ウォータースライダー流し素麺大会
「流しそうめんって知ってる?」
アルゲディ・シュタインボック(白金の癒杖・f03929)の第一声はそんな問いかけ。
無事に水着コンテストも終了し、会場となったビーチでは妖怪親分達の粋な計らいで妖怪花火が打ち上げられる事となった。
この妖怪花火、猟兵も乗って一緒に打ち上げられてみるとか、花火で生じる空中の模様の上を歩いたりと、まぁ流石カクリヨなだけあって何でも有りだ。
「最近は夜でも暑くて食欲も湧かないかもだけど。冷えた素麺だったら行けるんじゃないかって、妖怪の有志が流し素麺やってくれるっていうの」
それもただの流し素麺では無い。打ち上げられた花火の更に上、残る模様の間を楽しみ駆け抜ける様に設置されたのはウォータースライダー!
……いや、これに流すのか素麺を。
「花火の模様が良い感じに足場になるみたいだし」
何とか箸は届くらしい。早いけど猟兵なら捉えられる、多分。
「うどんやラーメンやパスタも流れてくるって」
冷やし中華始めました。
「時々、今が旬の桃も流れてくるって」
どんぶらこ、どんぶらこ。
「うっかり足を滑らせた流す担当の河童君(妖怪)が流れてきたら助けてあげてって」
河童の川流れ、いや、スライダー流れ。
とにかく、水に濡れて流れても問題無いものなら遠慮無く流れてくるし良い感じに冷えて、カクリヨ効果で美味しさも増している筈との事で。
素麺や各種冷やし麺類は普通にスタンダードに食べても良し、お勧めレシピを皆に紹介しても良しである。
「何を着てきても良いけど、うっかり水に落ちても水着なら平気でしょう?」
服装は自由。食べ終わった後ならスライダーを滑りまくるのも自由らしい。
「カクリヨの夏、楽しんじゃいましょう♪」
アルゲディは薬味のネギとショウガを用意しながら笑顔でそう皆を誘うのであった。
天宮朱那
天宮です。こおりタイプなので暑さに弱い。
冷やし汁無し担々麺がこの時期至高。
日常一章のみのシナリオとなります。
タイトルの通り、割と頭のネジぶっ飛んだ系。
突如現れたウォータースライダーを流れる素麺その他。
水に流れても問題無いものなら何でも流れてきますので希望するものをプレイングで指定して頂ければ。
溶けたり途中でバラバラになって下流が大変な事になるものは流せません。缶飲料は流せるけど、炭酸系は開けた時については責任持ちません。
冷やし麺類は何か美味しい食べ方あればご披露下さい。苦手食材で無ければきっと天宮がそのうち実食するか広めるかします。
ご指名有ればうちのグリモア猟兵がお伺いします。
スタッフは妖怪の河童君たち。時々流れます。キュウリあげると喜びます。
公開されたら受付開始。特に導入は入れません。
複数合わせは迷子防止に相手の名前(ID)かグループ名記載を。
適度に人数集まったら〆切目安の告知予定。
マスターページやタグ、Twitter(@Amamiya_syuna)等でお知らせします。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み2021』
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POW : 妖怪花火で空へGO!
SPD : 妖怪花火の上で空中散歩
WIZ : 静かに花火を楽しもう
👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
霧島屋・もなか
綺麗な妖怪花火が打ち上がる夜空の中で変わった形のスライダーから流れる麺を食べるのは面白そうやわ!と
水着姿のまま妖怪花火で打ち上がり空中で流れてくる物を食べる
素麺さっぱりしてて美味しいわぁ
お蕎麦も流れてきたやん美味しい
うどんもきしめんも生卵と梅干しをといた麺つゆによく合うんやね!
お惣菜の方もあるやんけ
胡瓜もかまぼこも豚しゃぶも海老にワカメに枝豆にオクラまで揃ってるわぁ
うにゃーどれも美味しい
デザート専用もあるん?!
気が利くわぁ河童様様やね!
白玉、団子、蜜柑、パイン、杏仁豆腐、わらび餅にメロンも!
きなこまぶして食べるが
河童も流れてきて助けようとするが
お腹いっぱいで動けず二次災害で共に流されちゃう
次々と打ち上げられていく夏の夜の大輪に、あちらこちらから歓声が上がる。
綺麗な花火が咲く其処に、いつの間にかズドンと設置されたのは何やら巨大なウォータースライダー。
「変わった形のスライダーやね……あそこから流れる麺を食べるん?」
霧島屋・もなか(ゆめかわ♥かわうそちゃん・f27972)の太い尻尾が好奇心と同期して揺れる揺れる。面白そうやわ……!と、心はもうあの流れの上。
新調したばかりの青い帽子が落っこちない様にしっかり確認。同じく青いリボンひらめかせ、水着姿のもなかは妖怪花火の発射ポイントにすたたっと向かえばカウントダウン開始。
3、2、1――どぉぉんんっ!!
たまやー、と何処かで声があがった気がする。花火と共に宙に打ち上がり、大きく開いた大輪の花弁の上を足取り軽く進みながら、例のウォータースライダーの元へ。
結構良い勢いで流れるスライダーは大人一人滑れる大きさ。
そこに平然と流れてくる素麺を目敏く捉え、お箸でキャッチ!!
「いただきますーっ!」
薬味入れた麺つゆくぐらせ口に運べば、冷えた素麺がちゅるりんと滑らかに喉の奥に飲み込まれていく。
「素麺さっぱりしてて美味しいわぁ。あ、お蕎麦も流れてきたやん」
更科そばもお箸で捕まえて口にすれば、また素麺と違う蕎麦独特の風味が薫る。
うどんもきしめんも流れてきたのを美味しく頂きご満悦。生卵と梅干しを溶いた麺つゆとの相性が抜群過ぎてお箸が止まらない。
「あらら、お惣菜の方もあるやんけ」
胡瓜やオクラを初めとした夏野菜が水にぷかぷか浮かびながら流れてくるのを見て、もなかはつい顔をほころばせた。海老もピチピチ躍り食い出来るし。
「うにゃーどれも美味しい」
「デザートもそろそろ流すッパよー」
「へ、デザート専用もあるん!? 気が利くわぁ……河童様様やね!」
上流からスタッフ河童のアナウンス。そこから流れて来るは各種果物と、耐水仕様のカップにしっかり収まった杏仁豆腐やゼリーなどのスイーツの数々。
「ミカンにパインは良く冷えて美味しそう。あ、わらび餅にメロンも!」
冷たい流水で程良く冷えたわらび餅にきな粉をまぶして食べる事こそ日本の夏。
あーん、と口に頬張った所で何やら上流より悲鳴が聞こえてきた。
「一匹流れたぞー!!」
「あああ、流されるぅぅーー!?」」
足を滑らせた河童君が勢い良く流れに飲まれて滑っていく。
「捕まって――って動けなあぁぁぁぁぁっっっ!!??」
二 次 災 害 発 生。
手を差し延べたもなかであったが、お腹いっぱいでその動きは実に鈍かった。
うっかり彼女も河童に巻き込まれるようにウォータースライダーを滑り落ち。その悲鳴は遙か地上に向かって流れ落ちていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
山路・紅葉
【鬼桜兎犬】
お姉様や織子ちゃん、凶津君達と遊びに来ましたーっ
なんだかとっても不思議な体験が出来そうで楽しみ
皆で楽しく遊びましょっ!
🐰何が流れて来るんだろうなー
私の動体"視力"なら"見切り"すればどんな美味しい物だってとれるよ!
🐺え、ワタシの力の無駄遣い…そもそも衛生面は大丈夫なの…?
🐰大丈夫だよきっと!さーて食べるぞー!私は美味しい物ならなんだって大丈夫だよー!
🐺…まさに花より団子ね
🐰えっと…他にも色々流れてくるみたいだけど、助けられるなら助けよう
皆で一緒に食べるのも楽しいよね!
🐺所で…何か見覚えがある物も流れてるのだけど…本当に無視していいのかしら…
※協力・アドリブ歓迎
水着あり
神代・凶津
【鬼桜兎犬】で参加だ。
(巫女とプカプカ浮遊する鬼面)
紅葉の嬢ちゃん達と流し素麺を食いに来たがこの足場、妖怪花火ってのか?何だか不思議な感じだぜ。
「…ウォータースライダーで流し素麺やる方が不思議な気が。」
まあ、こういうのは楽しんだ者勝ちだろッ!
早速、素麺が流れてきたな……って速えッ!?
だが、俺も相棒も結構な場数を踏んでんだ。素麺くらい見切って取ってやるぜッ!
取れたらシンプルにめんつゆで啜るッ!
結構慣れてきたぜ。
どれ、次流れてきたヤツも箸でキャッチ……って河童!?
あああああぁぁぁ……。
(巻き込まれて流される鬼面)
「…紅葉、気にせず食べ続けちゃいましょう。」
【アドリブ歓迎・水着は2020のヤツ】
ひゅるるるる……ッパアァァァン!!
カクリヨ特設急拵えビーチの夜空を妖怪花火が美しく彩る。
一緒に打ち上げられると言う不思議なその花火に乗り、二人――いや、更に一匹と一枚?と言うべきか――の猟兵達が、遙か上から複雑にうねうね設置されたウォータースライダーの元まで辿り着いた。
「遊びに来ましたーっ!」
スタッフの河童達に元気良く挨拶したのは山路・紅葉(白い兎と黒い犬・f14466)。その傍らには彼女が織子と呼ぶ黒犬が鼻をクンクンさせて色々流れていく食材を見つめていた。
その後ろを付いていくのは巫女姿の少女、そしてプカプカと浮遊する鬼の面――神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)の姿。
「嬢ちゃん達と流し素麺を食いに来たが、この足場……妖怪花火ってのか?」
凶津は周囲をぐるり見渡し軽く首を傾げた。色取り取りの模様は確かに花火の大輪そのものなのだが。何故か大きく花開いたままの模様がまるで固まったかの様に足場となっているのだから。
「――何だか不思議な感じだぜ」
「そうして浮いてるあなたが足場を気にする必要性は感じないのだけど……」
巫女の少女にして凶津の相棒(バディ)であり身体(ボディ)でもある神代・桜はポツリとツッコミじみた事を言う。
「……そもそも。ウォータースライダーで流し素麺やる方が不思議な気が……」
「うん、そうだね。なんだかとっても不思議な体験が出来そうで楽しみ!!」
「え、あ、そうですね……」
紅葉は桜のぼやきすらも弾き飛ばすかの様に顔ほころばせ、織子や凶津に向けて視線を向けると同意得るかの様に微笑んだ。
「二人も! 皆で楽しく遊びましょっ!」
「まあ、こういうのは楽しんだ者勝ちだろッ!」
「そうね、楽しみましょ」
面と犬が頷くと、颯爽と一行は素麺流れるスライダーの近くに足を運んだ。
「早速、素麺が流れてきたな」
ウキウキしながら凶津が上流を見つめる。どうやって箸を掴んでキャッチしているかは正直良く解らないけど、しかと構えて彼は待つ……!
「って速えッッ!?」
矢の如く。スライダーの流れに乗って、旨そうな素麺は一気に下流へと滑り落ちて行くではないか。
だが、素麺の速度に物怖じする面では無かった。
「くくく……」
「凶津……?」
「素麺如きに後れを取る俺じゃあねぇ! 俺も相棒も結構な場数を踏んでるんだ!」
「いや、そこ一緒にされても」
「素麺くらい見切って取ってやるぜッ!」
ハイテンションなノリで闘志を燃やす凶津と、それに呆れながらも付き合う桜。
真実、そこから二人が繰り出した箸技は神速とも言うべきか。
「取りました……!」
「取れたらシンプルにめんつゆで啜るッ!!」
イン・ザ・麺つゆ。鰹節の香りが細く冷たい素麺に絡みつき、実にデリシャス。
一方、紅葉は織子と共に何やら流れて来る上流を見つめ、やはり箸を構えていた。
「何が流れて来るんだろうなー。ほら、私の動体視力ならどんな美味しい物だって取れる筈だよ!」
「え、ワタシの力の無駄遣い……」
その力ってそもそも織子の存在が彼女にもたらすものの筈だ。良いのか、戦う為の力をこんなレクリエーション的な事に使って。
「そもそも衛生面は大丈夫なの……?」
「大丈夫だよきっと!」
「きっと、って……いえ、深く考えるのは止めたわ。カクリヨだし仕方ないのよね……」
良く見たらスライダーの横に『抗菌』とか書いてあるし、大丈夫だと思う事にして。
「さーて食べるぞー! 私は美味しい物ならなんだって大丈夫だよー!」
「……まさに花より団子ね」
素麺をちゅるんと満足げに啜る紅葉を見て、織子はやれやれと首を竦めながらも流れてきた笹蒲鉾を囓っていたのだった。
「結構慣れてきたぜ……!」
高速で流れて来る素麺その他を掴むコツは大分体得したらしい。フンスとドヤ顔で箸を構え、上級を見やれば。何やら上が騒がしいかと思えば滑り落ちてくる鮮やかな緑色。
「次流れてきたヤツもこの俺の華麗な箸捌きで――って」
「ひぎゃああぁぁぁ~~~!!」
「って河童ぁぁッ!?」
どおぉっっ!!
「ぶべっ」
おっちょこちょいの河童君が上流で足を滑らせ流れてきたらしい。残念ながら二本の箸で太刀打ち出来るものでは無かった。
「河童くん、捕まって!!」
紅葉が咄嗟にその手を伸ばし、流されるままだった河童の腕を掴んで無事救助。助けられるものなら助けるのが彼女の信条だった。
「ありがとッパ!」
「どう致しまして。さっき胡瓜流れてきたんだけど一緒に食べよう♪」
「わーい、いただくッパ!!」
一緒に食べるのも楽しいから。仲間の河童も少し休むッパ、と声を掛けてくれた事だし。
「……そう言えば、凶津さんは何処に?」
「何か見覚えがある物が向こうに流れていったのだけど……」
紅葉が問えば、織子は引き攣った表情で下流に視線を向ける。その先には目立つ赤い鬼の面が絶好調な勢いで流されていく様子であった。
「あああああぁぁぁぁ…………」
遠ざかる悲鳴。その相棒である桜に二人が視線を向ければ、彼女は黙って首を横に振り、そして言った。
「……紅葉、気にせず食べ続けちゃいましょう」
「桜が言うなら♪」
そして刻んだキュウリを添え、河童と一緒に再び美味しく素麺すするお嬢二人と。
「のぉぉぉぉぉ…………」
麺と一緒に下まで流れていく面と。
「本当に無視していいのかしら……」
心配げにそれを目で追い見届ける織子がいたのでありました。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
宵と手を繋ぎ花火を渡り流しそうめんの元へ
花火という物は見上げる物だと思っていたが、足元に咲く花も美しいな
そう口元を緩めつつも、興味深げにウォータースライダーを覗き込みながら流れてくる素麺を箸で摘まんとする…も!夢中になりすぎたのかウォータースライダーへ身が傾げば慌て宵へ視線を向けよう
…宵…!お前まで流されてしまう故に…!
引き上げて貰えば宵の体温に安堵の吐息を漏らし礼を
助かった…と。だがなんだ。流されたとて直ぐにお前の元に戻りはするが…な
そう照れ臭そうに顔を見合わせ笑い合おう
ああ。お前と離れる等考えられんゆえに
その後は共に流し素麺を食しながらゆるりとした時間を過ごせればとそう思う
逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と
かれと手を繋いで花火から花火を渡り歩き
上から見る花火もなかなか乙なものですね まるで足元から輝きが生まれているようです
それから巨大流しそうめんへ向かいお箸を構え
水とともに流れてくるそうめんを箸で掬おうと試みていれば
前のめりになっていたかれがバランスを崩してスライダーへ落ちようというところを
とっさに精霊を呼び風でさらなる足場と支えを貰いつつかれの腕を掴み引き寄せましょう
大丈夫ですか、ザッフィーロ
ふふ、僕のザッフィーロを水になど拐わせるわけにはいきませんからね
かれの言葉には微笑みつつもちろんです、と
きみとは、ずっと一緒ですからねと笑って
流しそうめんを楽しみましょう
夜空に咲くそれは大輪の菊花よりも色鮮やかで美しい。
地上の夏と比べれば涼やかな風が優しく髪を撫でて行く。
「……綺麗、ですね」
逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は普段と違って後ろに結った髪が歩く都度軽く跳ねて揺れるのを感じる。まるで己の心が弾むのに呼応しているかの様に。
「花火という物は見上げる物だと思っていたが――」
そんな宵をエスコートでもする様に。しかと手を繋いで隣を歩むザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は口元を緩めながら感心する様に己の歩くその下を見下ろしていた。
「足元に咲く花も美しいな」
「ええ、上から見る花火もなかなか乙なものですね」
まるで足元から輝きが生まれているよう、と宵は表す。花火から花火へと渡り歩く足取りは軽やかで、二人とも所作も表情も、随分と大人びてはいるものの――その心は子供の様に純粋に楽しんでいると思われた。
「で、これが巨大流しそうめん……」
驚く様な表情をする宵。そう言うものもあるのかと興味津々に受け入れるザッフィーロ。多少ツッコミ不在な気がするのは否めない。
「このウォータースライダーを流れて来る素麺を箸で捉えて食すのだな」
なかなかの早さを有する水流を覗き込みながらザッフィーロは箸を構え、宵も麺つゆの入った器を彼に渡して同じく構える。
「ええ、想像以上に早いですが……僕とザッフィーロならば大丈夫でしょう」
そう告げて箸先を水流に沈め軽く掬えば、水滴と共に素麺が持ち上がる。
軽くつゆをくぐらせて口に運べばつるんとした食感とひんやりした冷たさが口の中を幸せいっぱいにしてくれる。
「暑い季節には最高ですね……」
「ああ、そうだな。それにこうして摘まみ取るのも遊戯のようでなかなか」
美味しさと面白さについつい箸が進む。時々取り損ねてしまうと更に夢中になってしまうのは多少負けず嫌いな性格のせいだろうか。
気が付けばザッフィーロは腕だけではなく、その長身の上半身の殆どをスライダーの上に前のめりになっており。
「次こそは……っと、ぉ――」
「ザッフィーロ!!?」
うっかりと手を伸ばしたまま重心を崩せば、ザッフィーロの身がスライダーの流れに落ちかける。咄嗟に宵は地を蹴り、思い切り身を乗り出して相方の腕を掴み取った。
「宵……!? お前まで流されてしまう故に……!!」
「心配は無用――!」
既に召喚した精霊が風を起こし、その身を支える手助けは得ていた。強い向かい風を受けながら、どうにか腕を引き寄せれば共に流される事故は回避し。スライダーの横で二人はへたりと座り込んだ。
「大丈夫……ですか、ザッフィーロ」
息を切らせながら宵がザッフィーロの二の腕にそっと手を触れて問う。そこから伝わる熱に、彼も安堵の息を漏らしながらもどこか気恥ずかしそうに小さく頷く。
「ああ、助かった……だが、なんだ……」
「はい?」
「流されたとて直ぐにお前の元に戻りはするが……な」
照れ臭いのか視線は軽く泳いでいるその言葉。宵はくすくすと微笑み聞いていた。
「ふふ、僕のザッフィーロを水になど拐わせるわけにはいきませんからね」
「ああ。お前と離れる等考えられん故に」
「勿論です」
ゆっくり立ち上がりながら、宵は然りと頷くと手を伸ばして相手の手を取り、そのまま立たせて。そして二人は同じ視線の高さにて顔を見合わせ、そして笑顔を向け合った。
「きみとは、ずっと一緒ですからね」
「ああ――」
未来永劫この先も、共に歩もうと――空に咲く花火に、輝く星に願って。
再びゆるりとした時間が、涼やかな水の音と共に流れて行く。
不思議な夏の風物詩を楽しみながら――。
「あれよ、末永く爆発すると良いんだわ。この花火の様――にね」
「まぁ、キュウリでも食べて祝福するッパ」
エルフの女と河童達が上流で出歯亀してた。
彼らがそれに気付いたのは、暫く経ってからのお話。
大成功
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