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404号室(作者 ユウキ
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#UDCアース 


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●7月某日、寂れた共同住宅の一室にて。

 蝉が鳴いている。
 真夏の空はどこまでも蒼く澄み渡り、ぽつりぽつりと浮かぶ白い雲がその美しさを際立たせる。
 「……五月蝿い」
 ジリジリと鳴く蝉に、もう温くなった缶ビールを呷った私は恨めしそうに呟いて空を見上げる。
 どこまでも続く、美しい空。
 彼を奪ったのは病だ、誰のせいでもないのは分かっている。
 だからこそ世界が憎かった。
 変わらないこの蒼い空が憎かった。
 だから呪おう。
 呪って逝こう。
「人を呪わば穴二つ……」
 ならば、世界を呪えば幾つの穴が必要なのか。
 ふと、そんなくだらない考えが頭を過って苦笑が漏れる。
 さよならだ。
 ボロボロの椅子に立ち、天井から伸びるロープの輪に首を掛ける。
 こんな世界など壊れてしまえ。
 彼の居ない世界などに意味はなく、私は世界を呪い逝く。
「……ごめんね」
 大きくなったお腹を撫でて、愛すべき我が子に謝罪する。
 母は強くはなれなかった。
 あなたを守れるほど、強くなどなれなかったのだ。
 部屋中に貼られた札の中心で、私は足下の椅子を蹴った。

●グリモアベース 作戦会議室。
「快適だなぁ、内勤は……」
 冷房の効いた室内でユウキは言った。
 快適快適と何度も言いながら、まばらに部屋に入って来る猟兵達を眺めている。
 ユウキが新たに持ってきた仕事の現場、UDC日本の今は夏。
 年々暑さの厳しくなる中でも、教団の連中には関係が無いようだ。
 まばらだった猟兵がそこそこ部屋に集まってきたところで、そろそろ仕事の話をしようかと、ユウキは口を開く。
 さて、その口から語られたのは不吉な数字についての話だった。
 “4”それは、日本においてはその読みから死を連想させるとして忌み嫌われる。
「ま、そんなもの気にしない場所も多いがな」
 そして、ユウキが見せたのは1つの写真だった。
 閑静な住宅街……いや、団地と言った方が正しいか。
 所謂集合住宅がいくつか並んだ場所の写真。
 そして、そのうちの1つの棟のアップ写真を隣に貼り出すと、奇妙な質問をした。
「各階層ごと、部屋はいくつある?」
 簡単だ。
 そんなものは扉の数を見れば良い。
 各階層に部屋は7つと答えた猟兵に、ユウキは待っていましたと言わんばかりの笑みを浮かべて念を押す。
「本当に?」
 なにを言っているのだろう?
 何度数えても部屋は7つだ。
 そんなとき、誰かがあっと声を出す。
 何かに気付いたようだった。
「そう、四階だ」
 ユウキの言葉に従い、四階を見た……六室しかない。
 だが、おかしい。
 扉の位置は上下階層と変わらない筈なのに、四階だけ何度数えても六室しかないのだ。
「気味が悪いだろ? だからこそ、諸君の出番という訳だ。警察への通報によれば、“最近旦那を無くした近所の妊婦が居なくなった。彼女の家を訪ねようとしたが、彼女の家が見つからない”だそうだ。まぁ、それが例の部屋って訳さ。組織で調べた所、あの集合住宅からは嫌な気配が漂っている。だから大事になる前に消えた“404号室”を見つけて貰いたい。」
 そう言って開かれるゲート。
「あぁ、そうそう」
 そして思い出したようにユウキは口を開いた。
「派手に暴れるのは控えろよ? おそらくは一部異界化しているとはいえ、あの辺はまだ一般人も暮らしている。バケモノが出てくるまでは一般人として行動することだ」
 念を押してゲートから退くと、激励の言葉を口にした。
「行ってこい、猟兵」
 ただ、その一言を。





第3章 ボス戦 『終末の嬰児』

POW ●その嬰児、近づくなかれ
【狂】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【絡みつく黒い触手のかたまり】から、高命中力の【狂気を喰らう触手】を飛ばす。
SPD ●その嬰児、起こすなかれ
【まるで未来を見ているかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ ●その嬰児、愛すべし
【泣き声】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
👑11 🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はミカエル・アレクセイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 終末の嬰児 断章。

 最後の札が剝がされたその時だった。

 ――時は来た――

 室内に響く不気味な声。

 ――時は来た、その眼を開くのだ、そして目覚め給え、――

 天井から吊るされた腐乱死体の腹部がざわざわと動き始める。

 ――起きるのだ、可愛い可愛い狂気の子――

 死体の股から、腐乱した肉が零れ落ちる。

 ――生まれ給え、目覚め給え、産声を上げ給え――

 ずるりと母親の股から何かが落ちる⋯⋯否。

 ――世界に狂気を、母の願いを叶え給え――

 母体は神を孕み、そして時が熟したのだ。

 ――狂気で満たせ、世界を呪え――

 母は、子を産んだ。

 ――終末の嬰児よ――

   終末の嬰児を。
九重・灯
人格が替わる。『オレ』の出番だ。

まったく、やってくれるな。
自分と腹の中のガキを生け贄にして、自分の死体を「門」にしやがった。
(『生前に邪神教団と接触していたと考えるべきでしょう。あとで部屋を徹底調査しないと』)
もう一人の自分の声が頭の中に響く。
仕事熱心なこった。それはアイツを倒してもこの空間が無事だったらな

様子見に詠唱拳銃を撃つが……カスりもしねえ。なら避けられない攻撃をすればいい。

UC【影の森】。生命力をカゲツムギに注ぐ。影が広がり、部屋を覆い尽くす。形成した無数の影の刃で敵を刺し貫き、その場に縫い止める。室内じゃ避けるのにも限度があるだろ
『串刺し8、体勢を崩す5、地形の利用5、範囲攻撃5』


 生まれ落ちた赤子。
 腐肉と死臭より出でた⋯⋯邪神。
『けっ、てめぇの体とガキを贄にして、とんだバケモノを呼び出しやがった!』
 彼女がどういう経緯でこんなことを行えるまでの知識を得たのか。
 ⋯⋯誰がこんなことを彼女に行うよう、謀ったのか。
 脳裏を様々な思考が駆け巡る中、もう一人の私が心の奥底で叫ぶ。
『無駄な考えがしたいなら引っ込め! こっからはオレの仕事だ!!』
 すぅっと意識が遠のく。
 私は渦巻く思考の中、もう一人の私へと主導権を手渡した。
 荒事は⋯⋯そちらの担当だ。
「だがよ、結局この空間をどうにかできなきゃそんな考え無駄になるぜ?」
 表面に出た私が、私を諭すようにそう言った。
『この事態の解決含めて思考します。そちらの相手は任せます!!』
 考えるべくもなく、彼女がいずれかの教団と関わりを持ってしまったのは間違いないだろう。
 事態の終結と同時に、もっとこの部屋で情報を集める必要がある。
「仕事熱心なこったッ!!」
 もう一人のオレが黙り込むと同時に、忍ばせたジャック・ランタンⅡを引き抜いてその引き金を絞った。
 立て続けに四本の銃身から火花が散って、目の前の化け物へと喰らい付く⋯⋯はずだった。
「あァ!?」
 そのガキは、ゆらゆらと不規則な動きで放たれた弾丸を躱していた。
 確かに小型で大した精度の銃でもない、まして的が小さいという事もある。
 が、
「だからこんなオモチャは嫌いなんだ!!」
 流石にこの至近距離で全弾外すという状況は、オレを苛立たせるには充分だった。
 一向に目は覚まさないようだが、まるでおちょくる様に漂うそのガキ。
「だったらいつまで避けられるか試してやんよッ!!」
――影よ⋯⋯――
 両手を広げ、乞い、祈る。
 黒い影が、室内を覆いだす。
――我が力を喰らえ⋯⋯――
 こればかりは何度やっても慣れる事は無いだろう。
 痛みはなくとも、全身から血を吸いだされるような気味の悪い感覚。
 抜き取られた力が、カゲツムギへと注がれていくのが分かる。
 室内を覆い尽くした暗闇に、刃が形成されていくのが見えた。
 闇に紛れる漆黒の刃が。
「くびきから外れ、地を黒く覆い尽くせッ!!!!」
 怒号と共に、刃の形をした猟犬が一斉に嬰児へと喰らい付く。
 ゆらゆらとした不規則な動きで躱そうとしようが、この狭い室内ではそれにだって限度がある。
 放たれた刃が嬰児の身体を掠め、引き裂き、血を流させる。
 影の刃が邪神を傷つけるたびに、勝利への確信が陰っていく。
 何故だ?
 この赤ん坊を起こしてはいけないと、頭の片隅でオレたちに何かが警告していた。
「おねぇちゃん、ダメ」
「ッ!?」
 耳元で囁く声にハッと振り向く。
 隣室で聞こえた声だ。
 ⋯⋯しかし、その主が姿を現す事は無かった。
大成功 🔵🔵🔵