カクリヨサマーバケーション(作者 妄想筆
7


#カクリヨファンタズム  #お祭り2021  #夏休み  #プレイングは7月30日(金)8:30より受け付け 


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#お祭り2021
🔒
#夏休み
#プレイングは7月30日(金)8:30より受け付け


0



●鬼火? いいえ花火です
「たーーーまやーーーーっ!」
 点火した大筒にむかって大きな掛け声があがれば、筒先から空へと大輪の花が咲き乱れる。
 季節は夏。
 ここカクリヨファンタズムでも熱気が我が物顔で振る舞おうとしていた。
 だが入れ交わる人々に、うだるような顔色は見えない。
 今日は祭り。
 海岸沿いを利用した花火祭りだ。
 人々は暑さよりも、空へと次々と打ち出される華に目を奪われ、熱気に包まれていた。
「嬢ちゃん、準備はいいかい?」
「うん、良いよ!」
 幼子があろうことか花火筒へと身を忍ばせる。
 しかし職人も、周りの見物客もそれを咎める気配はない。
 導火線へと火がつけられ、幼子は勢いよく空へと打ち出されてしまったではないか。
 大惨事。
 否。
 周囲からあがったのは悲鳴では無く歓声。
 空に浮かんだのは、大輪の花を背に笑う子供の姿。
 打ち出された子供は花火の余韻を味わいながら、ふわりふわりと舞い降りてくるではないか。
 屈託なく笑うその姿。傷一つありはしない。
 どうやらこの世界の花火はひとあじ違うらしい。
 他を見れば、次々と上げられる連発式花火。
 その彩りは、海岸沿いにちょっとしたアーチを生みだし、輝きをそのままに空でと固まった。
 その端から、家族連れやカップルが手を取り合って渡っていく。
 空を歩きながらの花火見物もまた風流。
 眼下を見れば、こちらを追い越さんと新たな花火が空へと駆け上り、砂浜では屋台の品を頬張りながら自分たちと花火を見上げる見物客がいるではないか。
 まさに幽世。
 この楽しげな空間は、いつ果てるともなく続くのであろうか。

●グリモアベースにて
「カクリヨファンタズムでは夏真っ盛りみたいですね」
 ここはグリモアベース。
 ライラ・カフラマーンは居並ぶ猟兵たちに深々と頭を下げていた。
 その背後に生じている霧には、さきほどの光景が幻となって現れている。
 頭を上げると幻は雲散霧消していき、周りの霧と溶け込んでいった。
 彼女の顔はいつもと違ってニコニコとしている。
 今回は依頼では無く、休暇の誘いであるらしかった。
「戦士にも休息が必要な時もあります。仲間と一緒に休める時は休む、これもまた任務の一環なのではないでしょうか」
 それに今年の水着を新調した方もいるのでしょう?
 そう言いながらライラは悪戯っぽく猟兵達を見返した。
「気になるあの方と一緒に出かけてみれば、親睦も深まるのではないでしょうか。お連れの方が集まり次第転送の準備をさせていただきます。ごゆるりとお楽しみください。
 一礼し、ライラはカクリヨファンタズムへのゲートを拡げようとするのだった。


妄想筆
 酷暑のなか如何お過ごしでしょうか。妄想筆です。
 この依頼は一章構成の日常シナリオとなっています。
 目的は、砂浜で行なわれる花火大会を楽しむ、です。
 花火は休むことなくうちあげられ、少し離れた場所には見物客目当ての屋台と海の家が設けられていまして、海岸で遊びたい人のために遊具も貸し出されています。
 特に記載が無ければプレイングは夕~夜の出来事と判定致します。
 相談期間として、プレイングは7月30日(金)8:30以降より送ってくださるようお願いします。
 お一人様でも複数でも、参加してくださると嬉しいです。
 参加お待ちしております。
60




第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW妖怪花火で空へGO!
SPD妖怪花火の上で空中散歩
WIZ静かに花火を楽しもう
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達はカクリヨファンタズムのビーチへと転送された。
 時刻は昼。
 花火大会には早すぎたか、と思ったがどうやらそうではないらしい。
 青々とした陽射しにむかって、次々と花火が打ち上げられていた。
 この世界の花火は昼間でもよく見えるらしい。
 空の真っ只中に浮かびあがれば、そこで留まり、次々と絡み合っていく。
 花火で出来た大型のスライダー。
 それを見て、海水浴客から歓声があがる。
 海上に出来上がった建造物に、驚くのも無理はない。
 しかし天辺まで行くには骨が折れそうだ。
「たーーーまやーーーーっ!」
 その疑念をかき消すように、大空にむかって人々が順番に飛び出していく。
 花火筒によって打ち上げられた人々が、空に軌跡を描いて辿り着けば、その勢いを借りて、今度はそのままスライダーを下りていく。
 歓声。嬌声。楽しげな声。
「さすがに今は海水浴の客が多いからな。花火の方を楽しみたいのなら夜に来るといい」
 なるほど、確かに海には人の波。
 この状態で打ち上げるには少々難しいか。
 別の方をみれば、空に固定された花火の片に人々が乗っかり、それはまるでメリーゴーランドのようにクルクルと回っていた。
 まるで花火のテーマパークだ。
 これも、花火を楽しむといっていいのかもしれない。
 さてどうするか。
 このまま昼に楽しむのも良し。それとも夜を待つか。
 猟兵は、空に浮かぶ花火を見上げながら考えるのであった。
杜鬼・クロウ
【払暁】去年の水着
※自旅団でカイと恋話をした経緯有

砂浜に座り花火を楽しむ
ビールで乾杯

丁度、良い機会だから聞かせてくれや
カイ(彼に向き直り
あれから、彼女に対して心境の変化はあったか

静かに彼の話を聞く
覚悟の眸、表情を見て理解

…そうか(咲き開いたか
傍にいて支えたいと願うばかりでなく、
お前の中に前からあった恋の蕾にようやく気付いたンだなァ(微笑
ちゃんと気持ち、伝えるのか?

(彼女だけでなくカイの倖せも願ってた
今の彼女の気持ちが不明な以上、何方かに肩入れは難しいが
どの形でも二人が悩んで出した答えなら
俺は受け止める)

あァ、応援してる(背中押す
届くさ、きっと
お前のひたむきな想いは絶対に

花火は色鮮やかに
音が響く


桜雨・カイ
【払暁】
一度は絆が途切れるかもと思ったから、こうして飲みかわせるのが嬉しい

問いには、ゆっくり自分の言葉で
嘘やごまかし無く答えるのが彼に対して一番誠実だと思うから

花が、咲いてたんです。自分の中にあった想いの芽から
気が付いたらあふれる程一杯に。
これが「好き」という想いなんだとやっと分かったんです

人から様々な言葉や思いをもらってきた人形の自分が
初めて自分で生んで育てた想いなんです

だから馨子さんに伝えたいです。
あなたを想って幸せに咲いた花がここにあると、そう伝えたいんです、
……ちゃんと、答えになってますか?

後押しが温かく感じる
自分がこう在れるのもこの優しさのおかげだ

共に静かに花火を見ている


 水着姿の偉丈夫が二人、砂浜で酒を酌み交わしていた。
 杜鬼・クロウと桜雨・カイの両名である。
 黒を基調とした腰布を巻いているのがクロウ、茶の上着をマント代わりに羽織っている方がカイ。
 両名の眼は、空にへと注がれていた。
 カクリヨファンタズムの夏。
 それは大勢の花火を、これでもかと大衆に見せつける、光輝く夏の夜であった。
 屋台で買った品も食いかけに、クロウとカイは空を見上げていた。
 言葉はない。
 打ち上げられた花火の振動。
 空気の震えが、自分たちの感情を代弁していた。
 そのままずっと、時が過ぎるかと思われた。
 先に沈黙を破ったのはクロウだった。
「丁度、良い機会だから聞かせてくれや。カイ」
 少し温くなったビールを飲み、クロウはカイに向かって向き直り声をかける。
 声に、真剣味が含まれていた。その声にカイも向き直る。
 クロウは続けた。
「あれから、彼女に対して心境の変化はあったか」
 彼女。
 それは誰を差すのか、カイはすぐに察した。
 互いにこうやって酒を酌み交わすのはこれが初めてではない。
 だが、疎遠になりかけようとしたこともある。
 だからこうやって一緒に休暇を楽しめるのは嬉しくあった。
 しかしやはり、誘いは問いも含まれていたのであろう。
 彼の問いをはぐらかすことは出来なかった。
 いずれやがて、答えを出す必要が、自分にはある。
 されど今までの沈黙は、少なからず重い空気を生みだしていたようだった。
 自然と、ビールに口をつける。
 温い。
 これでは足りない。
 瓶から新たに注いで飲み干すと、ようやく口から声が出そうになった。
 そんな自分を、クロウはじっと待っていてくれた。
 その姿が、カイの背中を後押ししてくれた。
「花が、咲いてたんです」
 じっと、己の両手を見つめるカイ。
 先ほどまで見つめていた夜空の余韻が、両手の中に残っている。
 それは空に咲き続ける花火と同じく、煌々と光り輝き消えようとはしなかった。
 紫丿宮・馨子。
 彼女のことを想うと、虚ろだと考えていた我が身が満たされるような気がするのは何故だろうか。
 そしてその気持ちは、両の掌から溢れ抑えきれない。
 漠然としていた気持ちの芽は、開花しようとしていた。
「これが『好き』という想いなんだとやっと分かったんです」
 自分の気持ちを確信し、カイは笑みを浮かべた。
 その表情。
 クロウは眸を見て頷いた。
「……そうか」
 クロウも静かに笑った。
 芽吹こうとする花は、同時に不安の種をもカイに植えつけようとした。
 しかしその根を断ち切り、前に進もうとする彼の眼に、迷いはなさそうだった。
「人から様々な言葉や思いをもらってきた人形の自分が、初めて自分で生んで育てた想いなんです。正直こんな自分でいいのかまだ不安はあります」
「傍にいて支えたいと願うばかりでなく、お前の中に前からあった恋の蕾にようやく気付いたンだなァ。不安、大丈夫か?ちゃんと気持ち、伝えられるのか?」
 馨子とカイに対して、想う処はある。
 正直、兄貴分としての振る舞いはこれまで出来ていなかったのかもしれない。
 カイの恋心は理解しているつもりだ。
 だが彼女の、馨子の気持ちは?
 結果を聞くのが、見届けるのが怖い。
 こうやって兄貴面を取り繕っていても、内心は緊張でいっぱいだ。
 カイが続ける。
「ええ、伝えます。馨子さんに伝えたいです。あなたを想って幸せに咲いた花がここにあると、そう伝えたいんです、……ちゃんと、答えになってますか?」
 覚悟を決めているのだろう。
 しかし、やはり不安もあるのだろう。
 カイの口に、不安が滲んでていた。
(馬鹿野郎が……っ!)
 クロウは己の頬を張り倒したい気分になった。
 そもそも、先に問いかけを発したのは自分である。
 なのに弟分を不安をさせるとはどういう了見であろうか。
 クロウは、己の不甲斐なさを恥じた。
 後押しするべきなのだ。
 結果がどうであるにせよ、彼は答えを望み、伝えようとしている。
 こうやって機会を作り、促したのは自分。
 だから受け止め、勇気を与えるのだ。
 そんな考えが、自然とクロウの手を伸ばさせ、カイの背をポンと叩かせた。
「あァ、応援してる。届くさ、きっと。お前のひたむきな想いは絶対に」
 打ち上げら続ける花火は、ずっと消えずに夜空にその姿を誇示していた。
 あれは、カイの未来だ。
 暗闇を染め上げ花咲き、煌々と輝き続ける未来そのものだ。
 それを反芻し、彼に伝えようと、クロウは二度カイの背を叩いた。
 少し強かったのか、カイが前のめりになりそうになる。
 しかし彼の表情に、戸惑いはない。
 カイは嬉しかった。
 こうやって、クロウが後押ししてくれることに。
 叩かれた背が少し熱く感じる。
 夏の熱気とは違う。
 勇気を、貰ったような気がした。
 コップに口を伸ばし、苦笑する。
「温くなっちゃいましたね」
 新しいのを自分と、クロウに注いだ。
 クロウはカイの前途に。
 カイはクロウの優しさに。
 互いに献杯を交わし、一気に飲み干す。
 お互い見つめ合い、微笑む。
 休暇というものは、自分を見つめるのには良い物だ。
 戦士には休息が必要。
 そして人には、安らげる場所と人物が必要だ。
 彼には、相応しいものがある。
 再び、クロウとカイは夜空を見上げた。
 色を変え形を変え、カクリヨファンタズムの夜空は光に染まっていく。
 それは今夜一杯続くのだろう。
 その幻想に、祭り客から歓声と嬌声があがる。
 だが、ここまでは届かない。
 地に響く花火音が、自分たちの声を代弁しているかのようだった。
 二人は、ただ黙って美しい花火の夜空を見上げ続けていた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎
コハル殿(f11004)と一緒に遊びにきたのじゃ。
夏といえばハナビにオマツリそして屋台じゃ。 という事で今回はわしもお店を出すのじゃよ。 材料はマニトゥのすごい犬かきで魚を捕獲して貰うとして、屋台は精霊的なパワーで加工した一枚板の石で組んだバーベキューコンロで魚介類を焼いて出品するのじゃ。
ハナビを楽しむ前の腹ごしらえとおこづかい稼ぎができる一挙両得の策じゃな。
一通りお客をさばいたら、ふかふかのマニトゥでくつろぎながら花火見物するかの。
うむうむ、綺麗なものじゃな。このような友や家族とのかけがえのない平穏な日々が何よりの宝物じゃよ。
来年もこうやって過ごせるとよいのう。


二條・心春
アドリブ・連携歓迎

エウトティアさん(f04161)とふたりで遊びにきました。
ええ、花火もお祭りも屋台も、全部楽しんじゃいましょう。って屋台は出す側ですか!?食材も調理器具も、いつの間にか揃ってます……。
よーし、私もお手伝いしますよ!作るのはエウトティアさんにお任せして、注文を聞いたりお会計をしますね。皆さんの喜ぶ顔も見れるし、お店をやるのも楽しいな。エウトティアさんの料理もとても美味しいですし。
ひと段落したら私達も花火を見ましょうか。あっ、この花火は消えずにしばらく残るんですね。不思議ですが……とても綺麗です。
いつもとはまた違う、素敵な夏の思い出ができました。はい、来年もこうして遊びましょう!


 青々とした空。心地よい風。
 泳ぐには絶好の日といえる今日。
 しかしエウトティア・ナトゥアは泳ぎに来たわけではない。
「夏といえばハナビにオマツリ……そして屋台じゃ!」
 ぐっと拳を握り意気込むエウトティア。
 それにむかって二條・心春は微笑ましく頷いた。
「ええ、花火もお祭りも屋台も、全部楽しんじゃいましょう」
 心春の口調は楽しげだった。
 なにしろ久々の、事件を気にしないでいい安らぎの時だ。
 この貴重な時間を目いっぱい楽しもう、心春はそう思っていた。
 普段は猟兵らしく毅然と戦う二人も、今日は年相応の水着姿である。
 エウトティアは普段の衣装を上下に分けたような、紅い短パンとブラの快活な格好。
 これからことに浮かれてか、尻尾の青リボンがふるふりと節操なく動いている。
 対する心春は普段とは違う、ちょっと攻めた緑ビキニショーツの出で立ちだ。
 強い陽射しを避けるためにパーカーを羽織っているが、それがしっくりと似合っていた。
「いやあコハル殿が応じてくれてありがたい。なにぶん一人ではいろいろと難しいからのう」
 ぴゅいとエウトティアが一笛ふけば、浜辺にドスンと長石が姿を現す。
 黒々と磨き抜かれて、まるで天然のホットプレートのようにも見える。
 いそいそと動きまわるエウトティアであったが、心春はいまいち要領を掴めず固まっていた。
 そして理解し、はっと目を見開いた。
「屋台って……そっちだったんですか!?」
 夏の海に屋台はつきものだが、まさか出店する側だったとは意識がまわらなかった。
 しかしよくよく見れば、食材も調理器具も揃っているではないか。
「うむ。具材はな、マニトゥに協力して獲って貰った新鮮なこの海の幸じゃ。これは売れるぞ」
 楽しげにいそいそと、あっちこっちと器具を周りに配置していくエウトティア。
 その背を見ながら心春はまた、大きく頷いた。
「よーし、私もお手伝いしますよ!」
 パーカーを腕まくりしながら、彼女の元にへと加わる。
 娘二人の、祭り客を相手取った勝負が始まろうとしていた。

 空に浮かぶ可愛らしい狼浮き輪風船。
 ふよふよと浮かぶその下に、潮騒にあおられてのぼりがヒラヒラと揺れていた。
 『精霊海鮮屋台 本日開店』
 陽射しと鉄板から受ける熱気も何のその、エウトティアは一心不乱に具材を焼いている。
 楽しげに、真剣に、焼きごてを両腕で動かす少女の姿は、衆目を集めるのには十分だ。
 これも、看板娘というのであろうか。
「エウトティアさん、追加オーダー入りました!」
「うむ、心得た!」
 調理に専念する彼女に代わり、心春は客への応対を引き受けていた。
 はきはきと、入れ替わりやってくる海水客に対し、丁寧に相手をする。
 これぞまさに看板娘。
「お客様! イカ焼きタレ・エビ焼き塩・ハマグリバター乗せ、お待たせしました!」
 簡易テーブルへと手を伸ばして品を置く心春。
 その姿勢が男性客の目を惹く格好になってしまうのは仕方がない。
「ガウ!」
 しかし邪視は狛犬ならぬ狛マニトゥの方向によって散らされる。
 可憐と綺麗処の娘二人に粉をかけようとする不届き者の企みは、ことごとく失敗に終わっていた。
 いそしむ二人の努力の結果、あれほどあった食材は残り少なくなってきている。
「エウトティアさん、そろそろ品切れになりそうですよ」
「なに? おお、本当じゃな。ではこれで仕舞いとしようか」
 完売御礼、手早く店終いをすますと、残った品を二人と一匹で分け合った。
 懐具合を確かめて、エウトティアはにんまりと笑う。
「うむうむ、これで儂らの小遣いも暖かくなったな、コハル殿、これが給金じゃよ」
 ハフハフと飯を食らう彼女から給料を預かり、ふうふうと心春はひと息つきながら、少し遅めのランチを取った。
 給仕中は気づかなかったが、こうやって見渡せば浜辺は多くの海水客で賑わっていた。
 あちこちにあるアトラクションも楽しそうだが流石に今は疲れている。
 今はこうやって一緒に休んでいるのが一番良さそうだった。
「花火は夜が本番じゃそうじゃ」
 今からそのことを想像しているのか、エウトティアの目がキラキラと輝いている。
 彼女は全力で今を楽しんでいるらしかった。
「わしの我儘につき合ってもらったから、夜はコハル殿の我儘に目いっぱいお付き合いしますぞ」
 なにしろ、金はある。
 じゃらじゃらと財布を鳴らしながら、エウトティアが笑う。
 その顔を見ながら、心春は海鮮焼きを一口囓った。

 夜。
 空にむかって花火が次々と打ち上がっている。
 遊ぶと意気込んでいたエウトティアであったが、やはり疲れが残っていたのか、マニトゥを背もたれにして今はただ夜空を眺めていた。
 いや、夏の夜空の美しさに目を奪われて、足を止めるしかなかったのか。
「綺麗ですね」
 自分の世界にも花火はあるが、この世界の花火はひと味違う。
 打ち上げられた花火達は、光の軌跡の余韻を残すことなく留まり、空を自分色へと染め上げていく。
 その色彩の強さは、二人の手元にあるフロートをも浸食するかのようだった。
「うむ、花火というものは良い物じゃ」
 光輝く冷たさを口に運び、エウトティアが心春の言葉に同意する。
 星々に負けずに輝きを増していく美しさは、彼女の言う通りに見事としかいうほかない。
「ありがとうな、コハル殿」
 自然と、言葉がエウトティアの口から漏れ出していた。
「どうしたんですか?」
 視線を空から移し、心春が不思議そうにこちらを見た。
 別段不思議ではない。
 このような時間を過ごせること、今日のこと、それらが後押ししてエウトティアから感謝の言葉を引き出したのだった。
「なあに、来年もこうやって過ごせるとよいのう」
 花火と、心春を見てエウトティアがはにかんだ。
「はい、来年もこうして遊びましょう!」
 誘ってくれなければ、心春もこうやって来ることはなかっただろう。
 いつもとは違った新鮮な経験。
 それらを感じさせてくれたことに、心春もエウトティアに感謝の笑みを返すのだった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年08月01日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵