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揺蕩う群青

#カクリヨファンタズム #お祭り2021 #夏休み

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#お祭り2021
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#夏休み


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●大空の深海
 天へと花の如き火花が散る。生み出された大輪の花が、夕闇に映えてそのまま消えていった。
 その花火を横切るように、巨大なクジラが大空を泳いでいく。熱帯魚の大群が天空を飛び、大きなクラゲたちがふよふよと周囲を舞っていた。

 ここはカクリヨファンタズム。数多の法則が交わる、未知と神秘の領域だ。

●天地の大海
「みんな水着コンテストお疲れ様!お祭り騒ぎだったね!」
 今回はどうやら少年姿だ。水兵服水着を着た少年、グリモア猟兵のアイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)が、集った猟兵に、珍しく年相応の満面の笑みを見せた。
「お祭り騒ぎは終わり……じゃないよ!カクリヨファンタズムで夏休みを楽しんじゃおう!妖怪親分さんたちが妖怪花火を用意してくれたんだ」
 妖怪花火。空中に生じる模様の上に乗ることができる特別な花火だ。この花火は、猟兵も乗って一緒に打ち上げることもできるという。
「ビーチも用意してくれた新し親分さんに感謝しないとね。今回向かうビーチは、正真正銘の綺麗な砂浜なんだけど……大空も海になっててね、海洋生物たちが大空を泳ぐんだ!」
 どうやら、カクリヨファンタズムはなんでもありのようだ。海から飛び出した海洋生物たちは、大空という海をも泳ぐ。天空を泳げるのは海洋生物たちのみで、猟兵たちは物理法則に則り天空を泳ぐことはできないが……。
「花火だけじゃなくて、海洋生物の上に乗りながら花火を楽しむこともできるよ。クジラの上だったり、イルカの群れだったり、熱帯魚の群れに乗ったり!クラゲの柔らかな体の上でまったりするのも良いかもね!」
 海洋生物たちは猟兵たちの意図もしっかりと汲み取ってくれるようだ。結構高知能らしい。
「もしくは、空を舞う海洋生物たちと一緒に大空を飛ぶのも良さそうだね。……あ、もちろん飛行のためのアイテムとかは必要になるけど……!」
 アインが杖を掲げると、転移の光が猟兵たちへ纏わり付く。にっこりと微笑んだアインの笑顔と共に、猟兵たちはビーチへと転送されるのだった。


夕陽
 OPをご覧頂きありがとうございます。
 初めましての方は初めまして、すでにお会いしている方はこんにちはこんばんは、夕陽です。

 新し親分が用意してくれたビーチで夏休み!花火と一緒に打ち上がるのも、花火を楽しむのも、ビーチで遊ぶのもよしです。
 それとは別に、海洋生物たちは海だけでなく天空も泳ぎます。海洋生物の背に乗って天空遊泳、間近で花火を楽しむのもOKです。

 プレイング受付はOP承認後から。人数が達成数に達しましたら〆切をタグに記載致します。
 お声掛けがあった場合のみ、グリモア猟兵のアインがひょっこり顔を出します。

 それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW   :    妖怪花火で空へGO!

SPD   :    妖怪花火の上で空中散歩

WIZ   :    静かに花火を楽しもう

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ディアナ・ロドクルーン
WIZ
ルクセンディア(f24257)と

今年の水着を身に纏い、彼の腕に自分の腕を絡めてウキウキと足取り軽く

ねえねえ、ただ花火を見るだけじゃないのよ
海洋生物に乗って間近で花火を楽しめるの

貴方は何に乗ってみたいものはある?

ふふ、大きい方が良いの?鯨だったら二人で乗っても全然余裕よね

ゆったりと天体遊泳を楽しみつつ、ルクスに寄り添って夜空を彩る花火を眺める
わ、地上から見るのと全然違うわ。とても綺麗

私ね、貴方にこうやって撫でられるとすごく安心するのよ
……ううん、撫でるのもそうだけど。
ルクスとこうやって一緒にいるのがいいの

彼の温もりを、鼓動を感じながら幸せを噛み締める
来年もこうして過ごせると良いな、と


ルクセンディア・エールハイム
ディアナと(f01023)

そっと愛しの彼女を脇で受け止めつつ、体重かけても大丈夫なように堂々と歩く。

花火、か
夜空を彩る大輪の花というわけだな、風流でいいな?

乗ってみたいとなると…まぁそりゃ、男としては大きいものに乗ってみたいな?
イルカとかのまたがるのにちょうどいいものもいいが、やはり鯨とかは夢があっていいんじゃないか? ゆったりとできるしな。

そっと寄り添うディアナの頭にポンと手を乗せながら、彼女が好む撫で方で
花火に照らされていよう

きっとずっとこうしてられるさ
俺たちに許されている時間の限り、ずっとな 約束する



●小さな願いを胸に
 天を覆う、星辰と青空。2つの空が合わさったカクリヨファンタズムのビーチにて、砂浜を歩く二人の影がある。
 薄紫のストールを纏った水着姿は、まるで人魚にも似て――ディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)は傍らを歩くルクセンディア・エールハイム(不撓不屈の我様・f24257)に寄り添いながら、波打ち際を歩き続けていた。
 彼と共にいるのが嬉しいのか、足取りは軽い。
「ねえねえ、ただ花火を見るだけじゃないのよ。海洋生物に乗って間近で花火を楽しめるの」
「花火、か。夜空を彩る大輪の花というわけだな、風流でいいな?」
 にこり、と微笑んだルクセンディアは、遠目で次々と上がる妖怪花火を眺めている。それでも、隣にいるディアナから意識は逸らさない。脇で受け止めながら堂々と歩く姿は、彼の男らしさを際立たせていた。
 花火と空飛ぶ海洋生物の話題に興味を持ったことに気付いて、ディアナが笑みを浮かべた。
「貴方は何に乗ってみたいものはある?」
「乗ってみたいとなると…まぁそりゃ、男としては大きいものに乗ってみたいな?」
「ふふ、大きい方が良いの? 鯨だったら二人で乗っても全然余裕よね」
「ああ、イルカとかのまたがるのにちょうどいいものもいいが、やはり鯨とかは夢があっていいんじゃないか? ゆったりとできるしな」
 そこで、ざぱぁ!と大飛沫が舞った。空中に飛び散った海水の飛沫は星の光のように消え失せて、海の底から現れたのは巨大な鯨だった。
 ルクセンディアとディアナが顔を見合わせて、そして微笑む。どうやら、自分たちの話を陰ながら聞いていたようだ、と。

 天を舞う鯨の背に乗りながら、妖怪花火の上がる星空と蒼空を征く。柔らかな風が吹いて、ディアナの髪を揺らした。
「地上から見るのと全然違うわ。とても綺麗」
 ルクセンディアが、ビーチの絶景を眺めているディアナの頭に手を置いた。確かに花火も綺麗だが、横にいるディアナもとても魅力的だった。
 人狼独特の獣耳に手が当たるのを避けて、ゆっくりと撫でる。
 小さく目を細めて、ディアナはただ静かにルクセンディアに寄り添っていた。彼から感じる熱と鼓動を確かめながら。
「私ね、貴方にこうやって撫でられるとすごく安心するのよ」
 そんな言葉に、ルクセンディアはまた小さく微笑んだ。
「……ううん、撫でるのもそうだけど。ルクスとこうやって一緒にいるのがいいの」
「きっとずっとこうしてられるさ。俺たちに許されている時間の限り、ずっとな」
 人狼病を患うディアナに対して、ルクセンディアは神だ。おそらく、二人の時間は点と線に等しい。
 それでも――この思い出は、永遠になる。
 光り輝く花火と夜空、大空を泳ぐイルカと、熱帯魚の群れ。空を泳ぐたび、光の線が空間を伝って弾ける。
 それと同時に、鯨が水しぶきを上げた。降りかかる海水は光の粒となって、二人の猟兵に降り注ぐ。

 ――約束する。
 ――ええ、約束ね。

 数多の光に包まれながら、ディアナはこの刹那を胸中に刻む。
 来年もこうして過ごせると良いな、と。そんな些細な想いを神様が叶えてくれるのだ。そう、目の前にいる“彼”が。
 空を泳ぐ鯨の上で、寄り添い合う二つの影が、花火の輝きに照らし出されていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エンティ・シェア
フィッダ(f18408)と。一昨年の水着で
海洋生物と天空遊泳とは楽しそうだ
大きなクジラの上でのんびりと楽しむとしよう
これはいいねぇ、フィッダ
…おーいフィッダー?

見かけないと思ったらイルカを乗りこなしていた
…楽しそうだねぇ
ねぇ、私もやりたい
「俺」に声を掛けて交代を
私は中から眺めてるから、彼に騎乗スキルを存分に発揮してもらおう

…はー。普段からこういう役目ならありがたいんだけどな
とりあえずイルカに乗せてもらおう
飛び移るのも悪いし、化楽三重奏で兎に化けて、ふわっと
そら、あのイルカに並んでくれ
はは、悪いな。こちとらサーカス仕込みのプロなもんで
イルカ達にも楽しんでもらいつつ、思う存分満喫させてもらおうか


フィッダ・ヨクセム
エンティ(f00526)と去年水着で

海洋生物ッつーとクラゲとかゆったりがいッぱい!
綺麗なのも、不思議なのもお好き!
一緒に来たからには暫く一緒に眺めて楽しむが

……お、良いところに活きのイイカモが来た(イルカ)
ひッそり移動して、機動の高さを楽しみたい!ひゃっほう!
エンティも来いよォ、色々見えておもしれェーから!

初見だろうと騎獣として乗りこなすぜ?ああ、こういうのたまには良いな
相乗りする?"運ぶ"のも"乗せる"のも俺様得意だぞ(挑発)?
いやおま!?絶対乗り慣れてるじャん!?
プロ感出すのずるいじャん!?
すごい騎乗スキルを発揮して追いかけられたら、追いかけッこに興じる!
景色を楽しむ半分だ、速度は控えめに



●大空競争!
 大空を泳ぐ海洋生物と、空にあがる妖怪花火。昼と夜が混じり合うカクリヨファンタズムの空は、それを更に幻想的な光景へと昇華させている。
「海洋生物と天空遊泳とは楽しめそうだ」
「海洋生物ッつーとクラゲとかゆったりがいッぱい!」
 綺麗なのも、不思議なのも好きだ、と。
 金魚の模様が刻まれた上着を羽織って。花の冠に、水の流れのような――金魚の尾ひれのような幻想的なストールをかけながら、エンティ・シェア(欠片・f00526)は大きなクジラの上に乗っていた。
 それに付き添うように、海賊を彷彿とさせるコートを纏ったフィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)が、腕組みをしてエンティと同じようにこの光景を楽しんでいる。
 クジラから噴き上げられた海水は、光の粒となって空間を揺蕩いそしてかき消える。クジラの周囲を舞うように、大空を泳ぐ熱帯魚の群れがエンティの前を横切った。
「これはいいねぇ、フィッダ」
 他の世界では到底見られない光景だ。後ろに控えているはずのフィッダに声をかけたエンティだったが、返事がないことに気付いて後ろへと振り向いた。
「…おーい、フィッダー?」
 いない。いつの間にか消えている。


 数分前のことだった。
 誘ってもらったこともあり、暫くは一緒にこの光景を見て楽しもう、と決めてはいたのだが。
 フィッダの視界に、クジラと並ぶように空を泳ぐイルカが群れを成してやってきた。
「……お、良いところに活きのイイカモが来た」
 言い方の問題があったりなかったり。とはいえ、クジラの上に乗っているフィッダに気がついたのか、おや、と一匹のイルカが小さく鳴いた。
 エンティは景色をじっと見つめたままだ。気付くことは……ないだろう。
 こそこそと移動して、イルカに跨る。フィッダがやりたいことを理解したのか、イルカがもう一度、きゅい、と鳴いた。


「ひゃっほう!エンティも来いよォ、色々見えておもしれェーから!」
 光の飛沫を伴って、フィッダがイルカの背に乗って大空を駆ける。素晴らしい高機動で、まるで波の後のような光の軌跡を残しながら、妖怪花火を背に空中を泳ぎ回っていた。
「見かけないと思ったら……楽しそうだねぇ」
「こういうのもたまには良いな。相乗りする?"運ぶ"のも"乗せる"のも俺様得意だぞ?」
 得意気に笑ったフィッダに微笑んだエンティだったが、その心の内から声が囁く。

 ――ねぇ、私もやりたい。

 【私】たるフィルオールの声だ。今は【僕】であるアリエルが表に出ているが、イルカとの空中遊泳など滅多にできるものではない。いや、むしろここでしかできない。
「うん、そうだね。それじゃあ、“任せるよ”」
 柔らかく微笑んでいたエンティの雰囲気が、一瞬にして切り替わった。多重人格者の人格の交代だ。
 クジラが大きく吼えると、近くに一匹のイルカが寄ってくる。
「…はー。普段からこういう役目ならありがたいんだけどな」
 【俺】であるリージュがはぁ、とため息をつく。

 ――私は中から眺めてるから。

「ああ、了解だ。……んじゃ、邪魔するぜ」
 ユーベルコードの奇蹟が発現する。体に光が纏わり付くと、その姿が兎に変貌する。
 【化楽三重奏】による変化だ。イルカの背にふわっ、と乗り移ったリージュが、先を泳ぐフィッダのイルカを指差す。
「そら、あのイルカに並んでくれ」
 きゅ、と鳴いたイルカが大空へと飛び出した。空に光の飛沫の線を引きながら、フィッダの真横へと瞬時に移動する。戦闘機顔負けの空中大回転を披露しながら、打ち上がった妖怪花火を掻い潜り、空を泳ぐ熱帯魚の群れの間隙を潜り抜けた。
「いやおま!?絶対乗り慣れてるじャん!?プロ感出すのずるいじャん!?」
 ずりーよ!という声に、しかしエンティ(リージュ)はにっ、と微笑む。
「はは、悪いな。こちとらサーカス仕込みのプロなもんで」
「見てろよ、ぜってェに追いつくかんな!」
 イルカの高い声が空に響く。高機動を成すエンティと共に、大空を飛翔する。
 そんな競争をしていたが、それも冗談半分だ。イルカの背から見るビーチと妖怪花火、そして海洋生物の天空遊泳。星辰と太陽が交わるカクリヨファンタズムの空を仰ぎながら、二人の猟兵はこの絶景を大いに楽しんだのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アーデルハイド・ルナアーラ
【エメ・パラディールちゃんと】
綺麗なところねー。そして水平服美少年の生足。うへへへ(遠くからグリモア猟兵を舐めるように見つめる)。夏万歳。

今日は、エメちゃんとビーチバレー! 服装はもちろん水着よ!

魔力で身体能力を強化。スーパーヒーローばりの身体能力でアタックを打ち込み、エメちゃんを愚直に攻め立てるわ!

ピンチになったら電気の魔術で反射神経を強化! 球はこぼさないわ!

切り札はユーベルコードのオーバヘッドキック! バレーボールが壊れないか心配だけど、猟兵用だからきっと大丈夫よね?

【勝敗はお任せします】


エメ・パラディール
【アーデルハイド・ルナアーラさんと参加】
エーデルさんとビーチバレーをやりに来たぞ!当然服装は水着!

こんな素敵な景色の中で、勝負ができるのはとっても嬉しい!
私はもう待ちきれないぞ!さぁやろう、今すぐやろう!

キマイラの攻撃力とパラディンの防御力とスカイダンサーの素早さを持った私は、まさしくビーチバレーの申し子だぞ!がはははは!

エーデルさんは強敵だから、私は持てる力のみならず、周囲の力を利用して、この勝負に挑む!
スカイステッパーで空高く跳んで、花火を背にして全力でアタックを打ち込むことによって、すごい球が打てる気がする!音とか光とかイケてるし!……打てないかな?

【勝敗はお任せします】



●仁義なき戦い
 無数の海洋生物が天空を泳ぎ、妖怪花火が天に咲く。
 カクリヨファンタズムの幻想的なビーチに降り立った猟兵は二人。
「綺麗なところねー」
「すっごいイケてるよね!」
 眩い笑顔を振りまいて、エメ・パラディール(キマイラのパラディン・f06803)は藍色を基調とした水着を着て周囲を見渡している。彼女の快活な雰囲気によくマッチした水着だ。
 対して、デニムスカートと大胆に胸を強調する水着を纏って、アーデルハイド・ルナアーラ(獣の魔女・f12623)がカクリヨファンタズムの景色を見渡し――ていない。むしろ、一箇所に釘付けである。
 そちらを見れば、他の猟兵と話をしているだろうグリモア猟兵、アインの姿が。
「そして水平服美少年の生足。うへへへ」
「エーデルさん?」
「ううん、なんでもないのよ?ただ目の保養(美少年)になるなって。……夏万歳」
「そうだよなー!すごい綺麗な景色でテンション上がっちゃう!」
 会話の食い違いが凄まじい。エメがビーチボールを取り出して、砂浜を駆け出した。
「こんな素敵な景色の中で、勝負ができるのはとっても嬉しい!」
「今日はビーチバレー!早速勝負よ!」
「私ももう待ちきれないぞ!さぁやろう、今すぐやろう!」
 備え付けられたポールを挟んで一騎打ち。照り返す太陽と、空に浮かぶ月。昼夜交わるカクリヨファンタズムの空の下で、戦いの火蓋は切って落とされた。
(エーデルさんは強敵だから、私は持てる力のみならず、周囲の力を利用して、この勝負に挑む!)
(エメちゃんの身体能力は知ってるわ。だからこそ、本気で行くわよ!)
 にらみ合い。そして、ビーチボールをアーデルハイドへとサーブ!恐るべき膂力によってボールが凄まじい回転を伴って襲い来る!
 その瞬間、アーデルハイドに金色の魔力が纏わり付く。全身に身体強化を施し、ボールを返していく。
「やるわね……っ!」
「キマイラの攻撃力とパラディンの防御力とスカイダンサーの素早さを持った私は、まさしくビーチバレーの申し子だぞ!がはははは!」
 返されたボールを追うように、エメは【スカイテッパー】でボールの機動を読みながら対応する。とにかく、防御が硬い。そして動きが素早い。入れられるだろう、と思ったところに打っても、エメは瞬時に対応するのだ。
 しかし、アーデルハイドも負けてはいない。返される危機的なボールを電気の魔術を使って反射神経を強化!常人ならば間に合わないボールを、的確に取っていく。
 双方が思うだろう。
 ――これでは、決着はつかない、と。

「やるね、エーデルさん!」
「エメちゃんもね!」
「でも……これで決める!」
 返されたボールは大きな弧を描いて、エメのエリアに。その好機は逃さない。スカイテッパーで大きく舞い上がり、次々と昇る妖怪花火を背にして、大きく腕を振りかぶる。
「今なら……すごい球が打てる、気がする!」
 キマイラの膂力と、スカイダンサー故の的確な一撃。ビーチボールが唸りを上げてアーデルハイドのエリアへと降り注ぐ!
「そうね……切り札は、最後まで取っておくものよね!」
 襲いかかるビーチボール、そのタイミングを調整しながら、アーデルハイドが中空で一回転。片脚に凄まじい魔力が迸り、雷撃へと変じていく。
 【超雷弾(ボール・ライトニング)】の予備動作だ。
「この勝負、もらったわ!」
 エメの一撃を、雷撃を纏う片足でアクロバティックに打ち返す。雷を纏ったビーチボールが、エメのエリアへと――。

 真横から、残影。

 え、という声が双方の猟兵から漏れた。
 イルカだ。
 空飛ぶイルカが、このコートに迷い込んできたのだ。
 なぜか飛んできたイルカがビーチボールに激突!ボールを掠め取っていく!
 ぽかんとした表情の後、アーデルハイドとエメが揃ってそちらに駆け出すと、イルカの群れが優雅にビーチボールをトスしている。
 そして、五体のイルカたちが整列。アーデルハイドとエメをじっ、と見つめてくる。
 圧倒的強者の波動!オブリビオン・フォーミュラも真っ青な金色の強者の波動を迸らせて、イルカたちが猟兵と対峙する――!
「エーデルさん、これってもしかして……!」
「ええ……私たち、試されているわ……!」
 オレたちに勝てるか?みたいな挑発のオーラをイルカから感じた猟兵たち。高知能なイルカのチームとのビーチボール対決が幕を上げる!!

 ……ちなみに、その後なんとかイルカたちに勝ったらしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月05日


挿絵イラスト