砂上の花火大会~サバイバルゲームは水鉄砲で(作者 三ノ木咲紀
11


#カクリヨファンタズム  #お祭り2021  #夏休み 


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#お祭り2021
🔒
#夏休み


0



● 崖の下の見習い妖怪
 カクリヨファンタズムの水着コンテスト会場では、花火大会が開かれていた。
 色とりどりの花火が夜空を彩る中、一人の花火職人の見習い妖怪がしょぼくれていた。夜空に大輪の花を咲かせる花火達を見上げては、大きなため息をつく。

「はぁっ。いいなあ綺麗な花火。今年も頑張ったんだけど、これじゃ全然だめだね」
「どうしたんだい? 辛気臭い顔をして」
「あ、猟兵さんだ!」

 近くを通りかかったパラス・アテナ(都市防衛の死神・f10709)は、遠泳帰りに濡れた髪を拭きながら花火職人見習いに声を掛けた。見習いはパッと顔を上げると、籠いっぱいの火薬玉をパラスに見せた。
 花火の大きさは、火薬玉の大きさと比例する。ピンポン玉ほどの大きさの玉では、打ち上げ花火にするには小さすぎるだろう。見習いは籠の中から一つ取り出すと、パラスに示した。

「これなんですけれども。火薬の量と質を間違えてしまって。これじゃ夜空に上がったら見えないから使えないって……」
「そうかい。じゃあアタシに一個だけ見せてもらえやしないかい?」
「いいんですか?」
 目を輝かせた妖怪が、花火に火をつける。その花火を見たパラスは、楽しそうに微笑んだ。
「へえ。いいじゃないか。この花火、アタシにおくれ」
「え?」
「その代わり、アンタ達に面白い花火大会を見せてやるよ」
 花火玉を手に持って笑みを浮かべるパラスに、花火職人見習いは驚きに目を見開いた。

● 地上に咲く花火
「今から花火大会を兼ねた訓練を始めるよ」
 小さな花火がいっぱい詰まった籠を手に持ったパラスは、何事かと集まってくる猟兵達に花火を手渡した。

「やるのは水鉄砲を使ったサバイバルゲームさ。猟兵は二手に分かれて水鉄砲で撃ち合って、頭に取り付けたポイが破れたら負け。簡単だろう?」
 ポイを隠してはいけない、中身を水以外の液体に変えてはいけない。いくつかの注意点を告げたパラスは、籠の中から花火玉を一つ取り出すと導火線の先端を揉んで砂浜に投げた。
 ジリジリと導火線を焼いた火は、ぱあん! と小気味良い音を立てて花開く。直径1メートルほど花開きその場で静止した花火の上に乗ったパラスは、次々と花火を爆発させるとその上を飛び移った。

「それだけじゃつまらないからね。この花火を使わせて貰うよ。この花火は小さくて直撃しても精々軽い火傷くらいで済む。だが水に濡れても爆発するし、導火線の長さ次第で好きなタイミングで爆発させられるから時間差攻撃にもなる。花火はしばらく滞空して、上に乗ることもできる。目潰しでも地雷でも空中戦でも、存分に活用おし」

 そう言ったパラスは、崖の上に目をやった。そこに集まっているのは、妖怪たち。猟兵達がウォーターサバイバルゲームをしながら花火を使えば、砂浜は花火大会会場になるという寸法だ。
 砂浜にはたくさんの障害物もある。うまく活用するといいだろう。

「妖怪たちに危険が及んじゃいけないからね。ユーベルコードは使用禁止だよ。だがそれ以外は自由にするといい。訓練がてら、妖怪たちを楽しませてやろうじゃないか」

 パラスは不敵に笑うと、上空に花火を咲かせた。


三ノ木咲紀
 オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
 ウォーターサバイバルゲームのお誘いに伺いました!
 基本はPvP。普段手を取り合う猟兵達と、水鉄砲で撃ち合いながら花火を楽しんでくださいませ。
 花火を使うのは強制ではありませんが、プレイングボーナスが付きます。
 また、崖の上から猟兵の戦いを見物がてら花火大会と決め込んでも構いません。

 ルールは以下のとおりです。
 1 水鉄砲の中身は水です。
 2 水鉄砲は用意してあります。
   どんなものでも大抵ありますので、ご指定ください。
   ご自分の水鉄砲でもOKです。
 3 額に金魚すくいに使うポイを取り付けて、それを破けば勝ちです。
   破られたら脱落。早々に脱落して地上の花火を楽しんでもいいです。
 4 チーム戦の場合、最後の一人がいるチームが勝利です。
 5 ポイを隠してはいけません。結界等で守るのもだめです。
 6 花火の効果はOPの通り。いくつでも使えます。
 7 UCは使用禁止。技能とアイテムは自由にお願いします。
 8 複数人でご参加くださる時は、2チームに分かれてください。
 9 単独参加の場合は、他の単独参加の方と対戦します。
   どんな組合せになるかはプレイング次第です。
   サポート様と対戦する場合もあります。
 10 プレイングに勝敗をお書きください。無い場合は勝敗はフワッとします。

 プレイングは7月29日(木)朝8:31~7月30日(金)23:59まで。それ以降はロスタイムです。
 パラスは審判扱いで参戦はしません。脱落時等の花火見物時にお声がけがあれば登場します。
 それでは、良きサバイバルゲームを。
121




第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW妖怪花火で空へGO!
SPD妖怪花火の上で空中散歩
WIZ静かに花火を楽しもう
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


● サバゲー会場≒駄菓子屋の店先
 サバイバルゲームの会場となる広い砂浜には、大小様々な巨大駄菓子が並べられていた。
 ふ菓子が天に向けて突き刺さり、小さいドーナツがあちこちに並べられ。練れば練るほど色が変わる知育菓子がトラップのように砂浜に置かれては、パチパチ弾ける綿菓子の霧が立ち込める。
 その変わりようを呆れた目で見たパラスは、隣に立つ新し親分を振り返った。
「障害物があったらいいとは言ったが……。巨大な駄菓子とやらを置くとは思わなかったよ」
「ふふーん。こんなバズりそうなイベントで普通の障害物作るワイちゃんやあらへんで! おもろいサバゲーでバズりまくりや!」
「ま、これだけ色々ある戦場だ。利用してもいいししなくてもいい。猟兵ならうまくやるさ」
「そういうことや!」
 特設のアナウンサー席に陣取ったバズリトレンディは、マイクを片手にピストル振り上げ立ち上がった。
「さあ! おもろなってきたでー猟兵vs猟兵のサバイバルゲーム! 誰が一番バズるんか、とくと見せてもらうで! ほな、ゲームスタートや!」
 ぱあん! と音を立てたピストルからチープな国旗が飛び出した時、猟兵達は一斉に駆け出した。
チル・スケイル
ラッシュガード水着を着ます

魔法を封じ、素の体力を競うのもいいでしょう
両手に2丁の水鉄砲でお相手します

妖怪花火は足で蹴って使います。正確に蹴る事はできませんが撹乱にはなるかもしれません

相手の水を、翼で飛んでひらりと回避。そのまま両手の水鉄砲を連射、連射。空中からの範囲攻撃で仕留めます

(A&Wを徒歩で旅していたので、ウィザードだが持久力がある)
(銃型の杖で銃撃戦は慣れている)
(多少の火傷は瞬時に冷やすのでものともしない)

(結果とか色々お任せ。負けてもいい)

…ああ。汗も日差しも清々しい。


ディ・アルカード
あぢぃ〜だりぃ〜
ほんま真夏の太陽、白い砂浜とか陰キャには別世界やちゅうねん、、、

(黒いボクサーパンツの水着に白いパーカーを着込み、ダンピール由来の青白い不健康そうな顔色で愚痴ります)

ユーベルコードは禁止な
でも技能とアイテムは利用可能
ふーん、、、
巨大な駄菓子を見つめて悪い顔を

ええこと考えた♪

砂浜に仁王立ちして
前髪を掻き分け美形を晒してニヤリ
辞めるんやったら今のうちやぞ

巨大駄菓子と水鉄砲の水を【スクラップ】化、使い魔へ

脚の生えた巨大駄菓子が砂浜を縦横無尽に走り回り
慌てとる所を
水鉄砲の水を念動力込みで操作して
ありえへん軌道でバンバン撃ち込んだります

勝敗についてはお任せします


● 戦いは開始前から始まっている
 情け容赦なく照りつける太陽が、ジリジリと肌を焼く。真夏の太陽はUDCアースもカクリヨも変わりは無いようで、体力を奪う夏の圧に肩を落としたディ・アルカード(【D】・f34040)は、手にした団扇をパタパタと扇ぐと腹の底から声を出した。
「あぢぃ~だりぃ~……。ほんま真夏の太陽、白い砂浜とか陰キャには別世界やちゅうねん……」
「本当に暑いですね」
 ディの隣に立ったチル・スケイル(氷鱗・f27327)は、涼し気な顔で降り注ぐ陽光に目を細めていた。
 竜派ドラゴニアンの肌を覆うのは、身体にピッタリフィットするスポーツ用ツーピース水着と、同じくスポーツ用ラッシュガード。動きを妨げないことに重点が置かれた水着を着こなすチルは、陽光が眩しそうには見えるが暑そうには見えない。肌も青白く、どちらかといえば氷の魔法が得意なのだろう。夏場は常時クーラーの魔法かなにか掛けているのだろうか? 青白さで言えばダンピールであるディも似たところがあるが、自分は不健康そうな顔色である自覚はある。
 ディが着ているのは、シンプルな水着だった。黒いボクサーパンツの水着に白いパーカーを着込み、日差しの対策は万全だ。足元は黄色い鼻緒のビーチサンダルで、いい差し色になっている。チルのスポーツ用水着ほど動きやすさに特化はしていないが、それで不利になるほど動きにくくもない。選んだ水鉄砲は、連射可能で飛距離も長いタイプのもの。
 立ち上がったディは、改めてルールを確認する。ユーベルコードは使用禁止、技能とアイテムは利用可能。そしてフィールドに突如現れた巨大なオブジェ達。いかにもサクサクしそうな巨大ふ菓子を見たディは、悪い顔に悪い笑みを浮かべるとこっそり手のひらを傷つける。鈍い痛みと溢れる血を悟られないようにしたディは、颯爽と砂を蹴り駆け出した。
「ふーん……。ええこと考えた♪ さ、そろそろやろかチル!」
 会場の真ん中で仁王立ちしたディは、反対の手で前髪を掻き上げると陽光の下に素顔を晒した。普段は長い前髪に隠れた印象的な金色の目が挑発的に輝き、白くなめらかな頬が楽しそうに歪む。美しく整った顔立ちを披露したディは、待機用タープの作る日陰に立つチルに挑発の笑みを浮かべると、つい、と手を差し出した。
「辞めるんやったら今のうちやぞ」
「ご冗談を」
 ディの挑発に楽しそうな笑みを浮かべたチルがフィールド内へと駆け込んだ時、ゲーム開始のピストルが高らかに鳴り響いた。

● 妖怪花火は使いよう
 フィールドに駆け込んだチルは、手にした妖怪花火を砂に撒いた。先制を決められるかと警戒するが、ディの最初の狙いはチルではなかった。ゲーム開始のピストルが鳴ると同時に巨大駄菓子達に水鉄砲を放ったディは、掌の傷口を得意げに晒した。
 その直後、目の前にあった駄菓子に脚が生えた。目を見開いたチルに巨大駄菓子が迫る。ディの血を付与され使い魔となった巨大駄菓子は、細長い菓子の身体を振り回すとチルに迫った。
 翼を広げ空を飛び回避したチルに、ありえない方向から水が飛んでくる。自らの血を与え、水とフィールド内の巨大駄菓子を使い魔としたディは、【スクラップ】で次々に使い魔を増やしながら楽しそうに笑った。
「さあ、走り回りやスクラップ! 撹乱と防御は任せたで!」
 ディの指示に、駄菓子達がフィールドを縦横無尽に駆け回る。空を飛び回避したチルはディのポイめがけて水鉄砲を放つが、駄菓子に阻まれ思うように狙えない。基本は地上を駆け回る駄菓子達だが、念動力で操作された水がありえない方向から飛んでくるため少しも油断できない。回避と防御に追い込まれたチルは、鍛えられた身体を優美にしならせた。
「魔法を封じ、素の体力を競うのもいいでしょう。この2丁水鉄砲でお相手します!」
「こっちはウォーターガンや! ほれ避けてみい!」
 ディが応じた直後、背後から水が飛んでくる。咄嗟にポイを庇ったチルに、マシンガンのように放たれた粒ガムが迫る。空中機動を駆使して回避したチルは、両手の水鉄砲をフィールドに向けると面攻撃に出た。
 広範囲に放たれる水はそこにいる全ての存在を濡らし尽くす勢いで降り注ぐが、シート状駄菓子がディを庇って有効打を与えられない。周囲に溢れる蒲焼きのタレの香りに眉を顰めたチルの翼に、再び粒ガムが迫った。
 翼を連続強打されたチルは、姿勢を保ちきれずに地上へと落ちる。着地したチルに勝利を確信したディが、水鉄砲の銃口をチルのポイに向けた。
「チェックメイトやな」
「どうでしょう?」
 ディが引き金を引く直前、チルは砂を蹴り上げた。反射的に目を庇ったディに、仕込んであった妖怪花火を砂と一緒に叩き込む。
「わっ! こんなことしよったかて無駄な足掻き……ってこれ!」
「妖怪花火ですよ」
 チルが言った直後、妖怪花火が炸裂する。昼間に鮮やかな花火が花開き、上に乗れる強度の火花に押されたディが弾き飛ばされ砂に倒れる。
 妖怪花火の上に飛び乗ったチルは、無防備になったディのポイに狙いを定めた。
「チェックメイトです。妖怪花火を活用した私に、分がありましたね」
 チルが放った水が、ディのポイを破る。その直後、再びピストルの音が響いた。
「勝負あり! 勝者、チル・スケイル!」
「……ああ。汗も日差しも清々しい」
 審判の声に、会場が大沸きに沸く。妖怪花火から降りたチルは、額に浮いた汗を拭うと降り注ぐ日差しに眩しそうに目を細めた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

栗花落・澪
【犬兎VS狼鯱】
宗田君一人勝ち

ペア戦は初めてだなぁ…
緊張するぅ…

水鉄砲に水魔法を乗せ連射式に
駄菓子の陰に隠れつつ射撃
紫崎君を優先に、目晦ましの合間に晃くん狙い
夏輝君が不利にならないように

途中紫崎君に接近されかけ
驚く間もなく夏輝君に抱えられて

ふえ? うえぇー!?
あ、うん…へ、平気…がんばる…

けれどもう一度晃君を狙おうと……あれ?

あっ、晃くん!? ひゃあっ!

接近戦は大の苦手
掴まれたら逃げる事なんてできない…けど
腕を自由にさせてたのは、失敗だったかもね

撃たれそうになる瞬間
わざと自分ごと巻き込む覚悟で花火炸裂
その隙に水鉄砲を構え反撃、結果相打ち

夏輝君も負けちゃったかぁ…仕方ないね
背中大丈夫ー?


堺・晃
【犬兎VS狼鯱】

その点は僕が援護しますよ
それより問題は夏輝君ですね
彼の足は少々厄介かもしれません
僕に少し作戦があるんですが

ゲーム開始後は基本的に物陰から動かず援護射撃
澪君が顔を出した瞬間だけ澪君を狙う形で満遍なく
同時に視線を巡らせ障害物位置を把握

一旦宗田君が戻ってきたら微笑で迎え

順調ですね
ではそろそろ動きましょうか

隠れている間に★人形に自身の姿を真似させ
澪君から丁度見える場所に囮として設置
投げた花火の目晦ましや霧を利用し障害物の影を移動しながら
澪君の死角を取ります

気付くのが遅いですよ

そのまま澪君を押し倒すように捕まえ
頭のポイを狙わせていただきます

が…まさか自滅覚悟で反撃されるとは
流石ですね


紫崎・宗田
【犬兎VS狼鯱】

水鉄砲なぁ…銃なんざ使った事無ェぞ

あぁ…チビは接近戦にさえ持ち込めばどうとでもなるが
小林に本気出されたら誰も追いつけねぇぞ
あ? 作戦?


開戦後は真っ先に突っ込む
反射神経には自信があるからな
動きが読み的確に回避しながら練り菓子へと追いやり
けれど回避されても気にしない
目的は小林の視線と思考の誘導

花火を利用できるのは…テメェだけじゃねぇだろ!

対空する花火を逆に足場にし
小林を避けて澪への接近狙い
逃げられたら舌打ちしつつ一旦堺の元へ

あいつらには接近戦は俺だけと印象付けた
後はお前次第だ

再び小林との接近戦
堺に気付いた小林の隙を見逃さず
腕を掴んで背負い投げからの水鉄砲

悪いな
お前に加減はしねぇよ


小林・夏輝
【犬兎VS狼鯱】

軽く準備運動をし水鉄砲をくるりと回しながら

確かに、相手がちょーっと悪いかもな
でもま、俺がいるし?
頑張ろうぜ

基本的には澪から一定範囲以上には離れず
ダッシュで撹乱+援護射撃

紫崎は射撃専門外の筈だから…あいつさえ足止めできればっ

花火を有効活用
紫崎の壁にしたり足場にしながら身軽に連撃

あっぶね!
足場作っててよかった~!

けれど花火を逆に利用され

やっべ…澪!!

澪の護り優先で引き返し
姫抱きして別の障害物まで逃亡

大丈夫か?
予想通り、晃は基本援護みたいだし…
引き続き紫崎は引き受けるから
無理すんなよ

ただ…晃の狡賢さも紫崎の物理も
絶対嘗めちゃいけないやつだった…

いって…力技はズりぃだろお前ぇー!馬鹿!


● 狼鯱の作戦会議
 広いフィールドの東側に陣取った紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)は、手にした水鉄砲の照準を合わせて明後日の方向に試し打ちした。試合開始まではまだ少しある。狙いを定めて放った水は、狙いの隣の木の幹を濡らす。使いやすい水鉄砲を選んだつもりだが、やはり慣れない得物は使いづらい。
「水鉄砲なぁ……。銃なんざ使った事無ェぞ」
「その点は僕が援護しますよ。それより問題は夏輝君ですね」
 飛距離の稼げる水鉄砲の整備をしていた堺・晃(元龍狼師団師団長・f10769)の声に振り返った宗田は、すうっと集中に入る晃の姿に半歩引いた。晃の放った水は狙い違わず木の幹を濡らし、その精度の高さに内心感心の息を吐く。
「あぁ。……チビは接近戦にさえ持ち込めばどうとでもなるが、小林に本気出されたら誰も追いつけねぇぞ」
 宗田の指摘に晃も頷く。柔らかそうに見える目を油断なく輝かせた晃は、口元に冷たい笑みを浮かべると宗田を振り返った。
「彼の足は少々厄介かもしれません。ですが、僕に少し作戦があるんですが、乗っていただけますか?」
「あ? 作戦?」
 水鉄砲を担ぎ上げて首を傾げる宗田に、晃は不敵な笑みで作戦を伝えた。

● 犬兎の作戦会議
 一方その頃。
 やけに静かな東側陣営を駄菓子越しにチラリと見た栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、手に持った水鉄砲を抱きしめると不安そうに呟いた。
「ペア戦は初めてだなぁ……。緊張するぅ……」
 緊張する、と言うと自分が緊張しているのを更に自覚してしまう。水鉄砲バトルの相手は宗田と晃。その実力は側にいる澪はとても良く知っている。味方に付けば頼もしいことこの上ないが、それはイコール敵対したときの厄介さにも繋がるのだ。
 緊張する澪の声に振り返った小林・夏輝(お調子者の珍獣男子・f12219)は、水鉄砲を使ったストレッチの手を止めた。緊張に身を強張らせる澪の姿に水鉄砲をくるりと回して腰のホルダーに収めると、ストンと澪の隣に座る。
 砂に落とした澪の左手のすぐ側に夏輝の右手の温度を感じた澪は、反射的に指を強張らせる。その気配に気付いたのだろう。右手を握り締めて胸を叩いた夏輝は、澪を安心させるように微笑んだ。
「確かに、相手がちょーっと悪いかもな。でもま、俺がいるし? 頑張ろうぜ」
 向日葵のように微笑む夏輝に、澪はゆっくりと息を吐く。そうだ。澪はひとりじゃない。夏輝の実力は澪もよく知っているし、澪だって守られるばかりの無力な子供ではない。二人で力を合わせれば、あの二人にだってきっと勝てる。
「うん。そうだね。頑張ろう! そして勝とうね!」
「その意気だよ!」
 微笑みあった澪が緊張を解いた時、開始一分前を告げるブザーが鳴る。さっきとは別の緊張感を持って水鉄砲を構えた澪は、鳴り響く競技開始の合図に水鉄砲を発射した。

● 花火戦術~犬vs狼
 開戦の合図と同時に駆け出した宗田の姿に、夏輝は水鉄砲で牽制しながら駆け出した。澪からは離れ過ぎない距離を保ちながら宗田の死角を取り、容赦なくポイを狙いに掛かる。ポイさえ破けば負けのルールは、当然宗田も知っている。額狙いの水鉄砲を急停止と上体反らしで回避すれば、その勢いを殺さずにバク転で態勢を整える。
「紫崎は射撃専門外の筈だから……あいつさえ足止めできればっ」
 無防備なポイに追撃を仕掛けようとするが、迫る水の気配に姿勢がブレる。晃の的確な援護射撃に舌打ちした夏輝は、その隙に澪がいる駄菓子に向けて駆ける宗田に銃口を向けた。
 放たれる水はことごとく回避されるが、それでいい。澪へ真っ直ぐ向かっていた宗田は、夏輝を排除しなければ接近戦を仕掛けられないと判断したのだろう。夏輝へ向けて銃口を向けると、勢いよく水を放った。
 同時に左方向から晃の援護が飛ぶ。挟み撃ちの形になった夏輝は、足元で炸裂させた花火に飛び乗った。間一髪。胸元に水を浴びながらもポイは守った夏輝は、こちらに狙いを定める宗田の銃口が目に入った。
 回避の方向を読まれていたか。不利になるのは承知の上で砂の上にダイブしての回避を選択しかけた夏輝は、宗田の動きに目を輝かせた。
 一瞬動きを止めた宗田が射撃を諦め後ろに飛ぶ。一瞬前まで宗田がいた空間を幾筋もの水鉄砲の水が通過する。澪の援護射撃に感謝の視線を一瞬だけ送ると、態勢を崩した宗田へ狙いを定めた。
 そこへ感じる嫌な予感。第六感に振り返った夏輝は、手にした花火を放った。
 直後、爆発。綺麗な花弁を空中に開かせた花火に晃の水が突き刺さり、盾となり滞空する。更に花火を炸裂させた夏輝は、宗田の上を取るとポイに狙いを定めた。
 視線の先には、同じ姿勢の宗田の姿が目に入る。上から下へ。下から上へ。互いに互いのポイに狙いを定めた夏輝は、不敵に笑む宗田に笑みを浮かべた。
 同時に射撃。放たれた夏輝の水は、砂を蹴り斜めに倒れ込んだ宗田に回避される。花火を蹴った夏輝は、反動をつけると空中にジャンプした。夏輝の身体が空中に弧を描く。頭の下を通過した花火を見送った夏輝は、砂地に着地すると額に浮かんだ汗を拭った。
「あっぶね! 足場作っててよかった~!」
「花火を利用できるのは……テメェだけじゃねぇだろ!」
 宗田の声に顔を上げた夏輝は、宗田の行動に目を見開いた。不自然な姿勢で砂地に着地した宗田は、足元に埋めた花火を炸裂させるとその勢いで一気に澪へと距離を詰めたのだ。
 その行動に、夏輝は総毛立ち叫んだ。
「やっべ……澪!!」
 叫ぶが早いか、夏輝も落とした特大の妖怪花火の炸裂に合わせて駆ける。接近しながらも宗田は澪に向けて幾筋もの水鉄砲を放っているが、彼の射撃の命中精度では遠距離から水を当てること自体が難しい。
 だが、宗田もそれは承知の上だ。接近戦に持ち込もうと澪に向けて駆ける宗田の背中に、夏輝は猛然と追いすがった。

● 援護合戦~兎vs鯱
 時は少し遡る。
 飛距離の出る水鉄砲を構えた澪は、駄菓子の陰から二人のバトルを冷静に観察すると引き金を引いた。
 澪を狙い真っ直ぐに駆ける宗田を、夏輝が牽制する。息つく暇もなく撃ち合い、回避し合う水鉄砲バトルに援護射撃を入れた澪は、相手方後衛からの援護に頬を膨らませた。
 晃の援護は的確で、確実に夏輝に不利になるよう、宗田に有利になるよう絶妙なタイミングを突いてくる。宗田のポイを破る絶好のチャンスを逃したのを見た澪は、狙いを晃へと変更した。晃の援護が無ければ、夏輝は格段に動きやすくなる。
 援護に夢中になっている晃を狙い水を放つ。一瞬の沈黙。やった? と思った澪に、水鉄砲が放たれた。
 どうやら外したらしい。宗田への援護と同時に澪への攻撃に気を逸した晃に、澪は水に語りかけた。
「お願い。素早く動いて!」
 澪の囁きに応えた水が、水鉄砲を連射モードに変える。続けざまに撃つ水に、晃の動きが止まった。厄介な援護を引きつけた澪は、できるならここから仕留めたいと意識を晃に集中する。確実にポイに当たる射線を捉えた時、夏輝の声が響いた。
「やっべ……澪!!」
 夏輝の声がした直後、澪の肩に水が掛かる。こちらに向けて接近戦を仕掛けようと、猛然とした勢いで駆ける宗田の攻撃が来たのだ。精度こそ悪いが、それも近づかれれば終わりだ。射撃のために集中していた澪は、急変する状況にうろたえた声を上げた。
「ふえ? うえぇー!?」
「貰った!」
「澪!」
 真っ直ぐ澪のポイを狙う宗田の姿が消える。代わりに射線に割り込んだ夏輝は、背中をずぶ濡れにしながらも宗田の攻撃を耐えきると澪を抱え上げた。
「うえ、あ、夏輝くん!?」
「大丈夫か? ごめん、油断した!」
「あ、うん。……へ、平気……がんばる……」
 いつになく真剣な目の夏輝の横顔が近い。思ったよりも力強い腕に横抱きされた澪は、南側の駄菓子の後ろに下ろされると早鐘を打つ心臓を宥めた。
 逃走を図った澪達を追いかけてくる気配はない。とりあえず膠着状態になった戦況に、夏輝は汗を拭いて水を飲んでいる。ようやく落ち着いた澪は、自分の水筒を開くと水を口にした。
 一瞬たりとも気を抜けない戦いだったことは、援護した澪も同じだ。一戦交えて未だに戦力は変わらず。次で勝負は決まる。そう思った澪の気持ちを代弁するように、夏輝は応えた。
「予想通り、晃は基本援護みたいだし……。引き続き紫崎は引き受けるから、無理すんなよ」
「うん。援護は任せて!」
「任せた」
 微笑みあった澪と夏輝は、差し出した水筒を軽く打ち鳴らした。

● 奇襲と奇襲~鯱vs兎
 一旦戻ってきた宗田を迎えた晃は、不機嫌そうな宗田を微笑みで迎えた。
 ここまでは概ね晃の読み通り。澪に狙撃されかけた時はヒヤリとしたが、作戦が読まれた形跡はなさそうだった。援護と同時に全体の障害物を把握したから、澪達がどこに隠れたのかは把握している。
「順調ですね」
「あいつらには接近戦は俺だけと印象付けた。後はお前次第だ」
「分かっていますよ。……ではそろそろ動きましょうか」
「おう」
 水を一気に飲み干して人心地ついた宗田を、休ませる暇もなくすぐに作戦行動に出る。緩んだ緊張感に体力を回復させたいのはこちらも同じだが、休まなければならないというルールはない。
 Mirror Dollに触れた晃は、自身そっくりになった人形をそっと隣の障害物の陰に置いた。場所移動した澪達のいる駄菓子からは、絶妙に見え隠れする位置だ。澪達もこちらに気付いたのだろう。即座に飛んでくる水鉄砲に花火に火を付けた晃は、連続して投げた。
 派手な音を立てて、花火が炸裂する。それでもなおこちらに向けて正確な水が飛んでくるのはさすがだ。特別派手な花火の音と光の陰に隠れた晃は、息を潜めると一気に澪へと駆け寄った。晃は接近戦は仕掛けてこない。そんな先入観を持っていた澪は、突然現れた晃に慌てた声を上げた。
「あっ、晃くん!?  ひゃあっ!」
「気付くのが遅いですよ」
 振り返る澪を押し倒し、肩を膝で押さえつける。至近距離に迫った澪のポイに狙いを定めた晃は、勝利を確信すると口元に笑みを浮かべた。
 そんな晃の笑みに、澪もまた笑みを浮かべた。
 その直後、花火が炸裂する。自爆覚悟で炸裂した花火に視界を奪われた晃は、闇雲に引き金を引く。失われる視界の回復に気を取られた晃は、頭に感じる水しぶきに力を抜いた。
「腕を自由にさせてたのは、失敗だったかもね」
 回復した視界の先では、澪が水鉄砲を構えている。晃のポイは見るまでもなく破れたが、澪のポイも破れている。
「まさか自滅覚悟で反撃されるとは。流石ですね」
 大きく息を吐いた時、地面を揺るがすような音が響いた。

● 勝者決定~狼vs犬
 花火の目くらましが炸裂すると同時に駆け出した宗田は、読み通りこちらに駆け寄る夏輝の攻撃に腕を上げた。水鉄砲から放たれる水からポイを守った宗田は、こちらに向けて総攻撃を仕掛けてくる夏輝の攻撃を回避しながら距離を詰めた。
 視界の端では晃が澪に向けて近づいている。もう少しこちらで引きつけなければ。水鉄砲で夏輝のポイに狙いを定めた宗田は、水の残量も構わず連続攻撃を仕掛ける。
 幾度撃ち合ったか。やがて水の残量ゲージがemptyに近くなるのを横目に見た宗田は、焦りの声を上げた。
「畜生! もう水がねえ!」
「終わりだよ。澪には指一本触れさせない!」
 決意の声を上げながら宗田のポイに狙いを定める夏輝に、宗田は口の端を上げた。
「じゃあ後ろを見てみろよ!」
「あっ、晃くん!?  ひゃあっ!」
「気付くのが遅いですよ」
「澪!」
 恐怖を含んだ澪の声に、夏輝の身体が硬直する。思わず振り返る隙を逃す宗田ではなかった。一気に間合いを詰め、腕を掴む。夏輝の下に潜り込んだ宗田は、勢いを殺すことなく夏輝を背負投た。砂地に容赦なく叩きつけ、そのまま体重を掛けて抑え込む。完全に相手の抵抗を抑え込んだ宗田は、それでも抜けようとする夏輝の抵抗に水鉄砲の銃口を向けた。
 最後の一射をポイに放つ。外すことなく放たれた水が夏輝のポイを破った時、試合終了のピストルが鳴った。
「終了! 勝者、チーム狼鯱!」
 審判の声と同時に、力を緩める。倒れ込んだまま動かない夏輝は、肩で息をしながら声を上げた。
「いって……力技はズりぃだろお前ぇー! 馬鹿!」
「悪いな。お前に加減はしねぇよ」
「夏輝君!」
 駆け寄る澪に、夏輝は差し出された宗田の手を無視して立ち上がる。頭を掻きながらバツの悪そうな笑みを浮かべた夏輝は、差し出されたタオルで汗を拭っていた。
「ごめん、澪。ポイ破られちゃった」
「夏輝君も負けちゃったかぁ……仕方ないね。背中大丈夫ー?」
「平気平気! それより澪も大丈夫だった?」
「うん! 至近距離で花火炸裂させちゃった」
「それは危ないよ!」
 話をする二人の会話に、宗田は大きく息を吐く。砂浜にしゃがみこんだ宗田は、湧き上がる盛大な拍手に手を振り応えた。
 熱戦を祝福する声援は、会場を割らんばかりに巻き起こるのだった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

乱獅子・梓
【不死蝶】綾との1vs1
金魚すくいのポイを頭に取り付けたのなんて
生まれて初めてだな…いや当たり前なんだが
コラ!撮るな撮るな!
というかお前、もう自分が勝ったような口ぶりだな??
フッ、その傲慢が命取りなんだぞ…!

ドラゴンたちを召喚することは出来ないが
俺には焔と零という心強い味方がいる
綾の気配を焔と零に鳴き声で教えてもらい
両手に一丁ずつ構えた水鉄砲で迎え撃つ!

クッ、どこかで攻勢に出たいが
今は凌ぎ続けるので手一杯だな…!
…なっ!?このタイミングで花火!?
動作を中断することも出来ず花火を撃ってしまう
至近距離からの花火の破裂音に、俺も焔も零も一瞬目を閉じ
目を開けた時には…あれ、綾はいったいどこに――


\負/


灰神楽・綾
【不死蝶】梓との1vs1
あははー、面白いよ梓
ポイが破れちゃう前に写真撮っておかないと
そりゃあ幾度となく梓との勝負で勝ってきたからね~?

飛距離が魅力的なウォーターガンを選択
これで遠くの死角から梓を狙ってやろうと思ったけど
なるほど、焔と零に協力してもらうことでカバーしたわけか
君たちならではの連携プレーだね

それならばと、矢継ぎ早に撃ちまくり
その途中で例の花火をポイッと投げつける
梓はそのまま勢いで花火を撃って爆発させてしまうだろう
一生懸命撃ち返すのにいっぱいいっぱいで
こいつの存在を忘れていたようだね?
花火の音と煙幕に梓たちが怯んだ一瞬の隙に
花火に飛び乗りジャンプ
上空から梓のポイ目掛けて発射だよ

\勝/


● 勝負は本番前に始まっている
 日は暮れて、夜の帳が降りる頃。
 額に派手なヘアバンドを巻きつけた乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は、そこに固定されたポイの感触に額を撫でた。鏡で見る自分の顔は変わらないのに、まるで大陸横断クイズに使われるようなシルエットがなんだか違和感が拭えない。
「金魚すくいのポイを頭に取り付けたのなんて、生まれて初めてだな……。いや当たり前なんだが」
「あははー、面白いよ梓」
 楽しげな声に振り返った梓は、直後に光るフラシュに目を細めた。そこにいた灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、案の定楽しげな笑みを崩すことなくパシパシと梓の写真を撮影している。その好奇の視線を手を上げて遮った梓は、眉をしかめると綾に抗議の声を上げた。
「コラ! 撮るな撮るな!」
「えー? でもポイが破れちゃう前に写真撮っておかないと」
 ニコニコ笑顔な綾の自信満々な態度に、梓は腹立たしげに腕を組んだ。自分のポイが破れるなど、ひとかけらも思っていないのだろう。自信満々な態度が正直腹が立つ。
「というかお前、もう自分が勝ったような口ぶりだな??」
「そりゃあ幾度となく梓との勝負で勝ってきたからね~?」
 楽しげに微笑む綾の顔に、梓は眉根を上げた。確かにこれまで綾とは何度も対戦してきたが、梓が勝利したのは何回あっただろうか? ……やめよう。空しくなってくる。
 頭を振って思考を断った梓は、今度は違うと顔を上げると焔と零に手を伸ばした。頼もしい二匹の相棒竜は、梓の腕と肩にちょこんと止まると綾に向けて威嚇の姿勢を取った。
「フッ、その傲慢が命取りなんだぞ……! ドラゴンたちを召喚することは出来ないが、俺には焔と零という心強い味方がいるんだからな!」
「おお、怖い怖い」
 全然怖いと思っていない顔で肩を竦める綾の笑みはやっぱり腹が立つ。梓は用意したとっておきの水鉄砲を手に取ると、綾の笑み顔に指をビシッと突きつけた。
「いいか! 今日は絶対、俺が勝つからな!」
「その意気その意気」
 余裕の態度を崩さない綾の顔をぎにに、と睨みつけた時、ゲーム開始一分前のブザーが鳴り響いた。

● 妖怪花火が花開き
 巨大駄菓子の置かれた会場に立ち入った綾は、駄菓子の陰に隠れると神経を研ぎ澄ませた。ランダムに置かれた様々な形の駄菓子達。その陰に隠れながら梓の位置を探るのは、サバイバルゲームというよりもハンティングに近い気がする。
 息を潜めてしばし。梓の位置を確認した綾は、そのまま心を落ち着けると梓のポイに狙いを定めた。
 梓はこちらに気付いていない。会場の対角線上にいるのだから無理もない。綾が選んだ水鉄砲は、用意された中では最も飛距離の出るタイプのもの。その分大きく重くて扱いづらいのが難点だが、それは大した問題じゃない。狙いを定めた綾が引き金に指を掛けた時、鋭い声が響いた。
「キュー!」
 頭上にいる焔が、綾を見つけたと言わんばかりに声を上げる。動く気配に視線を戻すと、梓の姿は既にそこにいない。
「そこか!」
 梓の声が響いた直後、連続した水鉄砲の攻撃が迫る。梓が選んだのは連射の効くタイプの水鉄砲のようだ。両手に持ち取り回しに自由が効き、飛距離はウォーターガンよりも短い。対象的な銃を選んだ梓は、即座に会場を駆けると綾の居場所に向けて連続して水を放った。
 ふ菓子を背に第一陣をやり過ごす。一瞬の隙を突いて場所を移動する綾に、焔と零がピタリと取りついては場所を主に教える。
「なるほど、焔と零に協力してもらうことでカバーしたわけか。君たちならではの連携プレーだね」
「焔も零も、もうお前を逃さねえよ綾! ぜってえ追い詰めてやる!」
 そう宣言した梓は、綾に向けて連射で牽制しながらジリジリと間合いを詰める。このまま守勢に回ったらやられてしまうだろう。ならば攻勢に出るのみだ。
 目をスッと開けた綾は、物陰から梓に向けて矢継ぎ早に水鉄砲を放った。普段ドラゴン達を使役する梓より、ナイフなどを投擲することもある綾の方が水鉄砲戦に対して一日の長がある。矢継ぎ早な綾の攻撃に、梓は怯んだようだがすぐに反撃に出た。
 綾が放つ水鉄砲に呼応して撃ち返す。綾の得物よりも連射機能では勝るだけに、油断するとすぐにポイを持っていかれる。ヒリヒリするような攻防だが、それが一定のリズムを刻んでいることに梓は気付いているだろうか?
 そろそろ梓が焦れる頃か。どこかで攻勢に出たいが、今は凌ぎ続けるので手一杯だな……! など考えてるんだろうと読んだ綾は、タイミングを合わせて花火を投げた。
「……なっ!? このタイミングで花火!?」
 焦った梓の声が響くのが早いか。色鮮やかな花火が地上で花開いた。派手な破裂音に、きらびやかな花火。薄暗さに慣れた目に突然の光は眩しく、視界を奪ったことだろう。
 それを予測し目を閉じた綾は、光が収まった瞬間駆け出すと花火の上に飛び乗った。
「あれ、綾はいったいどこに――」
「ここだよ」
 にこやかに笑みを浮かべ、梓のポイに向けて水を放つ。至近距離からの水圧に梓のポイが破れた時、アナウンスが響き渡った。
「勝負あり! 勝者、灰神楽・綾!」
 審判の声と同時に、大歓声が響き渡る。不意を打った至近距離からの水圧に尻餅をついた梓に、綾は手を差し出した。
「一生懸命撃ち返すのにいっぱいいっぱいで、こいつの存在を忘れていたようだね?」
「うっせえ!」
 不機嫌そうに眉を顰めた梓が、差し出した綾の手を派手な音を立てて叩き掴む。腹いせのような痛みに頬を緩めた綾は、妖怪たちの大歓声に手を振って応えた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年08月01日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵