祭の後には新たな祭!(作者 マウス富士山
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#カクリヨファンタズム  #お祭り2021  #夏休み  #プレイング受付8/6(金)8:00まで 


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#夏休み
#プレイング受付8/6(金)8:00まで


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●グリモアベース
「やあ皆、水着コンテストお疲れ様。忙しい人も多かっただろうし、ここからはゆったりとした後夜祭の時間だ」
 瓶の中に入ってビニールプールにぷかぷかと浮かんでいるアリスティアー・ツーハンドソード(王子気取りの両手剣・f19551)がそう言って指を鳴らすと、いつの間にやら用意されていたスクリーンにカクリヨファンタズムの美しい海が映し出される。
「せっかく作ったビーチをまだまだ活用したいとのことでね、妖怪親分達のご厚意で自由に使っても良いということになった。猟兵達だけの貸し切りというわけではないが、妖怪親分が趣向を凝らして作り上げた海だ、他にない思い出が得られるかもしれないね」
 バズリトレンディ親分が作りあげたビーチは猟兵全員がやってきても問題ないように作られた結果とにかく広く、また彼女の趣味で過去に流行したものが用意されている。
 透明なボールの中に入って水上を歩けるウォーターボール、岩場の窪みを利用して作られたナイトプール、ウェイクボードも遊ぶことができる……が、一部機械技術の再現には難があったのか、ナイトプールの色とりどりの照明を鬼火が行うなど有志の妖怪たちが人力で再現してくれている。速さ自慢の妖怪達がボードと繋がった紐を握って水上を駆ける参考映像は猟兵達に刺激的な体験を想像させてくれるだろう。
「ビーチで遊ぶのもいいが、一番の目玉はやはり妖怪親分達が用意してくれた妖怪花火だろう……と言っても、僕も今しがた存在を知ったのでこの場で説明書を読み上げさせてもらうね」
 妖怪花火、一見すると普通の花火にも見えるそれの特徴は空中で生じる模様の上を歩いて空中散歩ができること。上手く空中で花火から花火へ乗り継ぐには模様の広がりや飛び移る花火の位置を把握しなければならないため多少のテクニックを必要とされるが、煌めく花火の中を歩くというのはまたとない体験だろう。
 また歩くことのできる性質から模様も普通の花火よりもずっと長く、色濃く空中に残るためただ眺めるだけでも充分に価値のあるものだ。ビーチ内を探せば静かに眺めることのできる場所を見つけることもできるだろう。
「空中にある花火への移動は自前の飛行能力でもいいし、妖怪達に頼めば空へ連れて行ってもらうこともできる、だけどワイちゃんのイチオシは花火と一緒に空中に打ち上がることです。だそうだよ……え!!?」
 妖怪花火は親分達の不思議な妖力によって一緒に空中で爆発しても怪我一つしない。とはいえ衝撃はあるので模様の上に着地するのはかなり難しいだろうが。猟兵であれば不可能ではないだろう。
 自身を囲む瓶をちらと横目で見たアリスティアーは、気を取り直すように咳払いすると改めて猟兵達に向き直る。
「何かあれば僕が向かうが、基本的に好きにあそんでくれたまえ。それでは、いってらっしゃい!」


マウス富士山
●マスターコメント
 オープニングをご覧いただきありがとうございます、マスターを勤めさせていただくマウス富士山と申します。
 毎年恒例コンテスト後の夏休みシナリオ。今回はカクリヨファンタズムで不思議な花火で遊んだり、妖怪達が再現してくれるマリンスポーツを体験することができます。また希望があればグリモア猟兵のアリスティアーを呼び出すことができます。
 【日常フラグメント】、【一章構成】のため通常の依頼よりEXP・WPの獲得が少ない点に注意してください。

 オープニングの公開と同時にプレイングの受付を開始、皆様のプレイングを心からお待ちしております。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW妖怪花火で空へGO!
SPD妖怪花火の上で空中散歩
WIZ静かに花火を楽しもう
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


チル・スケイル
夏休み…休みというくらいですから、休みましょうか
氷の小舟を浮かべ、涼風を起こし推進。ひたすら海を行きましょう

…何もない、海があるだけですね…島も怪物も危険もなく、時々小魚が跳ねる程度。静かです…

…あれは?…動く氷…?を、運ぶ少女…か…
乗せてというので少女の手を取り、舟に乗せます
偶然出会った少女レパルさん(f15574)も加えて、大海原をあてどなく進みましょう

妖怪花火はしばらく空中に留まるのでしたね
夜空の星が燃えているようです…
しかし花火よりも活気のあるレパルさんの姿。彼女の声が、私を温めるのを感じます…
やはり繋がりこそ、猟兵の力。


レパル・リオン
マジカル水着『スノウベアー』なら、暑さ寒さをシャットアウト!だからこんな事もできるっ!うりゃあ!(海を思い切り殴りつけ凍らせ板を作る)
いでよ氷の板!これに乗って海に行こう!
…進まない!仕方ないので海に入って、氷を掴んでバタ足!うおーっ!
よーしスピード出た!素早く氷にライドオン!やった、進んでるー!

あ、あれは!?氷の舟!?ヤバい、メチャクチャ出来がいい!カッコいい!乗せてー!乗せてー!

カッコいい舟を操るお姉さん、チルちゃん(f27327)と仲間になってまだまだ海遊び!
どこまで行く?どこまでも行く?
うん、行こう!

わあ!空に花火が咲き乱れてる〜!きれ~い!
ね、チルちゃん!海に来てよかったわね!ね!


●その色彩に温もりを
 どこまでも広がる水平線と遠くから囁きのように聞こえてくる妖怪達の楽しむ声を楽しみながら、チル・スケイル(氷鱗・f27327)は涼風任せにガラスのような氷の小船を進ませる。
「危険も怪物もなく、海があるだけで何もない…静かです……」
 夏休みという言葉は馴染みがないけれど休みというのだから休みましょう、そんな考えで何をするでもなくただひたすらにチルは船を進める。静けさに包まれた海上では遠くの音もよく聞こえてくる、小さな女の子の掛け声と称賛するような拍手の音、浜辺では何か大会でもやっているのだろうか?
 とは言え海の上ではあまり関係ないのこと。こちらは小魚が跳ねて水面を叩く音が……いや違う、跳音はどんどん大きく、一定のリズムを保ったままこちらに近づいてくる。小魚がどのような群れを成していていてもこんな音にはならない。
 いったい何がとチルが振り返った瞬間、先程遠くから聞こえてきた少女の声がすぐ近くで聞こえてきた。
「うおーっ!!」
 一瞬チルの目には海を漂う流氷が叫んでいるように見えた。が、その後方から飛び上がり氷の上に着地したレパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)の姿を見て彼女がここまで氷を運んできたことに気が付いた。
「そこのカッコいい船のお姉さーん!乗せて乗せてー!!」
 ぶんぶんと手を振るレパルの声を聴いたチルは風を弱めて船の速度を落とし、レパルの乗る氷と船を並走させる。遠くから眺めていた船を間近で見た喜びで目を輝かせるレパルは我慢できないといった様子で小舟に飛び移った。
「大きな流氷ですね…この季節にここまでの物は珍しい」
「あたしが作ったの!こう海をうりゃあって!」
 そう言って突き出されたレパルの拳から冷気が噴き出し、小さな氷の欠片が雪のように舞い落ちる。その光景とレパルが運んできた交互に見てチルは先ほど聞こえてきた拍手の理由はこれかと一人心の中で頷く・
「ねえお姉さん、どこに行くつもりだったの?」
「そうですね……私は特にあてはありませんでしたが、貴女はどうですか?どこか行きたいところは?」
「この船!」
「……それもそうでしたね」
 自分の言葉と屈託のないレパルの返事にチルはクスリと笑う。とはいえ何もない海原を目的もなく漂うというのは幼い少女には少々退屈かもしれない、どうしたものかとチルが空を見上げた瞬間だった。
 軽快な爆発音と共に、大輪の花が空に咲く。この祭りのメインイベントである妖怪花火が打ち上げられたのだ。
「わあ!きれ~い!」
「ええ、夜空の星が燃えているようです」
 妖怪親分達の妖力で作られた花火は鮮やかに、長く空に残り続ける。その景色を眺めていたチルはそうだと涼風を動かした。
「せっかくです、この船もっと近くまで行ってみましょうか」
「えっ、いいの!?」
「はい、海原なら遮るものもないですし…きっと綺麗ですよ」
「じゃあ行こう!キレイに見えるところまでどこまでも行こう!」
 船から身を乗り出すような勢いで花火を指さすレパルに微笑みかけながら、チルは船を進める。
「お姉さん!海に来てよかったわね!ね!」
「ええ、本当に良かった」
 海原を進む二人を、輝く花火が色鮮やかに照らす。その光は二人の出会いを祝福するように、とても暖かく感じられた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

マリア・フォルトゥナーテ
【ダッチマン】
アドリブ、連携歓迎

海底から歩いて砂浜に現れる。この姿では10年に一度しか陸に上がれないが、陸に思い入れもないので気にならなかった。

先程、海賊と戦闘中、砲撃の直撃を受けて服を吹き飛ばされた上に海に落ち、ここに辿り着いた。
故にこの祭りの事は知らない。

「忌々しい海賊共め。だが、今私が戻ったところでダッチマンの悪霊共が連中を藻屑にしているだろう」

海の方を見ながら、ゲソ髪を激しくうねくるが、それも叶わないと判断するや、近くのBARに座り、ワインで苛立ちを鎮める事にした。

が、結局祭りの楽しげな空気が気に入らず、ぶち壊しにかかろうとするが、誰かが頭に何か乗せて善人格にしてもよい。お任せします。


緋神・美麗
【ダッチマン】
妖怪花火で打ち上げねぇ。つまりマリアさんを打ち上げて墜とせばいいのね。これは腕がなるわねぇ。
妖怪親分達にお願いして妖怪花火の大筒を用意してもらい、花火とマリアさんを詰め込んで撃ちあげる。
「酒飲んでくだ巻いてるくらいなら付き合いなさいよ。大丈夫。汚い花火じゃなくてちゃんと綺麗な花火になれるはずだから。たぶんきっともしかしたら。」
マリアさんを撃ちあげたら自らも飛翔して花火を間近で楽しむ。
「これはなかなか絶景ねぇ。」
飛べないマリアさんは念動力で持ち上げたり落としたりしながら空中に停滞させる


シエル・カーネリアン
【ダッチマン】
海に来てみた!…はいいけどここも暑いなぁ…ちょっと涼しくなるまでのんびりしてよ、とパラソルとサーキュレーター型ガジェットを召喚して涼しむことに

いやー暑いですけど波の音をきいてボーっとしてるのもいいですねー…って誰か物騒な事をしてる…ってマリアさんじゃん!?なんだかやっべぇ事になりそうな予感!!えーっとどうしよう…とりあえず店にあるありったけのお酒をバケツに入れて…ぶっかける!マリアさんならこれで落ち着くでしょ。良い子はマネしちゃダメだよ!

まぁ、カリカリしてないでのんびりやってきましょーよ。あ、花火とかやるらしいですって、見に行きません?


●Let's Go Sky&Firework!!
「海に来てみた!……はいいけど、ここも熱いなぁ…」
 日陰を作るパラソルに風を送るサーキュレーター、可能な限りの涼を作る用意をしたシエル・カーネリアン(通りすがりのぐうたらひぃろぉ・f28162)ビーチェアにぐでっと体重をかける。
 幸いにも時間は夜、そのため焼き付くような日差しの熱さは無いものの体にじんわりと纏わりつく空気の熱さはどうしようもない。
 とは言え、反射光やアスファルトからの余熱で焼かれる都会の夏と比べれば快適なものだ。波の音に耳を傾けぼんやりと海を眺めていたシエルだったが、その視界の隅で何かが海から這い出てきた。
「……うえっ!?」
 思わずシエルの口から声が出るが、別に海から何かが出てきたことに驚いたわけではない。ここはカクリヨファンタズム、人魚とか海坊主の類くらいいるだろう。
 彼女が驚いたのは、出てきたのが彼女の知り合い……真の姿をとったマリア・フォルトゥナーテ(何かを包んだ聖躯・f18077)だったからだ、それもかなり苛立った表情をしながら。
「ちっ、鼠が…自分が作った程度で海の所有権を主張するなど……」
 どうやら知らない所で妖怪達に手厚い歓迎を浮けた後らしい、服はボロボロでそれを補うように海の生き物がへばりついている。忌々しげに海を眺めていたマリアだったが、やがて踵を返すとシエルの横を素通りして近くの酒場へと入っていく。
 普段なら仕事でもない面倒事の気配などスルー推奨とするところだが、さすがに知り合いのこととなると無視はできない。ビーチチェアから起き上がったシエルは気づかれないようにこっそりと、扉の隙間から店内の様子を伺う。
「……ワインを、銘柄なんでもいい。上物など端から期待していないからな」
 音を立てて席に腰かけたマリアの触髪が別の生き物のように激しくうねる、それはさながら拳に力を込めて怒りを我慢しているようで彼女が不機嫌なのは誰の目から見ても明らかだった。
 しかし妖怪達はそんなマリアの様子などどこ吹く風、コンテストや先の戦争の話を肴に酒盛りを続け……
「……気にいらんな」
 適当な位置に居た妖怪の頭に振り下ろすように、マリアの触髪が動く。ヤバいとシエルが扉を開けて中に入ろうとした瞬間、それよりも早い閃光が彼女の横を掠めた。
 破裂音と共にマリアの触髪は受け止められ、流し込まれた雷撃が彼女の身体から自由を奪う。自らの邪魔をしてきた猟兵を睨みながら、マリア憎々しげにその名を呼んだ。
「……美麗!」
「酒飲んでくだ巻いてるくらいなら、ちょっと付き合いなさいよ」
 触髪を弄びながら、緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)はマリアを席から立たせる。宥めるなら今がチャンスとノエルはいつのまにやら用意したバケツ一杯の酒を手に二人に近づいた。
「そうですよマリアさん、カリカリしてないでのんびりやってきましょーよ。花火とかもやるらしいですよ」
 雑談をしながらシエルは並々と酒を注いだバケツをマリアに差し出す。ここで暴れても無駄だと考えたのかマリア忌々しげな顔をしながらも酒に手を伸ばし……た瞬間、えいとシエルはバケツを突き出しマリアの頭から酒をぶっかけた。
 これで落ち着くだろうとシエルの脳裏に酒樽に頭を突っ込む普段のマリアの姿が浮かぶ、ぽたぽたと水滴を垂らしながらシエルを見たマリアだったが。
「戮す」
 怒りが天元突破したのか、その口から常用外漢字が飛び出た。
「ふん!」
「ゴバァ!!?」
 マリアが暴れ出す前に、美麗がその腹に雷の剣を突き刺す。この程度では死なないことは普段のコミュニケーションで証明済みだ。
「よし、このまま綺麗な花火にしにいくわよ」
「あ、『見に』ではないんですね」
 美麗が肩を、シエルが足を担ぎ上げて二人は店を飛び出す。そのまま全速力で海岸にある花火の大筒までやってくると美麗がノータイムでマリアをその中に押し込んだ。
「あの、これ下手したら汚い花火になりません?」
「大丈夫よ、たぶんきっともしかしたら」
 筒から漏れ出る怒号に花火で蓋をし、発射装置を握りしめる。できるだけ遠くに飛ぶように射角を調整しながら美麗はシエルの方を見る。
「良かったら、一緒に飛ぶ?」
「あー……あたしスポーツとか見る専なんで」
 了解、という返事と共にレンズ状の雲を作ってマリアが天に飛ぶ。その後を追って雷を纏った美麗が空に飛び立って数刻。
「たーまやー」
 シエルの掛け声と共に、大空に蒼い花火が咲く。爆発音の中に怨嗟の声が混じっているような気もしたが、猟兵達はそれを聞かなかったことにするのだった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

プリンセラ・プリンセス
空船・有耶(f27934)と参加
セリフ捏造可

夜。
二人で普通に花火を楽しんだ後の線香花火。
儚げに消えゆく線香花火を見て兄姉を想う。
自分の中に残っているのは残滓。なりきってもそれはプリンセラの意志にすぎず、二度と会うことはない。
猟兵としての仲間は居れども国の事で頼るわけにもいかない。
たった一人残されたという事実や重圧がのしかかりついしんみりしてしまう。

「ありがとうございます、空船君はいつも私を慰めてくれますね」
空船の言葉の真意には一切気付かず弟代わりに可愛がっている彼を後ろから抱き寄せる。
「ちょっとだけこうさせてくださいね」
特に深い意味などなく枕代わりにも等しいけれども今はちょっと助かる。


空船・有耶
プリンセラと参加
アドリブ可

大きな花火の残り火のような線香花火
淡い想いが浮かんで消えるように、この花火も…
消すわけにはいかない
国を細身に背負って立って、悲しみも辛さも1人で抱えようとする貴女を
このまま花火へのように見つめるだけは嫌だ

「家族の代わりになれる人はきっと誰も居ないけど
今隣りにいる人も、きっと悪くないんじゃないかな…って思います…」

齢8つの幼い身では、まだここまでしか言えないのがもどかしい
後ろから抱き寄せられて鼓動が跳ね上がる。温かい。柔らかい。
思えば初めての大きな接触
…ああ。弟、かな。僕。でも、今はそれでもいい
大切な人の癒やしになれるのなら、それでもいい
僕は、貴女の何になれるのかな


●夜に願う夢
 輝く花が空に咲き、そして幻のように消えていく。
 今のものが最後の一つだったのだろう。花火を鑑賞していた妖怪達の声も遠くなり、代わりに残されるのは静寂のみ。星の一つでも見えればいいが、大量の花火が残した煙が雲のように空を覆っており、月の欠片も見えやしない。
「綺麗でしたね、親分さん達の花火」
「はい、とっても」
 感嘆の言葉を呟きながらプリンセラ・プリンセス(Fly Baby Fly・f01272)と空船・有耶(虎鶫は何と囀る・f27934)は空を見上げ続ける、二人の目にはまだ花火の残光が映っているのだろう。特にまだ幼い有耶にとっては最後の花火は祭りの終わりを意味するものではなく、次の楽しい何かの始まりとしか思えず、まだここに居たいという気持ちが彼をこの場に釘付けにしてしまう。
 だが、自分の我儘で陛下を困らせるわけにはいかない。かぶりを振って誘惑を振り払った有耶は『帰りましょう』とプリンセラに話しかけようとして……。

 彼女の目が、どこか遠くを見つめていることに気付いた。

 出かけていた言葉が喉元で止まる。いいのかな、本当に帰ってしまって、僕はこのまま何もせずに。
 そんな考えが有耶の中を渦巻くが、だからと言って今この場で自分にできることなんてと悩む有耶の背後に、ぬっとネズミ耳の影が浮かび上がった。


「よかったですね、親切な方で」
「ああ、はい、えっと……」
 二人の目に映るのは先ほどまでの妖怪花火とは比べるまでもなく小さく、しかし確かな輝きを放つ線香花火。手渡ししてきた自称通りすがりの最先端妖怪は打ち上げ花火を作るときに余った妖力で作ったものと語っていたが、見た目は市販のものと大きく変わらない。しいて言えば火花の描く模様がハッキリと見えるくらいか。
 そして手元にある花火を見ているのに、やはりプリンセラの視線はどこか遠くにある。花火を通して彼女何を見ているのか、既に有耶にはわかっていた。
 家族だ。閃光のように輝いて消えてしまったプリンセラの兄姉達、彼女の中にその残滓は残っていて、人格として形作ろうとも、結局それはプリンセラの一側面でしかなく本当の兄姉達ではない。彼女だけが滅びた過去とこれから作る未来を背負う、広い世界の中でただ一人自分だけが……少なくとも、プリンセラはそう考えている。
 だけどそれはと有耶が口を開いた瞬間、強い風が二人の間に吹いた。
 あっと小さな声が漏れて、プリンセラの持つ線香花火から光の蕾が落ちる。その瞬間自分が花火を持つ手が伸びたのはほとんど反射的なもので、有耶に何か考えがあったわけではない。それでも、ただ消えていくだけの見ているだけなんて絶対に嫌だ。
 そんな有耶の想いに答えるように、線香花火から伸びる鮮やかな模様がプリンセラの手から落ちて蕾を受け止めた。
 妖怪花火はその上に乗って歩くことができる、グリモア猟兵が言っていたそんな言葉が思い浮かぶ。模様の上を転がる蕾はそのまま有耶の花火と重なり、先程よりも強い輝きを放ち始めた。
「……家族の代わりになれる人はきっと誰も居ないけど。今隣りにいる人も、きっと悪くないんじゃないかなって、思います…」
 鮮やかな花模様を描く花火を見つめながら自然と有耶の口からそんな言葉が出る。どうにかして受け止めた蕾を落とさまいと必死に手の震えを抑えようとする彼は、自分を背後から包む暖かさが何か一瞬気が付かなかった。
「ありがとうございます、空船君はいつも私を慰めてくれますね」
 プリンセラが自分を抱き寄せている、そう気づいた瞬間有耶の顔がかあっと熱くなる。
「ちょっとだけ、こうさせてくださいね」
 柔らかな髪が頬にかかる。自分の胸は痛いほどに高鳴っているというのに背中越しに伝わる彼女の鼓動は穏やかなもので、その事実に有耶は気づかれないようにほんの小さくため息を吐いた。
 でも、大切な人の癒しになれるのなら今はそれでもいい。
 だけど、いつか僕は、貴女の何になれるのかな。
 煙が風に流され、月が顔を見せる。月明りを反射してガラス細工のように煌めく海原はつい先日作られたものとは思えないほどに広大で、地面に伸びる自分たちの影が酷く小さなものに見えた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年08月06日
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