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闇深淵より来たる

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #猟書家 #デストロイ・プライム #アームドヒーロー

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#アームドヒーロー


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●破滅の兆しは静けさと共に
 宙。際限なく広がる真黒の闇より、眼下に青き地球を見る。
 ヒーローズアース大気圏外、ラグランジュポイント。
 月と地球を結ぶ引力の狭間にも、テクノロジーによって築かれた人類の居所があった。

 衝突した宇宙船群の上に人々の暮らす、都市とも呼べぬ集落。
 かつて奴隷だった者たちが、侵略者の技術を活用して暮らしていた。

 時折飛来する技術の破片、デブリを除いては静かなものだ。
 音もない筈の空間。しかし其処に、静けさを破るものが現れる。

 はじめは微細な欠片に過ぎなかったコロニーは、
 周囲のデブリを飲み込み次第に竜の形を得る。
 否――あれは群(コロニー)ではない。塊(プライム)だ。
 塊はそれそのものを核として数多の叡智、技術の結晶をかき集める。

 破滅の予兆に誰もが気付けぬ。この闇が広大であるが故に。
 地上に降りて潰すなどと、機竜は迂遠な事はしない。
 プログラムとして入力されたのは、至極単純な指令のみだ。
 即ち、あの青の大地に焔を卸せ――と。

 与えられた符号はクレッシェンド。
 音鳴らぬ真空で人知れずクライマックスを待つ。
 宇宙の虚空に浮かぶ、骸に顔を覆われゆく月だけが、破滅の序曲を静かに眺めていた。

●暗黒の闇に、希望を見出だせ
 その日グリモアベースを訪れたシュワルベは、
 情報を求め行き交う猟兵に向け、いつもに増して賑やかにまくし立てた。
「たいへんたいへん、大変なのですよーっ! とにかくたいが、へんなのですっ!」
 語彙の幼稚さもあって子ツバメの意図は伝わらず、
 普段通りかと通り過ぎる者も出る始末。
 だが、ツバメの視た景色は尋常ではない。
 見過ごされてはならぬと精一杯に赤き喉を震わせる。
「ヒーローさんの街がまとめてごっつん消し飛んじゃうですよっ!!」
 思いつく限りの強調。事の重大さを感じ取った者が、遂に足を止めた。

 やっと聞き届けて貰えた事を確かめ、シュワルベは本題を切り出した。
「空の上に浮かぶ、らうわんどぽいんと? とかいう場所があるですねっ? あそこにおっきな機械のドラゴンが現れたですっ」
 不正確な名はさておき、その表現に幾名かの猟兵が名を見出だす。
 デストロイプライム。それが敵の名だ。
 はじめ小さな塊から群を成し、やがて巨体を形成する科学者の遺した負の遺産。
 機械と融合し膨れ上がる機竜は、放置すれば超兵器を取り込み際限なく強さを増す。
「皆さんには向かって早速、倒してほしいとこなのです、がっ……」
 しばし考えたシュワルベは、視えた光景を元に天球儀のある一点を翼で指す。
「ここですかねっ?」
 何もない。
「やっぱここかもですっ」
 指した先にはやはり何もない――左様。
 宇宙空間は何も目印がない故に、猟兵の予知といえど正確な居所を割り出せぬのだ。

 すっかり頭を抱えてしまったグリモア猟兵に、見かねた経験者が助け舟を出す。
「……なになに、以前戦ったとき? アームドヒーローの皆さんが助けて……それ、それですっ!」
 何事にも卓越したプロはいる。かの地に住まう、ヒーローたち。
 驚くべき超兵器に身を包み、宇宙すらも活動の場とする彼らならば、
 予知の光景が何処かも突き止められよう。
「ヒーローさんは皆さんほど強くないかもですけどっ、戦う力と場所を突き止める賢さを持ってるはずなのですっ。宇宙船で協力を仰いで向かうですよっ」
 道中立ちはだかる敵も、彼らと共にならば倒せよう。
 討ち漏らせばそれだけ機竜に融合の隙を与えてしまうため、
 抜かりなく掃討する必要がありそうだ。

 猟兵達の力を借り、策は決まった。
 シュワルベは改めて皆の顔を見回し、翼をばさりと拡げてみせる。
「うまくいったら、きっと綺麗な景色も見れるかもですねっ?」
 大宇宙から望む、青き地球。戦いの最中に楽しむ余裕はなかろうが、
 無事討ち終えた後の僅かな間ぐらいは魅入る事も許されよう。
「いってらっしゃいですっ! お気を付けて、ヒーローさんによろしくですよっ!」
 元気なツバメの声を聞き、キミ達の体はグリモアの転送光に包まれていった。


晴海悠
 お世話になっております、晴海悠です。
 ヒーローズアース猟書家戦、どんどん押して行きましょう!

 サポート様の力もお借りしてサクサク進める予定ですが、当シナリオ宛てにプレイングを頂けた場合は喜んで筆を執らせて頂きます!
 シチュエーションを楽しむ『ライト版』感覚で、お気軽にどうぞ!

『プレイングの受付』
 各章の冒頭に短い文章を挟み、受付開始の合図とします。
 また、シナリオ上部のタグやマスターページに受付期間のご案内を記載する事があります。よろしければご参照下さい。

『1章 集団戦』
 神譜奏者『シンフォニック・リリッカーズ』。
 少女の形を得た神々の譜面は、機械化の力を得て更に強力になっています。
 宇宙空間に音を響かせる超技術でこちらを翻弄し、討ち漏らせばデストロイプライムの元へ向かって融合します。
 敵を逃さず戦うには、地形や超兵器に詳しいアームドヒーローが良き助っ人となるでしょう。

『2章 ボス戦』
 デストロイ・プライム。
 かつてヴィラン科学者によって創造された、知性を持つ悪の集合体ロボットです。
 1章の敵を余さず倒していれば強化を阻めますが、合流・融合を許せば超兵器により極めて強大な力を得ます。対処にはアームドヒーローの力が必要でしょう。

『プレイングボーナス』
 全章を通し、下記のいずれかの行動をとる事で成功率が上がります。
「アームドヒーローのヒーローチームと共闘する」
「猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗る」

 ヒーローは猟兵が呼びかければ快く手伝ってくれますが、こうしてほしい! と具体的な指示がある方が安心して動けるようです。
 また、後者は敵が『スナーク』の名の元に恐怖を集める企みを阻害し、人々に恐怖が伝播するのを防ぐ行動となります。

 それではリプレイでお会いしましょう! いざ、宇宙へ!
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第1章 集団戦 『神譜奏者『シンフォニック・リリッカーズ』』

POW   :    追奏するカノン
【追唱する仲間】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    不協和音のディゾナンス
【相手の出だしを挫く先制攻撃】【立て直しを妨げる追撃】【カウンターを許さない追い討ち】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    熱唱するサビ
予め【イントロから歌い続ける】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ラグランジュポイント、宇宙船群に築かれた居住区。
 集積された超技術は、地上と変わらぬ身軽な船外活動を可能にしてくれた。
 宇宙服を身に纏うキミ達の往く先、
 音の響かぬはずの宇宙空間に楽曲がこだまする。

 神々の遺した意志持つ譜面は、元は正義のために執行される筈だった。
 骸の海に沈みオブリビオンと化した神の譜面。
 少女の澄んだ歌声が宇宙の暗闇を突き抜け、聴く者の脳髄を揺さぶる。

 ホログラムの体持つ少女たちは、謎の半導体を手にしたまま歌い続ける。
 放置すれば機竜の元へ集い、融合強化を遂げるだろう。
 だが、今のキミ達には心強い味方がいる。

 未知の技術の扱いに卓越し、宇宙船群を知り尽くしたアームドヒーロー達。
 彼らの知恵を借りて敵を追い詰め、殲滅せよ。
納花・ピンチン(サポート)
ブギーモンスターの勇者×殺人鬼
布を被ってから7年が経ちましたわ
普段はお嬢様口調で、時々関西弁がちょこっと
……って、勉強中なんですわ!

あくまでお仕置きをしに来ているから
あまり殺伐とした戦い方はしませんわ
武器も直前で刃を返して叩いたり
その光景はギャグになることが多いですわ

商人街出身、お話しや交渉なんかも好きです
小さなスイーツや飴ちゃんを渡して一緒に食べると
色々話してくれるんですわ

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し
多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功の為でも
公序良俗に反する行動はしません

あとはおまかせ
ほないっちょ、よろしくおねがいします



 宇宙空間に居並ぶ少女たち。美しくも精神を揺さぶる歌声を聴き、ブギーモンスターの少女は困ったように目の輪郭を歪ませた。
「あらあら、困ったちゃんがたくさんいますのね」
 自慢の花柄シーツ、もとい知恵の布ごしに勇者の剣(※ハサミの片刃)を握り、納花・ピンチン(ブギーモンスターの勇者・f31878)はころころと可愛らしい声を響かせる。
 目の前の空間を揺蕩う神譜奏者たちは歌声以外に語る言葉を持たない。だが、骸の海に沈んだ彼女達が世界に好意的な態度をとるはずもなく、振りまく歌声は既に周囲を侵食し始めていた。
「いたずらもやりすぎはよくありませんわ。アタシも昔は……って人の話を聞いてませんのね!」
 奏者たちが仲間を呼ぶのに気付き、こうしてはいられないと武器を構え直す。
 少女たちの歌声は輪唱のように響き、互いを追いかけ合うカノンとなった。音符を纏ってこちらへ向かってくる一団を、ピンチンは勇ましく迎え撃つ。
「お仕置きの時間ですわ! ほな、行きますわ~!」
 ハサミの刃を振り回したピンチン、勢いよく駆け光の斬撃を見舞う。なお分かりづらいが、声のイントネーションがさっきまでと微妙に変わっている。
 シー……知恵の布の裾を翻し、ばっさばっさと切り進むピンチン。切り裂かれた少女の体に点線模様の切り傷が生まれ、光の中にかき消えていく。
「まだまだ、行きまっせ! ピンチン・ブレード!」
 勇者の剣での斬撃――と思わせてか~ら~の~パチキ! 剣をよけようと身を捻った少女に強烈頭突きが決まり、意思持たぬはずの敵はどことなく涙目な表情を浮かべて意識を手放す。
 さすがに一体も逃さずとはいかないものの、善戦するピンチン。程なくして一帯は静まり返り、元の静寂な暗闇へと戻っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

琶咲・真琴(サポート)
灼滅者の両親を持つ7歳の男の娘
母親に憧れて女装している
膝上15cmのスカートは正義


普段の一人称はボク
二人称はあなた、呼び捨て
口調は敬語が基本

大切な人とや本音で話す時は素に戻り
一人称がオレになったり男口調になる

familia pupa(2体の男女の片翼人形)をお祖父ちゃん、お祖母ちゃんと呼び
いつも連れ歩いている(目立つ場合は肩掛け鞄の中にいる

戦闘
指定したUCを状況に合わせて使う





例え依頼の成功の為でも、迷惑行為はせず、公序良俗に反する行動はしない

アドリブ・連携大歓迎



 依頼でこの地を訪れるのも暫くぶりだろうか。支援要請に応じて駆けつけた琶咲・真琴(1つの真実に惑う継承者・f08611)は、以前と変わらぬラグランジュポイントの様子に少しばかりの安堵と落胆の混じる、複雑な気持ちを抱いていた。
「相変わらず星空は綺麗です……でも、この場所もまだ敵の手を逃れてないんですね」
 ヒーローズアースが戦乱に包まれた折には真琴もいくつか戦場を駆けていたが、あれから二年弱が経つ今でもオブリビオンの魔の手がなくなったわけではない。
 ましてや此度は猟書家の絡む案件、早急に倒さなくてはと真琴は決意をあらたにする。
 真琴の到来を嗅ぎつけた神譜の少女たちが、無数の輪唱からなるイントロの歌声を紡ぎ始めた。歌声と共に漏れ出る光は少女たちを包み、戦う力を強めていく。
「行こう。お祖父ちゃん、お祖母ちゃん」
 身内にのみ聞かせる、気取らぬ声。常に離れず持ち歩く人形の中から、真琴は敬愛する二人の魂を呼び覚ます。
 片翼を生やし、若かりし頃の姿を留めた人形は真琴を守るように立ち並ぶ。
 次第に楽曲が盛り上がりを見せ、少女たちの熱唱はサビへと突入する。間もなく最高潮へ達しようとする歌、そこへ休符を差し挟み寸断するように祖父母の連撃が介入した。
「させませんっ」
 さながら互いを追う、太陽と月。息もぴったりの二対の人形は少女たちを次々と散らせ、神譜の威力を弱めていく。
 鮮やかな体術の身のこなし。いかに少女たちが歌声で力を強めても、百戦錬磨の二人には遠く及ばない。
「ありがとう、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん」
 自身を護り、戦ってくれた祖父母へと礼を告げ、真琴は残る敵へと向き直る。紫の瞳の見据える対岸には、守るべき地球が青く輝いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

片桐・公明(サポート)
快活な女性ですが知的な一面もあり、依頼に参加する際事件の背景について思考を巡らせ考察します。感情的な行動は滅多にしません。

主に二挺拳銃『Mathem842』『臥龍炎』を使用した遠近問わない戦闘を行います。時折、または接近戦を重視する場合は妖刀『血吸』を使用します。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、積極的に行動します。ただし敵の攻撃に対しては回避を主体にして、なるべく負傷しないように立ち回ります。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 居住区の外郭、出て間もない地点。早速現れた敵の姿に、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)はううん、と短く唸り声をあげた。
「神々の遺した譜、か。でも何でまたこんな所に?」
 戦いの場ではあるが、虚空に不似合いな少女の姿につい考察好きの血が騒ぐ。
 元々宙域を漂っていたか、呼び寄せられたのかは不明だが、首魁たるデストロイプライムとの間に共通点を見出だすとすれば自然とある一点に意識が集まる。
「造られたもの……か」
 造物主が神かヴィランかでは大きく異なるが、もしかすれば人工物という点で何らかの縁が結ばれたのかもしれない。
 公明が考える間にも少女たちは無遠慮に距離を詰め、仲間と共に重奏を耳元へ届かせる。だが公明とて黙って見ている筈もない、むしろ考えながら手を動かすのはお手の物だ。父母に由来する二丁の拳銃のグリップを握り、狙いを定めて引き金を引く。
 撃鉄が打ち鳴らされ、遮る物のない宇宙空間に勢いよく弾き出る銃弾。敵の腹部を捉えたが、痛覚がないのか少女たちは怖気づく素振りもない。
「成程、さすがは神の譜。目的遂行に必要のないものは削ぎ落しているのかな」
 続け様に弾を放つが、敵の速度は変わらない。手を伸べ、公明を絞め落とそうと襲い掛かる。
 神譜の少女たちの手が届く寸前、彼女達の手が止まった。空間に釘付けされたように縫い止められ、身動きが取れずにもがきだす。
「……まさか銃弾にこんな使い方を見出だす日が来るなんてね」
 敵の四肢を操る、サイキックエナジー。公明の緻密な操作は撃ち込まれた弾を支点とし、宇宙空間においても超念力の発動を可能にした。
 力を束ね、ぶつけ合う。ただそれだけの動きで少女たちは衝突し、光の粒子となって消えていく。
「思いつきでもやってみるものね……でもまだまだ改善の余地はアリかしら」
 咄嗟に編み出した新たな戦術に笑みすら零し、公明は向かってくる敵に再び狙いを定めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

夜鳥・藍
宇宙空間での活動はどうしたらいいのかしら?
とは思ってたけど、普通のサイズのままなら大丈夫そうね。

UC星乙女で巨大化して敵の注目を集めかつ倒してしまいましょう。
アームドヒーローの方々には可能な限り敵を一か所、地形によってはもう一か所に集めていただければと思います。
私が大きくなる事で、こちらからの射線が通る場所がわかりやすいと思いますし、私としても単純に耐久力が上がりますから。
ある程度集まったら、合図をいただければ真珠星の光線で攻撃を。撃ち漏らしは発生すると思いますが、他の猟兵さんもしくはアームドヒーローさん達であれば対処は問題ないと思います。
UC効果内なら宇宙服なしでも問題ないと信じて。


木霊・ウタ
心情
地球をやらせやしない

Aヒーロー
歌の探知と
それが聞こえてくる方角・場所の
特定・案内を依頼

戦闘
迦楼羅を炎翼として現場へ

ヒーローたちと協力
包囲し逃がさない

最高の伴奏を聞かせてやる

ワイルドウィンドを
神譜奏者の歌に乗るように
…いいや、その歌を掻き消すようにかき鳴らす

燃える情熱が宇宙空間をも揺さぶり
空間を直接振動させて旋律を響かせるってカンジ

そして
その旋律は紅蓮をまとって炎の渦となり
神の譜面を焼却灰に帰す

…正義の存在が歪んじまって可哀そうに
人を苦しめる為にアンタたちが使われなんてこと
絶対にさせやしない
海へ還してやる
紅蓮に抱かれて眠れ

事後
そのまま鎮魂曲とするぜ

さてと次はロボ竜か
行こうぜ、ヒーロー(ぐっ



 散発的ながらも独力で敵を探し、倒していく猟兵たち。手際のいい先発隊の背を見送り、合流しそびれたアームドヒーローの男がしみじみと呟く。
「はあ……ありゃまた大した腕だな」
 さすがは世界を救ったヤツらだ、と嬉しそうに口元を歪めるニヒルな男。彼の言葉に、傍らに佇むサウンドソルジャーの青年は「ああ」と大きく頷きを返す。
「皆頼もしいヤツばっかだからな。でも確実に倒すには、やっぱりアンタらの力が必要だ」
 頼めるか、と問いかける木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)の要請に、バイオウェアに身を包んだ男は二つ返事で答えを寄越す。
「おうよ、何年こっちに住んでると思ってんだ。索敵ぐらいなら任せとけ!」
 威勢よく言葉を返し、宇宙船の縁を蹴る男の姿。あっという間に見えなくなる彼の背を見送り、夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は慣れない宇宙服の袖を静かにさする。
「宇宙空間での活動、どうするのがいいか戸惑いはしたけど……何とかなりそうね」
 こうした場での活動経験はまだ少ない藍は、実戦に移るまで些か緊張した面持ちでいた。
 力を使って破けはしないかと案じていたが、超技術の結晶である宇宙服は猟兵たちの力にも対応していると聞く。仮に万一破けても、埒外の力の発動中ならば宇宙空間でも幾らかは耐えられよう。
 程なくして戻るアームドヒーローの一団、向かった先で敵の大群が見つかったらしい。特殊な発煙筒で敵の目を惹き、誘導する先は宇宙船の墓場――即ち、袋小路。
 重力の罠に囚われた船団はぶつかり合い、逃げ場のない複雑な入り江を形成した。退路を断つようヒーロー達が立ちはだかる中、藍は敵の正面から相対し、力の片鱗を解き放つ。
「ここならいいかしら。私の姿……お見せするわ」
 ヴェールを纏うように光の紗が降り、脱ぎ散らした衣の如く足元へと下りる。現れたのは面を隠した光の乙女、身の丈約二十メートルの戦乙女となった藍は宇宙の闇いっぱいに光翼を伸ばす。
 指先から迸る、真珠星の光線。青白い恒星の光が敵を貫き、次第に太さを増しながら焼いていく。
 金の翼持つ迦楼羅を背負い、羽ばたく力で追いついたウタは、神々しい光が次々と敵を灼くのを見た。
「すげぇな……! 俺も負けてられないぜ!」
 ヒーロー達によって築かれた包囲網、出入り口を失くした場内は満員。野生の風思わす猛々しい装飾のギターを手にし、今こそ弦を奏でる時。
「最高の伴奏を聞かせてやる」
 真空を駆け抜けるギターの調べ。旋律は燃える音となって無の空間を突き抜け、神譜奏者の身を焼いた。直接魂を震わす情熱の躍動、この歌には最早媒介たる空気など必要ない。
「まだまだ……いくぜ!」
 紅蓮の渦巻きは次々と集い、神譜の少女たちを逃さない。万に一つ抜け出る者がいても、星乙女の真白の光が即座に貫いていく。
「……正義の存在が歪んじまって可哀そうに」
 葬る直前、一瞬だけウタの眼が少女たちを見る。元は正義のため生まれた譜が、人を苦しめる為に使われるなど、歌を愛する者として如何して見過ごせよう。
「海へ還してやる……紅蓮に抱かれて眠れ」
 準星の如く渦を巻き放たれる、幾筋もの噴煙。その渦中にあっては神の譜といえど、燃え滓すらも残る事はなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『デストロイ・プライム』

POW   :    グラウンド・ゼロ
単純で重い【足や尻尾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ジェノサイド・ブラスト
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【全身のビーム砲】から【破壊光線の雨】を放つ。
WIZ   :    トリニティ・バースト
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【悪】属性の【破壊光線】を、レベル×5mの直線上に放つ。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミネルバ・アレキサンドリアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 キミ達とアームドヒーローの一団の追跡は、
 宇宙船群の知られざる一区画へと向かう。
 重力も空気もある、巨大な格納庫のような空間。
 恐らくは武器庫であっただろうその場所には、古の超兵器の数々が眠っていた。

 討伐を逃れた神譜の少女が、電子基板のような部品へと姿を変えていく。
 かき集められたテクノロジーの残骸、その中核にあるのは黒き塊。
 不意に、闇に似た塊の中に眼光が浮かび上がる。
 否、あれこそが竜だ。キミ達が探し求め、この地に赴いた最たる理由。
 機竜は駆動音を響かせ、行動を開始する。

 胸部、脚部関節、全身に備えたビーム砲には光が集い、
 破壊光線の雨を降らせるだろう。
 背後をとってもあの強靭な尾、叩きつけられれば猟兵とてただでは済むまい。
 くわえてあの特徴的な三ツ首。
 他の武装で時間を稼いだ後放たれるブレスは一直線に駆け、
 遠方に位置する者でも易々と焼き尽くす。

 何れも接近を拒む、厄介な武装ばかりだ。
 攻め方を思案するキミ達へ、アームドヒーローの一人が申し出る。
 オレ達のバイオウェアは速度だけなら出せる。
 光線を惹きつける囮役を買って出てもいい――と。

 彼らの申し出を受けるも断るも、はたまた別の指示を与えるもキミ達次第だ。
 機竜はまもなく迫りくるだろう。
 破壊の限りを尽くし、この宇宙船群を地上に降る焔の雨へと変える為に。
睦沢・文音(サポート)
『聴こえますか?私の歌が!』
年齢 14歳 女
外見 147.1cm 黒い瞳 黒髪 色白の肌
特徴 いつも笑顔 柔和な表情 胸が大きい お尻が大きい ネットが好き
口調 清楚(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません

他の猟兵のサポートに回り、事件の解決にあたります
日常パートならば飲食や歌をうたうことをメインに行動します

他の参加者様との連携リプレイ歓迎です
最大の目的は、事件を解決に導くことです
その為なら、ある程度の怪我や些細な失敗はやむを得ないものとします



 遠く愛しき地球を離れ、外に出れば宇宙の闇黒が広がる。
 平和と歌、そして食べる事が大好きだという睦沢・文音(フォーチュンシュネルギア・f16631)は、歌唱に向いたふくよかな体を揺らして敵へと告げる。
「この世界もまだ、平和とは遠いんですね」
 終わりなき冒険を物語る、あかがね色の表紙の本に導かれて早幾年。時に荒野、時に大都会を旅してきた文音だったが、荒涼とした船と武器の墓場はどことなく荒野のうら寂しさを思わせた。
「あなたもきっと、心細かったでしょう」
 文音の愛するいずれもと遠い目の前の機竜。永き眠りにあっても『破壊を為せ』という指令だけは憶えていたが、己が存在意義などとうに見失っているのだろう。
 助力を請われて駆けつけた今、文音の成すべき事など決まっている。
「聴こえますか? 私の歌が……!」
 歩み寄りながら子守歌を紡ぎあげる文音の近く、機竜の破壊光線が雨を降らす。跳んで避けては息を吸い、すぐさま歌を、何度寸断されても諦めずに歌い出す。
 罪深き刃の力は大宇宙の法則にも従わぬ。無機質なものの根底に眠る、持ち得なかったはずの『魂』へと、文音の歌は揺さぶりをかけていく。
「あなたが居たことを、存在を、私がきっと覚えておきますから」
 言葉には古来より、霊魂が宿るという話がある。並の言葉なら届かずとも、埒外の威を誇る歌に乗せた力ある言葉ならば。
「だから、もう……お休みなさい」
 文音の唇の紡ぐ響きは、瞼閉ざす重みを持った。戦意を溶かす甘い声の響きに、機竜の砲身がひとつ、静かに機能を放棄した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロザリア・ムーンドロップ
宇宙なら流れ星の力を借りることができますね!
というわけでヒーローズアースの危機に、ロザリア・ムーンドロップが参上です!
アームドヒーローさん達、宜しくお願いします!

この場は「ムーンロザリア」にスタイルチェンジといきましょう!
変身シーンはぴかーっと光ってると思うのでどうなってるかは秘密ですよー!

相手は少々強化されているようですから、アームドヒーローさん達には申し訳ないですが囮役をお願いします!
私も飛んで敵の目を攪乱しつつ、敵の照準の直線上で重なることのないようにしますね!
側面攻撃と、詠唱を間に合わせない速攻が大事です!
あとは頭を狙って武器で殴ります! 1つでも潰せれば後が楽になりそうですから!


夜鳥・藍
囮に……非常に悩みますがお願いしたいと思います。
ですが無理はなさらずに。それだけは約束してください。
本当は、安全な場所にいて貰いたいです。

アームドヒーローさん達がひきつけている間に、UCクリスタライズで姿を隠し、さらに気配を隠すようにして目立たないように気を付けながら敵に接近します。
囮をお願いしてる事に心苦しさはありますが、何より倒すことを優先する事が報いる事になりましょう。
近づけたら青月で足の関節部に狙いをつけ体重を乗せた突き攻撃を。剣技の使い手としては拙い私ですが、単純に体重をかけた一撃ならば通せるはず。
通れば遠距離攻撃はともかく、これ以降の足や尾の攻撃の威力を削る事もできると思います。



 戦端は既に拓かれた。猟兵達の支援をと今にも動き出しそうなヒーロー達へ、夜鳥・藍は苦々しい顔で言葉を告ぐ。
「囮。非常に悩みますが……お願いできますか」
 神秘を司る占い師といえど、刻一刻と変わる戦場の運命総てを見通せるわけではない。目の前で首肯した彼らが数分後には命散らすかもしれぬ――数々の運命を視ただけに、藍晶石の少女は何よりも喪失を恐れた。
 本心を言うならば。敵がこれほど強大でなければ、彼らにはむしろ安全な場所で待っていて貰いたい。
「決して無理はなさらずに、それだけは約束してください」
 だからと言い添えた言葉は、確かに相手へと届いていて。
「……ああ。嬢ちゃんを泣かせるワケにゃいかねぇからな」
 気のいい中年のヒーローは約束を残し、バイオウェアの加速装置のリミッターを外した。
「んー、この世界で宇宙に来るのは初めてでしょうか」
 駆け付けたばかりのロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は、見慣れぬ光景を興味深そうに見渡した。日頃案内役を務めながら世界各地の様子を眺める彼女だが、実際に現地を訪れるとグリモアの予知越しとは異なる風景が広がっていた。
「なんであれ、宇宙なら流れ星の力を借りることができますね!」
 ピースサインをかざし、ロザリアは三日月あしらう魔法の杖を高々と掲げる。
 近くを通りかかるほうき星の魔力を吸い上げ、杖から小さな綺羅星が散った。
「いきますよ! オーバーレイ・ムーンスタイル!」
 星々の魔力が少女の全身を覆い、光のレースを編み上げる。足元にブーツ、華奢な体躯にフリルドレス、星屑を散らしながら衣を纏う。
 取りまくように現れた光の帯が五線譜となり、フリルの裾に色を添えた。青の髪をツインテールに結わえる星柄リボン、魔法の衣装は少女の体をコルセットのように覆っていく。
「ムーンスタイル・チェンジアップ! ムーンロザリア、ここに見参!」
 なんとも鮮やかな魔法少女の変身バンクに藍が目を瞬かせた。ちなみに肝心な部分は光に包まれ見えていないのでご安心を。
 星屑散らして空を飛び、先に駆け出したヒーロー達に追いついて声をかける。
「アームドヒーローさん、宜しくお願いします!」
「おうよ! 逃げ回るしかできねぇが、気を惹くだけなら任しとけ!」
 互いを直線で結ばぬよう、ヒーロー達とムーンロザリアは敵の矛先を逸らしていく。意思持つ三ツ首の光線は厄介だが、再充填までに時間がかかるのが弱点だ。
(「側面から挟み込むように打てば攪乱できるはず。チャージを間に合わせない速攻が大事です! それに……切り札は」)
 この場に在って未だ気付かれぬ、彼女らの勝因となり得るもう一つの手。騒乱に紛れ姿を消した藍が、静かに距離を詰める。
(「影朧として親と違う姿で生を受け、辛い事も多々ありましたが……」)
 クリスタリアンの体に生まれ、こうした時だけは良かったとつくづく思う。纏う衣ごと透明になった藍は気配を殺し、完全に無警戒な足元へと歩み寄る。
(「剣技の使い手としては拙い私ですが、これならば」)
 抜刀のすらりとした音は騒乱にかき消えた。光を透かし、諸刃の打刀を誰の眼にも映さぬまま振り翳す。体重を乗せ、勢いよく下ろされた青月は竜の脚関節をよく捉え、ぶちぶちとコードの千切れる手応えが刃を伝う。
「これで機動力は削ぎました……今です」
 光線の銃撃が足元の藍へ向かうより早く、ロザリアが流れ星に跨り高速で駆けた。手にした杖の突端は三日月状、振り下ろす様は偃月刀の刃にも似る。
「悪い事を企むあなたには、三つも頭なんていらないはずですっ……!」
 首を横から打つ、隕石衝突の如きインパクト。勢いに任せて振り抜かれる杖に、右の首の眼がショートの火花散らして沈黙した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
Aヒーロー
猟兵だけがヒーローじゃない
守りたいとの思いは一緒だ
有難く囮役を頼む

戦闘
迦楼羅の炎翼で加速
一気に間合いを詰める

振られた尾を
爆炎噴出で回避

獄炎纏う焔摩天を振り抜き
装甲を砕く

一撃じゃ足らないって?

大剣から迸った炎が
敵機表面を這うように延焼して関節部を溶かし動きを封じたり
砕いた装甲の隙間から内部へ延焼して
回線を焼き切ったり過熱状態にさせて機能をマヒさせる

ただ創造主のプログラム通りに、か
可哀そうに
今、海へ還してやる

タイミングをみて皆と倉庫から脱出

倉庫全体へと延焼させた炎が超兵器を誘爆させる

これで仕留めきれなくてもボロボロのはずだ

大焔摩天の紅蓮の光刃で一刀両断

事後
鎮魂曲

ヒーロー、サンキュ(ぐっ



 役目を放棄した右の首。残る二つ首で敵を探し振り向く動作も、脚を破損した今では随分と鈍重なものだ。
 最初の威容を失いつつある敵の姿に、現地のヒーロー達が感嘆の声を上げる。
「ひゅう、やるぅ! アタイ達の出る幕なんてありゃしないじゃない」
 髪をポニーテールに結った少女のあげる喝采に、木霊・ウタは「いや、違うぜ」と柔く否定を重ねる。
「あんたらが攻撃を惹きつけてくれなけりゃ、至近距離からの一撃はぶち込めなかった筈だぜ」
 戦いに身を置く者だからこそ判る、微細な成否の分かれ目。こうして皆の協力を仰ぐ事自体が猟兵にとり、必要な選択肢なのだ。
「猟兵だけがヒーローじゃない。この場所や地球を、守りたい思いは皆一緒だ」
「……言ってくれるじゃん」
 照れを誤魔化すような口笛の音。真っ向からの言葉のやりとりに慣れていないのだろう、少女は若干恥ずかしそうにもしていたが。
「あと一度だけ、力を貸してくれ!」
 ウタの呼びかけにまっすぐ立てた親指を返事とし、ヒーローの少女は脚部装甲から火花を噴き散らして駆けて行った。

 ヒーロー達が命がけで敵の狙いを引き受ける中、ウタも再び迦楼羅鳥の炎翼を身に纏う。黄金の夜明け思わす翼が広がり、機竜までの空間を一気に炎で埋め尽くす。
 燃ゆる飛翔はそのまま直撃するかに見えたが、
「……!」
 音を立てて振るわれた尾を獄炎噴射で角度を変えて躱し、勢いづいた黄金鳥は一度格納庫の隅へと退避した。
 とんぼ返りから再び急降下、併せて焔摩天に獄炎纏わせ鷹が爪突き立てるように敵へと向ける。首を削ぎ落すような振り下ろしの一撃、バチバチと青白い光が散り機竜は機械仕掛けの咆哮をあげる。
「どうした、一撃じゃ足らないって?」
 鉄塊から鋳出したような無骨な大剣、その付け根から炎を迸らせ機竜の喉へと火の舌を這わす。延焼する焔が関節へと伸び、接いではならぬ接ぎ目を溶かし合わせていく。
 次第に動きを鈍らす機竜。その喉へ溶鉄と焔を流し込みながら、ウタは今一度倒すべき敵の姿を間近に見据えた。
「ただ創造主のプログラム通りに、か……可哀そうに」
 オブリビオンと化していなければ、或いは平和利用の未来もあり得たのかもしれぬ。だがそれが叶わぬ事は、ウタとてよく判っていた。
 超兵器諸共に誘爆させようかとも考えたが、居住区に影響せぬとも限らない。何よりその必要がない事を見て取り、ウタは地獄の炎で焔摩天を覆い尽くす。
「今、海へ還してやる」
 紅蓮の光が敵を灼き、轟音と共に断ち切った。機械の停止する断末魔。中核部品を砕かれたデストロイプライムは、物言わぬスクラップと化し静かに横たわった。

●あたたかな静寂
 宇宙は元の闇に包まれ、静けさを取り戻した。
 時折アームドスーツの小刻みな噴射や居住区の明かりが漏れる事はあっても、
 それ以外は光と思しきものもない。これが本来の姿なのだ。

 寂しく思うだろうか。だが、その必要はないと伝えておこう。

 太古の衝突の余波で、ゆっくりと旋回する宇宙船群。
 船の端、船体に遮られていた所から、青い光が眼下に現れる。

 ヒーロー達の母なる故郷、地球。
 一定周期ごとに眺むる事のできる絶景を見て、彼らは日々を営むのだ。

 キミ達は別れまでの間、思い思いの時を過ごすだろう。
 皆の無事に安堵する者、機竜へ鎮魂の歌を手向ける者、人それぞれだ。
 そして帰る間際、光景を今一度目に焼き付ける。
 視界いっぱいに拡がる、青き故郷。幾度目を瞬けど、消えはしない。
 皆の守り切った母なる地球が、何人に脅かされる事もなく輝いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月01日


挿絵イラスト