夏彩妖夜祭(作者 犬塚ひなこ
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#カクリヨファンタズム  #お祭り2021  #夏休み 


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●夜明かしの妖怪祭
 大いに盛り上がった夏のカクリヨ。
 コンテストの会場となった夜の浜辺には波音が響いており、妖怪親分達が用意してくれた妖怪花火が次々と打ち上がっている。
 一斉に小花が咲く千輪花火。
 枝垂れ桜や柳のように美しく流れてゆく冠菊の煌めき。
 光の跡を残しながら八方に散る金や銀の花火。たくさんの星が集って丸い花を形作っていく牡丹花火などが上がる度にふわふわとした人魂が空に揺らいだ。
 そうして、今宵の夜空は華やかに彩られていく。

 少し不思議な妖怪花火が見える浜辺の一角。
 其処にはカラフルに連なった提灯が並び、賑わしい声が響き渡っていた。明るい燈火と声の正体は様々な祭り屋台から発せられるもの。
「あいよ、焼きたてのタコ焼きだよ! 焼きそばもオススメさね!」
「ひんやりアイスクレープありますよー。お豆腐を使ってるからヘルシーですよーっ」
「ヨーヨー釣り、やってくかい?」
「飴細工、飴細工~。リンゴにイチゴ、金魚や花飴もあるよ~」
「天ぷら、いかがですか?」
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい、メダル射的だよ!」
「活きがいいよ! 元気もいいよ!」
 天狗に豆腐小僧、小豆洗い、一反木綿に童子妖怪、化け狐と狸。
 それらは東方の者達を中心とした妖怪達が出している祭り屋台。どうやら花火の海の賑わしさに更なる彩りと楽しさを宿すために訪れたようだ。
 夜空に光の花が開いていく中、アヤカシ達の夜店は大いに賑わっていく。

●懐かしアヤカシ夏祭り
「夏よ、水着よ、花火よ! それからそれから、お祭りよ!」
 花嶌・禰々子(正義の導き手・f28231)はカクリヨのビーチで開かれている妖怪花火の催しを語る。其処では美しい花火を楽しんだり、花火と一緒に打ち上げられたり、空を染める花火の上で空中散歩が出来るのだが――。
「あたしがお世話になってる街の妖怪仲間が夜店を出すんだって張り切っちゃって、浜辺近くの一角にたくさんの屋台が連なってるの。よかったら皆も来ない?」
 仲間達を誘った禰々子はお祭り屋台がある場所を伝えた。
 屋台通りとなった道には色々な夜店が出ている。
 焼きそばやタコ焼き、お好み焼きなどを扱う天狗のお姉さんの焼き物屋台からは、香ばしい美味しそうな匂いが漂っている。
 豆腐小僧が手作りしたふわふわ豆乳クレープの屋台は、甘さ控えめなひんやりアイスが暑い夏にぴったり。とことん甘いものが好きならば用意されたトッピングで自由にアレンジしてもいい。
 小豆洗いが営むヨーヨーすくいの屋台では、カラフルな水風船がいっぱい。
 あつあつ天ぷら屋台を切り盛りしているのは可愛らしい童子妖怪達。
 一反木綿の飴細工屋はリンゴ飴やイチゴ飴などの飴の他に、金魚や菊等の繊細な飴細工が置いてある。頼めばお願いした形の飴も作ってくれるので、お土産にも最適だ。

 そして、今回の一番の目玉は射的屋。
 化け狸と化け狐がやっているメダルを使った射的なのだが、なんと狙う賞品が実際のあやかしメダルなのだ。
「あたしのオススメはやっぱり射的屋さん! あのね、まだ持ち主がいないあやかしメダルが主人を探しているの。あやかしメダルの妖怪達は『みごと我らを撃ち落としてみよ! さすれば力を与えよう!』って感じで張り切ってるらしいわ」
 射的屋ではまず、普通のコインが入ったメダルシューターを貸してくれる。
 夜店の台の上では様々なあやかしメダルがぴょんぴょん跳ねているので、それを狙ってコインを撃ち出していけばいい。そして、見事に命中すればあやかしメダルの主人になれるというわけだ。
 お祭りニャンコに青鷺火、すねこすり、アマビエちゃんに唐傘お化け。
 メダルに宿る妖怪も様々。
「中には黒いレアなメダルや、レジェンド級のメダルもあるって話よ。腕試しだけでも大丈夫らしいから、挑戦してみるのはどうかしら?」
 また、既にあやかしメダルを持っている人はシューターにセットすることもできる。
 メダル同士が衝突することで相手のパワーを分けてくれるらしいので、手持ちのあやかしメダルの強化にもなるらしい。
 何にせよ、どうやって夏を楽しむかは人それぞれ。
「あたしはまず天ぷら! エビの魂の天ぷらを食べに行くわ。それじゃあ皆も、お祭りと花火と夏の夜をいっぱい楽しんでね!」
 金魚帯の浴衣を翻した禰々子は一足先にお祭り屋台へと駆け出していく。振り向いて手を振る少女の向こう側では、美しい軌跡を描いた花火が夏の夜空を彩っていた。


犬塚ひなこ
 夏彩妖夜祭(なついろあやかしよまつり)にようこそ!
 こちらは猟兵達の夏休み2021、一章構成のシナリオとなります。

●お祭り!
 主にOPに書いてある屋台があります。
 色々と巡るもよし、花火を楽しむもよし。何をするかは皆様の自由です。水着でも浴衣でも、お好きな装いでお越しください。

 以下のおまかせ要素が利用できます。
『🍨』:クレープの味やトッピングおまかせ。
『🍭』:飴細工おまかせ。あなたに合う飴細工を作ってもらえます。
『🪀』:どんなヨーヨーが釣れるかおまかせ。
『🍤』:天ぷらおまかせ(ないと思うのですが妖怪にとって大事なので一応)

●メダル射的
 メダルシューターであやかしメダルを撃ち落とそう!
 妖怪はとっても頑丈なので遠慮なくどうぞ。
 腕試し、相棒メダル探し、同行者さんとの点数競いなどご自由に遊んでください。

 『🥇』の絵文字をプレイングのどこかに入れてくださった場合、
 プレイ後にあやかしメダルを入手したという扱いになります。どんなメダルかはご指定いただいて大丈夫です。何も書いていなかった場合、おまかせと受け取ってこちらで描写します。OPで描写した妖怪以外にもたくさんの種類があるので、迷った場合はぜひおまかせください。
 シナリオ内でご自身が入手したアイテムの作成はご自由にどうぞ!

●その他
 お呼びいただければ花嶌・禰々子(正義の導き手・f28231)がご一緒します。
 禰々子の名前をプレイング内に書くか、『🐈』の記号をご明記ください。
 初対面でもお気になさらず。ひとりだけど誰かと過ごしたい、グループに加わって遊んで欲しいなどなど、お気軽にどうぞ。呼ばれなかった場合は登場しません。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW妖怪花火で空へGO!
SPD妖怪花火の上で空中散歩
WIZ静かに花火を楽しもう
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


アイグレー・ブルー
ラファエラ殿(f32871)と🍭

本日は二人とも水着であります!
ラファエラ殿のはレースが凄くお洒落で素敵です
ふふっわたくしのはUDC原宿で買いました

とうとうこの日が…!二人で出店食べ歩きです
お約束していた通り今回はわたくしが奢る番であります…!両替もばっちりです(どや)

アヤカシ殿達の出店なんて初めてですっ
たこ焼きや焼きそばも食べたいし、甘い物も色々あって目移りしてしまいそう
ラファエラ殿、見てください!飴なのにいとも簡単に動物などの形になってるであります
わたくし達も一つずつ買ってみませんか?

ベンチで戦利品を一緒に美味しく食べながらまた次の相談を。次の約束があるだなんて友達ってとても素敵ですっ


ラファエラ・エヴァンジェリスタ
アイグレー(f20814)と🍭

水着を着るのも初なら友達と水着で出かけるのも人生初だな
アイグレーの水着というかアイグレーが可愛すぎて、なるほど、これが女子力…!
その水着はどこで買ったの?特別な仕立てなのだろうか

ふふ、食べ歩きの約束、楽しみにしていた
本当にご馳走になって良いのだろうか…?
…ん、順番こだものね
今回は甘える

屋台には何でもあるのだね
あっ、かき氷…でも綿あめもイカ焼きも気になる
…飴?
飴ってあんなに柔らかそうに色んな形になるの…?
これは私も絶対に欲しい!何の形にしてもらおうか

買い込んだ品々戦利品をベンチで堪能
そうだね、また遊びに行こう
ふふ、どこに行こうね
次は私がご馳走する


●重ねる約束
 夏の夜を彩る光と明るい声。
 海辺に花火が打ち上がる最中、妖夜祭も賑わいを深めていく。夜店通りへの道を並んで歩いていくのはアイグレーとラファエラのふたり。
 今宵の彼女達の装いは今年に新調した水着。
 白と黒とのコントラストが印象的で、ふわりと揺れる白いレースと薔薇の模様が美しいラファエラの水着を見て、アイグレーは緑の瞳を細めた。
「やっぱり、ラファエラ殿のはレースが凄くお洒落で素敵ですね」
 そんなアイグレーの装いは涼しげなミントグリーンと白の水着。あしらわれた花柄が愛らしく、明るい印象を与えるものだ。
 アイグレーの水着もさることながら、アイグレー本人が可愛すぎる。
「なるほど、これが女子力……!」
「ラファエラ殿も女子力たくさんですよ」
「そうか? それよりその水着はどこで買ったの?」
 特別な仕立てなのだろうか、と改めてアイグレーの水着を確かめるラファエラ。その姿が何だか可愛らしくも思えて、アイグレーはそっと微笑む。
「ふふっわたくしのは原宿で買いました」
「まるでアイグレーのためにあったような水着だ」
 ふたりは笑みを交わし、屋台が並ぶ方に歩を進めていった。ラファエラは水着を着るのも初めてなうえ、こうして友達と水着姿で出かけるのも人生初。
 そして、約束を果たすことになるのも今夜。
「とうとうこの日が……!」
「ふふ、食べ歩きの約束、楽しみにしていた」
 以前に二人でこうやって出かけたいと願っていたことが今、叶えられることになる。約束通りに今回はアイグレーがラファエラに奢る番。
「準備はばっちりであります」
 どやっと可愛らしく胸を張って見せたアイグレーは得意げだ。ラファエラはというと、ほんの少しばかり戸惑っていた。
「本当にご馳走になって良いのだろうか……?」
「約束ですからね。遠慮しないでください」
「……ん、順番こだものね」
 アイグレーの真っ直ぐな眼差しを受け、ラファエラは今回は甘えることに決めた。そうして、二人は賑わしい雰囲気が満ちる屋台通りに踏み出す。
 天狗に化け狐と狸、小豆洗いに豆腐小僧。
 アヤカシ達がやっている店を見渡したアイグレーの瞳が、夜店に灯る光を受けてきらきらと輝いた。
「たこ焼きと焼きそばと、わあ……クレープも食べたいです」
「屋台には何でもあるのだね。あっ、かき氷……でも綿あめもイカ焼きも気になるな」
「甘い物も色々あって目移りしてしまいますね」
 いらっしゃい、と呼ぶ妖怪達に笑みを返すアイグレーはとてもわくわくしていた。ラファエラも何があるかを見ていき、迷いながらも楽しい気持ちを抱く。
 しかし、すべてを一度に食べることは難しい。そこでラファエラが思いついたのは二人組ならではの作戦だ。
「それならシェアできるものはひとつを分け合うというのはどうかな?」
「いいですね、賛成です!」
 つまりは半分こ。たこ焼きやかき氷ならちゃんと分け合えるので一石二鳥。
 それだけではなく、ひとりで食べられるものも一緒に買えば夜店を十分に満喫できるというわけだ。
 ふたりは好きなものを選び、熱々のものや冷たくて甘いものなどを買い込んでいく。
 そんな中でアイグレーが見つけたのは或る夜店。
「ラファエラ殿、見てください!」
「あの店?」
「はい、飴なのにいとも簡単に動物などの形になってるであります!」
「……飴?」
 彼女が指差した方向を見ると、柔らかく伸ばされた飴がくるくると棒に巻き付けられているところが見えた。そのまま眺めていると、白い飴が見る間にうさぎの形に整えられていった。
「かわいいですね、あのうさぎ殿」
「飴ってあんなに柔らかそうに色んな形になるの……?」
「そうみたいです。わたくし達も一つずつ買ってみませんか?」
「ああ、あれは私も絶対に欲しい!」
 何の形にしてもらおうか、と語り合いながら屋台に向かうふたりはとても楽しげな微笑みを宿していた。
「すみません、飴細工をふたつお願いしたいであります」
 そして、アイグレーが店主の一反木綿に声を掛けた暫し後。
 ふたりの手にはそれぞれの飴細工が握られていた。
 ラファエラは透き通ったブルーの飴で形作られている豪奢な雰囲気の薔薇の花飴。アイグレーは夜空を思わせる濃いブルーベリー色の飴に、きらきら光る金平糖が星のように浮かんだ夜空飴。
 飴を一番大切に持ちながら、両手いっぱいに戦利品を抱えたふたりは浜辺の片隅に歩いていく。これから始まるのはお祭り屋台飯パーティーめいた時間。
「これ、とってもおいしいです。わ、あつっ」
「こっちは冷たくて……う、キーンとした」
「火傷にも冷たさにも気をつけないといけませんね」
 微笑みを重ね、過ごすひとときはとても楽しいもの。夜空にあがる花火も、作ってもらった飴細工もとても綺麗で愛らしい。
 空の花火を眺めたアイグレーはふと隣のラファエラの横顔を見遣る。
「今度も一緒に、どこかに行きましょうね」
「そうだね、また遊びに行こう。ふふ、どこに行こうね」
 次は私がご馳走するよと返したラファエラもまた、アイグレーに顔を向けた。ひとつずつ約束を叶えれば、また次の約束が巡る。
 再び花火を振り仰いだ二人は同じことを考えていた。
 それは――友達という存在は、とても素敵なものだということ!
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

揺・かくり
🍭🐈

白装束の如き浴衣を纏う
君の気配を感じ取って其方の方角へと
常と同じ様に、宙を游いで往こうか。

――やあ、禰々子。息災かい?
久方振りだね。此方は見ての通りなのだよ
良ければ、祭を共にしないかい。

此度の祭りも、賑わって居る様だね
私は……そうだね。飴細工が気に留まるよ。
其方へと向かっても良いだろうか。

やあ、店主。二つ拵えて呉れるかい。
此れと云った希望は……そうだね、
一つは、青漆の彩を取り入れて欲しいのだよ
もう一つは、隣の君に相応しい品を。

此度は、貴重な時間を頂戴して仕舞ったね。
愉快なひと時を有難う。良ければ、受け取って呉れるかい?

微笑えるように成ったのは、つい先日の事だ。
君に、ぎこちなく手渡そう。


●甘い青漆
 ふわり、ゆらりと宙を游いで、進む先は夏の海辺。
 夏の風を受けた白装束の如き浴衣の裾が、素足と共に揺らいだ。袖に描かれたささやかな彼岸花の柄はまるで白い世界に咲く花火のよう。
 真白な浴衣のかくりとは対称的に、鮮やかな赤い浴衣を身に纏った少女がひとり。かくりの横を一度は駆けていった彼女は、はっとすると同時に振り向いた。
「あら、かくりじゃない!」
「――やあ、禰々子。息災かい?」
 声と気配を感じ取ったかくりは、禰々子の方角へとゆっくりと游いで往く。こっちこっち、と手招きをした少女もかくりに歩み寄ってくる。
「とても元気よ。かくりは?」
「久方振りだね。此方は見ての通りなのだよ」
「なるほどね、かくりはかくりのままってわけね!」
 鈍く光る金の瞳と、琥珀色の瞳がゆるりと交差した。禰々子が明るく笑う中でかくりは道の先にある屋台通りを示す。
「良ければ、祭を共にしないかい」
「ええ、ぜひ! あたしも同じことを言おうとしていたところだったの」
 一緒に夜店を巡るのはきっと楽しい。ふたりは歩みと游ぎを合わせ、会っていなかった時分の話を語りながら浜辺の屋台に向かった。
 賑わう夜店の周辺は明るい。
 灯された提灯の燈もそうだが、屋台の熱気や呼び込みの声、訪れた妖や人々の声が良い雰囲気を作り出していた。
「此度の祭りも、賑わって居る様だね」
「そうね、やっぱりお祭りって賑やかなほど楽しいもの!」
「遠くから眺めるだけの活気でも、良いものだと思えるからね」
「その通り! でもかくりは静かな方が好きかしら?」
「いいや、偶にはこういった楽しみ方も佳いね」
 ヨーヨーすくいで童子妖怪が頑張っている様子や、焼き物屋台で天狗のお姉さんが客を見事に捌いている様子を眺めながら、ふたりはゆるりと進む。
 それからぐるっと屋台通りを一周した後、禰々子がかくりに問いかけた。
「下見はばっちり! かくり、どのお店が気になった?」
「私は……そうだね。飴細工が気に留まるよ」
「一反木綿さんのお店ね。じゃあ……」
「其方へと向かっても良いだろうか」
「もっちろん!」
 禰々子はぱたぱたと元気に駆け出し、かくりもそっと後に続いていく。リンゴ飴にイチゴ飴、ブドウ飴などのフルーツ飴が並ぶ店の奥では、一反木綿が器用に飴細工を作っていた。お前さんたちか、かくり達を見遣った店主はひらりと揺らめく。
「やあ、店主。二つ拵えて呉れるかい」
「何にするんだい?」
「此れと云った希望は……そうだね、一つは、青漆の彩を取り入れて欲しいのだよ」
「あいよ、ちょっと待ってな」
 かくりは一反木綿にそっと注文を告げた。禰々子はというと既にイチゴ飴を購入して美味しそうに頬張っている。かくりは少し考えた後、店主にもう一個の注文を伝える。
「もう一つは、隣の君に相応しい品を」
「ふえ?」
「なに、禰々子への贈り物さ」
 自分を示され、驚いた禰々子に向けてかくりは静かに頷いた。
 貴重な時間を頂戴して仕舞ったこと。愉快なひとときを貰ったことへの、有難うという気持ちを込めての礼だとかくりは語った。
 嬉しそうに笑う禰々子の奥で、店主は注文の飴細工を作り上げていく。
 そうして出来上がったのは赤い金魚の飴と、かくりの願い通りに青漆の彩を与えられた美しい鶴の飴細工。透き通った色彩に加え、翼を広げる様が繊細だ。
「禰々子。良ければ、受け取って呉れるかい?」
「ええ、遠慮なく! あれ、かくり……?」
 金魚飴をかくりから受け取った禰々子は不意にきょとんとした。その理由は、飴を手渡してくれたかくりが微笑んでいたから。
 かくりがこうして笑えるようになったのはつい先日のこと。
 ぎこちなくとも、愛らしい。そう感じた禰々子はめいっぱいの笑みを返し、金魚飴を大切そうに握り締めた。
「よーしっ、かくり! 花火を見に行きましょ、花火!」
「そうだね、この飴達と共に」
 ふたりは海辺へ踏み出し、游ぐ。
 夏の夜のひとときは未だもう少し続いていくようだ。
 
大成功 🔵🔵🔵

猫希・みい
【月猫】◎
🍨🍭

ひと夏の思い出を形にした水着姿で
提灯がきらりら光っていて
ああ、なんて綺麗なんだろう!
賑わいを肌に感じて心がどんどん踊るよう
うん!混ざろう!
手と腕か迷って、より密着出来そうな腕に
抱き付けば、愛しい温もりに頬が緩む
あのね、黎くん
こうしていっぱい触れ合うのは私だけがいいな
ほんのり独占欲を滲ませ

クレープに豆腐…?
そうね、物は試しっていうもの!
私もお任せにするわ!
わあ…っ
とっても綺麗!ありがとう!
黎くんのクレープも美味しそうだね
交換こしよう!
はい、あーん
美味しい?良かった!
ん!こっちも美味しいね

私に合う飴細工をお願いして
ふたり揃って帰り道
楽しいひとときを社に連れ帰ろっか!


月詠・黎
【月猫】◎
🍨🍭

樂しい想い出を刻んだ夏の装い…水着で傘は留守番
色鮮やかに連なる提灯を映し
賑わいを耳に緩く咲う
俺達も混ざろう――ほら逸れぬ様に、
差し出した手、腕でも構わんぞ
いつも近くで一番触れてるだろう?
咲う神は猫の真意は知らずとも

クレープに豆腐…?
想像がつかぬなら試すのが佳いか
俺はお任せ、みいは如何する?
何方も鮮やかな出来栄えだ
みいの紡ぎに目許を柔らかく緩めて
なら半分ずつ食べるか?
差し出された物は遠慮なく食べ
うむ、美味だな
では俺のも
あーん、と言うんだったか?

次に映るは飴細工
食べるのも勿体無い程、綺麗だ
どれ、俺に合う飴細工を作って貰えぬか?

ふたり揃って帰り途
夏の思い出をまたひとつ社に連れ帰ろう


●燦めく時間
 波の音色と花火の音が響く夏の海辺。
 みいと黎の今宵の装いは、ひと夏の思い出を形にした水着姿。樂しい想い出を刻んだ夏の衣は次第に深くなりゆく夜にも相応しい。
 穏やかな夜もいいけれど、今夜は言葉通りのお祭り騒ぎ。
 提灯が光っていて、賑わしくも楽しい声が屋台通りの方向から響いてくる。
「きらりらしてるね。ああ、なんて綺麗なんだろう!」
 みいは耳をぴんと立て、周囲の音を確かめながら光を見つめた。賑わいがそのまま肌に感じられて、心も一緒にどんどん躍るよう。
 黎もみいと一緒に同じ方向を眺め、色鮮やかに連なる提灯を瞳に映す。
 賑わいを耳に緩く咲うかのようで、気持ちも浮き立ってきた。
「俺達も混ざろう」
「うん! 混ざろう!」
「ほら、逸れぬように」
 黎はみいに手を差し出した。みいはそっと黎に寄り添おうとしたが、少しの間だけ手を握ろうか、腕に手を絡めようか迷った。
「どっちでも構わんぞ」
「じゃあ、こっち」
 彼が優しい言葉と眼差しを向けてくれたことで、みいはより密着出来そうな腕に手を伸ばした。そうやって抱き付けば、愛しい温もりに頬が緩む。
「あのね、黎くん」
「どうした?」
 ふたりでゆるりと海辺を歩く最中、みいは黎を見上げた。視線を返した黎はぴこぴこと耳を揺らしている彼女に首を傾げて見せる。
 彼の黒い髪が夏の風に揺れる様を瞳に映し、みいは我儘を言葉にしてみた。
「こうしていっぱい触れ合うのは私だけがいいな」
「いつも近くで一番触れてるだろう?」
「……うん、触れてるね」
 ほんのりと独占欲を滲ませた言葉に対して、咲う神は猫の真意を知らない。儚げな瞳の色が揺れて、其処に花火が咲く。
 きれいだね、と微笑うみいのすぐ隣で、黎も夜空に目を向けた。ぎゅ、とみいが腕を少し強く握ったことで黎も静かに彼女に身を寄せる。
 そうして、ふたりは屋台通りに到着した。
 ヨーヨー釣りにお好み焼き屋、射的と様々な夜店があり、みいの瞳も輝く。
 まずは何処に行こうか、と問いかけた黎が辺りを見渡していると、ふたりの耳に或る呼び込みの声が届いた。
「ひんやりアイスクレープありますよー。お豆腐を使ってるからヘルシーですよーっ」
 其処は妖怪の豆腐小僧がやっている甘味屋台だ。
 不思議に思ったふたりは顔を見合わせ、同時に同じ言葉を発した。
「クレープに豆腐……?」
「クレープに豆腐……?」
 あまりにもぴったりと揃ったので、黎は思わず口元を押さえる。みいもくすくすと笑い、気が合うね、と黎に笑いかけた。
 あの呼び込みだけでは豆腐がどう使われているかは不明だった。どんなものだろうかと考えるよりも、直接見にいってみるのが今は吉。
「想像がつかぬなら試すのが佳いか」
「そうね、物は試しっていうもの!」
「俺はお任せ、みいは如何する?」
「私もお任せにするわ!」
「はーい、いらっしゃいませー! お任せトッピングですね、少し待っててねーっ」
 店先に行くと、豆腐小僧がせっせとクレープを作り出した。どうやら豆腐を使っているのはアイスクリームの方らしく、いわゆる豆乳アイスが売りだという話だ。
 妖はてきぱきとクレープにアイスやフルーツを乗せていく。
「はい、お嬢さん!」
「わあ……っ、とっても綺麗! ありがとう!」
 まず、みいに渡されたのは周囲にぐるりとイチゴが乗せられ、中央に真っ白なアイスと猫耳に見立てたウエハースが乗せられた一品。
 次に、黎へと作られたクレープはオレンジとキウイ、ブルーベリーが段々重ねになっている色とりどりのもの。どちらにも食べやすいようにスプーンがついている。
「何方も鮮やかな出来栄えだ」
「黎くんのクレープも美味しそうだね」
 みいの紡ぎに目許を柔らかく緩めた黎は、自分のクレープを差し出した。
「なら半分ずつ食べるか?」
「交換こしよう! はい、あーん」
 黎は最初に差し出されたみいのスプーンに遠慮なく口許を寄せ、甘酸っぱいイチゴと柔らかな口当たりのアイスを味わう。
「うむ、美味だな」
「美味しい? 良かった!」
「では俺のも。あーん、と言うんだったか?」
「ん! こっちも美味しいね」
 みいもブルーベリーとキウイの味わいに双眸を細め、嬉しそうに笑った。
 そして、互いにクレープを満喫したふたりは次に飴細工の店の前に立ち寄った。イチゴ飴にリンゴ飴、ミカン飴まで揃った店先は提灯の光に照らされており、飴の表面が反射してとても目映い。
 それに、奥で一反木綿が作り上げる飴細工は色鮮やかかつ繊細なもので――。
「これもきらきらだね!」
「ああ、これが俺に合う飴細工か」
 店を後にして歩き出したみいと黎は、店主に作って貰った飴を祭りの灯にかざした。
 みいは尾びれをぱっと広げて游ぐ姿の紅金魚。尾の流れに沿って飴が半透明になっていく色彩が美しい。
 黎の方の飴は満月のような金色を宿す一匹の猫の飴だ。尾がちょっとしたカギしっぽになっていて、幸せを引っ掛けてくるという話も籠められているという。
 金魚と猫とみいと黎。
 揃って帰路につくふたりは、花火の光を反射した飴細工を暫し見つめていた。
「食べるのも勿体無い程、綺麗だ」
「本当に!」
「さて、夏の思い出をまたひとつ社に連れ帰ろう」
「そうだね、楽しいひとときを社に連れ帰ろっか!」
 並んで、また腕を組んで歩く。
 賑わいから遠ざかって日常に戻る帰り途の余韻もまた、お祭りの醍醐味。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

月居・蒼汰
🪀🥇
ラナさん(f06644)と

まさしく夏祭りですね!
子供の頃を思い出すなあときょろきょろ
花火も綺麗…というより凄いですよ、ラナさん

ヨーヨー釣りに挑む姿を微笑ましく見守りつつ
出来るだけ短めに持つといいですよ
なんて言いながら俺もチャレンジ(結果お任せ
一番の目玉という射的も勿論チャレンジします!
こういうのは直感で縁を引き寄せるって話だし
注意深く観察してこれだと思ったメダルに狙いを定めます
苦戦している様子のラナさんにそっと
…あのメダルとかどうでしょう?
さっきからラナさんを気にしているような
可愛らしいメダルを示して

飴細工も天ぷらも美味しそうで目移りしながら
折角なのでとことん楽しみましょう、ラナさん!


ラナ・スピラエア
🪀🥇
蒼汰さん(f16730)と

とても賑やかですね
本当、見たことも無い花火です
あ、あれは何でしょう?
ヨーヨー釣り?やってみたいです!
興味津々で挑戦するけれど、触れた瞬間紐が切れる
ふふ、上手に出来ませんでした
わあ!蒼汰さんお上手ですね!
私ももう1回

これであのメダルに当てれば良いんですね
扱いに戸惑いつつ
ドキドキしながらメダルを狙ってみる
何度打っても当たらなくて
どうしましょう、蒼汰さんみたいに上手に出来ません
あの子ですか?当たるでしょうか…
不安に思いながら蒼汰さんのアドバイスに最後の一回
わあ!当たりました!
手にしたメダルにご挨拶を

てんぷら?
ふふ、初めてのことがいっぱいです
はい、一緒に楽しみましょう


●出逢いの夜祭
 並ぶ提灯、夜の最中を明るく照らす夜店。
 蒼汰とラナは妖怪が作り上げた屋台通りを歩きながら周囲を見渡す。
「とても賑やかですね」
「まさしく夏祭りですね!」
 こういった雰囲気は子供の頃を思い起こさせてくれる。懐かしいなあ、と口にした蒼汰はきょろきょろと辺りを眺め、ふと夜空に目を向けた。
 そのとき、新たな花火が空を彩る。
 次の花火は中央から外側に向かって人魂が一斉に散っていくもの。花のように広がったと思えば、人魂は途中から好きな方向へと自由に動き始めた。
「花火も綺麗……というより凄いですよ、ラナさん」
「本当、見たことも無い花火です」
 蒼汰の視線の先を追ったラナはくすくすと笑い、口元に手を当てる。人魂はどうやら自由参加らしく、花火に寄っていってはまた揺らめくということを繰り返していた。
 ほのぼのとした思いを感じつつ、ふたりは夜店通りを進む。
「あ、あれは何でしょう?」
「あれはヨーヨー釣りみたいですね。やっていきますか?」
「ヨーヨー釣り? やってみたいです!」
 大きな水槽には水風船がぷかぷかと浮かんでいた。中には手書きで猫やウサギの顔が書かれているものもあり、可愛らしい雰囲気もある。
「これで釣るんですか?」
 ラナは不思議そうに紙に結ばれてたフックを眺め、浮いている水風船と見比べた。
「はい、これを引っ掛けて……説明するより挑戦した方が早いですね」
「やってみます!」
 ラナは輪になっているヨーヨーのゴムを狙って一気に引き上げる。だが――。
「紐が切れてしまいました。ふふ、上手に出来ませんでしたね」
 初挑戦は見事に失敗。少し残念そうなラナに店主が気付き、特別だよ、と告げて新しい紙紐に変えてくれた。
「良かったですね、ラナさん。出来るだけ短めに持つといいですよ」
「はい、次は頑張ります」
 蒼汰はラナがヨーヨー釣りに挑む姿を微笑ましく見守り、ひとつだけアドバイスを送った。店主がにこやかに此方を見守っているのが分かり、蒼汰も笑顔を返してみせる。そして、次は蒼汰が挑戦する番。
(ラナさんみたいなピンク色のヨーヨーを……! ――今だ!)
 きっと、此処で取れなければ男が廃る。
 彼女にプレゼントするためのヨーヨーが今、蒼汰の手によって釣り上げられた。ぽん、と自ら浮かび上がったヨーヨーが彼の手の中に収まる。
「わあ! 蒼汰さんはお上手ですね! 私ももう一回やりますね」
「よかったらラナさんにこれを……あれ?」
 蒼汰はさりげなく贈り物をしようとしたが、ラナはコツを掴んだらしくひょいひょいとヨーヨーを釣り上げていった。
「すごいです、蒼汰さんの言う通りにしたらたくさん取れました」
 にっこりと笑うラナの両手はカラフルなヨーヨーでいっぱいになる。しかし、ラナはピンクの色だけは取れなかったらしい。
「あはは……」
「よかったら、その色とこれを交換しませんか?」
 タイミングを逃して軽く笑っていた蒼汰に向け、ラナは青いヨーヨーを差し出した。顔を上げた蒼汰の瞳が嬉しさで満ちる。そうしてふたりはそっと交換を終え、残りの水風船は店に返した。
 ピンクと青の水風船を片手に、彼らが次に向かったのは今宵の一番の目玉。
 化け狸と狐がやっているメダル射的だ。
 シューターと射的用コインをそれぞれに受け取った蒼汰とラナは、夜店の奥にある台を見つめた。其処にはぴょんぴょんと跳ねるあやかしメダル達がいる。
「これであのメダルに当てれば良いんですね」
 メダルシューターを構えたラナは気を引き締める。銃めいたものの扱いは緊張するが、このドキドキ感もまた良い。
「こういうのは直感で縁を引き寄せるって話ですね。気負わずにいきましょう」
 まずは自分が、と告げた蒼汰は跳ねるメダルを見定める。
 がしゃどくろ、縊鬼や牛鬼、姥ヶ火といったあやかしメダルが行き交う中、蒼汰は或る一枚のメダルに興味が湧いた。
「あれだ!」
 発射されたコインは鋭い軌跡を描いていく。そして、次の瞬間には犬神の宿ったメダルが見事に撃ち落とされた。
「ひぇっ、お兄サン……あの犬神サンを落とすたぁやるねえ!」
 店の化け狐は恐れおののいていたが、蒼汰にあやかしメダルを渡してくれた。きらりと光る蒼銀のメダルには凛々しい狼犬の姿が刻まれている。
 ――我が力、自由に使うがよい。
 メダルに触れた瞬間、蒼汰の中にそのような意志が伝わってきた。
 その間、ラナは懸命にメダルを撃ち出していた。何度コインを打っても当たらず、ラナは自信をなくし始めていた。
「どうしましょう、蒼汰さんみたいに上手に出来ません」
「……あのメダルとかどうでしょう?」
 蒼汰は片隅で跳ねている可愛らしいものを示し、あの子がさっきからラナさんを気にしているようです、と伝える。同じくラナを気にする者として、蒼汰はしっかりと彼女への視線めいたものを感じていたようだ。
「あの子ですか? 当たるでしょうか……えいっ」
 ラナは不安に思いながらも最後の一回に賭けてみる。するとメダルの方からコインに向かってきた。
「わあ! 当たりました!」
 そのままラナの手元に飛んできたのは猫檀家と呼ばれる猫神の一種。銀色のメダルなのでどうやら白猫のようだ。
 ――みゃあ、どうぞよろしくにゃあ可愛いお嬢さん!
「よろしくお願いしますね、猫さん」
 手にしたメダルに挨拶をしたラナは丁寧にお辞儀をした。その様子がとても可愛らしく感じた蒼汰は穏やかな気持ちを覚えた。
 そうして、二人は更に祭りを巡ることにした。
「ラナさん、次は向こうのてんぷら屋台に行きましょうか」
「てんぷら? ふふ、初めてのことがいっぱいです」
「折角なのでとことん楽しみましょう、ラナさん!」
「はい、一緒に楽しみましょう」
 ――行くぞ、皆の者。
 ――いきますにゃ!
 もちろん、先程新たに増えた同行者も一緒に。
 今宵の祭はもっともっと騒がしく、とても楽しい時間に変わっていく。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

メルト・プティング
◎🍭
親友のベアータさん(f05212)と、去年のコンテストで着た花柄の浴衣で夏祭りでぇと!
林檎飴は去年食べましたが、飴細工ははじめて!えへへ、楽しみですねっ

できあがったのを受け取れば、美味しそうで早く食べたいような、それはそれで勿体ないような
ふと横を見れば、親友をイメージした飴細工はもっと素敵に見えて
ねぇねぇ、ボクのと交換しません?

そして交換する前に、自分のを軽く一舐め
だってせっかく交換するなら味の比較したいじゃないですか
え、なにか問題ありました?

…って、もう花火のあがる時間じゃないですか!
ベアータさん!早くもっとよく見えるとこ行きましょう!ねっ!?


ベアータ・ベルトット
◎🍭親友のメルト(f00394)と夏祭り

目指せ、食べ物屋台全制覇!次はあの飴屋にしましょ
へぇ、自分に合った飴細工を作ってくれるのね…花柄まとった浴衣姿のメルトをちらり。アンタのは間違いなくカワイイ系でしょうね

完成した飴細工は食べるのが勿体ないくらい。お菓子作りは好きだけど、こんな精巧なのとても作れないわ

交換っこの申し出に、クリスマスを思い出す
もちろん良いわよ。メルトに自分のを渡して、代わりに…いや、なんでそこで舐めるのよ!?
これじゃ…か、間接キスに……(小声であわあわ)

……ふぇ?花火…?
始まっちゃったのね!メルトの手をきゅっと繋いで急ぐわ

こっそり飴をぺろっと舐める……甘くて、とっても幸せな味


●甘い花と空に咲く花
 目指せ、食べ物屋台全制覇。
 夏の夜の賑わいの中で、メルトとベアータは夜店を巡っていく。
 香ばしいソースの匂いが漂う屋台ではお好み焼きがひっくり返され、蛸の足がはみ出すほど大きいタコ焼きがくるくると宙を舞う。出来上がった焼きそばがパックに詰められて並べられていく様は見事なもの。
 妖怪の好物であることが多いてんぷらの屋台では、熱気と共にからりとしたエビや野菜のてんぷらが揚がっていく。
 全部ください、と頼むメルトと、袋詰めされた品を受け取るベアータ。
 ふたりはまずあつあつの屋台飯を制覇していき、満足そうに微笑みあう。
「どれもおいしかったですね!」
「暑い夏にてんぷらというのもまた良いわね」
「エビが飛んで逃げて行きそうだったのにはびっくりしましたっ」
「あのエビは……あれでよかったの?」
 先程に起こった不思議な出来事を語りながら、メルトとベアータは祭の味を楽しんでいった。屋台の傍に用意されたベンチから立ち上がったふたりは、次にデザートとしてのクレープを買いに向かう。
 そして、ひんやりとしたアイスクレープを味わった後は――。
「次はあの飴屋にしましょ」
「いいですね、林檎飴以外にもあるみたいです」
 ベアータが示した先にあるのは一反木綿の妖怪がやっている飴細工屋。そちらに目を向けたメルトは頷き、様々な飴が並ぶ店先に向かった。林檎飴は去年に食べたが、ひとつずつ形の違う飴細工を買うのは初めて。
「へぇ、自分に合った飴細工を作ってくれるのね……」
「えへへ、楽しみですねっ」
 嬉しそうにメルトが笑みを浮かべる中、ベアータはちらりと彼女を見た。深い紺色に白や薄紺の花柄が散らされた浴衣姿のメルトは愛らしい。
「アンタのは間違いなくカワイイ系でしょうね」
「そうですか? ベアータさんのはどんなものになるでしょうかっ」
 ベアータが感じたままの思いを向けると、メルトは少し不思議そうに首を傾げた。その浴衣姿が愛らしすぎるから、という理由は告げないまま、ベアータはじっと屋台の店主が作り上げていく飴細工を見つめていた。
「はいよ、お待ち!」
 そうして出来上がった二本の飴細工。
 まずメルトのものは、大きな赤いリボンの周りに花が咲いている色鮮やかな飴。そして、ベアータの飴は透き通った赤い薔薇が花弁を広げている美しい飴だ。
「ありがとうございますっ」
 メルトはできあがったものを受け取り、花とリボンの形をした飴細工を眺める。屋台の灯を受けてぴかぴかと光っている飴はとても美味しそうだ。早く食べたいような、それはそれで勿体ないような――。
「薔薇の花ね、遠目から見ると本当の花みたい」
 ベアータも薔薇飴を見つめている。完成した花の飴細工を食べるのが勿体ないと思っているのはベアータも同じ。
「お菓子作りは好きだけど、こんな精巧なのとても作れないわ」
 その声を受けて視線を移し、ふと横の親友を見たメルトは、ゴーグルの奥の瞳をぱちぱちと瞬いた。彼女をイメージした飴細工はもっと素敵に見えて、どうしてかそちらの方が欲しくなってしまった。
 飴細工屋を後にしたふたりは静かな方へ歩いていく。
 自分の飴とベアータの飴を交互に見ていたメルトは、思いきって提案してみた。
「ねぇねぇ、ボクのと交換しません?」
「もちろん良いわよ」
 返答はすぐに戻ってきた。メルトからの交換っこの申し出に、クリスマスを思い出したベアータは頷いて答える。
 嬉しそうに笑ったメルトはリボンの飴を交換する前に軽く一舐めした。
「おいしいです」
「じゃあ代わりに私のを……いや、なんでそこで舐めるのよ!?」
 普通に飴細工を渡そうとしたベアータは驚いて飴の棒を離しそうになってしまう。するとすかさずメルトがぱしりとベアータの薔薇飴を受け取り、自分のリボン花飴をベアータに手渡し返す。
「だってせっかく交換するなら味の比較したいじゃないですか」
「そ、それはそうだけど……!」
「え、なにか問題ありました?」
 ベアータが慌てていることが不思議でならず、メルトはきょとんとする。むしろベアータは味を確かめなくてよかったのかと問いかけそうな様子だ。
「これじゃ……か、間接キスに……」
「ベアータさん?」
 小声であわあわしていたベアータの言葉は聞こえなかったらしく、メルトはまだ不思議がっている。何とか心を落ち着けたベアータはぎゅっとリボンの飴を握り締めた。
「何でもないわ。味の感想はメルトに任せたから!」
「……って、もう花火のあがる時間じゃないですか!」
「ふぇ? 花火……?」
 飴のことは結局うやむやになり、二人は海岸線に上る花火の軌跡に目を向けた。この場所からもよく見えるが、やはり花火は見晴らしが良いところから眺めるに限る。
「ベアータさん! 早くもっとよく見えるとこ行きましょう! ねっ!?」
「始まっちゃったなら急がないとね」
 差し伸べられたメルトの手と自分の手をきゅっと繋いで、ベアータは駆け出した。片手には親友の掌。もう片方にはお互いの形が宿った甘い飴。
 ふたりで花火がよく見える場所に向かいながら、ベアータはこっそり飴を舐めてみた。
 その味わいは――。
 何よりも甘くて、とっても幸せな味。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

朧・ユェー
【月光】🥇◎結果はお任せで

ルーシーちゃんの浴衣姿可愛らしいですねぇ
向日葵に負けてないですよ
髪も綺麗に結えて良かった
では行きましょうか

手を繋ぎ屋台の方へ
どのお店も美味しそうですね
ルーシーちゃん、飴細工がありますよ
綺麗な飴細工や可愛い飴細工です
ちょっと待っててくださいね

ルーシーちゃんどうぞ
君には黒雛の飴細工、僕はララちゃんの飴細工を
肩に居る黒雛が飴細工の黒雛と睨めっこ
ララちゃんに見せつつ
ふふっそっくりですねぇ
どちらも可愛くて食べられませんね

メダル射的?とても楽しそうですね
どちらが先に取れるか勝負ですね
えぇ、勝った方がお願い事を言うのですね

はい、手加減しませんよ
楽しそうにする子を愛おしく微笑んで


ルーシー・ブルーベル
【月光】◎🥇

ありがとう
お気に入りの向日葵の浴衣なの
ゆぇパパは本当に髪を結うのお上手ね
その浴衣姿もとてもステキ!
浮き立つ心のまま
手をきゅうと繋ぐ

飴細工?
わあ、全部かわいい!
じぃ、と並ぶ飴達を見つめていると
…?うん、分かった

戻ってきたパパが下さった飴細工に、
わあ…わああ!すごい!黒ヒナさんの飴!
パパの肩にいる黒ヒナさんに
見える様に掲げてみせて
ふふ、黒ヒナさんもララも似てるって分かるのかな
確かにこれは食べられないかも…

メダル射的?ルーシーしたことない
やってみたい!
勝負?もちろん良いわ!
負けた方が勝った方のお願いを聞くのはどう?

のぞむところよ
いざ勝負!
見上げれば視線が結んで
幸せが溢れるの

※結果お任せ


●お願い事の行方
 賑わいに満ちた妖夜店が並ぶ最中。
 ふたりでゆっくりと屋台通りを歩いていくのはユェーとルーシーだ。提灯の明かりに照らされた少女の装いを見下ろし、ユェーは穏やかに微笑んだ。
「ルーシーちゃんの浴衣姿、可愛らしいですねぇ」
「ええ、お気に入りの向日葵の浴衣なの」
「向日葵にも負けてないですよ」
「そう……? ありがとう、ゆぇパパ」
 ふわりとした柔らかな笑顔を見せたルーシーもユェーを見上げている。少女の髪が夏の風に揺れ、ユェーはそっと頷く。
「髪も綺麗に結えて良かった」
「ゆぇパパは本当に髪を結うのお上手ね。その浴衣姿もとてもステキ!」
「では、もっと奥に行きましょうか」
「どんなお店があるのかしら?」
 ユェーに誘われ、浮き立つ心のままでルーシーは手をきゅうと繋いだ。彼も手を握り返してくれることがいつもと同じで、とても嬉しい。
 ふたりは手を繋ぎあい、屋台が多く並ぶ方向へ進んでいった。
「どのお店も美味しそうですね」
「おいしそうな香り……」
 ユェー達がまず通り掛かったのは粉もの料理が並ぶ夜店。天狗のお姉さんが見事な手付きでお好み焼きをひっくり返している様子は見ているだけでも楽しい。
 特にタコ焼きがぽんぽんと宙を舞うようにひっくり返されていく様は圧巻だった。わあ、と喜ぶルーシーの姿を微笑ましく眺め、ユェーは手を引く。
「ルーシーちゃん、飴細工がありますよ」
「飴細工?」
 ユェーが示した先には一反木綿がやっている飴細工の屋台があった。ルーシーがきょとんとしていると、ユェーは彼なりの説明をしていく。ほら、とユェーが指差した店先にはリンゴ飴やイチゴ飴をはじめとしたフルーツの飴が並んでいた。
「綺麗な飴細工や可愛い飴細工です」
「わあ、全部かわいい!」
 祭の光を受けてきらきら、ぴかぴかと光っている飴達。並ぶそれらをルーシーがじぃ、と見つめているとユェーが店主のいる方に歩いていった。
「ちょっと待っててくださいね」
「……? うん、分かった」
 言われるままに暫く待っていると、ユェーは何かを手にして戻ってくる。不思議そうにルーシーが手元を見ると、其処には――。
「ルーシーちゃんどうぞ」
 黒雛の飴細工があり、それがそっとルーシーに手渡される。
 僕はララちゃんの飴細工を、と微笑んだユェーは何処か得意げだ。暫しぱちぱちと瞼を瞬いていたルーシーはあまりの可愛さに声を失っていたらしい。
 そして、はっとした少女は感動の声をあげる。
「わあ……わああ! すごい! 黒ヒナさんの飴!」
 ルーシーは、ユェーの肩にいる黒雛に飴を見えるように掲げてみせた。そうしていると肩に居る黒雛が飴細工の黒雛と睨めっこをはじめる。
 ユェーも自分の飴をララに見せつつ、楽しそうに口元を緩めた。
「ふふっそっくりですねぇ」
「ふふ、黒ヒナさんもララも似てるって分かるのかな」
「どちらも可愛くて食べられませんね」
「確かにこれは食べられないかも……」
 ふたりは暫くじっと飴細工を見つめ、可愛さと勿体なさの間で揺れる楽しい葛藤を覚えていた。そして、ユェーとルーシーは次の屋台に向かっていく。
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい、メダル射的だよ!」
「活きがいいよ! 元気もいいよ!」
 そのとき、聞こえてきたのは化け狸と化け狐の呼び込みの声。
「メダル射的?」
「メダル射的?」
 ユェーとルーシーの声が重なり、ふたりは同時に首を傾げた。すると店主たちが手招きをして、挑戦するだけでも楽しいよ、と誘ってくれた。
「ルーシーしたことない。やってみたい!」
「とても楽しそうですね。どちらが先に取れるか勝負ですね」
「勝負? もちろん良いわ! 負けた方が勝った方のお願いを聞くのはどう?」
「えぇ、勝った方がお願い事を言うのですね」
 頷きあったふたりは射的に挑戦することにした。シューターとコインを受け取り、セットしたルーシーは意気込んでみせる。
「のぞむところよ。いざ勝負!」
「はい、手加減しませんよ」
 そして――。
 台の上をぴょんぴょんと飛び交うあやかしメダル達を狙って、ふたりは一気にコインを撃ち出した。素早いメダル、ゆっくりだが当たる直前に瞬間移動の如き速さで逃げてしまうメダルなど様々で、ふたりはそれなりに苦戦していた。
 だが、ある瞬間。
「あたった!」
 ルーシーが見事に銀色の天邪鬼のメダルを撃ち落とした。しかしユェーも負けておらず、続けて牛鬼が宿っている黒いメダルを取った。
「こちらも当たりましたねぇ」
「はいよ、お嬢ちゃんにお兄さん。相棒にするかはお二人が決めてくれってさ」
 店主の化け狸から天邪鬼と牛鬼のメダルが手渡される。
 ――オイラの力はすっごいぜ!
 ――む、お前が私の主になる男か?
 それぞれの言葉を発したメダルはふたりの手の中に収まった。
「わあ、あまのじゃくさん!」
「ふふっ、牛鬼さんは力強いですね」
 楽しそうにしている少女を見つめたユェーは愛おしそうな微笑みを返した。少女が頭上を見上げれば視線が結ばれて、幸せが溢れる。
 そうして、ふたりがあやかしメダルとどんな交流をして、射的の勝者であるルーシーがどのようなお願いをするのか。
 それはもうちょっと先に訪れる、少し未来のお話だ。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

太宰・寿
【彩狼】 🪀
楽しみです、よろしくお願いしますね

透き通った青いイルカと薔薇、ふたつの飴細工を買って
見てください、こんなに綺麗な飴初めてです
食べるの勿体ないですね
ふふ、飾るのもいいかもです
持って帰ろうかな
ジンベイザメと向日葵も可愛いです、夏って感じですね

お店もいっぱい、美味しそうな匂いにきょろきょろ
ヨーヨーすくい…
ヨーヨーをすくうんですか?
ヴォルフガングさん、やってみたいです!
初めてなので、店主の小豆洗いさんにやり方を聞いて

あ、切れちゃった…難しいです
ヴォルフガングさんの手元を見つつ、もう一回
うまく釣れたら、
見てください、取れましたよ!

ヴォルフガングさんはどんなヨーヨーかな


ヴォルフガング・ディーツェ
【彩狼】
🪀


大輪の光華は儚いけれど…今日は一興だな

宜しくね、寿

目に写る飴細工に思わずふらり
店主さん、良い腕してる!
寿のは可愛いいねっ
イルカは愛らしいし、薔薇は花弁の重なり具合凄いな…
食べるの確かに悩む…暫く保つみたいし飾る?(写真に納めながら片目ぱちり)
俺は…この薄荷の水玉が愛らしいジンベイザメと向日葵かな
同じく持って帰ろっと

ヨーヨーか、懐かしいなぁ
大体7…じゅ…年振り位だから、俺も店主の講習を聞こう
幾つだって?DKだよDK(しれっ)

お、本当だ切れやすい!
うーんと…確か…(こよりを短くし)…これでどうだっ(星空模様のヨーヨーを一本釣り)
わ、寿も苦労が実ったね。おめでとう!そちらはどんなのかな?


●花火の下で
 空に咲く大輪の光華。
 一瞬で散っていくものは儚いけれど、妖怪花火が咲く今宵は一興。ヴォルフガングと寿は海辺の夜空を振り仰ぎ、真夏の象徴のような光の軌跡を見送った。
 隣に並んで歩いていくふたりが目指していくのは妖怪達による夜店が集う一角。
「宜しくね、寿」
「楽しみです、よろしくお願いしますね」
 賑やかな祭の灯に向かう最中、ふたりは言葉と思いを交わす。妖怪や人々が多く行き交う屋台通りはとても楽しげだが、逸れてしまったら迷子は必至。
 ヴォルフガングは、すい、と寿の先を行くことで進む道を作ってやる。彼のさりげない気遣いに気付きつつ、寿もそっと後を歩いていく。
 祭の中、ヴォルフガングはふと瞳に映った飴細工屋に興味をひかれた。
「店主さん、良い腕してる!」
 思わずふらりと店先に立ち寄ったヴォルフガングは、奥で一反木綿の店主が作っている鶴が翼を広げている姿の飴細工を眺めている。
 その際にヴォルフガングは寿を手招き、見て、と店主の手元もとい布元を示した。
 翼に切り込みが入れられており、翼が繊細で美しい形に整えられていく。寿も興味津々に作業を見つめ、双眸を細めた。
「おっと、お客さんか。何か作るかい? そっちに並んでるのもオススメだよ」
 すると視線に気付いた一反木綿が振り向いた。
「でしたら、これとこれをお願いします」
 寿は店先を見渡し、その中から透き通った青いイルカと薔薇、ふたつの飴細工が欲しいと申し出た。店主から彼女の手に渡された飴を覗き込んだヴォルフガングは明るい笑みを浮かべる。
「寿のは可愛いいねっ」
「見てください、こんなに綺麗な飴は初めてです」
「イルカは愛らしいし、薔薇は花弁の重なり具合が凄いな……」
「食べるのが勿体ないですね」
「確かに悩む……暫く保つみたいし飾る?」
「ふふ、飾るのもいいかもです。持って帰ろうかな」
 ヴォルフガングは寿の飴細工を写真におさめながら、片目をぱちりと閉じてみせた。寿の言葉に対して、それがいいと答えた彼は次に、店に並ぶ飴に目を向けた。
「俺は……この薄荷の水玉が愛らしいジンベイザメと向日葵かな」
「ジンベイザメと向日葵も可愛いです、夏って感じですね」
 愛らしい飴細工を両手に持つヴォルフガングに向け、寿はふわりと笑む。彼女と同じく、今は食べずに持って帰ろうと決めた彼は飴を壊さないように大切に仕舞った。
 それから、ふたりは次の夜店を見に歩き出す。
 お店もいっぱいで、周囲から漂う美味しそうな匂い。思わずきょろきょろと視線を巡らせた寿は楽しい気持ちが満ちていくことを感じていた。
 するとヴォルフガングが或る店の前でそっと屈み込んだ。
「ヨーヨーか、懐かしいなぁ」
 寿が店のテントを見てみると、そこには水風船の絵と共に店名が書かれていた。
「ヨーヨーすくい……ヨーヨーをすくうんですか?」
「そう、水風船のことをそう呼ぶんだよ。やってみる?」
「ヴォルフガングさん、やってみたいです!」
「じゃあやろっか」
 ふたりが楽しげに交わしていた会話を聞いていたのか、店主の小豆洗いがにこにこした様子で紙紐を手渡してきた。
「はい、二人分だよ」
「初めてなので、ご教示お願いできますか?」
 寿が店主に願うと、ヴォルフガングも教えて欲しいと告げた。
「大体、七……じゅ……年振りくらいだからなぁ」
「うん? お兄さんは幾つなんだい」
「DKだよDK」
 しれっと店主からの質問を躱したヴォルフガングは水風船を見下ろす。既に寿は説明を聞いて挑戦してみたらしく、ヨーヨーの輪ゴムにフックを掛けていた。
「あ、切れちゃった……難しいです」
 しかし、途中でぷつりと紙紐が落ちてしまった。
 ヴォルフガングも勢い任せで水風船をフックで持ち上げてみたが、ぱしゃんという音と共に水面に落下する。
「お、本当だ切れやすい!」
「ははは、コツがないと難しいかな」
 店主はにこやかに二人を見守っていた。簡単に見えてゲーム性が高いのがこのヨーヨー釣りという夜店だ。
「うーんと……確か……」
 ヴォルフガングはこよりを短くして、次の挑戦をしてみる。糸が濡れても大きく揺れる前に素早く引き上げられるように狙ったヴォルフガングは機を見極めた。
「これでどうだっ」
 そうすれば、狙っていた星空模様のヨーヨーが見事に一本釣りされた。わあ、と小さな驚きが混じった声を零した寿はヴォルフガングに称賛の眼差しを向ける。
 そして、彼の手際を思い出しながら、寿も二回目のチャレンジに挑んでいく。
 目に留まったのは赤い金魚の絵が描かれた薄紅の水風船。
 寿は狙いを定め、次は紙が水に浸りきってしまわないようにさっと持ち上げた。
「見てください、取れましたよ!」
「わ、寿も苦労が実ったね。おめでとう!」
 そちらはどんなのかな、と彼女の手元を見たヴォルフガングはぱちっと両目を瞬く。寿の手の中にある金魚とばっちり目が合った気がしたのだ。
 何だか可笑しくなって笑い出したヴォルフガングにつられて、寿もくすりと笑う。
 飴細工に水風船。
 夏の思い出は確かな形となり、楽しい時間は更に巡っていく。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

エドガー・ブライトマン
🍨
ルイ君(f13398)

すっかり陽が落ちてしまっても、賑やかさは失われず
あはは、屋台を眺めているだけでも楽しいねえ

ボンヤリと屋台を眺めていたけれど
手招きするキミへ、手を振り返して向かう
ルイ君が羽織っているやつ、華やかでわかりやすいな
楽しい夏の日にぴったりだ

ごらん、ルイ君。クレープというものがあるよ
あれはUDCの世界でも人気の食べ物らしいと聞いたんだ
私も食べたコトがないんだ!ぜひ食べよう

しかし困ったな~、全然決まらない
私は何だってスキだから、どれも美味しそうに見える
豆腐小僧君、私にもキミのおすすめを紹介してよ

おいしいクレープ片手に歩いてゆこう
まだまだ気になる屋台はたくさんあるんだ

……あっ!花火!


冴島・類
🍨
エドガーさん(f21503)

夏の賑やかさは、夜には姿を変え
連なるお祭りの屋台が
こっちこっちと呼んでるみたい

エドガーさん、沢山美味しい匂いがしますよ
賑やかな呼び声に向かって手招き
普段よりも緩い服装の貴方は
お忍びの休暇中みたい

くれーぷですか
UDCで見たことだけはあるんですが
僕も馴染みはないな
果物もくりーむも豊富で…

これぱふぇ並みに種類あって悩むやつですね?
貴方はどれにするのかな
好きが多いのも悩ましいのですね

最終手段は豆腐小僧さんに『おすすめひとつ』お願いを
このまま食べ歩きましょうか
かぶりついたら美味しくて笑ってしまう

ええ折角のお祭り、まだ夜はこれから
遊べるお店もあるみたいですし
わ、ほんとだ!


●悩む時間もまた楽し
 夏の暑さと共に盛り上がった幽世のビーチ。
 すっかり陽が落ちてしまった今でも、あの賑やかさは失われずにいる。先程まで上がっていた花火が終わった後も妖怪夜祭の方からは楽しげな声が響いてきていた。
 エドガーと類は海辺に点る灯を見つめている。
 夏の賑やかさは、夜には姿を変えて連なる祭屋台となっていた。まるで、こっちこっちと呼んでいるようだと感じた類は少しだけ歩を進め、エドガーに語りかける。
「本当に賑やかですね」
「あはは、屋台を眺めているだけでも楽しいねえ」
 エドガーはぼんやりと屋台を眺めていたらしく、類が進んだことに気付いていなかったようだ。こっちへ、と手招きする類はエドガーを呼ぶ。
「エドガーさん、沢山美味しい匂いがしますよ」
「ああ、行ってみようか」
 手を振り返したエドガーは類の隣に向かった。黒いストールに夜に馴染む上着、ラフでありながらも高貴さを感じさせるエドガーの装いが、祭の明かりに照らされる。
 その姿を改めて見つめた類は、ちいさく笑った。
「何だかお忍び王子の休暇中みたいですね」
「そうかい? ルイ君が羽織っているやつは華やかでわかりやすいな」
 エドガーも類の今宵の装いに目を細める。
 水着自体はシンプルながらも、羽織った上着は民族調の装い。賑やかさが楽しい夏の日にぴったりだと評したエドガーはゆったりと先に踏み出していく。
 屋台通りに入ると、呼び込みの声がよく聞こえた。
 童子妖怪達が一生懸命に揚げているてんぷらの屋台からは、おいしいですよーっ、とぱたぱたと手を振る子たちが見える。
 焼きそばの麺が宙を踊り、くるくるとタコ焼きが舞う粉もの屋台も面白い。
 ウンウン、と頷いてひとつずつの屋台を眺めていったエドガーは、少し先の夜店を見てから、指先をそちらに向けた。
「ごらん、ルイ君。クレープというものがあるよ」
「くれーぷですか」
「あれはUDCの世界でも人気の食べ物らしいと聞いたんだ」
「僕も見たことだけはあるんですが、馴染みはないな」
「それなら丁度いいね。私も食べたコトがないんだ!」
 ぜひ食べよう、と類を誘ったエドガーは店先で立ち止まった。いらっしゃいませ、と出迎えてくれた豆腐小僧はにこにこしている。
 何でも好きなトッピングをすると告げた店主の前で、類はふと気付いてしまった。
「果物もくりーむも豊富で……あ、」
「どうしたんだい、ルイ君」
 エドガーが首を傾げる中、類はクレープに少し似た或るデザートを思い浮かべる。
「これって、ぱふぇ並みに種類あって悩むやつですね?」
「確かにそうかもしれない。何を入れるか、入れないかも選べるんだねえ」
 エドガーも類が考えていたことを理解して口元に手を当てた。ふたりはお品書きを暫し眺め、何にするか悩みはじめる。
「貴方はどれにしますか?」
「イチゴ、ミカン、レモンにオレンジ……。オスカーならクルミを選ぶのかな。困ったな~、全然決まらないよ」
 類が問いかけると、エドガーはちいさく笑った。
 何だってスキ。つまりはキライなものがないので、エドガーにとってはどれも美味しそうに見える。類は微笑ましさを覚え、それも彼らしいと感じた。
「好きが多いのも悩ましいのですね」
 そう言いつつも、類もまたトッピングに悩む民のひとり。
「最終手段は豆腐小僧さんに……」
「そうだね。さあ豆腐小僧君、私にもキミのおすすめを紹介してよ」
「僕達におすすめひとつお願いします」
「はーい、おまかせを!」
 どんなクレープが頂けるかもまたわくわくする。豆腐小僧の元気な返事が聞こえてから少し後、ふたりにそれぞれのクレープが渡された。
 エドガーに渡されたのは柑橘系のフルーツがふんだんに使われており、さっぱりとした豆乳アイスがちょこんと飾られているもの。更にその上には切ったイチゴで作られた薔薇の花が乗っていた。
 類はこし餡とクリームが詰まったクレープで、上には白玉が数個乗せられている。その白玉は目と嘴を模したゴマ乗っており、何とも可愛いシマエナガ風になっていた。
「可愛い……」
「それにおいしそうだ」
「勿体ないですが、これはぱふぇのように思いきって!」
「いただくとしようか」
 ふたりは美味しいクレープを片手に、或る種の葛藤を抱えながら食べる気持ちを固めた。一口、薔薇のイチゴとまあるいシマエナガ白玉にかぶりつけば、甘酸っぱさやほのかな甘味が広がっていく。
 可愛さは美味しさも兼ねるのだと改めて知った類は、ふふっと笑った。
「まだまだ気になる屋台はたくさんあるんだ。ルイ君、行こう」
「ええ折角のお祭り、まだ夜はこれからです。遊べるお店もあるみたいで――」
 次は何処に行こうか、とふたりが話そうとしたとき。
 海辺の方で光が瞬き、真っ直ぐな線が天に向かって昇っていく様が見えた。
「……あっ! 花火!」
「わ、ほんとだ!」
 エドガーと類が空に視線を向けると、大きな音と共に大輪の花が咲く。
 まずはあっちだ、と歩き出したエドガーに続き、類も花火がよく見える浜辺の方に歩を進めていった。
 花火がまた終わったら、次はまだ巡っていない夜店の方へ。
 まだまだ楽しい時間は終わっていない。叶うならば、何処までも。きっと空の色を塗り替える朝が訪れるまで、夜明かしのアヤカシ祭は続いていく。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

浮世・綾華
【千遊】🍭
揃いで仕立てた水着で

おお、上がってんなぁ
きれー

さぁて、何しよっか
小腹も空いたが…
ふ。オズ、はぐれんなよー?

射的屋台の方から妖力を感じてか
懐のメダルから妖がぶわっ
ゴルにゃんもオズに挨拶し

射的――嗚呼
これはめだるしゅーたーを使う射的みたいネ
カクリヨならではって感じ
オズ、どっちが打ち落とせるか勝負しよーぜ
ってわけで、ゴルにゃんは見守っててくれ
だって俺だけあんたを使ったら狡いだろ?

勝敗はお任せ
どっちでも楽しければそれで

飴細工。苺も食いたいケド
折角だから何か作ってもらいたいよな

食うのも勿体なし
食べんのも勿体ない
だから持ち帰って少しだけ飾ろ

なぁ、オズ
花火、も近くで見ねぇ?

緋を細め、手を重ねて


オズ・ケストナー
【千遊】🍭
お揃いの水着で

花火っ
もういっぱいあがってるよっ

空も屋台も気になってきょろきょろ
気をつけるように言われたら元気よく
わかったっ

あっちもこっち覗きながら歩いていたら
ぶわっとアヤカのメダルとご対面
ゴルにゃんていうの?
はじめましてだ
わたしはオズだよ、よろしくねっ

前にやったしゃてきとちがうね
しょうぶ、うけてたつよっ
ぐ、と拳握り
すごい、ぴょんぴょんしてる

どっちが当ててもうれしくて大はしゃぎ
やったあ

アヤカ、こっちこっちこっちっ
飴細工に興味津々
きれいだね
なんでもつくれちゃうんだ
ほわーと口開けて見守り
うん、わたしもかざるっ

素敵な提案に笑顔
わたしもね、もっとちかくで見たいって思ってたっ
いこうっ
手を引いて


●重ねた星の軌跡
 夏の陽射しが目映い昼間を越えて、訪れた夜。
 浜辺には昼にも負けていないほどの賑やかさが満ちている。
 綾華とオズは揃いで仕立てた水着を身に纏い、妖夜祭が始まっている海辺の一角を歩いていく。今日のふたりの装いは夜を歩くのに相応しいもの。星の夜を思わせる深い色に、天の川めいた光が浮かんでいる水着。
 オズ達が夜店の通りを目指して歩いていると、空に明るい光が咲いた。
 最初のひとつを皮切りに、天には次々と花火が上がっていく。
「花火っ もういっぱいあがってるよっ」
「おお、上がってんなぁ」
 きれー、と言葉にした綾華は歩きながら花火が夜空を彩る様子を見ていった。そうしているうちにふたりは夜店の最中に到着する。
 空も屋台も明るい夜。賑わう声が響く夜店を見ているだけでもわくわくする。
「さぁて、何しよっか。小腹も空いたが……」
「アヤカ、あっちっ」
 綾華が辺りを見渡していると、オズも興味津々にきょろきょろと視線を巡らせてから、気になった店を示した。あっちもこっちもと覗きながら歩いていくオズはとてもはしゃいでいて、綾華はくすりと笑う。
「ふ。オズ、はぐれんなよー?」
「わかったっ」
 気をつけるように告げられたことも嬉しくて、オズは元気よく答えた。そんな彼が指差していたのはメダル射的が出来るという店だ。
 行くか、と綾華が一歩を踏み出すと、不意に懐から妖力が溢れた。
『ニャ! 我のお出ましだニャ』
 其処からぶわっと飛び出してきたのは綾華のレジェンドあやかしメダル、猫又ゴールドのゴルにゃんだ。
「わあっ、こんばんは。アヤカのネコさん?」
「そうだよ。ゴルにゃん、急にどうした?」
「ゴルにゃんていうの? はじめましてだね。わたしはオズだよ、よろしくねっ」
『うむうむ、よろしくニャ。向こうからバトルの気配がしたニャでな』
「射的――嗚呼」
 猫又が出てきた理由を悟った綾華は、化け狸と狐がやっている屋台に目を向けた。オズも興味津々だったので丁度いい。
「前にやったしゃてきとちがうね」
「これはめだるしゅーたーを使う射的みたいネ」
 オズは店先を覗き込み、綾華もカクリヨならではの夜店に感心する。ゴルにゃんはちゃっかりオズの頭の上に座っており、瞳を輝かせていた。どうやら参加したいのではなく様子をじっくり眺めたいらしい。
「オズ、どっちが多く打ち落とせるか勝負しよーぜ」
「しょうぶ、うけてたつよっ」
「ってわけで、ゴルにゃんは見守っててくれ」
 綾華が猫又に願うと、こくりと頷きが帰ってきた。しかし、ゴルにゃんは予想外のことを語ってくる。
『元よりその心算ニャ。やるからには勝つニャよ、オズ』
「俺だけあんたを使ったら狡い……って、俺の応援じゃねーの?」
『お主よりオズの方が応援したい顔ニャ』
「うんっ がんばるねっ」
 オズはぐっと拳を握ることでゴルにゃんの応援にこたえた。すごい、と口にしたオズは店の奥の台でぴょんぴょんしているメダル達を瞳に映す。
 店主から渡されたシューターを受け取ったふたりは身構えた。
「ポイント制勝負、はじめ!」
 いつのまにか菖蒲の趣旨を理解していた化け狐から掛け声がかかり、ふたりはそれぞれにコインを撃ち出していく。
 まず座敷わらしのメダルを撃ち落としたのはオズだ。しかし綾華も負けておらず、すねこすりのメダルにコインを当てた。
「まだまだっ」
『いくニャ、オズ!』
「こっちも甘く見てもらっちゃ困る」
 間髪いれずに綾華が二点目と三点目を獲得したが、オズの追い上げも凄いものだ。やがて、ふたりは全力でコインを使い切った。
「――勝者、オズさん!」
「やったあ」
 ポイントを数えてくれていた化け狐が結果を発表する。綾華が五点とリードしていたが、最後にオズが三連鎖を決めたことで六点を得た。微笑んだ綾華はオズの喜びように和みを感じ、ありがとネ、と勝負への礼を告げる。
 ゴルにゃんもどこか満足気に尻尾をぴんと立てていた。
 そして、ふたりは次の屋台に向かう。
「アヤカ、こっちこっちこっちっ」
 オズの興味が向いたのはきれいで可愛い飴細工を扱っている夜店だ。オズは店に並ぶイチゴ飴を手に取り、祭の灯に透かしてみる。
「きれいだね」
「飴細工か。苺も食いたいケド、折角だから何か作ってもらいたいよな」
「おや、何か欲しい物があればつくるよ」
 すると店主の一反木綿がひらひらと揺れて答えた。
「なんでもつくれちゃうんだ。じゃあね、アヤカに似合いそうな飴がいいな」
「それなら、オズにぴったりの飴を」
 互いに相手の飴を注文したふたりは視線を重ねる。どんなものが出来上がるのか楽しみでもあり、彼らは一反木綿の手元もとい布元に注目した。
 ほわ、と口を開けてオズが見守る中で飴細工はどんどん形作られていく。
 そうして出来上がったのは、丸くて平らで透明な飴の中に金平糖が並べられ、線で繋がれている星図風の飴。オズにははくちょう座、綾華にはわし座が渡された。どうやらふたりの水着を見て、天の川の中で鳥に関係する星座で揃えてくれたらしい。
「うわ、食うのも勿体ないし食べんのも勿体ないな」
「お星さまだっ」
「持ち帰って少しだけ飾ろ」
「うん、わたしもかざるっ」
 ふたりはそれぞれの飴を眺め、笑みを交わす。それから綾華は海辺の空を彩る花火をもう一度眺めてから、オズを誘う。
「なぁ、オズ。花火、もっと近くで見ねぇ?」
「わたしもね、もっとちかくで見たいって思ってたっ いこうっ」
 綾華は緋を細め、手を重ねる。
 真っ直ぐな眼差しも、手を引いてくれるオズの元気さも心地好くて――。夏のひとときは此処からもまだ、楽しく続いていく。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

クラウン・メリー
【軒玉】

🪀🍨

凄い!凄いっ!
どれを食べるか迷っちゃうな!

うんうん、なんで丸ごと飴にしたんだろう?
――分かった!考えた人は食いしん坊さんだったんだ!
ふふー、甘いもの美味しいもんね!

わあ、ヨーヨーだ!やろうやろう!
俺はね、やったことない!長閑も?いっしょだ!
どう釣れば良いのかな?

釣る姿をじぃっと見つめて
わ、わ!千切れちゃった!むむ、難しいんだね!

頑張れ頑張れ!
よーし、俺もやってみる!
狙いを定めてえいっ!

えへへ、俺もお腹空いちゃった!
かき氷にチョコバナナ……どれも大好きっ!

賛成!俺はアイスクレープとわたあめ!
がぶっと食べて!ふふ、美味しい?

葡萄飴、宝石みたいで綺麗っ!
ころころたこ焼きも頂きまーす!


憂世・長閑
【軒玉】

うん、美味しそうな香りが混じって
とっても賑やかな香り

林檎飴は英の好きなものなんだね
ふふ。甘い物だったら、クラウンも食いしん坊だよな

英の言葉に頷く
きっとたくさん遊んだらお腹も空くもの
オレもやったことない
紙の糸…なんだか面白そう

英は猫さん狙い?
頑張れ頑張れっ
クラウンもっ
よし、オレもがんばる…!
わ、紙、すぐ切れちゃうんだな
むずかしい……っ
(ド級の大雑把なので絶対に釣れない)

特別好きなものが浮かばなかったから
みんなで分けられるものと見回す
オレ、あれ買ってくるね
たこ焼きっ

たこ焼きもクレープもわたあめも美味しい
英から貰った飴をころころ口に転がして
綺麗な花火を見上げればふわふわ幸せな気持ちになった


榎本・英
【軒玉】

右も左も食べ物だ。
私は林檎飴が好きでね。

林檎を丸ごと一個、飴にするなんて
嗚呼。想像もつかなかったのだよ。

そちらのヨーヨー釣りも気になるね。
先にヨーヨー釣りを行っても良いかい?
二人はヨーヨー釣りをしたことはあるかい?
紙の糸を垂らしてヨーヨーを釣るのだが

嗚呼。このように。
運が悪いとすぐに千切れる。
私は猫のような水風船を狙うとも。

ヨーヨーを釣っていたら腹も空いてきた。
そろそろ林檎飴が食べたいね。
二人の好きな食べ物は何かな?

折角だ。色々な物を買って、分けないかい?
林檎飴を三等分には出来ない。
代わりに此方の葡萄の飴を三人で分けようではないか。

嗚呼。たこ焼きもクレープも良いね。
では、一口頂くよ。


●三彩
 焼きたてのお好み焼きにタコ焼き。
 からっと揚がったてんぷらに、ひんやりしたアイスクレープに林檎飴に苺飴。夜を彩る屋台の間を駆け、クラウンは瞳をきらきらと輝かせる。
「凄い! 凄いっ!」
「右も左も食べ物だ」
「うん、美味しそうな香りが混じってとっても賑やかな香り」
 クラウンの後をゆっくりとついて来ているのは英と長閑のふたり。クラウンは振り返り、はやくはやくと彼らを呼ぶ。
「どれを食べるか迷っちゃうな! 二人はどれが好き?」
「私は林檎飴が好きでね」
 林檎を丸ごと一個、そのまま飴にするなど想像もつかなかった。クラウンの問いに答えた英は初めて林檎飴を見たときのことを思い出す。
 長閑もはじめは同じことを思ったのだと話して、店先の林檎飴を見遣った。
「林檎飴は英の好きなものなんだね」
「うんうん、なんで丸ごと飴にしたんだろう? うーん――分かった! 考えた人は食いしん坊さんだったんだ!」
 クラウンも林檎飴の不思議を思い、自分なりの答えを出してみた。長閑はクラウンらしい考えだと感じながらにこにこと笑う。
「ふふ。甘い物だったら、クラウンも食いしん坊だよな」
「ふふー、甘いもの美味しいもんね!」
 ふたりがそんなやりとりをしている最中、英が道行く先にあった夜店に目を向けた。其処は小豆洗い妖怪がやっているヨーヨーの店だ。
「そちらのヨーヨー釣りも気になるね。先にヨーヨー釣りを行っても良いかい?」
「わあ、ヨーヨーだ! やろうやろう!」
 クラウンは元気よく走っていき、水槽桶に浮かんでいる色とりどりの水風船を見下ろした。赤に青、緑に黄色。色も様々だが、うさぎや猫、すねこすりなどの絵が描かれている水風船もあった。
 長閑もクラウンに続き、先程の英の言葉に頷きを返す。
「先に遊ぼうか。きっとたくさん遊んだらお腹も空いてくるもの」
「決まりだね。さて、二人はヨーヨー釣りをしたことはあるかい?」
 英は三人分の紙糸を店主に頼み、クラウンと長閑に問いかけた。するとクラウンがびしっと片手を上げたかと思うと、思いっきり宣言する。
「俺はね、やったことない!」
「オレもやったことない」
「長閑も? いっしょだ! どう釣れば良いのかな?」
 てっきりやったことがあるという勢いだと思っていたので英は思わず口元を緩め、ちいさく笑った。しかし、二人ともやったことがないのなら英先生の出番だ。
「紙の糸を垂らしてヨーヨーを釣るのだが、コツが必要でね」
「この紙の糸……? なんだか面白そう」
 釣るためのフック付き紙を手にした長閑はまじまじとそれを見つめた。英は二人に手本を見せるため、近くにぷかぷかと浮いている赤い水風船に糸を垂らす。
「見ていてごらん。嗚呼。このように……」
「わ、わ!」
 クラウンは英が釣る姿をじぃっと見つめていたが――。
「運が悪いとすぐに千切れる」
「千切れちゃった! むむ、難しいんだね!」
「めげないことが一番のコツだね。私はあの猫のような水風船を狙うとも」
「英は猫さん狙い? 頑張れ頑張れっ」
 クラウンと英、長閑はヨーヨー釣りにそれぞれの意気込みと思いを見せた。そして、習うより慣れろの精神で三人の遊戯挑戦が始まる。
「頑張れ頑張れ! よーし、俺もやってみる! 狙いを定めて……えいっ!」
「クラウンもっ。よし、オレもがんばる……!」
「長閑、今がチャンスかも、わあっ」
「わ、紙、すぐ切れちゃうんだな。むずかしい……っ」
 長閑は良い線をいっていると見せかけて、ド級の大雑把なので釣れずにいた。しかし、その分だけクラウンが張り切りとやる気を発揮したので結果的にふたつの水風船を手にすることが出来た。
「はい、長閑。こっちはあげる!」
「ありがとう、クラウン」
 クラウンは自分が釣ったピンクのうさぎと青い金魚のヨーヨーのうち、金魚の方を長閑に渡した。英も二度目の挑戦でお目当ての猫水風船を入手できたらしい。
「私も無事に掬えたのだよ」
「これでみんな一緒だね!」
 クラウンはぱしぱしと水風船を手の中で跳ねさせて喜ぶ。長閑も金魚を見つめ、そっと微笑んだ。
 ヨーヨーを釣って白熱していたことで、そろそろ腹も空いてくる頃。
「そろそろ林檎飴が食べたいね。二人の好きな食べ物は何かな?」
 英の言葉にはっとしたクラウンは自分の腹部を押さえた。
「えへへ、俺もお腹空いちゃった! 好きなものはね、かき氷にチョコバナナ……どれも大好きっ!」
「折角だ。色々な物を買って、分けないかい?」
「賛成! 俺はアイスクレープとわたあめ!」
 明るく答えるクラウンに対して、長閑は特別に好きなものが浮かばなかった。それゆえにみんなで分けられるものがいいと考えて周囲を見回す。
「オレ、あれ買ってくるね。たこ焼きっ」
「まずは手分けだ。私は……林檎飴を三等分には出来ないな。代わりにあの葡萄の飴を買ってくるから三人で分けようではないか」
 林檎飴は土産として買えばいい。
 英はひらりと手を振り、飴細工屋に向かっていった。クラウンと長閑も視線を交わした後、それぞれの夜店に目当てのものを貰いに行く。
 そうして、三人は少し静かな浜辺の一角に集まった。
 並んで腰を下ろした英達は各自が持ってきた屋台飯を広げる。葡萄飴は宝石みたいに綺麗で、ころりと転がっていきそうなたこ焼きも愛らしい。クレープは三枚の猫クッキーつきで、クリームもふわふわでとても甘そうだ。
「嗚呼。たこ焼きもクレープも良いね」
「こういうのはがぶっと食べるのが醍醐味ってやつだよね!」
「では、一口頂くよ」
「うん、いただきます」
「いただきまーす!」
 英とクラウン、長閑は各々に近くにあったものを口に運ぶ。たこ焼きもクレープもわたあめも味わい深く、何だか今宵に相応しい味がした。
「ふふ、美味しい?」
「嗚呼、とても美味だね」
「屋台のご飯って、皆で一緒に食べるからおいしいのかな」
 クラウンが二人に問いかけると、英と長閑が首を縦に振る。長閑は英から貰った飴をころころと口の中で転がして、甘酸っぱさを大いに味わう。
 英はまだまだ熱いたこ焼きに苦戦しており、クラウンはクリームたっぷりのクレープに思いっきり齧りつく。皆で思い思いの味を楽しんでいると、其処に大きな音が響いた。
「わあ、花火!」
「次の打ち上げが丁度始まったのだね」
「……綺麗だな」
 両手を上げて喜ぶクラウンに静かに花火の軌跡を見守る英、双眸を細めた長閑。
 美しくも不思議な花火を見上げれば、ふわふわとした幸せな気持ちになった。そして、夏の彩を宿した夜はゆっくりと深まる。
 今宵の記憶もまた、いつもと違う少し特別な思い出となっていく。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

戀鈴・イト
【硝華】
🥇

臆、そうだね、シアン
ふふ、どうしたんだい
いつもより元気いっぱいで可愛いね
愛おしさが溢れて双眸を緩く細める
恋心に気付かれないように
でも、君を大事に想っている事には気付いて欲しい
そこだけは理解していて欲しいなんて、我ながら我儘だな

あちらこちらから良い匂いがして
本当だ
これでは目移りしてしまうね
あ、イカ焼きだ
美味しそうだね
あ、焼きとうもろこしだ
美味しそうだ
あれやこれやと手に入れて半分こ
君と食べるからこんなにも美味しい

射的?バーンとするやつだったっけ
太らないように体を動かそうか、なんて悪戯に笑って

いいよ、勝負だ
おや、思ったよりも難しいな
負けたら勝った方の言う事を一つ聞こう
さあ、いざ―――


戀鈴・シアン
【硝華】
🥇

イト、幽世のお祭りだよ
へへ
こうして共に歩けるのが嬉しくて
いつもよりはしゃいでしまう

――きみの隣に俺以外の誰かが居る未来も在るんだって、最近になって知ってしまったから
隣に居るのを許された今この時くらいは、心から一緒に楽しみたい、なんて胸裡に抱いて

これだけ屋台があると目移りするな……
何か食べようか、何がいい?
はは、全部買っちゃおっか
分け合って、美味しいねって笑い合えたなら
其れが何よりの幸せ

わ、此処はとりわけ人だかりが凄いな
何だろう、射的だって
人気みたいだし、俺達も腹ごなしにやってみようか

狙いを定めて――
む、なかなか当たらない……
どっちが先に撃ち落とせるか勝負しない?
ふふ、負けないから


●ふたりの戀心
 灯る提灯の火、花火の音、揺れる水風船。
 元気な声や騒ぐ声、何だか芳しい香りに、甘やかでひんやりとした空気。ふたりで歩いていく道は夏らしさを宿していた。
「イト、幽世のお祭りだよ」
「噫、そうだね、シアン」
 賑わう屋台通りを歩くイトとシアンは楽しい気持ちを抱いている。花火が上がり、明るい呼び込みの声が聞こえ、良い香りが漂う祭の雰囲気がとても良いからだ。
 見て、とシアンが屋台を指差す様は愛らしい。
 イトは彼の隣を歩きながら、双眸を緩く細めた。
「ふふ、どうしたんだい。いつもより元気いっぱいで可愛いね」
「へへ、こうして共に歩けるのが嬉しくて」
 いつもよりはしゃいでしまうと答えたシアンはイトを瞳に映す。
 イトの愛おしさが溢れる眼差しは柔らかく、シアンに向けられている。この視線にそっと籠めた恋心には気付かれないように。けれども、君を大事に想っていることには気付いて欲しい――なんてことを思う。
(そこだけは理解していて欲しいなんて、我ながら我儘だな)
 イトは言葉にしない思いを胸に秘め、自分も嬉しいとシアンに告げた。嬉しそうに笑みを深めたシアンもまた、己の裡に或る思いを抱いている。
 ――きみの隣に俺以外の誰かが居る未来も在る。
 そのことを最近になって知ってしまったから、胸の奥がちくりと痛んだ。でも、だからこそ隣に居ることを許された今このときくらいは、心から一緒に楽しみたい。
 胸裡に抱く互いの思いは伝わらない。
 それでもふたりが考えている多いは同じ。今、この瞬間がとても大切だということ。
 はぐれないよう、並んで歩くふたりは屋台通りを進んでいく。
「あちらこちらから良い匂いがするね」
「これだけ屋台があると目移りするな……」
「本当だ、これでは目移りしてしまうね」
 シアンとイトは飴細工を作っている店の前に目を向ける。イチゴ飴にリンゴ飴は勿論、色々なフルーツ飴の他に丸くてシンプルなべっこう飴、美しい鶴やウサギの形をしたものまで、様々な飴が並んでいる。
 ひんやりとした空気が流れている店の中では、豆腐小僧が作ったという豆乳アイスが乗せられたクレープがせっせと作られていた。
「何か食べようか、何がいい?」
「あ、イカ焼きだ。美味しそうだね」
 シアンが問いかけると、イトは焼き物屋台でこっそり焼かれていたイカに目を留めた。どうやら天狗の店主がひっそり裏メニューとして用意していたものらしく、店先のメニューには書かれていない一品だった。そして、イトは隅っこで炙られているもう一品の方に気付いた。
「あっちは焼きとうもろこしだ。どれも美味しそうだ」
「はは、全部買っちゃおっか」
 シアンが可笑しそうに笑うと、天狗の店主もふふっと笑みを浮かべた。
「これが欲しいのかい? 美味しく食べとくれよ!」
 そうして、イト達は焼きとうもろこしとイカ焼きを入手する。
 それからふたりはあれやこれやと店を回り、欲しいものを集めていった。手に入れたものは勿論、半分こする予定だ。
 屋台横に設置されていた机と椅子に腰を落ち着けたシアンとイトは、いただきます、と手を合わせて屋台飯を頂いていく。
「美味しいね」
「君と食べるからこんなにも美味しいんだね」
 分け合って、笑い合えるこの時間がとても嬉しい。これが何よりの幸せだと感じたシアンが、ほんの少しだけ焼きとうもろこしをイトに多く分けたのは秘密のこと。しかし、イトの方もこっそりイカ焼きをシアンに多めに分けていたのでこれでおあいこ。
 気付かないうちに互いを思いやるのもふたりらしさ。
 そして、彼らは次の屋台に行こうと誘い合う。暫し通りを歩いていった先では、わいわいと賑わう店があった。
「わ、此処はとりわけ人だかりが凄いな」
「食べ物屋じゃないみたいだね」
「何だろう、射的だって」
「射的? バーンとするやつだったっけ」
「人気みたいだし、俺達も腹ごなしにやってみようか」
「太らないように体を動かそうか」
 そんなふうに悪戯に笑って言葉と視線を交わしたふたりは、化け狸と狐の店主からそれぞれにメダルシューターを受け取る。
 射出用のコインをセットすればそれで準備は完了。
「狙いを定めて――」
 シアンはまず試しに一発目を打ってみる。だが、店の台の上をぴょんぴょんと跳ね回るあやかしメダルに当てるのは至難の業のようだ。
「む、なかなか当たらない……」
「おや、思ったよりも難しいな」
 一発目はイトも同じだったらしく、ふたりは遊戯の難易度をしっかりと認識した。だが、難しければ難しいほどに燃えるというもの。シアンは隣のイトをちらりと見遣り、挑戦的な視線を向けた。
「どっちが先に撃ち落とせるか勝負しない?」
「いいよ、勝負だ」
 イトも快く答え、少し不敵に笑ってみせる。
「何か賭ける?」
「負けたら勝った方の言う事を一つ聞こう」
「ふふ、負けないから」
 さあ、いざ――。
 メダルシューターを構え直したふたりは狙いを定める。勝負の行方は彼らしか知らないが、暫し後。シアンがまんまるな青鷺火、イトが凛々しい赤蜂のあやかしメダルを持っている姿が見られたという。
 食べて遊んで、過ぎゆく夏の夜。
 これからも共に。其々に秘めた想いと一緒に、思い出が重ねられていく。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

羅・虎云
【羅胡】
胡姉達と屋台を巡ろう
藍包子もはぐれぬように私の背に乗るといい

胡姉どうした?……飴細工の店か
なるほど、藍包子達を作って貰うのだな
店主が兎を作ったことがあるのならば、きっと作って貰えるだろう

胡姉が頼み、店主が二羽の兎を作っていく
鉄やガラスのように飴も熱い内に作らねば固まってしまう
素早く、それでいて精巧に作る技術は素晴らしいものだな

仕上がっていく飴兎をじっと観察し、仕上がった飴を受け取って見せ合う
二羽とも良く特徴を掴んでいる
しかし……食べるのが勿体無いな

二羽の兎を頂くのは、もう少し先にしよう
屋台の店といっても私達の世界とは異なる料理が沢山あるようだ
勿論、藍包子達にも与える野菜も買ってやらねば


胡・蘭芳
【羅胡】
一緒に屋台を巡りましょう
ふふ、おじいちゃんも一緒ですよ?

腕の中の老師にそう声を掛けると嬉しいのか、お耳がゆらゆら

若様、若様
飴細工のお店に行きたいですわ
お願いした形の飴を作ってくださるそうなので……
藍包子ちゃんとおじいちゃんの飴細工をお願いしましょう?

この子達を飴細工で再現する事は叶いますか?

そう店主に尋ねれば快く作ってくださるとの事
器用に作られていく二羽の兎

素晴らしいですわね、若様

そう声を掛けて若様を見遣れば、少しわくわくしているような……?
我儘を言ったかと思いましたが
楽しめているようで良かったですわ

完成した飴細工を受け取ったら
色々巡ってみましょう

飴は持ち帰って暫く飾るのも良いのでは?


●四羽の兎
 花火が上がっていく浜辺の最中。
 さざめく波の音と、天涯にひらいていく光の華が奏でる音が混じりあう様を感じながら、虎云と蘭芳は互いに夜店通りへと目を向けた。
「胡姉、屋台を巡ろう」
「一緒に屋台を巡りましょう」
 頷きあったふたりはそれぞれの同行者にも声を掛けていく。
「藍包子もはぐれぬように私の背に乗るといい」
「ふふ、おじいちゃんも一緒ですよ?」
 虎云は藍包子へ、蘭芳は腕の中の老師にそう声を掛けた。するとラビットグリフォンと羽根付兎型幻獣は嬉しいと感じたのか、その耳がゆらゆらと動いた。
 そうして、ふたりは賑わう屋台通りに踏み出していく。賑わしい雰囲気が満ちる場所には様々な声が響いていた。
「焼きたてのお好み焼きに、焼きそば! どうかねー?」
「さあさ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! メダルの射的だよー!」
「ひんやりアイスクレープですっ! トッピングいっぱいですよっ」
「ヨーヨー釣りだよ、楽しいよ」
「飴細工、飴細工~。ブドウ飴がたったいま出来上がったよ、花飴もあるよ~」
「天ぷら、いかがですか? おいしいですよ!」
 天狗のお姉さんや化け狐と狸、豆腐小僧や小豆洗い、それに一反木綿や童子妖怪と、顔ぶれも様々な妖怪が呼び込みをしている。
 その中で蘭芳は或る店に興味をひかれた。
「若様、若様」
「胡姉どうした?」
「飴細工のお店に行きたいですわ」
「……飴細工の店か」
「お願いした形の飴を作ってくださるそうなので……藍包子ちゃんとおじいちゃんの飴細工をお願いしましょう?」
「なるほど、藍包子達を作って貰うのだな」
 蘭芳からの申し出に頷いた虎云は、彼女が店主の元に歩いていく後についていった。そして、蘭芳が一反木綿に尋ねる。
「この子達を飴細工で再現する事は叶いますか?」
「店主が兎を作ったことがあるのならば、きっと作って貰えるだろう」
 蘭芳は叶うか否かが安そうだったので、虎云はひょいと店の中を覗き込みながら自分の思いを告げた。すると店主は布をひらりと揺らがせた。
「ああ、ウサギくらいなら作ったことはあるよ。そっくりそのままとはいかないが、可愛く作ってやろうじゃないか」
「まあ、ありがとうございます店主様。快く作ってくださるとの事で嬉しいです」
「良かったな、胡姉」
 飴細工を作る作業をはじめた一反木綿を見つめ、ふたりは安堵する。そうして器用に作られていくのは二羽の兎。
 虎云も蘭芳が頼んだ飴が、店主がによって形作られていく様子をじっと眺めた。
「素晴らしいですわね、若様」
 蘭芳はそう声を掛けて虎云を見遣れば、彼は少しわくわくしているように思えた。すると頷いた虎云が双眸を細める。
「鉄やガラスのように飴も熱い内に作らねば固まってしまうからな。素早く、それでいて精巧に作る技術は素晴らしいものだな」
 次第に仕上がっていく飴兎。
 その様子を観察していく虎云と蘭芳は一反木綿の手際に感心する。蘭芳は我儘を言ったかと思っていたが、楽しめているようで何よりだと感じた。
「良かったですわ」
「ん? どうした」
「いいえ、楽しそうでしたから」
 ふふ、と蘭芳が笑うと虎云も一緒に口元を緩める。
 そうして、完璧に仕上がった飴を受け取ったふたりは互いのものを見せ合っていく。
「二羽ともよく特徴を掴んでいるな」
「ええ、とてもよく作って頂けました」
 一反木綿に礼を告げたふたりはそのまま、屋台通りを歩みはじめた。手の中に収まっている飴は食べ物ではあるが、口にしてしまうのが惜しいくらいだ。
「しかし……食べるのが勿体無いな」
「飴は持ち帰って暫く飾るのも良いのでは?」
「ああ、二羽の兎を頂くのは、もう少し先にしよう」
 虎云がどうするべきか考えていると、蘭芳が見事な提案をした。そうしよう、と答えた虎云は周囲を見渡し、賑わい続ける夜店を確かめる。
「屋台の店といっても私達の世界とは異なる料理が沢山あるようだな」
「色々巡ってみましょう」
 蘭芳は先を示し、ゆるりと進んでいく。
「勿論、藍包子達にも与える野菜も買ってやらねば」
 何処に売っているだろうか、と視線を巡らせた虎云はてんぷら屋台を見つけた。その中にはカボチャなどの野菜もある。揚げた野菜てんぷらがいいかどうかは分からないが、揚げる前の野菜を貰ってみるのもいいかもしれない。
 その他にも先程から気になっていた遊戯屋台も色々とあるようだ。何を食べてもいいし、何から遊んでもいい。夏祭の楽しみ方は何処までも自由だ。
「胡姉、行こう」
「ええ、若様。お供します」
 ふたりは隣同士に並び立ち、この先にも続く屋台を満喫しようと決めた。
 本物の二羽の兎達と飴細工の兎。そして、虎云と蘭芳。一行が過ごす夏の夜のひとときはまだまだ、此処からも巡っていく。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ミフェット・マザーグース
ティエル(f01244)を誘って花火大会!
ビーチだから水着でも良いんだって!ティエル海賊団の出番だね!
船長の号令がでたら「アイアイサー」って元気に答えてしゅっぱつ!

🍨海賊だぞー!と、お気に入りの泡鉄砲をつきつけて
クレープひとつくださいな!
どんなトッピングかな?

🥇メダル射的? メダルであそぶゲーム? ちょっとやってみたいかも!
ティエルもちゃんと遊べそう?それならふたりで競争だー!
へたっぴだけどたくさん遊んで満足したら

あやかしメダルの妖怪さんたちも、遊んでくれてありがとう!

さいごのティエルと花火を眺めて海賊団の活動終了!
あわわ、ティエルがねむそう!
そっと布でくるりんって巻いて、おやすみなさーい


ティエル・ティエリエル
ミフェット(f09867)とお祭り!水着に着替えて出発だ☆
ようし、ティエル海賊団、出撃だよ♪

🍨美味しそうなお宝いっぱいで迷っちゃうね!
あっ、ミフェット、クレープだってクレープ!
一つ目のお宝はあれに決定だね♪
ボクはあまーいトッピングがいいな~

🥇屋台でお宝いっぱい食べてお腹いっぱいになったら次はゲームで遊ぶぞー☆
ふふーん、ゲームでもティエル海賊団は後れを取らないよ♪
メダルシューターを両手で抱えていっぱい撃ちまくるぞー☆
撃って撃って撃ちまくってあやかしメダルをゲットしちゃうよ♪

花火が上がるころにはだいぶおねむになってミフェットの頭の上でウトウトしてるよ。


●海賊団とお祭りの夜
 華やかで賑やかな夏の夜。
 夜祭がひらかれている中に、海辺に上がる花火の音が大きく響き渡っていく。
「お祭り!」
「お祭りだね!」
 ティエルとミフェットは元気に声を合わせ、妖怪達がやっている夜店の通りに向かっていった。此処はビーチなので装いは水着でいい。
「水着に着替えて出発だ☆」
「ティエル海賊団の出番だね!」
 船長帽を被り、明るい色の外套を羽織ったティエルは装いも気持ちも準備万端。
「ようし、ティエル海賊団、出撃だよ♪」
「アイアイサー」
 ミフェットはティエル船長の号令を聞き、片腕を大きく上げた。これから始まるのはお宝探しという名目のお祭り巡り。バンダナをきゅっと巻き直した団員ことミフェットも気合を入れている。
「美味しそうなお宝いっぱいで迷っちゃうね!」
「そうだね、まずはどこいこう?」
 ふたりは賑わいの最中にある夜店通りを駆け抜けていく。
 じゅうじゅうと音を立てて焼かれる焼きそばやたこ焼き。可愛らしい飴細工が並ぶ店先や、てんぷらを揚げている店まである。
 そんな中でティエルの目に留まったのは豆腐小僧がやっているクレープ店だ。
「あっ、ミフェット、クレープだってクレープ! 一つ目のお宝はあれに決定だね♪」
「さっそく突撃だね。海賊だぞー!」
「お宝をよこせーっ」
 お気に入りの泡鉄砲を店主につきつけたミフェットは明るい笑顔を浮かべている。ティエルもフォークを抱え、豆腐小僧にウインクをしてみせた。
「わあ、海賊さんですね。ふふふ、どんなお宝がほしいんですか?」
「クレープひとつくださいな!」
「はーい! お任せにしてくれたらいっぱいサービスしますよーっ」
「だったらお願いしちゃおうかな♪」
 ミフェットとティエルが注文を願うと、豆腐小僧はにこにこしながらせっせとクレープを用意しはじめた。
「どんなトッピングかな?」
「ボクはあまーいトッピングがいいな~」
「できましたー!」
 わくわくしながら待っていると、ふたりの前にそれぞれのサイズのクレープが差し出された。ティエルには妖精サイズのちいさなウサギさんクレープ。ミフェットには普通サイズのネコさんクレープだ。
 どちらもアイスで盛られた顔にクッキーの耳がついており、目や口はチョコレートで描かれている。
「船長さんの方の余った生地は包みクレープに変えて、お持ち帰りのお土産にしておきました。そっちはアイスなしですよー!」
 どうぞ、とお土産の包みまで渡してくれた豆腐小僧はぺこりとお辞儀をした。
「わ、ありがとう!」
「クレープのお宝ゲットだー☆」
 店主にお礼を伝えたふたりはさっそく手持ちのクレープを味わうことにする。口溶けの優しいアイスにチョコレートがかかっているので甘くて美味しい。
 微笑みあったふたりはあっという間に可愛いクレープを平らげた。
「屋台でお宝いっぱい、お腹もいっぱい!」
「おいしかったね。次はどうしようか?」
「次はゲームで遊ぶぞー☆ あの射的なんかどうかな」
 ティエルとミフェットが次に目を向けたのは遊戯屋台。ちょうど場所が空いたところらしく、挑戦するにもいいタイミングだ。
「メダル射的? メダルであそぶゲーム? ちょっとやってみたいかも!」
「ふふーん、ゲームでもティエル海賊団は後れを取らないよ♪」
「おや、やってくかい?」
 化け狸に手招きされたふたりは大きく頷き、一回ずつ、とお願いしていく。
「ティエルもちゃんと遊べそう?」
「わっ……とと、大丈夫みたい。両手で構えたら大砲みたいになったよ!」
「それならふたりで競争だー!」
「いっぱい撃ちまくるぞー☆」
 渡されたメダルシューターを両腕で抱えたティエルはまるで大砲を撃つ時の海賊のように凛々しくて可愛い。
 よーいスタート、の合図であやかしメダルに狙いを定めたふたりは撃って撃って撃ちまくる海賊無双を開始する。
「やった、人魂さんのメダルにあたったよ!」
「ふふん。ボクもすねこすりのメダルに命中!」
 ふたりは少し苦戦しつつも、ぴょんぴょんと跳ねるメダルの中の一枚にコインを命中させていた。白熱した遊戯の後、人魂とすねこすりは二人の手の中と腕の中にそっと収まった。彼らをどうするかは、彼女達次第だ。
「他のあやかしメダルの妖怪さんたちも、遊んでくれてありがとう!」
 ミフェット達はお礼を告げた後、のんびりと浜辺を散歩することにした。賑わいも良いものだけれど、花火がよく見える場所を探すのもまた海賊団としてのお宝探しのひとつ。
 ミフェットの頭の上にちょこんと乗ったティエルは、空に花火が上がっていくことに気付き、わあ、と声をあげた。
「見て、ミフェット。きれいな花火が……ふわぁ」
「さいごの海賊団のお仕事はあの花火を眺めて……あわわ、ティエルがねむそう!」
「大丈夫、だいじょーぶ、だから――」
 大きな音と光が空に咲いていく中で、遊び疲れたティエルはうとうとしていた。お腹もいっぱいで、お土産もあって、楽しい気持ちがたくさん。それに親友が傍にいてくれるとなれば、心地好さは最上級。
 すうすうと小さな寝息が聞こえはじめたことで、ミフェットは微笑む。
 夜も更けた今、ちいさな海賊団長もおやすみの時間だ。ティエルをそっと布でくるりんと巻いたミフェットは、花火を見上げながら双眸を細めた。
「ティエル、おやすみなさーい」
「ううん、むにゃ……楽しかったね……♪」
「うんっ」
 すやすやと眠りながらもお祭りを思うティエルの寝言に明るく答え、ミフェットは嬉しさを感じる。空を彩る花火は美しくて、今宵の思い出もきらきらと輝いていた。
 そして、夜のひとときはゆったりと流れていく。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

クレア・オルティス
◎🍭
零時(f00283)と
アドリブOK
2020年浴衣イエカの姿

ふふ、れーじったら大興奮しちゃって
でもその気持ちわかる
沢山のお店…それだけでわくわくするものね
屋台を巡るならやっぱり浴衣かなぁって
今日はいっぱい楽しもうね(ぶい

まるで硝子細工のように繊細で綺麗だよね…ずっと見ていたくなっちゃう
みてみて!作ってもらった私の飴細工、いいでしょ
ん、あまい
れーじのも素敵だね

射的…?メダル…?いいけど、私にできるかなぁ
その賭け面白いね
うん、その勝負乗った
れーじってば自信満々でいるけど
私だって負けるつもりはないし全力で勝ちにいくからね…!
ふふ、いざ、勝負…!

勝敗おまかせ
🥇


兎乃・零時
◎🍭
クレア(f20600)と!
アドリブ歓迎
恰好は「浴衣イェーガーカード2020」

うわーー
すっげぇなこれ!
めっちゃ色々あるぞクレア―!!
まぁここで人魚化するより浴衣の方がらしい気もするし…今日は!浴衣!(ぶぶい

飴細工ってこれ形色々あって凄いよなぁ…どんなのが良いだろ、お任せとかできんのかな…。
ってか甘くてうめぇ……クレアのはどんな感じだ?

ってか射的屋でもあやかしメダルとか手に入るらしいじゃん?
やってみようぜ、クレア!
あ、折角だしなんか賭けとかしてみるか?
何が良いだろ……あ、負けた方が勝った方の言う事を聞くとかも良いよな
まぁ何が有ろうと勝つのは俺様だがな!
全力で行くぞー!!
勝敗はお任せ
🥇


●夏の夜の勝負
「うわーーすっげぇなこれ!」
 海辺でひらかれている夜祭の中で響くのは少年の声。
 その声を聞いたクレアはくすくすと笑い、駆けていく零時の後を追っていった。
「ふふ、れーじったら大興奮しちゃって」
「めっちゃ色々あるぞクレア―!!」
 早く、と呼ぶ零時はとても燥いでいる。男の子だなぁ、と感じたクレアだったが、その気持ちよくわかる。
 射的にヨーヨー釣り、クレープにたこ焼き、お好み焼き。
 たくさんのお店が軒を連ね、呼び込みの声や楽しげな笑い声が響く光景は見ているだけでわくわくするものだからだ。
「浴衣で祭りって、まさに夏って感じだよな!」
「うんうん、屋台を巡るならやっぱり浴衣かなぁって」
 零時とクレアの装いは去年に仕立てた浴衣。海辺なので水着も大丈夫だったが、夜店の中で人魚の形を取るよりも浴衣の方がいいだろうという零時の考えから、揃いでこの装いで訪れたというわけだ。
「今日はいっぱい楽しもうね」
「おう! たくさん楽しむぜ!」
 ぶい、とクレアがピースサインを作ってみせると、零時も合わせて片手を掲げる。
 そんなふたりが通り掛かったのは飴細工の店の前。
「飴細工、飴細工~。リンゴにイチゴ、金魚や花飴もあるよ~」
 一反木綿が呼び込みをしている店には、祭の灯を受けてぴかぴかと光る様々な飴が置いてあった。フルーツ飴は特にカラフルで見た目も良い。
 奥の方には細工飴もあり、翼を広げた鶴や、ウサギの形をした飴などが並ぶ。
「飴細工ってこれ、形が色々あって凄いよなぁ」
「あの飴、まるで硝子細工のように繊細で綺麗だよね……」
 ずっと見ていたくなっちゃう、と語ったクレアはうっとりしていた。しかし、見ているだけでは勿体ないと感じた零時達は自分達も何かを頼んでみることにした。
「どんなのが良いだろ、お任せとかできんのかな」
「ああ、出来るよ」
「だったら私達にひとつずつ、飴を作って欲しいな」
「あいよ、ちょっと待ってな」
 零時が興味津々に店の中を覗き込む中、一反木綿はてきぱきと飴を溶かして形を変えていく。ふたりが暫しリンゴ飴やブドウ飴のつやつや具合に見とれていると、奥の方から一反木綿が二本の飴を持ってきた。
 どうぞ、と受け渡された飴細工はそれぞれに違うものだ。
「みてみて! 狐のお面型の飴だよ。格好良くて、可愛さもあっていいでしょ」
「おー! こっちは星がいっぱい連なった飴だ。ってか甘くてうめぇ」
「れーじったら、もう食べてるの?」
 ふふ、と笑ったクレアは彼に倣って自分も飴を口にしてみることにした。
「可愛くて美味いのは良いなぁ」
「ん、あまい。れーじの星、何だか力が湧いてきそうで素敵だね」
「クレアのもご利益とかありそうじゃん?」
「あるかなぁ、あったらいいね!」
 零時とクレアは楽しげに飴を味わい、次の屋台に向かっていく。その背を見送る一反木綿はひらひらと布を揺らし、仲良きことは美しきかな、としみじみと呟いた。
 そうして、ふたりは射的の屋台に到着する。
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい、メダル射的だよ!」
「活きがいいよ! 元気もいいよ!」
 お決まりの呼び込みの声にひかれたクレア達は、化け狸と狐がやっている夜店をじっと見つめた。これは普通の射的ではなく、店の台の上で跳ねているあやかしメダルをシューターで撃ち落とすものだ。
「ってか射的屋でもあやかしメダルとか手に入るらしいじゃん?」
「射的……? メダル……?」
「やってみようぜ、クレア!」
 意気込む零時が呼びかけると、クレアは少しだけ首を傾げる。素早く動いているメダルやかなりの気迫を発しているメダルもあり、なかなか手強そうだと感じたからだ。
「いいけど、私にできるかなぁ」
「やって出来ないことはねぇ! 折角だしなんか賭けとかしてみるか?」
「勝負ってこと?」
「そう! 何が良いだろ……負けた方が勝った方の言う事を聞くとかも良いよな」
 すると零時は遊戯をもっと楽しくする提案を投げかけた。ふわりと笑ったクレアはそれで俄然やる気になったらしく、ぐっと掌を握り締める。
 浴衣の袖を軽く捲ってみせたクレアは零時に真っ直ぐな視線を向けた。
「その賭け面白いね。うん、その勝負乗った」
「まぁ何が有ろうと勝つのは俺様だがな!」
「れーじってば自信満々でいるけど、私だって負けるつもりはないよ」
 気合を入れるふたりに化け狸と狐からメダルシューターが渡される。専用のコインをシューターにセットしたふたりは店の台で飛び回るあやかしメダルに狙いを定めた。
「全力で行くぞー!!」
「こっちも全力で勝ちにいくからね……!」
「スタートだ!」
「いざ、勝負……!」
 そして、メダル射的という戦いの火蓋が切られた。
 翔ると表しても可笑しくないほどのスピードで飛び回るメダルに追い縋るようにして放たれるコインの弾丸。
「しまった、外したか!」
「ゆっくりしてると私が先に撃ち落としちゃうよ」
「うわっ、負けてられねえ!」
 白熱するバトルは実に楽しいもので、零時とクレアの間に笑みが満ちた。そうしてコインを撃ち出して狙い続けること暫く。
 クレアが撃ち落としたのは、筬火という火の玉の形をした妖怪のメダル。
 零時は音霊と書いてオトダマと呼ぶ音だけの存在の妖怪が宿るあやかしメダルを入手することになった。
「この勝負、私の勝ちかな?」
「クレアの方が早く撃ち落とせたもんな。俺様の負けかー……」
「ふふ、何をお願いしようかなぁ」
 結果はクレアの勝利。
 言うことを聞く約束だからね、と笑ったクレアは手の中のメダルを大切そうに握り締め、明るい笑みを浮かべた。零時も覚悟を決め、にっと笑ってみせる。
 そうして、少年と少女が過ごす夏の夜はゆっくりと更けてゆく。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

陽向・理玖
【月風】
🍨🪀
水着に上着羽織り

うわぁ賑やかだな
はぐれないようにしっかり手繋ぎ
美味そうなもん一杯あるけど…
手引かれ
だよな
可愛いと表情緩め

ふわふわ豆乳クレープってどんななんだろ?
とりま食ってみるか

甘さ控えめなのがいいな
豆乳だからさっぱりしてるし
さすが豆腐小僧いい豆乳使ってんな
こっちも食ってみる?瑠碧のは?
自分のを差出し
うん瑠碧のも美味い

おっヨーヨーだ!小豆洗いか
確かに何か音する
瑠碧した事あったっけ?
一緒にやらねぇ?
そっか
欲しい奴ある?
こっちゴム沈み気味だな…
…狙って取るのはむずいが
負けらんねぇ
いい感じの狙って見切り
…これ!
ん、瑠碧にやる

あー楽しかった
あと何する?
飴細工とかも綺麗だな
土産にしね?


泉宮・瑠碧
【月風】
🍨
水着でパーカーのフードを被り

賑やかなので、少し隠れ気味に
手を繋いで周りを見ます

呼び込みの中
アイスクレープの言葉につい振り返り
理玖…
行きたい、と理玖の手を引き

クレープ自体、食べた経験は少しですが
豆乳というのも不思議
…美味しい…
アイスも豆乳も優しい甘さで
食べ易いですね
理玖も私の、どうぞ
自分の分を差し出して
理玖のクレープを一口
…こちらも、おいひい…

ヨーヨー…
以前、一度やったような気が
私は…理玖を見守ります
欲しいのは、特に…代わりに、取り易そうな一つを示し
釣れるのかどきどき
…あ
釣れました、凄い
つい拍手

色んなお店があって…
見て回るのも楽しいです
飴細工、と聞けば目がきらきら
はい、お土産にします


●甘い夏の日
 昼間の熱気を残す夏の夜。
 賑わいを見せる妖祭の夜店の通りを手を繋いで歩くのは理玖と瑠碧のふたり。
 理玖は黒に金があしらわれた水着に上着を羽織り、瑠碧は元から着ていたパーカーのフードを深く被っている。
「うわぁ、流石妖怪の祭ってだけあって賑やかだな」
「はい、とても……」
 はぐれないようにしっかりと手を握り直した理玖に、瑠碧はこくりと頷く。楽しい雰囲気は嫌いではないが、人も妖も多いので瑠碧は少し隠れ気味。
「美味そうなもん一杯あるけど……」
 理玖が周囲を見渡していると、ふいに瑠碧が手を引いた。瑠碧がじっと見ていたのは豆腐小僧がやっているクレープのお店。
 呼び込みの声を聞いたことで、夜店から目が離せなくなっているようだ。
「理玖……」
 行きたい、と見上げてくる瑠碧は愛らしい。
 気持ちがそわそわして我慢できないらしく、再び理玖の手を引く瑠碧。ん、と短く答えた理玖はあまりの可愛さに表情を緩めた。
「ふわふわ豆乳クレープってどんななんだろ?」
「きっと、ふんわり甘くてふわふわで、ふわりとしていて……」
 理玖が首を傾げると、瑠碧は想像のクレープについて語る。クレープ自体を食べた経験は少ししかないし、豆乳というのも不思議だ。瑠碧の話すそれがふわふわだという情報しかないことに、ふっと笑った理玖は店の前で立ち止まる。
「とりま食ってみるか」
「はーい、いらっしゃいませー!」
 明るく出迎えてくれえた豆腐小僧はふたりを見てにこにこしていた。理玖は繋いでいない方の手をあげてピースサインを作り、おまかせふたつ、と頼んだ。
 暫し後。
 ふたりに差し出されたのは動物を模した可愛いクレープ。理玖は淡い黄色がかったアイスに虎の顔と縞模様が描かれ、薄くいチョコレートの尻尾が添えられたもの。
 瑠碧の方は細く絞られたモンブランクリームで背中の針が表現されている、ハリネズミのアイスクレープだ。
「可愛い……」
「何かちょっと罪悪感あるよな。でも、食いもんだし……」
 食べるのが勿体ないが、のんびりしているとアイスが溶けて虎もハリネズミも大変なことになってしまう。思いきってそれぞれのクレープを口にしたふたりは、はたとして顔を上げた。
「旨」
「……美味しい……」
「甘さ控えめなのがいいな、このアイスも豆乳だからさっぱりしてるし」
「優しい甘さで食べ易いですね。こっちのモンブランも……」
 ふわりとした口溶けとほんのりとした甘さに舌鼓を打ち、理玖と瑠碧は微笑み合う。自分達の様子を店主が見守っていることに気付いた理玖は、ありがとな、と告げた。
「さすが豆腐小僧、いい豆乳使ってんな」
「へへー、褒めても何も出ませんよう」
 美味しいものへの感謝を伝えた瑠碧達は豆腐小僧に別れを告げ、少し落ち着いた場所で改めてクレープを味わうことにした。
「こっちも食ってみる?」
「理玖も私の、どうぞ」
 ふたりはそれぞれ、自分のクレープを差し出しあう。遠慮なく齧る理玖と、はむ、と小さな口でちょっとずつ食べていく瑠碧。
「うん、瑠碧のも美味い」
「こちらも、おいひい……」
「瑠碧、口元」
「……?」
 ついてる、と告げた理玖は瑠碧の口元に伸ばした指先でアイス拭い、それを自分で舐め取った。無意識の行動だったので、あ、と彼から声が零れ落ちる。
「あの、ええと……ありがとう、ございます?」
「……どういたしまして」
 ふたりは今の遣り取りを深く語ることなく、どちらともなしに視線を逸した。しかしそれは決して嫌だったわけではなくて――。
 そんなこんなでクレープを食べ終えた彼らは次の店に移動していく。
「おっヨーヨーだ!」
 小豆洗いがやっている夜店で歩を止めた理玖は、確かに何か音する、と笑った。
「ヨーヨー……」
「瑠碧はした事あったっけ? 一緒にやらねぇ?」
「以前、一度やったような気が。けれど私は……理玖を見守ります」
 理玖の誘いに首を横に振った瑠碧は応援係に回りたいと申し出る。そっか、と頷いた理玖は一人分の遊戯を店主に頼んだ。
「欲しい奴ある?」
「特に欲しいものは……。でも、あちら……でしょうか」
 ゴムが沈み気味だな、と水風船の様子を確かめていく理玖。その様子に気付いた瑠碧は中でも取りやすそうな赤い色のヨーヨーを指差した。
「それなら狙って取れそうだ。むずいかもしれないけど、負けらんねぇな」
「はい、頑張ってください」
 真剣な表情になった理玖の横顔を見つめ、瑠碧はどきどきした思いを抱く。そして、理玖は水面に揺らぐ紐の動きを見切り、一気にフック付き紙を垂らした。
「――これ!」
「……あ。釣れましたね、凄い」
 理玖が見事に赤い水風船を釣り上げたことで、瑠碧がぱちぱちと拍手をした。手の中で数回、ぱしゃぱしゃと水風船を跳ねさせた理玖はそれを瑠碧に差し出す。
「ん、瑠碧にやる」
「……はい」
 ちいさく笑った瑠碧は大切そうに水風船を受け取り、眸を淡く細めた。クレープに水風船と祭らしい味と土産を楽しんだふたりは更に夜店通りを進んでいく。
「あー楽しかった。あと何する?」
「色んなお店があって……見て回るのも楽しいですし、迷います、ね」
「お、飴細工とかも綺麗だな。土産にしね?」
 理玖と瑠碧は来たときと同じように手を繋ぎ、辺りを見て回った。理玖が飴細工の店を見つけたことで、瑠碧の瞳がきらきらと輝く。
「はい、お土産にします」
 喜んで同意した瑠碧は理玖と一緒に店先に行き、色とりどりの飴を選びにいった。
 ふたりでいれば、どんな日も甘くて楽しい時間になる。
 それから――店主からのサービスでお揃いのハートの飴を貰って瑠碧が少し困ったり、理玖が僅かに照れたりするのは、もう少し後の話。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

フリル・インレアン
ふええ、ドキドキします。
すごい集中力です。
ふわっ、ああ残念です。
やっぱり無理ですよ、アヒルさん。
アヒルさんの体でメダル射的をするのは無理ですよ。
さっきもちゃんと持ててなかったじゃないですか。
ふええ!?だったら私がやれって八つ当たりですよ。
でも、アヒルさんがさっきまで頑張っていたのは知っていますし
やればいいんですよね
外れても文句を言わないでくださいよ、アヒルさんだって当たらなかったのですから。
それにしても最後の一発、お願いですから当たってください。

🥇(当たったかどうかも含めてお任せします)


●偶然と必然
 此処は妖夜祭の中にある射的屋の前。
 フリルは今、かなりの緊張感を持って射的に挑もうとしている。
「ふええ、ドキドキします」
 化け狸の店主から渡されたメダルシューターを握り締めたフリルは、店の台の上で跳ね回るあやかしメダル達をじっと見つめていた。
「すごい集中力です」
 だが、フリルはシューターを握っているだけ。
 其処にコインがセットされているのだが、まだ撃ち出してはいないという状況だ。しかし射的自体はフリルの目の前で行われている。
「ふわっ、ああ残念です」
 息を呑み、はらはらしているフリル。
 彼女が何を見ているのかというと相棒ガジェットのアヒルさんの動向だ。そして、店の奥に飛んでいったアヒルさんがフリルの元に戻ってきた。
「やっぱり無理ですよ、アヒルさん」
 フリルは首を横に振り、この形式はいけないと言って止めようとした。
 その理由は――。
「アヒルさんの体でメダル射的をするのは無理ですよ」
 なんとガジェット自身がコインの代わりになり、あやかしメダルに体当たりをしに行くという行動を取っていたのだ。
 勿論、店主には承諾を得ている。面白そうだからやってみな、と軽く頷いてくれた妖怪は楽しそうにアヒルさんとフリルを見守っていた。
 無理だと言われても、アヒルさんはまだまだやる気らしい。
「さっきもちゃんと持ててなかったじゃないですか」
 危ないです、とアヒルさんを止めようとするフリルだったが、事態は妙な方向に傾き始める。アヒルさんがフリルを見上げ、或ることを訴えかけてきたからだ。
「ふええ!? だったら私がやれって八つ当たりですよ」
 どうやら動き回るメダルに追い付けないことが悔しかったらしく、アヒルさんは無理難題とも思えることをふっかけてきた。
「ふぇ……でも、アヒルさんがさっきまで頑張っていたのは知っていますし、私もメダルシューターを持っていますし」
 暫し考え込んだフリルは意を決する。
 わかりました、と頷いた彼女はメダルシューターを構えた。
「やればいいんですよね」
 ただし外れても文句を言わないでください、とアヒルさんに宣言したフリルは狙いを定める。動き回るメダルにはアヒルさんだって当たらなかったのだから、此処は運を天に任せるしかない。
 一発、二発、三発と続くコインは当たらないまま。
 そして、最後の一発。
「お願いですから当たってください!」
 ぎゅっと目を瞑ったフリルは願いを込め、引き金をひいた。すると、ころんと地面にコインが転がっていき――其処に偶然、ぴょこんと跳んできたすねこすりのあやかしメダルがフリルのコインにすり寄った。
「お? これもアタリってことにしようか。お嬢ちゃん、おめでとー!」
「ふえ?」
 店主がぱちぱちと拍手を送り、フリルは何だか分からないうちにすねこすりのあやかしが宿ったメダルを手に入れていた。
 こうして、楽しいお祭りの夜のひとときが流れていく。
 
大成功 🔵🔵🔵

灰神楽・綾
【不死蝶】◎ 黒系の浴衣姿
🍭綺麗な飴細工をかじりながら
次はどこへ行こうかな~とあちこちキョロキョロ

そういえば射的屋さんがオススメって言ってたよね
せっかくだから俺達もやってみようよ
で、どうせなら勝負しないかと提案
メダルのレア度ごとに点数を設定(勿論高レアほど高得点
複数回撃ち出して、合計得点で勝敗を決める
負けたら屋台で何か奢るんだよ~

ぴょんぴょん跳ねるメダルが可愛いなぁと和みつつ
まずは試しに一発…おっ、ラッキー、早速当たった
レアなメダルも狙いたいけど心なしか動きが激しい気がする
横をちらりと見ればいつになく真剣モードな梓
ふふ、これは俺も本気出さなきゃ負けちゃうかもね

🥇勝敗やメダル詳細お任せ


乱獅子・梓
【不死蝶】◎ 灰色系の浴衣姿
アイスクレープをかじりながら綾の後ろをついていく

なるほど…つまり普通のメダルを沢山ゲットしてもいいし
最高レアのメダル一点狙いするのもありなわけだな
よっしゃ、乗ってやろうじゃないか
お前ここに来るまでに散々俺に奢らせてたけどな??
食べ終わりそうな飴細工を指差し

使い慣れないメダルシューター、ぴょんぴょん動く景品メダル
クッ、思った以上に難易度高いなこれは
綾が早速1枚ゲットしたようだが焦るな俺…!
これまでの戦いだって動き回る敵を相手にしてきたんだ
最初の数発は犠牲にしてでもまずはシューターやメダルの癖を覚え
狙った位置にメダルが来るのは…今だ!(発射

🥇勝敗やメダル詳細お任せ


●勝負の時
 満ちゆく夏の熱気と道行く人々。
 賑わいに溢れた夜祭を並んで歩いていくのは、綾と梓のふたり。いらっしゃい、と響く呼び込みの声を聞き、駆けていく妖怪の子供達を目で追い、彼らは静かに笑む。
 黒い浴衣に身を包んだ綾が齧っているのは綺麗な飴細工。
 先程に飴屋で作ってもらった、平たくして薄い丸にした青色のべっこう飴に小さな金平糖を散らして星に見立てた星図風の飴だ。
「次はどこへ行こうかな~」
 綾はあちこちをキョロキョロと見渡し、祭の雰囲気を楽しんでいる。
 その横には、灰色の浴衣を身に纏う梓がクレープを食べていた。ひんやりとした豆乳アイスの上にはさくらんぼのトッピングがあり、中のクリームにはイチゴがたっぷり入っている一品だ。
 綾の後ろをついていっていた梓は、ふと彼が立ち止まったことに気付く。
「どうしたんだ?」
「ほら、あそこ。そういえば射的屋さんがオススメって言ってたよね」
 綾が示した先には化け狸と化け狐がやっているメダル射的の店があった。そうだな、と頷いた梓は呼び込みの声を聞く。
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい、メダル射的だよー!」
「活きがいいよ! 元気もいいよー!」
 お決まりの呼び込みの声もまた、その言葉通りに元気がいい。店の奥ではあやかしメダルがぴょんぴょんと跳ね回っているのでとても賑やかだ。
「せっかくだから俺達もやってみようよ」
 綾は梓を誘い、店の前に歩みを進めた。そして、くるりと振り返った綾は梓へと少し挑戦的な眼差しを向ける。
「で、どうせなら勝負してみよう」
 綾は店主に射的で遊びたいと申し出ながら、考えたルールを梓に告げていく。
 まずメダルのレア度ごとに点数を設定する。
 勿論、高レアほど高得点となる。シューターで打ち出せるコインは同じ数に設定して複数回のシュートで競う。そして、合計得点で勝敗を決めるというわけだ。
「なるほど……つまり普通のメダルを沢山ゲットしてもいいし、最高レアのメダル一点狙いするのもありなわけだな」
「負けたら屋台で何か奢るんだよ~」
「よっしゃ、乗ってやろうじゃないか……ってお前、ここに来るまでに散々俺に奢らせてたけどな??」
 梓は既に食べ終わりそうな綾の飴細工を指差して、肩を竦めた。
 しかし、勝負事となれば燃えるというもの。
 綾と梓は店主から受け取ったメダルシューターを構え、射的用に用意されたコインをセットする。
 奥の台では変わらず、様々なあやかしメダルが動き回っていた。
 素早く駆け回るもの。のんびりと跳ねているものや、じっとしているもの、更には目に見えない速さで動いており、存在が不確かなもの。
 ぴょんぴょんと跳ねるメダルが可愛いなぁ、と感じた綾は和みを覚える。
「それじゃまずは試しに一発……おっ、ラッキー、早速当たった」
 最初にコインを撃った綾が当てたのは一つ目小僧のちいさなメダルだ。この勢いでレアなメダルも狙いたいものだが、強い雰囲気を感じるものの方が心なしか動きが激しい気がしていた。
 そんな中で横をちらりと見れば、いつになく真剣モードな梓がいた。
「よし、あそこだ!」
 狙いを定めてコインを撃つが、梓の一発目は当たらずに地面に落ちる。使い慣れないメダルシューター、ぴょんぴょん動くあやかしメダル。状況は有利とは言えず、梓はゆっくりと呼吸を整えた。
「クッ、思った以上に難易度高いなこれは」
 しかも綾が早速ひとつめをゲットしているので、焦りも募っていきそうだ。
 大丈夫だ、焦るな俺。
 そんなふうに自分に言い聞かせた梓は真剣な眼差しをメダルに向けていた。
「ふふ、これは俺も本気出さなきゃ負けちゃうかもね」
 綾も身構え直し、次のメダルを狙い始める。やはりレア狙いよりも普通のメダルの方が御しやすいと感じた綾は、数で上回るつもりでいた。
 一つ目小僧ふたりめ、から傘お化け一体目、雨女ひとりめ、と綾は次々とメダルを撃ち落としていった。
 対する梓は神経を研ぎ澄ませている。
「これまでの戦いだって動き回る敵を相手にしてきたんだ」
 最初の数発は犠牲にしてもいい。シューターの軌道やあやかしメダルの動きの癖を覚えた梓は最後の一発にすべてを賭けた。
 そして――狙った位置にメダルが来た瞬間。
「……今だ!」
 発射されたコインは見事に命中。宙に飛び上がったレジェンドあやかしメダルはくるくると舞い、梓の手に収まった。
 それは犬鳳凰と呼ばれる妖怪で――。
「梓の勝ちかな?」
「ふふ、どうだ見たか!」
 勝敗は梓に軍配が上がり、射的勝負はこうして幕を閉じた。
 当てたメダルは様々。此処で礼と共に別れを告げるのか、同道を願うのか。あやかしメダルの妖怪達とどのような交流を結ぶのかは、この後の彼ら次第。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ルーファス・グレンヴィル
◎🍤禰々子(f28231)と

──アッ、おい!

止める間も無く駆け出した禰々子
追い付いたのは天ぷらの屋台前だった

お前、走るの早いよ
浴衣は慣れてなくて走りづらい
呆れたような溜め息をひとつ
けれど直ぐ愉しげに笑って

で、どれ食べたいんだ?
オレはお勧めをひとつ

ああ、あと、そうだ

肩に座る黒竜の後ろから
ひらひらと顔を出す幽世蝶
以前君とオレを導いてくれた赤い光

禰々子に一番最初に紹介したかったんだよ
あのときの蝶、名前教える約束だったろ?

名前は──リリアン
あのとき幻は見えなかったけど
今だったら、きっと見えるよ

コイツはオレの、妹だ

だから仲良くしてやってくれよな
勿論オレとも変わらず遊ぼうか
まだまだ夏は、これからだろ?


●其の名は
「――アッ、おい!」
 ルーファスが止める間も無く、駆け出した少女はお祭り屋台にまっしぐら。
 禰々子に声を掛けようと思っていたルーファスも走り出したが、人混みで後ろ姿を見失ってしまった。そうしてやっと追い付いたのは、天ぷらの屋台前。
「あら、ルーファス?」
 店の前で何を選ぼうか迷っていた禰々子はきょとんとしている。
「お前、走るの早いよ」
「ふふ、だってあつあつのものが食べたかったんだもの!」
 浴衣は慣れてなくて走りづらかった、とルーファスが話すと禰々子はくすりと笑った。悪びれていない様子に対して呆れたような溜め息をひとつ返したルーファスは、まあいいけど、と顔を上げた。
 そして直ぐに表情を緩め、愉しげに笑う。
「で、どれ食べたいんだ?」
「あたしはエビ! あとは食べてから考えるわ」
「そっか、じゃあオレはお勧めをひとつ」
 ルーファスが問うと、禰々子はまだまだ頼む気満々で答えた。童子妖怪達はルーファスの注文を聞き、ぱたぱたと奥の揚げ場に入っていく。
「はーい、ちょっとまってくださいね」
「くださいね!」
「火傷に気を付けろよ」
 童子達を見送ったルーファスは禰々子と共に揚げ上がりを待つ。その際、彼はふと思い出したように指先をぴんと立てた。
「ああ、あと、そうだ」
「どうしたの?」
 禰々子が首を傾げると、ルーファスの肩に座る黒竜の後ろからいつかの幽世蝶がひらひらと顔を出して、指先に止まった。以前のあの子ね、と微笑んだ禰々子に頷きを返したルーファスは、幽世蝶に導かれて進んだ路を思い返す。
 そう、あの頃からずっと傍に居てくれた。
 今まで名前を与えることがどうしても出来なかったが、幽世と地球を繋いだあの戦いで出た答えがあった。
「もしかして、名前が決まったのかしら」
「禰々子に一番最初に紹介したかったんだよ」
 蝶の名前が決まれば教えるという約束だった。禰々子を追いかけてきたのはそのこともあったのだと告げ、ルーファスは指先で柔く翅を揺らす蝶を見つめる。
「名前は――リリアン」
 導いてくれたあのとき、幻は見えなかった。けれども今だったら、きっと見える。ルーファスに紹介された蝶に微笑みかけた禰々子は嬉しそうに眸を細めた。
「リリアンちゃん、こんばんは」
「コイツはオレの、妹だ。だから仲良くしてやってくれよな」
「妹さん? だったらいっぱい遊んであげなきゃ!」
「勿論、オレとも変わらず遊ぼうか」
「ふふふ、ルーファスよりあたしたち女の子同士の方が気が合ったりして?」
 冗談交じりに笑いあったふたりを、幽世蝶と黒竜が見守っている。そのとき、待っていた天ぷらが運ばれてきた。
「おまちどおさまでーす。スペシャル特盛ミックスです!」
「ですー!」
 それはエビにイカ、タコやカボチャに舞茸、川魚と様々な天ぷら盛りだった。
「……多くないか?」
「みんなで分けっこすればいいのよ。ね、ナイトにリリアンちゃん」
 驚くルーファスに対して、禰々子はひょいっとエビの天ぷらを手掴みで持ち上げる。それもそうかと笑ったルーファスの頭の上に幽世蝶がふわりと止まった。
 まだまだ夏は、これから。
 夜明かしの祭の夜の時間は賑わしく、明るい楽しさで満ちていく。
 
大成功 🔵🔵🔵

丸越・梓
◎🏅
矛盾点お任せ
マスタリング歓迎

_

俺は警察官やUDC機関員、猟兵である傍ら
時間を見つけてはとある事件を機に知り合った施設で『先生』の真似事をしていた
様々な理由で学校に通えなくなったりした子ども達に勉強を見たり教えたりしているのだが
今夜はその子達や他の先生方に差し入れをと思い此方に出向いた次第で
美しい飴細工や旨そうな焼きものをいくつか購入した後
目に留まったのは射的屋
既にメダルは少なく
その中でどこか落ち込んでいるように見える黒いメダルに目を引かれ
店主に話しかけ詳細を訊き
射的銃構え
もしそのメダルに宿る妖が俺でも良いと言い
縁が僅かでも結ばれたなら
お前が真に共にありたい主を見つける迄
一緒に行かないかと


●或る出逢い
 歩む道の先は賑わいに満ちている。
 夜祭が行われている海辺を進む梓は、空を彩る花火と道を照らす提灯の明かりに目を細めた。彼の横を駆けていくのは童子妖怪達。
 子供のような姿をした彼らが元気よく走っていく後ろ姿を見送り、梓は静かに頷く。
 今宵の祭にこうして訪れたのは自分のためではない。
 梓は警察官やUDC機関員であり、猟兵である傍らで別の活動もしている。彼は時間を見つけては、とある事件を機に知り合った施設で『先生』の真似事をしていた。
「あの子達は喜んでくれるだろうか」
 梓の手には土産や差し入れとして購入した屋台飯や、飴細工がある。
 袋詰めされた品々をあげるのは子供達。様々な理由で学校に通えなくなったり、家庭から見放されたり、所謂普通の生活が出来ていない子達への贈り物だ。
 梓は先生のように、彼らの勉強を見たり教えたりしている。梓をお兄ちゃんと呼んで慕ってくれる子もいれば、なかなか心を開いてくれない子もいるが、誰もが梓にとって大切にすべき存在だ。
「先生方にも……よし、これでいい」
 今夜の目的を果たした梓は、他の先生方への差し入れも十分なことを確かめた。それ以外には特に用事もなかったので、これで今宵は帰ってもいいのだが――。
 ふと、梓の瞳に或る夜店が映った。
 いらっしゃい、いらっしゃい、と呼び込みをしているのは化け狸と化け狐だ。元気がいいよ、という言葉を不思議に思った梓はそちらに歩いていく。
 金魚か亀か、そういった夜店だと思ったがどうやら違うらしい。
「射的屋か」
 あやかしメダルをコインで落とし、望めば相棒になってもらえるという店だ。見れば幾つものメダルが元気よく跳ねていたり、素早く飛び交っている。
 そのまま通り過ぎても良かったのだが、梓はふと黒いメダルが気になった。
 どうしてか、その中にいる妖怪がどこか落ち込んでいるように見えたからだ。黒いメダルに目を引かれた梓は店主に話しかける。
「あの黒いメダルは?」
「ああ、空狐ちゃんか」
 あの中にいる妖はどうしたのかと詳細を聞けば、空狐と呼ばれる狐の妖なのだと分かった。空狐は千年以上を生きた狐のことであり、三千年以上を経ると稲成空狐となると云われている。あのメダルの空狐はまだ駆け出しだが、どうやらこれまで良い主人に出会えていないらしい。
 それゆえに今、こうして新たな出会いを求めているのだという。
 梓は気付けばメダルシューターを握っていた。銃を構えた彼は、ゆっくりと跳ねている黒いメダルに狙いを定めた。
 普通に声を掛けても相手は此方を認めてくれないだろう。それゆえに撃ち落とすことで縁を得ようと決めた梓は、真剣な眼差しを向けていた。
 そして、暫し後。
「お兄さん、銃の扱いが上手いね! ほら、空狐ちゃん」
 見事にコインを当てたことで、店主から梓へ黒いあやかしメダルが渡された。どうやら空狐は梓を主として認めてくれたようだ。
 ――よろしゅうお頼み申します。
 メダルを握ると女性的な声が頭の中に響いてくる。梓はそっと空狐を見下ろし、此方こそよろしく頼む、と告げた。
「一緒に行こうか」
 お前が真に共にありたい主を見つける迄。
 この先、梓と空狐にどのような出来事が巡っていくのかは分からない。それでも今、ちいさな契約と約束が此処で確かに結ばれた。
 
大成功 🔵🔵🔵

宵鍔・千鶴
🥇🪀

【千宵桜】

千織、見て、よーよーがある!
お祭りの定番な気がするけどやったことなくて…
一緒にやらない?
こよりを摘んで慎重に……
む、ヨーヨーが逃げるぞ
えいえいと掬えば切れてしまうけど楽しくて
拾えたヨーヨーを掌で跳ねさせ御機嫌
千織の風船も綺麗だ

次はー…なんか変わった射的が有るね?
普段は使わないけど射撃はちょっと自信があるんだ
其れに、あやかしメダル連れて帰りたいし…
折角だし、千織、点数でも競わない?勝負、しようぜ
ふふ、やった、さすが千織
子供みたいにはにかんで
的に照準合わせ、狙いは…
勝負の結果は如何に

コインが当たったあやかしへうちの子になる?って柔く微笑む

燥いでいたらきみとの時間はあっという間だね


橙樹・千織
🥇🪀

【千宵桜】

賑やかなお祭りですねぇ
あらほんと
色とりどり、柄も様々で見ていて楽しくなりますねぇ
ふふふ、ぜひやりましょう
ヨーヨーを追いかける千鶴さんが微笑ましくてくすくすと笑む
暫く眺めた後、受取ったこよりを手にいざ
千鶴さんの綺麗ですねぇ
ヨーヨーをぱしぱしはじき

へぇ、コルクの弾ではなくコインでメダルを…
カクリヨならではですねぇ
あら、そうだったのですか
知らぬ一面を知れて尻尾がひょこり
勝負?ふふ、受けて立ちますよ
遊びとはいえ、負けられませんね
なんて気合いを入れて…

痛かったりは?…ん、なら良かった
当てたあやかしにそっと問い
縁を結びましょう

お祭りでこんなに燥ぐなんて久しぶり
楽しい時はあっという間ね


●君と一緒だから
 妖怪達が集い、賑わせている夏の夜の祭。
 其処に連れ立って訪れた千織と千鶴は、楽しげな周囲の様子と空気を肌で感じている。
「賑やかなお祭りですねぇ」
 双眸を緩めた千織は祭屋台をひとつずつ眺めていった。千鶴も同じく、どんな店があるのかを興味津々に見つめている。
 そんな中、ふと立ち止まった千鶴が或る店を指差した。
「千織、見て、よーよーがある!」
「あらほんと」
 千鶴と千織が見つめる先には、色鮮やかな水風船が浮かぶ水桶がある。水面に揺れているヨーヨーは様々で見ているだけでも和む。
「色とりどり、柄も様々で見ていて楽しくなりますねぇ」
 千織が微笑むと、店先に歩み寄った千鶴もちいさく笑った。ぷかぷかと浮かんでいる水風船はとても愛らしく思える。
「お祭りの定番な気がするけどやったことなくて……一緒にやらない?」
「ふふふ、ぜひやりましょう」
 千鶴からの誘いを断る理由はひとつもない。
 千織達は店主に声を掛け、それぞれに釣り用のフックがついた紙紐を受け取った。千鶴はこよりを摘んで、切れないように慎重に垂らした。しかし、肝心の水風船はふんわりと浮きながらゆっくり移動してしまっている。
「む、ヨーヨーが逃げるぞ」
 えいえいと勢いよく掬えば切れてしまうけれども、千鶴は楽しさを抱いていた。簡単に連れてしまうよりも、きっとこうして苦戦するほうが遊戯は面白い。
 揺れる水風船を追いかけて移動している千鶴の姿が微笑ましく思え、千織はくすくすと笑む。そうして彼を暫く眺めた後、千織は受け取ったこよりをしっかりと手にする。
 いざ、と意気込んだ彼女は全神経を集中させた。
 一瞬後。ぱしゃん、と水がちいさく跳ねたかと思うと金魚の色のような赤いヨーヨーが釣り上げられた。
 千織の手の中に収まった水風船は赤のラインがとても印象的なものだ。千織はヨーヨーをぱしぱしと弾き、その感触を楽しむ。
 そうしていると、これまで苦戦していた千鶴もやっと水風船を釣った。
「千鶴さんのヨーヨー、綺麗ですねぇ」
「千織の風船も綺麗だね。青と赤で対みたいだ」
 ふふ、と笑った千鶴は釣り上げた水色のヨーヨーを掌で跳ねさせながら、御機嫌な表情を見せる。
 これで大いに一軒目を楽しむことが出来た。
 ヨーヨーを片手に歩き出したふたりは、次に遊ぶ屋台を探していく。
「次はー……なんか変わった射的が有るね?」
「へぇ、コルクの弾ではなくコインでメダルを……カクリヨならではですねぇ」
 彼らが見つけたのは射的屋。
 呼び込みの声を聞く限りは普通の射的ではなく、あやかしメダルを撃ち落としていくものらしい。やっていこう、と軽く
「普段は使わないけど射撃はちょっと自信があるんだ」
「あら、そうだったのですか」
「其れに、あやかしメダル連れて帰りたいし……」
 千鶴が少年めいた笑みを浮かべたことで、千織は彼の知らぬ一面を知れた気がした。千織の尻尾がひょこりと動いている様を軽く見遣り、千鶴は提案を投げかける。
「折角だし、千織、点数でも競わない? 勝負、しようぜ」
「勝負? ふふ、受けて立ちますよ」
「ふふ、やった、さすが千織」
「遊びとはいえ、負けられませんね」
 気合を入れた千織と視線を交わした千鶴は子供のようにはにかみ、跳ねているメダルに照準を合わせた。
 そして、狙いは――。
 千織が当てたのは蝶化身と呼ばれる、文字通りの蝶々の形をした妖怪だ。
 千鶴の方は、天狗火と呼ばれる怪火の一種だった。
 ひらりと舞っている最中の蝶々が刻印された銀のメダル。そして、揺らめく炎が描かれた銅色のメダル。それぞれを手にしたふたりはそっと微笑む。
「うちの子になる?」
 ――はい。
 千鶴がメダルに問いかけると、短い返事が聞こえた。天狗火は無口なようだがちょっとした意思もあるらしい。
「大丈夫でしたか? 痛かったりは?」
 千織はあやかしメダルに問いかけたが、妖怪はどんな形であっても頑丈だ。蝶のメダルから大丈夫だという雰囲気を感じた千織はほっとした。
「……ん、なら良かった」
 縁を結ぶことにした千織はふわりと笑み、メダルを優しく握り締めた。そうして、新たな相棒と出逢ったふたりは賑やかな祭の通りを歩いていく。
「お祭りでこんなに燥ぐなんて久しぶり」
「きみとの時間はあっという間だね」
「楽しい時はあっという間ね」
 同じ思いを抱いた千鶴と千織は楽しげな眼差しを重ね、笑いあった。其処に大きな花火があがり、大輪の花となった光が夜空を明るく飾っていって――。
 夜を明かすまで、妖の祭は続いていく。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

三岐・未夜
【冬星】◎
🍭🥇

甚平姿で、買ったお面を頭に
久し振りに三人でお出掛けだとしっぽは分かりやすくご機嫌にぶんぶんと
夏バテもテンションの高さでどっか行った

るり遥早く早くー!ジンガ待ってー!
人混みが得意な彼と、苦手組ではっきり分かれる機動力は如何ともし難い
飴細工屋さんでそれぞれらしい飴細工を見繕って貰ったら、何だか食べるのが勿体なくて
これやっぱり持ち歩いてたら溶けてベタベタになっちゃうかなぁ、暑いもんね今夜も……
あ、僕も写真撮るー
スマホで3人の飴をパシャリ

射的!僕、射的やりたい!
シューティングゲーム系大好きー
大好きだし大得意、但しゲームに限る
ジンガは……さぁっすが本職、かっこいー!
るり遥もがんばれー!


ジンガ・ジンガ
【冬星】◎
🍭🥇

去年の浴衣を引っ張り出し
下駄をからころ、二人に並び

最初はやっぱ腹ゴシラエっしょ
俺様ちゃん、お腹ペコペコのきゅうきゅうよ
するりするりと人混み抜けて、はぐれない程度にさりげなく色々と買い食い
んっひひ、一口食べるならどーぞ?

オマカセで作って貰った飴細工をしげしげ眺め
はぇー……すっげ、超キレイじゃんよ……
るり遥と未夜のも、すっげ二人っぽいじゃんよ、分かるゥ~
あ、俺様ちゃんも今食べる
溶けたアメちゃんって、くっついたら結構ガンコだしィ?

んェ、射的?
フツーの銃なら慣れてるけど、コレはハジメテちゃんだわよ
ちょーっちクセのあるシューター片手に狙いを定め
やるからには全力でスコアトップめーざそ!


松本・るり遥
【冬星】◎
🍭🥇

……もっと夏祭りみたいなの着とくべきだったかな
あーしくった、帽子を目深に被って苦笑
何から行くか。
はいはい飯な。

飴細工は、敢えて溶けちまうようなもので作るのが浪漫ってやつなんだろ
俺は今食べる。一番綺麗なうちにこそ食べたい……いやうそ、これ腹減ってるだけ
一足先に袋をむいて、でも3人の飴細工の写真はケータイの写真に収める。
うっま。

射的?いいじゃん、二人とも頑張……俺も???
いやあいいよ、どーせ俺がドベスコア、……あっ簡単なとこに置いてくれてる……やります……
店主が気を利かせてかなり手前に置いてくれたそれをバン。
巧い奴に挟まれてコレは流石に恥ずいけど
ま、やらないよりはずっと良かった。


●夏色の記憶
 夜が巡り、花火が天涯に彩を宿す。
 夏の暑さも日が落ちれば少しは穏やかになり、幾らか過ごしやすくなっている。
 未夜とジンガ、るり遥の三人は賑わう屋台通りを歩いていた。今宵の未夜はお面を頭に被った甚平姿。ジンガは蜻蛉柄の浴衣に、下駄をからころと鳴らして歩く夏仕様。
 るり遥はというと普段通り。
「……もっと夏祭りみたいなの着とくべきだったかな」
 あーしくった、と彼は二人には聞こえないようにこっそりと呟いた。夏らしい服装の二人と自分を見比べ、思わず苦笑してしまったるり遥は帽子を目深に被り直す。
「何から行くか」
「最初はやっぱ腹ゴシラエっしょ」
 気を取り直したるり遥が二人に問いかけると、ジンガがすかさず答える。
「はいはい飯な」
「俺様ちゃん、お腹ペコペコのきゅうきゅうよ」
「それじゃ行こう!」
 未夜も賛成を示し、意気揚々と歩いていく。今夜は久し振りに三人で出掛ける日。未夜のしっぽは分かりやすく、ご機嫌にぶんぶんと横に揺れている。夏バテ気味だった気分も、楽しいテンションの高さでどこかに行ってしまったようだ。
 そうして、ジンガはするりするりと人混みを抜けていく。二人とはぐれない程度にさりげなく距離をはかりつつ、色々と買い食いしていく様は見事だ。
「るり遥早く早くー! ジンガ待ってー!」
「今行く」
 その後についていく未夜は後方のるり遥に手を振り、先に言ったジンガにも視線を向けた。人混みが得意なジンガと、苦手なるり遥と未夜組。はっきり分かれる機動力は如何ともし難いと感じつつ、未夜はちいさく笑った。
 ジンガはいつの間にかお好み焼きを平らげた後にたこ焼きを入手しており、やっと追いついてきた二人に箱を差し出す。
「んっひひ、一口食べるならどーぞ?」
「やった、いただきます!」
「火傷しないようにな」
 渡されたたこ焼きを嬉しそうに受け取る未夜。まだ熱そうな雰囲気が見えたので少し注意を払うるり遥。二人の違いを見たジンガもまた、彼ららしいと感じる。
 それから三人は甘いものが欲しくなり、飴細工屋に寄ることにした。
「はぇー……すっげ、超キレイじゃんよ……」
「何だか食べるのが勿体ないなぁ」
「ほんとに凄いな」
 彼らがお任せで作ってもらった飴細工はそれぞれに違う形をしている。
 未夜はふわりと尾鰭を広げた赤い金魚。
 ジンガは枝に止まっている青い小鳥。
 るり遥は今にも跳ね出しそうな月色の兎。
「これって、やっぱり持ち歩いてたら溶けてベタベタになっちゃうかなぁ、そこそこ暑いもんね今夜も……」
「飴細工は、敢えて溶けちまうようなもので作るのが浪漫ってやつなんだろ」
「るり遥と未夜のも、すっげ二人っぽいじゃんよ、分かるゥ~」
 わいわいとお互いの飴を眺める三人。
 未夜は名残惜しそうだが、るり遥は潔く心を決めた。
「俺は今食べる。一番綺麗なうちにこそ食べたい……いやうそ、これ腹減ってるだけ」
「あ、俺様ちゃんも今食べることにする。溶けたアメちゃんって、くっついたら結構ガンコだしィ?」
 一足先に袋から飴を出したるり遥。
 もちろん、飴を口に運ぶ前に三人分の飴細工の写真を撮ることも忘れない。
「あ、僕も写真撮るー」
「うっま」
「甘い」
 未夜も倣って飴をパシャリと撮影する。そして、三人は甘い味わいを堪能した。
 屋台飯にデザート代わりの飴に、食を楽しんだ一行が次に向かうのは遊戯屋台。ちょうど行く先には賑わっている夜店があった。
「あれって射的?」
「射的! 僕、射的やりたい!」
 るり遥が示した店に駆けていった未夜は尻尾を更にぶんぶん振っている。どうやら普通の景品が置いてあるものではなく、動き回るあやかしメダルを撃ち落とす遊戯らしい。
「んェ、射的? フツーの銃なら慣れてるけど、コレはハジメテちゃんだわよ」
 ジンガも興味津々に店の奥を覗き込む。
 いらっしゃい、と迎えた化け狸と化け狐の店主は目を細め、三人分のメダルシューターを用意してくれた。
「いいじゃん、二人とも頑張……俺も???」
「一緒にやろ! シューティングゲーム系大好きー」
 るり遥が首を傾げる横では未夜が大いに張り切っている。大好きであり大得意。但しゲームに限るという条件はあるが、未夜の意気込みは充分だ。
 その間にジンガが片手でシューターを構える。
「ちょーっちクセのありそうな銃だけど、いけそうだな」
 ぱしゅ、と軽い音が響き渡ったかと思うと黒いメダルの射的用コインが命中した。それは鵺が宿るあやかしメダルであり、なかなかにレアらしい。ぱちぱちと拍手をした未夜はジンガに称賛の眼差しを送る。
「さぁっすが本職、かっこいー! るり遥もがんばれー!」
「いやあいいよ、どーせ俺がドベスコア、……あっ簡単なとこにメダルが移動してくれてる……やります……」
 どうやらさり気なくるり遥を気に入ったメダルがいたらしく、さあ打てと言わんばかりにゆらゆら揺れていた。かなり手前に移動してきたメダルに狙いを定めたるり遥は、思いきって銃爪を引いた。
 その瞬間、赤銅色のメダルがぽぽんと飛び上がる。命中した証らしい。それは火魂、或いは鬼火と呼ばれる妖の一種だった。
「よーし、僕も!」
 未夜も意識を集中させ、銀色のメダルを狙っていく。真っ直ぐに射出されたコインはくるくると泳ぐように待っていたあやかしメダルに見事にあたった。
 未夜の手の中に収まったそれは、骨鯨という名前通りの妖怪だ。まずはそれぞれに一枚目のメダルを手にした三人は、各々の意気込みを言葉にしていく。
「まだまだ! やるからには全力でスコアトップめーざそ!」
「僕も負けないから!」
 張り切るジンガと未夜の間で、肩を竦めたるり遥はシューターを握り直した。
「いや、もう当たる気しないし流石に恥ずい……けど、」
 やらないよりはずっと良かった。
 そんな風にちいさく語ったるり遥の声は、ちゃんと二人にも届いていた。そして、白熱するメダル射的バトルは盛り上がっていく。
 最終的に誰が勝利を手に入れるのか。それぞれが出逢ったメダルとどのような縁を紡いでいくのか。その答えが分かるのは、もう少し先のこと。
 
 夜空を光の彩で染めていく大輪の華。
 明るい提灯と響く賑やかな声、そして楽しい笑い声と会話。懐かし夜明かし、アヤカシは楽し。誰かが歌った唄が祭り囃子の如く、軽快に響いた。
 夏の夜に巡る時間はこうして、夜が終わるまで愉快な賑わいをみせていく。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年08月07日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵