仕事をするのも悪くねぇ。
カタリナは――(聞こうとして打ち上がった花火に打ち消されて)いや、今は聞かねぇでおく。答え、楽しみにしてるぜ


カタリナ・エスペランサ
【天魔】

喧騒から少し離れた木陰、ビーチチェアに体を預けて星空を見上げていよう

あら、ありがとう。涼やかな青色は今宵の風にもよく映えるわね――なんて。
カイムさんに合わせてお嬢様らしくお礼を言ってから、悪戯っぽく微笑んでみせたり。

素敵な夜だね。何処の世界でも、こんな時間を当たり前に過ごせるように出来ればいいんだけど。
カイムさんの言葉に頷き、打ちあがる花火に目を細め。
…そういえば、カイムさんには夢ってあるのかな?
未来の話。なんとなく聞きたくなったんだ。

私は――
呟きは花火の音に紛れて。

ああ、楽しみにしてるといい!
今答えなくてもいい事に安堵した内心は隠して得意げに。
…胸を張れるような答え、見つけないとね。



「……きれいな星」
 祭りの喧騒から少し離れた木陰で、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)はビーチチェアに体を預けて星空を見上げていた。星明りに照らされた横顔はどこか物憂げにも見えて、彼女の美しさをより引き立てる。
「……お待たせしました。こちら、当店自慢のブルーサファイアでございます」
 そんな彼女の横から声をかけるのはカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)。ワザと恭しい言い方をしてから「なんてな」と笑って、トレイに乗せたカクテルのグラスを手渡す。それを受け取ったカタリナもまた、バカンス中の令嬢のような微笑で応じた。

「あら、ありがとう。涼やかな青色は今宵の風にもよく映えるわね――なんて」
 相手に合わせてお嬢様らしくお礼を言ってから、悪戯っぽく微笑んでみせるカタリナ。
 するとカイムは僅かに動揺を見せ、すぐにそれを誤魔化す様にガシガシと頭をかいた。
「……全く、美人の微笑ってのは……どうしてこう……」
「うん? どうかしたかな?」
「なんでもねえよ」
 聞こえなかったのかからかわれているのかは判然としない。気まずい雰囲気になる前にカイムは海の家で使われるようなエプロンを外し、水着姿になってその場に腰を落とす。

「どうだ? 気分は?」
「素敵な夜だね。何処の世界でも、こんな時間を当たり前に過ごせるように出来ればいいんだけど」
 夜空に打ち上がる花火を眺めながらカイムが尋ねると、カタリナは静かに頷きを返す。
 こうして幽世で平和な催しができるのも、猟兵が戦い続けた成果である。今はまだ平和から程遠い世界でも、いつかきっと――と、彼女はぱっと咲いた大輪の花に目を細める。
「……そういえば、カイムさんには夢ってあるのかな?」
「……夢?」
 ふいに尋ね返されたその問いに首を傾げるカイム。普段から親しくしている相手でも、夢や将来について語る機会は案外ないものだ。互いの事情はそれとなく察してはいても、改まってそういう事を聞くのは初めてではないだろうか。

「未来の話。なんとなく聞きたくなったんだ」
 あえて今それを尋ねようとしたのは、この美しい星と花火と二人きりのせいだろうか。
 猟兵は世界の未来を守るために戦う者達だが、隣にいる誰かの未来について聞くことはそう多くないかもしれない。唐突ではあっても茶化している訳ではないことをカタリナの表情から察し、カイムは夜空に視線を向けたまま語り始める。
「さぁて。故郷のヴァンパイア共を駆逐しても化物や魔獣は居なくならねぇだろうし。そいつらを狩る仕事をするのも悪くねぇ」
 猟兵の巡る世界の中でも特に闇深い彼らの故郷が、真の平和を得るのは遠い話だろう。
 もし仮に、吸血鬼だけでなくヒトを脅かす化物を全て狩り尽くし、もう戦う必要のない未来が訪れたら――そんな先で自分がどうしているのか、まだ想像するのも難しかった。

「カタリナは――」
 視線を隣にいる女性に向けて、口を開きかけ。聞こうとした言葉は打ち上がった花火に打ち消される。鮮やかな夜空の花に照らされた青年の表情は真剣で、いつもと違うように見えてどきりとする。
「私は――」
 女性の口にしかけた呟きもまた花火の音に紛れて。そろそろ祭りも終わる頃だろうか、フィナーレを彩るように沢山の妖怪花火が上がり、二人の姿は光彩のシルエットとなる。

「――いや、今は聞かねぇでおく。答え、楽しみにしてるぜ」
 僅かな静寂の後で、そう言ったカイムの表情はいつもと変わりない笑顔に戻っていた。
 それを見たカタリナは一瞬目をまたたかせたが、すぐにこちらも普段通りの快活な笑みを浮かべて応える。
「ああ、楽しみにしてるといい!」
 今答えなくてもいい事に安堵した内心は隠して得意げに。今はまだ朧げにしかない未来図がはっきりと心の中で形を得るとき、自分はどんな顔をしてそれを伝えるのだろうか。
(……胸を張れるような答え、見つけないとね)
 今はまだこのままで。カタリナはカイムと隣り合ったまま、夜空の花火を眺め続ける。
 ビーチを彩る最後の妖怪花火が上がった時、遠くから妖怪たちの歓声が聞こえてきた。



 こうして、幽世で開かれた花火大会は、参加した猟兵達にそれぞれの思い出を残した。
 ひと夏の休暇を終えた彼らは、また次の戦いに赴く事になるだろう。オブリビオンとの戦いに終わりはない――だが、彼らが歩んできた道程には、確かな平和が息づいていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月05日


挿絵イラスト