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カクリヨフェスタズム2021

#カクリヨファンタズム #お祭り2021 #夏休み

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●グリモアベース
「皆さぁん、カクリヨファンタズムでの水着コンテスト、お疲れ様でしたぁ☆ 可愛くて格好良くて、素敵でしたよぉ☆」
 猟兵達にグリモア猟兵の少女・ミント・キャラメル(眠兎キャラメル・f25338)の笑顔が向けられる。ミントも水着姿であり、コンテスト会場で声を掛けられてグリモアベースに集まったのだ。
「今回のお話は事件じゃなくてぇ、水着コンテストの会場となったビーチに、妖怪親分の皆さんが『妖怪花火』を用意するから遊ぼう、という夏休みみたいなお話ですぅ☆」
 ミントが掌の上にエネルギー体――グリモアを浮かべると、その中に映るのは――。
「ワイちゃんやで!」
「はわっ!」
 うわでた。あの顔がどアップで。

●カクリヨファンタズム・最早予知ジャック状態のあの親分
「遅かったじゃないか……。準備は既に果たしたよ……。ワイちゃんがな!」
 新し親分「バズリトレンディ」渾身のドヤ顔がズームアウトすると、その背後には直径が軽く5メートルを超えるであろう煙突のような大きな筒。「妖怪花火2021」と文字が入っており、こいつやでと筒を叩くバズリトレンディに再度ズームイン。

「この妖怪花火は、猟兵も乗って一緒に打ち上げたり、花火で空中に生じるステージでパフォーマンスもできちまうんだ!」
 ステージでパフォーマンス? となる猟兵達(グリモア猟兵含む)。

「水着と言えばアイドルのグラビアやろがい! だから花火の玉にはUDCアースのアイドル的な過去を詰めといたで!」
 突然打ち上がる妖怪花火を追う予知の映像は、空中に浮かぶコンサート会場の演出のように爆発し、ステージを照らすスポットライトやテープへと変わり、最前列から地表の席まで妖怪で満員御礼の客席に降り注ぐ。

「爆発の瞬間に妖怪花火が君の水着をステージ衣装に変化させようとするが、君は変化を振り払ってもいいし、振り払わなくてもいい」
 映像は地上へと戻り、妖怪花火の立つビーチへ。

「もちろん、ビーチだけ楽しむのも大丈夫だ、問題ない。ズゲッとくる夏の思い出をツクルノデス。そんじゃ、グリモアベースにお返しするで!」
 親分、自由過ぎます。


鷹橋高希
 2021年の夏季限定シナリオフレーム「猟兵達の夏休み2021」によるシナリオで、日常フラグメント全1章となります。

 本シナリオはミントがご案内致します。
 空中野外ライブステージでパフォーマンスをしたり、ステージのバックバンドや演出をして遊ぶシナリオです。
 オーディエンスは妖怪だから何やっても盛り上がるでしょう。

 本シナリオではカクリヨファンタズムという世界の性質より、本シナリオのグリモア猟兵・ミントが予知し7月25日時点で完結済みの以下のシナリオのNPCを、プレイングの内容次第で登場可能とします。

「アイドルの『私達』の過去の思い出」
(UDCアース「夢の舞台へ -ONE&ONLY-」)
「雪女の女の子『ユキ』」
(カクリヨファンタズム「カクリヨ雪花二重唱」)

 お客様のプレイングに本シナリオのグリモア猟兵・ミント(f25338)へのお誘いがあれば、プレイングの内容次第で登場可能とします。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW   :    妖怪花火で空へGO!

SPD   :    妖怪花火の上で空中散歩

WIZ   :    静かに花火を楽しもう

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

箒星・仄々
親分さんの粋な計らいに感謝です

ユキさん、ミントさんにも声をおかけします
折角ですからご一緒しませんか?

どかーん♪
ステージ衣装はバンドマンなタキシード

潮風を感じる天空のステージ
海とビーチを眺め
次々と上がる色鮮やかな花火
テンションがあがりますね~

懐中時計から変形するのは
今回はサクソフォン形態です

お二人の歌にあわせ
蒸気をたなびかせながら軽快なサウンドを響かせます

もし郷愁を誘うような歌や静かな落ち着いた曲調なら
竪琴で優しい音色を添えましょう

疲れを癒していただきながら(UC
妖怪さん達に愛情や行為を沢山感じていただける
ステージを目指します

ユキさんもお元気そうで嬉しいです♪

さあフィナーレへと向かってGO!です



●1st Act
 空に打ち上がった妖怪花火は、星を猫の頭部状に広げた。星の一つ一つがサーチライトのようにある一点を追い、全ての光がステージ上で交わると、その光の中に箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)が着地する。仄々は妖怪花火でバックバンドを思わせるタキシード姿に替わっており、礼装を纏う演者として恭しくボウアンドスクレープ形式でお辞儀すると、それだけで妖怪の客席は沸き上がり、さらに呼応するように二つの妖怪花火が打ち上がる。雪の結晶を思わせる花火からは雪女の少女――ユキが、兎の頭部状の花火からはミントがステージに降り立った。
「これから、お二人のお歌と私の演奏をお届けします」
「呼ばれちゃいましたぁ☆ よろしくお願いしますぅ☆」
「よ、よろしくお願いしますっ」
 仄々が声を掛け、このステージのために実現したトリオは異世界人――猟兵を含み、仄々の懐中時計・カッツェンリートが蒸気を上げて展開しサクソフォンに変形するだけでも妖怪達は歓声を上げる。歓声の中で三人はアイコンタクトを交わし、仄々がサクソフォンを吹き曲を始めると、歓声のボルテージはさらに高まる。
 仄々の演奏に合わせて二人の少女が歌い始めると、挨拶で緊張を見せていたユキが伸び伸びと歌い出す。即席のトリオはユキが歌えてミントでも判る――UDCアースで流行った――歌を披露することとなり、ユキはユーベルコードに勝るとも劣らぬ表現力で、ミントはイリュージョニストのステージ度胸で声を重ね、妖怪達はコールを掛けたりペンライトや自身が放つ光で客席を染め、ステージはアイドルライブの体を成し始める。
 二度目のサビを迎え、振り付けとは言い難い単純な左右のステップで歌うユキとミントの後方で、仄々はこの場を設けた親分の粋な計らい――一時は大雪のカタストロフを齎し掛けた雪女の少女と再開し協奏していることに感謝を感謝していた。この恩を返すのに絶好のタイミングはすぐに訪れる。
 二人の歌声が抜けてラスサビ前の間奏は仄々のソロパート――ユーベルコード「シンフォニック・キュア」。二人が退がる間を縫って仄々が前に出ると二人分のスポットライトが集まる。前に出て大きく吸い込んだ天空の空気は後ろよりも潮風が香り、スポットライトの熱さに負けじと仄々のテンションを上げ、たなびく蒸気の隙間に見下ろす青い海に軽快なサウンドが響き渡る。疲労を癒すその音色を受けて妖怪達は最高潮の盛り上がりを見せ、ビーチから打ち上がる花火は沢山のハートを空に描いた。
(さあ、フィナーレへと向かってGO! です)
 再び前後が入れ替わると、歌声を出し慣れ、動き慣れた状態で疲労の癒えた二人がラスサビに入る。同じ衣装――ミントの水着そのものだが――の二人の左右ステップは完璧にユニゾンし、歌い終えて同時に仄々にアイコンタクトを向ける。その意図を汲んだ仄々は前に出て、ポーズを合わせた二人の間でアウトロを終える。
 客席の妖怪達は大きく沸き上がり、三人組のバックには大きなハートが打ち上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シフィル・エルドラド(サポート)
 ハイカラさんの勇者×国民的スタアの女の子です。
 普段の口調:明るい(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)
 嬉しい時の口調:ハイテンション(あたし、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

元気一杯で天真爛漫な性格をしていて、ポジティブな思考の持ち主。
困っている人や危機に陥っている人は放ってはおけず
積極的に助ける主義です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●2nd Act
 妖怪花火の星が空に剣を描き、青色のビキニに向日葵柄の浮き輪の少女――シフィル・エルドラド(ハイカラさんの勇者・f32945)はカクリヨファンタズムの空に舞う。シフィルの青色の瞳に映るのは、空中に浮かぶ舞台とオーディエンスの妖怪達。花火の星がシフィルに収束して純白の光で身体を包み、その光が蝶の翅のように拡がると、シフィルの姿は水着ではなく青色を基調とした煌びやかなステージ衣装に羽化しており、手には浮き輪ではなくマイクを持っている。歌って踊れるスタアの少女が蝶のようにステージに降り立つと、それだけで妖怪達は沸き上がった。
「こんにちはー! 皆に元気を分け与えにやって来たよー!」
 背後に光を抱いているかのような明るさで呼び掛けるシフィルに妖怪達も呼応する。少しのMCの後、シフィルのイメージを楽曲にしたような元気で前向きでポジティブなイントロに合わせ、シフィルは踊り始めた。
 シフィルはステージ上の演者としてスポットライトを浴びるが、妖怪達にはそれ以上に光り輝いているように見えている。その光はハイカラさんであるシフィル自身が放つ光であり、アイドルのセンターを務めるに相応しいオーラである。勇者として振るう聖剣をマイクに持ち替えた少女のダンスに弾ける汗が、愛と勇気に満ちた歌声――ユーベルコード「ショウ・マスト・ゴー・オン」が、カクリヨの空に眩しいほどに輝く。
 曲の終わりと共にポーズを取って静止するシフィルを、客席一面に浮かぶ金色と青色のコンサートライト――一部は自力で発光出来る妖怪自身――と歓声が賞賛する。
「ありがとー! 次の曲、行くよー!」
 歓声が止まないまま次の曲のイントロが流れ始め、シフィルはステップを踏んで金色の巻き髪を揺らす。巻き髪に留めている蝶を模った髪飾りもまた、どこまでも羽ばたけそうに揺れるだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ペイル・ビビッド(サポート)
『よーし、あたしもやっちゃうよ!』
『ちっちゃいからって子供扱いしないでよ~』

口調 あたし、名前+くん・さん(敵は呼び捨て)~だね、だよ、だよね、なのかな?

絵を描くことと体を動かすことが好きな
元気一杯でやんちゃな女の子
深く考えずに直感で動いてしまうことがあるのは玉に瑕?

近代的なもの・電気機器など
アックス&ウィザーズにないものには興味津々
ユーベルコード『複製描画』でその場に必要な道具を出すこともできます
背の小ささをからかわれたり子供扱いされるのを嫌います

スカートからドロワーズが見えても気にならないほど動き回りますが
お色気依頼はNGで



●3rd Act
「よーし、あたしも『でっかーん』とゴーカイにいっちゃうよー!」
 でっかくどかんと――自身の口癖の原形のように――打ち上がった妖怪花火からステージに飛び込んできたのは、ピンク色の髪に黒いビキニの十代後半の少女、ペイル・ビビッド(淡色弾ける筆先の軌跡・f01836)。満タンの水鉄砲と、100センチメートルはあろう大きな平筆を持ってステージに降り立ったペイルの背中には玉虫色の光の翼が輝いている。ペイルは既にユーベルコード「ドリーミング・グローアップ」によって一時的に成長した真の姿に変身しており、本来は翼を持たないどころか、身長が平筆とそう変わらないドワーフの、年端もいかない少女である。
「この箱凄いよねー。なんか、大きな音が出て、光って、歌声も大きくなって」
 ペイルは玉虫色の光の翼で飛び上がり、投光器やスピーカーをまじまじと観察して客席に問い掛ける。カクリヨファンタズムの照明や音響という設備は、過去の排出源であるUDCアースから見れば古き良き型落ち品ばかりだが、アックス&ウィザーズ――中世西洋ファンタジー世界のドワーフ少女には異世界の魔術が込められた黒い箱である。
「箱から鳴る音楽や光で歌って踊るのは、あたしそこまでじゃないから、あたしは代わりに描いちゃうよ!」
 ペイルは客席に翻り水鉄砲――その中の塗料を平筆に吹き付けると、空間に黒い箱を描き始める。その箱の周りに音符を描くと、楽曲を響かせるスピーカーを模したその絵から音が鳴り始め、客席は盛り上がり始める。更なる音を重ねるためスピーカーを描き足し、投光器を描き、そして歌って踊る少女を描き、ペイルのライブペインティングが幕を開けた。パラパラ漫画のように動いて塗料を消費し消えゆく絵が次々と描かれ、色とりどりの光と塗料がステージを染める。
「ステージだけじゃ物足りないよね! 行くよー!」
 成長してみせた水着姿を年相応のやんちゃさで塗料まみれにしたペイルは、玉虫色の光の翼で妖怪達の頭上に飛び上がり、豪快に塗料を跳ねさせライブを描いていく。塗料は妖怪達にも容赦なく跳ねかかり、様々に塗り変わった妖怪達は互いを見合わせて大きく盛り上がっている。ペイルというアーティストのライブは完全にカラーフェスティバルと化し、アイドルライブとは別の楽しさを描くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

真城・美衣子(サポート)
☆サポート&おまかせ専門
何を考えているかよくわからない猫っぽい少女

喋るペンダント『マキさん』

・UDCアース人や猟兵としての一般常識はある
・鋭い感覚、高い運動能力、強靭な肉体で頑張る
・ぼんやりしているけど動きは早い
・無表情で説明もないまま行動するので、奇行に見える事も多いが、本人は一生懸命

・マキさんは主に解説・交渉などの会話を担当
・PLが直接操作しない方針なので挙動はご自由に!

☆セリフ例
「にゃ」
『みーこさんは「こんにちは」と言っています』

「……すんすん」
『みーこさんはニオイを確認しているようです』

『お時間よろしいでしょうか、事件についてお話を……』
「にゃ」
『みーこさん、今は喋らないでください』



●4th Act
「にゃ」
『みーこさん、ここはアイドルのステージですよ』
 真城・美衣子(まっしろみーこ・f12199)は、妖怪花火に乗ってカクリヨファンタズムの上空に浮かぶ舞台に跳び込んだ。だが、運動能力の高さで踊るのはまだしも、歌を歌うことなど考えられないのは、美衣子の首に輝くペンダントのマジカル電子頭脳『マキさん』はよく解っている。
「にゃ」
『ダンスだけで魅せるというのですか』
 歌わず踊るだけ、という美衣子のパフォーマンスを彩るためのイントロが鳴り始め、客席の妖怪達は沸き上がる。ダンスパフォーマンスに相応しく、かつてUDCアースの日本で大ヒットした疾走感溢れる楽曲だった。
『みーこさん、この曲は冬の曲ですよ。つまり、かれらの助けを借りるというのですね』
「にゃ」
 楽曲がサビを迎えると同時に美衣子のユーベルコード「猫遁の術」により、客席の頭上を猫の突風が吹き抜けて美衣子に吹き付ける。猫の群れを掻き分けるように、腕を、身体を躍らせる美衣子の姿に、客席の妖怪達には吹雪に靡くジャケットや振り乱れるネクタイが見えていたことだろう。
 マキさんが言うところの「冬の曲」がアウトロに入ろうとしたその時、曲は同じアーティストの「夏の曲」のイントロに繋がった。
『みーこさん、最初から夏の曲で良かったのではないですか』
「にゃ」
 再びの「猫遁の術」により、猫の突風が吹き付ける中で美衣子は踊る。曲の展開に合わせステージの周囲でも猫の突風が吹き上がって客席に降り注いだり、いつの間にか美衣子の踊るステージを星の形で構成していた、猫的な何かの群れの一部が、凧の形で剥がれるように吹き上がってみたりといった演出を繰り広げながら、二曲目の「夏の曲」を踊り終えると、客席の妖怪達は大歓声を上げ、美衣子のパフォーマンスを賞賛した。
「にゃ」
『みーこさん的にはオールオーケーとのことです』
 どっ、と沸く妖怪達。革命的な美衣子のステージは高気圧の盛り上がりを見せたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

カーバンクル・スカルン
妖怪花火でステージねぇ……。でも私はあのアイドルさんと接点ないし、水着買ってねぇし、ダンスもそんなにやってないし……うん。気づかれないうちに撤収撤収。ミントさん後は頼むわー。

で、こっそり抜け出した先で私は屋台開いて妖怪達に焼きそばとか鉄板焼きとか売りつけていくぞー。

あっ、新し親分さん焼きそばいかがっすかー? 大丈夫大丈夫、この間の激辛ホルモンは持って来てないから。というか、あんなのこんな人の多いところで焼いたらとんでもないテロ行為になるよ。

お、また花火が打ち上がったね? やっぱり私は表舞台じゃなくて裏でのんびり眺めてる方が性に合ってるわ。



●5th Act and...
「行くよー……せーのっ!」
「「「「絶対に笑顔で!」」」」
 舞台の演者達は本番前に円陣を組むなどして自分達を鼓舞することがある。本来舞台裏で行なわれるそれがステージ上で披露されたのは、舞台袖もない妖怪花火のステージであり、彼女達――UDCアースで駆け出し始めたアイドル達――の「過去」のワンシーンに過ぎないからだ。故にこの円陣にはアイドルでない者が混じっている。一人は先のステージでもパフォーマンスを繰り広げたミント、そしてもう一人は黒い一房を除いて赤い髪の少女――カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)である。
(妖怪花火でステージねぇ……。でも私はこの子達と接点ないし、水着買ってねぇし、ダンスもそんなにやってないし)
 立ち位置をステージ後方に確保し、バックダンサー的にステップを踏むカーバンクルだったが、打ち上がった妖怪花火が紙テープに変わって飛んできたのを見つけ、心を決める。
(うん。気づかれないうちに撤収撤収。後は頼むわー)
 紙テープを掴み、その軌道に任せてステージから飛び降りた。この後、いたはずの相方がいないことに驚きながらもミントはアイドル達とステージを盛り上げるのだが、それはまた別の話であり、紙テープと共に地上に降りたカーバンクルはというと……。

●豪快でいちばん熱いやつ
「はい焼きそば20丁にお好み15! 毎度ありー!」
 妖怪花火ステージの下方のビーチでは、一軒の屋台が大繁盛していた。食欲をそそる香ばしい香りと白煙を掻き分け、焼きたての粉ものを妖怪達に渡すその手がカーバンクルのものだ。アイドルを卒業し――体験入学程度だったが――今は一国一城の主として鉄板上で辣腕を振るっている。鉄板の銘は「黒炎の盾」。それ自体が炎を発し、超・直火焼きである。
「あっ、新し親分さん焼きそばいかがっすかー?」
 白煙の向こうに新し親分「バズリトレンディ」の姿を認めたカーバンクルが声を掛けると、二人の目が合う。白煙、そしてカーバンクルの姿。バズリトレンディの記憶の扉から溢れ出すカプサイシンガス。
「あっあぁっ、目がぁ、目がぁぁぁぁ!」
 視力が滅びたように両目を手で覆い、もがき苦しむバズリトレンディ。
「大丈夫大丈夫、この間の激辛ホルモンは持って来てないから。というか、あんなのをこんなところで焼いたらとんでもないテロ行為になるよ。まぁ、これから別のテロをやるけどね」
 カーバンクルはカタリナの車輪を取り出す。車輪の針には無数の肉が刺さっており、鉄板に触れると香ばしい香りと脂を跳ねさせる。鉄板からは豪快に紅蓮の炎が上がり、肉はおろか妖怪達の食欲をも「火責め」――カーバンクルのユーベルコード――にする。
「ヒャア! 我慢できねぇ! 肉だ!」
 鉄板にダイブせんばかりに殺到する、バズリトレンディをはじめとした妖怪達。肉は逃げないからとたしなめていると、妖怪花火が打ち上がる。
(お、また花火が打ち上がったね? やっぱり私は表舞台じゃなくて裏でのんびり眺めてる方が性に合ってるわ)
 天空とビーチの2ステージ構成となった猟兵達の熱い夏は、まだまだ燃え上がるだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年09月08日


挿絵イラスト