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愛なき魔獣寓意譚

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #猟書家 #ベスティア・ビブリエ #愉快な仲間

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●書の魔獣
 平和な不思議の国『動物園の国』には未だアリスは訪れていなかった。
 きっと訪れるであろうアリスのために『愉快な仲間たち』は、せっせと『動物園の国』を整備し続ける。
 いつの日になるのかわからない邂逅のために、いつまでも働き続ける『愉快な仲間たち』はティーポットや食器、トランプに卵人間、動物ぬいぐるみたちと言った様々な姿をしていた。
 他にもたくさんのおかしな『愉快な仲間たち』で溢れていた。

 しかし、彼等は一冊の本を見つける。
 不思議の国を整備する間に見つけた一冊の本。それは不思議な装丁をしていて、背表紙もキラキラと輝くようであった。
 タイトルが書かれているようであったが、『愉快な仲間たち』は誰もそれを読むことはできなかった。
 彼等は愛知る者たちだ。
 深く傷ついたアリスたちのために、その心が癒えるまでの間、不思議の国に滞在してもらって『自分の扉』を見つける冒険に繰り出す英気を養って貰おうとしていることからも伺えるだろう。

 けれど、その書物は違う。
 愛を知らぬがゆえに、愛を求めることすらせずに。されど、己の欲求のままに『物語』を喰らう魔獣。
 風に煽られるようにして書物のページが開かれた瞬間、飛び出したのは黒にも灰色にも成れぬ獣であった。
「縺ィ縺ヲ繧ゅ?√→縺ヲ繧ゅ?√♀閻ケ縺檎ゥコ縺?◆縺ョ縺ァ縺吶?」
 何を言っているのかわからない。
 わからないけれど、『愉快な仲間たち』は理解した。目の前の存在がなんであるかを。

 そう、己達の物語、記憶や経験、夢や希望と言ったあらゆるものを全て喰らい尽くす恐るべき獣。
 その名を『ベスティア・ビブリエ』――己が『白紙』故に、他者の『物語』を糧にする相知らぬ獣――。

●へんてこな愉快な仲間たちを探して。
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はアリスラビリンス。猟書家『ベスティア・ビブリエ』があらゆる『物語』を喰らおうとしています」
 ナイアルテの言葉に猟兵達は、それが何を意味するのか理解出来る者もいれば、理解できない者も居ただろう。

 そう、猟書家『ベスティア・ビブリエ』は、ありとあらゆる『物語』……すなわち、生物の持つ記憶や経験、夢や希望を喰らい尽くすという、恐るべきユーベルコードを持っている。
 そして、それは不思議の国に存在する『愉快な仲間たち』にとっては致命的なことなのだ。
「はい。疑似生物である『愉快な仲間たち』の皆さんは……そう、例えば、ティーポットの『愉快な仲間たち』の皆さんであれば、『なんでティーポットが喋るのか?』といった根本的な情報を奪われてしまうと……即死してしまうため、特に危険なのです」
 単純な情報で構成されている『愉快な仲間たち』であれば、『ベスティア・ビブリエ』は即座に食らいつくしてしまう。

「ですが、『ベスティア・ビブリエ』の恐るべきユーベルコードは、物語を喰らう時、それが複雑であれば喰らうのに時間がかかり、加えて攻撃した者に痛みやダメージを与えないのです」
 そして、『ベスティア・ビブリエ』さえ倒してしまえば、これまで喰らってきた『物語』は元の場所、つまりは元の『愉快な仲間たち』の体に戻るというのだ。
 なるほど、と猟兵達は敵に対する打開策が見えてきたことに喜ぶ。けれど、ナイアルテの表情が暗い。
 なぜかと問われれば、今回の戦いに置いて『愉快な仲間たち』の役割は、敢えて犠牲になってもらうしかないということだからだ。

「心苦しいのですが、『ベスティア・ビブリエ』を倒すためには、複雑な物語を持つ『愉快な仲間たち』を探し出し、喰らう間無防備になる隙を生み出してもらわなければなりません」
 それは囮として扱うということだ。
 心苦しさを感じるのは尤もであったことだろう。しかし、それ以外に敵の『物語』即ち記憶を奪い、時間を操作するかの如き空白を生み出すユーベルコードの脅威は拭えない。
『物語』を喰らわれてしまえば、一時的にユーベルコードを失念させられてしまったり、最悪戦い方すらも忘れてしまう可能性だってある。

 だが、『ベスティア・ビブリエ』の狙いはあくまで複雑な『物語』を持つ『愉快な仲間たち』である。
 彼等がいる間は、優先的に襲うだろう。
 その隙を突くしかないのだ。
「皆さんが為すべきことは2つです。まずは複雑な物語を持つ『へんてこな愉快な仲間たち』を探し出すこと。これは『ベスティア・ビブリエ』の配下オブリビオンも同じ目的を持って不思議の国の中を探し回っています。配下オブリビオンを打倒しながら、彼等を探し、保護しなければなりません」
 そして、とナイアルテは先程告げた『愉快な仲間たち』を囮にして『ベスティア・ビブリエ』を打倒しなければならないと告げる。
 これが二つ目だ。

「凄まじいユーベルコードを持つ猟書家『ベスティア・ビブリエ』、その打倒は急務です。皆さんにとっては、非常に戦いづらい相手となるでしょう。けれど、『物語』を喰らうだけしか知らぬ、愛知らぬ魔獣を打倒することができるのは皆さんしかいないのです」
 どうかお願いいたします、とナイアルテは頭を下げて猟兵たちを送り出す。
 そう、『物語』には愛がある。
 どんな『物語』も愛されて生まれてきたのだ。祝福されて生まれてきたのだ。どんな生命にも理由があるように。

 されど、喰らうことしか知らぬ『物語』もたぬ白紙の『ベスティア・ビブリエ』は違う。
 知らぬが故に、奪う、喰らう。
 その満たされぬ白紙に終止符を打たねばならぬ――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はアリスラビリンスにおける猟書家との戦いになります。猟書家『ベスティア・ビブリエ』との戦いになります。
 不思議の国『動物園の国』において、『へんてこな愉快な仲間たち』を配下オブリビオンから守りながら戦い、彼等を囮にして『ベスティア・ビブリエ』を打倒するシナリオになります。

 ※このシナリオは二章構成のシナリオです。

●第一章
 集団戦です。
 猟書家『ベスティア・ビブリエ』と共に本より飛び出してきた配下オブリビオン、オウガ『ホライゾンストーカー』との戦いになります。
『物語』を喰らう能力はありませんが、『愉快な仲間たち』に気概を加えてきます。ただし、『へんてこな愉快な仲間たち』を見つけると、主人である『ベスティア・ビブリエ』に捧げるために隙だらけの『吟味モード』に入ってしまうため、簡単に倒せてしまいます。
 普通に倒そうとすると、凄まじい速度やユーベルコードで苦戦してしまうでしょう。
 一にも二にも『へんてこな』愉快な仲間たちを探し出すことが先決となります。

●第二章
 ボス戦です。
『ベスティア・ビブリエ』の攻撃は全て、物理的なダメージは0となり、代わりに『物語(記憶)』を奪ってきます。
 そのため、オープニングで示されたとおり、『時間を操作したと思えない』ほどの瞬間移動(戦闘中の記憶を奪われるため、そうとしか見えない)したり、そもそもユーベルコードを失念させられたりしてしまうのです。
 それ以前に最悪戦い方を忘れてしまう可能性だってあります。

 ですが、『へんてこな愉快な仲間たち』がいれば、そちらを優先的に喰らうために攻撃するでしょう。
『へんてこな愉快な仲間たち』はきっと猟兵に協力してくれます。
 むしろ、自分たちの『物語』が喰らわれることさえ厭わずに囮になってくれます。
 その間に『ベスティア・ビブリエ』を攻撃し、倒しましょう。
 倒したのならば、喰らわれた『物語』は全て元通りになります。

 プレイングボーナス(共通)……へんてこな「愉快な仲間」を連れてくる。

 それでは『物語』を喰らい、己の欲求を満たすためだけに『愉快な仲間たち』を襲う『ベスティア・ビブリエ』を打倒する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『ホライゾンストーカー』

POW   :    チェイサーズポイズン
自身に【ばらばらにしたおもちゃのブロックの尻尾 】をまとい、高速移動と【遅効性の麻痺効果を持つ毒液】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    チェイサーズインスティンクト
【アリスや対象を追いかけた 】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
WIZ   :    フライングチェイサー
【星空の翼を広げ羽ばたく 】事で【高機動追跡モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:すずや

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 全ては一冊の書物から始まった。
 誰も文字を読み解くことのできぬ背表紙に刻まれた物語の名。
 それは、愛知らぬ魔獣寓意譚。
 ただ『物語』を喰らうためだけの存在。満たされぬことを知らぬず、そして、同時に満たされる事も知らぬ獣。

「縺ゥ縺?@縺ヲ縺薙s縺ェ縺薙→縺ォ縺ェ縺」縺ヲ縺励∪縺」縺溘?縺ァ縺励g縺??ゅ◆縺?縺願?縺檎ゥコ縺?◆縺?縺代↑縺ョ縺ォ縲ゅ←縺?@縺ヲ縺薙s縺ェ縺薙→縺ォ縺ェ縺」縺ヲ縺励∪縺」縺溘?縺九?ゆス墓腐閾ェ蛻?r諱舌l繧九?縺ァ縺励g縺??ゆス墓腐閾ェ蛻?°繧蛾??£繧九?縺ァ縺励g縺??る」溘∋縺溘>縺ィ縺?≧谺イ豎ゅ@縺九↑縺?□縺代↑縺ョ縺ォ縲ゆス輔≠縺ェ縺溘→繧上◆縺励?∽ス輔′驕輔▲縺ヲ縺?k縺ョ縺ァ縺励g縺??ゆス墓腐縲∽ス墓腐縲∽ス墓腐縲∽ス墓腐窶補?」

 その言葉は誰にも理解されることはなかっただろう。
『動物園の国』にあふれるオウガたち。『ホライゾンストーカー』と呼ばれるサソリの体にコウモリの翼、おもちゃのブロックのしっぽを持つオウガは、『愉快な仲間たち』を執拗に追いかける。
 彼等が狙うのは『へんてこな愉快な仲間たち』である。
 へんてこであれば、あるほどにいい。『物語』が複雑である証拠だ。彼等の主である『ベスティア・ビブリエ』にとって『物語』は複雑であれば、複雑であるほど食いでがある。
 そのために、彼等は探す。

 だれも見たことのないような『へんてこな愉快な仲間たち』たちを。
 想像を絶する不思議な生き物を。その『物語』がいつしか、愛知らぬ魔獣の胃を満たすと信じて――。
村崎・ゆかり
へんてこな愉快な仲間ね。探し物ならあたしの得手。
黒鴉召喚で大量の式を打って、この世界中に飛ばすわ。愉快な仲間たちを見つけたら、そういうへんてこな愉快な仲間がいないか尋ねながら。
見つけたら、飛鉢法で急行して事情を話して戦場まで急行する。悪いけど、よろしくお願いね。

さて、囮の用意は調えた。『ホライゾンストーカー』精々吟味しなさいな。
その間に、炎の「属性攻撃」でどんどん討滅していくわ。
囮の子に危害が及ばないよう、「オーラ防御」の「結界術」で障壁を立てて。

世界中に飛ばしていた式を戻して、戦場を鳥瞰。戦力が必要なところがあったら、そこへ応援に行ってもいい。

蠍に不思議の国は似合わない。退散してもらうわ。



「『へんてこな愉快な仲間たち』ね。捜し物ならあたしの得手――急急如律令! 汝は我が目、我が耳なり!」
 そうつぶやいて不思議の国『動物園の国』に黒鴉召喚(コクアショウカン)によって喚び出された大量のカラスに似た鳥形の式神が空を塗りつぶすようにして飛ぶ。
 喚び出したのは、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)であった。

 彼女の瞳はユーベルコードに輝き、黒鴉の式神と五感を共有し、周囲を探索する。
 探すのは当然『へんてこな愉快な仲間たち』である。
 猟書家『ベスティア・ビブリエ』は複雑な物語を持つ愉快な仲間たちを探している。単純な『物語』では一瞬で喰らい尽くしてしまう。
「『物語』、記憶を喰らうオウガ、か……その腹は満たされることがないからこそ、求めてやまないのね」
 自分が『白紙』であるからこそ、緻密に描かれた誰かの『物語』を欲する。

 自分で生み出すこともできなければ、分け与えることもない。
 一人で完結することもできない。奪うことしかできない書の魔獣は己の中にある唯一、空腹を満たすためだけに『へんてこな愉快な仲間たち』を求めるのだ。
「――と、こんな子ならどうかしら?」
 黒鴉の式神が見つけたのは、イヌ、ネコ、ニワトリ、ロバのぬいぐるみが積み上がった音楽隊の如き『へんてこな愉快な仲間たち』であった。
 彼等はその積み上がった姿故に、他の『愉快な仲間たち』よりも逃げるのに時間がかかる。
 単純に足が遅いのだ。

 さらに悪いことにぬいぐるみ故に足の可動域が極端に狭い。歩幅が低い彼等は即座に『ベスティア・ビブリエ』の配下である『ホライゾンストーカー』に取り囲まれている。
「なるほど。あれくらいでも『へんてこな』っていうくくりにはいるのね」
 ならばとゆかりは鉄鉢に乗って空へと舞い上がる。
 彼等には悪いが、『ホライゾンストーカー』たちは主である『ベスティア・ビブリエ』に『へんてこな愉快な仲間たち』を献上するためにじっくりと『吟味モード』に入ることが知らされている。
 その時の彼等は隙だらけなのだ。

「精々吟味しなさいな!」
 ゆかりは空から炎を解き放ち、『ホライゾンストーカー』を焼き払う。
「なになにどうしたわんにゃんこけこっこーひひぃん!?」
 語尾がすごい。
 ああ、なるほど。イヌ、ネコ、ニワトリ、ロバは、一つ一つが独立しているわけではなく、それらすべてで一体の疑似生物なのだろう。
 語尾が全部くっついているのはそういうことなのだ。確かに『へんてこ』である。

「悪いけど、囮よろしくお願いね。貴方に危害が及ばないようにはするけれど」
 そう言ってゆかりはほほえみながら彼等を中心に結界術で障壁を立てて炎を撒き散らし、迫る『ホライゾンストーカー』を蹴散らしていく。
『動物園の国』に飛ばしていた式神を戻して、戦場を俯瞰する。
 続々と集まってくる『ホライゾンストーカー』たち。
 コウモリの翼を広げ、凄まじい速度で迫る姿は、まさに洪水のようであった。
「サソリに不思議の国は似合わない。退散してもらうわ」

 けれど、洪水のようなオウガたちを恐れることはない。
 彼女が出会った『へんてこな愉快な仲間たち』の姿を見れば『ホライゾンストーカー』たちの動きは止まる。
 下手に『へんてこな愉快な仲間たち』を求めていたのが仇となるだろう。
「わんにゃんこけーひひん!?」
 それって鳴き声なのかしらと思いながら、ゆかりは彼等がこれまでどんな複雑な物語を持って生きてきたのかを少しだけ考え、けれど、己の放つ炎によって彼等を護ることを優先し、洪水のように迫る『ホライゾンストーカー』を打ちのめすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小鳥田・古都子
囮にするのは申し訳ないけど、他に手段がないならお願いするしかないの。
せめて頑張って守るのよ。

【千里眼】を使います。不可視の第三の目を生み出し上空へ。
【視力】を凝らして【情報収集】。広範囲透視でへんてこな仲間を探して…みんな不思議な姿だから選ぶの難しいね。
特に不思議な外見の仲間を選んで【念動力】による【空中機動】で飛んでいき事情を説明、協力をお願いします。

敵が現れたら【肉体改造】で強化された【早業】で【先制攻撃】。「内蔵火器」起動、両腕に仕込んだマシンガンの連射で【範囲攻撃】。
仲間への攻撃は【念動力】の【オーラ防御】で庇うの。
上空の千里眼で俯瞰し敵の動きを把握。高速の機動を追跡し【見切り】ます。



 不思議の国『動物園の国』に迫る猟書家『ベスティア・ビブリエ』の配下であるオウガ『ホライゾンストーカー』は洪水のようであった。
 彼等が探すのは『へんてこな愉快な仲間たち』である。
 複雑な生い立ち、奇怪な成り立ち、それこそが彼等の求める者であり、主である『ベスティア・ビブリエ』が貪るのに値する『物語』であった。

 何故、『へんてこな愉快な仲間たち』たちが動くのか。
 たとえばティーポットの愉快な仲間たちは、そもそも無機物である。なのに、何故か目と鼻と耳がくっついて、手足さえにょっきり生えて給仕をしたりする。
 そこに如何なる理由があるのか。
 その存在理由こそを『物語』として『ベスティア・ビブリエ』は喰らう。
「囮にするのは申し訳ないけど、他に手段がないならお願いするしかないの」
 せめて頑張って守らなければと小鳥田・古都子(サイボーグのサイキッカー・f16363)は己の機械の体をもって、『動物園の国』を走る。

 機械に置き換えられた彼女の体、その瞳がユーベルコードに輝くのと同時に顕現するのは、第三の目であった。
 それは、千里眼(クレアボヤンス)と呼ばれる半径96kmを透視するユーベルコードで生み出された上空を飛ぶ瞳であった。
「頼んだよ。それにしても『へんてこな愉快な仲間たち』……と言ってもみんな不思議な姿だから選ぶのは難しいね」
 そう、古都子にとって、アリスラビリンスの不思議の国に住まう愉快な仲間たちは皆、一様に不思議な姿をしている。

 そもそも食器やトランプと言った無機物が疑似生物として生活しているということ事態が信じがたいことであった。
 けれど、彼等がオブリビオン、オウガに襲われているのならばそれを捨て置くことなどできなかった。
「危ない――!」
 未だ第三の目は『へんてこな愉快な仲間たち』を見つけ出すことはできなかった。
 けれど、オウガ『ホライゾンストーカー』に襲われようとしている『愉快な仲間たち』との間に古都子は割って入る。

 彼女の機械に置き換わった体、その腕部に仕込まれたマシンガンが凄まじい勢いで弾丸をばら撒き、『ホライゾンストーカー』たちを牽制する。
「――ギギィッ!!」
『ホライゾンストーカー』たちは己達の邪魔をした古都子を許さぬとばかりに、コウモリの翼を羽ばたかせ、凄まじ勢いで空中を飛ぶ。
 その速度は凄まじいものであり、未だ『へんてこな愉快な仲間たち』を見つけていないが故に古都子は、他の『愉快な仲間たち』を護るために念動力によって張り巡らせたオーラの防御で持ってかばう。

「くっ……! 疾いし、硬い……!」
 それ以上に数が多い。
 これだけの数に囲まれては古都子もいつまでも保つかはわからなかった。けれど、だれかを護ることを彼女はやめない。
 その瞳に輝くのは人間でも怪人でもない、正義の味方の放つ鋼鉄の意志であった。
 彼女の瞳の輝きに惹かれるように『ホライゾンストーカー』と古都子たちの間に降って湧いたように降り立つのは、巨大な葛籠を必死に抱えるような小さな雀と、小さな葛籠をくるくる羽根先で回す巨大な雀であった。

 一見すると、なんでこんな雀がと思わずにはいられない。
「これが『へんてこな愉快な仲間たち』って、こと?」
 古都子は呆然と一組の雀たちを見つめる。彼等は言葉少なに頷き、『ホライゾンストーカー』たちは、一組の雀たちが『へんてこ』であるか『吟味モード』に入っている。
「ちゅんちゅんちゅちゅんちゅん!」
「ちゅちゅんちゅん!」
 何言っているのかわからない。
 けれど、古都子には相通ずるものがあったのだろう。彼女は頷く。

「ありがとう。協力してくれて。そのままひきつけておいて……後は、あたしが!」
 己の肉体を改造し、早業でもって強化された腕部のマシンガンの銃口が隙だらけの『ホライゾンストーカー』たちに向けられる。
『吟味モード』に入った『ホライゾンストーカー』たちは、今までのすさまじい飛行能力を失い、一組の雀たちに釘付けである。
 彼等がひきつけてくれている以上、古都子の放つマシンガンの弾丸を躱すことなどできはしない。

 古都子の放つマシンガンの弾丸がばら撒かれ、『愉快な仲間たち』を襲わんとしていた『ホライゾンストーカー』の洪水のような群れは、放たれた弾丸によって、その一角を霧散させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒髪・名捨
〇心境
物語(記憶)を奪う化け物か…
記憶がないのは嫌だぜ。

〇行動
まずは愉快な仲間たちを探すのか…
人探しは苦手だ。寧々よろしく頼むわ
寧々「しようがないのぅ。旦那を助け支えるのが良妻というものよ。」
(『道術』で『世界知識』を世界から抜き出し、『情報収集』の術で割り出していく)
んじゃ、とりあえず回収するか。あ、事情…説明するから手伝えよな。

〇戦闘
ああ、寧々。直接危害が加わらないようにあいつらに『結界術』で守ってやってくれ。
オレは…ぶん殴ってくる。
『オーラ防御』で攻撃を受け止め『受け流し』つつ、『破魔』と『気合い』を拳に込めて、神無で『地形破壊』に巻き込むように『範囲攻撃』で撃破する。

記憶は大事になッ



 記憶と『物語』が同義であるというのならば、記憶無き者は『物語』なき者であろうか。
 答えは否であろう。
 記憶なくとも、その者の『物語』は続く。
 人の手と足は二本づつ用意されている。そうではない生命があるのだとしても、歩むべき道を見つけることができるはずだ。
 それは他のだれでもない、その者にしか歩めぬ道。
「『物語』、記憶を奪う化け物か……」
 記憶がないのは嫌だぜ、と黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)は小さくつぶやいた。

 記憶喪失の怪奇人間である名捨にとって、書の魔獣たる『ベスティア・ビブリエ』は如何なる忌避すべき存在であったことだろう。
 けれど、『ベスティア・ビブリエ』が狙うのは『愉快な仲間たち』である。
 彼等を見捨てることはできないし、他者の記憶を貪り食うことで存在しているのであれば、『ベスティア・ビブリエ』自身の記憶は存在しないのだろう。
 哀れであると言わざるをえないのかもしれない。
「まずは『愉快な仲間たち』たち……それも『へんてこな』奴を探すってか。人探しは苦手だ。『寧々』よろしく頼むわ」
 そう言って声を掛けたのは頭上いる喋る蛙の『寧々』であった。

「しようがないのぅ。旦那を助け支えるのが良妻というものよ」
 仕方ないといいながらも、しっかり名捨を助けてくれるからありがたいことである。道術によって彼女は、この小世界である『動物園の国』の中から取り分けて『へんてこな』存在を割り出していく。
 猟書家『ベスティア・ビブリエ』の配下であるオウガたちもまた彼女と目的を同じとしている。

 ならばこそ、彼等が集まるところには『へんてこな愉快な仲間たち』がいるはずなのだ。
「それより先んじるのが奴らの出鼻を挫くことであろうな。旦那様よ、あっちだ!」
『寧々』が告げる方角に名捨は即座に走り出す。
 今更疑うこともない。
 彼女があっちだというのなら、名捨はそれに従うまでである。

 走り出した彼が見たのは、ティーポット……ではない、ランプに手足の生えた『愉快な仲間たち』であった。
「なんだ……? そんなに『へんてこな』感じはしないが……」
「いいや。こやつこそが『へんてこ』である。なぜなら、このランプは『魔法のランプ』であり、願いを三つ叶えるジンが封じ込まれて――『いた』ランプだからだ」
 確かに『寧々』の言葉を聞けば、それが『へんてこ』であることは理解できる。
 如何なる物語があって、このランプの中から願いを叶えるジンが解き放たれたのか。それは複雑な物語の果てとしては十分な資質を持っていることだろう。

「んじゃ、とりあえず回収するか。あ、事情……」
「言わなくたって分かってるさ。この国にオウガが迫っているんだろう! もはや願いを叶える力はないが、我輩のこの記憶が、大いなる物語の記憶が役に立つのならば――」
「いや、いいからそういうの。『寧々』。直接危害が加わらないように結界術で護ってやってくれ。オレは……ぶん殴ってくる」
 名捨は『ジンの開放されたランプ』の言葉を遮って一歩を踏み出す。
 自分たちが『へんてこな愉快な仲間たち』を見つけたように、『ベスティア・ビブリエ』の配下オウガたちもこちらを見つけたのだ。

 洪水のように迫る『ホライゾンストーカー』を前に名捨の瞳がユーベルコードに輝く。
「奴らの目の色を見ればわかる。主人に献上できる得物を見て、吟味してるって目だ……ならよ!」
『ホライゾンストーカー』が放つおもちゃのしっぽがバラバラになって名捨に襲いかかる。
 質量でこちらを圧すつもりなのならば、それはあまりにも無策であると言わざるを得ない。

 名捨はオーラで打ち込まれる弾丸のようなおもちゃのブロックを受け止め、受け流し一歩を踏み出す。
「ただ貪っておしまいっていうわけにはいかないんだよ。物語ってやつはな」
 輝くユーベルコードの名は神無(カンナ)。
 必殺を超えた必殺の一撃。
 その拳の名である。放たれた拳は破魔と気合を炸裂させ、拳でもって大地を叩き割り、そこへ迫る『ホライゾンストーカー』の群れを巻き込ませるようにして叩き伏せるのだ。
「記憶は大事になッ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【勇者パーティ】

愉快な仲間……
ちらっと師匠を見て、さすがに視線を戻したけど気づかれてました!?

いえいえ、弟子として思うわけないじゃないですか。
師匠は愉快な仲間ではなく、愉快な師匠です!

えっ、言っていいんですか?

金欠とかぶっぱとかハラペコとかを基本に、
魔力膨大なのに取り立てには弱いとか、すっごく物知りなのに実はちょーっと抜けてるとか、
お腹減ると駄々こねて幼児化したりとか、てんこ盛りじゃないですか!

あと、ぺったん。

師匠ハラペコ要素抜けてないですよ……そこが可愛いんですけど!

しかたありません。
ステラさん、愉快な師匠のごはんのために、海老捕まえましょうか。
海老フライにしたら3人分はありそうですしね!


フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「誰が『勇者と愉快な仲間たち』だ!
それではまるで我が愉快な仲間のようではないか!」(第一声

しまった、今の発言で、なんだかストーカーちっくなサソリ(?)に我が吟味されておるではないか!
我のどこが愉快なのか言えるものなら言ってみよ!

ほう、ルクスよ、よくもそんなに我の愉快な点を挙げてくれたな。後で覚えておれよ。
というかステラまで我を愉快認定だと!?

くっ、この怒り、ストーカーどもにぶつけてくれるわ!
喰らえ我の【極寒地獄】を!

「……海老っぽい外見だから、あれ、食材になるだろうか?」

誰だ、そういうところが愉快な仲間なポイントだなどと言ったのは!?
あの空飛ぶ海老と一緒に冷凍保存してくれるわ!


ステラ・タタリクス
【勇者パーティー】
(いつもの後方メイド面で佇み)
(私、関係ないなって思っている顔)

ちなみに愉快な仲間のようとおっしゃいましたが、さすがにそれは失礼ではないでしょうか?
愉快な仲間の方々に
え?へんてこな愉快な仲間?それなら納得ですね

はい?
フィア様の愉快な点…ですか?
それはもう存在そのものかと
詳しくは弟子からぜひ(振った)

…ルクス様?
アレは毒がありそうですが?
まぁ不老不死なら死にはしないでしょう
指示(オーダー)承りました

それでは参ります
【シーカ・サギッタ】
メイドの投げナイフからは逃れられないと知りなさい
刺しておくと後で料理しやすそうだなとかそんなことは思っていませんので
いえ、私の分はぜひフィア様に



 今日も今日とて勇者パーティは思い悩んでいた。
 何を、というのは言うまでもなく今回の事件、猟書家『ベスティア・ビブリエ』が狙う存在についてである。
『ベスティア・ビブリエ』は『物語』を喰らう書の魔獣だ。
『物語』とは記憶にも置き換えられ、複雑怪奇な生い立ちや経験を持つ者であれば、あるほどに『ベスティア・ビブリエ』は喰らうのに時間が掛かってしまう。
 不思議の国、『動物園の国』においては、単調な『物語』しか保たぬ『愉快な仲間たち』のほうが多い。

 それ故に『へんてこな愉快な仲間たち』を探し出し、その複雑な『物語』によって『ベスティア・ビブリエ』の捕食という決定的な隙を引き出し、これを撃破しなければならないのだ。
「愉快な仲間……」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)はそう聞いて、真っ先に己の師匠であるフィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)を見た。
 流石にそれは失礼ではないかなと、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は思うこと無く、いつもの後方メイド面で佇み、自分は関係ないなって思っている顔でフィアとルクスを見ていた。

「誰が『勇者と愉快な仲間たち』だ! それではまるで我が愉快な仲間のようではないか!」
 くわ!
 開眼して第一声がそれである。
 フィアはルクスの一瞬の視線すら目ざとく感知して叫んだのだ。
 いやまだ何も言ってないんですけどという言い訳すらさせてもらえぬ電光石火の第一声。
 しかし、その怒号の如き声は、迫る配下オブリビオンであるオウガ『ホライゾンストーカー』の視線を一気に惹きつける。
 サソリの体にコウモリの羽根、ブロック玩具のしっぽを持った『ホライゾンストーカー』が、フィアをじぃーっと見ている。

 え、と誰もが思ったことだろう。
 なぜなら、それは『吟味モード』と呼ばれる隙だらけの状態であるからだ。
 彼等の主人である『ベスティア・ビブリエ』に捧げるに値する『愉快な仲間たち』であるかどうか見極めるために、じっくりと見ているのだ。
 それ故に猟兵達はなるべく『へんてこな愉快な仲間たち』を探し回っているのだが、まさかのフィア自身が誤認されているという事態である。

「なんだかストーカーちっくなサソリに我が吟味されているではないか! 我のどこが愉快なのか言えるものなら言ってみよ!」
「えっ、言っていいんですか?」
「流石にそれは失礼ではないでしょうか? ――愉快な仲間の方々に」
 ルクスとステラが各々素の反応を返す。
 繰り返す。素である。

「金欠とかぶっぱとかハラペコとかを基本に、魔力膨大なのに取り立てには弱いとか、すっごく物知りなのに実はちょーっと抜けてるとか、お腹減ると駄々こねて幼児化したりとか、てんこ盛りじゃないですか! あとぺったん!」
 怒涛の勢いでルクスがまくしたてる。
 これでもかというほどに『へんてこ』である。『ホライゾンストーカー』たちも、ほらやっぱりーっていう顔をしている。いや、わからんけど。

「『へんてこな愉快な仲間たち』というのならば納得ですね」
 ステラがうなずいている。なるほど、と頷く。まるで得心が言ったように彼女も口を開くのだ。
「それはもう存在そのものが、大変に愉快でありましょう。詳しくは弟子のルクスさんがおっしゃられた通りですね」
 ええ、本当にとステラは後方メイド面のまま深々とうなずいた。その二人の反応にフィアはわなわなと震える。
「ルクスよ、よくもそんなに我の愉快な点を挙げてくれたな。後で覚えておれよ。というか、ステラまで我を愉快認定しているのも覚えておれよ!」

 もうフィアは怒りに震えるばかりである。
 どこに怒りをぶつけていいのかは言うまでもない。そう、『ホライゾンストーカー』である。
「……海老っぽい外見だから、あれ、食材になるだろうか?」
「いえ、師匠ハラペコ要素抜けてないですよ……そこが可愛いんですけど!」
「ルクス様? アレは毒がありそうですが?」
 まあ、フィアは不老不死だから死なないでしょうから別にいっか、とステラは思わないでもなかった。

 それに指示(オーダー)であるのならば、それを承らないわけにはいかない。
 何せ彼女はメイドであるから。
 ただ、そのためだけに彼女は戦場を走り抜ける。
「メイドの投げナイフからは逃げられないと知りなさい。刺しておくと後で料理がしやすそうだなとかそんなことは思っていませんので」
『吟味モード』に入った『ホライゾンストーカー』たちは隙だらけである。ステラの放ったシーカ・サギッタの投げナイフが『ホライゾンストーカー』たちの頑丈な甲殻を貫き、その動きを止める。
「ギギィ――!!?」
 さらにフィアの瞳がユーベルコードに輝き、極寒地獄(コキュートス)によって生み出された氷壁が『ホライゾンストーカー』たちを閉じ込め、凍りつかせていく。

「これで冷凍保存である! 誰だ、そういうところが愉快な仲間ポイントなどと言ったのは!?」
 いや、そういうところである。
 冷凍保存って言っちゃうところである。
「んもーしかたありません。師匠の専属料理人(エヅケ・マスター)であるわたしにおまかせです!」
 ルクスは早速冷凍保存された『ホライゾンストーカー』の甲殻をばりばりぃってやりつつ、パン粉をまぶしていく。

 その光景にフィアはお腹がぐぅぐぅなるし、ステラはちょっとやだなって顔をしていた。
「エビフライにしたら三人分は余裕でありそうですね!」
「いえ、私の分はぜひフィア様に」
 しれっとステラは拒否る。しかし、フィアはステラのその態度にメイドの献身を見たのだろう。
 ちょっと感激している。いや、感激っていうか、人より多く食べられることに喜びを見出していたのかも知れないが、まあ、本人たちが幸せならいいのだ。

 こうして勇者パーティたちは『へんてこな』パーティとして、奇しくも『ホライゾンストーカー』たちの注目を集め、他の『愉快な仲間たち』が襲われるのを未然に防いだのであるが、それは彼女たちの計算の内……でないことは。ないといいなぁと、思わないではいられないのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
囮作戦とは……騎士として忸怩たるものがあります
せめて、彼らの物語が奪われぬよう全力を尽くさねば

……物語が核であったのは、私も同じでしたから

(巨体から綿が飛び出した不格好なドラゴン…存外、早く見つかりましたね)

複雑な『物語』をお持ちでしょうか?
…成程、「アリスが扉を探す勇気を得る為に立ちはだかる試練」という敵役としてのお姿でしたか…
猟書家討伐にご助力頂けますか?

吟味モードとなったオウガ達に対し肩部と腕部格納銃器の乱れ撃ちスナイパー射撃でUC撃ち込み凍結し拘束

放たれる毒液を脚部スラスターの推力移動での移動からの大盾で防ぎドラゴンかばいつつ、敵集団へ切り込み怪力で振るう剣や盾の殴打で粉砕



 猟書家『ベスティア・ビブリエ』に対抗するためには、複雑な『物語』を持つ『へんてこな愉快な仲間たち』の協力が必要である。
 しかし、その協力内容が問題でもあった。
 書の魔獣である『ベスティア・ビブリエ』は、『物語』を喰らう。
 その『物語』が複雑であれば、複雑であるほどに喰らう時間は長く掛かってしまう。そこが『ベスティア・ビブリエ』が無防備になる瞬間であり、意識が猟兵に向かぬ隙になるのだ。

 まともに対峙しては『物語』を喰らわれ、己のユーベルコードすら失念してしまう可能性を持った『ベスティア・ビブリエ』の力は、猟兵にとって脅威そのものであった。
「囮作戦とは……騎士としては忸怩たるものがあります」
 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は思わずうめいていた。
 そう、彼は騎士として護る者である。本来護るべきである存在『愉快な仲間たち』を囮に使うなど、彼の騎士道精神からすれば反するものであったが、それしか術がないのであれば、せめて彼等の物語が奪われたままであるということは避けなければならない。
 そのために己が出せる全力を持って尽くさねばならぬと、その炉心が燃えるのだ。

「……『物語』が核であったのは、私も同じでしたから」
 アイセンサーが煌めき、マルチセンサーから『吟味モード』に入った『ホライゾンストーカー』の姿を見つけ出す。
 思いの外早く見つかった、とトリテレイアは肩部と腕部に格納された銃器を乱れ打ち、超低温化薬剤封入弾頭(フローズン・バレット)の弾丸を撃ち放つ。
 それは分子運動を低下させ、急速凍結に至る現象をもたらす弾丸である。即座に『ホライゾンストーカー』たちが凍りつき、動きを止める。

 彼が降り立ったのは、巨体から綿が飛び出した不格好なドラゴンであった。
 大きな体であるが、あちこちから綿がとびだしているのは、歴戦の証であろうか。傷の一つ一つに物語が在るような、そんな重厚な佇まいにトリテレイアは礼を失することのないように恭しく一礼し、剣を掲げてみせる。
「複雑な『物語』をお持ちとお見受けいたします。お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
「我に名前はなし。あるのは『試練の竜』という役割のみ」
 そう告げる巨大なドラゴン――のぬいぐるみ。
 厳しい口調と声色からは想像できない愛らしいふんわりもこもこっとした竜の姿は、確かに『へんてこな』と形容するのに相応しいものであったことだろう。

「……成程。『アリスが扉を探す有機を得る為に立ちはだかる試練』という敵役としてのお姿をお持ちなのですね。どうか猟書家討伐にご助力頂けますか」
「然り。我の力を欲するのならば、それを御してこそ」
 やっぱり厳しい言葉と愛らしいぬいぐるみの姿は、ギャップが凄まじいものである。トリテレイアは、そんなことを思いながらも、それがこの国を訪れたアリスにとっては必要な冒険であるように判断できた。

「ご助力感謝いたします。ですが、その時までは私が貴方をお守りいたしましょう!」
 大挙する『ホライゾンストーカー』たちが毒液を飛ばして、『へんてこな愉快な仲間たち』をさらうのに邪魔なトリテレイアを排除せんとする。
 それを大盾で防ぎ、ドラゴンをかばいながら敵へと突貫する。
 スラスターが噴出し、凄まじい勢いで飛ぶトリテレイアのウォーマシンとしての機体が質量兵器となって『ホライゾンストーカー』たちを打倒していく。

 その姿は竜を護る騎士であった。
 本来であれば竜は騎士に討たれるものである。けれど、この場に限っては違う。トリテレイアは護るべきものを違えない。 
 もはや、それは疑いようのない信念、その『物語』となった核を彼は得ている。故に、誰にもそれを奪わせないと剣を振るって、猟書家『ベスティア・ビブリエ』の魔の手から『愉快な仲間たち』を守らんと不思議の国にで力を振るうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
へんてこな愉快な仲間達の助けを得る必要がある…と言うか囮にする必要があると…
…あまり気が進まないけど仕方ないか…
【夜飛び唄うは虎鶫】で偵察ガジェットを召喚……へんてこで愉快な仲間達を探すとしよう…
見つけたら箒に乗って急行……言葉が通じるか判らないけど協力してくれるように頼もう…
…まあ言葉が通じなくても目と目で見つめ合えば気持ちは伝わるはず…多分…きっと…

…へんてこで愉快な仲間達との協力体制を築けたならあとは彼(?)らを前に出してホライゾンストーカーを吟味モードにさせよう…
…念のため障壁を出す準備はしておこうかな…
…吟味モードに入ったら術式装填銃【アヌエヌエ】で撃ち抜いていくとしよう…



 猟書家『ベスティア・ビブリエ』。その恐るべきユーベルコードは『物語』を喰らうことに特化している。
『物語』は記憶と同義であり、対峙する者のあらゆる記憶を奪い、咀嚼するのだ。それは猟兵たちにとってはあまりにも不利な状況に追い込まれてしまうことだろう。
 何せ、記憶を奪われてしまえば己が如何なるユーベルコードを持っているのかも、そして戦い方すらも忘れてしまうからだ。

 そうなってしまえば、『ベスティア・ビブリエ』に対抗する術はない。
 しかし、『ベスティア・ビブリエ』の持つユーベルコードにも弱点は存在している。喰らう『物語』が複雑であればあるほどに、その『物語』を喰らう時間は長くなっていくのだ。
 その喰らっている時間こそが無防備なる隙となる。

 それ故に猟兵達は複雑な『物語』を持つ『へんてこな愉快な仲間たち』を求めて、不思議の国である『動物園の国』へと降り立つ。
「『へんてこな愉快な仲間たち』の助けを得る必要がある……というか囮にする必要があると」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は正直なところ、あまり気が進まないようであった。
 確かに、複雑な『物語』を持つ『愉快な仲間たち』であれば『ベスティア・ビブリエ』の捕食の時間を長引かせることができるだろう。

 けれど、それは犠牲を強いる戦いである。
 それをメンカルは良しとはしないだろう。けれど、元通りに戻るというのであれば、話は別であるし、戦いをいたずらに長引かせることに意味も見いだせない。
「我が従僕よ、集え、出でよ。汝は軍勢、汝は猟団。魔女が望むは到来告げる七つ笛」
 その言葉と共にメンカルのユーベルコードが煌めく。

 夜飛び唄うは虎鶫(セブン・ホイッスラーズ)である。
 彼女が喚び出した小型の戦闘用かつ通信、索敵機能のついたガジェットが『動物園の国』へと走っていく。
 彼等であれば即座に『へんてこな愉快な仲間たち』を見つける事ができるだろう。しかし、『愉快な仲間たち』の姿は皆、一様にへんてこである。
 見分けがつくのかと思っていると、ガジェットの一機がメンカルに通信を入れてくる。
「……ん……これ、『へんてこな』って言っていいのかな?」
 メンカルの瞳に移っていたのは、神妙なる面持ちで地面に座す一匹のネコの姿であった。
 なんでネコ? と思ったが、なんか手足が微妙に長いし、背中に羽根生えてるし、目の前には日本刀が置かれている。
 瞑想してるのか? と思わないでもなかった。

 それほどまでに極限まで集中しているネコ侍……? 侍? の前にメンカルは乗ってきた術式箒から降り立って言葉を投げかける。
 そもそも言葉が通じるのだろうか。
 いや、まあ、言葉が辻無くても目と目で見つめ合えば気持ちは伝わるはず。多分。きっと。メイビー。
「……」
「……」
 ネコ侍とメンカルが見つめ合って数刻。
 どちらからともなく立ち上がり、言葉を交わすことなく二人は共に立っていた。

 え!?

 今のでいいんだ!? と誰もが思わないでもなかったが、此処にいるのはメンカルとネコ侍だけである。
 何故かネコ侍の顔が劇画調になっている気がしないでもない。
「……念の為障壁を出す準備はしておこうかな……」
「……不要でござるニャン……」
 ニャン? 語尾が可愛いな! と思った瞬間、只者ではない雰囲気を醸し出すネコ侍。
 その姿に迫ってきていた『ホライゾンストーカー』たちは一発で『吟味モード』に入ってしまう。

 それもそうだろう。メンカルだってそうする。
 けれど、その姿は隙だらけであった。いいのかなーって思わないでもなかったが、機会を逃すことをしないのがメンカルである。
 術式装填銃『アヌエヌエ』の銃声が轟き、メンカルとネコ侍は、互いに協力しながら、迫る『ホライゾンストーカー』たちを退けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
この世界の愉快な仲間たちはどなたも普通の生物と比較すると見た目や生態はへんてこに見えますし、区別が……敵の様子を見ながら探しましょうか。

鳥の形に作成した氷晶ゴーレムに乗り【ブリザード・マニューバ・ブースト】、不思議の国を飛び回り、『スナイパー』の『視力』でホライゾンストーカーを探します。

普通?の愉快な仲間達には危害を加えようとするんでしたね。
もしホライゾンストーカーが愉快な仲間に危害を加えようとしたなら急降下、「フィンブルヴェト」からの氷の弾丸の連射を撃ち込みます。

吟味モードに入っているホライゾンストーカーを見つけたら同様に急降下して撃破、へんてこな愉快な仲間に協力を求めます。



 アリスラビリンスとは小世界が重なり合った複合世界である。
 その一つである不思議の国、『動物園の国』にはアリスを出迎えようと整備を続ける愉快な仲間たちの姿があった。
 どれもこれも他の世界を知る猟兵たちからすれば、どれも変わった生物のように思えてしまう。
 疑似生物であれど、あきらかに無機物なる容貌に手足が生えていたり、空想上の動物や、それに類する存在が闊歩しているのだ。
「この世界の『愉快な仲間たち』はどなたも普通の生物と比較すると見た目や生態はへんてこに見えますし、区別が……」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)はとても困っていた。

 そう、彼女の言葉通り、『愉快な仲間たち』はどれも『へんてこ』に見えてしまっているのだ。
 無理なからぬことである。
 鳥の形に作成した氷晶ゴーレムの背に乗り、セルマはブリザード・マニューバ・ブーストによって一気に不思議の国中を駆け回る。
 彼女の類まれなる狙撃手としての瞳が、不思議の国の中の些細な変化も見過ごさない。

 確かに彼女にとって『愉快な仲間たち』と『へんてこな愉快な仲間たち』の見分けは付かないだろう。
 けれど、猟書家『ベスティア・ビブリエ』の配下オウガである『ホライゾンストーカー』たちは違う。
 少しでも『愉快な仲間たち』よりも『へんてこな』な存在を見つければ、『吟味モード』になって動きを止めてしまう。
「――ですが、それ以外の『愉快な仲間たち』には危害を加えてしまうというのなら」
 彼女のユーベルコードに輝く瞳がそれを見過ごすことはない。
 煌めくマスケット銃『フィンブルヴェト』の銃口から放たれる氷の弾丸が、はるか上空から見定めた『ホライゾンストーカー』たちを撃ち貫いていく。

「私の目の前で、彼等に危害を加えることは許しません」
 急降下しつつ、氷の弾丸を放ち続けるセルマ。
 その速度は『ホライゾンストーカー』と言えど追いつくことはできないだろう。
 コウモリの翼を広げた瞬間に、セルマの指は引き金を引いている。如何に彼女が並の猟兵ではないことを知らしめるには十分であった。
『ホライゾンストーカー』たちは、そんな彼女を排除しようと追いかけ、『愉快な仲間たち』から引き離されていく。

「狙いは上々……後は」
 そう、『へんてこな愉快な仲間たち』を探すのみ。
 彼女の瞳は不思議の国を見回す。そして、己を追う『ホライゾンストーカー』たちが一瞬動きを止める。
 何を、と彼女が振り返った瞬間、セルマの背後の山がうごめく。
 地鳴りを立てるようにして山が土砂を崩しながら立ち上がる姿は、『へんてこな』というよりも『強大な何か』がうごめくようなものであり、驚愕するに値するものであったことだろう。

「山が、動く……?」
 そう、彼女が見たのは巨大な山そのもの。いや、山ではない。巨大な山を背負った亀であった。
 名をなんと呼ぶのかもわからぬ『丘亀』とでも形容すべき『愉快な仲間』が、首をもたげる。
 その威容に『ホライゾンストーカー』たちは『吟味モード』に入るのもまた無理なからぬことであったことだろう。
 は、と気がついたセルマは『吟味モード』に入った『ホライゾンストーカー』たちを一気に氷の弾丸で撃ち貫く。

 言葉が通じるのだろうか。 
 そもそも喋れるのか。そんな疑問が浮かんでは消えて行くセルマは、巨大な『丘亀』の顔の前に氷晶ゴーレムと共に飛翔し、協力を求める。
「どうか――」
「構わないよ。寝起きで申し訳ないけれど。でも、なんとなくわかっているとも。多分ね。どうすればいいかな、僕は」
 穏やかな声でそう告げる『丘亀』。その様子にセルマはひとまず胸をなでおろし、猟書家『ベスティア・ビブリエ』との戦い、その囮として彼に協力を仰ぎ、その確約をえるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ベスティア・ビブリエ』

POW   :    縺願�縺檎ゥコ縺�◆縺ョ縺ァ鬟溘∋縺セ縺励◆
攻撃が命中した対象に【埋まることの無いぽっかりと空いた心の穴】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【一秒毎に記憶を次々と失っていき、衰弱】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    譏疲�縺ゅk縺ィ縺薙m縺ォ
自身の【憑依しているが、使い捨てる本のページ】を代償に、【Lv×1体の幸せそうな物語の登場人物達】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【世界の『正』を『負』に捻じ曲げた幻想】で戦う。
WIZ   :    蟷ク縺帙↓證ョ繧峨@縺ヲ縺�∪縺励◆
いま戦っている対象に有効な【精神攻撃をする『物語』を演じられるもの達】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。

イラスト:tora

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フィオレンツァ・トリルビィです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の多くが『へんてこな愉快な仲間たち』の協力を取り付けた時、猟書家『ベスティア・ビブリエ』の配下オウガ『ホライゾンストーカー』たちの姿は、尽くが打倒された後であった。
 しかし、戦いはまだ終わらない。
 猟書家『ベスティア・ビブリエ』との戦いが残っている。
「縺願?縺檎ゥコ縺阪∪縺励◆縲ゅ□縺九i鬟溘∋縺輔○縺ヲ縺上□縺輔>縲ゅ♀閻ケ縺?▲縺ア縺?↓縺ェ繧翫◆縺?□縺代↑繧薙〒縺吶?ょー代@繧よ凾髢薙r謗帙¢縺セ縺帙s縲ら李縺ソ繧ゅ≠繧翫∪縺帙s縲ゅ◆縺?霄ォ繧剃ササ縺帙※縺サ縺励>縺ョ縺ァ縺」
 その書の魔獣としての言葉は、誰の耳にも届くが、誰も理解することはできなかっただろう。
 何を言っているのかわからない。
 言葉にならぬ言葉は、『ベスティア・ビブリエ』が『白紙』であるがゆえである。
『物語』を欲するのは、『ベスティア・ビブリエ』に『物語』がないから。

 人の記憶を『物語』とするのならば、人は己の足で持って道程を刻み、轍でもってページを捲るものである。
 目の前に広がるのはいつだって『白紙』の光景だ。筋書きも、あらすじもひつようない。
 あるのは、自分の目で前を見て、自分の足で踏み出し、自分の手で頁を捲ることだけだ。だからこそ、人の生命は尊い。誰しもが心に『物語』を持っている。だれかの『物語』から拝借して、自分のモノになんてできないのである。

「縺ゥ縺?@縺ヲ鬟溘∋縺輔○縺ヲ縺上l縺ェ縺?s縺ァ縺吶?ゅ♀閻ケ縺檎ゥコ縺?※縺?k縺?縺代↑縺ョ縺ォ縲よャイ縺励>縺ョ縺ァ縺吶?る」溘∋迚ゥ縺後?√?守黄隱槭?上′縲ゅ◆縺?縺昴l縺?縺代〒縺?>縺ョ縺ォ縲√←縺?@縺ヲ縺薙s縺ェ縺ォ驟キ縺?%縺ィ縺ー縺九j險?縺?s縺ァ縺吮?補?包シ?シ?シ?シ」
『ベスティア・ビブリエ』が咆哮する。
 それは愛を知らぬ魔獣寓意譚が挙げた、己の存在意義を問い、そして決して得られぬ答えを求める悲痛なる咆哮であった――。
村崎・ゆかり
『白紙』は無限の可能性。せっかくのそれを他人の『物語』で埋めようなんて、無様にもほどがあるわ。
猟書家『ヘスティア・ビブリエ』、あなたはここで討滅する!

へんてこな愉快な仲間の人、悪いけどあれの注意を引き付けておいて。
一度は『物語』を喰らわれるけど、あたしたちが必ず取り戻すから。

敵はもう、へんてこな愉快な仲間に夢中ね。遠慮は要らないか。
「全力魔法」雷の「属性攻撃」「破魔」「衝撃波」「浄化」「仙術」「道術」で、九天応元雷声普化天尊玉秘宝経を叩き込む!

他者と『物語』を共有する楽しみも知らない魔獣は、さっさと骸の海に還りなさい!

へんてこの愉快な仲間たちの人、大丈夫? あたしのこと分かる?



 何もない存在の姿を形容して『白紙』と呼ぶ時、その存在は如何なる価値を持っているであろうか。
 ある者には可能性として。
 ある者には見果てぬ夢として。
 そして、またある者には、絶望足り得るのかもしれない。

「『白紙』は無限の可能性。せっかくのそれを他人の『物語』で埋めようなんて、無様にもほどがあるわ」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は『へんてこな愉快な仲間たち』である、ぬいぐるみの……ブレーメンの音楽隊が如き、ニワトリ、ネコ、イヌ、ロバが一体となった彼等を連れて猟書家『ベスティア・ビブリエ』の前に姿を表す。
 彼らにとっては恐ろしき書の魔獣。
 しかし、ゆかりは安心んしてと、言うように彼等に微笑むのだ。

 そう、確かに恐るべきユーベルコードによって『物語』は奪われてしまうかもしれない。
 けれど、必ず猟兵たちが『ベスティア・ビブリエ』を打倒してくれると信じているからこそブレーメンの音楽隊のぬいぐるみはついてきてくれたのだ。
「猟書家『ベスティア・ビブリエ』、あなたはここで討滅する!」
 お願い、とゆかりは、ブレーメンの音楽隊のぬいぐるみと共に駆け出す。『ベスティア・ビブリエ』の狙いは『へんてこな愉快な仲間たち』だけである。
 彼等を見た瞬間、その単眼が揺らめく。

 ひと目見ただけでわかるのだろう。
 ブレーメンの音楽隊のぬいぐるみが持つ複雑怪奇な物語を。
 彼等がこれまでどんな冒険をかいくぐってきたのかを。
「こけー! く、来るなら来やがれこけにゃんわんひひぃん!!」
 もう彼等はやけくそである。
『ベスティア・ビブリエ』のユーベルコードが、彼等の『物語』を貪るようにして奪っていく。
「あたしたちが必ず取り戻すから! 悪いけれどひきつけておいて!」

 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 己の持てる最大の一撃で持って『ベスティア・ビブリエ』を打倒しなければならない。
 であればこそ、輝くユーベルコードは唯一つ。
 その間にもブレーメンの音楽隊のぬいぐるみの持つ『物語』が貪られていく。
 だが、あきらかに他の愉快な仲間たちとは消費速度が違う。そう、彼等の『物語』は一つではない。
「あたぼーよ! くぐりぬけてきた修羅場は数しれず! 数にしてみれば、数百から数千! 場数が違うこけにゃんわんひひぃん!」
 語尾のせいでなんとも締まらないわね、とゆかりは思いながらも、彼等の言葉に心強さを感じる。

 ならばこそ、己のユーベルコードも負けては居られないのだ。
「九天応元雷声普化天尊(キュウテンオウゲンライセイフカテンソンギョクヒホウキョウ )! 疾っ!」
 放たれる雷撃の一撃は周囲を塗りつぶすようなすさまじい閃光で覆われる。
 視界そのものを明滅させるような雷はユーベルコードに寄って導かれ、『ベスティア・ビブリエ』の肉体を穿つ。

『へんてこな愉快な仲間たち』であるブレーメンの音楽隊のぬいぐるみたちの持つ数千とも言われる『物語』を貪ることに夢中であった『ベスティア・ビブリエ』は己の頭上に落ちる雷撃すら見ていなかったことだろう。
「――逞帙>縲ら李縺??ら李縺??ゆス墓腐縲∫李縺ソ縺後?ゆス墓腐縲∬l縺檎┥縺代k縺ョ縺ァ縺呻シ」
 呻くような叫び声。
 それすらも言葉にならぬ言葉としてゆかりの耳を打つ。

「他者と『物語』を共有する楽しみも知らない魔獣は、さっさと骸の海へと還りなさい!」
 ゆかりは構えた薙刀を持って『ベスティア・ビブリエ』へと突進する。
『ベスティア・ビブリエ』が貪るようにしていたブレーメンの音楽隊のぬいぐるみたちを引き離すように、薙刀の斬撃が腕を切り裂き、焼け焦げた肉体に傷を刻み込む。
 そう、『物語』は人の目に触れて読まれてこそ『物語』である。
 ただ一人が知るだけも『物語』は『物語』たり得ないだろう。

 語り、語られるからこそ、『物語』は人と人を繋いでいく。
 それを知らぬ者には、『物語』は確かに消費するだけものであったことだろう。ゆかりはブレーメンの音楽隊のぬいぐるみである『愉快な仲間たち』を『ベスティア・ビブリエ』から引き離す。
「へんてこな愉快な仲間たちの人、大丈夫? あたしのこと分かる?」
 その言葉にブレーメンの音楽隊のぬいぐるみは、よくわからない表情のまま、確かに言ったのだ。
「こけわんにゃんひひん!」
 いつもの長い語尾。
 それは鳴き声であったのかもしれない。けれど、全てを奪われたわけではないようであった。

『ベスティア・ビブリエ』は未だ健在。けれど、ゆかりは知っている。
 ここに駆けつけた猟兵が自分だけではないことを。
 そして、彼等とともに『ベスティア・ビブリエ』を滅ぼせば、奪われた『物語』も元の場所に戻るだろう。
 その時は、彼らの『物語』を知りたい。そんなふうにゆかりは思い、ブレーメンの音楽隊のぬいぐるみを連れて離脱するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
無いものだからこそ焦がれ、手に入れようとする、か……
哀れかも知れないけれどもだからと言って見逃すわけにもいかないござるにゃん(感染った)

引き続き猫侍に協力して囮になってもらおう…
優先的に猫侍を狙うなら予め遅発連動術式【クロノス】を仕掛けて準備をしておいて……
こちらでも牽制射撃で援護するからベスティアとその召喚物がうまく仕掛けの中に入るよう動いてもらうでござるにゃん……

上手くまとめられたら【夜空染め咲く星の華】を発動……障壁でベスティア達と猫侍を隔離して光の柱殲滅するでござるにゃん…
……あれ、柱というか胴が長い猫だった気がするけど多分気のせいでござるにゃん……



 凄まじい雷撃の一撃が猟書家『ベスティア・ビブリエ』の体を撃つ。
 その一撃は書の獣たる肉体を焼き、表面を焼き焦げさせるが、未だ『ベスティア・ビブリエ』は己が求める『物語』を喰らおうと、単眼を揺らめかせていた。
「逞帙>縲る」溘∋縺溘>縲ら李縺??る」溘∋縺溘>縲ゅb縺」縺ィ縲√b縺」縺ィ縲√b縺」縺ィ――!!!」
 最早何を言っているのかさえわからない。
 そこにあったのは、己が持たぬからこそ、求めてやまぬものを夢見る欲望の権化であった。

「無いものだからこそ焦がれ、手に入れようとする、か……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、その咆哮を聞き、『ベスティア・ビブリエ』という存在が如何に哀れな存在であるかを知る。
 ないものねだりをすることは、己が満たされぬことを知っているからであろう。けれど、求めずにはいられないのだ。
「それが生きるということ。それを理解できぬからこそ、獣は貪ることしか知らぬのでござるニャン……」
 隣に立つ『へんてこな愉快な仲間たち』――ネコ侍が劇画調になった顔で然りと頷く。
 すごい光景である。
 マジでどういうことだと問い詰めたく為る光景であったが、メンカルもまた同じようにうなずいていた。

「哀れかも知れないけれどもだからといって見過ごすわけにもいかないでござるにゃん」
 ――!?
 感染っている。何がっていうか、語尾が。
 しかし、メンカルはそんなことに気がついて居ないかのように『へんてこな愉快な仲間たち』であるネコ侍に協力してもらう。
「――……心得たでござるニャン」
 猟書家『ベスティア・ビブリエ』は『物語』を求める。
 それも複雑怪奇な物語をだ。その目の前に飛び出したネコ侍は、確かに複雑怪奇な存在であったことだろう。

 一見するとネコ。けれど、手足が微妙に長いし、羽根も生えてるし、顔は劇画調だし、あと日本刀持ってるし。
 何処からどう見ても、どういうことなのだろうかと思わざるを得ない姿である。
 けれど、その姿、その『物語』が『ベスティア・ビブリエ』を惹きつけるのだ。
「やはりネコ侍を優先的に狙う……予め『クロノス』を仕掛けておいてよかったでござるにゃん」
「驍ェ鬲斐r縺励↑縺?〒縲らァ√?驍ェ鬲斐r縲ゅ←縺?@縺ヲ繧るが鬲斐r縺吶k縺ィ縺?≧縺ョ縺ェ繧」
『ベスティア・ビブリエ』より放たれる無数の『ガジェット喰い虫』たち。
 それは『ベスティア・ビブリエ』が生み出したメンカルに有効な召喚物であった。しかし、それらがメンカルに向かってくることはなかった。

 ネコ侍が持つ日本刀が尽く、それらを切り裂いていく。
「切り捨て御免……ござるにゃん」
 いちいち語尾が気になる。
 助かるけど。メンカルは仕掛け続ける遅発連動術式『クロノス』の準備が整ったことをネコ侍に告げる。
『ベスティア・ビブリエ』と『ガジェット喰い虫』たちを取り囲む術式が完成した瞬間、メンカルは障壁でもってネコ侍を隔離する。
「天の耀きよ、咲け、放て。汝は光芒、汝は落輝。魔女が望むは闇夜を穿つ星月の矢」
 その詠唱が空に巨大魔法陣を展開する。

 それこそが合図であった。
 メンカルが生み出す極大なる魔法陣。『クロノス』と連動することに寄って生み出される凄まじいユーベルコード。
 その名を夜空染め咲く星の華(ダイ・ザ・スカイ)と言う。
「どんな『物語』にも終わりはあるでござるにゃん。それを知っているからこそ、人は『物語』を惜しむでござるにゃん。されど、それを己のものにしようとは思わないでござるにゃん」
 そう、『物語』は人の心のなかで別物に変わっていく。
 変えていける。自分だけの唯一無二にすることができる。メンカルはそれを知るからこそ、ネコ侍と共に放つユーベルコードの輝きで持って『ベスティア・ビブリエ』を打倒する。

 振り下ろされるようにして放たれた数多の星の力を宿した光柱の一撃が『ベスティア・ビブリエ』へと撃ち込まれる。
 それは光の柱……というより、なんか胴が長いネコだったような気がするけれど、それは多分気の所為でござるにゃん。
 メンカルも最後にはもう語尾が感染って仕方のないことになっていたが、それだって多分気の迷いでござるにゃん。

 光の柱はまるで胴長ネコのように、凄まじい星の輝を宿したネコそのものとして『ベスティア・ビブリエ』を光の中に飲み込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小鳥田・古都子
他人の物語を白紙に書き写しても、それは単なる記録。主人公の名前を自分に書き換えたら二次創作。何をしても自分の話にはならないのにね。

引き続き葛籠雀さん達…舌切り雀?…に協力をお願いします。ちょっとだけ気を引いて。
【ピーキーブレイド】。攻撃回数半減、攻撃力強化。片手持ちにした刀を、ビリヤードのキューの様に構えて引き絞ります。一撃に全力を込めるの。
UCの効果で【肉体改造】された全身の内部構造が変化。刺突攻撃に最適な状態にチューンナップ。同時に全身を覆ってたフォースオーラがブレードに集中。
【ダッシュ】して一気に間合いを詰めて【貫通攻撃】。全霊を込めた一撃で、あなた自身の物語を刻み込んであげるの。



 葛籠を抱えた小さな雀と葛籠をボールのように羽根先で回している大きな雀は一組で一つの疑似生物、『へんてこな愉快な仲間たち』であった。
 その雀たちが不思議の国『動物園の国』を飛ぶ。
 彼等が見たのは猟書家『ベスティア・ビブリエ』が光の柱の直撃に寄って大地に穿たれた瞬間であった。
 しかし、そのすさまじいユーベルコードの輝きをもってしても『ベスティア・ビブリエ』は未だ打倒されない。
「逞帙∩縺?縺代′遘√↓蛻サ縺セ繧後※縺?¥縲ゅ◎縺ョ縺溘a縺ォ遘√′逕溘∪繧後◆繧上¢縺ァ縺ッ縺ェ縺??縺ォ縲らゥコ閻ケ莉・螟悶↓縺ゅk縺ョ縺ッ逞帙∩縺?縺代?よ悽蠖薙↓荳也阜縺ッ縺薙s縺ェ縺薙→縺励°遘√↓縺上l縺ェ縺??縺」
『ベスティア・ビブリエ』の咆哮が響き渡る。
 それは世界を呪う言葉であったことだろう。

 書の魔獣として『白紙』であることを求められる存在。
 己の『物語』はなく、他者の『物語』を貪ることだけを位置づけられた魔獣は、その咆哮が本来慟哭であることすら理解できなかった。
「他人の物語を『白紙』に書き写しても、それは単なる記録。主人公の名前を自分に書き換えたら二次創作。何をしても自分の話にはならないのにね」
 小鳥田・古都子(サイボーグのサイキッカー・f16363)は一歩を踏み出す。
 彼女の瞳には焼き焦げた『ベスティア・ビブリエ』の巨体しかなかった。

「ちゅんちゅんちゅちゅんちゅん!」
 恐らく舌切雀の寓意譚が疑似生物となった『愉快な仲間たち』であろう彼等に古都子は、気を引くことを願った。
 彼等もそれを快く受け入れていたし、彼等の複雑な『物語』はきっと『ベスティア・ビブリエ』であったとしても瞬時に貪ることはできなかったことだろう。
 揺らめく単眼が雀たちを見つめ、大空に飛ぶ彼等を地におとさんと手を伸ばす。

 欲しているのだ。
 数多の『物語』を。己の空腹を満たす存在を。
 きっと何処かにあると思っているのだろう。自分以外の何物かがきっと持っているだろうと。
 だからこそ、『ベスティア・ビブリエ』は『白紙』のままなのだ。
「……偏向、集中」
 古都子のユーベルコードが輝く。
 己の機械の体、その内部機構を変えていく。手にした刀を手にした腕が弓に弦を引くように引き絞られていく。
 刃に添えた腕は、まるでビリヤードのキューを構えるようにして砲身と化す。

「縺ゥ縺?@縺ヲ遘√?縺ゅ≠縺ァ縺ッ縺ェ縺??縺?繧阪≧縲らソシ縺梧ャイ縺励>縲らゥコ繧帝」帙?縺溘>縲らゥコ閻ケ繧貞ソ倥l縺溘>縲ゅ↑縺ョ縺ォ遘√?縺阪▲縺ィ縺昴l縺御ス輔↑縺ョ縺九o縺九i縺ェ縺??縺?繧阪≧」
 伸ばした『ベスティア・ビブリエ』の腕が雀たちを捉えることはなかった。
 たとえユーベルコードに寄って彼等の『物語』を奪っているのだとしても、彼等の肉体に触れることは終ぞなかったのだ。
「そう在るべき、という存在として生まれたのなら仕方のないことなのかもしれないけれど」
 それでも、と古都子は『ベスティア・ビブリエ』の咆哮を耳にする。

 全身を覆っていたオーラが手にしたブレードに集約されていく。
 彼女の構えたピーキーブレイドは、まさに矢であった。踏み込む脚部が爆ぜたような音を立て、大地を踏みしめる。
 神速の踏み込みは、一瞬で『ベスティア・ビブリエ』と古都子の間合いを詰める。
 誰も彼女の姿を捉えることはできなかっただろう。
 雀たちを捉えようとする腕は、一瞬の内に両断されていた。

 全身全霊を込めた一撃。
 その剣閃が描くのは、古都子が出来る唯一であった。
『白紙』たる存在、『ベスティア・ビブリエ』――書の魔獣たる『物語』に刻むのは唯一つ。
「――あなた自身の『物語』。傷痕があればこそ、そこはもう何もないなんてことはない」
 この一撃という傷痕を持って『ベスティア・ビブリエ』は、他者の『物語』を喰らう存在から昇華されるのだ。

「これがスタートライン。滅びから始まる『物語』があってもいい。そうは思わない?」
 古都子は『ベスティア・ビブリエ』の慟哭を背に、その剣閃でもって書の魔獣の腕を奪ったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「え、『へんてこな愉快な仲間』である我が敵の前に出て囮になる?
敵の攻撃は痛くないから平気?
ちょっと記憶を奪われるだけ?」

なんだ、痛くないなら美少女魔術士の我でも前衛に出られるな。
……って、記憶を奪われるだとーっ!?

ずずいっとルクスとステラに前に押し出され……
あれ、我、意識が……



「あら、ここはどこかしら?」

私は確か、悪魔と契約して不老不死になるための禁断の魔術を研究していたはずです……
そして、目の前には、魔物が浮き出た本……?

「間違いありません、この本こそ禁断の魔術書ですね!」(勘違い

そうとなれば、魔導書の番人の魔物を倒し、魔導書を手に入れます!
受けてください、私の全力の魔術!


ステラ・タタリクス
【勇者パーティー】
囮がいないと追い込まれる展開、これは盲点でした
大変心苦しいのですがフィア様
皆を守ると思って囮を引き受けてください、ほら早く
(後ろから飛び蹴り食らわせる)

ああ、フィア様
あなたの尊い犠牲を無駄にしません…!

……あれ誰ですか?
え?フィア様?本当に?
なるほど、複雑な物語が彼女を今のフィア様にしてしまったのですね

可愛い生き物というのは同意ですが私の好みとはちょっと

ええ、この隙に潰すしかありません
とりあえずフィア様ごとぶっ飛ばしても…ダメ、と
仕方ありません
【テールム・アルカ】起動
私の大きさにリサイズしたキャバリアソードで
斬り裂くとしましょう
メイドたるもの扱えぬ武器は存在しないのです


ルクス・アルブス
【勇者パーティ】

さ、師匠『へんてこな愉快な仲間』として、記憶を奪われてください。
だいじょぶです、痛くないですし、あとで戻りますから。

記憶のないときの師匠って、ほんとに可愛い生き物ですよね。

ごはんつくったりとかお世話したりは、いままでと変わらないですし、
こんな可愛い生き物なら愛でていてもいいですよね!
最後はちゃんと戻って欲しいですけど、しばらくは……!

え? ステラさん師匠では萌えませんか? 業が深いですね。

って、結局ぶっぱじゃないですか!
ああもう、すること同じなら今までの師匠がいいですね。

【光の勇者、ここに来臨!】で、攻撃します。
ここで頑張って、かっこいいイメージくらいは師匠に残しておきますよ。



 猟兵の一撃に寄って猟書家『ベスティア・ビブリエ』の片腕が地に落ちる。
『へんてこな愉快な仲間たち』の協力に寄って無防備と成った『ベスティア・ビブリエ』は『物語』を喰らうという恐るべきユーベルコードを攻略できるのならば、残るユーベルコードに対処するだけでいい。
 しかし、その残るユーベルコードもまた強力無比であり、『へんてこな愉快な仲間たち』の協力なしでは、猟兵達と言えど打倒することは難しいだろう。

 勇者パーティの面々は、エビフライというかサソリフライというか、それを食すことに大忙しで、そこまで気が回っていなかった。
 けれど、案ずることはないのだ。
「囮がいないと追い込まれる展開、これは盲点でした」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は出来るメイドであるが、たまにぶっ壊れる感じのあるメイドだ。
 たまには失敗だってするし、目的を見失うことだってある。メイドだもの。

「さ、師匠『へんてこな愉快な仲間たち』として、記憶を奪われてください。だいじょぶです。痛くないですし、後で戻りますから」
 師匠であるフィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)の扱いがだんだんと慣れてきというか、ぞんざいに成っていないだろうかとルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)は特に気負うこと無くフィアの背中をぐいぐい押す。
 そう、『ベスティア・ビブリエ』は複雑怪奇な『物語』を持つ『愉快な仲間たち』を欲している。
 フィアは確かにその条件に当てはまるほどの悠久なる時を生きてきた魔女だ。

 ちょっと人には言えない感じのあれやそれやな事件は一つや二つではないだろう。叩けばホコリが出るみたいに後から余罪が出てくるはずである。
「え、痛くはないのか。ちょっと記憶を奪われるだけか。ならば、美少女魔術士の我でも前衛に出られるな」
 なるほどなーとフィアは頷く。
 ルクスとステラの言葉に彼女は納得していた。なーんだ、傷も何もないのなら平気へーきってやつである。
「大変心苦しいのですが、フィア様。皆を守ると思って囮を引き受けてください、ほら早く」
 どかっ、とステラがフィアに飛び蹴りを浴びせる。

「……って、記憶を奪われるだとーっ!?」
 え、とフィアがようやくに事の重大さに気がついた瞬間、ステラの飛び蹴りが背中にクリーンヒットして、フィアが『ベスティア・ビブリエ』の前に躍り出る。
 単眼が揺らめいている。
 それがフィアの見た最後の光景であった。
「あれ、我意識が……」
 ぐらりと体が揺れる。
 如何に悠久の時を生きる魔女とて、記憶を失えばそれに応じた存在にまで堕すであろう。
 ルクスは大丈夫後で戻るから大丈夫とうなずいている。そう、記憶のない時の師匠とは、マジで美少女である。ただの美少女であるとも言い換えれるわけでもあるが、ルクスにとってはあまりに変わらないのである。

 そう、ごはんを作ったりお世話したりは今までと変わらない。それにフィアという美少女を愛でていてもいいものであると彼女は割りと我欲で言葉を紡いでいた。それでいいのかな、光の勇者。
「あら、ここはどこかしら?」
 記憶を奪われたフィアが、はてな、と首をかしげる。
 うわほんとにびしょうじょだ。

 フィアは悪魔と契約する前まで『物語』が退行している状態なのだ。
 魔女となってからの『物語』は波乱万丈過ぎて『ベスティア・ビブリエ』もまた捕食するのに苦労していた。
 胃もたれってやつであろうか。
「縺ェ繧薙□縺薙l」
『ベスティア・ビブリエ』は困惑していた。
 人って此処までやらかすのだろうかと。いや、多分そんなことをきっと思っていたのだろう。
 揺らめく単眼が微妙に戸惑っているようにも見えるのだ。

「間違いありません、この本こそ禁断の魔術書ですね!」
 記憶を失った美少女フィアが得心したように頷く。いや違うそうじゃない。
「……アレ誰ですか?」
「何って師匠ですけど。しばらくは、あのままでいいのではないでしょうか……!」
「え、フィア様? 本当に?」
 ステラは若干引いていた。なんでだ。
 今まで見てきたフィアという破天荒魔女は見る影もない。故にステラは戸惑っていたのだ。『ベスティア・ビブリエ』も似たような理由であろう。

 確かにステラは可愛い生き物大好きである。
 でも、ちょっと経路が違うのだ。好みではないというのが正しいだろうか。そんなことを考えていると早速、美少女フィアがやらかす。
「ならば魔導書の番人の魔物を倒し、魔導書を手に入れます! 受けてください、私の全力の魔術!」
 魔力増幅(マナ・ブースト)によって増大した魔力が暴走するように解き放たれる。まったく成長していない……!
 ぶっぱ癖はこのからであったのかと、ルクスもフィアも慄く。
「やっぱり結局ぶっぱじゃないですか! ああもう!」
 ルクスは同じことをするなら、元のフィアのほうがいいとさえ思った。だってそうだろう。

 ただ可愛いだけのフィアがぶっぱするのは、なんかちがうのだ。
「光の勇者ルクスがお相手します! 光の勇者、ここに来臨!(ユウシャトウジョウ)」
 ぶっぱされた魔術の爆発に巻き込まれる『ベスティア・ビブリエ』にルクスが謎の効果線をまとった姿でびしりとポーズを決める。
 あわよくば、美少女フィアにルクスがかっこいいイメージを刷り込もうとしているのだ。マジで我欲だけである。

 しかし、その背後でステラのユーベルコードが輝く。
「ええ、この隙に潰すしかありません。とりあえず、フィア様ごとぶっ飛ばして……ダメ、と。ならば――箱舟、起動。武装、転送」
 輝くユーベルコード、テールム・アルカによって喚び出されたのは、リサイズされたキャバリアソードであった。
 爆発とルクスの圧倒的な戦闘力によって『ベスティア・ビブリエ』は隻腕のまま、咀嚼しきれぬフィアの『物語』に戸惑うばかりであった。

「繧上¢縺後o縺九i縺ェ縺」
「何を言っているのか存じ上げませんが、言いたいことはわかります。わけがわからない『物語』なのでしょう。ですが――!」
 ルクスの一撃が『ベスティア・ビブリエ』を吹き飛ばし、ステラの手にしたキャバリアソードの一撃が、書の魔獣の肉体に十文字の傷を刻み込むのだ。
「メイドたるもの扱えぬ武器は存在しないのです――」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒髪・名捨
〇心境
いや、何言ってるのかわかんねーよ。
他人の物語を自分に書きたそーなんぞ、ただの盗作じゃねーか。
偽物の物語が本物の物語の勝てる道理はねーんだよ。
一昨日きやがれッ

〇行動
引き続き協力頼むぜ『ジンの開放されたランプ』
…名前なげぇ…。

お前たちの本物の物語…絶対戻してやるさ。
魔法のランプが解放された後ってことは…ハッピーエンドの後だもんなッ!!

ランプに夢中になった隙に『ダッシュ』で接近し、『捨て身の一撃』の『頭突き』を叩き込で『体勢を崩す』と『2回攻撃』の2回目、『破魔』『覇気』を込めた一撃必殺だッ

言ったろ、盗んで出来た偽物の物語が、自らの足で刻んできた本物に勝てる道理がねーんだよ。



 猟書家『ベスティア・ビブリエ』の慟哭が世界に響く。
 されど、それは小さな世界、不思議の国が重なり合って出来上がった複合世界アリスラビリンスにおいては片隅に響き渡る声でしかなかった。
 猟兵達は、その慟哭の意味を知ることはできても、その言葉を正しく聞くことはなかった。
 誰もが、その言葉の響きを耳にはできない。
『白紙』の書の魔獣。
 それが『ベスティア・ビブリエ』である。
 自身には『物語』なく、あるのは貪欲なる空腹のみ。
 それが満たされぬことを知らぬからこそ、他者から『物語』を奪おうとするのだ。
「縺ィ縺ヲ繧ゅ♀閻ケ縺檎ゥコ縺阪∪縺励◆縲ゅ←縺?@繧医≧繧ゅ↑縺??縺上i縺?↓縺願?縺後?ゅ□縺九i鬟溘∋縺溘>縺ョ縺ァ縺吶?る」溘∋縺輔○縺ヲ縲ゅ≠縺ェ縺溘?縲守黄隱槭?上r」

「いや、何言ってるかわかんねーよ」
 黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)は、『ベスティア・ビブリエ』へと迫る。
 すでに『ベスティア・ビブリエ』は猟兵の攻撃に寄って片腕を失い、その胴に斬撃の痕を刻まれている。
 ここで畳み込まなければ、奪われた『愉快な仲間たち』の『物語』を取り返すことはできない。
「引き続き協力頼むぜ『ジンの解放されたランプ』!」
 名前が長い、と名捨は思ったが、まさにそう形容する他ないのだ。

 ランプに手足が生えた『へんてこな愉快な仲間たち』である『ジンの解放されたランプ』は頷く。
「我輩に任せておきたまえよ! 君は心置きなく、あの獣を打倒するのだ!」
 そう、『ジンの解放されたランプ』は、その『へんてこ』さ故に、数多の『物語』を持っていることだろう。
 如何に『ベスティア・ビブリエ』が『物語』を奪うのだとしても、複雑怪奇な『物語』を持つ彼から一瞬で奪うことはできない。
「鬟溘∋縺輔○縺ヲ窶補?」
 咆哮するように『ベスティア・ビブリエ』が『ジンの解放されたランプ』へと迫る。
 その単眼が揺らめくのを名捨は見た。

「他人の物語を自分に書き足そーなんぞ、ただの盗作じゃねーか。偽物の物語が本物の『物語』に勝てる道理はねーんだよ。一昨日きやがれッ」
 名捨の瞳がユーベルコードに輝く。
『ベスティア・ビブリエ』は名捨に構うことはなかった。
 ただ己の欲求に従うだけである。『ジンの解放されたランプ』に迫り、その『物語』を喰らうだけだ。

「今だ!」
 そう叫ぶ声が聞こえる。
 恐ろしいだろう。己が何故存在するのかという『物語』を奪われる感覚というのは、記憶を奪われることに等しい。
 名捨はそれをよく理科している。だからこそ、その瞳に輝くのはユーベルコードだけではなく、覚悟であった。
「お前達の本物の『物語』……絶対戻してやるさ」
 名捨は踏み込む。
 これ以上奪わせはしないと、そのなびく黒髪と共に『ベスティア・ビブリエ』の顎に頭突きをお見舞いするのだ。

 凄まじい衝撃が脳天に突き抜ける。
 だが、構わない。そう、構わないのだ。この身は捨て身。なれど、彼は決意している。必ず彼等の奪われた『物語』を取り戻してみせると。
「魔法のランプが開放された後ってことは……ハッピーエンドの後だもんなッ!」
 それを奪われてはならない。
『ジンの開放されたランプ』の『物語』はこれからも続く。
 ハッピーエンドを語り継ぐために。

 だからこそ名捨はためらわないのだ。
 拳に破魔と覇気の力を込めた一撃必殺たる輝きが宿る。
「言ったろ、盗んでできた偽物の物語が、自らの足で刻んできた本物に勝てる道理がねーんだよ」
 放たれた拳の一撃は『ベスティア・ビブリエ』の胴を打ち抜き、その胸に大穴を穿つ。

『物語』を欲するのならば、他者から奪うのではなく、名捨のように己の足で切り開いていけばよかったのだ。
 それができぬからこその書の魔獣なのかもしれない。
 けれど、それでも名捨は拳の一撃で持って『物語』を本来の持ち主へと戻すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
騎士として、奪われた『物語』は必ずや取り戻すとお誓いましょう
では、手筈通りに

電脳剣の簡易電脳魔術で自身の装甲を周囲の風景に溶け込む色に変更
(ハッキング、防具改造、物を隠す、騙し討ち)
『試練の竜』の物語喰らう猟書家を見据えマルチセンサーで情報収集
脆弱点を見切りつつ、UCの電力をチャージ

壊れた私に『物語』が偶然にも残存していなければ……
そのまま骸の海に沈んでいたか、貴方と同じような存在に成り果てていたやもしれません

ですが、そうはならなかった

怪力で大盾を投擲
弾き飛ばして竜から引き離し

誰かが、或いは己自身が紡ぐ『物語』
その価値を知るが故に、貴方を討たせて頂きます!

チャージUC発射(スナイパー)



『試練の竜』が猟書家『ベスティア・ビブリエ』へと迫る。
 数多の傷からあふれる綿は、彼の勲章であった。彼の行動で多くのアリスが勇気を持って前に足を進めた。
 それこそが彼の『物語』である。
 敵役であっても構わない。憎まれ役であってもいいのだ。
 アリスたちが立ち上がる勇気を持てるのならば、それこそが『試練の竜』の本懐であった。

 それをトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)はよく理解していた。
「騎士として、奪われた『物語』は必ずや取り戻すとお誓いしましょう」
「構わぬよ、騎士。我は我の役割を果たすのみ。その誓いのためにお主は力を振るうのだ」
『試練の竜』が『ベスティア・ビブリエ』に組み合う。
 慟哭のような咆哮が『ベスティア・ビブリエ』の単眼を揺らす。揺らめくユーベルコードが『試練の竜』の『物語』を奪っていく。

 多くの『物語』があった。
 泣き虫なアリスもいれば、震える足を抑えて見上げるアリスもいた。様々なアリスたちは、彼とであって勇気を得て立ち上がっていった。
「請われた私に『物語』が偶然にも残存していなければ……」
 トリテレイアは電脳剣による簡易電脳魔術によって自身の装甲を周囲の風景に溶け込む色へと変え、身を隠す。
 マルチセンサーが『試練の竜』と『ベスティア・ビブリエ』の様子を捉える。

 すでに『ベスティア・ビブリエ』は猟兵の攻撃に寄って片腕を失い、胸に穴を穿たれ、胴には切り傷が残っている。
 ならばこそ、己が狙うべきは唯一つ。
 その頭部だ。
「繧ゅ▲縺ィ迚ゥ隱槭r?√??遘√′鬟溘∋縺溘>繧ゅ?縺後?√≠繧九?縺ェ繧峨??√??繧ゅ▲縺ィ繧ゅ▲縺ィ?√??鬟溘∋縺溘>?」
『ベスティア・ビブリエ』の慟哭が天を衝くようでもあった。
 凄まじい咆哮。『白紙』であるからこそ、その衝動に身を任せるしかないのだろう。
 それはトリテレイアにとっては、己もまた同じような存在に成り果ててしまうかもしれなかったという可能性でもあった。
 あのまま骸の海に沈み、オブリビオンとして己の機体は蘇っていたのかもしれない。

「ですが、そうはならなかった」
 チャージされた電力が充填されたことを告げるアラートが鳴り響く。
 彼が構えたのは、クロスボウ型銃器。
 コアユニット直結供給式対人・対艦兼用電磁投射砲(ダイレクトコネクトレールガン)である。
 チャージされた電力が砲身からほとばしる。
「そうはならなかったのです! 誰かが、あるいは己自身が紡ぐ『物語」――」
 大盾を投擲し、『試練の竜』から『ベスティア・ビブリエ』を引き離す。
『試練の竜』は確かに囮という大役を果たしてくれた。十分に稼がれた時間は、トリテレイアにとって『ベスティア・ビブリエ』を撃ち貫くのに必要な力を溜め込むことをさせてくれた。

 だからこそ、答えなければならない。
「その価値を知るが故に、貴方を討たせて頂きます!」
『物語』があったからこそ、トリテレイアは今の自身として存在できている。
 あの『騎士道物語』がなかったのならば、己の今はない。
 かつての二人が紡いだものもなかったのだ。だからこそ、それを奪われることはない。たとえ、ユーベルコードであったとしても、もはや分かつことはないのだ。
「遘√↓縺ッ縺ェ縺上※雋エ譁ケ縺ォ縺ッ縺ゅk繧ゅ?縲ゅ◎繧後′遘√?谺イ縺励>縲ゅ←縺?@縺ヲ遘√↓縺ッ縺ェ縺??縺ァ縺」
『ベスティア・ビブリエ』の慟哭が鳴り響く。
 トリテレイアのアイセンサーの輝きが揺らめくことはなかった。

 同情も憐憫も必要ないことであると彼は理解していたからだ。
 必要であったのは、弾丸だけである。
 その在り方を許してはならぬという思いだけである。引き金を引いた瞬間、あふれる電力によって加速した弾丸が『ベスティア・ビブリエ』の単眼揺らめく頭部を貫き、消し飛ばす。

 首なしの獣が膝をつく光景をトリテレイアは見る。
「……私に在って貴方に無いもの。それは唯一つ。そう、『物語』ではなく――人と人が生み出した絆でありましょう」
 それに己は背を押されて、今まさにおのれの『物語』を歩んでいるとだと、トリテレイアは告げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
この場にいてもらえれば充分です。
そうしてもらえればやってくる敵の動きが止まるはずです。
後は……背中を貸してもらえれば。

丘亀の背の山に登り、周囲を見渡せる場所に位置取り、ヘスティア・ビブリエが来るのを待ちます。
ヘスティア・ビブリエが来て、物語を喰らうために動きを止めたら「フィンブルヴェト」からの【凍風一陣】、『スナイパー』の技術で狙い撃ちます。

あなたに取ってきっとこれはただの食事。悪意はなく、純粋にそれだけのために動くあなたも純粋な存在なのでしょう。
ですから、ここに善悪はありません。ただ、私は私たちが生きるために、あなたを撃つ。
少しの時間も、痛みも、寒いと思う暇も与えません。



「縺ゥ縺?@縺ヲ遘√?縺ソ繧薙↑縺ョ繧医≧縺ァ縺ッ縺ェ縺??縺ァ縺昴≧縲ゅ≠縺ョ繧医≧縺ォ縺ェ繧翫◆縺九▲縺溘□縺代↑縺ョ縺ォ縲らァ√?縺ゅs縺ェ縺オ縺?↓縺ッ縺ェ繧後↑縺??ゅ◎繧後′謔イ縺励¥縺ヲ謔イ縺励¥縺ヲ」
 猟兵は聞いた。
 どの慟哭が書の魔獣の失われた頭部ではなく、穿たれた胸でもなければ、失われた片腕でもない、どこか体の中心、その存在を足らしめている核から発せられるものであると。
 猟書家『ベスティア・ビブリエ』は『白紙』の『物語』しか持たぬオウガであった。
 奪うことしか知らず、おのれの『物語』を持たぬからこそ、他者の『物語』を奪おうとする。

 それがどれだけ浅ましく、どれだけ醜いことであれど、誰もが『ベスティア・ビブリエ』を責めることはできなかっただろう。
『物語』を奪われた『愉快な仲間たち』でさえ、そうであったのだ。
 憐憫の感情だけが、頭部を吹き飛ばされた書の魔獣に向けられる。
「まだあの獣は生きているようだけれど。どうすればいい?」
 小山程度もある巨体を持つ『丘亀』がセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)に告げる。
 その巨躯であれば、『ベスティア・ビブリエ』から逃げることはできないだろう。
 けれど、セルマは頭を振った。

「この場にいて貰えれば十分です。そうしてもらえれば、やってくる敵の動きも止まるはず」
 そう、傷ついた『ベスティア・ビブリエ』は必ず膨大な『物語』を持つ『丘亀』を狙ってくるだろう。
 今だ霧散しないところを見るに、あの頭部は形だけのものだ。
 あれを倒すには核となる部分を貫かなければならない。これまで猟兵たちが積み重ねてきた戦いの軌跡でそれが分かる。
 セルマは、もう一つだけ『丘亀』に願った。

「後は……背中を貸してもらえれば」
「お安い御用さ。さ、乗って」
 セルマは『ベスティア・ビブリエ』の慟哭を聞きながら『丘亀』の背を乗る。スナイパーとして陣取るべきは、敵よりも高所である。
 周囲の視界を確保することが狙撃手として必要なことであり、『ベスティア・ビブリエ』はどうあがいても、この『丘亀』を喰らわなければならない。
「謔イ縺励>縺ョ縺ォ豸吶b縺ァ縺ェ縺??ゆサ悶?莠コ縺ッ豸吶r豬√☆縺ョ縺ォ縲∫ァ√?豸吶&縺域オ√○縺ェ縺??ゅ%繧後′蛛ス繧翫〒縺ゅk縺九i縺ィ縺?≧縺ョ縺ェ繧峨?∫ァ√?譛ャ蠖薙?縺ゥ縺薙↓縺ゅk縺ョ」
 嘆く声色。

 それをセルマは聞いた。
「あなたにとって、きっとこれはただの食事。悪意はなく、純粋にそれだけのために動くあなたも純粋な存在なのでしょう」
 スコープを覗く。
 そこにあったのは、ただの獲物でしかない。憐憫も同情も必要ない。
 けれど、本当にそうであろうか。
 慟哭によって響く声無き声。意味の通らぬ音の羅列。けれど、どこかそこにあったのは嘆きであるようにも思えたであろう。

 そう在るべきとして生まれてしまった書の魔獣。
 ああ、けれども。
 セルマは頷く。
「ですから、ここに善悪はあいrません。ただ、私は私達が生きるために、あなたを撃つ」
 せめてとセルマは思うのだ。少しの間も、痛みも、寒いという暇すら与えぬようにと。
 書の魔獣が『物語』を奪う時、『愉快な仲間たち』に痛みを与えなかったのと同じように。
 彼女が『ベスティア・ビブリエ』という哀れなる獣に出来るたった一つの手向け。

 それこそが、輝くユーベルコードであった。
 マスケット銃『フィンブルヴェト』より放たれる氷の弾丸。それは一瞬で『ベスティア・ビブリエ』の核を貫く。
 多くの猟兵が削り、導き出した戦いの軌跡。そこにめがけて放たれるセルマの弾丸は、絶対零度の霊気を宿らせる。
 貫かれた瞬間、核が凍りつきひび割れて砕けた。

「――さようなら、書の魔獣。愛なき魔獣寓意譚。次にもしもがあるのならば」
 せめて、次は『物語』なくとも『愛』がありますようにとセルマは『丘亀』の背から消えゆく『ベスティア・ビブリエ』を見下ろす。

 霧散して消えていく粒子が、凍風一陣(イテカゼイチジン)と共に世界から消えて行く。
 自分が消えたという事実さえも悟られぬまま、冷たい風だけが満たされぬ欲求抱えた過去の怪物を消し去るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月01日


挿絵イラスト