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暑いからではすまされない

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #猟書家 #パストテイラー #ダークヒーロー #マスター・ビキニアーマー #マイ宿敵

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「すみません、集まってもらって」
 君達に頭を下げたフェリクス・フォルクエイン(人間の天馬聖騎士・f00171)はヒーローズアースの世界で先日倒された猟書家幹部、パストテイラーの遺志を継ぐオブリビオンが活動を開始したようなんですと明かした。
「ヴィランから改心しダークヒーローとして活動している方のヴイランとしての罪をオブリビオンとして具現化、過去の悪事を再び働かせることで人々の間に不和の種を蒔き、いずれは人々が怪物『スナーク』の存在を信じる素地を作る……と言うのが狙いのようですね」
 このため猟書家幹部の遺志を継ぐオブリビオンは狙われているダークヒーローが過去にヴィランとして起こした事件の現場のいずれかに姿を現す。
「件のオブリビオンは狙われたダークヒーローにとって『本人にとって最も印象深い場所』に現れるようなのですが」
 これを補足するには、その場所を知る必要がある。
「という訳で、皆さんにはまず狙われると思われるダークヒーローと接触を図っていただきたいんです」
 説明するフェリクス曰く、意味達に接触して欲しいダークヒーローと言うのは、ファントムと名乗る黒衣を纏った人物なのだという。
「黒衣の下を見た者はいないという話ですが、黒衣の方が特徴的なのと何度か目撃されてる場所がありますので、そこで張り込んでいれば接触するのはそれほど難しくないと思います」
 首尾よく接触できたなら、事情を話し件の人物に過去の罪のことや本人にとって最も印象深い場所のことなどを聞き出し、オブリビオンの出現場所を特定して現場に向かえばいい。
「オブリビオンと遭遇できたなら、具現化したダークヒーローの過去の罪を連れたオブリビオン、マスター・ビキニアーマーとの戦闘になると思います」
 浅黒い肌をしビキニアーマーを身に纏う筋骨隆々な老武闘家が何故パストテイラーの遺志を継いだかは不明だが、放置しておくわけにもいかない。
「ちなみに、ファントムの過去の罪状はわいせつ物陳列罪だそうです。なんでも、その……服を着ていなかったらしくて」
 言い出しづらかったのだろう。最後に説明したフェリクスの目は、泳いでいた。


聖山 葵
 いや、暑いですね。

 という訳で今回は涼しい恰好の敵と戦っていただくお話の筈です。露出低いのに暑苦しい気もするのはきっと気のせい。

 ちなみにファントムさんの性別に関しては出発後に聖山がダイスで決めることになっております。男性か女性かは最初の方が接触するまでわからないということですね。

 また、このシナリオフレームには下記の特別な「プレイングボーナス」があり、これにのっとった行動をすることで、戦いに有利になります。

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 プレイングボーナス(全章共通)……ダークヒーローと共に戦う。
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 では、ご参加お待ちしておりますね。
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第1章 日常 『ダークヒーローの過去を探れ』

POW   :    ダークヒーローの現在のヒーロー活動に協力しつつ、話を聞く

SPD   :    ダークヒーローに接触し、言葉巧みに話を聞き出す

WIZ   :    ダークヒーローの過去を調べあげ、刺激しないように話を聞く

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

土御門・泰花
※アドリブ・連携歓迎
行動:WIZ

ダークヒーローの過去の罪……本人とて改心して思い出したくないでしょうに、意地悪な。

張り込み場所へ向かいつつ道行く人々の話に【聞き耳】を立て【情報収集】。
目的地でダークヒーローと会えたら先ずはご挨拶を。

「初めまして。陰陽師の土御門泰花と申します。実はある事件を追っておりまして、貴方の御協力を得たく参りました。」

優雅に一礼すると同時に【早業】にてUCを発動。これで多少は話し難い過去も話して下さるでしょうか。

「過去の罪からはどのような経緯で改心なされたのですか?」等、雑談も交えて罪悪感を刺激しないよう慎重に質問。

お話から【世界知識】を基に敵の出現場所を予測してみます。


ソフィア・エーデルシュタイン
ファントムさんとお話を致しませんとね
黒衣の方が目撃されるという場所で張り込みつつ、近くの一般人の方にも聞いてみますわ
黒衣のヒーローに助けて頂いたご恩をお伝えしたく思っておりますの
素晴らしい方ですのよ、ご存じありません?
広く聞きこんでは本人に委縮されるかもしれませんし、数人程度に
…わたくし、嘘は言いませんわ
黒衣のダークヒーローさんには、これから助けて頂きますもの

接触出来たら事情を含めて素直にお伺いしましょう
わたくしの中ではもう貴方は素晴らしいダークヒーローですもの
そんな方の過去を悪用される事を、黙って見過ごせませんわ
でも、貴方の悪評は、貴方がご自身で払うべき
そのお手伝いを、させてくださいまし



「ダークヒーローの過去の罪……本人とて改心して思い出したくないでしょうに」
 意地悪な、と呟いた土御門・泰花(風待月の菫・f10833)は目撃証言の重なる場所へと歩き出し、街を行く。その側には同じ目的で張り込む為の場所へ向かうソフィア・エーデルシュタイン(煌珠・f14358)の姿もあった。
「ファントムさんとお話を致しませんとね」
 当人から情報を得ないことには話が始まらない。
「はぁ、今日も日が落ちたってのにあっちぃな」
「夏だからしかたねぇべ」
「あの、この辺りで黒衣の方を見かけられたという話を聞いたのですけれど――」
 すれ違う人の会話に泰花が聞き耳を立て、ソフィアは直接話しかけ、そう切り出す。
「んー、黒衣ねぇ……このあちぃのにンな日の光を集めそうな格好してればそれなり目立つと思うけどな」
「あー。けどよ、こう外が暗くなってるならアリなんじゃね、保護色的に」
 うまくいけば聞き耳を立てただけよりも有力な情報が入ってくるかもしれない。故にソフィアと通りすがりの人々のやり取りする場所からあまり離れていないところで、泰花はただ足を止め。
「黒衣のヒーローに助けて頂いたご恩をお伝えしたく思っておりますの。素晴らしい方ですのよ、ご存じありません?」
 ソフィアはすれ違う人に時折聞き込みをする。広く聞きこんでは本人に委縮されるかもしれませんしと人数を絞りはしたものの、向かう先は複数の目撃情報がある場所でもある。
「あー、あれか」
 やがて六人目で心当たりのある人物が現れた。
「ご存じですの?」
「ビルの屋上から下の様子を見降ろしてるのを目にしたことがあるよ。屋上の貯水タンクの点検の人とかビルに勤務してて気分転換に出てきた社員みたいには見えなかったから……」
 妙だと思ったと続けた街の男性が話した目撃場所は、ちょうど二人が向かっている方向であり。
「確か、あのビルでしたね」
「はい、そう伺いましたわ」
 視線で泰花が示して問えば、ソフィアがこれを肯定し。
「……あなたたちは?」
 話を参考に屋上で張り込んだ二人は、果たして現れたかの人物に誰何の声を投げられることになる。声の高さと身体のラインを見るに女性なのだろう。
「初めまして。陰陽師の土御門泰花と申します。実はある事件を追っておりまして、貴方の御協力を得たく参りました」
「わたくしはソフィア・エーデルシュタインと申しますわ。貴方が黒衣のダークヒーローさんですのよね?」
「ん、そう。……今はファントムを名乗ってる。それより、事件って?」
  泰花が優雅に一礼しつつ自己紹介をすれば、これに続いたソフィアの確認に頷いた黒衣の人物は泰花の方を見て動きを止めた。
「綺麗」
 一礼するなり泰花の飛ばした螺鈿細工のような輝きを放つ白揚羽がファントムの髪にとまったのだ。
「お気に召していただけたなら何よりです。さて、事件の話でしたね?」
 白揚羽の式神の力もあってかりそめの友好的な空気を作ることには成功したものの、そこから先は話しにくい内容にも触れること。泰花は慎重に言葉を選び、時には雑談も挟みつつ事情を説明し始め。
「事情はだいたいわかった。わたし……じぶんを透明にする能力もち」
 ただ、ファントム曰く能力で透明にできるのは自分自身の身体だけだったのだという。
「最初はたまたま能力の維持に失敗しただけ……」
 当人からすれば痛恨のミスだったのだろうが、それがきっかけだった。
「わたし、目立たない子だったから」
 人に注目されることに喜びを覚えてしまった過去のファントムは唐突に能力を一瞬解除して全裸を晒しては透明になって姿を消すということを繰り返していたらしい。
「今思い返せば、あれは若気の至り」
 改心し、黒衣を纏い夜に活動することで姿を隠したままの行動は全裸でなければ行えないという弱点も克服したファントムは現在その高い隠密性を利用して街のパトロールを行っており、ビルの屋上に立ち寄ったのもパトロールの途中なのだとか。
「ところで、過去の罪からはどのような経緯で改心なされたのですか?」
「それは、怒られたとかいろいろあるけど……履いてないと冷やしたお腹が痛くなって気づいた。これじゃダメと」
「……そう、ですか」
 相づちを打つ泰花にファントムは言う。
「たぶんわたしの罪が現れるとしたら、それはきっと始まりの場所」
 二人がおそらくは最も欲していたであろう情報を。それは情報がなく困っていたソフィアを助けてくれて、聞き込みでの助けていただいたもこれで嘘ではなくなり。
「過去を悪用される事を、黙って見過ごせませんわ」
 行きましょうとソフィアが促せばファントムは無言で頷き。
「貴方の悪評は、貴方がご自身で払うべき。そのお手伝いを、させてくださいまし」
「もちろん。よろしく、お願い」
「はい」
 再度頷いたファントムの差し出した手をソフィアは握ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『マスター・ビキニアーマー』

POW   :    ワシにうぬらの強さを見せてみせい!
【後の先の構えを取る自分 】に変形し、自身の【背の武器を使わないこと】を代償に、自身の【防御力と回避率およびカウンター攻撃】を強化する。
SPD   :    堅牢鉄壁・真・アーマー・ビット
自身が装備する【ビキニアーマーのパーツ 】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    ビキニアーマー格闘術最終奥義『鎧包解脱求道拳』
【カウンター攻撃 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【光り輝く拳型のオーラ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミュリエル・フォルクエインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あそこ」
 ファントムが先導し、示した始まりの場所は何の変哲もないごく普通の道路であった。闇を照らす街灯の明かりが点在し、その一つに佇むは、人影が二つ。一つは全く服を着ておらず、もう一つはビキニアーマーのみを身に着けていた。
「ほう、過去の罪を止めに来おったか。それもまたよし」
 邪魔をされそうにもかかわらず嬉し気に笑んだのは、敵を認めた格闘家のさがなのであろうか。
「ワシの企み、止められるモノなら止めてみるが良いわぁっ!」
 ビキニアーマーを纏った浅黒い肌の老人ことマスター・ビキニアーマーは吼えるや構えをとったのだった。
土御門・泰花
※アレンジ・連携等大歓迎。

「既に改心したファントムさんの過去を暴いて悪用しようなど、言語道断ですよ。」

柔和な表情のまま、内心では呆れと怒りを覚えて。

【早業】でこっそり敵を囲むように霊符を放ち、敵の足元に清明桔梗の陣を展開。とはいえ、これだけでは狙いを外して霊符を地に並べただけに見えましょう。
敵の技はカウンター攻撃に対する反撃技。ならば攻撃は【軽業】【早業】で回避するのみとし、敢えて反撃しません。これなら敵も技は放てぬでしょう。
敵が技を放てず焦れったくなった所へ【早業】でUC発動。

「ファントムさん、今です!奴へ痛恨の一撃を!」

敵は突然の轟雷に打たれて怯み、隙を見せるはず。それを見逃しはしません。


ソフィア・エーデルシュタイン
【硝子箱】

あれの討伐には人手が要りますもの
それに二人とも、全裸の女性に興奮するタイプではありませんでしょう?
適任かと思いまして
わたくし、己を過信は致しませんの
頼れるものは、頼っていくだけですわ

エンティさんが全裸の方を対処してくださいますし
わたくしはルクアスさんと共に男の方を煌矢で狙いますわ
暑いですものね、存分に冷えてくださいまし
ルクアスさんと二人がかりで、氷漬けにして差し上げます
傍には水晶髑髏を控えさせ、わたくしと共に、
いつでもお二人やファントムさんを庇えるように努めます

ファントムさんがなさりたいことがあれば喜んで補佐を致しますわ
ダークヒーローとして生きる彼女の邪魔を、なさらないでくださいまし


エンティ・シェア
【硝子箱】

ソフィア…聞いてもいいかい
我々は何故呼ばれたんだい
うん、まぁ、人手はいるよね。正論だ
うん、確かに私はそう言うのに思うところはないよ。良く分かってるね
ルクアス、この状況でそういう事言うとロリコンみたいだよ
仕方がない。務めよう

男の対処は二人に任せるとして…
あまりお嬢さんの姿を晒したくないから、橘の花で覆ってしまおうか
余力があれば男の方の視界も遮りたいね
ついでに攻撃も出来れば一石二鳥かな

黒衣の君には姿を消して撹乱などしてもらえたら
脱がなくていいよ、大丈夫
君が傷つくのも忍びないし、遠くから気を引く行動の方が私は嬉しいが…
任せよう。補佐はするよ
私もカウンター攻撃を食らわない位置であれこれしよう


ルクアス・サラザール
【硝子箱】

ソフィアさんに呼ばれてきましたが…
なるほど、見せびらかしたい方が隠したい方に強要しているわけですね(超解釈)
で、どちらをしばき倒せばいいんですか?あ、両方です?
はい、俺は陛下以外に興味はないので何でもいいです
煩いですよエンティ。口縫いますよ

暑さにやられているなら冷やして差し上げればいいですよね
氷装剣舞でビキニアーマーの方を攻撃していきます
ソフィアさんの楔に合わせ、波状攻撃となるように
敵の動きが鈍れば、彼女も動きやすいでしょう

俺もカウンターなんて食らいたくないですけど、
ソフィアさんにばかり負担を強いるのもいけません
少しは斬り込んで撹乱に一役買いましょうか
前に出る気の無いエンティの分もね



「既に改心したファントムさんの過去を暴いて悪用しようなど、言語道断ですよ」
 どこからでもかかってくるが良いと言わんがばかりの老人へ土御門・泰花は視線を向ける。表情は柔和なままに内心は呆れと怒りを覚え、怒りの部分が即座にマスター・ビキニアーマーへの攻撃へと直結しないのは泰花に考えが有ったからでもあるが。
「ソフィアさんに呼ばれてきましたが……」
「ソフィア……聞いてもいいかい? 我々は何故呼ばれたんだい?」
 ルクアス・サラザール(忠臣ソーダ・f31387)に続き口を開いたエンティ・シェア(欠片・f00526)は自分達を招集したソフィア・エーデルシュタインへ問いかけ。
「あれの討伐には人手が要りますもの」
「うん、まぁ、人手はいるよね。正論だ」
 視線でマスター・ビキニアーマーを示すソフィアの回答に【硝子箱】として組んでことに当たることを含んでエンティは納得し。
「なるほど、見せびらかしたい方が隠したい方に強要しているわけですね」
 ルクアスは謎の解釈をするや振り返る。
「で、どちらをしばき倒せばいいんですか? あ、両方です?」
 そうして指示を求めるルクアスであったが、ソフィアとエンティはまだやり取りを続けており。
「それに二人とも、全裸の女性に興奮するタイプではありませんでしょう? 適任かと思いまして」
「うん、確かに私はそう言うのに思うところはないよ。良く分かってるね」
「はい、俺は陛下以外に興味はないので何でもいいです」
 エンティが再び納得するのに続く形でルクアスも首を縦に振る。
「ルクアス、この状況でそういう事言うとロリコンみたいだよ」
「煩いですよエンティ。口縫いますよ」
 自身の言いように口を挟むエンティへルクアスは笑顔のまま物騒なことを言うも、おおよそ日常茶飯事のやり取りなのだろうか。
「わたくし、己を過信は致しませんの。頼れるものは、頼っていくだけですわ」
「仕方がない。務めよう」
 さらっと流して自身の意見を口にするやソフィアは表情に少しだけ真剣実を増させ、エンティはどこか観念したように呟くと動き出す。
「ええい、埒が明かぬわ!」
 奇しくもそは泰花とマスター・ビキニアーマーの睨み合いが終了したタイミングであった。カウンター攻撃を得意とする老人に対し、これを知る泰花は敢えて攻撃に出ることなくただ秘かに符を放った後は、敵の攻撃を躱す待ちの姿勢をとったのだ。
「行けい!」
「え」
 だから焦れたオブリビオンが攻勢に転じるところは泰花の想定の内だったものの、ファントムの過去を嗾けてくるのは予想外だった、ただ。
「そうはいかないよ。追憶よ、刃たれ」
 向かってくるファントムの過去の罪、つまり全裸の女性へとエンティが手にした杖とナイフを橘の花びらへ変えて放つ。
「っ」
 流石に無視して突破するわけにもいかず、全裸の女性は自身を覆おうとする花びらから逃げるように方向転換し。
「ありがとうございます。」
「お気になさらず。男の対処は二人に任せているしあまりお嬢さんの姿を晒したくないからね。しかし」
 できればマスター・ビキニアーマーの方も覆ってしまいたいと続けようとしたのか、エンティは泰花の礼に何でもないというよう小さく頭を振ると敢えて視覚的な暴力である老人の方は見ることなく、ファントムの過去の罪の相手に専念する。実際、大元である老人の方にはルクアスたちが向かったのだ。
「暑さにやられているなら冷やして差し上げればいいですよね」
「暑いですものね、存分に冷えてくださいまし」
「おのれえっ」
 マスター・ビキニアーマー目には、ただ会話していただけの【硝子箱】の面々へ先に泰花を始末しようとしたところを邪魔された様に映ったのだろう。
「届きなさい、穿ちなさい、貫きなさい」
 視界の中で生じた四百を超える青玉髄の楔が豪雨の様に自身へ殺到し。
「冷たくされるのは、お好きですか」
 勇者の剣を振りかぶって楔の雨を追い迫ってくるルクアスの姿も老人には見えていた。
「俺もカウンターなんて食らいたくないですけど、ソフィアさんにばかり負担を強いるのもいけませんからね」
 と声に出すわけではなく、ただ無言のままにルクアスはどんどんと距離を詰め。
「小癪な」
 波状攻撃。どちらかに対処してカウンターで攻撃を返そうとすれば、もう一方が邪魔をする。マスター・ビキニアーマーはおそらく二人の攻勢をそういうモノと見なし。
「ファントムさん」
 ソフィアは水晶で出来た骨格標本を側に控えさせ、ちらりとこの戦場に居るもう一人を横目で見た。黒衣のダークヒーローにやりたいことがあるなら、全力で補佐をするつもりでその姿を確認したのだ。
「黒衣の君には姿を消して撹乱などしてもらえたら。脱がなくていいよ、大丈夫」
 実はエンティが先ほどの仲間内の会話に紛れ込ませる形でそう伝えてはいた。
「君が傷つくのも忍びないし、遠くから気を引く行動の方が私は嬉しいが……任せよう」
 補佐はするよと続け請け負っていた声もソフィアには聞き取れる程度の大きさは有していた、だから。
「肉を切らせて骨を断つ! 些少の傷などくれてやるわ!」
「わたし……やる」
 ビキニアーマーを着た老人が楔の豪雨へ自ら飛び込んでいった時、宣言したファントムの姿が掻き消えた。場に残ったのは、それまで身に纏っていた黒衣のみ。
「でしたら、わたくしは――」
 何をするかなど、おそらくわかり切ったことであった。吼えながら、青玉髄の楔があちこちに突き立ったまま殴りかかってくる老人へルクアスが横から斬りつける姿をソフィアは見据え。
「万物を司る力よ。この身に宿り、仇を滅する力となれ――急急如律令!」
「がっ、がああああっ」
 泰花が頭上に術で描き出された太極図を出現させた瞬間、周囲に散らばっていた複数の霊符が大きな清明桔梗の絵と化し、降る眩い雷が老人を打ち据える。
「ファントムさん、今です! 奴へ痛恨の一撃を!」
「ぐ、う、この程度でっ、ワシをなめるでないわぁッ!」
 明らかに痛打、よろめくオブリビオンを見て泰花が叫ぶが、呻きつつもビキニアーマー格闘術を極めた武闘家としての意地か、老人は止まらず反撃の構えをとって。
「そこかあッ!」
「ぐっ」
 振るわれた腕が自身へ剣を振り下ろそうとしたルクアスを打ち払い。
「ぎおッ?!」
 腕を振るった姿勢のマスター・ビキニアーマーを橘の花びらが切り刻む。
「視界を遮りたいと思ったが、少々勢いが付きすぎたか」
 あわよくば攻撃にもと放った花びらは攻撃としての役目だけ果たし、いや。
「この、小童ど」
「とった」
 老人の気を逸らしたことで、気を散らす役目も果たした。マスター・ビキニアーマーの後方に姿を現した全裸のファントムは両足で老人の首を挟み込むと、ぶら下がるように引き倒し、その頭部を地面へ叩きつける。
「がはっ」
「あとは、お願い」
 即座にオブリビオンを解放し飛び離れるファントムの意図を察せぬ者はそこに居なかった。
「わたし、遠くから攻撃できるような武器、持ってないから」
 ただ、エンティに対してだけは弁解するように一言付け加え。
「馬鹿な……ワシがこのような小娘に後れを」
 雷、斬撃、花びら。ダメージよりも投げられたことが信じられないのか茫然自失するマスター・ビキニアーマーへ猟兵達の攻撃が降り注ぐ。
「があああっ」
「ダークヒーローとして生きる彼女の邪魔を、なさらないでくださいまし」
 斬られ、焦がされ地で吼えるオブリビオンを見据えソフィアの再度降らせた青玉髄の楔はオブリビオンを地に縫い付けるとそのまま骸の海へと返す。
「……助かった、ありがとう」
 こうして戦いは終わり、再び黒衣を拾って身にまとった一人のダークヒーローはぺこりと頭を下げると現れた時の様に夜に紛れるように去ってゆき。
「ではわたくしたちも」
「そうですね、帰りますか」
 猟兵達も去って、ただ無人の道路だけが残されるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月05日


挿絵イラスト