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夏っていったら割るしかないだろスイカを!!

#カクリヨファンタズム #お祭り2021 #夏休み #スイカ割り #人間大砲

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●コンテストお疲れ様!
 水着コンテストの会場となったビーチに妖怪親分達が妖怪花火を用意しました!
 やったぜ! これから楽しい花火大会だ!!
「よしスイカ割りしようぜ!」
 スイカ片手に海老名・轟(轟く流星・f13159)はヤル気満々だった。
「ちょ、まてまてまて」
「この流れは花火一択だろ?」
「妖怪花火打ち上げるのにスイカ割りとか大丈夫か? 熱中症には水分と塩だぞ」
 コンテストを終えた参加者の皆さんのご意見はごもっともである。
 だが、おっさんは割りたかったのだ。スイカを。
「よし、妖怪花火打ち上げるからスイカも打ち上げるか!!」
 ……カチ割ったスイカ片手になにいってんだ、このおっさん。

●説明!
 この妖怪花火には猟兵も乗って一緒に打ち上げられたり、花火で空中に生じる模様の上で空中散歩を楽しんだりもできるという凄い機能があるらしい。
「だから大砲にお前たちを詰めてドーン! スイカを割れ!」
 説明もへったくれもなかった。
 ちなみにスイカを割るための武器は一本の棒のみ。目隠しをした状態でスイカに一撃を叩き込むのだ!
「……目隠しして打ち上げられるのか」
「スイカ割りするのに目隠ししなかったら簡単に割れちまうじゃねえか」
 轟の回答はごもっともである。
 納得していいのか分からない猟兵達を前に轟の説明は続く。
「で、打ち上げられたらお前たちと一緒にスイカやスイカじゃないものも打ち上げるから、皆の声をたよりに避けたり花火を渡り歩いてスイカを割ってくれよ」
「スイカじゃないものってなんだよ」
 不穏きわまりない単語に猟兵は問うが、
「スイカじゃないものだよ」
 ……いや、ちゃんと教えて下さいよ。
 当然だがユーベルコードを使うのはNGである。便利すぎるからね。

●よし割ろう!
「もちろん普通の花火セットも用意してあるからのんびり楽しむのもいいし、妖怪花火を眺めるのもいいぜ。冷えたスイカもあるから食べながらはなひを堪能するのもいいな」
 とかなんとか言うおっさんの後ろではガラガラと人間が入れそうな筒ーー大砲が運ばれているのが見えた。
「ま、水着コンテストも終わった事だし楽しい花火日和にしようじゃないか」
 とりあえず楽しい1日にしようそうしよう。


カンナミユ
 カンナミユです。
 水着コンテストお疲れ様でした!
 
 夏は花火にスイカ割り。
 スイカを割りたい!!

 スイカ割りの詳細ならびにプレイングの受け付けについては断章をご確認下さい。
 宜しくお願いいたします。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW   :    妖怪花火で空へGO!

SPD   :    妖怪花火の上で空中散歩

WIZ   :    静かに花火を楽しもう

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 巨大な大砲を前に猟兵達は先ほど受け取った紙に目を通していた。
 あまりにも大雑把な説明だった為か、今回の内容を簡単にまとめたというそれに記されているのは以下の通りである。
 
 1、目隠しをして棒を持った状態で大砲に入り、上空へと打ち上げます。
 2、妖怪花火を足場にして地上のお友達や他の参加者さんからの声を頼りに他の妖怪花火と一緒に打ち上げられたスイカを割りましょう。スイカじゃないものも打ち上げられていますのでご注意を。
 3、時折、妖怪花火とは別に打ち上げられたスイカやそうでないものがあなためがけて飛んできます。打ち返すもよし、回避するもよしです。
 4、ユーベルコードは超便利すぎるのでスイカを割る時は使わないでください。
 5、打ち上げられるのはちょっと……という方は地上でスイカを食べながら花火を眺めたり手持ち花火を楽しんでみてはいかがでしょうか。
 
 やっぱり大雑把であった。
 皆でワイワイ楽しむのもいいだろうし、一人で挑むのもいいだろう。
 どちらにせよ、楽しい一日になる事は間違いないはずである。
 
 =============================
 当シナリオについて。
 オープニングと上記での説明通り、『大砲で打ち上げられてスイカ割りをする』という内容です。
 妨害を回避しつつ皆の声を頼りに進んでいき、スイカを割っちゃいましょう!
 スイカ割りを楽しんだ後は花火を眺めながら割ったスイカを食べるのもいいですね。
 スイカ割り用とは別に冷やしたスイカも用意してあります。手持ち花火を楽しむのも面白そうです。
 とにかく思いっきり楽しんじゃいましょう!
 迷子防止の為、一緒に参加するお友達の名前やグループグループ名をプレイングに記入してください。
 海老名・轟(轟く流星・f13159)へのお声がけはご自由にどうぞ。プレイングによってはスイカ割りのアシストもやってくれます。
 =============================
宙夢・拓未
【アル旅】4名

「もっと右、右!」とか「そこだ、振り下ろせ!」とか
仲間をアシストする言葉を楽しく叫ぶ

そうこうしてるうちに俺の番か
大砲で打ち上げられるのは初めてだな
楽しみだぜ

目隠しして、空へ
暗闇で、身一つで風を切る。バイクとはまた違った気持ち良さがあるな

さあ、スイカ割りだ
普段だったら『アンバーアイズ』で情報を得るんだが、今回は視覚は使えないしな
皆のアシストの声に、よく耳を傾けるぜ
モルツが盛り上げてくれてるな……惑わされないように、アパラやアウグストの声に集中だ
この辺りか? 振り下ろすぜ!

上手く割れたら、目隠しを取る
周囲に広がる、色とりどりの妖怪花火
眼下には仲間たちの姿
絶景だな
しっかりと覚えておくぜ


アウグスト・アルトナー
【アル旅】

大声を出すのはあまり得意ではありませんので、メガホン(プラスチック製)を使いつつ仲間をアシストしましょう
「そのまま真っ直ぐですよ」とか「危ない、しゃがんで」とか

さて、ぼくの番ですね
これが初めてのスイカ割りになるのですが、上空でやることになるとは
オラトリオなので空は慣れていますが、翼を使わず飛ぶという体験も初めてです

轟さんの仰っていた『スイカじゃないもの』が気になりますね……
などと考えていると、顔にべちょっと冷たいものが
何ですかこれ……もしや、イカ?

全員終わったら、割ったスイカを持って、アパラさんの隣にそっと座りましょう
わいわいと楽しむ夏のひととき。こうした時間も良いものです


モルツクルス・ゼーレヴェックス
【アル旅】
明らかに的を外した指示出しもまたスイカ割りの醍醐味っすよね(鋼の意思)
「日本の夜明けを目指してー!」
「今っす! 8時の方向の美人さんをナンパするっす!」
「もっと! もっと風と一体になるっす!」
この無駄に声のでかい自分に皆は打ち勝つことができるっすかね(無責任)
「流石っすね……免許皆伝っす」

「ほんぎゃーーー!?」
そんなことをしているのできっと余計に飛ばされましょうし
スイカじゃないものに塗れるも辞さないっす
「そこか!? どこだ!? あたれぇっす!!」
そんな目にあっても懲りないっすぶんぶん闇雲に振り回す!
そして次も出鱈目指示を止めない覚悟

「こんなこともあろうかと塩は携帯してるっす、どうぞ」


アパラ・ルッサタイン
【アル旅】

ふふ、親分さん達も面白い事をお考えになる

皆の競技中は全力大声で応援
3時の方向!今だよ、いま!
7時の方向に、……えー
限りなくスイカに近いけれどスイカじゃないものがあるから気を付けて!

見事割れれば拍手喝采
お帰りなさい
いやあ、燃えるねコレは

あたしの番だな
確と目隠しをして、いざ!
移りゆく景色が見れないのはちと惜しいが
全身に受ける風が楽しい

風切る音に負けない声
ちゃあんと聞こえている
でも夜明けってどっち?
花火の上を駆け、振り下ろす!
……今打ち返したの、明らかにスイカの感触じゃなかったのだけど??

無事帰還すれば割れたスイカを皆と頂こう
花火が大変うつくしい
隣のアウグストさんにはニッコリと
良い夏だね!



●それぞれのスイカ割り(in人間大砲)
 宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)をはじめとするアルダワ旅行愛好会の仲間達が到着すると花火はもう打ち上げを始めていた。
 空には色とりどりの花が咲き誇り、
「うひゃああああぁぁぁぁぁぁ……!」
 空へと上がる悲鳴。
 上空から地上へ視線を戻すと、 目の前には大きな大砲が鎮座している。
「ふふ、親分さん達も面白い事をお考えになる」
 アパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)の手にあるランプの揺らめきが、磨き上げられた重厚なそれをちかりと輝かせ。
 大砲にはどこにでもありそうな棒がたてかけてあり、傍にある袋には視界を遮る為の手ぬぐいが入っている。そしてスイカ。
 4人は夏を満喫する為、スイカを割る為にこの地を訪れたのだ。
「来てくれてありがとうな。やるんだろ? スイカ割り」
 大砲の傍に立っていたオッサンは嬉しそうな顔で4人に声をかけてきた。スイカ割りの企画者であるこの男は立てかけていた棒と手ぬぐいを一つ手に取り、
「で、誰からやるんだ?」
 その一言にちらちら4人の視線が絡み合う。
 そういえば特に順番は決めてなかったなあ……。
「よし、じゃあ気合入ってそうなお前さんから行ってみろよ」
 そんな訳でトップバッターはうっかりおっさんと視線が合ってしまったアパラに決定!
「あたしからだな」
 確と目隠しをし、大砲からアパラはどおんと豪快に打ち上げられた。
 目隠しが無ければ視界いっぱいに移りゆく景色が見られたであろうこの瞬間。見られないのはちと惜しいが。全身に受ける風が楽しかった。
 ごうごうと風を切る音に交じって声が聞こえてくる。
「もっと! もっと風と一体になるっす!」
 めちゃくちゃでかいモルツクルス・ゼーレヴェックス(素敵魔術師・f10673)の声は風切り音に負けないくらいの大きさだった。すっごくハッキリ聞こえてすごい。
 その声のボリュームはアウグスト・アルトナー(悠久家族・f23918)と拓未の声をかき消してしまうほどである。
「日本の夜明けを目指してー!」
「夜明けってどっち?」
 いやまだ夜明けじゃないですよ?!
 モルツクルスの声に思わず反応してしまったアパラだった。
 夜明け? 夜明けの方向ってどういう事?
 とにかく何かの気配を感じたので花火の上を駆け、振り下ろす!
 カキイィィン!!
「ひでぶっ?!」
「……今打ち返したの、明らかにスイカの感触じゃなかったのだけど??」
 金属バットで打ち返したような甲高い音が響き、ヒット音と、どしゃっと何かが倒れたような音が聞こえたような気がしたが絶対気のせいだ。多分。
「キックです。妖怪花火の模様を蹴って飛んで」
 それはメガホン越しに聞こえる声。大声を出すのが得意ではないアウグストはスイカ割りアシストの為に、プラスチックのメガホンを持参してきたのだ。
「もう少し上にあるから大きくジャンプだ!」
「そう、もう一度ジャンプですよ」
 拓未とアウグストの声を頼りにトントンとリズミカルに模様を蹴り飛び、花火の上を駆けあがり――、
「そこですよ」
「そこだ、振り下ろせ!」
「えいっ!」
 ぼこっ!
 この音と手ごたえは絶対にスイカだ。目隠しを外すとぱっくり割れた大きなスイカ。
 嬉しさに手を振りながらアパラはスイカを手に仲間達の元へと戻っていく。
「ただいま!」
 見事先陣を切ったアパラの帰還に続くのはアウグストだ。
「さて、ぼくの番ですね」
「頑張ってね!」
 スイカを割ったアパラの後である。ここは続いていくしかない。
 目隠しをして棒を持って、いざ出発!
 視界の効かない暗闇の中をアウグストは上空高く打ち上がっていく。
 これが初めてのスイカ割りというアウグストであるが、まさか上空でやる事になるとは思ってもいなかったであろう。
 オラトリオであるアウグストは空には慣れている。だが、翼を使わず飛ぶという事もまた初めての経験である。
「今っす! 8時の方向の美人さんをナンパするっす!」
 ……その声は絶対に信じてはいけない。
「アウグストさん、3時の方向!」
「もうちょっと右の方! そう、もうちょっと右だ。よし真っ直ぐ!」
 アパラと拓未の声を頼りにアウグストは向きを調整。ゆっくりと歩を進みだす。
 真っ直ぐ進み、角度を調整。さらに真っ直ぐ進んで進み。
 ふと脳裏にある言葉が浮かび上がった。
 ――で、打ち上げられたらお前たちと一緒にスイカやスイカじゃないものも打ち上げるから、皆の声を頼りに避けたり花火を渡り歩いてスイカを割ってくれよ。
「轟さんの仰っていた『スイカじゃないもの』が気になりますね……」
 ぽつりと口にし思い出したのはついさっきアパラが打ち返したアレ。
 まさか自分にもアレが飛んでくるのだろうか。とかなんとか考えていたら『ソレ』は降ってってきた。
 べちょっ。
 ぬるぬるした、なにか水っぽいなにか。つるっとしていて、うにうにしていて、片方の端が三角。
「何ですかこれ……もしや、イカ?」
 惜しい。スが足りない。
 手触りで察したアウグストだが、このまま持っていてはスイカ割りに支障をきたしてしまう。誰か受け取ってくれるだろうと、そっと下へ落とすと、
「ギャー! なんか落ちてきたっす!」
 とか声がいう聞こえてきたが、次の瞬間。
「今だよ、いま! アウグストさん!」
 アパラの声だ。
 さっと棒を持ち上げ振り下ろせば、ぼこりという音。目隠しを外すと目の前には綺麗に割れたスイカがあった。
「やったな!」
 拓未の声が聞こえ、アパラはまるで自分が割ったかのように嬉しそうに拍手喝采。
「お帰りなさい。いやあ、燃えるねコレは」
 アパラに続いてアウグストも大成功。
「流石っすね……免許皆伝っす」
 ぼそっと言うモルツクルスであったが、さて次は――。
「ほんぎゃーーー!?」
 ホイホイ流れるように目隠しをされ棒を握らされたモルツクルスは大砲に詰められドーン!
「なんか前の二人より余計に飛ばされてないっすか?!」
 さあ? 気のせいじゃないですかね。
 めっちゃ勢いよく飛んだモルツクルスだったが、べちっとぶちあたる形で妖怪花火に着地。ささ、起き上がったらスイカ割りの始まりだよ!
「左だ、もっと左!」
「もう少し左ですよ」
 よろよろと起き上がった姿へ拓未とアウグストの声が飛ぶが、
「そこか!? どこだ!? あたれぇっす!!」
 ぶんぶん棒を振り回しながら、ずんずんモルツクルスは進んでいく。
 スイカじゃないものが飛んでくるのは覚悟の上だ。なんでもこい。
「あ、タコ」
「ふぐっ?!」
 メガホンからぽそりと聞こえる声が届く前にぬるぬるタコの餌食になっても、その歩みは止まらない。
 どこだ。どこにある。
「限りなくスイカに近いけれどスイカじゃないものがあるから気を付けて!!」
 ――そこか!!
「ちぇすとぉーーーー!!」
 アパラの声もなんのその。大きく振り上げられた棒は『限りなくスイカに近いけれどスイカじゃないもの』目掛けて振り下ろされた!
 ゴッ。
 めっちゃ鈍い音がした。
「嫌な予感がするっすね」
 そういうフラグを立ててはいけません。
 スウッと目隠しを外して狙ったと場所を見ると、そこにはスイカがあった。
 ……無傷のスイカの隣にスイカと同じ大きさの、スイカそっくりに塗装された爆弾が鎮座していた。
 美味しそうなスイカと並ぶ、『叩くと爆発します』と張り紙がされた、べこりとへこんだ爆弾が。
「大当たりっすね?」
 ちゅどごおおおおおぉぉぉぉんんん!!!!!
 スイカを抱えたモルツクルスは爆発に巻き込まれた。
 まあ猟兵だし死にはしないだろう。
「最後は俺の番か」
 壮絶な最期を見届けた拓未に遂に順番が回ってきた。
「大砲で打ち上げられるのは初めてだな、楽しみだぜ」
「しっかり割って来いよ!」
 にっと笑う轟から受け取った目隠しをすると、棒を手にして大砲の中へ。
 ずどぉん!!
 発射と共に暗闇で、身一つで風を切る。それはバイクとはまた違った気持ち良さだ。打ち上げられた拓未はすとんと妖怪花火の上に着地すると手にする棒をぎゅっと握る。
 普段であれば装着した視覚情報分析用の高度演算デバイスで情報を得て目標を定めるのだが、目隠しをしている以上は使えない。
 頼りになるのは仲間達の声だけだ。
「今っす! そのまま己の欲望のままに突き進むっす!」
 耳をじっと澄ませば無駄にでかい声に混ざって声が聞こえてくる。
「危ない、しゃがんで」
「っと!」
 メガホンからの声にさっと身を低くすると、ぐおんと空を切る音が頭上で聞こえ、
「7時の方向に、……えーそのまま真っ直ぐ!」
「そう、そのまま。そのまま真っ直ぐです」
 アパラとアウグストの言葉に従い真っ直ぐ進む。
 二人の声を頼りに飛んでくる何かを躱しては進み、
「ハイそこで高速回転っすよ! 軸回転! チャンスタイム!」
 モルツクルスの出鱈目指示は聞かなかった事にしよう。
 そして。
「もう一歩……今だよ!」
「この辺りか?」
 ぴたりと歩を止め、見えない標的を見定めた拓未は握る棒をすと振り上げる。
「そこです」
「――っ!」
 確かな手ごたえに、ぼこんという音。
 目隠しを外すと妖怪花火が周囲を彩り、眼下には喜ぶ仲間たちの姿があった。
 スイカは綺麗に真っ二つ。
「絶景だな」
 しっかりと覚えておこうと拓未はその光景を目に焼き付けるのだった。

 と、いう訳で4人のスイカ割りは無事終了。
 スイカを割りを楽しんだ後のお楽しみはスイカと花火鑑賞。
「皆お疲れ様」
 労う拓未と仲間達は割ったスイカを手に見上げると、先ほどとはまた違う模様の花火が打ち上がる。
 どおんという音が響き、パラパラ輝きが降り注がれる。
 大変うつくしい花火だと眺めていたアパラだが、自分を見つめる気配に見ると隣にはそっと座ったクロユリの花。そんな姿に思わず笑顔がこぼれてしまう。
「こんなこともあろうかと塩は携帯してるっす、どうぞ」
 スイカといえば忘れちゃいけないのが隠し味。モルツクルスから受け取った塩をスイカにぱらぱら、しゃくりと食べれば塩がスイカの甘さを際立たせてくれる。
 仲間達とわいわい楽しむ夏のひととき。
「良い夏だね!」
「こうした時間も良いものです」
 言葉を交わすアパラとアウグストの間が闇になり、次の瞬間、大きな音と共に明るく染まる。
「いい夏だな」
 拓未の呟きに頷くモルツクルスはスイカをぱくり。
 花火の彩りに照らされ、4人の夏は輝いてゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ヴィゼア・パズル
【白岩】
海老名、良い依頼ありがとうさん。さて、旅団の個人戦言い出しっぺだ。勝たせて貰うぞ?負けても楽しめそうだ。審判頼むよ海老名。ん?私はヴィゼアだ、ヴィゼア。人型だけどな?

フロゥラは今回は留守番…何?空(特等席)で観戦する?)…まぁ、良い。邪魔するなよ?
打ち上げられたら空中戦を応用して空気の流れで地形を把握、移動しつつ、飛んで来る物を2回攻撃・範囲攻撃で撃ち落とす!
妨害はカウンターで防御しような

BBQか、用意ありがとうよ。
結果を聞いて喜んだり悔しがったりエピソードに笑ったり。お疲れ様だ、乾杯!


イヴェット・アンクタン
【白岩】
では誘導役……いえ、折角の祭り、ここは私も飛びましょう。

私は眼が利きすぎますので、目隠しはしっかり。
聞き耳により風音の違いで位置を捉え、気配察知で情報収集してみましょう。スイカに気配があるのはか知りませんが。
悪路を走破する足腰、様々な物を足場とする習熟した技術で、前代未聞の足場でもばっちり……だと思います、多分。
しかし1番の不安は棒さばきですね。
【弩】の異能での強化による、リミッター解除で補助しても、変なとこを叩いてしまいそうな気がします。
まあ、さすがに気のせいでしょう。きっと。

終わったあとはBBQの準備を。こういうのは得意です、任せてください。
花火もありますよ。食後にいかがでしょう?


数宮・多喜
【白岩】
ぃよぉーしこの勝負乗ったよオーナー!
小細工なしの運任せ、誰がスイカを割るか!
思い切りやってやろうじゃないのさー!

意気揚々と目隠しして大砲に突っ込まれ、
一気に夜空にドーン!!!
テレパス?そんなの使ったら面白くねぇだろ!
とにかく音と勘を頼りに花火の足場を踏み越えて、
適当に見当をつけて棒を振り抜くよ!
スイカでも鉄アレイでも花火でも爆弾でも来やがれってんだー!
……いや爆弾はちょっとキツイかな!?

そうやって無事地面に着いたらノーサイド。
BBQも楽しもうなー!
豪快にいくもんだねぇオーナー、野菜もちゃんと乗っけようぜー。
肉が9の野菜1で構わないからさ!

あとはドラゴン花火とかあるかな?マイナー?


硲・葎
【白岩】
夏だ!海だ!スイカだ!花火だ!
よーし!がんばろー!
「海老名さん、誘導任せたよー!こんな祭楽しむしかないじゃん?」
しっかり目隠しをして、と!
多喜、大丈夫?私のハチマキほどけてない?
とりあえず第六感でだいたいのあたりをつけて
飛んでいくしかないねー。
よし、大砲で打ち上げられたら更にジャンプ使って
飛距離伸ばすね!
妨害に合いそうだったら見切りを使って回避。
衝撃波でけが人出ない程度には吹っ飛ばして
おこうかなあ。

よーし、終わったらBBQだねっ!
海老名さんも食べよう!
よし、花火もいっぱいするよ!打ち上げどーん!
〆は線香花火で!


エスタシュ・ロックドア
※アドリブ歓迎

【白岩】
轟お前、天才か
通常の依頼ならあまりのトンチキにMPが削がれるところだが、今は祭り
坂を転がるチーズ追いかけまわしたり暴走する牛に追いかけまわされたりする祭りが存在すんだ
これくれぇはじけたアトラクションがあったって構いやしねぇよ

ド派手に行く
目隠し+ノーナビ+個人戦
旅団のみんなと敢えて先を争いスイカを割りに行くぜ
轟ー、判定任せるわー

打ち上げられたら【第六感】【野生の勘】駆使して当たりをつけて、
【なぎ払い】【吹き飛ばし】
祭りなので誰かに当たっても骨折しねぇように手加減はするが
今当たったのなんだ?
妨害にゃ【カウンター】で撃ち返すが
今の感触なんだ???

終わったらBBQな
肉焼くぞ肉



●大砲とスイカ、BBQ
「夏だ! 海だ! スイカだ! 花火だ!」
 会場に到着した硲・葎(流星の旋律・f01013)は打ち上がる花火を目にテンション爆上がり。
 波がざざんと寄せては引き、どこか遠くからセミの声も聞こえてくる。
 なんて夏真っ盛り!
「ほんぎゃーーー!?」
 よく分からない悲鳴がみんなの頭上をすっ飛んでいった。
「轟お前、天才か」
 凄い瞬間を見てしまったエスタシュ・ロックドア(大鴉・f01818)は大砲の前に立つ轟へ声をかけると、スイカ割りの企画者はにっと笑みを返してくる。
 スイカ割り。
 目隠しをして棒を持ってスイカを割るだけのシンプルなゲームだ。
 ただし今回のスイカは妖怪花火が咲き誇る上空に鎮座しており、そこへは大砲で一気に打ち上げられる。
 これはただのスイカ割りではない。スイカ以外のハズレあり妨害ありの『人間大砲スイカ割り』なのだ。
 通常の依頼ならあまりのトンチキにMPが削がれるところだが、今は祭り。坂を転がるチーズ追いかけまわしたり暴走する牛に追いかけまわされたりする祭りが存在するのだ。
「これくれぇはじけたアトラクションがあったって構いやしねぇよ」
 モーテルのオーナーであるエスタシュの言である。
「旅団のみんなと敢えて先を争いスイカを割りに行くぜ」
 なんという事でしょう。まさかのスイカ割り競争である。
「よぉーしこの勝負乗ったよオーナー! 小細工なしの運任せ、誰がスイカを割るか! 思い切りやってやろうじゃないのさー!」
 その一声に数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は思わずぐっと拳を握り、
「では誘導役……いえ、折角の祭り、ここは私も飛びましょう」
 スイカ割りにおいて最も重要な役割を担おうとしていたイヴェット・アンクタン(ロックオン・サバイバー・f24643)も割る気満々。
「海老名さん、誘導任せたよー! こんな祭楽しむしかないじゃん?」
 葎は轟が用意していた目隠しと棒を人数分持ってきて皆に配り、
「海老名、良い依頼ありがとうさん」
 大きな尻尾をゆらりと揺らしてヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)は轟へとへ声をかけた。
「旅団の個人戦言い出しっぺだ。勝たせて貰うぞ? 負けても楽しめそうだ。審判頼むよ海老名。ん?」
 言葉を続けるが、どうも轟の反応が芳しくない。ふむと思案。
「私はヴィゼアだ、ヴィゼア。人型だけどな?」
 ふわりと舞うフロゥラを見た轟は完全に理解したようだ。
「ところでオーナー、競争って事は全員を一度に打ち上げるのか?」
 どうやら想定外だったらしく確認した轟は少し考え、ちょっと待ってなとどこかへ姿を消した。しばらくすると人数分の大砲をトラックに積んで戻ってきた。
 ずらりと5つ大砲が並ぶさまは、正直なんかすごいものがある。壮観というべきであろうか。
 それぞれハチマキと棒を手にして準備開始。
 利きすぎるイヴェットの瞳は目隠しで隠された。
「フロゥラは今回は留守番……何? 特等席で観戦する? ……まぁ、良い。邪魔するなよ?」
 すうっと飛ぶフロゥラへ声をかけてヴィゼアも目隠しすると視界はふっと消えた。
 特等席、それは花火が煌めく空の上だろう。
「多喜、大丈夫? 私のハチマキほどけてない?」
 縛った目隠しを確認してもらった葎は意気揚々と目隠しをした多喜とエスタシュに続くように大砲の中へ。
「範囲広いし取り合いになるとバトルでケガしそうだからスイカはたくさん用意したぜ、頑張ってくれよ」
 一列に並んだ大砲にはメンバー5人が入って準備完了。
「よし、いくぜ!」
 ドドドドドオオォォンンン!!!!!
 一斉に打ち上げられ、血沸き肉躍るスイカ割り競争の開始である。
 上空を飛ぶエスタシュの身体は空を切り、心地よい風の音と共にゆるりと放物線が描かれる。
「ここはノーナビで一撃狙い打ちだな」
 手にする棒をぶんと振るい、数多の激戦を潜り抜けてきた男は花火の音を耳に進んでいく。
 スイカは沢山用意されていのだから、必ず標的を打つ事はできるだろう。己の中にある第六感と野生の勘を駆使すれば、ごうと空を切る音がした。
 ――きたか!
「オラァ!」
 が、んっ!
 胴を狙ったそれを目隠し越しという状況で見事撃ち返したエスタシュだが、鈍重な音を響かせたモノは一体何だったのだろう。砕けた音はしなかったのでスイカではない事だけは確かなのだが。
「今当たったのなんだ?」
 祭りなので誰かに当たっても骨折しないよう手加減はした。だが、あれはどう手加減しても当たっただけで怪我しそうな予感がした。
 まあ、皆の事だ。しっかり対処できるだろう。
「っと、またか!」
 ぶんっ、ぼぐしゃっ。
 力いっぱい吹き飛ばそうとしたそれは撃ち返したと同時に砕けたようだ。
「今の感触なんだ???」
 水っぽいものが跳ねなかったのでスイカではない筈だが、真相は闇の中。妨害はまだまだエスタシュを狙ってくる。
「またかよ!」
 カキィィン!!
 甲高い音を響き渡る。
 場外ホームラン級に撃ち返すそれは空中戦を応用して空気の流れで地形を把握し進んでいたヴィゼアの顔面へと飛んでいった。
 特等席で観戦しているであろうフロゥラが慌てるように動く音が耳に届くが、ここは慌てず冷静に対処すれば問題はない。
「今だな」
 キィィン!!
 金属バットで打ったような爽快な音が飛んでいく。
 まずは妨害を一つ対処。安堵する様子が聞こえたような気がしたが、敢えてここは反応せずにスイカを探し進んでいく。
 スイカは一つではないから誰かとかち合い、ふとした拍子に攻撃する危険も少ないだろう。じりじりと進みながら物体があるかを探り歩くが、それよりも飛んでくる妨害がとても厄介であった。
 ごうと大きな音に攻撃すれば、ぽよんと手ごたえのないものを打ち返し、びゅっと飛んでくる気配を察して防御したら、ばしゃんと盛大に水がかかる。
「水風船かな……?」
 ずぶ濡れで水も滴るいい男になってしまったが、きっと他のものよりマシに違いない。
「うわあ?!」
 悲鳴交じりな多喜の声が打ち上がる花火の音に混ざって短く響いた。
「テレパス? そんなの使ったら面白くねぇだろ!」
 仲間達と夜空に打ち上がった多喜は音と勘を頼りに進んでいた。
 スイカやスイカじゃないものも飛んでくるという理解しがたい説明を聞いていた多喜たちだ。適当に見当をつけて棒を振り抜けばきっとスイカに当たる筈。
 それは経験と勘や予想に期待。
 何かが飛んでくる気配に棒を振り上げたのだが、手ごたえは全くなく、何かが顔にぺにょんと張り付いた。これが悲鳴交じりの声の正体。
「なんだい? ……こんにゃく?」
 目隠しをしているので確信はないが、つるんとしていて濡れた表面に弾力のあるそれは多分おそらくこんにゃくに違いない。
「いやなんでこんにゃく?」
 さあ?
 妨害なんてなんのその。音と勘を頼りに花火の足場を踏み越えて多喜は進んだ。時折みんなの声が聞こえてくる。
「ここか?」
 特に理由はないが、多喜の中の何かがここだと告げているのだ。
「スイカでも鉄アレイでも花火でも爆弾でも来やがれってんだー!」
 ぶんっ。
 両手に持った棒を天へと高く振り上げ――、
 ゴッ。
 ものすごく硬い音がした。絶対にスイカではない。
 嫌な予感にそっと目隠しを外す多喜が見下ろした所には『叩くと爆発します』と書かれた爆弾が鎮座していた。
「……いや爆弾はちょっとキツイかな!?」
 ちゅどごおおおおおぉぉぉぉんんん!!!!!
 目隠しをしたままの多喜は轟音と爆炎の中に飲まれて消えた。
「おう、お帰り」
「……ただいま」
 落下中に飛んでいたらしき小玉スイカを拾った多喜は地面着地でノーゲーム。
 そんな爆破音をイヴェットは聞いてしまった。目隠しで視界は利かないが、それでも明さを感じてしまうほどのそれに胸中様々な思いがよぎる。
 だがまずはスイカ割り。
 聞き耳を駆使して風音の違いで位置を捉え、気配察知で情報収集を行っていた。
「スイカに気配があるのはか知りませんが」
 割られたくないからスイカも気配を消している可能性も否定できませんからね。
 妖怪花火の模様の上は歩けなくはないが、独特なものを感じてしまう。
 だがイヴェットは仲間達と同じく数多の地を駆け抜けた猟兵である。悪路を走破する足腰、様々な物を足場とする習熟した技術を駆使すれば前代未聞の足場でもばっちり。
「……だと思います、多分」
 目隠しをしている事もあり、まっすぐ歩くのに少しだけ苦戦してしまうがそれは長くは続かない。慣れてしまえばなんてことはない花火の上を歩き進む。
 びゅっと飛んでくる音にすっとしゃがみ、ぶおんと空を切る音は大きくジャンプ。
 躱し続けるイヴェット1番の不安は棒さばき。
 『弩』の異能での強化による、リミッター解除で補助しても、変なとこを叩いてしまいそうな気がするのだ。
「まあ、さすがに気のせいでしょう。きっと」
 嫌な予感を醸す声の近くを葎は進んでいた。
「とりあえず第六感でだいたいのあたりをつけて飛んでいくしかないねー」
 ひとまず方向性は決めておき、大砲で打ち上げられる葎は更にジャンプ使って大きく飛距離伸ばす事に成功した。
 あとは最初に頼んだ誘導を頼りにスイカ目指して一直線!
「海老名さん、誘導お願いねっ!」
「任せろー」
 下からの声にを頼りに見えぬ道へと一歩を踏み出しのだ。
 まずは左へ向き直り、左すぎたとちょっと右に修正。
「真っ直ぐ進んでいいぜ、そのまま、そのまま」
 恐る恐る歩き出し、足元の不安の少なさに安心したのか地を歩くようにそのまま前へと進んでいく。
 豪快な爆破音を聞き、イヴェットの近くを通り。
「そこで前に大きくジャンプだ! 次の花火に飛び移れ!」
「任せてねっ!」
 少しだけ勢いをつけて大きくジャンプ! ――と、
「避けろ!」
「っ?!」
 短い声に躱せばごうと大きな風切り音。どうやら相当にで大きなものが飛んできていたようだ。
 集中して耳をすませば皆がそれなりに妨害を受けているようで除夜の鐘のような重厚な音が響いたり、妙なものを撃ち返したのか短い悲鳴じみた声が聞こえてくる。
 一体何が飛び交っているのだろう。聞けば教えてくれるのだろうか。
「……! 嫌な予感がするよ」
 びゅびゅっと全方向から何かが自分めがけて飛んで来る気配を察し、次の瞬間には衝撃波が気配をすべて吹っ飛ばす。
 今のなんだったのだろう。あとで聞いてみようかな。
 そんな事を想いながらも葎はスイカ割りに意識を戻し、前へ進む。
 妨害をはねのけおしのけ、それぞれが己が頼るもの頼り狙うべき標的を見定める。
 ――そして。
「そこですね」
 見えぬ瞳の確信にイヴェットは静かに棒を前に向け、すうっと振り上げた。
 この一撃ですべてが決まる。
 気配、直感、経験その他もろもろ。それぞれ目の前にスイカがある事を確信した。誰よりも速くスイカを打ち、勝負を勝利で飾るのだ。
「えーいっ!」
 葎も確信と共に目当てを狙い、
「――っ!」
「そこだあっ!」
 棒を振り上げるヴィゼアの声に重なるようにエスタシュは大きく得物を振りかざし――!
 ずどどどどおぉぉぉぉーん!!!
 連なる花火が豪快に打ち上がった。
 スイカ割りのナビをしたり競争結果を判定する為に全員の動きを逐一見ていた轟だが、妖怪花火の打ち上げもしていたので超忙しかった。
 だから、連なる花火が豪快に打ち上げる最中に全員が棒を振り下ろした瞬間を見る余裕は無かった訳で。
 多喜さんは見た?
「悪いね、花火が眩しすぎて見えなかったよ」
「……全員同時に割ったんじゃねえかな」
 上空から聞こえる歓声に判定結果はぼそりと告げられた。

 そんなこんなで大きなトラブルもなくスイカ割り競争は終了。
「終わったらBBQな、肉焼くぞ肉」
 エスタシュの一声でスイカ割りからBBQに気分はチェンジ。
「こういうのは得意です、任せてください」
 イヴェットは手際よく用意してきた器具を運んでは設置し、下処理を済ませた食材もずらりと並べていく。
「BBQか、用意ありがとう」
 礼を言い、受け取った手拭きでヴィゼアは手を拭いていると目の前ではもう肉を焼き始めるエスタシュの姿があった。
 じゅうじゅうと焼ける音と匂いは食欲をそそるが、肉ばかり焼いてはバランスが悪い。
「豪快にいくもんだねぇオーナー、野菜もちゃんと乗っけようぜー。肉が9の野菜1で構わないからさ!」
 空いたスペースにさっと多喜が野菜を乗せていく。
 焼き上がった肉や野菜をバランスよく皿に乗せ、葎は自分の皿とは別の皿にも取り分けると、それを轟へと手渡した。
「海老名さんも食べよう!」
 BBQを楽しむ声の中、スイカ割りの結果を聞いて喜んだり悔しがったりのエピソードにヴィゼアは笑ったり。
「お疲れ様だ、乾杯!」
 乾杯の音頭に皆も掲げ。花火の次は楽しい会話の花が咲く。
「花火もありますよ。食後にいかがでしょう?」
「よし、花火もいっぱいするよ! 打ち上げどーん! 〆は線香花火で!」
「あとはドラゴン花火とかあるかな? マイナー?」
 イヴェットの提案に葎は更に残っていた野菜を一気に平らげ、多喜も花火を楽しむ為に残りの肉を食べると片付けの準備に取り掛かる。
 片付け終えたら最後は花火。
 妖怪花火にスイカ割りとBBQ、そして花火と盛りだくさんの一日はきっと忘れられない一日となったに違いない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ゲニウス・サガレン
サティ君(f30798)と
アドリブ大歓迎


文献によれば

スイカ割りとは、目隠しをし、頭部を軸に回転して平衡感覚を狂わせた後、
ただ、心の眼で周囲を見てスイカに「感謝」の一撃を加える

いわば「悟る」ための修練
恐らくは侍の修行なのだろう

だが大砲か

だが大砲か

おかしいな、私の調べた文献にそんな記載はない(汗

まあいい、サティ君、私が先行するよ

(いそいそと大砲に入り、目隠しをする)

心を無に……
悟りが開けて心の眼で全てが見えるようになる

……ならないな
何も見えないぞ?
頑張れ心の眼
ひょっとして心の眼って、いい感じに直観でやれってこと?

…ちぇすとおッ!

※アイテム「陸生珊瑚の浮遊卵」を膨らませて自分とサティ君の着地を援護


サティ・フェーニエンス
ゲニウスさん(f30902)と

ヒトは、空でスイカ割る事もきっと浪漫なんですね
頑張ります(誤ったチャレンジ精神

(ゲニウスさんの番の時
もっと右、です!(方向指示応援
あっ今スイカじゃ無い物が斜めッ…ゴッホ!
(大声出すのに慣れずむせた戦力外)

(自分の番
目隠しにこの浮遊感
想像以上に五感が迷子です
聞こえる指示に耳を傾けがむしゃらに棒を振り回します
【アイテム:晴天に視る魔導杖】をせめて傘の形に転回
何かが飛んで来たら防げ…るといいですが…
あわよくば足場踏み外してもパラシュートの如く滞空時間増やせるといいですが

そういえば僕、力がありませんでした(真顔
割れた感触がしても、それはスイカじゃ無い物かもしれません(真顔



●文献にはない真実
 スイカ割り。
 文献によれば目隠しをし、頭部を軸に回転して平衡感覚を狂わせた後、ただ、心の眼で周囲を見てスイカに『感謝』の一撃を加える。
 それは、いわば『悟る』ための修練。恐らくは侍の修行なのだろう。
 ――なのだろう。
「だが大砲か」
 ゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)の視界に映るのはどでかい大砲。
 まぶしい太陽の光を浴びたそれはぎらりと輝きを放っていた。
「……大砲か」
 想定外すぎたのか二回言ったゲニウスはサティ・フェーニエンス(知の海に溺れる迷走っコ・f30798)がじっと大砲を見つめている間にぱらぱらと文献を紐解くも大砲で打ち上げられるとはどこにも書いていなかった。
「おかしいな、私の調べた文献にそんな記載はない」
「ヒトは、空でスイカ割る事もきっと浪漫なんですね、頑張ります」
 何度もめくりながら答えを導こうとするゲニウスと誤ったチャレンジ精神を胸にスイカ割りに挑むサティの二人ですが、そろそろスイカ割りのお時間です。
 文献になければ己が身をもって経験し、未来の文献に記せば良いのだけの事。
「まあいい、サティ君、私が先行するよ」
 見送るサティを背にいそいそと大砲に入り、目隠しをするゲニウス。
「心を無に……」
 ――ドオォオンッ!!!
 響く轟音、打ち上げられしばし重力から解放された身は宙を舞い、妖怪花火の上に降り立った。
 棒を手にするも目隠しによって視界はない。だが、心を無にする事で悟りが開けて心の眼で全てが見えるようになる筈である。
「……ならないな」
 残念。現実は非情であった。
「何も見えないぞ? 頑張れ心の眼。ひょっとして心の眼って、いい感じに直観でやれってこと?」
 妖怪花火が打ち上がる音や地上からの声が聞こえてくる中でゲニウスの心に焦りが生じるが大丈夫! 君にはとっておきの相棒がいるじゃありませんか。
「ゲニウスさん、前に進んでください!」
「サティ君、頼んだよ」
 聞きなれ声に頷きゲニウスは一歩、また一歩と歩いていく。
「もっと右、です!」
 聞こえる声を頼りに進み――、
「あっ今スイカじゃ無い物が斜めッ……ゴッホ!」
「あべしっ?!」
 大声出すのに慣れず、むせた戦力外サティ君の聞こえぬ一声にばいんと巨大ビーチボールを顔面に受けたゲニウスだが、ぼんぼんと弾むビーチボールが何かに当たる音を聞いた。
「む、これは」
「まっすぐです、もう少し、もう少し……そこです!」
「……ちぇすとおッ!」
 ぼごんっ!
 ナビゲーションはばっちり。棒を振り下ろすと確かな手ごたえ。目隠しを外すとスイカは綺麗に真っ二に割れていた。
 スイカを手に取るゲニウスの耳にどおんと轟音。見ればサティも自分と同じように空高く打ち上げられているではないか。
 目隠しに浮遊感が加われば想像以上にサティの五感が迷子になってしまうが、位置を教える声が聞こえてくる。
「ちょっと左、……いや、もう少し右向いて、そのまままっすぐ!」
 聞こえる声に耳を傾け、がむしゃらに棒を振り回していると、ひゅんとなんか飛んでくる音が耳に飛び込んできた。
「サティ君、避けて!」
「えいっ! ……わっ?!」
 飛んできた鉄球を魔導杖を傘の形に転回させてうまく躱したサティであったが、妨害の殺意は高めだった。
「しゃがんで!」
「はいっ!」
 ひゅんという音に身を引くくし、
「右に避けて!」
「はいっ!」
 びゅおんという音に右に避けた。
 前に進んでいくと再び何かが飛んでくる。
「うわっ」
 連続して飛んでくる妨害を躱すはずみで足場を踏み外してしまったが、傘の形で回転させていた事が功を奏し、パラシュートの如くふわりふわり。
「サティ君ナイス! そこで棒を振って!」
 ちょうど着地点から狙える標的に声を上げたゲニウスに頷き確信と共に棒を振り上げ――、
「そういえば僕、力がありませんでした」
 目隠しの下で真顔になったサティの一撃が振り下ろされる!
 カンッ!
 めっちゃ金属音がした。あっこれ絶対ヤバイやつだ。
「これはスイカじゃ無い物かもしれません」
 そっと目隠しを外すと導火線バチバチの爆弾がそこにあった。これもう爆発寸前ってヤツじゃないですか。
「「あ」」
 ちゅどごおおおおおぉぉぉおおおおおおんんんんん!!!!!!
「サティ君っ!」
「ゲニウスさん!」
 爆炎に包まれた二人であったが黒煙の中から飛び出した。あわや地上に激突という状況の中、取り出したゲニウスの陸生珊瑚の耐久卵が膨らみ着地をサポート。
 ぽよんっと着地した二人は全くの無傷。
 で、どうでした? スイカ割り。
「……スイカ食べるかい? サティ君」
 割ったスイカを手に言うゲニウスの後ろで大きな花火がどおんと打ちあがった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リグ・アシュリーズ
ポノ(f00385)さんと

限られた滞空時間内にできるだけ多くスイカを割るべく
私の灰色の頭脳が導き出した答え。
回転ね!
まずは体に紐を巻き付けて、と。
ポノさん、打ち出す瞬間にくいって引っ張ってくれる?
コマ回しみたいに、そうそう……間違っても首に巻き付けちゃイヤよ!
棒を構えて目隠しオーケー、轟さん合図よろしく!
行くわよ! 3・2――(なぜか一瞬早く発射される)

ちょっと待って心の準備が
あと発射タイミングズレたらスイカ間に合わなくない!?
状況が見えないままきりもみ回転、
うなれ私のコークスクリューアターック!!

あ、スイカ……大丈夫かしら。
粉々になっててもちゃんと拾い集めるわ!
食べ物に罪はないもの、ね!


ポノ・エトランゼ
リグ(f10093)さんと

なるほど!
間合いも広がるし、回転――さすがねリグさん!
(紐巻き巻き)
(リグさんの合図に合わせようとするも、タイミングと発射の相違に慌て)
ぐいっ、ってあーーっ! 慌てて引っ張っちゃったからめっちゃ回転掛かっちゃった
ま、まあリグさんだもの、何とかするわよ……ね?

目隠ししてGO
私も打ち上げ時の滞空時間で一発勝負狙いたいなぁ~(弧を描いて落ちながら)
声に頼って、情報収集と対空戦闘発揮!
第六感でココってところを叩く!
チェストー!

は!イカ焼きの匂い(ぱくっと噛み付き

スイカどう?!
加速したまま割ったから飛び散っちゃったわね
集めて美味しく食べよ
(更にゲットしたいか焼きリグさんに渡し



●頭脳戦の挑戦者
 大砲で打ち上げられ、スイカを割る。単純なようで至難さえ感じるこの行為。
「限られた滞空時間内にできるだけ多くスイカを割るべく私の灰色の頭脳が導き出した答え。回転ね!」
 その閃きはリグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)によってもたらされる。
「なるほど! 間合いも広がるし、回転――さすがねリグさん!」
「まずは体に紐を巻き付けて、と。ポノさん、打ち出す瞬間にくいって引っ張ってくれる?」
 名案に頷きながらポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)は言われた通りにリグの体に紐を巻き巻き。
 巻き巻き、まきまき……。
「コマ回しみたいに、そうそう……間違っても首に巻き付けちゃイヤよ!」
 手際よく紐を巻いていく様子を目にリグはポノへと言い、ぐるぐる、まきまきと身体に紐が巻かれていく。傍から見るとまるで捕まってしまったた人質のよう。
 ぐるぐる巻きになったリグは己の状態を確認。これくらいなら大丈夫そうだと大砲の前へと進んでいった。
「棒を構えて目隠しオーケー、轟さん合図よろしく!」
「おう、いつでもいいぜ」
 やる気満々、気合十分のリグを見た轟は手早く準備を済ませてくれた。
 発射準備オーケー、さあ打ち上げだ!
「行くわよ! 3・2――」
 ずどおおおおぉぉぉんんんっっ!!!
「ぐいっ、ってあーーっ!」
 さすがのポノも焦りを隠せなかった。
 時すでに遅し。何故か一瞬早く発射されてしまったリグに動揺したポノが慌てて紐を引っ張ってしまったのだ。
「ちょっと待って心の準備が」
 すごい。めっちゃ回転がかかったリグが上空へぐるぐるぐるーと回転しながら飛んでいく。
「あと発射タイミングズレたらスイカ間に合わなくない!?」
「ま、まあリグさんだもの、何とかするわよ……ね?」
 想定外の事態につい動揺してしまったが、歴戦の猟兵ならこれくらいのトラブル一つくらいなんとかできるだろう。
 ポノが見つめる先ではリグが花火と共に上空へ回転しながら昇っていく。
 ぎゃりぎゃり回るリグは状況が見えないままきりもみ回転中だが、目指すは大玉スイカただ一つ!
「うなれ私のコークスクリューアターック!!」
 ぎゃりぎゃりぎゃりぎゃり……ぼごおぉんっ!!
 確固たる手ごたえに目隠しを外すと、ずどんと発射音。割れたスイカを確認したリグが見ると目隠しをしたポノが打ち上げられていた。鮮やかな色どりが宙に華を咲かせ、どおうん、どどおんと音が響く。そんな彩の中にあるポノの身体は最高到達点から綺麗に弧を描いて落ちていく。
 重力によって勢いよく落下していくのがポノにもよく分かった。だが、このまま落下していく訳にはいかない。スイカを割らねば。
 狙うはリグと同じく滞空時間内で一発ヒット。
 さあ、スイカはどこかな?
 探しながらの耳に聞こえるのはリグの声。
「ポノさん、合図するから花火の模様を蹴って真っ直ぐ落ちて!」
「オッケー!」
 落下していくポノは棒をぎゅっと握り、タイミングを待つ。
「3、2、1――今!」
 足に触れた花火の模様の端をとんっ、と蹴って真っ直ぐ落ち進み、
「そのまま落ちればスイカがあるから!」
 なるほど、それならこのまま落下していけば対空戦闘が発揮できる。
 スイカの気配を発見。棒はしっかり持っている。
 ――ここ!
「いっけー!」
「チェストー!」
 ばこんっ!
「やった!」
「ポノさんお見事!」
 見事スイカを割った二人はそのまま地上に落下していった。ポノとリグは猟兵である。これくらいの高さから落ちても怪我を負う事もない。するんと着地することができた。
 スイカ割りを終えた二人だが、食欲をそそるいい匂いに思わずポノの鼻がひくんと動く。
「は! イカ焼きの匂い」
 轟が買ってきていたイカ焼きにぱくっとポノが噛みつくその隣ではちょっぴり不安そうなリグの姿。
「あ、スイカ……大丈夫かしら」
「スイカどう?!」
 渾身の一撃で狙い打ったスイカはいい具合に割れてしまったが大丈夫。割った後でもちゃんと食べられるように工夫されており、汚れないように地上にはビニールシートが敷いてあった。
 とはいえ、スイカは砕けていた。拾い集めるのは大変かもしれないが、二人で拾えば時間もかからないだろう。
「加速したまま割ったから飛び散っちゃったわね」
「粉々になっててもちゃんと拾い集めるわ! 食べ物に罪はないもの、ね!」
 わいわいおしゃべりしながら集めていけば、お皿は二人で割ったスイカでいっぱいになっていく。
「集めて美味しく食べよ」
 にっこり笑顔のポノの手には先ほどとは別の、更にゲットしたイカ焼きがあった。
 受け取ると大きな花火が打ち上がり、大砲から新たな挑戦者が打ち上げられていく。
 スイカにイカ焼き、妖怪花火。
 きらきらと輝いては消えていく花火を目に二人は戦果を味わうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

二本木・アロ
【もりのみのり絵師様愛好会】神サマ(f31913)と参加

「面識ねーけど、轟ちゃんとは仲良くできる気ぃすんだわ。水着のメーカーが同じだから」
「そんなわけでキレイに割ったヤツの勝ちな! 神サマにも負けねーぞ!」

轟ちゃん誘ったら早速大砲へ。
棒? 要らねーよ。あたしにはコレ(石頭)があるからな……!
スイカじゃないヤツ? 構わねー、直進だ直進!
【野生の勘】でスイカの気配を察知したら迷わず【頭突き】で【捨て身の一撃】だ!

「……ズイ゛ガの゛汁が目に゛入っだあ゛あ゛ァアアア!」
目隠しべしょべしょじゃねーか!
うわああん顔ベタベタす……虫寄ってきたァアアア!
お賽銭あげるから助けて神サマ! 電子マネーでも大丈夫?!


青梅・仁
【もりのみのり絵師様愛好会】アロちゃん(f02301)と参加

「俺も多分轟くんの着てるアロハと色違いなんだよな。だから仲良くできる気ぃする」
「何で?」

アロちゃんのノリに引っ張られつつ大砲へ。
「ごめんな轟くん。ちょっとだけおじさん達に付き合ってくれねえか?」

(絶叫を聞き)
うわぁ、思ってた以上に地獄じゃん(ドン引き)
なんで頭でやろうと思ったんだよ……。
あとそんなお気楽にお賽銭で俺を使おうとしないでくれる!?(でも神気で水をかけてやる)

俺はちゃんと棒使うぞ。服べたべたにしたくねーもん。
一応普段は刀振ってるしね、多少は綺麗に切れると思いたいが(※割るではない)
神サマの、ちょっと良いとこみせてやりてえね。



●奇跡の3人
 打ち上がる猟兵を見上げているオッサン――轟の背を見た二本木・アロ(ガードカツィナの娘・f02301)と青梅・仁(鎮魂の龍・f31913)には確固たる確信があった。
「面識ねーけど、轟ちゃんとは仲良くできる気ぃすんだわ。水着のメーカーが同じだから」
「俺も多分轟くんの着てるアロハと色違いなんだよな。だから仲良くできる気ぃする」
 言葉を交わす二人が見ていたのはスイカ割りしたくて仕方がない轟が着ている水着。
 確かに仁のアロハシャツとは色違いだし、よく見ればアロが着る水着と同じメーカーだ。なんかもうこれは初対面でも仲良くなれる予感しかありませんね?
「そんなわけでキレイに割ったヤツの勝ちな! 神サマにも負けねーぞ!」
「何で?」
 800年ほど生きているらしい仁さんは若いアロちゃんのノリに引っ張られつつ大砲に向かうと、新たな挑戦者の登場で轟も嬉しそうに笑って見せた。
「スイカを割りに来たんだろ? ……ってソレ同じ柄じゃねえか、奇遇だな」
「ごめんな轟くん。ちょっとだけおじさん達に付き合ってくれねえか?」
「いいぜ、どでかく打ち上げてやるよ」
 大砲の角度を調節しはじめるのを見ていたアロはぎゅっと目隠しをすると意気揚々と大砲の中へと入っていこうとする。
「棒はいいのか?」
「棒? 要らねーよ。あたしにはコレがあるからな……!」
 何も持たずに入っていく様子に問われると、トントンと頭を示して入っていった。
「大丈夫か?」
 不安そうな顔の轟だが、アロの事は仁もよーく知っている。
 アロならスイカくらい頭一つで大丈夫だ。多分、きっと大丈夫。
 ずどごおおおおぉぉおおぉんんん!!!
 アロの身体は砲弾の如く打ち上げられ、上空へと高く高く飛んでいく。そしてきらきら輝く妖怪花火に着地。
 視界の効かない闇の中、アロは立つ。信じるべきは己の直感と信頼すべき者の声。
「アロちゃん右、ちょっと右に向って。……あ、それスイカじゃないから」
「スイカじゃないヤツ? 構わねー、直進だ直進!」
 仁の声に耳を貸さず己の直感だけでアロはずんずんと歩きはじめた。
 飛んできた馬鹿でかいココナッツを砕き、転がるボウリングの弾を弾き返す。ガードカツィナの娘よ、今こそ全ての力を目の前にあるスイカへと叩き込むのだ――!!
 地上からその瞬間を、仁は、見た。
「……ズイ゛ガの゛汁が目に゛入っだあ゛あ゛ァアアア!」
 ぼぐしゃっ、と豪快にスイカが砕ける音と共に上空から響く絶叫。
「うわぁ、思ってた以上に地獄じゃん」
 これは神様も思わずドン引きである。
 上空では頭から突っ込んでスイカを割ってスイカ汁まみれでべしょべしょになり、べしょべしょ目隠しから目にスイカ汁アタックを喰らったアロがごろごろと悶絶していた。
 あれはとてもとても辛そうだ。
「なんで頭でやろうと思ったんだよ……」
 思わず本音が出てしまった仁だが、事態は更に深刻化し続けている。
 スイカ汁でベタベタになってしまって目隠しの結び目がほどけにくくなってしまうし、ベタベタだし。そんなスイカの甘い汁の香りに誘われるモノがちらほらとアロへと迫り寄ってくる。
「うわああん顔ベタベタす……虫寄ってきたァアアア! お賽銭あげるから助けて神サマ! 電子マネーでも大丈夫?!」
「あとそんなお気楽にお賽銭で俺を使おうとしないでくれる!?」
 ドン引きである(2回目)。
 さすがに可哀そうなので煙管をくゆらせピンチのアロへ水をかけてやると、今度は仁の番である。
 目隠しと一緒に棒を受け取った仁は手際よく目隠しをして準備完了。
「俺はちゃんと棒使うぞ。服べたべたにしたくねーもん」
 文献にもスイカ割りは棒で割るって書いてありましたしね。
 そんな訳で大砲へと入った仁も轟音と共に上空高く打ち上がっていった。難なく着地をすると耳を澄ませてスイカの気配を探る。
 一応普段は刀振を振っている仁だ。多少は綺麗に切れると思いたいが……。え、割る、じゃないの?
 妖怪花火が打ち上がる音に交じる何かが飛んでくる音。
「っと危ない」
 びゅんと飛んできた何かをさっと躱すともう一つ飛んできた音をしゃんと凪げば、飛んできたスイカが真っ二つ。
「今ので成功かい?」
 地上へ聞いてみると、ダメでした。どうやら今のは妨害スイカだったらしい。
「妨害スイカ……?」
 気を取り直してスイカを割りにいざ挑戦。
「アロちゃんどっち?」
「神サマ直進だ直進!」
「ねえホント?」
 やたら早口のアロに嫌な予感がするが、
「右だ右!」
「斜め左だぜ! あ、悪いウソ左」
「ぐるっと上!」
 ……どれ信じていいの?
 まあ、どんな声を聞こうとやるべき事はだた一つ。
「神サマの、ちょっと良いとこみせてやりてえね」
 意識を集中させて周囲の気配を探り――そこだ!
 とんとんと花火の模様を踏みしめ進んで振り下ろす!
 ビシッ……!
 確かな手ごたえに目隠しを取ると、棒を振り下ろしただけというのにスイカはスッパリ綺麗に切れていた。
「やるじゃないか!」
 地上から轟の声が聞こえてくる。
 ――さて。
 頭突きで四散させたスイカと真っ二つのスイカ二つを手にアロと仁は轟にスイカ割り対決の判定をしてもらう事になるのだが。
「……これ、俺が判定するの?」
 結果はお二人で話し合って決めてください。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルーシー・ブルーベル
【苺夜】

がんばれーっ
打ち上げられていく人達を応援し、花火を見ながら
苺と砂浜に座ってスイカを食べましょう

見て見て、黄色いスイカ!
こんな色があるなんて知らなかった
お味は同じなのかしら?
天辺の尖りを「せーの!」で一口かじって……目をぱちくりと、
苺と目を合わせて――スイカだわ!!
キン、と冷えた甘いスイカはとてもおいしいわね

打ち上げ花火を見ていたら、
手持ち花火もしたくなっちゃった、ので
じゃーん!線香花火をもらってきたの!
いっしょにやりましょう?
ヤケドには気を付けて

手元で咲く花はキレイで、はかなくて
……うん、そうね
一生懸命咲いていきたいわ

ぽとりと落ちる瞬間が、何だか惜しい


歌獣・苺
【苺夜】

がんばれっ!がんばれっ!
ルーシーと一緒に打ち上がる人の応援と綺麗な花火にうっとりした後は風通しのいい砂浜に座ってお待ちかねのスイカタイム!

黄色いスイカ!?
すごい!初めてみたよ…!
すっぱいのかな?美味しいのかな…?

少し不安だけど
ルーシーと一緒にせーのでぱくり!
ぱちくり開いた
お互いの目を見合わせて

スイカだ!!
ひんやりおいしーい♪

しゃくしゃく赤黄のスイカを
夢中で食べていると
ルーシーが見せてくれた物に
目を輝かせて

線香花火!一緒にするー!
これは静かにする花火なんだよね?
わぁ、ぱちぱち綺麗…!

私達もこの線香花火のように
一生懸命に咲いて輝いていたいね…!

その思いに応えるかのように
火花はぽとりと落ちた



●輝き咲くは、二輪の花
 どおんと大きな音が響き、見上げた瞳に映るのは打ち上げられた妖怪花火とスイカ割りに挑む挑戦者。
「がんばれーっ」
「がんばれっ! がんばれっ!」
 花見を眺めながらのルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)と歌獣・苺(苺一会・f16654)の応援が功を奏したのだろう。スイカめがけて一直線で進んだ挑戦者は、スイカをぼこんと割っていた。
 スイカ割りの挑戦者たちに混ざって大砲からは花火がいくつも打ち上がり、空には輝く大輪の花が咲き誇る。
 その輝きに思わずうっとりしてしまう苺の頬をさわりと優しい風が撫でた。それはルーシーもそよそよとそよぎ、黒と金の髪が揺れ動く。空に咲く花火を二人はしばらく眺めていたが、砂浜に座ってスイカタイム。
「見て見て、黄色いスイカ! こんな色があるなんて知らなかった」
「黄色いスイカ!? すごい! 初めてみたよ……!」
 ルーシーから苺が受け取ったのは、お日様のように黄色いスイカ。
 スイカといえば真っ赤で甘くてみずみずしいものだけど……。
「お味は同じなのかしら?」
「すっぱいのかな? 美味しいのかな……?」
 不思議そうに見つめるルーシーの隣で苺も黄色いスイカをじーっと見つめ、二人は顔を見合わせこくりと頷き、
「「せーの!」」
 ぱくりっ!
 天辺の尖りを一口かじった二人はもぐもぐ、ごくん。しっかりスイカを味わった瞳は口いっぱいに広がる味にぱちくり開く。
 それから二人は瞳を合わせ、
「――スイカだわ!!」
「スイカだ!!」
 それは思わず声が重なってしまうほどの味だった。
 黄色いスイカは真っ赤なスイカに負けないほどの甘くておいしいスイカだったのだ。
「ひんやりおいしーい♪」
 黄色いスイカを食べ終えた苺は真っ赤なスイカもぱくり。夏の暑さに負けないようにしっかり冷えたスイカは二人をひんやり満たしていく。
「キン、と冷えた甘いスイカはとてもおいしいわね」
 新たなスイカを手にしたルーシーがしゃくりと天辺をかじると、苺も天辺をしゃくり。
 ルーシーと苺がスイカを味わっている間も二人の上では花火が咲き、ぱらぱらと輝き消えては新たな花が打ち上がる。
 スイカを夢中で食べていた苺だったが、おもむろに立ち上がったルーシーが砂を払うと大砲の方へと走っていった。どうしたのかと見ているとていると、抱えていたものを背中に回して戻って来た。
「打ち上げ花火を見ていたら、手持ち花火もしたくなっちゃった、ので」
 大切に抱えたそれを隠すように背に回していたルーシーだが、ばっとそれを苺の前へ。
「じゃーん! 線香花火をもらってきたの! いっしょにやりましょう?」
「線香花火! 一緒にするー!」
 目の前に現れたシンプルな線香花火に苺の瞳はキラキラ輝いた。
 緩やかにそよいでいた風もぴたりと止み、花火をするにはちょうどいい。
「ヤケドには気を付けて」
 頷く苺は受け取った線香花火に点火すると、ぷくりと大きな丸い玉が出来上がる。
 短い火花がぱちぱち弾け、二人の手には牡丹の花が咲きだした。
「わぁ、ぱちぱち綺麗……!」
 思わず苺は感嘆の声を上げる。
 短い火花が重なり合い、ひとつ、ふたつと増えてゆき、ぱちぱちとその数は増えていった。
 手元で咲く花はキレイで、はかなくて。
「私達もこの線香花火のように一生懸命に咲いて輝いていたいね……!」
「……うん、そうね」
 花見を見つめる二人はぽつりと言葉を交わす。
 激しく火花を放つそれは二人の姿を明るく照らし――それは徐々に失い、柳のごとく火花を揺らし、菊を散らす。
「一生懸命咲いていきたいわ」
 それは線香花火の終焉を告げる『ちり菊』。
 菊の花びらが咲いては散って、また咲いては散る。
 散れば散る程、その輝きは消えてゆく。
 その様子をじっと、じっと見つめ――ぽとり。
 思いに応えるかのように、火花はぽとりと落ちた。
 ぽとりと落ちる瞬間が、何だか惜しい。
 輝きを失った線香花火を手に、しばらく二人は見つめているのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年08月07日


挿絵イラスト