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世界にひとつだけの華

#カクリヨファンタズム #お祭り2021 #夏休み

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●夏の夜空に君を想ふ
 くらいくらい夜空に、パッと美しく花が開く。
 夜空に咲いた花は火花を散らし、チリチリさらさら消えていく。
 人々はその一瞬とも言える短いひとときを、心に、記憶に焼き付けようと、呼吸ひとつ分を忘れて空を見上げる。今年も夏が来たことを感じながら、同時に夏が終わっていくことも感じ、美しい夏の華にいっときを捧げるのだ。

 とある妖怪の親分が言いました。
『ワイちゃん閃いたで? もっと色んな形があった方がバエるんじゃね? って』
 なるほど、ごもっとも。伝統ある花火が良いと言う妖怪もいるが、長生きな妖怪たちは新しいものを常に求めている。飽きているわけではないのだが、新要素もあるといいよね! みたいな、そんな感じ。
 そんなわけで開発されました! 新妖怪花火! その名も『想花玉』! 想いで咲く、花火玉、である。
 この花火は、なんと! ぎゅっと握りしめて思いを込めれば、その絵柄が空に咲く――という花火だ。花火なので難しい形は作れないが、自分で好きな色――勿論炎色反応で出せる色に限られるが、自分だけの世界にひとつだけの花火を作ることが出来るのだ。
『紫や青は出すのが難しいっちゅーか、殆ど見えないから気ぃーつけてな!』
 と、一応の注意をとある妖怪の親分が言っていましたとさ。

●海の家魔王城
「うみのいえまおうじょうからごきげんようです。あ、ちがいました」
 ……こほん。
「くふふ、うみのいえまおうじょうへよくぞきました、ゆうしゃたちよ! ゆっくりとくつろいでいくがよいのです!」
 毎日姿見で練習している威厳ある魔王のポーズを決めたエステレラ・ピスカピスカ(ぜったいくんしゅ・f31386)は満足そうに大きく頷いた後で、勇者じゃなくてもたくさん寛いでくださいねと羽根をパタパタと動かして5センチくらい浮かんだ。
 海の家魔王城とは、エステレラが攻め落とした(「休憩所が借りたい? いいよいいよ、貸してあげるよ」と妖怪たちが快く明け渡してくれた)海の家である。焼きそば等の販売は普通に妖怪――カワウソ店主が務めてくれているので、エステレラの眷属・セラちゃんが手伝っていたりする。
「みなさんはもう、はなびのはなしはきいておりますよね?」
 夏休みに入った猟兵たちは既に妖怪花火の話は聞いていることだろう。
「わたくしがあんないするはなびはですね、なんと、じゆうにはなびがつくれるのです」
 方法も難しくない。ギュッと握って念じるだけ。わたくしでも出来ますとエステレラがくふくふと微笑った。
「はなびはおそらにえいやーっとなげてくれればだいじょうぶです。ひゅるるーってして、バーンってなりますから」
 勝手に上空に飛んでいくと言いたいらしい。
 それから、とエステレラが指を立てる。
「わたあめであしばがつくれるので、うみのうえや、そらのうえからでもたのしめるのです」
 望めば『星雲わたあめ』というものが貰える。足場にするもよし、食べてもよしのすぐれものなのだとエステレラは頬を押さえた。
「ちょっぴりパチパチして、おいしいのですよ」

 話している間に日が暮れて、夜の時間がやってくる。
 海の上に闇色の帳が落ちて、キラリと光る一番星。
 闇色のキャンパスに光る花を咲かせるには良い時間だ。

 ――さあ、あなただけの華を咲かせよう。


壱花
 夏です! 花火です! 海の家です!
 お外で食べる焼きそば大好き壱花です。

 このシナリオは【日常】フラグメント一章のみで終了します。

●シナリオについて
 グループでのご参加は【3名まで】。
 公序良俗に反する事、他の人への迷惑行為、未成年の飲酒は厳禁です。

 ⚠確実に再送が発生します!
 受付期間:7/31(土)8:31~ 8/2(月)23:59まで。
 再送期間:8/5(木)8:31~ 8/6(金)23:59まで。

 再送は採用をお約束するものではありません。8/7朝までに書ける範囲での採用となりますので、ありがたくも多くのご参加を頂いた際は流れる可能性もあります。
 特に受付最終日のプレイングが多いと流れやすいです。

●想花玉
 ひとりひとつ、もらえます。1PCでひとつです。
 大きめのスーパーボールくらいの大きさの花火玉です。手でギュッとにぎって「こういう感じの花火にしたいな~」と思い、花火に花丸💮マークが出ればOKです。あとは空に向かってえいっと投げましょう。加速を観測するとそこから自力で空へ向かって飛んで行き、パーンと上空で花開いてくれます。
 花火なので、あまり難しい絵柄は作れません。ハート等の記号やお花、とても簡易な誰かな顔等は作れるでしょう。

●星雲わたあめ
 ちぎって、ふうと息で飛ばすと雲の足場になるわたあめ。海の上に雲の飛び石(雲)を作って海の上から花火を見たり、空への階段になるように配置して空から花火を楽しむことが出来ます。
 乗っかるとぽよんぽよんとした弾力があります。数時間経過で萎んで消えます。
 食べても美味しいです。小さな花火が口の中で弾けたようにパチパチします。

●海の家
 カワウソ店主が焼きそばを焼いたり、かき氷やラムネを用意してくれます。
 よく冷えた缶ビールと焼きイカもあります。お酒は二十歳から!
 持ち歩く際は腕の本数と相談してくださいね!

●グリモア猟兵
 エステレラがいますので、お声掛け頂ければ反応いたします。

●迷子防止とお一人様希望の方
 同行者が居る場合は冒頭に、魔法の言葉【団体名】or【名前(ID)】の記載をお願いします。また、文字数軽減用のマークをMSページに用意してありますので、そちらを参照ください。

 それでは、パチパチな花火プレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW   :    妖怪花火で空へGO!

SPD   :    妖怪花火の上で空中散歩

WIZ   :    静かに花火を楽しもう

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴァロ・タハティ

※喋らせないでください

◼️そうびひん
右手:想花玉
左手:星雲わたあめ
胴:フードローブな水着
 (おさかないっぱい泳いでるんだよ!)
砂浜をてくてくわくわく!

ぷかぷかもよいなあ~
なんて考えてたけれど
……
……
(じゅるり)
……ちょっとくらいいいよねって啄んだら
おいしい……!
ちょっぴりぱちぱちする!不思議!

(あ!)
もぐぱちしてたら
いだいなる姿をみかけたから、
エステレラ(f31386)に
両手をぱたぱた、ぺこっとお辞儀
初めまして!のご挨拶
(お隣、いい?)って
みぶりてぶり聞いてみるね

想花玉に
もやもやイメージするのは
白くてぴかぴかのお星様
うまくいったら
お空にえいやーってしてみるよ!

ちゃんとばーんって、なるかなあ?




 白い砂浜は歩く度に足が沈んで、さらさらサクサク不思議な心地。
 海へと視線を向ければ星雲わたあめをプカプカ浮かばせている人も居て、サクサクもプカプカもいいなぁ~。なんて、ヴァロ・タハティ(キセキ・f05764)は考える。
 ちぎってふうってすれば、プカプカ。
 じいっとわたあめを見つめて、千切るだけ……。
 千切るだけ……なんだけれど。
(じゅるり)
 ふあふあなわたあめは、とってもおいしそう。
(ちょっとだけ)
 クチバシの先で、ちょん!
 ピリピリぱちりと綿菓子が口の中で爆ぜている!
(おいしい……!)
 甘くてパチパチで、弾けてすぐに消えてしまうわたあめ。もっとパチパチしたくて、もぐっと一口。もう一口。
(あ!)
 口の中でパチパチ弾ける小さな花火に夢中になっていたら、砂浜に置かれた玉座(ビーチチェア)にモフッと座っている白い姿にいつの間にか近付いてしまったことに気がついた。
 お魚が泳ぐフードローブに覆われた両手をパタパタ動かせば、気付いたエステレラがヴァロを見て動きを真似る。
 パタパタ、ぺこりっ。
 ヴァロにとっての初めましてのご挨拶は、きっとエステレラにも伝わって……。
「ごきげんようなのです。すてきなおどりですね」
 いなかった。
 プルプル、パタパタ。
 ヴァロの動きは否定していたけれど、エステレラは瞳の中の星をキラキラと輝かして楽しそうな顔をする。通じないのなら仕方がない。何故ならヴァロの方がお兄ちゃんだから。
(お隣、いい?)
 簡単な身振り手振りで尋ねれば、もちろんどうぞとエステレラが微笑んだ。
 隣りに座るヴァロの姿を追うエステレラの視線を感じながらもぎゅうっと想花玉を握りしめて、ゆっくりと手を開けば花丸マーク。
 なげるね、みていて。
 握った想花玉をぶんぶん振ると、こくこくと頷きが返ってきて。
 お空にえいやーっと投げれば、空に輝く白くてぴかぴかなお星さま。
(やったー!)
「おほしさまです!」
 ぴかぴかがチリチリ消えるまで、ふたりは一緒に万歳をしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
「…ふむ。巧く行くか行かないかは別にして、試すのは自由、と言うことですね」
想花玉を握りしめ妹狐を想う
千年以上前、自分が初めての生を受けた豊葦原
巣別れ以降二度と会わなかった、馬鹿でやんちゃで臆病な一尾の野狐
思い出の相手を呼び出すという敵の攻撃のお陰で久方ぶりに相見えた
「失敗しても、黄色いバナナになるだけでしょう…それ」

星雲わたあめをちぎって息を吹きかけ目の前の階段を指でつつく
「…これは面白い。仙術でもなかなかこうはいきませんよ?」
黄巾力士従え風火輪で飛びながらちぎって息を吹きかけポヨンと足場になったのを食べる遊びを繰り返す
上空でわたあめに座り同じ事を繰り返しながら花火を楽しむ
「…いい休日です」




 渡された想花玉。鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)の手には少し小さく感じる花火玉を眺め、冬季はふむと小さく相槌を打った。
「巧く行くか行かないかは別にして、試すのは自由、と言うことですね」
 想花玉を握りしめ、想うのは一尾の野狐の姿。
 千年以上前に『初めて』生を受けた豊葦原で一緒だった妹狐とは、巣分かれ以降二度と会うことは叶わなかった。けれど長く生きると不思議なことも多々あるもので、先日とある戦場、とある敵の攻撃で、久方ぶりにその姿とまみえることとなった。
 ――馬鹿でやんちゃで臆病な、あの子。
「失敗しても、黄色いバナナになるだけでしょう……それ」
 思いに花丸マークが浮かんだのを確認して空へと放り投げれば、ひゅるると飛んでポーンっと愛らしい狐の顔が描かれた。
「ああ、巧く行くものですね」
 思い浮かべた姿よりもずっと簡素な狐の顔に小さく笑い、その姿が消えてしまうまで見上げてから、冬季は星雲わたあめを千切ってはふうと息を吹きかけ、空へ続く階段を作っていく。
 数段作れたら、指で突いて、ぽよん。ぽよよん。
「……これは面白い。仙術でもなかなかこうはいきませんよ?」
 ぽよぽよとした弾力に笑い、『宝貝・黄巾力士』を従えながら『宝貝・風火輪』で空を飛び、足場になった星雲わたあめを食べる遊びを繰り返す。
 そうしている間にもそこへ訪れた他の皆が花火を打ち上げ、上空の特等席で花火をも楽しむことが叶う。
「……いい休日です」
 戦いの合間の休日を冬季は存分に堪能するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葬・祝
【彼岸花】♢
人気のない場所で大人姿で
封印具の鈴はなし

この子、拗ねてますねこれは
千年以上共に居て初めて、暫く避けていたから
芽生えた愛も何も良く分からなくて、苦しくて胸が痛いばかりで、散々周りの手を借りてもがき、やっと
まだ言わないけれど

……ね、カフカ
そんな顔しないで、こっち向いてくださいな
久しぶりですから、どうせなら君の顔が見たいんですよ
君は悪くありませんよ、私が……ちょっと、人真似が上手く出来なくなってしまって
君と顔を合わせるのが、……うん、多分、こわかったんですよ

柔らかい紅の、彼岸花のような花火が咲く
結局、悩んでも想いを隠す意味なんてないし、隠し方がそもそも分からない
なら、全て、そのままで


神狩・カフカ
【彼岸花】♢

連れ出されたものの終始仏頂面
あの甘い水を飲んで気持ちを知ってしまってから
避けられてるのは気付いてた
それがなんとなく面白くなかった
理由なんざなくても構ってくるのが常だったし
…まあ、おれも顔合わせ辛ェとは思ってたけど
さすがに取り繕うくらいはできるし

…なんだよ
思いの外不機嫌な声が出てしまった
ンなこと言われなくたって知ってらァ
千年も一緒にいりゃそれくらい気付くぜ
だから責めることもできず
行き場のない想いは自分の中で堂々巡り

むしゃくしゃした想いごと空に放れば
咲くのは緋色の彼岸花みたいな花火
あーあ、桜すら咲かなくなっちまった
隣に咲くのは
はふりらしくない色の彼岸花
この意味、こいつはわかってるのかね




 ――なんで避けるんだよ。
 素直にそう言えていたのなら、今こんな思いを抱えていなかったのだろうか。
 いや、聞かなくとも解っている。先日飲んだ甘い水のせいだ。
 想う気持ちで甘くなる、水。アレを飲んで、気持ちを知ったから――避けられる。
 神狩・カフカ(朱鴉・f22830)にはそれがどうにも、
(……面白くない)
 折角葬・祝(   ・f27942)が花火に誘ったと言うのに、カフカはふいと顔を逸して祝を見ない。チラと見る横顔は仏頂面の不機嫌そのもの。
(この子、拗ねてますねこれは)
 千年以上共に居て、いつも愛でて構っているのに、初めて避けた。その自覚があるからこそ、祝は強く出れずにいた。
(でも、仕方ないじゃないですか)
 芽生えた愛も何も良く分からなくて、胸は苦しさと痛みばかりを訴える。カフカの顔を見れば、頭の中も胸の中もぐちゃぐちゃと糸が絡まったみたいになってしまって、彼にも己の心にも向き合うのが難しかったのだ。
(けれど、やっと、)
 周りの手を借りて、ようやっと答えが出た気がする。当人にはまだ、言いはしないけれど。
「……ね、カフカ」
「……なんだよ」
 甘やかすような声に返した己の声が思いの外不機嫌で、己ならもっと取り繕えると思っていた手前、カフカは唇を噛む。これでは子供の駄々みたいだ。
「そんな顔しないで、こっち向いてくださいな」
 掛かる声は、常より近い。
 人気のない場所で封印具の鈴を外して大人の姿となった祝が、ね、とカフカの前で困ったように首を傾げた。暫く避けていたから、こうしてふたりきりで過ごすのは久しぶりだ。側にいれば顔を見たいと思うようになったのは、何時頃からだったろうか。それも、思い出さないと解らない昔のことだった。いつから――なんて、きっとずっと前からで。それに気付かない振りをしていだけだった事が今なら解る。
「君は悪くありませんよ、私が……ちょっと、人真似が上手く出来なくなってしまって……君と顔を合わせるのが、……うん、多分、こわかったんですよ」
「ンなこと言われなくたって知ってらァ」
 祝がどんな気持ちでいるかなんて、千年も一緒にいれば解る。
 彼の不安も動揺も、躊躇いも、嫌でも気がつく。千年(ちとせ)も側にいるのだ。
「……花火、するんだろ」
「ええ」
 行き場のない想いは、今尚カフカの中で燻っている。
 それでも祝を責めること無く想花玉を握りしめ、むしゃくしゃした思いごと空へと放ってやった。花火のように弾けて咲いて消えてしまえば、どんなに楽か。
 空に咲く、ふたつの彼岸花のような花火。
(あーあ、桜すら咲かなくなっちまった)
 口にするのは癪だから、カフカはそのまま黙って花火を見上げる。
 柔らかな紅と緋色の、彼岸花。それはふたりがお互いを思った証だ。
 その意味に気付いているのかいないのか、祝も静かに見上げていた。
 想いを隠せないのならば、そのままで――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アンリ・ボードリエ
【天誅】

うーん...そうだねぇ
シンプルな材料で作られてるにもかかわらず、普段食べている甘味と同等...それ以上に美味しい気がするね
暑いからかな?

それにしても君は美味しそうに食べるなぁ、ふふふ…え、青くなってる?
ちょっと恥ずかしいな、あまり見ないで...
ウィリアム君の舌も若干赤くなってる...気がするかも...

好きな形かぁ....ボクはこういうのを考えるのが得意ではないからなぁ...うーん、夏らしく向日葵にしましょうか

えっ、ウィリアム君の好きな形にしていいんだよ...?そんなに感謝されるような事した覚えはないんだけど...ありがとうねウィリアム君、嬉しいよ
じゃあ、ボクの花火は君に捧げようか


ウィリアム・バードナー
【天誅】

なんで海で食うかき氷は特別うまいんすかね?
ただ氷削ってシロップかけただけなんすけど。

とか何とか言いつつ結局食べる手が止まらねぇんだよなぁ…
あ、アンリさんベロに色ついてるっす♪俺も色ついたかな?んー、いや、イチゴ味だからよくわかんねぇか。

そういや、好きな形に花火打ち上げられるらしいっすよ♪アンリさんはどんな形にするんすかっ!
俺は何にしようかなぁ…よし、ここはアンリさんへ日頃の感謝を込めて無難にハートだな!

いつも優しいアンリさんへの俺からの大好きの気持ちっす♪




「なんで海で食うかき氷は特別うまいんすかね?」
「うーん……そうだねぇ」
 定番の氷山が描かれたプラ容器にサクサクとスプーンストローを突き立てて、色がついていない氷をシロップの中へと落とす。すぐに白は赤く染まり、スプーンストローですくってウィリアム・バードナー(堕天したワンコ・f31562)は口へと運んだ。
 ウィリアムの問いかけに悩んでいるのか、アンリ・ボードリエ(幸福な王子・f29255)は青いかき氷を口に運ばずじっと見る。手に伝わる冷たさは、視界すらもひんやりと冷やしてくれているようだった。
「シンプルな材料で作られてるにもかかわらず、普段食べている甘味と同等……それ以上に美味しい気がするね」
「ただ氷削ってシロップかけただけなんすけど」
「暑いからかな?」
 丁寧に答えたのにウィリアムが一刀両断するものだから、アンリは微笑って首を傾げた。
 スプーンストローですくって氷を口へと運べば、あっという間に溶けて甘い味が喉へと流れていく。喉を通る冷たさが心地よくて、次を、また次をと求め、食べる手は止まらない。
「それにしても君は美味しそうに食べるなぁ、ふふふ」
「あ、アンリさんベロに色ついてるっす♪」
「……え、青くなってる? ちょっと恥ずかしいな、あまり見ないで……」
「俺も色ついたかな?」
 口もとを手で隠すアンリへ、べ、とウィリアムが舌を突き出して見せるが、イチゴ味を食べているせいかあまりわからない。けれども少しだけ違うような気がして、ウィリアム君も色がついているよとアンリは笑った。
「そういや、好きな形に花火打ち上げられるらしいっすよ♪」
 スプーンストローをかき氷にさして、さっきもらったコレと想花玉をアンリへ見せる。思いを込めれば好きな形に出来るという花火だ。
「アンリさんはどんな形にするんすかっ!」
「好きな形かぁ……ボクはこういうのを考えるのが得意ではないからなぁ」
 うーん、悩んでしまう。
「夏らしく向日葵にしましょうか。ウィリアム君は?」
「俺は何にしようかなぁ……よし、ここはアンリさんへ日頃の感謝を込めて無難にハートだな!」
「えっ、ウィリアム君の好きな形にしていいんだよ……?」
 犬歯を見せて明るく笑ってみせるウィリアムに、アンリは慌ててしまう。
 もっと違う形はないのだろうか。
 それにそんなに感謝されるような事をした覚えはない。
 けれど。
「いつも優しいアンリさんへの俺からの大好きの気持ちっす♪」
「……ありがとうねウィリアム君、嬉しいよ」
 それじゃあ、ボクの花火は君に捧げよう。
 向日葵とハートを夜空に咲かせた後は、向日葵を買って帰ってもいいかもね。
 なんて、微笑って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミラ・ホワイト
あきらさま(f26138)と

素敵なエスコートに
ふくふく笑顔で手を重ねたなら
ぴょんと飛び乗るふわふわ雲
この雲は食べられるの?
隣り合うあなたを真似てひと口
甘くってぱちぱち…溶けちゃった!

雲に乗るのも、花火を上から見るのも初めてで
高鳴る鼓動は手のひら越しに伝わるかしら

わ、わ。すごい…!
弾ける音と共に咲く光の華
美しくて儚い一瞬の輝き
瞬きする間が惜しいくらい

あなたと出会ってから
こんなにも素敵な世界があるって知ったの
煌きの中に導いてくださったのは
あきらさまなのよ

手にした花火玉に込めるのは
大好きで大切な人達への想い
あきらさまが、笑顔で倖せでいられますように

一夜だけの想いの花、だけれど
ずっとこの胸に咲き誇るの


天音・亮
ミラ(f27844)と

足元気をつけてね
きみの手取ってそっと登っていくのは
ふわふわ星雲わたあめの上
浮かべて食べられて、なんて万能なわたあめなんだろう
ぱくりつまみ食い
ふふ、おいしいね

このくらいの高さでいいかな?
空から眺める花火ってどんな感じなんだろう

ひとつ打ち上がり夜空に華が咲けば
後追うように次々咲き乱れる誰かの想い
ひとつだって同じものがない華々は目移りするほど綺麗でいて

世界に咲く綺麗な想い
何だか嬉しくなってきみと咲い合う

ころり手の平に転がした想花玉
その笑顔が私を幸せにしてくれるの
この空に、世界に
もっと笑顔の花が咲きますように

瞬きの間の煌めきを
心と瞳に刻み込んでゆこう
明日もまたきみと笑顔でいる為に




「足元気をつけてね」
 囁くような声と優しい手は、一段高いところから。
 見上げた視線の先――彼女の、天音・亮(手をのばそう・f26138)の後ろでパッと咲いた花火で逆光になって、何だかいつもより彼女が凛々しく見えた。
 手を引かれるままにふわふわ雲からふわふわ雲へ、ぴょんっ。
 片手は取り合っているから、ミラ・ホワイト(幸福の跫音・f27844)の手にある星雲わたあめから亮が摘みとってはふうと息を吹きかけ、ふわふわの階段を空へ作っていく。空にも海にも浮かべられて、食べることだってできるわたあめは万能だ。
 ぷかりと浮かべばふわふわもちもち。ツンツンつついて弾力を楽しみ、端っこを千切ってみれば「この雲は食べられるの?」とミラが首を傾げた。
 口を開けてと囁いて、千切ったばかりのそれを可愛い口へと放り込む。もうひとつ千切って放り込めば、そのまま食べるよりももちもちとした弾力とともに、パチパチとわたあめが弾けた。
「甘くってぱちぱち……溶けちゃった!」
「ふふ、おいしいね」
 こんなにおいしいとつまみ食いがはかどってしまいそう。
 けれどダメダメ。わたあめの誘惑に負けてしまっては高いところまで上れない。
「このくらいの高さでいいかな?」
 わたあめの誘惑に抗いながら、ぴょんぴょん、ぴょんっ。
 そろりと下を覗き込んだミラは、亮の手に少しだけ力を篭めた。
 足元に咲く、光の華。
 誰かの想いがひとつ、またひとつと打ち上げられて。
 雲よりも下で、花開く。
「わ、わ。すごい……!」
 弾けて、咲いて、消えて。また、弾けて。
 夜空の華の開花は短く、美しくも儚い。
 きゅうとミラが篭めた気持ちは、きっと伝わったことだろう。
 この美しい刻を、瞬きする間も惜しいくらいの愛おしさを、あなたとともに感ぜられる喜びを、胸いっぱいに今感じていることを――。
 ひとりでは知れなかった世界。亮と出会って、亮が教えてくれて、いつだって導いてくれた。幸せな笑みを亮へと向ければ、亮も同じ笑みを浮かべて微笑っている。
(その笑顔が私を幸せにしてくれるの)
 笑顔を咲かせ合うのは、ひとりでは叶わない。誰かが側にいて、嬉しいと想ってくれて、初めて咲かせる笑顔の花。あなたの隣は、あなたの笑顔を見る特等席。
「私たちも咲かせようか」
「ええ、あきらさま」
 夜空の上でふたつの笑みを咲かせたふたりは、頷きあって。
 ころりと手の平に転がした想花玉に、柔らかな気持ちを伝えよう。
 ――この空に、世界に、もっと笑顔の花が咲きますように。
 ――あきらさまが、笑顔で倖せでいられますように。
 開いた手の平の中の想花玉に花丸印がついたなら、ふたりはせーので夜空へ放つ。
 ふたりの想いが夜空へ舞い上がり、大きな音と立てて満開の華を咲かせた。
 一夜だけの幻想の花。
 心と瞳に刻み込めば、きっといつまでも胸の内で咲き誇る。
 覚えていよう、夏の煌めきを。
 覚えていよう、あなたの笑顔を。
 明日もまたきみと笑顔でいる為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノヴァ・フォルモント
【星匝:2】

自分達の思い描いた花火を打ち上げられる
何だか魔法みたいだ
想花玉を受け取って手の中で軽く揺らしながら
空が良く見えるようにと君と海の近くまで

ネムリアはどんな花火を描いてみるつもり?
ふぅん、ひまわりか
とても夏らしいね
君の好きな花なのだろうか

俺は月か星がいいなって考えていたけれど
夜空の海に浮かべるなら、やっぱり星かな

本当は青い星が見たかったけれど
でもどうやら花火で青色を表現するのは難しいらしい
だから今宵、思い浮かべるのは白い星
白く輝く星が見たい

君も準備が出来たなら一緒に打ち上げてみようか
花火に想いを込めて
掛け声軽く、空に解き放とう

宵の空へ打ち上がった想いは
どんな風に花開いてくれるだろうか


ネムリア・ティーズ
【星匝】

想いで咲く花火なんてステキだ
上手に想像できたら、きれいな形をつくれるかな?
想花玉を受け取ったら、はぐれないようキミと海辺へと

ボクはね、ひまわりを描きたいの
きれいな黄色の花が咲くように、想いをぎゅっと込めるんだ

ふふ、月も星もノヴァにぴったりな気がするな
そうだね、水面を照らして散ってゆく姿も
きっと星が降るように、きれいに見えるの

両手でぎゅっと想花玉を包んだら
鮮やかに咲くひまわりを思い浮かべて
黄色はすき 大好きなあの子の色だから
想像しやすいかなと思ったんだ

うん、準備できたよ
ドキドキするね、なんて微笑みながら
声を揃えて想いを空へ

一瞬の輝きは目を閉じてもまなうらに咲き続けて
本当に、魔法みたいだね




 夜が訪った海辺は暗く、想花玉受け渡し所の案内の明かりと海の家の灯りだけがぼうと明るい。
 けれども、闇に沈んだ世界がパッと真昼の空のように明るくなる瞬間がある。またどこかで、誰かが花火を打ち上げたのだ。
「ネムリア、あちらへ行こう」
 チリチリ薄れて消えてしまう花火を背に、振り返ったノヴァ・フォルモント(月蝕・f32296)があちらと指をさす。ツと細い顎先を向けたネムリア・ティーズ(余光・f01004)はノヴァに近寄り、彼が示す海近くまで浜辺を歩いた。
 空に明かりが灯る度、先を行くノヴァの背中がよく見えるから見失わない。けれど空に咲く花に目を奪われていては、はぐれてしまうことだろう。世界は闇と光、異なるものが交互に彩っていた。
「ネムリアはどんな花火を描いてみるつもり?」
「ボクはね、ひまわりを描きたいの」
「ふぅん、ひまわりか。とても夏らしいね」
 ネムリアの好きな花なのだろうか。
 月色を纏う少女は太陽に憧れる――なんて、一曲奏でられそうだ。
「俺は月か星がいいなって考えていたけれど、夜空の海に浮かべるなら、やっぱり星かな」
「ふふ、月も星もノヴァにぴったりな気がするな」
 打ち上げられた星が散りゆくさまは星が降るように、夜空だけでなく海面にだって映ることだろう。彼の言葉から想像をして、ネムリアはそうだねと淡く夜闇に言葉を溶け込ませた。
「ここら辺にしようか」
 足元の砂を、ザザンと波が浚っていく。足を止めたノヴァは、一緒に打ち上げようとネムリアに提案し、手の内の想花玉に思いを籠める。
 ――白く輝く星が見たい。
 本当は青い星が見たいけれど、光というものは黒に近付く程視認が難しい。特に黒い空の中では尚の事。季節が廻った先で見える星とて、青ではなく、青白い星だ。
 だから煌々と輝く白をと、ノヴァは願った。
 ――黄色はすき。大好きなあの子の色だから。
 ネムリアもまた、思花玉を握り込んで思う。両手でぎゅうと閉じ込めて、閉ざしたまなうらに想像するのは夏の青空の下で鮮やかに咲く向日葵と、向日葵の色を纏う大好きな『あの子』。思ったとおり想像しやすくて、唇は淡く笑みを刻んだ。
「準備は出来た?」
「うん、準備できたよ」
 手のひらを開けば、準備OKの花丸印。
「ドキドキするね」
「うん、俺も」
 ふたりの思いを篭めた花火は、夜空にどんな華を咲かせるのだろうか。
「せーの、で行こうか」
「うん。それじゃあ……」

 せーのっ!

 掛け声を合わせて投げた想花玉が、ひゅるると天へと昇っていく。
 高いところまでふたりの思いを乗せて飛んでいき、そうして開いた空の花は――。
「何だか魔法みたいだ」
「本当に、魔法みたいだね」
 想像していたよりもずっと素敵で、ずっと綺麗で。
 上手に想像以上に咲かせられたことに、ふたりの心が体全体に広がっていくよう。
 目を閉ざしても、光が消えても、その輝きは喪われない。
 いつまでも鮮やかに、ふたりのまなうらに咲き続けて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花厳・椿
【幸先】
花火に屋台
美味しそうな香りに楽しそうな気配
気になるものが沢山でついキョロキョロ
うん、それなら環お姉ちゃんおててを繋いでちょうだいな
ふふ、これなら逸れないでしょう?

わたあめ?知ってるわ
お祭りの時だけに食べれるのでしょう?
わぁ、ハクお兄ちゃんが雲に変えたわたあめを見てびっくり

椿も一つくださいな

星雲わたあめを少しちぎって息を吹きかける
ふんわり浮かぶ雲が一つ
楽しくてつついてみたり
増やしてみたり
ふふ、とても楽しい

ハクお兄ちゃんに勧められてちぎって少し食べてみる
口の中で弾ける感触に吃驚
ハクお兄ちゃんも環お姉ちゃんも椿のどうぞ
環お姉ちゃんのもいただきます
分け合いっこって
なんだか幸せな気持ちになるのね


白神・ハク
【幸先】♢

星雲わたあめだァ。面白いわたあめって聞いたよォ。
僕はあのわたあめが気になっているんだァ。
アッチの花火もいいけど食べられて遊べるわたあめだよォ。
妖怪の僕も驚くなァ。

優しく息を吹きかけるよォ。
わたあめが雲になったねェ。あまァい匂いもするよォ。
試しに食べてみようかなァ。
んふふ。甘くておいしい雲だァ。わたあめは僕のだァい好きな白い色だよ。
だからこんなにおいしいんだねェ。

お姉さんも椿ちゃんも楽しんでる?
僕のわたあめも食べてみてよォ。甘くておいしいんだよ。
二人とも楽しそうだねェ。甘い物はおいしいもんね。
んふふ。僕にもくれるの?うれしいなァ。
あとで花火もする?楽しいことが沢山あるねェ。


雨絡・環
【幸先】

なんと賑やか
椿さん、逸れない様にお気をつけて
勿論宜しゅう御座いますよ
手を差し伸べて
さ、これで一安心

わたあめは兎も角
星雲わたあめ、は存じませんで
どんなお味かしら?楽しみです

まあまあ
宙に浮かぶと本当に雲のよう
お二人と同じ白ですねえ

わたくしもひとつ求めて、ふうと一息
あら面白い
触れてみると不思議な弾力
本物の雲も斯様な感触かしら?なんて
嘗ては夢想した事も御座いましたね

ええ、とても楽しゅう御座います
宜しいの?ではお言葉に甘えて
お二人から一口ずつ頂きましょう
甘くて弾けて、美味しいこと
頬が落ちてしまいそう
ハクさんも椿さんも、お返しにわたくしのを如何?

花火、良いですね
夏の楽しみをうんと満喫致しましょう




 暗い夜空を彩る大輪の花に、海の家。
 海の家から香るのは、焦げたソースの香りだろうか。それとも醤油の香りだろうか。どの香りであれど食欲を誘う。
 すれ違う人々の手には、かき氷に焼きとうもろこし、もこもこふわふわのわたあめ。カランとビー玉の鳴るラムネも涼しげで、花厳・椿(夢見鳥・f29557)の瞳はあれやこれやと奪われてしまう。
「椿さん、逸れない様にお気をつけて」
「うん、それなら環お姉ちゃんおててを繋いでちょうだいな」
「勿論宜しゅう御座いますよ」
 妖怪も猟兵も集う人々は多いから、逸れてしまわぬようにと差し出された雨絡・環(からからからり・f28317)の繊手に手を乗せて、ぎゅうと握りしめればもう大丈夫。椿が何かに気を取られても、きっと環が手を引いてくれる。
「あ、あれ」
 通り過ぎた妖怪が手にしたもこもこふわふわに気を取られるのは、椿だけではない。白神・ハク(縁起物・f31073)が「星雲わたあめだァ」と明るい声をあげた。
「面白いわたあめって聞いたよォ。僕はあのわたあめが気になっているんだァ」
「わたあめ? 知ってるわ。お祭りの時だけに食べれるのでしょう?」
「アッチの花火もいいけど食べられて遊べるわたあめだよォ。妖怪の僕も驚くなァ」
「ふわふわの甘いお菓子でしょう? お菓子なのに遊べるの?」
 首を傾げた椿の視線がふたりの様子をおっとりと見守っている環へと向けられる。ねえ、環お姉ちゃんは知っている?
「星雲わたあめ、はわたくしも存じません。どんなお味かしら?」
「気になるよねェ。もらいにいこ」
 そうして三人は想花玉が配られている――いわゆる今日の花火大会本部的な場所へと足を向けた。
 花火はまた後からするとして、とりあえず今は星雲わたあめが気になる。すみませーんと声を掛ければ、快く妖怪たちが用意してくれる。
「ひとつでいいのかい?」
「とりあえずは」
 三人分用意するよと気の良いおじさんっぽい妖怪がわたあめマシーンをゴウンゴウンと動かして、星型の砂糖をサラサラと入れた。すぐに砂糖はもくもくと甘い糸となり、割り箸をくるくる回せば甘い甘い星雲わたあめの完成だ。
「それじゃァ見ててねェ」
 ここで作られたら困るからと、妖怪から少し離れたところで試しておくれなと言われたので少し離れ、さっそくハクはわたあめを千切る。千切ってふぅと優しく息を吹きかければ、もくもくほわん。ハクの手から離れたわたあめが膨らんで、ぷかぷかと宙に浮かんだ。
「わぁ」
「まあまあ」
「あまァい匂いもするよォ」
 顔を近づければ甘い香りもそのままで、指でツンツンとつつけばもちもちとした弾力がある。指で摘んで千切る感触も、さっきまでとは全然違う。息を吹きかけただけなのに、不思議だ。
「んふふ。甘くておいしい雲だァ」
「椿ももらってくるの」
「わたくしも頂いてきますね」
 途端に興味を引かれたのか、椿と環のふたりも星雲わたあめを貰って戻ってくる。
 早速ふたりも息を吹きかけて、ぷかり。
「あら面白い」
「ふふ、とても楽しい」
 小さな雲を増やしてみたり、つついてみたり。
 本物の雲もこんな感じなのかしら、なんて話し合ってみたり。
「嘗ては夢想した事も御座いましたね」
「あら、椿お姉ちゃんでも考えるのね」
「お姉さんも椿ちゃんも楽しんでる?」
「ええ、とても楽しゅう御座います」
 童心に帰った気分だと口もとに手を添えて微笑んだ。
「僕のわたあめも食べてみてよォ。甘くておいしいんだよ」
 味は同じだけれど、そういう気分。わたあめはハクの好きな白だし、だからこんなに美味しいのかもってふたりに勧めたくなっちゃうんだ。
 わたあめを千切ってパクリと食めば、口の中で星がパチパチ弾けるよう。
 甘さといっしょにあっという間に溶けてしまうふわふわ星雲わたあめと、もちもちとした食感のあるわたあめ雲。先に口にして違いを知っているハクは、こっちも食べてと食べ比べをふたりに勧めた。
「ハクお兄ちゃんも環お姉ちゃんも椿のどうぞ」
「ハクさんも椿さんも、お返しにわたくしのを如何?」
「んふふ。僕にもくれるの? うれしいなァ」
 同じわたあめだから同じ味だけれど、分け合うのはとても楽しくて。
 幸せな気持ちに満たされながら一口、また一口とわたあめを口にしてしまう三人の背後で、光が満ちる。
 あ、と口を開けて見上げた花火はとても綺麗で、わたあめの階段を作ってもっと近くで見ようと口にしたハクの提案にふたりは花火に負けないくらい明るく賛成! と唱えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロキ・バロックヒート
【猫ひげ:2人】


よーし朱希ちゃん花火は持った?
ね、どんな花火になるか楽しみだなぁ
皆の花火を見るのも面白そうだし
わたあめが足場になるなんてわくわくしちゃう
良いね、高いところから見ればもっと綺麗だよ

朱希ちゃんはなんだか蝶っぽいなぁ
蝶の花火見てみたいけど難しいのかなって見守る
口にする願いにも笑みをのせて
ああ、やっぱり朱希ちゃんはきれいな子だね

俺様は星に
願い事は内緒かな
気になる?それじゃ耳を貸して頂戴
『みんな哀しまずしあわせになりますように』
―でないと、なんて
その先は想花玉にも内緒

ぎゅっと握った願いが煌くうちに
ふたりでわたあめを駆けていこうか
打ち上げればふたりの想いが弾けてゆく
わぁ、とっても綺麗だね


檪・朱希
【猫ひげ:2人】
♢
ロキと一緒に。
想花玉……想いを込めると、それが形になる花火。
楽しみだね。
あ、確か、星雲わたあめは足場に出来るんだよね?
出来るだけ高く昇って、そこから花火を打ち上げてみるのはどうかな?

蝶の形は、難しい……かな? 蝶は好きだから、ちゃんと思い描けるといいのだけど……。
(難しいなら、一緒の星の形で)
私が篭める想いは、『煌めく蝶が、皆に笑顔を齎しますように』。
ロキは、何を篭めるか、決めた?
内緒? ちょっと気になるかも。
少し、ロキに耳を近付けて。聞こえた言葉に、素敵な想いだねと、小さく微笑むよ。

星雲わたあめを階段に、どんどん昇ってからそっと、想花玉を打ち上げる。
素敵な花火になったね。




「よーし朱希ちゃん花火は持った?」
 今しがたもらったばかりの花火――想花玉を手にロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)が振り返る。しっかりとよっつの指で押さえて大きめのスーパーボールのような想花玉を掲げて見せる檪・朱希(旋律の歌い手・f23468)に、ロキはうんうんと満足気に頷いた。
 この丸い玉は、こうしたいと想像した形の花火となる。ふたりが話している間にも誰かが花火を打ち上げて、空は誰かの想いで溢れていた。
「楽しみだね」
「ね、どんな花火になるか楽しみだなぁ」
 くふくふと笑ったなら、次に考えるのは打ち上げ場所だ。
 人がいない場所の方がよく見えるかな?
 海の上なんてどうかな?
 ふたりは話しながら波打ち際まで歩を進め、
「あ、確か、星雲わたあめは足場に出来るんだよね?」
 ふと朱希が閃いた。
 星雲わたあめは、空にも海にも浮かべられる上に食べられる、ロキの心をわくわく弾ませる素敵アイテムだ。
「出来るだけ高く昇って、そこから花火を打ち上げてみるのはどうかな?」
「良いね、高いところから見ればもっと綺麗だよ」
 そうと決まればわたあめで階段作りだ。
 星雲わたあめを千切って、ふうと一息。
 ぽよんぷかんと雲が浮かべば、乗り心地を確かめて。
「ロキはどんな形にするの?」
「俺様は星に」
「星、いいね」
「朱希ちゃんは……なんだか蝶っぽいなぁ」
 けれど蝶は難しいのかも?
 ロキが首を傾げれば、同じ方向へ朱希が首を傾げる。難しいのかな? でも、やるだけやってみても良い気がする。蝶は、朱希の好きなものだから。
「煌めく蝶が、皆に笑顔を齎しますように」
「ああ、やっぱり朱希ちゃんはきれいな子だね」
「ロキは、何を篭めるか、決めた?」
 想花玉に必要なのはどんな形にするかという思いだけだが、どうやらふたりは願いを託すことにしたようだ。ぎゅっと握りしめた想花玉に花丸マークが付いたことにホッと息を吐いた朱希はロキを見る。
「俺様は内緒」
「内緒? ちょっと気になるかも」
「気になる? それじゃ耳を貸して頂戴」
 そっと顔を寄せ合って、内緒話。きっと誰にも聞かれやしないだろうけれど、大きな声で言うと大事な感じじゃなくなるような気がして。
「みんな哀しまずしあわせになりますように」
「素敵な想いだね」
 でないと――なんて、本当は言葉が続くのだけれど、その先は朱希にも想花玉にだって内緒だ。きれいなものはきれいなままがいい。空に咲く花も、君の心も。
「うん、準備できた」
「行こう、ロキ」
 花丸印のついた想花玉を握りしめて、ふたりはわたあめ階段を駆け上っていく。
 みんなの花火の上まで昇って、足元に一瞬だけの花が咲くのを楽しんで、ふたりで顔を見合わせたら――掛け声なんていらない。それが合図。
 ふたりの手を離れたふたつの花火は、蝶と星を空に描いた。
「素敵な花火になったね」
「ふふっ、朱希ちゃんの蝶、丸っこい」
「ロキの星だって」
 一瞬の煌めきを心と瞳に焼き付けてから、ふたりは顔を見合わせて笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

冴島・類
黒羽(f10471)と

翼がない身では
下から見上げるものだと染み付いてたが
幽世なら、わたあめ雲から眺められるとは

黒羽、花火打ち上げたら
特等席に昇って行こうか
ふーっと綿飴を飛ばして、足場と階段を作って
これ、美味しいみたいだから
後で見ながら食べよう

花火は作るとなると、難しいな
掌に想花玉を握りしめて
見たい形を思い浮かべたら良いんだよね
隣の君の耳が視界に入り
ふむ…猫の形にしてみようかな
ぎゅーっとして花丸が出たら準備完了
黒羽も出来たかい

投げるの一緒に出来るかな?
君が作ったの、どんな柄が咲くか楽しみだ

空に描かれた綺麗な冠菊と可愛い猫に歓声をあげて
君の声に、ほんとだと笑みが溢れる
一緒に咲けたら…嬉しいものだな


華折・黒羽
類さん/f13398

綿飴の雲…
幽世にはこんな不思議なものもあるんですね
類さんを真似てふうと息吹きかけ作る足場
!これ食べれるんですか…楽しみです
そわり浮き立つ足を踏み外さぬように

掌に転がる想花玉
暫しどうしようかと悩んだ後
よし、ともう片方を添えて瞼を閉じ
想い描く形がしっかりと空に咲くように

はい、出来ました
花丸浮かべたそれを
類さんの掛け声と一緒に高々投げ上げる

思い描いたのは空に咲かせる冠菊
尾を引き宵に垂れ下がる様はまるで傘の様
あなたの色を写した優しい灯が降り注ぐ、そんな花火

互いの花火が空に咲いたなら
猫の雨宿りの様だと
頬を綻ばせながら言うのだろう

あなたの優しさの傘に守られ
猫は今日も歩いてゆけるから




「黒羽、花火打ち上げたら、特等席に昇って行こうか」
「いいですね、見下ろす花見も美しいでしょうね」
 上空から見る花火は、一体どんなものなのだろう。
 翼が無い身では下から見上げるばかりで、翼が有る身だとしてもそんな危険は犯せない。けれど妖怪花火は乗っかれるくらいに安全だからこそ、今日はそんな夢みたいなことが叶うのだ。
 むしった星雲わたあめにふうと息を吹きかけた冴島・類(公孫樹・f13398)は、ぷかりと浮かんだわたあめ雲に満足して、傍らを見る。類の隣では類の真似をした華折・黒羽(掬折・f10471)がふうと息を吹きかけているところだった。
「わ、本当に膨らみました」
「面白いよね。これ、美味しいみたいだから、後で見ながら食べよう」
 類の言葉に、黒羽の耳がピンと立つ。
「これ食べれるんですか……楽しみです」
「そのまま食べたらふわふわ、浮かばせたりしたのはもちもちするみたいだよ」
「ふわふわ……もちもち……」
 ぷかりと浮かばせたわたあめ雲を突けば、もちもちと弾力があった。どちらも捨てがたいですねとキリリと黒羽が顔を向けてきたから、類は思わず吹き出すことになった。素直な君は、見ていて飽きない。
「雲の階段はこんなものでいいかな?」
 空へと行く準備が出来たなら、花火を作ろうかと類が笑う。
 黒羽の肉球の上に、ころりと転がる想花玉。互いにどうしようかと己が手を見つめてしまう。
「ふむ……」
 見たい形。改めて考えると、なかなか思い浮かばない。夏の花だっていいし、類の小さな友だちが大好きな木の実だっていい。瓜江の仮面も捨てがたい。
 どうしたものかと動かした視線の先に、時折ぴこりと動く三角。
(――決めた)
 ぎゅっと握り込んだ想花玉に花丸印がついたなら、隣の君へと改めて視線を向けて。
「黒羽も出来たかい」
「はい、出来ました」
 両手でぎゅっとしっかり握って、目を閉じてしっかりと念じていたから、黒羽もしっかりと思い描けているだろうと確信しての問いは、やはり確りとした頷きが返ってきた。
「それじゃあ、投げようか」
「はい、行きましょう」
 せーのの声がけで、一緒に高々と想花玉を放り投げる。
 ふたりの手から離れた想花玉はひゅるると飛んで、暑さを吹き飛ばすような音とともに暗い夜空に花開いた。
 空に描かれる、尾を引き宵に垂れ下がる冠菊と、その下に笑顔を見せる猫。類の色を写した優しい灯りに「あれ?」と傍らから声が漏れるのを、黒羽の耳は聞き逃さなかった。
「猫の雨宿りの様ですね」
「ほんとだ」
 一緒に何かをするのは、いつだって嬉しくて楽しい。
 それにこれは、きっと、隣り合う互いを思って咲かせた花火。
 傍らの類が自分を思ってくれたことが分かるのが嬉しくて、黒羽は静かに頬を綻ばせる。
 空の猫も地上の猫も、あなたの優しさの傘に守られ、今日も明日も歩いてゆける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神歌


想花玉
心の中の花を空へ描き咲かせる
面白そうだ
はしゃぐ人魚は今日も可愛らしく和む
勿論、私とそなたなのだから桜だろうね
賛成だ
届けるくらいの花を咲かせようか

じっと祈るように石を握るリルを見る
希望を歌う人魚
優しく暖かな愛のうたがかの桜の心をとかしたのだろう

できたかい?リル
じゃあ折角だから空からにしよう
あ、陛下
陛下、海の家魔王城も素敵だね
彼はリル、私の同志なんだ
これから空から花火をみるのだが一緒にどうだい?

わたあめを少しだけつまみ食いしつつ空へ
では行くよ
上手く咲くといいと願いながら投げる
弾けて咲いたのは満開の桜
リルはヨルだね
可愛いな

夏の日の花見とは豪華だ
歌ってもいいんだよ?
リルの歌は希望をくれる


リル・ルリ
🐟神歌


カムイ!
想花玉だって!僕らの想いを花火にして咲かせるよ
どんな花火が咲くのかわかる気がするんだけどね
君と僕は同じ桜を想っているから
櫻にも届くくらいの花火をあげよう

ぎゅっと石を握るカムイの横顔をみる
君は彼を大切に何より愛してくれている
…そんな一生懸命で真っ直ぐな君だから、僕は
ぎゅうと石を握ってから笑う
折角だから空から見よう

わぁ、白い可愛い子
カムイの魔王様なの?こんにちは!
僕はカムイの同志なんだ
こっちはヨル
よろしくね!
雲を登る前にカムイが陛下と呼んだ君に挨拶をする

じゃあ行くよー!
せーの
ぱーんと弾け咲いた桜僕はヨルの形!
カムイは桜だ

夏空のお花見だね
雲の上
皆で花火を楽しむ
歌いたいくらい楽しいな




「カムイ! 想花玉だって! 僕らの想いを花火にして咲かせるよ」
 ぴるると尾鰭を揺らした人魚が誘えば、同志たる神は諾と唱えた。
 花火玉に思いを込めて、空に打ち上げる想花玉。自分だけの花火を空に咲かせられるだなんて楽しみだとご機嫌に尾鰭をぴるぴるさせるリル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)は今日も元気で、愛らしいと朱赫七・カムイ(厄する約倖・f30062)は目と心を和ませた。
「どんな花火が咲くのかわかる気がするんだけどね」
「勿論、私とそなたなのだから桜だろうね」
 ふたりが思う相手の花だから、きっとそうなる。確信めいた想いにふふふと笑みを零し、この場に居ない彼にも届くくらいの花を咲かせたいねとふたり想花玉を握った。打ち上がる花火の大きさは皆一緒だけれど、気分の問題だ。
 ぎゅっと花火玉を握って想いを込めているカムイの横顔を、チラリ。気付かれないようにリルは見る。とても真剣そうな顔だ。
(君は彼を大切に何より愛してくれている。……そんな一生懸命で真っ直ぐな君だから、僕は)
 そっと瞳を閉じて想いを込めだしたリルの顔を、今度はカムイがチラリと盗み見る。祈るようなその顔が、誰のことを思っているのか知っている。
(希望を歌う人魚。優しく暖かな愛のうたがかの桜の心をとかしたのだろう)
 静かに見守っていれば、パチリと目を開けたリルが手元を確かめ、パッと笑顔を咲かせた。
「できたかい? リル」
「うん、ほら!」
 花丸印が刻まれた花火玉――想花玉の完成だ。
 折角だから空から見よう。リルの提案に頷いたカムイが星雲わたあめを摘んだ。
「あ、陛下」
「もしかして、カムイの言っていた魔王様なの?」
「そうだよリル。私の勤めている魔王城の主だよ」
 いくつかわたあめ雲を浮かばせて階段を作った頃、白くてもふもふした存在にカムイが気がついた。折角だから挨拶に行こうと、雲の階段を作り上げてからふたりは――玉座(ビーチチェア)で寛ぐエステレラへと近寄った。
「陛下、海の家魔王城も素敵だね」
「ごきげんよう、カムイ。ええ、そうでしょうとも」
 カムイに気付いたエステレラが微笑んで。けれど彼に同行者がいると分かると、そちらは? と問いたげに視線を向けてくる。
「彼はリル、私の同志なんだ」
「僕はカムイの同志なんだ。こっちはヨル」
「リルにヨルですね。わたくしはエステレラ。まおうのなかのまおうですよ」
 威厳あるポーズを見たヨルがフリッパーを上げて真似をした。
「これから空から花火をみるのだが一緒にどうだい?」
「あなたからのさそいです。よろこんでごいっしょしましょう」
 わたあめ雲の階段を、わたあめをつまみ食いしながら昇って、空へ。
 段差を跳べないヨルを抱えたエステレラも、パタパタ飛んでふたりの後に続いた。
「では行くよ」
「じゃあ行くよー!」
 せーのの掛け声で放たれた想花玉は、空の高い位置で花開く。
 ぽんと咲いた桜の花に、ペンギンの顔。
「おや、リルは桜にしなかったのだね」
「うん、ヨルは彼がくれたともだちだから」
「どちらもかわいいです」
 花火が夜空に咲くのは、ほんのわずかな間だけ。
 ふたりが咲かせた華もあっという間にチリチリと消えてしまう。
 けれど。
「みてください。したに、たくさんのはなびが」
「わあ、本当だ」
 皆で雲の上から見る花火が楽しくて、歌いたくなってしまいそう。
「歌ってもいいんだよ?」
 そわっと揺れた尾鰭に気付いたカムイの笑みに、リルは笑みを返す。
 花火の音を拍子に口開き、三人は雲上の花見を楽しんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月06日


挿絵イラスト