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鍋だ鍋だ!七色アンコウ鍋!

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「鍋するよ!」
 メリー・アールイー(リメイクドール・f00481)は、小鍋の底をおたまでカンカン叩いて、グリモアベースの猟兵たちに集合をかけた。
「アックス&ウィザーズのとある村でね、広場にでーーーっかい鍋を用意して、村人全員で鍋を作って食べる行事があるんだってさ。例年通り今年も準備していたはずなんだが……用意していたはずの具材が、ぜーんぶ何者かに食われちまったんだと。」
 鍋の日の前日に当然、村の食糧庫が空っぽになっていたのだ。持ち逃げされたというよりも、その場で食べ尽くされたと思われる残骸が散らかっていたそうだ。そして現場には、白い羽が数枚残されていた。
 これは既に起こってしまった事件であり、猟兵たちにはもう手出しは出来ない。なら、我々に何が出来るのか。……そう、具材が無くなってしまったのなら、またに捕りに行けばいいのだ。調度この村の近くの海で、アンコウ型のモンスターが大量発生しているらしい。しかもこいつら、めちゃくちゃ美味しいらしい。でもこいつら、可愛い見た目の割に意外と凶暴で、七変化であらゆる地形に擬態するため見つけにくい上に、頭から吊り下げている鈴蘭みたいな灯で催眠光を出す厄介ものらしい。それなら誰がこいつらを調理……じゃない、駆除をするのだ。猟兵しかいないだろう!

「厄介ものは駆除出来るし、美味い具材は手に入るし。一石二鳥だろ。……なんて考えてたらさ、キュピンッと予知しちまってね。」
 メリーの予知によると、アンコウ型モンスターをゲットしていると、別のオブリビオンも姿を現すはずなのだ。彼女は『暴食』のフィーラ……今回鍋の具材を独り占めした犯人でもある。彼女と言葉を交わせば、悪びれる様子もなく自分の犯行だと認めるだろう。そして更に、アンコウ型モンスターも横取りしようとするのだ。なんて意地汚い!
「というわけで、今回の依頼はアンコウ型モンスターを狩りに行くことから始まり! 事件の元凶である暴食娘を倒し! 皆でアンコウ鍋を作って食べることを目的とする!」
 繰り返すが、アンコウ型モンスターは地形に擬態する性質を持つため見つけにくいから、狩りの際は工夫をすること。生息地はまちまちだが、大量発生している今なら、さほど深くない海辺にも多く生息しているはずだ。狩場や狩りのやり方は猟兵たちに一任する。また、鍋を作る時にはアンコウ以外の具材や調味料もそれぞれ調達すること。と説明を付け加えた。
 オブリビオン退治も大事だけどね、今回だけはこうまとめさせておくれと笑って、メリーは拳を掲げた。
「全ては七色アンコウ鍋のために! みんな、よろしゅうに!」


葉桜
 どうも。葉桜です。鍋欲のままにOPを作ってしまいました。
 狩猟グルメ。いいですよね。
 おいしいリプレイがんばります。
 第三章は、参加者様に誘われた場合のみ、メリーも参加させていただきます。
 それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしております。
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第1章 集団戦 『七色鈴蘭のふくれアンコくん』

POW   :    かみつきっ!
【潜行からの飛び出し噛みつき】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    もぐるっ!
【体から30cm以内の地形を対象に砂泥状化】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ   :    まるのみっ!
小さな【鈴蘭灯から催眠光を放つ。強烈な眠気と光】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【胃袋で出口に返しの歯が並ぶ。暴れること】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

荒久根・ジジ
夕凪(f06065)と
【POW】
アンコウ!肝も美味しいよね〜
でもあれ捌くのが難しくて
せっかくだから吊るし切り勉強してみたいなーとお話しつつ
野生の勘と誘き寄せでちゃんと捜索

期待されては応えたいところ
食材相手はお任せあれ!
応援に気分も上がってナイフのキレもいい感じ
でも油断はせずにしっかりユーベルコードで猫目と筋力を強化
捕縛は助かる!夕凪が捕まえた子から順序よく行くよ〜
だいじょーぶ!料理はボクがするから後で一緒においしく食べようね
勝てたらちゃんと〆て冷やして保存保存
ふふっ確かにちょっと面白いよねぇ
綺麗だし味も大いに気になる…!(じゅるり

おっと、ご注意ありがとっ
踏める所ちゃんと気をつけなくちゃね…!


天之涯・夕凪
ジジさん(f05679)とご一緒に
【SPD】
アンコウ鍋…おいしいですよね、ジジさんは食べられたことはありますか?
等と、他愛ない雑談しつつ、アンコウたちを探します

食材の扱いは、ジジさんの方がお得意でしょうか
私は料理はてんで…栄養が取れればそれで、という性質なので、ジジさんが何かするのを見ては、わぁ、凄い、と感心して拍手をするばかり
捌くのはお手伝いできないので【咎力封じ】で捕まえるお手伝いをしましょう
ああ、ジジさんの料理は楽しみです

七色の魚なんて御伽噺みたいですねと笑いながら
ごめんなさい、真面目にやります(まだ笑って)

あ、ジジさん、アンコウ達は足元を崩してくるようです
どうか気を付けてくださいね



 いざ、アンコウ狩りへ。例の村近くの海辺に向かって、二人組の男女が歩いていた。ひとりは泣き黒子が印象的な線の細い男性、もうひとりは七色アンコウにも負けないくらいカラフルな少女のような女性だった。
「アンコウ鍋……おいしいですよね。ジジさんは食べられたことはありますか?」
「あるよあるある! 肝も美味しいよね? 夕凪はアレどうやって捌くか知ってる?」
 天之涯・夕凪(夜空の端にて・f06065)の質問に何度も頷いてから、ちびっこ料理人である荒久根・ジジ(ビザールイーター・f05679)は逆に調理方法を尋ねてみた。アンコウは吊るし切りという独特の捌き方があるのだ。ジジはせっかくだから勉強したいのだと、猫目をキラキラ輝かせる。それを見て、さすがジジさんと夕凪は目を細めた。
「私は料理はてんで……栄養が取れればそれで、という性質なので」
「だいじょーぶ! 料理はボクがするから後で一緒においしく食べようね」
 楽しげに会話を弾ませていれば、目的地はもう目の前だ。

「ここら辺が怪しいと思うんだけどなー」
 青い海が広がる美しい砂浜で、ジジは野生の勘を働かせながら七色アンコウを探していた。海を凝視しながら砂浜を歩くジジを後ろから見ていた夕凪は、ふいにジジの足元の砂の揺らめいた気がして慌てて声を上げる。
「ジジさん、足元!」
 アンコウたちは砂にもぐることで、地形を泥状にして足元を崩してくるのだ。ジジは揺らぐ砂を踏まないように、おっとっとと後ろに下がって回避した。
「ご注意ありがとっ。ちゃんと気を付けなくちゃね」
 改めてじっくりと砂浜や海面を見れば、怪しい一帯があちらこちらに……何故だかジジがいた辺りに集まってきているようだ。カラフルなジジを仲間のように思って寄って来たのだろうか? ふたりは顔を合わせて首を捻るが、狩りのチャンスであることには間違いなかった。
 ジジはサイケな見た目の携帯食料をぱくりと口にした。一般人にはちょっと原材料を想像したくない代物だが、彼女にとってはパワーアップアイテムだ。猫目を光らせて、力を増した腕で巨大プラスチックナイフを振り上げ、ばっしゃーんっと海面を叩きつけてみた。
 ガバアッ――ザバアッ――!!集まっていた七色アンコウたちは擬態を解いて、ふたりに向かって飛び出す。噂通り好戦的で、ギザギザの牙を剥き出しにして威嚇している。でもその丸っこい体では30cm飛び上がるのが限界だ。
「捌くのは出来ませんけれど……捕獲ならお手伝いしましょう!」
 飛び上がった七色アンコウたちに向かって、夕凪はすかさず拘束具一式を投げ放った。高速ロープは次々と獲物の動きを封じていく。
「捕縛は助かる! じゃあ美味しさが逃げないよーに! 順々にシメてくよーっ!」
 ぴちぴちと打ち上げられるアンコウたちの鮮度が落ちないように、ジジは華麗なナイフ捌きで次々と神経締めをしていく。ジジさんすごーいっ、と夕凪が贈る賛辞と拍手に気を良くして、食材相手ならお任せあれぃと、いつも以上にナイフの目玉もぎょろめいた。

この辺りに集まったアンコウは大体狩り終えたので、戦利品を冷やして保存しながら、夕凪はその七色のカラダをまじまじと観察する。
「ふふ、七色の魚なんて御伽噺みたいですね」
「確かにちょっと面白いよねぇ。綺麗だし味も大いに気になる……!」
 じゅるりと垂れそうになるヨダレを拭くジジを見て、夕凪はくすくす笑い続けてしまう。
「え? ちょっとなんでそんなにわらってるの??」
「いえ、ごめんなさい。真面目にやります……ふふっ」
 ジジは見た目の通りというか、料理の腕は一流だが、作る料理もカラフル過ぎて、なかなか周りに受け入れてもらえないらしい。今回の具材は彼女のために用意されたように思えて仕方がない。
カラフルなごはん、期待しています。夕凪はにっこり笑って、彼女の手料理を心待ちにするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キャサリン・エンスレイヴ
・準備
 
a.重油を避け、動植物由来の油を村の備蓄から融通してもらう。
 樽か革袋に入れ、背負う形で現場まで携行。

・作戦

a,敵が擬態した際は【情報収集】で地形を精査し、おおよその場所を予測。
 反撃を警戒して距離をとり、紅い世界で予測地点を攻撃。

b.潜行中の擬態してない敵の群れを目視した際は油を海面に撒き、【属性攻撃】で火を点ける。
 僅かな期間海は汚れるが動植物由来なら自浄作用で何とかなる、はず。
重油程じゃない。
POWとWIZに対する牽制が主な理由。

c.それでも襲いくる敵には【属性攻撃】で海面を分厚く凍らせ、身動きを封じ、海上への攻撃を防ぐ。
加えて不意の攻撃には咄嗟に氷の盾を展開して機転を働かせる。



「動植物由来の油を分けてくれないか」
 突然村に訪れた女性の頼みごとに、村人たちは面をくらっていた。彼女の名はキャサリン・エンスレイヴ(ウィザード・f01442)。猟兵のひとりではあるが、その素性は謎に包まれている。豊満な胸を強調した胸開きタートルネックとナノローライズというインパクトのある改造魔法学園服に身を包んで、淡々と村人に話しかけていたのだ。
 その油を何に使うのかという質問に迷うことなく、正直に使い道を告げる。村の近くで繁殖している七色アンコウというモンスターを仕留めるために、海に撒いて火をつけるのだと。それを聞いた村人たちは顔を曇らせた。
「御嬢さん。厄介なモンスターを退治してくれるのはありがたいけれどね。俺たちはここの村で生活をしているんだ。ただでさえ食糧庫を空っぽにされて困っている状況でさ。いくら重油より被害が少ないからって、大切な海を汚すような真似はして欲しくないね。やるなら別の手を考えてくれるかい?」

 申し訳ないが協力は出来ないと、村人から丁重な断りを受けたキャサリンはひとつの策を諦めて、別の策を実行しようと海辺の岩場まで移動していた。
 岩場から青い海を見下ろしても七色アンコウらしき物体は見当たらない。やはり擬態をして身を潜めているのだろう。岩場を注意深く観察しながら歩いていると、なだらかに続いていた岩場の一角が妙に出っ張っている場所があるではないか。あそこが怪しい、と予測したキャサリンは、反撃を警戒して距離を置いたまま『紅い世界』の詠唱を行う。
「ターイラー・ターザンメ・ウォウアリフ・イェーター」
 キャサリンが呪文を唱えると、狙いである岩場の一角が大爆発を起こし、空が一瞬朱色に染まった。爆発が直撃した地点は跡形もなく消え去った。その光景を目に映すキャサリンは、今回の依頼内容についてようやく思い出す。
「……あ、しまった」
 そう、今回の目的は殲滅ではなく、捕獲なのだ。彼女が予測したあの一角には確かに七色アンコウがいたようだが、ほぼ全て粉砕されてしまったようだ。海の厄介者の数は減らせたが、食料の調達には至らなかった。
七色アンコウの一部と思われる鈴蘭に似たアンテナが、哀しげに海面を漂っていた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アーサー・ツヴァイク
※アドリブ協力大歓迎

七色アンコウ…またファンタジーな食材だなオイ。
しかも擬態するってか…こりゃ面倒な奴だな。しらみ潰しって訳にはいかねえとなると、おびき寄せる必要があるな。

超古典的だが餌で釣ってみるか。任せな、俺にいい考えがある!
ここにアルダワで確保した甘味…蜜ぷにシロップがある!
シロップがめっちゃ入った瓶の蓋を開けて置けば、甘い香りに釣られたアンコウが出てくる。そしてそこを…俺がぶっ飛ばす! …完璧だな。
…何? 甘いものが好きかどうか分からない…だと? 何言ってんだ、甘いものが嫌いな奴がこの世界にいる訳ねえぜ(甘党の発想)
色も七色で似てるし平気平気!


ヤーリ・ハンナル
「七色アンコウ、出ておいで~!」
ボートから、背中のおたま(グルメツール)で海面をばっしゃばっしゃかき回し、アンコウを誘き出す。【潜行からの飛び出し噛みつき】で姿を現したところを、お仲間に捕まえてもらう。もしくは自分で弓で射る。ユベコ使用。
食堂のオバチャンなので珍しい食材に興味津々。村人との鍋パーティーも楽しみだが、たくさんとれたら学食に持ち帰って、生徒たちにアンコウ鍋作ってあげたいなーとか思っている。
「アンコウ美味しそうだね……あ、いやいや『暴食』のフィーラってヤツももちろん倒さなきゃね! 村人がせっかく楽しみにしてたお祭の食料を奪うなんて許せないよ!」



 砂浜付近で狩りを行うものもいれば、沖の獲物に目を付けるものもいる。ふたりの猟兵はボートを借りて、適当な海上で漁を行うことにした。
「擬態して隠れてるアンコウかぁ……こりゃ面倒な奴だな。しらみ潰しって訳にはいかねえとなると、おびき寄せる必要があるな」
 ボートを漕ぎながら、アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は策を練っていた。何か使えるものはないかと自分の手荷物の中身を思い返していると、……あるではないか、いつかの依頼でゲットした餌に使えそうな良いアイテムが。
「お、何か思いついたかい?」
 ボートに同乗していたヤーリ・ハンナル(学食の母・f10606)はアーサーの表情の変化に気付いて尋ねてみる。任せな、俺にいい案がある! と、アーサーは自信たっぷりの笑顔で応えたのだった。
「ここにアルダワで確保した甘味……蜜ぷにシロップがある! シロップがめっちゃ入った瓶の蓋を開けて置けば、甘い香りに釣られたアンコウが出てくるはずだ!」
「なるほど、あのアンコウは甘い物が好物って調べてたんだね。えらい!」
「いや、調べてはいねえ! でも甘い物が嫌いな奴がこの世界にいるわけねえだろ!」
 一瞬感心したヤーリだったが、甘党人間のとんでも発想にずっこけそうになる。蜜ぷにシロップも同じ七色だし、きっと大丈夫だとアーサーは言い切るが……この作戦、大丈夫だろうか。

 蜜ぷにシロップの瓶を開ければ、強烈な甘い匂いがボートから海上へと広がった。しかし、その状態で暫く待てども、アンコウはおろか海鳥すら現れない。
「アンコウってさ、ちょうちんで誘惑して獲物をとる生き物なんだよね? 普段から擬態で身を潜めているみたいだし……魅力的な匂いがあったとしても、勝手に出てきてはくれないのかもね」
 ちょっと試してみようかと、ヤーリは背負っていた巨大なおたまで海面をばっしゃばっしゃかき回してみた。
「七色アンコウ、出ておいで~!」
すると、びっくり! 本当に匂いに釣られて海面近くまで寄って来ていたのか、大量の七色アンコウたちがガチガチと牙を合わせながら飛び出してきた! もともと攻撃を促して誘き寄せる予定だったヤーリは、その牙をひょいと避けてアーサーに目配せをする。
「っしゃああ! ぶっとばしてやるぜええええ!!」
 アーサーは聖痕に力を集めて超高熱になった拳を、勢いよく噛みついてくる七色アンコウに向けて放つ。両者の射程は……互角。熱いヒーローの高熱鉄拳は七色アンコウに食われようとも威力を失わず、口内から丸焼きにして見せたのだった。
「焼く手間が省けたね、そのまま焼きアンコウで食べてもおいしそうだよ」
 びちびちと威嚇するように海面を跳ねるアンコウたちを、ヤーリも弓矢の千里眼打ちで着実に仕留めていた。

 そうしてふたりで狩り続ければ、それなりの数が集まった。
「本当にめっちゃカラフルなんだな……ファンタジーな食材だなあオイ」
普段アルダワ魔法学園の食堂に勤めているヤーリも、珍しい食材には興味津々だ。これだけ捕獲出来れば、何匹かは学食に持ち帰って、生徒たちにアンコウ鍋作ってあげられるかなーと考えていた。流石、食堂のオバチャンの鏡である。
「アンコウ美味しそうだね……あ、いやいや『暴食』のフィーラってヤツももちろん倒さなきゃね! 村人がせっかく楽しみにしてたお祭の食料を奪うなんて許せないよ!」
 アンコウ鍋は村でも学食でも最後のお楽しみだ。まずはやるべき仕事を全うしなくては。ふたりは次なる戦いに向けて気合を入れ直して、他の猟兵たちの元へと戻って行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

塩崎・曲人
そっかー。アンコくんは意外と凶暴で擬態も得意なのかー
じゃあ死ぬまで殴るね
(鉄パイプぶんぶん)

昔知り合いが言っていたっけな
「永遠に幸せになりたかったら釣りを覚えなさい」ってさ
というわけで釣りにチャレンジ
現地の村で奴らが食いつく餌を聞き込み&入手して釣り竿を垂らす
「奴ら魚だよな?え、泥に潜る?何属性だよ」
水や土に潜る能力があろうが、空中に釣り上げちまえば無力だっての

ヒットしたら目一杯高く釣り上げて、空中にいる間に手近な武器にできそうなもので空中コンボを決める
摩擦抵抗を減らして打撃を逸らす?正中を正確に射抜けば摩擦減らしても打撃は通せるんだぜ?
「空中喧嘩殺法!とっととタタキになれオラァ!」


ウィーリィ・チゥシャン
アンコウ型のモンスターか。
食べるのも調理するのも初めてだから楽しみだぜ!

まず漁師から話を聞いてモンスターの好物を調べ、それを餌に罠を張っておびき出す。
近くに身を潜め、奴らが擬態を解いて動き出したらすかさず『シーブズ・ギャンビット』の早業と『二回攻撃』で新鮮なうちに素早く捌く。
食材は鮮度が大事だからな。
催眠光は大鍋を盾代わりに『盾受け』で防御。



 猟兵の中には、予め七色アンコウの好物について、村人から情報収集を行う者もいた。その七色のカラダを作る元になっているのか、やつらの好物は「カラフルなもの」らしい。実際に食べられないものでも、カラフルなものには惹かれて寄って行ってしまう性質があるとのことだった。中には知らずに色鮮やかな自分を囮に誘き寄せている者や、七色の餌を使う者もいて、偶然にも良い結果をもたらしていた。
「アンコウ型のモンスターか。食べるのも調理するのも初めてだから楽しみだぜ!」
「昔知り合いが言っていたっけな『永遠に幸せになりたかったら釣りを覚えなさい』ってさ」
 事前調査によってカラフルなものを用意したウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)と塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)はお互いの健闘を祈りながら、思い思いの作戦の準備を進めていく。
 釣りを行う曲人は、カラフルなルアーを村の釣り人から借り受けていた。以前このルアーで釣りをしていたら七色アンコウが釣れてしまい、幸いすぐに逃がせたので襲われることはなかったが、大変な思いをしたという。曲人は海に釣り竿を垂らし、獲物がかかる瞬間を今か今かと待っていた。
 ウィーリィはカラフルなものなら何でもいいという情報を聞いて、九龍球というスイーツを用意してみた。これは透明な寒天の中に色とりどりのフルーツを閉じ込めたビー玉のように綺麗なデザートだ。これならアンコウや他の生き物が食べてしまったとしても害はないし、海も汚さないだろう。砂浜にバラバラと九龍球を撒いてから、ウィーリィは近くの岩場に身を潜めて獲物を待つのだった。

 先に動きがあったのはウィーリィの方だった。九龍球の周りの砂が何やら蠢いているように見える……おそらく擬態をした七色アンコウが潜んでいるのだろう。
「よっし、釣れたぜ! ……って、あれ、こんな所に花なんて咲いてたか?」
 ウィーリィの足元には綺麗な鈴蘭の花が一輪咲いていた。……いや、これは! 七色アンコウの鈴蘭灯だ!
「……っ!? あっぶねえ!」
自分の身体の前に鉄の大鍋を盾代わりに構えて、ウィーリィは鈴蘭灯から放たれる睡眠光を何とか防いだ。そのまま素早くダガーを構えて、『シーブズ・ギャンビット』の一撃で足元の鈴蘭を切りつける。また流れるような動きで餌を撒いた周囲の砂目掛けて今度はそのダガーを投げつけた。見事ウィーリィが捉えた獲物たちは、ダガーが突き刺さった七色でプルプルのカラダを砂上に横たえていた。
 続くように、曲人の釣竿にも手応えがあった。力いっぱい引こうとするが、釣り針に食らいついているモノも負けじと抵抗して暴れまわっているようだ。
「く…っ! アンコくんのくせに生意気な! 水や土に潜る能力があろうが、空中に釣り上げちまえば無力だってーのーっ!!」
 魚なんかに負けてたまるかーっ! と、曲人は根性で目一杯高く吊り上げた。ザパアッ――と水しぶきを上げて七色アンコウが宙を舞う。その絶好のチャンスを逃さずに、曲人は手近にあった流木を掴んで振りかざす。あの敵は摩擦抵抗を減らす能力を持つようだが、空中にいる今の奴に潜れる場所はない。
「空中喧嘩殺法! とっととタタキになれオラァ!」
 逃げ場のない乱撃の嵐を受けた七色アンコウは、ぴくぴくと動く余裕も残されないほど叩きのめされて、天に召されたようだ。

「食材は鮮度が大事だからな!」
 二人の獲物は、ウィーリィがシュパパッと連撃を行うように手早く捌いて、下準備もばっちりだ。
 こうして猟兵たちは、海の厄介者を鍋の具材として十分な量を捕獲することに成功したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『暴食』のフィーラ』

POW   :    あらぁ〜、食べて良いんですかぁ〜?やったー!
自身の【何かを食べたい欲望】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    わたし〜、おなかが空きましたぁ〜
自身の身体部位ひとつを【口のみが存在する伸縮自在】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    いただきまぁ〜す♪
【隠し持つ調味料】が命中した対象に対し、高威力高命中の【噛みつき攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠リサ・ムーンリッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちはそれぞれが持ち寄った獲物を、冷却して鮮度を保ったまま荷車に乗せて村へと向かっていた。七色アンコウはどんな味がするのだろうか。他にどんな具材を集めようか。話に花を咲かせる猟兵たちの背後で不穏な音がする。
――むしゃむしゃ。ごっくん。
『ん~っ、この綺麗なお魚さん、と~ってもおいしいですよぉ~♪』
 いつの間にか、荷台の上には真っ白な翼の『暴食』の権化が座り込んでいた。猟兵たちが狩ったアンコウをそのまま、がぶがぶちゅるんと、飲むように食べている。
『わたし~、フィーラっていいま~す。おいしいごはん、ありがとうございます~♪』
 にこにこと笑いながらぺろりと一匹平らげられてしまった。あまりに自然食事をしていたので一瞬反応が遅れてしまったが、ふと我に返った猟兵のひとりが声をあげる。
「こ、こ、こいつー!! 俺達の飯をーー!!」
彼女が村の食糧を全て奪った元凶のオブリビオンであることは間違いない。しかも、このままでは七色アンコウまでも奪われてしまう。猟兵たちは己の、いや村人全ての食糧を死守するために武器を取った。
塩崎・曲人
人の労働の上前ハネようたぁふてぇ奴だ
働かざるもの食うべからずって格言を知らんと見える
「ただの腹ペコ女なら説教程度で済ませてやるんだがな!オブリビオンなら遠慮は無しだぜ!」

【喧嘩殺法】で殴りかかる
食材を武器に使う……のはまずいな
適当に荷車に積んである道具でいいだろ
体を変化させて口に変える攻撃で不意を打たれないように
心を無心にして、どの角度から攻撃が来ても反射で撃ち落とせるように備えるぜ
「我流・喧嘩殺法!その程度の速度で突破出来ると思うなよ?」
前衛は任されるんで、後は仲間と連携してボコるだけだな

【アドリブ絡み歓迎】


アーサー・ツヴァイク
※引き続き協力アドリブ大歓迎

一見華奢な感じなのにスゲー勢いでアンコウ食いやがった…怖っ

さて、まずはアンコウから奴を引き剥がそう。
ほら、この世界にはない「甘味」が俺の掌にあるぜ? 欲しいなら…奪ってみな!

さっきも使った蜜ぷにシロップで相手を【おびき寄せ】だ。【挑発】もセットだな。ついでにライドランに【騎乗】して追い付かれないように動いてアンコウから放す。
上手く引き剥がせたら…こっちの反撃だ!
ライドランを槍形態に変形させて…【槍投げ】でアイツに向かって投げ飛ばす!
そんなに何か食いたいなら…こいつでも食らってろ!


ウィーリィ・チゥシャン
ちょっと待った!みんなの食事を独り占めするのはよくないぜ?
一緒に美味しさを分かち合えばもっと美味しくなるのに、何でそれがわからないんだよ!

村のみんなの食料と笑顔を守るために、フィーラと戦う。
…本当ならこいつにもみんなと一緒に食べるご飯の美味しさを教えたかったんだけどな。

『トリニティ・エンハンス』と『属性攻撃』で大包丁に炎の魔力を纏わせて攻撃力強化。
そして『料理』スキルを駆使して調理用に用意していたゴマ油とニンニク片を軽く焙り香ばしい匂いを漂わせ、フィーラの注意が逸れたところに『二回攻撃』を叩き込む。


ヤーリ・ハンナル
「せっかく苦労して獲ったアンコウを喰っちまうとは……アンタ、村の食料も食べ尽くしたんだろう、絶対許さないよ!」
村に戻ったらアンコウ鍋の作り方を習い、もし余ったらもらって帰って学食で振る舞う気満々だったので、フィーラの蛮行に怒り心頭。
UC発動。巨人を呼び出す。とはいえ、本人が極小なので、巨人も大柄な人間程度でしかない。トホホ。しかし、武器のおたまも2倍だー!(イラストで背負ってるヤツです)
「そーれ、そっくりすくっちまいな!」
巨人に巨大お玉でフィーラを掬わせ、アンコウから遠ざける。
そこをお仲間にやっつけてもらえるといいなー!
※連携アドリブネタ大歓迎



「ちょっと待った!」
 勝手に七色アンコウを食べだした『暴食』フィーラに待ったをかけたのは、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)だった。
「みんなの食事を独り占めするのはよくないぜ? 一緒に美味しさを分かち合えばもっと美味しくなるのに、何でそれがわからないんだよ!」
 人々の笑顔のために料理人を目指しているウィーリィにとっては、その傍若無人な態度が信じられない。
「え~、だって~、みんなで食べたら~、わたしが食べる分が減っちゃうじゃないですか~。おいしいものは~、た~っぷり食べたいんです~」
 あくまでも自分のことしか考えていない答えをにこにこと。誰かを思いやる気持ちなど、このオブリビオンは持ち合わせていないらしい。

「せっかく苦労して獲ったアンコウを喰っちまうとは……しかも、それをこれっぽっちも悪いと思っていないその態度!アンタ、村の食料も食べ尽くしたんだろう、絶対許さないよ!」
 村に戻ったらアンコウ鍋の作り方を習って、もし余ったらもらって帰って学食で振る舞う気満々だったのに!なんてことをしてくれるんだ、この小娘は!
 ヤーリ・ハンナル(学食の母・f10606)は大地の巨人を召喚した。彼女の湧き上がる怒りを体現するように、ずずずっ……と地面から姿を現すが、これは巨人、か? 主のヤーリが小柄なドワーフのため、呼び出された巨人は大柄な人間程度の大きさ程度だった。ちょっとトホホな気分で肩を落とす……いやいや、見よっ、おたまも二倍だー! と、ヤーリと巨人が、お揃いの巨大おたまをシャッキーンッと構える。
「そーれ、そっくりすくっちまいな!」
 巨人は巨大おたまでフィーラをすくって、七色アンコウの荷車から暴食の厄災をひとまず退けてやった。
「あ~ん、アンコウちゃんが~。んー、しょうがないですね~。他にもた~くさん、ごちそうがあるみたいですし~、そっちにしましょうか~」
 アンコウから離されてちょっと残念そうに、巨大おたまの上で足をぱたぱたさせるのも束の間。フィーラは背中の翼を広げて飛んで行ってしまった。彼女にとっては何でも食べものと認識されるようだ。どーれーにーしーよーうーかーな~、と。猟兵を指さして、次のごはんを選んでいる。
「こらー! 卑怯だよ! 降りといで!」
 ヤーリも巨人も届かない高さまで飛んでしまったフィーラを見上げて、ふたり一緒にじだんだを踏んだ。

「人の労働の上前ハネようたぁふてぇ奴だ。働かざるもの食うべからずって格言を知らんと見える」
「一見華奢な感じなのにスゲー勢いでアンコウ食いやがった……怖っ」
 塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)とアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は、戦況を見ながら、再びアンコウが狙われてはいけないと策を練っていた。ふたりはアーサーのバイクに共に跨って、アンコウを捕獲した時と同じように餌でおびき寄せる作戦に出る。
「ほら、この世界にはない『甘味』が俺の掌にあるぜ? 欲しいなら……奪ってみな!」
 アーサーは蜜ぷにシロップの瓶を掲げて、フィーラに自慢の甘味を見せびらかす。
「え~! 甘味ですか~! わたし~、甘いの大好きなんです~!!」
 案の定、ハートを撒き散らしながら飛んでくる『暴食』。フィーラを引きつける様に走るバイク、追う女。追いかけっこは長くは続かず、唐突にバイクが勢いを殺せば、急には止まれないフィーラの顔を何かがベッチーンっとぶっ叩いた。それはバイクの後ろに跨った曲人が、荷車から何かに使えるだろうと適当に持ってきておいた、釣り竿だった。
「ただの腹ペコ女なら説教程度で済ませてやるんだがな! オブリビオンなら遠慮は無しだぜ!」
「ひ~ん! ひど~い! 痛いです~!」
 めそめそと顔を覆い、地面に座り込んでフィーラは泣いている。一見すると男ふたりで女をいじめているように見える構図である。だがしかし、敵はオブリビオン、油断は禁物だ。もし仮に、彼女を慰めようと近づいていたら……食われていただろう。
「わたし〜、痛くて痛くて~、……おなかが空きましたぁ〜!」
 翼膜の先を変化させた口のみの頭部が、蛇のようにうねって牙を剥く!
「女の武器は涙ってか? ……遠慮しねえって言っただろ! 我流・喧嘩殺法!」
 予め反撃も予想していた曲人は惑わされないように、どの角度から攻撃が来ても反射で撃ち落とせるように無心で備えていたのだ。釣り竿のしなる先端で伸びてきた頭部をぶん殴る。ただの釣り竿も曲人の喧嘩殺法にかかれば、それはまるで自在にしなる鞭のように、凶器のごとくフィーラに襲いかかる。口の悪さなら負けねえぞブッ込み行くぜオラァとまるでチンピラのように、相対する悪いお口を叩きのめしてやったのだった。

「お、女の子相手に、ひどいです~」
 よろよろと曲人の攻撃から逃げだして低空飛行をするフィーラだったが、何とも魅力的な香ばしい匂いに鼻先をくすぐられ、一気に気分が高揚する。
「わあ、何ですか、この匂い~! 食べたい食べたいっ。食べたいです~!」
 その匂いの発生源は、ウィーリィの鉄鍋だった。蜜プ二おびき寄せ作戦が決行される傍らで、彼は荷車の自分の荷物の中から調理用具を取り出して料理を行っていたのだ。鉄鍋に油を引く、刻んだニンニク片をジュワーッと軽く焙る。それだけで、なんて香ばしく食欲がそそられる匂いなのだろうか。それが料理の序盤も序盤だとしても、あの『暴食』はお構いなしだ。我慢なんて出来ないと、匂いをおかずにウィーリィに食らいつきそうな勢いで突っ込んでくる。
「少しは『待て』を覚えるんだね!」
「ふぎゃっ!?」
 行儀の悪い奴はお仕置きだと、ヤーリの巨人の巨大おたまが、ハエ叩きのようにフィーラを地面へ叩きつけた。
「本当ならこいつにもみんなと一緒に食べるご飯の美味しさを教えたかったんだけどな……」
 食欲の権化で人と分かり合う気などこれっぽっちも見せないオブリビオンに、ウィーリィは哀しげな視線を送る。村のみんなの食料と笑顔を守るために、この敵は倒さなければならない……匂いを囮に使っている間に炎の魔力で強化しておいた大包丁を構えて、フィーラの翼を根本から焼き切った。
「きゃーーーっ!!」
 耳をつんざくような悲鳴を受けても躊躇わず、もう一方の翼も切り落とそうと振り下ろしたが、今度は翼を変化させた頭部の牙にガッチリ包丁を噛まれて防がれる。
 鋭い牙の反撃を受けそうになる、その時だった。後ろからバイクの音が再び聞こえてくる。
「【Select…DRIVE ACTION!】行くぜ、ライドラン!」
 戻って来たアーサーは、今まで跨っていたバイク、先頭がドラゴンの頭を模している『ライドラン』を槍に変形させて、フィーラに向かって勢いよく投げ飛ばしたのだ。
「そんなに何か食いたいなら……こいつでも食らってろ!」
 槍投げの選手のように力強く投げられた槍のライドランは、フィーラに残されたもうひとつの翼に吸い込まれるように見事命中。そして槍に貫かれた羽根は爆破され、その形を失ったのだった。

 また空気を震わせる甲高い悲鳴。
 痛い、痛い、何で食べさせてくれないんですか、おなかへったおなかへったおなかへったっ……!!
 フィーラは先程切り落とされ、使い物にならなくなった自分の翼を、むしゃむしゃと食べ始めた。
「うん、お空は飛べなくなっちゃったけど~、ちょっと元気になりました~」
 ぺろりと自分の翼を食べきった彼女は、またにこにこと笑った。恐ろしい『暴食』はまだ止まらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天之涯・夕凪
ジジさん(f05679)とご一緒に
【POW】
さて、それじゃあ、次は私がいい所を見せる番――って、(前に出るジジさんにきょとり)
…ふふっ
では、一緒に前に出て戦いましょうか

UCを発動
聖痕の形態を変化させ、直接フィーラを叩きに
ジジさんと連携を取って、波状攻撃を仕掛けます
女性に手荒な真似はあまり好みませんが…悪いことはきちんと罰しなければなりませんからね

攻撃は常に【捨て身の一撃】のつもりで
反撃等の痛みは【激痛耐性】で耐えます
さすがジジさん、鮮やかなナイフ捌きですね

(“女性だから”というのも失礼かとは思うのですが…ジジさんに攻撃が当たりそうなときは、なるべく割って入る等して、しれっと攻撃を庇います)


荒久根・ジジ
夕凪(f06065)と!
【POW】
よーし!(ずずいと前に)
…って、あわわかぶっちゃった?
でもうん、そう言ってくれるならご一緒に!

まずは夕凪の先制を見守りつつ力溜め
UCも発動…今度はピンクチョコバーをバリッと
入れ替わりですかさず追撃
翼っぽくした髪を羽搏かせて推進力に
勢いよくナイフを振り下ろす
2回攻撃はおっきくした尻尾でバシンとねっ
後は武器受けで時間を稼ぎつつ
夕凪の攻撃につなげるよ
夕凪こそナイスタイミング!

コックから食材を盗むなんてフトドキは
誰であれ何であれお仕置きだよ!

庇われたらきょとんとし
慌ててありがとう、とお礼して
う、でも一応とはいえオンナだからって
ことなら照れちゃう…ちょびっとだけね!



「さて、それじゃあ、次は私がいい所を見せる番――って」
「よーし!――って、あわわ、かぶっちゃった?」
 意気込んでずずいっと身を乗り出したのは、天之涯・夕凪(夜空の端にて・f06065)と荒久根・ジジ(ビザールイーター・f05679)の両者だった。ジジと仲良く同じ行動をしてしまった夕凪は一瞬きょとりとするも、それならばこのまま一緒に戦いましょうかと頬を緩めて彼女を誘う。そう言ってくれるならご一緒に! と、ジジも喜んで頷いた。
「コックから食材を盗むなんてフトドキは、誰であれ何であれお仕置きだよ!」
 ビシィッと。共に倒すべき『暴食』のオブリビオンに巨大ナイフの先端を向けるのだった。

 先手を仕掛けたのは夕凪だ。黒髪黒外套に白い肌、モノクロ色に纏められた彼の流す深紅の血が聖痕を濡らす。それは自分を巣食い蝕む呪いの楔、聖なる傷痕『紫黒』。聖痕が彼の血液を喰らえば封印が解かれて、禍々しい殺戮捕食態へと姿を変える。
「女性に手荒な真似はあまり好みませんが……悪いことはきちんと罰しなければなりませんからね」
 駆ける夕凪。敵を喰らおうと捕食態が牙を剥く。その様子をフィーラは余裕を保ったまま、にこにこと眺めている。
「ふふ、私のこと食べたいんですか~? ちょっとならいいですけど~。その代わり~、あなたのこと~、ぜ~んぶ食べさせて下さいね~っ」
 フィーラはどうぞと自らの手を差し出したのだ。捕食態に喰らわれ真っ赤な血飛沫が舞う。代償により身体能力が上がったのか、彼女の瞳がギラギラと金色にひかる。そして、先程喰われた腕から口のみの頭部が生やされて、だらだらヨダレを垂れ流している。彼女の恐ろしい食欲も更に増幅されているのだろう。まずは目の前のモノを喰らおうと夕凪に噛みつこうとする――。

 夕凪の先制を見守りつつ、ジジは自らを強化し戦いに備えていた。今度の携帯食料はピンクのチョコバーだ。バリッともぐもぐ、エネルギーの補充と共に全身のキマイラ部位の異形化が進む。ふわりと虹色の髪を翼のようにはばたかせて、勢いよくナイフを振り下ろして夕凪と敵の間に入った。
「夕凪を食べるなんて許さないよ!」
「あら~? ……あなたの方が、あのアンコウみたいにカラフルで~、とってもおいしそうですね~っ!」
 食事を邪魔されたかと思ったが、更に美味しそうなご馳走が飛び込んできてくれたっ。目を見開いて、ぐりんと首を回して、ジジにロックオン。突如自身の口がピーッと裂けて大口が開かれる。フィーラは大喜びで狙いを変更して、大口でジジに喰らいつこうと――。
「……失礼します」
 すると、今度は夕凪によって遮られた。ギリギリと捕食態で喰らい合うように力が拮抗する。
「女性を守るのは男性の役割だと思いますので。……先程の援護は助かりましたし、女性だからというのも失礼かとは思うのですが」
 力を緩めぬまま、夕凪はジジに向かって眉を下げる。庇われたジジは一瞬きょとりとして。
「……え。……えっ!? ……あ、あ、ありがと夕凪っ!」
 ちょっとだけ、ほんとうにちょっとだけ。照れて、顔に赤みが増してしまう。だって一応とはいえオンナだからって守ってもらっちゃうとか。
「そういう甘いやりとりは~、お腹はふくれないので~、好きじゃないです~っ」
 フィーラは何だか不機嫌そうに、ガチガチと牙を鳴らして再び襲い掛かってくる。いけないいけないと再び気を引き締め、ジジはナイフを持つ手に力を込めて反撃を開始する。
 巨大ナイフのリボンを靡かせて勢いよく振り下ろす。避けた所を大きくした尻尾がバシンッとクリーンヒットだ。よろけたチャンスをナイフのギョロ目は見逃さない。彼女の変化させた手を、体を、細かく裂いていく。
「さすがジジさん、鮮やかなナイフ捌きに連撃もお見事です」
 どんな時でもジジへの賛辞を忘れない夕凪も、続くように捕食態を繰り出す。
「ううっ、わたしはただ~、おなかがいっぱいになりたくて~っ」
 フィーラは涙を浮かべるが、夕凪の顔に、ジジへ向けるような優しい表情はない。容赦など微塵もせずに、オブリビオンの喉元へ深々と喰らいついた。倒れても尚、彼女の息が止まるまで。
「あ~あ~……おなかが、へりました~……」
 冷たくなる直前まで、そんな言葉を呟いて。果たして、満たされないのは食欲だけだったのか。彼女は気付けぬまま、再び骸の海へと還り逝く。やがて『暴食』のフィーラは空へと溶けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『お鍋の美味しい季節ですね』

POW   :    肉や魚を調達。新鮮なお肉やお魚、狩ったるどー!

SPD   :    野菜やキノコ等を調達。森や洞窟から、手早く収穫してきます。

WIZ   :    調味料や加工品を調達。村で家人や商人に交渉し、入手します。

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「俺たちの飯ーっ……じゃない! 猟兵たちが帰ってきたぞーっ!」
 村の食糧庫を襲ったオブリビオンを倒し、七色アンコウをたんまり荷台に乗せて村へ戻った猟兵たちは、村一同から大歓迎を受けた。
 ――しかし。
 何? その荷台には七色アンコウしか乗ってない、だと!?
 じゃあ他の鍋の具材はどうするんだ! これじゃただのアンコウの煮込みになっちまう!
 誰か他の具材も調達してきてくれ!
 勿論俺たちと一緒にアンコウを調理してくれる奴らも大歓迎だぜ!
 さあ、美味しい鍋を作るために、みんなでもうひと頑張りしようじゃないか!
塩崎・曲人
オィイ?戻ったら鍋にありつけると思ったら他の食材もセルフ調達かよ
出発前に言っといてくれたら釣りのついでに探してきたのによー
「料理の心得も無ぇし財布も寂しい。足で食材を探すしか無いかね」
あ、調理の準備はしておいてくれよな

軽くこの近辺で取れる食える野草とかを聞き込みしてから
山へ食材探しに向かうぜ
狙いは野草と木の実、茸ぐらいか
「安牌は木の実だな?ほかは毒草とか毒茸を見分けられる程、この世界に明るくねぇし」
一応収穫物は戻ったときに村人にチェックしてもらおう

鍋で食うのに十分な量以上、余りが出る程度を狙って集める
余り分は村に提供
フィーラにやられて備蓄も乏しいだろ
保存できそうなのは保存食にしときな


グァンデ・アォ
《アドリブ、連携、苦戦描写、ユーベルコード詠唱変更、その他何でも歓迎です》

オブリビオンを倒すため、みんなのところへテレポート!
助けに来たよ!みんな大丈夫!?……え?戦いはもう終わったの?

……
………
さーて、ご飯の時間だ!おいしいお鍋のために頑張るぞー!(笑)
ボクは何を探そうかな……そうだ、お鍋のタレを作るのに使う食材を探そっと。

海沿いの日当たりのよい斜面に、かんきつ類の木が生えていないかな?
かんきつ類の果実があれば、ポン酢がつくれるんだよー!
いっぱい採って、みんなのところに持っていこうっと!

んで、ボクもお料理のお手伝いするんだ!


ウィーリィ・チゥシャン
【SPD】
待たせたな、みんな!
七色アンコウ鍋の支度が整うまでもう少しの辛抱だからな。

まずは材料調達に向かう前に村のみんなに普段食べている料理について尋ねてここの人達の嗜好や、この辺りで入手できる食材について調べる。
それを踏まえた上で野菜などの材料調達。

アンコウ以外だとネギや春菊、白菜にニンジン、それとシイタケにエノキ。
それを踏まえてこの辺で採れる食材や村人たちの好みも加味してアレンジ。
スープはどぶ汁(アンコウと野菜の水分だけで作った濃厚なスープ)で。

料理の腕前を存分に振るい、みんなで美味しい鍋を作ろうぜ!


アーサー・ツヴァイク
※最後まで協力アドリブ大歓迎

【POW】判定で魚を調達してくるか。…釣り? しないよ?
いや、ライドランを槍モードに変形させて…川底に向けて【槍投げ】シューーーーーーート!
これぞ正しく猟兵流・爆破漁だぜ!!
刺さったライドランは光の鎖を【怪力】で手繰り寄せればおかわりもできるぜ!
…まあ流石に乱発するのは環境に良くないからやめとくけど。

手ごろな魚を集めたら村に戻って【料理】だ!
七色アンコウ…一体どんな味がするんだ…今から楽しみだ!
…この瓶は何だって? 蜜ぷにシロップだけど…
いや流石に鍋には入れないよ! 甘党アーサー君もそこまではしないから!
だから入れるなよ? …入れても俺以外食えない甘さになるぞ?


清水寺・大牙
「鍋か…そろそろ時期も終わるし、最後に楽しもう」

七色アンコウがメインの鍋なら、他の肉や魚よりは野菜の方が有難いだろ
と言う事で目指すは山菜とキノコ類だな

村の人から場所を聞いて、お勧めの奴を探して来よう

鍋自体は少しで良いから、それをつまみに一献楽しもう


天之涯・夕凪
ジジさん(f05679)と
では、私は調達の方に行きましょうか
(元気な様子に笑い)
ええ、調理はお任せしますね、ジジさん

お肉や魚は十分そうなので、野菜や調味料ですかね
雑学があるに越した事がない本業なので、日頃役に立たない食べられる野草なんかの知識はあるんですよね
キノコは手を付けるのは止しましょう
間違える危険性のない、確実に安全な物だけを採取
帰りに、村の方に、調味料類を分けてもらえないか聞きましょう
女性だと、こういう時優しいんですよね
貰えるかなぁ…
手に入れた材料はジジさんにパス
後は果報は寝て待て、と

お疲れ様です、ではいただきます
うん、とても美味しいです

此方こそ楽しかったですよ
ええ、また、是非に


荒久根・ジジ
夕凪(f06065)と
待ちに待ったごはんの時間!
ボクはやっぱり調理かな
夕凪は調達?
待っててね、おいしーの作っちゃうから!

捌き方は村人さんに聞いて
ジビエもやったことあるし
教えて貰えばきっとできる…はずっ
下し終えたら早速調理
まずはもちろん…鍋!
普段はびっくりされちゃうボクの料理も
この七色アンコウなら大丈夫かな?
皮の綺麗さを生かしてキラキラ虹色のお鍋に仕立てよう
あとアンコウは捨てるとこなしって言うからね
骨はせんべい、卵は煮つけ
肝は鍋出汁に溶かしたり酒蒸しも作っちゃおう!

さ、夕凪おまちどうさま
どう、おいしいかな?
へへっ、よかった

今回は戦闘もあったけど
ご一緒だから楽しかったよ
また一緒にどこか行こうね!


ヤーリ・ハンナル
●POWで弓ひっさげて森に狩りにいく。やはり森での狩りが慣れている。
「アンコウだけじゃなく、お肉の鍋もあるといいよね。村人はみんなハラペコだろうしさ」
必要ならUC使用。
やはり猪鍋や鹿鍋でしょうかね。道中、茸等を採るのも忘れない。
●アンコウの吊るし切りを習いたい。お玉だけでなく、マイ包丁も持参。
「これで学食でもアンコウ鍋が作れるよ!」
●材料があれば、学食で評判のよかった『ほうとう』を作ります。
「南瓜が美味しいだろう。栄養満点だし、これなら子供やお年寄りも食べやすいよ」
●しつこいですがお土産にアンコウもらえるといいな-。
※アドリブ連携ネタ大歓迎



「オブリビオンを倒すため、みんなのところへテレポート! 助けに来たよ! みんな大丈夫!?」
 あれ、なんだかおかしいぞ。グァンデ・アォ(敖 広徳・f10200)は気が付いた。もしかして、戦いはもう終わったの?
「………さーて、ご飯の時間だ! おいしいお鍋のために頑張るぞー!」
 大丈夫、ご飯の時間には間に合った! 気を取り直して、食材探しに出発だ。グァンデは鍋のタレとして使えるようにかんきつ類の果実を求めて、海沿いの日当たりのよい斜面へと元気よく飛んで行った。

「待たせたな、みんな! 七色アンコウ鍋の支度が整うまでもう少しの辛抱だからな」
 改めて、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は村人たちに捕まえた七色アンコウのお披露目をした。そして、村のみんなが普段食べている料理について尋ねてみる。みんなの嗜好や、この辺りで入手できる食材についても調べられれば、具材集めに役立てられるだろう。
「海も山も近いから、色んな幸を恵んでもらっているよ。そうそう、山には珍しいピンクぜんまいやえのきに似たオレンジ茸が群生しているから、見つけたら採って来ておくれよ」
 この地方には七色アンコウの他にも、様々なカラフルな食材が見られるらしい。怪しくとも毒はないから安心していいと説明を受ける。村人たちはそんな色鮮やかな食材を食べ慣れているとのことだった。共に村人からの情報を得ていた猟兵たちは、各々が目指す収穫場所へと足を運んでいく。
「鍋か…そろそろ時期も終わるし、最後に楽しもう」
 清水寺・大牙(人食い虎・f06778)もいつの間にかその輪の中に溶け込んでいた。元々、七色アンコウがメインの鍋なら、他の肉や魚よりは野菜の方が有難いだろうと予想をしていたのだ。鍋のためにひと肌脱ごうと、山を目指した。

「オィイ? 戻ったら鍋にありつけると思ったら他の食材もセルフ調達かよ。出発前に言っといてくれたら釣りのついでに探してきたのによー」
 塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)はがっくりと肩を落としたが、文句を垂れていても仕方がない、と山でガサガサ採集をしていた。
「料理の心得も無ぇし財布も寂しい。足で食材を探すしか無ねからな」
「……あっちに、派手なキノコが群生している場所を見つけた」
「おお、すげぇ量だな。……あ、ド派手なぜんまいもみーっけた」
 近くで山を探索していた大牙の籠の中のオレンジ色も、曲人の見つけたピンク色も中々に主張が激しい。この近辺の生態系に疑問を覚えつつも、目に付く限りの山菜やキノコを集めていく。
「……こんなに量、食えるのか?」
「あー、余ったら村のやつらがゆっくり食えばいいだろ。フィーラにやられて備蓄も乏しいだろうしな」
 彼らは村人の明日以降の食生活も見越して、多めの食材を持ち帰ろうと採集を続けるのであった。

 ヤーリ・ハンナル(学食の母・f10606)は採集ではなく、狩りのために山へ訪れていた。
「アンコウだけじゃなく、お肉の鍋もあるといいよね。村人はみんなハラペコだろうしさ」
 森の中の狩りには随分と慣れているようで、見知らぬ山も自分の庭のように歩いて行く。ふいに何かの気配を察知したヤーリは、戦闘のように精神を研ぎ澄まして弓を構える。ぎりりと力強く引かれ勢いよく放たれた矢は、視界の果てで木々の葉を揺らす獲物に向かって美しい弧を描き飛んでいく。さて、彼女が捕らえたのは兎か瓜坊か、それとも――。

 一方、アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は、今度は川にいた。
 釣り? しないよ? アーサーが構えるのは釣り竿ではなく、フィーラの翼も仕留めた槍モードのライドランだ。
「槍投げシューーーーーーート! 必殺! 猟兵流・爆破漁!!」
 鋭く放たれた槍先が川底に触れれば、ものすごく手加減された爆発が起こる。爆発にびっくりして気絶したのか、ぷかりぷかりと次々に水面へ浮かんでくる魚たちこそ爆破漁の釣果だ。……釣ってはいないが。
「おおっ、すげーっ! 大漁大漁!! ……まあ流石に乱発するのは環境に良くないからやめとくけど」
 魚たちを余さず回収すると、満足気にライドランを光の鎖で手繰り寄せた。この地方はオブリビオンではない普通の魚でもカラフルな種が多いらしい。キラキラでピッチピチな自然の宝物。全部美味しくいただくとしよう。

「待ちに待ったごはんの時間! ボクはやっぱり調理かな。夕凪は調達?」
「ええ、調理はお任せしますね、ジジさん」
 おいしーの作っちゃうから待っててねと荒久根・ジジ(ビザールイーター・f05679)は、天之涯・夕凪(夜空の端にて・f06065)を見送ってから、アンコウ鍋の準備に取り掛かる。
 何匹かは事前にウィーリィが捌いてくれたようだが、まだ身のままのアンコウも大量に残っている。他の具材を調達している間に解体していこう。そういえば、吊るし切りを勉強したいと言うジジの希望もあった。ウィーリィと調理が得意な村人に教えてもらいながら、七色アンコウの解体ショーの開幕だ。
 凶暴な口をフックに吊るして宙ぶらりん。鈴蘭灯もゆらゆら揺れる。まずはヒレをざっくざく。口の端に切れ目を入れて、七色の皮を一気にぺろーん! ぷるっぷるの身も光加減によってキラキラと、色合いを様々に変えていく。エラもざっくり。てろーんと出てきた大きなアン肝と胃袋も大事に大事に取り出して。卵巣にあたるヌノもぺろんと。後は骨に沿って身をしゅばばっと華麗に切り分けた。最後に骨も使えると喉元から断てば、フックには凶暴な口だったものが残るだけだ。まさにアンコウ捨てる所なし。
 ジビエ料理にも覚えがあるジジは、初めてのアンコウ捌きでも流石の手際だった。この調子でみんなで全部捌いていこうか、と次なるアンコウに取りかかろうとした時だった。
「ちょっと待っておくれ! あたしもアンコウの吊るし切りを教えてもらいたいんだよっ」
 山から急いで降りてきたヤーリが荒い息のまま、調理組に待ったをかけた。なんとその小さい体で小鹿を背負っている。調理にも間に合うように根性で帰って来たらしい。食堂でアンコウ鍋を出すために、何としても彼女は間に合わなければならなかった。マイ包丁を取り出して気合十分のヤーリを加えて、改めてわいわいとアンコウの吊るし切りがレクチャーされ、解体は順調に進んでいく。みんなで力を合わせて、鍋に使う分の全てのアンコウの下準備を終えた。
「スープはどぶ汁にしようぜ!」
 ウィーリィの案が採用されて、広場の超巨大鍋で調理組はスープ作りへと作業を移していく。

「ただいま戻りました。どうぞ、こちらも使って下さい」
「おかえり夕凪! って、どうしたのっ、そのお野菜!?」
 村へ戻ってきた夕凪が持つ籠には野草の他、白菜や人参など、山で採れそうにない野菜がたんまりと盛られている。
 夕凪はまず持ち前の知識から、近場の山で食べられる野草の採集を行っていた。間違える危険性のない、確実に安全なものだけを選んでいたのだが、どうにもこの地域にはカラフルな見慣れない植物ばかりで、あまり多くの収穫は得られなかったようだ。それなら調味料類を村の人々から分けてもらえないか頼んでみようと、帰り道で話しかけてみたら――。
「調味料の他にも、色々と野菜も分けて下さいました。みなさん、お優しいですね」
 そう言って、夕凪は魅惑的な薄い笑みを浮かべた。恐らく優しかったのは『女性の』みなさんだろう。ちなみにこの野菜たちは、食糧庫には納めないで各家庭で貯蔵していた日常の食糧を分けてもらったものや、女性の商人がサービスでくれたものらしい。後に村のマダムたちはこう語りあったとか。「あのイケメンを思い出すだけでご飯三杯はいける」と。ジジに材料を渡せば、後は果報は寝て待てだ。夕凪は彼女が料理をする姿を傍らで見守りながら、ひと休みすることにした。

 そして、採集や釣りに行っていた猟兵たちも次々と帰還して、山菜やキノコや魚など、大量の具材が届けられた。
 超巨大鍋を協力し合いぐつぐつ煮込む中、曲人の食糧貯蔵案を受けて、アーサーが獲った魚の一部も干物にして貯蓄にまわすことにした。あちらこちらからの村人の感謝の声が飛ぶが、曲人は気にするなとひらひら適当に手を振った。
 超巨大鍋の傍ら、普通の寸胴鍋……それでも小柄なヤーリにとっては十分大きいのだが。彼女はその鍋で材料を分けてもらいながら鹿鍋を作っていた。保存は良案だと、鍋に使わなかった分の肉は後に燻製にした。
「ボクもお料理のお手伝いするよ! いっぱいいっぱい、果物も採ってきたから、使ってね!」
 グァンデはユズをごろごろと取り出した。
「かんきつ類の果実があれば、ポン酢がつくれるんだよー! 味変の準備は任せてー!」
 みんなでするお料理楽しいねっ、と小さな機体のからだ全体で飛ばす明るい気持ちが周りにも伝染していく。その頃、鍋からも最高潮にいい匂いが漂ってきた。完成間近な気配を察して、村人たちもまだかまだかと鍋の周りに集まってくる。
 美味しく煮込むことには変わらないけれど、やっぱり見た目にもこだわりたい。世にも珍しく美しい虹色の鍋、猟兵風七色アンコウ鍋の完成だ。

 それは誰もが生涯経験する中で、もっとも彩り鮮やかな鍋となるだろう。アンコウの肝と野菜の旨みが凝縮された真珠のようなスープ。カラフルな山菜や茸、野菜が見た目も触感も賑やかに主張してくる。南国にいるような色合いの川魚も捌かれて、仲良くスープを泳いでいる。そしてメインは勿論七色アンコウだ。ぷるっぷるのコラーゲンが光を跳ね返して、鍋になっても尚、カラダの部位のどこもかしこも七色の美しさを保っているではないか。
「我々の食糧と! 鍋を守ってくれた猟兵たちに感謝を込めて! かんぱーい!」
 こうして村総出で行われる、賑やかな宴がようやく始まった。

 美味いと、誰もが一度は呟く。それはこの地方の珍しい食べものがそうさせるのか。はたまた料理人の腕が良かったのか。
「みんなで頑張って材料を集めて作ったものを、みんなで食べてるんだ。美味いに決まってるだろ!」
 ウィーリィは村に溢れるみんなの笑顔を目にして、これが見たくて料理人を目指しているのだ、と自分も満面の笑みとなる。がぶりとアンコウの身に齧り付けば、まさに七色の旨み成分が口の中を泳ぎまくる。
「うまーい! 料理最高! うまいもん最高だぜ!」
 料理を作ることも食べることも大好きな料理人の卵にとっては今日一日の経験も、将来料理人になる上での大切な糧のひとつとなったのだろう。

 アンコウ鍋の他に作られていたのは、鹿鍋だけではない。ジジはアンコウの酒蒸しや卵の煮付けも作り、また骨も食べてしまおうと煎餅にしていた。そして、ヤーリも自分の学食で人気だったメニューを村の人たちにも振舞いたいと、南瓜たっぷりのほうとうを用意していた。どれも好評で、続々とおかわりの声が上がっている。
「ところでちょっとお願いがあるんだけどさ。……うちの学園の生徒たちにもアンコウ鍋を食べさせてやりたいんだ」
 もし良ければ残っているアンコウを分けてもらえないだろうか。ヤーリのお願いに村人たちは豪快に笑って、これだけ村を助けてくれたんだ、いくらでも持っていくといいと、快く承諾してくれた。
「ありがとう! これで学食でもアンコウ鍋が作れるよ!」
 アンコウ狩りの時からずーっと狙っていたお目当てのお土産を得られて、ヤーリは声が弾むのを抑えられなかった。

 賑やかな輪から少し外れて、大牙は少しの鍋とアンコウ骨の煎餅をつまみに一献傾けていた。村人おすすめの清酒は、爽やかな立ち香と程よい旨みを広げた後、キュッと潔く引いていく。鍋によく合うチョイスだ。
「…………」
 男は寡黙に酒を楽しむ。今年最後の鍋になるだろうか。遠くで聞こえる喧噪も、またいい肴だ。いつもは鋭い眼光もこの時ばかりは心なしか和らいでいるようだった。

「お鍋おいしいねー! ボクの作ったポン酢も使ってみてねー! ……んん? ねえねえ、その瓶はなーに? それも味変する何か?」
 七色アンコウめちゃくちゃうめぇっ、とおかわりをしていたアーサーと曲人に話しかけてきたのは、村の広場中をうろちょろと飛び回っていたグァンデだ。その瓶、と言われたのはアーサーがいつも持ち歩いている蜜ぷにシロップの瓶だった。
「いや流石に鍋には入れないよ! 甘党アーサー君もそこまではしないから!」
「えー、お鍋と一緒でカラフルで、美味しそうなのにー?」
「……入れても俺以外食えない甘さになるぞ? だから入れるなよ?」
「入れるなよ、絶対入れるなよ……ってーことは、つまり、フリかな?」
 さて、彼らは蜜ぷに味アンコウにチャレンジしたのだろうか。こんな戯れもまた一興。味は、言うまでもない。

「さ、夕凪おまちどうさま」
 給仕も手伝い、てんてこまいの働きをみせていたジジは、ふたり分のお椀を持ってようやく夕凪の元へ戻って来られた。
「ジジさん、お疲れ様です。ではいただきます」
 おいしいかな、と感想を待つ。答えは勿論イエスだ。
「へへっ、よかった。普段はびっくりされちゃうボクの料理も、この七色アンコウなら大丈夫だったみたいだね」
 今日は戦闘から料理から色々あったけれど、一緒に過ごせてとても楽しい時間だった。
 また一緒にどこかいこうね。ええ、また、是非に。そのやりとりは社交辞令ではないのだろう。

 それぞれの鍋の時間を楽しめば、あっという間に夜は更け、あれだけあった大量の鍋も空っぽだ。
 おいしいお鍋、おいしい思い出。お腹も気持ちもたっぷり満たすことが出来ただろうか。
 それではみなさま、ご一緒に。ごちそうさまでした。

【鍋だ鍋だ!七色アンコウ鍋!~END~】

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月20日


挿絵イラスト