夏休み。海と花火と玉蜀黍の雲(作者 ごは
6


#カクリヨファンタズム  #お祭り2021  #夏休み  #誤:カクリヨファンタジア→正:カクリヨファンタズム 


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#お祭り2021
🔒
#夏休み
#誤:カクリヨファンタジア→正:カクリヨファンタズム


0



●グリモアベース
「猟兵さーん! カクリヨファンタズム行きっす!」
 今日もグリモアベースに、威勢のいい声が響き、赤半纏が踊る。
「\ぽぽぽぽーん!/ っす!
 ポップコーン、たべにいかないっすか!」
 晴れた日差しのように、カラリと笑む香神乃饗は、両手を天に向かって突き上げた後、右手に持ったトウモロコシで、居合わせた一同を指名するように付きだした。思わず足を止めた猟兵たちに説明をし始める。

「バズるの大好き新し親分が、また新しいものを作ったっす! その名も『妖怪花火』っす」
 携えていたトウモロコシをがぶりっと一口。もぐもぐしながら言うには、妖怪花火は、花火と一緒に打ち上げられても、怪我をしない。それどころか、花火の上を、自由に歩ける不思議な物なのだという。

「そこで、こいつの出番っす!」
 黒耀の眼をキラリと輝かせ、注目! とでも言うように、大きな歯形のついた黄金の実を翳す。
 今から向かう屋台はトウモロコシを妖怪花火で空に打ち上げてポップコーンを作っているのだという。
「定番のしょっぱいのはもちろん、甘いのから辛いのまで、いろんな味を、好きなだけ食べられるっす!
 で、当然、この屋台はそれだけじゃないっす!」
 一同をぐるりと見渡し「ここだけの話っす」と、声を落として、こう続けた。
 屋台の店主は器用な職人で、妖怪花火を望む形に打ち上げられるという。海や陸の生物、植物、なんでもござれで夜空に描いてくれる。
「文字も書けるらしいっす。花火を使った告白とか、格好良くないっすか。
 花火は一瞬しか見えないっすから、きっと伝えたい人だけに伝わるっす」
 告白と言っても愛の告白に限らない。どんなことでも告げれば告白だ。これを機にカミングアウトをするのも一興だ。

 いつの間にか芯だけになったトウモロコシを懐に投げ込み、饗は、ぱん! と勢い良く拳と掌を打ちあわせた。
「じゃあ、浜辺にご案内するっす! みんなで夏を楽しんでくるっす!」
 グリモアの力を帯びた紅梅が咲き、導く先は、大輪の花火が空を賑々しく彩り、凪いだ海がその彩りを写しだす、夏の夜の浜辺。

●カクリヨファンタジア
『ひゅるひゅるひゅる、ばーん! ぽぽぽぽーん!』
 夜空に火の花が咲き、はぜる音、続いて、こおばしい香りが立ち込める。
『ひゅるひゅるひゅる、ばーん! ぽぽぽぽーん、ぽぽぽぽーん!』
 再び咲いた火の花は板チョコとイチゴの形を成して、甘い香りが降ってきた。
『ひゅるひゅるひゅる、ばーん! ぽぽぽぽーん!』
 続いて昇った赤色は三日月――唐辛子に変わり、ツンと鼻を刺すような匂いが吹き抜けて。

 夜空には、咲く大花と、爆ぜたトウモロコシの雲。
 軽快な破裂音が鳴る度に、空は彩りを変え、食欲を擽る雲を蓄えていく。食いしん坊たちを、今か今かと待ち構えるように。


ごは
 ごはです。夏を楽しみましょう!
 このシナリオは、『猟兵達の夏休み』です。1フラグメントで完結します。
 香神乃饗が同行します。話し相手が必要でしたらお声かけください。

 このシナリオで出来る事は、下記の2つです。
 どちらも、公序良俗を守ってお楽しみください。

●『ポップコーンをたべる』
 お好きな味で好きなだけ食べられます。望む味が出てきます。
 花火はその味にまつわる形になります。花火で味が解らないように隠したい場合は、その旨ご指定ください。
 ポップコーン以外の飲食物の持ち込みはご自由にどうぞ。ただし、飲酒・喫煙は二十歳になってから。

●『花火を楽しむ』
 生き物や、風景、文字など、お好みの演出で花火を打ち上げられます。

●お願い
 頂いたプレイングのみを参照し、他のシナリオや旅団は確認いたしません。
 水着と浴衣のみ、納品物をご指定頂ければ、該当イラストを参照します。

●プレイング受付
 プレイングは公開されたときから受付します。
 期日内で書ききれるだけ執筆いたします。(1日に最大2人程度です)
 書ききれない場合は、同内容で2本目、3本目のOPを公開します。お気持ち変わりがありませんでしたら、移動をお願いいたします。

●チーム参加
 出来る限り同日にお送りください。
 【お相手さんの通称・fから始まるID】を冒頭にご記入ください。
 例:香神乃・饗→【饗くん・f00169】
33




第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW妖怪花火で空へGO!
SPD妖怪花火の上で空中散歩
WIZ静かに花火を楽しもう
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


斉賀・悠
水着/浴衣無し
信(実弟)と一緒に、怒涛のオンライン授業受けてたけど、それも終わったぞー!
気分は早いけど…夏休みだー!
「ぽぽぽぽーんなポップコーン…」
思わずごくりとしちゃうけど、僕は…
「王道の塩バターでお願いします!」
キャラメルのポップコーンは、塩バターの後で食べ比べたいし
「…ちょっとぐらいなら、信にお裾分けしても良いよね」
えへへ、信に見せる花火の写真も頑張って●撮影しちゃうぞ!
花火が綺麗に撮れそうなタイミングを●見切って…ここだっ!
グリモア猟兵さんにお手伝いしてもらって、●恥ずかしさに耐えつつも半分くらいノリノリで花火とポップコーンと一緒に写っちゃおうっと!


 浜辺に降り立った斉賀・悠(魔法少年 エクレール・f17889)は思い切り伸びをして、深呼吸を一つ。夏日の熱を冷ますようにサッと吹き抜ける海風を受け、肩まで伸びた焦茶の髪が揺れる。鼻腔を擽る潮の香りが心地良い。

 大いなる戦いは終結したのだ。

 怒涛の勢いで行われるオンライン授業は、過酷極まりない激戦であった。だが、彼は負けなかった。双子の実弟、信とともに、学生の本文を全うし、自由を、夏休みを、手に入れたのだ。
「夏休みだー!」
 海に向かって宣言したその顔は、朗らかに晴れ渡り、達成感に満ちていた。

 目に飛び込んできたのは、浜辺に停まる一台の移動販売車の屋根。大きな看板に『\ぽぽぽぽーん/ポップコーン!』と、ポップな文字が賑やかに踊る。
「ぽぽぽぽーんなポップコーン……」
 軒先に並ぶフレーバー札を見上げた少年は圧倒されて、思わずごくりと生唾をのんだ。
 無理もない。定番の塩は無論、キャラメル、チョコ、苺といった甘味や、唐辛子、ガーリック、カレーといったパンチの効いた味まで、様々なフレーバーが名を連ねていたのだ。こんなの目移りしちゃう。――でも僕は、
「王道の塩バターでお願いします!」
 高鳴る胸を抑えながら、意を決して告げたオーダーは、店主の「あいよ」という、軽い承諾に受け止められた。打ち上げ台に通される間に塩キャラメルも追加して、ドキドキの打ち上げ刻を迎えた。

『ひゅるひゅるひゅる』
 細長く尾を引く音と共に、悠の身体は宙に射出された。
 上昇と同時に、耳元で風が轟轟と叫び、焦茶の髪を弄ぶ。激しく吹き付けてくる突風に、堪らず目を細めた。
 青いリボンタイも忙しなくはためき、大の字に広げた身体にシャツや深緑のパンツスーツが張り付く様に圧し掛かり、地球上では無関心で居られる筈の重力を感じた。
 見る間に星が近づいてきて、手が届きそうと繊指を光に向けた時。
 浮遊感が身を包んだ。
 縛り付けられていた圧から唐突に解放された。此処が頂上なのかな等と疑問を浮かべた、刹那の時。

 全ての音が消え、静寂が呑み込んだ一拍後。

『ばーん!』
 一息に吐き出されるかの如く爆ぜた轟音を合図に、宙に浮かんだ悠の身は再び大地を目指して降り始めた。だが、直にショートブーツは地についた。正しくは地に有らず、開花間もない火花の光線上に降り立っていたのだ。妖怪花火は火の上に立つ事が出来る、その売り言葉は紛うことなき真実だと身をもって知った。

『ぽぽぽぽーん!』
 続いて、軽快な破裂音が次々と鳴り、白雲の絨毯が広がった。花火でトウモロコシが爆ぜ、ポップコーンが出来たのだ。
 ドンと鳴れば輝く道が出来て、ポンと爆ぜれば香ばしい雲が積もる。
 悠は目の前で次々に起きる魔法のような光景に、丸い琥珀の目を一層丸くした。魔法少年たるもの、魔法は慣れ親しんだ物だが、此れは余りにも夢カワいくて。平時は成人の如く落ち着き払った悠の顔が、たまらず年相当の稚い少年のものに変わった。

 足元に広がるポップコーンの雲を手で摘まむと、焼きたての熱が手に伝わってきた。
 火傷しない様にふーふー吹いて冷まし、口に放り込む。
 湿気て無い爆ぜたての粒はカリリと軽い歯応えで、柔らかい身は勿論香ばしい皮も、ほろほろと崩れ砕ける。最後に油と塩辛いの余韻を残して。
「んっ、これ、おいしい。サックサクのカリッカリだよ」
 貌が綻ぶ。頬が落ちそう。一粒では物足りなくて、今度は手で掬って頬張れば、焼きたてならではの美味が口内を占拠する。カリカリ、カリリ、止まらない、幾らでも食べられそう。此の侭、全て食べ尽くしても叱られない。でも、 チクッと心に刺さった。
 ――信は、どういう顔をするのかな。
「……ちょっとぐらいなら、信にお裾分けしても良いよね」
 猟兵(魔法少年)の力に目覚めていない弟は共に世界を渡れない。だから、此処に来たのは悠だけ。家で待つ半身の為に、秘密裏に持ち帰ろうとひと掴みした、その時。
「いいっす! 持てるだけ詰めて帰っるっす! これくらいちょろいっす!
 ポップコーン屋さーん、紙袋が欲しいっす!」
 耳聡く聞き付けた梅印のグリモア猟兵が二つ返事で快諾し、直ぐさま地上の店主からテイクアウト用の紙袋を取り寄せた。グリモアの力は、その身に付けた物ならば、世界を越えて運ぶ事ができる。手荷物程度のお土産を届ける事などお手の物だ。

 饗は袋詰めを手伝ってくれた。大柄な身体に釣り合う大きな手――大人の手でひと掬い。悠の倍ほどの菓子を掌にのせ、紙袋に流し込み速やかに満たして。
「斉賀さんって優しいんっすね、持って帰ってあげるとか、なかなかしないっす。良い心がけっす!」
 想わず褒められ、擽ったくて、「えへへ」と柔く笑む。
「あっ、そうだ、写真を撮らなきゃ!
 信に見せる写真も、頑張って撮るぞ!」
 立派に成った土産袋を受け取って、誤魔化す様に切り出し、魔法少年変身用のデバイスを兼ねる青空色のスマートフォンを取り出し、逃げる様に駆け出した。

「……ここだっ!」
 狙い済ましたワンショット。
 ディスプレイには、光の点を描いて開く大輪の牡丹火花が咲いた。続けざまにシャッターを切れば、柳の枝が垂れ下がる様に流れ落ちる黄金炎の滝が、映える構図で写りこむ。
 発射音の起点で花火の開花位置を予測し、咲きざまを見切って撮っているのだ。これぞ、動的視力に長ける歴戦の猟兵(魔法少年)の成せる技。臨場感溢れる夏がフォトフォルダーに保存されて行く。
「グリモア猟兵さん、一枚撮って貰えるかな」
「良いっすよ!」
 ノリノリで何時もの魔法少年ポーズを決め、花火とポップコーンを伴い写り込む。
 後程、映像を共に見るであろう、信の顔がチラついて頬に熱が宿るのを感じた。照れ臭い、でも、自然と明るい笑みが零れた。
大成功 🔵🔵🔵

灰神楽・綾
【梓・f25851】アドリブ歓迎

ポップコーン食べるのかなり久しぶりかも
シンプルな塩味くらいしか食べたことなかったけど
最近は色んなフレーバーがあるんだねぇ

いいこと思いついたよ梓
お互いにこっそりと店主さんに注文して
打ち上げられた花火の形を見て
何のフレーバーか当てっこするっていうのはどう?

まずは梓のポップコーンからだね
えーと、あれはイチゴかな
隣にはブドウもあるね
その周りに小さな粒もいっぱいあって…
あ、分かった、ミックスベリーだね?
あはは、梓ってば俺の好みが分かってるぅ

ふふふ、難易度高かったかな?
正解はねー、明太マヨネーズ味でした
あの魚はスケトウダラだよ
んーっ、唐辛子がよく効いてて美味しい(むしゃー


乱獅子・梓
【綾・f02235】アドリブ歓迎

トウモロコシが花火で打ち上げられる光景、
なかなかにシュールだな…
ぽーんとトウモロコシが空に向かっていく様を見上げつつ

ほほう、お互いに何を注文したか
分からないというのは面白いかもしれないな
よし分かった、その案乗った

花火が上がると甘く爽やかな香りに包まれる
おう、大正解だ
甘味と酸味が同時に楽しめるフレーバー
見た目も赤色と紫色でなかなか洒落ているだろう
綾はこういう美味くて「映え」なものが好きだろうと思ってな

綾のポップコーンは…
えーと、あれは多分唐辛子で…隣には卵と…魚…??
脈略が無さすぎて全く分からないんだが!
悔しいがギブアップだ
なるほど明太マヨ…って分かるか!


 寄せては返す潮騒の音を遮る騒々しい破裂音。
 夜空に大輪の花火が咲き、歓声があがる。その声は空から降ってきた。
「なかなかにシュールだな……」
 乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は呆れ声で突っ込んだ。
 猟兵だろうか、今まさに樹葉色のベストスーツに身を包む若者が飛んでいった。
 人が打ち上げられるだけでも奇抜だが、同時に、トウモロコシまで『\ぽーん/』と、射出されるのだ。日除け眼鏡の曇り硝子越しに見える、現実離れした光景に、突っ込まずにはいられなかった。

「ポップコーン食べるのかなり久しぶりかも」
 その声を隣で聴きながら、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は店の軒先に並ぶフレーバー札を順に眺めつつ、感心していた。
「最近は色んなフレーバーがあるんだねぇ」
 無理も無い。ポップコーンなぞ、好き好んで口にする機会は無い。もし食べても精々シンプルな塩味だ。キャラメル等の甘味は勿論、カレーやチーズ味と云われても想像し難い。だが、此程多岐に渡るならーー。
「いいこと思いついたよ梓」
 閃いた享楽に、紅染め眼鏡の奥に潜む、鋭利な細眼を更に細めて、喜色を浮かべた。

「ほほう、お互いに何を注文したか、分からないというのは面白いかもしれないな」
 綾の提示は、打ち上げられた花火の形から、注文したフレーバーを推し量ると言う物。
「よし分かった、その案乗った」
 断る理由が無い。
 料理が得手な者に、食の題目で挑むとは片腹痛い。梓は勝利を確信し、自信に満ちた笑みを浮かべ快諾した。

 斯うして、綾対梓の男を賭けた大いなる戦いの火蓋が切られた。

●空へ
『ひゅるひゅるひゅる、ばーん! ぽぽぽぽーん!』

 赤、橙、黄の三重の星が尾を引いて描いた丸い菊花に着地した。
 見下ろせば、彼方下方に先程見ていた移動販売車。浜辺を抜けた其の奥に広がる穏やかに揺れる夜の海。
「摩訶不思議だね。この上に百人乗ったとしても大丈夫じゃないのかな?」
 芝居染みた大袈裟な振りで両の手を広げ、無垢な子供の様に身を翻し回れば漆黒のコートが踊る。トントン軽快に鳴るロングブーツの下、花火の床は一向に崩れる気配はない。
「踏み外しても知らないぞ」
 呆れ顔で念押しを一つ。余計と理解していても、言わずに居られないのは面倒見の良いオカン体質故か。
 綾は何時も通りに軽く流し、横に張り出した長い《-・(横線の光)》を椅子替わりに、二人肩を並べて腰掛けた。

●先手、乱獅子・梓のオーダー。
『ひゅるひゅるひゅる、ばーん! ぽぽぽぽーん!』
 赤苺が空に跳ね、追う様に鈴生りの葡萄の房が浮き上がる。
 其処へ、赤と藍の小玉が千輪に咲き、取り囲んで咲き乱れる。
「えーと、あれはイチゴかな、隣にはブドウもあるね、あの粒は――」
 眉間に皺寄せ、首を傾げた。其処に甘く爽やかな香りが漂って来た。此れは知らぬ物では無い、確かに何処かで触れた物。一唸りして記憶を掘り返す。
「あ、分かった、ミックスベリーだね?」
 ぱっと頭上に電灯マークが浮かび上がる程、明るく晴れやかな顔をした。
「おう、大正解だ」
 梓は口角を上げ肯定の頷きを返す。其の白コートの両肩では、子竜の颯と零が拍手で祝福して。

「見た目も赤色と紫色でなかなか洒落ているだろう」
 花の周りに積もる二色の雲を掬い、摘まんで口に運ぶ。
 砕けるコーンと共に、甘味と酸味が同時に広がり、口を賑やかす。
「ほいひいねえ」
「食べるか話すか、どちらかにしたらどうだ」
 話の花も賑やかに咲き乱れて止まる事を知らない。
「綾はこういう美味くて『映え』なものが好きだろうと思ってな」
「あはは、梓ってば俺の好みが分かってるぅ。これ、撮っていいのかな?」
 言い終わる頃にはシャッターを切り終わっていた。理由は簡単、答えを聞く間でも無いのだから。「もう撮ったのか」と、呆れる声を聞き流し、スマートフォンを慣れた手付きで操作して、イェスタアプリを立ち上げる。生れ立ての映えを自慢する為に。

●後手、灰神楽・綾のオーダー。
『ひゅるひゅるひゅる、ばーん! ぽぽぽぽーん!』
 中央に魚がドンと陣取り、隣に寄り添う様赤楕円が並ぶ。
 白山一つ、黄丸一つ、白と黄色の水溜まりが一つづつ、ポンポンと爆ぜて。
 最後に赤細線の束が引かれた。
「えーと、あれは多分唐辛子で……隣には卵と……魚……??」
 顎に手を当てながら狼狽えた。頭上には『??』が並んで浮かぶ。
 魚と唐辛子が理解できても、残りは抽象的で形から推し量るのも至難の業だ。抑々、魚と唐辛子とは。
「脈略が無さすぎて全く分からないんだが!」
「ふふふ、難易度高かったかな?」
 焦る姿を見て、綾は愉快愉快とクスクス笑んだ。

 残す手掛かりは香りだが、此方もまた難解だ。油臭く焦げた匂いがする。決して不快ではなく、心地良い美味な物である。
 液体の一つが油だとすれば、白山は調味料だろうか、甘い匂いでは無い、ならば恐らく塩だろう。もう一つの液体や黄円も気掛りだが、それ以前に、矢張り魚が立ち塞がる。幾ら嗅いでも、魚や磯の匂いが無い、さて何処へ行った。
 考えれば考える程、魚の異常さが際立って、疑問が湧き出て埒が明かない。

「悔しいがギブアップだ」
 降参するように、肩を竦め黒手袋で覆われた両手を軽く上に挙げた。
「正解はねー、明太マヨネーズ味でした」
「なるほど、明太マヨ。じゃあ、あの魚は」
 では、件の謎の魚は如何なる物か?
「あの魚はスケトウダラだよ。
 明太子はスケトウダラの卵巣を加工したものなんだよね」
 悪びれずに続けた。
 そう、綾の花火はフレーバーの元となる原材料を並べていた。『油、塩、酢、黄身、スケトウダラの卵こと明太子、唐辛子』が正解だ。
「……って、分かるか!」
「んーっ、唐辛子がよく効いてて美味しい」
 悔し気な指摘など、何処吹く風だ。綾の興味は既に他所に移り、後味がピリリと効いたポップコーンをむしゃーと頬張り、舌に来るビリビリでピリピリしていた。
「聞けよ!」冴え渡る突っ込みが夜空に響いた。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

鳴北・誉人
饗を誘い遊んで食う

饗、ポップコーンだ!
\ぽぽぽぽーん!/
ノリノリでバンザイ

好きな味にしてくれンだって
俺はキャラメル
甘いの食いたい気分
キャラメルだったらどんな花火上がンだろォな
それも楽しみ
饗は?梅か?唐揚げか?
なんて冗談めかし
彼の選ぶポップコーンも楽しみ

爆ぜる音と香りに心躍らせ
しょっぱいポップコーンも追加
やっぱ甘いだけじゃァしんどくなってきたァ…
きょーお
見て見てェ、缶ビール持ってきたァ
一緒に飲もォ
たまには缶のままでいいだろ
一本ずつな
\カンパーイ!/
缶をコツンとぶつけ合って

これっくらいじゃあデキあがンねえ
もうちょい持ってくれば良かったなァ
新し親分にゃ感謝だな
めっちゃ楽しめたァ

笑んで幸せを噛み締める


「\ぽぽぽぽーん!/」
「\ぽぽぽぽーん!っす!/」
 色白い拳と陽に焼けた拳、突き上げられた四つの拳が夜空に刺さる。
 空に昇った日は落ちても、顔にのぼった日は落ちない。鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)と、相棒の香神乃・饗は晴れ晴れと笑顔を交わしてポップコーンの移動販売車へ。
 フレーバーは、定番、甘味、変り種、何でも御座れ。好みの味が其処に有る。
 軒に並ぶ札を眺めるだけでも心が躍る。

「俺はキャラメル。甘いの食いたい気分。饗は? 梅か? 唐揚げか?」
 冗談めかして言ったが、誉人は知っている。何時も彼は誉人と同じ物を頼む、だから。
「――っ。じゃあ、梅と唐揚げにするっす!」
 きゃの口の形をしていた。中断して、言われた通りのオーダーに変わる。
 目を丸くして「いいのかよォ」と確認しても、「いいんっす!」硬い決意を示し譲らなかった。
 その真剣さが可笑しくて、「あはっ」と笑ってしまった。
「キャラメルだったらどんな花火上がンだろォな」
 見上げた空に魚が泳ぐ。誰か焼き魚味でも頼ンだかァ。

『ひゅるひゅるひゅる、ばーん! ぽぽぽぽーん!』

 シュルシュルと音を立て、回転を伴い変則的に揺れながら蜂の様に飛び回る星が小道を作る。
 その上に降り立った二人はまだ話の花を咲かせていた。
「キャラメルはキャラメルの花が咲くんじゃないんっすか!」
「キャラメルには花なんかねえだろ」
 思わず苦笑する。キャラメルは砂糖から作る加工物だ、植物から採れる物ではない。「そうなんっすか!」目を丸くする純な大男の背で梅の花が咲く。グリモアの光とは違なる大振りの梅は、梅の香りを纏う仄かに朱に染まる雲を残した。続けて、唐揚げが宙に舞う。揚げ油の臭いが漂い、茶に染まる雲が積もった。
「次はキャラメルかァ」
 間髪入れずに打ち上げ音が響き、パンと弾ける音と共に、火に照らされ金に染まる。
 柳の枝の如く星が枝垂れ流れて落ちて、轟きながら金色の大滝を創り出す。
「きょーお! 滝だ! キャラメルの滝だ!」
「カッコいいっす!!」
 心の底から凄いと思う事の表現には語彙力は要らない。高揚する心の儘、飾らぬ言葉で騒ぎ立て、鮮烈な炎を目に焼き付けた。

「あはっ、焼けた! 美味そう!」
「早速、頂くっす!」
 焼きたてのポップコーンを摘まんで口に放り込む。
 カリリと軽快な歯応えで、キャラメルのあまじょっぱい薄膜が砕け、くにゅりと柔らかな弾力ある実が顔を出す。
 破裂の蒸気が抜けきる前に甘い膜で封じられた実は弾力に加えて存在感も増す。
 頬張ればポップコーンを食べているという確かな満足感が得られる。でも、
「やっぱ甘いだけじゃァしんどくなってきたァ……店長、塩追加だァ」
 後ろに仰け反り甘えて凭れ掛かる様に、くたりと相棒の大きな背に身体を預けた。
「たーかと、俺も甘いの食べたいっす! 交換するっす!!」
 そこに援護射撃のお裾分け。唐揚げと、梅を両の掌に一盛りづつ差し出す饗。箸休めは此処に在り。
 誉人はほくほくと隣に座り直して「あーん」と大口を開けた。饗が慣れた手付きでその口に放り込むのは、ずっと二人で居てるから。梅の酸味をかみ砕き「美味ぇ」と舌鼓を打った時、空に塩の香の大花が咲いた。

「きょーお。見て見てェ、缶ビール持ってきたァ、一緒に飲もォ」
 蕩ける甘え声で、トートバックから取り出したビール缶を緩く振った。保冷袋で守られていたのだろう、冷えた銀缶が水滴の汗を掻く。
「用意良いっすね、でもコップは持ってきてないっすよ。店長に貰えないか聞いてみるっすか」
 地上を覗く饗を制止し、断る様に首を横に振った。気取らずに居たい、珠には缶の儘で「一本ずつな」と手渡す。
 プルタブを開け、プシッと炭酸が弾ける音をあげた、缶を掲げて。
「\カンパーイ!/」
「\カンパーイ! っす!/」
 合わせた缶がコツンと鳴る音を皮切りに、ぐいっと一口煽れば、苦みを纏った冷たい泡が、喉を一気に通り抜けた。
 ぷはっと漏れる吐息。口元に生える白泡の髭。幾度見ても笑える剽軽な顔に、揃って相好を崩して、再び口をつける。
 頬に熱を感じ、白磁の肌か仄かに桃に染まる。然し、意識の混濁は無い、寧ろ、鮮明な程。この程度の酒量では、デキあがる筈もない。其れ処か、
「もうちょい持ってくれば良かったなァ」
 射干玉の如く艶やかな髪をかき上げ、寛ぎの息を吐いた。
 その顔には笑みが止め処無く溢れて。
 美味い酒、美味い肴、美味い花火、そして共に過ごす美味い空気、心が満ち足ない筈がない。
 心の裡で、この場の作成者、新し親分に感謝の念を抱きつつ、誉人は笑んで幸せを噛み締めた。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年08月02日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵