水面に花咲け、花酒、花盛り(作者 さけもり
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#カクリヨファンタズム  #お祭り2021  #夏休み 


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●花火婆の独り言
 閃鉱花火を知っているかい? 線香じゃないさ、閃鉱さ。閃く鉱石と書いて閃鉱。何でも咲くのは花じゃなくて石さ。形は線香花火を一緒っちゃ一緒だ。しかしな、そいつは使い方……咲かせ方が違うのさ。
 花火に火を付けて、すうっと水面に花火を付けてごらん。
 何? 火が消えちまう? ヒヒッ、それでいいのさ。
 じゅわっと音が鳴ったなら。その閃鉱花火は水面で花咲かせる。ぷかりと浮かんできたなら掬ってごらん。

 ――あんただけの、或いは誰かさんだけの特製鉱石のできあがりさ。光ったり、光らなかったり。光を集めたり、集めなかったり。そいつはその時の閃鉱花火の機嫌と、持ち手に寄るだろうよ。願いを込めたり、込めなかったりとかね。

 あたしゃちょっと忘れちまったが、その時の石の色、形で占う妖怪も居たっけねえ。

 中にゃあそいつを石の加工が上手な妖怪に渡して、髪飾りや腕飾り、色んなものに変えちまうっていうのも洒落てるねえ。中には筆や刃物、武器にしたとかいう噂もちょいと聞いた事あるよ。
 そいつは何でもできちまう優秀な奴だよ。ま、ちょいと堅気でぶっきらぼう、大分無口なのが傷だがね。

 ああそうだ。こいつは大人な嗜みかもしれんけど、閃鉱花火を器に入れて酒を飲む奴もいたねえ。咲いた石は液体に浸かればどんどん溶けてくよ。なぁに、体に害はないさね。味は甘かったり苦かったり辛かったり。そこは咲かせたものによるようだよ。ただ……未成年でもやりたいってんなら、止めはしないが、そこは炭酸に変えちまうよ。

 で、どうだい。閃鉱花火。やってくかい?

●グリモアベースにて
「線香花火はご存知ですか?」
 これのことなのですけれど。琴平・琴子(まえむきのあし・f27172)が取り出したのは細身の花火。先端に火を付け、手に持ってぱちぱちと静かな火花を散らしてぽたりと地面に見送る静かに楽しむものだと琴子は言う。
「カクリヨファンタズムでは、石……鉱石が作れる線香花火があるそうですよ。閃鉱花火だとかおっしゃってたような」
 傍らに用意したバケツの中に火のついていない線香花火をすうっと入れて、ぱっと花咲く様子を楽しむ。これが閃鉱花火の楽しみだとか。
「その他に咲かせた花火をアクセサリーに変えたり、硝子ペンなどの筆記用具にしたり。刃物などの武器に仕立てたりする妖怪の職人さんにお願いできるみたいです」
 石って色々な可能性があるのですねえ、と呟きながら琴子はバケツの中に線香花火をそうっと沈めた。
「咲かせた花火を器に移し、酒を飲むのも良いみたいです。ああ、体に入れても問題無いそうですが、溶けてなくなってしまうのだとか。……未成年の方の飲酒は駄目ですよ、絶対」
 そこだけは気を付けてくださいと目を細めて言う琴子の表情は厳しめだった。
「夜空に咲く花が、水面に咲くのはとても素敵ですね。是非楽しんでいらして」
 微笑み携えた琴子の掌の上、新緑の木の葉がくるりと回って煌いて猟兵たちを導いていく。


さけもり
 花と石と酒が好きです。さけもりです。
 プレイング受付期間はタグお呼びMSページ、Twitterを参照の程お願い致します。

 このシナリオでは3つの事ができます。
 プレイング冒頭に数字を記載して頂ければその場面を描写致します。

 咲かせた閃鉱花火は指定して頂ければそちらを描写致しますが、お任せでも大丈夫です。お任せの場合どういう願いを込めたとかそういうのを指定してくれれば幸いです。

 ●1…閃鉱花火を咲かせる
 静かなところ。大勢いるところ。ご指定あればそのような場所で描写致します。お任せでも大丈夫です。

 ●2…閃鉱花火を咲かせたものを加工してもらう。
 無骨な職人妖怪があれやこれやと加工してくれます。

 ●3…閃鉱花火を溶かして飲む
 大人の方でしたらお酒で。未成年の方はジュースに溶かして飲む事が出来ます。味は様々。ご指定ありもお任せもどうぞ。

 同伴の方がいらっしゃったら【呼び方+ID】もしくは【グループ名+(人数の数字)】の記載をお願い致します。

 又、お呼び頂ければグリモア猟兵の琴子も顔を覗かせます。特に無ければ花火婆の近くでその辺りで水面に咲いている花火を見つめていることでしょう。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW妖怪花火で空へGO!
SPD妖怪花火の上で空中散歩
WIZ静かに花火を楽しもう
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ちりちり。揺れる蝋燭の炎に閃鉱花火の先端を燃やし、焦げる香りが漂う。初めての閃鉱花火に幼い猫又は花火婆の様子を窺う。
「花火婆ちゃん、これでいいの?」
「そうっと浸してごらん」

 ぽちょん。花火の先端を浅瀬の水面に浸せば。
 ぱちっ。水面には火花が散って。
 ぽとり。火玉が水中へと落ちて行く。
 ぱき。ぱき。火玉は次第に結晶と成って――。
 ぷかり、蓮の花を思わせる結晶が浮き上がった。

「婆ちゃんできたよー!」
「おや上手にできてるじゃないか」
 にこにこと笑って両手で鉱石を掲げる猫又の傍ら。しょぼくれている蛙の妖怪坊やが一人。

「婆ちゃあん。僕の閃鉱花火、お花じゃないよう」
「どれどれ……」
 浮かんだものを花火婆が取り上げる。掌の上に丁度乗るくらいの大きさで、真ん丸が三つ並んだもの。その姿に目を細めた。
「こりゃあ何ね、お団子かい? さては腹でも減ってたんかい?」
「えへへ……そうかも」
「ヒヒッ、なぁに。そういう事もあるさね。ほれ、本物の団子でも食ってきぃ」
「じゃあさ、こいつをしゅわしゅわに入れて飲んでいい? 何味になるかなあ」
「みたらし味の炭酸はさぞ甘くて美味いんじゃないかねえ」
 ほれ。炭酸の入った硝子の器に坊やが作った鉱石をぽちょん、音を立ててじわりじわりと溶けだしていく。溶けきらない鉱石の入った器を傾け、坊やは一口飲んだ。
「あんまーい!」
「坊や。次はちゃんとおやりよ」
 うん! 元気よく返事した坊やの頭を撫で、花火婆は新しい閃鉱花火を彼に渡して、その姿を見送った。

「婆さん! あの職人いいねえ! ほれこれ」
 老いた河童は遠くから声を投げ、ゆっくりと花火婆に近寄ると上機嫌で手にした皿を婆に見せつけた。
「お前さんの新しい頭の皿にぴったりじゃないかい」
「こ、こりゃ女房にあげるんでい!」
 フン! と照れた顔を隠すように河童が背を向けるとヒヒヒと花火婆は笑うだけで何も言わず。
 遠くからトントン、カン。トントン、カン。鉱石を叩く音が聞こえる。
 河童曰く。一人で構えた工房に、職人は何も言わずに鉱石を受け取って加工してくれたという。
「理想通りだったよ。女房が深い皿がいい。色は白で緑の線が入ってるのがいいとか言うからよう」
「本当だ。キュウリみたいだねえ」
「こりゃあ他のモンも作ってもらいたくなっちまって困るねえ」
「そんときゃ奥さん連れて此処へきな。それとも綺麗な花が隣にいちゃあ、花火も鉱石もちっぽけなもんかねえ?」
 ククク、喉から笑う花火婆に河童はうるせえやい! と顔を真っ赤にし、大事そうに皿を抱えて去って行った。

「おや猟兵。いらっしゃい。閃鉱花火、楽しんでいきな」
張・西嘉
●2 水着なし普段着
瞬殿(f32673)と
ん?瞬殿は花火をするのは初めてか?そうかなら楽しむといい…と思ったのだが。
(むぅと眉を寄せ)
閃鉱花火…普通の花火とは大分違うようだからな。
瞬殿がよければ今度屋敷に手持ちの花火を買って帰ろう。そうしたら屋敷でもできるからな。

(水に落とした閃鉱花火は望んだように梔子の花になり。それに嬉しそうに笑って)
上手く行ったようだ…!

後は職人に任せるしか無いが
(…簪を作って欲しいとこっそりとお願いし)

あぁ、良い出来だ。
…瞬殿これを…きっと瞬殿に良く似合う。

ナイフはあれば便利だが…ん、確かに頂いた。
(恭しく受け取って)


征・瞬

西嘉(f32676)と
線香花火ではなく、閃鉱花火…なのか
火をつけずに水に入れる、というのは
花火について知ってる知識とは全然違うものだな…
どのみちこういうのは初めてだ
普通の花火はまた君と一緒に後で楽しむとしよう

…すごいな、あっという間に花が咲いた
(咲いた花を手に取って)
普通ならこれは消えてしまうのだったな
西嘉、咲いた花をどうするんだ?

なるほど、加工して別の物にして残せるのか…
では…西嘉に合うナイフなどに加工できるだろうか?
狭い場所などでは小さい武器の方が扱いやすいだろう

君は何を作ってもらったんだ?
簪……ああ、ありがとう
(無表情ながらも嬉しそうに丁寧に受け取り)


●初めての花火
「線香花火ではなく、閃鉱花火……なのか」
 手にした閃鉱花火を目の当たりにしながら征・瞬(氷麗の断罪者・f32673)は相も変わらず冷たい表情で見つめていた。
「ん? 瞬殿は花火をするのは初めてか?」
 張・西嘉(人間の宿星武侠・f32676)が伺ってもあぁ、と返って来た答えに瞬の顔色も声色は変わらず。
「火をつけずに水にいれる、というのは花火について知ってる知識とは全然違うものだな……。どのみちこういうのは初めてだ」
「そうかなら楽しむといい……」
 と思ったのだが。
 自分の知っている花火と違う。興味があるのかまじまじと閃鉱花火を見つめる瞬の姿に西嘉はむぅと眉間に皺を寄せた。――けして。けして詰まらないとかそういうことではなく。
 こほんと咳払いを一つ。瞬の目線を此方に向けさせた西嘉は眉間の皺を伸ばして。
「閃鉱花火……普通の花火とは大分違うようだからな。瞬殿が良ければ今度屋敷に手持ちの花火を持って帰ろう。そうしたら屋敷でもできるからな」
「普通の花火はまた君と一緒に後で楽しむとしよう」
 今は目の前の花火に君と火を灯そう。
 じりりと先端に火を付けて、水面に火種を浸し、静かに耳を澄ませる。じゅっ。ぱき、ぱき。――ぷかり。
「瞬殿、見てくだされ。上手く行ったようだ……!」
 嬉しそうに笑いながら花を掬い上げた西嘉の姿に瞬は目を丸くして、ぱちぱちと瞬きをした後。瞬の手から産まれた小さな橙の金木犀を彼はそうっと掬い上げた。
「……すごいな、あっという間に花が咲いた」
 西嘉の大きな手の中にある梔子の花は白く、真白の雪の様で。二人は壊さない様に静かに職人の元へと足を運んだ。
「なるほど、加工して別の物に残せるのか……」
 職人の工房の中にはアクセサリー、武器飾りの他、刃物の武器などもあった。瞬の目に入ったのは小ぶりなナイフ。
「では……西嘉に合うナイフなどに加工できるだろうか? 小さな方が良い。狭い場所でも扱いやすいものを」
 職人は瞬の隣に並んだ西嘉をじいっと見つめる。こくりと頷き、西嘉の方へと手を出した。――お前も早く鉱石を出せ、そう目が訴えているのを感じた西嘉は職人に近付いた際にこそりと耳打ちをする。
(……簪を作ってほしいのだ)
 その隣に居る瞬を横目で見る西嘉に対してぐっと親指を立てた。任せろ。そう言いたげな顔は静かに作業場へと戻り、金槌の音が鳴り響いた。
 ――暫くして、仕上がったのは琥珀色のペティナイフと梔子の簪。
 西嘉は簪を手に取り、灯りに透かせて見る。梔子の花の中に雪の結晶が入っているその出来にあぁ、良い出来だと声を漏らした。けれどこれで髪を結うのは自分ではない。隣にいる――。
「君は何を作ってもらったんだ?」
「……瞬殿これを……きっと瞬殿に良く似合う」
「簪……ああ、ありがとう」
 簪を手にした瞬の顔色は変わらない。けれど、その声色は嬉しそうに。その手は大切なものを扱う様に受け取った。
「これは私から君に」
「ナイフはあれば便利だが……ん、確かに頂いた」
 大きな手にはペティナイフは少し小さい。けれど、守る手段ならばこれで十分だと。両手で受け取り、額の位置まで掲げた西嘉を瞬は無表情ながらも目を細めてゆっくりと目を伏せた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

夜鳥・藍
鉱石の形状はお任せします。

光が石となる……まるで流れ星が堕ちた跡にある隕石のようね。
もっとも隕石自体が燃えながら持ちてくるのだからまったく違うものだけど。
どんな願いを込めようかな。
そうね、せっかくいろんな柵も枷もは外すことができたのだから。
私自身の再出発・新生、そういった願いを込めてそっと水面に花火を付けてみるわ。
もう過去世に囚われないように、でも学んだことは忘れないように。
誰かの為に生きても自分を贄にはしない。
自分がどうなっても構わない、まったく考えないとは言えないけど、でも動くことはしない。
きっとまたこの命を得たのは誰かが憐れんで、慈しんでくれたからだと思うから。
その誰かに報いたいの。


●未来への希望
 光が石になるなんて。
「まるで流れ星が堕ちた跡にある隕石のようね」
 最も隕石自体が燃えながら落ちてくるのだから全く違うものだけれど、何処か似ていると夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は思った。手にした閃鉱花火に火を灯す。
「どんな願いを込めようかな……そうね、せっかくいろんな柵も枷も外すことができたのだから」
 ――私自身の再出発・新生。そうっと願いを込めて、水面に浸した。 
 もう過去世に囚われない様に。でも学んだことは忘れない様に。
「誰かの為に生きても自分を贄にはしない」
 自分がどうなっても構わない……とはまったく考えないとは言えないけれど。でも動く事はしない。そんな自己犠牲はきっと、自分だけではなくて、誰かをも傷つけてしまうだろうから。それが良い生き方ではないと知ったのはつい最近のこと。自分を大切にできない者は、他の何かをも大切にできやしないのだから。
「きっとまたこの命を得たのは」
 誰かが憐れんで、慈しんでくれたからだと思うから。そんな誰かの為にも、今を、明日を、未来を、歩んでいきたい。生きていたい。
 ぱちんと小さく爆ぜた火花に、藍が僅かに驚いた後。水中で形を成す鉱石はどんなものだろうと覗き込む。水中から浮かび上がってきたのは、黄水晶……シトリンの雛芥子だった。
「誰かに、報いたいの」
 そうっと拾い上げたシトリンの雛芥子を、藍は見つめる。
「……なんだか、太陽みたいね」
 指先でそうっと掴んで月の灯りに照らしてみた。太陽の陽射しにはきっと負けてしまうけれど、きっとこの暖かく柔らかい色は心を明るく灯してくれる気がした。
 この命は、無駄ではなかったと。生きていて良かったと、そう思える日が来る事を願いながら。
大成功 🔵🔵🔵

ディアナ・ロドクルーン
ミコトさんと(f23042)と水着で参加

素敵なお誘いに感謝を
鉱石が花火になるなんて流石はカクリヨね、面白いものがあるわ

いつも気遣ってくれるミコトさん、何度心救われたことか
こうして二人で出かけて遊ぶのもいい思い出ね

なんて、考えていたからか水中で咲いた花はリコリスに似たような石に
ミコトさんのはどんな花になったのかしら
咲いた鉱石を交換し合いましょう


おいて逝かれる悲しみを知っている。逆に私が置いて逝く立場にもなる

だからこそ、こうやって過ごす時間を大事にしたい
初めて暗く淀んだ心の澱を曝け出した相手だから

自分と似た生き方をする彼だからこそ

告げられた言葉に、静かに頷く


ミコト・イザナギ
●2

ディアナさん+f01023
水着で参加

親しい彼女を普段お世話になっているお礼でお誘い
手を差し伸べてエスコート

鉱物に込める願いは
"親愛なるディアナさんと少しだけでも長く、傍らに居られますように"
さて、どんな色と形で浮かび上がるのでしょうか

お互いの閃鉱を手に取り交換しないかと提案します
彼女に似合うものだとよいのですが

「二人で過ごした記念に」

お互い長く生きられるかわからないからこそ
その時までは――

「その時が来るまで、どうか一緒に居させてほしいのです」

記憶は失くしたけれど似た境遇、似た者同士の彼女と
過去も未来でもなく、今を思えばこそ寄り添いたい、思えばこそ
生い先短い彼女の幸せを祈らずにはいられない


●手を伸ばした先
「ディアナさん」
 待っていたとミコト・イザナギ(語り音の天狗・f23042)は手を振り、ディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)に向かって手を差し出す。着物を羽織り、高さのある下駄を履いた水着姿のミコトにディアナは見上げながら微笑む。
「素敵なお誘い、感謝を」
 深い藍色のレオタードに、羽織を揺蕩わせてディアナは差し出された手を取る。
「寒くないですか」
「ええ、大丈夫よ」
 必要であれば自分の上着を貸すというミコトの紳士らしい行動にディアナはくすりと微笑んで、足並みを揃えてくれる彼と共に歩んで行った。
 辺りには誰もいない、静かな水面に揺れる花火がぱち、ぱち音を鳴らしているのを二人は見守る。
 いつも気遣ってくれるミコト。その存在に何度も心を救われてきたとディアナは目の前にある花火を見詰める。
 こうして二人で出かけるのも良い思い出。紫色の火花だったものはやがて赤へと変わって――静かに火種が消え、水中で咲いたのは赤いリコリスに似た鉱石がぷかり浮かび上がった。
 そんな彼女と――親愛なるディアナと少しだけでも長く、傍らに居られますように。そうミコトが願い浮かび上がったのは。赤い薔薇にも似たルビーの鉱石だった。
「ミコトさんのはどんな花になったのかしら」
「見てみます?」
「まあ、素敵」
「お互いの閃鉱を交換してみませんか。二人で過ごした記念に」
 如何ですかと尋ねるミコトにええ、と頷いたディアナはそうっとミコトの手から赤い鉱石を受け取って似合うかしら。首を傾げて見せてミコトはお似合いですよと静かに頷いた。
 おいて逝かれる悲しみを知っているし、逆にディアナ自身が置いて逝く立場にもなる可能性を秘めている事を彼女は知っている。――初めて暗く淀んだ心の澱を曝け出した相手だからこそ、この共にする一秒ですら大事にしたいとゆっくりと足を進める。
 お互いに長く生きられるか分からない。だからこそ、その時までは共に過ごしたいと願うミコトはディアナの手を取り、工房までの歩みを静かに、先程よりもゆっくりと進めて行く。
 記憶は失くしたけれど似た境遇、似た者同士の彼女と過去も未来でもなく、今を思えば寄り添いたい。思えばこそ、生い先短い彼女の幸せを祈らずにはいられなくて。
「ねえディアナさん」
「なあにミコトさん」
「――その時が来るまで、どうか一緒に居させてほしいのです」
 汚い自身を曝け出しても尚と似た生き方をするミコトだから。嗚呼この人が良いとディアナは静かに頷く。
 工房へと足を踏み入れた二人が帰るころ。ディアナの手には赤いリコリスの付いた櫛。ミコトの手には赤い薔薇の硝子筆が握られていたという。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

四季杜・刹那
【箱庭噺】1
義姉妹達と共に

へぇ…これを加工していろんな武器、装飾品に変えられるのね。
花火なのにこんなに不思議な事ができるなんて、流石カクリヨ物は違う

それで…この鉱石が花と成るのね
どれ。ひとつやってみましょう

願いも込められる…ね
アタシは何を願いましょうか――なんて、考えるまでもないわ
『二人の姉妹が悠久の時の中で、幸多かれと願う』
神の時はとても長い
いかなる時も
アタシの愛する姉妹が笑顔を咲かせる事ができたなら…

アタシの願いは
きっと貴方たちと一緒よ緋衣、灯埜

そうねぇ、アタシは武器にしてもらいましょうか
短刀にもできるのかしら?これ
ふふ、もちろんよ。緋衣。あとで出来上がったものを見せてちょうだいな


御子神・緋衣
【箱庭噺】
1
刹那と灯埜は、私と盟約を結んだ義理の妹達。

今日は姉妹揃って来たわ。仕事? 信頼できる侍女に任せてきたわよ!
閃鉱花火というのね? 花火は知っているけれど……どういう鉱石になるのかしら?
込める願いは、『妹達に、何時も助けてくれる皆に、幸運が訪れますように』
二人は、何か願った? 内緒?
私の願いはね……
あら、姉妹揃って同じだったのね。ふふっ。

花火を水面に浮かべて……わぁ、鉱石に変わったわ。やっぱり不思議……でも、素敵よね、こういうのも。
来て、良かったわ。
確か、妖怪の職人が加工してくれるって言ってたわね?
ねぇ刹那、この鉱石、後で加工してもらうのだけれど……それに合う服の仕立ても頼めるかしら?


珂神・灯埜
【箱庭噺】1
義理の姉たちと共に

閃鉱花火?面白いものもあるんですね
あねさま達なら美しい花を咲かせ
煌めく星にも負けぬ鉱石となりましょう

無表情が常の顔を僅かに綻ばせ義姉たちを眺める

灯埜の願いですか? それは、
(――そんなの決まってる、ボクは)
仄暗いこの場では似合わない願いだ
しかし美しい光景と咲う義姉たちの顔を曇らせる事も無い

優しいあねさま達の歩み征く先が
明るいもので溢れているように

皆を案じ願う緋衣姉さまが幸せでなければ
灯埜は幸せになれませんから

水面に咲き、そして鉱石となった其れを掬い上げ
灯埜は武器飾りにしてもらおうと
刹那姉さまは如何されますか?
とても素晴らしいものだと思います
倖が多からんことを願って


●神さまたちの夏休み
 閃鉱花火なるものがあるのよ! 仕事? 信頼できる侍女に任せてきたとそう姉妹が揃った事にはしゃぎながら言う御子神・緋衣(緋黄彩の結わい・f32508)に四季杜・刹那(四季折々・f32546)と珂神・灯埜(徒神・f32507)は目を細めて微笑む。
「閃鉱花火? 面白いものもあるんですね」
 自分ならまだしも、あねさま太刀なら美しい花を咲かせ、煌めく星にも負けない鉱石を作るのだろうと灯埜は顔を僅かに綻ばせてはしゃぐ義姉たちを見つめた。
「へぇ……これを加工していろんな武器、装飾品に変えられるのね。どれ。ひとつやってみましょう」
 一見普通の花火なのにこんな不思議な事ができるなんて、流石カクリヨ物は違うと呟く刹那の声は心なしか明るく。矢張り普段忙しい三姉妹が揃った事に心は浮き立っていた。火を付けて水面へと浸す。ぱちぱちと弾ける花火は桃色、緑、橙、白と変わっていく。
 願いも込められると聞いたそれに、刹那は何を願うかなんて決まっていた。
(二人の姉妹が悠久の時の中で、幸多かれ――)
 神の時はとても長い。人の身では滅んでしまう時も、その身は滅ばずに其処にあるのだから。いかなる時も刹那の愛する姉妹たちが笑顔を咲かせることができたのなら……。それ以上の幸福は無いと思う。ぱちん。沈んだ火種はぷかり浮き上がって橙と白のグラデーションが掛かった鳥の形の鉱石が浮かび上がった。
「花火は知っているけれど……どういう鉱石になるのかしら?」
 物は試し。やってみましょうと火を灯した緋衣はそうっと水面に火種を沈めてみる。ぱちぱちと橙の火が走って、緑から橙へと移り変わる木の葉の鉱石がぷかり浮かび上がる。妹たちに何時も助けてくれる皆に、幸運が訪れますように。そう願ったものは楓の葉にも似ていた気がする。
「……わぁ、鉱石に変わったわ。やっぱり不思議……でも、素敵よね、こういうのも」
「あねさまたちは何かお願いしましたか?」
「私はね――」
 言わなくても、きっとどんなものか分かっていそうだけれども。刹那は片目を瞑り、灯埜の問いに答えた。
「あら、姉妹揃って同じだったのね。ふふっ」
 刹那の願いも緋衣の願いも同じだったと二人は顔を見合わせて、そんな灯埜はどんな願いを掛けるのかと見つめる。
「灯埜の願いですか? それは、――」
 本当は決まっている。仄暗いこの場では似合わない願いと知っている。けれどもこの美しい光景と咲う義姉たちの顔を曇らせたくないと目を細めた。
「優しいあねさま達の歩み征く先が明るいもので溢れているように」
 そうっと火種を水面に浸して、白い火花が走る。ぱちぱちと走るそれは白い雪が降っている様で、ぱちんと消えて。白い雪の結晶がぷかりと浮かび上がった。
「皆を案じ願う緋衣姉さまが幸せでなければ。刹那姉さまが幸せでなければ。――灯埜は幸せにはなれませんから」
「来て、良かったわ」
 仕事を任せた侍女には申し訳ないとは思っているけれど。久方振りに会った姉妹は元気で。三姉妹揃って仲睦まじく話ながら、こうして花火を楽しむことができるのだから。
 ぷかり浮かび上がった鉱石を灯埜は掬い上げ、何かにしてもらおうかと考える。
「灯埜はこれを武器飾りにしてもらおうと思いますが刹那姉さまは如何されますか?」
「そうねぇ、アタシは武器にしてもらいましょうか」
 丁度短刀が欲しかったところ。できるのかは分からないけれど、腕のいい職人だと聞いていたからきっとできることだろう。
「確か、妖怪の職人が加工してくれるって言ってたわね?」
 それだったら……と緋衣は唇を尖らせて人差し指を乗せてあ、と呟く。
「ねぇ刹那、この鉱石、後で加工してもらうのだけれど……それに合う服の仕立ても頼めるかしら?」
「ふふ、もちろんよ。緋衣。あとで出来上がった物をみせてちょうだい。灯埜、貴女にも見立ててあげるから後で見せてちょうだい」
「よろしいのですか?」
 ええ、勿論。だって私たちは姉妹でしょう? そう呟く刹那の顔に灯埜の顔をも僅かに明るく微笑んで。今この光景がとても素晴らしいもので、倖が多からんことを願って。二人に駆け寄った。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

花色衣・香鈴
1
【月花2】
喧騒からは少し離れて
貰った花火にそっと火をつける
「花火、初めてです。…床に臥せていると機会がなくて」
小さな呟き
耳のいい佑月くんにだけ届けばそれでいい
水に浸けるのは少し惜しくもあるけれど
『今日この日を最期まで覚えていられるように』
何となくそんな風に思い浮かべながら、赤子を揺籠に寝かせる様に水面に浸けた(咲き方や色等お任せ)

残った石をねだられる事自体は良い
でも
「あの、出来れば何かに溶かして飲んでくれると嬉しい、です」
優しい彼には言えないけれど、やっぱり残る物がこれからを生き続ける人の心に哀しみを残すことが怖いから
「それでしたら。味をおかしくしないと良いのですが」
頂いた物はどうしようかな


比野・佑月
1
【月花2】
「俺も初めて。香鈴ちゃんと一緒に出来て嬉しいよ」
じゃなきゃ興味を持つことすら無かった俺に
こんな風に楽しめる心を与えてくれたキミに何かを返したくて。
でも何を贈ったらいいかわからなかったから
閃鉱の咲くままに任せてみようと思った

「思い出ついでにさ、交換とかどう?俺のはキミに、キミのは俺に」
陽だまりのような優しさでただ笑っていて欲しいと願いながら
壊さぬよう傷つけぬように水面に(咲き方・色おまかせ)

「実は家にとっておきのお酒があってさ。折角だからそれと飲みたいな」
優しすぎるキミが困ったように笑う姿がなんとなく思い浮かんでいたから。
出任せでしかない理由を嘯きながら、彼女の石を大切に仕舞い込んだ


●寄り添う花々
 喧噪から離れて、二人きりになれる場所へと向かう。その歩みを比野・佑月(犬神のおまわりさん・f28218)は花色衣・香鈴(Calling・f28512)に合わせていた。
「花火、初めてです。……床に臥せてると機会がなくて」
 小さく呟いたのは、香鈴の声が小さいからではない。耳の良い佑月にだけ届けばいいから。佑月の耳はその声をきちんと捉える。何処にいても、周囲が煩くてもきっと香鈴の声は佑月の耳に届くことだろう。
「俺も初めて。香鈴ちゃんと一緒に出来て嬉しいよ」
 じゃなきゃ興味を持つことすらなかった自分に、こんな風に楽しめる心を与えてくれた香鈴に何かを返したかった。しかし何を贈ったらいいのかは分からない。だったら閃鉱花火の咲くままに任せてみようと思ったし、何なら二人で花火が楽しめるから。良い思い出になると誘えて良かったと佑月は安堵した。
 手にした花火を持って、火を灯す。水に浸して花火が消えてしまうのは少し惜しくはあるけれど、香鈴は赤子を揺り籠に寝かせる様にそうっと水面に浸けた。
(――今日この日を最後まで覚えていられるように)
 何時どうなるか分からないこの身体。でも、この日も、その先も。隣にいる彼の事も、ずうっと覚えていられたら。すっと目を瞑って、そう願いながら。ぱちんと爆ぜた音に目を開いて咲いたのは、橙の丸い花。掌の上に掬い上げれば、向日葵に似ているような気もした。
 ――陽だまり様な優しさでただ笑ってほしい。願うのはただそれだけ。様々なものを壊してきた。暴れてきた佑月だったけれど。壊したくないと傷つけたくないと、隣の彼女を横目でみながらすうっと水面に浸した。ぱち、ぱちと爆ぜる閃光は丸の模様で。ぱちん、と爆ぜた後にぷかり浮き上がって来たのは青色の、薔薇にも見えた。そうっと掬い上げ、ねえと佑月は香鈴に声を掛ける。
「思い出ついでにさ、交換とかどう? 俺のはキミに、キミのは俺に」
「ええと……」
 それ自体は全然構わない。けれど香鈴には迷うものがあった。
「あの、出来れば何かに溶かして飲んでくれると嬉しい、です」
「飲むの?」
「はい」
 どうして、と佑月は問おうとした。けれどその言葉を飲み込んだ。優しい彼女の事、きっと何か思う所があるのだろうと。
 ――もしも自分が亡くなってしまったら。優しい佑月には言えないけれど、やはり残る物だから。これからを生き続ける人の心に悲しみを残す事が怖い。それはきっと佑月の足枷になってしまうだろうから。躊躇いながらも香鈴は困った様に笑った。
「……実は家にとっておきのお酒があってさ。折角だからそれと飲みたいな」
「お酒、ですか」
「うん、とっても美味しいの」
「それでしたら。味がおかしくないと良いのですが」
 香鈴から差し出された橙の花を受け取り、佑月は青い薔薇を渡した。出任せでしかない理由を囁きながら、だって飲んだら無くなってしまうじゃないか。そんなの嫌だし、手元に置いておきたいと香鈴には悪いと思いながら佑月は彼女から受け取った石を大切に仕舞いこんだ。
 一方香鈴は。頂いたこの石、どうしようかと悩んでいた。家に飾ろうか。枕元に飾ろうか。家の中で煌めくそれを考えて、ふ、と笑みを零した。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

臥待・夏報
【🌖⭐️】
●2
色・形おまかせ

クリスマスに風見くんから貰ったピアス
これのお返しを作りたくってさ
……あのクマさんとはまた別にね、身に着けてもらえるもので、何か

どうせなら赤と青になればそれっぽいなーとか思って咲かせたら、全然違うのになっちゃったな……
どうにも夏報さんは考えが即物的でよくない
願いを言葉にするのって、案外難しいよね

二人分の石を合わせて一つの品にしてもらおう
風見くん何がいい?
ネックレスでも指輪でも、君の好きなもの頼もうよ

(……とは言ったけど)
(右手も、たぶん首元も、君は肌を見せられないんだよな)

……左手、貸して
だったら指輪にしてもらおう
これは僕のわがままだけど、できるだけ、大事に使ってね


風見・ケイ
【🌖⭐️】
●2
月っぽいものでおまかせ

いいのになぁ…夏報さんからも可愛いクマさんを貰ったんだし
あの子、今はアロハを着こなしてるよ
……本当はすごく嬉しいけど

私のほうは……たぶん月、なのかな
光るっていうから、月や星が思い浮かんでいたんだけど
それに――(君のことを考えていた、とは言えなかった)
うん、想いを込めると簡単には表せないね

はい。じゃあこの石も
(ネックレスか、指輪か――手袋に包まれた右腕が目に映った)
(最近はもう、首元まで侵食されているし……左手も、いつどうなるか)
君のプレゼントならなんでも嬉しくて、迷っちゃうな

あっ……
ふふ、左手の指輪なんてちょっとドキドキする……なんてね
ありがとう
大切にする


●夜空に光るふたつ
 臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)は頬に掛かった髪をかきあげて夜空の下でも青く見えたピアスを覗かせた。クリスマスに風見・ケイ(星屑の夢・f14457)から貰ったものである。
「これのお返しを作りたくってさ」
「いいのになぁ……夏報さんから可愛いクマさんを貰ったんだし」
 あの子、今はアロハを着こなしてるよと呟くと夏報はほうと声を漏らした。季節に合わせた服を着せてもらっている程可愛がってもらっている様で、プレゼントをした此方が嬉しくなってしまう。
「……あのクマさんとはまた別にね、身に着けてもらえるもので、何か」
 こう、とろくろを回す夏報にケイはぷ、と噴出してしまった。……本当はすごく嬉しいのに。
 火を灯して、ぽちょんと火種を水面に浸す。ぱちぱちと爆ぜるそれは赤と青の光だったけれど――ぱちん、と爆ぜて浮き上がって来た結晶にあれ、と夏報は首を傾げた。
「どうせなら赤と青になればそれっぽいなーとか思ってたんだけど……」
 横目でちらりとケイを見ながら、全然違うのになっちゃったな、と掬い上げたのは紺色の中に星が沈んでいる塊だった。
「どうにも夏報さんは考えが即物的でよくない」
 むうと膨らんだ夏報の頬はケイにとって可愛らしい物に見えた。
 一方、ケイは。静かに浸した水面には丸だったり、半円だったり、三日月の光が走ってああこれは月だとぼんやり見つめていた。ぱちんと爆ぜたものはぶくぶくと水泡を出しながら、黄色い三日月……にしては少しだけぼこぼことした鉱石が月明かりに照らされて浮かび上がってきた。
「私の方は……たぶん月、なのかな」
光るっていうからきっと月や星が思い浮かんでいたとは思う。それに――。夏報の事を考えていた、とは言えずに口を閉ざした。
「願いを言葉にするのって、案外難しいよね」
「うん、想いを込めると簡単には表せないね」
 掬い上げたそれらを手にして工房へと足を運ぶ。職人は二人の鉱石を見るなり、顎に手を当て考える。
「二人分の石を合わせて一つの品にしてもらうことはできるかい?」
 できる。頷く職人にケイはことりと机に鉱石を置いた。何か注文はあるか、と言いたげな目線にどうしようかと二人は悩む。
「風見くん何がいい? ネックレスでも指輪でも、君の好きなものを頼もうよ」
 だってこれは君へのお返しだからね、と夏報は付け加えた。それでもケイは思い悩む。
 ネックレスか指輪。手袋に包まれた右腕。――けして誰にも見せる事のない腕は、最近は首元まで隠していて。左手も、いつどうなることか分からない。
 ……とは言ってみたものお。その右腕を、首元を気にしていることを夏報だって知っていた。ずっと隠しているそれを、肌を、見せられないことを。
「君のプレゼントならなんでも嬉しくて、迷っちゃうな」
「それだったら――」
 これはどうだい。職人は鉱石を熱した炉の中に入れ、折っては伸ばし、折っては伸ばし。二つの鉱石を混ぜ合わせていた。
「……左手、貸して。だったら指輪にしてしまおう」
 言われるがままケイはその左手を差し出した。指のサイズを確かめて、夏報が職人に伝えるとそれに合わせて熱した鉱石をカットし、水に入れてじゅわあと冷やした後で布で研磨する。
 そうして出来上がったのは。紫色に星の様なラメの入った指輪だった。
「あっ……ふふ、左手の指輪なんてちょっとドキドキする……なんてね」
 だってそれはまるで、誓いの指輪みたいで。
「これは僕のわがままだけど、できるだけ、大事に使ってね」
「ありがとう、大切にする」
 贈り物を大切にしてくれるケイのことだから、きっと言う必要はないけれども。夏報は心に留め秘めた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

樹・怜惺
【エイリアンツアーズ/8】
水着で。
うっしゃ、酒だ酒だー!
ジャスパー成人記念で乾杯!
まずビールかなんか片手に、花火を眺めて
へェ、フツーの花火に見えっけどなァ
水面につけりゃ良いってか、じゃやってみよーぜ
願い事…ああ、願い事な。
俺の知ってる人が笑顔でいられますよーに。それで十分だろ
(花火、鉱石の色形はお任せします)
へー、面白れー。こんななるんだな
で、コレを酒に溶かして飲むって事か。
折角だから、大きめのグラスで透明の…ウォッカか何かに入れてみるわ。
すげェな、めっちゃ綺麗。
花火も、溶けてく様も全部スマホで押さえて、後でさらさちゃんに見せるんだー。
珍しいもの、綺麗なもの。皆で楽しまなきゃ損だろ!


伊能・龍己
3
【エイリアンツアーズ】
きらきらした石になる花火、すごいっすよね
どんなお花が咲くか楽しみです
せーのっ。ジャスパー先輩の合図で点火です
俺の花火はなんだかお星様みたいなかたちです
先についてるのは雫ですかね(委細お任せ)
わぁ、先輩方の花火のかたちもとても綺麗です。この石が色んな形になったり、溶かして飲めたり……不思議です
炭酸ジュースに花火を入れて、しゅわしゅわしているのを覗き込み
……溶けていくとこもきらきらです
もう一回花火を見ている気分ですね

お願い……彦星先輩と先輩方が、ずっと元気で過ごせますようにです
俺がお酒飲めるようになるのはあと5年くらい
5年後もまたこうやってお喋りできたらな、と


ジャスパー・ドゥルジー
【エイリアンツアーズ/8人】
たった数ヶ月前の戦争で催された花見の時は
俺はまだ酒が飲めなかったわけで
今日は折角なんで飲むぜ!かんぱーい!!

折角ならせーので閃鉱花火浸してみる?
なんて提案しつつ
咲いた花火の色や形に目を細め

酒の種類とか詳しくねえけど
折角なら溶けてくとこを楽しめる透明な奴がいいよな
大きな花火がゆっくり溶けてくとこ
いつもならスマホで激写してるとこだけど
何となく今日は目で焼きつけるだけにしておく
無くなっちまうからこそ美しい…のかもしれねえ、ってね

花火の色や形はお任せ
込めた願いは皆には秘密だけど――

パウルとずっと一緒にいられますように


嘉納・日向
【エイリアンツアーズ】
▼3
人格:日向

独白や思考はタメ、他の人にはやんわり敬語

閃鉱花火……お願いごとを込めて咲かした花火で鉱石ができるとか、不思議ですね
頭の後ろにいる親友はというと、すっかり花火を溶かしたジュースが楽しみなようだケド

願いごと……皆さんと、またこうしてお喋りできたらなと
(笑顔が得意になりたい、とかは……ひまりに無理すんなって言われちゃったし)

せーの、で花火を水面に
うわすごい、キラキラしてる
(*花火の詳細お任せします)

ジュースに鉱石を溶かして飲む
人それぞれ願いもかたちも違う石、素敵ですね
甘くて綺麗、ほっこりします
無自覚なうちに、緩く笑顔に


笹塚・彦星
【エイリアンツアーズ】
花火を閉じ込める、ねぇ。変わった鉱石もあったもんだ。

せーので、閃鉱花火を浸けるんだな。
へぇ……不思議なもんだ。水面に花火が煌めいてる。
(お酒、花火の詳細はお任せ致します)

酒に溶けていくのを眺めながらゆっくりと呑む。
空に打ち上がる花火もいいもんだが、酒に溶けてく花火もいいもんだな。

願いを込める?
あー…龍巳が健やかにいられるように。事務所の皆も、俺の知り合いも。
二人きりで酒を飲むのはまだまだ先だろうけどさ、ゆっくり待ってる。
お前も待ってて。


青和・イチ
【エイリアンツアーズ】
●3

鉱石になる花火…素敵な物があるんです、ね
どんな花、どんな石が、出来るかな
石好きなので、表情に出ずともワクワクそわそわ

折角なので、相棒犬のくろ丸も一緒に
(花火を咥えてスタンバイするくろ丸

せーので、ですね
皆と合わせて花火を沈め…
おお…微かに、光ってる…?
(石の色形お任せします)
みんなはどんな石…?と、隣の水面を覗いたり

えっ願い事とか、するんです?
えーと…
僕は、ここに居るみんなが…縁のある人達が、幸せであれば良いな、と
それを見てるのは、幸せですから

出来た石は炭酸水へ(未成年組
色と光を映して…すごく綺麗だ
飲むのが勿体ないなぁ…飲むけど

次の花火、しようかな
お土産の石も、欲しくて


ディフ・クライン
3
【エイリアンツアーズ(8人)】
まずはパウルの調達した飲み物を運ぶのを手伝おうか
オレも持つよ

ジャスパーの合図で花火を水へ
じゅわと水に散る花火が形を為して
手で掬ってみればこれは…花かな
フリージアの蕾だ
すごいね、花火がこんな風になるんだ(光ったりなどの様子はお任せ)
くるりと閃鉱花火の花を弄び

個性が見えるね、どれも皆のように綺麗だと
ベニトアイトの宝石眼に皆の顔と石を映して笑み

白葡萄酒へとぽとりと落とせば
ふわり花咲き、泡を残して消えていく
口にすれば泡立つ甘さが心地いい

願いを託すのなら
ただ、皆の願いが叶いますようにと
皆の笑みが見られればそれでいいんだ

そうだね、もう一回やってみたいな
そしたらそれはお土産に


パウル・ブラフマン
【エイリアンツアーズ+8】
▼3

水着コンの打ち上げも兼ねて
カクリヨビーチで閃鉱花火を満喫しちゃうぞ☆

持前の【コミュ力】を活かして
グループに未成年が居るコトもお婆ちゃんに言伝済。
花火の刹那さは、まるでカクリヨそのものみたいだけど
オレは…いつまでもこの伝統が続くように応援したいな♪

ディフくんと調達した酒類と炭酸水を手に
クルーの皆の輪の中へ。
お待たせ~♪
いっせーのーで!でオレも点火しよっと☆
(花火の形状や風味はお任せ)

いつも通りに無邪気に振舞いながら
花火の先に透かすように、最愛のひとの横顔を見てる。
オレの願い事もナイショだよん♪

ジャスパーが彼の愛する全ての人達と
一日でも長く、笑っていられますように。


●エイリアンツアーズ~夏の社員旅行~
「水着コンテストの打ち上げも兼ねて社員旅行をしよ☆」
 猟兵向け旅行会社・エイリアンツアーズの社長パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)の一言に社員たちは自分も、俺もと挙手をする。
 場所はカクリヨファンタズム――エイリアンツアーズ御用達のビーチに集まった社員たち8人の中には歓喜の声を上げる者もいた。
「坊主、酒と炭酸の用意はできてるよ」
「有り難うお婆ちゃん!」
 ビーチの傍らにあるシーサイドデッキに酒のボトルと炭酸のペットボトルが入ったビールケースを置いた花火婆は皆にゆっくりしておいき、そう呟いて静かに後にする。
「いち、に……うん、バッチリ☆」
 メモを手にして予め花火婆に伝えていて用意してもらった酒、炭酸の数を数えながらパウルは強く頷き、ビールケースからいくつかボトルを持とうとした途端。横からディフ・クライン(雪月夜・f05200)の手が伸びてくる。
「手伝おうか、オレも持つよ」
「ありがと、じゃあ二人で持ってっちゃおうか」
 クーラーボックスの中に氷、持ち込んできたフルーツも携えて皆が待つ方へ足を運んでいった。

「鉱石になる花火……素敵な物があるんです、ね」
 どんな花、どんな石ができるのだろう。一見無表情に見えた青和・イチ(藍色夜灯・f05526)の眼鏡の奥、瞳は爛々と輝いていて手にした閃鉱花火をまじまじと見つめる。傍らにいる相棒犬のくろ丸もそれはなあにとイチの手元を見上げていたのでもう一本をイチの手から渡してあげた。
「お願いごとを込めて咲かした花火で鉱石ができるとか、不思議ですね」
 何を願おうか。嘉納・日向(ひまわりの君よ・f27753)は考えるけれど、同じ体を共にした親友の方はどんなジュースに仕上がるのか楽しみで仕方が無いようで、心の中で溜め息を一つ零す。
「きらきらした石になる花火、すごいっすよね」
「花火を閉じ込める、ねぇ。変わった鉱石もあったもんだ」
 手持ち花火を見ても、変わったところは無い。伊能・龍己(鳳雛・f21577)はどんな花が咲くのだろうかと心待ちにしていた。一方、笹塚・彦星(人間の剣豪・f00884)は本当に仕掛けが無いのか見て先端の種を見るけれど、やはり何も変わらない。

「皆~、お待たせ~♪」
「お待たせしました」
「うっしゃ、酒だ酒だー! あ、未成年はこっちね」
 蜂蜜色の水着に着替えていた樹・怜惺(Guardiano della Dea Verde・f31737)はパウルとディフの二人から酒を受け取り、ビール瓶を見つけるなり栓抜きで開けて人数分……大人の数だけグラスに注いで渡していく。未成年にはジュース何がいい? そう一人一人に尋ねながら希望のジュースを渡していった。
「あん時は飲めなかったし、今日は折角飲むぜ!」
 数か月前のジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)は未成年だったし、月見でも酒が飲めなかった。――そんな彼の、成人祝いだと仲間たちはグラスを持ち、掲げる。
「乾杯!」
 渇いた喉を潤して、杯を空にしたジャスパーはそうだと呟いた。
「折角ならせーので閃鉱花火浸してみる?」
 いいね。皆でやってみようと未だ花火を手にしていない者にも花火が渡された。
「へェ、普通の花火に見えっけどなあ」
 ビール片手に花火を見上げるのは怜惺だった。本当に普通の花火だ。けれどこれが違うのは――。水に、浸して鉱石ができること。
「花火の刹那さは、まるでカクリヨそのものみたいだけどオレは……いつまでもこの伝統が続くように応援したいな♪」
 消えてしまう花火ならば、残ってしまう花火だってあっても良いじゃないか。古き良きものも、新しいもの、どちらも共存できるカクリヨファンタズムだからこそきっとできるとパウルは笑った。

「皆花火は持ったか? 火は付いてるか? せーの!」
 周囲を見回し、頷く皆の顔を確認したジャスパーの掛け声と共に花火が海面へと浸された。
 じゅっ。ぱちぱちぱち。
 水に漬けた途端に弾ける火花は様々。その願いに応じて応えてくれると花火婆は言っていた。
「へぇ……不思議なもんだ。水面に花火が煌いている」
 彦星が目にした火花は龍が水面を走っている様な細い火花だった。火種の周囲でぱちぱちと弾けて囲っている様にも見えた。次第に火花は大人しくなり、できたのは深い青色の鱗の様な結晶。隣にいる龍己が健やかで、事務所の皆や自身の周囲が元気であればいいと願ったものは特に誰かを願っていた様だった。
「あ、俺の花火はなんだかお星さまみたいなかたちです」
 五つの角が付いているというよりは、四つの角で尖っているひし形に近い光が出たと龍己は隣に居た彦星へと嬉しそうに話す。光が消え、次第に浮かんだのは翡翠色の雫で。彦星と先輩たちがずっと元気で過ごせる様にと願ったものだったのに。お互いに隣にいた人を願っていたようだった。
「願い事……ああ、願い事な。俺の知ってる人が笑顔でいられますよーに」
 スマートフォンで撮影しながらそれで十分だと怜惺が灯した花火は水面に映った掌大の虹色に輝く大輪だった。ぱっと消えた後に出てきたのは蜂蜜色の六角形の結晶。――蜂の巣に似たハニカム構造のもの。へえ、面白いと掬い上げたそれは太陽のようにも見えた。
「願いごと……」
 本当は笑顔が得意になりたい。得意と言わなくても、できるようになりたいと願う日向。けれど親友から無理すんなと言われてしまったから――皆さんと、またこうしてお喋りできたらなと。そう願いながら浸した花火はキラキラしていて。黄色の大輪を咲かせた後、向日葵の鉱石が浮かんでいた。
「おお……微かに、光ってる……?」
 青く光る花火をイチは隣にいるくろ丸の頭を撫でながら一人と一匹で見つめていた。各々の鉱石はどうだろう、と隣を覗いてみるも暗くて良く見えない。それに願い事をしている周囲に戸惑い、悩みながらも考えた。此処に居る皆が、縁のある人達が、幸せであれば良い。そう願った矢先に生まれたのは。青色の四つ葉。一方、くろ丸の花火から産まれた石は――骨。お腹が空いていたのだろうと一は一人頷いた。
「すごいね、花火がこんな風になるんだ」
 じゅわり水に散る花火は仄かに青く光る雪の結晶で。ディフのベニアイトの宝石眼から見えなくなり、すぐに儚く消えて浮かんできたのは、フリージアの蕾。淡く光るそれをくるりと翻し、弄ぶ。――ただ皆の願いが叶えば良い。皆の笑顔が見られればそれでいいと思っていたけれど。それはすぐに叶ったようで周囲の楽しそうな声と雰囲気にディフの表情はあどけなく静かに微笑んだ。
「皆お願いしてる? 俺はねー、ナイショ」
「あっ俺もナイショ♪」
 だって恥ずかしい――と言うよりは、皆が誰かの為に願うのに。それが悪い事だと咎める事を皆はしないだろうけれど自分達だけ自分の事しか考えていないようで口にしたくなかったのだった。
 静かに浸した花火はジャスパーは桃色火花が。パウルのものには青色の火花が。静かに花火が収まった後、そうっと浮かび上がってきた鉱石は二人同じ形の桃色と青色のグラデーションが掛かった蓮だった。ただこの石――変わっている。元からふたつでひとつだった様な。簡単に外せたものの、何処か離れるのを惜しむような鉱石にジャスパーとパウルは二人で目を細めた。

「で、コレを酒に溶かして飲むって事か」
 ならば折角だから大きめのグラスにウォッカを入れ、怜惺はゆっくりと溶けだす六角形の集まりを見詰める。蜂蜜が溶けだして、上質な酒に成って行くような気さえした。先程の花火も、今この溶けて行く様子も、全部姉に見せると言ってスマートフォンを構えているのが少し勿体無いと思うくらいにはとても綺麗で。口にすればウォッカの辛さの中に蜂蜜の甘さが漂う酒と成っていた。
「これは確かに綺麗だね」
 白葡萄酒へと躊躇いも無くディフはフリージアの蕾をぽとりと落とせば淡く光っていた光は消え、ふわり花咲いて泡を残して消えて行く様は人魚姫の様で。口にすれば泡立つ甘さが心地良くてグラスを揺らして香りを楽しんだ。
「飲むのが勿体ないなぁ……」
 大人ではないから透明な炭酸水に青い色の四つ葉を入れたイチはグラスを傾ける。色と光を映してすごく綺麗だけれど、やはり飲むのは勿体無い。それでも飲むのだけれども。何処か薄荷の様な爽快感を思わせるその口当たりにしゅわしゅわとした炭酸の味に舌鼓を打ちながら傍らのくろ丸を見下ろすと口に骨型の鉱石を携えてご満悦の様で。
「こんなに楽しいなら次の花火、しようかな」
「そうだね、もう一回やってみたいな」
 それはお土産に。ディフとイチは顔を見合わせてね、と二人で頷いた。
「人それぞれ願いもかたちも違う石、素敵ですね」
 手にした甘い炭酸水に日向は向日葵の鉱石をぽとん、と入れる。炭酸の泡が向日葵に纏わりついて、水中の中でゆっくり動いて溶かされていく黄金色のジュースに成って、向日葵の口の中を潤していく。
「甘くて綺麗」
 自覚が無いのか、緩く笑った日向の笑みに周囲もまた笑みを零す。――君は十分笑えているじゃない。口にはしないけれど、体の中にいる親友は密かに想った。
「わぁ、先輩方の花火のかたちとても綺麗です」
 石が食べられるなんて夢みたいだけれど、それも形を変えたり、溶けたりして飲めたり不思議だと龍己は瞳を輝かせる。手にした炭酸ジュースに雫型の鉱石をゆっくり沈め、しゅわしゅわと泡に解けて行くのを覗き込んで見守る。夜だというのに水の中で反射してきらきら輝いている様にも見えて、なんだか花火を見ている気分だと感じた。溶けた飲み物は口にすれば、とても甘く。熟したメロンの様なフレーバーが口いっぱいに広がった。
「空に打ち上がる花火もいいもんだが、酒に溶けてく花火もいいもんだな」
 龍の鱗を模したそれを彦星は生クリームとホワイトカカオリキュール、ミントリキュールを合わせ、ミントを添えたグラスホッパーに入れてゆっくりカクテルグラスを揺らした。沈み切って、溶け切ったそれを一口で飲み干した彦星はミントの爽やかさが増したような気がする。それを横目で見ていた龍己はあと五年、と呟いた。
「……二人きりで酒を飲むのはまだまだ先だろうけどさ、ゆっくり待ってる」
 それを耳にした彦星は龍己の頭に手を伸ばし、ぽんとひとつ軽く叩いてお前も待っていてと呟いて笑う。5年後もまたこうやってお喋りできたらいい、その時まで――。
「ピーチソーダ?」
「お酒飲むならこれがいいかなあって」
「これなら溶けて行くとこを楽しめそうだな」
 あんまり強いお酒だと潰れちゃって楽しめないのも嫌だよね、そうジャスパーがパウルから勧められたのは白く透き通ったピーチリキュールとソーダの透明な酒。二人でそれを用意して、それに蓮の鉱石をぽとりと落とした。ぱちぱちと音を弾かせ、響かせ、溶けて行く姿はいつもだったらジャスパーはスマートフォンで撮り続けているところだけれども。なんとなく。今日は目に焼きつけておきたくて。
「無くなっちまうからこそ美しい……のかもしれねえな」
「儚くて、切なくて。でもそれがイイよね」
 溶け切ったそれを二人、グラスを傾ける。桃の甘さの中に、砂糖菓子の様な甘さ。そのまま飲んだら喉が焼けていきそうな甘さなのに。何処か爽やかさがあって、飲み干した後の口の中はすっきりとしていた。
 ――この隣にいる人が、その人の愛する全ての人達と一日でも長く、笑っていられるように。そう願ったパウルは今この時もとても幸せだと目を伏せて微笑む。
 皆楽しかったかと問い掛ければ各々楽しかったと声が返ってきて、満足気に社長は笑った。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

早乙女・翼
鏡(f15406)と3

花より団子より酒か。いや、知ってたけど
小娘っつー歳でも――(言いかけて止め)
光栄って言っておくかねぇ、誘い頂いて

水に咲いた花は、まるで己の髪に咲く彼岸花に似てて
溶けていく様子は花弁が一つ一つ散りゆくようで
一口味わえばどこか甘酸っぱい柘榴の味

相手の求めには素直に応じつつ
多分鏡には甘いけど、良いのか?
ついでにそっちのも味見させるさよ
自分で言うかねぇ、そんな事――鉄錆の味じゃなきゃ良いさ

見つめる鏡の視線の先を追い
あっちは賑やかな団体もいるみたいさねぇ
わざわざ離れたここまで来たのって…あーいうの苦手だったり?
ふぅん…人でも俺は別、か(とわざと聞こえる様に)
返事は嬉しく受け取るな♪


四辻・鏡
翼(f15830)と3

面白い酒が呑めると聞いて
どうせ綺麗なもんにはしゃぐほど小娘じゃねぇし
気心知れた相手と酒を酌み交わす方が好きなんだよ

喧騒から少し離れた位置で酒を注ぎ合い乾杯

花は月下美人を思わせる形
溶かせば微かに苦みを孕み、より酒らしく切れ味のある味わいへ

相手の花が酒に溶けていく様を見て、突然思いついた様に
なぁ、それ呑んでみてもいいか?

あ、私の?
いいけど。狂気を覗く刀の花だ
えげつねぇ味でも知らねぇぞ?

呑みながらも自然と視線は騒ぐ妖怪たちへ
人や妖怪が好きかと聞かれれば否定はするが、それでも視線は優しく見守るようで

翼の言葉に動揺して
…そりゃ、嫌いな奴に本体託して戦わせる訳ねぇだろうが

アドリブ歓迎


●花よりも団子よりも
「面白い酒が呑めると聞いて」
 四辻・鏡(ウツセミ・f15406)は立ち上がった。
「花より団子より酒か。いや、知ってたけど」
 だって彼女がそういう性格なのを早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)はよく知っている。
「どうせ綺麗なもんには小娘じゃねぇし」
 気心知れた相手と酒を酌み交わす方が好きなんだと呟く鏡に翼は首を傾げる。
「小娘っつー歳でも――」
 いや、今この場で年齢の事を言うのは無粋だろうと翼は口を閉ざした。だけれどそんな彼女に付き合える、もとい、酌み交わす相手に選んで貰った事は。
「そりゃ光栄だねえ、誘い頂いて」
 手にした酒瓶を持って喧騒から少し離れた場所へと向かう。遠く離れたところから聞こえてくる喧噪は耳に障らない程度の音楽になって。互いに盃を酒で満たしあいながらかつんと盃をぶつけた。
「乾杯」
 そう声を合わせたなら、酔いながらの花火をしようか。ゆらり揺蕩う水面に火種をじゅわりと付ける。ぱち、ぱちと爆ぜた火花は翼は薔薇の花弁の様で。鏡のは米粒の様な白いものだった。ぷちんと千切れて沈んで浮かぶあがったのは――。
 水に咲いた花は、まるで己の髪に咲く彼岸花に似ていると細い花弁を壊さぬようにそうっと翼は拾い上げる。対して鏡は一夜限りしか咲かない月下美人を思わせる形だった。
 ぽとん。鏡は酒を満たした盃に躊躇なく花を落とし、溶けて行く様を見送った後にぐい、と渇いた喉を潤すように一口飲んだ。仄かに苦みを孕んだそれは、その苦みがより鮭らしく切れ味のある味わいに変わっていく事にぷはあと満足気に酒気を吐き出した。
「ん、美味いか?」
「美味い」
 これには甘味ではなくて少し味の濃い塩味のあるものが欲しくなると顔を赤らめながらも盃をちびちびと飲む鏡は花が酒に溶けて行くのを見送る翼の盃を見た。
「なぁ、それ呑んでみてもいいか?」
 自分のは白。ならば赤いそれは一体どんな味がするのだろうと興味も有った。
「ちょっと待ってな。――いいけど、多分鏡には甘いけど、良いのか?」
 一口味わえばどこか甘酸っぱい柘榴の味が口に広がる。これが若い女性だったらきっと気に入るだろうが――普段から辛口の酒を口にしている鏡にはどうだろうかと悩んだが……寄越せと差し出す手に素直に盃を差し出すのだった。
「構わん。寄越せ」
「ついでにそっちのも味見させろよ」
「あ、私の? いいけど。……狂気を除く刀の花だ。えげつねぇ味でも知らねぇぞ?」
「自分で言うかねぇ、そんな事」
 ――鉄錆の味じゃなきゃ良いさ。そう呟いて翼は鏡から盃を受け取り、一口飲む。なんだ、普通の美味い酒の味じゃないかと舌鼓を打つ。
 呑みながらも鏡の視線は騒ぐ妖怪たちの方へと向かい、歌をうたい、踊りをおどり、楽しげな妖怪たちの事を目を細めて見つめる。そんな鏡の視線の先を追い、翼は口を開いた。
「あっちは賑やかな団体もいるみたいさねぇ」
 それはそれで構わないが、此処に来たのはもしかしてと翼ははっとする。
「わざわざ離れたここまで来たのって……あーいうの苦手だったり?」
「人や妖怪はあんまし」
 好きではない。そう否定はするものの、それでも鏡の視線は妖怪たちを優しく見つめていた。
「ふぅん……人でも俺は別、か」
 少し大きな声で。喧噪の中でもはっきりと聞こえるようにわざとらしく言った翼の表情はにやりと笑っていて。
「げほっ、お、お前は!」
 飲み干そうとしていた酒が鏡の器官に入って咳き込むが違う、と言い掛けるも咳払いで仕切り直した。
「……そりゃ、嫌いな奴に本体託して戦わせる訳ねぇだろうが」
 ヤドリガミである自身を託し、戦わせるなど。何かがあれば自分の肉体に差し支えるから。――その意味を、彼は知っているのだろうかと鏡はそっぽを向く。
「ふうん、そうかあ」
 返事は嬉しく受け取り、その後は酒が無くなるまで二人きりの静かな宴は続いた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

マリアドール・シュシュ
2【螺子猫】
今年の水着

マルコ、こっちよ!(手を引き
閃鉱花火、マリアも初めてやるからとても楽しみなの
鉱石が作れるだなんて素敵だわ!
マルコは静かに楽しむ方が好きなのね?
ふふっ、マリアもそう思っていたのだわ(名探偵マリアには全てお見通しとばかりに
まぁ!友達!(目爛々
あなたにそう言ってもらえて、マリアもすっごく嬉しいのよ

鮮やかな閃鉱花火が咲くのを見る
色々な種類に蜜金色の眸が輝く
大好きな友達と見る花火は一層美しい
その花火で咲いた物を加工

マルコは何を作るのかしら?
猫さんの首輪!いいと思うの
マリアはピアスにしたいわ

石のデザインお任せ
出来上がりに満足

今日も一緒に過ごせて本当に楽しかったのよ!

最後に花火が一つ


マルコ・トリガー
2【螺子猫】
去年の水着着用

フーン、閃鉱花火って言うのがあるんだね
普通の線香花火もいいけど、思い出が手元に残るのは、まあ悪くないね

花火って打ち上げ花火を連想しがちだけど、ボクは静かな花火の方が好きだからなかなか楽しめたよ
水の中に落ちていく火玉が結晶になる様子をただ見ている穏やかな時間も悪くない
それが友達のマリアとなら尚更ね
ところで今年の水着も可愛らしくてよく似合ってるね

それで、この石で何か作れるんだっけ?
ボクはうちの黒猫の首輪にしようかな
気まぐれなヤツだから着けてくれるかはわからないけど
マリアは何を作るんだい?

夏らしくて、でも新鮮な体験が出来て良かったよ
マリア、誘ってくれてありがとう



「マルコ、こっちよ!」
 白い水着ドレスをひらりと揺蕩わせて、マリアドール・シュシュ(華と冥・f03102)は猫を模した上着を羽織っているマルコ・トリガー(古い短銃のヤドリガミ・f04649)の手を引く。興味がないという風な表情をしていても、白いドレスと共にゆらり揺れる猫の尻尾は悪くない、と言っている様だった。
「閃鉱花火、マリアも初めてやるからとても楽しみなの」
「フーン、閃鉱花火って言うのがあるんだね」
 鉱石が作れるだなんて素敵だわ! そう目を輝かせるマリアドールの顔にマルコはふうんと呟く。普通の線香花火も嫌いじゃない。けれど、思い出が手元に残るのは――。
「まあ悪くないね」
 その言葉は彼なりの「良い」という事を付き合いのあるマリアドールは知っているし、彼なりに素直なつもりだけれども。もっと素直になればいいのにと微笑んだ。
 ――ぱち。ぱち。マルコの手元で煌めくのは白の大小の楕円が幾つか。水の模様にも見えたが、猫の肉球にも見える。
 ぽとんとマルコの火玉が水面に沈んで、ぶくぶくと水泡を立てていた。
「花火って打ち上げ花火を連想しがちだけど、ボクは静かな花火の方が好きだからなかなか楽しめたよ」
「マルコは静かに楽しむ方が好きなのね?」
 うんと頷いたマルコは水の中に落ちて行く火玉はゆっくりと結晶になるところを見詰める。彼の元に浮かび上がってきたのは桃色の花弁が埋まっている様に見えた楕円の黒曜石。
「ふふっ、マリアもそう思っていたのだわ」
 名探偵マリアには全て御見通しなの。両手で眼鏡を作ってマルコを見詰める。何それと思いながらもマルコは浮かび上がった黒曜石を両手で掬い上げて。
「それが友達のマリアとなら尚更ね」
「まぁ! 友達!」
 両手をぱん、と併せてマリアドールの目は爛々と輝かせて瞬く。
「ところで今年の水着も可愛らしくてよく似合ってるね」
 揺蕩う白がマリアの髪にもよく似合うと呟いた。
「あなたにそう言ってもらえて、マリアもすっごく嬉しいのよ」
 優しい彼が、自分の事を良き友達だと思ってくれるのが、水着を褒めてくれたことが嬉しくて。マリアドールの手元で輝く音符に似た火花に目を細めて見つめ、微笑んだ。蜂蜜色に輝いていたそれは虹色になって――ぽとりと落ちた。ぶくぶくと水泡の中からぷかり浮かんできたのは中に白い月が埋まった琥珀のもの。
 大好きな友達と見る花火は一層美しい。だからこれを思い出にしましょうと二人は工房へと足を運ぶ。
「それで、この石で何か作れるんだっけ?」
「マルコは何を作るのかしら?」
 工房の壁に飾られているのはアクセサリーの他に硝子の筆記用具、刃物などもあるがマルコの脳裏に浮かんだのは留守番をしている黒猫のこと。
「ボクはうちの黒猫の首輪にしようかな」
「猫さんの首輪! いいと思うの」
「気まぐれなヤツだから着けてくれるかわからないけど……マリアは何を作るんだい?」
「マリアはピアスにしたいわ」
 お願いします、と待っていましたと手を差し出す職人へ石を渡して金槌の音を耳にしながら待ち惚ければ――。
 琥珀色の小さな花のピアスと、黒と桃色、マーブル模様の猫の首飾りが二人の手にそれぞれ渡された。
「まぁ! なんて綺麗なのかしら」
「ふうん、まあ、悪くないんじゃない」
 その仕上がりに満足気に笑うマリアドールに対し、マルコは悪くないと言いつつも満更でも無い様子で。
「今日も一緒に過ごせて本当に楽しかったのよ!」
「マリア、誘ってくれてありがとう」
 夏らしくて、新鮮な体験ができて良かったよと呟くマルコとマリアドールの二人が工房の外へ出れば。大輪の花が夜空に咲いて、輝いていた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

(お二方の章タイトルは「●黒猫とタンゴを」になります。表記漏れ申し訳ございません)
水澤・怜
●1
イリーネ(f30952)と

無難なハーフパンツ水着
華やかな場とは無縁故手持ちがない
それに比べイリーネの水着は…あー…綺麗だと思うぞ、うん…(恥ずかしくて目のやり場に困る。ついでに頭の枝が伸びる)

確か込める願いでも出来が異なるのだったな
…ならば君の為の願いを込めても構わないか?
自分で自分の願い事を…というのは努力を怠るようで性に合わん

いつも他人のことを心配して
いつも人を思いやる心優しい君だから
どうか幸せになれますように
他の誰でもない君自身に幸せが訪れますように

そんな願いを込め水面に火を落とす

そっと石をイリーネに手渡して
…お、俺にか?!…ありがとう
手渡された石は温かくて…不思議と心安らぐ気がした


イリーネ・コルネイユ
●1
怜くん(f27330)と

水着は黒のビキニにパレオ
照れながらも綺麗だと伝えてくれたことが嬉しい
伸びた枝に笑みを零しながら
ふふ、ありがとうございます

まあ、私の為に?嬉しいです。
(それなら私は、怜くんの為の願い事を)

自分の為の願いを込めないと言うのは貴方らしいけれど
もう少し自身をいたわってほしい
自分に厳しくて頑張り屋さんの貴方が
これから先、心安らげる時間が少しでも多くありますように
そう願いを込めて

貴方がくれた石はとても綺麗で
嬉しさに目を細めながら大事に掌で包む
照れたように笑って
ありがとうございます、怜くん

私からも…受け取っていただきたいのです
口には出さないけれど確かに込めた願いを貴方へ


●あたたかな心
 華やかな場とは無縁故に手持ちがないものの。折角だからと着た無難なハーフパンツ水着スタイルの水澤・怜(春宵花影・f27330)にイリーネ・コルネイユ(彷徨う黒紗・f30952)は目をぱちぱちと瞬かせる。
「なんだか怜くん、普段と違うからびっくりしちゃいました」
「それに比べイリーネの水着は……あー……綺麗だと思うぞ、うん……」
「ふふ、有難うございます」
 イリーネの水着は黒のビキニにパレオ姿。普段だって露出が無いわけではない。だが、目のやり場の困るその姿に怜は軍帽で照れた顔を隠し、頭の枝は静かに伸びる。その様子にイリーネは照れながらも綺麗だと伝えてくれた事が嬉しくて、伸びた枝が面白くて笑みを零した。
 二人、静かな湖畔へと移り。手にした花火を怜は不思議そうに見つめる。
「確か込める願いでも出来が異なるのだったな。……ならば君のための願いを込めても構わないか?」
 努力家である怜は自分で自分の願い事を。なんてするのは努力を怠る様で性に合わないのだがどうだろうとイリーネに尋ねる。
「まあ、私の為に? 嬉しいです」
 ――ならば、自分は怜の為の願い事をしよう。自分の為の願いを込めないというのは彼らしいけれど、もう少し自身を労わってほしい。そんな事を口にしたらきっと彼はそんな事ない、努力が足りないなどと言ってしまいそうだからイリーネは心に秘めた。
 ――一方、怜は。彼女はいつも他人の事を心配している。いつも人を思いやる心優しい彼女がどうか幸せになれますように。他の誰でも無い彼女自身に幸せが訪れますように。そう願わずにはいられなかった。
 そんな思いをお互いに抱え、花火に火をつけ、じゅわり水面に浸す。ぱちぱちと輝く火花は二人とも同じもので。白い火花が花弁の輪郭を描いて水面に揺蕩う。
 ぱちん、と音が鳴って。火種が水中に沈んでぶくぶく水泡を起こしながらぷかり、浮かび上がってきたものは。怜のは桜の花が埋まっている煙水晶で、イリーネのは薔薇色の水晶だった。
「イリーネ」
 怜はそうっと煙水晶をイリーネの掌の上に載せる。ぱちぱちと目を瞬かせたイリーネは掌の中にある煙水晶が綺麗で嬉しくなって目を細めて見つめた。――だってこの石は、自分にも少し似ているみたいだなんて。少し思ってしまって照れながら笑って。
「ありがとうございます、怜くん」
 だったらこれを受け取って欲しいとイリーネもまた怜の掌の上に自分の薔薇色の水晶を乗せた。起きた出来事に怜は目を丸くして固まる。
「……お、俺にか!?」
「私からも……受け取っていただきたいのです」
 ――口には出さないけれど、確かに込めた願いを貴方にあげたいのだから。
「……ありがとう」
 何だか少し照れくさくて頬を指先で掻いた怜の掌の上。手渡された石は温かくて……不思議と心安らぐ気がした。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

朱赫七・カムイ
【廻】

チオリ、閃鉱花火をしっている?
私は斯様な花火は初めてなんだ
そなたは経験があるのかな?
わくわくと逸る気持ちを抑えながら、閃光花火に火をつけて─おお。ひとつ感嘆の声をもらす
ぱちりと華咲いたのは、あえかな薄紅だった
彼の色、と聞いて頬に紅がさす
……チ、チオリ……間違って……ない
噫これは、私の巫女の彩だ

へぇ…酒にとかせるのかい?
チオリ、やってみよう
普段は神酒ばかりだがら斯様な味になるのか楽しみだよ
甘やかな薄紅を酒にとかして飲み込めば──芯から、とけてしまいそうになるほどに
甘く甘く、感じる

暑いな……火照る頬を袖で隠して、そなたに問おう
チオリは紅の酒は如何なる味か

打ち上がる以外の花火も、美しいものだね


橙樹・千織
【廻】

閃鉱…は、初めて聞きますねぇ
線香花火はよくやりましたけど…
あら、カムイさんも?
自分が知る花火とどう違うのかしら?と首傾げ

まあ!
水の中でもとても綺麗ですねぇ
ぱちぱちと紅い華が咲くのをふわほわ微笑み覗きこむ

私のは紅でしたが、カムイさんは?
ふふ、綺麗な桜色…彼の色ですね
花火の色に櫻龍の友を重ねてくすくす笑う

あら、お酒に?
ええ、ええ。やりましょう
紅い華をとろかして
散らさぬようにとそっとひと口
ん、美味し

ふふ、酔ってしまいました?
何にとは言わず、悪戯っぽく笑む
私の?酸味がかくれんぼしてる甘いお酒
機嫌良さげにくるくる喉が鳴り、尾もゆらり

ええ、ほんとに綺麗
またこの花火を楽しめるといいですねぇ


●巡り廻って
「チオリ、閃鉱花火をしっている?」
 ぱちぱちと目を瞬かせた橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)は目の前にいる朱赫七・カムイ(厄する約倖・f30062)の姿が心なしか楽しそうに見えて驚いていた。
「私は斯様な花火は初めてなんだ」
「閃鉱……は、初めて聞きますねぇ」
 線香花火はよくやりましたけど……と呟く千織にカムイはほう、と声を漏らし目を丸くする。
「花火には様々な種類があるとは聞いているけれど、似た花火の名前でも違うのだね。そなたは経験があるのかな?」
 私はこの花火は初めてだよ。そう微笑むカムイは神とは言えども人の身を得て1年にも至っていない。今の身にとっては花火は初めての経験で。――何でも、鉱石が咲くというものならば目を輝かせるのも無理ないだろうと千織は目を細めて微笑む。
「あら、カムイさんも?」
 自身が良く知る花火とはどう違うのだろうと首を傾げながら千織は手にした花火を見つめた。一見普通の花火だ。中に鉱石が入っていそうな気配も無く、隣でわくわくと逸るカムイの姿に笑みを零しながら花火に火を付け、水に浸す。
「おぉ……」
「まあ!」
 ぱちぱち。音を鳴らしながら火花が水面を走るのを見つめているとカムイの火花は、赤く、燃える様な炎の揺らめき。一方千織のは桃色から藤色に変わりゆく花弁の火花が水面を走っていく。
「水の中でもとても綺麗ですねぇ」
「ああ、不思議なものだ」
 ぱちん。花火の火種が水中へ落ちてぶくぶくと水泡の中からぷかり華咲いたのは――。
「見て下さいカムイさん」
 水面を覗き込みながらふわりゆるく微笑んだ千織が両手で掬いあげたのは、炎の様に燃ゆる紅い花。
「カムイさんは?」
「私のは――」
 ぷかり浮かんだ華をカムイがそうっと掬い上げ、その色にあらと千織は声を漏らした。
「ふふ、綺麗な桜色……彼の色ですね」
 じい、と手にした桜色の花をカムイは見つめる。――何を考えていなかったわけではない。だけれども。無自覚に彼の事を考えていたカムイの白い頬に紅が差す。
「……チ、チオリ……間違って……ない」
 頬に紅がさしたカムイもまた、恥ずかし気ではあったがそれも段々と桜色の華を見つめて愛おしい気持ちが湧き上がり、静かに目を伏せて呟いた。
「噫これは、私の巫女の彩だ」
 でしょうね。そう言いたげな千織は何も言わずに目を伏せてくすくすと笑うだけだった。
 そう言えばこの鉱石は体に入れても害はないと言うし、酒に溶かして楽しめると聞いて二人は顔を見合わせて是非、と頷く。
「普段は神酒ばかりだから斯様な味になるのか楽しみだよ」
 酒を満たした杯をかつんと鳴らし、ぽとりと鉱石を落とした。千織は紅い華を蕩かして、散らさぬ様にそっと一口含んで細めた目をゆっくりと開いた。
「ん、美味し」
 カムイは薄紅の華を酒にとかして飲み込んだ。口いっぱいに広がる甘さは、芯から溶けてしまいそうになる程に甘く甘く。
「暑いな……」
「ふふ、酔ってしまいました?」
 ぱたぱたと袖を振るい、頬の熱を冷まそうとするカムイの動きがぴたりと止まる。
「……そんな、ことは」
 多分ない、と言い切れなくてカムイは袖で頬を隠しながら千織の手元にある杯を見つめた。
「チオリは紅の酒は如何なる味か」
「私の? 口いっぱいに広がる甘さの中に酸味が隠れんぼしている甘いお酒ですよ」
 くるくる喉が鳴り、千織の尾も上機嫌にゆっくりゆらり揺れる。
「打ち上がる以外の花火も、美しいものだね」
「ええ、本当に綺麗」
 それに呑めてしまうだなんて。
「またこの花火を楽しめるといいですねぇ」
 一度で二度美味しい思いをできるのもまた良いと二人は頷き、宴は杯が空になるまで続いたという。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

氷月・望
楪(f16731)と 3
アドリブ歓迎

閃鉱花火、とは
シャレた名前の花火だね、ゆーくん?
光ったり、光らなかったりするらしいケド……
まあ、物は試しっていうコトで

咲いたのは、真っ赤なゼラニウムにも似たソレ
煌々と光っている様が綺麗で
確か、酒に溶かして飲むコトも出来るんだっけ

ゆず、鉱石を交換して飲まない?
あまり強くないのは知っているケド、あからさまな反応に笑って
一杯だけでいいからさ
互いのを溶かして、ゆっくり飲んでみようよ

内側にも刻みたい、刻まれたい
そんな独占欲じみた感情は、どんな味がするのかな
ゆずの鉱石を溶かした酒の味は
やっぱり、ほのかに林檎の香りがした気がした


月待・楪
氷月(f16824)と 3

飲める飾れる加工出来る
便利なもんだな閃鉱花火ってのは
字さえ読めればどんな物か想像つきやすくていいな

絶対花になるってわけでもねェらしいが
氷月のを楽しみにしながら閃鉱花火を水に
咲いたのは夕暮れ色にグラデーションした、真っ赤に光る彼岸花
うわ、すげェな…マジで花火から何か出来た

ひづ、出来たやつどーすんの?加工するか
あ゛?酒?…別にいーけど強くねーのは知ってんだろ
お前のと交換なら…飲まない理由はない

どんな思い出も諦めにだって
渡さない…焼き切る熱量は俺だけの物
…そんな想いがろくな味するとは思わねーけど
氷月のは喉から臓腑、頭、身体
全部溶かして痺れさせてくれる、飴玉みたいな甘さだな



 見た事も聞いた事もない閃鉱花火を手にしながら二人しかいない場所で氷月・望(Villain Carminus・f16824)は首を傾げて隣の月待・楪(Villan・Twilight・f16731)の肩へともたれ掛かる。
「シャレた名前の花火だね、ゆーくん?」
「飲める飾れる加工出来る……便利なもんだな閃鉱花火ってのは」
 字さえ読めばどんな代物か想像つきやすくはあるけれど、実際目にするまではどんなものだろうかともたれ掛かった望を引き剥がしながら楪も疑問を浮かべていた。
「光ったり、光らなかったりするらしいケド……まあ、物は試しっていうコトで」
「絶対に花になるってわけでもねェらしいが」
 隣にいる望のを楽しみにしながら楪は花火に火を灯し、じゅわり水面に花火を浸した。望も火をつけた花火を水面に浸し、わあと感嘆の声を漏らした。ぱちぱちと弾ける火花は水面を走り、望の手元の花火は橙の狐の尾がゆらりと揺れて。楪のは鳥の羽の輪郭を描いた火花が走る。
 ――ぽちょん。ぽちょん。弾けて水中に沈んだ花火は、ぶくぶく水泡を出しながらぷかり浮かび上がる。
 望の元に咲いたのは真っ赤なゼラニウムに似た鉱石。きらきらと光っている様が綺麗で両手で掬い上げて目を細めて微笑んだ。
 一方、楪の元に咲いたのは夕暮れ時の空を映したグラデーションの真っ赤に光る彼岸花。それを目の当たりにして目を丸くした。
「うわ、すげェな……マジで花火から何か出来た」
 掬い上げてまじまじと鉱石を見つめた楪はこれをどうしようかと悩む。確かにこれは、色々なことができるというけれど……。
「ひづ、出来たやつどーすんの? 加工するか」
「ねね。ゆず、鉱石を交換して飲まない?」
「あ゛? 酒? ……別にいーけど、強くねーのは知ってんだろ」
 そんな奴に酒を飲ませて何がしたいんだと楪は溜め息をひとつ零す。あからさまな反応に笑うものの、一杯だけ! と人差し指を出す。
「あまり強くないのは知っているケド、互いのを溶かして、ゆっくり飲んでみようよ」
「お前のと交換なら……」
 仕方がないとは思いながらも楪は飲まない理由はないと緩く微笑んだ。
 ぽとり。グラスに注いだ酒は琥珀色をしているものの度数が低いものを楪のために望が持ってきたもの。
 じわり溶けていく鉱石を二人見つめながら、グラスを渡しあって一口。
 内側にも刻みたい、刻まれたい。そんな望の独占欲染みた感情はどんな味がするのだろう。楪に聞いてみてもいいけれど、しかし知りたくない様な気もして何も言わずに笑っていた。
 どんな思い出も諦めにだって渡したくないと思う楪の焼き切る熱量は自分だけの物。……そう思いながら咲かせて溶かしたものが碌な味するとは思わない。けれど。
 互いを互いに思って咲かせて溶かした鉱石の味は。
「……やっぱり、ほのかに林檎の香りがする」
 禁断の果実と言われる林檎の飲んでしまえば楽園から出なくてはいけない、もう戻れない。でも、きっと楪となら。一緒にいてもいいと思える。望の口には爽やかな甘さが広がる。
「飴玉みたいな甘さだな」
 喉から臓腑、頭、身体。全部溶かして痺れさせてくれる様な甘さ。灼ける様な甘さではなく、もっと、もっと欲しいと願う甘さは楪の口の中を満たしていく。
 ――甘く、蕩けて。一緒になってしまいたいと願いながら、二人手を繋いで酒の味を楽しんでいった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

(お二方の章タイトルは「●君とふたり、甘く、蕩けて」になります。表記漏れ申し訳ございません)
ヲルガ・ヨハ
【1】
(からくり人形は水濡れ厳禁)

水着でめかしこんだ身を
からくり人形たる"おまえ"の腕に預け
ゆらり銀の尾を揺らす

徐に、閃鉱花火を
今宵は長手甲を身に付けた
"おまえ"の手に握らせる

嗚呼、"おまえ"よ
顔も思い出せぬ下僕よ
土塊よりわれが創りしその器は
おしなべてわれの意図の内
故に、籠める願いがあるはずもなく
嗚呼、ならば

ぽとり
褐色の手中より閃鉱花火が落つ
"おまえ"よ、"おまえ"
はたしてなにを咲かす?

あと、幾度か
夜を駆ければ
われは酒精を口にする事もゆるされる
いくさの熱以外に酔う気はないが
"おまえ"が咲かせた花の味ならば、どうか
捧げられるに相応しく
どのような味がするというのか

自らの手で閃鉱花火を掬い、微笑む


●我とおまえ
 天女の羽衣。着物を模した水着のドレスでめかし込んだヲルガ・ヨハ(片破星・f31777)はからくり人形たるおまえの腕の中で尾鰭を垂らし揺らしていた。
 閃鉱花火をヲルガの水着と併せて誂えた服装をした“おまえ”の手に握らせて水面へと近づく。
「嗚呼、“おまえ”よ。顔を想い出せぬ下僕よ」
 土塊よりヲルガが創ったその器。おしなべてヲルガの意図の内。故に、籠める願いがあるはずもない。――彼の者に願いがあるとは思わない。けれども。
 ゆっくりと水面へとしゃがみ込んだ“おまえ”は火の付いた花火を静かに水面に浸す。
 ぱちぱちと水面を走る火花は龍が泳いでいるようで。――ぽとり。褐色の手中より閃鉱花火が落つ。
「“おまえ”よ、“おまえ”」
 ――はたしてお前は何を咲かす?
 ぷかり。浮かんだのは紫色の鱗が連なった蓮の様にも見えた。
 あと幾度夜を駆ければ。ヲルガも酒精を口にする事も許される。
「いくさの熱以外に酔う気はないが……」
 けれど手にしたこの花の味ならば、口にして酔ってみたいとも思う。
「どのような味がするというのか」
 そうっと水面に浮かんだその花をヲルガは面布越しに捉え、そうっと掬い上げて微笑む。
「其の時が来る時まで、待っていておくれ」
 “おまえ”と呟いたヲルガの聲には“おまえ”はただ静かに佇むだけだった。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年08月02日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵