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Colorful Night

#カクリヨファンタズム #お祭り2021 #夏休み

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#カクリヨファンタズム
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#お祭り2021
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#夏休み


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●それはとっても煌びやか
 カクリヨで開催された水着コンテストは大盛況で幕を閉じ、残された会場は暫くの間は開かれたまま。
 では、そこで何が行われるかと言うと――。
「ビーチの一角がな、めっちゃカラフルな光でライティングされるんやって!」
 八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)が興奮したかのように猟兵達に向かって、ぴょんっと跳ねた。
 それはあたかもナイトプールを模したかのように、青や紫、ピンクに黄色、場所によって色を変えるカラフルな光。ちょっとムードのある空間があったり、大騒ぎするのに相応しいような空間があったりと、多種多様なんだとか。
 もちろん場の雰囲気に合わせて、フードやドリンクの提供だってある。ちょっとお洒落なかき氷にサービスドリンク、それは間違いなく気分を上げてくれるに違いない。お酒が飲める年齢なら、お酒も出してくれるんだもの!
「しかもな、妖怪親分たちが妖怪花火を打ち上げてくれるんやって」
 なんとこの妖怪花火、猟兵達が乗って一緒に打ち上げられたり、花火で空中に生じる模様の上で空中散歩を楽しんだりもできるという夢が溢れた仕様なのだ。
「一緒に打ち上げられて、海に落ちるんもええし」
 カクリヨ仕様なので怪我などは一切しない、バンジージャンプ的なスリルが味わえるらしい。
「打ち上げられた先で空中散歩を楽しむんも絶対楽しいやろなぁ……!」
 絶え間なく打ちあがる花火の上を歩くなんて、考えただけでも楽しそう。こちらも、怪我はしないし地上に降りる時もふわふわっと降りて来るので着地を心配することもないだろう。
「海で泳ぐんも、綺麗にライトアップされた浜辺で落ち着いたひと時を過ごすんも、皆の自由やね!」
 きっと、思い出に残る夜になるはず。
「水着がなくたって、夏の思い出は作れるよってな!」
 普段着で行ったって絶対に楽しいと菊花が笑うと、柏手を一つ打ってグリモアを呼び出し、ゲートを開いた。


波多蜜花
 閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
 夏です、水着です! こちらは一章のみのお楽しみイベントシナリオとなっております。夏の夜の海を皆で楽しみましょう!
 水着は特に希望がなければ今年の水着を勝手に描写する場合があります。水着をお持ちでない方も、☆をプレイングのどこかに入れてくだされば、勝手にイメージで水着を着せます(ない場合は特にプレイングでの指示が無ければ描写致しません)

●受付期間について
 恐れ入りますが、受付期間前のプレイング送信は流してしまう可能性が非常に高くなっております。断章が入り次第受付期間(〆切を含む)をお知らせいたしますので、MSページをご覧ください。
 また、人数やスケジュールの都合によっては再送をお願いする場合がございます。なるべく無いように努めますが、再送となった場合はご協力をお願いできればと思います。

●できること
 カラフルな光でライトアップされた海で遊ぶ、浜辺でまったり休憩しながら屋台を楽しむ、妖怪花火と共に打ち上げられる、妖怪花火が咲く空の上での空中散歩、これできるんじゃないかな? とお考え頂いたこと等々、自由度高目でお送りいたします。
 POW/SPD/WIZは気にしなくて大丈夫です。

●同行者について
 同行者が三人以上の場合は【共通のグループ名か旅団名+人数】でお願いします。例:【夏3】同行者の人数制限は特にありません。
 プレイングの失効日を統一してください、失効日が同じであれば送信時刻は問いません。朝8:31~翌朝8:29迄は失効日が同じになります(プレイング受付締切日はこの限りではありません、受付時間内に送信してください)
 未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反するプレイングなどは一律不採用となりますのでご理解よろしくお願いいたします。

●その他
 プレイングでのご指定がありましたら、こちらの所持するグリモア猟兵がご一緒致します。もし何かあればご用命くださいませ、プレイングに記載なければ登場することはありません。

 それでは、皆様の素敵な夏の夜をお待ちしております。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み2021』

POW   :    妖怪花火で空へGO!

SPD   :    妖怪花火の上で空中散歩

WIZ   :    静かに花火を楽しもう

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●いろとりどりの
 それは不思議な光景で、それでいてカクリヨらしいと思えるものだった。
 海の色が薄っすらとライティングされた色に光って、至る所に大きなフロートが浮いていて。
 大きな貝殻の形をした物から海の生き物を模した物、ドーナッツやケーキの形をした物、大人数で座れるタイプの物から一人で気楽にぷかぷかできるような物まで、なんだか楽しそうな雰囲気がびしばしと伝わってくるかのよう。勿論、あなたのお気に入りのフロートや浮き輪を持ち込んだっていい。
 浜辺には様々な屋台が並び、夏の海にぴったりなかき氷やドリンク、ちょっとした軽食などが食べられるようになっている。それらをフロートの上で楽しむのだって、とっても素敵。
 まさしくナイトプールならぬナイトビーチ、空には絶え間なく花火が打ち上がり、素敵な夜を演出している。時折、一緒に打ちあがった者の悲鳴や歓声なんかも聞こえて来るけれど。
 さぁ、猟兵達の年に一度の夏休み、どうぞ目一杯楽しんで――!
灰神楽・綾
【不死蝶】◎
☆サーフパンツ姿

アヒルさんのフロートに乗り
かき氷を食べながら打ち上げ花火を見上げる
絶え間なく打ち上がる花火は飽きることなく
いつまでもボーッと眺めていられそう
うーん、なんて優雅な時間
なんだかセレブになった気分だよ

ふと、あることを思いつく
梓ー、俺ちょっと気分転換に空から花火見てくるね
梓を置いて空へと向かう
空から見たビーチはこんな感じなんだなぁ
海に浮かぶフロートがまるで花が咲いているようで可愛い

えーと、確か梓はあの辺にいたはず…
目標を定め、そーれっと元気にジャンプ
いわゆる紐なしバンジー
おーい、梓ーっ
ちょっとお間抜けな驚いた顔の梓に手を振りつつ
彼のすぐそばに華麗にゴール
ふふ、びっくりした?


乱獅子・梓
【不死蝶】◎
☆サーフパンツ姿

まさに俺の為に用意されたようなドラゴンのフロートに乗り
ハワイアンカクテルを片手に綾と共に花火を眺める
普段ならビール派だが、今回は気取ってお洒落な酒をチョイス
焔と零は子供用のフロートに二匹くっついて乗って寛いでいる
とってもかわいい

おー、じゃあ俺はここで待ってるから行ってきな
そうして綾を見送り…
流石にこの距離じゃあ、どれが綾なのか分からないな
…お?もしかしていま真上にいるのが綾か?
やっぱりそうだ、だんだん大きくなってきて…え?
何で大きくなっ… おわーっ!!?
空から落っこちてきた綾が俺のすぐそばに着水
盛大に水しぶきがかかったが何とか酒は死守
とんだサプライズだ…!!



●セレブリティに夜空を臨んで
 空を見上げれば花火、海へ視線を戻せば赤や白色にライティングされた海。遠く離れた沖の方は真っ暗だけど、ビーチにほど近いこの場所はゆらゆらとフロートに乗って浮かぶには最高のロケーションであった。
「最高だな……」
 思わず、といった風に零したのは乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)で、大きなドラゴンのフロートに悠々と腰掛け、手にするのは夏のビーチにぴったりなハワイアンカクテルだ。
「ほんと、いいところだよねぇ」
 梓の声に答えたのは可愛いアヒルさんのフロートに乗った灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)で、手には大盛りのかき氷。しゃくしゃくという音を波間に響かせながら梓と同じように打ち上げ花火を堪能している。
 また、二人のフロートの間には子ども用サイズのフロートに焔と零が二匹くっついて乗っていて、見る者の笑みを誘うほど可愛らしく寛いでいた。
 絶え間なく打ちあがる花火はどれも美しく、たまに愛嬌のある形の花火が打ちあがるのも見ていて飽きることがない。隣り合ったフロートの上で時折あの花火、と笑ったりして穏やかな時間そのものだ。
「梓、今日はビールじゃないの?」
 いつもならこういう場所で飲むものはビールだと思ったんだけど? と綾が問えば、ハワイアンブルーの液体が入ったパインとハイビスカスが飾られたグラスを揺らし、梓が笑う。
「普段なら断然ビールだが、こういう場所だしな」
 要は場の雰囲気、あとはちょっと気取ってお洒落なカクテルをチョイスしたというわけだ。
 ついでにフルーツとチーズの盛り合わせなんかもあって、完全に南の国でのリゾートを演出している。
「あはは、何かわかるかも」
 そういう綾が手にしているかき氷はハワイアンブルーのシロップにソフトクリームと生クリーム、パインやパッションフルーツなどが盛られていて、こちらもまた南国気分を盛り上げていた。
「カクリヨなのにね」
「それは言うな」
 言わなければ、本当に南国と変わらないくらいのビーチなのだから。
 一日中打ち上げられている鮮やかな花火を海の上でぷかぷかフロートに揺られて眺める……なんて贅沢なひと時。
「うーん、こういうのを優雅な時間っていうのかな」
「そうだな、なかなか出来ない贅沢だな」
 なんだかセレブになった気分だと笑う綾に、わかる、と梓が頷いた。
 暫くの間そうやって、ぷかぷかゆらゆら、セレブな時間を過ごしていると、何かを思いついた綾が梓に声を掛けた。
「梓ー、俺ちょっと気分転換に空から花火見てくるね」
「おー、じゃあ俺はここで待ってるから行ってきな」
 すっかり食べ尽くしたかき氷の器を手にし、綾がサーフパンツを翻して海へと入り浜辺へと泳いでいく。ちなみに、今日の水着は以前UDCアースに行った時に二人で買った揃いのサーフパンツだ。
 浜辺についた綾は器を返してから、打ち上げ花火が行われている場所まで行き、妖怪達に花火ごと空へと打ち上げてもらう。
「あははは、これ楽しいねぇ!」
 花火と共に打ち上げられるなんて、中々ない体験だ。
 今日はその中々ない、を目一杯楽しんでいる気がして、打ち上げられた空の先で立った綾が笑った。
「空から見たビーチはこんな感じなんだなぁ」
 それなりの高さから見るビーチは小さく、けれど海に浮かぶフロート達はまるで花が咲いているかのようにも見える。
「可愛いな」
 ふっと笑って、空中散歩だと花火の上を歩く。そのうちに、多分あれがさっきまでいた場所だろうと思うフロートを見つけて綾がにんまりと微笑む。
「白いドラゴンのフロートに、アヒルさんフロート……うん、あれだね」
 目標を定め、綾がくふふと笑って――残り数段の階段を飛び降りるかのような気安さで、海へ向かってそーれっ! と、元気にジャンプした。
「さて、綾がどの辺にいるか……までは分からないな」
 一方、梓はといえば綾はどこだろうなと気楽な気持ちで空を見上げていたのだが。
「ん?」
 今、綾の声が聞こえたような?
「もしかして、真上にいるのが綾か?」
 それにしては、なんだかどんどんこっちへ近付いてきているような、大きくなってきているような。
「え? なんで大きくなっ……」
「おーい、梓ーっ!」
 口を開けてこちらを見ている、ちょっとお間抜けだが可愛くも思える驚いた顔の梓に向って、綾が手を振り。途中で綺麗な宙返りを見せつつ、綾が彼の乗るフロートのすぐ近くに綺麗に着水してみせた。
「おわーっ!!?」
 上がる水飛沫、揺れるフロート。勿論、梓に向って盛大に水飛沫が掛かったのだが、酒に海水を入れるわけにはいかないと必死でグラスを死守した甲斐もあり、ハワイアンカクテルは確りと無事であった。
「ふふ、びっくりした?」
 ドラゴンのフロートの端に掴まって、水も滴るいい男とばかりに綾が笑う。
「とんだサプライズだ……!!」
 まったく、と言う梓にきゃらきゃらと笑って、綾が今度は梓も一緒に行こうと誘うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーチェ・ムート
【彩夜】

ふふ、はしゃいでるルーシーがかわいくて
頬がどんどん緩んでゆく
そうだね、海も嬉しそうだ
こんなにも色とりどりの海は初めて見たかも
初めてをルーシーと経験出来て嬉しいなぁ

海というと涼しいいめーじがあったけど
夏はさすがにその限りじゃないんだね
湿気でむんむんしてる!
細くて白くて小さな、かわいい手を握り返して
かき氷!一緒に食べよう!

うーん、わたしはぶるーべりー味
なんていったってルーシーと似てるからね
悪戯っぽく片目を瞑って

かき氷を楽しむと花火が打ち上がる
わあ…っ!
心臓に響く音、目を惹く鮮やかな彩
こんなにも綺麗なんだね

海に花火にかき氷
夏の良い所をぎゅぎゅっと詰め込んだひととき
また遊びに来ようね、ルーシー


ルーシー・ブルーベル
【彩夜】

わわ、見てルーチェさん!
海がピカピカ、色とりどり!
何だか海もうれしそう
わたしも!ルーチェさんと初めてうれしいわ

夏の海は夜も暑いのね
会場の熱気のせいかもしれないけれど……あ!
あちらでかき氷が頂けるのだそうよ、行ってみない?
と、手を引いて

お味が沢山で悩むけど……桃味にする!
淡いピンクのシロップがルーチェさんみたい、っていうのはナイショ
ルーチェさんは何にしたの?
――ブルーベリー味!
華やかなウインクについ頬が緩む

ひんやり美味しいかき氷を楽しむと打上げ音が心臓に響いて
頭上で鮮やかに花咲く
花火ってこんなに大きくて、キレイなの

海にかき氷に花火を大好きなお友だち
今とっても夏マンキツ中!
ええ、もちろん!



●輝く色にのせて
 ひっきりなしに聞こえてくる花火の音を聞きながら、可愛らしいピンクや元気いっぱいの黄色、ちょっと不思議な青色に光る海を指さしてルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)がルーチェ・ムート(十六夜リーリエ・f10134)を振り返る。
「わわ、見てルーチェさん! 海がピカピカ、色とりどり!」
 ひらりと白いパーカーの裾を揺らし、水色に黄色の水玉模様がキュートなワンピースタイプの水着を着たルーシーがぴょんっと跳ねた。
 それと一緒にルーシーが手に持つイルカのぬいぐるみも一緒に跳ねるものだから、ルーチェの頬がどんどん緩んでしまう。はしゃぐルーシーの可愛らしさに合わせてぬいぐるみまで可愛いなんて、反則級の可愛らしさなんだもの。
「何だか海もうれしそうに見えてきちゃうわ!」
「そうだね、海も嬉しそうだ」
 人工的な明かりで照らされているとはいえ、こういう海なのだと言われたら信じてしまいそうなほど自然なライトアップにルーチェも目を輝かす。
「こんなにも色とりどりの海は初めて見たかもしれないな」
「ルーチェさんも? ルーシーもよ!」
 キラキラピカピカ、まるで宝物が隠されているような海だ。
「初めてをルーシーと経験出来て嬉しいなぁ」
 ルーシーだって、ルーチェさんと初めてが一緒でうれしいわ、とルーチェに向かってルーシーが柔らかく目を綻ばせた。
「夏の海は夜も暑いのね」
 夜になって太陽照りつける様な暑さはないけれど、それでもどこかむんとした湿気を感じてルーシーが吹いてきた風に小さく気持ちいい、と呟く。
「そうね、海というと涼しいいめーじがあったけど、夏はさすがにその限りじゃないんだね」
 夜の海を思わせるような、黒と青のワンピースのような水着の裾を揺らし、湿気でむんむんしてる! とルーチェが頷く。
「ね、やっぱりそうよね? 会場の熱気のせいかもしれないけれど……あ!」
 見て、とルーシーが指をさした先には、氷と書かれた旗が揺らめいている。
「あちらでかき氷が頂けるのだそうよ、行ってみない?」
「かき氷! 一緒に食べよう!」
 夜の海でかき氷、なんて素敵なのだろうとルーチェが笑う。そんな彼女の手をそっと繋ぎ、ルーシーが行きましょうと駆けだした。
 その細くて白くて、小さなかわいらしい手を握り返し、ルーチェも砂浜を駆ける。きゃあきゃあと楽し気な声を背に、花火が幾つも打ちあがっていた。
 かき氷の屋台はこれもまた可愛くライトアップされていて、屋台というよりは浜辺のお洒落なかき氷屋さんのよう。ディスプレイされたかき氷の種類は多く、どれにしようかと悩むのもまた楽しいひと時。
「お味が沢山で悩むけど……」
 どれもこれも美味しそうだけれど、ルーシーは桃味にする! と、ルーシーが淡いピンク色のシロップに桃がたっぷり飾られたかき氷を指さす。このピンク色がまるでルーチェさんみたいだったから、これにしたのはナイショの話。
 そうっとルーチェの方を窺って何にするのかと首を傾げれば、彼女がルーシーに向かって微笑む。
「うーん、わたしはぶるーべりー味!」
「ブルーベリー味!」
 ぱちりと目を見開いたルーシーに、ルーチェが悪戯が成功したみたいに片目をパチンと瞑る。
「なんていったってルーシーと似てるからね」
「ふふ、ルーチェさんったら」
 華やかな彼女のウインクに、ルーシーもその頬を綻ばせた。
 ルーシーは桃のかき氷を手に、ルーチェはブルーベリーのかき氷を手に、二人で浜辺のデッキチェアへと腰掛ける。
「ふわふわのかき氷に、ジューシーなシロップ……たっぷりフルーツに生クリームだなんて、贅沢なかき氷だね」
 ルーチェがスプーンでしゃくりと掬い上げ、口へと運ぶ。身体の熱を冷ましてくれるような冷たさに、ん~~! と小さく声を零して、美味しいと笑った。
「ひんやりしてて、可愛くって美味しくて……かき氷って贅沢なものだったのね」
 にしゃくしゃくと氷と生クリームを混ぜて口へと運び、その甘さと冷たさにルーシーが同じように、ん~~! と声を零して、顔を見合わせてくすくすと笑う。
「ね、交換っこしない?」
「! する、するわ!」
 ルーチェの魅力的なお誘いに、ルーシーが一も二もなく頷いて。
 そっと掬ったかき氷をあーんとばかりに互いの口元に寄せれば、可愛らしいお口がぱくりとかき氷を飲み込んだ。
「ん~甘くって美味しい!」
「甘酸っぱさが癖になってしまいそうだわ」
 顔を見合わせ互いのかき氷の味を褒め合って、時折交換しながら大きなかき氷を楽しんでいると、一際大きな打ち上げ花火が夜空に咲いて。
「わあ……っ!」
「わわ……! 花火ってこんなに大きくて、キレイなの」
 心臓に響く程の大きな音、目を惹く鮮やかな彩。
 かき氷を口に運ぶのも忘れて、暫し二人で空を見上げる。
「こんなにも綺麗なんだね……!」
 きらきらと、金色の光が海へと落ちていくよう。
 それはとっても美しくて、海の中へ落ちていった花火を探しに行きたくなるほど。
「また遊びに来ようね、ルーシー」
「ええ、もちろん!」
 海に花火にかき氷、それにとっても大好きなお友だち。
 夏の良い所をぎゅぎゅっと詰め込んだ贅沢なひと時。
 二人は今、とっても夏をマンキツ中!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
晴夜お兄さんf00145と
そう、夏といえば……双六です
異論は認めるが聞く耳は持たない
双六作ろう

というわけで、徐にこのくそ暑い中浜辺に線を引き始める。
最初は真面目にする
…?スイカ割?聞いてな……(消えた

大丈夫、書き直そう

そっちがそのつもりならこっちにも考えがある
お兄さんが横むいてる隙にマス目を書き直す

「このマスにとまったらお兄さんは死ぬ
「(前略)人狼は髪の毛が抜ける
「()身長177cm以上の人は納豆を食べる
さて、聞こえんなァ
よし、やろ…(波

……
いやいや、これはもっと厳しくしろってお達しのはずだから
めげないよ
いいだろう、3マスぐらいは慈悲で残しておいてやる
最後はゴール地点にはお兄さんの墓を建てる


夏目・晴夜
さてリュカさんf02586、夏と言えば?
そう、すご…双六…?
まあいいや
作りますか!

浜辺に大きく書いて、よし完成
負けた方がスイカ割りのスイカになるという事で
では開始!(波で全部消えた

気を取り直して
私は速さを活かして一気に完成させます
リュカさんはその様を眺めつつ褒めて下さい
「二回休んでハレルヤを褒める
「ハレルヤを褒めて一マス進む
「ハレルヤを十個褒める

…なんかマス書き直されてません?
しかも内容が悪質!ひど(波
これは当然の帰結ですね

いやそんな不屈の精神いりませんから
ちょっと、マスを独占しないで下さい!
私が書く分を最低三割は…三マス!?
しかも墓
人生という双六でハレルヤの心を折れというマスに止まりました?



●夏と言えば!
「夏ですね! リュカさん!」
 様々な彩に染め上げられた海を前に、夏目・晴夜(不夜狼・f00145)が狐シルエットのサーフパンツにビーチサンダル、白いシャツといった出で立ちでリュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)に振り向いて笑う。
「そうだね、夏だね」
 対するリュカも紺のサーフパンツにビーチサンダル、薄手のパーカーという夏らしい海にふさわしい格好だ。
「では、夏と言えば?」
「夏……」
 問われ、リュカが少しの間思案して視線を落とす。そして再び顔を上げ、迷いのない顔で告げた。
「夏といえば……双六です」
「そう! すご……双六……?」
 こんな素敵な海を前にして?? という顔をして、晴夜がリュカを見る。
「そう、双六。異論は認めるが」
「ですよね、夏と言えば」
「聞く耳は持たない、双六作ろう」
 ん~~強火! でもきっとリュカが言うならそうなのだろう、まあいいや、と思ったのもあるけれど。そう思いつつ、晴夜は思考を切り替える。
「作りますか!」
 双六! 何せこの場に双六はなさそうなのだ、であればハンドメイド。できればとびっきり夏らしい感じで!
 瞬時に壮大な構想を練り始める晴夜を横目に、リュカがおもむろに浜辺に線を引き始めた。
「リュカさん?」
「双六」
「あっはい」
 なるほどね、砂浜にでっかく作ろうってことですね、いやはやさすがリュカさんスケールが違う! そうとくれば、晴夜もいい感じの枝をその辺で拾って、リュカと一緒になってマス目を作り始める。
 割と真面目に作っていた双六は二人掛かりというのもあって、あっという間に完成してあとは遊ぶだけ!
「では、負けた方がスイカ割りのスイカになるという事で」
 勝負は非情なのです、とリュカが言う。
「……? スイカ割り?」
「夏と言えば双六ですが、スイカ割りも醍醐味の一つだと思うので」
 スイカ割りです、では開始! どっから出したのか、晴夜がピピーとホイッスルを鳴らした時だった。
 大いなる自然の驚異、大波が二人を襲ったのは。
「わ」
「ぶっは」
 残されたのは濡れネズミな二人と、まっさらな砂浜。
「……」
「……」
 ぽたぽたと雫を垂らしつつ、顔を見合わせる。
「大丈夫、書き直そう」
「ですね!」
 切り替えの早い二人なので、今度はもう少し海から離れた場所に双六のマス目を書き直す。
 先ほどと違うのは、負けた方がスイカ割りのスイカになるという敗者の定めが決定されていることであった。
「できました!」
「早い」
 速さを活かして一気に完成させた晴夜が棒切れを片手に、当然ですと笑っている。さすがSPD686は伊達ではない。いやほんとに早いね。
「リュカさんはもっと褒めて下さっていいんですよ!」
 褒めて伸びたい、そんな彼の願望……希望が反映されたかのようなマス目を見てリュカが黙る。
『二回休んでハレルヤを褒める』
『ハレルヤを褒めて一マス進む』
『ハレルヤのいいところを十個上げて褒める』
 全てのコマに晴夜を褒める、という一言が付いていた。
 そっちがそのつもりなら、こっちにも考えがある――。
「あ、あれ」
「えっなんです??」
 あれ、とリュカが指さした方向を晴夜が向いた隙に、素早くリュカが内容を書き直す。
『このマスにとまったらお兄さんは死ぬ』
『このマスにとまったら人狼は髪の毛が抜ける』
『このマスにとまったら身長177cm以上の人は納豆を食べる』
 うん、完璧。
「何もなかったですけどって、なんかマス書き直されてません?」
「気のせい」
 気のせいではない、完全に書き直されている。
「しかも内容が悪質! ひど」
「よし、やろ……」
 おっといつの間にかカクリヨ名物となった、突然の大波だ!!
「……」
「……」
 再び濡れネズミとなった二人と、消えた双六。
「これは当然の帰結ですね」
「いやいや、これはもっと厳しくしろってお達しのはずだから」
 めげないよ、とリュカが濡れた前髪を掻き上げる。
「えっかっこいい……じゃないです、いやそんな不屈の精神いりませんから」
 ここらで諦めてかき氷とか食べるところでは!? なんて晴夜の声もなんのその、初志貫徹であるとばかりにリュカが再び砂浜に線を引き出した。
「あっ! ちょっと、マスを独占しないで下さい! 私が書く分を最低三割は」
「いいだろう、三マスぐらいは慈悲で残しておいてやる」
「三マス!?」
 圧倒的な慈悲力を見せながら、リュカが黙々と双六を書き上げていく。
「これで……完成だよ」
 ゴール地点に建てた晴夜の墓を満足気に眺め、リュカが晴夜に振り向いた。
「しかも墓!」
 棒切れで雑に作られた墓に晴夜がクエスチョンマークを飛ばしつつ、リュカに問う。
「もしかしてリュカさん、人生という双六でハレルヤの心を折れというマスに止まりました?」
「ごめんね、ちょっと何言ってるかわからない」
 そんなことより双六だよ、双六。まさか俺の作った双六が出来ないとでも? という圧を感じる瞳に、晴夜はダイスを投げるしかなかった。
 二人の夏はまだまだこれからだ――!☆

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高宮・夜宵
【静かに花火を楽しもう】
夫のシン・ドレッドノート(f05130)と一緒に参加ねぇ。
今年の水着(赤のスリングショット)を着用。
浜辺で二人掛けのチェアに腰かけて花火を見ながらカクリヨのお酒を堪能ねぇ
ここでしか味わえないようなお酒を選んで屋台で買ったおつまみと一緒に味わいましょう♪

「どうですか、この水着?」
「…綺麗ですね、花火」
「美味しいです、これはお店でも出したいところ」


シン・ドレッドノート
我が愛する妻【高宮・夜宵(f02982)】と一緒に。

浜辺の大き目のデッキチェアに二人一緒に座って、打ちあがる花火を楽しみます。
今年は新調してないので、いつもと同じ赤い水着で。

あらかじめ屋台でグルメとお酒を買い込んで。
夜宵さんに寄ってくるナンパな男たちは、笑顔のまま歴戦の猟兵の威圧で蹴散らしましょう。

「何だか懐かしさを感じるカクテルですね…後でレシピ聞いてみましょうか?」
のんびりお酒を味わいつつ、空に広がる大輪の花を眺めます。

「改めてになりますが…今年も綺麗ですね。よく似合ってます」
いつもと違う夜空の下、新しい水着を纏った最愛の人の体温を感じながら、真夏の夜の夢のようなひとときを満喫しましょう。



●素敵な夜を
 青や紫、ピンクに黄色、美しくライティングされた海を一望できる浜辺のデッキチェアに腰掛け、高宮・夜宵(官能迷宮・f02982)は優雅に足を延ばしていた。
 豊満な体を赤いスリングショットの水着に包み、均整の取れた美しい肢体を惜しげもなく晒す彼女はビーチに訪れた男性妖怪たちの視線を釘付けにしているといっても過言ではないだろう。
『彼女ひとり? 一緒に花火でもみない?』
 なんてナンパされるのも致し方ないこと――。
「待ったかい、夜宵さん」
 そんなナンパ男の後ろから夜宵に声を掛けたのは彼女の旦那様でもあるシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)で、夜宵と揃いのような赤色の水着を身に纏い、手にはこのカクリヨビーチのオリジナルカクテル。
 優し気な笑みを浮かべ、視線だけでナンパ男を追いやると夜宵の元に跪くようにしてカクテルを渡す。
「このカクテルが一番夜宵さんに似合うと思ったんですが、どうでしょうか」
「ふふ、ありがとうございます♪」
 ロングのカクテルグラスにはピンク色の美しい液体からしゅわりと気泡が弾け、グラスの中にはエディブルフラワーが散らされていて華やかにして可愛らしさのあるドリンクに仕立て上げられている。
「素敵ね」
 シンが自分のことを考えて作ってもらってきたカクテルというだけでも嬉しいのに、と微笑みながら夜宵がグラスを受け取ると、シンもその隣に腰掛けた。
 もちろんおつまみにだって油断はない、チーズとフルーツの盛り合わせに生ハムのカナッペなど、ちょっと大人のテイストだ。
 夜宵に渡したものと同じカクテルを手に、シンが夜宵のグラスに近付ける。
「佳い夜と、夜宵さんに」
「ええ、素敵な夜とシンさんに」
 乾杯、という二人の声が重なって、グラスが涼やかな音を立てた。
 優美な仕草でカクテルを飲む妻を眺め、シンが楽しそうに笑みを零す。
「美味しいです、これはお店でも出したいところですね」
 爽やかな甘さと酸味、舌に感じる発泡酒の刺激、それに何より見た目も美しいと夜宵がシンに向かって微笑む。
「見目は華やかですが、何だか懐かしさを感じるカクテルですね……後でレシピ聞いてみましょうか?」
「ええ、ぜひ聞いてみたいです」
 後で二人で行きましょうね、と約束をしておつまみのチーズに手を伸ばす。
「このチーズ、味が濃厚なのに後味がしつこくないですね」
「あら、本当……フルーツも瑞々しくって美味しいです」
 二人でおつまみを食べながら、これはお酒と合うと笑ってはカクテルを一口。
 しゅわりと弾けるお酒が喉を通るのが心地よくて、また一口。
 そうやってお酒を楽しんで、ふと夜宵はシンに聞くのを忘れていたことを思い出し、艶やかな紫色の瞳をシンへ向けた。
「シンさん」
「何でしょう、夜宵さん」
「どうですか、この水着?」
 上半身をデッキチェアから軽く起こして、夜宵がシンに向かって軽く首を傾げて見せる。
「私としたことが……ええ、改めてになりますが……今年も綺麗ですね。よく似合ってます」
「ありがとうございます、シンさんにそう言って貰えるのが一番嬉しい」
 どちらからともなく指先を伸ばし、絡めて繋いで。顔を寄せ合ってくすくすと笑えば、夜空に大輪の花が咲いて繋いだ指先にまで響く程の大きな音が鳴った。
「………綺麗ですね、花火」
「ええ、とても」
 夜宵さんも、美しい。
 なんて囁けば、夜宵の頬がほのかに赤く染まって、それがまた美しくてシンは眦を優しく下げる。
 暫し二人で打ちあがる花火に視線をやって、今の花火は何の形だったかを言い合ったりして時折視線を交わらせては笑い合う。
「訪れてよかったです、こんなに素敵な夜になるなんて」
 思ってもみなかったと夜宵が繋いだ手に軽く力を入れて、シンに向かって彼にしか見せない笑みを浮かべる。
「良かった、夜宵さんに喜んでもらえたなら私も嬉しいです」
 愛する妻に喜んでもらえるのは、夫冥利に尽きますね、なんてシンが笑みを返す。
 いつもと違う夜空の下、隣には新しい水着を纏った最愛の人。指先から伝わる体温に、どちらからともなく顔を近付けて。
 そこから先は、夜空に打ち上がった大輪の花火だけが見ていた内緒の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

杜鬼・クロウ
【金蓮花】◎☆

澪の魔法は本当に人を笑顔にするなァ
お、凄ェ絶景!
今年の夏もお前と一緒に過ごせて良かったぜ
今回の水着も似合ってるし?照れンなや
この妖怪花火、触れるだけでなく乗れるンだよな

浮遊して軽く空を泳いだり寝そべる
色んな花火を面白そうに見る

ン?何か面白ェコトでも思いつい…って、ウワッ!いきなりはビビるだろうが!
…お前、ちゃんと食ってるか?軽すぎるだろ
ン、俺もやるぜ!

慌てて澪を受け止め
澪を自分の前に座らせて光と花の滑り台を一緒に滑る
風が心地良い
一緒にクッションにダイブ

結構スリルあったわ!
こんな経験出来るとは思わなかった(目爛々
勿論、俺も楽しかったぜ!

最後は空を散策

落ちたら澪が助けてくれよ(くす


栗花落・澪
【金蓮花】◎
水着:今年の。月の女神モチーフ

落下阻止に風魔法で浮遊補助しつつクロウさんと空へ

すごーい、足場も海も空もキラキラだぁ
み、水着には触れなくていいってば…!
そーだ、いい事思いついた!

上空で★花園展開
降り注ぐ花と花火に積もる花を見て

クロウさん見て見て!えーいっ!

滑り台のように光と花の曲線を滑りクロウさんにダーイブッ

えー食べてるよぅ、お菓子とかお菓子とか…
えへへ、ねっ
一緒に滑ろ!

2人で空中に設置した風魔法のクッションにダーイブ!
わーいキラキラ―!
空でスライダーなんて滅多に出来ない経験だよね
クロウさんも楽しかった?
ふふ、よかったー

あとは花火に乗ってのんびり空をお散歩もいいよね
落ちないでよー?



●花咲く夜に
 見たこともない彩に染まる海と浜辺に、すごーい! と声を上げたのは月の女神をモチーフにした白い薄紗を幾重にも重ねたキトンのような水着に身を包んだ栗花落・澪(泡沫の花・f03165)で、ひらりと裾を翻して後ろにいた杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)へと振り向いた。
「とっても綺麗だねっ!」
「ああ、カクリヨならではって感じだよな」
 澪の言葉に、シノワズリを意識したサーフパンツ姿のクロウが答える。ゆったり目のサーフパンツのサイドラインにはアジアンノットの飾り結びが飾られ、花と鳥の模様に調和していてクロウによく似合っていた。
「ね、空にいこうよ!」
「いいぜ」
 澪が風魔法で浮遊を補助するための術式を編み上げる。
「はい!」
 満面の笑みで差し出された手をクロウが掴み、手を繋ぐ。行くよ、という澪の声と共に、二人の身体がふわりと浮かび上がって、ゆっくりと空へと上昇していく。
「やるじゃねェか、澪」
「えへへ、クロウさんにそう言って貰えると嬉しいな」
「今回の水着も似合ってるし?」
「み、水着には触れなくていいってば……!」
「照れンなや、コンテストでも殿堂に入ってただろうが」
「も、もう!」
 手を繋いだまま他愛ない話で笑い、いつの間にか到着したのは花火が打ち上がる真上で、下を見ればまぁるく大きな花火が幾つも上がっているのが見えた。
「お、凄ェ絶景!」
「すごーい、足場も海も空もキラキラだぁ」
 花火よりも下方を見れば、カラフルにライティングされた海が一望できたし、浜辺だってキラキラと輝いている。こんな風景、見たことないと澪がはしゃいでクロウに笑いかけた。
 そのまま空に浮いて、時折軽く泳いだり寝そべってみたりと空を楽しみながら打ち上がる花火を眺める。花の模様であったり、星の形をしていたり、バズリトレンディを思い出すようなハート型の花火が幾つも打ち上がったりと、眺めているだけでも飽きることはない。
「そういや、この妖怪花火、触れるだけでなく乗れるンだよな」
 このビーチで打ち上げられる花火には不思議な力が働いていて、打ち上がった花火の上をまるで空中散歩のように歩くことができるというもの。その話を思い出し、クロウが澪に顔を向ける。
「そうみたいだね! うーん、そうすると……そーだ、いい事思いついた!」
 澪が少し考えるような素振りをして、パッと顔を輝かせる。
「ン? 何だ?」
「ふふー、見てて!」
 花火の上に立った澪が、とびっきりの魔法を見せてあげると笑って、歌を紡ぐ。
 歌声に合わせるように無数の花弁が辺り一面に降り注ぐ。そして、次々に花火の上に降り積もって、風に吹かれて再び花弁が舞い散り、まるで月夜を舞台にした花びらと花火のショーのよう。
 その美しさに思わずクロウの唇からも笑みが零れ、優し気に瞳が細くなる。
「澪の魔法は本当に人を笑顔にするなァ」
「まだまだ、これからだよ!」
 クロウより少し高い位置にステップを踏んで上った澪が、クロウに向かって手を振る。
「クロウさん見て見て! えーいっ!」
「ン? 何か面白ェコトでも思いつい……って」
 光と花の曲線を滑り台に見立て、澪が勢いよく滑り落ちて――。
「ウワッ! いきなりはビビるだろうが!」
 クロウの胸に、見事な着地を決めた。
 勿論、飛び込んできた澪をクロウがしっかりと受け止めたからだけれど。
「えへへ、楽しかったぁ!」
「ったく……お前、ちゃんと食ってるか? 軽すぎるだろ」
 あまりの軽さに思わず持ち上げて、クロウが澪に問う。
「えー食べてるよぅ、お菓子とかお菓子とか……」
「アウト、今度飯食わせてやるからな」
「えっほんと!? やったぁ!」
 この綺麗な景色の礼だとクロウが笑い、澪を立たせる。
「えへへ、ねっクロウさん」
「ン?」
「一緒に滑ろ!」
「おう、俺もやるぜ!」
 それじゃあ、と澪が風魔法で作ったクッションを空中に設置し、場所がわからなくならないようにと花びらを降り注ぐ。
「これでよし! いざ、風魔法のクッションにダーイブ!」
 ぴょん、と飛びついてきた澪を慌てて受け止め、クロウが澪を自分の前に座らせると光と花で出来上がった空の滑り台を一気に滑り降りた。
「わーい、キラキラー!」
「ハハ、風が気持ちいいな!」
 花火の中を滑り降りるのは爽快で、腕の中で澪がきゃあきゃあと楽し気に声を上げている。あっという間に風魔法のクッションに到着して、二人は柔らかなクッションに優しく受け止められて倒れこむと寝転がったまま夜空を仰いだ。
「空でスライダーなんて滅多に出来ない経験だよね! クロウさんも楽しかった?」
「勿論、俺も楽しかったぜ!」
 それは中々にスリルがあり、それでいて目に楽しい光景で。こんな経験ができるとは思わなかったと、クロウが爛々と目を輝かせた。
「ふふ、よかったー」
 よいしょ、と二人で立ち上がり、打ち上がる花火を眺める。
「あの花火に乗ってのんびり空をお散歩もいいよね」
「そうだな、最後に空を散策してから地上に戻るか」
 花火の階段を二人で上り、天辺まで歩く。
「クロウさん、うっかり落ちないでよー?」
 落ちたら海に真っ逆さまだよ、と澪が笑う。
 落ちたところでバンジージャンプのようなもの、傷を負う事なんてないけれど。
「落ちたら澪が助けてくれよ」
 少し屈んで隣を歩く澪に、クロウが笑いながら囁いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
WIZ
ナイトプールって行った事見た事ないけどこんな感じなのかしら?(カラフル空間眺め)
これの屋内バージョンなら確かに人の手でもできそうね。
屋外でできてるのはさすがカクリヨというべきかしら。

楽に座れるかゴロンと横になれるフロートを借りて、少し行儀が悪いけれど寝ながら花火を見たいわ。こぼれないようにキチンと蓋がある飲み物片手に、波にゆらゆら楽しそう。
飲み物は水果茶。以前UDCのお店で飲んでからちょっとはまってるの。
フレーバーティーとは違って、果汁の甘味とお茶のさっぱり感が絶妙なバランスで、暑さで食欲無い日はこれで済ませがちに……いえ、今はあの暑さは忘れましょ。
今日は休暇。ゆっくり過ごすんだから。



●波に揺らめく夏休み
 そのカラフルに染まった海とビーチに、思わず夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は目を瞬かせた。
「ナイトプールって行った事も見た事もないけど、こんな感じなのかしら?」
 ピンクに黄色、青に紫、ちょっと大人な雰囲気のあるライティングがされた海を眺め、藍が呟く。どんな原理で光ってるのかしら? なんて考えることが無駄だと思わせるくらいのスケール、さすがカクリヨの妖怪親分達である。
「ここを用意したのって……」
 ワイちゃんやで! という声が聞こえた気がして、藍が辺りを見回すけれど声の主はいなかった。
「んん、そうね、これの屋内バージョンなら確かに人の手でもできそうね」
 プール程度の規模なら問題なくできるだろう、機会があれば実物を見てみたいところだけれど、と藍が砂浜を歩く。
「でも、それを屋外で……海まで範囲に入れてできるのはさすがカクリヨというべきかしら」
 面白い場所よね、と笑って並ぶ屋台の一つに足を止める。
「水果茶……ここにもあるのね」
 どのサイズにしようか少し迷って、一番大きなサイズを注文すると、すぐに飲み応えのありそうな大きなサイズのカップが差し出された。
「これなら蓋も付いてるし、零れる心配も少ないわね」
 一口飲めば、様々なフルーツの甘みと紅茶の香ばしさが藍の口の中を幸せにしてくれる。
「ふふ、美味しい」
 以前UDCアースで飲んでから、藍がちょっとはまっている飲み物。そんなお気に入りのドリンクと開放感溢れるビーチ、折しも今日は新調したばかりのチャイナ風の水着で藍の機嫌も上向きで。
「少し行儀が悪いけれど、寝ながら花火を見ましょうか」
大きめなペンギンの形をしたフロートを借りて、夜の海へといざ出発! 勿論不思議な力で遠いところまでは行けないようになっているので、流される心配もないというもの。
 ゆらゆらと波に揺られ、リラックスしながら飲む水果茶は格別の味。
「フレーバーティーとは違って、果汁の甘味とお茶のさっぱり感が絶妙なバランスなのよね……」
 そう、あんまりにも暑さで食欲が無い日は、よくはないとわかっていてもこれで済ませがちになってしまうのだけれど――。
「……いえ、今はあの暑さは忘れましょ」
 海の上はさすがに少し涼しく、風が吹けば快適そのもの。
 絶え間なく打ち上がる花火はどれも美しく、見応えのあるものばかり。
「今日は休暇だもの、ゆっくり過ごすんだから」
 うっかり寝てしまったって、優しい妖怪たちが起こしてくれるだろう。
 今日はなんてったって、年に一度の夏休みなのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ディルク・ドライツェーン

アル(f26179)と
おおーっ、すっごい海が光ってて綺麗だな!
どれも楽しそうでどれから遊ぼうか迷う…
(花火の音に空を見上げて)
おおっ、やっぱ花火ってすごいなぁ
ん?普通の花火と違うのか?

えっ、空を歩けるのか!?
それはすっごい楽しそうだなっ!
アルと一緒に空を歩くとかやってみたい♪

花火と一緒に打ち上がるのか
(興味津々でワクワクしながらアルの手を握って)
アル、しっかり掴まっててな!
おおーっ、すごいな飛んでるっ!!
花火を見下ろすのって初めてだ
アル、あっち歩けそうだから行ってみようぜっ
(アルデルクの手を引いて模様の上を歩き)
おうっ、すっごい楽しいなっ♪


アルデルク・イドルド

ディル(f27280)と
さて、ディル今日は何をする?
ライトアップされた浜辺も綺麗だが…
(ふと視線を追えば花火に夢中なようで)
ディルが花火を見るのは二回目だな。
今回は普通の花火とは違うみたいだからもっと楽しめるんじゃないか?
(さすがカクリヨだと小さく笑って)

せっかくだから空中散歩ってやつをしてみるか?
普段いる海を上からみるのもいいかもな。
ん、じゃあやってみるか。

(花火とともに打ち上げられるのに内心ドキドキしながら)
ッディル。
(空に上がると慌ててディルクの手を取って離れないように)
ッすげぇなさすがにこんなのはグリードオーシャンじゃ体験できねぇ。
(いつもよりはしゃいだ様子で笑って)
楽しいなディル!



●空中散歩と打ち上げ花火
 遠目からでもわかるほどにキラキラと光る海、そして浜辺。それらは太陽の光で輝いているのではない、何故って今は夜なのだ。
 では、どうしてそんなに光っているのかといえば、そういう風にライティングされているからで――。
「おおーっ、すっごい海が光ってて綺麗だな!」
 赤、青、紫、ピンク、黄色、様々な色に煌めく海も浜辺も、どこもかしこもピカピカだとディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)がはしゃいだ声を上げた。
「そうだな。さて……ディル、今日は何をする?」
 そう問いかけるのはエキゾチックな水着に身を包んだアルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)で、腰布についた青いタッセルを揺らしながらディルクの隣を歩き、どうしようかと彼を見遣った。
「ん~、どれも楽しそうでどれから遊ぼうか迷う……」
 琥珀色の髪に光を反射させながらディルクが彼らしい返事をし、アルデルクに視線を向けようとして――花火が打ち上がる音に空を見上げた。
「おおっ、やっぱ花火ってすごいなぁ!」
 次々と打ち上がる大輪の花火は美しく、ディルクがライティングされた海に負けないくらいに瞳を輝かす。彼の視線を追って共に空を見上げたアルデルクも、夜空に咲く花に軽く目を奪われ、それから花火に夢中になっているディルクを見て笑みを零した。
「ディルが花火を見るのは二回目だな」
「ん、去年の夏にもアルと一緒に見たからなっ」
 初めて見た時はその音に驚いたものだけれど、今はそういうものだと理解しているから落ち着いたもの。
「今回は普通の花火とは違うみたいだから、もっと楽しめるんじゃないか?」
「ん? 普通の花火と違うのか?」
 こてん、と首を傾げたディルクに、アルデルクが今上がっている花火について話す。
 今回上がっている花火は通常のものとは違い、花火と一緒に打ち上げられることだってできるし、咲き誇る花火の上を歩くことだってできるのだ、と。
「えっ、空を歩けるのか!? すっごい楽しそうだけど……」
 本当に? と花火が打ち上がる空を眺めれば、人がいるような気がしてディルクが目を凝らす。
「ほ、ほんとにいる……!」
「さすがカクリヨだな」
 目を丸くするディルクの横で、アルデルクが小さく笑った。
「さて、せっかくだから空中散歩ってやつをしてみるか?」
「アルと一緒に空を歩くとかやってみたい♪」
「普段いる海を上からみるのもいいかもな」
 よし、やってみるかと笑ってアルデルクがディルクを連れて花火が打ち上げている方へと向かう。その途中、空中で何か飲むのもいいなとドリンクを販売している屋台に立ち寄った。
「タピオカミルクティー、だって!」
「へえ、タピオカ」
 四大親分の一人、バズリトレンディが推してるドリンクということもあって種類も充実しているらしく、中々に盛況だ。
「飲んでみるか」
「飲む!」
 ちょうどカップにシールもされて密閉されるのであれば、零す心配もなさそうだと二人はどれにしようかとメニュー表を見遣った。
「俺は黒蜜タピオカミルクティーにするかな」
「オレは、ええと……タピオカマンゴーミルクティーにするぞっ」
 大きめのカップがそれぞれの手に渡り、太いストローをちゅるりと吸い上げる。ちょうどいい甘さのドリンクと、もちもちのタピオカが口の中に飛び込んできて、二人で顔を見合わせて笑う。一口ずつ交換したりしながら、花火に打ち上げられる列に並んだ。
「タピオカって美味いもんなんだな」
「そうだな、これなら飽きもこなさそうだ」
 そんな話をしているうちに自分たちの番がきて、ディルクがカップを持っていない方の手でアルデルクの手を握る。
「今から花火と一緒に打ち上がるのか♪」
 興味津々、わくわくが止まらない、そんな表情をしてディルクが笑う。
「アル、しっかり掴まっててな!」
「ああ」
 平気そうな顔をしてはいるが、今から空に打ち上がるのかと内心ドキドキしながらアルデルクが頷いた。
 打ち上げられるのは一瞬のことで、花火がパァっと咲くのも一瞬のこと。
「おおーっ、すごいな飛んでるっ!!」
「ッディル」
「大丈夫だって!」
 本当に歩ける、とディルクがアルデルクの手を引っ張って花火の上をいく。次第に慣れてきたアルデルクも余裕が出てきたのか、空中から下を見下ろしてからディルクを見遣る。
「ッすげぇなさすがにこんなのはグリードオーシャンじゃ体験できねぇ」
 いつもより心なしかはしゃいだ様子のアルデルクを見て、ディルクも嬉しそうに笑った。
「楽しいなディル!」
「おうっ、すっごい楽しいなっ♪」
 タピオカドリンクをお供に、暫くの間空中散歩と洒落込んで。
 今年の夏も、たくさん思い出が増えそうだと、二人で顔を見合わせて笑うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神坂・露
レーちゃん(f14377)。
●白と青のストライプオフショルダービキニ。
「レーちゃん、海水冷たいわよ。こっちに来ない~?」
浜辺の波打ち際で足に海水をつけながら花火を見るわね。
浜辺で腰掛けてるレーちゃんを呼ぶけど一向に来ないわ。
…もぅ。海水冷たくて気持ちがいいのに…。
何度目かで漸くこっちに来てくれたけど足をつけない…の?
レーちゃんの表情はすっごく渋いわ。そっか。レーちゃんてば。
「レーちゃん。大丈夫よ。…あたし、手かしたげる♪」
手を差し出すと躊躇して動かないからあたしが引っ張るわ。
それでバランス崩して一緒に倒れちゃって海水浴びちゃった♪
「えへへ♪ ごめんなさい。でも、気持ちがいいでしょう?」


シビラ・レーヴェンス
露(f19223)。
●黒ビキニの上下に白パーカー。
何度も露に呼ばれているがあまり動きたくない。
夜になっても暑い。余り水…海水に濡れたくない。
海水に浸かりたいなら一人で…と言ったはずだがな。
しつこく呼ぶのでしかたがない。近くまでは行こう。

む。やはり濡れるのは…後々洗浄するのが面倒だからな。
と考えていたら手を差し出された。ん?大丈夫?何がだ?
しかも意味が解らんことを言われ笑顔で私の手を引かれた。
当然だが転倒しそのまま波に濡れてしまった。…全く。
くすくす笑う露の表情と明るい謝罪でどうでもよくなった。
「まあ、涼はとれたな…洗うのは大変そうだが」
仕方ないから二人でそのまま花火をみる。やれやれ。



●見上げた空には
 見た事のない海と浜辺にシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)がぱちぱちと目を瞬かせる横で、神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)が楽しげな声を上げる。
「わ~、すっごく綺麗ね~♪」
 普通であれば夜の海は暗く、怖いとすら思うものだろう。
 けれど、このカクリヨに用意されたビーチの海はどこからともなくライトが当たって綺麗に光っているし、浜辺だって夜の暗さはあれど砂浜をスクリーンにしたかのようにライティングされていて、とても綺麗なのだ。
 白と青のストライプ模様のオフショルダービキニ姿で、露が砂浜を駆けて波打ち際に立つ。
 寄せては返す波の動きにきゃあきゃあと笑って、素足を海水に浸せば思ったよりも冷たくて気持ちがいい。
「レーちゃん、海水冷たいわよ。こっちに来ない~?」
 名を呼ばれ、デッキチェアから黒ビキニに白いパーカーを羽織ったシビラが露を見遣る。それから、黙ったまま首を横に振った。
「夜になっても暑い……」
 動くのも面倒だとばかりにデッキチェアに背中を預け、時折吹く風に心地よさげに息を吐く。
「ねー! レーちゃんってばー!」
 動く様子のないシビラに、また露が彼女の名を呼ぶ。
「海水に浸かりたいなら一人で……と言ったはずだがな」
 きっと、すっかり忘れてしまったんだろう、あの娘は、とシビラが仕方なく起き上がる。
「余り水……海水に濡れたくないんだが」
「レーちゃん、レーちゃんったらー!」
 これは行くまで呼び続けるのだろうな、とシビラは色々諦めて立ち上がった。
 仕方ない、海には近付きたくないが近くまでは行くかとビーチサンダルで砂浜を歩き、露の近くまでやってくる。
「もう、レーちゃんったらずっと呼んでるのにこないんだもの~」
 今来てくれたからいいけど♪ なんてご機嫌な笑顔で露が言うと、呆れたような顔をしてシビラが言う。
「最初に、海水に浸かるなら一人でと言ったはずだが……?」
「あら? そうだったかしら?」
 やっぱり忘れていたな、という顔をしたシビラに、露がえへへと笑って両手を広げる。
「でもでも、海水、冷たくって気持ちがいいのよ!」
 暑い夜にはぴったりよ、なんて言いながら、露がステップを踏む様にちゃぱちゃぱと足を動かす。
「冷たいのか……いや、やはり濡れるのは……」
 後々洗浄するのが面倒だから、やっぱりいいと断ろうとすると露が何事か考えるような顔でシビラを見ていた。
「露?」
「レーちゃん……」
 レーちゃんの顔ってばすっごく渋いわ、どうしてかしら? もしかして……泳げないとかかしら? そっか、レーちゃんってば恥ずかしかったのね! なんて、彼女の中でしっかりと誤解が育ち切ったところで露がにっこりと笑う。
「レーちゃん。大丈夫よ。……あたし、手かしたげる♪」
「ん? 大丈夫? 何がだ?」
 わからないことばっかりだったけれど、差し出された手を掴んだら何かまずいことになるな、ということだけはわかった。
 わかったので、一歩足を後ろに引こうとしたら、露の手が逃げようとするシビラの手を掴み。
「そうよね、差し出すだけじゃだめよね」
「露?」
 動かないシビラに、任せてと笑って。
「えいっ」
「うわっ」
 思いっきり、手を引っ張ったのである。結果、どうなるかと言えば――。
「きゃー♪」
「わ、わわっ」
 当然、引っ張られた勢いでシビラは前につんのめり、露はそれを受け止めようとして、ばしゃーん! といい音を立てて二人して濡れねずみ、である。
「……全く」
「えへへ♪ ごめんなさい~、でもでも、気持ちがいいでしょう?」
 きちんと謝れるのが露のいいところだな、と思いつつシビラが大きく息を吐く。くすくすと楽しそうに笑う露の楽しそうな表情と、彼女らしい明るい謝罪でどうでもよくなったとシビラが波打ち際に倒れたまま夜空を見上げた。
「まあ、涼はとれたな……洗うのは大変そうだが」
「そんなの、あたしが洗ってあげるわ~♪」
 髪の毛も綺麗にしてあげる~、と露が言うので、髪の毛くらいは洗わせてもいいかとシビラが頷いた。
 そうして、打ち上がった花火を寝転がったまま二人で眺めて。
「綺麗ね~♪」
「そうだな」
 次々と打ち上がる花火はどれも少しずつ形が違って、今のは向日葵だったわ! 今のはチューリップ! と、露がはしゃいだ声を上げている。
 冷たい海水に身を任せ、もう暫くはこのままでいいかとシビラが小さく笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宵鍔・千鶴


【耀累】

傍らと繋ぐ手は自然に
確りと見失わないように

空の散歩、行こうか
辿る途すがら、爆ぜるおとも心地いい
見上げるばかりだった遠い夜空の華が
こんなにも近くで瞬き、模様の上を歩いてる
夜空へ昇る、美しい彩を移すきみへ微笑んで

引かれた手、娘のおねだりは花火の中でも甘く響く
…へえ。あれ、気に入ってくれたの?
良いよ、おいで
軽くきみを抱きあげて片腕に乗せれば
ほら、もっと空に近くなっただろ

菫、あんまり燥ぐと落としちゃうけど?
喜ぶきみがよく見える目線
ほんのり悪戯ぽく模様の上を態と跳ねて歩いて

見守ってるよ、雛の子
夜にぱっと咲いて耀く華に負けない程の
消えてしまうことのないひかりを
ずっと、ずっと


君影・菫
【耀累】


いつもみたいに繋ぐ
だいすきで落ち着くキミの手

あんな、うち空の散歩行きたいんよ
模様を辿れば爆ぜたおとも耳に馴染む
空へ昇る空華が咲いた路
何処を見ても綺麗な彩やけど
その中のちぃはいっとう綺麗でふわり咲う

――あ、
少し前に覚えた感覚を思い出して
繋いだ手を、くいくいと引く
うち、おとーさんと同じ高さで景色見たい

抱っこして?
見上げたすみれ色は娘の甘え色
軽く抱き上げられて浮遊感にご機嫌
ふふ、ふふ
むっちゃ綺麗やわ!
さっきとは違う景色やね…!

思わず子供に負けずはしゃいでまうけど
ええ子にするから落とさんといて?
戯れは知っとるけど

離さんで
いつまでもうちは雛やから
目逸さんで
空華より鮮明なキミのひかりで居たいから



●空に咲く花よりも
 彩に満ちた海を眺めながら、揃いのパーカーを羽織った宵鍔・千鶴(nyx・f00683)と君影・菫(ゆびさき・f14101)が歩く。その手はいつものように繋がれていて、迷子にならぬようにと千鶴が笑った。
「ふふ、うち、ちぃと手を繋ぐん」
 ひらり、オフショルダーのワンピースみたいな水着の裾を翻して、大好きやよ、と菫が笑う。
「俺も菫と手を繋ぐのは好きだよ」
 慈しむ様な家族への愛情を向けて千鶴が笑みを返すと、菫の笑みがまた一つ増えていく。
 きっと、傍目から見れば親子には見えないのだろうけれど、二人の間には血の繋がりはなくとも確かな絆があった。
 寄せては返す波の音と、絶え間なく打ち上がる花火の音。
 海から聞こえてくる楽しそうな人の声と、花火の上で遊ぶ人たちの声。
 どちらも夏の夜のBGMとしては相応しく、思わず笑みが零れてしまう。
「な、ちぃ」
「何だい」
「あんな、うち空の散歩に行きたいんよ」
 ほら、と菫が指さしたのは遥か上空、あかん? と首を傾げてねだる娘に、否と言える父がいるだろうか。
「空の散歩、行こうか」
 サーフパンツに咲く藤の花を揺らしながら、千鶴が菫の手を引いて花火を打ち上げている場所へと向かう。その間にも花火は打ち上げられて、爆ぜる音に二人で笑う。
「大きな音やね」
「これでも、控え目にしているらしいよ」
 そう言われてみれば、少し控え目かも……なんて二人で耳を澄まし、また空へと花火が弾ける音を聞いて笑った。
 花火の順番が回ってくると、一層手を強く握り合って共に打ち上げられる。
「わ、わ、ちぃ、すごい」
 ひゅるるる、と空へ向かって上っていく花火の上で、菫が目を真ん丸にして千鶴を見遣る。
「うん、すごい。もうすぐ咲きそうだ」
 弾ける瞬間を二人で寄り添いながら待てば、一瞬の間のあとに大輪の花が夜空に咲いて。
「すごい、すごいね……!」
 小さな子のようにはしゃぐ菫を笑みを浮かべて見守りながら、千鶴も普段であれば地上から見上げる花火が近くで咲く様を楽しんだ。
「何処を見ても綺麗な彩やね」
 でも、その中でもちぃがいっとう綺麗やと、菫がふわりと咲う。
「そうだね、とても綺麗だ」
 夜空に向かって咲く美しい彩を移す、きみの瞳が一番だと千鶴も笑った。
 光の華が咲いた路を、砂浜を歩いたように二人で歩き、時折立ち止まっては下を覗き込んで上がってくる花火を指さして大きく咲くのを眺める。まるで大きな花火に抱き上げられているようだと思って、菫が小さく「あ、」と呟く。
 少し前に覚えた感覚を急に思い出して、思い出してしまったらもう一度感じてみたくて。菫が繋いだ手をくいくい、と揺らすように引っ張った。
「どうしたの?」
「あんな、うち……おとーさんと同じ高さで景色見たい」
 花火の上がる音の中でも甘やかに響くおねだりに、千鶴が菫の顔を覗きこむ。
「抱っこして?」
 見上げてくるすみれ色は娘の甘えた色にそっくりで。
「……へえ。あれ、気に入ってくれたの?」
 こくんと頷いた仕草は小さな女の子のようで、千鶴は迷わず良いよと頷いた。
「おいで」
 両手を広げれば、そこへ収まるかのように菫が抱き着いて、千鶴が軽々と抱き上げて片腕に乗せる。
「ほら、もっと空に近くなっただろ」
 ふわりとした浮遊感に、千鶴の優しい腕の中に、菫が嬉しそうに笑う。
「ふふ、ふふ、むっちゃ綺麗やわ!」
 さっきとは違う景色だと、腕の中の娘がきゃあきゃあと楽し気にはしゃいでいる。その姿は愛らしくも可愛らしく、千鶴は思わず目を細めて彼女を見遣った。
「菫、あんまり燥ぐと落としちゃうけど?」
 けれど、しっかりと注意するのは父親の仕事。
 はしゃぐ彼女に小さく釘を刺し、ほんのりと悪戯っぽく笑って花咲く模様の上を態と小さく跳ねるように歩く。
「ふふ、ええ子にするから落とさんといて?」
 戯れは知っているけれど、それでも。
「落とさないよ、かわいい雛の子」
 ちゃんと見守っているから、と千鶴がしっかりと抱きしめて。
「離さんで、いつまでもうちは雛やから」
 その力強さと安心感に、菫が零すように囁く。
 どうか目を逸らさないで、今この瞬間にも光を放って咲く花よりも鮮明なキミのひかりで居たいから。
 腕の中の雛の願いに、千鶴が頷く。
 この夜にぱっと咲いて耀く華に負けない程の、消えることのないひかりを見守ると。
 ずっとずっと、いつかの日がきても、ずっと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

茜崎・トヲル
【モノクロフレンズ】◎☆

わー!すてきビーチ!あーさんあーさん見てみてー!
夜だからあーさんも元気いっぱいおっけいだね!キラキラだー!映えるってやつ!
このビーチ、あのヤバ耳親分のひとが作ったんだって!ひとりで!えっすごい……こわ……

よーしっスーさん海行こう!海ー!
えっなにその浮き輪!すごい!大きい!貸してかして、空気いれたげる!肉体改造で肺をぱわーあーっぷ!ヨシ!
あーさんサメ浮き輪乗って!おれが海にひっぱってってあげる!肉体改造で人魚にへんしん!ごー!
わーああっ……見てスーさん!花火だあー!きれいー!
いいの?!わーい乗るー!んふふ、友だちと遊ぶの楽しいね!

よーし、あとでフードオール制覇しよーね!


スキアファール・イリャルギ
【モノクロフレンズ】 ◎☆

えぇ、カラフルで本当に素敵なビーチです
真昼だと私ぺそーんってなってしまいますからね……
夜にこうして遊べる所があってよかった
新し親分さん、恐ろしやです……

では福引で当たったものすごくでっかいサメの浮き輪の出番です
持ち運ぶ為に一旦空気は抜いてしまってますが――え、トーさんが空気を?
すごい、一気に膨らんだ……!
流石ですトーさん、ヨシ!

わわ、いいのですか?
ではお言葉に甘えて……おぉ、すごい、楽しい
わぁ……とても綺麗な花火
友達とこうして見られてよかった
トーさんも折角ですから浮き輪に乗ってください、私が支えますから
ふふふ……えぇ、ほんと楽しいですね

よーし、食べまくりましょうね!



●夜の海で遊ぼう!
 夜の海といえば、イメージするのは暗くてちょっと怖い……そんな、少しだけマイナスなイメージだったりするのだけど、ここカクリヨにできたビーチの一画は一味違う。
「わー! すてきビーチ! あーさんあーさん見てみてー!」
 サイドラインに黒と赤の市松模様を施した白いサーフパンツを穿いて、いつもの衣装を薄手のパーカーに変えた茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)がぴょんと飛び跳ねてスキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)を見遣る。
「えぇ、カラフルで本当に素敵なビーチです」
 黒包帯を綺麗に全身に巻いた上に黒地に綺麗な火花が散るサーフパンツ、そして赤いラッシュガードを着たスキアファールが笑みを浮かべて頷いた。
 二人が言うように、このビーチは赤や白、青に紫、黄色にピンクといった光りに照らされて、ちょっとしたテーマパークのような雰囲気を醸し出している。不思議なことに海の中から発光しているようにも見えるし、浜辺だってどこから照らしているのかわからないけれど、何かいい感じにライティングされているのだ。
「夜だからあーさんも元気いっぱいおっけいだね!」
「真昼だと私ぺそーんってなってしまいますからね……」
 暑さにやられたしょんぼりたれ目の猫のように……とスキアファールがしみじみと言う。
「だから、夜にこうして遊べる所があってよかった」
 トーさんと思う存分遊べますからね! と笑うと、トヲルも嬉しそうに頷いた。
「キラキラだねー!」
「キラキラですね」
「おれ知ってる、これ映えるってやつ!」
「映える、妖怪の世界にもSNSってあるんですね」
 今や時代はグローバルなので、妖怪達も多種多様。それっくらいはきっとやってる、間違いない。
「そういえば、このビーチってあのヤバ耳親分のひとが作ったんだって! ひとりで!」
 ヤバ耳には触れんといてくださいよ、それはそれとしてワイちゃん有能ですまんやで(笑)って声が聞こえてきそう。
「えっすごい……こわ……」
 改めて考えると死ぬほどヤバいことに気が付いて、トヲルが改めてビーチを見遣った。
 ひとりで? ビーチを作る? 妖怪親分ヤバいな。
「新し親分さん、恐ろしやです……」
 難しいことはわからないけれど、多分きっとすごい妖怪パワーだったんでしょう、と言いながらスキアファールがものすっごくでっかいサメの浮き輪を出す。
「えっなにその浮き輪! すごい! 大きい!」
「これは福引で当たったものすごくでっかいサメです。出番かなと思って持ってきました」
 これはもう海に行くしかない、もう今すぐ海に浮かべたい。
「スーさん、貸してかして、空気いれたげる!」
「え、トーさんが空気を?」
 任せてー! と、浮き輪を預かって、ちょっとした肉体改造で肺を強化する。大きく息を吸い込んで、浮き輪の空気栓に吹き込んだ。
 一気に膨らむサメの浮き輪に、思わず拍手をしてしまうほど。
「すごい、一気に膨らんだ……! 流石です、トーさん」
「ヨシ!」
「ヨシ!」
 二人で浮き輪を担ぎ上げ、波打ち際に浮かべる。
「でっかいの、かわいくてかっこいーね!」
「本当に大きいですね、これ」
 二人くらい余裕で乗れてしまうのではないだろうか。
「あーさん、サメ浮き輪乗って! おれが海にひっぱってってあげる!」
「わわ、いいのですか?」
「もっちろーん!」
「ではお言葉に甘えて……」
 サメに乗り、トヲルがどうするのかと眺めていれば、海の中に入ったトヲルがニコッと笑って。
「肉体改造で人魚にへんしん!」
 新し親分のサービスだろうか、へんしん! と言った瞬間にトヲルの周囲がぴかぴかっと光って、収まったと同時にトヲルのサーフパンツから下が人魚の尾鰭になっていた。
「ごー!」
 トヲルがサメの浮き輪に付いていた紐を引っ張って、スイスイと海をいく。
「おぉ、すごい、楽しい」
 あっという間に浜辺から数十メートルと離れ、ふんわり光る海の上。
 空を見上げれば、絶え間なく打ち上がる花火の彩。
「わーああっ……見てスーさん! 花火だあー! きれいー!」
「わぁ……とても綺麗な花火」
 こうやって、友達と見られるなんて、贅沢で幸せなことだとスキアファールが笑みを零す。
「トーさんも折角ですから浮き輪に乗ってください、私が支えますから」
「いいの?! わーい乗るー!」
 うまくいけば二人乗れちゃうかも! と、トヲルがよいしょっと浮き輪に乗り上げて、二人でわあわあ言いながらバランスを取る。
「んふふ、友だちと遊ぶの楽しいね!」
「ふふふ……えぇ、ほんと楽しいですね」
 白いあなたと黒い私で、きっと丁度いい。
「よーし、あとでフードオール制覇しよーね!」
 いっぱい食べるぞー! と花火に向かって叫ぶトヲルに笑って、スキアファールが食べまくりましょうね! と頷く。
 夏の夜は始まったばっかりで、夜のカクリヨビーチはまだまだこれからが本番!
 思いっきり遊んで、夏の思い出を増やそうと二人が楽しそうに笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

稲宮・桐葉
【もふ堂】POW
今年の水コンの水着を着るのじゃ

はっはっはっ!
まさか花火で空へ舞い上がるとはの
胸のすく絶景じゃ!
…しかし、大丈夫じゃと言われても、足元がじわじわ来るのう
なんじゃ波瑠殿?
…気遣い感謝じゃ(差し出された手の意図を察し、照れながらそっと手を取る)

いやいや、わらわ、褒められる程のことは何もしておらぬ…が、その言葉ありがたく受け取ろうぞ

ふむ?
くっくっくっ!
何じゃ?よもや愛の告白など始めるのではなかろうな?
(冗談めかして、からからと笑う)

…っ!?
は、波瑠殿…
わらわは…
んむ…
何時ぞや、わらわも波瑠殿のことを想うておったのじゃろうな…
今、其方に告げられ確信したのじゃ
その想い、しかと受け止めよう…


華舟・波瑠
【もふ堂】POW
服装は草花が刺繍されたパーカーに、白の水着

花火の足場なんて想像したことも無かったわ。いやはや、花畑の様な輝きが壮観、壮観。
桐葉殿、落ちたらかんよ?ほれ、良かったら。
(花火の上を散歩しながら、手を差し出して)

しかし、桐葉殿はいっつも頑張っとられるよなぁ。水着も、グリモアも、もふもふ堂の事も。…そんな桐葉殿の事がな、大好きや!にひひ。

でな?一時のその場の熱で無く…俺の中に確かにある熱とわかったでな。だで、いつか言うと言うとった言葉、今言うわ。

桐葉殿、貴女を愛する気持ちなら、他の誰にも負けやせん。
凡ゆる世界で一番、俺が貴女を愛しとる。
俺が頑張る桐葉殿を支えるで…付き合うてはくれんか。



●君と咲いて
 薄っすらと海の中から輝いているかのような海と、彩の花を淡く咲かせるように照らされた砂浜。それでいて、夜の海という雰囲気を壊さない光景に、稲宮・桐葉(戦狐巫女・f02156)が紫の瞳を輝かせる。
「これは見事なものじゃの」
 もっふりとした立派な狐の尾を揺らし、白のホルターネックビキニに薄紗を纏った桐葉が楽しそうに華舟・波瑠(華の嵐・f16124)を見遣って笑う。
「綺麗やけど、これどうなっとるのやろなぁ」
 どこから光らせているのかと、首を傾げつつも草花が刺繍されたパーカーを羽織り、白のサーフパンツを穿いた波瑠が興味深げに辺りを見回す。妖怪親分達が一仕事してくれたのは聞いていたが、それにしてもすごいもんだと桐葉に向かって笑った。
 少しの間二人で砂浜を歩き、並ぶ屋台を冷かしていると夜空に大輪の花が咲くのが見えた。
「おお、花火じゃ」
「綺麗やねぇ」
 同じ形は一つとしてない花火を見上げていると、打ち上がると同時に人の声も共に上っていくのが聞こえて二人が顔を見合わせる。
「あれって……」
「そうじゃ、確かここの花火は一緒の打ち上がることができると言うておったな」
「あの花火のとこも、足場になっとるんやったか」
 花火と共に打ち上がり、咲き誇る花火の上を空中散歩できる――となれば。
「波瑠殿、ここはひとつ行くしかないな?」
「そんならひとつ、いこまいか」
 桐葉に誘われるままに波瑠が頷いて、踵を返すと花火を打ち上げている場所へと向かった。
 列はそれなりにあったけれど、一度に打ち上げられる花火の数もそれなり。すぐに自分達の番が回ってきて、勢いよく空へと打ち上げられる。上空まで上がったら、ぱぁんと開いた花火の上で目を瞬かせて笑い合う。
「はっはっは! まさか本当に花火で空へ舞い上がるとはの」
 愉快愉快、とばかりに桐葉が言えば、波瑠も花火で光る足場を軽く踵で蹴って本当に地面のようになっていることに感心したような声を出す。
「花火の足場なんて想像したことも無かったわ」
 それに、と次々上がってくる花火の輝きが足元で散っているのに頬を緩める。
「いやはや、花畑の様な輝きが壮観、壮観」
「胸のすく絶景じゃ!」
 うむうむ、と桐葉が頷いてから、改めて自分が立っている場所を見て――。
「……しかし、大丈夫じゃと言われても、足元がじわじわ来るのう」
 踏み外したら落ちてしまうのではないか、なんて余計なことを考えてしまって桐葉が小さく肩を震わせる。
「桐葉殿、落ちたらかんよ? ほれ、良かったら」
「なんじゃ、波瑠殿?」
 花火の地面から視線を移せば、そっと手を差し出している波瑠がいて、その意図に気が付いた桐葉はほんの少し頬を赤くしながら手を預けた。
「……気遣い感謝じゃ」
「これっくらい、なんてことないでな」
 笑いながら手を引いて、花火の上を散歩がてら二人で歩く。上から見る花火も丸いのだな、なんて話をしていると波瑠が改めて桐葉に声を掛ける。
「しかし、桐葉殿はいっつも頑張っとられるよなぁ」
「いやいや、わらわ、褒められる程のことは何もしておらぬ」
「しとるよ? 水着も、グリモアも、もふもふ堂の事も。……そんな桐葉殿の事がな、大好きや! にひひ」
「うむ、波瑠殿が言うのじゃ、その言葉ありがたく受け取ろうぞ」
 波瑠がそう言ってくれるのであれば、自分は頑張れているのだろうと桐葉が笑みを浮かべる。
「うん、でな?」
「ふむ?」
 波瑠が桐葉に向き合う形で足を止め、彼女を覗き込む。
「一時のその場の熱で無く……俺の中に確かにある熱とわかったでな。だで、いつか言うと言うとった言葉、今言うわ」
「くっくっくっ! 何じゃ? よもや愛の告白など始めるのではなかろうな?」
 なんじゃ、他人行儀じゃなと冗談めかしてからからと笑うけれど、波瑠の顔は真剣だった。
 その表情に飲まれ桐葉が黙ると、静かに波瑠が唇を開く。
「桐葉殿、貴女を愛する気持ちなら、他の誰にも負けやせん」
「…っ!?」
 桐葉の耳にだけ響く声は、どこまでも真摯で。
「凡ゆる世界で一番、俺が貴女を愛しとる」
「は、波瑠殿……」
 花火の音が、近いのに遠い。何よりもよく聞こえるのは、波瑠の声だけ。
「俺が頑張る桐葉殿を支えるで……付き合うてはくれんか」
 桐葉の手を握る手に、熱がこもる。
「わらわは……んむ……」
 頬が熱いけれど、己の気持ちを伝えなければと桐葉が言葉を探す。小さく息を吐いて、桐葉が波瑠の目をしっかりと見つめた。
「何時ぞや、わらわも波瑠殿のことを想うておったのじゃろうな……」
「桐葉殿」
「今、其方に告げられ確信したのじゃ。その想い、しかと受け止めよう……」
 破顔一笑、波瑠が桐葉の手を引いて、その柔らかな身体を抱きしめる。
 少し慌てた顔をしたけれど、その熱は心地よくて、桐葉はおずおずと彼の背に腕を回した。
 打ち上がる花火は二人に咲いた気持ちのように、いつまでも大輪の花を咲かせて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

サヨは完全に室内もーどだが折角の海
彼にも楽しい思い出を作って欲しい
大丈夫
私がしっかり捕まえている

巫女を抱えあげ海の中
サヨ!見てご覧
海が光っているよ
華が咲き誇っているようで美しい
零れる笑みはきみが腕の中にいるからこそ

目当てのふろーとの上にサヨを座らせ飲み物を買いに行く
落ちぬよう静かにしていてね

買ってきたのは黎明空と夜空のくりぃむそーだ
しゅわりと美味しいね
静かに乾杯して海の上
漂いながら花火を眺め
…笑うきみを眺めてひとときを過ごそう
サヨが落ちないように私が守る

飲み終わったら少し泳ごう
何と言っても光る海だ
手を離さないし私は嘘はつかない

夏に咲く櫻のいと美しきこと
この櫻が永遠に…咲いていてくれたなら


誘名・櫻宵
🌸神櫻

ををを私は泳がない、泳がないわよカム……!お部屋の横のビニールプールで……ひゃん!

初めての海にはしゃぐ神様はかぁいらし
あっという間に問答無用に抱えられて光る海の中
ぎゅうとしがみつきながら進む海と、満面の笑みのカムイが可愛くて愛しくてたまらないわ
まぁ海も悪くないななんて思っていたのに

なんで離すのようカムイ!置いてかないで!
暫し大きなカラス型のフロートの上に乗せられ震えていれば…

美味しそうな、くりぃむそーだ!

カムイと並んで飲むそーだは美味しいわ
落ちないようにしかと見守ってくれる神様の優しさだって美味しい

ええ…泳ぐの?
いいわよ
カムイが私の手を離さないで居てくれるなら

夏色の夜はこんなにも美しい



●夏色の夜
 きらきら光る海と浜辺、こんな風にライティングされた海はここ以外には中々ないはず。
 そんな海を目の前にして、誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)は朱赫七・カムイ(厄する約倖・f30062)の腕を掴んでぷるぷると震えていた。
「ををを、私は泳がない、泳がないわよカム……!」
「サヨ」
「わ、私はお部屋の横のビニールプールで……」
 まだパシャパシャとしていたいの、という願いを込めてひらりと可愛らしい水着を纏った櫻宵がカムイを見遣る。
 そんな櫻宵も可愛いと目を綻ばせつつ、完全に室内モードに入っている櫻宵をカムイがひょいっと抱き上げた。
「ひゃんっ!」
「大丈夫、私がしっかり捕まえているよ」
 しっかり捕まえてどうするというのか、まさかそんな海に行くなんてそんな、と櫻宵がわたわたしているうちに目の前には淡くカラフルに光る海が――!
「きゃーー」
「大丈夫、サヨ! ほら見てご覧?」
 カムイに促され、ううう、と唸りながらも櫻宵がカムイの視線の先を追う。
 そこは一面の海で、けれど真っ暗な怖い夜の海ではなく、ゆらゆらと光る優しい海で。
「海が光っているよ、まるで華が咲き誇っているようで美しい」
 ね? と優し気な笑みを浮かべて、カムイが少しずつ海の中に歩を進めていく。
 初めての海にはしゃぐ神様はかぁいらしく、櫻宵もきゅんっと胸を高鳴らせるけれど、これが果たしてときめきのきゅんなのか、水怖い海怖いやだやだやだーの怯えのきゅんなのかは、まだちょっとわからなかった。
ぎゅうっとカムイにしがみついたまま進む光る海、それを見て満面の笑みを浮かべるカムイ。
「私のカムイは可愛いわね」
 愛しくてたまらない、そんな気持ちを表したような櫻宵の笑みに、カムイがまた笑みを深めて。
「零れる笑みはきみが腕の中にいるからこそ、だよ」
「カムイったら……」
 ぎゅっと首にしがみつき、カムイの胸の辺りほどの深さまで来ると、カムイが見てご覧と櫻宵の視線を一つのフロートへと向けた。
「カラスの形?」
「そうだよ、このフロートにしようと浜辺にいる時から決めていたんだ」
 蕩ける様に笑う私の神様が可愛いわ! これならまぁ、海も悪くないわ、なんて思っていたのに――。
「なんで離すのようカムイ!」
「ははは、ちょっと飲み物を買いに行ってくるからね」
「や、置いてかないで!」
「大丈夫、その上で花火を見て待っていて? 落ちぬように静かにしていてね」
 カムーー! という櫻宵の叫び声を聞きつつ、カムイは心を鬼にして陸へと向かう。万が一落ちたって可愛い巫女が溺れたりしないように、しっかり結界を張ってからという念の入用だ。
 なるべく早く戻れるようにと急いで、カムイが浜辺に並ぶ屋台へと走る。
「うう、カムのばかぁ」
 ぐすぐすと涙目になりながら、大きなカラスのフロートの上で櫻宵がぷるぷると震えていた。
 桜を散らしたような水着を翻し、大急ぎでドリンクを両手に戻ってきたカムイがふわりとフロートの上に座る。
「サヨ、サヨ、泣かないで」
「うう、カムゥ……」
「ほら、これを飲んで落ち着いて?」
 カムイが手渡したのは黎明空の色をしたクリームソーダ、夜明けの空のようなクリームソーダを手に、櫻宵がパァっと顔色を明るくする。
「美味しそうなくりぃむそーだ!」
「私のは夜空のくりぃむそーだだよ」
 欲しかったら、私の分も飲んでいいからねとカムイが微笑む。
「本当? それなら、交換して飲みたいわ」
「勿論」
 可愛い巫女の機嫌が直ったようで、カムイはほっと一安心して櫻宵のカップに自分のカップをくっつけて、乾杯と囁いた。
「しゅわりとしていて、美味しいね」
「とっても! カムイと並んで飲むそーだは美味しいわ」
 自分が落ちないようにと見守っていてくれる神様の優しさだって、くりぃむそーだに負けないくらい、美味しいわ。
 ゆらゆらと波の上を大きなフロートに背を預け、二人で夜空を眺める。
 漂いながら見る花火はまたいつもと違っていて、ぴったりとくっついてクスクス笑って楽しんだ。
「サヨ、飲み終わったら少し泳ごう」
「ええ……泳ぐの?」
 不安げに揺らめいた櫻宵の手を優しく取って、カムイが指先に口付ける。
「何と言っても光る海だ、手を離さないし私は嘘はつかない」
 それにビニールプールで鍛えた成果をみせるときだよ、とカムイが笑う。
「……いいわよ、カムイが私の手を離さないで居てくれるなら」
「勿論、離さないよ」
 飲み終わったカップをフロートに残し、カムイが手を引いて櫻宵を光る海へと誘う。足が付く事をきちんと確認し、カムイの手をしっかり握って、まずはゆっくりと歩くことから。
「カムイ」
 名を呼ぶ櫻宵が可愛くて、夏に咲く櫻のいと美しきこと、とカムイの瞳が優しさに満ちていく。
 ああ、この櫻が永遠に咲いていてくれたなら。
 夏色の夜は、こんなにも美しく、愛おしい――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

飛砂・煉月
有珠(f06286)と!
◎☆

コンテストが終わった後も賑やかだなー
ね、自分達が花火みたいに打ち上げられるらしいよ
面白そうだしやってみない?
一緒にって差し出した手はキミへの欲

ふたり一緒に打ち上げて貰うけど
落ちる気なんて更々無いんだよね~
打ち上げられた反動を利用し、有珠の身体を無理なく引き上げ
模様の上へとんと着地
よし空の華が描く路で散歩しよってリズム良く歩けば
キミから跳ねる水飛沫が心地好い

うん、上から見る花火も新鮮
増えていく色と模様
自然と追う蒼に惹かれ、綻んで
その後はキミの蒼を覗く
――ね、楽しんでる?
オレの熱はきっと
繋いだ手越しに伝わってるだろうけど
キミへの想いは秘めた侭で、今日も楽しいってするんだ


尭海・有珠
レン(f00719)と
◎流れる水モチーフの水着で参戦だ(一昨年の

コンテストは賑やかだったな
陽射しも昼の熱も落ち着いた今なら多少身軽に動ける
花火に打ち上げられて空中散歩だなんて、涼みながら楽しむには最高だ
差し出された手をとり、空へ

一瞬落ちそうと足が竦むが
レンの手の熱を思い出せば、落ちる心配なんて要らないなという気持ち
花火が生む模様の上を、纏う水着の海から水飛沫を零しつつ跳ねて渡る

ふふ、上から見る花火というのも面白いな
次々と変わっていく空模様
色鮮やかな光を眼下に映す中に、覗き込む赤
――ああ、胸が躍る
花火の彩光と、赤と、君の熱がそうさせてくれるのだろうという想いは胸に秘めた侭
頷いて君の問いに頷くんだ



●花咲く気持ちは秘めたまま
「コンテストは賑やかだったな」
 流れる水をそのまま閉じ込めたような水着に身を包んだ尭海・有珠(殲蒼・f06286)がしみじみと二日間の賑わいを思い出して呟く。
 今年の水着コンテストの会場であったビーチは、夜になってすっかり静かに――なることもなく、有珠と飛砂・煉月(渇望の黒狼・f00719)が訪れた一画は妖怪親分達の不思議な力で綺麗にライティングされていた。
「コンテストが終わった後も賑やかだなー」
 打ち上がる花火を見上げ、赤いラインの入った黒のサーフパンツに紺色のシャツを羽織った煉月が同じように空を見上げる有珠に笑う。
「そうだな、でも陽射しも昼の熱も落ち着いた今なら、多少身軽に動ける」
 半魔半人のダンピールである有珠には、夏の日差しは少しばかり厄介なもの。けれど、こうやって夜になれば幾分か楽になるのだ。
 それを知っていたからこそ、煉月も夜のビーチへと誘ったのだが、やはり誘ってよかったと心の裡で小さく笑って花火を指さす。
「ね、自分達が花火みたいに打ち上げられるらしいよ」
「花火みたいに……?」
 一緒に打ち上げられた先では、打ち上がる花火を足場にして空中散歩もできるらしい。そう聞けば、不思議さよりも興味の方が勝ってくるというもの。
「花火に打ち上げられて空中散歩だなんて、涼みながら楽しむには最高だ」
「だろ? 面白そうだしやってみない?」
 一緒に、と差し出された煉月の手を、疑うことなく有珠が取って。
 ほんの少しの欲を隠したまま、煉月は繋いだ手を引いて歩きだした。
 花火と共に打ち上げられようとする人々が並ぶ列に二人で並び、上がる花火を眺めてはこういう風に上がるんだと二人で笑う。とうとう自分たちの番が来て、ちょっと緊張する有珠の手を煉月がしっかり握って笑い掛ける。
 その熱に身を任せるように微笑んで、有珠は煉月と共に空へと打ち上げられた。
「わ、わ」
「ほんとに打ち上がってるね」
 大丈夫、と笑っていればあっという間に花火は空の上、一拍置いて大輪の花が咲く。一瞬の浮遊感のあと、落ちると思った瞬間に有珠の身体を煉月が打ち上げられた反動を利用して引き上げた。
「華麗に着地、ってね」
 花火が咲かせる模様の上に、とんっと着地を決めて煉月が笑う。
「さすがだな、レン」
 鮮やかな着地に有珠が思わず笑って、そうだろ? なんて煉月が有珠の手を引いて歩こうと誘う。
 光の弾ける道は下を見ればカラフルな色をした海で、一瞬落ちそうな気がして有珠の足が僅かに竦む。けれど、指先から感じる彼の熱を思えば落ちる心配などないのだと、有珠もゆっくりと足を踏み出した。
「空の華が描く路で散歩なんて、中々ないよね」
 とん、とん、とん、とリズム良く歩けば、有珠の纏う水着から水飛沫が零れ、それがまた二人を繋いで心地好い。
「ふふ、上から見る花火というのも面白いな」
「うん、上から見る花火も新鮮」
 慣れてくれば下を見る余裕だって出てきて、足元の増えていく色と模様に二人で笑って、今の花火はハートの模様だった、星の模様だったと模様が次々と変わっていく様を楽しんで。
 そんな鮮やかな光が舞い散る中で、煉月の瞳は蒼い火花を自然と追いかけ、それに気付いて思わず赤い瞳を綻ばせると、今度は隣の蒼を覗き込んだ。
「――ね、楽しんでる?」
 囁かれた声はどこまでも優しくて、有珠は溢れる光の色の中で自分を覗き込む赤を捉える。
 ――ああ、それだけでこんなにも胸が躍るなんて。
 綻ぶ頬は、花火の彩光と、赤と、君の熱がそうさせてくれるのだろう、なんて想いは胸に秘めた侭。
「ああ、もちろん」
 それでも、隠し切れない熱を瞳に帯びたまま有珠が頷くと、煉月が嬉しそうに笑う。
 オレの熱はきっと繋いだ手からキミに伝わっているだろうけど。
 キミへの想いは秘めた侭で――今日も楽しいって、キミと一緒に居られて嬉しいってするんだと、煉月が繋いだ手をほんの少しだけ強く握る。
 花咲く気持ちは秘めた侭、足元で咲く花は尽きることなくいつまでも咲き続けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱葉・コノエ
永一様(f01542)と
黒のビキニとパレオ

永一様のことですから何か怪しい企みがあったと思ったのですが
随分と変わった催しに誘われたものです
空に飛んだ花火の上を渡るとは…なんだか新鮮な気分です

水着の持ち合わせはありませんでしたから、適当に用意したものではありましたが…それなら良かったです(興味は薄い)

その話し方は違和感すら感じますが……?永一様、いったい何を…?
(お姫様抱っこされて少し驚きを見せるも、そのままの状態で身を預ける)

永一様、先ほどの行為は一体何の真似でしょうか。
…いえ、貴方はそういう方でしたね。

あまり気になりませんでしたが…今日ばかりはこの催しを楽しむのも良いかもしれませんね


霑国・永一
コノエ(f15520)と
無難なサーフパンツ

花火の上を空中散歩とはUDCアースじゃお目に掛かれないし楽しみだなぁ。そう思わないかい、コノエ?
催しだらけの夏に裏山に籠るなんて無し無し。誘った甲斐もあったよ、水着も似合ってるじゃあないか。

おぉ、良い眺め。花火はアレか……よっと、乗れた。さぁお手をレディ。転ばないようにお気を付けください(異様にワザとらしく胡散臭い大仰な仕草)
ははは、その半眼、どうやら好評で何よりさぁ(笑)

そろそろこの辺から自由落下しようかな。では失礼(コノエの手を素早く取って落下しながら姫様抱っこ)

盗人らしく華麗に着地
よぅし、次は屋台にでも行こうかぁ。俺の奢りだから安心して良いさぁ!



●夏の夜は彼の庭
 カクリヨの夜のビーチに行かないか、なんて永一様のことですから何か怪しい企みがあったのでは……と疑いの気持ちを胸に朱葉・コノエ(茜空に舞う・f15520)はこの光り煌めく夜のビーチにやってきたのだけれど。
「花火の上を空中散歩とはUDCアースじゃお目に掛かれないし、楽しみだなぁ」
 そんな風に、霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)は緩やかに笑ってコノエに向かって振り向いた。
 夏の夜の海ということもあって、いつもの恰好ではなく金の砂子模様の入った黒いサーフパンツを穿いた永一が、そう思わないかい、コノエ? と彼女に問う。
「……随分と変わった催しに誘われたものです」
「そうかい? カクリヨならこれが普通なんだと思うよ」
 そんなものですか、と零すコノエも水着でおいでと言われ、黒のビキニと薄紗を重ねたような黒いパレオ姿だ。
「催しだらけの夏に裏山に籠るなんて、無し無し」
「私はそれで構わないのですが」
 ええ、無いよ、と永一が笑うのをコノエはそうですかと眺める。
「それにね、誘った甲斐があったよ。水着も良く似合ってるじゃあないか」
 黒い水着は彼女の鍛え上げた美しい身体によく似合っていて、夜でも目を惹くほどだ。
「水着の持ち合わせはありませんでしたから、適当に用意したものではありましたが……それなら良かったです」
 水着に対する興味も、永一からの評価にもいまいち興味は薄いけれど、褒めてくれるならば悪くはないのだろうとコノエが小さく頷いた。
「うん、本当によく似合ってるからね」
 そう言って、行こうかと永一がコノエを促す。
「どこにです?」
「決まってるだろう、花火に乗れるところさ」
 笑う永一の後ろで、大きな花火が上がる。少し遅れて大きな音が聞こえてきて、永一が花火の方へ振り向いた。
「おぉ、良い眺め」
 あっちで打ち上がってるってことは、あっちの方に向かって歩けば着くだろうと歩き出す。コノエはそれに頷いて、同じように花火が打ち上がる方へと足を向けた。
 カラフルな色合いに染まった浜辺を歩けば至る所に屋台が見えて、後で色々食べようか? と永一がコノエに問う。
「そうですね……後で」
 海の家のような屋台から、ちょっとお洒落なカフェ風の屋台まで幅広く並んでいて、見える名前も現代地球で人気のあるようなものばかり。見た事のない食べ物や飲み物は、少なからずコノエの気を引いて。
「……なんですか?」
「いや、何でもないよ」
 屋台に惹かれるコノエにどうやって餌付けしてやろうかなんて、決して考えていないったら。
 打ち上げ花火と一緒に打ち上げられよう、と思う人や妖怪は結構いたようで、それなりの列ではあったけれど絶え間なく上がる花火のお陰もあって二人の順番はすぐに回ってくる。
「これに乗ればいいんだね? よっと、乗れた」
 案内してくれる妖怪の指示にしたがって、先に永一が打ち上げられる花火に乗る。それから、コノエを見遣って。
「さぁお手をレディ。転ばないようにお気を付けください」
 異様なまでにワザとらしく、胡散臭いとしか言いようがない大仰な仕草で彼女を誘う。
「その話し方は違和感すら感じますが……?」
 心底胡散臭いものを見た、と言わんばかりのコノエの表情に、永一が弾けたように笑う。
「ははは、その半眼、どうやら好評で何よりさぁ」
 ああ可笑しいとばかりに笑って、眉根を寄せたままのコノエを引き上げる。
「さ、打ち上げられるとしよう」
「……はい」
 何を考えているかさっぱりわからない、という顔をしたコノエにまた笑って、火を点けますよという妖怪の言葉に体勢を整えると、二人を乗せた大玉は一気に空へと向かう。
 一番上まで上がり切ると、二人を乗せた大玉が大きく花開く。満開の花の上、確かに足場があるとコノエが不思議そうに花火の上を足先で確認する。
「本当にこの世界は不思議で面白いね」
「それには同意します」
 花火の上を少し歩き、空の上を充分堪能したならば。
「そろそろこの辺から自由落下しようかな」
「永一様?」
 いったい何を……? と、コノエが永一を見遣れば、スマートかつ素早い動きで永一がコノエの手を取って、まるでワルツでも踊るように後ろに下がるとバックステップを踏んで足場から宙に向かって飛んだ。
 そして、落下しながらもコノエを抱き寄せるようにして横抱き――いわゆるお姫様抱っこをしてみせた。
 最初は少し驚いたコノエだったけれど、落ちてしまっているものは仕方ないと大人しくそのままお姫様抱っこを受け入れる。永一はといえば、鼻歌交じりに華麗に着地を決めて怪盗の面目躍如といったところである。
 そのまま流れるような仕草でコノエを砂浜に下ろし、恭しく一礼をしてみせた。
「永一様、先ほどの行為は一体何の真似でしょうか」
「さっきのって?」
「……いえ、貴方はそういう方でしたね」
 聞いても無駄だと判断したのだろう、コノエは乱れた髪を簡単に直して次はどうするのかと永一を見遣る。
「よぅし、次は屋台にでも行こうかぁ。俺の奢りだから安心して良いさぁ!」
 奢り、という言葉にほんの少しだけぴくりとコノエの背の四枚羽が動く。それににんまりと笑みを浮かべながら、永一が行こうと促した。
「そうですね……今日ばかりはこの催しを楽しむのも良いかもしれませんね」
 夏ですから、と言ったコノエの瞳は屋台を向いていたとか、いなかったとか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

待鳥・鎬
【猫5】
あまりはしゃぐと子供っぽいから気を付けないと……え、妖怪花火すご!?
早く行こ、皆っ!

花火で打ち上げられて、そのまま光の上を次々ジャンプ
上も下も広げた手の先も、見渡す限り真っ黒な世界にあふれる光、色、音!
最初はフードの中に居た杞柳も一緒に飛び始めて
うーーん、これは楽しいっ♪
お、ナオさんもやりますねー!なんて言いながら皆に絡みに行こう

小さな蝶々さんの嬉しそうな笑顔を見れば、皆で来られて本当に良かったなと
ね、椿さん
海って楽しいですね♪

おや、あれは
皆を撮る黎さんを見付けて、すまほで一枚ぱしゃり
えへへー、そうですよ、やっぱり最後は皆で写らないと!
みいさんの掛け声に合わせて、最高の笑顔で
チーズ!


花厳・椿
【猫5】
カラフルにライトアップされてキラキラ光る水面
色んな屋台
目に映る全てがキラキラしてて素敵

中でも一番とびっきりに輝いているのは妖怪花火!
一緒に飛べちゃうの?
すごい
すごいわ!
こんなに高く飛ぶのは初めて
軽やかに飛んでいくみんなの真似して花火の上をジャンプ
楽しげに揺れるナオお姉ちゃんとみいお姉ちゃんの尻尾を追いかけながら
ふふ、風に任せて飛ぶよりもずっと楽しい
みんなの笑顔を眺めてそう思う
きっと、それは一人じゃないからね

鎬お姉ちゃんのフードから顔を出す杞柳ちゃんと目があってにっこり
うん、鎬お姉ちゃんの言った通りね
海ってとても楽しい!

写真?
可愛くとってね!
椿もみんなに負けないくらい満面の笑顔でチーズ!


神崎・ナオ
【猫5】
え~!? なにあれすごーい! 花火の上に乗れるとかデビキンでも見た事ないよ~!
わ~、鎬さん上手い上手い!
私も挑戦する~!
(自分も花火と一緒に打ちあがりながら、よろけながらも花火の上をスキップするように渡り歩いてみます)
みいさんと椿さんもやるぅ~! 負けないぞ~!(な~んて言いながら高い所を目指して)
うぁ~! 景色も凄ーい! 花火に乗って見る景色とか! カクリヨじゃないと体験できないね!

妖怪さん達に皆で飛んで遊んでる姿を撮ってもらったら映えるかも~!
わ~い! 撮ろ撮ろ! あっ! でもポーズ取るの結構難しぃ~!(わいわい楽しそうにカメラを構える黎さんや妖怪さん達にポーズ取りながら)


猫希・みい
【猫5】
妖怪花火?屋台?
わあわあ!すごいわね
全てがきらりら光って心が逸るよう

ふふ、鎬ちゃんってばはしゃいで可愛い
ナオちゃんも上手いわね
私もやってみようかな
花火の上をスキップするように

いいわね、写真を撮ってもらっちゃおう
椿ちゃんの笑顔もばっちり捉えて
ああ、なんて可愛いのかしら
浮き足立つ気持ちが止まらない

あ、黎くんがみんなを撮ってる!
鎬ちゃんの動きを真似て私も黎くんをぱしゃり!
一緒に楽しもう、と黎くんの手を引いて

妖怪さん、妖怪さん
良ければ写真を撮って貰えないかな?
ありがとう!
みんな、笑って笑って!
はい、チーズ!
素敵な夏の思い出をぎゅぎゅっと閉じ込めた一枚
みんなの笑顔を忘れない
宝物にするね


月詠・黎
【猫5】

沢山の煌めきに囲まれながら
ほう、妖怪花火とな?
何とも面白き催しよ

おやおや若人は元気じゃの
鎬が先陣か何とも頼もしき事よ
続くナオも元気じゃのう
みいは軽やかに之くものだ
椿は随分と樂しそうに飛ぶものじゃ
花乙女達は耀の中でよう輝く

…我は爺じゃからのう
ゆうるり花火模様の路を歩き昇り
皆の様子を見に之こうか
打ち上げに挑戦するには些か引き篭もりが祟っておるしな

我は皆の写真を撮ろうかの
佳き笑顔をレンズ越しに刻めば
樂しき想い出残しに出来るじゃろう
おや、我も撮り返されておる
愛らしき返しよの

ふふ、折角じゃから最後くらいは我も共に写ろうか
一枚くらいは全員で、の
皆で映れば、笑顔の花々咲く一枚
褪せぬ想い出と共に憶えて



●この夜をいつまでも
 夏の夜にお出掛けって、どうしてこんなにドキドキするのだろうか。
 それが煌びやかな海だというのだから、ワクワクだってするというもの。
「素敵、みんな素敵ね!」
 カラフルにライトアップされてキラキラ光る海も、砂浜をスクリーンにしたかのように映し出される模様のような光りも、その砂浜に並ぶお洒落な屋台も、みーんな素敵! と、白を基調とした花のようなボンネットを被り、蝶をモチーフにしたシフォンを重ねたような水着に身を包んだ花厳・椿(夢見鳥・f29557)が目に映る全てが素敵だと笑う。
「すっごく素敵よね! それに妖怪花火? って言うのかな、あの花火もすごいわ」
 わあわあとはしゃぐのはひらりとした薄紗を揺らす赤い金魚のような水着を着た猫希・みい(放浪猫奇譚・f29430)で、打ち上がった大輪の花火を指さす。
「え~!? なにあれすごーい! 花火の上に乗れるとか、デビキンでも見た事ないよ~!」
 花火の上で空中散歩を楽しむ人々を見つけ、スポーティなセーラー風のビキニを着こなす神崎・ナオ(魔王と勇者のハーフな悪魔・f32386)がすごいすごいと手を叩いた。
「え、妖怪花火すご!?」
 あんまりはしゃぐと子どもっぽくみえてしまうかも? なんて考えて、お淑やかにしていた待鳥・鎬(町の便利屋さん・f25865)がホルターネックのワンピースタイプの水着の裾を揺らして大きな声を上げる。
 あっと思った時にはもう遅かったので、ちょっとお淑やかな自分は諦めて、皆と一緒に空を見上げてすごいと笑う。
「ほう、妖怪花火とな?」
 くすくすと笑いながら、月下美人の咲く羽織を肩に掛け、夜色の水着姿で月詠・黎(月華宵奇譚・f30331)が大人の佇まいできゃあきゃあと可愛らしくはしゃぐ四人と同じように空を見上げた。
「何とも面白き催しよ」
 花火と共に人が打ち上がるとは、と笑えば椿がパッと目を輝かせて黎を見る。
「一緒に飛べちゃうの?」
「そのようじゃの、ほら見てご覧」
 黎が指さす先を全員が辿れば、確かに花火と共に打ち上げられんと並ぶ人々が見え、それと同時に打ち上げられていく人も見えた。
「わあわあ! すごいわね!」
「花火に乗って空に、え、妖怪花火やっぱりすご!?」
 みいと鎬が顔を見合わせ、それから椿とナオに視線を向けて。
 やる? 乗っちゃう? 乗って空に? そんなのって、絶対――楽しいに決まってる!
「椿も、一緒に飛びたい!」
「私も挑戦する~!」
 椿とナオがはいっと手を上げて、そわそわと三人を見る。
「私も、私もみんなと花火の上に行きたいわ!」
「私も、絶対楽しいに決まってるからね!」
 みいと鎬も一緒になって手を上げて、最後の一人である黎を見る。
「おやおや若人は元気じゃの」
 ならば我も行くとしようか、と黎が言えば四人がぴょんっと飛び跳ねて。
「よーし、そうと決まれば早く行こ、皆っ!」
 鎬が先陣を切って打ち上げ花火の列に足を向けると、おー! と笑ってナオと椿、みいが続く。その後ろを微笑まし気に黎が歩いた。
 打ち上げ花火に乗る人たちの列はそれなりに賑わっていて、五人は一番後ろに並んで順番を待つ。打ち上げる花火の数が多い為か、あまり待つこともなく順番が回っていく。もう少しで自分達の番だというところで、誰から乗る? と顔を見合わせた。
 どうしよう? と悩んでいる間にも列は進んでいくので、黎が我は最後でいいから皆でじゃんけんでもしてはどうじゃと提案する。
「じゃんけん、いいわね!」
 みいが黎に笑うと、四人でじゃんけんだと顔を突き合わせ、じゃんけんぽん! と声を合わせて手を出して――。
「私が一番だね」
 鎬が一番手となって大玉の上に乗って打ち上げられたのに続いて、ナオが打ち上げられていく。
「鎬が先陣か何とも頼もしき事よ、続くナオも元気じゃのう」
 楽しそうな二人に手を振り、次はみいと椿の番。
「みいは軽やかに之くものだ」
 黎に手を振りながら打ち上げられていったみいに笑い、次に打ち上がった椿のはしゃぎっぷりにも目を細め、開く花火に手を叩く。
「椿は随分と樂しそうに飛ぶものじゃ……っと、我は打ち上げに挑戦するには些か引き篭もりが祟っておるでな」
 丁重に断って花火の列を外れると、ゆうるり行こうかと地上から空に向かってふわり。花火が打ち上がった路を歩いて昇っていく。
 最初に打ち上げられた鎬は咲き続ける花火の上を飛び回るように次々とジャンプして、広げた手の先も、上も、下も、真っ暗な世界に溢れる光、色、音、その全てが鎬の五感全てを刺激して、楽しいで満ち溢れていく。
 羽織っていたフードの中に居た、あの日カクリヨで鎬の連れになってくれた柔らかな羽毛を持つ有翼の蛇、杞柳がひょっこりと顔を出して鎬に合わせるように一緒に飛び始める。
「うーーん、これは楽しいっ♪」
 くるりとターンを決めれば杞柳も同じようにくるりと飛んで、鎬が笑っているとナオがこちらに向かって拍手をしているのが見えた。
「わ~、鎬さん上手い上手い! 私も挑戦する~!」
 よろけながらも鎬の真似をして、花火の上をスキップするように渡り歩くナオの楽しげな声が響く。
「わ~、楽しい~!」
 最初は拙かったスキップだって、慣れてしまえば羽が生えたように軽やかになって、ナオの笑顔が花火に負けないくらいに咲いて。
「お、ナオさんもやりますねー!」
 鎬がナオの方へ向かうと、二人の次に打ち上げられたみいと椿の姿も見えた。
「ふふ、鎬ちゃんってばはしゃいで可愛い、ナオちゃんも上手いわね」
 ばっちりと二人が花火の上をスキップして渡り歩くのを見ていたみいが笑って、私もやってみようかな、と真似するように花火の上をスキップしていく。それはまるで猫がダンスを踊るかのように軽快で可愛らしく、鎬とナオがみいさん可愛いと声を上げていると、椿の乗った花火も綺麗に咲いて。
「すごい、すごいわ!」
 こんなに高く飛ぶのは初めてと、椿が軽やかに花火の足場の上に着地して、鎬とナオ、そしてみいの真似をするように次々と開く花火の上をジャンプして三人を追う。
「みいさんと椿さんもやるぅ~! 負けないぞ~!」
 もっと高いところを目指すんだとばかりに、ナオがもう一つ高く打ち上がった花火を目指してジャンプをすれば、その後ろからみいも軽やかに飛び乗って、揺れる二人の尻尾を追いかけて椿もとひらり舞い上がる。
「ふふ、皆楽しそうですね!」
 私だってと三人を追いかけて、鎬と杞柳も光る花火を階段のように駆け上った。
「耀の中でよう輝く」
 一番最後に空へとやってきた黎は、そんな花乙女達を見守るように見つめ、眩しいものを見るようにゆっくりと近付いて行く。
「うぁ~! 景色も凄ーい! 花火に乗って見る景色とか! カクリヨじゃないと体験できないね!」
「ふふ、風に任せて飛ぶよりもずっと楽しい」
 ナオと椿が顔を見合わせて楽しそうに笑うのを見て、鎬が小さな蝶々さんが楽しそうで、皆で来られて本当に良かったなとしみじみ微笑む。
「ね、椿さん。海って楽しいですね♪」
「うん、鎬お姉ちゃんの言った通りね、海ってとても楽しい!」
 鎬の首元にひょっこりと現れた杞柳と目が合った椿が、嬉しそうに笑う。
 そんな笑顔を見て、みいがなんて可愛いのかしらと眦を下げて笑って、笑顔がどんどん広がっていくかのよう。
「ね、妖怪さん達に皆で飛んで遊んでる姿を撮ってもらったら映えるかも~!」
 こんな素敵な皆の笑顔だもの、写真に納めなくちゃもったいないとナオが提案する。
「いいわね、写真を撮ってもらっちゃおう」
「わ~い! 撮ろ撮ろ!」
「妖怪さん、妖怪さん。良ければ写真を撮って貰えないかな?」
 みいが近くにいた妖怪に頼むと、勿論と快諾されてお礼を言いながらお願いする。
「写真?」
「ええ、写真を撮るんですって」
 椿の問いに鎬が答え、あっちですよと構えられたカメラを指さす。
「可愛くとってね!」
 なんて椿が笑えば、皆が笑みを浮かべてカメラのフレームに納まって。
「みんな、笑って笑って!」
 みいが声を掛けて、はい、チーズ! と花火に負けないくらいの笑みを咲かす。
「写真か、どれ」
 我も皆の写真を撮ろうかの、といつの間にか近くに来ていた黎もカメラを構え、彼女達の佳き笑顔をレンズ越しに刻んでいく。
「あ、黎くんがみんなを撮ってる!」
 一番に気が付いたみいが黎に手を振って、その隣にいた鎬がおや、とスマホを構えて自分達を撮ろうとしている黎をぱしゃりと一枚。
「おや、我も撮り返されておる。愛らしき返しよの」
「あっいいな!」
 鎬の動きを真似て、みいも黎をスマホのカメラでぱしゃりと撮って、彼へと駆け寄った。
「黎くんも一緒に楽しもう?」
 甘やかな声でみいがねだって、彼の手を引く。
「ふふ、折角じゃから最後くらいは我も共に写ろうか。一枚くらいは全員で、の」
 そんな可愛らしいお願いに黎が笑って頷き、共に写真に写ろうと花乙女達の方へと向かう。
「えへへー、そうですよ、やっぱり最後は皆で写らないと!」
「わ~、黎さんも一緒に? 撮ろ撮ろ! あっ! でもポーズ取るの結構難しぃ~!」
 五人でちょうど納まるようにと、ナオがこうかな? なんて言いながら妖怪が向けてくれたレンズに向けてポーズを決める。
「椿、みんなと一緒に写真撮るの、とっても嬉しい!」
 一人だったらきっとこんなに楽しくはなかったはず、皆と一緒だからなのだと椿がはにかんで。
「うん、私もとーっても嬉しいんだよ!」
 ほら、もう一回チーズ! とみいがカメラに向かって合図を送れば、皆の笑顔が花火と共に弾けてシャッターが切られた。
 笑顔の花々が咲いたこの一枚は、きっと皆にとって宝物になる一枚。
 色褪せぬ想い出と共に、どうかいつまでもこの時間を憶えていて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラファン・クロウフォード
【箱2】◎☆
はじめての水着にギクシャク
戒の水着姿に照れてドキドキ
いい色だな、似合ってる。今日も綺麗だ
相変わらず猫の絵上手だな。え?この猫、動かなかった?
不思議がいっぱいで面白い
いきなり水かけるって酷くね?
ずぶ濡れの頭をぶるぶる振って水しぶきをかける
花火に見惚れて、夜空の散歩に行こうと誘う
戒の猫の絵の花火と一緒に夜空に打ち上げて貰う
何があっても戒の手を離さない。指切り
花火の花畑の絶景を散歩
足元の隙間から海が見えてスリル満点
戒のしがみつく力から恐怖が伝わってくる
落ち着かせなくては
お姫様抱っこして、水上歩行で着地
水上歩行と化術を組み合わせ水上スキーで砂浜へ
嫌な気持ちは置き去りに、笑って楽しく過ごすよ


瀬古・戒
【箱2】◎
恋人のラファンと初めての夏だし、お前の為に水着着たって絶対言わない
浜辺で波と砂と遊ぶ!砂にでっかい猫の絵描いたり、持参のアヒルちゃん浮かべたり、ラファンに水かけたり…狙うは顔面
はは!ってわわ犬かつめたッ!うわぁ妖怪花火きれー…乗れるんだよな?アレ
楽しそーだけど、花火の下海…カナヅチだからんぐぐぐ
覚えてねーけど幼少の時に凍てつく湖で溺れた事があるみたいで…身体が拒否る
でも、一緒ならへーき、か、かな?手離すなよ?絶対な、絶対だからな!え、打ち上げ、る?う、うわぁ落ち……ば!ばかばかばかばか!やだやだこわいわぁぁばかぁ!死に物狂いで抱きつく
なんとか落ち着いたら、あ、そいや、水着…わわ近ッ



●彩なる夜に
 夏、夏である。
 夏と言えば海で、しかも夜。ここはカクリヨのビーチとあって、その一画をカラフルな光りでライトアップされていた。
 青、赤、紫に黄色にピンク、どこに光源があるのかわからないのに、雰囲気良く海も浜辺もライティングされていて、なんて言うかそう、最高のロケーション。友達同士でも、一人でも、もちろん恋人同士でも――。
「綺麗だな!」
 スポーティな青い水着に身を包み、白いシャツを羽織った瀬古・戒(瓦灯・f19003)が海を一望できる砂浜で、恋人であるラファン・クロウフォード(武闘神官・f18585)の方を振り向きもせずにそう叫ぶ。
「そ、そうだな」
 白地に金と赤のサイドラインが入ったサーフパンツ姿のラファンも、キラキラゆらゆら光る海をまっすぐに見つめて頷く。
 この二人、互いに互いの理由を抱えてちょっとギクシャクしているのだ。
 戒は恋人になったラファンとの初めての夏、散々悩んだ水着がちょっぴり恥ずかしいのと、ラファンの為に悩んで水着を選んで、それを今日の為に着てきたとは絶対に言いたくないので。
 ラファンは初めて見る戒の水着姿に照れて、ドキドキしているのを誤魔化す為。だって、スポーティなタイプとはいえビキニだったし、多分それが恥ずかしくて羽織っている白シャツがその、妙に戒の色気を高めている気がして。
 二人顔を見合わせて、ギクシャクしている自分たちがおかしくなって笑い声を響かせた。
「その水着」
「お?」
「いい色だな、似合ってる。今日も綺麗だ」
 どんなにギクシャクしてたって、どんなにドキドキしてたって、可愛い彼女の水着を褒めないという選択肢はラファンにはなかったので、思ったことをそのままストレートに伝えてみる。
「そ? まあテキトーに選んだやつだけど」
 嘘だ、めっちゃ迷った。色々試した挙句、最終的にこれに辿り着いたのだから。
 でも今日の戒はラファンの為に水着を、なんて絶対に言わない誓いを立てているので、嬉しくても顔には出さないのだ。手足から溢れる蒼い炎が心なしか勢いを増したけど、そんなことは知らないったら知らない。
「ラファン、遊ぼうぜ!」
「もちろん」
 だって海だ、海を目の前にして遊ばないとかちょっとわかんない。
 まずはこのカラフルな光りで照らされ、大きなモザイクのようになった砂浜で! そこらへんに落ちていた棒切れを拾って、戒がでっかい猫の絵を描きだす。
「猫!」
「猫だ、相変わらず戒は猫の絵上手だな」
 大きな猫の絵はいい感じにデフォルメされていて、なんとも丸っこいフォルムが可愛らしい。
 にゃーん。
「え? この猫、今動かなかった?」
「いやそんなまさか」
 にゃにゃーん。
「動いたー!?」
 だってここはカクリヨだもの、何が起きたって不思議じゃない。お澄まし顔の砂浜に描いた猫が尻尾を振って、今度は海で遊ぶ二人を見送った。
 波打ち際に持参のアヒルちゃんを浮かべ、戒がにんまり悪い顔をする。
「ラーファーン!」
「何……わぷっ!?」
 顔面狙いでラファンに水を掛けた戒が楽しげに笑っているのを見て、ラファンが頭からずぶ濡れになって目を細める。
「いきなり水かけるって酷くね?」
「はは!」
 酷いけど戒が可愛いので秒で許した、でも報復はするとばかりにラファンが濡れた頭をぶるぶる振って、戒に水飛沫を飛ばす。
「って、わわわ、犬か、つめたッ!」
 楽しげな声を上げて、更に水を掛けようと戒が両手に掬った瞬間、大きな花火が打ち上がる。
「うわぁ、妖怪花火きれー……! 乗れるんだよな? アレ」
 次々と打ち上がる花火にぽかんと見惚れていたラファンが、戒の言葉にこくりと頷く。
「戒、折角だから夜空の散歩に行こう」
 砂浜と波打ち際を制覇したなら、次は空だとラファンが戒の手を繋いで打ち上げ花火の方へ向かう。
「えっ待って待って、楽しそーだけど、花火の下って海……」
 カナヅチ故に、戒がんぐぐぐ唸っていると、ラファンが繋いだ手に力を込める。
「大丈夫、何があっても戒の手を離さない」
「ラファン……」
 詳しくは覚えていないけれど、幼い時に凍てつく湖で溺れた事がある戒は条件反射のように足のつかない場所は身体が拒否するのだけれど。
 でも、この優しい手と一緒ならば平気かも、しれない。
「絶対手離すなよ? 絶対な、絶対だからな!」
「うん、絶対だ」
 約束の指切りをして、ラファンとしっかり手を繋いで戒は空へと打ち上がる。
「う、うわぁ、落ち、落ちる!」
「落ちない、大丈夫」
 だってほら、戒が描いた猫の形をした花火の上はしっかりとした足場になっていて。
 花火の花畑だ、とラファンが笑えば戒も握った手をぎゅっと握りしめ、恐る恐る歩き出す。確かに隙間なく打ち上がる花火は見下ろしても美しく、その上を歩くのはちょっと楽しい。
 でも、足元の隙間からカラフルに輝く海が見えているのは――。
「スリル満点だな」
「ば! ばかばかばかばか! やだやだこわいわぁぁばかぁ!」
 ばかー! なんで下が海だって思い出させるんだよ! と叫ぶ戒を落ち着かせなくては、と使命感に駆られたラファンが彼女をそっと抱き上げ、お姫様抱っこして。
 そーれ、と花火の上から飛び降りた。
「ば、ばかーーー!!」
 ドップラー効果で響く声と、あははと笑うラファンの声が交じり合って海へと落ちていく。
 もうダメやだ怖い、とラファンに死に物狂いで抱き着く戒にラファンが大丈夫、見ててと笑う。
「ばかやろう海がダメつってんのに見てられっか!」
 落ちるのは別に怖くない、怖いのはこの先に待っている深い海で――。
「あれ?」
「な?」
 海にザパーンと落ちるかと思えば、ラファンはその上を悠々と歩いていて。
「ちゃんと浜辺に戻るから」
 化け術を駆使し、水上スキーの要領でラファンが砂浜へと向かう。
「うわ、わ、はやーい!」
 すっかり機嫌が直った戒に笑って、ラファンがもう少しスピードを上げる。
 嫌な気持ちは置き去りに、笑って楽しく過ごせるように。
 砂浜に着く頃には戒はもう機嫌よく笑っていて、覗き込んだラファンにだって笑顔だ。
「あ、そいや、水着……って、近ッ!」
「今更だ」
 距離が近いのも水着なのも、全部今更だったので。
 ラファンは戒の頬に唇を寄せて、楽し気に笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

呉羽・伊織
【守3】◎
浪漫とムード溢れる夏夜の水辺
一風変わった絢爛花火
――嗚呼、こんな絶好の機を逃すワケにはいかない
オレは水着美人と一時の夢を楽…やだ~!
何が悲しくてこんなむさい面子で!
うっ…ソンナコトナイヨ…?
戦どころかこんな時まで真向からぶった斬りにこないのっ(ぷるぷる)

ああもう分かったよ!だから爺も保護者役の気持ちをちったぁ分かって!?
(という叫びは花火の音に打ち消されつつ、一緒に打ち上げられ)

勢い余って落ちるなよ~…って言った傍から爺ー!!
…(落ちてった声が何かまた昇ってきて二度見し)
と思ったら更に勢い良く打ち上がってきたし!?
ったく、またとんだ思い出が増えそーで!(そう言いつつも悪くない笑顔で)


重松・八雲
【守3】◎
一面きらっきらで実に浪漫に満ちておるのう!
(浪漫は浪漫でも、伊織とは色々真逆の意味――無邪気な童心を擽る不思議花火の魅力に、これまたきらっきらの笑顔向け)
む、伊織は恒例の寝言というやつかの??
(思考が真逆過ぎてきょとん)
じゃが今は寝て見る夢に耽っておる場合ではないぞ
花火と一緒に天高く昇れるという、夢の様な現が待っておるでな!

では行くぞー!た~まや~!
(花火宛らの勢いと賑やかさで盛大に打ち上がり!)
いやはや天晴れ天晴れ!楽しいのう!
か~ぎや~!
(勢い有り余って落ちた、と思いきやまた天高くテンションも高く上がり!)

とんだ?うむ、お主らも花火と共にもっと飛んでみせるが良いぞー!(全力満喫)


吉城・道明
【守3】◎
確かに、この地の光景や花火は一際見事な異彩を放っているな
ああ――そうだな、伊織
“逃す”と思ったか?(伊織の肩掴み)
今宵は子(もとい爺)守もあるからな
息抜きも無論大切だが、気は抜きすぎるな
…悲しい?いや、放浪に繰り出したとて、それこそいつも悲しい結果に終わって悄気ているだろう(大真面目に案じた顔で直球)

む、案の定御隠居は痺れを切らし先陣を切ったか
見失わぬ内に続くぞ
(問答無用で伊織連れ、花火と共に天へと)

――併し本当に元気だな、御隠居
腰を痛めぬような
…いや、この勢いならば寧ろある種鍛えられそうか?
良いだろう
休暇としても修行(?)としても、実に得難い一日となりそうだ
(やはり大真面目に満喫)



●本日、夏夜日和
 美しくライティングされた海と浜辺、そして打ち上がる花火。
 ナイトプールならぬナイトビーチとなった一画で、裾に海の生物が入った繁菱模様のサーフパンツを穿いた呉羽・伊織(翳・f03578)が夜空を見上げながらしみじみと呟く。
「浪漫とムード溢れる夏夜の水辺、一風変わった絢爛花火……」
 昼の眩い日差しをはまた違う、柔らかな光りで包まれた空間。そして絶え間なく打ち上げられる花火はどれも美しく、時折ユーモアのある花火が打ち上げれられたりと飽きのこない代物。
「――嗚呼、こんな絶好の機を逃すワケにはいかない……!」
 こんなにいい雰囲気の場所で夜、どう考えたって女の子と楽しむべきではないだろうかと伊織は深く頷く。
「オレは水着美人と一時の夢を」
「はっはっは! 一面きらっきらで実に浪漫に満ちておるのう!」
 伊織の決意をぶち壊すように彼の後ろから聞こえた大きな声の持ち主は、波の模様が入ったサーフパンツに羽織を引っかけた重松・八雲(児爺・f14006)である。
 浪漫! と楽し気に笑っている彼が言うところの浪漫とは、伊織が言うところのそれとは真逆のそれで。
 片や女の子といい雰囲気に持ち込めちゃうくらいの、と頭に付く浪漫で、片や無邪気な童心を擽るような不思議な花火は、と頭に付くような浪漫である。
 打ち上がる花火の上には人の気配、つまりあの花火を足場に空中散歩ができてしまうということで。
「ううむ、真に不思議な花火だのう!」
「確かに、この地の光景や花火は一際見事な異彩を放っているな」
 興奮を隠せない八雲の隣で、吉城・道明(堅狼・f02883)が穏やかな笑みを浮かべて頷く。
「オレは夢を……楽……やだ~!!」
 なんで!? と伊織が後ろに立つ二人に振り返る。
「何が悲しくてこんなに素敵な場所に、こんなむさい面子で!!」
 やって来てしまったのだろうか。
 いや、ここはひとつ現地解散でナンパしに行けばいいんだな、そうだそうだ、と思考を切り替えて、伊織が二人から離れようとした瞬間、道明の手が伊織の肩に伸びた。
「ああ――そうだな、伊織。だが、逃すと思ったか?」
 何せ今宵は子守……もとい、爺守もあるからな、と道明が掴んだ肩に力を込める。
「や、やだ~~~!」
「また何ぞ伊織は寝言でも言っておるのか?」
 伊織が女の子だなんだ、オレはナンパを、と言うのは全て寝言だと思っている八雲が笑う。
「誰が寝言だ、オレは本気だっての! 浪漫がオレを待ってるの!」
「浪漫に繰り出したとて、それこそいつも悲しい結果に終わって悄気ているだろう?」
 それに、息抜きも無論大切だが、気を抜きすぎてもいけないと心底大真面目に伊織を案じるような顔で、道明が真っ向からぶった斬る。あまりにも切れ味抜群である。
「うっ……ソンナコトナイヨ……?」
「はっはっは、伊織よ、今は寝て見る夢に耽っておる場合ではないぞ?」
 斬るつもりは一切ない言葉が、伊織を襲う!
「うん、わかった、わかったからモウヤメテアゲテ……」
 ナンパに勤しむ気力を全て削がれた伊織が、がっくりと頭を下げた。
「わかったなら何よりじゃ、わしらには花火と一緒に天高く昇れるという、夢の様な現が待っておるでな!」
 ああ、女の子と一緒に昇りたかったなぁ、なんて嘆きは八雲の笑い声に搔き消されて、伊織は道明に掴まれたまま八雲の後を着いていくことになったのであった。
「それにしても花火と一緒に打ち上げられるとはな」
 打ち上げ花火の列に並び、次々と打ち上げられていく人々を眺めながら伊織がしみじみと呟く。
「楽しそうじゃの!」
「この不思議もカクリヨならではと言ったところだな」
 八雲も道明も空を見上げ、この世界の不思議に触れて楽しそうだ。
「む、わしらの番じゃな! では一番手はこのわしだぞ!」
 二人が止める間もなく、八雲が大玉に乗り打ち上げられていく。
「行くぞー! た~まや~!」
 ひゅるるる、という音と共に八雲が空へ昇っていく。
「む、案の定御隠居は痺れを切らし先陣を切ったか。見失わぬ内に続くぞ」
「ああもう分かったよ! だからいい加減肩から手を離してくれる!?」
 痕が付く! と叫ぶ伊織を連れて、道明も八雲を追うように伊織と共に打ち上がった。
 八雲が打ち上げられた花火はひと際大きく花開き、その上で八雲が満足気に笑っているのが見える。二人揃って打ち上げられた伊織は、笑う八雲に向かって叫ぶ。
「勢い余って落ちるなよ~……って、言った傍から爺ーー!?!?」
「ご隠居!」
 どうやら勢い有り余ってうっかり落ちた八雲を上から見下ろし、オレ達も追いかけるかと飛び降りようとしたところで、伊織が間抜けな声を上げた。
「あ」
「ん?」
「爺、また昇ってきた、しかもさっきより更に勢い良く打ち上がってきたし!?」
 え? という顔をしてよく見れば、丁度打ち上げられた花火に乗っかった八雲が見えて。
「いやはや天晴れ天晴れ! 楽しいのう! か~ぎや~!」
「どんだけ元気なんだよ爺……」
「ふふ、併し本当に元気だな、御隠居」
 あっという間に伊織と道明の元へ戻ってきた八雲がはっはっは! と笑う。
「元気なのもいいが、腰を痛めぬようにな」
「そうだぞ、ついでに爺も保護者役の気持ちをちったぁ分かって!?」
 道明と伊織の注意も何のその、元気いっぱいの爺は若者の話を聞いているようで聞いていない。
「そうだな! うむ、お主らも花火と共にもっと飛んでみせるが良いぞー!」
「聞いて!?」
「……いや、この勢いで打ち上げられるのならば、寧ろある種鍛えられそうか?」
「何でも修行にするのやめて!?」
 夏の夜のビーチよ!? という伊織の悲痛な声は打ち上げ花火の音に飲まれて消えて。
「休暇としても修行としても、実に得難い一日となりそうだ」
「いやいやいや、ほんっと、ほんっと待って」
「よし、飛び降りるとするか!」
「無限紐なしバンジー!?」
 行くぞ、と肩を掴まれ、八雲と道明に続いて伊織も花火の足場から飛び降りる。
「絶対! 間違ってる~~~~~~!」
 ドップラー効果で伊織の声がカクリヨのビーチに響き渡ったとか、渡らなかったとか。
 兎にも角にも、これはこれで楽しい夏の思い出ということで!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
【旅人の軌跡4】
みんなで海に遊びに、来たよ。
ん、きらきらで楽しそうな色が、たくさん。あの打ち上げ花火にわたしたちも乗れるなんて、すごいね。ね、早く行って、みよう?
わたしごと打ち上げて、くれるの?おー、それは楽しそう、だね。そのまま空に咲いた花火の上に乗って、みんなでお散歩、だよ。打ち上がってくる花火が下から見える、ね。不思議で面白くて、すごい……!
花火の上を上手に走るみんなを追いかけて、わたしも一緒に走ってみる、ね。なんだか楽しく、なってきた。
降りる時はみんなで手を、つなぐ?ん、みんなの楽しいって気持ちが伝わってきて、わたしも嬉しく、なっちゃう。来年もまたこうやって一緒に遊ぼう、ね。


ネージュ・ローラン
【旅人の軌跡4】
旅団の皆さんと水着で遊びに来ました。

空中散歩と聞いてワクワクしています。
ミアさんも興味津々ですね。結希さん何事も挑戦ですよ。それに何かあれば必ず助けます。

花火の上を歩く皆さんはとても綺麗で絵になりますね。そんな皆さんや景色を眺めながら歩いているうちに気分も高揚して、気が付けば【天翔ける軌跡】で舞うように駆け出しています。時々振り向いて手を振ってみたり。 リムさん達と追いかけっこしてみたり。
空中散歩を十分楽しんだら、最後はみんなで手を繋いで飛び込んじゃいましょうか。海面に花火が映り込んでいて、まるで星空に飛び込むみたいですね。 素敵な夏の思い出を心に刻み込みながら降りていきます。


リミティア・スカイクラッド
【旅人の軌跡4】
花火といっしょに打ち上げられる体験なんて、他ではできそうにないですし、面白そうです(わくわく感が雰囲気に出てる)
どーんと思いっきりやってください。どーん。

ほんとうに花火の上を歩けるのですね。上から眺める海もすごく綺麗です
ネージュさんほどではありませんが、リムも空中を翔けるのは風神の靴で慣れています
追いかけっこでは他の人の肩を後ろから叩いて、ふり返ったら指でほっぺをつんってしたり、見つかったら逃げたりします
あとは【魔女の火葬】を使って、勿忘草色の炎で花火に彩りをそえてみたりしましょう

最後はみなさんと手をぎゅっと繋いで海にダイブです
いい思い出になりました。来年の夏も楽しみですね


春乃・結希
【旅人の軌跡4】
水着はないけど、Tシャツ・ハーフパンツの濡れてもいい服装で

だ、大丈夫ですよねミアさん…?自分まで花火でばーんてなったりしないですよね…?
リムさんも期待顔やし、みんな怖くないと…?

花火の上を歩く経験なんてした事無いから、最初は恐る恐る…でもすぐに慣れて景色を眺める余裕も
走るのは得意だけど、でも空を舞うように駆けるネージュさんには追いつけないかも?
みんなの後を追いつつも、内心はぐへへな気持ちで、みんなの水着姿を目に焼き付けます
はぁ~…みんな似合ってるよ可愛いよぉ…
手を繋いで海に…?そ、そんな青春の1ページみたいなことしてもいいんですかっ?

うへへ…素敵な思い出がひとつ増えましたっ



●夏の思い出
 そのビーチの一画は、一面がきらきらだった。
 夜の海といえば真っ暗で、ビーチがライトアップされていても海までは届かない。けれど、カクリヨならではの不思議な力で、彼女たちがいるビーチの海は柔らかな光りで淡く光っていた。
 決して眩しい光りではなく、夜の海のイメージを壊さないような、そんな素敵なライトアップ。
「ん、きらきらで楽しそうな色が、たくさん」
 ふわりとした大ぶりのフリルが重ねられたタンクトップビキニ姿のミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)が羽織ったパーカーの裾を引っ張りながら、同じくらいキラキラと瞳を輝かせる。
 その隣では白いミニ丈のサマードレスのような水着姿でリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)も、腰に結んだ大きなリボンを揺らして目を瞬かせて。
「うわー、綺麗ですね……! 花火もすごい……!」
 Tシャツにハーフパンツ姿で、これで濡れても大丈夫! と笑いながら空を見上げるのは春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)で、打ち上がる花火に両手を上げる。
「あの花火、一緒に打ち上げられて、そのまま空中散歩もできるのですよね」
 大人っぽく腰にパレオを巻いたビキニ姿のネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)が三人を見回して、そう言った。
「あの打ち上げ花火にわたしたちも乗れるなんて、すごいね」
「花火といっしょに打ち上げられる体験なんて、他ではできそうにないですし、面白そうです」
 ネージュの言葉にミアとリミティアが即座に食いついて、もう一度花火を見上げる。確かに、楽しそうな声が上空から聞こえてきたし、なんなら打ち上がる花火に人がくっついているのも見えた。
「だ、大丈夫ですよね……? 自分まで花火でばーんてなったりしないですよね……?」
 ちょっと不安そうに結希が訪ねると、三人が一斉に結希の方を向く。
「落ちても大丈夫って聞いてます」
「大丈夫、だから、ね? 早く行って、みよう?」
「大丈夫ですよ、安全性は確認されているそうです。ミアさんも興味津々ですね。結希さん何事も挑戦ですよ。それに何かあれば必ず助けます」
「ほ、ほんとに? ミアさん、ほんとに? リムさんも期待顔やし、みんな怖くないと……?」
 めっちゃ高さあるよぉ……? でも、ネージュさんが助けてくれるなら、と言う結希を三人で引っ張って、やってきたのは花火が打ち上げられている場所。ここには打ち上げられたい人が列を作って待っているのだ。
 それなりに並んでいるように見える列だけれど、打ち上げられる花火の数は多い。対して待つこともなく、彼女たちの順番がやってきた。
「わたしごと打ち上げて、くれるの? おー、それは楽しそう、だね」
 打ち上げてくれる妖怪の簡単な説明を聞いて、ミアがぐっと拳を握る。
「どーんと思いっきりやってください。どーん」
 隠し切れないわくわく感を滲ませて、リミティアがどーん、と重ねて言った。
「え、こわ、怖くないです?」
「では、結希さんはわたしと一緒に打ち上げられましょう」
 ネージュが優し気に頷くと、結希もネージュさんと一緒ならと打ち上げられる腹を決める。
 ミアとリミティアがペアになり、二人一組で勢いよく空へと打ち上げられて。途中楽しそうな声と、絹を裂くような悲鳴とが交じり合っていた気もするけれど、四人が乗った花火玉は夜空で満開の花を咲かせ、無事に彼女達を空の上へと送り届けた。
「すごい、すごいね、本当に空に咲いた花火の上、だよ」
 花火の上の足場を確かめるように、ミアがぴょんっと飛んでみる。
「下に、落ちない……!」
「ほんとうに花火の上を歩けるのですね」
 軽く歩いてみても、花火の咲き誇る上は見えない足場があった。
「ほ、本当に大丈夫ですか?」
「ええ、空中散歩というのは噓ではなかったようです」
 恐る恐る足を踏み出した結希を見守るようにネージュがその隣を歩き、ミアとリミティアの方へと向かう。
「結希さん、もう大丈夫そうですか?」
 リミティアに問われ、結希がこくんと頷く。
「花火の上を歩く経験なんてしたことないから、怖かったけど……なんとか……!」
 慣れてみれば花火の上はきちんと足場になっていて、落ちる気配もない。もし万が一落ちたとしても、きっと仲間達が助けてくれると思ったら、気が楽になったのだ。
「それは、何より、だね」
 なら、皆でお散歩、だよ、と、ミアが次々に打ち上がる花火の上をすいすいと歩いていく。三人がそれを追いかけて歩いている内に、段々皆楽しくなってきて――。
「わ、ネージュさんすごい!」
 ネージュは力を使って、舞うように空の上を駆けだしていた。
 花火の上だけではなく、空中を何度も蹴って、高く、美しく。パレオの裾がひらり、ふわりと翻ってまるで風の精霊が躍っているようにも見えるほど。
「ネージュさんほどではありませんが、リムも空中を翔けるのは風神の靴で慣れています」
 ネージュの姿に刺激を受けたのか、リミティアも大気を踏んで踊るかのように空を翔けだした。
「わたしも一緒に走ってみる、ね」
 ミアが二人を追い掛けるように走り出し、結希もその後姿を追って走り出す。
「走るのは得意だけど、でも空を舞うように駆けるネージュさんとリムさんには追いつけないかも?」
 でも、皆の後を追うのはやめない。
 だって、皆の水着姿がとってもとっても可愛いんだもの! 目の保養とばかりに結希がぐへへと心の声を漏らす。
「はぁ~……みんな似合ってるよ可愛いよぉ……」
 結希だって、その健康的なスタイルがとっても似合っているのだけれど。
「ふふ、こっちです」
 ネージュが皆に向かって振り返り、手を振って。リミティアがそれを追い掛けたり、ミアと結希の肩を後ろからとんとん、と叩いて振り返ったら指先でふんわりほっぺをつんっとつついたり。
 空の上の鬼ごっこは思ったよりも楽しくて、きゃあきゃあと笑いながらネージュが三人に捕まるまで続けられたのだった。
「ふう、思ったよりも楽しくて、ついはしゃいでしまいました」
「わたしもなんだか楽しく、なってきて、本気に、なっちゃった」
「いい運動になりましたね」
「ちょっと、疲れちゃったけどねぇ……」
 花火の上に四人で座り込んで、カラフルな色に光る海を眺める。
 派手過ぎず、夜の雰囲気を壊さない揺れる光りはとっても綺麗で、不思議な風景だった。
「打ち上がってくる花火が下から見える、ね。不思議で面白くて、すごい……!」
「上から見ても、花火の形なんですね……!」
「もっと、彩りをそえてみたりしましょうか」
 リミティアがそう言うと、幾つもの小さな勿忘草色の炎が花火と共演するかのように舞い踊る。
「素敵、とっても綺麗です」
 ほう、と小さく息を零して、ネージュがその光景に見入る。勿忘草色の青い炎がまるで蛍のように瞬いて、花火と共に消えていく。
「本当に綺麗……」
「うん、とっても、綺麗」
 暫し花火と勿忘草の共演を楽しんで、鬼ごっこの疲れも吹っ飛んだと四人が立ち上がる。
「空中散歩、十分に楽しめましたか?」
「とっても!」
「うん、楽しかった」
「また皆で来たいです」
 ネージュの言葉に、それぞれ想いを乗せて返事をすると、嬉しそうに彼女が頷いて。
「では、最後はみんなで手を繋いで飛び込んじゃいましょうか」
「降りる時はみんなで手を、つなぐ?」
「ええ、そうすればきっと怖くないですから」
 ミアの問いにネージュが優しく微笑む。
「最後はみなさんと手をぎゅっと繋いで海にダイブ……はい、思いっきりやりましょう」
 空に上がって来た時と同じくらいのわくわく感を滲ませて、リミティアが手を繋ぐ。
「手を繋いで海に…? そ、そんな青春の1ページみたいなことしてもいいんですかっ?」
「ええ、皆さんと遊びに来たいい思い出になるかと」
 やります! と手を差し出した結希の手をネージュが取って。四人がしっかりと手を繋ぐと、顔を見合わせてから花火の下の海を見遣る。
「海面に花火が映り込んでいて、まるで星空に飛び込むみたいですね」
「ん、ほんとだ」
「空の上から星空に……ロマンティックだよぉ……!」
「綺麗です、どーんと行きましょう」
 リミティアのどーん、を合図に一斉に皆で花火の足場を蹴って、海へ向かって飛び込んだ。
 水飛沫は高く上がれど、不思議な力で衝撃はほとんどなく、四人は無事に砂浜へと辿り着いて。
「素敵な夏の思い出、ですね」
 しっかり心に刻み込んだとネージュが言えば、リミティアもいい思い出になったと頷き。
「うへへ……素敵な思い出がひとつ増えましたっ」
 結希が楽しそうな、嬉しそうな笑顔を浮かべて。
「ん、みんなの楽しいって気持ちが伝わってきて、わたしも嬉しく、なっちゃう。来年もまたこうやって一緒に遊ぼう、ね」
 来年もみんなで一緒に。
 ミアの言葉に、三人が一斉に頷いて。
 来年の夏もきっと楽しいと、花が咲いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紫・藍
【藍九十】◎
ことのおねーさんと水着で空中デートなのでっす!
お手をどうぞ、お姫様、なのでっす!
共に天へと登り、手を繋いで空を歩くのでっすよー!
手に手をとって、花火をぴょんぴょん飛び移り空を歩くのは、それだけでも楽しいのでっす!
おねーさん、おねーさん、とっても綺麗なのでっす!
天に星、地に花火!
見上げる空も、見下ろす花火も何もかも美しくて、大はしゃぎで。
でも、ええ、それでも。
おねーさんが、一番お綺麗なのでっすよー?
見つめられるのも好きでっすが、おねーさんとは見つめ合いたいのでっす!

でしたら、ね、おねーさん。

星も空も見守る中、光が花開くその時に。
ただ、おねーさんだけを見つめて。
唇を、重ねるのでっす。


末代之光・九十
【藍九十】

おひっ!?(赤面)
…あ。ありがとぅ(手を取り空の上へ)
うん。僕も楽し……ふぇっ?
きれ…星と花火?あ…
(何を隠そう藍以外見て無かったので言われて初めて上天の煌めきと下天の華の事を思い出す)
…あ。うん…そっか……確かに綺麗だ…
(どこか不満げに言いつつ、でも直ぐにはしゃぐ藍の顔に目線が釘付けになる。可愛いので)

ふぁぇっ!?
(綺麗と言われてまた赤面。さっき綺麗と言われたのを一瞬自分宛かと誤解した己惚れの恥ずかしさや、違った事に内心ちょっと拗ねてた浅ましい心の内に気付かれたのだろうかと動揺し)

ぼぼ僕も君とずっと見つめ合ってたいよ!?
(思わず本音をぶちまける)

……ぁ……(勿論、拒否する筈も無く)



●空中デートを楽しんで
 何度かデートを楽しんできた二人だけれど、夏の、しかも夜の海というのは初めてのこと。
 しかもこのカクリヨのビーチの一画はなんともいい雰囲気のライトアップがされていて、海も浜辺も、どこもかしこも恋人同士にとってはロマンティックな場所なのだ。
 更に、そんな素敵な場所に水着でとなれば、多少なりとも緊張してしまうというもので。ホノリであるところの彼女、末代之光・九十(何時かまた出会う物語・f27635)は真朱色の可愛らしいビキニ姿で、肩まで真っ赤にして紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の隣に立っていた。
 対する藍は己の魅力を最大限に引き出したチャイナ風の水着。
 彼は歴とした男の子であるけれど、自分の誇れる姿を大事にする素敵な人なので、女の子に見える水着でも常にかっこいい。そんなかっこいい藍は、九十が真っ赤になっていたって笑顔で手を差し出す。
「お手をどうぞ、お姫様、なのでっす!」
「おひっ!?」
 お姫様!? という言葉全部が言えなくても、藍にはきちんとわかっていて、こくりと頷く。
 だって大好きで大切な恋人だ、そんなのお姫様に決まってる。九十がそんなことを言われ慣れていないのは承知の上、ならば自分が言って慣れさせるまで。
「……あ。ありがとぅ」
 揺らがない藍の笑顔に頷いて、九十が藍の手を取った。
 向かう先は空の上、手を繋いだまま花火を打ち上げる方へと歩く。少し歩けば花火と共に打ち上げられようという人々が作った列が見えて、お行儀よく二人で並ぶ。
 列はそれなりにあったけれど、打ち上げる花火の数は相当なもの。あっという間に藍と九十の番になり、手を繋いだまま二人一緒に打ち上げられた。
「わわわ」
「花火と一緒に打ち上げられるのでっす! 中々ない体験なのでっすよー!」
 握った手を離さぬようにしっかり繋いで、一番上まで昇ったら次は花火が弾ける番。咲いた花火の上に華麗に着地し、次々と打ち上がる花火の上を二人が歩く。
 手に手を取って、二人で花火から花火へぴょんぴょんと飛び移り、誰にも邪魔されない夜空のデート! 何て楽しいのだろうと、藍が九十を見遣って。
「おねーさん、おねーさん、とっても楽しくって、とっても綺麗なのでっす!」
「うん。僕も楽し……ふぇっ?」
 綺麗と言われ、何が? と思わず九十が辺りを見回す。
「天に星、地に花火!」
 見上げる空に輝く星も、見下ろした先にある花火も、淡く光る海だって、何もかもが美しいと藍がはしゃぐ。
「きれ……星と花火? あ……」
 言われて気が付いた。何を隠そう、全然隠せてないのだけれど、九十は藍しか見ていなかったので。だって、藍が一番キラキラしていて、彼女にとって一番綺麗だったから。
「うん……そっか……確かに綺麗だ……」
 綺麗だけれど、綺麗だけれど、と九十は思わず不満げな声で言う。君の一番綺麗はそれなのかな、なんて言葉にはできなかったけれど。
 それでも、はしゃぐ藍の横顔に九十の視線はすぐに釘付けになった。
 だってこんなに可愛いくってぴっかぴかな命の光なんだもの。
「でも、ええ、それでも」
 藍が九十に視線を合わせ、飛びっきりの笑顔で言う。
「おねーさんが、一番お綺麗なのでっすよー?」
「ふぁぇっ!?」
 藍が紡ぐ言葉に九十が顔を赤くして、胸の裡で考える。
 さっき綺麗と言われたの、一瞬自分宛かと誤解した己惚れがばれた? それとも違った事に内心ちょっと拗ねてた浅ましい心に気付かれた!? どれだろう!? なんて想いながら藍を見れば、藍が全てを包み込むように微笑んで。
「見つめられるのも好きでっすが、おねーさんとは見つめ合いたいのでっす!」
 ずっと見てたのも気付かれてた!! ぷしゅーっと音が出そうなくらいに頬を赤くして、動揺したまま九十が叫ぶ。
「ぼぼ僕も君とずっと見つめ合ってたいよ!?」
 動揺したまま、思わず本音をぶちまけた。
「でしたら、ね、おねーさん?」
 とろり、藍が微笑む。
 夜空に輝くすべてが二人を見守る中で、地上から打ち上がった花が咲くその瞬間に。
 もう肩どころか全身真っ赤な九十の瞳を藍が真っ直ぐに撃ち抜いて。
「……ぁ……」
 そうっと近付くそれに、九十が拒否する筈も無く。
 宝物に触れるように、そっと優しく唇を触れ合わせて――。
「大好きなのでっす、おねーさんが特別大好きなのでっす」
 胸から溢れる思いを言葉にして、もう一度藍は目を開いたままの九十の唇に、己のそれを重ねるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月03日


挿絵イラスト