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ティアストレートの分断

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #猟書家 #ダークメナス #ヒーローチーム

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「お話はまず、1999年のジャスティス・ウォーに遡りますぅ。
 まだ荒野だったこのライトニングシティで、フルクシオ様とスタグナム様の2人の女神様が戦われたのですぅ~」
 ぴかぴか光る女神同士の激突を描いたらしき、手描きの紙芝居を披露する少女。名前はクルン。ヒーローネームはティアパレード。
 聞き手の2人はあゆむとネージュ。ヒーローネームはティアストレートとティアスパイラル。
 3人はここライトニングシティの平和を守る若手ヒーローチーム、ハイウェイプルティアとして活動している。

「ジャスティス・ウォー、聞いたことある! 学校の授業で習ったよね、ネージュ!」
「ええ。ジャスティス・ウォーでは善神と悪神が戦ったって聞いたけど……フルクシオとスタグナム、どちらが善で、どちらが悪なの?」
「フルクシオ様は進歩を司り、スタグナム様は停滞を司る。お2人は姉妹の女神なのですぅ。
 ただスタグナム様は悪い心に囚われて、世界中の時間を止めようとされていましたぁ。でもでも、それも女神と人間の悲恋が原因でぇ~」

 クルンの語る物語は長く、紙芝居は力作だったが、重要な点だけ抜き出すとこうなる。
 フルクシオとスタグナムは激突の末、両者ともこの地で眠りについた。
 その後、荒野だったこの地で新興都市ライトニングシティが急成長し、そこで暮らす者たちに女神の力が宿った。
 フルクシオの力を授かったのがハイウェイプルティア。スタグナムの力を得たのがヴィラン集団『フリージアの使徒』。
 そして先日の決戦で、ハイウェイプルティアは『フリージアの使徒』幹部を全て浄化し、平和を取り戻した。

「……筈なのですが、使徒たちに宿っていたスタグナム様の力が、どこを探しても見つからないんですぅ。
 もしかして、もう誰かに回収されちゃったのかも知れません~」
「誰かって、誰!?」
「解らないですぅ~」
「また使徒みたいな敵が現れるということ?」
「それも解らないですぅ~」
「そ、そうなんだ……」

 しばしの沈黙の後、あゆむが大きな声でそれを打ち破る。
「……だーいじょうぶ! 何があっても私たちが力を合わせれば、きっと何とかなるもん! ね、ネージュ!」
 無責任な空元気ね、と昔のネージュなら答えたかも知れない。だが共に様々な困難を越えて来た今は、不思議と彼女の言葉が信じられるようになっていた。
「……ええ。そうね、あゆむ」
「熱いですぅ。熱い絆の力ですぅ。2人の活躍を頼りにしてます~」
「……クルン。あゆむの言う私たちには、あなたも入っているんだからね」
「そうだよクルン! 一緒に頑張ろうね!」
「ええ……私はのんびりお昼寝して過ごしたいのにぃ。……でも、そう言われると悪い気もしないですぅ~」
 あはは、と笑いあって、3人は心を通じ合わせた。この大切な仲間がいれば、明日もきっと乗り越えられる。
 ――そんな希望的観測は、これから来る敵には通じないとも知らずに。

 悪神の力を回収したのは猟書家ダークメナス。
 そして彼女は配下のオブリビオンを使役し、プルティアが宿す善神の力までも手に入れようと動き出していたのだ。

 次の休日。3人は分かれて行動することになった。
 ネージュはシアターで3Dサイコスリラー連続上映に。クルンは郊外の荒野で女神の声を聞くためのお昼寝、もとい瞑想に。スリラーも瞑想も苦手だったあゆむはアクアリウムに。
 ダークメナス配下のサラリーマン(忍者)達は、諜報活動によってその動きを把握していた。そして別行動する3人を同時に襲撃し、殺害して力を奪った。
 そのような周到な敵と戦った経験がない少女たちに、なす術はなかった……。


「場所はヒーローズアース、ライトニングシティ。分断され襲撃されているヒーローチームを助け、猟書家を撃破して下さい」
 眞清水・湧(分界簸却式超人類祖型・f02949)は敵が使用するユーベルコード情報などを話した後、付け加える。

「敵のサラリーマン達は忍者として、企業戦士として修練を積んだ手練れの集団ですが、過酷な修行の代償としてひとつ弱点を持っています。
 若い女の子の顔やファッションの見分けがつかないし、キラキラしたヒーローネームも覚えられないのです。
 ですから、皆さんがプルティアらしい格好をしてプルティアらしく振舞えば、敵はターゲットを誤認して、有利に戦える可能性があります」
 勿論、そんなことをせず普通に戦って勝つことも出来るだろう。

「純粋な少女たちの絆を守る為に……どうかよろしくお願いします」
 ぺこり、と頭を下げて、湧は猟兵を送り出した。


魚通河
 このシナリオはサポートプレイングで進行する予定です。

●1章
 サラリーマンとの戦いです。戦場は3種類あります。

 アクアリウム……フロアが水槽で埋め尽くされており、水槽を破壊しない戦い方が求められます。敵は普通に兵器を使ってきます。
 シアター……敵は一般人を人質にとっており、彼等を助けながら戦うことが求められます。
 郊外……特に気にする要素はありません。

●2章
 ダークメナスとの戦いです。
 停滞の女神を蘇らせてきますが、ヒーローチームが無事ならば停滞の力を相殺してくれ、有利に戦えます。

●プレイングボーナス(全章共通)
 ヒーローチームと共に戦う、もしくは猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗ること。
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第1章 集団戦 『サラリーマン』

POW   :    シークレット・ガン
【手に持つアタッシュケースに内蔵された兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    エンシェント・マーシャルアーツ・カラテ
【カラテ】による素早い一撃を放つ。また、【武器を捨て、スーツとネクタイを脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    情報解析眼鏡
【スマート・グラスで敵の情報を解析し、】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

回々・九流々々(サポート)
『僕だってやれば出来ます。はい』
 愉快な仲間のオブリビオンマシン × 四天王、7歳の女です。
 普段の口調は「コーヒーカップ(僕、~様、です、ます、でしょう、ですか?)」、酔った時は「くるくる(僕、~様、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「動くなよスパイラル。抵抗すればこの子供の命はないと思え」
「くっ、卑劣な……」
「あーん、たすけてー!」
「誰か、誰かあの子をっ!」
 子供と、その母親の泣き叫ぶ声がシアター内を反響する。
 サラリーマン(オブリビオンかつニンジャ)の1人が幼児を抱え上げ、その頭に銃口を突きつけている。人質を取られたヒーロー、ティアスパイラルは何も出来ない。

 その緊迫した場面に、いつの間にかふらりと紛れ込んでいた小柄な人影。回々・九流々々(くるくる・f21693)が口を開いた。どこか場違いな、どこにいても間違いのような、ふらついた口調で。
「駄目ですよ、シアターは楽しい所なのに。きっと遊園地の次かその次くらいに楽しいです。
 子供たちは明日からも笑って泣いて、笑って泣いて。くるくる表情を変えてくるくる季節は廻ります。コーヒーカップみたいに廻るんです」
 唐突に始まった九流々々の言葉を、一同は何故か遮ることが出来ずに聞いている。風を止めようと思わないように。雨に反論など考えないように。
 そして彼女のお喋りが終わらない内に、世界は人々を乗せて、遊園地のティーカップに変貌していく。

「ああ、目くるめく展開。巡る巡る転回点。僕等を乗せてどこへも行かない」
 何を考えているのか、何も考えていないのか。怪異の時間、トワイライトゾーンは始まった。
 子供を抱えたサラリーマンも、母親も、スパイラルも、九流々々自身も、いつの間にか自分用の超次元めいたティーカップに乗せられて、回転を始めている。
 初めはゆっくり、次第に目を回す速さで。

「うわあああ!」
「なにこれぇぇぇ!」
「夢みたいな時間です……うう、でもやっぱり辛い」
 人質を撃つことも忘れて、皆一様に混乱の渦に陥る。サラリーマンの情報解析眼鏡など何の意味もない。
 ただひとり、自分も回転を操るスパイラルだけはカップに逆回転を加えて静止状態を保っていたが。
「私の方がおかしいんじゃないかって、不安になるわね」
 ひとりだけ取り残された気持ちで、彼女は呟いた。

 そうしてどのくらい過ぎたのか、誰にも計れない。やがて夢の世界が元のシアターに戻った時、スパイラル以外の全員がその場にへたり込んだ。
「あ……ええと、今ね!」
 我に返ったスパイラルは、でろでろに嘔吐するサラリーマンからへろへろにふらつく子供を奪い返し、どろどろに溶けそうな母親の下へ連れ帰る。そしてぐるぐるに目を回した九流々々にお礼を言った。
「どうもありがとう。おかげであの子を助けられたわ」
「どういたしまして……回転のよしみです……」
 よく解らない返事をしながら、九流々々の目にはまだ世界が回り続けているのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

杉崎・まなみ(サポート)
まなみは正当派後衛職のヒロインタイプです
聖職者教育を受講中の学生ですが、特に依頼に縛りは無く、どのような依頼も受けられます
但し人並みに気持ち悪いモノ、怖いもの等は苦手で遭遇した際は多少なりとも嫌がる仕草が欲しいです
甘いモノ、可愛いモノが好きで少し天然な所があります
初対面の人でもあまり物怖じせず、状況を理解して連携を取る動きが出来ます
シリアス2~3:ギャグ7~8割くらいのノリが好みです
ただシリアスもやれますよー

UCは状況に応じて、MS様が好きなのを使ってください

その他、細かい部分はMS様にお任せします




「はああぁっ!」
 赤い岩が立ち並ぶ郊外の荒野。ティアパレードの気合が乗った声が響く。
「ククク……甘い甘い」
 パレードの渾身のラッシュは、しかしサラリーマン(オブリビオンかつニンジャ)には掠りもしない。情報解析眼鏡によって完全に動きを読まれているのだ。
「もうっ。大人しく当たって下さい!」
「そんなことするか! こちらの番だ、観念しろ」
 いくつもの銃口がパレードを捉える。その時。

「ホーリーアロー!」
 輝く光の矢が降り注ぎ、サラリーマンの攻撃を遮った。彼等には光の軌道すら読まれ、躱されてしまったが。
「何者!」
「ヒーローとはいえ女の子ひとりを寄ってたかって……見過ごす訳には参りません。アルダワ魔法学園所属、杉崎まなみ。助力させて頂きます」
 杉崎・まなみ(村娘・f00136)の登場に、オブリビオンは色めき立つ。

「猟兵か! しかし誰が来ても同じこと。我等に攻撃を当てることが出来ないのではな!」
「まあ……どんな攻撃でも読み切れると?」
「その通り。このスマートグラスはいかなる動きも見逃さない」
「それは大変ですね。少しぐらい余所見をしてしまったりは……?」
「いいや。じっくりしっかり観察させて貰う」
「そうですか。では、よーくご覧くださいね?」
 眼鏡をクイクイして注視してくるサラリーマン達に、まなみは杖を掲げ、詠唱した。
「地神よ、我が祈りにお応え下さい……ホーリーフラッシュ!」
 ――まばゆい輝きが世界を満たす。目を見開いてそれを浴びてしまった者たちは、全員が閃光に視界を灼かれてのたうち回る。余裕ぶっていた敵の無残な有様だ。
「目が、目がぁっ!」

「やったぁ! すごいすごーい!」
「ふふっ、それほどでもないけどね」
 その力に感動してハイタッチを求めてくるパレードに、まなみは微笑んで答える。
「今なら撃ち放題当て放題です! やっちゃいましょう!」
「ええ。それじゃあ遠慮なく……」
 変身するとテンションが上がるらしいパレードに促され、まなみも杖を掲げる。
「この地に宿る女神様、私に輝きを! ライトニングシャワー!」
「地の神よ……そのお力を私たちにお貸しください……。ホーリーアロー!」
 2人が放つ無数の光の矢は目映い奔流となり、サラリーマン達を包み込む。
「眩しい上にも眩しいっ!」
 最後の言葉を残して、オブリビオンは骸の海へ還っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雛里・かすみ(サポート)
 バーチャルキャラクターの戦巫女×UDCメカニックの女性です。
 普段の口調は「明るく朗らか(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
寝起きは「元気ない時もある(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

明るく朗らかな性格の為、
男女分け隔てなくフレンドリーに会話を楽しみます。
どんな状況でも、真面目に取り組み
逆境にも屈しない前向きな性格です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「やめて! ここで銃なんか撃ったら、水槽の生き物たちが……!」
 アクアリウムに響くのは、ティアストレートの悲痛な声。
「我々の知ったことか。だったらお前が全身で弾丸を受け止めるんだなぁ」
 アタッシェケースに仕込まれたマシンガンを彼女に向けて、残忍に言い放つサラリーマン(オブリビオン)達。
「くっ……」
 敵に言われるがまま、ストレートは身体を大の字に開いて精一杯水槽を守ろうとする。
 一発でも弾を受ければ背後の大水槽は割れ、そこに住む海棲生物は全滅だろう。
 サラリーマン達が引き金を引こうとするまさにその時。

「やめなさいッッッ!!!」

 大気をビリつかせ、聞く者を打ち据える、裂帛の気合が轟いた。
 放ったのは雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)。三変の境地の一、闘気強化によって『気』を上乗せした大声での『驚かせ』だ。
「なあっ!?」
 気迫をそのまま叩きつけられたサラリーマン達の身は竦み、僅かの間動けない。
「今よっ!」
 かすみはストレートに対して呼びかけながら、強化された脚力で飛ぶが如く駆け出し、疾風の蹴りでサラリーマンのマシンガンを次々叩き落す。
「は……はいっ!」
 やや遅れて、ストレートも同じように敵に突っ込み、マシンガンを弾き飛ばしていく。

 ――あっという間の早業だった。サラリーマン達が動けるようになった時には、彼等の手に銃はない。
「おのれ……企業戦士の武器が!」
 悔しがる敵をよそに、かすみはストレートにウインクひとつ。
「どんな時でも臨機応変に。なかなかの対応の速さだったわよ」
「ありがとうございます! 助かりました!」
 ストレートは名前通りの真っ直ぐな返事をかすみに。しかしまだ戦いは終わっていない。

「銃が無かろうと、いやだからこそ、我等のカラテは冴え渡るのだ!」
 スーツとネクタイを脱ぎ捨て、身軽になったサラリーマン達が構える。エンシェント・マーシャルアーツ・カラテだ。
「はあっ!」
「型通りの動きじゃ、私は捉えられないわよ!」
 敵が繰り出す高速の突きを、かすみは高く跳躍して回避。敵の頭を蹴りつけて回り、天井を蹴った勢いで上から突きを放ち、次々と倒していく。

「お前さえ始末すれば!」
「ま、負けない……!」
 ストレートの側は多勢に無勢、取り囲むオビリビオンの速攻を捌けず窮地に陥っていたが。
「破っ!」
 再び轟いた気合に敵の動きが止まった瞬間、加速して包囲を抜け出し、かすみと合流する。
「また助けられました!」
「それなら今度は、あなたが私の背中を守ってくれる?」
「任せてっ!」
 そうして、ストレートはかすみの背後をどうにか守り抜き、かすみは三種の境地を使い分ける戦い方でサラリーマンを次々撃破していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御堂・威風(サポート)
攻撃を最大の防御とし、特に作戦を立てたりもせずただ真っ直ぐに突っ込むのみ!
常に前に進み正義を示す事に貫徹しており周りを鑑みる能力はなく融通はきかない方。
痛みや恐怖が自身を強くさせると信じているので弾幕の中でもたじろく事はない。
(あとは全部お任せ!)


叢雲・雨幻(サポート)
堂々と正面から、と言うよりは掠め手で相手を惑わせて
攪乱しながら一網打尽にしていくような戦い方を好むよ。

使う武器は【黒雲】【黒霧【対】】の二刀流での高速戦闘が主。
使うUC次第では連結してダブルセイバーにしたり、
そもそも剣を主武器として使わず【武器受け】用として使いつつ、影を操る攻撃で戦ったりするよ。

主に戦い方の例を挙げるならば
【目立たない】様に物影を介して【忍び足】で動き回り敵の視線から外れたり、
【闇に紛れて】居場所を攪乱したり
攻撃すると見せかけた【フェイント】を使って騙したり、
【武器(で)受け】てから【カウンター】で仕留める等だね。
洗脳等で助けられる相手を攻撃する際は、ある程度手心を加えるかな




「貴様ら動くなよ! 動けばこのガキの命はない!」
 まだ救出できていない人質がいたようだ。体勢を立て直したサラリーマン(オブリビオンかつニンジャ)が、腕に抱えた幼児に銃を突きつける。

「あのような狼藉、見過ごせぬ。僅かの隙さえあれば斬り込むのであるが……」
 御堂・威風(不撓不屈・f29392)の呟きに、やはり小声で答えるのは叢雲・雨幻(色褪せた根無し草・f29537)。
「同感だねぇ。隙が必要ならオジサンに任せなよ」
「かたじけない。では合図をお願いする」
「よぉし、いくよ。準備してね? 3……2……1……」
 雨幻はカウントしながら遠影身を発動。サラリーマン達は情報解析眼鏡によって周囲を警戒していたが、薄い影色の帯はシアターの仄暗い照明に溶け込んで視界に映らない。そのまま密やかに、人質を抱えたサラリーマンの足下へ忍び寄る。
「……今!」
「ハッ!」
 そして影帯が敵の腕と首を捉えると同時、雨幻の合図で、威風は風の如く飛び出した。

「なっ、うおおぉ!?」
 影帯に首を締められ、手首を捻り上げられるサラリーマンは、それでも頑強に抵抗して人質を離さない。
「貴様、止まれっ!」
 威風には無数の銃口が向けられ、火を噴くが。
「武士道とは死ぬことと見つけたり」
 葉蔭の心によって尋常ならざる機動力を発揮する威風は更に加速して、弾丸の雨の中を突き進む。
(「躊躇いこそが死に繋がり、自ら死地へ踏み込むならば寧ろ……」)
 敵が狙いを定めるより疾く駆け抜け、人質を抱えたまま藻掻くサラリーマンを一刀のもとに斬り捨てる。
「その子は任せな!」
 自由になった幼児を、雨幻の影帯が持ち上げて引き寄せ。
「来い、私が相手である!」
 自分にターゲットを引きつける為、威風は嵐のように刃を振るう。
「ひいっ」
「ぐおっ」
「貴様、逃げられると思うなよ!」
 しかし次々に斬り伏せられながらも、サラリーマンの群れは人数を生かし、解析眼鏡を光らせて、シークレットガンで威風の身を削り、流血を強いる。

「ほぉら、もう大丈夫だ」
「おじちゃん……ありがと……グスン……」
 影帯で助け出した幼児は、雨幻の腕の中でべそをかきかきお礼を述べる。
「後は私が」
「頼むよ」
 ティアスパイラルは雨幻から幼児を受け取ると、流れ弾から守るように抱きかかえて安全圏へ後退していった。
「さぁて、おじさんはもう一働きしてきますか、と」
 雨幻の視線の先には、威風がサラリーマン達を斬りまくる姿。しかし、そろそろ活動限界だろう。
「全く忙しいねぇ」

「時間であるか……仔細なし」
 全身を弾丸が掠め、血を流しながらも、威風は致命打を受けずに戦い抜いていた。敵も半数以下まで数を減らしている。
 しかし70秒と少しのユーベルコードの効果が切れれば、反動の昏睡が来ることは避けがたい。
「後はお願い、である」
 意識を手放し、その場に崩れ落ちる威風。
「ははっ、終わりだ」
 せせら笑うサラリーマンがとどめの銃弾を撃ち込もうとした時。
「おっと、そうはいかない」
 影帯が威風の身体を高く持ち上げ、銃弾は床を貫いた。

「先にこっちの相手をして貰おうか」
 サラリーマン達が振り向けば、そこには居合の構えを取る雨幻の姿。
「貴様、怪しげな風来坊が我々企業戦士のビジネスを邪魔しおって!」
「そんな邪悪なビジネスからは、さっさと足を洗った方が身の為だぜ」
「抜かせ!」
「ま、オブリビオンに言っても遅いか」
 それから――影を操り、刃を閃かせて、雨幻はサラリーマン達を悪の義務から解放して回ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

スピネル・クローバルド(サポート)
『お姉ちゃんに任せておいてね♪』
 妖狐のクレリック×アーチャーの女の子です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、兄弟姉妹には「優しい(私、~君、ね、よ、なの、なの?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は温厚で人に対して友好的な態度をとります。
滅多に怒る事はなく、穏やかです。
怖そうな敵にも、勇気を持って果敢に挑む一面もあります。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




 赤い岩の荒野に響く大声――ティアパレードがサラリーマン(オブリビオンかつニンジャ)に抗議する声だ。
「私はこの大地に宿る女神様の声を聞く所だったんですよ! 邪魔しないで下さい!」
「ふん。地面の下にまだ女神の力が眠るなら丁度いい。お前を殺して体内の力を奪った後で掘り返すとしよう」
「あら、よくないですよ。こんな小さな子にそんな怖いことを言っては」
 ヒーローとオブリビオンの言い争いに、ふんわりとした口調で混ざり込んできたのは、スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)。
「猟兵か……邪魔するなら貴様から始末してやる」
「まあ、困りましたね」
 あまり困っていそうに見えない調子で言うと、スピネルはパレードに向き直る。
「ねえ、この荒野には女神様が眠っておられると聞きますが……女神様って、森はお好きでしょうか?」
「え? ええ……森は色んな植物が成長する場所。お好きだと思いますぅ」
 急な質問に、パレードはきょとんとしながらも答えた。
「それはよかったです。それなら……」
「何をするというのだ? 何が来ようと、我々の解析眼鏡ならば軌道予測は容易!」
 眼鏡を光らせてクイクイするサラリーマン達に、スピネルは笑顔で一言。
「解りました。では、遠慮なく」
 それから――荒野は森に覆われた。

「うわあああぁ!」
「何だとぉっ!」
 森の静寂に、敵の悲鳴が木霊する。
 スピネルの【森は静寂を望む(フォレストサイレント)】によって突如現れた緑の牢獄。急激に成長した木々の根が、ぐんぐん伸びる蔦が、サラリーマン達を絡め取り、ユーベルコードを封じていく。
 あらゆる方向から迫る植物の拘束の前には解析眼鏡など意味を成さなかった。

「やったやったー! すごいです!」
「さあ、今のうちに攻撃を」
「あっ、はいです!」
 一網打尽の様子に浮かれ騒いでいたパレードは、スピネルの指示を受けて攻撃技を発動。
 別の猟兵に助けられて合流して来たティアストレート、ティアスパイラルも攻撃に参加し、オブリビオン達を速やかに骸の海へ還していった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ダークメナス』

POW   :    我、失われし汝等の盟主なり
全身を【盟主の威光 】で覆い、自身の【同志達が奪ってきた神or不死の怪物の力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    我は盟主として、同志達の無念を晴らそうぞ
自身に【神々の時代の頃より得てきた同志達の無念 】をまとい、高速移動と【六枚羽根より滅びを齎す衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    我が同志達の怨念、晴らさずにいられようか
自身が【同志達が殺された事への憎悪 】を感じると、レベル×1体の【神々の時代より存在する古代遺産】が召喚される。神々の時代より存在する古代遺産は同志達が殺された事への憎悪 を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エリス・シルフィードです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 サラリーマン達を全て撃破し、荒野に集まった猟兵とヒーローチーム。
 そこへ猟書家・ダークメナスが虚空から姿を現した。
「配下どもは善神の力を回収できず、か……。ならば我自身の手で行うのみ。
 悪神の力は全て我が手中――蘇れ、スタグナム」
 ダークメナスの号令と共に、空は暗雲に閉ざされ、宙に浮かび上がるのは巨大な女神の姿。
 そして女神からは、漆黒の波動が溢れ出す。触れた者の時を停止するストッピングオーラが。
 そのままならば、周囲の全てが停止させられる所だったが。
『プルティア・ウィーヴィング・クロスロード!』
 3人揃ったハイウェイプルティアの放った光線技が、滲みだす黒いオーラと相殺してせめぎあい、その拡散を食い止めた。
「皆さん、今のうちにオブリビオンを!」
「30秒以内でお願いします~!」
「せめて3分は頑張るのよ……!」
 懸命に光線を放ち続けながら、プルティアが猟兵に訴える。どうやら長くは保たないようだ。
 猟兵たちは改めて、ダークメナスと対峙する。
ロザリア・ムーンドロップ(サポート)
グリモア猟兵として猟書家事件を追っていることもあり、自身も何か手伝いができないかと考えています。

「この事件を解決すれば、また一歩世界の平和に近づきますね!」
「せっかく取り戻した平和を脅かすなんて許せません!」

UCは全て設定しています。
技能・装備はご自由に。

基本的に頑張り屋。戦闘スタイルは魔法をメインに使いますが「困った時は殴ればOK」とも思ってます。
なので接近戦も案外こなすオールラウンダー。

ぷるぷるしたもの(スライムとか)はとても興味を示します。
葛藤しながらも事件解決のために我慢して攻撃するでしょう。
ただしエロ・グロ系はNGで。

戦後依頼でも書けると思ったら書いていいです。


イヴリン・ランバート(サポート)
「今は行動する時です。さあ、行きましょう!」

エルフの(新米)魔法騎士です。
元気があって努力と特訓が好きな真面目な性格をしています。
口調はですます調の敬語です。 

強敵を相手にした場合は紅の槍や青の斧。集団相手なら翠の剣。という風にユーベルコードは指定されたものを状況に応じて使い分けます。

冒険では力仕事や魔法を使った作業が得意です。
戦闘ではユーベルコードの他に魔法による攻撃や装備した鋼の杖を使った近接攻撃で戦います。
戦闘中は負傷も覚悟の上で積極的に戦います。

基本的に依頼成功のために動きますが、公序良俗に反することはしません。
後はおまかせします。よろしくおねがいします。


大空・彼方(サポート)
《アドリブ、連携、苦戦描写、UC詠唱変更、その他何でも歓迎です》
「はじめまして。今回バックアップに回る舞姫です。未熟者ではありますがなんなりとご用命ください。」
UDC組織に所属する新人猟兵。戦闘経験は豊富。
一人称:私
口調:敬語で機械的
性格はクールでマイペース。そしてドがつく程の面倒くさがり。一見、常識人で冷静沈着に見えるが、どこか天然なところがある。獲物は日本刀。
前衛であれば未来視を用いて舞うように敵の攻撃を引き付けながら隙を伺う。
後衛では異界召喚により援護と回復役をこなす。
UCは指定した物をどれでも使用可能。基本的に情報を収集し、慎重に行動。命令や指示には忠実に従い他の猟兵をサポートします。


早臣・煉夜(サポート)
どんな方だろうとも、容赦なんてしませんですよ
僕はそのために作られたんですからね

妖刀もしくはクランケヴァッフェを大鎌にかえて
それらを気分で使って攻撃です
妖剣解放を常時使用して突っ込みます
使えそうならアルジャーノンエフェクト
怪我なんて気にしません
この身は痛みには鈍いですから
死ななきゃいいんです
死んだらそれ以上倒せなくなるので困るです

僕は平気なのですが、なんだかはたから見たら危なっかしいみたいですので
もし、誰かが助けてくださるならお礼を言います
ありがとーございますです

勝利を優先しますが、悲しそうな敵は少し寂しいです
今度は、別の形で出会いたいですね

なお、公序良俗に反する行動はしません
アドリブ歓迎です


湊川・亮一(サポート)
基本的に屋外では宇宙バイクに搭乗。屋内では十分な広さが確保されている場合のみ宇宙バイクを使用。
センサーゴーグルで【索敵】しつつ行動し、情報を元に【戦闘知識】で有利な位置取りを取る様に移動。
敵を確認出来る位置まで来たらブラスターカービンの【スナイパー】で【先制攻撃】する。
状況に応じて味方を【援護射撃】で支援するが、基本的にはガトリングブラスターの【弾幕】と複合兵装ユニットの【誘導弾】の【一斉発射】で【制圧射撃】を行いながら宇宙バイクで突撃し、車体による【吹き飛ばし】と【衝撃波】で追加ダメージを与える。
突撃に合わせて状況に応じたUCを使用する。
敵の攻撃は【地形の利用】【見切り】【ジャンプ】で回避


グレナディン・サンライズ(サポート)
『ここはこの年寄りに任せてもらおうかね?』
『こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ』
年齢3桁の婆。
スペースシップワールド出身の元宇宙海賊。
主な武装はフォースセイバーとブラスター。
戦闘スタイルは基本的には前衛遊撃。敵を翻弄するような戦いを好む。
グルメではない酒好き。
年齢なりの経験を積んでいるので、冷静さと余裕をなくすことはない。
口調(あたし、あんた、だね、だよ、~かい?)




「我、失われし汝等の盟主なり」
 詠唱と共に。ダークメナスの全身がオーラに包まれ、その放射で宙に浮きあがった。
「同胞の無念、忘れ難し」
 続く詠唱で召喚される、古代の浮遊砲台。その数は200を越えている。
「盟約をもて、古き神の怨念を晴らそうぞ!」
 最後の詠唱で、背中の羽根から滅びの風を吹き散らし、ダークメナスは空を翔けた。

「紅の槍(クリムゾン・ジャベリン)っ!」
 イヴリン・ランバート(エルフの魔法騎士・f29406)は炎の槍を投げ放ち、浮遊砲台のひとつを撃ち落とす。
 しかし残る莫大な数の砲台から、ビームの集中砲火を浴びせられ、慌てて岩山の陰に身を隠した。
「うう、ひとつ落としても焼け石に水です。時間もないとなると、本体を狙うべきですが……」
 見上げるイヴリンの遙か上を、ダークメナスは高速で飛び回っている。

「速いですね。あれでは私のムーンスタイルでも追いつけません……」
 同じく身を隠していたロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が、イヴリンの言いたいことを引き継いだ。

「少しの間、動きを止めることさえ出来れば、水神の先触れで拘束してしまえるのに……」
 大空・彼方(眠れる神の巫女・f33087)の静かな佇まいにも、どこかもどかしさが滲んでいる。

「追いついて近接戦闘に持ち込めたら、足止め出来ると思います。でも、あそこまで行く方法がないです」
 早臣・煉夜(夜に飛ぶ鳥・f26032)はそう言って、空高くを指差した。

「だったら少年、俺のスペース・ファルコンに乗りな。ビームを掻い潜って奴に追いついてみせるぜ」
 湊川・亮一(スペースノイドの鎧装騎兵・f06481)が自分の宇宙バイクを指し示せば、
「そりゃあいい。空中に足場を作る程度なら、あたしの念動力でやってあげるよ」
 グレナディン・サンライズ(永遠の挑戦者・f00626)も請け負う。
「そうしてくれたら、ありがたいです」
 煉夜の返答で、猟兵たちの作戦は決まった。


「行くぜ少年、振り落とされるなよ」
「はい。どーぞよろしく、お願いします」
「……ファルコン、ゴッドスピードライド!」
 亮一のユーベルコードを受けて、スペース・ファルコンは大気中を高速飛翔できる形態に変形し、唸りを上げて走り出す。

「古代の骨董品なんかで、こいつを捉えられるかよ!」
 瞬く間に加速して上昇し、大気を切り裂くファルコンに、浮遊砲台からのビームが集まるが、亮一は巧みな操縦で砲台の照準を定まらせず、無数のビームはファルコンの描いた軌跡を塗り潰すに過ぎない。
「邪魔だぜ!」
 進路上の浮遊砲台はファルコンに合体したガトリングブラスターで一掃し、亮一はダークメナスに迫る。

「小癪な!」
 自分を上回る速度で猛追するファルコンに気づいたダークメナスは、迎撃のため衝撃波を放つが。
「おっと。危ないね」
 グレナディンの、鍋が吹きこぼれそうになったのを見つけた、とでもいうような呟きと同時、老練のサイコキネシスで弾き飛ばされた砲台が衝撃波の前に投げ出され、防壁となって砕け散った。
「大抵のことは指先一本で解決するもんだが……今日は両手の指を使わなきゃいけないようだ」
 グレナディンが十指をバラバラに操ると、連動してサイコキネシスに掴まれた砲台たちがダークメナスを囲み、進路を阻むと共に衝撃波を防いでいく。
「地上からの念動力で、すごいですね」
「ああ、あんな婆さんはなかなかいねえ。助かったぜ」
 スペース・ファルコンはとうとう、飛翔するダークメナスに並んだ。

「さあ、行きな!」
「はい、行ってきます」
 宇宙バイクの速度を乗せて、念動力で固定された砲台を足場に、猟書家に斬りかかるのは、どこかあどけなさを残す少年ではなく、戦うために調整された殺戮機械。
 黒い大鎌から妖剣解放の衝撃波を放ち、プログラムド・ジェノサイドによる超高速の連撃で、ダークメナスに襲いかかる。
「何!?」
 防御を捨てた煉夜の攻めは、それだけにダークメナスに防戦を強いた。
 互いの放つ衝撃波が至近距離で砕け、余波に揺れる空気の中を大鎌が敵の喉元めがけて降り下ろされ、猟書家は辛うじて腕でそれを打ち払うも、煉夜は流れるように次の攻撃に入っている。
 火花を散らす打ち合いの末、遅れを取ったのは煉夜のほう。プログラムド・ジェノサイドの予約された動きは少しずつ攻防に齟齬を生み、遂にダークメナスは連撃の隙を突き、煉夜に衝撃波を叩き込んだ。

「痛みには……鈍いから……大丈夫。それに……」
 既に十分、敵の足を止めた。
 吹き飛ばされる煉夜の目には、ダークメナスの背後に蠢く、狂気の肉塊が視えている。そこで意識を手放した煉夜を亮一は回収し、グレナディンの念動力で次々ひしゃげていく浮遊砲台の隙間を縫って離脱した。


「光すら飲まれる深海。破滅を唄う人魚。赤く輝く凶星は、封じられし水神を呼び起こす」
 上空でダークメナスが足止めされている頃。彼方は岩山の上に立ち、空を見上げて詠唱していた。
 砲台からのビームが数条、彼方を掠めた。頬が焼き切られ、解けた黒髪が荒野の熱風に舞うが、詠唱を止めることはない。涼し気な視線は揺るがず、猟書家を見据えている。
「――喰らえ、インビジブルテンタクル」

 詠唱完了と同時。ダークメナスの背後の虚空に、不可視の触手が生え。
「!?」
 煉夜に気を取られていたダークメナスはそれを察知することさえ出来ず、迫る触手に手足と首を巻き取られる。
 衝撃波を撒き散らし、振り解こうと暴れるが、不壊の触手は攻撃を受け付けず、猟書家をじわじわと地上へ引きずり下ろしていった。

「皆さんの力で掴んだ好機です。決して離さない……」
 彼方は触手の操作に集中しながらも、ビームから身を守る為に自分の周囲も触手の防壁で固めていた。
 しかし集まった熱線は触手をどろどろに融解させていく。このままならば彼方は危なかったのだが。
「オーバーレイ・ムーンスタイル!」
 キラキラの魔法少女スタイルに変身したロザリアが、流れ星に乗って駆けつけた。

「いきますよ! これが私の月『魔砲』です!」
 ロザリアはクレセントブレイカーに集めていた月の魔力を、全開にして解き放つ。
 輝く魔力の奔流は無数のビームを押し返し、彼方を狙っていた周囲の砲台を全て逆に爆破した。
「ご無事でしたか?」
「ええ。助かりました……そして、今です」
 彼方が指し示す先。触手に包まれ、藻掻き続けるダークメナスが、低空まで降りてきていた。

「イヴリンさん、乗って下さい」
「は、はい!」
 砲台が再び集まってくる前に、ロザリアは流れ星にイヴリンを同乗させ、ダークメナスに向かって飛ぶ。
「最後の一撃です。準備はいいですか?」
「ええ。ありったけの魔力をぶつけます!」
 両手の中に炎の魔力を集めるイヴリン。フルムーンブラストで一時的に魔力のチャージが切れているロザリアは、クレセントブレイカーを鈍器として振りかぶり、宣言する。
「猟書家ダークメナス! 私のグリモアにかけて、そして何より猟兵として、あなたを倒します!」
「く……猪口才な……」
 ダークメナスは触手に掴まれて反撃できない。周囲の浮遊砲台がグレナディンの「指先」で引き続き撃墜されていく中を、流星はダークメナスに突っ込んだ。

「邪悪を貫き焼き尽くす、勝利を齎すは紅の槍! クリムゾン・ジャベリン!」
 赤く燃える魔槍が、イヴリンの手の中から射出され、ダークメナスの全身を猛火で包み込んだ。
「クレセントブレイカー!」
 声なき悲鳴をあげる敵に、すれ違いざま、魔法の杖は降り下ろされ――猟書家の身体は砕け散った。

 ダークメナスが骸の海に還ると同時、黒い女神の姿もまた消滅し、既に限界だったプルティア達はその場にへたり込んだ。
 暗雲は晴れ、猟兵たちは視線を交わして健闘を称えあう――かくしてライトニング・シティの平和は守られた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年08月23日


挿絵イラスト